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1959-11-11 第33回国会 衆議院 商工委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月十一日(水曜日)     午前十時二十九分開議  出席委員    委員長 中村 幸八君    理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君    理事 長谷川四郎君 理事 南  好雄君    理事 小林 正美君 理事 田中 武夫君       岡本  茂君    關谷 勝利君       田中 榮一君    田中 龍夫君       中井 一夫君    中垣 國男君       濱田 正信君    渡邊 本治君       勝澤 芳雄君    永井勝次郎君       八百板 正君    八木  昇君       加藤 鐐造君  出席国務大臣         通商産業大臣  池田 勇人君  出席政府委員         通商産業政務次         官       内田 常雄君         通商産業政務次         官       原田  憲君         通商産業事務官         (大臣官房長) 齋藤 正年君         通商産業事務官         (石炭局長)  樋詰 誠明君         中小企業庁長官 小山 雄二君  委員外出席者         通商産業事務官         (企業局長)  松尾 金藏君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 十一月十日  花火工場等爆発事故防止に関する請願(松平  忠久君紹介)(第二〇六号)  小売商業調整特別措置法の施行に関する請願(  田中武夫紹介)(第三五八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 中村幸八

    中村委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件について質疑の通告があります。順次これを許します。中井一夫君。
  3. 中井一夫

    中井(一)委員 大臣は参議院に行っておられるのでありますが、どのくらい時間がたてばこちらに来られるか、予定を承っておきたいと思います。
  4. 中村幸八

    中村委員長 ただいまから約三、四十分の後には本席に見える予定であります。
  5. 中井一夫

    中井(一)委員 それでは大臣に対する質問あと回しにいたしまして、一応企業局長にお尋ねをいたします。  本年の九月九日、当委員会において私は百貨店並びに日信販等クーポン業者との結びつきによる割賦販売の勢いがあまりにも行き過ぎる結果、小売商を圧迫して、小売商を困難な立場に追いやりつつある、これは政治的に社会的に黙過することはできないことだから、政府としてはすみやかにこれを制約する方策を講じ、小売商の困難な状態を救済すべきであるということを強く要請したのでございます。その後これに対し政府大臣勧告また局長通達等を出されたということでありますが、いまだ当委員会におきまして正式に御報告がございませんから、この機会にその後の経過並びにその勧告及び通達内容と将来の問題についても、政府の意図せられておるところをお伺いいたす次第であります。
  6. 松尾金藏

    松尾(金)説明員 割賦販売の問題につきましては、ただいまお話のございましたような経緯で、昨年来種々検討は続けられてきたのでありますけれども、全部の割賦販売の問題とも相関連しまして、御承知のように産業合理化審議会流通部会におきまして、その本質論ともあわせて検討を続けて参りましたことは御承知通りでございます。その審議会流通部会におきまして、すでに御承知のように一応この問題についての結論が出されまして、その答申に基づきまして先般十月の二十四日付をもちまして、ただいまお話しのございましたような百貨店あるいは信販会社等に対して、それぞれ自粛勧告通牒を出したわけでございます。  その内容は、百貨店に対するものといたしましては、まず総合割賦販売について、百貨店業者に対して、こういう線で自粛をしてもらいたいという内容のものであります。まず第一には、一口当たりの金額制限といたしまして、六大都市にある百貨店につきましては一口千円未満商品を取り扱わない、また地方都市につきましては一応一口五百円未満商品総合割賦販売の形式で取り扱いをしないということを内容といたしまして、その他品目制限、またその実施の時期につきましては三十五年の一月一日から実施をするという前提をもちまして、百貨店に対しましてはそのような自粛勧告をいたしております。  さらに信販会社に対しましてもそれとほぼ同様な通牒を出しておりますし、また現在すでに総合割賦販売をやっております百貨店等に対しましての問題のほかに、現在はそれをやっていないけれども、今後新たに総合割賦販売をやろうとする場合についての取り扱いはどうかという点にも問題がございますので、これにつきましては現地において小売商との間に十分話し合いがついてからでなければ、新たにこの総合割賦販売百貨店が行なうことは困る、その確認につきましては、各通商産業局長の承認という形で確認を得た上でなければ実施をすることができない、また現地意見調整には、商工会議所意見を聞くことが適当であろうというような内容通牒を出しております。大体そのような趣旨通牒をもちまして、百貨店側信販会社側もその線に沿って実施をするということで、現在そのような準備をいたしておるところであると思います。  なお今後の問題といたしましては、総合割賦販売は全体の割賦販売の問題の本質論その他その一環としまして、今後さらに流通部会において種々論議があろうと思います。あるいは将来もこの問題についてかりに立法化の必要があるといたしますと、その観点からも今後種々論議があろうと思いますが、そのような本質論の問題は一応別といたしまして、百貨店小売商の間の種々問題を起こしました点につきましては、一応これで百貨店側の守るべき自粛の線がはっきり打ち出され、現在百貨店側あるいは信販会社側もこの線を了承して、実施準備を進めておるという状態にあります。  なおこの一口金額制限につきましては、これは先ほど申しました流通部会結論においてもすでにその趣旨になっておるのでありますが、まず千円という制限から始めてほしいという意味合いでございますから、今後ある期間実施をいたしまして、この金額制限程度は逐次実情に合わせて引き上げていくということを、この問題の最後に予定をいたしております。そのようなことでこの問題の解決をはかって参りたいというのが今回の趣旨でございます。
  7. 中井一夫

    中井(一)委員 通商産業省企業局長から百貨店業者にあてて出された、ただいま局長説明通達によりますと、     「今後の百貨店業者割賦販売のあり方については、この度昭和三十四年十月二十四日三四企第二一九五号をもって通商産業大臣から貴社あて通達したとおりであるが、同通達に基いて割賦販売を行う場合には下記事項に留意されるとともに所管通商産業局長と連絡の上、遺憾のないよう充分配慮されたい。       記   一、上記の通達(以下「通達」という。)中一にいう「一ロ」とは、原則として商品一品ということであるが、二個以上の商品をあらかじめ組み合せて「セット」にして販売する場合あるいは同種類商品を二個以上まとめて販売する場合には、これを一口として取り扱うことはさしつかえない。   二、通達中一にいう「一口千円(六大都市東京都の特別区、横浜市、名古屋市、京都市、大阪市および神戸市をいう。)以外の都市にある百貨店の店舗にあっては一口五百円)」という金額は、暫定的なものであって、一定期間実施したのち、それが消費者の利便、小売商および共通チケット発行機関経営におよぼす影響検討した上特に支障がない限りおおむね一年後には三千円程度(六大都市の場合)に引き上げることを予定しているものである。なお、現在すでに一口当り五百円ないし千円をこえる価格以上の商品を対象として総合割賦販売を行なっている場合には、今回の措置によってその金額を五百円ないし千円まで引き下げてよいという意味ではない。」  こういうことをいわれておるのですが、この一番初めにある一の意味は、どういう具体的な意味を持つものであるか、御説明を願いたい。
  8. 松尾金藏

    松尾(金)説明員 この金額制限につきまして、要するに一口云々という点は、これは先ほど申しました流通部会等におきましても非常に議論のあった点でございます。ここに書いております意味は、この文章以上に特別につけ加えて申し上げるまでもなく、大体これで意を尽くしておると思いますが、ただこういう結論に達しますまでには、この一口というものの考え方といいますか、扱い方につきましては、普通の商取引といいますか、百貨店店先で売る場合あるいは小売商店先で売る場合に、ある買いものをするのに、ここにいっておりますような商品一個ごと代金を払うというような商取引習慣が実際上ないので、そういう実際の取引と違うような一口のきめ方をするということは、実際の実施上困るではないかという、非常にここに書いてあります意味とは違った意味反対意見と申しますか、そういう意見があったのであります。それにもそれ相当な理由も多少あると思いますけれども、しかし金額制限につきまして、千円ということから始めて、その千円を実施していきますのに、一口という言葉があまり商取引習慣にだけなじんで、あまりイージーな便宜主義に流れることもいかがかということで、ここに書いております意味はかなり厳格な意味に書かれておると思います。この文章にこれ以上つけ加えて申し上げることは別にございません。要するに、たとえて申しますと、店先で、普通文房具屋さんに入って、鉛筆ナイフノートを買いたいといって、それでそのときに鉛筆代金を払って、そのおつりをもらってナイフ代金を払い、そのおつりをもらってノート代金を払うというような習慣はございませんから、普通の場合にはその三品の合計で払って、それで千円以上になっておればいいじゃないかというような議論が、先ほど申しましたような実際の商取引習慣になじんで、それでもいいじゃないかという議論が相当強かったのであります。しかしそういうことになりますと、やはりこの制限について何か制限意味が弱くなる。そうではなくて、鉛筆を買う場合には、その鉛筆が千円以上でなければいけないというようなことで、ここに商品一品ということでいっておりますけれども、しかし鉛筆を一ダース買う場合に、鉛筆が一ダースで組み合わせで売られている場合、それを一本ごとにほぐしての値段で云々することもなかろうという意味で、この意味は書かれていると思います。その意味でいろいろ議論がこの点についてあったのでありますが、結論的にはシビアーな点といいますか、一口意味を相当厳格に解釈する線でこの結論が出された、こういうように御了承願いたいと思います。
  9. 中井一夫

