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1959-11-16 第33回国会 衆議院 災害地対策特別委員会厚生労働等小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和三十四年十一月十三日(金曜 日)委員会において設置することに決した。 十一月十三日  本小委員委員長指名で次の通り選任された。       小島 徹三君    小林かなえ君       河野 孝子君    田中 正巳君       渡海元三郎君    増田甲子七君       三田村武夫君    伊藤よし子君       太田 一夫君    辻原 弘市君       八木 一男君 同日  三田村武夫君が委員長指名で小委員長に選任  された。 ――――――――――――――――――――― 昭和三十四年十一月十六日(月曜日)     午前十一時開議  出席小委員    小委員長 三田村武夫君       小島 徹三君    小林かなえ君       河野 孝子君    渡海元三郎君       伊藤よし子君    太田 一夫君       滝井 義高君    八木 一男君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 渡邊 良夫君         国 務 大 臣 益谷 秀次君  出席政府委員         総理府総務長官 福田 篤泰君         自治政務次官  丹羽喬四郎君         総理府事務官         (自治庁行政局         長)      藤井 貞夫君         総理府事務官         (自治庁財政局         長)      奥野 誠亮君         文部事務官         (大臣官房長) 齋藤  正君         厚 生 技 官         (医務局長)  川上 六馬君         厚生事務官         (社会局長)  高田 正巳君         厚生事務官         (保険局長)  太宰 博邦君         労働政務次官  赤澤 正道君         労働事務官         (職業安定局         長)      百田 正弘君  小委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   大村 筆雄君         大蔵事務官         (主計官)   岩尾  一君         大蔵事務官         (主計官)   宮崎  仁君         文部事務官         (文化財保護委         員会事務局長) 岡田 孝平君         厚生事務官         (大臣官房総務         課長)     栗山 廉平君     ――――――――――――― 十一月十六日  小委員辻原弘市君同日委員辞任につき、その補  欠として同日滝井義高君が委員長指名で小委  員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた地域における公衆衛  生の保持に関する特別措置法案内閣提出第八  号)  昭和三十四年八月及び九月の風水害を受けた社  会福祉事業施設災害復旧費に関する特別措置  法案内閣提出第九号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた都道府県の災害救助  費に関する特別措置法案内閣提出第一〇号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた者に対する母子福祉  資金貸付に関する特別措置法案内閣提出第  一一号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害に際し災害救助法が適用され  た地域における国民健康保険事業に対する補助  に関する特別措置法案内閣提出第二五号)  昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月  の風水害を受けた医療機関復旧に関する特別  措置法案内閣提出第三〇号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた地域における失業対  策事業に関する特別措置法案内閣提出第一四  号)  昭和三十四年七月及び八月の水害並びに同年八  月及び九月の風水害に関する失業保険特例法案  (内閣提出第一五号)  昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月  の風水害を受けた公立学校等建物等災害  復旧に関する特別措置法案内閣提出第二三  号)  昭和三十四年八月及び九月の風水害を受けた私  立学校施設災害復旧に関する特別措置法案(  内閣提出第二四号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた地方公共団体起債  の特例等に関する法律案内閣提出第二〇号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた市町村職員共済組合  の組合員に支給する災害見舞金の額の特例に関  する法律案内閣提出第二一号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害により被害を受けた者の援護  に関する特別措置法案伊藤よし子君外十四名  提出衆法第一号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害により被害を受け生計が困難  である者の生活の保障に関する特別措置法案(  八木一男君外十九名提出衆法第七号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害による消費生活協同組合の協  同施設等災害復旧に関する特別措置法案(岡  本隆一君外十六名提出衆法第八号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害による病院及び診療所並びに  薬局の災害復旧に関する特別措置法案滝井  義高君外十八名提出衆法第一二号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた地域における失業対  策事業に関する特別措置法案五島虎雄君外十  五名提出衆法第一〇号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害に関する失業保険特例法案(  五島虎雄君外十五名提出衆法第一一号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害に係る私立学校の児童、生徒  等の授業料徴収免除に関する補助及び資金の  貸付に関する特別措置法案辻原弘市君外十六  名提出衆法第一五号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた地方公共団体起債  の特例等に関する法律案太田一夫君外十六名  提出衆法第一三号)      ――――◇―――――
  2. 三田村武夫

    ○三田村小委員長 これより会議を開きます。  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた地域における公衆衛生保持に関する特別措置法案内閣提出第八号)外十一件、並びに昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害により被害を受けた者の援護に関する特別措置法案伊藤よし子君外十四名提出衆法第一号)外七件、以上二十一件を一括議題として審査を行ないます。  質疑の通告がありますから、順次これを許します。渡海元三郎君。
  3. 渡海元三郎

    渡海小委員 今次の災害によりまして、地方が受けた負担というものは非常に大きなものがあったと思います。中央は、これが対策を建設省、農林省、文部省というふうに各省に分かれて立てておりますが、地方団体へ参りましたら、これを県なり市町村なりが一手でやっていかなければならないという状態であります。復興をなすものは国じゃなくして、その責任を持って当たっておるのは、現地の市町村長であり、県知事であろうと思います。この市町村長または県知事責任を持ってこれを遂行しようとするなれば、それに見合うところの財政措置がなされなければならぬと思うのでございます。今回の特例法その他によりまして、地方財政に対するこれらの考慮が払われましたのも、この意味から出たものと考えるのでございますが、概括的に申しまして、これらの措置により地方財政が万全を期せられるかどうかということは、かかって自治庁責任にあると思うのでございます。この点に関する自治庁のこれまでとられた措置と覚悟とをお聞きしたいと思います。
  4. 奥野誠亮

    奥野政府委員 御指摘の通りの問題でございますので、自治庁といたしましては、今次の災害に対する財政措置といたしまして、当初より非常に苦心をいたして参ったわけでございます。最初に一番問題になりましたのは、今次の災害対策に対する国庫負担の割合について、特例を定めるかどうかということでございました。幸いにいたしまして国庫負担についての特例法が制定されるようなことになったわけでございますので、かなりの部分は、これによって将来の地方財政負担の増大が緩和される、こういうように存じておるわけでございます。  なお、今年度さしあたっての問題といたしましては、そのほかにいろいろな諸対策費用、あるいはまた減免による減収補てんの問題というようなことがあるわけでございます。これにつきましても、地方交付税特別交付税増額配分をいたしたい、こういうような希望を抱いておったわけでございます。それにつきましては、地方交付税制度の妙味と相待ちまして、補正予算において法人税等増収が計上されることになった結果、地方交付税につきましても、八十五億円の増額を確保することができるようになり、そのうちの四十一億円を特別交付税として配分することができるようになったわけでございます。従来の特別交付税が百四十九億円ございますので、これに四十一億円を加算いたしました百九十億円を、特別交付税として配分できますので、被災団体に対しまして、被災の状況を考慮した重点的な配分を行なうことが可能になったわけでございます。  なお、地方団体の本来の負担に属しますものにつきましても、ものによっては、さしあたりは借金でまかなわなければならないようなものもあるわけでございます。こういうものにつきましても、御承知のように、単独小災害に関する地方債について、一部を国が元利補給するというようなこともできるようになったわけでありまして、そういう意味特例法も今国会に提案いたして参っているわけでございます。  なお、個々団体につきましては、さしあたって借金いたしましたものも、将来元利負担していかなければならないわけでございます。その保障をどうするかという問題があるわけでございます。これについては、地方債の種類によって扱い方を異にしているわけでございますが、元利償還額の一部を基準財政需要額に算入するということにいたして参りますので、個々団体については、将来ともその財源保障されるということになってくるのではないかと思います。ただ、その保障する財源をどこから持ってくるかということになって参りますと、今後の毎年度々々々の地方財源必要額だけは全体として確保していかなければならない、これが将来に残された問題だろう、こう考えておるわけでございまして、それについても、将来ともなお努力をしていかなければならない、かように存じているわけでございます。
  5. 渡海元三郎

    渡海小委員 概括的なことはわかりましたが、ただいま言われました措置について、具体的に数字によって一応御説明を賜わりたいと思いますが、その前に、まず数字の根本になる、このたびの災害によりまして、市町村と県が責任を持って復旧しなければならない、いわゆる災害復旧公共事業費の額が、特例法が設けられない場合に、地方財政にどれだけの負担を及ぼすか、ところが本特例国会を通過いたすとしましたなれば、これがどの程度に緩和されるか、しかも、現年度、昭和三十四年度において施行されるその分の地方財源負担増を幾らと予定しておられるか、この三点についてお聞きいたしたい。
  6. 奥野誠亮

    奥野政府委員 今回提案されております予算を通じて、補助事業に伴う地方負担額が百億円余りだ、こう思っております。正確に申し上げると、あるいは百十億円くらいになるかもしれません。なお、補助金を受けないで行ないます地方団体単独災害復旧事業費、これがやはりことし百億円前後になろうかと思うのでございます。正確に申し上げると、九十億円という数字をはじいております。両方合わせて、事業費としては二百億円くらいのものが必要であろう、こう思っております。それから災害がありますと、こういうような基準減免しなさいというような、一応の減免基準というものを自治庁の方で地方団体に示しておるわけでございます。この基準によってはじけば、減免額が大体二十億円くらいになるのじゃないだろうか、こう思っております。そのほかに、地方団体といたしましては、罹災者に対して見舞金を渡しますとか、あるいは国の基準で交付したのでは、毛布なんかこれから寒さに向こうのにとても足りないとか、あるいは国の基準で給食の費用をまかなおうとしたところで、それは二食分くらいがまかなえる程度で、とても三食分はまかなえないとかいうような、いろいろなことがあるのでありまして、そういう意味において、いろいろな災害対策費用負担しているわけでございます。これがどれくらいに上るか、私どもは、一応個々団体から報告はとっておるのでありますが、その通りに承知していいかどうか、これはなお問題があろうかと思うのであります。  こういうような歳出の増加に対応しまして、歳入面ではそれではどういう措置をとったかと申し上げますと、さしあたりは借金でまかなわなければならないものが多いわけでございますので、地方債増額を行なっております。一般会計の分の地方債としましては、災害復旧に関連をして、百七十五億円を予定いたしているわけでございます。ほかに公営企業の分が二十億円あるわけでありますが、とにかく一般会計分として百七十五億円の地方債を予定しております。それから特別交付税として配分いたしますものを、大体六十億円ないし七十億円と予定いたしているわけでございます。従来の配分のルールに従って計算して参りますと、大体それくらいになるのじゃないだろうか、こう考えるのであります。そうしますと、それだけで二百三、四十億円になるわけでございましょうか。そのほか、今回国の方では公共事業費の節減を考えているわけでありまして、特に罹災団体におきましては、災害復旧仕事を中心にやらなければなりませんので、従来予定しておった公共事業もちょっと手がつかなくなってくるのじゃないかと思うのでございます。大体公共事業費の節約によりまして、地方負担の減というものが二十億円くらいはあるだろう、こう存じておるのでございます。そうやって考えて参りますと、大体そういうことで、一応今年の罹災団体財政措置はとっていけるのではないだろうか、こういうふうな見通しを立てておるわけでございます。  なお、特例措置によって地方負担がどの程度緩和されるかということでございますが、私たちは、こういう特例措置がなければ、これも非常にむずかしい計算になるわけでございますけれども、災害復旧仕事だけで、公共事業単独事業も含めまして六百五十億前後にはなっているだろう、こう思うのでございます。通常毎年起こります災害について予定をいたします補助事業費が、二百五十億円でございます。それを基礎にして考えますと、毎年度起こります災害について、地方団体負担は百二、三十億円のものでございます。それが今のようにふくれ上がったわけでございます。従いまして、今度の大災害については、どうしても国庫負担率を上げてくれなければ困る、こういうふうな主張をしておったわけでございます。特例措置によってどのくらい負担が緩和されるか。これは、激甚地指定の問題もございますし、あるいはまた災害の額をもっと的確に把握しなければ、計算が困難じゃないかと思うのでございます。しかし、地方債元利補給なども含めまして、二百億円前後は国の方で持ってくれるのじゃないだろうか、こういうふうな私たちの一応の見通しを立てておるわけでございます。それにしてもなお残るものが、通常災害よりはかなりきついわけでございますので、将来地方債元利償還額等財源措置を考えます場合に、やはり地方財政としては問題が将来にも残されておる、こういうふうに思っているわけであります。しかし、今申し上げますような措置がとられるようになりましたので、かなり大幅にその心配が緩和されてきているということも事実でございます。
  7. 渡海元三郎

    渡海小委員 ただいまのでわかりましたが、昭和二十八年度の災害のときにもあれだけの大幅な措置がとられましたけれども、その後に、昭和三十年に未曽有地方団体赤字が生じたのは、昭和二十八年の災害に大きな原因があった、こう思うのでございます。今回の災害も、あるいは大蔵省当局では、地方団体がよくなっておるから、それだけの高率を出さなくてもよいのではないかというふうな意見もございましたが、これは今言われた地方負担の増というものを国が持つか、地方が持つかという問題でございまして、この災害の額より見れば、あくまでも特例措置がとられるのは当然のことでございまして、政府当局において今回二十八年度同様の措置をとられたことに対しましては、私は敬意を表するのでございますが、今財政局長が申されたような問題が、多数今後にも残されて参りますので、これらの問題は、昭和三十五年度以降の地方財政計画によって十分なる措置がされないと、再びあの昭和三十年のような、地方団体赤字が続出するという現況がくるのじゃないかと思いますので、これらの点につきまして、再びあのあやまちを起こさないように、十分の措置を講じて、地方財政赤字による災害復旧の遅延ということを防止していただきたいと要望いたしておきます。  なお、ただいまのお答えの中で、税の減免数字が大体二十億ということを聞きましたが、災害による当然の税の減収というものも予想され得ると思いますが、いかがでございますか。  それから、今特別交付税で六十億を予定しておるということを言われましたが、それは大蔵省当局がトラの子のように申しております、あの四十一億を含んだ六十億でございますか。それとも、四十一億は別ワクとしての六十億でございますか。この二点を明らかにしていただきたい。
  8. 奥野誠亮

    奥野政府委員 お話のように、被災地方団体においては、相当な減収を生ずる団体もあるわけでございます。しかし、反面かなり経済が上向いておりますので、増収を生ずる向きもあるわけでございます。被災地方団体全体につきまして、私たち一つ推計をいたしておるわけでございます。全体として見ました場合には、災害による減収よりも若干増収の方が多いという計算になって参りまして、罹災地だけを見ますと、私たちのところでは、地方税自然増四十億円と見ておるわけでございます。もちろん、これは被災地方団体つっくるんでのお話でございまして、団体によりましては、非常にひどい状態で、減収が莫大な額に上っているというところもあるわけでございます。しかし、全体として見ました場合には、今申し上げましたような推計になっておるのでございます。もとよりこれは、当初地方財政計画を立てたところとの比較でございまして、個々団体におきまする予算上の比較ではございません。  なお、特別交付税は、今回の補正予算によって増額になります部分も合わせて六十億ないし七十億円を配分できる、こう申し上げておるわけでございます。
  9. 渡海元三郎

    渡海小委員 ただいまので数字的な地方財政全般の額は一応めどがつくのでないかと思いますが、特定被災地方団体におきましては、相当深刻な打撃をこうむることは、今局長が言われた通りであります。問題は、その特定地方団体、いわゆる激甚地指定が適切に行なわれておるかどうかということによりまして、全般的な数字のつじつまが合っても、実際においてはその地方団体復旧することができないという問題が生じてくるのでないかと思います。今回の激甚地指定ということに最も重要な問題がかかって論議されたのも、そのためでないかと存じます。今回の激甚地指定にあたりましては、いわゆる被災の激甚なところをとるという意味におきまして、混合方式がとられた、かように承っておるのでございますが、混合方式なるものをとられました理由を、これは大蔵省当局からお聞きしたいと思うのであります。
  10. 大村筆雄

    大村説明員 激甚地指定基準でございますが、これにつきましては、ただいま御質問の中にございましたように、最も各市町村被害の実情に即して基準を作らなければいかぬというふうにいたしまして、それぞれの事業につきまして、その事業実態に応じて激甚地指定がとられているのでございます。
  11. 渡海元三郎

    渡海小委員 ただいまの実態に即して行なう、このために混合方式をとったと言われるのでございましたら、〇・五以外のところにおきましても、その市町村にとりましては、基準財政収入額に対して被害激甚地に決して劣らないような町村も相当あったと思いますが、何がゆえに〇・五という線を引いて指定県を限定されたのか、この点につきましてお聞きしたい。
  12. 大村筆雄

    大村説明員 〇・五という点は、公共事業についてとられました基準でございます。私、公共事業はそう詳しくはございませんので、的確な御答弁を申し上げたことになるかどうかわかりませんけれども、一〇〇にするかどうかという点が非常に問題になった点だと思うのです。その点が特に〇・五となりましたのは、基本法が〇・五となっておる関係で〇・五というふうにそこで線を引かれたのじゃないかというふうに、私考えております。
  13. 渡海元三郎

    渡海小委員 大村主計官は、この点にタッチしていないので、あるいはお答えが明らかでないかと思いますが、被害激甚市町村について考えるがゆえに、公共事業被害激甚地指定にあたって混合方式というものを採用したのだ、こう言われるのであったならば、〇・五というふうな線を引かずに、あくまでも被害激甚地町村混合方式によって救うと言われるのが、理論的に筋道じゃないか、このように考えまして、今お尋ねしたのです。この点についてはどうお考えになるのですか。
  14. 大村筆雄

    大村説明員 その点につきましては、ただいま公共事業担当主計官を呼びまして、別途御説明申し上げた方が適当かと思いますので、御了承願いたいと思います。
  15. 渡海元三郎

    渡海小委員 今、大村主計官担当の方を呼ばれるということでございましたが、その答えとあわせてお聞きしたいのですが、おそらく〇・五という筋が引かれたのは、基本法にあります〇・五という数字からとられたにしましても、要は激甚地指定のこの特例法というものは、地方財政とにらんで、地方の力のないところに補助してやるのだ、率を上げることによって災害復旧事業を完璧ならしめるのだ、こういう意味でなされたのじゃないかと思う。そうでなかったならば、〇・五で線を引くというのは、理論的に合わぬと思う。当然野放しにして、激甚地であるというところは全部特例に入れなければ理論が合わない。一方で〇・五にしぼっておられます。片一方におきましては、今言われましたように、この法律が、地方財政が苦しい、国がめんどうを見て、災害復旧を全面的にしてやるのだということでありましたならば、少なくとも標準税収入額を上回るような被害を受けた県に対しましては、特に激甚地指定というふうに、混合方式によって、そのような被害を受けながらも、一部の県の災害事業に対しては高率補助の適用を受けられないというようなことができることは、同じ県でございますから、理論に反すると思う。混合方式をとられるのならば、野放しにすべきであるし、〇・五という線を地方財政を救うという意味が引かれるのだったならば、当然一〇〇%を上回るような県に対しては、全額県の工事については指定をされるというふうに持っていくのが理論的ではなかったかと思うが、この点理論的に大蔵省はいかに考えておられるか、あわせて担当主計官の御回答を承りたい、かように思います。  それとあわせまして文部省にお聞きしたいのでございますが、文部省のいわゆる被害激甚地にとられる政令の大要につきまして、御説明賜わりたいと思います。
  16. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 今回の災害を受けた公立学校等の建物の災害復旧に関する被害指定の点でございますが、大体次のような考え方で進んでおります。  市町村立の学校につきましては、市町村立学校の災害復旧事業事業費の額が当該市町村の標準税収入の百分の二十に相当する額をこえる市町村の区域、または長期の湛水状態が継続した市町村の区域、これが市町村立学校についての地域指定の考え方でございます。府県立学校等につきましては、いわゆる混合方式と申しますか、当該市町村の区域内に設置する県立の学校等復旧事業費の額と、そのほか市町村が設置する公立学校の同じく復旧事業費の額と合算した額が、当該都道府県の標準税収入に当該市町村の標準税収入を当該都道府県の区域内の全市町村の標準税収入で除した率を乗じた額と、それから当該市町村の標準税収等を合算した額の百分の二十に相当する額をこえる市町村の区域、または長期の湛水状態が継続した地域、こういうふうにいたしたいということでやっておるわけでございます。
  17. 渡海元三郎

    渡海小委員 ただいま申されたことによりまして、大体外貌はわかったのでございますが、この数字によりまして指定される地域というものと、いわゆる公共土木が出しておりますあの数字によりまして指定されます地域というものに、そう違いはございませんか、どうですか。この点お聞きしたいと思います。
  18. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 公共土木等の地域指定が、実際にどうなるかということを私たちも承知しておらないのでございますが、また、私どもが、この地域指定基準によりまして、最終的にどの市町村あるいはどの県立の学校等が所在する市町村指定されるかは、まだ被害の状況を見なければはっきりわからないわけでございますけれども、大体このような考えをとりました基礎には、今回の高率補助をいたします地域と、一般法によります、公立学校で申しますれば三分の二の補助をいたします学校等の比率というものは、大体公共土木等の場合と同様でございます。従いまして、公共土木の指定基準そのものを使いますよりも、同様の割合でございますから、市町村立の学校等被害実態に即した指定基準の方法としては、別個の基準を設定した方がよかろうということで、かような案を立てたわけでございますので、全体といたしますれば、あの公共土木等の考え方と違いはなかろう、かように考えております。
  19. 渡海元三郎

    渡海小委員 文部省から提案されているこの説明の理由を読むと、風水害を受けた公立学校等の建物のすみやかなる復旧をはかるということは、反面、地方財政の苦しさによってこれらの学校の災害復旧がおくれては困るのだ、だから国がめんどうを見てやって復旧を完璧ならしめるのだ、こういう趣旨から出ている。この点は、公共土木も同じ理由から出ているだろうと思う。地方団体は、学校であろうが、あるいは公共土木であろうが、財政の点では一つなんです。だから、公共土木で被害激甚指定を受けるようなところであれば、その学校の被害が百分の二十に達しないような少ないところでも、当然高率補助が行なわれなければ、たとい被害が少なくとも、ほんとうの復旧ができないのではないか、かように考えるが、この点、何がゆえに文教とあるいは公共土木とを分けられたのか。農林の被害というのは、個人あるいは団体でございますから、これは公共団体と離れてやるのですが、いわゆる公共事業であることは、これは堤防であろうと、道路であろうと、学校であろうと、私はその町村がやらなければならぬことであり、同じだろうと思う。その点におきまして、学校だけは百分の二十に達しないものはやられないということになりましたら、困るのじゃなかろうか。少なくとも公共土木の被害激甚地指定を受ける町村においては、この百分の二十によって全部入るのだという程度にまで、なおそれ以上のところも救われるんだ――これはPTAの負担もございましょう、もしくは市町村負担もありますから、分けられるのに当然意味があると思う。しかし、少なくとも県の公共土木の被害激甚地町村に対しましては、全部これが入るんだという程度にまで、この今示されました政令案に出てきてこそ、初めて分けられる意味があるのであります。そうでなかったならば、少なくとも公共土木の線と同等にまで持ってきていただきたい、こう考えるのでございますが、この点いかがでございましょう。
  20. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 先ほど申し上げましたように、高率補助を適用いたします地域、それから一般法の適用を受けます地域のつり合いと申しますか、公共土木等の場合と違いはないわけでございますから、現実に公共土木の場合指定地域がどのように決定されるか、まだ私どもはっきりわかりませんけれども、総体といたしましては、被害の激甚な地域というものに両方の指定がそう食い違うはずはなかろうと思います。ただ、法律の建前といたしまして、学校のすみやかな復旧をはかるということでございますから、もちろんお説のように、今回の基準につきましても、地方団体財政力というものの相関的な関係を考慮に入れますが、部分的にはやはり学校の被害を中心に着目して規定した方がよかろうということで、かような考えをとったわけでございます。
  21. 渡海元三郎

    渡海小委員 私は、ただいまの答弁では了承しかねるのでございますが、なお、数学的に被害激甚地の公共土木とどの程度の差があるかということを具体的にお示し願った上、この問題はいずれあらためて質問さしていただきたい、こう思うわけですけれども、ただ一点お聞きしたいのは、市町村指定の場合において、百分の二十と、ほかに長期湛水という言葉を入れておられますが、被害の額のいかんにかかわらず、いわゆる公共土木で示されたと同じような長期湛水の場所は激甚地として指定するという意味であろうと思いますが、その長期湛水は、長期湛水地域になっている県の学校についても適用されますかどうか、その点をお伺いします。
  22. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 その通りでございます。
  23. 渡海元三郎

