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1959-11-17 第33回国会 衆議院 商工委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月十七日(火曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長中村幸八君    理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君    理事 長谷川四郎君 理事 小林 正美君    理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君    理事 武藤 武雄君       大島 秀一君    岡本  茂君       鹿野 彦吉君    木倉和一郎君       始関 伊平君    田中 榮一君       渡邊 本治君    板川 正吾君       勝澤 芳夫君    永井勝次郎君       八木  昇君    加藤 鐐造君  出席国務大臣         通商産業大臣  池田 勇人君  出席政府委員         通商産業政務次         官       内田 常雄君         通商産業事務官         (重工業局長) 小出 榮一君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁保安局         防犯課長)   町田  充君         総理府事務官         (自治庁財政局         財政課長)   松島 五郎君         通商産業事務官         (重工業局車両         課長)     若林 茂信君         中小企業融公庫         理事      岡  一雄君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 十一月十二日  石炭産業離職者対策に関する陳情書  (第三七三  号)  同(第三七四  号)  石炭産業振興施策の強化に関する陳情書  (第三七五  号)  石炭産業不況対策に関する陳情書  (第三七六  号)  同(第三七七号)  同(  第三七八号)  同(第三七九号)  同  (第三八〇号)  同(第三八一  号)  同(第三  八二号)  同(第三  八三号)  同(第三八四  号)  同(第三八五号)  国産原油発筒年計画完全実施等に関する陳情  書  (第三八八  号)  中国産生漆の輸入促進に関する陳情書  (第三八九号)  日中貿易再開に関する陳情書  (第三九〇号)  同(第三九一号)  同  (第三九二号)  日中及び日ソ貿易再開促進に関する陳情書  (第三九三号)  同(第三九四号)  同(第三九五  号)  中小企業に対する貸出金利引下げ等に関する陳  情書  (第三九六号)  中小企業退職金共済法に関する陳情書  (第三九七号)  中小企業振興対策に関する陳情書  (第三九八号)  同(第三九九  号)  政府関係中小企業金融機関に対する財政投融資  増額に関する陳情書  (第四〇〇号)  小売商業調整特別措置法に関する陳情書  (第四〇三号)  商工会法制定に関する陳情書  (第四〇四号)  中小商工業に対する災害補償法制定に関する陳  情書(第四〇五  号)  ガス料金値上げ反対に関する陳情書  (第四〇六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  通商産業基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 中村幸八

    中村委員長 それではこれより会議を開きます。  まず、連合審査会開会申し入れに関する件についてお諮りいたします。国土総合開発特別委員会審査中の臨海地域開発促進法案川島正次郎君外三名提出、第三十一回国会衆法第六十七号)は、当委員会の所管とも関係の深い法律案でありますので、国土総合開発特別委員会連合審査会開会を申し入れることといたしたいと存じまするが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  3. 中村幸八

    中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。なお、日時等につきましては委員長に御一任願います。      ————◇—————
  4. 中村幸八

    中村委員長 通商産業基本施策に関する件について調査を進めます。質疑の通告があります。順次これを許します。田中武夫君。
  5. 田中武夫

    田中(武)委員 私は、本日は、今大きな世論となっておる競輪存廃の問題につきまして質問をいたしたい、こう思うのですが、大臣が十一時半ごろに出席の予定だそうでございますのでで、大臣に対する質問あと回しにいたしまして、まず小出局長にお伺いいたしたいと思います。  まず最初に私がお伺いいたしたいのは、昭和三十二年七月に兵庫県の甲子園競輪場において第十二回近畿ダービーが行なわれました。その際の八百長事件として、最近日本自転車振興会の方で、その出場選手百三名中八十五名の大量処分をした、こういう問題について質問をいたしたいと思いますが、これは日本自転車振興会がやった問題でありまして、通産省監督官に聞きましても、あるいはわからないと思う、こういうようなことがあるかもわかりませんので、その場合は自転車振興会松本会長参考人としてここで発言を求めたい、このように考えております。しかし私は御承知のようにさきの九月十日の本委員会において、松本理事長に、あなたのように積極的のない人はおやめになったらどうかと辞任を勧告いたしておりますから、私はもうあの人を相手にしない、こういう考え方ですから直接聞くのもどうかと思いますが、局長の方でわからなければ松本さんに聞いて答弁願いたいと思うわけであります。  それではまずお伺いいたしますが、この近畿ダービーに関連いたしまして、出場選手百三名中八十五名が日自振から八百長競輪として大量処分を受けました。このことについて、小出局長十分調査になりましたかどうか、お伺いいたします。
  6. 小出榮一

    小出政府委員 今お示しの朝日新聞に先般出ました甲子園競輪場における近畿ダービー事件に関しましては、実は通産省といたしましては、新聞に出ますまでは全然知らなかったのでございます。従いまして新聞に出まして私ども非常に驚きまして、振興会に対しまして調査をいたしました。そうして振興会から正式の調査報告書もとっております。われわれといたしまして調査し得る範囲のことは調査したつもりでございます。
  7. 田中武夫

    田中(武)委員 それではまずお伺いしますが、どういう理由処分をいたしたのですか。
  8. 小出榮一

    小出政府委員 日本自転車振興会が今回の処分を行ないました根拠でございまするが、これにつきましては、御承知通り日本自転車振興会自転車競技法によりましてその本来の業務といたしまして選手出場あっせんを行なうことという規定がございます。この規定に基づきまして、そのあっせんを一時停止するという処分をいたしたのでございまするが、その処分根拠日本自転車振興会において制定されておりまする規則がございます。それは登録選手褒賞及び懲戒規則という規則でございまして、その規則がそういった懲戒というような処分をいたします場合のよりどころになっておりまするので、その規則に基づきまして処分をいたしたのでございます。その処分理由といたしましては、日本自転車振興会理由としてあげておりまするところは、選手というものはあくまでも個人プレーに徹すべきものであって、どういうささいなことでありましても、選手相互間において競争に関して話し合いをし、談合するというようなことをしてはいけないという建前になっておりますので、それに違反した、こういうことが理由になっております。
  9. 田中武夫

    田中(武)委員 当時の業界紙には、U選手に高順位が与えられたのは、主としてレースの上手さ以外の何ものかの影響があったと見られておる。その業界紙がこのレース——これは最後の日の十二レースについてだと思いますが、こういうようなことを言っている。いわゆる競技の上手さ以外に何ものかの影響があった、こういうことは陰に何ものかがあったということを、すでに示唆していると思うのです。業界紙がそのようなことを見抜いておるということは、すでに何かあったということが当時わかっておったと思う。ところが二年もたった今日、あわてて処分をする、こういうような出方をしたのだが、なぜ二年間もそういうことをほうっておいたのか、そういうことについて疑いを持たざるを得ないのですが、それはどういうことになっておりますか。
  10. 小出榮一

    小出政府委員 私どもも実は新聞を見まして、この事件が発生いたしましたのは昭和三十二年のことであって、それをお話通り二年以上たってあらためて処分をしたのは、どういうわけであろうかということにつきましては、田中先生同様に疑問を持ちましてその間の事情についても調査をいたしました。日本自転車振興会といたしましても、この具体的な事実の内容につきまして、これを知りましたのは相当あとのことであったようであります。そのレースが行なわれましたそのときの時点におきましては、実はそのこととについては調査をいたしていないのであります。たまたま他の事件に関連いたしまして、ある選手の話を聞いたところが、そういうようなことがあったらしいといううわさを察知いたしまして、それから調査にとりかかって、いろいろ証拠調べ等に時間がかかりまして何分にも人数が多いわけでありますので、その事実調査を、大体三段階に分けて調査を進め、そうして処分をそれぞれいたした、こういうようなことでございまして事件発生当時においては、直ちにこれをつかみ得なかったというのが実情のようでございます。
  11. 田中武夫

    田中(武)委員 おっしゃるようなことであったと思うのです。私の聞いておるところでは、ある選手を他の事件で呼んで調べた。そうすると、おれのやったことなんかはささいなことだ、そんなことを問題にするならば、これこれがあるじゃないか、こういうことから調査に入ったと聞いております。そのことに関して、日自振は選手東京へ呼ぶ、この調査のため選手東京へ呼ぶのに百万円以上の調査費をかけております。そういうようにも私聞いております。そうして調べてやった。こういうことなんですが、少なくとも自転車競技法によって、競輪実施責任は、自転車振興会施行者から委任を受けて持っております。従って、そのときにはとにもかくにも監督者がおったはずです。それが何もわからないということは怠慢ではなかったか、このように思いますが、そういうような点については、振興会監督する通産省重工業局としてどのようにお考えになっておるか。また、選手を処罰した、それで事が済むと考えられないので、それを監督する側の怠慢といいますか、抜かりといいますか、こういうことについてはどのようにお考えになっておりますか。
  12. 小出榮一

    小出政府委員 日本自転車振興会は、お話通り、その本来の使命と申しまするか、業務といたしまして、選手あるいは競走の規制というようなことに関連いたしまして、これを適正に指導する責任と権限を持っておるわけでありまして、その点に関しまして、こういったかなり大量の選手関係いたしておりまするような事項に関しまして、その発見が非常におそかったということにつきましては、監督官庁といたしましても、まことに遺憾だと思っております。また、自転車振興会につきましては、先般来いろいろ御指摘になりましたような批判もございまして、私どもといたしましては、最近、特にこういった問題については厳重に戒告をいたしておりまして、振興会といたしましても、それらのことも考え合わせまして、早急に処置をとることについて、おくればせながらこういう処置をとったということであろうと思います。振興会自体の怠慢と申しまするか、非常にスローモーションであったということ、それからこれに対しまして私ども監督上必ずしも十分でなかったということについては、まことに遺憾にたえない、かように考えます。
  13. 田中武夫