    中井(一)委員 通達の二なんですが、その中には、「小売商および共通  チケット発行機関経営におよぼす影響検討した上特に支障がない限りおおむね一年後には三千円程度(六大都市の場合)に引き上げることを予定しているものである、」とありますが、この意味は、どういうふうに解釈していいのでありましょうか。ことにこの問題につきましては、発行機関経営に及ぼす影響検討するという言葉があります。一年後という言葉の形容詞としておおむねという言葉が載せられてあるのであるから、解釈の仕方によっては、検討した結果は影響が大だから永久に引き上げない、一年という言葉は記載されてあるけれども、おおむねだから一年以内にはやらないだけではなく、何年たっても千円を最高価格に限るのだ、こういうふうにこれが運営せられていくならば、この通達は結局千円を最高価格とするのにすぎないのであって、ぎりぎり結着三千円という私が強力に要求したその最高額というものは、ついに有名無実に帰するおそれがある。私は通達の文字通り必ず三千円の程度にまで制限を上げるべきであると思うのでありますが、この点について通産省はどういう態度をもってお進みになるか、これを承りたい。
  10. 松尾金藏

    松尾(金)説明員 この金額制限金額の点は、ただいま御指摘のありましたように、従来非常に論議があった点でございます。しかし現状におきましてこの問題の解決に千円ということからスタートせざるを得なかったという事情は、従来の経緯等で御了承願えると思います。しかしそれは現状においての判断でございますから、今後の問題といたしましては、ただいま御指摘にございましたような線に沿って将来のことを予定しておる。もちろんこれは予定でございますから、今お話のございましたような極端に、それは単なる予定であって、うまくいったらその程度やるかもしれないというような予定ではもちろんございません。こういう御指摘のような文章でここに書いておりますからには、それ相当に議論をし、将来のことも十分考えた上でこのような意味の字句を掲げておるのでございますから、今後ここに書いてありますような内容で、内容検討その他を加えて、特に支障がない限り、ぜひこのようなところまで持っていきたいというのが、私どもの念願といいますか、希望でございます。
  11. 中井一夫

    中井(一)委員 なお通達の三には、「通達中一にいう「今後百貨店業者が販売することを極力自粛する商品品目」は、サービス、飲食料品、愛玩動物植木等とする。」とあるのでありますが、いわゆる品目指定については、どうお考えになっておるのか。最近、割賦販売という問題については、ヨーロッパ、アメリカ等における実情から考慮しても、わが国にはたしてどの程度にこれを認めるべきであろうかということについては、諸種の論議が行なわれておることは御承知通りであります。この販売方法は、消費者には便利であると同時に、また消費を放漫に増大さして無理な消費生活をせしめるという弊害をも生じる。これはやがて国家財政国民経済の上から見て、憂慮すべき結果を来たすおそれもあることは、すでに識者指摘するところであり、まして、これを野放しにすべきではないということもちろんであります。従って単に小売商の擁護という点からだけではなく、その意味においても、この金額制限品目指定は、大切な二要素であると思われるのでありますが、通達に言われる程度のもので品目種類はよいのであるか、さらにもっと厳重な指定をする必要はないのであろうか、御所見を承っておきたいのであります。
  12. 松尾金藏

    松尾(金)説明員 この品目制限の点につきましては、実は従来この問題について、いわゆる百貨店側小売商側とのいろいろの論議の際には、実はあまりそう深刻な議論にはならなかった点であると私どもは考えております。また今お話のございましたような割賦販売本質論と申しますか、外国の実情でございますとか、本質論という観点から、どういう扱い品目が適当であるかという、そういう議論になりますと、これは百貨店小売商を問わず、すべてについて制限をしなければならないという議論になるのでございますが、ここでの問題は、小売商側には有利にしておる、百貨店側だけに制限をする、こういう角度からの問題でございますので、この点は百貨店側小売商側要望等もよく考えて、自粛的な品目制限をやろうということにいたしておりますので、現在百貨店側でこのような通達の指示に従って、どのような品目制限をするかということを、寄り寄り協議中であるというふうに承知いたしております。この点おそらく今後も、金額制限ほど重大な問題であるというか、小売商との間にむずかしい問題ではなかろうと思いますが、百貨店側ももちろんただいま申しましたような趣旨で、目下寄り寄り相談をいたしておるところでございます。
  13. 中井一夫

    中井(一)委員 すでに通産省として、大臣及び局長通達もなされたのでありますから、私はこの際は、ただ将来通産当局の行き方を監視するに止めたいと思うのでありますが、今やわが国中小企業ことに小売商業の問題につきましては、政治的、経済的、社会的な各方面からの観点よりして、根本的な対策を立つべきときに来ておると信ずるのであります。従いまして、その根本的な問題は、結局、通産大臣より伺うのが適当でございますから、局長に対する質疑はこの程度で打ち切るのでありますが、いずれにしましても、有力なる百貨店また日信販等クーポン業者を相手にして、彼らの甚大な抵抗を制圧しつつ、不十分とはい、え、ともかくも現在は千円、一年先は三千円を最低額制限する通達をよくお出し下さったと思うのでありまして、通産省努力に対し深く敬意を表するのであります。ただし、今日の現状から見ますと、この程度では不十分、不徹底である。むしろこのために割賦販売が盛んになって、かえって小売商が困るような事態に追い込まれるおそれがあるともいわれておりますから、通産省におかれては将来、必ず三千円に制限を高めることを、万難を排して断行せられんこと切望いたします。そうでなければ、通産省小売商業者のために大いに努力しているという効果が現われて参りませんから、特に御注意をいたしておく次第であります。  なお、この問題は昨年来当委員会において重要なる中小企業対策一つとして、取り上げられた問題であり、今回出された大臣局長の諸通達は、私ども主張要求に対する回答と申してもよいものでありますから、この際政府はこれら諸通達を本委員会へ御提出になって、速記録にとどめることにせられたいのであります。特に委員長の御配慮を願います。
  14. 松尾金藏

    松尾(金)説明員 私ども扱いとしては、そういたしてけっこうだと思います。
  15. 中井一夫

    中井(一)委員 なお、大臣通達は、百貨店法第九条による正式の勧告ですか、それとも便宜上の通達ですか。その法律上の立場はどうなんです。
  16. 松尾金藏

    松尾(金)説明員 百貨法九条に基くものではございません。行政上の勧告通達でございます。
  17. 中井一夫

    中井(一)委員 それでは一応私の質問を留保しましてこれで打ち切ります。
  18. 中村幸八

    中村委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止
  19. 中村幸八

    中村委員長 それでは速記を始めて。  中井一夫君。
  20. 中井一夫

    中井(一)委員 一応中小企業庁長官にお伺いをして、その管轄外の問題については企業局長から伺いたい。  私の立場は、明瞭に申し上げておきますが、中小企業者のほんとうの味方、代表のつもりで質問いたすのであります。労働問題が終戦後非常にやかましくなり、労働者が常に集団の威力をか中りて自己の権益を主張し擁護しようとすることは、日々起こらないことはありません。その行き方につきましては、識者が、また私もそのすべてを適当であるとは思われないのであります。しかし団結威力でその目的が達せられておるということは、これを認めざるを得ない。これに反し、中小企業者団結がなく、個々別々であって組織の力をもって強きもの、力あるものに当たるということをなし得ないところに、政治上においても、中小企業者権益が擁護されないというのが今日の実情であります。しかしながら日本将来のためには、社会の中堅階層たるこれらの人々の保護育成及びその発展を期するということが、何よりも大切であることは申すまでもありません。その意味におきまして、現在の政治がややともすると、これらの人に対する対策として、はなはだ行き届かないものがあることを残念に思うのであります。幸いにして今度通産大臣が新任せられて後、口を開けば中小企業保護育成を言われる。しかしてわが自由民主党においても、この問題を真剣に取り上げ、真剣にこれが対策を実行せんとしておる。それがためには、どうしても通産省事務当局の諸君がその気になってくれねば、その効果を十分に上げることはできない、私はその意味において中小企業庁長官の責任はきわめて重大だと思う。従来の長官、代々その職務に熱心ではあったけれども、きわめて微力、常に通産本省企業局に押えられ、中小企業のためにわざわざ設けられた特別の官庁たるの用をなさなかった、残念な事態であります。その意味において、ここに練達の長官が新任されたのですから、その職責の重要性を十分御認識になって、御在職中に思い切って、中小企業のために重大なる功績を残していただきたい。これが私の長官に対する根本的な切望であります。御決心のほどを明らかにしていただきたい。
  21. 小山雄二

    小山政府委員 ただいま中井先生から御激励のお言葉をいただきまして恐縮でございます。私、中小企業庁へ参りまして、さっそく災害関係でごたごたしておりまして、その間非常に痛切に感じましたことは、災害の問題が事柄の性質上非常に急ぐことでありますし、また今回の災害性質から考えましても、極力やれるだけのことは考えなければいかぬということでありまして、非常に忙しくしておったわけでありますが、その間ただいまも御指摘のように、たまたま通産大臣及び政務次官その他から私が引き回されるような感じを非常に受けたわけであります。そういう意味で、そういう大臣をいただきまして私といたしましても、極力中小企業のために少しでもいい結果を及ぼすような方向に努力して参らなければいかぬということを痛切に感じております。今後とも諸先生の御指導によりまして、中小企業対策が円滑に進められるようにということを念願いたしておる次第であります。ただいまも御指摘がありましたように、中小企業対策のもとは、何と申しましても、組織化といいますか、団結といいますか、経営改善をはかるにいたしましても、設備の近代化改善をはかるにいたしましても、金融の道をつけるにいたしましても、すべての政策のもとは、やはり団結といいますか、組織化であるわけであります。ただいまもお話のありましたように、この組織化の問題につきましては、法律、制度その他にまだ不十分な点はございますが、これらを強化いたしましてそれとともに、中小企業者自身が、それが自分たちのいろいろなことを改善、強化していく第一歩の道であるということを十分御認識願って、まず組織化をして、その上にいろいろな改善策を当てはめていくということが大事じゃないかと考えておるわけであります。その面につきましても、なお一段の努力をいたしたい、こう考えております。
  22. 中井一夫