    渡海小委員 了解いたしました。  ただいま大村主計官が席をはずしておられましたから、あらためてお伺いしたい。今文部当局に聞いたのでございますが、激甚地指定について、農林関係は、これは個人もしくは団体被害でございますから、政令基準というものを公共土木その他と別にされることはわかる。ところが同じ公共団体が行なう事業である文教関係を、ただいま聞きましたら、公共土木関係の激甚地指定において、異なる指定をしておられる。しかし、激甚地指定をするということは、地方公共団体財源不足を補うことによってその復旧事業を促進さすということが、全部のこの特例法律の趣旨になっている、その趣旨からいえば、当然公共土木において指定されるような激甚地におきましては、文教関係につきましても激甚地として指定されるのが理論的に正しいのじゃないか、こう考えまして申しましたのですが、この点について、大村主計官はいかなる考えでございますか、あらためてお尋ねいたします。
  24. 大村筆雄

    大村説明員 もちろん、被害市町村財政状況等も勘案して基準ができているわけでございますけれども、復旧事業の対象によりまして、被害の実情がそれぞれ違っております。たとえば、一本にやりますと、学校としては大した被害がないところでも、あるいは高率の対象になり得るということになるわけです。あるいは一本でやりますと、学校では相当の大被害がありましても、全体として対象にならないことになるのでありまして、学校は学校独自といたしまして、特に被害の大きいところにつきまして、当該市町村財政事情とかその他を勘案して激甚地指定をやっていくのが合理的ではなかろうか、こういう観点に立ちましてやったのであります。
  25. 渡海元三郎

    渡海小委員 学校は学校としてということで言われたのですが、たとい、学校としての被害は僅少のために百分の二十に達せず、激甚地指定を受けないところでも、公共土木で激甚地指定を受けているというような市町村では、学校を復旧する責任を負うのは町村なんです。たとい学校の被害は少ないといわれましても、やはり高額な補助をしてやらぬことには、すみやかな復興というものはできない。この特例を作りましたのも、その町村財政を救って、すみやかに復旧をやるということが、その趣旨じゃないかと思う。この趣旨を生かせば、激甚地指定をするのに、学校の被害は少ないのだから、してやらなくてもいいのだということも、私は間違っておるのじゃないか、かように思う。また、しかしながら、今あなたが言われましたように、公共土木で指定にならなくても、学校として大きな被害をこうむっておるのだ、こういう町村には、やってやらなければならぬじゃないかということはわかる。しかしながら、これを分けられた理由の中には、学校は、県立学校であっても、町村が地元負担金としてやっている。あるいは、これはよくないことでございますが、学校区その他の名前でPTAがそれぞれの負担をして建てておるのが、現実の状況なんであります。こういう意味からいいましたら、あるいは分けられるということに理由はあるかもしれませんが、少なくともこの法律の趣旨を生かすためにやるのでしたら、この文部省の出される政令というものは、公共土木で出てくるこの、地方を救う基準と同じものが――特に今言いました、学校だけで大きな被害を受けておるが、公共土木では被害地に入らないというところを救う政令を出すことによって、初めて完璧を期せられるのじゃないかと思います。この点、数字がわかりませんから、私は数字の詳細なる御報告を待って、あらためて質問させていただきたいと思います。  なお、自治庁当局にお聞したいのでございますが、私は、今回の政令の指定の中に、ただいま申しましたように、非常によく考えられた事項でございますが、末端に至りましては、そういったような実情が起きてくるのじゃないか。従って、激甚地町村を持っておりながらも、あるいは県の工事に対しましては〇・五というような線を引っぱったために、全然当たらないような、この特典に浴することができないような県が生まれた、あるいは激甚の指定には県全部が入らないために、県としては基準財政収入額の二倍も三倍もの被害を受けておりながら、その県のやる工事について――ある一定の地区があまり被害がなかったために、激甚地指定に入らずに、その県のやる工事は、いわゆる高率補助の適用を受けられない、こういうような矛盾が起きてくるのじゃなかろうか。この矛盾を救うために、政府当局におかれましては、いわゆる特別交付金をもちまして、完璧を期する考慮を払う、こういうことを、漏れ聞くところによりますと、行なわれたのじゃないかと思うのでありますが、この点につきまして、いわゆる特別交付税によりまして、行政上の完璧が期せられるものであるかどうか、自治庁のお考えをこの際お漏らし願いたい。
  26. 奥野誠亮

    奥野政府委員 自治庁といたしましては、個々事業についての地方負担額だけを見て措置をするわけではなしに、それぞれの団体災害に伴う地方負担額が全体としてどれくらいになるか、それをその団体としてはどう処理していけるか、というようなところから考えていかなければならないと思っています。そういう見地に立って、地方団体の所要財源全体とにらみ合わせながら、地方債資金配分なりあるいは特別交付税配分なりをやって参りたい、こう存じておるわけでございます。従いまして、たとえば国庫負担特例によって高率国庫負担が受けられる。そういたしますと、その団体地方負担分は減少してくるわけでございます。従いまして、減少した地方負担額を頭に置いて、地方債資金配分を行なわなければならないじゃないか、かように思うわけでございます。しかし、特例法の適用を受けられない団体につきましては、地方負担が多くなるわけでございますので、その多い地方負担額を基礎にして地方債資金配分を行なう、あるいは将来元利償還額基準財政需要額に算入する場合も、多い地方負担額を基礎にして基準財政需要額に算入していく、そういうような措置を当然とっていくべきものだ、かように考えております。
  27. 渡海元三郎

    渡海小委員 今度の被害に対しまして、政府当局は、累年の被害によるのは、結局原形復旧ということではだめなんだ、改良復旧をやらなければ全然だめなんだということを盛んに希望されまして、この点を非常に推進しておられる、こう聞くのでございますが、これはまことにけっこうなことだ、かように思いますが、この点につきまして、今回出されました予算並びにこの特例等によりまして、いかなる措置がとられておりますか。これは一応大蔵省の方からお聞きしたいと思います。
  28. 大村筆雄

    大村説明員 国有財産担当の適当な者がすぐあとで参りますから、そのとき詳細御説明申し上げます。
  29. 渡海元三郎

    渡海小委員 それなら、あとで担当官が参られるようでございますから、その際にあらためてお聞きしたいと思います。  今回、本年度の災害によりまして起債を百四十億追加されまして、総額において百七十五億に災害起債額がなったということをただいま承ったのでございますが、追加されました百四十億の起債の中には、二十億という公募債があるということを聞いておるのでございます。私は、災害は政府資金によってまかなうのが当然でございますが、原資の関係でそうなったのだろうと思います。この公募債は、少なくとも政府資金と同じように六分五厘の利率でないと、ほんとうの災害起債には充当できないと思うのですが、この点についての考慮がいかように払われておりますか、お聞きしたいと思います。
  30. 奥野誠亮

    奥野政府委員 御指摘の通り災害対策に充てられる地方債資金の全額を政府資金をもって充当できませんでしたために、二十億円程度のものを公募資金について予定をいたしております。しかし、地方債資金配分にあたりまして、従来政府資金を予定しておりました種類のものにつきまして、一部公募資金に振りかえたい、こう考えております。そういたしまして、可及的に災害復旧の関係の資金には政府資金をもって充てるようにしたいと存じておるわけでございます。従いまして、今回増額いたしました公募債資金二十億円が、そのまま災害復旧に充てられるわけじゃなしに、一部政府資金に振りかえられるものだ、こういうふうに御了解を願っておきたいと思います。なお、いずれにいたしましても、それぞれの資金によって違うわけでございますけれども、六分五厘とかということじゃなしに、起債の種類によりましては、九五%まで元利償還額基準財政需要額に入れますし、あるいはまた、もっと少ないものでありましても、歳入欠陥等の補てんのための地方債、こういうものにつきましては、二八・五%までは元利償還を特別交付税でめんどうを見ていく、こういうふうなやり方をするわけでございます。従いまして、六分五厘に下げた以上に地方団体負担は軽減されていく、かように存じているわけでございます。
  31. 渡海元三郎

    渡海小委員 百七十五億という一般会計の額でございますが、この百七十五億という一般会計の額で、今回の災害に対する完璧を期し得るかどうかということをお聞きしたい。と申しますのは、今回の起債は、この特例で出されたように、元利償還付のものが相当ございます。また、災害の裏づけ起債というものは、地方交付税においてこれを九五%まで見ていただくということになりまして、受ける町村にとりましては、これは補助と同じであるということになりましたら、起債の額によってパーセントを落とすということになりましたら、それだけ国庫補助が減ったのと同じ効果ができるのではないか、こう考えますので、少なくとも起債必要額の全額を満たし得るものでなければならぬ、かように思いますが、その意味から言いまして、この百七十五億という額が十分であるかどうかということを、まずお聞かせ賜わりたいと思います。
  32. 奥野誠亮

    奥野政府委員 地方債の所要額につきましては、従来と同じような考え方でその所要総額をはじき出したわけでございます。まだ災害復旧費の所要額の全体につきまして、これでもう動かないのだというような数字が固まってはいないのじゃないか、こう思っております。しかし、現在の推定によって算出しております段階におきましては、まあこの程度資金を今年度において用意できれば、どうにかやっていけるのではないだろうか、こういうような考え方をとっておるわけでございます。
  33. 渡海元三郎

    渡海小委員 大体百七十五億と予定される起債の内訳を、この際一応お示しいただきたい。
  34. 奥野誠亮

    奥野政府委員 前年災害に対応いたします国庫補助災害復旧事業費、その裏になります地方負担額、これに充てられるものとして五十五億円を考えております。それから災害関連事業でありますとか、緊急治山、緊急砂防という仕事に対応します地方負担額といたしましては、二十四億円を考えておるわけでございます。要するに国庫補助事業の裏になります地方負担額類として、両方合わせました七十九億円というものを予定いたしております。これに対応して、単独の災害復旧事業費につきましては、七十六億円を予定いたしております。その内訳は、一部元利補給をいたします土木と学校の小災害部分が十九億でございます。これは来年度に回ります部分もございまして、来年度に十八億円予定いたしておりますから、元利補給付の土木と学校の小災害としては三十七億円を予定しておるのだ、こういうことになるわけでございます。ことし許可をいたしますのは、そのうちの十九億円でございます。それから、やはりこれも元利補給をいたしますところの農地、農林関係の小災害が十七億でございます。残りの四十億円というものが、元利補給のつかない純然たる単独の小災害でございまして、これで、土木関係のみならず、学校でありますとか庁舎でありますとかいうようなものの災害復旧費をまかなっていきたい、かように考えておるわけでございます。なお、今回特に特例を設けまして、減免による減収補てん、あるいは災害対策の裏の地方負担額、そういうものを見る地方債として、二十億円を予定いたしておるわけでございます。この二十億円の内訳は、一応の数字としては、減免による減収補てん等の部分について十三億円、国庫補助を受けて行ないます災害対策の裏の地方負担分として、七億円と考えているわけでございます。これらは、今後なお事態の進展とともに若干内訳が変わってくるかもしれませんけれども、一応の数字としては、今申し上げますような計画を持っているわけであります。
  35. 渡海元三郎

    渡海小委員 ただいまの数字によりまして、大体わかったのでございますが、補助事業の裏になります部分としましての五十五億、これは現年度災害でございますから、当然一〇〇%起債とし、充当されるものと見ての数字であると解してよろしいでしょうか。また関連並びに緊急治山、緊急砂防の二十四億というのは、どのくらいの充当率になっておりますか、お聞かせ願いたいと思います。それと、いわゆる単独の四十億で、このたびの特例によりまして小災害起債を許す、しかも激甚地に対しましては元利補給を行なうということでございまして、まことにけっこうな措置と思うのですが、それでもなおこの小災害におきましては、一学校十万円、それから公共土木につきましては、市町村におきましては五万円、県におきましては十万円というふうに区切ってあります。あるいは農地におきましても三万円というふうに区切ってありますが、町村に上りましてはそれ以下の工事がたくさんございまして、これらを集計すると、その県、その市町村には相当な額になっておりますが、これらの仕事も合わせて単独、準単独の四十億という中で、起債によって財政的な裏づけを考えておられるものであろう、かように考えるのですが、この特例の適用を受けないものに対するもの、またはこの特例以下の小災害を救うための単独の四十億というものが、どの程度の率で見込まれて出すべきであるかどうかということを、お聞かせ賜わりたいと思います。
  36. 奥野誠亮

    奥野政府委員 現年災害に対します災害復旧事業費の地方負担額、あるいは現年災害に伴いますところの災害対策、緊急治山、緊急砂防の緊急負担額、こういうものにつきましては、原則として一〇〇%地方債はつけたい、かように考えておるわけでございます。ただはずれて落ちて参りましたり、あるいはまた若干受益者負担金の徴収できるものがありましたりするものがありますので、私どもが地方債計画を作りますときには、地方負担額全体の九〇%というものを地方債資金として用意して参るわけでございます。それによって実際の使用額の一〇〇%の地方債をつけるということになっておるわけであります。地方債計画としては九〇%という計算をはじいております。なお単独事業地方債として四十億円を予定していますが、これは御指摘の通り、一件の限度額を十万円とか十五万円とか以上が国庫負担だ、五万円以上とか十万円までのものについては元利補給する。それから以下のものはしない。また特例法の適用を受けない団体の分も、もちろん入っております。それじゃそういうものの復旧費の全体をこれでまかなえるのかといいますと、必ずしもこれでは全部をまかなえないと思います。やはり小さい災害などにつきましては、ある程度一般財源を持ち出してもらいたい、こういう考え方をしておるわけでございます。ただ従来から、こういうような単独地方債は、所要資金というものを、公共補助事業の一六・四%という率ではじき出しておるわけであります。数年来ずっと一六・四%という率を使って参っております。今回もやはりこの一六・四%で単独災害復旧事業に要する地方債所要資金、こういたしておるわけであります。単独災害復旧事業費がこれで終わるかといいますと、そうではなくてやはりもう少し高い率になろうかと思います。しかし、さしあたり借金でまかなわなければならないものは、これくらいでどうにかやれるのではないかと思っております。
  37. 渡海元三郎

    渡海小委員 今の関連の関係の二十四億、これはどの程度の率であるかということを御説明願いたいと思いますが、さらに現年度の五十五億で財政計画の九〇%を見ましたならば、大体必要額を補えるということでございましたが、次年度になりましたら、これは七〇%に落として含まれるのが普通になっております。私は、この災害の裏づけの補助事業というものは、地方財政計画で見られるのでございますから、地元にとってみれば補助金と同じではないか、だから次年度におきましても、もう少し十分につけていただきたい、特に今次のような災害におきましては、次年度におきましてもっと起債をつけていただかなければならないんじゃないかと思いますが、これは自治庁が、いわゆる町村財政の健全性を守るために、地方交付税でまかなうようなものをも、この点落としておられるのか、それとも、いわゆる起債のワクが予定するだけ取れないために、やむなく七〇%で押えておられるのか、この点をあわせてお聞かせ賜わりたいと思います。
  38. 奥野誠亮

    奥野政府委員 先ほど災害復旧補助事業だけでなしに、災害関連、緊急治山、緊急砂防の地方負担額についての地方債も申し上げたつもりであります。同じように、現年度に関します限りは、原則として一〇〇%地方債をつけていきたい、かように考えておるわけでございます。なお過年度になりますと、地方債の充当率を、御指摘の通り引き下げております。それは災害の起こりました年は、とてもその財源をあれこれほかから持ってくるということは不可能でございますので、さしあたり地方債を認めておるわけでございます。年度が進行いたしましてから、事業の計画を変えて、一般財源をひねり出しましても、とてもできることじゃないだろうと思います。そういう意味で一〇〇%地方債をつけておるわけでございます。私たち災害復旧といえども、できる限り一般財源を捻出してもらいまして、将来の財政負担を残さないようなやり方をしてもらいたい、こういう希望を持っておるわけでございます。災害の起こりました翌年になりますと、年度当初から、緊急事業費にはどのくらい金が要るんだろうということを予定してかかるわけでございますから、全体を見通して年度予算を立てる場合に、ある程度ここへ一般財源をどのくらい持ってくるという計画も可能でございます。またそういう努力をしてもらうことによって、災害だからあとで財源措置をする、借金で何もかもやっていこうという弊害も避けられるのではないか、こう思っております。そういう意味から、御指摘の通り、過年度災害復旧については七〇%を目途に地方債資金をつけよう、こういうふうにいたしておるわけでございます。もとより、しかし地方財政計画を作ります場合には、三〇%の部分につきましても財源を必要とするということで、計画は作っていくわけでございます。それだけのものは一般財源が全体としてふえてこなければ、地方財政計画の収支が均衡を維持できない。もちろん財源措置としてはやっていく。その財源措置を全体として借金でやるか、あるいは一般財源でやるかの違いであります。個々団体についても同じような考え方で、ある程度のものは一般財源を予定してかかるという健全な運営を続けてもらう、こういう気持で、過年度災害になりますと充当率を引き下げておるわけであります。
  39. 渡海元三郎

    渡海小委員 ただいまのお気持はわかりますが、一般の財政計画に組まれておりましても、個々市町村をとってみましたならば、被災団体でございますので、次年度は税収の減もございましょうし、財政計画の上でも、個々地方団体にとっては、次年度といえどもやはり相当財政が窮屈でなかろうかと思う。それからもう一つ、地方財政計画そのものにつじつまが合いましても、個々地方団体にとりましては、災害の裏づけ起債でございましたら、基準財政収入額の算定の中に入れられまして、交付税によって元利補給がされるということになりましたなら、九五%の補助と同じなんだという考えでみましたならば、いわゆる裏づけの起債というものは、むしろ一〇〇%ほしいというのが気持でなかろうかと思います。この点、今の七〇%という充当率をもう少し引き上げられるのが、これらの要望にこたえるためにもいいんじゃないか、かように考えるのですが、重ねてお聞きしたい。  なお、関連事業は、現年度は一〇〇%でございますが、関連事業につきましては、御承知の通り将来の借金になるのでございますから、次年度からは財政計画に組まれて、できるだけ一般財源をもって充当されるということはけっこうなことであろうと思うのですが、今回の災害で特に関連事業として大きく取り上げられたのは、伊勢湾の事業であろうと思うのでございます。伊勢湾の事業は、単に災害復旧だけをもってしてはこれの完璧を期することはできない。将来に備えるためには、これを改良復旧しなければならない。しかもこの改良復旧に伴いましての関連事業というものが、相当大きく浮かび上がってくるのではないか。そのために、特にこの関連事業に対しましては補助率を八割までに上げるんだ、そして国の方針通り地方団体もこの事業の完璧を期することができるんだというような措置をとられたのでありますが、この伊勢湾に対する関連起債というものは、三重県あるいは愛知県、特に三重県におきましては、そう財政も十分でございませんから、この関連起債も、残りの二割の関連起債というものも、次年度からは一〇〇%に近いものを出していただかぬことには事業の完遂ができぬのではないか、かように考えるのでございます。私はむしろこういうふうな特例が出された以上は、関連事業災害復旧事業とみなして、そして当然裏づけの起債の充当率も上げるし、またこれらの起債が、今後の財政計画によって補給される裏づけをしていただけるというふうにするのが、当然でなかったかと思うのでございます。この特別措置法の第四に、災害復旧の総額の中に、災害復旧事業費とみなすという規定を入れておりますが、これがそういう意味で出されたものであるかどうか、この点確かめておきたいと思うのですが、いかがでありましょう。
  40. 奥野誠亮

    奥野政府委員 前段の、過年災の充当率七〇%を引き上げろという御意見につきましては、やはり個々団体にとりましては、災害が異常に大きかったために、過年度災害になった場合にも、その山方負担額が莫大に上がってとてもやりきれないというような団体もあろうかと思います。そういうこともございまして、今年度も一般的には七〇%の充当率を予定したわけでございますが、昨年の災害が非常に集中的に起こった地域につきましては、充当率を八〇%、ある団体につきましては九〇%まで高めております。そういうように、単純に一律な扱いをしませんで、団体によって若干の差をつける取り扱いをしていきたい、かように考えております。ただ基本的には、過年災だから一〇〇%充当率をもっていくというような考え方はいたしませんで、あくまでも健全な財政運営を心がけてもらうというような建前で財政計画も作り、起債のつけ方もいたしていきたい、かように考えておるわけでございます。  なお一般の災害関連工事でありますと、災害に関連するかもしれないが、普通の公共事業だ、こう扱われます限りは、今年度の例について申し上げますと、起債の充当率は四五%でございます。災害の起こりました当初は、原則として一〇〇%つけますけれども、翌年以降は普通の公共事業扱いになってしまうわけでございます。ただ伊勢湾高潮対策につきましては、その特例法の中に示されておりますように、災害復旧事業であるとすべき部分と一般の公共事業とすべき部分と、一緒にして規定をいたしておるようでございます。従いまして、普通の災害関連として地方債をつけていったのでは、高潮対策全体に対する起債のつけ方として間違いになるというようなことではなかろうかと思います。従いまして、伊勢湾高潮対策につきましては、三重県や愛知県の事情も考慮し、また高潮対策に関する事業をよく検討いたしまして、御指摘のような点についての間違いをしないようにいたして参りたいと考えております。
  41. 渡海元三郎

    渡海小委員 次に、各町村からは、今回の災害に関しまして特例を出されたことは非常にありがたいのであるが、その起債額が、ある一定の金額にまで達しなければこれをいただけないということなので、今回の特例による起債というものは、先ほどから申しますように、補助にもひとしいような額でございますので、個々町村にとりましては、一般には百万円という数字で切られておりますが、小さい町村にとりましては、百万円というのは相当膨大な数字でございまして、それ以下の金額でございましても、相当負担を苦しめますので、この限度額を下げていただきたい、それを五十万まで下げてもらいたい、こういうような要望でございます。これらの要望は当然のことであろうと考えますので、自治庁当局におかれては、この要望にこたえて、限度を引き下げられる考慮があるかどうか、この点お聞かせ願いたいと思います。
  42. 奥野誠亮

    奥野政府委員 災害復旧の所要資金をさしあたり借金でまかないますのは、やはり基本的には、金額が大きな額に上るものだから一ぺんには払えない、そこで何年かの間に分割して払うようにしよう、そういうことで地方債を起こすのだと思いますが、そうしますと、どうしてもやはり一件限度は何万円以上のものについてのみ地方債を認めるという考え方が出てこざるを得ないじゃないだろうか、こう私たちは思っておるわけであります。また現実に貸付業務をやっておるところからいたしますと、大体災害復旧資金は十五年くらいで返すことになろうかと思います。そうしますと、御指摘の五十万円を十五年で割ると、一年については三万円内外だ、こういう数字になって参るわけでありまして、そのことが、貸付業務を扱っておるところからすると、非常に煩瑣になってしまうのだ、事務的にそういうことはかなわない、こういうふうな意見も聞いておるわけであります。しかし、今お話のありましたような点もございますので、私たちとしては、あとう限りこれを引き下げたいというようなことから、本来なら五万未満の市町村でありますと、百万円以上のものについてのみ地方債を認める、こういうことにいたしておったわけでありますが、今回の災害につきましては、これを八十万円程度まで引き下げたいということで、一応政府部内の話し合いはできておるわけであります。なお御指摘のような意見もありますので、今後もなお検討はいたして参りますが、今申し上げましたような事情のありますことを御了承願っておきたいと思います。
  43. 渡海元三郎

    渡海小委員 私は、これは各町村にとりましては補助にもひとしいというふうな起債でございますので、事務の煩瑣もございましょうが、あとう限り実情に即して限度額をきめていただきたい、このように要望いたして、この点に関しましては政府の答弁を了承します。  次に、このたび地方債起債特例として出されました法律につきまして、政令にまかされておる事例が相当ございますのですが、農林並びに建設あるいは文教その他の政令がほぼ固まりましたのでございますが、自治庁としまして、これに合わせての政令が作られるものと考えられますが、どのような概案になりましたか、もうほぼ決定したことであろうと思いますので、一応お聞かせを願いたいと思います。
  44. 奥野誠亮

