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横山委員 今の
辻原委員の質問に関連いたしまして、簡単に質問いたしたいと思いますが、私は現物と写真を持って参りました。これは南陽町の、今度決壊いたしました二十号や十六号などの決壊口の堤防の一部なんであります。この堤防は、手でこういうふうにぼろぼろ落ちるんです。こう割りますと——こういうものです。これはぜひ一つ大臣お二人、見て下さい。この場所です。
今、
辻原委員の御質問を聞いておりますと、
河川局長でありましたか、答弁をされました。それによりますと、
補助事業の報告は一千三十億であるが、従来の進捗率、査定等によって、約七百数十億とわれわれは考える、こういうお話がいとも率直に出ておるのであります。これは従来の経緯がどうであったか知りませんが、各県から、私のところはこれだけ
被害を受けましたといって千三十億の報告をいたしましたのが、従来からの経緯といって、いとも簡単に削られる。先般ここで私学の参考人が意見を述べて、まさに血色を変えて憤慨しておりましたことは、たとえば、
私立学校の
被害は六億である。きょうの報告を聞きますと七億になっておりますが、六億である。その六億に、文部省は七五%をかけ、さらにそれに、どういうわけだか知らぬけれども、七〇%をかけて、三億一千万円くらいになる。それに対して、今度は国庫が半分
補助をする。だから一億五千万円である。それを二年かかってくれるのであるから、本年は七千万円くらいである。七億の
被害に対してそれくらいの話であるといって、憤慨をしております。今度激甚地の問題がここで修正をされて、そして私ども大いに叫んだのでありますが、今農林大臣並びに建設大臣の話を聞きますと、あれを改正しても、
農地で二億、林道で一千二百万円でございます、こういうお話をいとも簡単におっしゃるのであります。これは大臣、どういう心境であるか知りませんけれども、私どもの感覚から遠いことおびただしいわけであります。今回の
伊勢湾台風の
災害というものは、日にちを経るに従って
被害額が増大して参ります。従来と異なるものであります。それに対して大蔵省なり、建設省なり、農林省が把握をいたし、大蔵省と交渉し、査定をいたした報告を受けましたが、その報告の
基礎にしておる数字は、今の御報告でも十月の十八日、最初の
基礎は十月の五日でございましたね。そういう途中の数字が使われておるということ、その途中の数字からさらに七五%、さらにまた、ある場合には七〇%というふうな査定があって、簡単にぶった切りが行なわれていること、さらにこれが現実の問題となっていきますれば、個々の
被害個所をあなた方視察に行って、さらに厳重な、言うならばどろぼう扱いにして、そして厳密な査定が行なわれることが想像されるのであります。私の想像に間違いがありましたならば、どうぞ一つ誠実に答えていただきたいのであります。そういうことがわれわれには展望されるわけであります。従いまして、そういうふうに切られて、詰まったお金で予定の仕事をやらなければいかぬ。それは十三号
台風のものでありますが、そういう状況のもとに、どうしてもこの堤防だけは一応格好をつけなければならぬということが、セメントの少ない、まるでたたけばすぐにこわれるような堤防を現出するおそれがあったのではないか、そういうきらいがあったのではないかと痛嘆せざるを得ない。今回は、そういう堤防の質の問題であるばかりでなく、写真でごらんになったように、表側の海に面しただけやったのではいけないんだという問題が起こりました。これはもう各位の御存じのことであります。低さについても問題がある。ところが、どんなに低かろうと、どんなに裏側がやってなかろうと、そういう
国民をきわめて愚弄した堤防の中身というものは、私は断じて許さるべきではないと思う。これを簡単に請負業者の
責任と帰するか、また県の
責任と帰するか、これは人によって議論がございましょうけれども、しかし、
予算を主張する立場にある人が、この地元の報告を、あれは水増しだとまずきめてかかって、いとも簡単に次から次へと査定していく、机上の査定を慣習上していくという態度に問題がありはしないかと私は痛感したのであります。
意見にはなりましたけれども、お二人の大臣にお伺いしたい点が三つございます。一つは、本
委員会でも
予算委員会でも問題になりましたが、一体十月五日なり十月十八日現在で報告を受けて、あとでそれがふえたとところで、わしゃ知らないということになるのか、
被害がふえた場合、あとの追加の額をまじめに受け取って下さる用意があるか。
第二番目には、査定の問題であります。慣習上、伝統上、従来の行きがかり上査定を画一的にきめるという態度については、この際お考え直しを願った方がいいのじゃなかろうか。現地を尊重して、査定をやっていくお気持はないのであるか。
第三番目には、私は落岩だと言っておりますが、そのような落岩の土へまた堤防を作るようなことでありましたならば、これは何としても国費の浪費であります。言葉の上でわれわれが原形
復旧とか、改良
復旧とか言っておりますが、目で見える改良
復旧よりも、ほんとうに魂のこもった改良
復旧をされなければならぬと思いますが、この点につきましても、農林省の作ったやつはどうとか、建設省の作ったやつはどうとか、同じ
政府でありながら堤防の格好が違うとか、いろいろ毀誉褒貶が現地に乱れ飛んでおりますが、今後改良
復旧の考え方についてどうであるか。あるいはもうだれかが聞いたことがあるかもしれません。しかし、その堤防、その落岩を見ながら、南陽町の人々は一カ月有半泥水の中におったわけであります。私が行きましたら、どうぞこれを持っていって大臣の目の前に置いて、この落岩はどうだえと、一つ名古屋弁でやってちょう、と切実な話を受けました。まさにそれは落岩であります。たたけばすぐにこわれるような堤防で、どんなに万里の長城を築きましても、これは
台風一過ということができると思います。
以上、三つの点について両大臣の誠意ある御答弁をお伺いいたしたいと思います。