○
八木(
一男)小
委員 それでは厚生大臣にあと一、二問。これは副総理と一緒に聞いて下さい。生活保護の問題で、この間も生活保護法が非常に工合が悪いということを厚生大臣に申し上げましたところ、
社会局長から通達の返書が参りまして、私もそれを受け取っております。それについて
社会局長から
説明したいという
お話でございますが、
説明はあとで十分承りますが、今副総理並びに厚生大臣は非常にお忙しいと思いますから、先にちょっと申し上げます。前段の方の財産の処理の方は
比較的ましなわけでございますが、副総理に
状態を申し上げますと、生活保護法で最低の生活は
保障をするということになっておりますが、それが保護法自体では非常に過酷なことになっておる。運営面で非常に過酷過ぎる法でございますから、厚生省でいろいろお考えになってやっておられる向きもあるわけです。その点二つございまして、一つは保養法の第四条、補足の原則という厄介なところでございますが、そこに、財産がございますと、本人の財産なり能力を最大限度に活用した後でなければ、生活保護法の適用を受けられないという条項が一つある。二番目に、扶養義務者が扶養義務を果たした後でなければ、生活保護法を適用しないという条項がある。三番目に、緊急なときにはこの限りにあらずというような、あんまり動かないけれども、救いの言葉がある。そこで、これは副総理にぜひお聞き願いたいが、一番目の問題としまして、たとえば財産が冠水してしまった、収穫が上がらないから、
法律的な、経済的な果実が取れない、それからそれ自体の値打ちが下がっているから、とにかく収入もできなければ、それを換価するときも大損をするという場合がある。これが
法律の条文
通り適用されたならば、一応財産としてみなされて、それを処理しなければ生活保護法の適用が受けられないという条文の書き方になっておる。ところが、それではあまりにひどいので、厚生省の方で
実態に合うようにいろいろ通達を出しておられます。これはけっこうなことだと思います。前段についてはかなり満足な形があるわけでございますが、しかし、その通達自体はいいのですけれども――これは、
大蔵省の
主計官おられますか。
大蔵省は大体けしからぬ。副総理や厚生大臣と関連のある質問をしておるのに、断わらぬで帰る。そういうところに
大蔵省のでたらめな、けしからぬところがあるんだ。
大蔵省が内閣を動かしているような考え方でやっているのはけしからぬ。それで、そういう点がありますけれども、そういう通達はいいのです。ところが、
大蔵省が
予算をしぼって生活保護法をしぼっていると、その年度々々の計画をはみ出ますと、厚生省の末端の福祉事務所の人が、やっぱりそれ以上出ないようにしろというようなワクがありますから、それが過酷になって、その通達があっても、その
通りにならないという状況があるわけです。それからもう一つ、
地方財政ですが、これは
奥野さんにも聞いてもらいたい。
地方財政の方の
負担分もあって、
市町村がそれを発動しないということがある。ですから、厚生省が通達したからといって安心はできない。現にそういうような事例が方々にあるわけです。そういうことでは、
災害地の人が救われないわけです。
災害地で財産が減価して、果実を生まないのに、それがあるからということで、生活保護の最低の適用もしてくれない。なければ、生活保護法で、健康をそこねながらもかつかつ食っていけるけれども、それもできないという場合が起こり得るわけです。だから、厚生省の通達だけでは安心できないということから、われわれはその点について
法律を変えた。これについてもお考えを願いたい。これは
実態がそうであれば、
予算はかかわりがない。厚生省が実際にそれをするというので、これを
法律的にきちっと裏づけしたって、
予算は一切関係ない。これは
予算に関係なしに国民に安心をさせるということになる。実際にやらないというなら――それはやらなければならないから、それぐらいの金は大した金でないから、出さなければならないということになる。そういうような
法律の裏づけをしたいという点が一つの点です。
もう一つは、実体的にも大いに違う。厚生省が通達を出しておられるものには、こういうことが書いてあります。扶養義務の方はこういうことが書いてある。通達があるということで、この間大丈夫と言われたが、「要保護者に民法上の扶養義務の履行を期待できる扶養義務者のあるときは、その扶養を保護に優先させること。この民法上の扶養義務は、
法律上当然の義務ではあるが、これをただちに
法律に訴えて
法律上の問題として取り運ぶことは扶養義務の性質上なるべく避けることが望ましいので、努めて当事者間における話合によって解決し、円満裡に履行させることを本旨として取り扱うこと。」はなはだきれいな文言でよく書いてある。ところが、円満裏に話し合いさせるといったって、それはできるときにはすぐできます。しかし、できないときにはいろいろなことがあるわけです。話し合いばかりでは適用できない。救われない。それではその人が救われないから、その扶養義務者の方にも事情があっても、それが高利で金を借りても扶養をしなければならないということが起こるわけです。実際にこういうことであります。名古屋で
