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1959-11-12 第33回国会 衆議院 災害地対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月十二日(木曜日)     午後二時四十五分開議  出席委員    委員長 南條 徳男君    理事 江崎 真澄君 理事 田村  元君    理事 綱島 正興君 理事 前尾繁三郎君    理事 三田村武夫君 理事 岡本 隆一君    理事 小林 正美君 理事 佐藤觀次郎君    理事 塚本 三郎君       今井  耕君    小川 平二君       大坪 保雄君    岡本  茂君       木村 俊夫君    小坂善太郎君       小島 徹三君    小林かなえ君       河野 孝子君    坂田 英一君       世耕 弘一君    田口長治郎君       田中 正巳君    辻  寛一君       徳安 實藏君    中垣 國男君       丹羽 兵助君    服部 安司君       坊  秀男君    堀内 一雄君       増田甲子七君    山手 滿男君       足鹿  覺君    伊藤よし子君       大野 幸一君    太田 一夫君       角屋堅次郎君    金丸 徳重君       田中幾三郎君    辻原 弘市君       堂森 芳夫君    中島  巖君       八木 一男君    加藤 鐐造君  出席国務大臣         国 務 大 臣 石原幹市郎君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁財政局         長)      奧野 誠亮君         厚生政務次官  内藤  隆君         農林政務次官  大野 市郎君         農林事務官         (農林経済局         長)      坂村 吉正君         農林事務官         (振興局長)  増田  盛君         林野庁長官   山崎  齋君         建設政務次官  大沢 雄一君         建設事務官         (計画局長)  關盛 吉雄君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君         建 設 技 官         (住宅局長)  稗田  治君  委員外出席者         議     員 角屋堅次郎君         議     員 小林 正美君         議     員 八木 一男君         厚生事務官         (社会局施設課         長)      瀬戸新太郎君     ————————————— 十一月十二日  委員小坂善太郎君及び中島巖辞任につき、そ  の補欠として渡海元三郎君及び八木一男君が議  長の指名で委員に選任された。 同日  理事角屋堅次郎君及び辻原弘市君同日理事辞任  につき、その補欠として小林正美君及び岡本隆  一君が理事に当選した。     ————————————— 十一月十一日  天災による被害農林漁業者等に対する資金の融  通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案  (角屋堅次郎君外十六名提出衆法第二号)  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定  措置に関する法律の一部を改正する法律案(角  屋堅次郎君外十六名提出衆法第三号)  農業協同組合整備特別措置法の一部を改正する  法律案角屋堅次郎外十六名提出衆法第四  号)  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(  角屋堅次郎君外十六名提出衆法第五号)  天災による被害中小企業者等に対する資金の融  通等に関する特別措置法案田中武夫君外十七  名提出衆法第六号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害により被害を受け生計困難  である者の生活保障に関する特別措置法案(  八木一男君外十九名提出衆法第七号)  昭和三十四年八月及び九月の風水害による任意  共済に係る保険金支払等にあてるための資金  の融通に関する特別措置法案内閣提出第二九  号) 同月十二日  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害による消費生活協同組合の協  同施設等災害復旧に関する特別措置法案(岡  本隆一君外十六名提出衆法第八号) 同月十日  七号台風による国道十九号線等の災害復旧改良  促進に関する請願松平忠久紹介)(第一九  一号)  七号台風による災害復旧に関する請願松平忠  久君紹介)(第一九二号)  七号台風による小災害復旧に対する国庫助成  等諸対策促進に関する請願松平忠久君紹  介)(第一九三号)  緊急砂防事業及び治山事業促進のための特別行  政措置に関する請願羽田武嗣郎紹介)(第  二二七号)  同(松平忠久紹介)(第二二八号)  宇治川右岸築堤促進に関する請願岡本隆一君  紹介)(第二三二号)  渥美半島沿岸防災事業に関する請願穗積七  郎君紹介)(第二三五号)  十五号台風による被災者救援に関する請願(穗  積七郎紹介)(第二三六号)  同(赤路友藏紹介)(第二七八号)  同(淡谷悠藏紹介)(第二七九号)  同(太田一夫紹介)(第二八〇号)  同(勝澤芳雄紹介)(第二八一号)  同(川村継義紹介)(第二八二号)  同(久保田鶴松紹介)(第二八三号)  同(栗原俊夫紹介)(第二八四号)  同(五島虎雄紹介)(第二八五号)  同外一件(佐藤觀次郎紹介)(第二八六号)  同(多賀谷真稔紹介)(第二八七号)  同(滝井義高紹介)(第二八八号)  同(原彪紹介)(第二八九号)  同(矢尾喜三郎紹介)(第二九〇号)  同(八木一男紹介)(第二九一号)  同(山下榮二紹介)(第二九二号)  同(山本幸一紹介)(第二九三号)  同(横山利秋紹介)(第二九四号)  台風等による被災者に対する租税の減免措置に  関する請願羽田武嗣郎紹介)(第二三七  号)  同(松平忠久紹介)(第二三八号)  台風による被災開拓者特別対策樹立に関する  請願中澤茂一紹介)(第二三九号)  同(羽田武嗣郎紹介)(弟二四〇号)  同(原茂紹介)(第二四一号)  同(松平忠久紹介)(第二四二号)  台風等による果樹園芸災害対策に関する請願  (中澤茂一紹介)(第二四三号)  同(羽田武嗣郎紹介)(弟二四四号)  同(原茂紹介)(第二四五号)  同(松平忠久紹介)(第二四六号)  十五号台風による災害救助のための国有林材の  特別払下げに関する請願中澤茂一紹介)(  第二四七号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第二四八号)  同(原茂紹介)(第二四九号)  同(松平忠久紹介)(第二五〇号)  八、九月の台風による災害住宅復旧に関する  請願羽田武嗣郎紹介)(第二五一号)  同(松平忠久紹介)(第二五二号)  七号台風による災害市町村復旧用諸機械の購  入費補助に関する請願羽田武嗣郎紹介)(  第二五三号)  同(松平忠久紹介)(第二五四号)  七号台風による葉たばこ耕作者被害援助に関  する請願松平忠久紹介)(第二五五号)  七号台風による学校施設災害復旧に関する請  願(松平忠久紹介)(第二五六号)  七号台風による被災中小企業者に対する資金融  通等に関する請願松平忠久郎紹介)(第二五  七号)  旧利根川沿岸堤防改築に関する請願(久保三  郎君紹介)(第二七五号)  十五号台風による東三河地方災害復旧に関す  る請願外一件(鈴木正吾紹介)(第二七七  号)  十四号台風による被害農地除塩事業国庫補助  に関する請願大坪保雄君外四名紹介)(第三  六五号)  十五号台風による兵庫県下の災害復旧に関する  請願五島虎雄紹介)(第三六六号)  十五号台風による日野川堤防災害復旧等に関  する請願西村関一紹介)(第三六七号) は本委員会付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  昭和三十四年九月の暴風雨により塩害を受けた  農地除塩事業助成に関する特別措置法案(  内閣提出第二号)昭和三十四年七月及び八月の  豪雨、同年八月及び九月の暴風雨又は同年九月  の降ひょうによる被害農家に対する米穀の売渡  の特例に関する法律案内閣提出第三号)  昭和三十四年九月の風水害を受けた漁業者の共  同利用に供する小型漁船の建造に関する特別  措置法案内閣提出第四号)  昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月  の風水害を受けた中小企業者に対する国有の機  械等の売払等に関する特別措置法案内閣提出  第七号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた地域における公衆衛  生の保持に関する特別措置法案内閣提出第八  号)  昭和三十四年八月及び九月の風水害を受けた社  会福祉事業施設災害復旧費に関する特別措置  法案内閣提出第九号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた都道府県災害救助  費に関する特別措置法案内閣提出第一〇号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた者に対する母子福祉  資金貸付に関する特別措置法案内閣提出第  一一号)  中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一二号)  昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月  の風水害を受けた中小企業者に対する資金の融  通等に関する特別措置法案内閣提出第一三  号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた地域における失業対  策事業に関する特別措置法案内閣提出第一四  号)  昭和三十四年七月及び八月の水害並びに同年八  月及び九月の風水害に関する失業保険特例法案  (内閣提出第一五号)  昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月  の風水害に伴う公営住宅特例等に関する法律  案(内閣提出第一六号)  昭和三十四年台風第十五号により災害を受けた  伊勢湾等に面する地域における高潮対策事業に  関する特別措置法案内閣提出第一七号)  天災による被害農林漁業者等に対する資金の融  通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一九号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた地方公共団体の起債  の特例等に関する法律案内閣提出第二〇号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた市町村職員共済組合  の組合員に支給する災害見舞金の額の特例に関  する法律案内閣提出第二一号)  昭和三十四年八月及び九月の暴風雨による堆(  たい)積土砂及び湛(たん)水の排除に関する  特別措置法案内閣提出第二二号)  昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月  の風水害を受けた公立の学校等建物等災害  復旧に関する特別措置法案内閣提出第二三  号)  昭和三十四年八月及び九月の風水害を受けた私  立学校施設災害復旧に関する特別措置法案(  内閣提出第二四号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害に際し災害救助法適用され  た地域における国民健康保険事業に対する補助  に関する特別措置法案内閣提出第二五号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた農林水産業施設の災  害復旧事業等に関する特別措置法案内閣提出  第二六号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた公共土木施設等の災  害復旧等に関する特別措置法案内閣提出第二  七号)  昭和三十四年八月及び九月の風水害による任意  共済に係る保険金支払等にあてるための資金  の融通に関する特別措置法案内閣提出第二九  号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害により被害を受けた者の援護  に関する特別措置法案伊藤よし子君外十四名  提出衆法第一号)  天災による被害農林漁業者等に対する資金の融  通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案  (角屋堅次郎君外十六名提出衆法第二号)  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定  措置に関する法律の一部を改正する法律案(角  屋堅次郎君外十六名提出衆法第三号)  農業協同組合整備特別措置法の一部を改正する  法律案角屋堅次郎君外十六名提出衆法第四  号)  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(  角屋堅次郎君外十六名提出衆法第五号)  天災による被害中小企業者等に対する資金の融  通等に関する特別措置法案田中武夫君外十七  名提出衆法第六号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害により被害を受け生計困難  である者の生活保障に関する特別措置法案(  八木一男君外十九名提出衆法第七号)      ————◇—————
  2. 南條徳男

    南條委員長 これより会議を開きます。  この際、お諮りいたします。理事角屋堅次郎君及び辻原弘市君より、それぞれ理事辞任いたしたい旨の申し出がございます。これを許可するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 南條徳男

    南條委員長 御異議なしと認めます。  つきましては、その補欠を互選いたしたいと思いますが、これは委員長において指名することにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 南條徳男

    南條委員長 御異議なしと認めまして、小林正美君及び岡本隆一君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  5. 南條徳男

    南條委員長 昨十一日付託になりました、内閣提出の、昭和三十四年八月及び九月の風水害による任意共済に係る保険金支払等にあてるための資金融通に関する特別措置法案議題とし、審議に入ります。     —————————————     —————————————
  6. 南條徳男

    南條委員長 まず、本案趣旨について政府説明を求めます。大野農林政務次官
  7. 大野市郎

    大野政府委員 昭和三十四年八月及び九月の風水害による任意共済に係る保険金支払等にあてるための資金融通に関する特別措置法案につきまして、その提案理由の御説明を申し上げます。  今回の第七号台風伊勢湾台風等によりまして、農家建物に甚大な損害をこうむりましたので、農業共済組合連合会建物共済にかかわる保険金支払い等も相当な額に上っており、ごとに愛知、三重、岐阜、山梨、群馬の五県の連合会は、手持ちの資金のみでは保険金支払い等困難状況であります。  政府といたしましては、この事業任意共済であります建前から、できる限りみずからの努力により対処するよう指導いたしたのでありますが、自主的な解決はきわめて困難実情でありますので、被災農家にできるだけすみやかに共済金支払いを行なうために、保険金支払い等に充てるための資金融通する特別措置を講ずる必要が生じて参ったのであります。  この融資につきましては、農業共済基金は、その資本金の半額である十五億円が同基金会員である農業共済組合連合会の出資によるものであることにかんがみ、臨時応急措置として、同基金から行なわしめることといたした次第であります。しかしながら、農業共済基金法によりますと、農業共済基金農作物蚕繭家畜必須共済にかかわる保険金支払いに関して、会員である農業共済組合連合会が必要とする資金以外の資金貸付ができないことになっておりますので、任意共済にかかわるものについては、特別法により農業共済基金の業務に特例を設ける必要があるわけであります。これがこの法律案提出した理由であります。  次に、この法律案内容といたしましては、今年八月及び九月の風水害を受けた建物についての任意共済にかかわる保険金支払い等に要する資金に限り、特に農業共済基金から貸付を行なうことができるものとするとともに、この場合、対象となる農業共済組合連合会被害状況資金需要等を勘案して農林大臣指定することとし、さらに、この資金貸付を受けた農業共済組合連合会は、借り入れの目的外にこれを流用してはならないことを規定するものであります。  以上がこの法律案の概要であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願い申し上げます。      ————◇—————
  8. 南條徳男

    南條委員長 次に、昨十一日付託になりました、角屋堅次郎君外十六名提出天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案農業協同組合整備特別措置法の一部を改正する法律案農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案田中武夫君外十七名提出天災による被害中小企業者等に対する資金融通等に関する特別措置法案、及び八木一男君外十九名提出昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害により被害を受け生計困難である者の生活保障に関する特別措置法案、右六案を一括議題とし、審査に入ります。     —————————————
  9. 南條徳男