    奥野政府委員 起債特例を考えております対象の起債には、三つの種類がございます。その一つは、特例法の第一条に書いてあるものでございますが、減免による減収補てんでありますとか、災害諸救助対策のいろいろの地方負担分に充てる地方債でございます。これは二十八年災害債のときに出されましたと同じ考え方にのっとって、地域指定をしたい、こう思っております。すなわち、いろいろな災害復旧事業費、土木でありますとか、学校でありますとか、農林でありますとか、こういうような事業費が、その団体の標準税収入を上回っておる団体はこの地方債を起こしたい、こう思っております。  第二番目の土木小災害、学校小災害、これにつきましても、今申し上げましたような団体はこの特例債を出させる、こういたしたいと思いますが、そのほかに、土木につきましても学校につきましても、先ほど御議論のありましたように、激甚地指定が行なわれる結果、今申し上げた団体の中には入らないが、激甚地指定を受けるという地域が生じて参ろうかと思います。そういう激甚地指定を受けるような地域につきましては、あわせてその地域事業についてこの特例債を起こせるようにプラスしたい、こう考えておるけでございます。 第三は、農地、農林業施設についての小災害でございます。これにつきましては、昨年やはりこの種の特例法を出したわけでございまして、その際に、一市町村当たりの農地、農林業施設の災害復旧事業費が一千万円をこえている市町村というふうに指定をいたしたわけでございます。これを今回は一千万円という金額を八百万円に下げたい、こう考えております。言いかえれば、特例債を出せる市町村の範囲が広がるわけでございます。なお激甚地につきましては、これは農林省の方で立案されまする激甚地指定、これに全く合わしていきたい。その地域につきましては、この特例債につきましても激甚地扱いをいたして参りたい、かように考えておるわけでございます。そういう方向で一応案を用意いたしております。
  45. 渡海元三郎

    渡海小委員 大体今の御説明でわかりましたが、基本となるものを標準税収入の一〇〇%以上ということ、しかも、あらゆる災害を集めてやられるというところから、この標準となる起債特例を許されるという市町村は、公共土木とかあるいは学校とかいうものよりも、非常に緩和された形になる、かように考えるのでございます。しかしながら、今度公共土木でとられましたものの中には、いわゆる市町村の査定のときに、激甚地市町村を救うために、市町村の工事としては標準税収入の五割をこえておる、しかも混合方式をとれば激甚地になるところは、拾い上げるというふうな特例が入れられたと思うのでございますが、そういうようなところが、今言われました方式によってもし落ちるようなことがあれば、片方だけ激甚地指定しておきながら、片方では起債がもらえないというふうな姿になりますが、当然これらは含まれるような措置が考えられる、かように存じますが、いかがでございましょうか、この点念のためにお聞かせ願いたいと思います。  それともう一つは、ただいま仰せになりましたいわゆる八百万円に落としまして、大体市町村から出て参りますものをほとんど救うことができるかどうかという点と、二点お聞きいたしたいと思います。
  46. 奥野誠亮

    奥野政府委員 前段の問題は、特例債を起こせる団体になります。  後段の問題は、これは一応私たちは、先ほどちょっと申し上げましたように、小災害の規模というものを推定するために、補助事業の一六・四%という率を用いておるわけであります。実際問題として、それで十分であるか十分でないか、なお今後の検討を要するわけでございます。ただ経験的に一応の推定をいたしておるわけであります。農地、農林の災害査定がまだ終わっておりませんので、おそらく来年になりませんと、この数字がはたしてこれで完全であるかどうかということについては、結論を出せないのではないか、しかし大体においてこれでやれるのではないか、こう思っておるわけでございます。
  47. 渡海元三郎

    渡海小委員 起債関係のことについて、なお一点お聞きしたいのでございますが、それはこの第一条にあげられておるうちの、第一項であるところの歳入欠陥債に対しましては、この前の昭和二十八年度災害の際におきましては、全額元利補給付の起債が許された、かように考えております。今回はそのような措置をせず、これはかかって将来の地方財政負担になるというふうになるのですが、社会党さんの提出法案におきましては、この点も昭和二十八年度と同様に全額国が元利補給すべきじゃないか、こういう案が出ておるのでございますが、何ゆえに昭和二十八年度災害と区別いたしまして、この点を元利補給なしに、一般財源に譲られたのか、この点お聞かせを願いたいと思います。
  48. 奥野誠亮

    奥野政府委員 現在の地方交付税制度というものは、昭和二十八年当時においてはございませんで、それに準じた措置として、地方財政平衡交付金の制度があったわけでございます。現在の地方交付税の制度は、国税でありますところの法人税、所得税、酒税の二八・五%が自動的に地方交付税になって参ります。昭和二十八年当時の地方財政平衡交付金は、現在の財源不足額を積み上げて、そうして地方財政平衡交付金の総額を決定をするというような考え方になっておったわけでございますから、言いかえれば、国の予算地方財政平衡交付金の総額がきまっておったわけでございます。災害があっても、この地方財政平衡交付金の歳出予算を特に増額いたしません限りは、今のように自動的に地方交付税増額になるというようなことはなかったわけでございます。そこで、当時の議論としては、地方財政平衡交付金にも普通交付金と特別交付金の区分がありまして、やはりこの特別交付金を増額すべきではないかというような意見がかなりあったわけでございます。しかし国の方の財源の都合もあったりいたしまして、とにかく五十億円だけ借金増額しよう、そのかわり、その五十億円の元利は将来国庫で補給をしていこう、こういうことになったわけでございます。ところが、今回は地方交付税制度になっておるわけでございますので、自動的に地方交付税が、国の歳入予算に三税の増額が計上されます限りは、地方交付税増額になってくるわけでございます。その結果、八十五億円というかなり大きな地方交付税増額を見ることになったわけでございます。普通交付税にそのうち四十四億円を回しましても、特別交付税が四十一億円という大きな金額になって参るわけでございまして、これを従来の特別交付税に加算して配分することができるわけでございます。二十八年のときに、五十億円の全額元利補給付の地方債を出したわけでございますけれども、その際に、土木小災害について一件限度を引き下げる農地については三万円まで引き下げられたわけでございます。土木についても引き下げるという議論があったわけでございますが、引き下げるかわりに、この地方債を幾らかつけようということになったわけでございます。その額がたしか十六億円程度あったと思います。そうしますと、純然たる特別交付金は三十四億円になるわけでございます。でありますから、比較においてものを言えば、二十八年のときには特別交付金が三十四億円増額になった、今回の災害においては特別交付金が四十一億円増額になった。そのほかに普通交付税が四十四億円さらに加算されることになった、こういうことでございます。従いまして、実質的には二十八年の際よりもはるかに手厚い措置が、今回の災害においてはとられた、こういうことになるのでございます。そのほかにプラスして、今回特例法を出しておりまして、この歳入欠陥補てん等の地方債を二十億円発行しようといたしておるわけでございます。二十八年にとられた五十億円の元利補給付の地方債、それ以上の措置は、別途に今回は地方交付税増額という形においてとった。それ以外に、さらにこの特例法かできているわけでございまして、この特例法と二十八年の元利補給付の五十億円の地方債とを比較されますことは穏当ではない、さように私たちは考えておるわけでございます。
  49. 渡海元三郎

    渡海小委員 ただいまの点、大体了承をいたしました。  行政局長に伺います。市町村共済組合の組合員災害見舞金の額に対する特例が出ておるのでございますが、これは当然国家公務員もこのような措置がとられるものであろう、国家公務員と均衡をとって、このような市町村共済組合に対する措置がとられたものである、かように考えるわけでございますが、国家公務員との関係におきましてどうなっておりますか、この点をお聞かせ願いたい。
  50. 藤井貞夫

    ○藤井政府委員 これはお説の通りでございまして、実は現在共済組合の関係では、国家公務員共済組合法と市町村職員共済組合法と二本建に相なっておるわけでございますが、国家公務員共済組合法は昨年改正に相なりまして、これらの付加給付に当たるものといたしましては、政令でそれぞれ措置ができるように相なったのでございます。現行の制度におきましては、御承知のように府県の一般職員、それから公立学校の教職員並びに警察職員につきましては、国家公務員共済組合法に乗っかって運営をされておる。従いまして、それらにつきましては、国家公務員関係で現在方針を討議いたしておりますが、大体やり方といたしましては、市町村職員共済組合法と同じように、最高二カ月の割増しをやるということに方針がきまっておるわけでございます。ただ、この方は、法律改正を要しないで、政令でもってやれるということに相なっておりますが、市町村職員共済組合法におきましては、改正前の国家公務員共済組合法と大体歩調を合わせて規定をいたしておりましたために、いわゆる付加給付の規定がございませんので、法律の運用だけでは割増しの措置を講ずることができなくなっておりまするために、市町村職員共済組合法につきましては、国家公務員に準じた措置を講じまするために、法律改正の措置を講じて、同じような措置がとれるように道を開いたというのが、現実の姿でございます。
  51. 渡海元三郎

    渡海小委員 さらにお伺いいたしたいのでございますが、一部では、本特例による付加給付を行ないます月数を、二カ月の範囲内ということになっておるのを、三カ月にしてはどうだ、こういうふうな御意見もあるのでございますが、昭和二十八年度のときにとられました措置と今回の措置といかがでありますか、お聞かせ願いたいのと、二カ月分で必要とするところの――これは基金の関係もあろうと思いますのですが、基金の額を幾らぐらい予定しておられるか。それが三カ月になればどのようになるのであるか。また、現在これらの予定する基金の額に対して手当をしなくてもよいのであるかどうか。この点もあわせてお答え願いたいと思います。
  52. 藤井貞夫

    ○藤井政府委員 割増しの限度を三カ月にしてはどうかというような御意見のあることは承っておるのであります。ただ、この点につきましては、前例の関係なり、今御指摘にもございました罹災給付積立金の現状ともからみ合わせて考えていかなければならないということで、二カ月以内ということにいたしたのでありますが、昭和二十八年の際には、これはやはり今度と同じように最高二カ月の範囲内において割増しをするということになっておりまして、今回の措置は二十八年災害に準じた措置を講じようとするものでございます。なお、罹災給付積立金は、これは市町村共済組合の連合会でそれぞれ保管をし、管理をいたしておるのでございますが、今度二カ月最高を加えるということにいたしますると、法定額と合わせまして、現在われわれ手元に集まっておりまする資料から計算をいたしますると、総額一億八千八百二十八万五千円ということに相なっておるのであります。現在、三十三年度末におきまする罹災給付積立金の額は一億一千二百七十三万九千円でございますが、これが本年度中におきまして全国からそれぞれ払い込みがございまするので、本年度末においては一億七千四百十三万三千円ということになる見込みでございますが、それでも、最高二カ月全部きまって参りまする場合におきましては、若干足らないということも予想をせられるのであります。その場合におきましては、さしあたり、方法といたしましてはいろいろございますけれども、われわれといたしましては、一応罹災給付積立金については、長期の方から資金の運用で借りておきまして、それでもって来年度において帳消しにするような措置を講じてはどうか。考え方によりましては、掛金を上げるということもございますけれども、しかし、こういう際でもあって、これを契機にして、また掛金を臨時的にでもあれ上げるということは、適当ではないと考えておりまして、さしあたり現在考えておりますのは、足らない場合には長期の方から一応借りておきまして、来年度以降の罹災給付積立金でもって帳消しにしていくという運用方法をとって参りたいと考えております。
  53. 渡海元三郎

    渡海小委員 大蔵省災害関係の主計官、宮崎氏が来られましたので、一、二質疑いたしたいと思うのであります。  このたびの政令による激甚地指定に関しまして、地方財政がこの災害に対する復旧の根本になる、ために特例が出されたのであろう、かように考えるのでありますが、このためには、激甚地指定ということが、ほんとうにつじつまを合わした数字だけではなく、現地に適して、適切に行なわれてこそ、ほんとうの災害復旧の迅速を期することができる、この特例の趣旨が生かされる、かように思うわけでありますが、このたびの激甚地指定にあたりまして、いわゆる混合方式をとられた意味を御説明願いたいと思います。
  54. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 今回の災害特例法の政令に定めます地域指定に関しましては、ただいま渡海先生の御指摘の通り、いろいろの面から慎重な検討が加えられたわけでございますが、特に公共土木施設につきましては、この管理をいたしますのが地方公共団体でございますので、やはり地方公共団体財政という面を非常に重視してきめることにいたしたわけでございます。従いまして、基準の内容となる尺度につきましては、地方の標準税収入をとりまして、これとの比較において激甚地という判断をいたす、こういうことに相なっております。そこで、今回実際に決定いたしました内容は、すでに御承知の通りでございまして、考え方としては、二つの大きな考え方があると思います。まず第一は、府県の工事につきまして、公共土木施設国庫負担法の規定で参りますと、現行法におきましても、標準税収入の二分の一までは基本の率である三分の二を適用する。それから、二分の一をこえて二倍までの事業費につきましては四分の三、それをこえますと十分の十の国庫負担率になっております。従いまして、まず県の工事につきまして議論をいたします場合に、〇・五倍という程度以下の事業につきましては、これは例年でも相当あることでありますし、特例法という対象にいたすことは適当でなかろうということで、まず〇・五倍以下のものを対象外といたしまして、〇・五倍以上を問題にいたすということになったわけでございます。そこで、今回の災害の特殊性といたしまして、県の工事について考えて参ります場合にも、いわゆる被害の激甚な地といいますのは、必ずしも全県一律にやられておるというようなものではなく、一つの地域が非常に激甚な災害を受けておるというのが、あっちこっちにあります実態でございますので、これを対象として問題を判断していくことが適当であろう、こういうふうに考えられたわけでございます。従いまして、県工事の全部が特例法適用である、あるいは全部が適用でないというようなやり方ではなくて、〇・五倍以上のものにつきましては、そのまた県内の市町村地域について、激甚の程度をはかるということにいたしたわけでございまして、その測定の方法といたしまして、一つの市町村地域における県の工事、市町村の工事というものを合計したもので、災害復旧事業費の程度をはかり、またこれに対応する税収入といたしましては、その地域市町村の標準税収入、それから県税収入のうち市町村地域に按分をした額というものとの合計額を税収入として見る、こういうやり方にいたしたわけでございます。この方法は今回初めてのものでございますので、いろいろ御議論もあるかと思いまするが、やはり最近の傾向といたしまして、県によりましては、市町村工事が相当県工事に移っておるという実態もございますので、そういった状況も考えますると、県工事と市町村工事を合算したところで被害程度をはからないと問題が多いだろう、こういうことになりまして、工事の方が合算をいたします関係もございまして、税収入の方も両者を合算したもので見る、こういう考え方になったわけでございます。  具体的ないろいろの作業とその結果の問題とにつきましては、すでに大臣等からもいろいろ御説明がございますのであれでございますが、現在査定が進行途中でございますので、まだあまり明確なことを申し上げられないのは残念でございますが、そういった考え方で今回の措置がきめられたわけでございます。
  55. 渡海元三郎

    渡海小委員 大体御方針はわかったのでございますが、いわゆる基本法の率にあるところの二分の一という線で県も区切られるということは、その県の基準財政力と災害の額というものを比較されてやられたことであろうと思います。そのようにされるのであれば、災害額が県税収入の半分以上のものは全部入れろとは言いませんが、少なくとも倍以上またはあの基本法にもありますように二倍をこえるものは、全県を特例法指定すべきが当然であって、その中に特に混合方式なるものによって地域指定されるというのは、理論が矛盾しないか。また今言われましたように、激甚地区を特に指定されるのであれば、その〇・五というものをはずして考えるのが理論が通っておるのじゃないか、かように考えるのでございますが、この点いかがでございますか。
  56. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 御指摘のような考え方も、もちろん実際の審議の過程におきましては、いろいろ議論が出たわけでもございますが、結局問題といたしましては、災害激甚地というものを、実際の激甚な土地についてつかまえていくという考え方が一つ。それが主体でございますが、しかしその場合であっても、その工事を実際に実行いたします府県の財政力から見て比較的軽微であると認められるものは、これは通常の年の災害等の関係から見ましても、むしろ特例法の対象外とすることが適当でないか、こういう考え方でございまして、先ほど申しましたように、二つの考え方が入っておるわけでございまして、御指摘のように〇・五倍以上であればそれは全部指定してしまう、〇・五倍以下は指定しないというような線で、かりにそれを二倍ととりましても三倍ととりましても、限界線でもって非常に実情面からいった問題があると思います。そこで私どもといたしましては、やはり災害実態から見まして、できるだけ具体的な地域が救えるようにしたいということを重要な問題として考えなければならぬだろう、しかし実際に工事を実施します団体財政力から見て比較的軽微であるものは、これはやはり御遠慮を願いたいという考え方で、今回のものがきめられておると考えております。
  57. 渡海元三郎

    渡海小委員 私はただいまの答弁では納得しかねるのでございますが、要するに、実際の災害地に適用するんだという方針と、今の府県財政の方針と、二つの方針のもとにやられたから、ただいま申しましたような矛盾が出てくると思います。この矛盾によって生じる具体的ないろいろの問題は、政府のお考えでは、特別交付税によって行政運営面において遺憾なからしめるということでございますので、この点に関しては、自治庁当局から答弁がありましたから一応了承いたしますが、こういった矛盾があるという点だけは十分考慮に入れられて、行政運営面において万全を期していただきたい、このことだけを要望しておきます。  さらに文部当局から聞きました政令の内容によりますと、この公共土木とは別の政令が作られておるということになっておりますが、これを行なうのは同じく地方公共団体でございます。激甚地指定におきましては、当然公共土木と公立学校施設と同じような基準がとられてこそ、初めて災害復旧が確保せられる、こういうように考えるのでございます。この意味からいいまして、文部当局が作っておられます政令によりまして指定される高率補助の適用というものは、少なくとも公共土木の指定される高率補助と均衡のとれるものでなければならない、かように考えます。この点に関しましては、具体的な数字がまだわからないそうでございますから、おきますが、そういった線でやられるのが私は当然と思いますが、この点当局のお考えだけをお聞かせ願いたい。
  58. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 私は文教施設の担当でございませんが、一応災害関係でいろいろ全体の問題にもある程度関連いたしますので、お答え申し上げます。文教施設につきましての基準ということを考えます場合に、これを管理いたしますのが、地方公共団体でございますから、これと一緒に考えてもよかろうという意見もありますし、またそういったものを実際に実施いたします公共団体財政状況と比較する場合には、合算して考えるということも、一つの方法としてはあり得ると思います。しかし実際にいろいろ災害実態を詰めて参りますと、この公共土木施設の災害被害額が非常に大きなところと、それから文教施設の方で大きいというところと、必ずしもこれが一致しておらぬということはございます。それと、御承知のように、公立の文教施設の管理の主体は市町村でありまして、公共土木は府県が主体になるという関係もございます。そこへ今回の災害特例法指定基準にあたりましては、そういった問題がありました結果、やはり各施設ごとにそれぞれの実態を十分把握して、合理的な指定基準をきめることが適当である、こういう考えで今度の指定基準案が作られておることと思います。ただ実際に指定されます激甚地というものの程度が、公共土木と文教施設で非常な較差があるということでは、これは行政上もまずいと思いますので、その点は私ども十分注意してやりたいと思っております。
  59. 小島徹三

    小島委員 関連してお聞きしたいのですか、非常な較差があった場合は困るということはごもっともと思います。私どもも較差があってはいかぬと思います。公共土木が、重要性において軽いというのではないのですが、学校施設と公共土木施設と比べたときに、学校施設の方を、公共土木施設よりも軽視していいということは成り立たぬと思う。むしろ重要視すべきであると思います。でありますから、先ほどの学校についての基準が、百分の二十という数字が出ておったが、その数字がかりに公共土木に関するもの、つまりその土地が公共土木施設において激甚地指定されたにかかわらず、百分の二十のときには学校については激甚地とならないというような場合は、これはまことにおかしいと思います。私から言わせれば、公共土木施設で激甚地指定された場合には、当然学校施設はなる。それで、それよりか低くて、学校施設が激甚地にされなかったが、百分の二十をこすというものについてはやるというふうに、学校施設に重点を置いたらどうでしょうか。そういうことは考えられませんか。
  60. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 ただいま御説明いたしましたものの繰り返しになる面もあるかと思いますが、今回の特例法指定基準につきましては、各施設の実態に合わせてそれぞれにきめていく、こういう考え方でございますので、公共土木施設の激甚地指定になったところは、当然に公共文教施設につきましても激甚地指定していくという考え方はとっておらないのでございます。しかし、これが学校行政を実際に担当いたします文部省の方とも十分打ち合わせてやっておりますので、その具体的な指定基準の決定にあたりましては実情に合うようにこれはできる、こういうふうに私は考えておりますが、当然にこれを適用しているというような考え方は、現在とっておりません。これは公立文教施設だけに限りませんで、ほかのいろいろの特例法の関係につきましても同様でございましてそれぞれにきめていくというのが今回の考え方でございます。
  61. 小島徹三

    小島委員 関連して。そういう点につきましては、私は、先ほどの文部省のおっしゃった百分の二十という数字については、満足することはできない。私がざっと見た数字によりましても、私たちの県とかいろいろな県を見ますると、そういうことであるならば、町村としては、土木関係においては激甚地指定されておるにかかわらず、おそらく学校施設において激甚地指定されるところは、ほとんどないと私は申し上げて差しつかえないと思う。そういうことでは、学校施設に対する町村負担というものは非常に重くなってきて、とても学校施設に対する復旧ということが、おそくなるのじゃないか。土木よりもおそくなるということが考えられると思いますので、私は、その政令できめられる文部省に関する基準については今後もう少し考えさしてもらいたい、かように思うのですが、文部省はそれで十分だとお考えになるのでしょうか、その点ちょっとお聞きしておきたいと思います。
  62. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 先ほどお答えいたしましたように、公共土木施設の被害と合算してやるということも一つの方法でございますけれども、私どもは学校の被害の全国的な分布の状況を見まして、これに一般法を適用すべきか特別法を適用すべきか、その比率等を総体的に勘案いたしました場合には、やはり学校の被害実態に即して見た方がより有利ではなかろうかという考え方に立って、そしてこれは、もちろん個々指定につきましては、今後被害実態を正確につかんでからなされることでありますけれども、全体として見ても、常識的に、被害激甚地と考えられるものがはずれるというような、常識はずれのことはなかろうかという見通しに立って方式をきめたのでございます。現在のところ、先ほど申し上げましたような基準で一応いいと考えておるわけでございます。
  63. 小島徹三

    小島委員 私はもうこれ以上質問いたしませんが、農地、農業施設等についての基準というものと、公共土木施設についての基準が変わることは、私は納得できると思うのです。片一方は主体が個人のようになりまするし、片一方は公共団体ですから、それは納得できると思いますが、さっき渡海君も言ったように、この復旧費を払うのは一個の同じ公共団体なんです。それが学校施設についてと公共土木施設について、別々にされるということは私は満足していないのですけれども、そういう方針をきめられたというなら、私はかれこれ申しません。それはいいんですが、私ははっきり申し上げておきます。もし文部省がこの基準について満足されておって、実際において、大部分被害激甚地の、土木に関しては激甚地として指定された町村が、この学校施設についてはほとんど救われなかったという現実が起きた場合には、私は文部省責任を問うつもりですから、それをはっきりしておいて、腹をきめていただきたいと思います。
  64. 三田村武夫

    ○三田村小委員長 ちょっと文部省に申し上げます。これは今まですでにいろいろな角度から議論された問題ですが、お聞きの通り、われわれが聞いておってもおかしいところがあるのです。それは大蔵省と十分協議されて、この問題は、午後の委員会でもあすの委員会でも、ずっと各委員から議論があると思いますが、文部省はむしろその方が有利だと言われます。また大蔵省も、これで不公平じゃないと言われますが、実際われわれが現場を見た場合に、学校施設だけ百分の二十でやりますと、学校施設だけ抜けてしまうところができますよ。これはよく研究して下さいよ。小島君は今ぽんと向こうに責任を転嫁してしまったのですけれども、まだ審議の過程ですから、それは一つ十分御検討願いたいところです。それだけ申し上げておきます。
  65. 小林錡