被災した人がある。そうすると、二親等だと扶養義務が適用されるわけですが、名古屋で弟さん一家がぐじゃぐじゃになってしまった。東京に兄さんが一人おる。そこもかつかつの生活をしておるわけです。それで、普通の生活保護法だったら、
災害でなしにそうなった場合には、名古屋の人が食えなくなったら、兄さんの扶養を受けなさいということを言われる。円満裏に話し合えというけれども、なかなかいろいろな問題が起こります。そうであれば、第一家は貧乏だから、だんだん貧乏になってくる。あるいは病気をして働けなくなったら貧乏になるであろう、一家の主軸が死んだらとんでもないことになるであろうということを予測されておったならば、普通の兄弟であれば、あたたかい気持を持っておるから、あそこの家に何か
補助をしてやらなければならぬということで、倹約し、貯金をする。そういう気持で、物質上でも、精神上でも、準備をしておるわけです。ところが、
災害の場合は突如として起こる。弟一家が隆盛にやっていたので、そういうことは心配ないからといって、兄さんの方も、生活を健康で文化的にするために、その前の月には八百円の家賃できゅうきゅうして暮らしておったけれども、三千五百円のいいアパートがあった、だから、そこに移ろうじゃないかというので、相談して移った直後であって、そうして今度は扶養義務が発生したからといって、八百円の家賃のところにはすぐ舞い戻れない。自分が死んだら女房、子供が困るであろうといって、生命保険契約に入った。その生命保険は一年であったら、解約返戻金もきません。また二、三年払わないと、証券担保
貸付もできない。だからそういうことをしてしまったら、切りかえがつかない。たとえば、電気洗たく機を買った。月賦で一回払っただけで、あと残りを払わなければならぬ。ほうっておいたら訴えられるだろう。弟がそうなると思わないから、電気洗たく機を奥さんがくたびれないように買ったというような事情があって、三カ月、半年、八カ月くらいは切りかえがつかないのです。いくら兄弟愛情がこまやかであって、やってあげたいという気持があっても、生活保護法という過去の
法律でそういうことになっておる。そこで、
災害地の場合、一定難問、半年なり八カ月の間だけ、兄さんが弟一家を養うだけの精神的、物質的の準備ができるまでの期間、扶養義務をはずして、その人がいないものとして、弟さんに生活保護法を即時適用できるというようなことは当然考えられていいのじゃないか。それについて御質問申しましたところ、通達を出しましたと
社会局長は言われました。だから、大丈夫とおっしゃる。それで前段の財産の方については、いろいろ通達をしておられる。ただ、さっきおっしゃるような通達が出ても、
財政の裏づけのない
地方自治体が自分の
負担分を惜しむということになった場合は、
実態が動かないことになります。ですから、こっちの方の扶養義務者の方は、どうにもこうにもだめだ。この通達も、話し合って円満裏にやれというが、話し合いの問、生活保護法の適用を受けられなかったら困る。そういうようなことは、政府としても考えていただいていいことじゃないか。金額は大してございません。これは、金額はできる範囲でやられたらいいと思う。社会党の原案は二十一億でございますけれども、これは
計算が精査されたらもっと少なくなるかもしれぬ。また、期間をもっと短くしたら少なくもできます。そこで、八十億も
予算があるところですから、何らかの点でそういう点も考えていただくということでやっていただきたいと思う。
被災者
援護法とともにこれが必要だと思う。特にこれを出した理由は、
被災者
援護法では、大づかみにして一世帯幾らというふうにきまっておるわけです。人数が幾人あろうと、そういうことはその中に書いてありません。これはもっとたくさんの場合には、段階に刻みをつけますけれども、大した金額じゃないから大づかみにした。しかし、扶養義務者の家族が多い。それから財産がどこにも一文もない、貯金の五百円もない、たたき売る将棋盤の古いものもないというような家庭もありますから、底上げをしなければならぬ。その底上げが生活保護法であるけれども、生活保護法は、そういうようにして
災害の
実態によって動かないということで、一定の期限を限って一定の人に対してだけそういうことをしたらどうか。これは私ども考え抜いた
法律であります。
法律的に書くのは非常にむずかしかったので、十日間ほどかかりましたけれども、とにかく絶対に必要だということで、十日間ほど法制的な研究をして出した
法律案であります。そういう
法律の例が出ていますから、また、政府の法制局で考えていただいてもいいと思うのですけれども、とにかく
法律的に間に合わなければいけないので、こちらは作業したわけです。そういう趣旨から考えていただいて、与党の方と御相談して、政府提案でも、与党と共同提案で出し直してもけっこうですから、とにかくそういうことも一つ考えていただきたいということをお願い申し上げたいと思うのです。厚生大臣は、この前ずいぶん伺いましたので、まず、副総理の方の御答弁を伺いたいと思います。