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1959-12-12 第33回国会 衆議院 社会労働委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十二月十二日(土曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 永山 忠則君    理事 田中 正巳君 理事 藤本 捨助君    理事 五島 虎雄君 理事 滝井 義高君    理事 八木 一男君 理事 堤 ツルヨ君       池田 清志君    亀山 孝一君       倉石 忠雄君    河野 孝子君       齋藤 邦吉君    志賀健次郎君       中山 マサ君    古川 丈吉君       山下 春江君    伊藤よし子君       大原  亨君    小林  進君       河野  密君    多賀谷真稔君       森本  靖君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 植竹 春彦君         労 働 大 臣 松野 頼三君  出席政府委員         外務事務官         (国際連合局         長)      鶴岡 千仭君         郵政事務官         (大臣官房人事          部長)     佐方 信博君         労働事務次官         (労政局長)  亀井  光君  委員外出席者         郵政事務官         (郵政局長)  板野  學君         労働事務官         (大臣官房審議         官)      大島  靖君         専  門  員 川井 章知君     ————————————— 十二月十二日  委員山口シヅエ君及び吉川兼光辞任につき、  その補欠として森本靖君及び河野密君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員河野密君及び森本靖辞任につき、その補  欠として吉川兼光君及び山口シヅエ君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 十二月十一日  原爆被災者援護法制定に関する請願細田義安  君紹介)(第一四四二号)  薬事法の一部改正に関する請願外三件(勝間田  清一君紹介)(第一四七四号)  同(芳賀貢紹介)(第一六八〇号)  結核治療費全額国庫負担等に関する請願(下平  正一君紹介)(第一四七五号)  鹿屋市立伝染病院改築に関する請願二階堂進  君紹介)(第一四七六号)  簡易水道の普及に関する請願五島虎雄君紹  介)(第一四七七号)  同(池田清志紹介)(第一五二六号)  水俣病対策早期樹立に関する請願五島虎雄  君紹介)(第一四七八号)  高尾野町の失業対策事業に関する請願池田清  志君紹介)(第一五二四号)  出水公共職業安定所移転改築に関する請願(  池田清志紹介)(第一五二五号)  労災、船員保険料率の改善に関する請願(鈴木  善幸君紹介)(第一五二七号)  会津若松市に職業訓練所設置請願菅家喜六  君紹介)(第一六八一号)  けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護  法の一部改正に関する請願横路節雄紹介)  (第一六八二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  労働関係基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 永山忠則

    永山委員長 これより会議を開きます。  労働関係基本施策に関する件について調査を進めます。発言の通告がありますので、これを許します。河野密君。
  3. 河野密

    河野(密)委員 最初郵政大臣にお尋ねしたいのでありますが、最近郵便物遅配によって国民生活に非常な支障を来たし、これを何とかしてほしいという声が高まっております。これに対しまして政府、特に郵政当局はどう考えているのか、郵政当局郵便物配達についてどういう責任をとられようとしておるのか、責任を感じておられないのか、こういう問題でございます。     〔委員長退席田中(正)委員長代理着席〕 私は昨日関西から帰って参りましたが、静岡版を見ますると、静岡県だけで郵便物のたまっておりまするものが百四十万通、それから静岡局だけで十七万通、こういうことでございますが、郵政当局全体の、全国を通じての郵便物滞貨状況、それはどの程度になっておりますか、そしてそれをどういうふうに処置しておられるか、これを一つまずお尋ねしたいと思います。
  4. 植竹春彦

    植竹国務大臣 ただいま私が手にしております報告によりますと、通常郵便物四百三十七万通、小包が五万個という数字になっております。責任の問題の御質問に対しましては、郵政仕事につきましては一切私が責任を持っているものと、さように明確に責任を感じております。
  5. 河野密

    河野(密)委員 郵便物遅配している原因については、どういうふうにお考えになっておりますか。私の知る限りにおきましては、全逓労組政府並びに郵政当局の間に円満を欠いておりまして、全逓に対して団体交渉を拒否して、本年春の仲裁裁定二百五十円は全逓のみに限っては支給しない。それから年末手当、年末繁忙手当等についても郵政当局は支給しておらない。このために時間外労働協約ができないために、こういう結果を来たしておると伺っておるのでありますが、郵政当局はこの郵便物滞貨状況につきまして、その原因はいずこにあるとお考えになっておりますか、これを伺いたいと思います。
  6. 植竹春彦

    植竹国務大臣 この原因につきましては、これは団体交渉の問題と必ずしも関連がない。関連もございましょうが、必ずしも関連がない、さよう考えております。と申しますのは、団体交渉の問題が起きる前からこの遅配問題が、サボタージュの問題がございますので、この問題は全逓闘争方式によることだと存じます。しかもこの遅配の問題は、数において一見非常に多いようになっておりますけれども、全国的に見ますとごくごく少数の郵便局で行なわれておるのにすぎないのみならず、この全逓闘争指導が行われますと、その郵便局遅配が始まりまして、闘争指導を解除いたしますと、急に遅配がなくなる。そうしてまた闘争指導が行なわれる他の郵便局にこのサボタージュが発生するという、この事実から見ましても、この問題が必ずしも団交関係がありと断定することができない実情でございます。
  7. 河野密

    河野(密)委員 今の郵政大臣の御答弁によりますると、この郵便物遅配責任はすべて、あげて労働組合方針にある、こういうような御答弁でありますが、郵政当局は、当局には何らの責任はない、あげてこれは従業員責任だ、こう言い切られるのでありますか。
  8. 植竹春彦

    植竹国務大臣 郵政に関する一切の問題については私にも責任があることは、最初に明確に申し上げた通りでありますけれども、この原因組合闘争方式によるときには、組合もまたその責任を感じなければならないと存じます。  なお前に答弁漏れがございましたので追加答弁申し上げますと、二百五十円の問題でありますが、二百五十円を一部の組合員に支払い、他の一部、すなわち全逓に支払わないということは、むろん私たちの本意とするところではございません。同じ郵政傘下である点におきまして全逓諸君は私の仲間であり、従業員という立場において私の部下でございます。同じ郵政傘下で苦楽をともにいたしております従業員には、でこぼこなしにみんなに二百五十円上げるときには上げたいのでありますけれども、ごらん通り法律を犯し、今日では全逓という組合に、法的に認められた代表者がございません。交渉の相手もございません。これが法律通り組合になるのを待って団体交渉を再開し、仲裁裁定も受け、すみやかに二百五十円を払いたいというのが私たち方針でございます。
  9. 河野密

    河野(密)委員 二百五十円についても、支給したいんだが全逓組合員の法的な問題云々ということでございました。この法的な問題についてはあとでまたお尋ねいたしますが、ほかの官署あるいは現業等については年末手当なり年末繁忙手当なりが出ておる。しかるに郵政省に限って、全逓従業員に対しては年末手当も支給しておらないし、その話もついておらないし、年末繁忙手当も出すようにはなっておらない。あなたは郵政大臣として、この事実をごらんになって、それで差しつかえないと考えておられるのですか。そして郵便物滞貨その他の全逓闘争というものがあって、その非はあげて従業員の側にあるんだ、こう考えておられるのか。手当を支給されなくても、あなたは何ら心にやましいところがないとお考えになっておるのか、これを伺いたい。
  10. 植竹春彦

    植竹国務大臣 全逓の年末手当につきましては、どのよう考えにするということはまだ発表段階になっておりませんけれども、全特定、全郵政に対しましてはすでに団体交渉も妥結いたしまして、年末手当を払うことになっております。全逓に対してもむろん考えておりますし、公正に、公平にやっていく方針であるということはさきに申し上げたわけでございますが、全逓が合法化されるまでは団体交渉はしないという私たち建前でございますので、合法化してくれますればさっそくにもこの問題を全逓と打ち合わせる段階になりますが、たとい打ち合わせることができないまま推移いたしましても、郵政省といたしましては年末の問題については十分考慮はいたしておりますし、超過勤務協定を結んでくれますれば超過勤務手当も支給する、さよう方針でおります。
  11. 河野密

    河野(密)委員 郵政大臣に伺いますが、かりに団体交渉は結ばれなくとも、年末手当あるいは年末繁忙手当というものを支給する、こういうことは郵政従業員に対して当局としては十分その意思をお伝えになっておる、こういうことですか。
  12. 植竹春彦

    植竹国務大臣 超過勤務手当等はこれは超過勤務に関しまするいわゆる三六協定を結ばれれば、これが支給できるわけでありますが、その他の手当につきましては、目下どういうふうにすべきかということを郵政部内において検討中でございますが、どっちにいたしましても団交ができない場合には、昨年と同じように一方的に郵政省の方で考えまして、これならば適当であるという態度をとることにいたします。
  13. 河野密

    河野(密)委員 大臣に伺いますが、全逓組合から政府に向かって団体交渉申し入れをしたはずでありますが、この申し入れをしたということはお認めになりますね。
  14. 植竹春彦

    植竹国務大臣 申し入れを受け付けておりません。合法化した組合からの申し入れ受理いたしますが、合法化してない、代表者を欠いております組合からの申し入れにつきましては、ただいま受け付けておりません。
  15. 河野密

    河野(密)委員 今の大臣答弁は私は非常に奇怪だと思う。合法化しておらないから、その出たものは受け付けないという考え方というものは非常な間違いだと思います。私があとから申し上げるように、郵政当局自身全逓に対する見方を何べんか変えておるわけであります。憲法上あるいは労働組合法上すでに認められておる団体であることは郵政当局もこれを承認しておるのであります。団体交渉に入るか入らぬかはこれからの問題でありますが、再三再四団体交渉を開きたいということを申し入れておる事実は、これは事実でありますからお認めになるべきはずでありますが、どうでありますか。
  16. 植竹春彦

    植竹国務大臣 違法組合からの申し入れは絶対に受理いたしません。ただし違法組合といえども、どういうことを希望しておられるかという事実は、これは新聞を通しその他事務当局からも情報を聴取いたしまして、それは承知をいたしておりますが、正式受理は絶対にいたすことはできません。全逓という組合の存在は、これはもうだれでも認めておるところでございますが、交渉いたしたくても、全逓の総意であるという合法的の代表者を欠いておりますので、法律認められました代表者がない限り交渉の相手方がないわけで、従ってそれから差し出されてくる申入書というものも合法的な申入書と見ることができないために、受理いたさないのでございます。
  17. 河野密

    河野(密)委員 そういうことをおっしゃるなら郵政大臣に伺いますが、当局のお考えになっている全逓組合が合法的でないという理由は、一体どういうところにあるのでありますか、合法的でないというのはどういう点において合法的でないと考えておられるか、その合法的でない全逓組合というものの法律上の地位は、一体どういうふうに当局はお考えになっておるのか承りたい。
  18. 植竹春彦

    植竹国務大臣 昨年の春闘におきまして、政府からは認められておりませんけれども、全逓のただいまの役員と称しておられます、その春闘の当時はりっぱに役員でありました数名の人たちが、法規に違反いたしました行為がございましたので、郵政省は解雇いたしましたから、その人たちは今日では郵政省従業員ではない、従って組合員になる資格もなければ、まして組合役員にもなる資格がない人であります。その人たちは今まで全逓でたびたび大会を催されまして、それまでに政府としては、すみやかに法律に合った組合に立ち返ってくれるようにという申し入れ、また警告書をしばしば出し、その全逓が合法化する機会がしばしばあったのにかかわらず、これが合法的でないということを知りつつも敢然として非合法的態度を続けておられますので、もともと団体交渉というものは相互信頼のうちに労働条件を決定し、労働協約を結び、そして労使の関係を円満、円滑に遂行すべきであるという建前におきまして、この組合代表者を欠いた団体とは、一体だれと交渉したらその交渉事が合法的に成立するのであるかということに多大の疑問を抱かざるを得ない、また信頼することができない、その意味におきまして、代表者を欠きました組合とは正式な文書の受理あるいはそれに基づく団体交渉はできない、こういう建前でございます。
  19. 河野密

    河野(密)委員 労働大臣の今の点についての見解を承ります。
  20. 松野頼三

    松野国務大臣 全逓公労法によって規定されておりますから、公労法上の権利があると同時に、義務がございます。従って公労法上の団体交渉権を主張されるならば、公労法上の規定を守っていただきたい。これを欠いておるから権利が発生しない、こういうわけであります。
  21. 河野密

    河野(密)委員 この点についてはあとで伺います。  そこで郵政大臣にもう一つお尋ねしたいのでありますが、差し迫った問題として国民が非常に不安に感じておりますのは年賀郵便の問題であります。この年賀郵便について、先般参議院の森中議員質問に対しまして郵政大臣はこう答えておられる。各事業場において超勤協定を結べば完全に配達がされる、万一結べないときには実働十五万人、延べ三百万人の非常勤職員を動員して必ず配達させる、すでに全国郵便局の五一%が超勤協定を結んでおる、こういうようにお答えになっておるのでありますが、実際の郵便滞貨状況は先ほど私が申し上げた通りでありまして、当局もこれをお認めになっておるのであります。郵政大臣はこういうように大みえを切っておられますが、昨年度における年賀郵便処理状況を見ますと、二十二万人の全逓労働組合協力を得て、その上六十万人の非常勤を雇い入れてようやく配達をしておる。二十二万人のいわゆる熟練しておりまする集配人、配送者、そういうものを動員をいたしまして、それらの者が超勤協定を結んで、その協力を得て初めてこれが完全に配達されておる。それでも昨年はその協定を結んだ時期がおそかった、ややおくれましたので、非常な苦情が出て、一月の終わりに至るまで年賀郵便配達された事実をわれわれは知っておるのでありますが、ことしは一体年賀郵便の数量をどのくらい見積もっておられるのでありますか。全逓側の言うところによれば官製十億通、私製三億通、こういうので、十三億の年賀郵便が大体見込まれておるが、その十三億の年賀郵便支障なく配送するためには今から超過勤務協定を結んで、二十二万の全逓従業員協力を得なければできない、こう言っておるのであります。その実際に仕事を担当する者が、できない、こう言っておるのにかかわらず、大臣がいかなる根拠に基づいて、これは支障なくやっていけるんだ、こういうことを、しかも国会を通して言われたのでありますか。もしこの通りならない場合における責任大臣はどうしておとりになるか、どういう形で責任をおとりになりましょうか、これをはっきりと伺いたい。
  22. 植竹春彦