    中井(一)委員 ただいま長官は、中小企業の問題について、根本的な問題の一つは、その団結力を強くすることにあると言われました。まことに御卓見であります。時あたかも、昨日東京都の九段会館におきまして、全国小売商振興大会が開かれ、全国小売商代表が相寄って、宣言、決議を発表したのであります。その決定のうちの重要なるものは二つある。その一つは、ただいま長官が言われた団体組織の問題であります。すなわち、小売商団結権確保並びに団体交渉権の確立に関する件という議案について、下のごとくいわれております。     「わが国経済の構造上の特徴は市場支配力の強力な大企業と、零細競争力の弱い企業が併存し、数の上では、中小零細企業が圧倒的に多く(従業員四人以下七八%、同十人以上九%、商業では全体の九二%が従業員四人以下の零細小売店)然も、格差がはなはだしく大きいことである。   従ってわが国産業政策基本問題は、このような大企業零細企業併存関係を合理化して、零細企業のレベル・アップをはかると同時に、中小企業零細企業に自由で公正な競争の場を確保するところになければならない。   然し、現状は、大企業がますます市場独占化の傾向を強める反面、零細企業は、低賃金と労働時間の延長によってからくも営業している。   中小企業零細企業の苦しみの根は、不公正な取引を強制され、不利な取引条件を押しつけられているところにある。工業における下請代金問題、小売業における百貨店手伝店員、返品、委託問題などはその典型である。   中小企業零細企業に対する安定、振興対策基本をなすものは、大企業圧迫排除公正競争確保でなければならない。   これにこたえるものとして、独占禁止法があり、百貨店法小売商業調整特別措置法が制定された。   こうした法律に守られながら、更に小売商自体努力経営改善の努力圧迫排除団結して立つ努力)が必要である。特に、業者の団結権の確保団体交渉権の確立の希望をかけたはずの中小企業団体組織法は全く内容の違う不況カルテル法でしがなかった点は早急に改められなければならない。団体組織法は、調整事業を行うための不況時の時限組合法でしかない。   小売業界における過当競争の根源は、過剰人口の圧迫による同業過剰に由来するものであり、失業者、半失業者が零細小売商部門に流れ込んでくる現実をそのままにして、過当競争を緩和調整することは基本的に不可能である。   末端配給機構の小売段階で、実際問題として高度の調整行為は不可能であり、われわれの要望する方向は、大企業中小零細企業に対する「不公正競争」を排除し、不当な取引条件を是正するための団体交渉権法律的に確保することによる自主的努力の方向でなければならない。   従って、現行中小企業団体組織法を改正し、第一段階として資格事業者の二分の一以上の同意があれば組合を設立できることとし、この段階では調整事業は行わず、調整事業と関係なく、不公正取引、不当な取引条件を是正するなどのための団体交渉権を法的に規定する。   又、調整組合ではないのであるから、この段階では、強制加入や、員外統制は認めないこととする。   第二段階として、当該業界の実態からして、どうしても不況で調整事業を行わなければその企業の安定を期し得ない場合は、現行法の如く調整組合への移行、調整事業の認可に対して厳重な制限を加え、一般消費者および関連業者の利益を不当に害さない措置が必要となろう。以上のような改正により、全国小売商が同業的に組織され、その団結と団体交渉を積み重ねることによって、はじめてわれわれは小売商保護諸立法をより有効に活用し、強化改正することができるであろうし、又小売商の地位の向上を期し得るであろう。」 こういっておるのでありまして、これは全く私どもが平素考えておるところと軌を一にしておる。この程度まで法的に進めて参らねば、あらゆる条件において困難な立場にある小売商を救うことができないと思う。  この点につき政府の御所見いかがでありましょう。こういう問題を考えて、現行の法律を改正し、必要があれば新法律を制定する、こういうところまでおいでになる御決意があるかどうか。  これは自由民主党の内部におきましては、常にそうしなければならぬという意向は充満しておるのでありますが、さて政府の施策となりますと、そこまでなかなか参りません。しかし今やここまでこなければならぬ事態に逢着しておると思う。従って一歩踏み切ってここまでおやりになる御覚悟を明らかにしていただきたい。ただいま中小企業問題については、格別の御理解と非常に御熱心な政務次官お二人とも御出席であります。まずお二人の政務次官の御所見を明らかにしていただくと、やがてはまた政府部内の空気が変わって参ると思います。思い切って政務次官、平素の熱心な中小企業に対するお考えを述べていただきたい。そうして政府をひっぱってもらいたい。
  23. 内田常雄

    ○内田(常)政府委員 中井委員のお尋ねでありますが、実は私も中井委員がお帰りになりましたすぐそのあとで、池田通商産業大臣の代理といたしまして、というよりも私自身が中小企業者代表として、昨日の小売商業振興大会に出席をいたしまして、この団体の要望や決議の状況をよく承知をいたしております。今中井先生が逐一お読みになられましたような小売商団結権の確保団体交渉権の確立ということにつきましては、私はもとより賛成でありまして、異存はございません。この中小企業者小売商を含みましての団結とか団体交渉権の付与につきましては、今中井先生も仰せられたごとく、先年中小企業団体法が制定いたされて今日に至っておるのでありますが、私が見るところによりますと、これまでの中小企業団体法による商工組合の設立が必ずしも円滑に進んでおらないようであります。全国で約五百足らずの中小企業団体法による商工組合が設立をされておりますが、その大部分は従来ありました調整組合から移行したものでありまして、先般の団体法によりまして新しく設立された商工組合というものが今までのところそう多くはありません。でありますから、ただいま中井さんが仰せられたような感を世上も深くいたしておるわけでありますが、先般通商産業大臣が新任され、また私ども通産省へ参りまして以後は、団体法による商工組合の設立の要件を法の解釈によって緩和して、もっと勇敢にこの商工組合を設立せしむべきである、そして必ずしも不況要件に対抗する手段としてばかりではなしに、今言うように、大企業に対応する手段としてもこの団体の結成を促進し、団体交渉権を付与すべきである、こういう方向で中小企業庁長官を初め省内を引っ張って参っております。御承知のように団体法におきましては、不況要件がないと商工組合は設立されないことになっておりますが、しかし法律をよく読んでみますると、現在中小企業者が不況であるか、あるいは不況になるおそれがある場合には、この商工組合すなわち中小企業団体を設立することができるのでありまして、わが国中小企業というものは、その構造上常に慢性的に不況になるおそれがあるのでありますから、そのおそれがあるという部分を生かして設立の要件と認めることに踏み切っていたしております。最近二、三カ月の間にこの商工組合の設立も非常に活発になって一参ってきておりますので、この国会で修正の上御制定いただきました団体法の運用をまず十全ならしめる、これもまだ一年か一年半しかたっておりませんので、その上でなお法に不備がありましたならば、今後検討の上、勇敢に改正する方向に引っ張って参りたい、かように考えております。  さらに、これはよけいなことでありますが、昨日の会合におきましては、小売商業調整特別措置法どもあのままでは手ぬるい、あれではさっぱり動いておらぬではないかというようなお話も御承知のように出ておりましたが、この小売商業調整特別措置法もことしの七月に施行されたばかりでありまして、まだ五、六カ月しかたっておりません。従って全面的には発動もされてあらないような状況にありますので、私ども全国中小企業小売商が非常に多く集まっておる都市につきまして、法の発動すべき態様を今調査をまとめておりますので、その状況によりましては、この小売商業調整特別措置法を全面的に発動する準備をいたしております。それでも足りない場合には、また皆様方のお知恵を拝借して、この小売商業調整特別措置法をもさらに完璧なものに改正するという方向で検討して参りたい、いずれにいたしましても、池田新大臣は、所得の倍増をいたすにつきましても、倍増された所得というものは、金持を金持にする必要はないので、国民大衆、中小企業者がその生活条件や労働条件を高めていく以外に、日本の生産を高めても国内の購買力がつかないのだから、それでは所得倍増もできない、輸出というようなものは毎年の国民総生産のわずかに一割ぐらいしかはけない。年々三億ドル、五億ドルの輸出増加があったといたしましても、それは千億程度のものでありまして、今日のように年々一兆以上一兆五千億ぐらいの国民総生産が伸びていく際に、とうてい千億か、千五百億の輸出増加では足りないので、中小企業を中核として日本の国民所得をふやして参りたい、また大企業を動かして参る、これが肝心だということを常に申されておりますので、ここしばらく私どもの活動を見守っていただきたい、かように考えます。
  24. 田中武夫

    田中(武)委員 関連して……。先ほどの中井委員の御質問趣旨、ただいまの内田政務次官の御答弁の趣旨、これは常にわれわれが申し上げている点でございまして、多分当時内田政務次官は当委員会委員ではなかったかと思うのですが、中小企業団体組織法が成立するときに、この法律をして中小企業基本的な組織法にし、組織の強化と団体交渉権を与えていくということは、われわれが考えて提出いたしました団体組織法の精神でございます。ところが、そのときに政府案の団体法が、多数の賛成を得て通過したいきさつがあるのでありまして、当時今おっしゃるようなお気持があったならば、すでに今問題になっておるようなことは解決をしておったと思う。今申されましたことは、あるいは中井委員の言われました自民党の商工委員としてのお気持、これは一つはっきりと忘れないようにしていただきたい。私たちは直ちに改正を出しますから……。
  25. 内田常雄