    南條委員長 まず、各案の趣旨について、順次提出者説明を求めます。角屋堅次郎君。
  10. 角屋堅次郎

    角屋議員 天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案提案理由について御説明申し上げます。  この改正法律案内容のおもなる点を要約いたしますと、次の点にまとめることができます。  第一点は、被害農業者の定義に関する問題であります。現在、経営資金を借り入れることのできる被害農業者及び告別被害農業者は、農作物または繭について被害を受けた者に限られております関係上、家畜または家禽を飼養している農家被害を受け、畜産物による収入が減少した場合にも、これは被害額及び損失額に算入されないことになっております。このため、本法趣旨を実現する上に著しい不均衡を生ずる場合があり、この不心理是正必要性は従来も痛感されてきたところであります。そこへこのたび本年度の相次ぐ風水害が発生し、これによる家畜家禽飼養農家被害はきわめて甚大でありましたので、どうしてもこの点を是正することが必要となりました。そこで、新たに畜産物被害被害額及び損失額に算入することに改めた次第であります。  第二点は、経営資金使途に関する改正であります。第一点の改正に伴い、経営資金使途についても、従来の規定に加えて、家畜または家禽購入資金を加えることといたしました。また、漁業経営者が、被害復旧とあわせて、無動力船動力化等近代化を保進するため、小型漁船政令で定める」の購入資金も加えることといたしました。  第三点は、融資限度額の問題であります。最近は、農林漁業経営の技術、施設等近代化が著しく、現行経営資金限度額では実情に適さなくなっております。そこで、これを農林漁業経営実態に即して引き上げることが必要であります。本案におきましては、一段の農業者を従来の十五万円から三十万円に改め、また、養畜業者ウナギ養殖業者または真珠養殖業者は六十万円に、政令で定めるその他の水産動植物養殖業者は四十万円といたしました。被害農業者果樹を栽培し、あるいは家畜を所有している場合は、三十万円に十万円を加えて四十万円と  いたしました。漁具購入資金については、第二点の小型漁船購入資金も含めて従来通り一千万円で十分と考え、これはこのままといたしました。  第四点は、償還期限利率等償還条件に関する問題であります。現行法では、償還期限は五年以内となっておりますが、これでは災害による被害から経営を立ち直らせる時間と比較して不十分と思われますので、据え置き三年以内を含めて八年以内と改めました。また、利率についても、被害農林漁業者利子負担を軽くしてその経営の回復を促進するため、開拓者の年五分五厘を年四分五厘に、一般の年六分五厘を五分五厘に改めることといたしました。  第五点は、本法に基づく融資利子補給及び損失補償に要する経費国庫補助の問題であります。現行法では、本法に基づく融資については、その利子補給及び損失補償市町村が行ない、その経費の一部を都道府県補助する場合、国は都道府県に対してその所要経費の全部または一部を補助することができることとなっております。つまり、利子補給損失補償に、要する経費の一部は必ず関係市町村財政負担となるわけでありまして、このため、市町村等本法による融資手続促進について消極的となる等の現象も見られます。そこで、市町村が行なう利子補給損失補償経費の全部または一部を都道府県補助し、その経費の全部または一部を国が補助することと改めました。  以上が、この法律案提案いたす理由であります。どうか慎重御審議の上、すみやかに御可決決定されるようお願い申し上げます。  次に、農林水産事業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案提案理由とその要旨を御説明申し上げます。  本年七月、八月及び九月相次いで来襲しました台風または集中豪雨による被害は、台風第十五号を頂点として未曽有の大規模に上り、政府の発表による七月以降台風第十五号までの農地農林水産業施設被害総額だけを取り上げてみても七百九十八億の膨大な額に達し、これが災害復旧に抜本的な対策を必要とすることは、けだし当然のことであります。本改正法案は、かかる深刻、かつ、壊滅的な被害実態にかんがみ、積極的なる改良復旧による再度災害の防止、高率補助適用農地等災害復旧事業対象実情に即する範囲拡大等について所要改正を行ない、もって農山漁村における災害復旧の根幹をなす農林水産業施設災害復旧について万全を期した次第であります。以上が本改正法案提案理由であります。  次に、本改正法案内容要旨につきまして御説明申し上げます。  第一は、農林水産業施設災害復旧にあたり、現行法原形復旧主義を改め、積極的に改良復旧を行ない、再度災害を防止すべきであるとの論は、今や世論の常識であります。従いまして、その趣旨に基づく所要改正を行ない、当該施設の再度災害を防止するのに必要な程度まで、当該施設災害にかかった箇所及びこれに接続する個所または当該施設と密接な関連を有する他の施設の新設または改良目的とする事業災害復旧事業とみなし、積極的に改良復旧を行なうことといたしたのであります。また一個所の工事の取り扱いについて、五十メートルという距離の基準がありますが、これを百メートルに緩和し、災害復旧事業の充実をはかることといたしております。  第二は、農地の中に採算放牧地またはワサビの育成の用に供される土地を、農業用施設の中に牧道を加え、また共同利用施設の中に農業協同組合等の所有する事務所を追加し、同時に、政令で定める農林水産業者の組織する団体共同利用施設適用範囲とするよう改正し、かつ、共同利用施設の通常の補助率十分の二を十分の五に引き上げる等、適用範囲拡大補助率の引き上げを行なうことといたしております。  第三は、附則をもって本年度七月、八月及び九月の大水害または風水害による農地等災害復・旧事業事業費に対する補助率は、政令指定する地域については、昭和二十八年災害以上の特別措置をとる建前をもって十分の九・五とし、特に干拓地における農地等災害復旧事業については全額国庫負担として、被害激甚地における災害復旧に画期的なる国の補助助成を行なうことといたしたのであります。被害の著しいところの指定については、昭和二十八年災害政令指定を参考として、これに準じた基準を設ける予定であります。  第四は、前項と同じ本年度災害復旧事業の場合、開拓地における農舎及び畜舎、水産動植物養殖施設は、従来の例にならい共同利用施設とみなして措置するとともに、新たに漁業者の所有する小型漁船(総トン数十トン未満)をも含め、小型漁船の建造または収得について国の補助助成の道を開くことといたしたのであります。小型漁船の建造または取得に関する政令指定する地域については、できる限り条件を緩和し、零細沿岸漁民の基本的なる生産手段の充足に十分配慮する考えであります。  以上が農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、農業協同組合整備特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  農業協同組合は、農業生産力の増進と農民の経済的、社会的地位の向上をはかり、あわせて国民経済の発展を期することを目的として組織された農民の協同組織であり、その健全なる発展は、農業経営の安定と、農業の発展に資するところきわめて甚大であります。そのため、事業不振に陥った組合に対しては、さきに昭和三十一年、農業協同組合整備特別措置法が施行せられ、整備計画を立て、これに基づいて自主的に整備を行なう農業協同組合に対し、国及び都道府県助成を行なう等の措置を講じ、もって農業協同組合の整備促進をはかってきております。  しかるに、このたびの昭和三十四年七月、八月及び九月の豪雨または暴風雨により、著しい被害を受けた地域内の農業協同組合は、災害の影響によって事業の継続に著しい支障を来たしている組合が多いにもかかわらず、この法律による整備計画指定の期限が、昭和三十四年三月三十一日までとなっているため、この法律適用を受けることができず、また、すでに法律適用を受けている組合にあっても、災害の影響により、事業の継続に再び甚大な支障を来たし、法律に定められた五カ年の期限内に整備計画を完了することがきわめて困難な状態に置かれており、ともに組合員の中に多数の災害被害農家をかかえたまま経営の不振にあえいでおります。  そこで、災害により事業不振に陥った組合に対し、新たに農業協同組合整備特別措置法適用を受けられるようにするため、指定期間を二カ年延長し、昭和三十六年三月三十一日までとするとともに、すでに適用を受けている組合であって、災害により整備計画の遂行に著しい支障を来たした組合に対しては、整備計画完了の期間を三カ年延長し、計画期間を八カ年とし、また、この組合が合併によって解散した場合、合併後成立または存続する組合の整備計画別間も、同様に八カ年とする等の措置を講じ、もって、災害により事業不振となった農業協同組合を整備し、その発展をはかることが必要で百あると考え、ここに本法案を御提案申し上げる次第であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願い申し上げます。  次に、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案提案理由について御説明申し上げます。  農林漁業金融公庫は、農林漁業者の経営を発展させるために必要な長期低利の資金を供給する機関であり、その融資農林漁業経営者のひとしく望むところであります。特に、天災によって被害を受けた農林漁業者に対しては、天災融資法による経営資金融資の道は開かれておりますが、施設関係被害回復をはかるには、公庫による長期低利の資金を待たなければなりません。ところが、公庫の原資の構成を見ると、政府資金のほか、資金運用部等よりの借入金に依存する程度が大きく、そのため、公庫融資資金コストが高いという現状を指摘せざるを得ません。  そこで、このたび、政府資金を八十億円増額し、もって公庫原資の絶対額をふやすとともに、資金コストを引き下げ、もって災害関係融資利率を原則として一分引き下げることが必要であると考え、本法律案を御提案申し上げる次第であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決決定あらんことをお願い申し上げます。
  11. 南條徳男

    南條委員長 次は、小林正美君。
  12. 小林正美

    小林(正)議員 ただいま議題となりました天災による被害中小企業者等に対する資金融通等に閲する特別措置法案につきまして、日本社会党を代表し、その提案理由について御説明申し上げます。  過般の十五号台風を初めとする災害が日本産業に及ぼす影響は、実に憂慮すべきものがあります。特にその商工災害はほぼ一千億円に達し、そのうち、中小企業関係災害は八割五分を占め、八百億円を突破しておるような状態であります。  わが国は、毎年台風に見舞われ、その間たびたび大災害を引き起こしているのでありますが。政府はこれに対し、恒久的な対策に欠如し、そのつど、こうやくばりの措置を講じておるといわなければならぬのであります。この際、かかる天災に対し、抜本的、恒久的対策の樹立が切望される次第であります。この観点に立って、天災により常に致命的な打撃を受ける中小企業者に対し、事業復旧促進し、さらに、その経営を安定せしめるために、本法案を恒久立法として制定する必要を痛感するものであります。  次に、本法案内容の概要を御説明いたします。  まず、第一に、本法案は恒久立法として、あらゆる天災から中小企業を守るという立場に立っておりますので、今回の台風に限らず、暴風雨豪雨、地震、暴風波、高湖等、異常な天然現象による損害を一切含め、天災による被害発生と同じに、自動的に発動せしめることといたしたのであります。  第二に、中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工中金の政府関係金融機関は、被害中小企業者に対しては百五十万円、被害中小企業の団体に対しては一千万円に達する金額まで、三年間年六分五厘の特別金利を適用し、商工中金に対しては、国が必要な利子補給を行なうことといたしたのであります。  第三は、被害中小企業者のうち、特にいわゆる勤労性事業を行なうもの、すなわち、工業等にあっては常時使用する従業員の数が五人以下、商業またはサービス業を主たる事業とする事業者については二人以下の小規模事業者に対しては、被害小企業者等一人につき二十万円に達するまでの額について、償還期限を六カ月以上三年以内とし、年三分五厘の特別金利を適用することといたしたのであります。この被害小企業者等に対する復旧事業資金貸付は、都道府県と契約する各種金融機関が行なうものとし、国は、年七分五厘の範囲内で利子補給の全額を負担するものとしたのであります。  第四は、融資保険並びに保証保険に特例を設け、それぞれの保険価格を引き上げ、かつ、保険料の額を一挙五〇%引き下げることとし、そのうち、保証保険については、その填補率を百分の九十に引き上げることといたしているのであります。なお、これらの措置によって予想される信用保険公庫の損失に対しては、国が補てんすることと相なるのであります。  第五は、中小企業振興資金助成法の償還期間を三年に延長するとともに、同法に基づく貸付災害時に関しても適用せしめることとし、国は、都道府県事業協同組合等の災害復旧事業に要する経費の四分の三以内の補助を下る場合において、その補助に要する経費の三分の二に相当する金額を、都道府県に対して補助を行なうものといたしたのであります。  以上が本法案提出理由並びにその内容の概要であります。何とぞ、慎重御審議の上、本法案のすみやかな成立のため、御賛同あらんことをお願い申し上げまして、説明を終わります。
  13. 南條徳男

    南條委員長 次は、八木一男君。
  14. 八木一男

    八木一男)議員 私は、日本社会党を代表して、わが党提出の、昭和三十四年七月及び八月の水害または同年八月及び九月の風水害により被害を受け生計困難である者の生活保障に関する特別措置法案に関し、提案理由及び内容のおもな点を御説明申し上げるものであります。  申すまでもなく、去る九月に東海地方を襲って数千名の尊い人命を奪った第十五号台風被害は、戦後最大のものであり、あらためて台風による災害の常襲地帯であるわが国の実情というものを深く考えさせられたわけであります。本年七月より九月までの台風及び集中豪雨災害は、被災世帯実に四十万をこえ、被災者総数約二百万に達したわけでありますが、これらの被害を顧みますと、災害というものが実は人災であり、しかもその責任のほとんどすべてが国にあることを痛感せざるを得ない状態にございます。われわれは、一日の遅滞もなく治山治水、防潮、気象観測、緊急救助措置等に完全な対策を実施し、今後の災害絶滅を期さなければなりませんが、それとともに、被災者対策はあらゆる面において万全の対策を実施し、災害を防止し得なかった国の無責任の償いとしなければならないと考えます。  従来、災害時においてはさまざまな特別立法措置がなされて参りましたが、その特別立法は公共的施設復旧を主眼とし、生活保障をして民生の安定をはかろうとするものがほとんど見られなかったことは、過去の政治の大きな欠陥でございます。今次の激甚な災害にあたって被災者の最もなまなましい声は、低地における締め切り排水、山地における交通路開通の問題とともに、これからどうして暮らしていくか、政府に何とかしてもらいたいという生活保障の問題でございます。  日本社会党は、この意味におきまして、今臨時国会において被災者の援護に関する特別措置法案提案いたしておるわけでございますが、本法案は、これと渾然一体をなすものでございます。すなわち、被災者援護法案にいう見舞金、貸付金等の措置とともに、本法案によって、被災者生活の最低限度の底上げを行ない、生活保障の完全を期そうとするわけであります。  われわれは、わが党提出被災者援護法案を本国会に提出して、その法案特別立法中最も当を得た重要な法案であると確信するものでございます。しかし、被災世帯が扶養家族が非常に多いとか、あるいは当座の生活のつなぎとする資産がほとんどない場合、被災者援護法案措置だけでは必ずしも十分ではございません。このような状態に対処するものといたしまして、現在、生活保護法によって、最低生活の維持に関しては国の責任による扶助が行なわれる建前になっておるのでございますが、同法第四条第一項に基づきまして、あらゆる資産、能力を活用するいわゆる保護補足性のきわめて苛酷な原理で貫かれております。従って、農地の冠水、山林の風倒等によって財産の経済価値が著しく減少したり、あるいは換金不可能の状態になった場合、たとい被災地帯が生活困難を来たしても、財産があるという理由で保護法の適用は受けられない状態にございます。もちろん、第四条第三項によりまして、急迫時の例外規定があり、行政運用の幅は広いはずでございますが、現実にはなかなか適用されておらないのでございます。また、扶養義務者の扶養義務を規定した同法第四条第二項に関連するものでございますが、たとえば名古屋で被災して生活困難の状態の人が生活保護を受けたいと申し出ましても、東京で兄さんがいる場合は、その人の扶養を受けなければならないことになっております。東京の兄さんが弟一家の貧困を初めから想像しておりましたならば、扶養の義務を果たす準備をしておるでありましょうが、突然の災害でそのような状態に立ち至ったときは、扶養義務を果たす精神的、物質的準備がないために、兄一家自体の生活の切りかえが困難でございます。従って、被災者は当分の間実際に扶養を受けることができないのにかかわらず、一方、生活保護の扶助も受けられないということになり、その生活は全く救われないことになるわけであります。  以上のような生活保護法の欠陥を埋めるために本法案提出したわけでございまして、被災者援護法案と相待って被災者生活保障を期したいというのが、本法案提出理由でございます。次にその内容の大綱を御説明申し上げます。  第一に、本法案は、現行生活保護法とはあくまで別の建前といたしまして、生活保障という見地からする特別措置法案といたしたわけであります。  第二に、生活保障に関し特別措置を講ずる対象でございますが、これは風水害によって被害を受けそのため生計困難になったものにとどまらず、被害地域にあって災害により生活困難を来たしたものも含むことにいたしたわけであります。  第三に、生計困難であるかどうかを判定するにあたりましては、水害等によって経済的価値が著しく減少していると認められるものは参酌しない、すなわち、災害により減価した財産を、一時的に財産とみなさないということにいたしました。  第四に、保護のための金品支給の水準は、現行生活保護法によるものを下回らないことにいたしました。  第五に、費用の負担でございますが、保護を受けた者に対して扶養の義務を履行しなければならない者の範囲を、保護を受けた者と同一の世帯に属するその者の配偶者及び一親等の親族に限るごとにいたしました。  第六に、国の負担は、都道府県または市町村が前条の規定により支弁した費用の百分の九十五にいたしまして、自治体負担を軽減することにいたしました。  第七に、この措置の期間は、法律施行後八カ月間に限りました。  最後に、本法案施行に要する費用は、約二十一億円でございます。  以上で、本法案の大綱の説明を終わります。災害によりまして生活に困窮しておられる方々の実情をどうか委員各位には十分に御理解の上、国政の責任を御痛感願いまして、本法案を十分に御審議の上、すみやかに満場一致御可決下さらんことを心からお願い申し上げる次第でございます。(拍手)      ————◇—————
  15. 南條徳男

    南條委員長 引き続き、これより、内閣提出の、昭和三十四年九月の暴風雨により塩害を受けた農地除塩事業助成に関する特別措置法案外二十三件、及び、伊藤よし子君外十四名提出昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害により被害を受けた者の援護に関する特別措置法案外六件、以上の法案を一括して議題といたし、質疑を行ないます。質疑の通告がありますから、順次発言を許します。金丸徳重君。
  16. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 今回の災害が、七月から八月、九月と長きにわたりまして、ほとんど全国にわたり、山の上から海の岸まで痛めつけられた形がございまして、また、被害の程度も未曽有とまでいわれているくらいでありましたゆえに、その被害に対する国情は、全国、いな、全世界から集まっておるのであります。それにつきまして、厚生省でありますか、同情物資がどの程度に今日まで寄せられておりまするか、また、今後どの程度にまで寄せられるお見込みでありますか。これはひとり厚生省が関係なさっておられるばかりでなしに、各機関において、それぞれ民間あるいは公的機関においてやられておりますので、それらをも集めた数字などが御報告願えれば大へんしあわせであります。と申しますのは、これらの配分につきまして、地方におきましては、何か釈然としないもの、あるいは心配を持っておるものもありまするので、この辺で、その間の事情、配給といいますか、配分の方針、実態など明らかにしておく必要がありはしないか、かように思いますので、まず初めにこの点をお伺いしたいと思います。
  17. 内藤隆