    田中(武)委員 日自振としては、でき得ればほおかぶりしたい、こういう気持でほっておったのではなかろうかとも思われる節が多々あります。しかし、最近新聞その他で世論が強く起こっておるので、それに押されてやった、こういうことも考えられますが、それはまたあと機会に譲るといたしまして、この近畿ダービー施行者兵庫県であります。それからその委任を受けて実施をしたのは兵庫県の自転車振興会であります。この処分に当たって施行者である兵庫県ないし地元振興会との間にはどのような連絡をし、どのような打ち合わせをやったのか、その点についてお伺いいたします。
  14. 小出榮一

    小出政府委員 先ほど申しました今回の処分根拠になっておりまする登録選手褒賞、これはほめる方の場合でありますが、それから懲戒、この規則の運営につきましては、中央登録選手制度改善委員会というのができておりまして、ここには当然施行者代表者でありまする施行者協議会、あるいは選手代表者でありまする選手会というようなそれぞれの代表者が入って、これらの三者の合意に基づきまして調査ができております。今回の処置につきましても、処置の結果は選手に対してだけ行なわれましたけれども、当然施行者連絡をしてやったように了解いたしております。
  15. 田中武夫

    田中(武)委員 その処分に当たって、本部側といいますか、日自振と地元の側といいますか、兵庫大阪等振興会との側に意見対立があった。すなわち、地元は、大体このひっかかったのは近畿選手であったためかとは思いますが、いわゆる処分といいますか、あるいはそう強くしないでもいいというような意見もあったと私聞いておりますが、そういうような意見対立があった、こういうことも聞いているんですが、その処分決定に至るまでの内部の状態について、どのように調査せられておりますか。
  16. 小出榮一

    小出政府委員 私ども日本自転車振興会から正式に報告を徴しました報告書内容におきましては、ただいまお話しのような処分前におけるそういった施行者側その他との連絡あるいは意見交換等具体的内容については、実は報告を受けておりません。従いまして、その詳細な内容につきましては、私どもとしては、実は直接申し上げるだけの材料を持っていないわけであります。
  17. 田中武夫

    田中(武)委員 ここでやはり松本氏を呼んで聞かないとわからない問題が一つ出てきましたが、これは聞いて答弁を願いたい。  それから、ここでお伺いしたことで、まだ調査をしていないから、次の機会調査して報告するといって、去年からこちらであなたにげたを預けたまま聞いていない問題があります。たとえば、この前の川崎競輪場の売店の問題等も、調べて報告すると言われながら、そのままで今日まだ聞いていない。これは今聞こうと思っておりますが、これはただ単に調査してあと報告するんじゃ済まないのですから、十分調べておいていただきたい。  それから、ここで私の申し上げたい点は、競輪だけじゃない。ギャンブル行為には八百長がつきものである。その八百長だというのに対して処分した、その処分がまた八百長であるということを声を大にして言いたいわけです。と申しますのは、まず六月、七月、九月の三回にわたって処分をしておる。その処分内容が、六月、すなわち第一次、第二次、第三次のうち事件の少ない方、すなわち一次には優秀選手をまず処分しておる。すなわち当日の十二レースに出たような人、こういうのを処分しておる。それからだんだんと下へ行くほどおそくやっておる。それはなぜかというと、まず処分をしておいて、その処分の期限が本年十月の二十九日からだったと記憶いたしておりますが、後楽園で行なわれたあの全国ダービーですか、あれに出る資格を与えるために、言いかえるならば、それまでに処分の日限が切れて、出場資格ができるように考慮をして処分をしておるという点が一点あります。さらにもう一点は、一例をあげますれば、九月の一日に三カ月の出場停止処分をした、そしてその日付で通知をして、九月の四日——一日に処分決定通知、四日までといえば二、三日しかそこに日がないわけなんです。にかかわらず顕著なる改俊の情明らかなるがゆえに減刑ということで、三カ月の処分を一カ月に減らしておる。いかに日自振側に頭の優秀な、そしてものごとを見抜く洞察力を持つ人がありといえども、わずか二日か三日で改俊の情顕著であるというようなことがどうしてわかる。こういうようなことについて、八百長処分した処分自体八百長であると言わざるを得ないのですが、どう考えておられるのですか。
  18. 小出榮一

    小出政府委員 今回の選手処分の原因になっております事項が、いわゆる八百長に該当するかどうかということにつきましては、八百長の定義にもよりますけれども日本自転車振興会といたしましては、その懲戒処分の対象になっておりまする違反事実の程度に関する判断からいたしまして、大体三カ月くらいの出場停止処分でいいのではないかということで、当初考えたのであろうと思います。そこでその選手は、これはお話通り三回にわたって調査をし、三段階に分けて処分をいたしておりまするが、この近畿ダービーに出ました選手は、大体近畿地方におけるAクラスと申しますか、比較的優秀な選手ばかりでございますけれども、その中で特に今お話通り全国ダービーにも出られるほどのトップ・クラスの者から先に処分をしたということでございますが、その意図につきましては、今お話のように、あらかじめ十月二十九日の全国ダービーに間に合うことを計算に入れて、処分をしたかどうかということにつきましては、私どもとしてはその辺の意図については詳細承知いたしておりません。結果におきましては確かにお話通りのことになっております。  それから確かに最初三カ月ということから選手側における反省の色が非常に顕著であるということの情状を酌量いたしまして一カ月に減らしたということも事実でございますが、その判断の基準になっております反省の色顕著であるということの認識を得ますにつきまして、わずか三日間であったということにつきましては、これは見方によりますけれども、確かにあまり早過ぎるではないかという感じは免れないかと思います。私どもといたしましては、実は今回の処分全体につきましては、こういったあっせん停止というようなことにつきましては、一々事前報告を受ける建前になっていない。一応日本自転車振興会に一任したような格好になっておりますが、今回のような事件内容と申しますか、程度はそれほど深刻でなくとも、かなり広範の選手の層にまたがって起こっておりますようなことにつきましては、監督官庁に対する連絡も必ずしも十分でなかったという点については、私どもも遺憾に思っております。なおそれらの点につきましては、その辺の事情はなお引き続き十分に一つ調査をいたして処置いたしたいと考えております。
  19. 田中武夫

    田中(武)委員 局長も大体においてお認めになったような御発言であったと思うのですが、これは客観的に見てどのように弁解しょうが、まず日本ダービーに出すために早く処分をして、早く権利を与える、そういう考え方。しかもそのためには、三日や四日で改俊の情顕著であるといって、三カ月を一カ月に減刑する、こういうようなこと自体は、もうすでに処分自体八百長であると言わざるを得ない。しかもその問題になったレースは、どういうふうにして行なわれたかというと、いいですか、選手同士が賭博に使う、ばくちに使うあのさいころを振って、それで順位をきめておる。それから賞金は山分けにするという話し合いをしておる。ばくちのさいころで順位をきめて、それに従ってやるというなら、どこにあの競輪スポーツ性がありますか。丁半を争うところのさいころできめるなら同じことじゃありませんか。  しかもこれ自体日本自転車振興会が全く八百長的存在であるということを、もう一つ事実をもって明らかにいたしたいと思います。それは本年のたしか七月だったかと思いますが、NHK主催競輪存廃についての放送討論会前橋において行なわれました。そのときに日自振からは森総務部長豊田弘報課長、それから選手会からも、全部名前はわかっておりますので、必要ならあげますけれども、一応申し上げないとして数名、合わせて二千数名が会場に出ておる。私の聞くところによると森総務部長等は前日から前橋に行って泊まり込んで作戦を練ったと聞いておる。そうして先日この委員会参考人として呼びました平野、それと木村将棋の名人との討論会において、いわゆるサクラとして入って、拍手を送り、八百長質問をやっておる。その電波を通じて、一般のラジオ聴取者に対して拍手の音あるいは存続すべきであるという強い意見、こういうことを聞かす。聞いておるラジオ聴取者はだれがやっておるのか知らない。従って印象としては競輪の存続にも相当強い支持者があり、そういう意見があるというような印象を与えるための工作をやっておる。NHKがいわゆる厳正な立場から世論に訴えようとしたこのことについて、もちろんこの種の問題については、それぞれ関係者がそれに出かけることは普通であろうと思いますが、そもそも総務部長等がみずから乗り込んで、旅費、目当を与えて会場に送り込む。公正なる世論を作る放送討論会においてすら、このような事実を行なうという日自振のあり方について、全くもって言語道断と言わざるを得ないと思いますが、一体こういう手段についてはどのように考えますか。
  20. 小出榮一

    小出政府委員 ただいまのNHK主催放送討論会の際における、日本自転車振興会理事行動その他につきましては、私どもは全然関知いたしておりません。ただ放送討論会でございますので、何らかやはり討論に出るにつきましては、事前打ち合わせその他の必要があったのではないかと思いますけれども、特に世論を曲げて指導するというふうな立場における、運動の仕方というようなことがあるとするならば、これは特殊法人である日本自転車振興会としては、必ずしも適当な処置ではなかった、かように考えます。
  21. 田中武夫

