○安田
政府委員 御
質問に応じまして、お答えできますかどうか、疑問に思う点もございますが、一応お答え申し上げます。
台風でも冷害でも、特に今回の
被害を通じまして、過去の前例から見ましても、
農業は自然
災害を受けやすいものでございますが、
畜産は比較的自然
災害を受けないものでございますので、防災
農業という立場においても、今後一そう
畜産を発達させなければならぬというのが第一点であります。
しかし、伊勢湾台風を中心にしました今回の
被害は、養鶏、肉豚、
乳牛その他を通じまして、
家畜にも、牧野、
畜産施設あるいは飼料
関係の諸
施設等においても、
相当の
被害を受けました。
農家の方々の
家畜その他の
畜産関係の
被害と、府県
関係の
施設の
被害と、国の
関係の
施設の
被害と、飼料工場の
関係の
被害、これには全購連
関係のものも含んでおりますが、大約しまして、
金額に見積もりまして四十八億でございます。今回ほど養鶏の中心地が
被害を受けたことはございませんし、飼料
関係の
施設の
被害を受けたことはかってなかったのでございます。特に最近は、
畜産の飼育飼養の規模が、
農家においても専業的な
畜産家におきましても、大規模になって、要するに
畜産が発達して独立産業のようになって参っておりますので、その
関係でも
被害が多く見受けられるのであります。愛知県、岐阜県は特に養鶏が日本で有数のところでございますので、例を愛知県にとりますれば、飼養羽数約五百万羽のうち、八十二万羽打撃を受けております。
被害を受けた
農家の
被害の深さもひどいわけであります。そこで、これらの点に焦点を当てまして、
畜産固有の
災害対策も講じなければならぬとわれわれは
考えておる次第でございます。
今回の
災害の
対策にあたりまして、二十八年災の
対策を下回らないようにという世論がございましたが、
畜産の発展との
関係を
考えまして、二十八年の水害のときの
対策は少なきに過ぎる、
災害の様相がまた違っておるから、
対策を変えなければならない、こういう点を
考えておるのでございます。二十八年
災害に対しましての
対策は、牧野
関係の
災害対策がありましただけで、これは
補助の
関係でございます。
融資の方といたしましては、
農林漁業金融公庫に、大
家畜の畜舎の
施設について、
公庫融資を
災害ワクで行なうということがあったにすぎないのでございます。そこで、これらの点に焦点を当てまして、
災害復旧の
補助事業も、
家畜関係、牧野、牧道等、また畜舎
関係、それから緊急に大
被害を受けたところの
家畜を維持しなければならぬことにつきまして、県に緊急避難管理所を設けさせまして、それに
補助をいたしました。また水害を受けませんでしたような風害
地帯に対しましては、農作物の
被害、さらに
家畜の
被害等が大きい
被害農業者に対しまして、緊急に
政府所有のふすまを三千トン放出しまして、その後
被害麦につきまして一万七千トン放出をいたしました。いずれも従来の
措置と違いまして、
政府所有のふすまにつきましては、
災害地までの運賃、輸送費の
政府負担を行ないまして、
被害麦の払い下げに対しましては、
生産者の
政府に売ります価格の約一割強安い価格をもって払い下げをして、緊急を切り抜けることといたしております。その後引き続きまして、特に飼料は
畜産の維持と復興に重要だと
考えまして、ふすまのその後の必要希望に応じまして、県の希望には全部応ずる、そういう意味におきまして、約二千四百トン、なお最近におきましては、さらに一万七千トンの放出を
手続中でございます。十月、十一月以降につきましては、この代金は、
政府の操作上可能な限りの安い価格で売るほかに、なお県の希望に応じまして、県を通じて市町村長、市町村を通じまして、被災
農家には、代金の延納を認める
措置をとりました。延納
期間は六十日でございます。なお、それらを通じまして、
災害地帯を中心に日本全国の飼料の値上がりを防止することにつきまして、業界の協力を求めまして、飼料の値上がりを見ておらないと