    ○内藤(隆)政府委員 お答えいたします。伊勢湾台風罹災者に対する義援物資につきましては、国内はもちろん、海外各方面からも多数の寄贈を得ておりまして、深く謝意を表する次第でございます。国内における義援物資につきましては、各界、各種団体等からも多量の寄贈を受けておるところでありますが、そのうち、日本赤十字社及び共同募金会に寄託されました分だけを見ましても、十月末現在で九万八千八十七こおり、八百四十五万三千点余に上っておるのであります。このほか、国外からはタイ、ベトナム、中国、米国の諸国、及び市日米軍、アメリカ宗教三団体から、米二百トン、小麦粉四百三十一万ポンド、ミルク十九万ポンド、ビタミン百六十六万錠、衣料七万四千点等の寄贈を受けましたほか、カナダ国からはカン詰十万ポンドの寄贈の申し込みを受けておるのであります。これらの物資につきましては、災害の程度に応じましてそれぞれ罹災県に配分をいたしております。また、罹災県における受け入れ及び配分の状況等につきましては、目下その詳細を調査しておりまするので、調査完了の上にこの数字を御発表したい、かように思っております。
  18. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 多量な物資が寄せられましたことにつきましては、被害者はもとより、国民一般といたしましても感謝いたしておるところであろうと察するのでありまするが、つきましては、それらの多量な金品を、いかなるものさしと申しまするか、いかなる方針によって現地罹災者の方へ配分なさっておられまするか、それらのことにつきまして、できるだけ詳細にお伺いできればありがたいと思います。
  19. 瀬戸新太郎

    ○瀬戸説明員 現金品の配分につきましては、従来から採用しておりますところの、被害の程度に比例した比率を算定いたしまして、それに基づいて配分をいたしております。これは各県に対する集荷の配分の基準でございます。さらに、これにつきましては、あとから具体的な数字を申し上げたいと思います。さらに各県が市町村への配分につきましても、同様の趣旨に基づいて配分をいたすよう指導をいたしておる次第でございます。中央から各県に配分いたします基準は、死亡、行方不明、全壊、流失、このそれぞれの数を一という算定をいたします。半壊につきましては、一戸二分の一の算定をいたします。床上浸水につきましては、十分の一の割合で算定をいたしました数を、それぞれ県ごとにはじきまして、全体といたしましては北海道外二十一県になっておりますが、この全体を一〇〇といたしまして、それぞれの比率を算定いたしておるわけであります。その結果、一番高いところでは愛知県の五八・八、一番低いところでは北海道、青森、高知、富山の〇・一でございます。このような基準で実施をいたしております。
  20. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 大へん公平な配分の方法をとっておられるようでありますから、よもや、行き渡らないというようなことのために、地方で不平、不満もしくは疑惑を抱くというようなことは万あるまいとは思いまするけれども、山村の方で私どもが耳にいたすところによりますと、まだそういう寄付物品の配分を受けておらぬとか、あるいは金品のくる気配もないというようなことをちょいちょい耳にいたすのであります。私は、あるいはこういうようなことが考えられるのではないかと、これは自分でひそかに心配いたしたのでありますが、大きく世間に伝えられているところの災害につきましては、これはもとよりたくさんな人々がそれに目をつけ、それに進んで送るというようなこともありましょうからして、自然にたくさん、あるいはまた、すみやかに行き渡ることもあるでありましょう。しかしながら、飛び離れたところの山村、離島その他というようなところにおいては、数も少ないというようなことで、人の目にもつかない、人のうわさにも話にも乗らないということから、取り残されておりはしないか、忘れられておりはしないかというような心配を私自身も持つのでありまするが、現地の人にとりましては、よけいそれが心配になるようであります。そういうようなことについては、万遺憾なきを期して厚生省としてもそれぞれ措置されておられると思いますが、その辺はいかがでありますか。
  21. 内藤隆

    ○内藤(隆)政府委員 仰せの通り、災害が勃発いたしました当初は、交通の関係あるいは物資輸送の機関等が全く壊滅しておりまして、また、通信等がこれまた災害にあっておりまして、その遠隔の地あるいは山村僻陬のところは状況がつぶさにわからなかったような場合もございます。従って、今仰せのような懸念も当初はございましたけれども、漸次輸送機関あるいは通信等が完備するに至りまして、さような懸念はだんだんなくなって、今日では公平にそれが行なわれておる、私はかように思っております。さらに、私は中部日本災害対策副本部長として、現地へ四回も上空からも参って、配給の実情等をつぶさに見て参りました。だんだんとさような懸念がない配分の状況であるということを、私は実際において見て参ったような次第でございます。
  22. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 新聞社あるいは放送協会その他の機関で集められておるところの同情物資、金品というようなものにつきましては、どういうことで調整なさっておられまするか、それぞれの機関がそれぞれ勝手な方法で——勝手と申してはいけませんが、それぞれの判断に基づいて、現地の方へ直送なさる、現地では、中央において一応のものさしで送ってきたものに加えて、それを配分しておるようなことでありましょうか、それとも全体を調整しておられるのでありましょうか。また、調整しておりますれば、それはどういう方法で調整されていますか、承りたいと存じます。
  23. 内藤隆

    ○内藤(隆)政府委員 義援物資は、新聞社あるいは放送関係、その他団体によったのは、直接に現地へ送ったものもございます。あるいは個々の方法によって送っておることは事実でございますが、しかし、地元に参りますると、本省の指示したような配分の仕方でやっておるのでございます。
  24. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 地元へ行くまでは、全体としての調整がとれていないやの心配を実は持たなければならないのであります。そこで、政務次官も今口になさったのですけれども、中部日本災害対策本部というものができて、それにつきましては非常な力が入っておるのでありますが、たとえば七号台風などにつきましては、とかくどうも十五号台風の大きな陰に隠れてしまって、世間の目も向きかねたということであります。これはやむを得ないこととは思いまするけれども、しかし、罹災者の立場からいたしますると、やはり同様に見てもらいたいのであります。同じような程度の被害を受けておりますれば、同じように義援物資を受けたいのは、これは当然のことにも思われるのであります。そこで、各機関全部調整するのはなかなか容易のことではないと思いまするけれども、やはりそういうふうな配慮をしていただきますることが、この罹災者に対するせめてもの心やりとも思うのでありますが、この点はいかがでありましょうか、もう一度承りたい。
  25. 内藤隆

    ○内藤(隆)政府委員 仰せごもっともでございまして、これは集めた団体、あるいは寄付する人が、何か希望をもって寄付をしたような場合もございます。かような点と、あるいはどこそこへやりたいが、どこへやったらいいかということを、それぞれの機関に尋ねてくる場合もございます。こういう場合には、割当を指示いたしまして、公平を期しております。また、直接にやった場合は、これはどうも仕方がないような場合もあるように聞いておるのでございます。しかし将来は、やはり仰せの通り、公平に、あたたかい手を、寄付者の心持そのままを伝えていきたい、かように私たちは存じておる次第であります。
  26. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 なるほど、寄託者といいますか、義援者、同情者の気持もくまなければいけません。しかし、それを一がいにあちらの方へ頼む、こちらの方へもよろしくということには参らぬことと思います。それはやむを得ないこととしまして、しかしながら、不公平があってはいけない。国の立場からいきますれば、あくまでも公平に、ほんとうにかゆいところへ手が届くような結果をもたらすことが、私は望ましいことと思うのであります。そこで、そういう人々の好意はそのまま受けることといたしまして、その好意が及ばないような——言ってみれば、穴と申しまするか、忘れられたところと申しますか、心の届かないところ、そういうところに対しては、国がやはりそれを埋めてやる、届かしてやるような措置が必要ではないかと思うのであります。そして、私ども今度のような大災害におきましては、おそらく全国民は、たとい一本ずつの鉛筆なり、紙一枚でも届けたい、この気持はみな持っているだろうと思います。その気持を代表して、行き渡らないところのないように、あまねく罹災者に公平に同情物資その他のものが届くようにしていく、その措置を講ずるのが、私は政府の立場ではないかと思うのであります。それも一々、一本ずつの鉛筆を集める、あるいは一枚ずつの紙を集めるということは大へんでありましょうから、そういう場合におきましては、たとい税金を使ってでも、公平を期し、届かないところのないようにする必要がありはしないかと思うのでありまするが、厚生省といたしましては、どうお考えになっておりますか。
  27. 内藤隆

    ○内藤(隆)政府委員 御趣旨ごもっともでありまして、義援物資を送った人のあたたかい気持を伝えるように、万全の措置をとっておるのであります。
  28. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 今のお答えで私も満足したいのでありますが、ただ今度の場合におきましては、どうやらそうした不公平な心配の種がありそうでありますので、この点、一つ国としても全国民の気持が届くような方法を講じていただきたい。たとえば、援護法というようなものを作って、だれももらわないようなことのないような措置を講じたいという案がすでに出ておるのでありますが、今の政務次官のお言葉によりまして、政府の方におきましても、そういうような気持については賛成であるということがわかりましたので、この問題につきましては、後にまた機会もあろうかと思います。  そこで自治庁長官にお伺いしたい点があるのであります。実は、今度の災害につきまして、ほんとうに一番苦しんでおりますのは地方の小さな村の理事者の諸君であります。それは、平素から非常に財政が窮乏しておりますので、平素でもその運営に困難しているところへ持ってきて、今度の災害をこうむった。しかも、その災害後の措置が、ただいま厚生省から御答弁がありましたが、とかく地方の忘れられた町村におきましては、時間的にも行き渡らない。また、現在の状況をもってしますれば、将来といえどもそれが是正されないような状況のまま推移しそうであります。小さな山村の理事者はほんとうに苦労をしておるのでありますが、この辺で、これにかんがみまして、できるだけ平素からその町村の財政状況を救っておく、そしてこういうようなときには、特に財政的に困難をさせるようなことのないように、交付税なり何なりの配分に配慮をいただくときがきたのではないかと思うのでありますが、いかがでありましょうか。
  29. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 金丸委員のお活の通りであろうと私も思います。ふだんから、この交付税の配分をきめます際の基準財政需要額等を算定するにあたりましても、面積の広大な地域で人口の少ないようなところとか、そういうようなところに対しては、いろいろの補正を加えまして、交付税が少しでも多くいくようにいろいろな配慮をしておるわけでありますが、今回の災害にあたりましても、私も山梨県に行ってみまして、山津波のようなああいう大きな災害を受けておるところを現に見まして、堤防の原形復旧とか改良復旧とかいう問題を通り越しまして、いわゆる治山治水をやらなければ全然意味をなさないのではないかという感じすら持ってきたわけでございます。そういういわゆる山村地帯等につきましての災害復旧、そういう問題についても、特別交付税の配分等にあたっても、できる限りの考慮をしまして、貧弱町村が災害によって大きな負担を将来に残さないように、あらゆる配慮を講じていきたい、かように思っております。
  30. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 特別交付税のよけいな配分によって救われるということは、今度の災害の救済の方法としてさしむきこれはやっていただかなければならぬことだと思いますが、私は、平素の山村の基準財政支出額の基準に何か欠陥があるのではないか、こんな気もするのであります。たとえば、支出額の基準といたしましては、道路の長さでありますとか、幅でありますとか、あるいは堤防の云々ということになるのでありましょうが、この数、人口、こういうようなものが主で今日までやって来たのでありますが、しかし、山というものが非常に軽く扱われてきたというところに、今日まで山村の財政を苦しめた最大の原因があるのではないか、こう思うのであります。なるほど、山の中には人が住んではおらぬという意味におきまして、とかく軽く見られることもやむを得ないのでありますが、しかし、災害などの場合におきましては、山こそひどい災害を受ける。そしてまた、山の理事者は思わぬところに非常な多くの金をつぎ込まなければならないような事態に陥るものでありまするから、支出額の算定などにつきましても、山というものを相当重く見て考えていただく必要がありはしないか、こう思うのでありますが、いかがでありましょうか。
  31. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 私先ほど申し上げましたように、特に山を対象にということではございませんが、いわゆる面積補正といいまして、面積が非常に広大なところなどには若干の補正をする、あるいはまた人口が非常に希薄である、しかし、徴税費その他はやはりかかるのでありまするから、そういうところにも若干の配慮を加える、こういうような貧弱なところへ少し配当がふえまするような考慮は、交付税の算定基準にあたっていろいろ考究されて、毎年よくはなっていっておるのでありますが、さらにまた今後も、そういう点を考えて検討は続けていってみたいと思います。特に今回の災害等にかんがみまして、治山、あるいはそういう問題については、将来の起債の問題についてもできるだけ国庫負担を多くしてもらうとか、そういうことに今後の予算編成ではできる限りの努力をして、御期待にこたえたい、私はかように考えております。
  32. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 自治庁長官はお忙しいようでありまするから、私のお伺いしたい点はそれだけであります。要するに、山は広くて災害を一番ひどく受けるところであるというような意味におきまして——これは災害ばかりではありませんで、平素におきましてもかなり金のかかるものだということをお認めの上で、今後それを相当強く、また大きく、重大に見ていただきません。と、いつでも山の理事者は苦しまなければなりませんし、従って、また災害復旧などがおくれて参ります。あるいはまた、そのために山が荒れてきまして、災害の原因をすら積極的に作らなければならないといいますか、作るような結果とも相なりまするので、今後におきましての平衡交付金の算定基準などにつきましては、ぜひ一つ特に重く見ていただくようにお願いをいたすのであります。私のお伺いしたい点はそれだけであります。  次に、農林省の方にお伺いをいたしたいのでありますが、ただいま申し上げましたように、今度の災害にかんがみるまでもないことでありますが、ぜひ山を相当重視していただかなければなりませんし、治山のことが、特に強く今回の災害を契機としてうたい出されておりますることは、私どもにとりましてはまことに心強いのでありますが、ただ、今回出された政府の案によりますると、これは従来からもそうのようでありまするが、山の災害復旧につきましては、従来からの例、今回の特例法に見ましても、林地の林道及び林業施設復旧がまず第一のようでありまして、そうしてそれに関連するものを復旧するというようなことが強く打ち出されておるのでありますが、どうもそれでは大へん足りないのではないか。山そのものの災害復旧はどういうふうにお考えになっておられますか、伺いたいのであります。
  33. 大野市郎

    大野政府委員 ただいま、今回の災害の原因につきまして、山の荒廃しておることが大きな原因でないか、それに対してどういう施策を考えるか、こういうお話でございますが、私も、実は能登の災害の際もさっそくお見舞に上がりましたし、今回も高潮の被害状況は、愛知、三重その他も拝見して参りました。同時に、岐阜の長良川の上流の溪谷のがけくずれなどに基づく災害の形も、よく見て参ったのであります。結局、そういう意味で、砂防あるいは一番奥地におきまする地くずれというようなことが、そういう災害を招いて、河川の災害のもとはみなやはりそこにあるというふうに見て参りまして、事務当局にも、そのような見解で段取りを相談して参っておるのでございます。従いまして、お尋ねの通りに、農林省林野庁といたしましても、治山の根幹を、やはり山地の崩壊の防止とか、あるいは防災ダムとか、そういうふうなものまで含んで、建設省とよく連絡をとってこれをやらなければ、災害を未然に防ぐ根幹的な対策にはならないというふうに基本的な考えはまとまっておるのでございます。
  34. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 この特例法によりますと、すでに現地の地方団体あるいはその他の機関において手をつけて、施設として扱っておられたものについて十分の九、及びそれに関連するものについて三分の二というような案のようでありますが、新しく山がくずれた、林地崩壊防止施設という施設が全然なかった、それからさらに奥の方で山がくずれたというものにつきましては、どういう措置をなさる方針でありますか、伺いたいのであります。
  35. 大野市郎

    大野政府委員 ただいまの問題につきましては、緊急治山事業を実施いたすことになっておりますので、その計画を立案して実施に移して参るという予定でございます。
  36. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 その緊急治山事業を、ここに書いてありますもの以外にそういうことでやるというのでありますが、地方の理事者が事業主体となってやる場合には、それは補助の方からいったら、どういうことになっておるのでありますか。
  37. 大野市郎

