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松野国務大臣 武藤委員のように、非常に国家の
産業に苦労されて、ほんとうにあの危機を御努力された
労務者の
方々がおられますから
日本の
産業が今日まで復興したのだ、今になって弊履のごとくということは、これは断じてやるべきではないというので、こういうふうなほかの
産業にやったことのない特別立法というものをやっておるわけであります。こういうような
雇用問題として、
離職者の問題を出したことはありません。これはやはり多年の功績と
特殊性というものをあわせて、今回
石炭だけは、これはよかろうというので与野党一致して、これは今日御
審議をいただいて、御賛成をいただけるものだ、というのは、やはり
石炭の過去における努力が、今回国民の中から同情と、また
政府の
法案というものを出すようになったと思います。
なお労使問題につきましては、すべての
労務者が悪いということでは断じてございません。
炭鉱の労働組合の中には、暫時この際は、経営者であろうと
労働者であろうと、ともに同じ
産業をになうものであるから、労使休戦をやろうではないかという話がつけば、なるほどこれはおっしゃるように、新しいモラルの上に立って、敵と味方でなしに、お互いの
産業ではないかという考えで、大きな組合の方が、そういう労使問題の話し合いをされて、労使で満場一致やられておる組合もあるわけであります。私はすべての、炭労が悪いとか、
労働者が悪いということは断じて考えておりません。ただ一部の方が行き過ぎておられると、すべての場合にこれが及ぶ。これは非常に不幸なことであります。労使問題として、
石炭というものは、そういうふうに今日お互いに戦いではなく、みずからを立て直そうという、ともに
産業のにない手という基本的な考えから、この問題は解決してもらいたいということを真に望むわけであります。
政府がきめるということ、あるいは労使協約できめるということは、おのずからこれは限界がございます。私の
指導としては、やはりこの際とにかく闘争を暫時やめて、お互いの
産業の自立をはかろうじゃないか、しかる後にお互いの配分をきめようじゃないかということは、当然、
日本のみならず世界に通用するものだと存参じております。ドイツにおきましても、ある
程度炭鉱労務者の
合理化は行なわれております。やはりその問題の中には、労使間におけるお互いの理解で、今後の
対策というものを立てるべきである
——政府がこのようなものを立てましたという
理由はそこにあるわけであります。この
内容について厚い薄いの
議論はございますけれども、
方向としては、武藤委員のおっしゃるように、私は
石炭を契機として新しいモラルを立てたい。それには
政府が責任を負うべきものは負おうではないかというので、一般会計から、特に
石炭労務者と限って出したというその精神はおくみ取りを願いたい、やはり
産業はそういうふうにあるべきだ。利潤の多いときには賃金が
上昇するのは当然であります。しかしもし賃金が払えないという
状況のときには、お互い同士、労使ともにその
産業の立て直し、お互いのモラルをもう一度再
検討するというのは、
労働大臣としては当然なことだと私は考えております。これを強制するかどうかということは、
日本の労働法全般に及ぶことでありますから、今日は、私は
指導——また労働組合自身も、かつてにおいては、いわゆる戦いの労働組合でありましたが、今日は非常に大きな自覚と発展をされて、みずから
産業の
方向をきめるという段階にきたと思います。
産業の
状況と
方向をみずから立てるのだという時代がきた。かつては地主と小作の争いでしたが、小作農が自作農になれば、みずから農業
方向を立てなければならない。同じような
意味において、組合は、今までしいたげられた、圧迫されたというところから今日立ち上がって、団結と力、今度はみずから
産業の
方向をきめるというように、大きな成長をしたと思っております。そういう
意味で、全部の組合がそこまでいったとは申しませんけれども、一、二日立った場合はすでに自分の
方向を決定されるという
一つの大きなモラルが生まれてきていると思います。そういうような
方向で労働行政も進んで参りたいと考えております。