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滝井委員 奥村さん、
炭鉱地の実態を十分御
認識になっていないと思うのですが、実は筑豊炭田では一たびニコヨンに入ると、ニコヨン大学をなかなか卒業できない。ニコヨン大学入学以来十年間、まず大学生というわけで、大学院に行けないのです。そしてニコヨン大学に入学するのでも志願者が多くて大へんな
状態なんです。従って今度の八百五十円の
緊急就労対策事業費ができてきますと、おそらくここに殺到してきます。殺到してきますが、じゃ今度は緊急就労大学に入った場合にし一体いつ卒業できるかという
見通しはないと思うのです。現在広域
職業紹介をやっていますが、
住宅がないためになかなかうまくいかない。一昨日も福岡県知事をここに参考人として呼んて意見を聞きましたが、
住宅がついて家族も一緒に呼びたいという募集が七世帯か八世帯あった。ところがそういう家族も一緒に呼んで
住宅があるということになりますと、百世帯くらいの志願者が殺到するわけです。ところが単身で行くということになると、なかなかだめです。こうおっしゃっております。従って今のあなた方の財政
状態からいって、そういう
政策は一挙になかなかとれないのです。じゃ
住宅まで建ててやってくれという修正案を出したけれ
ども、自民党さんは、それはむちゃだ。むちゃだという一言ではねつけられてしまう。そうするとやはり緊急就労大学に殺到する。そしてニコヨン大学で十年も卒業できぬと同じように、緊急就労大学も卒業できないことになるのです。そうすると、ここはやはりある程度効率的な
仕事を相当賃金を払ってやる
方向に
考えていかなければならぬ。簡易舗装
道路工事くらいでは人間をだめにしてしまいますよ。そういう点から
考えて、やはり
希望の持てるものに切りかえていく必要がある。これは五年間の暫定
措置ですからいいじゃないですか。そして筋骨隆々たる
希望の持てる人間として保っておいていただかぬと、長く破れた炭住の中に住まわして
生活保護法すれすれの
生活をさしておったら、人間というものは
希望がなくなって、あすこに沈着する以外にないという気持になってしまうのです。これは
現実になっておるのです。そういう国民を作らないためにも、やはり相当金を出す必要があるという意見なんです。ある程度金を出してもらいますと、今度は五分の四では、残りの五分の一の市町村なり地方自治体の負担が大へんになってくるわけです。この点については、これはなるほど用地買収というものに相当金がかかる。それから
労務者の運賃、トラックその他の運送費に相当金がかかるのです。こういう経費は全部市町村持ちになる、あるいは自治体持ちになるわけです。そうしますと、なるほど表面は五分の四の負担をしてくれますが、実質は自治体が総経費の半分を持たなければならぬという結論になってくるわけです。そこで自治体の持った経費については、これは起債を
考えるとか、あるいはその起債をやったあとの金については、交付税で元利補給を見てやるとか、こういう
政策をとっていただかないとなかなか自治体というものは、単に
石炭産業の
失業者ばかりでなくて、いろいろの
失業者が他におりますから、これはなかなか
政策がうまく遂行できないという険路ができてくる。お隣におられる松野大臣は、できるだけ起債で今努力中ですと言い、それからその起債をした跡始末については、交付税で努力中だという御
説明があったんですが、自治庁も地方自治体が苦しくなれば大へんですからすぐ賛成します。問題は、
大蔵省がそういう起債というようなものについて、理財局あたりがある程度考慮しないと、労働省がいかに努力をし、力んでも、うまくいかぬということになるのです。だから、あなたの方はそういう点について一体親心があるのかどうか。