    大野政府委員 補助の方は、県営でしていただきまして、大体三分の二の補助率でございまして、予算の要求としましては、十二億ほど要求が出してあるのであります。
  38. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 その三分の二の補助ということにつきましては、私は非常な不満を持つものであります。林道その他既設の林業施設につきましては、十分の九を助成する、負担するということになっておるのでありまするが、農地の方につきましては、農地及び農業用施設について十分の九を持つということになっておる。それと同じように、山及び山の施設については十分の九というお考えが持てないものかどうか。なぜ既設の施設についてのみ十分の九、新しく緊急砂防をやる場合において三分の二に減らしたか、この点の理論的根拠がよくわからないのですが、お教えをいただきたいのです。
  39. 山崎齋

    ○山崎政府委員 ただいまお話しの緊急治山事業につきましては、お話の通り、新しく今まで何も施設いたしておりません林地が崩壊するわけでありまして、施設災害復旧ということとは、根本的に違うということで従来から進んで参ったのでありますが、昭和二十八年災におきましては、これを十分の九の補助でやるということになっておったのでありますが、この場合は、その災害の発生いたしましたその年にやる事業量だけについて十分の九の補助をする。それで二年目、三年目、あるいは四年目というふうに残されて、後年度で実施します事業には、何ら特別の考慮は払わないというふうな制度でいったのであります。それで本年度に、三十四年の災害に対しましては、緊急に工事をすべき数量というものを確定いたしまして、その数量の復旧が、三年あるいは四年というふうな長期間にわたってかかるわけでありますが、これらの全事業量につきまして、補助率は三分の二でありますが、県が負担すべき三分の一につきましては、特別の起債を認め、それにさらに特別の交付税交付金を考えていくという制度に切りかわったという形になっておりまして、二十八年災におきます場合よりも決して不利ではないというふうに考えておる次第であります。
  40. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 結果においては、決して貧弱県及び貧弱町村によけいな負担をかけることにはならないというように承るのであります。ぜひそうありたいと思います。ただ私は、なぜこんなに分けたかについてまだよくわからないのでありますが、それはそれといたしまして、実は申し上げたいと思いますのは、既設の林道及び林業施設というものももちろん大切でありますが、しかし、さらにその奥の山路の崩壊こそが、今度のような大災害の原因であり、すみやかにそういうものを修復するとか、あるいは今後さらに崩壊するであろうところのものに対する事前の措置を強力に推し進めておいていただきませんと、再び三たびこのような嘆きをしなければならないのです。従って、国の助成というようなものにつきましても、地方の理事者、事業者が、ほんとうにこれでこそ張り合いよいよ、心配なしに手がつけられるというような措置、方法を講じておかれる必要があると思うのであって、そういう意味におきまして、そういうあたたかい心でやられたとしまするならば、今回のこのものの言い方というものが、何か出し惜しみをしておるような気がいたしてなりません。これは、私がひがんで読んでおるからかもしれませんけれども、何かそう思われる。要するに、私は、非常に張り合いよいよ、今度こそは心配なしに力を入れるのだということで、現地の理事者が、事業者が、責任者が、喜び勇んで治山のことに協力するといいますか、力を入れるような態勢というものが必要ではないか、こう思うのでございます。  話は別になるわけでありまするが、山を現地の山人によって、村人によって全面的に保護し守ってもらうということのために、この際に、何か山村に対する山全体の守り賃とでも申しまするか、山をパトロールしてもらうための措置というようなものを講ずる考えがおありかどうか。私はぜひ講じていただきたいと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  41. 山崎齋

    ○山崎政府委員 山を愛護いたしまして、これを火災から守り、あるいはまた山を十分に手入れいたしまして、よりよい山に仕立てて、保全あるいは生産に寄与していくということは、どういたしましても、地元の山村の方々の力に仰がなければならないということはお説の通りでありまして、林野庁といたしましても、従来から山村振興ということには努力を重ねておるわけでありまして、一昨年から山村振興対策というものを作りまして、それぞれ市町村指定いたしまして、これに公共事業というようなものを集中して重点的にやる、あるいはまた林業の改良指導事業というものを重点的にとり行なっていく、あるいはまた国有林等におきまする各種の地元の山村振興対策というものを重点的に行なっていく、というふうな施策を従来からとって参っておるのであります。今後なお、この振興のために、施策を十分に浸透していくというようなことで進んで参りたいと考えておる次第であります。
  42. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 かつて鉄道の線路を守ってもらうために、鉄道保護村というのですか、何かそういうような方法をとって、若干の経費をその村なりに投入して、平素から線路を守ってもらうというような方法を講じて、いい成績を上げておられたことを耳にいたしておるのでありますが、林野庁におかれましても、私は、そういうような山の現地の当局に相当の経費を投じて、山を保護し、守ってもらうという方法を講ずることは、決して損ではないと思うのでありますが、ぜひ一つこの際、すみやかに御考究の上、実施に移していただけば非常にありがたいと思うのであります。これは希望であります。
  43. 山崎齋

    ○山崎政府委員 林野庁におきましても、現在森林火災保険特別会計というものを持っておるのでありまして、火災警防というような、面につきましては、この特別会計から一定の金額を県に出しまして、火災警防を地元の方々に期間的にその必要な期間お願いするというような制度もとっておるのでありまして、今後なお先生の御趣旨を十分検討して進みたいと思います。
  44. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 農林省にお伺いいたす点は、もう一点あるのであります。  今度の災害につきましては、地方の部落の小災害、しかしたくさん集めれば大きくなるというようなものをも考えられて、せんだっても予算委員会において農林大臣がお答えになったところをそのまま申し上げますと、壊滅的打撃を受けた部落については、包括的補助をする方針であるということが表明されておりまして、予算も盛られておるようであります。この部落とはどの程度のものをさされるか、それから包括的補助というものはどういう内容、どういう程度を申されるか、この機会に承りたいのであります。
  45. 増田盛

    増田政府委員 ただいまのお尋ねは被害激甚な部落のことだと思うのでありますが、これは予算面では、激甚被害部落共同作業等施設補助金となっておるものに該当いたすものであると思うのであります。この場合に、まず、事業対象から申し上げますと、これは昨年度の狩野川台風で初めて予算化したものであります。要するに、山村等にもいろいろ例があるのでありますが、生産要素として最も大事な農地、それから家屋、こういうものに対してきわめて甚大な被害を受けまして、それによって壊滅いたした部落に対しては、共同作業、とにかく農作業に支障のないようにいろいろ援助をしよう、こういうことであります。今年は、特に共同作業施設、これに動力耕耘機とか、脱穀機とか、当座の生産を共同でやる体制を整えるためにいろいろ施設があるのでありますが、これに対する補助、それから、部落によりましては、あるいは養蚕関係におきましても、壊滅的な打撃を受けた場合には、稚蚕共同飼育の施設を作る、あるいは畜産関係において、壊滅的な打撃を受けた場合におきましては、鶏あるいはブタ等の小中家畜の共同飼育管理をやっていく、こういうことに対する補助でございます。ただし、部落の立場からいいますと、共同作業が中心ではございますけれども、あるいは養蚕、あるいは畜産、こういうようにそれぞれ部落の特性に応じ、部落の方々の要望に応じましてこれを選択していく、こういう方式を考えまして、予算に計上しているわけであります。この予算の総額は、おおむね三億円であります。
  46. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 これを包括的補助という銘を打ったところに、私は非常に楽しみがあるのでありまして、何か共同施設をしなければいかぬ、たとえば稚蚕共同施設をこしらえなければいかぬ、あるいは鶏の共同飼育場を作らなければいかぬというふうに、非常にかたいワクをはめてしまいますと、せっかく、壊滅的な被害を受けたところの部落は、そうもしたいけれども時間がとれなくなってしまう、あるいは話が合わないままで、とうとう嘆きの中で救われない結果に陥る心配もありますので、この包括的補助ということを、ほんとうにつかみ金というような意味に考えていただいて、ほんとうに、何といいますか、技術的にはむずかしいことかもしれませんけれども、気持の上からいきましては、そういうふうな救い方をしていただきたいと私は思うのであります。これは技術的に相当御研究になっていただかなければならぬことと思いますけれども、私はそういう気持が、このような甚大な被害をこうむった災害の機会におきましては、大へん必要なことだと思いますので、特にこれは御検討を願うことといたすのであります。時間がありませんので、農林省の方につきまして、以上で私は終わるごとといたします。  建設省の方にお伺いをいたします。今回の被害は、海洋地帯において、特に十五号などにおきましては実に甚大なる災害をもたらしておりますが、同時に、七号台風などにおきましては、山地において、ことに扇状地帯の河川などにおいては、それこそほんとうに壊滅的打撃を生じておりますることは、今私がここで申し上げる必要のないまでに御了承をいただいておることであります。そこで、それの対策につきましては相当大きな予算も組んでおられるのでありますが、ただ、出されました政府の方針によりますと、今までと同じように決壊した堤防を直すとか、あるいは流された橋をかけるというようなことが主のようであります。しかしながら、災害実情は、先般各県から理事者が出て参りまして当委員会に陳情いたした中にも、山梨県の知事代理から詳しくここに御報告もあったのでありますが、山梨県だけにおきまして、流された土砂は八千万立米といわれておるのであります。そうして、そのために河川の底が上がったのは、多いところは八メートル、六メートル、少ないところでも二メートル、三メートルの河床が上がっておるということであります。従って、ただ被害は決壊された個所というだけではなしに、堤防全体にわたって、言ってみますならば、二メートルないし八メートル上が削られたという結果となろうかと思うのであります。従って決壊されたその個所をもと通り直すことはもとよりでありますが、この頭の方を二メートルも削られたという堤防も、もとのように直さなければほんとうの復旧にならぬのではないかとも思いますが、これらについては、予算面にどういうふうなお考えを持って盛られておりますか、承りたいと思います。
  47. 大沢雄一

    ○大沢(雄)政府委員 ただいま御質問にございました通り、今回の風水害によりまする被害が、単に海岸その他湛水等の被害によりまする地方のみならず、七号台風その他の風水害によりまして被害を受けました山地その他におきまする被害の様相も、劣らず激甚なものがあることはよく承知いたしておるわけでございます。建設省といたしましては、何らその間に差別を考えておることは毛頭ございません。災害実情に即しましてこれを復旧し、再びかかる災害を繰り返さないために、必要な復旧事業、あるいはそれに関連する改良事業、それらを行なうに必要な予算をとることを基本方針として処置をいたしておる次第でございます。お説の通りに、河川等におきまして、土砂によって川底が上がり、そのために堤防の効用を失うというような場合におきましては、十分これに対処する方途を講じなければならぬと存じまして、それに即応する復旧あるいは改良の方途を講ずる方針でございます。  なお、具体的な問題につきましては、河川局長からお答えを申し上げることにいたしたいと思います。
  48. 山本三郎

    山本政府委員 お話しの復旧の問題につきましては、堤防が切れたところを復旧するだけではだめじゃないか、もっともなことでございまして、それに関連する事業をつけ加えまして、再び災害の起こらないようにするということはもちろんでございます。  それから土砂の問題でございますが、もちろん、土砂の堆積の状況に応じまして河川の計画を立てまして、それに応ずるように改良復旧をしようということでございます。ただ、中には、長年の間にたまったというような土砂もございます。それらの問題につきましては、沿岸が非常に困るわけでございますから、それらにつきましては、改修費なり何なりを与えましてそれらの問題を解決していきたい。土砂の問題につきましても、いろいろの解決方法があるわけでございます。上流に砂防堰堤をやりますれば、下流の川底を下げることもできるという方法もございます。それらの方法をいろいろ組み合わせまして、沿岸の洪水の問題もございますけれども、排水も非常に困るような状況になって参るわけでございますから、それらの点も加味いたしまして総合的な計画を立てまして、災害復旧あるいは改良復旧でできるものはそれでやる、できないものが残りました場合におきましては、早期に改修工事なり、維持工事なりをつけ加えまして処置して参る、かように考えております。
  49. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 もうわずかでありますから、お許しをいただきたいと思います。いろいろ御苦心をいただいておりますることは、私もよく承知いたしておるのでありまするが、何にいたしましても、今度押し出された土砂というものは、いまだかつて故老も経験したことのないような状況なのであります。上流においては、数百町歩にわたって山がくずれ出しております。それがまだ途中にあるようであります。八千万立米のうちの若干は、海の方に水とともに流れたかもしれないのでありまするが、多くのものは、上流、中流にまだ堆積しておりまして、雨が降りますればしずしずと下り出すような状況であるのであります。従いまして、甲府盆地に住んでおります——これは甲府盆地ばかりではありませんで、善光寺平に住む人たちも同じような気持だろうと思いますが、この堆積土砂を天井に、もしくは屋根棟よりも高いところにかかえた住民というものは、ちょうど水の中に住んでおると同じようなさびしさ、危険感を持って暮らしておるのであります。一たび大雨至らんか、たちまち今削られた堤防を越えて土砂とともに住宅を侵し、田畑を流すことは必然でありまするので、この莫大な土砂を、何とかして始末をしてもらわなければならないことになるのであります。従って、上の方に土砂どめのための堰堤をすみやかに作って下さることも必要でありまするが、同時に、何らかすみやかな方法をもって、この河川の途中に堆積したところの土砂をほかへ持ち出していただくような方法を講じて、川全体をすみやかに旧に復すという方法をとっていただかなければならないと思います。これはもちろん、今回の補正予算ばかりではありませんで、三十五年度予算におきましても強く要求しておいていただかなければならぬこととは思いますが、現地住民の心情をおくみ取り下さいまして、特別な御配慮を願っておかなければならないのであります。そこで、今度お出しになりましたところの堆積土砂の排除の特例法におきましては、川の中にたまったところの土砂などにつきましても御考慮になっておられるか、伺いたいと思います。
  50. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 今回提案いたしております堆積土砂等に関する排除事業特別措置法案の中身におきましては、公共施設等復旧と同時に、それらの施設に堆積いたしました土砂の原形復旧等は他の法令によって措置いたしますので、法律案内容の主としてねらっておりますところは、宅地等に堆積いたしました土砂の排除事業を中心にいたしまして、それに伴う補助率の引き上げを考えておる次第でございます。
  51. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 私もそう思ったのでありますが、ただ河川の中にたまった土砂ではありまするが、住民の心配の種になる点につきましては、ちっとも変わらないのであります。庭に押し出された土砂以上に、実は心配の種になっておるのでありまするから、その点もおくみ取りの上で、何らかの方法を講じていただきたい。堆積土砂のこの特別法で運用なさることができませんければ、ほかの予算措置、行政措置の方においてもけっこうでありますので、ぜひ一つそういう方法を講じていただいて、非常な心配をしておるところの現地住民に、安心感を得させるように特に御配慮を願いたいのであります。
  52. 山本三郎

    山本政府委員 今の公共施設に堆積いたしました土砂につきましては、道路にいたしましてもあるいは川にいたしましても、それが交通に支障を来たすとか、あるいは洪水のおそれがあるという分につきましては公共土木の復旧といたしまして処置することに相なっておりますので、その点御了承いただきたいと思います。
  53. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 これで終わります。
  54. 南條徳男