    田中(武)委員 厳正なる世論を作るためのNHK放送討論会において、そのような行動をとることが少くとも特殊法人として法律によってできた、また任命及び辞任会計予算等については通産大臣の認可、監督を必要とする特殊法人において行なうということは、ちょっと許されないと思う。十分この点を調査をして報告願いたいと思います。そこでついででありますから、日自振のあり方についてここで若干触れてみたいと思います。先ほど申しましたように、私、九月十日の当委員会において松本会長に辞職を勧告いたしました。その後彼はどのように動いておるか。このことについてもお伺いいたしたいのですが、彼が当委員会において全くでたらめの発言をしておるという事実を一つ申し上げたいと思います。これは昨年の十月一日当委員会において松本会長参考人として呼びまして、私が日仏交歓競技について聞きましたときの彼の答弁であります。議事録を読み上げます。「これは文化協定ワク内においてできております。でありますから、向うの政府日本政府とが、ちゃんとはっきり話をきめてできたことであります。その委員長に私はなった。これは御承知通り四十日間十四の競輪場で実行いたすのであります」云々、このように答弁いたしております。すなわち、日仏文化協定ワク内において日本政府フランス政府とが、正式に話し合いをしてきめたのだと、昨年十月一日には答弁をいたしております。同じ問題につきまして本年の九月十日に、私が質問いたしましたときの松本会長答弁を読み上げます。「むろん日本政府フランス政府との間の問題じゃありません。絶対にそれじゃありませんが、フランス車連日本委員会との間の契約でありますから、フランス重連が実行するという責任者であります。」云々、こう言っております。さらにこの日仏交歓競技についてできるならばこの秋、もしこれがいろいろな事情でできなければ次の年、すなわち六〇年の春にでも必ずできると言っておるのです。ところがすでに秋も晩秋の候となっておる今日、五九年の秋に実施をするということは全然話題にも出ていない。来年やるとするならば、これまたできると思うのですが、これ自体何回か当委員会で私が松本会長に追及をした点にはっきりと出てくるんじゃないか。日仏交歓競技の問題なんか全くインチキである。しかもこれが文化協定云々という外交上の問題まで出ておるのに、この点についてどちらの答弁がほんとうであるのかお伺いいたしたい。もし通産省でできなければ外務省を呼んでもらいたい。
  22. 小出榮一

    小出政府委員 今の日仏交歓の自転車競争に関する計画につきましては、日本政府フランス政府との間の問題ではないということは明らかでございます。従いまして、昨年十月一日の松本参考人発言内容、実は私速記録を持っておりませんのでわかりませんが、ことしの九月十日の速記録を見ますと、日本政府フランス政府との間の問題ではありませんということを松本参考人は言っておられまして、日本政府といたしましてはその答弁通りに了解いたしております。
  23. 田中武夫

    田中(武)委員 そうですと去年の発言が間違っておったということになるわけです。こういうことをぬけぬけと委員会において答弁をして、それで済むと考えておる考え方、これが私問題だと思う。国会軽視もはなはだしい。しかも両国政府の名前を持ち出すとは言語道断である。この点について今局長は去年の議事録は知らないとおっしゃるが、ここにありますからごらんになって、責任をとってもらうようにはかっていただきたい、いかがですか。
  24. 小出榮一

    小出政府委員 昨年の十月一日の速記録につきましては、今これから拝見をいたしますが、その当時の事情等につきましては松本参考人に直接お聞きいただく方が適当かと思いますが、私どもといたしましても、その間の事情につきましては十分調査をいたしまして適当な処置をとりたい、かように思っております。
  25. 田中武夫

    田中(武)委員 私冒頭に申し上げたごとく、私個人としては一たん辞任を勧告した人は相手にしないという建前をとっておりますので、その点につきましては局長から責任を持って問いただし、責任ある処置をとってもらうことを要望いたします。さらに彼は九月十日の当委員会において、自分の運営の積極性のないことをたなに上げて、法律が不備である、このようなことを言っている。また三十二年にしました当委員会の附帯決議につきましても、いろいろと実施すべき点をしていない。具体的事実をあげろということならばあげます。あるいはまた、今日この競輪の問題について相当世論も高まっており、各新聞あげて毎日何らかの格好においてこれを取り上げている。こういう事態の中にあって、彼は競輪廃止というのは道学者や婦女子の泣き言や感傷であるというような、この程度考え方しか持っていない。だからおそらく私がこうして質問しているのも婦女子の泣き言に当たるのだと彼は冷笑しているかもしれない。このような大きな問題を起こしておりながら何ら反省の色がないということが明らかであります。たとえば近畿ダービーにおきましては六日間に四万五千人のファンを入れ、車券の売り上げ額は一億七千万円であります。その最も優秀な最後のレースにおいて、九名中八名まで処分をしなければならぬような問題が起きているにもかかわらず、世論に対して世間に対して何ら責任ある行動をとろうともせず、婦女子の泣き言であるとは何ごとですか。そういうような考え方についてどう考えますか、監督官として。
  26. 小出榮一

    小出政府委員 松本会長の国会あるいはその他における発言の、その表現なりあるいはその内容におきまして適切を欠く点があったやに聞いております。それらにつきましては、私どももその真意と申しますか、それらについては松本会長の真意を十分ただしたことがあります。そこで先般来非常に問題になっております日本自転車振興会あり方、あるいはその組織、人的構成というようなことについての批判が相当出ていることも私ども承知しておりますし、従いまして、ことしの夏以来の諸般の事件に関連いたしまして、しばしば私どもといたしましては通牒を出し、あるいは直接戒告をし、さらに十月の初めには私自身が日本自転車振興会の全部の役員、これは常勤、非常勤、あるいは顧問、それから幹部職員全部を集めまして、日自振の今後のあり方について長時間にわたって実は話をしたわけであります。その前に、松本会長とされましては一応私のところに来て、非公式ではございますけれども、その進退につきましての御相談もあったことは事実であります。私といたしましては、責任者といたしましてこれらの問題が未解決の途上において直ちにやめればそれで片づくというふうな問題ではございません。従いまして、諸般の御注意がありました点を今後改革する決意を十分持っておられるように私としては了解しておりますので、それらの実績をよく私どもとしては見守って、その上において、その実績の基礎の上に立って今後の措置等については判断をしていきたい、こういうのが現在の私どもの態度でありまして、この点につきましては、松本会長にもそのことを申し上げまして、そういう方向に努力をしてもらっていると私は了解いたしております。
  27. 田中武夫

    田中(武)委員 どのように努力したかということの具体的なことについてはあとで触れてみたいと思っております。大臣命令を出され、それについてそれぞれの要望事項をつけて懇談会を開いたという資料もこちらにありますから、そのことについてはあとでまた申し上げることにして、今の近畿ダービーの問題ですが、これは新聞の談話ですが、新聞に出ている談話ですから、どの程度本人が言ったか保証できないといえばそれまでだと思うのですが、この問題について日自振の小西理事の話は、これは「選手に悪意はなかったし、無邪気にやったことだと思う。金も大して動いていない。車券とのつながりもない。」こういうような意見を発表いたしております。それから車両課長の話ですが、若林課長がそう言ったことかどうか知らぬが、ここにこう出ている。「選手がみんなできれいにやろうという申し合わせをやっただけのことで、とくに車券にからむ問題はない。ふつうなら不問に付してもいいようなことだ」こういう意見を述べておる。八十五名の大量処分をし、近畿ダービーにおいてこのような問題を起こしておる、それに対する考え方が、今申し上げたように、その実施責任を持つ日自振の理事の話、それを監督する課長のこの言、はなはだもって私不可解に思います。車券に関係があるのかないのか、そのようなこと並びに法律的な問題についてはあとから申し上げます。そういうことを言われたのかどうか、お伺いいたします。
  28. 小出榮一

    小出政府委員 新聞に出ました小西理事の談話、それから若林課長の談話につきましては、小西理事発言内容につきましては私直接具体的には聞いておりませんが、若林君——ここに本人がおりますので、あるいは直接お答えした方がよいかと思いますけれども、若林君に聞いたところでは、新聞にあるような表現においてしゃべったわけではなさそうでございます。おそらく今回の事件は、その処分内容選手の配分のあっせん停止というふうなことでありまして、その事柄自体が、いわゆる直接の八百長と申しますか、車券と結びついた直接的な八百長事件ではなくて、選手同士の間において、御承知のように近畿ダービーというのは割合に優秀な、大体技能的にも粒のそろった選手が非常に激しい競争をするという場面であって、相当強引なテクニックによりまして、けが人も出るかもしれないというふうな強烈なレースが予想されておったのでありますが、それらの点についてはお互いにあまり強引な押し合いと申しますか、そういうことをしないでやろうではないかというような話し合いをしたのだ、こういうふうに私どもといたしましては調査報告を受けておりまして、その話し合い内容程度ということについて非常に重大な話し合いではない、こういう趣旨をあるいは非常にまずい表現で新聞方面にしゃべったのではないか、かように考えております。
  29. 田中武夫

    田中(武)委員 その言葉のニュアンスについては、とかく申し上げないことにしましょう。だがしかし車券に関係がない、こういうことが言えますか。少くとも局長が今言われたようレあまり激しいせり合いをやらずに適当にやろうや、この程度だとしてもちろん、またさいころで順位をきめる、車券に関係がない、といったって、一、二、三と順位を話し合っておれば、それに投票した投票人といいますか、車券を買った人の実益はどうなるのです。車券に関係がないとは言えないでしょう。
  30. 小出榮一

    小出政府委員 私が申し上げましたのは、車券と直接結びついていないということでございまして、もちろんレースの結果によりまして、車券を買った人がAならAという選手が優勝するであろうと思って買ったものが、実際は、さいころでやったかどうか知りませんが、ある程度話し合いによって、その本来の実力通りの結果にならなかったということでありますれば、それは結果においては車券を買った人に関係が出てくるわけであります。ただ、私が申し上げましたのは、普通の、本来の意味における八百長というのは、特定の車券を買った人を直接的に裏で話し合いをして、そうして工作をするというのが直接車券に影響がある、こういう意味で私は申し上げたのでありまして、確かにお話通り結果においては車券を買った人全般に影響があったことは事実でございます。
  31. 田中武夫

