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佐藤国務
大臣 激甚地
地域指定の基準について、御説明をいたしたいと思います。
激甚地
地域指定の問題は、今回の
災害対策の
特例法適用の基幹をなす問題でございますので、私
どもも、関係各省あるいはまた与党方面ともいろいろ協議もし、また、実情につきましても、十分調査を遂げて参った次第であります。そのために、大
へん御審議に支障を来たしましたことを、私自身遺憾に存じております。それにもかかわりませず、皆様方から十分御協力を賜わりまして、調査、協議に遺憾なきを期するだけの時間をお与えいただきましたことを、厚くお礼を申し上げます。つきましては、内容について御説明いたします。
公共土木
施設及び農林水産
施設の
災害特例法は、すでに
災害対策特別委員会において御審議を願っているところでありますが、これらの
特例法の適用
地域の指定基準につきましては、
予算編成当時から各省において慎重に検討をして参りました結果、次のような基本方針に基づいて決定することとし、大略の成案を得ましたので、御報告をいたします。すなわち、基本方針として、第一に、今次
災害の実情を見まするに、
公共土木
施設、農林水産
施設、公立文教
施設、その他各
施設ごとに
被害の態様及び
地域に相当の相違があることにかんがみまして、
地域指定の基準となる
被害程度測定の尺度として、第一に
公共土木
施設につきましては、
地方公共団体の税収入と
被害額とを比較して、その倍率による。いずれ後ほど詳しく説明いたしますが、この
考え方であります。
農地、農業用
施設につきましては、
被害農家一戸当たりの
被害金額、また林道につきましては、
被害林道の
延長当たりの
災害復旧工事費、これらをそれぞれ
考えまして、各
施設について、実情に即した合理的な尺度をとることといたしたのでございます。また、激甚な
被害を受けた
地域が
特例法の対象からはずれるということがないよう特に配慮を加え、たとえば、
公共土木
施設の府県工事につきまして、単純に県単位の適用を行なうことなく、県内の市町村の
地域にまで
考えを及ぼして、その
地域での
被害の
程度を測定して、府県工事の適用範囲を決定するとか、長期湛水
地域についても
特別の配慮を加える等の
措置をとっております。反面、事業主体である
地方公共団体等ごとにこれを見まして、全体として
被害の
程度の低いものは対象外とするなど、基準適用が乱に流れないよう配意いたした次第でございます。
それらの結果、具体的に決定いたしました基準について申し上げます。
まず第一は、
公共土木
施設、この
公共土木
施設のうち、府県工事について申し上げます。当該県の
災害復旧事業費——
災害復旧事業費と申しますのは、府県工事及びその府県内の直轄工事、これを合わせたものを当該県の
災害復旧事業費といたしまして、この
復旧事業費が当該県の標準税収入の〇・五倍をこえる県について、まずこれを一応の基準といたしまして、混合方式によって算定した町村の
被害、その町村内における府県工事ということにいたしたのでございます。さらに御説明をいたしますが、この〇・五倍をこえる府県、これを一応基準にとったのでございます。標準税収入の〇・五倍以下、これらの点についても十分めんどうを見ろという御意見があるかとも思いますが、いわゆる国庫負担法におきましては、〇・五倍以下の場合におきましては通常の
措置でまかなうようになっておりますので、今回の場合におきましても、各府県において、ただいま申し上げるように
災害復旧事業費と当該県の標準税収入、これを比べてみまして、〇・五倍以下の場合には
特例法を適用しない、〇・五倍以上の場合に
特例法を適用するという範囲をきめて参りたい、かような基本的な原則を
考えたわけであります。ところで、この〇・五倍以上になります県は、
愛知、岐阜、三重を初め、長野、山梨——北から申し上げますが、新潟、石川、福井、滋賀、奈良、和歌山、京都、鳥取、島根、徳島、長崎、ただいま一応この十六府県が〇・五倍以上の県、かように私
ども考えております。この十六府県が変わることはないと思いますが、今後私