    植竹国務大臣 御質問順序答弁順序が違うかと存じますが、実働十五万人、延べ三百万人というお話でございます。また全逓は二十二万人の従業員というお話でございますが、二十二万の従業員全部が年賀郵便仕事に携わっておるのではございません。このうちの七万八千人が年賀郵便仕事をいたしております。その程度の埋め合わせでございます。そうしてまた私はこの年賀郵便配達という問題を、団体交渉あるいは二百五十円べース・アップとか、ILO条約批准とか、この問題と切り離して処理いたしていく方針でございます。と申しますのは、二百五十円べース・アップとか、ILO批准とか、あるいは団体交渉の問題というのは、これは公労法の問題として処理をし、また年末の問題は労働基準法の問題、ことに三十六条の問題と考えておりますので、団体交渉をしなくとも各種事業場、すなわち各郵便局局長さんと従業員諸君との間で三六協定超過勤務協定を取りまとめ、結べばこの問題が解決されるので、この方法、つまり違法組合団体交渉をしないでこの問題を解決していく。違法組合の問題は公労法の問題であり、年末年始郵便配達の問題は公労法ではない、違法組合の問題でない、団体交渉の必要はない、労働基準法の第三十六条によって個々従業員と、その職場の長たる郵便局長協定を結んでいけば合法的な協約ができ上がる、この方法をもって年賀郵便配達を完了していきたい、円満に、円滑に、迅速に解決していきたいというのがもっぱら私が——これはもっぱらです。もっぱら私が考えておる方式でございますけれども、どうしても全逓諸君がこれに応じない、こんなに国民諸君年始状をもらいたい、また年始状をやりたいと考えているのに、国民要望は無視するぞ、国民要望なんぞ聞いていられるかというわけで、この年賀はがき配達を拒否をして、国民にあたかも敵対するがごときこの争議をお続けになるならば、郵政省実働十五万人、延べ三百万人の非常勤を動員して、この私に課せられたる義務遂行するに邁進いたします、努力いたしますということを申し上げているのでございます。  さてそこで、それならば現状を見ますと、河野委員がお述べになりました通りに、今日では五一%というお話でございましたが、五二%以上、実はもっとそれ以上でございますが、そのたくさんの郵便局超過勤務協定を結びましよう、こう言ってくれておりますので、三百万人の必要は絶対にございません。これは楽にこの年末の問題を切り抜けていくことができるという自信が政府に一日々々とますます深まりつつある次第でございます。  それからまた、この年末年始につきまして、それならば、元日に全部完全に配達しなかったら郵政大臣責任だという、このことにつきましては、こういったよう年末年始のもんちゃくが起こらないときでも、元日の日付ではあるけれども、一月十日ごろに年賀状が届いているという事実はずっと長年来、何十年といって続いている事実でございます。これはわかりやすく申し上げまするならば、十二月二十八日まで特別扱いをいたしますが、たとえば鹿児島で三十八日に投函いたしました年賀状は、物理的に、これも少し極端な例でございますが、わかりやすいために例をとりますと、鹿児島から北海道には元日には到着しない。そこで、今日までといえども、長年にわたりまして元日に完配されたということはないわけでございますから、この程度遅配は、国民諸君はこのマイクを通じて御理解をいただきたい。また、まして委員皆様方におかれましては、何とぞ御理解、御協力をいただきたい、さよう考えておりますので、今回の年賀状の問題は、幸いに組合員諸君の三六協定現状にかんがみまして、私は今後もまだこの問題の成果を上げることができる、こういうように期待しておりますと同時に、全逓組合員諸君の中にも良識を持ちました、国民要望がどこにあるか、国民とけんかはしないのだというよう良識の持ち主がたくさんにおられまするので、この年賀郵便に対して必ず協力してくれる組合員がたくさんあるんだ、これは団交の問題、団体交渉組合の言うことを聞かないでも、個々良識に従って郵便局長協定いたしますれば、合法的に協定ができ、任務遂行ができるというわけでございますから、私といたしましては、社会労働委員皆様方におかれましても、何とぞ御協力賜わるようにお願い申し上げる次第でございます。
  23. 河野密

    河野(密)委員 郵政大臣は、ここで説教されるよりも、郵政省の中で一つやっていただきたい。私が聞いておるのは、現在でさえも郵政当局がお調べになった四百数十万通というものが滞貨しておる。私がきのう毎日新聞の静岡版に載っておりましたのを見ると、静岡県内だけで百四十万通すでに滞貨しておる。静岡局には十七万通滞貨しておる。数口間の分はたな上げにしてもらわなければ配送ができない、こう言っておる。こういうことが報道されておるんです。国民のこの苦情が、それは苦情にはいろいろありましょうけれども、とにかく国民郵便物遅配について非常に苦情を言っておるわけです。しかし、それはあげて従業員責任なんだ、郵政当局には何も責任がないんだといわんばかりのことをあなたは言われておりまするが、それで、年賀郵便についても、国会を通して、何ら差しつかえない、必ずやってみせる、そういうことはありませんと、こう今も言われたが、ありませんと言っていて、もしその場合があなたの言う通りと違ったら一体あなたはどういう責任をとりますか、おやめになりますかということを私は聞いておるのです。
  24. 植竹春彦

    植竹国務大臣 私は先ほどから申し上げます通りに、非常勤を動員しても私の任務遂行に努力をいたします、邁進いたしますということを申し上げておるのでありますが、邁進いたしましても全逓諸君が、国民の言うことなんぞ聞いてやらない……。     〔「国民の言うことじゃないぞ」と呼び、その他発言する者多し〕
  25. 田中正巳

    田中(正)委員長代理 静粛に願います。
  26. 植竹春彦

    植竹国務大臣 国民の言うことは知りません。     〔発言する者あり〕
  27. 田中正巳

    田中(正)委員長代理 御静粛に願います。
  28. 植竹春彦

    植竹国務大臣 その結果におきまして問題が起こりましたときには、組合員諸君で不当な行為がございますれば、それこそ組合員諸君責任をとるでございましょうし、郵政の全般につきましては私が責任を負っておるのだということを明確にまた繰り返して申し上げるわけでございますが、やめるかどうか、いかなる責任をとるかという私のとります責任方式につきましては、私は国民が納得するよう責任のとり方をいたします。一例をあげますれば、この国会において、国民代表たる議員皆さん方が、植竹はやめるべきである、信任せずという御決議がございますれば、国民代表皆さんの御決議でございまするから、私はむろんのことその御決議を尊重し、御決議通り責任をとる、こういう意味でございます。
  29. 河野密

    河野(密)委員 国会決議すれば、あなたの意思がどうあろうとも、あなたはやめなくちゃならぬ。そんなことを聞いているんじゃないのです。あなたは郵政当局として、これだけ国会を通して大みえを切って、郵政はがきのこと、言いかえるならば郵便のことはおれにまかせてくれと、こういわんばかりのことを言っているわけです。ここでそれだけの大みえを切って、必ず配達してみせますと、こう言われておるが、われわれはそれは非常に不可能であろうと思うけれども、かりに百歩を譲って、そういう今あなたの言われることをここで承認したとしても、できなかった場合においてのあなたの責任は重大だが、それだけの覚悟を持って言われておりますかと私は聞いておるのです。覚悟を持って言っている、私はいつでも自分の言ったことに対しては責任をとりますと、こう言ってもらえばいいのです。
  30. 植竹春彦

    植竹国務大臣 ただいま繰り返しての同じお尋ねで、同じ答弁でございますが、それが食い違っていると存じますのは、私は前々から申しまする通りに、あらん限りの力、努力をする、私に課せられたる目的、使命遂行のためにあらん限りの努力をいたしますということを申し上げておるので、また物理的、数理的にも、先ほど申し上げましたように実動人員、非常勤を動員いたしますならば、この年賀はがきの操作、仕事というものは、これはしろうとの非常勤でもできまするので、必ずこれは目的を達成することができるんだという自信を持っているわけでございますが、その自信に基づきまして、私は一生懸命にこの任務遂行に努力をするんだということを申し上げておるわけでございまして、もし万が一だめだったというような仮定の事実が起きましたならば……。(「仮定ではない、事実だ」と呼ぶ者あり)その事実がまだ現実になっておりませんが、その事実がどうなって現われるか、その現われ方がどういうふうな現われ方であるかというようなことにつきまして、世間の理解するよう責任のとり方でりっぱに責任をとるのだ、決して逃げたり隠れたりするのじゃない、責任をとるのだ、こういうことを申し上げておるのでございます。
  31. 河野密

    河野(密)委員 そういう回りくどいことをおっしゃらずに、それじゃ私の首をかけてやります、私はそのつもりですと、こう言えばいいじゃないですか。それが言えないんですか。
  32. 植竹春彦

    植竹国務大臣 やはり仮定の事実でございますれば、こういう場合にはどう、ああいう場合にはどうと、いろいろな条件を考えて申すほかございませんので、現実に現われましたところに従いまして、とるべき責任は必ずとります。
  33. 河野密

    河野(密)委員 はなはだ奥歯にもののはさまったよう責任のとり方ですけれども、まあその程度にしておきましょう。  そこで、先ほど来、郵政大臣並びに労働大臣がおっしゃられたことですが、全逓団交申し入れているのに対して、政府は頑強にこれを拒否しておるのであります。その拒否しておりまする理由は、全逓組合が合法的な組合ではないのだ、こういうことをしきりに言われるのでありますが、これも先ほどから、そのものずばりとはっきりおっしゃらないのですが、この全逓組合が合法的な組合でないとお考えになっておるその政府の理由は、これは公労法第四条三項の問題、こういうもので全逓組合は合法的な組合じゃない、こうお考えになっておると思うのです。念を押すまでもないが、これは一つ郵政大臣労働大臣、そういうことだろうと思うのですが、どうですか。
  34. 松野頼三

    松野国務大臣 四条三項及び労組法に関係がございますので、労組法の問題、公労法の中にも労組法の引用がございますから、そういう総合的な二つの法律で、この問題は違法であるというわけでございます。
  35. 河野密

    河野(密)委員 労組法とおっしゃいますが、そうすると、どういう労組法のどういうところに抵触するのですか。
  36. 松野頼三

    松野国務大臣 労組法の組合規約、団体交渉組合代表するものということにも関連がございます。
  37. 河野密

    河野(密)委員 局長から一つ……。
  38. 亀井光

    ○亀井政府委員 大臣の御答弁に補足して、申し上げます。公労法四条三項の規定に違反しております全逓労働組合でございまして、労働組合というものが、大臣が労組法の規定を準用されましたのは、現在の全逓労働組合が、委員長、副委員長、すなわち組合代表し得るものが欠けておる状態であります。これは公労法四条三項に違反しておるからでございますが、そこで公労法の三条で、労組法の十四条を適用しております。労組法の規定によりますると、労働組合団体交渉を通じて労働協約を締結する場合におきましては、書面によって、あるいは署名、記名または押印という手続規定が書いてございます。そこで今申し上げましたように、委員長、副委員長、すなわち組合代表者を欠いておりまする全逓労働組合としましては、団体交渉を通じての労働協約の締結が法律認められないというところに問題があるわけでございまして、その点を大臣が申し上げたと私は思います。
  39. 河野密

    河野(密)委員 公労法の四条三項、それから労働組合法の十四条ということでございますが、この公労法第四条の三項という問題については、これはすでに政府ILO条約第八十七号を批准するについては、これは抵触するものであるということで、削除することにすでにこれは大体方針をきめておるやに承っておるのですが、これはどうなんですか。
  40. 松野頼三

    松野国務大臣 二月の労懇の答申に従いまして、二月の閣議決定をしております。従って八十七号条約は諸般の条件を整備して、そうして批准するという方針を決定いたしております。
  41. 河野密

    河野(密)委員 諸般の条件を整備するという中には、第四条の三項、公労法の四条三項は削除するということが一番大きな整備条件だと思うのですが、政府はそれを閣議において、すでにお認めになっておるわけですか。
  42. 松野頼三

    松野国務大臣 労働問題懇談会の答申をあえて再びここで繰り返すわけじゃございませんが、正確に申しますと、公労法四条二項を廃止しなければならない。この廃止に当たっては、関係諸法規についての必要な措置、労使間の安定、業務の正常な運営を確保すること、この条件を閣議決定でいたしまして、そうして四条三項とあわせて、ただいま申し上げました通り、要するにそういうものが大事であるということの条件というのは、そういうものを指摘いたしておるわけでございます。
  43. 河野密

    河野(密)委員 四条二項を廃止しなければならないということは、閣議でお認めになったのですね。
  44. 松野頼三

    松野国務大臣 批准をいたすときには、そういうもの及びその他の条件を満たして批准をするということは認めております。
  45. 河野密

    河野(密)委員 くどいようですが念を押しておきますが、八十七号条約を批准するということは、すでに総理大臣労働大臣も何べんか本国会で言明しておるように、政府もすでにこれをきめておるわけですね、これはどうですか。
  46. 松野頼三

    松野国務大臣 八十七号を批准するという方針は閣議できめております。
  47. 河野密

    河野(密)委員 八十七号条約を批准するということはきめておる、その批准するについては四条三項を廃止しなければならない、こういうこともきめておる、こういうことですね。
  48. 松野頼三

    松野国務大臣 四条三項とあわせて国内法の整備であります。四条三項と国内法の整備とは同じものであります。同時に正常な運営の確保、これも同じであります。
  49. 河野密

    河野(密)委員 少なくとも政府ILO条約八十七号を批准するときめ、四条三項を削除するとして、これに伴ういろいろなあれはありましょうけれども、とにかく削除するということをきめておる。その削除するということをきめておる法律に違反しておる、こういうことをたてにとって、この全逓労働組合を非合法である、こういうことを言われる。その非合法であるという全逓組合法律上の資格、その権利の限界、それは一体政府はどういうふうに考えているのですか。
  50. 亀井光

    ○亀井政府委員 事務的な質問でありますので私からお答えいたします。全逓労働組合の違法、その法律的な根拠……(「大臣から、大臣から」と呼ぶ者あり)委員長から指名がありましたので……。
  51. 田中正巳

    田中(正)委員長代理 委員長指名をいたしました。
  52. 亀井光

    ○亀井政府委員 全逓労働組合公労法四条三項に違反した状態にあるということは、先ほど来労働大臣郵政大臣からの御答弁にございました通りでございます。そこで今御質問のこの組合の性格は何かということでございますが、全逓労働組合委員長、副委員長、すなわち組合代表者を欠いておる組合ではございますが、労働組合としては私はその本質を持っているというふうに解しております。ただ労働組合でありましても、委員長、副委員長、すなわち組合代表者を欠いておりますために、団体交渉もできなければ労働協約の締結もできないという状態にあるのが現在の全逓の性格だと思います。
  53. 河野密