    田中(武)委員 選手を脅迫し、あるいは金品を与えて、そして穴をねらうといいますか、何かそこへばっとたくさんの車券を買ってやる、これも八百長でしょう。これだけが本来の八百長じゃないと思う。競技自体に談合があれば、これはどういう場合においても八百長であると思う。しかもそのことにすでに相当の車券を買っておる。それならこれに関係がないとは絶対いわれない。詐欺行為である。少なくとも車券を買う人は、勝負の世界は死にもの狂いである、選手がほんとうに力一ぱい、命を賭してでも戦うであろうと予想してやっておるにかかわらず、そうやるならば、もうこれは明らかに詐欺行為である、こう言わざるを得ないと思います。同時にまたこのレースが談合によるものであるならば、それがとの程度であろうともともかく談合である。これ以上はレースは存在しないと申すべきである。法律的にはレースが存在しなければ、その全額ぱ払い戻すべきである、こう考える。どうですか
  32. 小出榮一

    小出政府委員 今回の近畿の場合における話し合い内容でございますが、私ども調査報告を受けております範囲内におきましては、先ほどお誰がありましたような、あらかじめさいころを振って順位をきめておくというような話し合いではなかったようであります。御承知のように競輪レースは、それぞれコースがセパレートされたコースではなくて、結局同じ曲線上を争って先に出るということでありまして、近畿ダービーの場合におきましては、大体近静各県の平素からお互いに顔なじみの友だち同士の選手が大部分である。それが非常に感情的になって、強引な、事故を起こしてもかまわないというふうなレースになっては、非常に危険でもあるというようなことで、その程度は、まあ一つあまりそういう強引なことをしないでやろうではないかという程度話し合いであったというふうに聞いております。従いましてレースそのものが無効であるとかいうような程度のものではない、かうに承知いたしております。
  33. 田中武夫

    田中(武)委員 少なくとも個人々々が必死となって競争する、これが建前だと思う。スポーツだと思う。それに車券を投じた。ところが、どのようにいわれる程度であったとせよ、すでにそこに談合があったとするならば、これはインチキである。従ってほんとうの意味におけるレース、すなわち競技は存在しない。自転車競技法による払い戻しをなすべきである、こういういうに私考えます。たとえばこれは実際問題としては、当らなかったらその場で破って捨ててしまっておられるので、証拠がない。しかしたまたまそのときのレースの券を持っておる人がおって、探せばあるかもしれない。その人がそれを証拠品として無効の訴執を起し、全額払い戻せという訴訟をした場合は、これは局長答弁の限りでないかもわからぬが、私は民事訴訟沖上訴訟は成立すると考えておるのですが、法律的な見解はどうですか。その実際の証拠があるとかないとかは別です。しかし純法律論としては払い戻し請求権は成立する、このように考えますが、どうですか。
  34. 小出榮一

    小出政府委員 今回の事件内容は、先ほどお答えいたしましたような私どもの解釈ではそういったことにはならないと思いますけれども、しかし実際に車券を買った人が、何らかの証拠物件を持ってそういうような提訴をするということはもちろん自由であろうと思いますし、またその結果につきましては、これは私どもの行政府でない別個のところにおいて決定さるべきものである、かように考えます。
  35. 田中武夫

    田中(武)委員 民事問題については私はそのように理解しておる。しかしそれは実際にその券を持っておる人が訴訟を起こさねばならぬ問題ですが、警察庁の方にお尋ねします。この問題が明らかにせられたときに、たしか十一月四日だったと思いますが、兵庫県警察本部ではこの問題の捜査に入っておる。相当捜査は進んでおると思うのですが、捜査段階においてすべてを明らかにせよと私申しませんけれども、少なくとも警察庁の方でどの程度報告なり情報をとっておられるか一つ伺いたい。
  36. 町田充

    ○町田説明員 お尋ねの点でございますが、十一月の二日に朝日新聞にこの関係事件の記事が掲載されましてさっそく県警察本部の捜査課の方で、事件内容調査いたしておるのでございますが、現在までのところ、十一月の四日、九日、十二日、十三日、以上四日間にわたりまして、それぞれ地元自転車振興会関係者、あるいは県内におります処分を受けました選手、それから行政処分をいたしました日本自転車振興会関係者、そういう方々の出頭を求めまして、取り調べを行なっております。なお、現在捜査の担当者が二名東京に参りまして、日本自転車振興会について事情を聴取しておる、こういう状況でございます。  ただいままでの調査の結果判明いたしました事実は、大体通産省の方からお話がありました通りの状況でございまして選手間で一つきれいに走ろうじゃないかというふうなこと、それからだれが先頭に立って走るかということをきめようじゃないかというふうな程度のことを話し合ったという状況でございます。いろいろこういう話し合いが、自転車競技法で言うところの談合になり、あるいは不正な方法で競技をしたということになるかどうかという点につきましては、過去において類似のケースもございます。それについて裁判所の判例がすでに出ておるのもございます。そういうものを勘案しながら、事実の究明に努めるとともに、今後の捜査方針、そういうものをきめて参りたい、かように考えておる状況でございます。
  37. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、今の御答弁では、刑事問題にはならないというようなことまでも言い切らないようなことですが、どうも問題にもならぬというような点にも考えられるのですが、刑事問題にならぬという見解ですか。それからもし刑事問題になるなら、起訴者は予定は何人ぐらい出るか。
  38. 町田充

    ○町田説明員 刑事問題になるかならぬかの点でございますが、こういう事例が過去においてあると思うのでございます。それは九州のある地で行なわれたレースでございますが、選手同士の間でだれがトップになるかをきめようじゃないかということで話し合いをした、こういう事例に対して、それは不正談合であるということで起訴されたのでございますが、第一審では、これもやはり自転車競技法規定をしておる不正談合に該当するということで、有罪の判決を受けたのでありますが、第二審に参りまして、単にトップにだれがなるかということを話し合っただけでは、必ずしも自転車競技法にいう不正談合には該当しないんじゃないか。と申しますのは、その当時の判決、ここに持って参っておりますので、御紹介いたしますが、要するにその……。
  39. 田中武夫

    田中(武)委員 それは判例集の番号だけ言うてもらえばよろしい。そうしたら調べますから。
  40. 町田充

    ○町田説明員 福岡高等裁判所の判決でございますが、ことしの九月二十五日の判決でございます。
  41. 田中武夫

    田中(武)委員 それは無罪になっておるんですね。
  42. 町田充

    ○町田説明員 これで無罪になっております。理由は、簡単に申し上げますと、要するにだれがトップになるかということをきめることは、大体競輪というものの競技の施行上、一般慣行的に行なわれておると認められておる事柄であって、それを話し合ったという程度では不正談合にはならない。つまり、特定のだれを入着せしめるかというところまで話し合いが及ばなければ、ちょっと有罪とするには無理なのではなかろうか、こういう趣旨の判決のように思われます。そういうこともございますので、はたして今度の事件話し合いがどの程度のことまで及んでおるのか、この辺の事実をしっかり究明してみないことには、何とも結論を出しかねる、こういうことでございます。
  43. 田中武夫

    田中(武)委員 この問題につきましては、いろいろと疑義があります。だれがトップになるかということは、トップになる者は必ずそれは入賞しないということを物語るのです。まあこれが福岡高裁がどのような見解からやったのか、また別に調べて他の機会に譲りたいと思います。私が言いたいのは、そういうことではなく、先ほど申し上げましたように、四万五千人の観衆を入れ、一億七千万円という車券の売り上げがあったこの大きなダービーに対して、最終的にそのような問題があったということは、公益上許しがたい。そういうような点から、ぜひ警察庁といたしましても、捜査官として勇気を持って一つやってもらいたい、こういうことを申し上げて、あとに回します。  大臣が見えましたから大臣にお尋ねいたします。通産大臣、お聞きのように先ほどから、あなたが来られるのを待ちながら、競輪の問題を重工業局長その他に伺っておったわけなんです。大臣が就任せられまして当委員会へ初めて出られました本年六月八日、この日に私は競輪の問題を大臣質問いたしました。それからその後何回か、参議院においても質問があったようであります。それに対して大臣は、私の六月八日の質問に対しては、まだ——そのとき私が申し上げましたのは、通常国会にはこの自転車競技法の改正を出さなければならぬ。そのときまでには腹をきめなければいかぬ、こういうことを申し上げたのに対して、半年ほどあるからまあゆっくり考える、こういうことであった。先日十一月五日の参議院の委員会においては、だんだん減らしていくといったような意味の答弁があったようにも伺っております。そこで、半年あると言ってから、もういよいよ通常国会にその法案を出すという時期が近づいておるわけですが、いろいろと今から——今さら競輪の社会悪とかその八百長性とかいうようなことを大臣に申し上げなくともいいと思います。世論はどのように動いておるかということは御承知通りでありますので、大臣一体競輪についてどう考えておられるか、もう一度あらためてお伺いいたします。
  44. 池田勇人

    ○池田国務大臣 競輪につきましては、先ほどお話のように、六月に就任のとき田中委員に申し上げた通りでございます。その後いろいろ自分としても考えておりまするが、お約束の通り、通常国会には、この財政関係のこともございますし、ぜひ提案いたしたいと思っておるのであります。御承知競輪審議会というものがございますので、早急に私は開きまして、この審議会の方々の意見一つ聞いてみようという段階に至っております。
  45. 田中武夫

    田中(武)委員 なるほど自転車競技法第十七条でしたかにその競輪審議会の規定はあります。これは通産大臣の諮問機関としてですね。これに諮ってきめたい、こういうことを言っておられるのですが、これ自体は何といいますか、競輪実施していくということについての運営についての諮問機関だと思うのです。私が申し上げておるのはそのことでなく、もう腹をきめて競輪にどういう処置をとるのか、こういうことをもうきめられる時期ではなかろうかと申し上げておるのです。それについて大臣はどのように考えておられるか。少なくとも諮問機関でありますから、大臣は、その諮問機関にかけるにいたしましても、その大臣のいわゆる問いがなくちゃいかぬわけです。その間いを大臣は、もうやめるというようにしてそれに対する諮問をかけられるのか、そういうことなんですが、どういう諮問をかけられるのですか。
  46. 池田勇人

