○
奥田参考人 私は
奈良県の知事でございますが、今回の
災害につきましては、国をあげて御同情いただきまして、ことに当
委員会としては格別御
好意をもって善処していただきまして、その点におきましては、私
ども罹災地の者として、あるいは
被災者一同が心から感謝いたしておるところでございます。厚く御礼申し上げます。しかしながら、今回きまりました
特例法あるいは
予算措置を見ましても、あるいはこれが今後の
施行につきましても、いろいろ現地におきまして仕事をやっておる者として、いろいろ
意見があるわけでございますが、幸い、ただいま御指摘いただきましたような
委員長の御
好意によりまして、さらに過去におけを実績あるいは今後の問題につきまして私
どもが
意見を開陳します
機会を得まして、まことに感謝いたしておるのであります。私、実は昨日お呼び出しを受けたのでありますが、この問題は、ぜひ
一つ私が自分で出て皆様に御
説明申し上げたいと
考えまして、昨日は、残念ながら
本県として議会を開会しておりましたので、差し繰っていただきまして、本日時間をいただいた次第でございます。以下、時間の許された範囲におきまして
説明さしていただきます。
私の県は、非常に
災害が激甚でありまして、あの地図でごらん願いますように、
災害が
山間地でございます。
山間部は、
国道一六九号線、あるいは
県道久居—榛原線までが、あるいは百十キロにわたり、あるいは二十数キロにわたりましてずたずたに
道路がやられまして、それが
ために
災害の
応急措置にも、あるいは
復旧にもいろいろ不便を感じたのでありますが、ただいまのところでは、
被災者応急住宅を初め一応の
善後措置ができまして、
災害の
復旧に極力努力をいたしておるところであります。ただいま申し上げました
国道の百十キロにわたる不通の点、あるいは二十数キロにわたる
県道の点につきましては、初めから、せめて
小型トラックを早く通したい、できれば
小型バスを通したい、さらに
大型バスを通したいというような
順序で、だんだんと
道路を整備して参りまして、今日では、一六九号につきましては、わずかのところがまだ
大型バスは通りませんが、その他は大体
大型バスが全通いたしたような次第でございまして、小康を得ておる次第であります。
本県の
災害の
復旧の概況につきましては、お
手元に
概要として差し上げてございますので、その
書類についてごらんいただきたいと思うのでありますが、三ページに出ておりますように、
本県の
被害総額は当初百八十三億という見当でおったのであります。しかも
本県は、その大
部分が公共的な
被害であったわけであります。第一ページでごらん願いますように、二のところの
土木関係被害は、当初は七十五億という計算でおったのでありますが、その後の
緊急査定、あるいは今後
査定を受ける見込みを現在から
考えてみますると、百億をこえるという姿であります。
土木関係の
公共被害だけで
復旧に百億以上を要するという
数字が出ておるのであります。この
数字は、
本県として、当初から、
災害について山をかけた報告はしていなかったということを一面物語るものであり、かつまた、
被害がいかに激甚であるかということを物語るものであると思うのであります。私の県は、
税収入が
年間十億でございます。それに対して、
公共土木の
被害だけで百億であります。この分について、五%県が
負担するとしても五億の
負担をしなければならない、一〇%
負担するとすれば十億、すなわち
年間の
税収入を全部出さなければならぬ、こういう姿であるということを御了承いただきたい。しかも、そういうような
事業のほか、あるいは
応急のたき出しであるとかの
事業、あるいはせっかく開通いたしました
道路の
維持修繕に、国の公共的に
補助をいただけない、
ワク外のものがたくさんあるのでありまして、そういう
意味におきまして、
県税収入わずか十億というふうな
奈良県としては、今後の
措置に非常な財政的な
負担を受けておるという点におきまして、御同情をいただきたい。従って、これに対しましては、できるだけの
起債あるいは
特別交付税の
交付をいただきたい。これは私
どもの県のみならず、こういう
弱小府県の
災害復旧については、格別な財政的な御
援助を願うように
お願いしたい、こう
考えるのであります。
災害の
復旧の
概要につきましては、ただいま申し上げましたほかは、その
書類によりまして、御迷惑でございますが、ごらんを願いたいと存じます。
次に、別冊といたしまして、
災害復旧対策についての
問題点と要望として、第二冊をお
手元にお上げいたしておりますので、以下、それによりまして大略の御
説明をいたしたいと思います。
その第一が、
一般的事項として、一、
吉野川本川の
河水統制計画の再検討をいたしたいという点であります。先日も申し上げましたように、
吉野川の
上流に未
曽有の水量が出ました
ために、
吉野川沿岸に著しく河床が上がり、あるいは水が出たのであります。従って、本