    南條委員長 丹羽兵助君。
  55. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 今度の伊勢湾台風を初めとして、今年内に起きました災害に対して、政府は、ある程度国の責任において災害地の復旧もし、また住民も安んじて生活のできるようにというあたたかい気持から、今度の臨時国会も設けられ、予算の要求もしておられる。なおまた、われわれ議員間におきましては、災害対策特別委員会を本院に設けて、総括的に、この災害に対する世論を国会を通して政府に訴えておるようなわけでございます。すでに、災害対策特別委員会におきましては、総括的な、一般的な質問は今日までにほとんど出尽くしておるかと思いまするが、私は、特に本日せっかくお越しをいただいておりまする自治庁長官、建設省関係、農林省関係に一、二お尋ねを申し上げ、自分の意見ははさまずに、自分はこう考えておるとか云々というようなことは申し上げずに、質問に中心を置いてお尋ねをしてみたいと思います。  幸いにして自治庁長官がおいでをいただいておりますので、私はまず建設省の方からと思いましたが、礼をもってという立場から、自分の考えとは違いますけれども、まず、自治庁長官にお尋ねをさせていただきたい、こう思っております。  自治庁長官には、私はきわめて簡単に二、三点だけお尋ねしたい。長官は、特に伊勢湾台風のときに設けられました対策本部の部長代理としておいで下さいまして、非常なお骨折り、お力添えをいただきまして、関係者は非常な感謝をしておるのであります。     〔委員長退席、綱島委員長代理着席〕 これはお上手を言うわけではなく、非常に長官に対して感謝をしておるのでございます。と同時に、長官自身は、今度の災害で、各県を初め地方少共団体がこの災害に対してとった態度といいますか、処置と申しまするか、とにかく救済をせねばならぬ点で、災害救助法初め地方公共団体がとった処置については、十分御承知のはずであろうかと思います。一番よく知っておっていただいておると思います。そこで長官にお尋ねしたいのは、今回のような台風が起きましたとき、救助法初め緊急復旧対策に、国と地方団体との関係において何か今後改正すべき点はないか、こういうような考えられもしないような災害が起きましたとき、重ねて申しますならば、救助法を初めその他緊急な対策としてとる措置について、国と県を初め地方団体との関係——地方間の関係はもちろんでありますが、国と地方との関係において、何か今後のために、広く行政の面から考えて改正すべき点というものをお気づきなかったか、これでよかったとお思いになるか、その点について私は率直に大臣の御意見を承らしていただきたいと思うのでございます。特に私がそういうことを申し上げる趣旨、気持というものは、県と大都市との関係であります。県と、名古屋のような、すでに県を上回るような大きな規模を持つ地方公共団体、こういう関係において、長官はこれでいいとお考えになるか。こういうような姿でいくことが、何ら支障ない——災害があったから気がついたけれども、平素においてもこういうような食い違いがいつも起きておるのではないか。今後において、広く地方行政の上において改正していかなければならない点がありはしないかというように、お気づきなかったか。一つ率直な御意見を承らしていただきたいと思うのでございます。それはどういう意味から私がお尋ねするかというと、うしろに名古屋出身の国会議員、選挙区を名古屋に持たれる辻委員がおられますが、辻委員が、先回総理に対し質問しておられる。その質問のときに、名古屋市のあの水につかって人命救助をしなければならないときに、ほかの地区と比較して、名古屋市に出動した自衛隊の出動が非常におくれた。だからして、救助すべき人命が救助できなかったとも世間ではいわれておる。それには社会党の市長である小林さんが、自衛隊ぎらいで要請をされなかったとか、あるいはまた、自民党の知事である桑原さんのせっかくの要請も、名古屋市長がその気持をくまず、手続がおくれた。そのために自衛隊の出動がおくれて、助かる命も助けることができなかったというようなことまでいわれておるのが現状なんです。私は上手に言えませんが、そういうことを世間では盛んに言っておるのですから、こういう点やらその他のことを考えていただきまして、小さな、と言うと語弊がありますが、十万あるいは十五万のような小都市と同じように——今日全部が全部とは申しません。一部はもちろん県から委譲されてはおりますが、形において、制度の上において、同じように取り扱われておる大都市制度の今日において、こういうような問題が起きたときに、一体これでいいのか、こういう点について、大臣は現地においてあの声を聞いていらっしゃる、都市側の意見も聞いていらっしゃる、県側の意見も聞いていらっしゃるのですが、改正しなくともいいかどうか、これを一つはっきりとお聞かせを願っておけたら、大へんけっこうだと思います。
  56. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 大へんむずかしい御質問で、私もちょっと答弁に困るのでありますが、今回のあの中部の災害にあたりまして、お話のように、私も中部日本災害対策本部の部長代理といたしまして、あすこに相当期間滞在して、つぶさに災害対策に当たったのであります。御承知のように、ふだんから災害というものにつきましては、自治体としても、災害基本計画とか、あるいは水防訓練とか、いろいろの計画を持ってやっております。警察としても災害の訓練をやっておるわけでありますが、率直に申し上げまして、今回のような大災害にあたりまして、ふだんの訓練計画に足らさるところがあったと申しますか、若干そういう点があった、これは私も感じます。  それから県とああいう大都市との関係等について、いろいろお話があったのでありますが、これはひとり名古屋と愛知県だけではなく、五大都市と申しますか、ああいうところと、そういう五大都市のあるような県と申しますものは、われわれが行政上の問題においていろいろ行き当たる問題があるのであります。長い問いろいろ問題があったのでありますが、去年一応終止符を打っておるわけでありますけれども、この問題は、将来の行政運営の問題としては、ある程度研究を続けていかなければならぬと思います。ことに今回の木曽川、長良川、揖斐川のあのデルタ地帯、伊勢湾を中心として集まっておる、ああいうところで、三県にまたがっての大災害、非常に関連の深い地帯であります。市とか県とかいう問題以上に、ああいう関連の非常に深いところについては、さらに相当広域な行政というか、そういう組織を考えておかなければならないではないかということを痛感した次第であります。私が現地に参りましてからは、災害対策本部が設けられまして、出先機関、あるいは中央の関係各省、一切の機能をあすこに集めてやりましたので、私のあの対策本部としての感じからは、名古屋市と愛知県が特にいろいろなことで衝突して仕事がやりにくかったとか、そういうことは私は感じませんでした。災害対策本部で、割合に集中された計画によって動いていったように思うのであります。しかし、話はいろいろ聞いておりますのでこういう行政組織については、さらに今後も検討しなければならぬ問題が若干あると思っております。ただ、災害のいろいろな問題については、総理大臣も今国会でいろいろ言っておられますように、災害に対する基本計画というか、基本法というものを設けまして、異常災害時に対する誤りなき措置をとられるような、いろいろな法制の統一、訓練、こういうことも考えておかなければならぬと思いますし、私が今回の体験から感じましたことは、ああいう対策本部のようなものが設置されまして、各省なりあるいは各省の出先機関を一カ所に集中して、そこが統一して対処していく、こういう措置は、今後のいろいろな災害に対しても十分活用していくべき制度ではないか、こういうように考えておるわけであります。まとまっておりませんけれども、私の今回の災害にあたって感じました感想を申し上げまして、御参考に供したいと思います。
  57. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 政府が、災害に際して災害対策本部を設けられ、石原長官が本部長代理としておいでをいただいて、そのとられた処置、また救援、復興に対して全力を、あらゆる機関を網羅して、尽くしていただいたことについては、一つとして批判しておるものではない。これは、私が先ほどから申し上げておるように、はっきりしておるのです。けれども、今長官自身の口から出ましたように、都市制度というものと県側というもの、特に大都市をかかえた県と、そういう都市というものの、常に見えざる抵抗というかどうか、それが事実あるのです。あるから、先回お話しになりましたように、自治法の中では一応、これを形の上においては終止符を打ったわけでありまするが、今度のような災害が起きて参りますと、先ほど私が事例をあげて申しましたように、罪のない桑原さんが悪者になったり、仏様のような小林さんがこれまた批判を受けたりという、つまらぬ——そんな気持はない。災害については与野党とも一つになって、あの状況をごらんになって承知していただいておりますように、全力をあげてやっておるのですよ。やっておるにもかかわらず、そういう底流があるからして、そういうことが雑誌にも出ておるのです。大臣お読みになったことがあるだろうと思うが、週刊雑誌にも出ておるのです。と同時に、くどいようでありまするが、県内における普通の都市と大都市というものを、全然同じように見ておったり、制度の上において取り扱っていくというようなことは、もうないとおっしゃるかもしれぬが、ある。と同時に、こういうような政争の具にまでこれは出てくるのですから、あの年をとってやっておられる小林さんのことを思い、寝食を忘れて努力しておる愛知県等の知事の立場を考えると、まことに御同情にたえない。だから長官は、あちらにお行きになって、大都市というものと県との考え——特に今後また神戸に災害が起きないとは限らない、今はありませんが、横浜にこの災害が起きないとも断言できない、神ならぬ身でわからないのですが、今後こういうようなことが起きたときにも、こういう姿でいいのか。もう少し広く、地方自治法という中において、行政分野においても考える必要がおありかどうかということだけ承らしていただければ私はけっこうであります。他意あって質問しているのではありません。
  58. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 先ほども一応お答えをしたのでありまするが、こういう問題につきましては、御案内のように、地方制度調査会におきましても、いわゆるブロック行政といいまするか、道州制、地方制といっておりまするが、多数意見としては、道州のような考えをもっていきたい、少数意見としては、いわゆる数県を統合して、もう少し広域行政にしたいというような意見も出ておるのであります。いわゆる広域行政になっていけば、今のような問題は幾らか減って参ると思うのであります。町村合併も、あれだけの成果を上げて、一応終わりに近づいておるのでありまするから、今度はさらにその上の団体であります都道府県なり、あるいは大都市の運営の問題に、これから入ってくる段階ではないかと思うのであります。これは、関連するところが非常に大きいわけでありまするから、今にわかに、直ちに道州制を採用するとかどうするとかいう方向を打ち出すことは、なかなか実際問題としてはむずかしいと思いますが、今御指摘のような、ことに今回の災害時等にあたっての態勢については、さらに緊急に考えておかねばならぬような問題が相当あるように考えられますので、こういう問題については、これ契機に一そう検討を進めて参りたい、こういうように考えております。
  59. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 長官のお気持もわかりましたから、これ以上この問題についてお尋ねすることは、また御答弁を求めることは、広く影響するところ大だと思いまするので、この程度でこの問題については終わらせていただきます。しかし、世間では、こういう現行制度があるために、とかく罪のない人が批判を受けたり、あるいはまた努力した者が、その努力をひとしく県民から買われていないという面もございますので、今度の災害をごらんいただいたあなたが、一番よく今後のあり方について御承知のはずであり、御認識をせられておることであろうから、十分一つ御検討をちょうだいいたしておきたいと思うのであります。  次にお尋ねしたいのは、今度は罹災者といいますか、災害を受けた者との直接の関係を制度の上においてお尋ねしたいのですが、今度の救援物資の配給等、政府及び地方公共団体が、かわいそうな人を早く救おう、安心を与えようというので、全力をあげて救援をしていただき、また全国から心こもった贈りものをちょうだいしたわけなんですが、それらの配給でありまするが、これらは、現在機構の上に定められた制度というか、伝達方法がないのです。そういうために、せっかくの一刻も早く与えてやろうという国民のあたたかい気持ちが、罹災者におくれていく。これは贈る方も残念でありまするし、贈っていただいた方々にもまことにお気の毒のことであり、十分御同情の気持が映らないのですが、どうでしょう、いろいろと両論はあるようでありますが、戦争の当時のような、ああいう行き方の隣保制度というか隣組制度、これはどうかと思いますけれども、最も民主的な、自主的な——これにも賛否両論があるようでありますが、長官は、こんなことは始終ありませんでしょうが、常の行政の上から考え、一応お互いの自治の上から考え、福祉の上から考えても、隣保制度という式の——どういう名前で言ったらいいかわかりませんけれども、そういう姿、組織、機構というものを持った方がいいかどうか。今度の災害にいらっしゃって、そうしてお尽くしいただいた立場において、どう考えていらっしゃるか、お聞かせいただければけっこうだと思っております。
  60. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 お話のように、今回の災害の体験からかんがみまして、私どもも一番心配しましたのは、食糧にいたしましても、水にしましても、あるいはいろいろの各地から送られてくる救援物資が、はたして適切に末端にずっと配給されていくかどうかということであります。かつては、お話のように、町内会、部落会というようなものが法制化してあって、活動しておったのでありますが、戦後これが廃止になったことも御承知の通りであります。今回の体験から見まして、自主的な、事実上そういう式のものが、町会とかそういう式のものが、いろいろ活動してくれたことは申し上げるまでもないところであります。しからば、今後これをどうするかということにつきまして、今丹羽委員からもいろいろお話があったのであります。その通りであります。法制化したらどうかとういう意見と、その必要はない、自主的の考え方で見ていったらいいじゃないかという両論があるのであります。先ほどの、府県の行政について意見を出しておりまする例の地方制度調査会におきましては、一応、これは法制化する要はあるまい、画一的な法制を立てる必要はあるまいという結論で答申をしておるのであります。地方制度調査会の意見というものは、われわれといたしましても最も尊重するものの一つの意見でありまするが、しかし、今回の体験等から考えまして、やはりあらためて考究していかなければならない問題と思います。私個人の考えといたしましても、自主的に訓練するとか、あるいは何らかの形でそれを援助指導していくということで、しいてこれを今急に法制化してなにしなければ非常な不便があるとか、やれないとか、そういうことでもないように思いまして、いましばらくこの問題は自治庁の研究題目として預けていただきたい、かように思います。
  61. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 大臣のお手元で今後研究の題目として御研究をしていただく、その御方針は、それ以上私は要求するものではありませんが、特に長官御案内のように、農村における災害でございましたならば、ある程度の災害でも、そこは農村自体の気持で工合よくいくわけなんです。ところが、ああいう大都会に考えれないような大災害がありますると、都会の人というものはお互い生まれた先もわからない。なおまた、隣の人が勤めておるお勤め先もわからない。どういうところに行っておるのか、さっぱり隣でもわからないというように、隣とのつながりというものはきわめて薄いわけなんです。だから国会の公の席で申し上げてはどうかと思いますが、今度全国から寄せられたあのあたたかい救援物資なんかでも、たとえて言うと、ちょうどいなかのおひまち——これは長官にはわからないかもしれませんが、いなかのおひまちで酒の足らぬときに、入口におる者はちょいちょいと酒をとつちゃうのです。奥の方の者は全然配給がない。早う持ってこぬか、早う持ってこぬかと言っても、もとが足らぬ酒なのに、入口の者がとってしまう、だから、入口は十分に配給があっても、奥の者は酒が飲めない。ちょうど、これは悪い意味におけるそのような形になってしまったのです。せっかく全国から寄せられたものも、船が届く先、あるいは市役所なり県なりから行くところは受けられますけれども、法制化されたというか、組織だったというか、ある程度まとまりのつく組織というものがないわけなんですから、持っていったら、ほんとうに極端な言い方ですが、餓鬼のようなものですよ。普通の人間ではちょっと考えられないような姿で、もう物を奪い取ってしまう。強い者は幾らでももらい、弱い者は、奥の方にいれば配給がない。三日も四日も海の中の屋根の上に、食うものもなくしておったというようなこともあったのですから、これは広く国民すべてを考えていただく政府において、特に自治庁長官のもとにおいては、将来のことをおもんぱかって——私は法制化しろとも言いません。     〔綱島委員長代理退席、委員長着席〕 両論ございますが、先ほど申し上げましたように、東京に起きないとも考えられない、あるいわ神戸のような大都会にこういうようなことが起きないとも考えられない。このような名古屋に起きた不手ぎわ——政府の不手ぎわではないけれども 国民の道徳上における不手ぎわによって、せっかくのうるわしい気持をむしりとられたような形にあったところもあるのですから、十分お考えを願っておいていただきたいと思うのであります。  もう一点だけ、せっかく長官お忙しいところですけれども、お許しをいただいて尋ねさせていただきたいと思います。  今回の災害で、政府答弁を聞いておりますと、大蔵省の言い方なんですが、何を聞いても、あるいは予算面のいろいろ審議していく上において聞いてみましても、補助の足らぬところだとか、あるいは起債なんか、元利ともに交付税で何とかする、交付税とかあるいは特別交付税で片づけるというように言っておられる。また、将来においても、元利ともに交付税で考えてあげましょう、特別交付税で考えてあげましょう、こう言っておられる。これは、私どものような地方団体に、長く携わって参りました者から考えますと、おそらく、私は、長官も地方団体のことを考えていただける長官ですからお気づきになっていらっしゃると思うのですが、しかし、閣僚の一人として、そんなわけにいきませんから、心にもない賛成をして、また、そのように口を合わせておいでになると思うのですが、今の政府の言い方、予算の見方、現在出ております法案内容を見ると、これは全く政府が完全な補助をせずに、完全な救済をせずに、全部県初め地方公共団体にしわ寄せしているように私は見るのです。体裁のいい、起債だとかあるいは元利を見てやるなんておっしゃっておりますが、長官は、閣議で賛成していらっしゃいますから、ここの席でそうだとおっしゃらないかもしれません。しかし、これは考えてみれば、明らかに地方公共団体のしわ寄せになる。これでは、私は、将来健全な地方団体の発展というものは考えられないと思う。次から次へと、また赤字団体がこのためにできてくると思うのです。その点について、地方を育成していただく大臣として、そういうことはないとおっしゃるのか、そういう懸念もあるとお考えになるのか、一つお聞かせいただきたいと思います。
  62. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 私は、率直に申し上げまして、大体きょうきまりかけて参りました今回の一切の法制その他の準備で、地方団体に対してそう大きなしわ寄せになるものではないと、今思っております。最初大蔵省が申しておりましたように、特別交付税が今回の補正で非常にふえるのだから、特例法などは、それほど必要はないというようなすべり出しで出たわけでありますが、それであれば、これは大へんなことであったと思う。私どもは、あくまでも特例法を設けてもらって、いろいろの災害復旧事業、関連事業等に対しては、でき得る限り国の負担を高額にしてもらって、地方の負担を少なくするという特例法の高率補助の法制の整備をまず第一に要望したわけであります。それから、その後の措置といたしましては、本年は、まず第一には、交付税、特別交付税等で見ていかなければならぬ、しかし、これは幸い今回の予算補正によりまして相当の交付税が出ることになったわけであります。それらとも関連して、実は明年度返すべき交付税が二十三億ばかりあるのであります。それもこの際返して、それらをも財源にして、でき得る限り高率補助をしてもらいたいという主張を続けて、そういうことになってきたわけであります。それから、交付税につきましても、新たに追加された交付税が四十一億、それから従来ありますものが百四十九億、合計して約百九十億ばかりの特別交付税があるのでありますが、これは公共土木事業の査定総額の二号が県にまず参り、それから二%が市町村に参る、こういうことになって、一応特別交付税である程度のものは見ていく。さらに、それで足らないものに対しては、減税その他税収がなくなったとか、あるいはまた、罹災救助であるとか、病虫害の駆除であるとか、伝染病予防であるとか、いろいろなことで費用が要って、歳入に欠陥を来たすような市町村に対しては、歳入欠陥債というようなものの特例を認めていこう、こういう措置をとる。そして、今度の足らざるものは、いわゆる起債によっていくわけでありますが、起債についても、災害に対する起債が、三十五億であったのが今回百六十億ばかりふえまして、百九十五億の起債のワクができているわけであります。これら三つを総合的にまぜ合わせていきますと、大体の措置ができるのではないか。将来の起債の償還等にあたりましても、補助事業に対する起債については、九五%までは基準財政需要額に計上していって、償還の便をはかるということもやっております。それから単独事業の、いわゆる小災害に対しても、これは激甚地とその他によって若干の相違はありますけれども、元利補給の起債を認めるとか、あるいはまた、基準財政需要額にある程度見込むとか、そういうことによりまして、明年以降、決して楽とは言えませんけれども、今回の災害が非常に大きな財政負担を町村に残して、そのために大きな赤字財政になるということは大体防ぎ得ているのではないか、かように考えているわけであります。今回の高率特例補助と起債、の増額と特別交付税の増加、こういうことによりまして、まずまずの措置がとれるのではないか、かように考えております。
  63. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 これ以上地方団体の健全なる発展ということについて、常に御配慮いただいておる長官にお尋ねしようとは思いませんが、しかし、ただいま長官のお話を聞いておりまして、私は、地方行政委員会でもお世話になり、なおまた、実際地方団体の行政に携わって参りました者から考えて、その御意見には満足できないと思うのです。今度の予算及び災害復旧のために特例法がたくさん出されました。そこで、特にあれを見ますと、悪い店屋の看板のようなものです。逆な言い方をすると、入口には安い定食三百円という看板が出ておるが、入ったら最後ぼられる。これは逆な言い方なんです。ほんとを言うと、看板だけは非常にいいことを書いているのですけれど、中身はさらにないということなんです。私ども今までの国民は、それでだまされたかもしれません。もそうですけれども、もう国民は、法律を作ってやった、これで適用を受けるのだ、それだけじゃ承知しない。やはりもらってみぬことには、やっていただかなくては、国民は承知できない。今度の法律を見ますと、政府に白紙一任したような格好である。みんな政令だ、政令だ、そういうように、大蔵省にせよ、というよりも、大蔵省の役人に、煮て食っても、焼いて食ってもかまいませんといったような、白紙  一任の法案がたくさん出ておるのです。それでは、私どもは、今言ったように、国民は、やっぱり食わしてみぬことには、与えてみぬことには承知しない。それだけに国民の政治感賞は高まってきたのですから、心配いたしまして、きょうまでやってきたのです。幸いにして委員長のお骨折りによって、先ほど政府内容が幾らか示されたのですが、あれを見ましたとて、これだけ委員長が骨を折り、われわれが心配してやって出したあの政令案何と申しますか、政令の案ですね。あれで見たとて、今長官のおっしゃったような、地方財政に影響がないとは、私は断じて言えないと思う。それで、言いのがれとして、いつも元利ともに補給するのだとか、あるいは補助金の足りないところは特別交付金でやってやる、それは、今度お骨折りをいただいて非常に特別交付金も多くなった、来年のものまで入ってくる、これはいいでしょうが、一、二年のことなんです。将来においては、それは必ず赤字はできていくのですよ。そして、地方財政からそれを吸い上げていこうとなさっていらっしゃる考え方がちゃんとうかがわれておるのですから、大臣があえてそれをおっしゃるならば、私は、これ以上は要求いたしません。異論を差しはさむようなことは申し上げませんが、そういうことをあくまでもおっしゃるならば、まことに恐縮でありますが、その確信があるならば、政府の今の各法案について、今後地方財政に決して迷惑をかけるものでない、影響のないという詳細なる資料を、数字的に一つお出し下さい。私は、それをもらって、一つまた日をあらためて、いつかの機会に、出された資料で、あなたと地方の財政を考えて話し合いをしたい、こう思っておる。あなたは、ないとおっしゃるのですが、私は、ないはずは絶対ないのだから、委員長のお許しを得て資料の提供を求めて、大臣に対する質問は終わらしていただきたいと思います。
  64. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 私も、決してないというようなことを言うておるのではないのでありまして、今回の特例法なり、いろいろな措置によりまして、一応の急場は切り抜け得ると思うのでありますが、丹羽委員よく御承知の通り、地方財政というものは非常に窮乏をきわめつつある段階でありまして、むしろ、三十五年度の予算編成といいますか、三十五年度の地方財政計画と交付税であるとか、いろいろの関連が私は非常に大きな問題であろう、三十五年度の財政計画にあたっては、いろいろの公共土木事業等に対する国の負担率をさらに高めてもらうとか、あるいはまた、地方が減税によって減収を来たす、そういうものの補てんをしてもらうとか、いろいろ地方財政全般についての大きな財政措置の手を打っていかなければならぬことはもちろんでありますが、今回の災害にあたってのいろいろの措置については、当初私ども非常に心配しておったことは、いろいろ今回の措置によってある程度急場をしのぎ得る形になったのではないか、こういうことを申し上げたのであります。  それから、また、いろいろな法律に関する補助率であるとか、元利補給の形であるとか、そういうことは、いずれ表にしまして、地方行政委員会なり、この委員会なりにお配りいたさなければならないと思っております。
  65. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 ただいま私の資料提出の要求に答えて、長官から重ねて御答弁をいただいたわけでありますが、なるほど、今のお話と前のお話と少し変わってきております。本質的には変わっていないけれども、だいぶ変わってきたのです。それは、あなた自身がおっしゃっていらっしゃるように、今度の災害と三十五年度の予算の関係で、ああいう方法、ああいう政府の答弁の仕方が支障がないと言われるだけのことであって、地方公共団体は、今のような行き方でしたら必ず赤字になってくるのです。元利を補給するとか、あるいは交付税でいつまでも見てもらえるものではない。今は、国民もやかましく言っている、代議士もやかましく言って、わあわあ泣きつくから仕方がないというので、それはごまかしの手で、そのうちに代議士も泣きくたびれるだろう、こういう泣きくたびれるのを待っているということかもしれないが、それでは、地方公共団体は栄養不良で死んでいきますよ。御承知のように、今の制度でいくならば、わが党が天下をとっている。社会党が天下をとったらどうなるかわかりませんが、今の自由民主党の政府の考え方というものは、地方公共団体が健全にいって初めて国もいける、こういう考え方なんです。それが、あすやあさって、ことしや来年、災害のときだけ工合よく、左官が工合よく上塗りするように、あとは腐ろうが、栄養失調になろうがというやり方では、ほんとうの行き方ではないのですから、もう少しがんばって下さい。私は、大臣がしいてないとおっしゃるならば、完全な資料のない限りは承知はできない。  これで終わらしていただきますが、次に、きょうは建設省の方を大臣にお尋ねしたいと思ったのですが、大臣はよその方にお出向きのようですから、これは大臣でなくてもけっこうです。大臣は政治的な含みを持って御答弁なさるでしょうから、それよりも、私は罹災県の一人として、ほんとうにやって下さる皆様方事務当局にお尋ねした方が——これは選挙区に対する放送の演説じゃない、選挙区に対するはったりの演説じゃないのですから、事務当局の、ほんとうにやって下さるあなた方が、どういう気持でいらっしゃるかということをお尋ねする方がいいと思うのです。ですから、一つお聞きかせいただきたいのですが、これは、私の選挙区ではないのです。きょうも三県代議士会で聞いたのですが、十万か八万か知りませんが、そういう方々が、まだ水上生活をしているという話なんです。私も、先回、一日、二日前にあちらに行ってみたが、なるほど水上生活をしていらっしゃる。一生懸命努力はしておって下さるのだが、あれから五十日たった今日、堤防も——建設省の堤防もございましょうし、あるいは干拓堤防もございましょうし、あるいは町村堤防もございましょうが、しかし、何といっても第一番にこれをせきとめていただくのは建設省の責任なんです。救済というよりも、自民の災害政府が責任を持って救済してやるのだ、復興は政府の責任だという考え方でいかれるならば、当然建設省が、さしあたってこの復旧事業を責任を持ってやっていただけるのですが、ほんとうのところを聞かして下さい。大臣は、いろいろと政治的な含みがあって工合よく御答弁なさるのでいけませんが、あなた方は、災害があってから五十日、まだ水の中におるということは、一体かわいそうとお思いにならぬのか、まあやむを得ぬぞ、大きな災害だから、と思っていらっしゃるのか、一体、ほんとうのお気持は、政務次官、どうでしょう。あなた方は、水の中につかっているのはやむを得ぬぞ、災害が大きかったのだから、あきらめておけ、今に水が引くから、とお思いになっていらっしゃるのか、ああ、かわいそうだな、と心から同情していらっしゃるのか、政府の考えというか、実際先頭に立ってやっておって下さるあなた方がどういうふうに思っていらっしゃるか、率直に一つお聞かせを願いたいと思います。
  66. 大沢雄一