    河野(密)委員 本年の春、人事院勧告があった際に、全逓だけを仲裁裁定から除かれた。これは労働組合として存在しておるその団体交渉の相手方とするにはその要件を欠いておる——こういうことはあとから議論いたしますが、団体交渉の相手方としては要件を欠いているというが、なぜそれならば厳然として存在しておる全逓仲裁裁定からはずされたのでありますか、これは一体どういうわけですか。
  54. 亀井光

    ○亀井政府委員 これは公労委御当局の判断に基づくのでありまして、私からその理由その他を申し上げる権限もないわけでありますが、察しまするに、全逓労働組合の、先ほど来説明申し上げました事情でございまして、仲裁裁定と申しますのは、御承知の通り団体交渉を積み重ねまして、団体交渉で、労使の意見が不一致であるという場合において調停の申請をする、あるいは仲裁に直接いく場合もございますが、普通の順序から申し上げますれば、調停の申請をする、調停委員会におきまして結論が出て、そうしてそれによって解決する場合もあるし、あるいはまた調停が不調に終わりまして仲裁に持ち込まれるという順序もあるわけでございますが、ことしの春の仲裁裁定が出ましたいきさつにおきましては、調停を経まして仲裁裁定へ移行したというのでございます。おそらく公労委の取り扱い方の内容につきましては今申し上げまするように、私ここで申し上げる権限もございませんが、おそらく団体交渉もしていない、従って労使双方の主張の不一致ということもない、そのままの形で公労委に持ち込まれても困るという判断ではないかというふうに推察をするのでございますが、公労委は独立機関でございますので、公労委の御判断をお尋ねいただくのならば、直接お尋ねいただかなければならぬと思います。
  55. 河野密

    河野(密)委員 私はその点、政府の見解が首尾一貫を欠いておると思うのであります。労働組合としての存在は厳然としてある。その労働組合法に基づく、あるいは憲法に確認されておるところの権利というものは厳然としてある。それならばなぜ仲裁裁定をこの全逓だけにおいて除外するのであるか、このことは私は道理が通らぬと思うのであります。団体交渉の対象とするに足りない、相手方がないのだから事実上できないのだ、こういうのが労働大臣郵政大臣の先ほどからの答弁だと思うのでありますが、あなたの言われるところによると、労働組合自身が要件を欠いておる、その組合としての条件を欠いておる、こういうような見解でありますが、そうじゃなく、労働組合団体交渉代表者を欠いておるから、交渉をやりたいのだけれどもできないんだというようなのが郵政大臣労働大臣の見解だ、私はそう思うのですが、一つ統一した解釈をはっきりと言っておいていただきたい。
  56. 亀井光

    ○亀井政府委員 労働組合は労組法の第一条にございますように、経済的な地位の向上ということをその使命とし、その目的といたしておるわけでございます。労働条件の改善その他経済的地位の向上は何によって具体化されていくかと申しますると、これは団体交渉を通じてその実現が期待されて参るわけでございます。そこで団体交渉をいたしまして、結果的に組合がその目的をはっきり確認をいたし、またそれに従って今後の組合活動をしていきまするには、そこに労使間に労働協約というものが締結されなければなりません。従って労働協約を締結するということが最終目標でございまして、団体交渉はその労働協約を締結するための一つの手続であるということでございます。そこで先ほど申し上げました労組法の十四条にございまするように、労働協約は書面によって作成をする、そして両関係当事者がこれに署名するかあるいは記名捺印をするということでその効力が発生して参るわけでございます。しかるにその両当事者の代表というものは、使用者側は使用者側の代表でございましょう、組合組合代表でございますが、全逓労働組合組合規約によりますると、委員長、副委員長組合代表するという建前になっております。ところが先ほど来御説明しておりますように、全逓労働組合が四条三項に違反しておりまするために、委員長、副委員長が欠けておる状態でございます。従って団体交渉をいたしましても労働協約を労組法十四条に従って締結する能力のない組合だというふうにわれわれは理解をいたします。従って労働協約を締結し得ないよう組合がその前提となる団体交渉をいたしましても、これは意味のないことである、そういう解釈をわれわれはとっております。
  57. 河野密

    河野(密)委員 団体交渉をやることは差しつかえないのですね。
  58. 亀井光

    ○亀井政府委員 団体交渉は、先ほど申し上げますように、労働協約締結のための手続にすぎない。労働協約の締結ができなければ団体交渉をいたしましても、これは意味がないことであります。
  59. 河野密

    河野(密)委員 その点は非常に重要であります。団体交渉をやることは妨げないという意味で、団体交渉をやって、両方で調印をする場合に、だれが調印するかということは問題にはなろうけれども、団体交渉をやることは差しつかえないというのがあなたの見解だ。それをあとから弁解しなくてもよろしい。労働省が、団体交渉をやることは差しつかえないのだし、やるそのあれがあるのだ、こういうことであるならば、私は郵政大臣に伺いますが、全逓団体交渉を何べんか申し入れておるわけなんです。なぜおやりにならぬのですか。団体交渉をやることは差しつかえない、ただその協定その他の問題についてだれが調印するかとか、そういうことは問題があるといたしましても、やることはいいという考え方、これは郵政当局はこの見解に従って団体交渉申し入れがあったら団体交渉をおやりになったらどうですか。これが両方の問題をほぐしていく道なんですから……。
  60. 亀井光

    ○亀井政府委員 先ほど私の説明を河野先生若干誤解もあるようでありますので、その点を申し上げたいと思います。団体交渉をしても意味がないということは、使用者側において団体交渉を拒否しても法律上正当な理由があるということの裏づけを私は申し上げた次第であります。
  61. 河野密

    河野(密)委員 拒否してもよろしい、しかしやってもよろしい、しかもそれは現在全逓申し入れをしておるし、この現在の郵便物の状況において、やるべき段階にきておる。だからそれを郵政当局はなぜおやりにならぬか、こういうことなんです。
  62. 植竹春彦

    植竹国務大臣 郵政省といたしましては、この団体交渉をやることによって効果が上がると思う場合には、非合法組合団体交渉をやる場合もあるかもしれませんが、現下の状況におきまして、効果がないと判断いたしております。というのは何ゆえかと申しますと、このよう法律違反を堂々として行なう。しかも何べんか法律違反を正常化して、合法化することができる機会があったのにかかわらず、なされないような労働団体であってみれば、もともと労働協約といい、労使の関係というものは、相互信頼関係に立っておるのだから、このよう法律を守らないといったよう組合とは団体交渉をしてもむだである、このような判断のもとに立ちまして、この組合の合法化を待っておる次第でございます。
  63. 河野密

    河野(密)委員 植竹さんは、いつ大臣になられたか私記憶していませんが、大臣になってから全逓組合諸君とお会いになりましたか。今までお話を承りますと、何か初めから話をしてもむだなことのような前提で、先入観で話をしておられるのですが、これは団体交渉をやってもいい、当然やってもかまわないのだ、いわんや話し合いをなさることは私は当然だと思うのですが、もう少し話し合いをしてみられたらどうなんですか。話し合いをおやりになりましたか。やってみた結果、今のようにこれははしにも棒にもかからぬ、こういうふうにおきめになったのか。何もやらずにそういうふうに頭から考えておられるのか。そこらのところが私はちょっとふに落ちないのです。
  64. 植竹春彦

    植竹国務大臣 団体交渉は、就任以来一回もいたしたことはございません。私は六月十八日に郵政大臣に就任をいたしましたものの、やはり事務の引き継ぎもございましたし、またこの問題につきましては、自分は郵政の行政の担当者じゃなかったけれども、やはり国会議員の一人といたしましてこの問題に関心を持っておりましたのは当然のことで、そこで就任後も事務の引き継ぎの上から見て、従来の自分の国会生活から見まして、法規にも照らしまして、これは団体交渉をしてもだめだ、すべからずという考えから団体交渉をいたしておりませんし、政府の閣議の方針も存じておりますので、団体交渉をいたしたことはございません。ただいろいろな雑談をしておりますときに、おう君は全逓の人であったか、ああそうだったかという、そういう個人的雑談は、これはいたしました。さらにまた野上元全逓委員長と、参議院議員の立場におきましてお話はしょっちゅうしたこともございます。野上元参議院議員と私は、これは……。(「野上元参議院議員とは何だ、現参議院議員だ。」と呼ぶ者あり)わかりました。それじゃ訂正いたします。野上元現参議院議員と訂正いたします。(笑声)  それで、私は野上参議院議員とはいろいろお話はいたしましたが、全逓委員長の野上さんとはお話しいたしたことはございません。
  65. 河野密

    河野(密)委員 そこで伺いますが、公労法の第四条三項の問題について、ILOの結社の自由委員会において日本政府に向かってこれが削除の勧告をしておる、こういう事実は御存じだろうと思うのです。それからILOの条約勧告適用専門家委員会は、公労法第四条の三項は、日本国がすでに批准しておるILO条約九十八号の第二条に違反しておるとの結論に達しておる。本年十一月のILOの結社の自由委員会は、日本政府公労法第四条三項の問題は国内問題であるということを主張されたのに対しまして、専門家委員会の結論を支持して、この法律の規定を廃止すべきであるという見解を日本政府に通達をしておるというのでありますが、この今私が申し上げましたILOの結社の自由委員会が日本政府に向かってこれが削除を勧告しておる事実、それから条約勧告適用委員会ILO条約九十八号の第三条に違反しておるという結論に達しておるというこの事実、ILOから日本政府に向かってこの法律の規定を削除、廃止すべきであるという見解を通達しておるというこの事実、これを一体どういうふうに解釈せられるか、この事実を御確認になるか承りたい。
  66. 松野頼三

    松野国務大臣 ILOから四条三項を削除しろというよう意思表現の勧告は私はまだ聞いておりません。  なお十一月の結社の自由委員会の御発言がございましたから、その問題については政府委員から御答弁をいたさせます。     〔田中(正)委員長代理退席、委員   長着席〕
  67. 大島靖

    ○大島説明員 先般ILOの第百四十三回理事会が開催されました。これは先月の十六日から三十日まで行なわれました。この理事会に先立ちまして、理事会付属の各種委員会が開催されました。結社の自由委員会はその中の一つの委員会でございますが、この委員会は九日、十日の両日に開かれ、その委員会に付託されました各国政府に対する苦情は十数件ございましたが、この中に日本の全逓に関する苦情も含まれております。結社の自由委員会といたしましては、まずこの十数件の事案を、緊急事案と緊急でない事案に分類いたすことになったのであります。労働側の方々としては、日本の全逓の問題は非常に緊急だから緊急事案にいたしたいという御意思であったようでありますが、結社の自由委員会といたしましては、日本の事案は緊急事案でないという決定をいたしたのであります。緊急事案と緊急事案でないものとはどういうふうに違うかと申しますと、緊急事案につきましてはその会期の本会議、すなわち理事会において審議されることになるのでありますが、緊急事案でないものは次の会期の理事会において審議される、こういうことに手続が、昨年の十一月の理事会で決定いたしておるわけであります。この手続によりまして、今回の結社の自由委員会で緊急事案でないということになりました事案については、従って三月の理事会で審議されるということに必然的になるわけであります。これが九日、十日の結社の自由委員会の模様であります。  さらに二十日、最後の理事会、本会議の日でございますが、ここで結社の自由委員会の結果についての審議が行なわれたのでありますが、当初議長から、この十数件のうちフランス政府に関する事案とハンガリー政府に関する事案が緊急案件になっておりまして、その他の十数件の事案につきましては緊急でない、こういうことになっておりますので、この緊急でない事案についての報告書は、単に理事会のメンバーに参考のために配付されるにとどまるものであるから、理事会としてはハンガリー政府の問題、それからフランス政府の問題、この緊急事案に進みたい、こういうふうに議長から発言があったわけであります。  これに対して労働側の代表としましては、日本の問題を緊急事案として出したいという意向を言い出したのでありますが、議長はこの非緊急事案につきましては単に参考のために配付されるだけであって、三月に審議さるべきものであるからということであれしたのでありますが、労働側の代表といたしましては、昨年十一月にきめました緊急事案と非緊急事案の取り扱いの手続、この問題自体を再検討したい、たとえばということで、日本の事案をるる説明なさったのであります。これに対しまして私からは、結社の自由委員会の非緊急事案の報告書については論議する必要はないと考える、ただ日本政府としては労働組合権利を侵害しようとも思わない、ただILOとして非常に大事なことは、労働組合権利の確保と同時に、各国政府の公共の福祉を擁護する責任の重要性を認めることもまた同時に必要であるという旨を私から強調いたしております。これに対して政府側からは、フランス側の代表、イギリスの政府代表から意見の開陳がありまして、これはとにかくその手続できまっておるのだから、今さら日本の事案を緊急事案とするのは、それは無理であるということです。それから日本政府としては八十七号条約を批准するということを言っておるのだから、これ以上ILOとしてもどうもいたし方がないということで、まあ言うとすれば従来ILOが言っていることを繰り返す程度のものである、こういうのが政府側の意見であります。それから使用者側の代表が進んで立ちましたが、これは手続上きまっておるのだから無理だということ、それから今急に審議せいと言われましても、まだ内容も読んでおらぬし、それは無理だということ、それからその緊急事件の手続そのものの再検討であれば、これは結社の自由委員会にもう一度戻して審議すればいい、すなわち二月の結社の自由委員会でこれは審議すればいい、こういう意見の開陳があったわけです。そういう議論の経過を経まして、最後に議長から、それでは本日の議論の模様を事務総長から日本政府に通報することにして、次の問題に移ろうということでフランス政府の事案に移ったわけであります。従って今回の結社の自由委員会としては、別に何らのILOとしての意思決定を、意思表示を日本政府にいたしてきていないわけであります。  それからさらにILOの事務総長からは、日本政府に対しまして、昨年の十一月の理事会で表明せられた意見と同じものについて日本政府の注意を喚起したい、それから日本の法律改正、あるいは八十七号条約批准の可能性について新たなる事態の発展があれば通報してほしいということを申されております。  第一段の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、フランス政府代表の発言、すなわち日本政府としては批准をすると言っておるのだから、言うとすれば従来言っておることを繰り返す程度のものであるということに基づいております。それから新たなる事態の発展があれば通報せられたい、これは従来の各理事会において必ず言っておる、従って事態の発展があれば通報いたします、なければ事態の発展はないということであります。これが今回の理事会の模様であります。なお九十八号条約との関係につきましては、これは七月の国会におきまして、私、本委員会に喚問せられまして、詳細御説明した通りでありますが、この春、条約勧告の適用の専門委員会におきまして、日本の四条三項の規定によれば使用者側が不当干渉をする可能性があるのではないかと、こういう意見の発表があったわけなんであります。これに対して総会で同じく私から、九十八号違反ということはない、すなわち日本の公労法においては不当労働行為の制度があって、そういうふうな不当干渉については法律で禁止されておる。さらにもしそういう事実があるとすれば、それに対してはそれぞれ救済手続があるということ、それからそれぞれの事業法におきまして、ほしいままな解雇はできない、解雇事由については一定の制限が加わっておる、こういう法規の実際を説明いたしたのであります。と同時に、この九十八号条約とは関係なく、八十七号を批准するためには、四条三項の問題あるいはその他の国内条件の整備ができれば八十七号を批准したい、こういうふうなことを申し上げたのであります。ただしこれは九十八号とは独立の問題であるということを言っておるわけなのであります。これに対して総会の委員会といたしましては、日本政府の言うように四条三項が削除されることは望ましいという希望の表明があったわけであります。日本政府が言っておるように、そういう文書が出ております。大体九十八号については、総会においてはそういうことであったのであります。従ってこの九十八号条約に違反云々という問題については、エキスパート・コミッティがそういう意見の表明があったと同時に、これについての日本政府の意見をさらに次のエキスパート・コミッティに出してほしいこういうことをつけ加えております。従って私がただいま申し上げましたような日本の法制の実情というものを、来年の春でございましょう、エキスパート・コミッティが再び開かれます際に、そこで日本政府の意見を参酌しながら、あらためて法律的に再検討せらるべきものであります。  以上が大体ただいま御質問の点に触れる大綱についての御説明であります。
  68. 河野密