    ○小林(かなえ)小委員 関連して文部省にちょっとお伺いしたいのです。学校の復旧事業でありますが、生徒当たり坪数の何か基準がありますね、〇・七坪とか。ところが、いなかの方に行きますと、前に尋常小学校や高等小学校を併置しておったようなところが、学制が改められて、中には教室なども多少余っている。それはもとよりあけておりませんが、理科教室とか、特殊なものに使っております。そういう基準を置かれるということでは、ほとんど災害復旧ということができなくなる。そういうところは、従来の建物の破損したのをさらに改良復旧というふうに仕事をしても差しつかえないのか、そういう一人当たりの坪数の基準を超過するものはどうなりますか。その点を、ちょっとこまかい質問ですけれども、お伺いいたします。
  66. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 今回提案しております災害復旧特別措置法の適用にあたりましては、現状の通り、現状の坪数で復旧すべきものにつきまして補助の対象といたすようになっております。
  67. 小林錡

    ○小林(かなえ)小委員 そうしますと、今の一人当たりの坪数の基準というものは考えない、従来あったものを復旧させる、こういう意味において適用されるものと見てよろしゅうございますか。
  68. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 今回の法律の適用を受けるものは、お説の通りでございます。
  69. 渡海元三郎

    渡海小委員 ただいまの文教の政令と公共土木に対する問題は、具体的に的確なものはわからぬと思いますが、大体のところがどの程度に食い違いができるのだということを、具体的に説明していただく時期を待ってなお質問さしていただきたい、かように思いますから、その点早急に資料ができましたら御提出を賜わりたい、かように存じます。  最後に、大蔵当局にお聞きしたいのですが、今回の復興にあたりましては、政府当局は常に改良復旧を主とするのだということを言っておられます。これは当然のことであろうと思いますが、口先だけで言われるのでは、ほんとうの改良はできないと思う。改良復旧と申しながら、政府が査定されるときには、現に原形復旧でもってやられる。改良にすべきものについては普通の改良事業としてやられる。そのために起債も少ないですし、補助金も少ない。従って、災害を受けたところの市町村にとりましては、それでなくても財源が少なくなっておる。とても改良復旧をやりたくてもできない、こういうふうな実情でございまして、改良を入れたもの全部を改良事業として、していただいて、初めて政府の言われる改良復旧というものが実現される、かように考えるのですが、今回の災害に対して改良復旧をさすんだと言っておられますけれども、それほどのような措置として政府の方針が現われておりますか、具体的にお示し賜わりたい、かように思います。
  70. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 御指摘の点は、私どもも従来からいろいろの機会に御意見を伺っておるところでございまして、本年度災害期に入ります六月ごろに、本年度の査定基準といいますか、各省との申し合わせができますが、これを議論いたしますときに、従来そういった問題で非常にまずかったという点は改めようということになりまして、例で申し上げますと、たとえば木橋が被災をいたしまして、これを永久橋にかけかえないとまた災害を受けるおそれがあるというような場合につきまして、従来の基準は相当厳格なものでございましたが、最近の考えといたしましては、やはり国道とか主要地方道というようなものは、交通量も見まして、たとい一回の被災であっても永久橋にかけかえをするようにしようというようなことをきめております。また堤防等につきましても、非常に被災が激甚であるような場合につきましては、従来の形、あるいは高さ、そういったものにかかわりませず、その被災の原因になりました災害の、洪水あるいは高潮というものを対象にした、それに十分耐え得るようなものを作っていく、こういう考え方を入れております。これは、実際の予算的な額としてどの程度にそれがふえて参るかということは、実は私どもまだ明確につかんでおらないわけでございますが、本年度の査定がそういった方針のもとに行なわれておるということを御紹介いたしておきます。  なお、具体的な予算措置として出ました問題で申し上げますと、いろいろ議論もございました伊勢湾の高潮対策事業でございますが、この分につきましては、災害復旧事業につきまして、今のような考え方が入りまして査定が行なわれますのと同時に、災害関連事業として実施すべきもの、つまり災害を受けなかった場所についての堤防の修築でございますが、この分につきましても、特例法によって、特に高率を適用してやっていくというような考え方を持っておるわけでございます。具体的な査定は、これは技術的な問題でもございますので、建設省、農林省の主務省の方において実施いたすことになるわけでございますが、以上のような方針もきまっておりますので、実情に応じて査定が行なわれておるものと私は信じておる次第でございます。
  71. 渡海元三郎

    渡海小委員 今回の措置におきまして、関連事業に対しましても補助金の金額を上げられておる。今御指摘になりました伊勢湾の高潮災害につきましては、特に高率補助も予定されておる。この点、改良復旧に対する意図をうかがうのでございますが、その点はけっこうでございますけれども、実際関連事業にいたしましても、三分の二に補助金が上げられましても、三分の一というものは、これは町村が持たなければならぬ。しかもその三分の一に対する起債の充当率というものは、災害の場合とは違って非常に少ない。しかも、これは将来の町村負担にならなければならないというふうな点に、改良したくてもできないという点が残っておるのじゃないかと思いますので、ただいま言われました永久橋その他にやるのだということは、基本法であるところの国庫負担法の第二条三項に、いわゆる「不適当な場合」とみなして災害復旧事業にしていただく、このためには、予算をたくさん置くということがやられてこそ初めて改良にたる、かように思うのですが、そういう意味から、あの公共土木施設災害復旧事業国庫負担法に、「著しく困難又は不適当な場合」という言葉がございまして、この言葉にひっかかって、厳格な査定をしておられるというような現状なんです。ところが、日本の現状でいきましたならば、むしろ著しくじゃなくても、改良するのは当然なんです。この際私はむしろ一歩進んで、この「著しく」という言葉を抜かれるのが当然でなかろうか、かように思うのですが、この点に対する大蔵省の御見解だけを伺いたい。
  72. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 先ほどの説明におきまして、災害査定基準の改善によりまして、たとえば木橋を永久橋に改善するということになっておると申しましたのは、災害復旧事業費として永久橋にするという意味でございまして、その点ちょっと説明が不十分でございましたので、最初にちょっと申し上げさしていただきます。  ただいま御指摘の点でございますが、私どもは、災害復旧事業というものは、災害という突然に発生する事態によりまして、財政的な面から見ましても、他のものにすべて優先して行なっていくということになっているものでございますから、これはやはり、その事業として実施するものについてはおのずから限界がなければならぬ、こういうふうに考えております。それがその「著しく」という言葉によって実際に当然そこまでやらなければ、またすぐやられてしまうというようなものをやっているというのが実態であるということでありますれば、当然直さねばならぬと思います。これは著しくであろうとなかろうと、この点はやはり変わりないと思いますが、従来のそういったものに対する取り扱いが、ややしゃくし定木といいますか、厳格に過ぎておって、実情に合わない面もあったということは、これは御指摘の通り、実際実例もあったようでございます。そういった点もございまして、いろいろ調査の結果によりまして、建設省や農林省から具体的な基準の改正が提案されまして、それを本年度実際に実施することになったわけでございますから、その実情を見た上で、なおまた、そういった無理な点があるかどうかということも今後十分研究して参りたい、こういうふうに考えております。
  73. 渡海元三郎

    渡海小委員 ただいまのお話では、このたびはいわゆる基本法の第二条の三ですか、災害復旧とみなすんだという規定によって、災害復旧事業費として改良工事をやるのだ、こういうことに重点を置いておるのだということで了承するのでございますが、この伊勢湾対策は特に関連事業も多く、地方団体負担は大きなものです。そのために関連事業に対しましても補助額を上げられたのはけっこうですが、この特例の第四項にありますのは、「同法第七条の規定により決定された災害復旧事業とみなし」という言葉がありますが、これと同じように、その関連事業そのものも災害復旧事業としてみなすのだという規定がこの第四項なんだ、こういうふうに考えたらいけないのでしょうか、どうでしょうか。
  74. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 私、ちょっと手元に法律を持っておりませんので、若干不正確なことを申し上げて恐縮でございますが、伊勢湾高潮対策事業特例法におきまして、今第七条によりまして決定された災害復旧事業というものを見ます場合に、これは伊勢湾高潮対策事業災害復旧費補助率を決定いたします方式でございますが、この場合には、従来でありますと、これは公共土木施設災害復旧事業国庫負担法の適用によりまして、当然その法によるいわゆる累進率というものがきまってくるわけでございます。それを今回特例法も出ましたから、特例法によれば、特例法負担率ということで当然にきまってくるわけでございますが、伊勢湾高潮対策事業は、あの事業の特殊性から見まして、この分が災害復旧費予算である、この分が関連事業予算であるというようなものの継ぎはぎで工事を実施することは、非常に実態に合わないようなものでございます。といいますのは、関連事業の割合が相当高くなって災害復旧事業費を上回るようなことにもなりますので、事業の性格から見まして、むしろその予算の取り扱い等も一体のものとしてやりたいという考えがございまして、ただいま言いましたような特例法ができておるわけでございまするが、その場合にも、この伊勢湾高潮対策事業費の中にやはり災害復旧費というものが入っておるわけでございますから、これを、国庫負担法の計算をいたします場合に、全然別のものとして除外してしまいますと、通常のこの伊勢湾高潮対策以外の災害復旧事業費の累進率というものが、従来よりもやや不利になる、こういうことに相なります。そこで、計算をやりまするときには、伊勢湾対策事業費における災害復旧分も通常災害復旧事業としてみなして、そうして計算をいたす、こういう規定を入れてある、こういうふうに考えております。
  75. 渡海元三郎

    渡海小委員 文部の政令に関しまする問題を残しまして、一応私の質問を終わりますが、ただいま申しましたように、今回の激甚地指定に対しましては、相当の矛盾があるのじゃなかろうかと思いますので、この点の矛盾をなくするために、政府当局におかれましては、実際被災団体の実情に応じまして、ほんとうに法令が意味するところの迅速なる災害復旧市町村において行なわれるように、行政運営面において万全を期せられんことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  76. 三田村武夫

    ○三田村小委員長 午前の会議はこの程度にとどめ、午後二時から再開いたします。  暫時休憩いたします。     午後零時五十九分休憩      ――――◇―――――     午後二時二十二分開議
  77. 三田村武夫

    ○三田村小委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。太田一夫君。
  78. 太田一夫

    太田委員 文部省当局にお尋ねをするわけですが、先ほど渡海委員の質問に対して、今度の文教施設の災害復旧激甚地基準が口頭をもって発表されたわけです。これに対しましては、聞いただけということで、ちょっとわかりにくいわけですが、念のためもう一度その内容を御説明いただきたいと思います。
  79. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 簡単に申し上げますために、政令の正確な表現よりは簡単に、わかりやすい常識的な言葉で申しますので、その点御了承願いたいと思います。  第一、市町村立の学校その他の施設の災害復旧でございますけれども、これは市町村立の学校等災害復旧に要する事業費がその市町村の標準税収入の二割をこえる場合、その市町村指定されるわけでございます。なおそのほかに、今回の災害の特徴でございます長期の湛水地域、これは今一週間以上というふうに考えておりますけれども、一週間以上が継続した地域、これは指定をするということでございます。第二は、県立の高等学校等の問題でございますが、その県立の学校があります市町村の、その県立の学校の被害とそれから市町村立の学校の被害を足したものが、その市町村に相当する県の標準税収入とそれから市町村の標準税収入を足したものの額の二割に相当している以上の、そういう地域にある県立の学校、それから市町村の場合に申しましたように、いわゆる長期湛水の地域になる市町村、この二つでございます。
  80. 太田一夫

    太田委員 従って、これが基準として妥当であるかないかが、先ほど大へん問題になった点でありますね。そこでその点については、渡海委員の質疑が相当続いておりましたので、別の角度からお尋ねをしてみたいんですが、学校の被害というのは、文部省当局のお出しになりました資料によりまして、台風七号と十五号関係を一緒にいたしまして、公立学校施設に限定をしまして四十九億の被害がある、こういうことになっております。そこで今度の予算が、学校、公立文教施設の災害復旧費は約十億八千万円、そこからまた、先ほどの自治庁の御説明のありました起債のワクを考えましても、そんなにたくさんない、これは土木と学校と寄せて十九億のワクしかないということがいわれております。そうすると、非常に金額のワクが小さい。四分の三の高率補助だといったところで、これはとても当座の間に合わないという勘定になるのですが、学校の災害はいつまでに復旧を完成させるか、この年度の進度の基準率をお尋ねしたい。
  81. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 公立学校の災害復旧計画は、本年度と明年度、おのおの五〇%ずつ復旧させる計画でございます。
  82. 太田一夫

    太田委員 そうすると、来年の四月入学する児童は、今まで一部授業であったのが二部授業になるというところが出てくるのですか。
  83. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 お説のように、全部復旧するということが間に合いかねますので、さような場合も起こると思います。しかし、これは従来の災害復旧の経験から見まして同じ方式をとったのでございまして、予算の組み方としては半分ずつ組むということで、大体現状に合う組み方だと存じております。
  84. 太田一夫

    太田委員 それから先ほど申しました公立学校だけの被害四十九億、その他を合わせて六十三億という数字がありますが、これをかりに五〇%の進度としましても二十六億、これくらい要るわけです。改良復旧を見込んだらもっとたくさん要るのですが、あなたの方としては、今度の補正予算に組まれた予算と、それから自治庁の用意をしておる起債のワクとによって、これは何とか間に合うとお考えでありますか。
  85. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 お手元に参っております資料による公立学校の施設の被害報告でございますが、これは各県からとりあえずまとめました報告額を集計したものでございます。これも例年の災害におきまして被害報告額をまとめまして、その後に現実に、市町村災害復旧事業を考えまして申請をし  て参ります。その申請に基づいて、実態を見ます場合の実績等から勘案いたしまして、現在一年度分として十億八千二百万、両年度にわたりますと二十一億余という数字になるわけでございますが、この予算をもちまして、一般法の適用のあります地域につきましては三分の二の補助、それから今回提案いたしております法案の適用を受けます地域につきましては四分の三の補助をいたすわけでございますが、この額で復旧事業は間に合うというふうに考えておるわけであります。
  86. 太田一夫

    太田委員 どうもよほど査定をきびしくしないと間に合わないということに算術的になりますね。それで今までの査定の基準からお考えになっていらっしゃると思うのですが、あなたの方は、申請されてきたものと、それから査定する金額とのパーセントというのは、大体どれくらいの腹づもりとして押えておられますか。
  87. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 先ほど申し上げましたように、当初府県で市町村内の被害をまとめまして、報告をいたしますが、その後現実に申請をして参りますのは、従来の実績によりますと大体七割でございます。申請額が被害報告額の七割程度になっておるのが普通でございます。それから今度は申請額につきまして、さらに現地につきまして査定をいたしますと、申請額の八割程度通常でございます。
  88. 太田一夫

    太田委員 従って、約半分になる、こういうことでございますが、改良復旧を考えた数字でないということを考えますと、十億八千万円の予算と、自治庁の用意する十何億という起債のワクでは、かりに七〇%の申請率、八〇%の査定率としてもとても間に合わないと思う。ずいぶんこれは市町村負担は大きくなると思うんですが、これに対してどういう措置をおとりになるつもりであるか。
  89. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 ただいま申しましたような従来の実績を勘案いたしまして、今回の被害が、実績等の割合から見て大体間違いないといたしますれば、御質問のようなことは起こらないので、四分の三ないし三分の二、そしてなお鉄筋コンクリート等による改良復旧等を認める数字が一応出てくるわけでございまして、お話のように今の申請率等を勘案いたしました場合には、足らないということにはならないのではないかと私どもは考えております。
  90. 太田一夫

    太田委員 進度五〇%というところに若干問題があるのです。文部省の先ほどの数字というのは全体の数字でございますが、もうちょっとこまかくしまして、愛知県の数字だけかりに見てみましても、二十一億の被害がある。これに対して、これは激甚地ということに全部入れば四分の三ですから、十六億ほどの補助ということになるのですが、大ざっぱに言いまして、十何億というのが要るんですよ。ところが、全体の予算が十億八千万円でしょう。これは本年度十六億の半分だから八億といたしましても、十億八千万円では、四分の三の補助にいたしましても、ほとんど愛知県だけで持っていってしまう。そこで、あなたの方では学校の激甚地として指定して四分の三補助するにしても、その学校を前と同じように、建物なら建物だけについていろいろものさしを当ててやられるのですか。一つの学校を一単位として被害額を査定して、それに総体的に四分の三お掛けになるつもりか、その辺はいかがですか。
  91. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 これは負担すべき災害復旧が施設それから設備費、それから土地、工作物等々、分かれておりまして、設備につきましては一定の基準がございまして、児童生徒並びに校舎の復旧程度等を見ました一定の率によっていたします。それから今回の特例法の適用があります場合には、建物につきましては基準ということを設けて、頭打ちすることなく、現状の坪数で復旧するようにいたしております。
  92. 太田一夫

    太田委員 従って、これは大ざっぱに考えて分かれるということにはなっておるのですか、全部一緒だというふうに理解してよろしいのですか。総括してもよろしいのですか。
  93. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 それぞれみな国庫補助の対象になるわけでございます。
  94. 太田一夫

    太田委員 対象になりますか。対象にはずれる線がありますね。それは個々にどういうふうになっているのですか。
  95. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 失礼いたしました。これは軽微な災害の適用を除外する、それにつきまして全施設を一つ見るのか、それぞれの区分として見るのかということだと思いますけれども、公立学校につきましては、先ほど申しました施設、設備、工作物、土地、それぞれについて十万円以下は補助の対象にしないという考えにいたしております。これは現在、災害復旧の一般法のとりましたのもそうでございますし、狩野川の場合にもそのような考えをとっております。なおそれに救われないものは、今回自治庁の方でお出しになっております地方災害起債特例で、学校ごとに十万円をこえる被害のあったものにつきましては起債の対象にしていただく、かようになっているわけでございます。
  96. 太田一夫

    太田委員 地方自治庁の方の起債の対象になりますのが十万円以上にいたしましても、これは全額元利補給でするわけではございませんから、場合によっては三八・二でございますか、あとは激甚地においては三分の二でございますから、そういう点で、なるべくならば国庫補助を多くすべきだと思うのです。それを在来と同じように、建物、工作物だとか、あるいは土地だとか、設備とかいうふうに分けられますと、非常に不利なことがあると思います。今までそういうことで、ずいぶん不利があったのです。しかし、今度のような大災害の場合、そういうことは非常にゆるやかに、実情に即して、あまりやかましくかどを立てないように査定をさるべきではないかと思うのです。そういうことを希望いたしておきます。学校の全体的な国庫補助激甚地基準というのは、だいぶん問題があると思うのです。私どもといたしましてもこのようなもので満足するわけには参りませんから、さらに詳細な意見を申し上げなければならないと思いますが、長い間学校の問題が論議されておりますから、以上で学校だけは終わりまして、文化財関係についてちょっとお尋ねいたします。  文化財の予算というのは予算書にも載っておりませんから、おそらく予備費からお出しになるのでしょうね、そういうことでございますか。
  97. 岡田孝平

    ○岡田説明員 文化財の災害復旧に対しまする予算は、予備費で出していただくように大蔵省に要求中でございます。
  98. 太田一夫

    太田委員 従って、それは幾らでございますか。
  99. 岡田孝平

    ○岡田説明員 ただいま折衝中でございまして、まだ幾らというふうにきまった数字はございません。折衝の段階でございます。
  100. 太田一夫

    太田委員 折衝といっても、腹づもりがあるでしょう。
  101. 岡田孝平

    ○岡田説明員 文化財関係の災害は、第七号台風と伊勢湾台風と両方ございますが、両方で建造物関係の被害、それから史跡名勝天然記念物関係の被害、大きいものはこの二種類でございます。それで各府県からの被害状況の報告もございましたが、それらにつきまして文化財委員会みずから実地調査をいたしまして、あるいは場合によりましては都道府県の教育委員会でもって実地調査をいたしまして、その正確な被害数字を調べて、それに対しまして国庫補助でこの復旧をいたしますように折衝いたしましてただいま要求いたしている、こういうことでございます。  数字を申し上げよということと存じますが、ただいま補助予算合計で六千二百万円の数字を出して、大蔵省提出いたして折衝いたしている段階でございます。
  102. 太田一夫

    太田委員 六千二百万円、単位が違う、数字の読み違いじゃないでしょうか。六億二千万円でも少ないと思うのですが、六千二百万円と申しますと、非常に対象が限定されて参りますし、もちろんスズメの涙になると思います。  それから、私はもう一つ、六千二百万円のことはあとにいたしましても、文化財というこの考え方に、今おっしゃるものは国宝であるとか、特別建造物でございますとか、そういうものでございましょうね。しかし、今度の台風でやられました地域には古寺名刹といわれるもの、これは歴史的には由緒正しい史跡であり、なくてはならぬ、残しておきたいというものが非常に多いのですけれども、これが猛烈な被害をこうむっている。そういうものは対象に入らないのですか。
  103. 岡田孝平

    ○岡田説明員 補助の対象になりますものは、文化財保護法によりまして文化財に指定いたしましたもの、つまり建造物あるいは史跡名勝天然記念物等に限るのでございます。従って、他に社寺等の被害はございましょうが、文化財保護委員会といたしましては、指定をされました文化財につきましてその復旧措置を講じたいと存じております。
  104. 太田一夫

    太田委員 文化財といえば、そういう指定された、限定されたものだとおっしゃるのは、今までのあなたたちのお考えであったろうと思うのですけれども、しかし指定されないものに、滅失してはならないものが多数あると思うのです。そういうものに対しては、全然保護を加えようといったお気持はないのですか。
  105. 岡田孝平

    ○岡田説明員 文化財保護法で私ども仕事をいたしておりますのは、主として指定文化財に対しまして、これの保存、修理、管理等につきましていろいろ措置を講じております。指定以外の文化財もずいぶん数が多かろうと思いますが、それにつきましては、特に国費でもってその補助をするというふうには、現在参っておらないのであります。そういうものの中で特に大事なものは、あるいは都道府県が都道府県の条例をもちまして、都道府県の指定の文化財というふうになっておるものもございます。あるいは市町村に条例がございまして、市町村指定文化財というものもございまして、そういうものは、それぞれの都道府県あるいは市町村で適当な保護対策をとっておられると思いますが、文化財保護委員会といたしましては、さようなものまでには予算的には及んでおりません。しかしながら、さようなものにつきましても、もちろんこれは決して価値がないというものではございませんので、場合によりましてはいろいろ技術指導なり、あるいは援助を求められれば、さようなものにつきましてもいろいろ指導、助言をいたしておる、かようなことに相なっております。
  106. 太田一夫

    太田委員 指導援助をするということは、そのお寺なり神社、仏閣、名勝古跡、そういうところから文部省の方にくれば、考える余地ありということですか。
  107. 岡田孝平

    ○岡田説明員 予算といたしましては、ただいまのところ考える余地はございません。技術上その他の面で、いろいろ指導、助言をするということでございます。
  108. 太田一夫

    太田委員 大臣がいらっしゃらないからお答えできないというなら、私の質問はちょっと押し問答になりますから、これは大臣に来てもらわなければなりませんが、実際に指定保護建造物あるいはそういう天然記念物にいたしましても、特に建物の場合なんかは、屋根がやられて、それを直すだけで五百万円くらいというのが幾らでもあります。これをこわすときには六百万円くらいかかる。大ていこわす方が二割よけいにかかる。ですから、これを直してくれなければこわして下さいという場合、国がそれを直そうとすると二割よけいに出さなければならない。屋根を六百万円かけてこわすということになる。ですから大ていの建物は直した方が安いのです。ですからそういう指定された建造物ということになれば、それは当然のことでしょう。しかも、それが六千二百万円ということなら、五百万円の屋根を直すのだったら十二カ所しかないのです。これでは非常にスズメの涙で、そういうものに対して保護する気持は、非常に形式的なものだと思うのです。これで大丈夫だというのはどこから出たのですか。
  109. 岡田孝平

    ○岡田説明員 これは先ほど申しましたように、私どもの担当の機関もしくは府県の教育委員会担当の者が実際に調査いたしまして、その結果得ました数字でございます。もっとも、文化財の修理はずっと毎年やっております。ところで、ただいま現に修理中の、たとえば建造物がございますが、そのようなものは現在修理が進行中でございますので、それはそのままずっと継続して修理をやって参ります。そうして来年度も、他に優先いたしましてその工事を進行する。ちょうど来年から修理に当たるもので今回被害を受けたというものは、これは四半期に分けておりますけれども、来年度の当初から、契約を繰り上げてでも直ちにこれを実施いたしたい。これは来年の通常予算で他に優先的に進めたいと存じております。それから非常に額の少ない、たとえば十万円以下というような補助の場合には、これは今回一応はずしてあります。さようにいたしまして、残りますもので、直ちに今どうしても修理をしなければならぬというものを取り上げておるわけでございます。その修理も、直ちに簡単にできますものは本年の予備金でできますけれども、たとえば今年四半期におきまして、この際どうしてもついでに根本的に復旧してしまいたいというものがございますれば、そういうものは、たとえば今年契約させて、来年度継続して修理することにいたしたい。従って、そういう場合の復旧は、今年から来年度以降にまたがるわけでございます。さようにいたしまして、先ほど六千二百  万円と申しましたが、その中で本年直  ちに予備費で実施いたしますものは約  半額の三千二百万円でございまして、  あとの三千万円は来年度予算に追加要求として出したい、かようなことに相なっております。
  110. 太田一夫