吉野川だけで、
永久橋が、
県道を加えまして十橋流れておるという姿であります。ああいう
水害を今後防止する
ためには、どうしても
上流に、
洪水調節用の
防災ダムを作ってもらうほかはないと私は
考えます。これは
奈良県といたしましては、
水害の翌日から今日に至るまでの強い希望であり、念願であります。しかも、西の
和歌山県のところは、一応
政府の
直轄河川になっておるのでありますが、
奈良県に入りましてからは、
直轄河川に入っておらないのであります。二十八災以来、私
どもは
直轄河川編入を希望いたしておるにかかわらず、現在までまだその
実現を見ておらぬのであります。それが
ために今回の
被害が大きかったと、私
どもは
考えざるを得ないのであります。ぜひとも今回は、先ほど申し上げました
上流に
防災ダムを作っていただくとともに、
奈良県内も、そこに書いておりますように、ぜひとも
直轄河川に
編入を願いたい、これが
奈良県をあげての
災害復旧についての最大の
お願いでございます。
第二といたしまして、
災害基本法の
改正についてでありますが、これはそこに書いておりますように、今回のような大きい
災害なら別として、今後小地域において、小
府県が大きな
被害を局部的に受ける場合があろうと
考えますので、そういう場合に
災害救助あるいは
復旧対策の円満な実施ができますように、
災害基本法の
改正を
お願いしたいというのであります。第三は、
災害関連事業の
国倉補助についてでございます。
災害関連事業につきましては、今回の
特例法で三分の二に
補助率を上げていただいておるのでありますが、これは一率であります。
災害の
復旧につきましては、そこに書いておりますように、再
災害発生防止の
ための
改良復旧の趣旨からも、また、この
関連事業が
災害復旧事業と合併
施行せられます
関係からも、
災害復旧事業と同様に、
当該団体の
財政力に応じて
国庫補助率を増すというふうな
取り扱いをぜひ願いたいと思うのであります。しかしながら、
法律はすでにきまっておるのでありますから、それが今さら、直ちに
お願いすることは無理といたしますならば、次に私は
二つの
お願いを持っておるのであります。すなわち、その第一は、
災害関連事業は大
部分が
道路になっておるようでございます。
河川の方は、多くは
災害復旧に入れてもらっておる。
道路の方は
災害関連が多いのであります。ところが、
道路については
道路整備五カ年
計画があるのでありますが、私
どもが仄聞するところによりますと、今回の
災害の
関連復旧事業も、この五カ年
計画の
ワクのうちできめられるように承っておるのであります。もしそうなりますならば、今後私の県として、
道路の
改良について
関連事業の
ワクが非常に減ってくるのであります。ぜひとも今回の
災害についての
関連事業については、
道路整備五カ年
計画の
ワク外でやっていただくように
お願いしたいことがその
一つであります。その
二つ目は、そこに書いておりますように、
補助率を上げ得ないといたしますならば、ぜひとも多額の
起債と、これが
元利償還に対する
一般財源の付与について格別
お願いいたしたい。ことに
道路関連事業につきましては、
道路の、
災害年度におきましては
起債等に
便宜を得るようでありますが、二
年度以降においては著しくそれが減るようであります。ぜひとも二
年度以降、翌
年度以降においても、当初の
年度と同様の
起債あるいは
元利補給等の
財政措置を
お願いしたいと
考えます。
第四には、
緊急砂防、
緊急治山事業費の
国庫負担についての
お願いであります。
緊急砂防並びに
治山事業につきましては、
現行法においては一率に三分の二と規定せられておるのでありますが、私の
考えるところでは、この
事業は、むしろほかの
事業よりも
公共的性質が多いものである。すなわち、
部落の上の山がくずかかっておる、
部落の
治安維持の
ためにも、保全の
ためにも、山のくずれるのを防ぐ
措置をやらざるを得ない、そういう
意味から、
治山の多くは
一般の
公共的性質が非常に強いものであります。
砂防についても、また同様であると私は
考えるのであります。そういう
意味から、
緊急砂防並びに
治山事業の
補助率が三分の二であるということについては、私は非常に疑問を持っておるのであります。これもきまっておることでございましょうから、今さらやむを得ないかと思うのでございますが、ただ、これが
行政措置として
治山につきましたは三分の二の
国庫補助、残りの
地元負担の三分の一については九〇%の
起債、それに対する五七%の
元利償還等の
財政措置を願うということであります。こうなりますと、大体八四%
程度の
国庫の
援助がありまして、一五、六%が
府県負担となるように私は計算できると思うのであります。そこで、やむを得ないことでございますが、その
行政措置を、本
年度のみならず来