    河野(密)委員 要点をお尋ねしますが、今言われましたのには、理事会が日本政府に対して通報、通達してきたということははっきりしております。しかし今の御説明によりますと、この八十七号条約を批准するために何らかの処置がとられたならばそれを通報しろ、何もとられなければ通報しなくてもいいのだ、こういうようなあれでありますけれども、私の手元にありますものによりますと、そういうことではない。日本政府批准するとすでに言っておるのだが、その批准する方法については何か前進があったか、あるべきはずだが、その前進があったかどうか、それを通報してもらいたい、こういうことであります。しかも一月十五日までに通報すべきである、こういうふうにあるのでありますが、これは一体政府はどうなんですか、この事実をお認めにならないのですか。
  69. 大島靖

    ○大島説明員 日本の法制の修正について、また八十七号条約の批准の可能性について何らかの新たなる発展について情報をほしい、こういうことが書いてあります。エニイ・アザー・デベロップメント、こう書いてあります。私が申し上げた通りであります。なお期日については一月十五日までとなっております。
  70. 河野密

    河野(密)委員 何らかの処置がとられなければ通報しなくてもいいということは書いてない。
  71. 大島靖

    ○大島説明員 何らかの新たなる発展があれば通報すべきである。何らかの新たなる発展について情報をほしい、こういうことであります。(「文書の通りに言え」と呼び、その他発言する者多し)私が先ほど申し上げましたのは、新たなる発展について情報をほしい。従って新たなる発展があれば通報いたしますが、新たなる発展がなければ通報しない。そういうことなのであります。文書はここに明らかな通りです。新たなる発展について期日は一月十五日、期日についてはこれは各理事会、委員会においてあれなんでありますが、次の会期が二月から三月にかけて開かれるわけであります。結社の自由委員会はたしか二月に開かれると思いますが、それまでに情報があればそれを三ヵ国語に翻訳いたしまして、その委員会の用に供さなければなりませんから、従って一月十五日と事務局できめたものだろうと思います。
  72. 河野密

    河野(密)委員 労働大臣に伺いますが、今のその説明によりまして、何らかのことがあれば報告する、なければ報告しなくてもいい。そういうようなものじゃない。必ず何らかの処置がとられるべきものだと向こうは期待しておるわけでありますが、その期待しておるものに対してとられた処置を報告してほしい。もし処置がとられないとするならば、日本政府がそのILO理事会なり、あるいは自由委員会なりに対して責任をとられるだけのものであって、日本政府の自由によってやったから報告する、やらないから報告しない、そういうようなことじゃないと思うのです。あなたはしかしごまかしちゃだめですな。
  73. 大島靖

    ○大島説明員 新たな発展がなければ通報しなくてもいいと申し上げたのじゃないのでありまして、新たな事態がなければないと通報すればいいわけであります。
  74. 松野頼三

    松野国務大臣 ただいま審議官から報告しましたように、その全文とその精神はこの前のものを大体繰り返しておるのが大部分で、最後の場面においては、ただいまの一月十五日までに新たな発展があれば通報してくれというのですから、新たな発展があれば通報いたします、なければないという通報をするというだけであって、特に今回の理事会及び結社の自由委員会の空気は、御承知のごとく、緊急事案として取り上げるか取り上げないかということが大体の問題点であります。緊急事案として取り上げられれば理事会において結論が出されるということです。緊急事案として取り上げられないということは、この理事会で結論が取り上げられないということであります。従ってまだ継続中であるということはその一事で明瞭であるという政府の解釈は断じて間違っておりません。同時にこれを通報の義務があるから、通報してくれというから通報するのであって、新たな発展ということはILOでこうしろという指示的なものを期待して今回の理事会という結論が出ているわけでは断じてございません。日本政府の今まで繰り返しておることは承認されておるのです。ただ日本政府の今までの方向を承認して、なおかつ新たな事態があるならばということであって、それはどうぞお間違いのないように。言葉の裏表で私ども議論しておるわけではありません。それは今回の理事会で緊急事案で取り上げられたというならば、これはある程度結論が出たというこの結論は私どもは従わなければなりませんが、しかし結論が出ておらないのですから、そこに大きな問題があるのであって、私はILOを尊重すると同時に、ILOの機構の精神をよくくんで間違いのないように私は判断しなければならないというので、私よりも当時政府代表で出ました大島審議官から私に報告しましたと同じことをただいま皆さん方に御報告したわけであって、特に私が隠しておったとか、それを無理に解釈しておるわけではないのです。これを無理とおっしゃる方が少し無理に解釈されているのではないかと思います。従って今回の理事会及び結社の自由委員会において、労働者代表は労働者代表の意向はありましたろう、政府代表の意向も尊重されましたろう、使用者代表の意向もあったのですから、一つの意向をもってこの問題を判断することは誤りがあると思いまして、使用者代表の話も聞きました。労働者代表の話も私は聞きました。政府代表の話も、公平に三つ聞いた上で私が判断しまして、なるほど一月十五日までというのはこれは事務的なものであるから、この間の発展がなければないと通報すべきであろうし、あればあったと通報すべきであって、特にそれについて日本政府の国内のものが制約を受けるというものではございません。国際的にどう動いたかを報告するのであって、それが直ちに国内問題にすぐ結びつくものじゃない。あくまで日本政府の意向というものが尊重さるべきもので、批准する時期と方法は日本政府責任でやるのですから、河野さんもILOのことについては私以上に専門家でございましょうから、よくその辺は私は正しい意見でこの問題を考えていただきたいと考えております。
  75. 河野密

    河野(密)委員 大体それは八十七号条約は批准をするということを、国際労働総会の舞台でも日本政府は何べんか明言しておるわけであります。その明言しておることについて幾たびもこちらから提訴がいくから、日本政府としてはエニー・アザ・デベロップメント、そういうものがあったかどうかということを通報しろということは、日本政府に対する相当な圧力ですよ。これは日本政府としては相当の面目の問題になっておる。そこで松野君にお尋ねしますが、これは一月の十五日までに答えるのに、何にもしておりませんとお答えになるつもりですか。
  76. 松野頼三

    松野国務大臣 一月十五日までにまだ日にちがございますし、おのおの組合の方もあるいは政府の方も、今からいろいろ動きがあるかもしれません。それはそのときの状況によってきめるべきもので、動いたら動いたと報告いたしましょうし、動きがなかったらなかったと報告するだけのことであって、まだ一月十五日までに日にちがございますから、諸般の状況、国内法の整備の問題、あるいは組合の正常化の問題、国内でやるべきことを私は、今後これは一月半ぐらいありますから、一月半の推移を見て答えるべきであって、今どう答えるかということは、これは早計ではないか、こう考えております。
  77. 河野密

    河野(密)委員 おやりになるつもりならばおやりになるつもり、少し問題を発展させるつもりなら発展させるつもりと、そういう方針を明確にお答えになったらどうですか。
  78. 松野頼三

    松野国務大臣 ただいまいろいろ努力をいたしております。努力をいたしておりますが、はたして一月十五日までに報告を出させるほど結論が出るかどうか、これはまだ予測いたしません。
  79. 河野密

    河野(密)委員 そこでもう一つお尋ねしますが、条約の適用専門家委員会で九十八号に違反するということが明瞭であるというふうに言っておるのでありますが、九十八号に違反したという場合、すでに批准した条約に違反した場合は、国内法の取り扱いはどうなさるつもりでございますか。
  80. 松野頼三

    松野国務大臣 九十八号条約は来年の四月の専門家委員会に、日本政府の解釈と説明というものを年次報告で十一月に出しましたから、それを再び審議していただければ、九十八号条約違反でないと私は明らかに出ると、こう考えております。
  81. 河野密

    河野(密)委員 九十八号の条約に違反するかしないかということは団体交渉の問題ですが、今郵政当局がやっておる処置そのものが、すでに団体交渉権に対する非常な制限というか圧力というようなことになっておる。この事実を一つあげただけでも、この既存の条約に違反しておる。団体交渉権の確保をする条約に違反するということは明白になると思うのです。これは事実をもって立証できると思うのですか……。
  82. 松野頼三

    松野国務大臣 ただいまの全逓の問題で九十八号というのは、それは必ずしも直接な問題じゃございません。八十七号が今回全逓の直接の問題でございます。九十八号の問題は、御承知のごとく今回のすでに日本政府が見解を表明しましたことで、組合干渉とか団結をこわすというふうな立法が日本にはございません。あらゆる面においてその辺は保護されておるのですから、従ってそのことは私は明瞭に九十八号は四月になると……。こう信じております。
  83. 河野密

    河野(密)委員 この点は、政府の方で組合に対する考え方をだんだんとILOの見解に従って変更されてきておることは事実であります。最初は先ほど私が申し上げましたように、本年春におきましては、この仲裁裁定の中に全逓を特に加えない、何となれば非合法の組合だから組合じゃないのだ、これは倉石君も私は国会答弁の中にそういう意味のことを言っておると思います。私予算委員会質問をしたときに、これは非合法の組合だから、組合としての権利を主張することができないんだ、こういうことを言っておりました。その後九十八号の問題が出て参りまして、もし公労法四条三項というものを厳格に適用するということになれば、これは団体交渉権に対する制限になる、既存の条約である九十八号に違反する疑いがある、こういうことを専門家委員会で言われましてから、今度は政府答弁を変えまして、今ここで答弁しておるように、団体交渉権利は持っているんだ、しかし、現実に団体交渉ができないんだ、代表がないからできないんだ、こういうようなことを言っておる。きょうは、亀井局長が言ったように、団体交渉をやってもいいんだけれども、その効果的な協定が結べないんだ。だんだん政府ILOに合わして後退してきておるわけなんです。後退するのは私はけっこうだと思うんですよ。しかし、郵政当局の話を聞いていても、大体この全逓の問題を取り扱っているあれは、政府の面子と感情、それ以外に何にもない。単に従来言ってきた感情にとらわれているということ以外に何にもないのであります。感情にとらわれて、これだけ国民に迷惑をかけて、それは全逓組合が悪いんだ、従業員が悪いんだということを言うことは、これは郵政当局として私は親心がないと思うんです。これはもう少し考えて、こういう際に大志一番と申しますか、気持を一転して、この問題を大乗的見地から片づけるべくその努力をなさるべきはずだと思う。労働省も同じであります。郵政省においてもそれだけの努力をなさる必要があると私は思うのであります。議論をしてくれば、そこまで追い詰められたというと語弊があるかもしれませんが、そこまで政府考えを改めてきているのですから——非合法の組合だから権利認めることができないのは当然だ、こうきめつけておったのが、そうじゃないんだ、組合としてはできておるんだけれども、これは団体交渉の要件を欠いておるんだ、団体交渉の相手方としては否認するんだ、こう言ってきた。ところが、団体交渉をやってもいいんだが、その団体交渉に基づく協定を結ぶ相手方としては資格を欠いておるんだ、だから団体交渉をやってもむだになる危険性があるんだ、ここまであなた方の考え方もずっと変わってきているんです。ここまで変わってきたら、もう一歩じゃありませんか。団体交渉に応じて、団体交渉の結果どういう結論が出るか、これを効果あらしめるためには一体どういう方法をとるかというのは、それは政治でありますから、どういうやり方でも私はあり得ると思うのであります。そこまで問題が煮詰まってきているんですから、ここで国民のために、今年末を控えて年賀郵便の問題が世論化しようとしておるときに、郵政当局も労働当局もそこまでものを考えておやりになってさしつかえないことだと私は思う。それくらいのことができないはずはないが、どうですか。
  84. 松野頼三

    松野国務大臣 公共企業体の特殊性というものは、やはり国民に大きな影響がございますから、公労法十七条、十八条というのがあるわけであります。この発端は何だといえば、十七条、十八条はいわゆる争議権、それの解雇権、その組合員に対する四条三項というものが昨年の春の実は問題点であります。国民がひとしく願うこと、政府がひとしく願うことは、企業体が正常な姿で今後の運営を確保するということであります。しかるに全逓組合は、それ以来何らの考慮もなく、何らの具備もなく、法律的欠陥をそのまま政府に押しつけてやろうという姿は、正常なものではない。今後の保証というものはたれが与えるか。労使間の正常化とは、ルールを守ることであります。ルールとは何だといえば、労働法であり、公共企業体法である。その違法を、かりに今回政府が一歩下がったならば、たれがルールの確保ができましょうか。日本の公共企業体は全逓だけではございません。ほかの企業体が正常な姿にある場合——紛争もございましたが、正常な姿になっているときに、なぜ全逓だけが違法状況を続けるか。この年賀郵便の大事なときに、この問題を取り上げてはたして正常化が確保できるか。一番大事なものは国民で、政府は公共企業体のすべての責任を負わなければならぬという立場であります。今日郵政省全逓は、郵政事業の上において同じ立場である。しかし、やはり正常化ということを取り上げてやってもらわなければならぬ。そこで、日本政府は将来においてILO批准をすると言っているのですから、なおそれを促進する意味においても、全逓諸君にお考えいただけばけっこうだと思う。しかし、将来批准するからといって、今日国内法がある間は、法治国としてその国内法を尊重しなければならないと思う。そういう意味において、私は全逓がどうだ、こういう意味ではありません。公平な意味で、公共企業体という特殊性から、十七条、十八条というものは、ILOの違法でもなければ、国際観念によって非常に変わったものでもないのでありますから、その意味で四条三項と今日の紛争の瞬間だけを見ず、前後、将来を見て労働行政はやっていきたいというのが私の真意である。その意味では河野さんのお考え通りでございましょうから、どうか御協力をお願いしたい、こう考えるわけであります。
  85. 河野密