    太田委員 あなたに、それでは実情に合わないと言ったところで、どうもそれ以上の答弁が出そうな気がしないので、文部大臣に来てもらいたいと思うわけですが、実際に保護法による指定建造物というものでも、これを早く保護しようとしなかったら、悪くなってしまいますよ。学校も、五〇%しかやらずこ来年度に回すでしょう。これでは実際に、現地の気持というものはぱっとしない。予算がないから今年は半分にしておこう、三分の一にしておこう、こういうことでは予算が主で、災害が従になってしまうという気持がする。特に神社仏閣というものに対する破壊が激しいが、有名なものに対しましては、できるだけ国家は、文化財保護の立場から、何か予備費なら予備費をできるだけ流用して、現地の実情に合うように、また趣旨に合うように、でき得る限りの応援をするということが、実はその付近の住民に対する非常な恩恵になるわけです。これはあなたたちがほうっておけば、住民が何とかしなければならないでしょう。文部省は、学校と保護法にきまっておるところの法律だけ守ったらいいということではないでしょう。やはり日本の国の文部省ですからね。だから日本国民が、神社仏閣のために、自分の家がこわされたり、倒れているのにかかわらず、さらに応分の金を出してやらなければならないというのが――次の段階というよりも、ほうっておけばやらなければならないときがすでにきているのに、どこへも持っていきようがない。文化財保護法によるものはこういうものであって、あなたのところはだめだ、ところがそれは、徳川何百年昔から、連綿と伝えたところのりっぱな史跡の特別建造物である。付近の人としては、有名な建物である、これをほうっておいては困る、屋根に三百万円かけようが、五百万円かけようが、直さなければならないというときに、それは信仰する者とか、その付近に住んでおる人たち責任だから、あなたたち、よろしくやりなさい、じゃ住民はたまったものではない。文部省は、県にやりなさいとか、市町村にやりなさいとか、住民にやりなさいというなら、自治庁の方に、そういうことは県なら県、市町村なら市町村に十分にめんどうを見るようにという用意があっておっしゃるならいい。そうでないとすると、これは言いっぱなし、ほうりっぱなしで、何ら恩恵を受けるところがない。そうして困っておるのは住民であり、国民ということになる。そういう点について、あなたは文化財の責任者としてどういう見解をお持ちですか。
  111. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 先ほど文化財の事務局長からお答えいたしました通り、文化財の補助ということは、国で補助いたします場合には、その前提といたしまして国の指定ということが必要なわけでございます。そこで、今回の災害によりまして、宗教団体、寺院とかあるいは神社とかが相当の被害が出たということで、愛知県につきましては、一応県の報告によりますと、宗教関係に十一億の被害があったといふうな報告をされております。そこでこれは、宗教団体に対しましては憲法の規制もありまして、国の補助をいたすとか、あるいは国がその宗教法人のために特別な融資を考えるとかいうことは困難でありまするが、しかしながら、小さい寺院あるいは神社等で、当面の復旧にいろいろお困りのところがある、こういうことでございましたので、文部省といたしましては、当時設けられておりました中部地方災害対策本部に関係の局長等とも伺いまして、そして宗教団体側の御意見も伺い、現行の法令の中でできる融資等の道がないかどうかということで御相談にもあずかったのでございます。そして、これは宗教活動自体に使わない。たとえば、それに従事いたしますところの者が住居の用に供しておりますところの庫裏であるとか、あるいは宿舎であるとか、こういう面につきましては、住宅金融公庫あるいは国民金融公庫等から融資いたします場合に、宗教法人の実態等も十分考えてくれということで、それぞれ関係方面にも連絡いたしております。それから府県の宗教を担当いたします部局の長にも指導いたしております。なお資材のあっせん等につきましても、これは宗教法人なるがゆえに見のがされるということのないようにしていただきたいということをお願いいたしまして現在の制度でできます範囲につきましては、文部省としても意を用い、関係当局との連絡もいたしておるような次第でございます
  112. 太田一夫

    太田委員 何か親切なことが行なわれておるように聞こえますけれども、実際に古寺名刹のあるところへ行きますと、何らその線は伸びておらない。従って、荒れほうだいになり、あるいは早急にやらなければならないとなると、その部落の住民がみな持ち寄って、これはもう何万円という金額ですよ。平均して五千円、その上資産別に幾らとか、平均して一万円というような、こういう掛金がかかることをみな覚悟してしまった。これを見のがしてしまっているということは、これは保護法がないからとか何がないからとか、あるいはお寺は中小企業でもない、あるいはこれは個人でもない、だからということで、せいぜい国民金融公庫ないしは住宅金融公庫の補修資金を考えましょうということじゃ、もう焼け石に水どころじゃないですね。お月さんの裏側から目薬を落とすくらいのことで、届くか届かないかわからない。だから、あなたの方がそういうことで、もしも現実に、愛知の宗教関係だけで十一億の被害があるということをキャッチしていらっしゃるとするならば、これは自治庁とも御相談の上で、こういう手があるからこのことは考えぬでもいいとか、こういう手を作ったから、これはもうよかろうとかいう対策があってしかるべきだと思うのです。実際上、それを国民金融公庫から幾ら貸すのですか。こういう場合にかりに借りられることになって……。
  113. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 ちょっと私、額を忘れましたけれども、災害について、額、償還期限、利率等についても、平常のものよりは有利になるようにいたしております。私ここに資料を持ち合わしておりませんので……。
  114. 太田一夫

    太田委員 平常より有利になる、しかし、それができるでしょうか。希望的観測をされるだけでは大へんだと思うのです。たしか厚生省が、医療機関に対しまして特別の融資をするという法律を作ったでしょう。これは御存じでしょう。二十八年災のときもありましたし、今度もあったと思いますが、とにかく私の医療機関に対しましては、金融機関は有利な取り扱いをしなさい、こういう法案が用意されておるはずなんです。御存じでございますか。
  115. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 実は、一番初めに申し上げましたように、これは宗教団体というものの性質から見まして、民間の医療機関あるいは私立学校等と同じ取り扱いは、なかなかできないと思います。私どもといたしましては、十分検討もいたしました。そうして今回法律上の見解も関係当局から求めましたけれども、この宗教法人に関して国が補助をいたします、あるいは特別の有利な条件でいろいろ措置しますとかということは、これは現行の法制からいろいろ問題がございますので、ただ私どもといたしましては、一般に行なわれておりますことが、宗教法人に対しまして特にそれがあと回しになったり、あるいは閑却されるということがないように注意をいたし、思料をいたしておるのでございますので、ただいまおあげになりましたような例によりまして措置いたすということは、困難なことではなかろうか、かように思います。
  116. 太田一夫

    太田委員 それは、厚生省は何も根拠がないから、新しい法律を作ったのですね。文部省も、根拠がなければ新しい立法をおやりになって、当委員会にお出しになったらどうです。
  117. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 そういう立法ができるかどうかということにつきまして、疑問があるわけでございます。
  118. 太田一夫

    太田委員 憲法第何条に抵触するか、お尋ねします。
  119. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 今申し上げました問題は、憲法八十九条の問題だと思います。
  120. 太田一夫

    太田委員 八十九条にどう書いてあって、どういうふうにそれを理解していらっしゃるか。
  121. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、」「これを支出し、又はその利用に供してはならない。」かように書いてございます。
  122. 太田一夫

    太田委員 屋根が破れたのに、金融をするのをいかぬと書いてあるのですか。
  123. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 それでございますから、そういう場合に、一般に許されておりますことが十分できるようにという関係機関の連絡をしているのでございます。
  124. 太田一夫

    太田委員 関係機関の連絡とおっしゃったが、先ほどおあげになった国民金融公庫、住宅金融公庫のほかに、具体的なものをお考えになっていらっしゃるのですか。
  125. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 具体的な連絡は、それ以外にいたしておりません
  126. 太田一夫

    太田委員 では関連して自治庁にお尋ねをしますが、地方住民は災害によってこれは個人の災害のときにはだれもめんどう見てくれない、そういうところに猛烈に大きな災害をこうむってしまっている。これは高潮だとか、あるいは堤防決壊だとかいうものではないのですよ。同じように雨が降ってきて、風が吹いて自分たちの村のまん中、町のまん中にあったお寺の屋根がこわれてしまったから、自分のうちの方から特別な、何万円の支出をしなければならない、負担をしなければならない。自分たちが自由にやらなければならぬという状態を黙って見のがす方法はないですね。どうですか、地方自治をあずかる自治庁としての御見解は。
  127. 奥野誠亮

    奥野政府委員 私からとやかく申し上げますまでもなく、災害を受けました団体は、被災地方団体の支出も増大いたしますし、また個人といたしましても相当な負担の増加を来たすものだと考えております。地方団体の問題につきましては、それぞれ補助金なり、あるいは地方債なりの問題もございましょうし、個人の問題につきましては、またそれに対応する金融その他の措置も講じられて参るわけでございますけれども、いろいろな意味におきまして、ただ単純に地方団体災害復旧事業分量だけの問題ではなしに、いろいろな角度から、できるだけめんどうを見ていきたいという考え方に立って努力はいたしておるつもりでございます。何分大災害でございますので、必ずしも全体的に、十分満足できるというところまではいろいろ問題がございましょうけれども、そういう考え方には立っておるわけでございます。
  128. 太田一夫

    太田委員 今自治庁お話になりましたようなお気持は理解できるわけです。しかし具体的に、先ほど文部省のおっしゃったように、場合によっては県が条例を作っているだろう、あるいは市が条例を作っているだろうから、そこで何か方法なり特別な扱いがされておるだろうから、それはそちらにまかすといって、あるかないかわからないものに一切を付託していらっしゃるということはまずいし、ましてや国民金融公庫の金融、住宅金融公庫の金融というものにこれを一存して、これはもうほんとうに九牛の一毛にもならないものにこれをまかせて、あとは、それぞれの住民の負担は、これは運が悪いのだからあきらめなさいという、あきらめ政治ということはないわけですからね。ですから自治庁文部省も――これは自治庁文部省が一番関係があることなんですが、文部省が主となって、あるいは自治庁が主となって、どちらかが、こういう問題の解決にはどこかに助けるものがなくてはならない。三十万円ばかりの金で解決できませんよ。屋根を直すだけに三百万円も五百万円もかかるというのに、三十万円ばかり災害のところへ出したって何もならない。しかも、自分の住宅の方にしか使えないということになれば、ますますそういうことになります。だからこういう災害に対して、皆さんは法律を乗り越えていろいろ新しい対策を講じていらっしゃる、現実に合わせていろいろなことを考えていらっしゃる限りは、地方住民がこんなに大きな負担をされるということに対しては、思い切った措置を講じてもらわなければならぬ。減税だとか、あるいは何か特別な国庫補助ということがいろいろと地方住民にあったとしても、農民にいたしましても市民にいたしましても、あったとしたところで、そういう方面へどっととられてしまったら、ほんとうに、かえって災害被害は大きくなり過ぎてしまうのです。この点の認識を十分持っていただくことが必要だと思います。これは特に文部省は、そういう社寺の関係を扱っていらっしゃる方から考えまして、実際宗教関係の損害に対して、まあ人民がやること、国民がやることは仕方がない、国民にまかせておけ、どうもそれ以上うまいことやることは予算がない、措置はとれないのだから仕方がないというようなことではいけない。文部省というところは、元来りっぱな倫理を立てていらっしゃいますね。道徳ということに対して非常に最近は熱心なんです。してみれば、不道徳なことはできないでしょう。そういう点から言いましても、今の問題に対してはもうちょっと別の角度から対策を考える、こういうことが必要だと思いますが、御所見はいかがですか。
  129. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 文化財保護の観点からその修理を促進するということにつきましては、今後もこの災害のみならず、一般に国民の重要な、必要な文化財でありますから、お話の点をよく考えまして今後とも努力して参りたいと思います。ただ私が申し上げましたのは、宗教活動それ自体に対する問題につきましては、これはいろいろのお考えもあり、私たち個人としても考えはございますけれども、これはやはり慎重に取り扱わなければならない問題でございますので、その点は御了承願いたいと存じます。
  130. 三田村武夫

    ○三田村小委員長 八木一男君。
  131. 八木一男

    八木一男)小委員 益谷副総理にお伺いをいたしたいと思います。今度の大災害につきましては、中部災害対策本部の本部長として、非常に大活躍をせられましたことにつきましては深く敬意を表しておるわけでございます。この災害一般について、実は総理大臣にお伺いしたいわけでございまするが、副総理を総理大臣としてお伺いいたしたいと思いますので、どうか内閣全般の立場からお答えを願いたいと思います。  今度の大災害は人災といわれているわけでございます。天災、人災という言葉がございまするが、人災といわれるゆえんは、風は自然現象で吹く、水は自然現象で流れるわけでございまするが、それについて人間の準備で、人間のいろいろな国民生活に影響を及ぼさないというような万全な対策がとられていなかったという意味で、人災という言葉が使われていると思いまするが、それにつきまして副総理のお考えを承りたいと思います。
  132. 益谷秀次

    益谷国務大臣 一般には、御趣旨のような点は、今度の災害を大きくさせた原因だと申しております。しかしながら、全く想像を絶した強い風と、あの高潮等のために激甚な災害を来たしたのであります。われわれは今後とも防災に努力をいたして、あらゆる方面から原因を探求し、そうして防災に備えたいと思っております。
  133. 八木一男

    八木一男)小委員 副総理のまじめな御答弁、非常にありがたいと思いますが、結局何といいますか、こういう災害が非常に大きな災害になりましたということについては、それは政治の大きな責任である、政治のうちでは、国の政治の責任が一番大きいと私どもは考えているわけでございまするが、これについておそらく同じお気持であろうと思いますけれども、お答えを一つ。
  134. 益谷秀次

    益谷国務大臣 先ほど申しました通り、世評では、災害を大きくした原因はそこにあるようにいわれております。従って、政府は今後思い切ってこれに対する対策を講じ、またどういう点に欠点があったのか、行政管理庁等の行政監察によってはっきりして、今後の対策に資したいと存じております。
  135. 八木一男

    八木一男)小委員 それで今後こういう災害を起こさないために、治山治水とか、防潮堤とか、あるいは気象観測であるとか、あるいは被害が起こったときの緊急救助であるとか、そういう万全な対策を急速に立てていただくことがまず第一の必要なことでございまするが、それとともに、政治の責任で起こった災害についての民間災害について、やはり政府としてはできる限りの手を打たれなければ、政府を信頼して、国民生活をして努力をしておりました国民が救われないと思いまするが、それについての御意見を伺いたいと思います。
  136. 益谷秀次

    益谷国務大臣 予算委員会等に、八木さんのおっしゃるような要求があるのです。ですが、現在の政府の考えといたしましては、個人の損害に対してどうするというようなことは考えておりません。ただ世帯更生資金とか、あるいは生業資金というふうな方面で、援助いたして参りたいと思います。
  137. 八木一男

    八木一男)小委員 政府の方が今の予算のワクをあまり広がらせたくないという意図のもとに、民間災害、個人災害については今のところ考えたくないというようなことを言っておられまするけれども、それはほんとうの政治の道から見て、よいことだとは思われないと思うのです。ですから、予算というものは一応衆議院を通りましたけれども、まだ参議院の審議を待っているわけであります。さらにまた、大蔵大臣の御答弁によって、必要があった場合には将来の補正を考えるというような、含みのある御答弁もあったわけであります。当然政府全体として、あれが確定した予算であって、あれ以外一つもしないというようなことは考えておられないことが政府の態度でおありになろうと思います。その場合において、個人の災害については見ないということは、現在の時点における問題の考え方であって、それはよいことではないと思う。副総理の、ほんとうに国民を思われる政治家としてのお立場から考えれば、決してよいことではないとお考えであろうと思いまするが、これについての副総理のお考えを承らせてもらいたいと思います。
  138. 益谷秀次

    益谷国務大臣 国民の個人々々の損害に対しても、できればこれは救済するのがいいことであります。現在の国家の財政といたしまして、財政の立場から、それはできないことを非常に残念に思っております。
  139. 八木一男

    八木一男)小委員 そこで副総理に特にお願い申し上げたいわけでございまするが、政府の方もいろいろ各省議、あるいは閣議等で御決定になったことを、内閣における非常に重大な権限を持っておられる副総理といたされましても、即時それを変えるという御答弁はなかなかできないと思います。しかしながら、今後いろいろのことを変えていくという含みのある場において、そういうことを当然推進していただくのが副総理としての、一番政治家としての御責任であろうと思います。それが個人の災害についても見る方がいいというお考えでございましょうから、極力そういうことを推進していただく御決意がおありになるかどうか、それを伺いたいと思います。
  140. 益谷秀次

    益谷国務大臣 災害に関することのみではございません。国民生活の安定を期するということは、政治の根本的の原則だと思っております。従って、あらゆる方面に、財政が許す限り国民生活の安定に資する施策を講じて参りたいと思います。
  141. 八木一男

    八木一男)小委員 それから、やや具体的なものに入りますが、実は副総理の御所管事項ではございませんから大へん僭越でございまするが、私の方から御説明を申し上げて、いろいろ御質問を申し上げたいと思います。災害特別委員会に付託になりました政府の法案のほかに、日本社会党の提出した法案がたくさんございます。その中で、非常に長い名前でございまするが、省略して被災援護法という名前で呼ばれる法律と、もう一つ生活を保障する法律という名前で呼ばれる法律と、そういうものが大きな法律としてございます。被災援護法という法律は、その内容を申しますと、なくなった方に対して弔慰金を差し上げる。これは一万円ないし三万円で、世帯主等のときには三万円、あるいはまた子供さんの小さな方のときには一万円というような差がついております。もう一つは見舞金でございまして、これは災害地でひどい災害を受けた方に対して、一世帯十万円までの貸付をしよう。無利子、無保証というようないい条件で貸し付けて、そして二年間据え置いて、あと十年間で分割で返していただく。その財源起債でまかないまして、そしてもしその人が急になくなったりして返せなくなった場合は、国が全部損害を補償してやろうという内容であります。もう一つは医療の点でございまして、一定期間を限って、一定地帯において災害を受けた人は、医療について社会保険があろうとなかろうと、完全に無料で直していただくようにしようというのが、この被災援護法の内容でございます。これは財政ということを一切抜きにしましたら、これ以上のものをやらなければならないものであると思いまするが、私どもは、財政は私どもの財政組みかえ方針でこういうものがまかない得ると考えておりまするが、政府の方のいろいろお立場もございまするけれども、このような趣旨のものの中で政府としてお考えになれるものをやはりお考えになっていただいて、野党の考えたものでも、一生懸命考えたものの中にはその根拠があるわけでございまするから、お考えになっていただいて、現在の政府で即時とり得るものだけでも実施していただく、また二、三カ月を要するものなら、そのときにまた改めていただくというようなことをぜひ考えていただきたいと思う。この災害対策特別委員会、あるいはまた厚生労働等の小委員会において、与党の熱心な議員の方々と私どもは交渉をするつもりでございます。またお話し合いをして下さるというお約束になっております。そこで、しかしながら与党の方が、この話はわれわれも考えてみる、このうちのこれは実施するように努力をしてみようと言われましても、政府の方で、いざきめたものは不十分であっても、面子にかけても動かさないというようなことをなさったら、なかなか動かないわけです。議会は国民の代表でございまするから、そこできまったことは当然実施されなければならないところでございまするけれども、残念ながら今のところ、実質的には政府の力が強い。大蔵省の方がおられるだろうと思いまするが、特に私どもから見て、非常に壁になって、無理解きわまるものと思われるのは大蔵省であります。大蔵省は、大蔵大臣が一人がんばり、主計局の担当官ががんばれば、国民の意思がそこにあっても動かないというような政治が、ここ数年来ずっと行なわれておる。それでも議会の努力によって、たとえば普通の場合ならば、付帯決議をつけて翌年度に努力をして政府案として出させることができるけれども、災害の場合はあとの祭りであって、役に立たない。付帯決議等は一切役に立たない。結局、この議会においてできるものをしておかなければ、災害地の人は助からない。災害地の人を助けるために、与野党ともにこうしてあげたらいいと思うことで、できないことが起こる。その点で与野党が一生懸命相談しまして、与党の方も御賛成の上でこれはやりたいとお考えになられたときに、閣議の中心になって副総理の益谷さんが、そういうふうに国民の代表の議会が思っているからこれはやろうではないか、やる具体的な方法は考えれば幾らもある、金については予備金もある、また第二補正という問題もある、また参議院で修正という問題もある、そういうことは面子ではなしに、国民のための政治であるから、政府の面子なんかは――そういうときに足りないことを直すのがほんとうの政治であって、それがほんとうの政府の面子であるというような立場で、今までの経過にとらわれずに、必要であったならば直すというような動き方を政府はしていただくように、その推進力に益谷さんになっていただきたいと思うわけでございます。それについて、国民に対して非常にあたたかい心の持主でおありになる益谷さんを、故意に困った立場に追い込もうというような考えはございません。益谷さんのほんとうの国民に対する御心情でものが動いて、被災地の人が助かるような動きを極力していただきたいというお願いでございますから、どうか積極的なお答えをお願いいたしたいと思います。
  142. 益谷秀次

    益谷国務大臣 大蔵省は金を出す方ですから、いずれの内閣でも容易に財布の口をあけませんが、今度の災害に関する限りは、大蔵省もできるだけのことをいたしておると思います。ただいま御説明になりました被災者の救助法案と申しますか、これはしごくいい、悪いとは申しません、しかし先ほども申しましたが、今日の財政状態から、直ちにさよういたしますということを言うこともできないのをまことに遺憾に存じております。しかしながら、先ほど申しました通り、全般に国民生活の安定を期する、また国民生活をだんだんよくするということは政治の要諦でありますから、できるだけの努力をいたすことをお約束申し上げます。
  143. 八木一男

    八木一男)小委員 再度お伺いするのも恐縮でございますから、与野党の話し合いでできましたことについて政府の方も御協力なさっていただける態勢をどうか閣議の中で作っていただきたいというお願いに対して、その最大の努力をしていただけるというお気持の御返事をいただいたというふうに、もしお差しつかえなければ理解させていただいて、話を進めたいと思いますが、それでよろしゅうございますか。
  144. 益谷秀次

    益谷国務大臣 八木さん、こうなんです。ひとり災害に対処するのみでなくして、国民生活を楽にして、また、だんだんこれを向上していくというのが政治の本体でありますから、その方面に努力をいたします。従って、災害のために困っておられる、生活困難をせられる人についても、やはり生活の安定ということを期するために努力いたすということを申し上げておるのです。
  145. 八木一男

    八木一男)小委員 ちょっと後半が伺えなかったのですが……。
  146. 益谷秀次

    益谷国務大臣 災害に対するただいまのあなたの党でお出しになりました災害救助被災者救助法という、それの実現に努力するということは、この場合早計に私から申し上げることができないのを遺憾といたします。国民生活の安定と向上に対して、一般的にできるだけの努力をいたすことをお約束いたしますということを申し上げておるのであります。
  147. 八木一男