どもさらに実情を精査いたしますと、この十六、府県があるいは一県
程度ふえることがあるかもわかりません。これはしばらくその実情調査に時間をかしていただきたい、かように
考えます。
そこで、この十六府県におきまして、混合方式により算定した
災害復旧事業費は、その府県内の当該市町村の区域における直轄工事費、府県工事費と市町村工事費の合算額であります。これらの府県内における市町村につきまして、その工事量を算定いたします場合に、当該市町村における直轄工事費、府県工事費、それから市町村工事費、この三つの合算額を当該市町村の
災害復旧事業費と見まして、この
災害復旧事業費が標準税収入——明確に申しますと、当該市町村の標準税収入と府県の標準税収入のうち、当該市町村に按分された額との合算額の一倍をこえる市町村の
地域、それと長期湛水
地域、これらの
地域の市町村における府県工事について、
特例法を適用するということにいたしたのであります。これが府県工事についての適用の範囲であります。
次は、市町村工事について申し上げます。当該市町村の
災害復旧事業費、かように申しますのは市町村工事費でございますが、この市町村工事費が当該市町村の標準税収入の一倍をこえる市町村の
地域——これは一対一の場合は当然でありますが、これは
特例法を適用する
考えでございます。
さらに、この一倍にはならない市町村でありましても、当該市町村の
災害復旧事業費が、当該市町村の標準税収入の〇・五倍以上になるものでありまして、混合方式により算定した
災害復旧事業費が標準税収入の一倍をこえる市町村の
地域、言いかえますと、市町村工事とその市町村の標準税収入を比べてみまして、一対一なら、もちろん
特例法を適用いたします。一対一にはならないが、この工事費が標準税収入の〇・五倍以上であるという場合におきましては、混合方式によってもう一度計算して一対一になれば、その町村に対しても
特例法を適用しようというのでございます。市町村の工事費がその市町村の標準税収入の〇・五倍に満たない町村を
被害激甚地に指定することは避けたい、かように
考えておるわけであります。また、長期湛水
地域の市町村、これにも
特例法を適用する
考えでございます。
次に、農林水産
施設について申し上げます。
農地、農業用
施設について申し上げます。市町村の
地域について、当該市町村の
地域内における
農地及び農業用
施設の
災害復旧事業費の総額を被災農家戸数で除した額、言いかえますと、被災一農家当たりの
災害復旧事業費でございますが、これが五万円をこえる市町村の
地域に対しては、
特例法を適用するということであります。それから長期湛水
地域の工事について
特例法を適用する、この二つでございます。だから、被災一農家当たりの
災害復旧事業費が五万円をこえる場合、並びに長期湛水
地域の工事について、
特例法を適用するのであります。
次は、林道でありますが、市町村の
地域について、当該市町村の
地域内における林道の
災害復旧事業費の総額を当該
災害復旧事業にかかる林道の総
延長で除した額が、メートル当たり四百円をこえる市町村の
地域の工事について、
特例法を適用するということでございます。
この
公共土木
施設、農林水産
施設のいずれについても同様でございますが、市町村と申しました場合、旧市町村の
地域による方が有利であるという場合には、これによることができる。御承知のように、町村合併が行なわれておりますから、これを新旧いずれの町村でも差しつかえない、かように
考えておるわけであります。
次に、
公共土木
施設、
農地、農業用
施設以外の
被害激甚地の指定基準につきましては、目下鋭意取りまとめつつあるところでありますが、この際、その
考え方について申し上げます。先ほど申し上げましたように、
公共土木
施設、
農地、農業用
施設についての
地域指定基準は、その
復旧事業の性質により差異があるわけでありますが、これと同様、その他の
災害の
復旧事業についての
地域指定基準も、おのおのその性質によって差異が生ずることと相なるわけでございます。
以上をもちまして説明を終わらしていただきます。