    河野(密)委員 全逓組合現状を改めない限り八十七号条約も批准しないのだというようなことを、国会を通して政府は何べんも言われた。私はその当時から、組合態度を条件にしてこの国際的な問題に対処するという政府の対度は誤りである、こういうことを指摘しておきました。それにもかかわらず、政府は一貫してこの態度をとってこられたわけであります。ところが、だんだん国際労働の舞台において、政府考え方というものは追い詰められて参りました。しかるに、この公労法四条三項というものは、国際舞台において八十七号の条約を批准するについては改めなければならぬ。九十八号条約にも違反する、こうきめつけられて、これは改めなくちゃならぬ。法律に違反するということを条件としてあくまでも政府団体交渉を拒否されるということは、政府態度が非常にかたくなである。しかも、親心を持つべき郵政当局が、いまだかつて全逓代表者と会ってもおらない。そういう話し合いもしておらぬ。そういう態度でもって、従業員が悪いのだ、国民に迷惑をかけたならば従業員責任だ、こういうことは許されないことだと思うのであります。だから、この場合において、郵政当局は、この国民の切実な利害関係を持っておる問題を解決するために、率先して従業員と話し合いをしてほしいと思うのです。話し合いをして、その結論がどういうところに出てくるか、その結論を調印するとかしないとかいうような問題になったならば、そこでどういう方法をとるかということもあり得ると思うのでありまして、この点は、労働省の側におきましても、もう一歩のところへ来ておるのですから、考え方を改められて、この事態を一日もすみやかに収拾していただきたい。もし必要とあればわれわれも犬馬の労をとることも辞せないのです。そういう点は、ただ法律一点張り、しかも、やめようということがきまっておる法律に違反しておるというそのことをたてにとって、団体交渉は拒否する、国際的にはこれは何ら通用しない日本政府だけの論理です。私は、こういうものは政府として改めてほしい。  最後に、政府の決意と、それから八十七号条約批准を次の通常国会に出す意図かどうかという点を一つ伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  86. 松野頼三

    松野国務大臣 河野委員からもILOお話が出まして、御承知のごとく今回の委員会の中において、全逓及び機労の解雇は政府の恣意的なものでないという見解もあったということを漏れ承っております。従ってILOにおきましては、全逓という問題については、日本政府の見解というものがよくわかってきたのです。要するに今回は八十七号を早く批准してくれというのが第二番目の問題点である。要するに全逓問題というのは、直ちに八十七号と結びつけるというのじゃなしに、全逓は長い間ILOに提訴いたしております。しかし、一応全逓問題というのは、日本の国内法を尊重し、今日の立場においては、日本政府の見解というものは明らかになったと私は聞いておるのです。ただ八十七号は政府が明らかに批准すると言明したから、これはどうなっておるか、一つ早くしてくれという御意向は私ども尊重しております。これは日本政府が言明しておるのですから、ただその問題とこれとをからませている、そこで私は議論が非常に紛糾するのじゃなかろうか。同時に全逓だけを私どもは相手にしておるのじゃございません。いわゆる公共企業体の正常な運営ということを、われわれは一番、命としておるのです。それで、その中に今日の違反状況はどこだといえば、全逓だ。全逓だけを私が目のかたきにしておるわけではない。公共企業体の正常な運営というのが、国民及び政府の大事なことだ、これを守るために私どもは今日やっておって、たまたまこの違反状況を続けておるのが全逓だということになるわけであります。今回の政府方針と、今後のILO批准の促進というのが——やはり一番大きな問題は、国民に対する正常化あるいは正常な運営というものを公共企業体の特殊性にかんがみて確保するということで、これは大事なことであります。ILOといえどもこれを否定するものではございません。従ってそういうものと国内法との関連を整備した上で、八十七号の批准をすると政府が明言しておるのでありますから、時期と方法というものは、おのずから国内問題できまってくる問題であります。批准の問題は政府責任においてやるべき問題だというのが今回の問題でありまして、私たちはあくまで国内の問題を整備して、初めて国際舞台において日本政府というものが——政府であろうが組合であろうが使用者であろうが、ともに国際舞台に立ち向かわなければならないことで、国内問題を整備せずにILOというのは存在しない。ILOの精神も各種ございます。国内法というものがまず基本であるということはおわかりの通りでございます。まず国内の問題を片づけて、しかる後に八十七号の批准をしたいというのが今日の政府のすでに内外に声明しております態度でございます。
  87. 永山忠則

    永山委員長 大原君。
  88. 大原亨

    ○大原委員 きょうの河野先生の御質問で、大体問題点は明らかになりました。だいぶん時間も迫ったようでありますが、私若干の問題につきまして、一つ政府に対して御質問いたしたいと思います。  質問に入ります前に、ことしの、一九五九年の十月二十六日でありますか、日本政府からILOの事務局へ報告を出されておりますね。出しておりますね。
  89. 亀井光

    ○亀井政府委員 出しております。
  90. 大原亨

    ○大原委員 これはこの前の国会答弁と食い違う点はないですか。
  91. 松野頼三

    松野国務大臣 報告といって——情報を作っております。この前の国会答弁のときの質疑は、御記憶のごとく、九月の理事会について、報告を出したかというような、質問答弁の間の食い違いがあります。報告ではなしに、これは情報であります。
  92. 大原亨

    ○大原委員 質問答弁の食い違いがあったというのだけれども、これは質問に対して答弁しなかったということじゃないですか。そんなことはないでしょう。
  93. 松野頼三

    松野国務大臣 そうではございません。九月の理事会のときの報告を出したかという御質問でございます。九月の理事会があったかどうか私は記憶しませんから、そのときのとっさのことでございましたから、そういう報告は出しておりません。十月の二十何日とか二十日とかなんとかおっしゃいました。それは私の念頭においては、質問答弁の食い違いであって、特に私の方が質問をはぐらしたとか逃げたとか、そういうのではございません。
  94. 大原亨

    ○大原委員 質問にはちゃんと十月となっておるのです。それは、その報告を出されましたことは、亀井政府委員認めておられるのですが、その際に、その報告を出す前に、労使の関係団体に対しまして、その報告の写しを出されましたか。
  95. 松野頼三

    松野国務大臣 労使関係団体にその写しを出すべき性質のものじゃございません。
  96. 大原亨

    ○大原委員 あなた、国際労働憲章の二十三条の第二項ですよ。第二項には、「各加盟国は、第三条の適用上承認された代表団体に、」——国内の労使の各代表団体に対して「事務局長に送付した資料及び報告の写を送付しなければならない。」というふうに義務づけておるのですよ。政府の今の御答弁あるいは今日までの御答弁を聞いておりますと、あなたは植竹郵政大臣とは違うのですよ。植竹郵政大臣は労使の関係の当事者です。政府は公平な第三者ですよ。だからこういう年次報告とかあるいはあらゆるそういう関係している文書、資料、報告を出す際には、ちゃんと関係団体に対してこれを提示して、そうしてその意見を聞くというのが国際法上の常識である、こういわれておるのでありまして、これは憲章に書いてあるのですよ。政府として、公平な第三者として、当然とるべきことじゃないですか。今までの答弁お話を聞いておりますと、これはまるっきり当局と一緒、使用者と一緒、資本家と一緒、資本家のかいらいみたいじゃないですか。この点いかがですか。大臣いかがですか。私は情報を示して育ったのですよ。当然のことを言ったのです、私は。
  97. 大島靖

    ○大島説明員 憲章にはそういう規定はございません。理事会に対する情報の送付につきまして、労使関係団体に協議する、あるいはこれを示すという規定は、憲章にはないと存じております。
  98. 大原亨

    ○大原委員 私が読んだやつはどうしたのだ。
  99. 大島靖

    ○大島説明員 その条文はおそらく条約勧告適用委員会か何かの規定じゃないかと思いますが、理事会に対する情報の送付については、そういう規定はございません。
  100. 大原亨

    ○大原委員 これは十九条及び二十二条について、そういう規定があるわけです。情報とかそういう報告について、労使の関係、二十三条の適用、そういうことが国際労働憲章にちゃんと書いてあるのだ。二十三条に書いてあるのだけれども、これに該当していないと、こういうことを言うのですか。もう少し具体的な答弁をして下さい。
  101. 大島靖

    ○大島説明員 私、長年ILOの諸会議に出ておるのでありますが、まださようなことは聞いたことがございませんし、そういうふうな規定は私はないと承知いたしております。
  102. 大原亨

    ○大原委員 この条約集にある二十三条、あなたの持っておるのと同じですよ。二十三条の二項をそこで読んでごらんなさい。
  103. 大島靖

    ○大島説明員 二項でございますが、「各加盟国は、第三条の適用上承認された代表団体に、第十九条及び第二十一条に従って事務局長に送付した資料及び報告の写を送付しなければならない。」かように書いてございます。これは理事会の情報のことではございません。
  104. 大原亨

    ○大原委員 何のことですか。
  105. 大島靖

    ○大島説明員 十九条は総会に関する規定でございます。
  106. 大原亨

    ○大原委員 それから二十二条……。
  107. 大島靖

    ○大島説明員 二十二条については、条約の規定の実施についての年次報告です。
  108. 大原亨

    ○大原委員 そういう年次報告につきましては、条約その他の規定を含んで、理事会も、一年に一回の総会も一つの機関ですよ。年次報告あるいは情報、そういう政府の出す文書については、その立法の趣旨は、それについてはちゃんと関係団体に対して送付しなければならぬということになっておるのです。今までの条約の適用勧告委員会、専門委員会等、そういうところに出す情報やそういう報告につきましては、労働組合団体等についてはこれは示しておりますか。
  109. 大島靖

    ○大島説明員 従来の年次報告については送付いたしております。それから前段の御質問理事会についての情報については、別に二十二条と関係はございません。それから理事会においては年次報告は審議されません。
  110. 大原亨

    ○大原委員 事務局に対して出す重要な文書について、特に労使の紛争になっておるそういう文書については関係労使に対して、公平な第三者の日本の政府はどういうことを出したかということをやはり提示をして送らなければならぬという規定をしておきまして、そうして国際舞台において政府が使用者側の方について、みっともないけんかをするようなことのないように、労使の慣行を正常化するためにあるのですよ。
  111. 大島靖

    ○大島説明員 すべてのILOに対する文書について労使団体に協議する、ないしはこれを送付するという憲章上の義務はございません。
  112. 大原亨

    ○大原委員 総会とか各種の専門委員会等に送るところの文書や重要な資料については、これは当然提示すべきじゃないですか、そのことを、私は最低限度のことを言っておるのです。
  113. 大島靖

    ○大島説明員 この憲章の規定の趣旨は、おっしゃるような趣旨ではございません。
  114. 大原亨

    ○大原委員 どういう趣旨ですか。
  115. 大島靖

    ○大島説明員 それは今申しましたように、総会に関する件と年次報告に関する件については、送付する憲章上の義務があるわけでございます。
  116. 大原亨

    ○大原委員 あなたはいろいろ強弁されるけれども、そういう重要な年次報告を含んで討議されておる。日本の国内における重要な団体に対しましてそういうことが提示されてないということを日本の労働団体側は言っておるのです。向こうから情報をとってきて、そのことが国内で問題になっておるから、国際舞台では非常な非難をされておるのです。向こうに行ったらあげ足をとるようなことになるのです。そのことについては公平な第三者である労働大臣に、今までの労使の正常な慣行に対する考え方について、いろいろ私は御質問申し上げたいと思うのですが、根本的に、出ておる人が間違いですよ。  それではこの問題はあとでお伺いすることにして次に移りまして、労働大臣にお尋ねしたいのでありますが、日本の国内におきまして、総評、全労、新産別を問わず、このILO条約は政府ようなそういう条件をつけないで批准すべし、こういう意見を表明しておる、これについては御承知ですね。
  117. 松野頼三

    松野国務大臣 いろいろ会議の内容等もございますが、ILOの八十七号の批准の促進ということについては一致しておりますが、その中においてはいろいろの問題があるやに聞いております。つい先般の全労会議からの決議をそのあとで送って参りまして、ただし郵政年賀郵便の問題を闘争にすることは断じて反対だというふうな意向も、その決議がありました直後、全労から私の方にはっきり出て参りました。
  118. 大原亨

    ○大原委員 労働大臣あとで御答弁になったこと、そういうことを言われるからこの労使の問題が混乱するのです。あなたの言葉と違うですよ。そのことは別に追及しませんけれども、そういうことを言われるから混乱するのです。国際関係におきましても、各労働代表はこぞって、労働者のグループは全逓の主張を支持している。つまり法律をすみやかに政府は削除して、改廃をして批准すべし、政府がそういう行為を無条件に行なうことを要請をしておる、そのことについても御承知ですか。
  119. 松野頼三

    松野国務大臣 全逓の主張を支持しておるかどうか、それは私はわかりません。労働代表の意見の中にはそういうものがあるかもしれない。しかし理事会及び結社の自由委員会の中においては、必ずしもその通りのものがこの意思として決定しておるとは私は承知しておりません。
  120. 大原亨