    八木一男)小委員 実は、益谷さんにお約束をとったから困らせるというような考え方は、私はいたしておりません。私、申し上げたときは正直にやりますし、それから徹底的に追及するときには、岸さんも三、四回困らせたこともございますし、そういたしますけれども、そういうことはいたさないで、お願いをしておるわけです。  それで実は、厚生大臣ここにおられますけれども、一般的に国民の生活を向上させるということは、当然必要なことでございます。ところがそれだけで、いろいろ大蔵省なり厚生省なりのお話で、それでやっているんだからそれでいいということになってしまってはおしまいなんでございます。一般的に、たとえば、今の経済体制のために、搾取が行なわれたり、失業があったりして困った人がいる、こういうことは私どもはいけないと思っておりますが、自由民主党では、資本主義体制がいいというお考えでいられる。しかしながら、それでは困る人がいるから、社会保障をやるなり低所得階層対策をやるなりして、そういうものを上げていこうというような、私どもにとっては非常に不十分な程度でございますが、そういう御意図があるようでございます。それは、もちろん、どんどんやっていただかなければならない。憲法第二十五条では、健康で文化的な生活が保障をされている。それをまた実際にやるために、社会保障、社会福祉、公衆衛生というような問題について政府は一生懸命やらなければいけないという憲法の規定がございます。これは、どんな場合でも、全国民に、全地域にやっていただかなければならない。ところが、災害地の問題はちょっと違う。何も政府の施策がないので、非常に商売人の競争も激しくて、弱肉強食で、うまくいかなければ商売がぶっ倒れてしまう。一生懸命働いても、ぽんと首を切られてしまって、あと職がないというような、非常に過酷な世の中なんです。その過酷な世の中で、被災地の人は、食べるものも食べない場合もあるでしょう、したいこともしない場合もあって、そういうこともがまんをしながら苦しくても働いて、自分の努力で健康で文化的な生活を建設しつつある人が、大部分なんです。ところが、その個人の最大の努力をしているときに、堤が切れて、水をかぶって親しい人がなくなって、家も財産もみんな飛んでしまった。しかも、今までやっている職業が、その作業がとまってしまったためになくなって、商売の方もうまくいかない、勤めの方もうまくいかないということで、将来の生活の方途がなくなっているというようなことになるわけです。これは一般的な、貧乏人を救う、困った人をなくするということは当然していただかなければならないのですけれども、それが完全で、たとえば今の生活保護法が、ぐずぐずいわないで困った人に全部適用するということになって、一人当たり一月に一万円くらいくれるようになっているというような状態であれば、その一般的な施策でそういうことも救えるのです。ところがそうではない。生活保護費は一人当たり千八百円平均しかくれない、それをもらうにも猛烈な条件がついて、なかなかくれないわけです。そういうように、一般的な救う状態は少ないわけです。そこへ災害で、こういう政府を信頼して――政府は、名古屋市は低地帯だから、あぶないからどきなさいとは一言も言ってくれなかった。鍋田干拓地で耕している人に、水が入ったらだめになりますよと、だれも警告はしてくれなかった。ここで耕したら収穫が上がるだろう、ここへ根をおろしたら将来とも健康で文化的な生活ができるだろうと、一生懸命やった人たちが、みんなだめになった。その人たちの努力が全部だめだ。だから、一般的なものだけで片づけられたら、その人たちは浮かばれない。その人たちは、ほんとうに努力をしたものがこんなに流れてしまうなら、今までおいしいものを食べて、さんざんしたいほうだいした方が得だったということになるかもしれない。それを、将来の生活の建設のために、食べたいものもあまり食べず、うまいものも食わず、したいこともしないで、一生懸命やった努力が一ぺんにだめになった。そういう状態になったときに、一般的なこの乏しい社会保障や生活保護、あるいは貸付の金額、それで対処するというのでは、あまりに冷酷な政治だといわなければならない。そういうことのために被災援護法というようなものが必要であり、私どもは絶対に必要だと思う。私どもの出している案ですら、これは乏しいので、私どもでも財政のことを考えております。財政について、たくさん出さなければならないという財源を私どもなりに一生懸命計算して、そのワク内でやっておりまするから、百三十五億なんという金額は少ないと思いながら、被災地の国民の方々に申しわけないと思いながら、この程度の案にしぼった。政府の方は、より財源が少ないという立場をとっておられるから、もちろん金額そのままを当てはめようとは私どもは思っておりません。しかし、そういうことで被災援護法をそのまま通していただきたいのはやまやまですけれども、そんなことが今の情勢で具体的にできるとは思っておりません。私どもは、ですから、そういうような種類の民間の災害について、少しでもあたたかい気持を示すというような政府案を出していただくなり そういうようなことをお願いして与党の方で出していただくなり、与党と野党が共同して出すなりという話し合いを、与党の委員の方とこれからしようと思う。話し合いをしようと思ったときに、与党の方は、政府の与党でありますから、必ず政府の立場はどうですかということを連絡しないと、与党の政策審議会長にどなられる、文句を言われるということがありますから、ほんとうにそういう意思をお持ちになっても、ブレーキがかかる。ブレーキの本元は政府であり、大蔵省であり、主計局であると私どもは思っている。そういうときに与野党が――野党の立場もいれて、与党もこの程度ならば財政も持つじゃないか、出してあげようじゃないかという気持になられたことまで、その財政当局でブレーキをかけられないように、閣議でそういうような立場を進めていただきたいということ、さらに願えれば、与党の方が言われなくても、政府自体少し考えようということを言っていただけば一番けっこうなわけでございまするが、そのような意味の最大の御努力をお願いしたいということ、被災援護法をそのまま通していただければ、これはほんとうにありがたいのですけれども、現在の情勢上なかなか困難なことはわかっておりますから、これを通していただくということを副総理にそのままお約束願うというわけではなしに、そういうような意味の民生安定のための、個人災害を補償する、あるいはまたほかの方法で何かそれを補てんする、そういうような考え方の政策を進める議会の努力に対して、政府も協力されるように、一つ副総理のあたたかい政治力を使っていただきたいというお願いなんでございます。ですから、一般的な社会保障で、生活保護で、という言葉ではなしに、どうかそういう意味で努力をして下さるという御返事をいただきたいと思います。
  148. 益谷秀次

    益谷国務大臣 今災害に関係の法律案を御審議願っておるのでありまするから、十分に御審議をしていただきたいと思います。その結論がどうなりましょうとも、私どもは、できる限り委員会の御決議と申しますか、それに服すべきが当然であろうと思います。しかし、国家の財政もにらみ合わせて参らなければなりませんから、その点を事前にお含みをいただきたいと思います。
  149. 八木一男

    八木一男)小委員 厚生大臣がおいでになりましたので……。実は厚生大臣に三、四日前に同じことでだいぶ声を荒ららげて、非常に温厚な、熱心な厚生大臣に失礼を申し上げたわけでございまするが、今お聞きになっていただいたようなことで、副総理に一つ御努力をお願いをいたしたわけであります。原則的にそういう御努力を願えるという情勢になりましたので、主管官庁としての厚生大臣の渡邊さんは、どうか一つそのほんとうの推進力になって、そういう点について邁進していただくのが至当であると思います。この間の御答弁でも、今後も最大に努力するということを言われておるわけでありますが、どうか一つ重ねてお伺いしたいと思います。
  150. 渡邊良夫

    ○渡邊国務大臣 先般来しばしば申し上げました通り、現在は、あらゆる制度を利用いたしまして、できるだけの財政の範囲内でこれを見ておるわけであります。くどくど申すまでもありませんが、世帯更生資金、あるいは母子福祉資金等のワクの拡大や、あるいは据置期間の延長であるとか、あるいはまた世帯更生資金の中におきましては、生活資金が一カ月三千円でありましたものを、一万五千円で三月も見る。その他災害救助法の中におきましても、応急仮設住宅とか、あるいはまた食費の単価の増額であるとか、あらゆる面におきまして、できるだけの措置を講じておるのでございますが、しかし、先般来社会党案としてしばしば御要求のありました、ただいま問題となっております面につきましても、また私どもはできるだけの考慮を払いつつ財政面の上において検討いたしておるわけでございますが、ただいま副総理の申されましたように、何しろ財政的な面におきまして――これはみな同じ立場で、政党政派を超越して同じ気持なのでございますから、その点につきまして、どうか御協力と御支援と御理解を賜わりたい、かように存ずる次第であります。
  151. 八木一男

    八木一男)小委員 厚生大臣にこの前だいぶ荒らっぽく申し上げましたけれども、同じ立場でありますから、一つがんばってやっていただきたいと思います。  副総理に具体的なことをちょっと申し上げますと、実は数字が全部集まらないで恐縮なのでありますが、一番中心地点になりました愛知県の災害は、三千百二十九億九千万円という県の集計でございますが、そういう発表がございました。その中で、公共土木災害に属するものが五百八十億で、民間災害は二千五百億という数字になっております。政府の諸施策は、公共土木施設のみにほとんど集中されておるわけです。農業施設等もありますけれども。これではあまりにバランスを失していると思う。結局六分の五というような大部分災害が、ほったらかしになっておる。今厚生大臣が御説明になったように、厚生大臣が御努力になったことは私も認めます。世帯更生資金のワクを広げられたことは広げられた。しかし、その広げられた金額は一億五千万円です。愛知県の災害だけで二千五百億でございますから、全国の災害にしたら、勘定にならないくらい膨大な民間被害になる。それに対して、世帯更生資金貸付ワク一億五千万円増大です。これは貸付であります。支給ではない。貸付は、本来回収される建前であるから、財政当局がそう痛まない。これが一億五千万円です。せめて貸付でも相当な金額にならなければ、政府は民間災害に対処したということにならないと思う。こういう点が、厚生省が御努力になったにかかわらず、一億五千万円にとどまったというところに――大蔵省の方は、大蔵省の立場で財政の帳じりを合わせることに一生懸命になっておられる。けれども、財政は重大なことでありますが、財政の帳じりよりも、国民に立ち上がりの機会を与える、これで国政に対する信頼を与えるということが、一番の政治の要諦だろうと思う。それが重大な部面であっても、一局面である財政部分で締められて、全国で何千億という民間災害に対して、たったの一億五千万円の貸付、かようなものでとまるということは、大体いかぬと思う。大体が、民生についての大蔵省の締め方が強過ぎるわけです。世の中は、資本主義体制の矛盾を保守政党でも直そうとしておられるときに、そういうことを方々で発表しておられるときに、それに伴う実際がこういうものであっては、いかに大政党であっても――どこの批判でも、われわれは多数党だからそれでいいのだという方もあろうかと存じますが、ほんとうの保守党の政治家であれば、これでは言っていることとやっていることの実態が伴わないということをお感じであろうと思う。ところが、数字計算がごちゃごちゃしておりまして、大蔵省計算、厚生省の計算は、閣僚全体の方に数字のこまかいことがおわかりになっておらないと思います。別になまけておられるとは言いません。ほかに重大な仕事がありますし、そういう数字を全部覚えるということはむずかしいことでありますから、おそらく総理大臣もうっかりしておられるかもしれません。とにかく一億五千万円では、何千億の民間災害に対する手当ということにはならないわけです。それで財政々々と言われますけれども、貸付財政予算とそう関係がございません。政府が努力されれば、その貸付の金額をふやすくらいのことはすぐできるわけです。ただ、それはめんどうでございましょう。大蔵省なんかでちょっとぐらい会議をしなければならないでしょうけれども、何百万の罹災者があたたかい政府の気持を知って、国政を信頼しつつ自分の将来の希望を見出して努力していこうということと、そんな大蔵省がめんどうくさいとか、閣議の二、三回のめんどうくさいということとは、比較にならないと思う。また幾らめんどうくさくても、それは行政府としてはやらなければならない責任があるわけです。だから、一回それできまったからといって、そういうものは一つも動かさないということでは、政治ではないと思う。そういう点で、副総理と厚生大臣はどうか大いに動いていただきたいと思うが、さらに副総理と厚生大臣の御所信を伺いたい。
  152. 益谷秀次

    益谷国務大臣 私は、詳しく記憶いたしておりません。また御報告も受けていないのです。民間の災害については、先般衆議院で御決定になりました予算で御承知の通りでありますが、財政投融資の拡充をはかって、中小企業、農林関係、その他住宅等については、できるだけのことをいたしております。
  153. 八木一男

    八木一男)小委員 そういうことは、もちろん私どもも知っているのです。ところが、農業災害、中小企業災害といいますが、中小企業の貸付なんかには、やはり保証人が要ったり担保が要ったりするから、担保能力があり保証能力がある人は借りられる。ワクがきまっても、小さな中小企業者が借りられないことになるということも多い。それから、耕地なり、商店なり、工場なり、そのような生産手段を持っている人は、今の世の中としては比較的まだましな人たちであります。農地も持たなければ、商店も工場も持たないというような勤労者とか、勤労者じゃなしに、何にも就職もできないような失業者であるとか、母子家庭であるとか――母子家庭は母子福祉資金があると言われますけれども、そういうような人がいるわけです。今一番低所得者階層対策ということを与党も野党も言われているときに、そういう人たちに対しては、そういうことなのです。そういう人たちこそ、ほんとうにお金が要るわけなのです。何でも力の強い者が先になるということであってはいけないと思う。農業の人も苦しんでおられます。しかし、農業団体として三千万近くの人が集まっているから、これは皮肉なことを言えば、選挙地盤の関係や何かがあって、そういう方々には熱心だということで政治の面に現実に現われてくる。そういう組織のない人、ほんとうに困った人たちは、ほったらかしになる。そういう人たちにすれば、三万、五万、十万という金は、ほんとうに涙を流して喜ぶくらいありがたい金なのだ。それがほとんど実際には支給にならないし、貸してくれることもできない。そういうことを直していただきたいということなのです。農業や中小企業にやるということを予算編成方針で大蔵大臣は言われますけれども、それは普通の通り一ぺんの言葉なのです。それで言いのがれはならないと思う。副総理は、ほんとうに国民の立場から考えていただいて、そういう形式的な御答弁ではなしに、ほんとうにそういう人たちのために、最大の努力をしていただける方であろうと私は信頼しているわけでありますから、社会党案通りやっていただきたいけれども、それは無理なことはわかっておりますが、とにかく政府としても、副総理と厚生大臣、また与党の熱心な議員が推進されますから、相呼応されて、できるだけ早く出すようにしていただきたいというお願いでございます。ですから、ほかの人が知恵をつけて書いたような言いのがれの言葉は全然必要でございませんから、どうかそういう点で一生懸命やっていただける、できるだけの努力をしていただけるというお返事をいただきたいと思います。
  154. 益谷秀次

    益谷国務大臣 中小企業に保証人が要るとか、いろいろの事情、私もよく承知いたしております。全く家もなく、困っておる人があります。しかして、これはとりあえず現金収入を与えるということが必要だという考えから、八木さんの奈良県などからも大阪へ職業のあっせんをして、相当の人を送っております。今後また、災害委員会法律通りますれば、公共土木とかその他の事業で現金収入を与えられる人が、全国に相当大きい範囲にあると思っております。それで一日もすみやかに災害の諸法律の通ることを念願いたしております。
  155. 八木一男

    八木一男)小委員 益谷さんに、どこかわきでブレーキをかけているような気がするのです。私は被災援護法そのものを通していただきたいとは言ってないのです。ここでお約束願いたいとは言ってない。最大の御努力をお願いしたいということなんです。私どもの信頼している益谷さんのお気持であれば、そういうことは最大の努力をしようというお返事が、すっぱりとしていただける方ではないかと思う。いろいろな、たとえば職業訓練をする、失対事業をするのは当然のことであります。しかし職業訓練をする、失対事業をするといっても、極端な例を申し上げますれば、職業訓練に耐えられないような、からだの弱い人もあります。子供をかかえている未亡人もある。失対事業というのは大体土木事業である。そういうことで事務しかできない人もいるし、からだの弱い人もいる。そういう一番気の毒な状態にある人が、みんなほったらかしになっている。その人は生活保護法で救われると言われるかもしれませんが、生活保護法にも厳格な規定があるわけです。その人たちは今まで自分で生活保護法の適用を受けずに、ボーダー・ラインとしてでも、生活に将来の楽しみを持ってやってきた人だが、この災害で一ぺんにひどいことになったのですから、その人たちの努力で、少しでも生活のよくなる道を、そういう光を与えていただくことが必要だと思う。だから形式的に、最低は生活保護法で救う、失対事業があるという政府の通り一ぺんの言葉と、その間のすき間すき間になっている人が一番気の毒だ。その人たちに対して、できるだけのことをしていただくことがほんとうの政治家のお気持であろうかと思う。ですから、大蔵省やほかの補助者の変な進言等に耳をかされることなしに、ほんとうに国民のためを思う政治家としてのお立場から、最大の努力をしていただけるというお返事を、条件をつけずにしていただきたいと思います。
  156. 渡邊良夫

    ○渡邊国務大臣 世帯更生資金、あるいは母子福祉資金、あるいは中小企業金融の制度はあるけれども、なかなか金が容易に借りられないじゃないか、特に生活保護を適用するかどうかということを見る、いわゆる民生委員とかあるいは社会福祉事務所とか、こういうところの人々が非常にボス的であり、非常に過酷であり、その選択が厳重である、あなたの御質問はこういうことであられるのじゃなかろうか、かように存じておりますが、私どもの方といたしましては、これはできるだけ指導面におきまして地方庁と密接な関連を持つことによりまして、特に被災地におけるところの低所得者階層に対するこういう人々の診断等によりましては、特に優遇的な措置を講じていきたい、かように考えております。
  157. 八木一男

    八木一男)小委員 先ほど御質問申し上げましたことについて、副総理の方で一つお答えを願いたいと思います。
  158. 益谷秀次

    益谷国務大臣 先ほどもお答えしました通り、今審議をしていただいておるのでありまするから、この委員会でどういう御決定になるか、十分に御審議を賜わりたいと思います。ただ一言付加しておきますのは、国家の財政が御承知の状態でありますから、それをよくお含み置きの上、御審議を賜わりたいと思います。そういうことを申し上げて、努力をいたすことは当然であります。厚生大臣も努力すると申しております。当然のことでありまするから、できる限りの努力をいたします。
  159. 三田村武夫

    ○三田村小委員長 ちょっと八木君に申し上げますが、福田総務長官が参議院の予算委員会に呼ばれています。
  160. 八木一男

    八木一男)小委員 総務長官にちょっと。総務長官は中央災害対策協議会の事務局長といわれますか、そういうお役目をしておいでになると思いますけれども、いかがでございますか。
  161. 福田篤泰

    ○福田(篤)政府委員 その通りでございます。
  162. 八木一男

    八木一男)小委員 この前益谷さんが副総理になられ、渡邊さんが厚生大臣になられ、あなたが総務長官になった内閣改造後、中央災害対策協議会が災害の前日までに何回開かれたか、一つ伺いたい。
  163. 福田篤泰

    ○福田(篤)政府委員 この協議会は、八木委員のよく御案内の通り災害救助法に基いて作られました。従って、災害発生に際して開くという建前になっております。
  164. 八木一男

    八木一男)小委員 何回開かれたか、それだけ一つ。発生に際してというので、開かれなかったわけですね。
  165. 福田篤泰

    ○福田(篤)政府委員 内閣改造から今般の災害までには、発生に際して開催するという事態は幸いにして起こりませんでしたので、開いておりません。
  166. 八木一男

    八木一男)小委員 総務長官、非常に無責任でございますね。災害救助法の第四条二に「救助その他緊急措置に要する労務、施設、設備、物資及び資金の整備、備蓄等に関する計画を樹立すること。」というのがあります。それからもう一つ、三号に「非常災害に際して救助その他緊急措置に要する労務、施設、設備、物資及び資金の調達、配分、輸送等に関する緊急計画を樹立すること。」とあります。三号の方は、このような災害が起こったときにすぐやるという緊急計画を立てる、二号の方は、当然その前から計画を立てるという文章で、これは日本人である限りそう読めるわけです。それについて総務長官の御意見を……。
  167. 福田篤泰

    ○福田(篤)政府委員 今まで御存じの通り、諌早でありますとか、伊豆台風でありますとか、今度の伊勢湾台風のときに、直ちにこの協議会を開催したわけであります。御指摘の点につきましては、常時各省が当然準備し、研究する、こういう建前になっております。そのために協議会を開いたことはないわけです。
  168. 八木一男

    八木一男)小委員 私はきょう穏やかに質問したいと思うのですけれども、そういうことでは黙っていられない。各省で計画を立てているというならば、中央対策協議会なんか必要ないのです。中央対策協議会の任務として、計画を立てるのがあたりまえじゃないですか。中央対策協議会は――内閣総理大臣はすっと同じ人ですけれども、総理大臣が会長、厚生大臣は副会長でおられるのですね。厚生大臣もあまりこのことを御存じないでしょう。通例でいえば、書記長とか事務局長という人がばんばんやらなければならない。その総務長官が開かないでいいというお考えでは、この法律はなくてもいいようなものだ。各省の準備は各省でするのがあたりまえで、各省で計画を立ててもらわなければ、世の中の動きに即した計画が立てられない。昔ヘリコプターがない時代にヘリコプターの計画を立てたって、そういうものがないからどうにもしようがない。だれか忍術を使って飛んでいって、おぼれかかっている人を救ってこいというような計画は立てられない。ところが、ヘリコプターがどんどん今できている。そうしたら、そういうものが災害救助に役に立つから常備するという計画を作らなければならない。それを内閣改造になってから一回も開かないというなまけたことをやっているから、大ぜいの人が死ぬのじゃないか。それは災害が起こってから開けばいいのだという、そういう答弁というのはあったものじゃない。その前に開かなければならないものですけれども、非常にぼんやりしてなまけて開けませんでした、申しわけございません、なくなった方にどうしておわびしていいかわかりません。これは会長岸内閣総理大臣初めわれわれ一同のほんとうの責任でございますということを言われるのがあたりまえじゃないですか。それを言ってごらんなさい。
  169. 福田篤泰

    ○福田(篤)政府委員 第二の常時の問題ですが、御指摘の通りであります。かつて衆議院の内閣委員会でも、私に率直に、常時の政府の今までの準備なり、研究というものが十分でなかったというお話がありました。私も御指摘の通りだと思います。これからは十分注意いたしたいと考えます。
  170. 八木一男

    八木一男)小委員 ヘリコプターにしても、舟艇にしてもそうであります。これは人命がおもな点でありますけれども、情報なんかも、救助については――救助というのは災害が起こってから、おぼれかかってから救うものでなしに、おぼれる前に避難させるというのがあたりまえなんで、なくなった方は非常に気の毒です。そこで人命が一番重大な点でありますけれども、こういう点については財産も関係がある。前から言っておけば、財産も出せば出せたのに、とっさに子供を救うために持ったものをほうり出して、子供を救ったために一緒に死んだ人は一番気の毒ですけれども、こういうことにも政府は責任がある。これは厚生大臣と副総理にも聞いていただきたいのですけれども、こういうような政府のかたい責任もあるわけです。国家賠償という訴訟が起こっていることも御承知であろうと思う。そういう民生について――財政もあろうが、気の毒な人については、政府の方が財政計画をできるだけ広げて、できるだけ考えていただくという措置をとられれば、国家賠償責任ということがどんどん起こってくる、国民が政府を信頼しないというような虚無的なことはなくなってくると思う。ところが、万全な方策をとられないで、今総務長官がおっしゃったように、開かなくてもいい――これは失言であってお取り消しになったからけっこうでございますけれども、そういうことを言われたり、ほかのことで万全なことをしておりますと言ってみて、それでどうにもこうにも動きがとれないというようなことでは、国民が政治から遊離してしまう。私どもは、野党でありますし、政権を獲得したいと思いますから、野党の信頼が高まって与党の信頼が下がることはその面において希望しますけれども、それよりも、現在国民が救われることが先だろうと思う。政党利己心を捨ててこの問題に対処していきたいと思う。その点で私が言ったからどうのこうのということではなしに、これは政府みずからの手でやった、与党の方々も努力してやったという立場をとっていただいてけっこうですから、できるだけ被災地の方が、そういう政治の責任において、ひどい目にあわれたのを救うための万全の対策をやっていただく。二十八年にやったからそれだけでいいというようなことではなしに――二十八年当時は未熟であった。議員立法で一生懸命考えたけれども、そこまで立法ができなかったことは、その当時の議員全体の責任であろうと思う。しかしながら、それだからといって、二十八年にそのまま右へならえして、ちょっと財政的にしぼるようなことをしたらいいのだというような考え方ではいけない。民生というものは、前に考えていなかったから考えなくてもいいというようなことではいけないと思う。これはさっきも伺いましたから、もう一回御答弁はけっこうでございますけれども、そういう点もお考えいただいて、民生安定にぜひ副総理、厚生大臣、また総務長官も御努力をいただきたい。そういうようなことで、これをほんとうに万全な形にするために、ヘリコプターにしても、舟艇にしても、気象観測機にしても――その前の治山治水から防災、全部が必要でありますけれども、それをやった上でも、それでも災害の起こった場合には、最小限度に食いとめるための災害救助方法についての万全の形をとっていただきたい。自衛隊に要請して、自衛隊のヘリコプターが来るということでは間に合いません。これは各府県くらいに持って、すぐやれる。また場合によっては災害救助法市町村で発動できるというようなこと、これは方々の有識者から言われておりますけれども、そういうことを一切含めて、よく御検討いただきたい。災害救助法については、厚生大臣は抜本的な改正を御用意なさり、それから災害救助計画については、総務長官が内閣総理大臣の会長とともに、それを即時立てられるというようにしていただきたいと思いますが、それについて、厚生大臣、総務長官から御答弁いただきたいと思います。
  171. 渡邊良夫