    ○大沢(雄)政府委員 ただいま丹羽委員から切々の御意見がございました通り、災害発生後、もうすでに五十日を過ぎました今日におきまして、なお悲惨な水中の生活を余儀なくされております事実は、文明国、ことに憲法におきましても、国民の幸福な生活を守ることが義務になっておりますこの新憲法からいきまして、実に当局としては申しわけのない取り扱いであると考えておる次第であります。災害とは申しながら、まことに遺憾な状態である、一日も早くこの状態を解消いたしまして、そして国民の生活の安定、復興をはからなければならぬということを痛感をいたして、最善を尽くしておるような次第であります。
  67. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 それでは、率直にお尋ねしますが、災害対策本部を設けて、政府の高位高官の方がお出向きをいただき、県と国と地方団体と渾然一体となって災害復旧をやり、人心の安定をはかっておっていただく、それは今の御答弁の通りですが、五十日たって、まだ水の中に入っておるというのは、これはもう否定できない事実でしょう。だから、私のお尋ねしたいのは、それまでおっしゃるならば、現在のわが党の政府の力で、実際においてこれ以上の方法はありませんか。一体、五十日もたって、まだせきとめもようせぬ。自衛隊も出ておる、ポンプもどこからか取り寄せた、技術屋も来ておるというようなことはおっしゃいますが、いかに決壊個所が広いとはいえ、こんなものくらいは、私はまだ何とか方法があると思うのです。実際に今のわが党内閣の力で、今の政府の力で、これ以上のせきとめの方法というか、早くやる方法はないのでしょうか。技術からいい、あるいはすべての政治力を寄せて、もう少し何とかなりそうなものですが、もう政府としての全知全能、全力をあげて、あれだけの力よりありませんでしょうか。それとも財政的に、大蔵省の方から、まだ方法はあるが、銭を使うと困るからというので、金を使わせないのだからやれないとおっしゃるのか。大蔵省の方は、総理大臣のおっしゃるように、金のことは心配してくれるな——地方へ行かれて、金のことは心配するなとおっしゃっているのですから、その点はないと思うのですが、日本の建設省の力というのは、この程度のものですか。私どもは、今の建設省の陣営に、与党であろうが、安心してついていくわけにいかぬと思うのです。一体、なぜせきとめられないか、一つ聞かせて下さい。それは政務次官でなくても、局長でいいのです。局長の方がほんとうのことを言うでしょう。ほんとうは、金を使ってはいかぬと大蔵省で押えておるとか、表面はこうこう言っているが、そう使うなよとか、こういう方法があるということを言うなと、大臣の方で押えていらっしゃるかもしれない。だから、技術量として、ほんとうに河川局長が、こんな程度より日本の現在持っておる土木技術というものはない、あるいは土木屋、技術屋の持つ政治力はないと天下におわびを申し上げられるかどうかということなんです。それを一つお聞かせ願いたい。
  68. 大沢雄一

    ○大沢(雄)政府委員 締め切り復旧の費用につきましては、予算上の制約はございません。予備費におきまして必要な予算は十分配賦を受けておる次第でございます。最善を尽くして努力をいたしておりますが、御期待に沿うことのできないことは、まことに私も遺憾に存ずる次第でございます。これにつきましては、先ほどお答申し上げた通りでございます。なお、ただいまのお尋ねにつきましては、具体的に、責任者でございます河川局長からお答え申し上げさせていただきたいと思います。
  69. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 政務次官からそのように御答弁があれば、何をか言わん。予算に対する制約は受けていない、しかしながら、建設省が持つ、日本の現在の政府が持つ力というものはこれ以上ない、これ以上何の方法もないと断定してよろしゅうございますか。
  70. 山本三郎