    ○大原委員 先般のILOの第百四十三回理事会におきまして、労働者グループを代表いたしまして、アルフレッド・ロバート氏が行なった演説の草稿がこちらへ参っておりまして、これは自分は労働グループを代表してやるのだ、こういう前提であるのですが、その中に「日本の法律、即ち、公共企業労働者が使用者の規制によって、組合役員となる権利を制限される法律が、労働者が自由に彼らの役員を選ぶ基本的な労働組合権利に反することは、不当な干渉の事実として、理事会の第一四〇会、一四一回、及び一四二回理事会で確認されている。同じ違反が、一九五九年総会への条約勧告適用委員会専門家委員会の報告に記録されている。専門家委員会は、問題の法律を、九十八号条約第二条の適用のために、改正されるべきであると希望した。同様の希望はまた適用委員会自身によって述べられている。日本政府は、これらすべての勧告に従うとの約束をくり返している。しかし日本政府組合が現存の法規に従うこと及び解雇された役員を追放することを条件としている。この条件は特に強力な全逓二十二万に適用されている。日本政府は何を要求しているのか、日本政府が真に望んでいることは、かかる侵害行為の法的根拠はやがてとり除かれるだろうというあいまいな約束をもって、労働組合権の侵害について労組を共犯関係にすることであるのか、これは、罪のない人間に対して、後で無罪にするからという約束で、その人間に有罪となることを要求するようなことである。」こういう記録を残して、これが問題となって来年の一月十五日までにこの問題の進行状況、発展状況、つまり政府がどういう措置をとっておるかということ、国際舞台において約束したことをどう実践しておるかということについて、これは報告を求めることになった。つまりこれは労働者側だから一方の言い分だ、そういうことはILO関係においては言えないわけなんです。つまりそういうことが日本を除く他の労働組合側の常識となっておる。ということは、それぞれの政府が承認しておることになる。その承認しておる、その常識に基づいてILOの総会において全逓の要求を支持しておることになる。つまり九十八号の完全な適用を阻害しておる。九十八号に違反しておる。あるいは八十七号と当然不離一体の関係で即時承認すべきである、そういうことは国際常識になっておる。そういう労働者側の意見というものを無視して、日本の政府が一方的に当局の意向に加担をして、しかも直接の労使間はもちろん、一般の代表的な労働団体においてもそういう意見を戦わさないで、そうして国際舞台において醜態をさらす、そういうことは私は日本の名誉のためにとらぬところであります。そういう情勢について大臣が知っておられれば、これは公平な第三者として、大所高所からこの問題を処理されて当然じゃないですか。労働者側の主張をどう思われますか。
  121. 松野頼三

    松野国務大臣 労働者側の主張は、そういうふうな御主張のあることは私も漏れ承っております。同時に政府及び使用者代表、三者構成の中におけるILO意思決定というものは尊重すべき問題なんです。同時に全逓の問題は国内の問題でございます。あえてILOの席上において、日本の政府全逓がお互いに相いがみ合うようなことはすべきことではない。国内問題でありますから、従って国内でこれは処理すべき問題で、それをいたずらに国際会議の席上でさらけ出して、いや政府だ、いや全逓だということ自身があまり好ましからぬ事柄である。従って私はやはり労働組合代表の意見も尊重しております。政府代表の意見も、あるいは使用者代表の意見もILOの中では尊重すべき問題である。全逓の問題は国内問題でありますから、全逓の問題は、全逓が国内法を守って正常化するということが、お互い今後全逓に対して希望すべきことであって、いたずらに国際場裏における発言を一つ一つ国内問題に結びつけるということは、これは国際社会においてある程度考えなければならぬことじゃないかと思います。
  122. 大原亨

    ○大原委員 国際常識では、公の機関が労働組合のそういう基本的な人権に対して不当な制限を加えてならぬということがここに書いてあるのです。だから権利を侵害された全逓ILOの舞台でこの問題を問題にしたわけです。その問題の処理にあたっては、政府は大所高所から国際常識に沿うてやることが日本の国際信用を高めるゆえんじゃないか。私はそれ以上は、きょうは時間がないから追求しないけれども、大臣が御答弁になっておることは語るに落ちることだと思う。  その次に御質問申し上げたい点は、河野委員からの御質問に対しまして、協定が結べないのだ、相手が協定を結ぶ能力がないのだ、こういうことでございます。これは時間がありませんから、私はきわめて簡潔にこの問題だけにしぼって御質問いたします。  他にたくさんの条項があるのですが、これはまたの機会に譲りまして御質問いたしますけれども、全逓という存在は、いわゆる憲法上の組合あるいは実際に実体を持った法律行為の能力のある組合である、こういう点については認めておられる通りですね。
  123. 亀井光

    ○亀井政府委員 先ほども申し上げましたように、労働組合としての組織、労働組合としての存在は法律認められると思いますが、ただ組合代表する者がいないわけであります。代表する者がいなければ、結局組合として外部に対していろいろな法律行為をするということはできないという形のものが裏づけとなって出てくると思います。
  124. 大原亨

    ○大原委員 組合代表して協定を結ぶ人がいない、こういうのは正副委員長が、いわゆる公労法四条三項、十七条によりまして馘首されておる、こういうことだと思うのです。しかし意思決定の能力がある、決議能力がある、あるいは法律行為の能力もある、こういうことは憲法上の法人格として認めておる。これは今までの答弁で繰り返してある、そういうことです。法人として、団体として認めておる、こういうことであります。そういたしますと、意思能力があるものと話し合いをしまして、そうして協定を結んで、協定が履行されるという趣旨、協定を履行する能力、意思、そういうものを確かめることができれば、団体交渉を否定するということはいけない。それはILO条約九十八号に違反する。それを今まで指摘した。その点についてどうですか。
  125. 亀井光

    ○亀井政府委員 ただいま申し上げましたように、組合代表する者が欠けておるわけであります。組合として外部に対して行動いたしますには、あらゆる場合に組合代表者の名において行動しなければならない。しかし組合として存在していますから、御質問の中にございました組合としての意思決定、これはできるだろうと思います。また内部のいろいろな規律その他はできると思いますが、いやしくも外部に対して組合代表する者が欠けています以上、組合として活動することはできない、こういうことであります。
  126. 大原亨

    ○大原委員 もし公労法の適用が除外されるという解釈をとるのであったならば、労働組合法の第六条は憲法の団結権、団体交渉権等に基づいて規定されておるのだが、その第六条、日本の労使のそういう実定法に基づきますると、「労働組合代表者又は労働組合の委任を受けた者は、労働組合又は組合員のために使用者又はその団体労働協約の締結その他の事項に関して交渉する権限を有する。」と日本の法律は明らかに定まっておる。だから、それに基づいて、そういう意思能力のある、行為能力のある、そういう法人団体とは政府が誠意をもって交渉するということが九十八号の精神である。そういうことを繰り返してILOの国際舞台において、ほとんどの人が全員一致認めておる。第六条、どうですか。
  127. 亀井光

    ○亀井政府委員 労組法第六条は「労働組合代表者又は労働組合の委任を受けた者は、労働組合又は組合員のために使用者又はその団体労働協約の締結その他の事項に関して交渉する権限を有する。」ということになっておるわけでございます。従って、先ほど来申し上げておりますように、団体交渉というのは労働協約上の手続にすぎない。その手続だけで労働組合が動くものじゃございません。労働協約が締結されて初めて組合活動がそこに実を結んでいき、労働条件の維持改善をはかるということになります。従って、この六条から直ちに全逓労働組合は正当な労働組合運動ができるかといいますると、すぐ六条とは結びついていないというよう考えております。
  128. 大原亨

    ○大原委員 日本の労働基準法は憲法に基づいてきめておるのですか。
  129. 亀井光

    ○亀井政府委員 憲法を受けて労働基準法が制定されていることは事実でございます。
  130. 大原亨

    ○大原委員 三十六条の協定に基づきますると、これは全逓の各事業場において協定を結んでおりますね。協定を結んでおるのは、相手の人格を認めておるのです。全逓の分会、事業場のそういう団体に対しまして協定を結んでおる事実を認めますね。これは郵政大臣から答弁を願いたい。三十六条協定に基づく協定、三六協定、これは全逓を相手にして結んでおりますね。
  131. 植竹春彦

    植竹国務大臣 公共企業体の労働組合というのでなしに、郵政従業員郵政で働いております者の一人々々と各職場の長が結んでおります。その職場によりましては労働組合、単位組合ができておらない場合もございます。そういうようなときには、個々従業員との間にやっております。それからまた、できております場合には、その事業場における組合と結んでおります。全逓は逓信労働組合の連合体、さよう考えております。
  132. 大原亨

    ○大原委員 郵政大臣、これは国際的な問題だから、あなたは都合のいいときには、政府もそうですが、規約によると正副委員長組合代表することになっておる、全逓組合の正副委員長代表することになっておる、だから代表権を持っておる人々がそういう職員でないから結べない、こういうことを言っておる。しかし肝心の場合には、全逓は単一組合として分会の組織を持っておるのです。その団結権の一部とあなたがそういう法律的な交渉をしておる、団体交渉を持って協定を結んでおる。三六協定を都合のいいときには結ぶじゃないか。そういうことについては何ですか。
  133. 植竹春彦

    植竹国務大臣 私が先ほどから申し上げておりますことは、ILOとか、それから二百五十円べース・アップとか、そういうのは全国逓信労働組合政府との団体交渉によって事を進めていくのだ、こう申し上げたので、年末年始年賀状の問題は、これは必ずしもそういうふうな全逓との間の団体交渉を必要としない。各事業場において、その従業員事業場の担当者、平たくいえば郵便局長とその郵便局従業員諸君とが結べばよろしい。もし組合を組織しております場合には、その単位組合人たちと結ぶ。ところが、それならば団体交渉をあるいは行ない、あるいは行なわない場合があると、そこに統一されたる政府方針がないのじゃないかという御質問に対しましては、これは今申し上げました通り団体交渉というものは決して絶対にやってはならないのだというわけじゃない。単位組合が合法的に成立しておりまして、その単位組合の合法的な代表者というものがある場合には、それはその団体個々交渉はできるでありましょうが、二百五十円べース・アップとかILOの条約とかいうような問題に関しましたときには、それは全国の逓信労働組合全体についての問題と考えまして、全逓との間の団体交渉を期待しておるわけであります。
  134. 大原亨

    ○大原委員 郵政大臣にお伺いいたしますが、あなたは全逓事業場単位の分会は、これはいわゆる単位団体であって、全逓全体は連合体だと言ったけれども、あなたはうそを言っている。
  135. 植竹春彦

    植竹国務大臣 私の用語を訂正いたします。単位組合は、これは全逓ではございません。その単位組合の集まりました連合体——連合体という言葉は語弊がございますので、これも取り消しまして、この単位組合の集まってやっておられる、いわゆる全国逓信労働組合全逓考えております。その全逓としての態度が非合法であるから団体交渉をしない、かように申し上げておるわけであります。多少私の言葉が足りなかったり、あるいは紛淆を招くおそれがございましたので、以上訂正を申し上げて御答弁を申し上げる次第であります。
  136. 大原亨

    ○大原委員 私は公共企業体の地方調停委員をしばらくやっておりました。それで当局がどういう態度をとったかということを知っているのです。大島君を初めとして、不当労働行為その他の問題についてでたらめなことを言っているから、九十八条に関連した問題について資料をあげようと思ったけれども、時間がないからあげないが、あなたの今の言葉によりますと、各分会には協定を結ぶ責任者がある、だから三六協定を結ぶんだという御答弁だったと思うのです。そうしますと、各局を対象にいたします中国地区であるとか、そういう段階には、ちゃんと委員長もだれも現職の職員であって、団体交渉をして、しかも団体交渉に基づいて協定を結ぶ形式、内容を備えている、そういう人々とは団体交渉をやらないで、協定を結ばぬ、そういうことは、私は記録に残す必要があるから言うのだけれども、不当ではないですか。
  137. 植竹春彦

    植竹国務大臣 それはそういうふうなブロック、ブロックは全逓の一部であると考えておりますので、不完全な団体で、交渉の相手としては不完全な団体考えますが、単位団体におきましては、これはちゃんと登録いたしまして、その単位団体としての組合員、組成員、それからその代表者というものはできておりますので、その組合とその単位に関します郵便局長、職場の長は三六協定を結ぶことにいたしております。
  138. 大原亨

    ○大原委員 あなたは、分会との間においてはいわゆる協定責任者が出ておるから三六協定を結んだと、こう言った。それから今までの慣例によりますと、団体協約権を委譲されておるのは地方本部も委譲されておるのです。明確に当局との交渉において委譲されておる。だからそれは当局全逓の法人格を認めておるのですよ。しかも地本の段階において形式内容ともに備わっておるのに、それに一方的、恣意的に団体協約を結ばない。そういうことは記録にとどめなければならないので私は申し上げておるのだが、これは不当労働行為ですよ、九十八号違反ですよ。九十八号違反は当然国際的に批判さるべきです。
  139. 植竹春彦

    植竹国務大臣 ただいまのブロックの団体全逓関連を持っておる、そういうただいまのお言葉でありますれば、なおさらそれは全逓の一部である、全逓の地方団体といたしまして、団体協約は結ばない方針でございますが、単位の場合は、その単位々々の団体がちゃんと登録されて、完全に独立した団体であるので、それと郵便局長とが協約を結ぶ、こういう考え方をいたしております。
  140. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そうしますと、あなたがおっしゃっておる単位組合というのは、私は全逓であると思うのですが、それは別にして、郵便局の、いわば全逓の支部の単位において一百五十円の団体交渉をやれば、全部結べますね。
  141. 植竹春彦

    植竹国務大臣 ただいま私が単位組合と申しましたのは、単一組合とあらためて申し上げます。  そこでただいまのブロック、ブロックのものはこれは全逓の一部であって、ブロックの団体が独立した労働組合でない、さよう考えておるので団体交渉には応じないのでありますが、単一組合の場合には、それがたとい全逓と仲よくいたされましても、その単一組合という名のごとく、それだけで独立の機能を持っておるので、独立の組織とファンクションに従ってこれは労働協約をすることができる人格、かよう考えて単一組合協約を結ぶ次第でございます。
  142. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そうすると、三百五十円の場合でも、どういう労働条件の場合でも、そこの従業員労働条件であればできるわけですね。
  143. 植竹春彦

    植竹国務大臣 これは仲裁裁定がございますれば、いつでも団体交渉に応ずる考えであります。
  144. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 まず仲裁裁定の範囲では、あなたは交渉が必要だとおっしゃるから交渉はできるわけですね。全国郵便局単位で、交渉を要求すればあなたの方は応ずるわけですね。
  145. 植竹春彦

    植竹国務大臣 それは単一組合全逓とは関係なく、それが個々に独立した組合となりますれば交渉ができるわけでございます。
  146. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 今結んでおる三六協定の対象の組合全逓関係ないわけですか、どうなんですか。
  147. 植竹春彦