    ○渡邊国務大臣 内閣並びに各省の連絡機関は、今日の大災害にかんがみまして、これから十分対策を――平時準備万端といいますか、対策を講じていきたい、かように考えております。  それから災害が起きた以後におきますところの、いわゆる災害援護法の措置というものにつきましては、やはり現在の段階では、私どもは現行制度の中においてこれを運用していきたい。これを、ただいま総務長官が申されましたように、現在の国の財政面から見て最大の援助措置を考えていきたい。しかし、将来社会党が考えておられるような援護法の設置につきましては、今後の問題として、国の財政ともにらみ合わせ、また、当然やらなければならない措置として、十分考えていきたい。これは政党政派を超越して、どうかあなた方にも大いに政府を激励して、また教えていただきたいと思います。
  172. 福田篤泰

    ○福田(篤)政府委員 常時の計画の問題ですが、これはもう御指摘の通りでございまして、現在官房長官を主として復旧対策本部もございますが、これは復旧の応急対策でございます。常時の問題は、あらゆる角度から総合的に統一機関をフルに動かしてやっていきたい、これははっきりお約束申し上げておきます。同時に、緊急避難の問題ですが、これも政府部内で、今までの緊急避難命令ではまちまちでございまして時期を失しましたり、また知事や自治体の長がそれでは困る場合がございますので、そういう場合にどうしたら総合的な強力な避難命令が出し得るか――これは避難命令だけの問題でございますが、そういう点で今研究し、いろいろ具体的、積極的、総合的政策を早急に立てたいと思います。
  173. 八木一男

    八木一男)小委員 総務長官、一つ即時態勢を完全に整えていただきたいと思います。私のおります奈良県あたりでは、通信が途絶いたしましたので、無電機の設備を一つお考えになっていただきたいと思います。  今の厚生大臣の御書弁は、総体的に非常にけっこうですが、被災援護法を将来の問題として考えるという含みで、現在の問題は考えないということでは困ると思います。そのほかの問題はけっこうです。現在の問題としては、さっきも申し上げた通り、これから国会の努力によって、そういう趣旨で与党の方と話し合いをしてやるのですから、政府みずからも推進していただくということでなければ困る。そういう御趣旨だろうと思いますが、それについて一つ……。
  174. 渡邊良夫

    ○渡邊国務大臣 御意見の通りでございます。
  175. 八木一男

    八木一男)小委員 それでは厚生大臣にあと一、二問。これは副総理と一緒に聞いて下さい。生活保護の問題で、この間も生活保護法が非常に工合が悪いということを厚生大臣に申し上げましたところ、社会局長から通達の返書が参りまして、私もそれを受け取っております。それについて社会局長から説明したいというお話でございますが、説明はあとで十分承りますが、今副総理並びに厚生大臣は非常にお忙しいと思いますから、先にちょっと申し上げます。前段の方の財産の処理の方は比較的ましなわけでございますが、副総理に状態を申し上げますと、生活保護法で最低の生活は保障をするということになっておりますが、それが保護法自体では非常に過酷なことになっておる。運営面で非常に過酷過ぎる法でございますから、厚生省でいろいろお考えになってやっておられる向きもあるわけです。その点二つございまして、一つは保養法の第四条、補足の原則という厄介なところでございますが、そこに、財産がございますと、本人の財産なり能力を最大限度に活用した後でなければ、生活保護法の適用を受けられないという条項が一つある。二番目に、扶養義務者が扶養義務を果たした後でなければ、生活保護法を適用しないという条項がある。三番目に、緊急なときにはこの限りにあらずというような、あんまり動かないけれども、救いの言葉がある。そこで、これは副総理にぜひお聞き願いたいが、一番目の問題としまして、たとえば財産が冠水してしまった、収穫が上がらないから、法律的な、経済的な果実が取れない、それからそれ自体の値打ちが下がっているから、とにかく収入もできなければ、それを換価するときも大損をするという場合がある。これが法律の条文通り適用されたならば、一応財産としてみなされて、それを処理しなければ生活保護法の適用が受けられないという条文の書き方になっておる。ところが、それではあまりにひどいので、厚生省の方で実態に合うようにいろいろ通達を出しておられます。これはけっこうなことだと思います。前段についてはかなり満足な形があるわけでございますが、しかし、その通達自体はいいのですけれども――これは、大蔵省主計官おられますか。大蔵省は大体けしからぬ。副総理や厚生大臣と関連のある質問をしておるのに、断わらぬで帰る。そういうところに大蔵省のでたらめな、けしからぬところがあるんだ。大蔵省が内閣を動かしているような考え方でやっているのはけしからぬ。それで、そういう点がありますけれども、そういう通達はいいのです。ところが、大蔵省予算をしぼって生活保護法をしぼっていると、その年度々々の計画をはみ出ますと、厚生省の末端の福祉事務所の人が、やっぱりそれ以上出ないようにしろというようなワクがありますから、それが過酷になって、その通達があっても、その通りにならないという状況があるわけです。それからもう一つ、地方財政ですが、これは奥野さんにも聞いてもらいたい。地方財政の方の負担分もあって、市町村がそれを発動しないということがある。ですから、厚生省が通達したからといって安心はできない。現にそういうような事例が方々にあるわけです。そういうことでは、災害地の人が救われないわけです。災害地で財産が減価して、果実を生まないのに、それがあるからということで、生活保護の最低の適用もしてくれない。なければ、生活保護法で、健康をそこねながらもかつかつ食っていけるけれども、それもできないという場合が起こり得るわけです。だから、厚生省の通達だけでは安心できないということから、われわれはその点について法律を変えた。これについてもお考えを願いたい。これは実態がそうであれば、予算はかかわりがない。厚生省が実際にそれをするというので、これを法律的にきちっと裏づけしたって、予算は一切関係ない。これは予算に関係なしに国民に安心をさせるということになる。実際にやらないというなら――それはやらなければならないから、それぐらいの金は大した金でないから、出さなければならないということになる。そういうような法律の裏づけをしたいという点が一つの点です。  もう一つは、実体的にも大いに違う。厚生省が通達を出しておられるものには、こういうことが書いてあります。扶養義務の方はこういうことが書いてある。通達があるということで、この間大丈夫と言われたが、「要保護者に民法上の扶養義務の履行を期待できる扶養義務者のあるときは、その扶養を保護に優先させること。この民法上の扶養義務は、法律上当然の義務ではあるが、これをただちに法律に訴えて法律上の問題として取り運ぶことは扶養義務の性質上なるべく避けることが望ましいので、努めて当事者間における話合によって解決し、円満裡に履行させることを本旨として取り扱うこと。」はなはだきれいな文言でよく書いてある。ところが、円満裏に話し合いさせるといったって、それはできるときにはすぐできます。しかし、できないときにはいろいろなことがあるわけです。話し合いばかりでは適用できない。救われない。それではその人が救われないから、その扶養義務者の方にも事情があっても、それが高利で金を借りても扶養をしなければならないということが起こるわけです。実際にこういうことであります。名古屋で被災した人がある。そうすると、二親等だと扶養義務が適用されるわけですが、名古屋で弟さん一家がぐじゃぐじゃになってしまった。東京に兄さんが一人おる。そこもかつかつの生活をしておるわけです。それで、普通の生活保護法だったら、災害でなしにそうなった場合には、名古屋の人が食えなくなったら、兄さんの扶養を受けなさいということを言われる。円満裏に話し合えというけれども、なかなかいろいろな問題が起こります。そうであれば、第一家は貧乏だから、だんだん貧乏になってくる。あるいは病気をして働けなくなったら貧乏になるであろう、一家の主軸が死んだらとんでもないことになるであろうということを予測されておったならば、普通の兄弟であれば、あたたかい気持を持っておるから、あそこの家に何か補助をしてやらなければならぬということで、倹約し、貯金をする。そういう気持で、物質上でも、精神上でも、準備をしておるわけです。ところが、災害の場合は突如として起こる。弟一家が隆盛にやっていたので、そういうことは心配ないからといって、兄さんの方も、生活を健康で文化的にするために、その前の月には八百円の家賃できゅうきゅうして暮らしておったけれども、三千五百円のいいアパートがあった、だから、そこに移ろうじゃないかというので、相談して移った直後であって、そうして今度は扶養義務が発生したからといって、八百円の家賃のところにはすぐ舞い戻れない。自分が死んだら女房、子供が困るであろうといって、生命保険契約に入った。その生命保険は一年であったら、解約返戻金もきません。また二、三年払わないと、証券担保貸付もできない。だからそういうことをしてしまったら、切りかえがつかない。たとえば、電気洗たく機を買った。月賦で一回払っただけで、あと残りを払わなければならぬ。ほうっておいたら訴えられるだろう。弟がそうなると思わないから、電気洗たく機を奥さんがくたびれないように買ったというような事情があって、三カ月、半年、八カ月くらいは切りかえがつかないのです。いくら兄弟愛情がこまやかであって、やってあげたいという気持があっても、生活保護法という過去の法律でそういうことになっておる。そこで、災害地の場合、一定難問、半年なり八カ月の間だけ、兄さんが弟一家を養うだけの精神的、物質的の準備ができるまでの期間、扶養義務をはずして、その人がいないものとして、弟さんに生活保護法を即時適用できるというようなことは当然考えられていいのじゃないか。それについて御質問申しましたところ、通達を出しましたと社会局長は言われました。だから、大丈夫とおっしゃる。それで前段の財産の方については、いろいろ通達をしておられる。ただ、さっきおっしゃるような通達が出ても、財政の裏づけのない地方自治体が自分の負担分を惜しむということになった場合は、実態が動かないことになります。ですから、こっちの方の扶養義務者の方は、どうにもこうにもだめだ。この通達も、話し合って円満裏にやれというが、話し合いの問、生活保護法の適用を受けられなかったら困る。そういうようなことは、政府としても考えていただいていいことじゃないか。金額は大してございません。これは、金額はできる範囲でやられたらいいと思う。社会党の原案は二十一億でございますけれども、これは計算が精査されたらもっと少なくなるかもしれぬ。また、期間をもっと短くしたら少なくもできます。そこで、八十億も予算があるところですから、何らかの点でそういう点も考えていただくということでやっていただきたいと思う。被災援護法とともにこれが必要だと思う。特にこれを出した理由は、被災援護法では、大づかみにして一世帯幾らというふうにきまっておるわけです。人数が幾人あろうと、そういうことはその中に書いてありません。これはもっとたくさんの場合には、段階に刻みをつけますけれども、大した金額じゃないから大づかみにした。しかし、扶養義務者の家族が多い。それから財産がどこにも一文もない、貯金の五百円もない、たたき売る将棋盤の古いものもないというような家庭もありますから、底上げをしなければならぬ。その底上げが生活保護法であるけれども、生活保護法は、そういうようにして災害実態によって動かないということで、一定の期限を限って一定の人に対してだけそういうことをしたらどうか。これは私ども考え抜いた法律であります。法律的に書くのは非常にむずかしかったので、十日間ほどかかりましたけれども、とにかく絶対に必要だということで、十日間ほど法制的な研究をして出した法律案であります。そういう法律の例が出ていますから、また、政府の法制局で考えていただいてもいいと思うのですけれども、とにかく法律的に間に合わなければいけないので、こちらは作業したわけです。そういう趣旨から考えていただいて、与党の方と御相談して、政府提案でも、与党と共同提案で出し直してもけっこうですから、とにかくそういうことも一つ考えていただきたいということをお願い申し上げたいと思うのです。厚生大臣は、この前ずいぶん伺いましたので、まず、副総理の方の御答弁を伺いたいと思います。
  176. 益谷秀次

    益谷国務大臣 私は法律のことを知らないのですが、今厚生大臣に聞くと、実態に即して考慮しようということを申しておりますから、私もそのように考えております。
  177. 八木一男

    八木一男)小委員 これにつきましても、与党の熱心な議員の方々と御相談をいたしますので、どうか政府の方も御協力していただける態勢を一つ御努力願いたいと思う。厚生大臣は、最も御努力をしていただきたいと思います。  それでは一応これで打ち切りまして、あとでまたやりますけれども、副総理にはわざわざおいで願いましてありがとうございました。ほんとうに政党政派を離れまして、国民のために、被災民のために、内閣の方策を一つあたたかい、血の通ったものにしていただく最大の御努力をぜひ副総理にお願いしたいと思います。また、厚生大臣には、主管官庁として猛烈な勢いで推進力になっていただきたいと思います。
  178. 太田一夫

    太田委員 前の続きでございますが、今度は赤澤労働政務次官にお尋ねをいたします。  失業策事業に関する特別措置法の内容でございます。三月三十一日までこれを適用するとなっていますが、実際上わずか三カ月か、四カ月で失業対策失業状態が解消されるとは思えないのですが、これを延長される意思があるのかどうか。
  179. 赤澤正道

    赤澤政府委員 今の計画はとりあえず三月三十一日まででございますが、明年以降のことは今考えておりません。
  180. 太田一夫

    太田委員 時間の関係で一問一答でいきますから、簡潔にお願いいたします。  それに対して考えていらっしゃらないということは、わからないと思うのです。ここには実際失対の予算が全然ございません。まず、それをお尋ねいたします。予算は幾ら、どこに見込んであるのか。
  181. 百田正弘

    ○百田政府委員 失業策事業費につきましては、本年度におきましての雇用の一般的な民間就労の状態その他の関係がございますので、大体既定予算でまかない得る、本年度においては、現在の状態ではまかない得る、こういう見通しでございます。
  182. 太田一夫

    太田委員 それは補正予算の予備費を使わないということですか。
  183. 百田正弘

    ○百田政府委員 現在の見通しでは、使わなくて済むんじゃないかと思います。
  184. 太田一夫

    太田委員 二十八年災のときには三千人という見込みであったと思います。今度のときはどれくらい見込んでおりますか。
  185. 百田正弘

    ○百田政府委員 これは災害指定基準と関係がございますが、大体二億円程度を見込んでございます。
  186. 太田一夫

    太田委員 二億円というと、七千人くらいでございますか。
  187. 百田正弘

    ○百田政府委員 これは両方あるわけでございます。第一には、その災害のために新たに失業策事業を起こさなければならぬもの、それからもう一つは従来のものをふやす。もう一つの最後の問題といたしましては、現在の失対の規模はふやさない。ふやさないけれども、現在実施しているもの、こういうふうに分かれます。
  188. 太田一夫

    太田委員 単価は四百八円でございますか。
  189. 百田正弘

    ○百田政府委員 四百七円三十三銭。
  190. 太田一夫

    太田委員 三十三銭というのはどうやってもらうのですか、あまり正確でございますから。――けっこうです。  それで、現在の予算の既定経費でまかなえるというところから考えて、あまり大きく失業状態を見ていらっしゃらないと思う。先ほど八木さんが綿々として訴えなさったことも、考えてみれば失業状態、生活困窮状態の多いところから、ああいう問題も出てきたわけです。してみると、この失業策事業の関係する特別措置法をお作りになったということはいいのです。県市町村にそれはほとんどおまかせになった。それに対して五分の四、八割の賃金の補助をしよう、国庫から援助をしようということは、よくわかる。それはいいのです。しかし、見込まれた人間の数が少ないということは、これはちょっとうなずけないと思うのです。ことに登録人員の関係ですが、今度の災害によりまして、非常に失業者がふえると思う。ふえるということについては、どうですか、どれくらいと観測していらっしゃいますか。
  191. 百田正弘

    ○百田政府委員 われわれが、一応大体二億円、あるいはそれ以上になるかもしれませんが、そう推定いたしましたのは、今度の災害によりまして、各県から連絡が私の方にあるわけであります。私の方では、どうしてもこれくらいのワクがほしいといってくるところがあります。それで新しくふえる。それから、従来のところについては、はっきりした指定基準がきまる前ではございましたけれども、常識的にいってこういうところは当然かぶってくるであろうということで、大急ぎで推定した数字でございますので、この二億円というのは、確実なものというわけには参らないと思います。
  192. 太田一夫

    太田委員 推定した数字の二億円という予算見通しのことですが、人数はどれくらいふえるのですか。
  193. 百田正弘

    ○百田政府委員 大体最初見通しましたときに、各県からの連絡を受けました数字が、新たに事業の拡大に要する人数としては二千六百人くらいでございます。それから現行事業高率補助の場合には、大体現在三分の二が五分の四、その差額は比較的少ないわけでございます。従って、これを大体こちらで推定いたしましたこの中におそらく入るだろうということを推定いたしたわけであります。
  194. 太田一夫

    太田委員 二千六百人、そんな程度でないとこの二億という数字が読めないでしょうが、事実はもっとふえるのじゃないかと思うのです。来年三月以降のことは考えていらっしゃらないということは、われわれ異議がありまして、少なくとも災害から一年くらいは、当然この方式を続ける覚悟があるということは、言明されてもいいと思うのですがね。それと同時に、失対事業の対象とする人員のことですが、二千六百人ということは、決してそれは正確であったかどうか存じませんけれども、これはわれわれとしては非常に不審な数字だと思うのです。たとえば海岸の漁師ですね、漁師が失業状態になる、何も仕事がない、これは入っていますか。
  195. 百田正弘

    ○百田政府委員 今申し上げましたように、各被災県につきまして、大体どういう見通し、どの程度失対をふやす必要があるかということで、各府県に連絡して得た数字でございます。従って、われわれといたしましては、今お話のありましたような、漁民が災害を受けたということのために、一定期間はこれを失業対策でやっていかなければならぬという場合におきましては、これを当然入れていくというふうに考えております。ただ、全般的な年度内を一応これで考えておりますのは、一定期間はある程度失業者が出ると思います。しかしながら、災害復旧事業があるいは始まる、あるいは救農土木事業が始まるといったようなことで、人数の上ではいろいろ調整される面が出てきはせぬかという点もございますので、われわれとしては、年度内に地方からそうやって連絡があった数字をもととしての一応の推定をしたわけでございます。
  196. 太田一夫

    太田委員 従って、漁民も失業状態になって収入の道が絶えれば、この失対のワクの中に入れて救済する用意あり、これは明確におっしゃったと理解いたします。そうすると、さっきちょっとおっしゃったが、救農土木事業との関連がありますね。救農土木事業は、予算三億円、これは法案によりますと、土地改良または開拓関係の事業をするために、いわゆる農家の人を救うということになっています。ですから、救農土木事業でやられるのは、おそらく田が埋没したり、稲がなくなってしまったというような農家の人たちが多いと思う。農家がここにほとんど吸収されていく。残ったのは漁民、それから山間の林業者、山林関係労務者ですね。こういう方が小ざな畑もなくなってしまうし、収入もない。それから山へ入る仕事もない。従って、これは何ともならないから、何とかしてくれということになります。これは失対事業の中に吸収しなければならないと思います。そういう場合に、漁民は入っている、それから農家の方は入っているが、山間の労働者、林業関係の労務者、農林関係労務者、これが入っているかどうか、この点どうですか。
  197. 百田正弘

    ○百田政府委員 これは当然考えねばならぬ問題だと思います。特に奈良県の吉野郡といったようなところでは、相当の被害を受けて、就労の道をなくしているというような事態もございますので、そうしたものにかかわりなく、現実にそうした失業状態にあって就労の機会を確保しなければならぬというものに対しては、当然対象としなければならぬ、こういうふうに考えております。
  198. 太田一夫

    太田委員 それでは今度そういう申請があれば、農林関係も漁業関係もどんどん登録をして、そうして失対事業で賃金を払う、こういう救済をする、こういう覚悟があるわけですね。
  199. 百田正弘

    ○百田政府委員 この点につきましては、失対事業に就労させる場合には一定の適格基準というものがございますが、これに該当する限り、どんどん登録をいたしまして、就労のワクをふやしていく、こういうふうに考えております。
  200. 太田一夫

    太田委員 そうなりますと、これは農林関係等も数字が十分突き合わせてあるだろうと思うのですけれども、いわゆる対象人員が二千六百人ふえるだけだというのは、数字が小さ過ぎる。これは非常に小さいような気がする。従って、二億円という既定経費の予算ではまかなえない点が出てくると思う。まかなえない場合は、年越しにも金がない。山間におきましては、取り入れするものがなくなってしまった、海では魚もとれない、漁に出ることができなくなったということで、収入のなくなった人を失対事業に吸収しようとすると、二億の既定経費では足らない。足らないときにはどういう措置をしますか。
  201. 百田正弘

    ○百田政府委員 どうしても必要な人たち失業策事業に吸収していって、今後の一月以降の雇用情勢もどういうふうなことになるかわかりませんが、どうしても足りないという場合には、われわれとしては予備費を要求していくということになると思います。
  202. 太田一夫

    太田委員 用意をされるというのは、どういう意味ですか。
  203. 百田正弘

    ○百田政府委員 予備費を要求していくことになるだろうと思います。
  204. 太田一夫

    太田委員 今度の補正予算の予備費のワクから、それをそちらに充当されるつもりである、こういうことですか。
  205. 百田正弘

    ○百田政府委員 ずっと年度末までやって参りまして、どうしても足らぬということであれば、例年通り、足りない分については大蔵省に対して予備費を要求する、こういうことになります。
  206. 太田一夫

    太田委員 それでは大体わかりました。失対の場合に、今までの登録の労働者のほかに、農、林、漁の三業種に従っている方の収入のない方をここへ吸収するという御方針が明らかになれば、われわれとしても安心をいたしますが、この四百八円ということから考えましても、これはあまり高い日当でございません。これは平均ですね。平均四百八円といたしましても、決して高くない。これで五人家族を養うということは、ちょっとばかり考えられないと思いますが、そういう場合には、一軒で二人の人でも登録を認めるという用意はあるのでしょうね。
  207. 百田正弘

    ○百田政府委員 これは失対事業全般について言える問題でございますので、現在のところは、失対事実一般につきまして、適格基準として主たる家計の担当者ということにしておりますので、この基準に従っていただきたい、こういうふうに考えております。
  208. 太田一夫

    太田委員 それは具体的にいえば、二人でも認めますか、認めることがあると了解してよろしいか。
  209. 百田正弘

    ○百田政府委員 一世帯で主たる家計の担当者一人でございます。
  210. 太田一夫

    太田委員 そうなると、とても大へんです、四百八円では。これは三十日働けるとはちょっと考えられません。今度の場合、非常に特殊な災害の失対の計画としては、特例法の内容とするものは少し手薄だと思う。だから、先ほどの援護法が要るというのは、そういうところにもつながってくるわけですが、失業対策の経費並びにその充実につきまして、労働省当局として、もうちょっと何とかお考えになる用意とか必要はなかったのか。これは大臣にかわって、次官から一つ所信を明らかにしてもらいたい。
  211. 赤澤正道

    赤澤政府委員 現地の状況は、実は私どもよく聞いておるわけですが、今おっしゃることを聞いておりますと、失業者が被災地でもずいぶんあふれて、一般失対で十分吸収する用意があるかどうかというふうに伺ったわけですけれども、実際私が知る範囲では、人が足りなくて千円以上の日当になっておる事実を知っておるわけでございます。そこで、それが四百八円で、一般失対で、その地区で一家がまかなえるかと言われますと、私どもノーといわざるを得ぬわけでありますけれども、事実私もしさいには、現地に行ってみたわけではありませんし、わからぬわけであります。ただ、事務当局の出先を通じていろいろ情報をとっておる次第でございますが、しかし、お互いに生活しておるわけでございますから、とにかくみじめな飢えの状態にならぬように、われわれといたしましては、実態に即して、いろいろ事業も進めていくというふうにいたしたいと思っております。
  212. 太田一夫