    ○池田国務大臣 お話通り、運営その他についての諮問機関でございまするが、競輪あり方につきまして私が最後の決意をいたします場合におきましても、こういう機関の意見を聞いた方がいいと思います。  しこうして今審議会にどういう案で審議を願うかということは、まだきめておりません。これから省議その他に諮りまして、案をきめる考えであります。
  47. 田中武夫

    田中(武)委員 ともかくわれわれは、今度の通産大臣は相当やり手だと期待しておるのですよ。その通産大臣が、まだそういうことを言っておったのじゃどうかと思うのですね。今からよう相談してと言って、もうすでに通産省においては、通常国会に自転車競技法の改正法、これを用意しておられるのでしょう。聞くところによれば、いわゆる振興費を出すという、あの付則だけの改正を考えておられる、このようにも考えておりますので、この点についても伺いたいと思うのですが、ここで申し上げたいことは、今日競輪存廃についていろいろ論議がある。これを置けという人の意見の中で一番強く言われるのは、やはり地方財政の問題です。それから自転車工業及び機械工業に対する振興費の問題だと思うのです。それから人間性としてのギャンブル性の問題等々が存在理由として出されている。ところが今日何といっても一番大きな存在を主張する立場に立つ人のよりどころは、地方財政への寄与ということだと思うのです。ところが今度この改正をやらなければ、機械工業並びに自転車工業に対する振興費、これは大体両方で十億程度だと思いますが、これを出すことができない。そうすると、もしそれが通らなければ、競輪の存在価値は、地方財政が一番大きなウエートにもなる。そうすると通産省競輪監督するところの監督官庁としての関係が薄くなる。そういうようなところから世論にはそっぽを向いて、本質的なことを考えずにただ単に付則の改正だけを考えておると聞いております。もしそうであるとするならば、通産省競輪との腐れ縁をつなぐために付則の改正だけを出してくる。そうして本質的な問題にほおかぶりということ、このようにしか理解できないのですが、大臣はどのようにお考えになりますか。
  48. 池田勇人

    ○池田国務大臣 競輪あり方、今お話の存続問題につきまして、地方財政の問題あるいは機械工業振興費の問題、そうしてまたこのネセサリー・イーブル、社会悪として仕方がないのだ、こうおあげになりましたが、その点で、十数万にも及ぶ競輪関係者の措置を私は一番考えておるのであります。従っていろいろの点を考えまして、先ほど申し上げましたように結論には至っておりませんが、今お話通産省で付則だけを変えることにしているということは私聞いておりません。私のところへまだ上がってきていないのであります。私はただいままでお答え申し上げましたようないろいろな点を考えまして、ことに、正確な数字ではございませんが、十八万人にも及ぶというこの競輪関係者のことも考えながら、一つできるだけよい案をひねり出そう、こういう気持で検討いたしておるのであります。
  49. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣がおっしゃったように、これが廃止というような意見になると、今言ったような三つ、四つの存在理由が出てくるわけです。ところがこれに対して何ら関係者なり監督官庁が手を打っていないわけです。そしてそのことをもって存在の理由にしようというのが今の行き方なんです。たとえば昭和三十二年の四月ですか、第二十六国会において、前に自転車競技法の一部改正法を通した場合に、当委員会において附帯決議をいたしております。その附帯決議の一つに、社会福祉と公共施設のために車券の売り上げの百分の一に相当する金額を出すように、こういう決議をいたしております。ところが実際やりましたその後の実施の状況を見ていると、この決議とは違った方法で行なわれている。すなわち競輪自粛ということで四日ということを建前にしている。その四日プラス二日の日を持っていって、その二日の分の売上金の中からこういうようなことをやろうという方法をとっておる。そうするならば、これは競輪自粛ということの精神に反する行き方であって、四日で自粛するというものに、こういう決議をつけたから、その四日の中の百分の一を出すと、こういうことになっておるのに、それに二日足してこの二日の売上高をもってそれに充てるということなら、自粛の精神に反した行動をとっている、あるいはまた同じ決議におきまして、競輪選手等の優遇をはかるように、こういう決議をいたしております。たとえば、競輪選手等の退職金、これは雇用関係が存在するかどうか、法律的雇用関係という契約からいえば、退職金ということについては法律上疑問があるかもわからぬ。しかしながら現実において、ともかく退職していく場合の退職金に相当すべきものを売上金の中から積み立てるように、こういうようなことを申している、ところが二年の間に何らこれが措置をとられていない、そうしておいて、いざ問題が上がってくると、いや六千何名の競輪選手がこうだというが、今まで一つもそういった措置をやらないのです。やれと言ってもやっていない。また地方財政につきましてもそうです。やらずにおって、いざ問題になったときに、こういうのが困りますから、こういうのが困りますからと言っておるのが実情なんです。附帯決議の権威を一体通産省はどのように考えているのか。少くとも私をして言わしめるならば、国会軽視といわざるを得ないと考えておりますが、いかがですか。
  50. 小出榮一

    小出政府委員 二十六国会におきまするお示しの附帯決議におきましては、御指摘の通り車券売上高の百分の一に相当する金額を、社会福祉と公共施設のために支出するということが決議されておるわけであります。参議院におきましても、百分の一という御指摘はなかったわけでありますけれども、やはりスポーツ振興あるいは社会福祉のための特別競輪を行なって、その特別競輪の上がりというものを、そういった社会福祉なりスポーツ振興に振り当てるべきであるという、こういう御趣旨の、両院それぞれ違ったニュアンスでございますけれども、附帯決議がございました。特別競輪につきましては、それぞれ通産省におきまして一定の基準を定めまして、その上がりを配分するためには、また別に特別競輪の資金の使途の配分審査委員会東京都知事を委員長として設けて実施していることは御承知通りであります。ただ具体的に衆議院の方におきましてお示しになりました、百分の一ということに該当していないという点につきましては、お話通りその上がりました結果におきましては、食い違いができていることは事実でありまするけれども、実際におきましては、それらの運営については十分一つ国会の方におきましても御認識をいただいて、従来から特別競輪実施しておるわけでございます。ただ具体的な支出金額というものが、衆議院の附帯決議に反しておるではないかという点につきましては、結果においてはそういうことになっておりまするけれども、しかしこれは私どもといたしましては、衆参両院の附帯決議を総合的に考えまして、その趣旨に沿って運営しておるつもりでございますが、なお十分でない点につきましては、今後改善すべき点は改善していきたいと思います。  それから先ほど大臣がお答えになりました法律改正の問題につきましては、私ども事務当局といたしましても、まだ今日のところ成案を得ておりません。これは新聞等には、付則の改正だけでお茶をにごすのではないかというような趣旨の記事も出ておりますけれども、私どもは全然そういうことは考えておりません。これだけ批判の対象になっております競輪全般のあり方をどうするかということにつきまして、通産大臣の諮問機関でありまして、競輪に関する諸般の重要事項を全部審議する建前になっておりますので、競輪審議会の意見も十分聞いてその上で成案を得たいと考えております。退職金の問題につきましては、御指摘の通り非常に長期間にわたりまして確立された制度が、そのままただいま指摘された通り実際に実施されていないという点につきましては、私どもは非常に遺憾に考えまして、再三日本自転車振興会に、この制度の確立を勧告して参ったのであります。振興会におきましてもその準備に入っておりますので、選手につきましては、御承知通りこれは普通の雇用関係でなくて、選手という独立的な営業者であるという関係もありまして通常の雇用関係における退職金制度がそのまま適用できないというような点もあったために、かなり研究がおくれたかと思いますが、しかし非常に研究がおくれているということは事実であります。私どもといたしましては、特にその点を強く指摘いたしまして早急に成案を作るように今審議いたしておる次第でございます。
  51. 田中武夫

    田中(武)委員 付帯決議と実際の運営についてはまだまだ疑問がありますが、大臣の時間の関係があるので、大臣に対する質問を集中いたします。大臣新聞とかその他で御承知と思いますが、この近畿ダービー問題を契機として、私の出身ですが、兵庫県の阪本知事は競輪廃止を決意いたしました。そして県だけがやめても何にもならないからということで、兵庫県下の競輪を施行いたしております二十一市町村に対しても呼びかけておる。そしてきのう十六日に兵庫県の部長会議、すなわち兵庫県における閣議において、これの廃止に踏み切っております。またその阪本知事の呼びかけに呼応してとでも申しますか、全国戦災都市連盟の会長をいたしておるのが姫路市の石見市長なんですが、石見市長は、近く開催せられる予定の全国戦災都市連盟の総会か、あるいはこれが解散式になるかもわからぬというようなことも聞いておりますが、においてこのことを戦災都市連盟で決議をするように提出したい、このように言っております。それは、まず最初競輪を始めたのは戦災都市であった、従ってその戦災都市連盟においてそのことを一応真剣に討議したい、このように言っておるわけなんです。そうするならば、すでに機運は上がってきておる。地方自治体の財政上の問題だ、こういうようなことを言っておるが、もう多くの県あるいは自治体においてそのことを言っておるし、きょうも新聞を見ましたら、山口県の小野田市ですか、どこかも競輪の廃止をきめた、こういうようなことも言っております。しかもこの近畿ダービー問題以来、私は三つ新聞紙をとつておりますが、その三つの新聞競輪に関する記事をちょっと抜き出したたけで、私の目にかかっただけでもこれだけ出ておるのです。まだまだあるのです。大新聞は毎日のように、なぜ脱輪を存在さすのか、廃止すべき時期はもうすでにきた、こういうように言っておるわけです。また地方自治体においてもそのように動いております。この際大臣は英断をもって、ことに大切らしい大臣としての英断をもって決意をしてもらう必要があると思いますか、もう一度決意をお伺いいたします。
  52. 池田勇人