    植竹国務大臣 三六協定労働基準法の問題でございますから、できるわけでございますが、私が先ほどから交渉に応じないと申し上げておりますのは、この公労法について申し上げておるのでございまして、労働基準法の場合には、各職場で労働者の福祉、健康の問題とかにつきまして協約を結ぶことができる。たとえば超過勤務に関しまして、それが身体に差しさわりがあるという場合には、その超過勤務の相手の従業員は拒否されることもあるでありましょうし、また協約を結ばれる場合もある、そういうような解釈をいたしております。
  148. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そうすると、賃金の場合はこれは労働条件の最たるものですから、当然職場単位で協定を結んでいただくことができるわけですね。
  149. 植竹春彦

    植竹国務大臣 これは仲裁裁定がございますれば、それに応ずるわけでございます。
  150. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 仲裁裁定の前提としての交渉はできるわけですね。
  151. 植竹春彦

    植竹国務大臣 その組合が単独でございますれば、できると考えます。
  152. 大原亨

    ○大原委員 その組合の名前はどうでもいいわけです。三郎でも八郎でもいいわけです。全逓従業員組合何々支部、何々分会、何でもいいわけです。そういう名前で三六協定をやっておるじゃないですか。
  153. 植竹春彦

    植竹国務大臣 団体交渉権がありますれば、できるわけであります。
  154. 大原亨

    ○大原委員 もう時間が参りましたが、私どもは与党の皆さんとは違って、審議を尊重しなければならぬから、ちょうど一時になりましたが、まだこの問題については、これは国際法上非常に大きな問題があるのですよ。まだ重大な問題が四条三項の解釈自体についてあるのです。組合員とか役員すなわち職員、こういう考え方の中に重大な問題があるのです。この点については他の公共企業体とも関係があるから、時間は少しかかりますけれども、この点については労働大臣その他に対しまして御質問を申し上げます。この問題は、全逓が提訴いたしました以上、国際的な問題ですよ、それに対してまことに支離滅裂な御意見を持っている。初めは脱兎のごとく御答弁になっておって、断固年末郵便配達してみせる、こういうような不遜な御答弁だったけれども、その根拠たるや支離滅裂である。私はその点については議事録を調べた上で徹底的に追及する問題だから、これで私の質問を終わります。
  155. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 それではちょっと植竹さんと労働大臣と両方にお聞きしますが、先ほどから聞いておって、こういうことだと思うのですけれども、非常に大事な問題なので、もう一度解釈をただしておきたいのです。というのは、くだけて言えば、今の政府が違法とみなす全逓本部の役員と執行部を中心としたところの全逓組合とは協定を、二百五十円の問題についてもやらないけれども、しかし全国にあるところの単一組合の形をなしておる、組合の組織からいうと支部になるのですが、支部は単一組合であるから、全逓本部の執行部役員を相手としないものであるがゆえに、これが合法的なものである限り、その単一組合の一つ一つとならば交渉に応ずる、こういう答弁だったと思いますが、これに対しましての植竹さんのもう一度の御確認と、労働大臣のこの答えに対して異議がないかどうか、この点を一つ。
  156. 永山忠則

    永山委員長 松野労働大臣。     〔「郵政大臣だ」「順序に従ってやれ」と呼び、その他発言する者多し〕
  157. 松野頼三

    松野国務大臣 発言を許されましたから……。ただいま全逓労組というものは全部で単一組合として、入っております。一部、支部及び地本において、ある程度人格を持っておるものもございますが、全逓の中に入って、すべての権限というものは全逓組合に委譲しております。組合委員長の選任につきましても地本がやはりこれに参加しておるということは、完全な独立機関とは認められません。従って全逓というものは総合的に違法状況というものがございますから、この違法状況の委員長、副委員長労働協約を結ぶ権能もない、そういうものに交渉する必要もない、あくまで違法状況を解消して正しい姿になっていただけば、交渉権というものは回復します。交渉権をみずから放葉しているところに問題があるのです。
  158. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 労働大臣郵政大臣と、ちょっと食い違っておるのです。もう一ぺん私の言うことを聞いて下さい。これは大事なことで、あとでこたえますよ。郵政大臣から先に確認していただけばわかるわけです。もう一ぺんおさらいしますが、政府が違法とみなすところの全逓本部の執行部役員を中心としたものについては、違法なるがゆえに団体交渉にも応じない。しかし全国末端にあるところの単一組合であるところの分会だとか支部だとか、いろいろ名前はあると思いますが、こういうものに対しては、個々の単一の組合であるから、合法的なものであった場合には、それを相手として、二百五十円の問題にしても、団体交渉に応じて契約する、こういう態度政府はとるとおっしゃったのですが、そういうふうに私は聞いたのですが、それでよろしいですか。ところが松野労働大臣は、これは私の聞きそこないかもしれませんが、こうおっしゃっているのです。各末端の単一組合といえども、中央の全逓本部とつながりのある単一組合にも違法なものがある。単一というものはみな加盟して連絡があるから、その末端のものも全逓本部の違法のものと同じ性格のものとみなす、という見方を大臣はするようにおっしゃったように思うのですが、そこが違うのです。そこで、二人の大臣がけんかせんならぬですよ、こういう答弁をすれば。そこをはっきり答えていただきたいと思うのです。同じ政府郵政大臣労働大臣とけんかせんならぬようなことがあったらどうするんですか。
  159. 植竹春彦

    植竹国務大臣 私の言葉が足りないせいか、あるいは表現の仕方の関係での御質問だと存じますけれども、先ほど私が申し上げましたのは、完全な独立したる単一団体、こういうことを申し上げましたので、単位組合という言葉はまぎらわしいので訂正したゆえんはそこにあるのでございまして、もし地本、支部の組合組合員を擁し、また単一団体として一応代表者があるといたしましても、それがやはり全逓につながる団体であります場合には、違法的な委員長、副委員長を、全国組織において大会のときに選出しておりますので、その行為は違法な行為と私たち認めます。その意味におきましてその単一組合は、私たち交渉の相手にすることはできない。これがそうでなく、私がさき申し上げましたように、完全な独立という言葉を使いました通り全逓とは関係なく単一の独立した組合である場合には団体交渉に応ずる、こういうことでございますので、私の言葉の足らざる点は今の答弁で御了承を賜わりたいと思います。
  160. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 そうすると、あなたの先ほどの御答弁と変わってきたわけですね。さいぜんお答えになったことは、あなた実行できないわけでしょう。というのは、あなたの答弁松野労働大臣の解釈に変わってきたわけです。末端の単一組合であるところの分会ないし支部は、全逓本部とつながりを持っておる、ひもでつながっておる、そのひもでつながっておるところの地方分会並びに支部は、違法であるところの執行部の役員を選出しておるのだから、これも本部と同じよう団体交渉に応ずることができないという考え方に変わってきた、全然違うじゃないですか。
  161. 植竹春彦

    植竹国務大臣 これは、申し上げました通り、言葉の足らざる点を補って答弁申し上げまして、私の見解が労働大臣の見解と食い違いが全然ないということを立証いたしますために、足らざるを補ひ、また表現を変えて、明確な表現にしてお答え申し上げたものと御理解をお願いいたします。
  162. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 それじゃさいぜんあなたが大原委員にお答えになりましたのは、皆の解釈いたしておりますのは、法的に違法と政府がいうところの全逓本部の執行部並びに役員を対象に私たち団体交渉をしないけれども、単一組合であるところの分会ないし支部の場合にはこれと団体交渉を結ぶ用意があるとおっしゃったお答えは私はこれは否定されることになると思うのです。
  163. 植竹春彦

    植竹国務大臣 その点は訂正いたします。あとからのなには私の真意でございます。表現の間違ったことは訂正いたします。
  164. 大原亨

    ○大原委員 私は初めから一緒にやりますよ。こういうことなんだ。私が質問に持っていきましたのは、憲法との関係も申し上げましたけれども、つまり労働大臣郵政大臣は、全逓は法人としては実在をしているし、やはり実体を持った憲法上の組合である、こういうことを認めて、ただ全逓の中の規約に基づく正副委員長がいわゆる職員でない人であるから、それについては他の公共企業体との関連において問題がある、そういう点で協定の締結をするすべがないから、団体交渉ができないし、政府は相手にしないということを言ったから、そこから質疑応答として問題が発展しているんだ。私の言っているのは一貫しているのだ。それを根本的にあなたが否定するということになると大へんな問題になる。団結権というのは、単位組合がずっと重なっていって連合体になっても、これは国際法上はちゃんとILO条約があるけれども、法律行為の能力があるのです。しかし逆に、単一組合の中において、形式は備わっておっても、三十六条協定の問題については勝手にやる、あるいはやらない場合もある、こういうことにならざるを得ないと言ったのです。ところがその問題から発展しまして二六協定の問題になったが、この問題については触れていないから私は追及しない。堤委員の話も触れてないのです。というのは、賃金その他については、労働基準法では憲法に基づくそういうもろもろの条件について最低を規定してあるのですよ。全部労働三法は一体のものですよ。そういう点から言いまして、一方では三六協定を結びながら、一方においては組合の存在を否定するようなことを言うことは違憲じゃないかと言ったら、あなたは私に対する答弁において——それを堤委員が別の角度から言われたが、労働大臣答弁については私はずっと質問がある。しかしそういう問題については少しも明らかになっていない。だからその点については、私はきょうは時間もきたからこれでやめるが、さっきの三六協定の締結の法的根拠を言ってごらんなさい。
  165. 植竹春彦

    植竹国務大臣 これは先ほどから申し上げます通りに、三六協定の方は労働基準法第三十六条によって締結いたしたものでありまして、この点は必ずしも団体協約によらないで、個々従業員と職場の長である郵便局長との間に締結ができる、さよう考えておるのでございます。
  166. 大原亨

    ○大原委員 それはいなかの方の特定局へ行くと、主人が特定郵便局長——政府のあげられている三六協定にはそれが入っている。それで奥さんが従業員、あるいは娘さんが従業員、こういう場合がある。これはどこであろうが、部屋であろうが、夜であろうが昼であろうが、寝そべっていたって、三六協定を結ぼうじゃないか、オーケーということでできる。個々のということはそういうことをいう。しかし法人格、団結権をもとにして団体の能力を認めて、そうして協定を結ぼうというのは、労働基準法は最低の基準を示している。そういう問題についてはあなたの答弁は支離滅裂じゃないですか。
  167. 植竹春彦

    植竹国務大臣 組合または過半数の職員の代表ができておりますれば、それは労働基準法についての協約は結ぶことはできますが、二百五十円のような問題は、これは全国全逓との間にこれを結んで解決していく。そのためには地方の年賀郵便超過勤務の場合と違いまして、一百五十円のべース・アップの問題とか、ILO批准の問題等につきましては、これは全逓との間に団体交渉で締結してやっていくというのが従来の全逓側方針であり、また政府側の方針もその通りで、しかも地方々々の組合全逓とつながりを持って、そして中央の全逓に違法的な職員を選出するよう態度をとっておる限りにおきまして、労働時間の超過勤務の問題と違いまして、この問題は私たち団体交渉にただいまの段階では応ずることができないのであります。
  168. 森本靖

    森本委員 三十六条で結ぶ場合、その当該従業員の過半数が云々というけれども、全逓組合が結成されておるところがほとんどなんだ。その場合に、その結ぶ相手はだれですか。
  169. 植竹春彦

    植竹国務大臣 それは個々従業員と結んでもよろしいし、それから過半数の人が代表者を出して参りましたときには、その人と結んでも差しつかえないし、組合でも差しつかえない。しかしこの問題につきましては労働省が所管でございますから、そっちの方が詳しいですから、労働省の方から答弁をさせていただきたいと思います。
  170. 森本靖

    森本委員 その結ぶのは、全逓労働組合何々郵便局支部と何々郵便局長とが三十六条協定を結ぶわけでしょう。人に聞かぬでもいいのだ。郵政大臣単独で答えたらいい。
  171. 植竹春彦

    植竹国務大臣 それはどういう組合でも、その意味の三十六条協定の場合はけっこうと考えます。
  172. 森本靖

    森本委員 三十六条協定はどういう組合でもけっこうというよりも、現実の問題として、全逓の組織があるところは、全逓の何々郵便局支部と何々郵便局長とが結んでおるわけでしょう。
  173. 植竹春彦

    植竹国務大臣 それは各地方におきまして、組合または過半数の職員の代表が出てくればその人、またそれがないときには個々従業員と結ぶ、さよう考えております。
  174. 森本靖

    森本委員 ですから、三十六条協定を結べる労働組合は、二百五十円等の労働条件協定を結ぶ資格がある、こう解していいわけですね。
  175. 植竹春彦

    植竹国務大臣 これは仲裁裁定によりまして事を決定しておるのであります。なお詳細は労働省の方からどうぞ。     〔「亀井さんがやるのはいけない。」「郵政大臣答弁させろ。」と呼び、その他発言する者多し〕
  176. 植竹春彦

    植竹国務大臣 ただいまの問題は、ただいま労働省と申し上げましたが、そうでなく、郵政省の当該事務当局からお答えさせます。     〔「質問者が大臣に聞いたのだから、大臣答弁させるのがあたりまえだ」と呼び、その他発言する者多し〕
  177. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 大臣は仲裁とおっしゃっている。仲裁の前提として交渉しなければならぬが、団体交渉は、三十六条協定を結ばれた限りにおいては、当然それらの労働条件についてもできますかと聞いておる。
  178. 植竹春彦

    植竹国務大臣 ただいまの賃金の問題、公労法関係の問題につきましては、これはすべて仲裁裁定によりまして事を処理いたしたいと存じますが、年賀郵便配達のごとき労働基準法の問題は、これは仲裁裁定とは関係ありませんので、労働基準法に基づきましてこれを処置いたしたいと存じます。詳細は事務当局からお答えいたさせます。
  179. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は言葉じりをとらえませんが、年賀郵便配達郵便関係法律でしょう。これは労働基準法じゃない。そのことはけっこうですが、基準法の中における労働条件で、賃金はその尤たるものです。労働時間もそうです。ですから労働基準法の最も重要な内容である賃金については、当然団体交渉はできるでしょう、こう言っておるわけです。
  180. 佐方信博