考えておるのであります。なおその後、専管ふすまと普通言っております、専門に製粉をいたします結果出て参ります優良なふすまでございまするが、それも要求に応じますように放出を用意いたしておりますが、需要は十分まかない得るつもりであります。大豆かすにつきましても、
災害直後から現在までに千トン放出をいたしました。これも被災地までの運賃を
政府負担にいたしましたが、ただいま
政府保有の大豆からとります大豆かす一万二千トンについて、十一月中旬までには放出ができるようにいたしております。
なお
融資としましては、経済
局長や官房長から御
説明を申し上げました
通りで、従来
畜産物の
被害を
天災融資法で
災害農業者の
対象の
被害に入れておりませんでしたのを、
畜産物を入れまして、この
畜産物は、生きた
家畜とその他の
畜産物を含んでおる。従いまして御
要望の
通りでございます。
なお
融資事業としましては、
経営資金の中に従来
家畜が入っておりませんでしたので、
乳牛、和牛、豚、養鶏を含めまして、
一般の被災
農業者に対しましても、
家畜購入費と飼料
購入費を認めまして、専業的な
畜産農家の
被害に対しましては、融
資金額の
限度を多くいたしまして、同様に各種の
家畜について
融資をして、
家畜の
購入費と飼料の
購入費を
融資を受け得るようにいたしておるのでございます。農林業
公庫の
資金につきましては、先ほど申し上げましたように、
家畜の畜舎についてだけ
畜産の
災害復旧の
特別ワクで
融資し得る業務規定がありましたが、これを改めまして、孵卵器等の
施設につきましてもこれを加えましたり、中小
畜産施設についても畜舎としてこれを加えまして、あわせまして農舎、畜舎の解釈の中には、飼料用のえさの配合その他の
施設も含めることにいたしました。その
貸付限度は、一
農家二十万円から五百万円というように大幅に広げたのでございます。今回の
災害の特徴は、全国の飼料の供給の三分の一を占めておりまする中京地区の飼料工場――全購連、業者を通じてでございますが、その
被害が大きかったことでございます。海岸にある工場でございましたからよけいそうでございますが、二十数社
災害を受けましたのが、三社を除いてすでに復旧をいたしまして、運転をいたしております。三社も遠からず復旧をするはずでございます。なお復旧
資金につきましては、各工場個々に実情を調べまして、中小企業金融
公庫あるいは地方銀行、農林中金等の世話をいたしまして、おおむね手配済みでございます。飼料工場
関係の
災害額は三億七千万円と見積もられておりますが、そのうち約一億が、えさとしての在庫でございまして、これが流失あるいはぬれて使えなくなったものでございます。あとは工場の機械
設備その他のことでございます。従いまして、二億七千万円の手配はすでについたが、若干残っておるものは十分に見込みがございます。
なお、
家畜のほか、牧野については先ほど申し上げた
通りでありますが、従来、牧野、牧道あるいは
畜産共同
施設その他の牧野
関係の
施設は、公共事業として扱われておりませんでしたので、今回も
補助額は二分の一でございます。御
要望の
通りでございますが、
予算措置をもって講ずることにいたしておるのが、私
どもの
考えでございます。その牧野
関係に使います再播用の種子の共同
購入費も、二分の一
補助をするよう用意をいたしております。
なお
畜産におきましては、
家畜の衛生
関係、病気を防ぐ防疫
関係、あるいは消毒とか病気の蔓延を防ぐとかという
措置が必要でございますが、これは
災害直後から、消毒とか、あるいは予防注射とか、その他には従前
通り万全を期しまして、台風直後
乳牛に一部流行性感冒が出たのでございますが、これは南九州や関東にも発生しております、ことし多少異常な、なお研究を要するような流感でございます。その他につきましては異常を認めておりませんので、
家畜の防疫
対策としては、具体的
措置もそれほど遺憾もなかったかと、やや安心をいたしておりますが、経費につきましては、国庫
補助二分の一をもちまして用意をいたしております。
大体申し上げますと、以上のようでございます。