    ○池田国務大臣 けさの東京の二、三の新聞にいろいろ出ております。阪本兵庫県知事の所感も拝見いたしました。いろいろ考えまして、先ほどお話し申し上げたように今検討をいたしておるのであります。いずれ御審議願うことと思います。いましばらく御猶予願いたいと思います。
  53. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで私大臣に、一つ要望というか相談したいのですが、先ほど来私申し上げておるように、地方財政の問題あるいは直炭それに関係しておる選手その他の従業員の転失業の問題、あるいは自転車工業会及び機械工業会に対する振興費の問題、いろいろあると思います。それに対してわれわれは、いつまでも惰性で流れておれば、いつがきても、それが問題になったときには、いやもうこういう状態だから、これでやめられないのだということになろうと思うのです。私も今直ちに、あすからやめろ、こういうことなら困難があることは承知いたしております。そこで、大臣先ほど十七条の審議会と言われましたが、これを強化することも一つ考え方であろうと思いますが、私は別に、まずこの運営じゃなしに、もう廃止という一つの目標を立てて、そのために起こってくるところのいろいろの経過の措置、たとえば地方財政につきましても、松戸、平塚のごとく市財政収入の二〇%ないし二五%もギャンブルに依存しておるところもある。しかし大体において東京都のごときは。・九%、兵庫県が一・一%程度ではないかと思う。そういうような財政上の措置のカバーをどうするか、あるいはやめていくべき人の転業の問題あるいは失業の問題をどう考えるか、あるいは機械工業の関係をどう考えていくか、こういうようなこともやめるという目標の上に立ってそういう経過措置を考えていく、こういうような審議会というか、調査会というか、政府は審議会に、調査会をよくお作りになりますが、この際そういうものを一つお作りになる気持はないか、一つ検討してもらいたい。その構成人員は厳正中立的な立場の人、学識経験者あるいはこれに関係ある選手代表まで入れてもいいんじゃないかとも思います。あるいは国会議員を入れてもいいのではないかと思いますが、その構成についてはいろいろ見方もあろうと思いますが、ともかくやめるということをまず腹に入れて、やめるための経過措置をどうするか、それを二年なら二年の間に、一つそういうことを作っておいてからやめるのだ、こういうような審議会を設置する、こういうようなことを真剣に考えてもらいたい、こういうことを相談するといいますか、進言するといいますか、申し上げたいと思います。いかがでございましょうか。
  54. 池田勇人

    ○池田国務大臣 御意見まことにごもっともな点が多いのでございます。私もそういうことを考えたこともございます。ただ問題は通産省だけの所管でないのでございます。競輪あるいはボート・レース、オート・レース、こういうふうな運輸省の所管もございますし、ほかの大臣意見も聞かなければなりませんので、まだその企てを実現するところまで行っておりませんが、御意見として私は拝聴いたしておきます。
  55. 田中武夫

    田中(武)委員 もちろんオート・レース、ボート・レースあるいは競馬、こういった公営ギャンブル、これについて私は競輪を言っておるのですが、競輪だけ何で言うのかという意見もあるようですが、競輪が代表的だから言っておる。しかも商工委員会で取り扱うのはこればかりだから言っておる。だからその考え方は一貫しておるわけです。だから農林省あるいは運輸省の関係等は、大臣はそれは閣議その他でお諮りになっていいと思う。  それからもう一つ申し上げておきたいことは、もちろん私は競輪だけでない、そういったオート・レース、ボート・レースこういうものも含めてこれを一緒のもので持つか、あるいは別個のもので持つか、これは検討する必要があろうと思います。しかしそういったものを含めて考えていく、こういうことを考えております。そこでもし政府においてそういうお考えを固めていただかなければわれわれ議員立法として競輪廃止法を出さなければならぬのじゃないか、このようにすら私は決意をいたしております。だからそういうことになる前に、一つ大臣はここで大きく考えていただいて、そういった観点に立っての審議会を設ける、このように考えていただきたい。ここで大臣に特に私声を大にして申し上げておきたいことは、先ほど来申し上げておりますように、来たるべき通常国会において自転車競技法の改正法をただ付則改正というような安易な考え方で出してこられるならば、そうしてまた今日の競輪の運営をそのままにして、自転車振興会の人事をそのままにしてそういうような法律だけを出してくるならば、その法律は当委員会においてスムーズに審議が進まないということだけは、声を大にして申し上げておきます。十分考えていただきたいと思います。私は紳士ですから十二時という約束ですから、もっとありますがやめたいと思います。ただあとから小林委員から災害地の競輪について、ちょっと大臣の所見を聞きたい、こういうことですから三分か五分だけお願いいたします。
  56. 中村幸八

    中村委員長 小林正美君。
  57. 小林正美

    ○小林(正)委員 通産大臣にお尋ねいたしたいと思いますが、ただいま田中委員からも競輪問題に対する根本的な考え方について、われわれ社会党の見解を申し述べたと考えますが、災害地におきましてはこの際競輪をやめようという声が相当大きくなっておることは、大臣も十分御承知通りだと思います。ところが先般来重工業局長などに対してもいろいろこの点について私は当局の考え方をただしたのでありますけれども、こうした問題に対する通産省考え方が、ほんとうに競輪というものに対する真剣な検討を行なっておらない、こういうような感じが非常に強くいたしまして私は残念に感じております。地元の婦人会や各民主団体が、この際声を大にして競輪を廃止すべきだということで、すでに他の府県におきましても、競輪廃止を決定した所さえあるということを聞いております。この際一つ大臣はほんとうに大所高所の立場に立って、この災害地の競輪の問題をどう考えるか、御答弁をいただきたいと思います。
  58. 池田勇人

    ○池田国務大臣 先般の災害対策委員会におきまして、小林委員より四日市の事情を聞いたのでございます。その後事務当局に実情を調査するように言っておきましたが、何分にも法律的に通産大臣がこれを許さないというわけには、今の場合いかぬようでございます。従ってそういう多数の強い意見があれば、自粛していただければ、私はけっこうだと思っております。今通産大臣として四日市の競輪場を認めないということは、法制上できないことに相なっておると承っております。しかし問題が問題でございますので、十分事情調査していきたいと思います。
  59. 小林正美

    ○小林(正)委員 今の通産大臣答弁は私は非常に不満足でありまして、なるほど法制上は認めないわけにはいかないという、そういうことは私は御答弁を願わなくともよく知っておるのです。ただあなたは国務大臣の一人としてこういうときに、もしも地元にそういう声があるならば、これはむしろ幸いだ、この際一つなるべくもう競輸を廃止するようにしたらどうだという工合に、むしろ監督官庁として四口市市に対して、また近鉄側に対して、そういった指導をなさるお気持はないかどうかお尋ねいたしたいと思います。
  60. 田中武夫

    田中(武)委員 それと関連してちょっと言います。小林委員から言うだろうと思ったのですが、まだあとで言うつもりだったかもしれませんが、きのうも災害小委員会でそういうことが話題になったのですが、私先ほどから申し上げているように、ともかくやめるという踏み切りをつけるときになると、今まで何もやらなかったのが、いや、こういうことが関係がある、こういうことが関係がある、こう出てくるわけです。この四日市の問題につきましても、幸か不幸か知りませんが、この伊勢湾台風によって当分使用ができないようになっておるということです。これを今修理を許すならば、やめるというときにこれだけの金をかけたのだから、こうくるわけです。そこできのうも申し上げたのですが、行政指導でもいいから、とかく根本的な問題が解決するまで、ちょっとその修理待て、こういうふうに言うべきではなかろうかと思うのです。私先ほど来申し上げておりますが、そういうことで金を入れた、あるいはそういうことで何もやれなかったから、今さしあたってやめられたら困る、こういうことはもう理由にならない。そういうように私申し上げたいのです。  そこでそういうことと関連をして、当分その災害地の競輪場の修理はちょっと待て、こういうようなことを行政指導をしていただきたい。これは小林委員からも申し上げるはずだったと思うのですが、ちょっと一緒に申し上げておきます。
  61. 池田勇人

    ○池田国務大臣 小林さんは非常に不満だとおっしゃいますが、私の気持はまだおわかりにならぬのじゃないかと思います。私はそういう声が強く大であれば、これはやめるということがいいのりじゃないかという気持を持っておるのであります。ただ通産省といたしまして、あなたの言葉を信用せぬというわけではございませんが、いろいろ議論のある問題でございますから、実情を調査いたしまして、適当な措置をとりたい、こういうことであるのであります。今聞きますと、事務当局でこの問題について名古屋通産局と話し合いをしておるそうでございますから、お答えいたさせます。
  62. 小林正美

    ○小林(正)委員 実情を御調査願っておるうちに、どんどんどんどん霞ケ浦土地株式会社が復旧工事をやっていくということになると、あとで非常に困るということは、私は実は競輪場の問題だけじゃないのです。これは重工業局長にも申し上げたのでありますけれども通産大臣も御承知通り四日市のあの霞ケ浦付近は、今四日市としては非常に重大な将来計画を持っておる。大体二百万坪あすこを埋め立てて重化学工業地帯として、あすこを工業用地として使用しょうという計画を持っておるわけです。だからきのうも四日市の市会議員が来て私に言うのには、かりに競輪場が再開されたにしても、三、四年の問題だ、そういうことを言っております。だからそういう点から勘案して、しかも私は四日市の市民感情というものも十分に計算に入れたならば、今工事をストップせいというそういう指導をあなたの方がなさらぬということは、将来に非常に大きな禍根を招くことになる。ああいう四日市のようないい港を持った、しかも便利のいいところに将来大工場が誘致されることは、これは国家的に非常に大きなプラスでありますから、そういう意味も含めてこの際調査するだけではいけません。調査するために一カ月も二カ月もかかっておると、そのうち工事は完了して何千万円金がかかった、そうなったらまた競輪場あと五年も十年も続けてやらなければならぬ。そのことが四日市の将来の工業立地の計画にいろいろ支障を来たす、そういうことになりますので、私は重ねてお尋ねをいたしますが、通産大臣一つ行政指導として、しばらくその工事を待て。もっと大所、高所からこの問題は検討しなければならぬ、こういうな指導をあなたはなさるお気持があるかどうか、大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
  63. 池田勇人