    ○内田(常)政府委員 今、田中委員から熱烈な御意見の表明がございまして、この中小企業団体法を作りますときは、私は仰せのごとく当商工委員会委員でございます。私は自民党を代表し、田中君は社会党を代表してそれぞれりっぱな法律の制定に努力いたしたのでありますが、ただ私の個人的印象を申しますと、当時社会党委員中小企業者そのものを団結して、これらの人々の仕事を繁栄に向かわせるということは、もちろん考えられたでありましょうが、同時に消費者あるいは購買会とかあるいは生活物資協同組合などの利益を守ることに非常に熱心でありまして、そのため私どもの提案が非常にぼやけたものになりましたことを、私は政府ではありませんが、当時一委員として遺憾に存じたこともございました。今後田中先生からいろいろ御示唆をいただきまして、それらの点の調整をも含めまして、中小企業の振興のために、今回私は政府に参りましたので、万全を期して参りたい。かように考えております。
  26. 田中武夫

    田中(武)委員 今言われたことは、小売商業特別措置法のときには若干そういう点があったと思います。ところが中小企業団体法及び団体組織法のときにはそういうことはなかったと思う。法律の制定のときのいきさつを誤解しておられるようですから、ちょっと訂正しておきます。
  27. 中井一夫

    中井(一)委員 たまたま問題の根本に触れられた意見が出ましたが、私もこの問題について痛感いたしましたことは、前会において小売商業調整特別措置法を制定するときに、社会党の一部の議員がとられた態度、われわれは小売商の困難な状態を何とかして救済したいと考え、一生懸命に努力をいたしたのでございますが、社会党の委員中には消費組合等を非常に御援護になって、消費組合の行き過ぎたる進出によって小売商が困ることをとんと意に介せざるがごとき御論議がございました。小売商業調整特別措置法が三日か四日で成立すべきものが、三週間も四週間も延ばされたのはそれがためである。その意味において私は社会党の皆さんにも、願わくは労働組合等のためだけではなく、われわれとともに中小企業擁護のために御尽力をいただきたいということを、この機会にお願いをいたしておく次第であります  つきましては、次に問題になることは百貨店法の改正の問題でございますが、割賦販売についても、その対象になりましたのは有力なる百貨店の行き過ぎ行動でございまして、特に同法の九条に、百貨店が行き過ぎた行動をするために小売商が困るというような場合には通産大臣百貨店勧告することができるという条文がありますけれども、その勧告をした結果、百貨店が従わない場合において、制裁を加える規定がない。従って勧告の受けっぱなしというわけになるのであって、それでは大臣の威信も通産省の威厳もあったものではない。これがこの法律の根本的な欠陥だと思うのでありまして、少なくともこの第九条の改正だけは断行すべきものだと思うのであります。この点につき政府の御所見を承っておきたいと思います。
  28. 内田常雄

    ○内田(常)政府委員 百貨店法の問題につきましては、成立後もこの修正につきまして各方面から改正の意見がありますことも十分承知いたしております。しかし、今日の百貨店が占める社会的機能も無視するわけには参りませんので、通商産業省といたしましては、実態に応じまして検討をいたすべく努めておるような次第でございます。
  29. 中村幸八

    中村委員長 お諮りいたします。先刻中井一夫君より要求のありました百貨店等に対する数通の大臣通達等を会議録に付録として載せる件につきまして御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 中村幸八

    中村委員長 御異議なしと認め、さように取り計らいます。  次は八大昇君。
  31. 八木昇

    ○八木(昇)委員 だいぶ時間が切迫をいたしておりまするので、できる限り簡潔に、今の石炭鉱業不況の問題を中心に御質問をいたしたいと思います。大臣がお見えになりましたならば、基本的な点について三つ、四つ伺いたいと思っておるのでありますが、さしあたって石炭局長さんに若干の質問をいたしたいと思います。  石炭不況というのがようやく明らかになって参りまして、そうして逐次貯炭が増大をしていく。このままでは、石炭鉱業は重大な事態に逢着するのではないかということがわれわれの目にも明らかになって参りましたのは、昭和三十二年の下期ごろからだと思います。そうしますと、石炭不況の声が聞かれ始めましてから今日まで、すでにニカ年経過しておるということになる。それがだんだんと現実の事態となって参りまして、山がどんどんつぶれる、失業者が漸次増大をしていく。最近になりますと、いよいよ大手各社におきまして、一斉に首切りが行われる。そこで、今その状態が非常に集中的に現われておりますのは申すまでもなく三鉱連、三池炭鉱関係——大牟田あたりに私も七日、八日と行って参ったのでございまするが、大牟田市内の状況というものは、これは大へんな事態でございます。一方労働者の方は、北九州各県から約七万近くの者が来て決起大会が行なわれておる。これに対して、三池炭鉱の首切り絶対反対ということで、労働者と一緒に行動をしておりまする商店が約四百数十軒、ストライキは反対だ、それは困るというので、スト反対の方向に動いておりまする商店が約六百軒。商店同士もまっ二つに割れまして深刻な争いをしておる。首切り反対のストライキの賛否いかんについては、それぞれの考え方があるにしても、いずれの側の人といえども、今日の石炭不況の問題に対して非常に頭を痛めておる。何とかならないものかというのが大牟田市におけるところの全市民の切実な気持である。それで、こういう状態がどんどん進行をしておる現状を考えるにつけましても、今日まで通産当局として最近二カ年間石炭不況の問題について一体どういうふうにこれを見てこられたか、そうしてこれに対してどういう具体的な対策を打ってこられたか、詳しく述べられれば時間が長くなりましょうから、そのポイントを二、三述べていただきたい。それにもかかわらず、なお石炭不況の問題が解決をせられなかったのは、原因はどこにあるか、今後どうしようとしておられるか、こういう点を、抽象論でなくある程度具体論で、しかも簡潔に説明をしていただきたい。
  32. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 ただいまの八木先生お話でございますが、われわれも決して今まで無為にしておったのではないのでありまして、できるだけのことはやってきたつもりでございます。三十二年ごろから不況の面が出てきたのではないかというお話でございますが、御承知のように三十二年という年は、石炭にとりましては少なくとも前半は、一年、半年おくれた神武景気の時代で、戦後最高の出炭もあり、最高の消費のあった年でもございます。石炭の不況がいろいろな方面で問題になりかけて参りましたのは、むしろ三十三年——三十二年度の非常な景気が終わって、ほかのところは底をついてはい上がるころに、石炭の方には一番の底が見えてきたのが三十三年からだろうと思うのでございます。御承知のように三十三年度は、われわれまず上期におきまして生産制限ということを業界の方にいろいろと示唆いたしまして、まず業界の自主的な生産制限というようなことで、できるだけ何しましたが、過剰貯炭が出てきて、それが炭況を圧迫し、炭価を暴落させるということが一番こわいのではないかということから、過剰貯炭をできるだけ解消させるという方向に業界を指導してきたわけでございます。当時業界に、そういう生産制限をして、とりあえず今の過剰分を解消して、できるだけ炭価を下落させないという方向に持っていくように努力させると同時に、電力業界と石炭業界との間にいろいろ話し合いをさせることによりまして、できるだけ長期安定した取引ができるような方向に持っていくことを指導してきたわけでございますが、それにもかかわらず貯炭は毎月少しずつふえていきまして、ついに昨年の九月には九百七十万トンというような貯炭を記録したわけでございます。そこで昨年の下期から生産制限実施することにいたしまして、大体実質的に一五%程度ずつ生産制限をやってもらいたいということをさらに業界の方に申し入れまして、少なくとも四千八百万トン程度に一年間の生産をとめてもらいたいという指導をいたしたのでございます。その結果、大体四千八百四十八万トンというふうに生産は前年に比べまして四百万トンの生産の縮小を見たわけでございますが、貯炭は千百万トンというような非常な大きな貯炭を持って一二十四年度に入らざるを得なかったのであります。この原因につきましては、これは今さら申し上げるまでもございませんが、大体九百万トンからの消費の見込み違いがございましたが、そのうちの三百五十万トン程度は、約一二%の豊水があったということのために電力用の消費が減ったということであり、約三百五十万トンは、鉄その他エネルギー多消費産業の伸びが当初の伸びよりも少なかったということからくる需要減退である、それから二百万トンばかりが一般に熱効率の原単位の向上による節減ということで、九百万トンになったわけでございます。これをいろいろ考えてみますと、豊水というようなことは天然現象でございますので、いかんともしがたいというような面もございますが、ほかのエネルギーの消費がそう落ちてない、むしろほかのエネルギーは消費が少し上がっているという中で、石炭だけが下がっているという原因は、これは結局石炭の供給が不安定であったということと、石炭の価格が割高であったというこの二つの経済性の欠如ということに求められると考えられますので、まず価格の安定、供給の安定というこの二つを目ざしまして、その後鋭意努力してきたわけでございますが、さしあたり、それまで自主的に、今申しました裏面の勧告等でやっておりました生産制限を、三十四年度からは石炭鉱業合理化臨時措置法に基づく正式の告示による生産制限勧告という形に切りかえることによりまして、できるだけ過刺貯炭をなくするということにまず努力していただく、それと同時に、何と申しましても、石炭のような長期に安定した操業を必要とするものにつきましては、長期契約が必要でございますので、長期契約をできるだけ結ぶようにということを勧奨し続けて参りまして、現に西九州の一部の山、あるいは北海道の一部の山等につきましては、三年あるいは五年というものを電力会社との間に長期契約を結んでいるものもございます。そういう長期契約をできるだけ進めると同時に、今後は、今もまだ昨年からいろいろ話し合いをしております、たとえば電力と石炭との間で共同貯炭を作って規格混炭というようなことをやることによってできるだけ売る方も手数が省け、買う方も安く買える、しかもよけいなスペースを要したり、あるいは特別な船を仕立てたりというようなことがなくて、安く手に入るというような方向に持っていきたいというふうに考えまして、大口の需要者、特に電力会社との間の連係というようなものにつきましては、今のところ、まだ具体的に、じゃどの段階まできているかという、はっきりしたところへきておりませんが、業界同士でできるだけ話を進めるようにということにつきまして、われわれも側面からいろいろとプッシュをするということに努めておるわけであります。
  33. 八木昇