年度以降の
事業についても、少なくとも、あるいは農林省が、あるいは
建設省が
緊急治山事業として
査定をし、
緊急砂防として
査定を受けた
金額については、ぜひとも
行政措置が間違いなく確実に行なわれまするように、
お願いいたしたいのであります。今申し上げましたように、確実に行なわれるとしても
地元負担は多いのである。ましてその
財政措置が不確実になりましたならば、なお私
ども負担が多くなりますので、とうてい、今申し上げましたような
公共的意義のある
治山あるいは緊急の
砂防事業もうまくいかぬ、こういうふうに
考えまするので、特にこの
機会にこれを
お願い申し上げておきたいのであります。
それから次に、第二といたしまして、
政令指定基準案に対する私
どもの
お願いでございます。
その一は、
公共施設災害復旧費国庫負担の
取り扱いについて、今回はいわゆる
混合方式をとられまして、県の分と
市町村の分とかね合わせてお
取り扱いを願うようであります。県の
事業としては、
高率の
補助のある
市町村の
区域と、
高率の
補助のない
市町村の
区域を別々にやるわけにいきません。同時に、同様にやっていかなければならぬのであります。従って、
事務処理の上から非常にむずかしい問題が起こるようでございますので、
補助率の算定は、おきまり願ったように
お願いすることはやむを得ないのでありますが、
府県工事につきましては一本の
国庫負担率をきめていただいて、それによって実施できるよう
お願いいたしましたならば、その間の事務的な繁雑が非常に省けていいのではないのではないかと
考えまして、この
お願いをここにいたしておるのであります。
二には、
堆積土砂及び堪
水排除費の
国庫負担について、
奈良県では湛水問題はございませんが、
堆積土砂について
お願いいたしたい。今回の
災害復旧につきましては、私
ども災害地としては、ぜひとも二十八災に準ずる
措置を
お願いし続けて参りました。
政府あるいは国会御当局としても、二十八災に準ずるということを、いろいろの
機会に明言しておられるのであります。今回の
災害の
措置を大観いたしますと、二十八災よりもいい、
便宜を与えておる
措置もある、同様の
措置もある、またよくない
措置の仕方もある。
堆積土砂の扱いについては、二十八災よりも著しく割る
措置であると思う。非常にこれは
地方として困る問題を持っておるということを、この
機会に申し上げたいのであります。それは、そこにありますように、
市町村の
指定につきましては、
標準税収入の一割以上の
災害であるとか、あるいはまた、三万
立米以上の
堆積土砂とかいうものがある
市町村が
指定されるようであります。それはそれで、私
どもとしては、ある
程度けっこうかと
考えるのであります。しかしながら、その
市町村内における
一団地の
堆積土砂が二千
立米以上ときめられておることについては、非常に私
ども、
農山村に
推積土砂が著しい点におきまして困るのであります。二千
立米と申しますと、それを排除する、費用は約二十万円以上の
金額になろうかと思います。そこで私
どもは、少なくとも普通扱われております十万円という
程度、すなわち五、六百
立米に下げていただくか、さらにできるならば、
一団地の
排除量いかんにかかわらず、御
指定願うようにいたしたい。と申し上げますのは、私
ども災害当初から
農山村に参りまして、二十八災に準じて、
堆積土砂についても
政府の
援助があるんだということを、いろいろの
機会に
説明しておるのであります。しかるにかかわらず、今回のような
取り扱いになりましたならば、私の県では、
指定を受ける
市町村は十五、六カ町村あるようであります。しかしながら、ほんとうに
一団地二千
立米として
指定を受け得る
部落は数
団地しかないのじゃないか。ごくわずかしか、この
恩恵に浴し得ない結果になろうと思っております。しかしながら、承りますと、
建設省ではただいまさらに、
高率の
補助をしないところの五割
補助の
程度のものをもっと広く、薄くやってやろうというふうなお
考えもあるようであります。もしもそういうお
考えをしてもらいます場合には、
一団地二千
立米というものを、
一団地の量を削るとか、少なくとも千
立米あるいは五百
立米に下げていただくとか、そういうふうにいたしまして、薄くても、わずかながらでも、
農山村の二十戸、三十戸、あるいは四、五十戸の
団地部落にもこの
恩恵を及ぼし得ますような御
措置を
お願いいたしたい。少なくとも私
どもは、そういうつもりで指導してきたのであります。その建前から申し上げますと、ただいま非常に困る
立場にあるのでありますので、特にこの問題につきましては、
高率九割くらいの
補助を受ける
団地が少なくてもやむを得ないかもしれませんが、少なくとも薄く、広くお
取り扱い願うようにいたしたい。おそらくこれは私の県のみならず、
農山村を持っておるほかの
府県でも、同じような状態じゃないかと私は推察いたすのであります。