    ○池田国務大臣 先ほど申し上げたごとく、やはり市当局、あるいは一般の空気も調査する必要がございますので、今直ちに私は復旧工事をストップしろということを、ここで言明するわけには参りません。ただ重工業局長が名古屋通産局と一応話しておるそうでございます。それを申し上げてみたいと思います。
  64. 小出榮一

    小出政府委員 ただいまの大臣お話にございました点につきまして補足して御説明申し上げますが、昨日も小林先生の御質問に対しましてお答え申し上げたのでありますが、災害が起こりました直後におきまして、四日市の競輪場の施設を比較的早く復旧したいというような動きが、これは近畿日本鉄道の子会社でありますので、近鉄側においてそういううわさが出たのであります。従いまして私どもといたしましてはこれはきわめて適当でないということで、とりあえず通産局長を通じまして、施設の復旧は少なくともあと回しにしろということで、それは押えさせた。さらに昨日の御質問にも関連いたしまして、四日市の市会議員の方も実は昨日私のところにも参られましたが、これは通産大臣の申されました市当局と申しますか、競輪施行者であります四日市市自体においても意見を十分聞く必要がありますし、さらに三重県の県当局の意見も聞く必要があるということで、そういう意味において調査は進めておりますから、重ねて昨日現地の通産局長にも電話をしまして、施設の復旧工事につきましては十分一つ慎重に差し控えるようにということの指示をいたしております。ただこれは法律的には先ほど大臣お話申しましたように、直接通産省としては施設会社に対するそういう工事関係の直接的な指示は、法律的にはできませんけれども、行政指導といたしまして、ただいまのような点に関連いたしまして、あるいは復旧しても先ほど来問題になっております競輪全体のあり方についての結論いかんによりましては、これがどうなるかわからないという段階でございますので、その辺のところも十分考えあわせながら、施設者としては慎重に十分考慮してもらいたいということを指示した次第でございます。
  65. 小林正美

    ○小林(正)委員 今局長の御答弁のように、まだ関西線も近鉄も水害のために不通になっておる。その工事は近く完了して電車も通るということを聞いておりますけれども、現実にはまだ通っておらぬ。私も四日市から名古屋に出てくるのに、一々船で回ったり、あるいはバスで通ったりして、非常に困難いたしております。そういうときに四日市の市民感情をじゅうりんして、近鉄が自分のところがやらなければならぬ最も公共的な意義を持つところの鉄道の改修を、どうやらあと回しにして、そういうような競輪の再開にうき身をやつすということは、まことに私はけしからぬと思うので、あなたの方からも通産局長に対してそういう競輪場の復旧工事はしばらく遠慮した方がいいではないかというような御注意を与えられたということで、きわめて私は不十分、不満足ではありますけれども、一応きょうはこの辺で私の質問は打ち切ります。ただしこれはきわめて重大な問題でありまして、どうか一つ単なる一事務官という立場でなしに、重工業局長もこの問題を真剣に考えてほしい。いわんや通産大臣は将来の総理大臣と言われておる人なんだから、どうか一つこの際十分考えて、ほんとうに国民のしあわせのために一歩高いところから、この問題の解決に当たっていただきたい。こういうことを強く要望して私の質問を終わります。
  66. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは大臣、約束の時間が来たから解放いたしますが、その前に何回も申し上げた通りに、もうすでにやめるという機運が熟しておる、今がやめどきだ、こういうときです。先ほど小林委員も言っておりましたが、次期総理を自他ともに許しておられる通産大臣であるならば、ここで十分踏み切ってもらう、こういうことを特に——先ほど私の提案した審議会の問題ですか、ああいうこともあわせ考えて、一つ腹をきめてもらいたい。そこで御参考にちょっと申し上げますが、これはきのう出ました週刊文春ですが、これに私は八百長競輪選手であったという人の手記を含めて、競輪には八百長はつきものである、競輪とは八百長であるということが書いてある。何もこれだけがすべてではないと思いますが、参考までに読んでみます。何も文春に頼まれたわけではないのですが申し上げます。それからこういうことが書いてある。六千八百人選手がおります、そのうちでこの十年間に死んだのが六十五名、その六十五名の内訳はレース中の落車で死んだのが五十名、しかしこれはレース中に落とされて、いわゆるねらわれて死んだ者もあるということです。それから練習中の交通事故で死んだのが十名、それから自殺者が二名、行方不明が三名なんです。この自殺あるいは行方不明、これが問題なんです。これがボスとの関係等において消された、——何だったら名前まで申し上げますが、白骨死体となって現われたというようなこともあるわけなんです。そういう点も十分考えていただいて、今こそ決意していただく時期である、こういうことを再度要望申し上げまして大臣への質問を終わります。  まだ私実はこれだけ持ってきているのです。だから何ぼでもあるのですが、時間がないので、ちょっとしぼっていきたいと思うのですが、自治庁にお伺いしたいと思う。先ほど来私が申し上げておるように、兵庫県を初め各都市でも廃止したいというような議論がだいぶ出ておる。しかし一番問題は、やはり財政の問題だと思うのです。先ほど来私が申し上げているように、何もせずにほうっておいて、いざとなるとこれが大きな問題になる。こういうことではいけないので、こういうことをあわせて自治庁としては地方財政の面を検討せられる用意があるかどうか伺います。
  67. 松島五郎

    ○松島説明員 お答え申し上げます競輪、競馬の問題につきましては、自治庁といたしましても地方財政を何と申しますか充実させる見地から従来やっておったのでございますが、今日いろいろな問題が出ておりますので、逐次これを整理していくという方向で、まず団体の財政に寄与するものの少ないものから逐次廃止を勧奨していきたい、かように考えている次第であります。
  68. 田中武夫

    田中(武)委員 これもきょうの朝日の記事なんですが、その言われた通りかどうか、若干ニュアンスが違うかどうかわからぬが、山野理財課長談が出ておる。「競輪を廃止したいというのは結構だ。しかし財政再建団体として相当多額のものを競輪に依存しているところでは、それに対応して行政のあり方を計画的にやってもらわねばならぬ。健全な財政をやれる覚悟で廃止してもらいたい」こう言っておるのです。何だか受け取り方によれば、やめるというならそれは勝手にやめなさい、だがしかしお前さんのところで財政のまかなえる自信があったらやりなさいという開き直ったような態度にしか受け取れないのです。きょうは山野課長は見えておりませんから申し上げませんが、そういうことでなしに、やめたいということなら積極的に一つ勧奨していきたい、こう言っておるのですから、財政問題についても相談に乗ってやる、このくらいの熱意がほしいと思うのですが、どうですか。
  69. 松島五郎

    ○松島説明員 ただいまお尋ねの件でございますが、私どもといたしましては再建団体でありましても、その団体の意思としてやめたいという場合にはやめましても財政が成り立つように、いろいろ御相談に応じて参るようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  70. 田中武夫

    田中(武)委員 それで了承いたしますが、こういうような談話として出されますと、やめたければ勝手にやめろ、お前さんのところでそれだけ自信があるなら勝手にやれ、こういうように開き直った考え方で、これはニュアンスがちょっと違うかどうかわかりませんが、そう受け取れるのであえて申し上げたいと思うのです。今後この問題については、通常国会におきましてはおそらくや一部改正法をめぐって大論戦になろうと思います。そのときに、地方財政云々というような抜け猶は許さないという私の気持でありますので、それについては十分自治庁としては対策を立てていただきたいと要望いたしておきます。  まだまだやりたいのですが、また次に特期を見てやります。またそのうちに競輪というやつは、一月も何かしていると問題を起こして、やめようと思うとまたやらざるを得ない。まだ幾らでも残っている。これだけ実は持ってきているのですが、それはそれとして、最後に私は委員長並びに委員各位に提案をしたい。  それは先ほど来私が申し上げているように、すでに兵庫県においては廃止を決定した。またその兵庫県知事の呼びかけに応じて石見姫路市長が全国戦災都市連盟の総会にその問題を議案として提出したい、このように言っております。そこで、具体的には次の理事会において相談するということになろうと思いますが、ここで当委員会委員の諸君にあるいは委員長にお願いをし、提案をしたいことは、もうこういう時期が来て、すでに廃止を決定し、きょうの新聞におきましては何か手記も毎日新聞にいろいろ出しております阪本兵庫県知事、それからすでに廃止に踏み切って廃止をしているところの京都の高山市長、それからその要請に応じて戦災都市連盟に提案をしたいと決意した石見市長、これらの人に参考人として出てきていただいて、いろいろとやめるという決意をなされたその決意のほど、並びにそれに対する財政的裏づけについてはどのようなことを考えておられるか、いろいろ所見を伺って検討してみたいと考えております。さらに必要であるならば、今度は逆に私はやめないと言っている滋賀県知事あるいは京都の蜷川知事、こういう人も与党あるいは委員長で必要とするならば反対討論者として呼んでもいいと思っております。それからさらに、これは時期が別の方がいいと思うのですが、これも参考人として一応選手代表の意見も聞いてみたい。やめるについては選手はどうなるか、この問題を選手はどう考えているか、こういうことも一応参考に聞きたい。と申しますのは、八百長の存在は、選手がいわゆるA級第一班、第二班というところにいるときははなやかである。しかし一たん転落し、それから年がいくあるいは十五レース連続して賞に入らなければ取り消される、こういうようなところから、彼らの前途たるや暗たんたるものがあろうと思います。一たびけがでもすれば一生台なしになる、こういうようなことから、かせげるときにかせいでおけということが八百長に通ずる、このようにも考えます。私が選手の待遇改善及びそれの退職後の問題、退職金の問題等も強く要望しているのはそこにあります。そういうこともあわせ聞きたいと思いますので、選手代表も、これは知事とは日は別の力がいいかとも考えますが、これだけを競輪の問題についての参考人として呼んでいただくよう委員長並びに当委員会の諸君に提案をいたしまして終わります。
  71. 中村幸八