    ○八木(昇)委員 ただいまのお話を伺いますと、要するに、通産当局としての石炭対策は生産制限一本やり、そのほかに何ら大して見るべきものはなかった、こういわれてもいたし方ないと思うんです。それで、このはね返りというものがやはり随所に出ておるわけですね。筑豊地区におきましても、今申しました三池地区におきましても、私は佐賀県でございますが、佐賀県におきましても、非常に現われておる。そのために労使は激突をしておる。そうして町の商人もまた資本家側に味方する者、労働者側に味方する者、まっ二つに分かれて争っている、労働者はまた非常な深刻な生活難にあえいでいるという非常に悲しむべき状態を今現出しており、この状態はにわかに近い将来において解決しそうに見えない。やはり非常に重大問題です。質問はあとで一つ二つしますが、近い将来今後一年ないし二年の間にさらに炭鉱失業者というものが一体どのくらい出るか。失業者にならない人もおりましょうから、炭鉱離職者ですね、これが今後向こう二カ年間ぐらいの間に大体何名ぐらい出るという判断に立っておられるか。そこで、炭鉱の大手十八社あたりは、御承知のように、炭価を八百円ぐらい引き下げることに努力をしたい。それがためには、大手十八社だけで約七万人の炭鉱労務者をさらに首切るという計画を正規に発表しております。そこで、今日でさえもこういう深刻な状態であるのに、今後二カ年間ぐらいの間にさらに出る炭鉱離職者の予想をどのくらいに見ておられるか、あらかたのところを御説明願いたい。
  34. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 今まであまり生産制限以外にはやっておらなかったんじゃないかというお話でございます。確かに具体的に効果が上がったのは生産制限ということですが、これで大体上期の実績、並びに今までの十月までの実績等を見てみますと、生産の方はほぼわれわれが考えておりました程度にいきますし、消費の方も大体予想通り生産よりも三百万トンか三百五十万トン上回るということで、ほぼ来年の三月の末には正常貯炭に近い七百万トン台にいって、三十五年度からは一応需要のあるだけは掘れるというような格好にいき得るんじゃないかというふうにわれわれは考えておるわけでございます。今後といたしましては、やはりできるだけ石炭の需要を確保し、拡大していくということのためには、積極的に高能率炭鉱の造成、片方は非能率炭鉱の整理ということ——スクラップ・アンド・ビルドの整理方式ということも考えていかなければならないと考えておりますが、いろいろな点について今後積極的な面の検討ということは進めていきたいと思っております。  今お尋ねの、一体今後何人くらいの失業者が出るかということにつきましては、御承知のように、石炭鉱業審議会基本計画として現在定めておりますものは、昭和四十二年に大体生産能率を二十三トン半にする、そのときに、大体人間は二十四万五千人くらいになっているはずだということで、現在から見ますと、大体約四万人くらいの人間が減る——当時とすると五万人くらいの人間が減るという格好が、現在の基本計画が定められておりましたのは二年前でございますが、そのときにはそうなっておるわけであります。ただ、その基本計画が定められましたあとに、今御指摘のありましたような石炭としての非常な不況と申しますか、危機が参ってきまして、どうしてもそういう点につきましては競争面に追っつけないじゃないかということから、たとえば石炭協会等におきまして、今後三年くらいの間に六万人、職員をひっくるめると七万人くらいの整理をしなければならぬといったような案が出てきたわけでございます。しかし、その案につきましては、実はわれわれまだ各社ごとに、一体どういう計画で、どういうふうになるから、これだけの人数を減らすのだ、そのときのコストはどうなるかということは聞いていないわけであります。これは通産省といたしましても、さらにそれについてどういう計画で、一体どういうふうに今後合理化を進めるか、その過程においてどれだけ出るかということについて、これは各社に大臣の方から資料を出せということを今要求しておる最中でございますので、それを検討した上でないと、はっきりしたことは申し上げられません。従いまして、現在の段階におきまして、今後通産省としては何人くらいの失業者が出るであろうというようなことにつきまして、今ここではっきりお答えすることはできないのでございまして、協会の案等をさらによく十分に聞き、検討した上で、通産省通産省としての一応の見通しを立てたい、そういうふうに考えております。
  35. 八木昇

    ○八木(昇)委員 幸い大臣も御出席になりましたので、大臣の方にも御質問いたしたいと思います。  それは、今石炭局長にも私質問しておったんですが、大体昭和三十二年の下期ごろ、石炭が神武景気のあとを受けて、異常な、一時的な石炭の景気という事態が起きまして、その時分から、もう次の段階には深刻な石炭不況が来るのではないかということが言われておった。そこで、三十三年に入りましてからはその徴候が明瞭に現われ出した。そうして今日世間で非常に問題になっておるような深刻な状態になってきた。そこで、その間すでにもはや二年近くたっているにもかかわらず、この間の本会議でも、多賀谷委員が盛んに指摘をしておりましたように、通産省として、この石炭不況に対するところの対策というものが、今日に至るもいまだに具体的に樹立され、そうして示されるということがなされていない。これは一体どういうわけか。私どもからしますると、これは非常な怠慢ではないか、こう考えるわけなんですが、これはどういう理由か、そして一刻も猶予ならない、可及的すみやかにこれが根本対策を打ち立ててもらいたいという要望に対して、どのようにこたえようとしておられるかという点を、これは大臣からお答え願いたいと思います。
  36. 池田勇人

    ○池田国務大臣 石炭の事情はお話通り、非常に危険な、しかも厄介な問題、しかもこれが産業の基幹に影響する問題でございますので、よほど慎重に考えなければならぬと思います。今年六月就任以来、私はこの問題に最も力を入れておるのでございまするが、何分にも、先ほど申し上げましたように、わが国産業全体に非常な影響のあることでございますし、しかもまた労使関係が非常に厄介な産業でもありますので、まず石炭業者並びに労働者の方々に十分再建についての御検討を願い、そして政府がこれに手助けをする、お手伝いするという考えで、労使の間の話し合いをお進め願うと同時に、われわれとしてもこれが対策を練っておる次第でございます。何もこれを怠慢で長引かしておるというわけではないのでございます。問題が非常にむずかしい問題でございますので。しかし、いつまでもというわけには参りません。臨時国会にはどうこうということはできませんが、通常国会には、できるだけ、何と申しますか、いい案をひねり出して御審議願いたいと思います。しかしさしむきの問題として、炭鉱整理その他で失業されておる方々につきまして、これはほうっておくわけにいきませんので、九月の末ごろの閣議で失業対策費として、二億数千万円を出すことにし、また今回の臨時国会で、いまだかつてやったことのないような離職者対策を御審議願うことにいたしておるのであります。決して石炭の再建につきまして、怠慢というわけではないのでございます。
  37. 八木昇

    ○八木(昇)委員 今の大臣のお答えですけれども、私が今ここに持っておりますのは「石炭経済」という本ですが、これはことしの六月に出たもので、これは通産省の石炭局の炭政課長が書いておられるのですけれども、すでにもう六月に、むしろこの現状というものに対する対策というものはおくれている、さしあたって早急に供給条件の整備と積極的な需要分野の拡大ということについては、具体的な策を直ちにやはり推進をしなければいかぬということを書いておるわけです。その時期からしましても、すでに数カ月たっておる。現状においてはもう各地の大手炭鉱において、首切り、人員整理というものが深刻な社会問題化している。こういう問題を考えますると、やはりわれわれとしては、ともかく当面はこのままにしておけ、ある程度の首切りやその他というものは資本家の方でやるだろう、あるとことんまで、落ちるところまで落ちさして、そういう状態の上に立って、ここで新たな対策を立てていこう、こういうふうな考え方というものが政府の気持の中にあるのではないかと私どもとしては考えるわけです。これはそういうことであってはどうしてもならぬのであります。そこで、これが対策についてはいろいろな問題点がございましょうが、石炭鉱業対策についての今後のやり方について、その前提となる石炭鉱業についての基本認識について、二、三この際伺っておきたい。  それで大臣は常に自由主義経済というものを標擁しておられる。一体日本のような国において石炭鉱業が自由主義的な経済のやり方、それでもって、そのいい面というのは具体的にどういう面があるか、実際私どもがながめておりますると、いかに努力をしようと何しようと、結局優秀な条件のいい鉱区を持っておる炭鉱でなければ問題にならない。そういう以外の鉱区のところで掘っているところは、幾ら労働強化をし、幾ら合理化をし、そして企業企業との自由競争というようなことでもってせり合ってみたところで、これは問題にならぬ、こういう点を石炭鉱業においては切実に目のあたりに見るわけです。石炭鉱業を自由経済の思想のもとにおいてやらせていく場合、一体その長所というものは那辺にこれを見出しておられるかということを伺っておきたい。
  38. 池田勇人