次に、三の
公営住宅についてでございます。
公営住宅は、ここにございまするように、
住宅戸数の一割以上が
流失しておるか、あるいは二百戸以上であるかである、こういうことに相なっておるようであります。私の県では
災害救助の
指定町村が十九あるのでありますが、この割合で参りますと、一市一村しかこの
恩恵には浴し得ないのであります。こういうふうな制限を受けますと、小さい村、小さい
部落ではこの
恩恵に浴し得ない。大きな町でございましたら、
住宅戸数の一割の
流失がなくても、少なくとも二百戸くらいの
流失戸数があるとできるのであります。小さい村ではこれがあり得ません
ために、私
どもの県では、この
恩恵に浴し得るところが少ないものと
考えております。それはまずやむを得ないといたしましても、四分の三の
補助あるいは三分の二の
補助をいただきまする残りの、四分の一あるいは三分の一の
市町村の
負担についてぜひとも
起債を
お願いいたしたい。
市町村では、
被害の
ためにそれぞれ財政的に非常に困っておるのであります。それが今、自分の持ち金を出して、四分の一でも三分の一でも出さなくては
公営住宅ができないというのでは、せっかくの希望を持ちながら、とうてい住宅が建てられぬと思うのであります。そういう
意味から、
補助率を上げることがもしむずかしいといたしましても、ぜひとも残りの分について
起債を
お願いいたしたい。そうでないと、私の県の
市町村としては、せっかくの
数字的な割当を受けましても、実際上、
災害復旧の
ための
公営住宅の建設の戸数が非常に減るというふうなきらいがありますので、特に
お願い申したいと思います。
次の四と五は、御
説明を省略いたします。
次に、六について御
説明いたします。
地方公共団体の
起債の特例についてであります。これは農地及び農業用施設の小
災害についての
起債の所要
金額の最低を下げてもらいたい、八百万円を五百万円に下げてもらいたいという点と、税の減免による歳入欠陥債のみならず、この
災害の
ために
標準税収入の減少するものについても、
起債を認めてもらいたいという点であります。なお、
本県など、
山間部におきましては、小
災害の
復旧も単
年度にやることは無理であるから、県と同様に二カ年というふうに
お願いいたしたいという点であります。
次に、七、医療機関の
復旧に関する
国庫補助であります。これは私の県の例を
一つ申し上げますと、私の方の大淀町立病院でございますが、これの
災害が、建物の
被害が百二十万円でございます。機械器具等の
被害が六百六十万円でございます。ただいまの
取り扱いとしては、建物等に対する
補助は認められるが、機械器具等に対する
補助は認められないようでございます。機械器具といっても、最近はレントゲンであるとか、相当多額なものがあるのであります。そういうものの
復旧には
補助がなくて、建物、わずか全体の
被害の二四%に対するものについてのみ
補助をいただいても、
災害の
復旧には非常にむずかしい事態が起こってくると
考えますので、単にそういう不動産のみならず、病院として必要な動産の
復旧にも御
援助願えないものかというのでございます。
八の御
説明は省略いたします。
第三、その他、一、
災害土木費
国庫負担金の
交付について。これは二十八災の概算
交付を願い、今回も概算
交付を願えるものと
考えておりますが、二十八災のときは約八〇%
程度のものが概算
交付されまして、あとは翌
年度においてこれを精算せられておるのであります。二〇%を地元におきまして
負担するといたしましても、
金額が大きい
ために、相当多額の
負担と相なるわけであります。ぜひとも早く
高率の概算
補助、できまするならば、全額をその
年度にいただけるように
お願いいたしたいという点が
一つであります。
それから、二は省略いたしまして、三の
災害事業費に充当する
起債についてであります。これは先ほどから
お願いいたしました、翌
年度以降につきましては、従来の例によりますと、農業、林業についての
災害復旧などが著しく
補助率が減る、
起債が減るようでございます。それで、当該
年度に劣らぬ
程度の
起債を
お願いできるように御
措置を願いたいという
考えであります。
以上、私は
本県の
災害の
復旧の概況と、今回御制定いただきました
特例法、あるいはこれが
施行についての私の県の
お願い、あるいは問題といたしておりますところを要約して申し上げたのであります。私は、今回の
災害につきまして、国をあげて御同情願ったことに対して深く感謝いたしますとともに、のど元過ぐれば熱さ忘れるで、当該
年度についてはいろいろ御
措置を願うけれ
ども、翌
年度以降について、あるいは竜頭蛇尾と申しますか、しり切れトンボと申しますか、そういうふうなことになりませんように、
政府並びに国会として格別の御考慮を願いたいという
お願いを持っておる次第でございます。御清聴を感謝いたします。