    中村委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  72. 中村幸八

    中村委員長 速記を始めて下さい。  ただいまの田中君の申し出については、次の理事会においてお諮りいたします。     —————————————
  73. 中村幸八

    中村委員長 小林正美君。
  74. 小林正美

    ○小林(正)委員 私は、中小企業金融の問題について、ごく簡単にお尋ねをいたしたいと思います。中小企業金融公庫の理事の方御答弁を願いたいと思います。  実は、ただいま災害地対策特別委員会におきまして、中小企業金融の問題について非常にわれわれとしては重点を指向して、この問題を掘り下げて討論をいたしておりますが、特に中小企業金融公庫のあり方につきましては、私どもきわめて大きな関心を持っております。そこで、二、三お尋ねをいたしたいと思うのでありますが、中小企業者が実際に中小企業金融公庫の窓口に参りまして、金を貸してほしいという申し入れをいたしますと、大ていの場合断わられる。中小企業金融公庫でなくて、これは代理店の方に行って一つ御相談をしていただきたい、こういうような答弁を受けることがしばしばあるのでございますが、その点について中小企業金融公庫としては、一体どのように出先機関を指導しておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  75. 岡一雄

    ○岡説明員 中小企業金融公庫の岡でございます。ただいまお尋ねの点でございますが、私どもといたしましては、窓口においでになりましたお客様につきましては、努めて御親切にそのお話を聞いて差し上げて、いろいろ御指導申し上げるように考えております。ときに代理店の方においでになってはいかがでございますかというようなことを申し上げる場合もあろうかと思いますが、それは代理店との取引関係その他を考えまして、むしろお借り入れが非常にお急ぎになっておるというような場合に、そちらの方に行って御相談願った方が金融が早くつくというようなことを考えて、まあそういうふうに申し上げる場合もあろうかと思いますけれども、極力私どもの方で取り上げることができるものは取り上げるように指導いたしております。何かその点について、そういった事例でもございましたのでしょうか。
  76. 小林正美

    ○小林(正)委員 事例はたくさん持っておりますが、その前にこちらからあなたに質問したいことは、大体中小企業金融公庫がどういう一つの基準によって、これは代理店貸しである、これは直接貸しであるということを、けじめをつけておられるのか、そのような別に基準はないとおっしゃるのか、まずその点をはっきり示してもらいたい。
  77. 岡一雄

    ○岡説明員 代理貸しと直貸しとの間には、特に大きな取り扱いの差別は設けておりませんが、ただ私どもの方には特別小口貸付制度という、これは代理貸しについてだけ設けておる制度ですけれども、百万円以下の小口につきましては、そういう制度を設けておりますので、もし金額が百万円以下の小さなお金の場合には、その特別小口貸付制度を御利用いただく方が御便利な場合があろうかと思います。これはたとえば担保の点についても、一般の場合よりも条件を緩和して考えますとか、あるいは期限等のこと、あるいは使途でございますね、それ等についても、一般の場合よりも有利に、いろいろな規制をはずしまして、百万円以下の小口貸付については考えておりますので、そういった際には多少、直接貸付と代理貸付との間に取り扱いの差が出て参っておるのではないかと思います。
  78. 小林正美

    ○小林(正)委員 そうすると、百万円以下については代理店貸しをやっておるのであって、百万円以下は直接貸しはしないという建前になっておるのでしょうか。
  79. 岡一雄

    ○岡説明員 いや、そういうことじゃございません。直接貸付でもそういう小口の扱いを取り上げておるのがございます。代理貸付でも百万円以下のものでも、特別小口貸付制度を利用しないでお取り扱いしているという場合もございます。ただ、特別の制度として、特別小口貸付制度といったようなものを設けて、債務者の御便宜をおはかりしておるわけです。
  80. 小林正美

    ○小林(正)委員 私が申し上げたいのは、代理店貸しを主としてあなたの方の末端機関では進めておられる、そういうことから、結局、代理店に参りますと、やはりあんまりいい顔をして貸してくれない。ということは、御承知通り、代理店貸しをした場合は、その店が従来は八制の負担をしなければならぬからであります。今度それが六割ということになるのでございますけれども、そのような実際に扱う代理店において最後の責任を持たなければならぬというところに、私は問題があると思うのでありまして、もう少し将来は、そういう点もありますから、直接貸しを積極的にやってもらいたい。私はこの点はあらためて通産大臣にも言うつもりでおります。通産大臣もそういうような意向であるごとく聞いておりますけれども、せっかく政府がこういう公の金を使って、こうした中小企業金融公庫を作った以上は、代理店業務を行なって、代理店業者にその危険の六割を負担さすというようなことでは、ほんとうに財政投融資を行なう意義が私は非常に少なくなるのじゃないか、こういう感じを強く持っておりますが、あなたは将来とも代理店貸しをふやしていきたいと思われるのか、それともやはり代理店貸しというものはやむを得ずやっておるのであって、本来ならば直接貸しが望ましい、こう考えられるか、あなたの見解を承りたいと思います。
  81. 岡一雄

    ○岡説明員 その点につきましては公庫といたしましても、直接貸付を今後積極的に伸ばしていくべきであるという方針によりまして従来やっております。従いまして、年々私どもの直接貸付は伸びております。三十五年度におきましても——本年度は百億を目標にいたしておりますが、これは百億をはるかに突破するだろうと思いますけれども、明年度におきましても、一応百億に対します五割増の百五十億を直貸しの目標として、伸ばして参りたい、こういうふうに考えておりますので、基本的には、もし私どもの方の人員その他の事務処理の態勢が整えば、直貸しを極力伸ばしていくべきではないかと私ども考えております。
  82. 小林正美

    ○小林(正)委員 これはちょうど中小企業金融公庫というものが、私は今の信用保証協会と同じような弊害に陥っておると思うのですがね。信用保証協会というものは、金を借りようと思うても、信用が非常に薄い、そこでこういう保証協会というようないわば公の機関によって、信用の裏づけをして、金を借りられるように取り計らっておるのが、私は信用保証協会の存在しておる意義である、かように考えております。ところが、実際には金を借りる側の味方にならずに、金を貸す側の、つまり銀行側の味方になって、信用保証協会というものが現在悪用されておるということを、私はしばしば耳にいたしておりますが、ちょうどあなたの方の場合も、この代理店貸しという制度は結局は、その代理店業務を行なうところの銀行のために役立って、金を借りる側の者にはあまり役に立っておらぬ、こういう感じがするのです。銀行がお客さんに対してサービスをするということで、実は中小企業金融公庫からこういうワクがきておりますから、この金を使いなさい、こう言って、ふだん取引がうまくいっておるところの、信用のあるところの店に対してはどんどんあなたの方の金を回しておる。ところが、真にこうしたいわばボーダー・ラインにある、国がめんどうを見なければならぬ中小企業者に対しては、代理店業者は、六割の危険を負担しなければならぬということで逃げておる、こういうことが実際の実情じゃないか。私はそういう例をたびたび知っておる。去年も私は名古屋に参りまして、ある搾油機械を作っておりますメーカー、これは非常に優秀なメーカーで、インドネシアとかビルマにどんどん輸出をしておる。そこの重役を連れて、中小企業金融公庫の名古屋の出先機関に行った。大体一千万円の借款を申し込んだのです。これに対しては、三重県知事の推薦もある。ところが、あなたの方の公庫の名古屋支所は一体どう言ったかといいますと、どうも直接貸しは非常にやりにくいから、代理店の方で一つ借りてもらえませんか、こういうことで、とうとう八百万円だけ、代理店を通じて金を借りたということを、私は自分自身体験をいたしております。これは五十万や六十万の金じゃありません。八百万円という金です。しかも、これは国策の線に乗って貿易に大いに貢献をしておるところの搾油機を作っておるところのメーカーである。こういう実情を私は知っておる。だから、もう少しあなた方は、真に中小企業金融公庫の存在意義というものを、十分に窓口まで、末端まで浸透させてもらわぬと困るのです。口を開けば、店が少ない、だから仕方がないから代理店業務をほかの銀行にやらしておるのだ、こうおっしゃいますが、そんなにいわゆる窓口が少ないのであるならば、いっそのこと国民金融公庫とあなたの方と一緒にしたらどうですか。もう少し、真に中小企業金融公庫の存在の意義というものを、十分に末端の窓口まで徹底させてもらわないと、結局はほんとうにお金を借りたいところの中小企業者に対して金が円滑に回っていかなくて、銀行に信用があって銀行に取引が十分あるところに対して、代理店を営むところの銀行がサービスとして、選択融資としてあなたの方の金を使っておる、こういう事実がある。この点についてあなたの御見解を承りたいと思います。
  83. 岡一雄

    ○岡説明員 御指摘の点は一々ごもっともかと存じますので、今後代理店の指導並びに公庫の窓口の指導については、十分意を尽くしまして、御趣旨に沿うように努力して参りたいと思います。
  84. 小林正美

    ○小林(正)委員 とにかく今後いろいろ例がどんどん出て参りますから、そういうたびごとに一つ私は例をあげて、あなたの方の幹部諸公に、こういう問題についての十分な勧告を行ないたいと思いますから、あなたの方としても、一つきょうの御答弁の趣旨を忘れないで、末端の方にまで、あなたの方のそういう気持を徹底させていただきたい、これを要望いたしまして私の質問を終わります。
  85. 中村幸八

    中村委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。     午後零時三十二分散会