    ○佐方政府委員 先ほどからいろいろ問題になっておることにつきまして、私たち団交を拒否いたしておりますのは、公労法の第八条に基づく団体交渉を拒否しておる。従って労働条件の創設、変更等を目的としたものにつきましては、私たち団体交渉を拒否しても不当労働行為にならないのだ、こういう解釈をとっております。従って二百五十円等の問題は、一番大きな労働条件の問題でありますので、われわれとしては団体交渉をいたさない、こう言っておるわけであります。ところが先ほどからの三六協定の時間外協定の問題につきましては、労働基準法全般をいっているわけではございません。労働基準法上の三六協定については勤務時間がきまっておりますので、この事項に書いてあるところの協定をいたしてやればよいという免責条項だ、いわゆる労働条件の新たな創設ではないということで、われわれは労働基準法の三六協定につきましては、当該局において組合があるときにはその組合の支部長、ないときには局員の大多数を代表する者とやる、こういう解釈をとっておるわけでございます。
  181. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 三十六条協定労働組合と結ぶ協定交渉は、団体交渉でしよう
  182. 佐方信博

    ○佐方政府委員 広い意味団体交渉ということもいえると思います。しかし私たちはこの場合公労法上の団体交渉と、それから労働基準法上のいわゆる免責規定に関する場合と、意味の違いがある、こういうふうに考えておるわけでございます。
  183. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ちょっとお尋ねしますが、団体交渉である場合には、これは公労法上の団体交渉でしょう。三十六条協定であろうと何であろうと、そうでしょう。
  184. 佐方信博

    ○佐方政府委員 いわゆる公労法第八条に基づく団体交渉ではない、こういうふうに考えておるわけであります。
  185. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そんな勝手な解釈ができますか。公労法上の組合で、公労法上にないところの団体交渉ができますか。
  186. 佐方信博

    ○佐方政府委員 三六協定につきましては、全く手続規定でございますので基準法上の交渉だ、こういうふうに考えております。
  187. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 基準法上の交渉の中で、従業員の過半数の代表交渉する場合はこれは違う。しかし組合交渉する場合は、当然公労法並びに労組法上の適用を受けるのです。しっかりしなさいよ。
  188. 佐方信博

    ○佐方政府委員 その場合に、先ほども申し上げますように、一般的には労働条件の創設、変更を目的とする交渉である。しかしこの基準法三十六条の場合には、そういう局におる人の大多数の意見、その場合組合を作っておりますならば、その組合と話をいたしますと免責条項ができるのだ、こういうふうに解釈いたしております。
  189. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 それは法律上の根拠はどこにありますか。
  190. 佐方信博

    ○佐方政府委員 私たちは一般的に、いろいろな場合にそういうふうな解釈が行なわれている、こういうふうに思っております。
  191. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は寡聞にしてそういう書物を見ない。あったらここへ持ってきて下さい。そんな学説があったら……。あなたは労働協約じゃないと言うけれども、それではこの協定は何ですか。労働組合と結ぶ協定は何ですか。
  192. 佐方信博

    ○佐方政府委員 明らかに協定と書いてありますから、大きな意味協定だと思います。しかし、いわゆる公労法上の新たな条件を作っていく場合と、基準法上の三六協定の免責規定とは性格が違っておると思います。
  193. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 この協定は、労働協約じゃありませんか。
  194. 亀井光

    ○亀井政府委員 この協定は、先ほど来郵政事務当局から御説明のように、労働協約という法律上要求されているいろいろな要件をかまえたものではありません。三十六条の規定の手続に従った協定だというふうにわれわれは理解いたしております。
  195. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そうすると、私は珍しいことを聞いたんだが、基準法上に協定という文句があるのは、これは労働協約じゃないわけですね。
  196. 亀井光

    ○亀井政府委員 広い意味で言えば…。これは学問的な問題になりますが、三六協定というのは、御承知の通り八時間労働に対します例外、いわば免責的な規定です。というのは、八時間を越えて働くということは、基準法で禁止されているわけです。その禁止をここで解除するには、各労働者のそれぞれの問題、健康上の問題等もございますから、個々の労働者の意見を聞いて本来定めるべきである。これは基準法の予定したところでございます。ただたくさんおる場合におきまして、個々の労働者の意見を聞くことが手続の上で非常に困難であるということも考えられまして、三十六条は職員の代表者との間の協定考えております。そういう趣旨のものでございまして、いわゆる一般的な労働条件をきめます団体交渉あるいは労働協約などの手続とは、私は違うと考えております。
  197. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ちょっと聞きますが、亀井さんは今何局長ですか。
  198. 亀井光

    ○亀井政府委員 労政局長です。
  199. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 労政局長が、労働組合を否認するようなことはおめなさい。労働組合のある場合は、労働組合と結ばなければならぬでしょう。ない場合に従業員代表と結ぶ。あなたはいやしくも労政局長であって、労働組合を否認するようなことはおやめになったらいい。労働組合のある場合には、当然労働組合と結べと書いてある。
  200. 亀井光

    ○亀井政府委員 その点は、多賀谷さん十分御承知だと思いまして私はお答えをしなかったので、職員個々意思がこの三十六条で期待されているものだということを申し上げるために、今のようなことを申し上げたのであります。
  201. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 労働基準法にこういう規定のあるのは、三十六条だけではない。ごまかそうと思ってもだめですよ。少なくとも労働基準法は多くの従業員、あるいは労働組合のある場合には労働組合を前提にしておる。労働組合のない場合に、初めて個々従業員代表ということが扱われている。日本には労組法あり、労調法あり、そして基準法がある。これを三法という。基準法の場合は個々従業員のことであると、労働組合を否定するような話をなさっては困る。三十六条には、「過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、」と書いてある。間違ってはいけませんよ。もうあなたの答弁はいいです。  そこで私は先ほどの問題に返るわけですが、要するに協定といいましても、組合協定を結ぶ場合には労働協約なんです。何も基準法にのっとる協定を結ぼうと、それは労働協約なんだ。その労働協約は、三十六条の場合にはなるほど結べるけれども、三十六条以外の場合には結べないというような解釈ができますか。それだけの能力があれば、労働条件に関する協定でもどんな協定でも、当然できるはずでしょう。郵政大臣どうですか。
  202. 佐方信博

    ○佐方政府委員 先ほどから申し上げておりますように、一般的な公労法に基づくいわゆる権利義務を創設する問題につきましては、団体交渉を否定しても不当労働行為にならないという立場をとっておりますので、私たちはその点について団体交渉をお断わりしておるわけであります。しかし労働基準法の問題につきましては、先ほど話がありましたように、手続上免責規定でありますので、当該局に組合がある場合には組合代表者、ないときには従事者の大多数を代表する者と結ぶという解釈をとっておるわけであります。
  203. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 三十六条の協定団体交渉でないという意味が、どうしてもわからぬ。この協定労働協約でないという意味がどうしてもわからぬ。一体労働省はそういう解釈をしておるのですか。
  204. 亀井光

    ○亀井政府委員 団体交渉の問題と三六協定お話が今ございましたが、三六協定はただいま申し上げましたように、本来基準法というのは、そういう労働組合の育成だとか保護というような問題でなくして、個々の労働者の労働条件につきまして、最低基準を定めている。従って三十六条は八時間労働に対する例外規定です。本来禁止されているものをここで解除していこうという規定でありますから、個々の労働者の意思が反映されなければならぬ。これが三十六条の建前です。そこでその意思を確認する意味において、労働組合がありまする場合には労働組合代表権を持っております。個々の労働者の意思代表権。従って、労働組合協定を結んでおる。また労働組合がない場合におきましては、個々の職員と結ぶことは、これは事務手続として非常に煩瑣な手続も要るので、職員を代表する者と結んでもよろしい、こういう便宜的な手続を定めておるのでありまして、本来ならば個々の労働者の煮見を聞かなければならない協定であるわけでございます。
  205. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 賃金の場合でもそうですか。賃金の場合の控除の規定なんかでもそうですか。
  206. 亀井光

    ○亀井政府委員 二十四条の賃金の控除は、私は同じく労働基準法上の手続だ、三十六条と同じだと考えております。
  207. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そうしますと、ここに基準法でいう労働者と対等に——労働者と使用者は対等であるという、対等というのは何ですか。
  208. 亀井光

    ○亀井政府委員 対等と申しますのは、それは結局対等だということでございます。それ以外のものではないと思います。
  209. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そういうことは労働組合の団結権を前提にしておるわけでしよう
  210. 亀井光

    ○亀井政府委員 基準法は先ほど申し上げましたように、労働組合というものを対象にしていないのです。個々の労働者の労働条件の最低基準を定めている。そこでそういう手続的な面におきまして、労働者の意思代表するものとして労働組合との話し合いを認めておるのが、この基準法上の手続であります。
  211. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 都合のいいときだけは三十六条協定を何とかして結ぼうとするから、そういう無理な解釈ができるのです。そうしてこの三十六条の協定、しかも労働組合と結んだ協定労働協約でないなんというばかげた議論になる。そんことはないでしょう。少なくとも労使が対等で、しかも労働組合がその締結の当事者になっている場合は、労働協約である、そういうことをあなた方も本に書いておるでしょう。亀井さんの本にもあるのですよ。そんなでたらめをこんなときに言ってはいかぬですよ。しかも労働省は官庁における法規の解釈の一応責任者でしょう。三十六条協定の場合には、この交渉団体交渉でない、そういうことが言えますか。この前、あなたは機労の問題をめぐっての場合に、これは団体交渉認めたじゃ、ないですか。そういううそを言うのですか。
  212. 亀井光

    ○亀井政府委員 今の御質問の、前に私がどういう答弁をいたしましたか忘れましたのですが、三十六条の趣旨は、繰り返し申し上げておりますように、個々の労働者の労働条件の最低基準で、しかもまた八時間労働という規定を基準法で定めました以上、これに対する例外としては、個々の労働者の意見を聞かなければならない、これが基準法の手続。ただその意見を聞く手続の便宜上、労働組合のある場合は労働組合に聞く。あるいは組合のない場合は、職員の過半数ということで、御質問のこの協定労働協約であるか、あるいはこの話し合いが団体交渉であるかどうかということにつきましては、団体交渉なり労働協約というものは労組法で規定されております。そこで学問的にいろいろ意見はございます。この協定は当然労働協約だという学説もございます。しかしまた三十六条は基準法上特別な手続だという学説もございます。われわれとしましては先ほど来申し上げますように、三十六条は特別な規定であるというように解釈しております。
  213. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 その協定ができなくて、二百五十円をもらえない人、これは不当労働行為になるでしょう。その労働組合に入ることによって二百五十円もらえない、これは不当労働行為になりませんか。
  214. 亀井光

    ○亀井政府委員 御質問の趣旨がよくわかりませんが、お話の趣旨は、こういう三六協定を結べるよう労働組合であれば、二百五十円の団体交渉なり協定の手続ができるのじゃないかという御質問だと思うのです。それは先ほど佐方人事部長からの御答弁がございましたように、あるいは郵政大臣の御答弁がございましたように、団体交渉法律上正当に拒否できるというのは、二つの理由があると思います。一つはかねて私から申し上げておりますよう代表者の欠除、これによりまして労働協約が締結できないという一つの理由。もう一つの理由は、全逓が昨年なり今年なりの大会において十分正常化され得る時期があった。すなわち地方から選ばれて参りました代議員は、そこで民主的投票によって、解雇されない者を委員長、副委員長その他に当選させることができたはずで、そういうチャンスはあった。それにもかかわらず依然として解雇された三役が再選されたということにつきましては、全逓労働組合全体の問題として、これはやはり団体交渉というものは信義誠実の原則の上に立ってやるべき性質のものであります以上、これを拒否しましても正当な理由があるということを御答弁申し上げておるわけであります。
  215. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 組合員全逓という組合に入ることによって二百五十円もらえないということになれば、当然これは差別的取り扱いでしよう
  216. 亀井光

    ○亀井政府委員 その前に、全逓が正常化されることが前提となるわけであります。正常化されておれば問題ない。すなわち法律に違反した状態を解消されれば問題ないのです。これは先生方は、将来削除されるものだから今でもいいじゃないかという御意見かもしれませんが、削除されるまでは現行法というものは厳然として存在しておる。その法律に違反するということは、われわれ法律の番人としてとうてい許しがたいものだと思います。
  217. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 組合員のことを言っておるのです。組合員全逓という組合に加入することによって二百五十円もらえないのだから、これは不当労働行為でしょう。使用者は、全逓に入っておるから二百五十円やらないのだから、これは差別的取り扱いでしょう。
  218. 亀井光

    ○亀井政府委員 労働組合は御承知のように大会においてその意思を決定するわけです。大会において違法な状態にあるべき意思を決定をした。従ってそれに対して団体交渉を拒否している。団体交渉ができませんために、結局労働協約も締結できない。あるいは調停申請、あるいは仲裁裁定の申請ができないというのが現状でございまして、そのことは組合員意思いかんにかかわらず、組合員の入ったその大会において決定された意思によって左右される。本人みずからもその意思に参加しておるわけです。それはみずからの責任において、みずからの責任考えなければならぬと私は考えます。
  219. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 あなたの方では今違法な組合とおっしゃるけれども、正式にはそう言われていない。ただ交渉ができない。交渉はできるけれども協定ができない。協定を結ぶ相手ができない、こういう話なんですね。そういう組合自体としては正当だということを、今まで裁判所なんかも言っておる。ところがその正当な組合に入ることによって二百五十円をもらえなければ、当然これは不当労働行為じゃないですか。
  220. 亀井光

    ○亀井政府委員 四条三項に違反しておる組合、これをもって違法組合と称するならばまさしく違法組合団体交渉ができないということはるる御説明申し上げました。従って問題は、労働組合が正常化されますことが、すべての問題を解決すると私は考えます。
  221. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 関連して。亀井さん、それでは多賀谷委員の御質問の逆の方向から私は聞いていきますが、そうすると、違法組合を形成する組合員は、今の形では二百五十円がもらえない。しかし二百五十円をとろうと思うならば、今の全逓という組合を脱退して、個人の資格を持ったときには考えるというのですか、どうですか。
  222. 亀井光

    ○亀井政府委員 それは個人としては——結局問題は仲裁裁定を実施することによりまして、予算総則によって制限されておりまする給与総額その他の増加が認められまして支給されるわけでございます。従って、この問題とは直接関係はないと思います。
  223. 滝井義高

    ○滝井委員 議事進行。今客観的に労働省なり郵政省のいろいろの御答弁を聞いておりますと、われわれどうも納得のいかない点がございます。従って、この問題はなお本日続けたいところですが、二時間のお約束もございましたし、だいぶ時間も過ぎましたから、来週あらためて労働の時間を設定していただきまして、会期も十三日間延びたことだし、もう一回、これはやはり国民のためにすっきりする必要がある。政府の方ももう少し御勉強になってくる、われわれも勉強さしていただきまして、来週やっていただくことを委員長にお願いいたします。
  224. 永山忠則

    永山委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後一時四十二分散会