    ○池田国務大臣 今お話のありました非常にいい鉱区を持っておるところは非常に安かるべきはずなのです。しかし必ずしも日本の現状はそうなっておりません。そこに悩みがあるのであります。だからあなたのお話のように、いい鉱区を持っているなら石炭が非常に安くてできるはずなのでございますが、それがいかない。いい鉱区を持っているといえば、おおむね大手十八社でございます。大手十八社の石炭の値段と中小企業の炭鉱業者の値段との開きは、もう御存じの通りのような状況でございます。そこに石炭業のむずかしさがあるのでございます。従いまして、われわれといたしましては、国家管理をいたしておったときの状況等も見まして、やはり産業としては、石炭業も含めて、自由主義のやり方でいくべきだと私は考えておるのであります。
  39. 八木昇

    ○八木(昇)委員 自由主義のやり方によって日本の石炭鉱業が、国民経済全体として利益になるという面は、具体的に一つも納得のいくお話はなかったのですが、しかし今の現状を考えますと、日本の場合には石炭資源というものは、世界全体の中から言いますと、非常に微々たるものではありましょうけれども、それでもざっと二百億トンという埋蔵量がある。そのうちで少なくともカッペ炭量というものは六、七十億トンある言われておる。その場合に現在大手十八社といえども、今相当の資本力をつぎ込んで、そうして縦坑開発やその他に相当の金をつぎ込んで、あそこの鉱区を相当の金をつぎ込んでやるならば、非常に能率の上がる、そうして安い、優秀な炭質の石炭をどんどん掘れるというような鉱区があっても、今そこに金をつぎ込もうとしていない。そうしてまたそれだけの資本力が必ずしもないというものがある。いろいろな要素があるために、休眠鉱区として眠っておる莫大な埋蔵炭量がある。こういう実情にあると思う。しかも私あたりの県で、これは通産省にもいろいろとお世話も願ったんですけれども、実際今まで同じ炭田地帯であって、こっちの方はある大手の山が持っておる。その隣接鉱区のこっちの方は中小企業山持ってある。そこをずっと掘り進んできて、そうして大手の山の持っておる鉱区のところまでくると、それでもう掘進をやめねばいかぬ。その山をつぶして今度はまた他の鉱区を求めて中小の山はいかなければならぬ。こういう鉱区問題一つをとらえても、随所で非常に不合理にぶち当たっておる、こういうことを考えますると、どうしても今後の日本の石炭産業というものをやっていくためには鉱区問題一つをとらえても、相当国家的な規制というか、国家管理的な方向というか、こういうふうなものがとられざるを得ないのではないか、現実の姿からそれが出ている、こういうふうに考えるのですけれども、御所見を承っておきたいと思います。
  40. 池田勇人

    ○池田国務大臣 鉱業法並びに石炭鉱業合理化法の規定に基づきまして、お話しのような点がありますれば、政府はこれに善処するにやぶさかではございません。未開発鉱区につきましての開発につきましては、相当の関心をわれわれは持っておるのであります。たとえば有明海におけるがごとく、しこうしてまた筑豊炭田等におきましても、縦坑を一人で掘ったのでは自分の鉱区だけでは足りない、他の鉱区も一緒に全体としてやっていくならば、採算がとれるような場所もあるのではないかということは私もわかっております。そういうものにつきましては、私は遠賀川の問題として調査費を要求し、今後そういう方面で一つ通産省もやっていこうかという気持を持っておるのであります。ことに雲なしかもまた原料炭が掘れるというふうなところにつきましては、私は今後財政的に相当援助して、そして安いいい石炭を掘るということにつきましての検討は続けておるのであります。
  41. 八木昇

    ○八木(昇)委員 石炭は斜陽産業だというような言い方が、一般的に最近よく言われておりますけれども、これについてのお考え方も承っておきたいと思うのです。たとえば電力の場合一つを考えてみましても、電力用石炭の需要というもの一つをとって考えてみましても、まだ相当に拡大をしていくということが明らかではないか、こう思うのです。そこで今まで通産当局が打ってこられた手は、石炭制限というような点にすべてが重点的にかかってきた。石炭需要そのものについての将来の見通しというものは、エネルギーの消費量の全体的な増大の割合と同じ比率に高まるかどうかということについては、いろいろ議論があって必ずしもそうはいかないと思いますけれども、石炭の需要総量としては、やはりずんずん拡大していくのではないか、こういうふうに考えるわけです。それにもかかわらず、この石炭産業というものが、常にこういうふうに景気だ不景気だというようなことで、そのつどやはり不安定な状態を続け、非常な苦労をこうむつておるのは特に労働者である。こういう状態は非常に遺憾だ。そこで石炭需要の将来性についての通産大臣のお考え、もう一つ通産大臣は電力問題その他についても相当お詳しいと私どもかねて承っております。そこで石炭と電力との関係、従来の推移を見ますと、石炭の値段が非常に不安定で一つも安定をしていない。そして豊水の時期と渇水の時期でもって、常に石炭を電力会社が使う消費量というものが安定をしない、そのつどそれが石炭鉱業の景気、不景気というようなものに深刻な影響を与える、こういう状態に対するところのやり方、対策としてどういうお考えを持っておられるか、これを率直簡明に御説明いただきたい。
  42. 池田勇人

    ○池田国務大臣 石炭企業の将来の問題でございますが、これは他の機会にも申し上げましたごとく、わが国における最も重要なエネルギー源でございます。しかもこれを増産することによりまして、原油、重油に対する外貨のあれを節約することもできます。そしてまた一つの産業といたしましては、機械に次ぐいわゆる就労者の多い産業でございます。だからこれをどうしても伸ばしていかなければならぬと思っております。しかしお話しの通りに、四、五年前を基準にいたしまして石炭の全体の量は四%ぐらいしかふえておりません。重油は八〇%、電気も六〇%であります。この伸び方が非常に少ないということは、これはわが国ばかりではございません、各国ともみなその軌を一にしておるのであります。それはどこにあるかということになりますと、やはり石炭の炭価の問題、しかもまた労働争議その他が起こりまして、安心して石炭にばかりたよれないという消費者側の気持もあるのであります。もう一つは、非常に産業が伸びましたとき急に石炭が間に合わぬというときに、重油にたよるというような価格以外の問題もございまするが、通産省といたしましては、先ほど申し上げましたような条件、すなわち外貨と労働関係、あるいはわが国の最も大きなエネルギー源ということから、これをできるだけ増産していきたいという気持を持っておるのであります。そのためにいろいろ対策を練っておる次第でございます。単に燃料ということばかりでなく流体化の問題につきましても検討を加えておる次第でございます。  次に、石炭企業は非常に不安定である、電気関係に一番たくさん使用するのでありますが、豊水渇水によってあれだということ、これは私は、今後の問題として考えなければなりません。だから価格を安定し、長期契約をして、そうして石炭業の安定と同時に、電気事業者が石炭と協力するという態勢をとってもらうことが必要じゃないかと思っております。今でも電気関係の業者は相当炭鉱の苦しいことに同情いたしまして、相当貯炭をいたしておるような状態でございますが、今後石炭のあり方としては私は大需要者と長期に契約をして、そうして業者の安定をはかりたい考えで進んでおるのであります。
  43. 八木昇

    ○八木(昇)委員 今の電力用炭の問題は相当重要な問題だと思うのですが、これは電力業者方面の考え方をいろいろ仄聞しますと、年間の電力が使う石炭の総量というものをある程度きめて、その場合に豊水の年でもそれから渇水の年でも、もう契約をしたところの一定の石炭の総量というものは必ず引き受ける、そこで渇水の場合にはそれだけ石炭が足らない、その分を重油でとる、それから今度は逆に豊水の場合に重油の消費量を減らそう、こういうように豊水の年でもやはり約束した通りの石炭を引き受ける。ある程度のゆとりを残しておいてその部分だけ重油を消費する、こういうような考え方というか、そういうようなものが出ておるように見受けられるのです。一体火力発電所におけるところの石炭消費対策というものについて、どういう積極性をお持ちか。電力業界あたりのそういう考え方についてどういう御批判をお持ちか。これを承りたいと思います。
  44. 池田勇人

    ○池田国務大臣 私は今の長期契約ということは、そういう考え方は頭に入れていかなければならぬと思います。しかも電力との問題が出ましたが、その問題と同様に重要なことは、今三千種類に上っておるような石炭の規格をやはり火力発電のところには規格を懇談しまして、運送その他に非常に便利な方法をとるということが、ぜひこれは今の長期契約と同様に必要な問題だと考えております。
  45. 八木昇

    ○八木(昇)委員 それともう一つ、それに関連してですが、今のように電力会社が九つに分割をされておって、従って資本力が九つに分かれておる、こういう状態のもとにおいては国家経済全体の立場からする合理的な電力政策というものがエネルギー対策との関連においても十分に行なわれないのではないか。たとえば山元発電という問題を考えてみた場合でも、九州は炭鉱地帯です。しかしながらその山元で発電をして、そうして本州へその電力を送る、こういうようなほんとうに合理的な運営はなかなか行なわれがたいのではないか。そういうふうな点についてもやはりこの際もっと突っ込んだ施策というものが必要ではないかということを感じるのですが、この点についてお答えいただきたい。
  46. 池田勇人

    ○池田国務大臣 お話しのような意見が相当民間でなされておるということは存じておりますが、通産大臣としてそれに対しての結論を今申し上げるわけにいきません。
  47. 八木昇