    山本政府委員 能力と申しますか、たとえば、ああいうところが二百数十カ所も破堤いたしまして、これを復旧するには大きな機械力が必要でございますが、船を持って参りましても、そこに電気が参りませんと動かぬとか、あるいは船で物を運びますにいたしましても、海が浅くて大きな船では着けないとか、小さい舟を集めなければいかぬとか、そういうふうな具体的な問題がございまして、現地にああいう事件が起きてから私どものとりました処置といたしましては、先ほどからお話がありましたように、名古屋に各省とも全部責任者が集まりまして、各機関とも全力を注いでやっていただいたわけでございます。建設省の所管であります海岸堤防の締め切りでございますので、各省のあらん限りの援助をいただきましてやったわけでございますが、今回の場合におきましては、これ以上の処置は私はとれなかったというふうに考えております。  ただ、ああいうふうな危険地帯につきまして、あらかじめこういうふうな材料を用意しておくとか、舟を買っておくとか、そういうふうなことがありますればできたと思いますけれども、そういうふうな準備的の問題を、どこにもかしこにも準備しておくということは、なかなか、これもまたむずかしい話でございます。従いまして、舟を集めるにいたしましても、全国からこれを手配したというような状況でございますので、あらかじめもっと舟の数が全国的に準備ができておるとかいうようなことが前提にありますれば、まだ早くできたということはありましょうけれども、今回、現状におきましては、これ以上の方法はなかったというふうに私は考えております。
  71. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 そういうような御答弁があるならば、私は、次にお尋ねしなくちゃならぬことになるのですが、能力はある、しかしながら、こういうような災害が起きたということで、起きたというそのときから手配をして、全力をあげてこの程度のものだ、こういう御答弁なんです。そういう言い方だとすると、私は、次にお尋ねしたいのは、今度堤防が決壊いたしまして、そうして五十日も、あるいはこれから幾日になりますか存じませんが、早くやっていただかなければ困るのですが、そういう点は、いわゆるゼロ地点だ、マイナス地点だと、同じ政府機関がちゃんと発表しているでしょう。われわれは常に、この辺は低いから何とか堤防を強化していただかなくちゃならぬということを、ここに綱島先生もおいでになりますけれども、委員会等を通じたり、あるいはまた委員長を通して政府に、反省をしてやっていただくように促進をお願いしてきた。それと同時に、今申し上げたように、同じ政府機関は、この地点はゼロ地点である、マイナス地点であるから、もし、万が一災害でもあったときには、この付近は水に侵されるぞ、水を引く手はないぞというように勧告しているでしょう。政府自身が、いかに建設省でなかろうが、農林省でなかろうが、同じ内閣のもとの一つの機関が、もう注意を与えておる。私はそんなことは申しませんが、それと同じように、オランダなんかは、聞くところによれば、マイナス何メートルというようなところに都市や家を作っておるそうですが、そういうオランダの堤防が切れぬとは言えないですよ。また切れたときに、日本のような手ぬるい、五十日たってやっとポンプ船を集める、五十日たたぬことにはそだが集まってこない、五十日は水の中につかっておれということで、オランダの国民はそれで承知しておりますか。私は、オランダにたとえることが悪いかもしれませんが、しろうとでわかりませんけれども、政府機関が、切れたらオランダのようになるぞということを注意しておるでしょう。注意しておるにかかわらず、今お話しのあったように、このことは予期してなかったので段取りをつけておらなかった。切れて初めて段取りするから、おくれるのはやむを得ぬというのは、それは能力があるのだから、もっと以前から考えておけば、あるいはもっと方法があったかもしれないというような言い方——切れて勘考すれはいいということは、これは盗人を見てなわをなう、火事を見てからポンプを買いに走ると同じようなことで、これでは国民というものは全くたまったもんじゃない。こんなばかなことは、私はないと思うのですよ。オランダなんかへも、建設省から、あるいはまた政府の要人もときどきお出向きになるのですが、オランダは、切れたらそういうようなところからぱっとせきとめるけれども、日本では、切れてから建設省が十分検討して、どこかから船を集めたり、ポンプ船を集めたり、そだを買い集める、五十日は水の中につかっておれ、そういうような方針なんですか。それじゃ国民は承知しないでしょう。これがマイナス地点であり、ゼロ地点であるということは、政府がちゃんと発表しているんですよ。なぜそれまでに、今日能力があるのだ、もっとやる方法はあるのだ、金の制約はないのだとおっしゃるならば、もう少しあなた方も切れたときのことぐらいは考えて、切れてから段取りを考えるなんということをやっておらずに、その責任というか、その責めというか——私は切れたことを云々するのではない。切れたらすぐと手配してくれなければ困るのですが、そういう点について、良心的に何ともお考えにならぬかどうか、お聞かせを願いたいと思います。
  72. 山本三郎

    山本政府委員 切れた場合におきまして、十分な、できるだけの処置はとったわけでございまして、今回とりました処置は、われわれのできる範囲におきましては最高の処置をとったというふうに考えております。先ほど申し上げましたのは、ポンプ船にいたしましても相当の台数はあるわけでございますが、全国に散らばっておりまして、それぞれ仕事をやっておるわけであります。そこで埋立工事なりをやっておりますために、相当遠方にあるものもあります。従いまして、それらを現地に集結するのに、ある程度時間はかかったわけでございます。それらがたとえば近くにありますならば、到達時間ももう少し早くできたということも考えられると思いますけれども、やはり遠くのものも集めなければ、あそこを全部間に合わせるだけのものがなかったというのが実情でございまして、あのために、ほかの方を犠牲にしてまでポンプ船を持ってきたというのが、実情でございますので、われわれのとりました切れてからの処置というものにつきましては、できるだけ、もう可能な限度の努力をいたしたというふうに考えております。
  73. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 そういう御答弁なら、さきに私が申し上げたと同じではありませんか。結局今の政府の能力、力というものでは、もうこれ以上方法はないということでしょう。これ以上早くせきとめる方法も、すべもないということじゃありませんか。それと同時に、今お話のあったように、私が申し上げたようなマイナス地点——堤防は、もちろん建設省だけを責めるわけにいきません。農林省の堤防も切れているのですから、そう建設省だけを言うわけにはいきませんが、そういうようなマイナス地点であるということは、ちゃんと政府は知っておる。みんな考えていらっしゃる。それにもかかわらず、そういう発表のあったことはもう馬耳東風と聞き流して、切れてからいよいよその対策を考える。切れてから、全国のポンプ船を集めてきて、せきとめにかかっていらっしゃるから、五十日も水の中であっぷあっぷやっておるのです。そうでしょう。そういうようなことは、オランダなんかでもやはりそうでしょうか。オランダも、切れてから五十日たってぼつぼつとポンプ船を集めてきてやるというようなやり方でしょうか。私はオランダに行ったことはないので知りませんが、オランダの国民は、政府に黙ってないと思う。私は、何も津島や十四山の人が水につかっておったとて、自分の選挙区ではないのですよ。私の選挙区ではないけれども、おそらくあそこの選挙区にいらっしゃる人は、ほんとうにばからしくてものが言えぬ、ほんとうに、ばかばかしくて政府に質問する勇気がないというくらいでしょう。私はそう思うのです。だから、少し離れた私が言うより仕方がないから、私はこう強くお願いしておるのです。言っておるのです。これでは、あなた、もう日本の海岸というか、特に先ほど自治庁長官にも申し上げたように、神戸だってマイナスの地点があるんですよ。東京だってあるでしょう。先回、何と言いました。東京にあの十五号台風、伊勢湾台風がきたら、大蔵省の足元まで水びたしになる、引かない、こう言っておるでしょう。だからして、私は声を大にして言っておる。そういうことを政府で発表しつつ、それは全然考えてない、切れてから全能力を上げているということならば今までのことは、何も対策を考えず、今まで少しも心配せずに、全然関心を抱かずに、さあ切れたからということで、どろぼうを見てなわをなうと同じじゃありませんか。それでは持たぬので、その点をはっきりもう一ぺんお尋ね申し上げたいと思います。
  74. 大沢雄一

    ○大沢(雄)政府委員 だんだんの御質問、災害予防の対策の必要なことにつきましては、ただいまのお説に同感でございます。今回の潮どめの費用でありますが、これにつきましては、先ほど申し上げましたように予算の制約はございませんが、この災害の予防の対策、あるいは国土保全の対策につきましては、なお私どもが考えておりましたところが、これはいろいろな制約で十分できておりませんことを遺憾に存ずる次第であります。これにつきましては、ただいま明年度の予算に要求をいたしておりまする治山治水五カ年計画、これらの海岸堤防その他に関する要求も、今回のこの災害の様相、被害実情にかんがみまして、十分練り直しまして将来遺憾なきを期したいと存じておる次第でありますから、御了承願いたいと思います。
  75. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 もう三点だけ簡単にお尋ねしますが、これ以上何とも方法が立たぬという考えを建設省が持っていらっしゃるのに、こんなつまらぬことを聞いていいかどうかわかりませんけれども、しかし私は、こういう点だけはただしておきたいと思うのです。いよいよ潮どめ工事に着工するまでに、全体の計画を災害対策本部でお立てになった。Aの個所、Bの個所、Cの個所、Dの個所と、ずっと何十カ所ある個所の潮どめの全体計画をお立てになったのですが、その計画をお立てになるのに——良心的に答弁して下さい。私は決してあなた方の手落ちを責めようとは思っていないのですが、この潮どめの全体計画に、実際手違いがなかったかどうか。なかったと、きっとおっしゃるでしょう。その答弁を聞かぬ先に言っておきますが、なかったとおっしゃるでしょう。なかったとおっしゃるなら、また次の機会に資料を持ってきて言うのですが、潮どめの全体計画というものに対して、たとえばこんな大工事にならなかったとか、こんな難儀な工事にならなかったとか、あるいは軽く考えてみたとか、あるいはこの個所でせきをとめた方がよかったが、いろいろ政治的な手が加わって個所を変えたというような、こういうような全体の計画について、手違いというものはなかったかどうかということをお尋ねしたい。
  76. 山本三郎

    山本政府委員 当初立てましたというのは、いつごろのお話かわかりませんけれども、初めの状況におきましては、現地の破損個所の状況が全部まだつまびらかにできないというような状況でございましたので、初めのときには、予定日数等におきまして、大体の様子によりましてそれを申し上げたというようなことはございます。その後におきましては、実情の判明するに従いまして順序正しく復旧を進めていくということにしておりまして、それらにつきましては、現在までのところ、そごを来たしたというようなことは、私どもないというように思っております。ただ、個所別に、ここを締め切ることは相当時間がかかりそうだからほかのところで締め切る、締め切る方法でほかの方法を使う、道路を上げるというふうに、できるだけ早くやれるような方向に変更して、もちろん切れた個所は全部ふさぐわけでございますけれども、目的を達するために、途中で別の方法をさらにつけ加えたというようなことはありますけれども、全体としての工事の進め方といたしまして、そごを生じたというようなことはないというふうに考えております。
  77. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 そうしますと、全体計画というものには大した手違いはなかった、そごはなかったが、個所々々に応じて締め切りの工法、及びその締め切るところをAのところからBのところ、あるいはBと予定しておったところをAの方に変えた、こういうようなところはある、こういうことなんですね。
  78. 山本三郎

    山本政府委員 それは現地の状況あるいはその後の潮の出入りによりまして、切れた個所が深くなったりいたします。初めに切れた状況よりも、しばらく時間がたちますと、潮の出入りによりまして非常に深くなったというようなことも考えられますし、そういうふうな点から、最後の締め切り場所を技術的に変更したというようなことはあると思いますけれども、その他にはございません。
  79. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 建設省の事務当局はそういう御答弁よりできぬだろうと思うのですが、しかし私が先回参りますと、たとえて言うとAの個所でやろうとしたのをBの個所に変えた。最初はBの個所であったのがAの個所に変えられて、またAの個所からBの個所へ変わった。そのために、今日こうした水の中に浸っておる。これらも、県及び建設省の事務的な見方に非常に間違いがあったとともに、もう一つは、これに対する幾らかの政治的な圧力等が加わって——圧力と言うと変ですが、いわゆる政治的な考え方が加わって、津島はこのように水にあるんだ、こういうことを言っておる。私は、局長さんの答弁で、それ以上もう少し調べてみないと何とも言えませんから、もうおきます。  次にお尋ねしたいのは、締め切り等の緊急施工について、予算関係によって工法が変わったとは思わない、絶対に大蔵省からの金に対する圧力というか、金に対するいろいろな意見はなくて、技術的にながめてこれが最善だ、技術的にいってこれがいいというような工法をとったので、決して金によって工法あるいはその他のことについて変えられたものでないという政務次官の御答弁でありますが、私もそうでなくちゃならぬと思う。総理大臣がいらして、大蔵大臣がいらして、いろいろ力強く言っておっていただきますから、それに間違いないと思うが、事実はそうじゃないのですよ。これは違うとおっしゃるなら、私が申し上げましょう。今日の防ぎとめ個所のところは別といたしまして、十日も十五日も余分に水の中につかっておったのは、こういう工法をやれば防ぎとめられるのだ、この工法でやれば早く防ぎとめられるのだけれども、しかしながら金がかかるからやめて、自衛隊の一俵々々かついだあの方法でいこうというようなやり方に変わったと新聞も書いており、また関係者もそう言っているのです。そのためにずいぶん水出しがおくれており、また今日でもおくれておる。そんなことを今局長が言っていらっしゃる。船を沈めるところの説です。そういう耳打ちをせられたでしょう。これは気の毒だ、すぐにでも船を沈めて、流れ口の水勢をとめてやろう、どれくらい金がかかってもよい、そういう考えで相当計画を進められた。それがだんだんと、先ほど私が申し上げましたように、泣くのが静まってくる、耐えられない、泣く力もないのです、もう疲れてしまって泣く力がなくなってくると、政府は、泣かないのならもういい、金のかからない方法を取り入れてというようなやり方をしようとしていらっしゃる。財政上、予算上のそういう考えで工法が変わったとか、手おくれがしたことは絶対にないというような答弁は、地元としては了承しかねるのですが、その点を一つもう一ぺん御答弁願いたいのであります。
  80. 大沢雄一

    ○大沢(雄)政府委員 いろいろお話はございましたが、私どもといたしましては、技術的な理由で工法を変えたことはありましても、予算上の制約で工法を変えたことはないと信じております。
  81. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 そうすると、技術上で変えたことはあっても予算上でというのは、世間で新聞でいっておりますように、これでやれば防ぎとめもできるから、金がかからずに済むのだ、船を沈めれば大きな金がかかる、これもおくれたけれどもやむを得ないというように新聞に出ておりました。この新聞の報道は、新聞社自身が考えたことであって、政府の関知したことではない。今やっておるのは、予算上の制約はさらに受けない。先ほど申し上げたように、日本の建設省の力のある限り、現在の段階において能力のある限り、すべての技術、全知全能をあげてやっておる、こういうことに解釈申し上げることといたしまして、御異論ないでしょうか。
  82. 大沢雄一

    ○大沢(雄)政府委員 先ほど来たびたびお答えを申し上げましたが、予防対策といたしましては、これはいろいろ御意見もございましょうし、また私どもも、十分の措置を遺憾なく尽しておったとは申し上げることはできませんが、しかし、事後の措置といたしましては最善を尽くしておる、こう信じておる次第でございます。
  83. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 次にお尋ねしたいのは、緊急の場合でありましょうから手違いもありましょうが、緊急工事、特に防ぎとめなどをなさるに、一応契約という形をおとりになったでしょう。これは国が直接契約なさった個所はないと思う。県が契約したり、また国もこれに干渉してお見えになるのですが、もうゆっくり公共事業をやるのと違いまして、水につかっておる連中は、一刻も早く、一時間も早く水から救ってほしいというこの気持において、早く緒急施工の契約をなさるのですが、今度の契約上の手違いから、工事がおくれたという個所はありませんか。契約上の手違い、あるいは能力のない請負業者に契約したために、十日も一週間も防ぎとめ工事——私ははっきり言っておきましょう。能力のない請負者というものは、中には、水の中に浸っておる人のことを思わない、請負っておけばもうかる、請負っておれば何とかなるだろうというので、能力を持っております、ポンプ船を持っております、幾らでも予定の期間にできますといって、市や県庁や、あるいはあなた方に運動するでしょう。また、それをよく調査なさって御契約なさるでしょうけれども、そういうようなことで契約なさって調査の不十分から、契約なさって、実際にそのために工事がおくれたという個所はないとおっしゃいますか。そういうような手違いがあったとお認めになりますか、いかがです。
  84. 山本三郎