    太田委員 四百八円というのは、資材、事務費が入っておりますから、実際上は三百円少々しか手取りにならない。一万円以下のものでは食っていけないからよその方にいくということになれば、あなたの方の失業策事業というのは絵にかいたもちになってくるから、三百六円なら三百六円、労賃だけでも、地方の土建業者あるいはいろいろな事業者で失対事業にひとしいものをやるところに援助して、そうして失対の人たちを手厚く扱う、手厚く遇する、こういうことになっていってもよさそうに思うわけですが、その点はいかがですか。
  213. 百田正弘

    ○百田政府委員 その点は、これは一般失業策事業のワクの拡大という格好でいくわけです。特に被災地については高率の国庫補助をしていく、こういうことになりますので、今おっしゃることはごもっともな御意見だと思いますが、そうすると、やはり今の一般失対事業全般に関連する問題でございますので、軽々にこれだけについてやるということは、非常に困難だと思います。
  214. 太田一夫

    太田委員 救農土木事業というのは、自分が何か分担金を出す必要があるような場合に、労賃をもってかえるという気持がかなりありますから、農民というのは、割合に賃金が安くてもさほど苦にしないというようなことからずっとイコールしまして、一般の失業対策、山林関係の方々を救うのにもわずか三百何十円だでは、あまりにも子供だましの気がする。だから、この特例法では非常に無理があったと私は思う。この辺のところが改善がないことには、あなたの方としては十分の思いやりがあったとは考えられませんので、運用でできる限りのことは、十分実情に沿うように、大災害に対する失業救済の特例措置であるということの実を表わされるように、お願いしたいと思います。質問を終わります。
  215. 滝井義高

    滝井委員 今のに関連しますが、また聞くよりも、ちょっとついでのときに聞いておきます。  ことしの失業対策の当初予算は、三百九十三億七千九百万円だったわけです。今度補正予算で七億一千六百五十七万七千円追加した。そうしてその七億ばかりの追加をやったが、同時に二億削っておるわけです。私はこれは非常に不思議なことだと思うのです。少なくとも今失業者の多発しておる呉とか、筑豊炭田では、失業策事業のワクが少なくて、みんなあぶれえて帰るというのが出ておるわけです。そういうときに、災害地の愛知においては二千六百万円ばかりを既定経費でまかなっていく、そして一方既存の失業策事業費用の中から二億を削って炭鉱に回していく、こういうやり方は、労働省の失業策事業の立て方がいかにずさんであるかということになるわけです。これは私は、大蔵省が来ておれば、一体どういう見解を持っているのか聞きたいのです。しかも災害地の人たちは、人手が足らない。足らないけれども、四百七円三十三銭では来ないのです。これは労務費と事務費と資材費全部入れて四百七円ですから、賃金は下手をすると三百円を割ることになる。これではとても災害地の人手の足らぬところで、失対にでも行こうかということにはならずに、よそのうちにかせぎにいった方がよほどお金がもらえるということになるわけです。そこでこういう労働省のいき方、すなわち、既存の失業策事業費の中から、われわれがワクを拡大しなければならないと主張しているその中から、二億を削って炭鉱の四億に回しているということは、納得がいかないと思うのです。少なくとも七億の、炭鉱離職者のために対策を組むならば、それを新しく一般財源から持ってくるべきであって、あなた方が夜を徹して獲得した血のにじむような失業策事業費の既定予算三百九十三億円の中から持っていくということは、私は納得いかない。こういうからくりをなぜやったかというのです。これならば、あなた方の失業策事業の経費というのは、当初において見積もりを間違っておったということになる。しかも災害の起こっている名古屋に、二千三百万円も既定の経費からやりくりして、炭鉱の失業者が出たからといって、二億も削るというような失業策事業の立て方なら、今までの失業策事業には非常に大きな見通しの誤りがあったといわなければならぬ。すなわち、日本経済ではもう失業者がなくなりつつあるんだという見方をされても仕方がないことになるのですが、大蔵省は一体そういう見方をしておるのかどうか。
  216. 百田正弘

    ○百田政府委員 御納得いかぬかもしれませんが、私から一応御説明申し上げます。御承知のように、失業策事業予算を組みます場合には、日雇い登録人員の趨勢等を前年度において把握いたしてやるわけでございますが、今年度の民間就労その他がどういうことになっていくかということを、一応の見通しをつけてやるわけでございます。しかしながら、失業情勢というのは、滝井先生もよく御承知の通り、長期的な見通しはとにかくといたしまして、短期的な見通しは非常に困難であるというようなことからいたしまして、今年度の予算の執行にあたりまして、当初予算の編成当時と比較いたしまして、登録人員の関係あるいは民間就労の伸びの関係がかなり違って参りまして、今後のことは、これまた軽々には言えぬと思いますけれども、今日までのところは、そういうことのために少なくともある程度のゆとりがここにあったわけでございます。失業策事業費の予算でございますので、そこにおいて災害あるいはその他の関係で失対事業をふやさなければならぬということがありました場合にも、一応はこれは既定の予算のワク内でまかなっていくのが適当じゃなかろうかと思います。  第二に、今の石炭の関係において二億円を持っていったとおっしゃいましたが、この点につきましても、やはり失業策事業につきましての質を上げました、石炭のための特別のそうした緊急就労対策事業としてやったという関係で、ただ項を別にしたという関係で、こちらから二億円持っていってやるということでございますので、目的としては同じようなものでございます。特にこの点でからくりしたということはございません。ただその見通しが非常に甘かったのじゃないかと言われれば、短期失業情勢に対しましてわれわれが去年の十二月におきまして、本年の十一月まで十分予見し得なかったという点は、足らなかったと思います。
  217. 滝井義高

    滝井委員 三百九十三億の既定の経費の中から、失業対策の経費やら、炭鉱離職者の対策事業費がもし出せるとするならば、そういう余裕があったならば――今全国の失業多発地帯から声を大にして要望しておるのは何かというと、あなたがさいぜん言われましたように、主たる生計を維持する人一人ではだめということなんです。二人、三人おれば、少なくとも二人くらいは使ってやりなさい、使ってもらいたいという声が、全国ほうはいとしてわき起こっている声ですよ。既定の経費の中からそういう余裕が出れば、当然ワクの拡大をまずやるべきです。少なくとも炭鉱にあなた方の血の出るような予算の中から回したり、愛知の災害の経費の中からわざわざ回さずに、そういうものは堂々と大蔵省に要求していい経費じゃないですか。そういう対策を私は失業策事業の改善の方向に、余裕があったなら使うべきだと思う。  もう一つの点は、現在地方自治体がこの仕事をやれない一番大きな点は、用地買収費が資材費の中に入っていないという点です。四百七円三十三銭の中から、資材費と人夫賃と用地買収費を含めたものを出しているとすれば――そのほか事務費も三十円か五十円か要る、こうなったら大へんなことです。それならば用地買収費の一部でも出すという政策を講ずべきだと思う。私はきょうはこれ以上申しません。私は実は予算委員会でやりたいと思っておったのです。これは予算委員会でやっておったら大問題です。これは炭鉱離職者のときにもう一ぺんやりますが、きょうは厚生省に対する質問ですから……。しかし、こういうやり方で労働省が今後失業策事業費を組めば、来年は大蔵省から必ずここに斧鉞を入れられますよ。そして失業策事業費というものが、ぐんぐん減ることは明らかです。ですから、こういうやり方は、全く全国の国民大衆の声を無視しておる予算の組み方ですよ。だから、こういう点はこれ以上言いません、いずれ機会を改めてゆっくり尋ねますから、こういう点一つ注意をしてもらいたいと思う。  次に厚生省ですが、厚生大臣も御存じの通り、すでに公共土木施設、農林水産施設災害には指定基準がきまったのです。厚生省は六本の法律を出しております。少なくとも今度の政府提案のうちの四分の一を担当しておるわけです。この六本の法律を適用する基準は、一体どういうように適用していくのか、その厚生省の適用基準を一つ御説明願いたいと思います。
  218. 渡邊良夫

    ○渡邊国務大臣 この基準につきましては、今財政当局等と折衝中でございます。大体におきまして――これは最終的にはきまっておりませんけれども、たとえば政令指定基準というか、災害救助法におきまして、いわゆる災害救助費のワクを大きくきめるというような地域につきましては、標準税収入見込額の千分の十五以上、これがいわゆる災害救助法高率適用の基準でございます。それから伝染病予防法につきましての国の負担分につきましては、標準税収入見込額の千分の三以上が一応きめられております。母子福祉資金のワクの拡大につきましては、全世帯数のうち、被害世帯数の割合が百分の五以上の地域につきましてこれを指定して、このワクを伸ばしたい。個人の場合は災害救助法の適用は全部受けるわけでございますけれども、地域のワクの拡大につきましては百分の五ということになっております。公的医療機関につきましては、保健所管内で人口一万当たり三十五床以内の保健所につきまして、二分の一の高率補助を適用いたしたい。これはまだ最終的にきまったわけではございませんけれども、目下折衝中なのでございます。
  219. 滝井義高

    滝井委員 われわれが公共土木施設や農林水産施設の災害指定基準を要求して、これが出てこなければ予算が通せないと言ったと同じように、やはりわれわれが法律を作っても、この基準が出てこなければ画龍点睛を欠くものになるわけです。従って法律が、衆議院を通過する前に、厚生省の基準を印刷して一つ出していただきたい。小委員長、そのようにお取り計らいを願います。  次には、きょうはいろいろたくさんありますが、まず昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた医療機関復旧に関する特別措置法案から質問をしていきます。その前に、この出ておる法律の題名について、題名が「七月及び八月の水害」と、それから「又は同年八月及び九月の風水害」と、こういうように七月、八月ということから始まっておる場合と、八月から始まっておる題名と、それから九月だけから始まっておる題名があるのです。政府の法律の題名がばらばらなんです。これは一体どうしてこういうことになったのかということなんです。
  220. 栗山廉平

    ○栗山説明員 ただいまの御質問に対しまして申し上げます。それぞれの法律に違ったように書いてございますのは、現実に被害がありましたことによりましていたしたものでございます。
  221. 滝井義高

    滝井委員 現実に被害があったとおっしゃるけれども、予備費でまかなうものがずいぶんあるわけです。いわゆる財政法によって、不測の事態に出すのが予備費なんです。ところがそういうものがあるにもかかわらず、七月の風水害のものをどけるというのはおかしいと思うのです。ここにごらんの通り、厚生省から出ている資料があるのですが、災害救助法を適用した地域は、まず災害救助法適用市町村一覧というのに、一、九州、中国地方水害、七月十四日、こうやって、府県名に山形、新潟、山口、福岡、長崎、宮崎、こういうのがあるわけです。そうしてしかも合計九市十五町五村が、この集中豪雨で災害救助法の適用を受けておるわけです。それから八月でも台風の六号と七号で、八月六日の分と八月十三日の分とあるわけです。そうすると、災害救助法でこれだけのものが適用しておれば、七月のときに全然ないとは言えないと思うのです。従って私は、法律の題名というものは、すべて二十八年災害と同じように六月、七月、七月、八月と、こういうふうにやはり一貫したものでなくちゃならぬと思うのです。あるものは九月、あるものは八月、あるものは七月と、こういう工合にばらばらにいくということはおかしいと思うのです。しかも予測することのできない予備費なんかに入っているものがずいぶんある、たとえば保健所のごとく。私はここに政府から出ております資料を持っておりますが、厚生省が予備費に打ち込まれているやつ、これは大蔵省の三十四年十一月四日の予算委員会提出した資料で、屎尿処理、塵芥焼却場、火葬場等、これが一つ。国立療養所災害復旧費、保健所建物等災害復旧費補助金、検疫所建物等災害復旧費、こういうもの、その他もあるわけです。そうしますと、こういうものが七月のものにもあることになるわけです。われわれは予算の修正を――これは当然法律の修正も要求しますし、こういうものも法律に当然入れなければならぬと考えております。そうしますと、題名がやはり当然私は統一しておっていいのじゃないかと思う。統一しておって、七月、八月と書いておっても、なければそれは予算の面で補助金がいかないのですから、一体七月にあれがあったかないかということをその法律で見て、題名が違うほどこれはややこしいことはないんですよ。こういう立法上の技術の面から言っても、われわれ議員が見る上からいっても、これは七月が入っておったかいないかということを一々見なければわからないのです。そうすると、一応災害というものは七月から九月までの分だということになれば、一応それをずっと調べてみればすぐわかるんですね。そういう点でどうも立法技術からいっても、政府の今度の出し方はずいぶんずるい出し方をしていると思うのです。こういう点は、まあそのときになかったとおっしゃるけれども、予測すべからざる予備費の中にずいぶんお金をお入れになっておって、そういうことをおっしゃるのは、どうも納得がいかぬところです。  次に昭和二十八年に、昭和二十八年六月及び七月における大水害並びに同年八月及び九月における風水害による病院及び診療所の災害復旧に関する特別措置法というのを、これは私が議員立法を作りました。大臣、一体この二十八年の法律は動きましたか、動きませんか。
  222. 渡邊良夫

    ○渡邊国務大臣 動いておりません。
  223. 滝井義高

    滝井委員 なぜ動かなかったのですか。
  224. 渡邊良夫

    ○渡邊国務大臣 これは中小企業金融公庫法によるところの内容その他につきまして、まだ話し合いがついていなかったのでございます。
  225. 滝井義高

    滝井委員 法治国家で、国会法律を作って、それが動かぬなんというばかなことはないですよ。たといこれが議員立法であっても、国会を通れば政府提案と同じ資格ですよ。同じ力が働くものですよ。それが一体なぜ動かなかったかということなんです。
  226. 渡邊良夫

    ○渡邊国務大臣 中小企業金融というものは、その運営面におきまして営利を主たる目的としております。ところが医療法によりますと、医師は営利を目的としないというふうに解釈されるような条文になっております。それでありますから、中小企業金融の運営というものがあと回しになった、こういうことは私どももまことに遺憾な点であった、かように存じまして、このたびはそういうことのないように、われわれは今取っ組んでいるわけでございます。
  227. 滝井義高

    滝井委員 法律が通ってそれが大体動かなかったということは、それは言いわけにはならぬと思うのです、法律ができておるのですから。厚生省は政令をお作りになりましたか。地域指定も政令に基づきますし、政令の定むるところによって、いろいろ有利な条件で貸し付けることにもなっております。その政令はどういうことになっておりますか。
  228. 川上六馬

    ○川上政府委員 政令は出しておるのでございます。その政令の中では、金融の機関といたしましては、中小企業金融、それから国民金融公庫、こういうものを金融機関にしておりまして、それからこの貸付対象といたしましては、土地、工作物、建物、医療に要する器具、機械、薬品の復旧に要する費用と、こう書いてあるわけでありますけれども、一般の中小企業に対する貸付の条件より特に有利な条件というものが、話し合いがつかなかったために、実際において貸した実績がないというふうに私は聞いておる次第であります。
  229. 滝井義高

    滝井委員 法律というものは、役所の話し合いがつかなければ動かないでもいいものじゃないと私は思うのですがね、どうしてもこれは銀行局長に早く来てもらわないといかぬですな。局長がおらなければ、その下の責任の金融を扱う課長でよろしい。  それから今回の災害で、公的医療機関と私的医療機関災害の状況というものは、一体どういう状況になっておりますか。
  230. 渡邊良夫

    ○渡邊国務大臣 大体公立医療機関については約二億ほどございます。数は公的はたしか五十六カ所だと思っております。私的医療機関につきましては、六億三千万程度でございまして、病院が百九十四、診療所が二千四十九でございます。
  231. 滝井義高

    滝井委員 それから薬局を一つ……。
  232. 川上六馬

    ○川上政府委員 薬局は調査しておらぬのでございます。
  233. 滝井義高

    滝井委員 薬局も保険医療機関、保険薬局といいまして、これはあなたの方では大事な機関にしているわけですね。これは普通の中小企業とはやはり違うところがあると私は思うのです。そうしますと、薬局は今度は風水害を受けても対象にしなくてもよろしいということですか。これは薬務局長は腹を立てますよ。薬務局長はいらっしゃらないけれども……。
  234. 川上六馬

    ○川上政府委員 二十八年にも薬局に関する特別措置がなされていなかったものでありますから、一応この薬局は、一般の被害を受けました中小企業の貸付の対象にしていただいたわけでございます。
  235. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、薬局は大臣の方で別に、中小企業金融公庫の方でワクを確保する見通しでもおつきになっているのですか。
  236. 渡邊良夫

    ○渡邊国務大臣 二十八年災におきまして、私的医療機関金融の中には入っていなかったものでございますから、中小企業金融公庫法の方でまかない得るというふうに、今のところ判断をいたしておるわけでございます。
  237. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、二十八年には、中小企業金融公庫でこの政令なり法律が動かなかったのですから、一体私的医療機関にどの程度の融資のワクが割り当てられて、金融が行われたのですか。病院に幾ら、診療所に幾ら、薬局に幾らと、この実績はおわかりだと思いますが、承りたい。
  238. 川上六馬

    ○川上政府委員 別にワクがその場合に与えられておったわけでありませんし、また今どれくらい割り当てたか、貸し付けたかということはわかっていないのであります。
  239. 滝井義高

    滝井委員 どうも厚生省は金融問題にはきわめて弱いので、もう少しやっぱり金融問題をやらないとこれはだめですよ。金融を制する者は天下を制しますよ。だから、医療機関を整備をするということになれば、やはり金融問題について、もう少し医務局内にそれぞれのベテランを置いて、こういう方面を扱わないと、今のような状態ではこれはもう話にならぬですね。  そうしますと、次にお尋ねしますが、公的医療機関復旧のためには、これは予算の範囲内で二分の一の補助をすることになっております。直営診療所はどうされるのですか。直営診療所は今度は国民健康保険の法律にも出ていないし、この医療機関復旧に関する特別措置にも出ていない。
  240. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 私からお答え申し上げます。国民健康保険の直営診療所につきましては、現在の法律の中におきましても、国が補助することができるように相なっております。従いまして、これは新たに法律を作る必要がございませんので、予備費をもって措置いたしたい、かように考えておる次第であります。
  241. 滝井義高

    滝井委員 現在直営診療所の補助率は幾らですか。
  242. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 三分の一でございます。
  243. 滝井義高

    滝井委員 国民健康保険の災害特別補助七千七百万円のほかに、予備費でまかなう予算になっております。そうしますと、今大臣から御答弁がありましたけれども、三分の一ですよ。災害地で保険料を納める被保険者大衆というものは、ずっと災害にかかって、非常に貧しく、担税力がなくなっている。そうして直営診療所もやられた。ところが、それを予備費で三分の一出す。今度は予備費であなた方が大蔵省と折衝するときに――これは土俵に上がれば横綱と幕下との相撲ですよ。これは三分の一をぐっと切られてしまう。こういう予算の折衝の仕方は私はきわめてまずいと思う。公的医療機関でこういうものをお作りになるならば――他の公的医療機関は二分の一ですよ。なぜ直営診療所だけ三分の一のまま子扱いにしなければならぬかということです。当然ここにわざわざ「国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第七十四条の規定による国の補助を受けることができる公的医療機関については、この限りでない。」というようにして、国民健康保障法の直営診療所を除く必要はない。入れたらいい。それを入れずに、わざわざ難関の大蔵省と今から交渉をして、海のものとも山のものともわからない予備費に入れられるということは、渡邊厚生大臣の政治力をわれわれは疑わざるを得ない。当然これはその中に入れたらいい。こんな刺身のつまのようなものを尾ひれをつけないでもいい。こんな一文を入れずに削っておけば、直営診療所は当然入る。入るものをわざわざこれからまた折衝して、金がとれるかとれないかわからないような予備費に持っていく、こういうことはやはり厚生省はどうかしていると思うのです。岩尾さんがお見えになっておりますが、こういう差別待遇はいいですか。国民健康保険は三分の一、他の公的機関とは日赤や済生会ですよ。日赤や済生会と直営診療所というものとの、国民医療に貢献する場面を考えた場合に、一体どっちが重要ですか。変な話をしますけれども、日赤や済生会というものは、独立採算で、今営利主義ですよ。私は端的に申し上げます。直営診療所は、草深き村の医療のない大衆のためにやっているのが直営診療所です。その直営診療所が災害を受けて復旧するのに三分の一の補助だ、他のものは二分の一だ、こんなばかな政策というものはないですよ。当然これは優先的に、二分の一の補助どころか、三分の二の補助をしなければならぬ。これは当然ですよ。特に三重とかれ和歌山とか奈良とかいうような地域――まだ愛知の名古屋市は国民保険ができておりませんが、こういうところに今から大都市の国保をやろうとするならば、少なくとも今度の災害で、そういういなかの医療機関というものを、私的医療機関と一緒に早く立ち直らせてやらなければいかぬですよ。こういう点についてどうも少し感覚が欠けていると思うのです。なるほどわれわれは公的医療機関と私的医療機関の二本建でやっておりますが、今の厚生行政は、非常に公的医療機関に力を入れて、私的医療機関に力が足りないということを認めて、今や私的医療機関をもう少し保護しなければならぬという主張をしておるので、こういう法律をわれわれも出しております。しかし同じ公的医療機関でも、直営診療所というものは、他の公的医療機関よりも力が弱うございますよ。それは辺陣地に割合ある。ということになりますれば、特に辺陬地にあるものについては、やはり国が力を入れて、三分の二とか五分の四の補助するのがあたりまえだと思うのです。こういう点岩尾さんの方は、どういう認識で予備費なんかに持っていったんですか。
  244. 岩尾一

    ○岩尾説明員 お答えいたします。直診につきましては、先ほど保険局長からお話がございましたように、直診自体に出します補助規定というのは、国民健康保険法にある規定のもとで出しておるものでございまして、特に補助法律を出す必要はございません。それから一般の公的医療機関につきましては、二十八年災におきましても、その後鳥取の火災においても、二分の一実績がございますので、特に政令を出して、今のお話の、たとえば厚生連等につきましては、できるだけそういった融資能力といいますか、そういうもののあるところは、予算の査定上御遠慮を願うという積算で、かようにいたしております。
  245. 滝井義高

    滝井委員 これはやはり重要な修正点だと思っております。少なくとも他の公的医療機関が二分の一になるならば、当然これも二分の一にすべきであると思いますが、これはこれ以上議論をいたしません。おそらく与党の諸君も私の意見には賛成だと思います。それから次は、この医療機関、特に私的医療機関災害復旧資金貸付をやることになっておりますが、この貸付条件というものは、どういうふうに政令を定めるつもりでありますか。
  246. 川上六馬

    ○川上政府委員 まだ全部決定いたしておらないのですが、大体におきまして、三十人以上の医療機関にも貸し付けたい。今まで私の医療機関の場合におきましては、従業員三十人未満というふうに限られておるのですが、三十人以上のものにも貸し付けるようにしたい、こういうふうに考えておる次第であります。それから百万円になりますか、百五十万円になりますか、まだ決定いたしておりませんけれども、それだけの額は、貸し付けてから三カ年は六分五厘の低利で貸し付けたい。それから据置を一カ年、償還を七カ年にいたしたい、こういうふうに考えております。
  247. 滝井義高

    滝井委員 大蔵省はぜひ来てもらわなければいけないのですが……。
  248. 三田村武夫

    ○三田村小委員長 主計官ではいけませんか。
  249. 滝井義高

    滝井委員 主計官は関係ありません、金融面ですから。――私は、あつものにこりてなますを吹くわけではないのですけれども、厚生省という役所は弱い役所なんです。だから、法律まで作っておっても、それを実現することができないという過去の実績を持っておる。この問題については、だから私は、どうしてもきょうは大蔵省を呼んで、過去においてなぜわれわれが議員立法をやったのにやらないのかということを追及しなければならない。そうしなければ、こんなもの幾ら作っても、政令を出していかなければそれまでです。これは何の役にも立たない。そしてこの前ずいぶんたくさんの医療機関がやられたのです。今度だって約三千の医療機関がやられておる。こういう法律が出なければ、医療行政というものは、愛知、三重、岐阜、あの辺ではしばらく停滞しますよ。だからそういう点において、どうしても大蔵省のはっきりした見解をもらっておかなければ安心ができないのです。けれどもきょうは大蔵省が見えておらないようですから、またあとに質問はいたしますが、あすに回しましょう。
  250. 三田村武夫

    ○三田村小委員長 本日は、これにて散会いたします。明日は午前十時より会議を開きます。     午後五時六分散会