    ○八木(昇)委員 まあ端的な結論を今すぐ求めようとは思わないのですけれども、やはりそういう矛盾というものがいろいろな面から随所に出てきておって、やはり相当国家管理的な要素というものが、好むと好まざるとにかかわらすこの石炭問題と関連して台頭してきておるのではないかという点を、私としてはこの際強調しておきたいと思うのです。  そこであまり長い時間をあれしても何でございますから、あと二、三の質問にとどめたいと思いますが、そこで早急にこの石炭対策についての具体策というものを確立をして、そうして行政措置でできるものは行政措置で、それから立法措置を要するものは法案を作って提案をするというような立場をとられまして、そうしてこの国会におきまして具体的な議論ができるような方向に、至急にやはり進めていただきたいということをお願いするわけです。  そこでそれと関連をしまして、今までの通産省のやり方は、ともかく今後何人離職者が出るかもしれないが、現実に相当炭鉱離職者が出ておるから、さしあたりはそれに対する対策の法案を臨時国会に出す、それから今度は方において、石炭問題を今後どうするかというようなことについては、椎名官房長官の語ったところによると、現在の石炭鉱業合理化法にあるところの石炭業審議会をある程度拡大改組したい、こういうことを語っておる。問題が断片的にぽんぽんと飛び出してきておって、総合的、有機的な、本腰を入れての石炭対策に乗り出しておるという感じをわれわれとしてはなかなか持つことができない。そこで今の椎名官房長官の言われる石炭審議会構想というものについて二、三伺っておきたいと思います。石炭鉱業合理化法にあるところの石炭審議会というものは、申すまでもなく石炭鉱業合理化計画に基いて石炭鉱業を整備し、坑口の開設を制限することによって石炭鉱業の合理化をはかることを目的とするという石炭鉱業合理化法の趣旨にのっとったものです。それの中の石炭審議会を拡大改組するという考え方、それは結局今の石炭危機に対する抜本策をこの審議会でやらせようというわれわれの希望とはずいぶん違うのではないかという印象を持つ。この石炭審議会の拡大改組問題についてのお考えを述べていただきたい。
  48. 池田勇人

    ○池田国務大臣 石炭鉱業合理化法に基づきまする石炭鉱業審議会は、御承知通り三十名をもって構成いたしております。そのうち政府の役人が五名ほど入っておりますが、私は政府の役人の五名をはずしまして学識経験者をふやしてその組織をかえたのであります。しかしこういう石炭の将来の問題を審議いたしますのには、こういう大きいのではちょっと話が進みにくいと思いまして、十名を選びまして石炭の基本問題についての特別な検討を早くやっていこうというので、その委員を先般任命いたしました、この顔ぶれは石炭鉱業から二人「労働者但から二人、そして消費者側から二人、そして学識経験者から四人、こういうのでいたしたのでございます。ここで名前を申しますると、製造者の方は三菱の伊藤さん、日本石炭鉱業連合会の菊池さんでございます。労働者の方は重枝さんと藤岡さん、それから消費者の方は菅さんと八幡の小島さん、そして学識経験者の方が有沢さん、円城寺さん、青山さん、稲葉秀三さん、この四人にお願いいたしました。この土曜日から始めることにいたしております。私はそうすることがやはり一番手っとり早い——しかしあくまでこれは石炭審議会の構成員から選んでおりますから、結論審議会にかけるつもりでございます。
  49. 八木昇

    ○八木(昇)委員 ちょっとはなはだ失礼なんですが、前段の方、私ちょっと聞き漏らしたのですが、それは通産大臣の私設機関というような形で設けられたのですか。
  50. 池田勇人

    ○池田国務大臣 先ほど申し上げましたように、石炭鉱業合理化法に基づきます石炭審議会のうちに置いておるのであります。
  51. 八木昇

    ○八木(昇)委員 そうしますと、椎名長官が発表しておられますものとの関連、その構想がもし具体的にあの通りに報ぜられておるごとく進められていくとすれば、それとの関連はどういうふうになっていきますか。
  52. 池田勇人

    ○池田国務大臣 大体椎名君も私の考えを言ったと思いまして、椎名君が別に設けるのじゃないと思います。
  53. 八木昇

    ○八木(昇)委員 官房長官の発表によりますと、これは拡大改組して、委員を現在数の三十人以内から四十五人ないし五十八積度にふやすことにする。それから審議する内容についても従来の内容からさらに拡大をして、石炭の標準価格の問題とか、非能率な炭鉱の買収問題などを主とするけれども、一般エネルギーの総合対策立場からのすべての問題をここで討議し、立案する、こういうような形に発表されております。
  54. 池田勇人

    ○池田国務大臣 私はこういうものを考えておるということを椎名君には言ったことはございますが、人員その他については言っておりません。椎名君がどういう考えでございますか、私は通産大臣の責任におきまして、こういうことでやっていけばいいんじゃないか、しかも人数その他につきましては、先ほど申し上げましたように石炭審議会は三十人でございますが、やはりこういう問題は十人程度がいい、もちろん石炭審議会には今話しております基本問題部会とか、あるいは生産部会とか、あるいは価格部会とかいろいろ部会は設けておりますが、結局は三十人の審議会できめることになります。その案をいろいろ部会で作ろうといたしておるのであります。十人では少ない、あるいはまた専門的な人を呼ぶというときには、専門委員でまかない得ると私は思います。学識経験者についても、私はたとえば安芸さんなんかはどうだろうと思ったのですが、やはり人数を制限しておりますから、しかし専門家は常に来て意見を言っていただくように、考えております。
  55. 八木昇

    ○八木(昇)委員 まあそれにつきましては、私の希望としましては、鉱業合理化法の中の石炭審議会の中の組織ということではなくて、もっと根本的な独立機関といいますか、そういう形ででも設けてもらいたいという希望を持っておりまして、それらにつきましてはいずれ二十日前後ころに法案を準備をしまして議員立法としてでも提案をしたいと思っておりまするので、さらに詳しくはそういう際にでも議論をいたしたいと思います。きょうのところでは時間が切迫いたしましたので、最後に一問だけ質問いたしまして終りたいと思います。  最近の石炭不況に基づくいろいろな人員整理、いわゆる企業合理化の名のもとに行なわれておる人員整理は、非常に大きな社会問題になっておるわけであります。それについて中山中労委会長が、この事態を何らか解決すべきである、それがためにみずから乗り出そうとする態度を天下に公表せられたことは御存じの通りだと思います。そこでこういった問題は、単に労働省所管というふうに割り切れるものではなく通産省としても非常に重大な関心が持たれる問題ではないかと思うのですが、こういうふうに現実にどんどん首切りが進行しつつあり、そしてそれが全国的に、特に石炭の炭鉱地帯におきまして、非常な大きな社会問題になっておることについて、特に中山中労委会長あたりが、ああいった態度を打ち出しておることについて通産大臣としてのお考えを承っておきたい。
  56. 池田勇人

    ○池田国務大臣 私は中山さんの気持を聞いておりません。しかも中山さんはいつどういう機会にということも言っておられぬようであります。従いまして、この機会に中山さんの意見に対する発言はいたしたくないと思います。
  57. 八木昇

    ○八木(昇)委員 実際に今企業合理化が行なわれ、人員整理がどんどん行なわれておる。そして相当深刻な事態を生んでおるが、通産省としてはその事態について、これは今のところは傍観するよりほかにいたし方ない。こういうふうに感じるわけなんですが、お考えを承っておきたい。
  58. 池田勇人

    ○池田国務大臣 先ほど来申し上げましたごとく、離職者に対する対策を考え、労使の間でうまく話し合いがいくことを念願しておるのでございます。私が今労使の間に入ってどうこう言うことはよくない、その時期でないと考えておるのであります。従って傍観はしておりません。非常に関心を持って見守っておるのであります。最近におきまして、住友石炭が労使の間にうまくいったということは、私非常に喜んでおるのであります。ああいうふうな方向へいくことを望んでおるのであります。
  59. 八木昇

    ○八木(昇)委員 一応これで終ります。
  60. 中村幸八

  61. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 昨日はわが国の自由貿易につき、さらに繊維原料につきまして大臣の所信を明らかにしていただきましたので、わが国の産業に大きな指針を与えたと思うのであります。  私は昨日に引き続きまして一問だけお聞きしたいことは、最近英国、フランス等、またヨーロッパ各国の輸入制限の緩和、特に対ドル地域に対する自由化が予想以上に進展しつつあるにもかかわらず、ひとりわが日本に対する輸入制限のみが取り残されておることになっておると思うのであります。国際貿易の場裡から締め出されることになりはしないかというようなことを憂えているのであります。これは日本の輸入に対する自由化率が、全体としてきわめて低く、特に製品の輸入について極度の制限を続けていることに基因すると思うのであります。最近新聞紙上等に製品等の輸入制限緩和の記事を散見いたしますが、この点について産業界ではいろいろな憶測をしておると思うのであります。これらを安定をし、また指針を与えるために、通産省といたしましてはその構想、また大臣としての所信を、当委員会を通じて国内の産業人、または取扱い業界に明らかに示されることが、最も妥当であると考えるのでありまして、特にこの点につきまして、大臣には御迷惑と思いますが、御答弁をお願い申し上げたいのでございます。
  62. 池田勇人