    山本政府委員 契約の問題は、直轄の工事につきましては地方建設局長が契約をいたします。それから県の管理の堤防につきましては、県知事が指名をいたしたわけでございます。そうして直ちに県におきましては指名をいたしたわけでございますが、指名した業者の中で変えた方がいいというのがございまして、その後変更をしたのはございます。しかし、そのためにおくれたということはないわけでございまして、おくれそうなやつにつきましては、全力を尽くしましてそれに応援をし、技術者といたしましても極力応援をいたしますし、また自衛隊等の応援も頼みまして、極力施工に努めたというのが実情でございます。
  85. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 その自衛隊の応援を求めたとおっしゃいますが、自衛隊は、国なり地方公共団体なりが直接やっておるとかなんとかいうところなら、喜んで応援申し上げましょう。けれども、請負人が契約しておるところに人夫を出すような、請負業者の利益の上持ちをするようなことは、国民の税金を保護しておるわれわれとしては承服しない。こういうことで、自衛隊は決して行かない。だから途中で——私の聞くところによりますれば、調査不十分で契約さして、自衛隊が手伝ってくれるだろう、学徒が来るだろう、学生は何も知りませんから、請負師の仕事であろうと、もっこかつぎに行ったり、土俵かつぎに喜んで行った、自衛隊は、その点ははっきりしておって行かない、だから人夫は集まらない、仕事はできない、地方ではやかましくなって、水の中におる者はけんけんごうごうとその業者に対する批判をする、こういうようなことで、調査が不十分で、請負師が手持ち一ぱいで十分やれない、あるいは資材が回らない、器材が回らない、手数がない、人夫がないというようなことでやれないからということと、やり得ないということで、再調査をして、契約を変更せられたところがあるのですよ。ないということなら私はまた言いますが、もう災害地では気分的に非常に高ぶっておる。非常に高ぶっておりますから、今日、せっかく政府が現在の全知全能、全力をあげて、これ以上の方法はないという方法でやっていらっしゃるけれども、五十日水の中に入っておる、こういう人から言わしたら、もうけんけんごうごうと、ちょっとしたことでも批判をしておる。その批判が、全然当たらないわけではないのですよ。私は、そういう点について後日もっと調査をいたしまして——私は決して政府を責めるわけではない、御苦労に対して心から感謝しておりまするが、やがてまた日本をこういうような暴風が襲ったときに、これ以上の手はない、これ以上何とも処置ができないというようなことでは、あまりにも国民が政府を信頼しないようになり、力としないようになって参りますから、今後のために、よく申し上げておこうと思っておるわけです。  次に、もう一つ申し上げますが、きょうも、委員長初め皆様方のお骨折りをいただいて、公共事業の町村負担なんかも特別なお骨折りをいただいたのですが、端的に申しますると、海岸堤防の管理というものは、ここは干拓堤防だ、ここは県の堤防だ、ここは町村堤防だというので、海岸堤防の管理がばらばらなんですよ。川にもそれはあります。直轄河川だ、準用河川だというものはありまするが、川は、ある程度集水面積の規模等がありましてやむを得ないことかもしれませんが、海岸というものは、太平洋です、海水なんです。だから押し寄せてくる水が、ここは直轄のところだから強く当たれ、ここは県、町村だから手心を加えて当たれ、こういうようなわけではないのです。と同時に、地方公共団体が非常に財政的に逼迫しておりまするから、たとい九割の補助をいただいても、あとの一割は自分で持たなければならない、だから完全な工事をしておかない。でありまするから、これがいつも切れやすいわけなんです。だから私は、これは無理かもしれませんが、押し寄せてくる水は共同の敵なんです、そうして一たん切れたら、これが回ってくるのは、その堤防が干拓堤防であろうと、県管理の堤防であろうと、どこであろうと、水は全部回るのですから、今後一つ、いろいろの御都合もありましょうが、少なくとも海岸くらいは、全部県なりあるいは国において一括した管理の方法はないものか。われわれは、県会議員当時から、盛んに町村管理の河川を皆様方にお願いをしておる。県を通じたり、あるいは県自身も働きかけておるのですが、なかなか言を左右にして、建設省御当局は、すべてを、いろいろな歴史があるとか、あるいは何とかかんとかいって、全部引き受けていただけない。だからこの海岸は、今後近い将来において、国で全部を管理するか、あるいは力ある県に管理させる方式をとっていっていただけないものか、その点を一つだけ承っておきたいと思います。
  86. 山本三郎

    山本政府委員 海岸堤防におきまして、一連の堤防があるのに、その区間にいろいろの管理地帯があるというようなことで、非常にまちまちになるというお話でございます。これは海岸堤防の歴史が、非常に作った人がかわっておるという歴史がございまして、そういうふうになっておるのでございますけれども、海岸法制定以来、各海岸につきましては主務大臣が設定されておるわけでございまして、国の目が届くようになったわけでございます。ただ、各省間において計画のそごがあってはいけないということが残るわけでございますので、その点につきましては、今回の高潮対策におきましては各省間に協議会を作りまして、少なくとも計画面におきましては一致させておこう、しかも、工事の進捗程度も各省ばらばらでないようにやろうということで、協議会をすでに発足させまして、それらの計画につきまして打ち合わせを始めております。従いまして、その結果、計画におきましても、今後の工事の進捗におきましても、歩調がとれて進めていけるというふうに考えております。  それから、国が工事をやれというようなお話でございますが、この点も、私どもは、ぜひそういうふうにした方が一連のものにつきましてよろしいわけでございまして、従いまして、今回は直轄工事ということにはできませんでしたけれども、木曽川等につながる一連の海岸堤防につきましては、国が委託を受けまして工事を一緒にやろうということにしたわけでございまして、御質疑はごもっともな次第でございますので、私どもといたしましては、極力そういうような一連の工事が、計画も工事の進捗の程度も、マッチしていけるようなことに進みたいというふうに努力いたしておる次第でございます。
  87. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 建設省御当局がその方針で今後、工事はもちろんのこと、管理にまで思いを及ぼしていただくということは、海岸に住まい、また海岸を持つものとしては大へん力強く思うのですが、ただ各省間の意見、工事の施行、工事の設計等について意見を一つにしていただきましても、結局金を出す立場、地元負担というものの立場で考えますと、これはもう県と町村というものとは比較にならないですよ。だから、町村堤防というものから今日また大きな決壊、しかもゼロ地点になっておるようなところは、何ともしょうがない、また五十日ほうっておかなければならぬですからね、それではおさまらない。だからこれらの点も、地方自治体との交渉もおありでしょうが、大いに一つ研究を進めていただきたいと思います。  最後にお尋ねしたいのは、道路関係なんです。政務次官、あちらにお行きになってごらんのことと思いますが、国道は通れなかったでしょう。日本の道路なんというものは、全く道路になっていないと私は思います。たんぽを埋めて、通るから舗装しよう、通るところを通っているだけのことで、あんなところは道路といわれないと思います。少なくとも道路だったら、ある程度の高さに基準をそろえていくべきだろうが、低いところは低いところにならしてそこを舗装して、通るからそこを道路と名づけておるだけであります。何の役にも立たない。初めてあの国道にドラムカンを並べて、道路らしい高さに持っていって道路ということにしたのですが、これでは、とてもとても、何かあったときに交通が遮断する。それで先回も話がありましたように、人心の上からいったって、物価の上からいったって、あるいはまた通勤からいっても、それは問題にならぬ大きな影響があると思うのですが、もう少し、今度の災害を契機とせられまして、たんぼを埋めて、そうして通れるところを通してそれを道路と名づけるというような、自然に高いところは高いところ、低いところは低いところに合わせていくというような、そんな道路ではなくて、ほんとうの道路を作って、何事かあらんときにも役立つように一つ考えられるようにしていただきたい。私は、今次の災害で、全く日本の道路のないこと、道路のほんとうに悪いことを非常に感じたわけなんであります。今度の海岸等も、海岸堤防をお作りになるのでしょうが、海岸堤防を一つ道路にしたらどうです。そうしてあそこを幅の広いものを作って、小公園にして、片方は道路を作って、防潮堤とか防波堤にする。そうして道路というものの国民の認識といいますか、愛知県、三重県、岐阜県等において、道路のことについては非常に関心を持っております。それと同時に、日本にこんな道路よりないかと、国道一号があの通りですから、国民の道路に対する非難というものも非常に高まってきたのですから、政務次官その点を一つお考えを願っておけば、私はそれ以上の答弁は求めませんが、一つ道路に対しても、災害から生まれてくるということを考えておいていただきたいと思います。
  88. 大沢雄一

    ○大沢(雄)政府委員 承知いたしました。
  89. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 それで、委員長に私は最後にお願いをいたしておきたいと思います。  今度の災害で、いろいろな農林関係のあれを出していただきました。近く理事会では部会なんかをお作りになって、それで、出ておる法案について深く専門的に御審議をいただけるということで、まことにありがたいことだと思う。私ももちろん、その委員会ができますれば、農林関係は特に関係が深いですから、そちらへいってまたお願いもし、申し上げたいと思いますが、今度農林関係で出ておりまする法案でございますね、それは、今度の災害が公共的な災害が多かったと同時に、特に農民個々の災害、また農民の共同的な施設について大きな災害があるのです。これが、何もかも政令政令だでやっておるのですが、その政令については、委員長も大へん御配慮いただいて、心配ない、だまされるようなことはないと思いますけれども、それはそれでいいのですが、今後出てくる法案は、きょう農林省がおらぬで何ですが、おったら、政令適用なんかのことも法案と一緒に出してくれるように、委員長からやってほしいということと、もう一つ特にお願いしておきたいのは、先のことは委員長適当にやっておけばいいのですが、特にこれから申し上げる一言、二言は、委員長において御採択を願いたいと思う。それは、大蔵省が——これは農林関係ばかりではありません。何の予算でもそうですけれども、これだけの中で災害を救ってやろう、という考え方を持っておるようにどうも私には思われる。そうでないと言われるけれども、この予算の中で災害を片づけていこうという考えのように思われますので、特に農林関係から今度の予算に出ております補正予算の金額について、私は納得のいかない点が非常に多いのです。綱島先輩もそう言っておられますけれども、非常に多いので、これから法案審議しなければならぬのでありますから、この補正予算の金額を算定した基礎資料というものを私は出していただきたいのであります。それでないと、農林関係のことばかりじゃありませんが、法案というものは、委員長よく御存じですけれども、全然審議に入れない。すなわち、どういうものかと申しますと、被害の報告書でございますね、採用被害額とか、申請被害額、査定被害額、これはまだできておりませんでしょうが、できたら一つ、及び被害の率、それから緊急事業の率、特に高率補助適用基準、今年度の進捗率、今年度の工事額、次年度以降の工事額及び率、それから入札差額というものもありますが、これがどうも予算の関係でごまかされやすいのでありますから、入札差額その他の資料というものを、一つこの委員会に御提出願うようにお取り計らいをいただきたいと思います。委員長に特にお願いを申し上げます。
  90. 南條徳男

    南條委員長 承知いたしました。
  91. 江崎真澄

    ○江崎委員 この間の決議に関連して、建設省当局から排水の進捗状況説明願うことに要求しておいたわけですが、一つお願いいたします。
  92. 山本三郎

    山本政府委員 本日までにわかりました排水の状況、締め切りの状況を御説明申し上げます。  現在まで残っております分でございますが、海部郡の北部につきましては、十日に潮どめが完了いたしまして、現在排水ポンプを七十七台、合計いたしますと三千馬力でございますが、それでこの排水の作業をいたしております。排水の完了の予定は、一応現地の報告は十一月二十五日と相なっておりますけれども、これをできるだけもっと早くやるようにということで努力をいたしておるような次第でございます。  それから海部郡の南部でございますが、これにつきましては、破堤個所が二十七カ所ございますが、二十二カ所は完全に締め切りが完了いたしておりまして、残りの五カ所中二カ所につきましては、ほぼ完了に近く、目下補強を行なっております。その他、残りの三カ所につきましては、一カ所はすでに一メートルの高さまで上がったという報告でございます。それからもう一つの個所は、全長にわたりまして、プラス・マイナス・ゼロまでの高さに上がった、一カ所だけが目下そだ沈床を敷いておりまして、その上に石を据え、土砂を据えていくわけでございますが、従いまして、海部南部につきましては、ふだん干潮のときも外に出ないというのが一カ所だけに縮まったわけでありまして、その他の個所は、干潮のときはすでに締め切りの現場が見えるという状況になっております。これにつきましては、この予定が十一月末というような今までの報告でございますが、私は一週間程度は早められるのではないかというふうに考えております。このはっきりした見通しにつきましては、もうしばらく現地の様子を見るし、またこちらからも督促をいたしますし、また、材料等につきましても、十分鉄材等も準備しておけというようなことで、目下十分過ぎるほどの材料を準備して、最後の締め切りに当たるようにということを指示しております。  それから三重県でございますが、三重県は、木曽岬という地区がございます。これは木曽川と鍋田川の間にはさまれた地区でございますが、九日の十五時に全部の締め切り個所が潮どめ完了いたしまして、排水は、今までそこにありまするポンプと、さらにほかから持ってきましたポンプ五十台、約千五百馬力でありますが、これで排水をいたしております。排水の予定の日は十一月十八日ごろということに相なっております。それから長島の北部は、すでに八日に排水が完了いたしております、次に、長島の南部でございますが、これは破堤個所が十一カ所ございまして、そのうち十カ所は完了いたしておりまして、この地区が、やはり今までの報告だと、十一月の終わりになるという報告でございますが、非常に目途が進みまして、十一月十六日を目標に目下作業中である。この通りに参りまするならば、半月近く工程が早められるのではないかというふうに考えております。それから桑名地区でございますが、桑名地区は、十一月十八日ごろには排水が完了できる。城南地区につきましては、十五日ごろに排水が完了できるということに相なっております。このうちで、海部北部が、締め切りは一応終わりましたけれども、排水が二十五日ということに相なっておりますが、これにつきましては、さらに促進するようにということを強く先日来言っておりますけれども、さらに促進しようということを考えております。
  93. 江崎真澄

    ○江崎委員 今の十日に締め切りができたことは、いわゆる延長されたあとの約束通り、こういうことでございますね。ところが、これは速記録を見ていただいてもわかるが、建設大臣は、十日に締め切りを完了すると、あとは七日間で排水は完了する、そうすれば十七日ということですね。そうすると、それにプラスなお八日間ということになるわけですね。これは堤防補強のためにする期間、これは今まで正規の発表にはなかったわけですが、一昨日でしたかにそういう話がだんだん出てきたわけです。そこで私どもが強く要求したのは、現地の自衛隊とも十分相談をして、兵員を投入するのならば、なおそれに投入する、全面的に一つこれの促進をはかってもらいたい、こういうことなんです。そこで、二十五日は数日早められるだろうという今の御報告、きっとそうだろうと思います。またそうでなければならぬわけです。今度私どもがちょっと不愉快に思っているのは、自衛隊でも山をかける癖が出てきた。可能なものに、多少二、三日先を指定しておいて、そして早めるという一つの演出効果をねらうといったような——これは私はとんでもないことだと思うのだ。これだけの被害に、そういう山をかけるようなことがあってなろうはずのものではございません。これはふざけた話なんです。しかし、実際はそういうことを今ここで取り上げて議論しようとは思いませんが、七日なり八日なりで堤防を強化して、排水が十分できるようにいくまでの距離を、やはり二日でも三日でも短縮してもらいたいということを、この間よく建設大臣に申し上げておいたわけです。政務次官、あなたはきょうはかわりですから、お帰りになったら、ぜひ一つ至急手配をしてもらいたいと思うのです。自衛隊がこれについてどの程度具体的に増加せられたのか。一体対策する、すると言っておっても——ここで一々見ておるわけではないが、われわれも連絡をとっております。そこで、ほんとうにあなたの方でも真剣に指図をしてもらわなければいけないのです。そうでなければ、この委員会が全員一致で決議をした価値が一つもない。ただ何となく熱ざましのような、トンプクを一服盛ったという、そういう不謹慎な決議になることをわれわれはおそれるので、こういうことをくどく申し上げる。だから、どうぞ一つ現地に至急手配をしていただきたい。  それからもう一つは、今の七十数台のポンプで排水をしていただくことはけっこうだが、過日も申し上げておいたように、五万の都市である津島市周辺の二十キロの奥地は、日光川が破堤をしておらぬのだから、ぼつぼつ排水にかかれば水も変わるだろうし、あるいは多少でも引かせることができるのではないか、これはもう潮どめまでできているのですから、これに衝撃を与えたりしない限り、排水をすればそれだけの水は減るというわけですから、これは奥地から減っていく計算になるわけでありますので、どうか一つ、その順序もどうなっているか、これはまた明日つぶさに御報告を願いたいと思います。
  94. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 ちょっと関連して一言……。山本さん、きょう津島から電話があったのですが、きのうから二寸ぐらい減ったそうです。だから上流地帯の方からポンプでやっているが、それで二十五日というのは、一番南の十四山や弥富、それから南の方の締め切りはどうなんですか。
  95. 山本三郎

    山本政府委員 お話もありましたので、津島の方面にもポンプをかけるよにということは直ちに指示してあります。それで、二十五日というのは、これは完全な排水の予定だと私は考えております。従いまして、多少でも人家があるところとか、高い地帯はそれより早くはできると思います。しかし、それにいたしましても、まだ十三、四日もかかるというようなことは、非常に私も長くかかり過ぎると思いますので、さらに督促いたしまして、御趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。
  96. 太田一夫

    太田委員 知多半島の上野町はどうなっていますか。
  97. 山本三郎

    山本政府委員 上野町につきましては、十一日の八時におきまして、一番深いところで残りが百十一センチという報告になっております。
  98. 南條徳男

    南條委員長 明日に続行することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後五時五十七分散会