    ○池田国務大臣 昨日長谷川委員の御質問に対しまして貿易自由化の方向に向かって進んで参ります。これが貿易政策の根本であるということをお話し申し上げました。私はできるだけ早い機会にヨーロッパ並みに自由化いたしたい。しかしそれには順序がございます。国内産業に及ぼす影響をできるだけ少なくいたし、しかもまた片っ方ではなるべく早く、たくさんやっていく、こういう間にはさまって、いろいろ研究いたしておるのであります。時あたかもガット総会が東京において開かれております。私はこの機会に、やはりガットに対してのわれわれの立場を明らかにする上からいたしましても、最近考えておることをここで一つ申し上げたいと思います。  昨日お話し申し上げました中で、第一の今の対ドル地域に対する制限十品日中、昨日は銅合金くず、ラワン材、この二つのものを一月からAA制にする、こう申しておりましたが、昨日検討の結果、銅合金くず、ラワン材の二品目だけでなしに、石こう、アバカ繊維、これも来年の一月からAAにいたしたい。なお残りの六品目につきましても、これは昨日申し上げましたように国内法の整備、そして産業界の準備等を考えまして三十五年度できるだけ早い機会にAA制に移行したいということで、準備を進めております。対ドル地域の十品目以外にさらにほかのものにつきましても検討を続けまして、今後随時AA制にいきたいと思っております。大体従来特別外貨資金割当としておりました品目のうち、これは百五、六十あったと思いまするが、そのうちココア・バター等約六十五品目は、来年の一月からAA制に移るということを発表いたしたいと思っております。またバーター輸入品目のうち、これは主として中華料理の原材料でございますが、これを十五品目、これもまた一月からAA制にいたしたい。また機械の輸入につきましては、申請があれば無制限に割り当てる制度、こういう制度を設けたいと思います。種類は事務用機械等でございますが、今まで押えておりましたが、相当の品目を無制限に許す。AA制に移すというのと、無制限に移すというのとどこが違うかと申しますと、一応はAA制の格好をとると申しましても、すぐそれに移っていくのがまだ不安な点がございますので、一応申請はさせますが、申請があった場合には無制限に認める。毎日きてもいけませんから、一週間に一ぺんとか、あるいは月に一ぺんくらい申請してもらいまして、それを見まして、出たものは一応無制限に許す。AA制ではないが、実質上はAA制というような格好に、機械も持っていきたいと考えております。また消費財につきましても、わが国におきましても相当競争力ができてきておりますので、国民生活の向上の見地からも、さしあたり一月から楽器とか運動具等三十五品目につきまして、AA制ではございませんが、今申し上げました無制限割当制というものをやっていきたい。またテレビとかほしブドウ、ウイスキー、菓子、繊維製品の一部等、従来協定関係に限って輸入しておったのでございまするが、これを協定関係の国のみならず、ある程度のものを他の地域、いわゆるグローバル式にやっていきたい、こういう考えを持っておるのでございます。また万年筆とか双眼鏡というのを、従来輸入禁止しておったのでございまするが、一定制限のもとに輸入を認めていきたい、こういう従来よりも相当進んだ考え方で、AA制に移行することにいたしておるのでございます。これは、先ほど申し上げましたごとく、ガット総会が開かれておりまするから、今明日中にガットの方へ申し出るつもりでございます。
  63. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 非常に広範囲にわたっての実施を行なうにあたりまして、やはり産業界に及ぼす影響もあるごとでございますので、ぜひともこういう小さいこまかいことを、またなかなか通産省としても各業者の一人々々に通達するわけにはいかないのでございまするから、新聞等を通じてこまかに示されてなるべく早目にやるということが、行政上一番いい方法だと考えますので、どうかその点に十分御留意下さいまして、御発表願いたいと考えております。どうもありがとうございました。
  64. 池田勇人

    ○池田国務大臣 きょうの午後、各品目を発表することにいたしております。
  65. 小川平二

    ○小川(平)委員 関連して。今、昨日お話のありました二品目のほかに、石こうその他を追加なさるというお言葉がございました。石こうは、御承知通り、生産がほとんど小規模ないし零細規模のメーカーによって行なわれております。それからまた自然的な制約がありますので、この合理化の努力をして、競争力をつけていくということもまず困難といわなければならない。それからまた、今日まで、国内需要のほとんど全部が、国産品でまかなわれておるというような事情もございます。従ってこれをAA制に切りか、えるについては、それらの特殊事情について十分御検討の上、方策を講じていただけることと存じますが、これはいろいろ業界にとって非常に深刻な問題でもありまするし、対外的な関係もございましょうから、きわめて具体的な御答弁をいただきたいとは申しませんが、今申し上げましたような事情を十分御検討下さっての上のことと存じます。その点いかがでございますか。
  66. 池田勇人

    ○池田国務大臣 お話しの通りでございまして、数十社ありまする石こう業者の財産状況も調べまして、ただいまのところAA制に移しまするが、四五%の品位以上のものをAA制にするということで、国内業者もやっていけるんじゃないかという考えでございます。
  67. 中村幸八

    中村委員長 次は中井一夫君。  中井君に申し上げますが、時間もだいぶ経過しておりますから、ごく簡単にお願いいたします。
  68. 中井一夫

    中井(一)委員 大臣が御出席になりましたから、あらためて大臣に、中小企業の根本問題、ことに小売商対策に対する御所見をお伺いいたします。ただ何分時間がございませんから、きわめて要領のみを申し述べて、大局的な大臣の御所見を伺いたいと思います。  まずもって割賦販売問題に関し私の要求をいれられ、各百貨店、各信用販売会社に対し大臣勧告をお出し下さったことを感謝いたします。  さて小売商問題がどんなにむずかしいかということにつきましては、事がわが国人口過剰の問題から出ておりますために、これを単に事務的に解決することは不可能であって、その他の根本的な施策の断行を必要とすることは申すまでもありません。しかしながら、今やもはやこれを放置することはできない。大臣も、御就任以来、常にこれが解決の必要を強調しておられます。ぜひ大臣の御在任中に、その曙光の実現を切望する次第であります。つきましては、政府みずからの見解において、適当とする方策を実施せられることも必要ではありますが、同時にきびしい体験から、困難な状態を切り開いて進んで行きつつある業者自身の希望を聞いて、それによって施策を立てられるということも、きわめて必要なことと思うのでございます。  実は、昨日全国小売商振興大会東京において開かれたのでありますが、その宣言としまして  「われわれ全国百五十万店舗、家族従業員を含めて人口の一割を占める小売商は、同業者の過剰による過当競争と、大資本、百貨店等の重圧の中で苦しい生活を余儀なくされている。戦後、百貨店法小売商業調整特別措置法など小売商保護のための立法措置がとられているが、いずれも極めて不充分なものであり、真に小売商の前に立ちはだかる障害を取り去ることのできる法律にはなっていない。   中小企業対策の中でも特に、小売商ごとく、圧倒的に零細な業者をすくい、その経営と生活を安定せしめるためには、まず第一に、大資本の小売業界進出に対して、これを抑える思い切った政治を実現しなければならないのであって、われわれは、政府、並びに政党が、中小企業に対する政策を、中規模業者対策に止めるのではなく、零細業者に対する政策として確立するため大資本規制の思い切った施策の実行を望むものである。更に、今日ここに小売商運動史上はじめて「振興大会」と銘打った所以のものは、小売商の環境整備的立法に止まることなく、政府、政党が、小売商の積極的振興助成についての政策確立を強く望むところにあるのであって、この二つの政策は、車の両輪の如き不可分のものである。」 こういう言葉が宣言の中心をなしておるのでありまして、私はこれは当然の主張であると思うのでありますが、これに対して、政府は一体、こういうような業者の考え方に対し、いかなる施策をもって臨まれようとするのか、まずその根本的な御所信を伺いたいのが一つです。  さらに、その決議といたしましては、  「一、百貨店法を強化改正すること。  一、小売商業調整特別措置法を強化充実して、小売商振興法とすること。  一、中小企業団体組織法を改正して団結権と団体交渉権を主軸とした中小企業基本組織法とすること。  一、小売商の業種別並びに地域的振興対策を確立すること。  一、小規模事業者の事業税を撤廃すること。  一、売上税の創設は絶対行なわないこと。  一、事業所得と勤労所得との分離課税を実現すること。  一、独占禁止法の緩和改正は絶対行なわないこと。」  以上の八項目をあげて、その全体の希望を明らかにしておるのであります。今大臣にこのことを突然申し上げて、直ちに一々について回答を求めるということは無理であろうと思うのでございますが、大体この宣言と決議の主軸、その底流をなしておるところのものは、きわめて明確であると思うのであります。従いまして一々についての御所見をお述べになる必要はございませんが、これら業者の真剣な主張と、心よりの実現の希望とに対する通産大臣としての御所見はどうあるか、またこれに対する施策の実現をするために何らか御研究中のものでもあるであろうか、これを伺っておきたい。
  69. 池田勇人

    ○池田国務大臣 私は日ごろから中小企業、ことに零細企業者の方々の生活の向上をはかっていくことが、政治の根本であるということを考えておるのであります。せっかく通産大臣の職につきましたので、従来の金融機関あるいは組合組織の強化等々をこの上とも進めて参りまするが、零細企業者の方々の指導育成、と言っては言葉が悪うございますが、相談相手になってできるだけ指導し、また協力するための一つとして次の国会に商工会法という立法をいたしまして、零細企業者、小企業者の向上発展をはかっていきたい。  今お話の問題につきましては、その詳細を後刻いただきましてわれわれの研究の参考にいたしたいと思います。
  70. 中井一夫

    中井(一)委員 中小企業特に小売業者に対する大臣の理解ある御所信を明らかにされてまことに幸いに存じます。ぜひ商工会法の御提出を期待いたしますが、それはただ一方策に過ぎません。ただいま申し上げた八項目に関する個々の具体的な御所見は、あらためてお伺いする機会を得たいと存じますから、そのときには詳細な大臣の御意見を御発表下さらんことを希望して、私の質疑はこれで終わります。
  71. 中村幸八

    中村委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。     午後零時四十二分散会