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1959-12-09 第33回国会 衆議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十二月九日(水曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 羽田武嗣郎君    理事 井原 岸高君 理事 木村 守江君    理事 二階堂 進君 理事 堀川 恭平君    理事 中島  巖君 理事 山中 吾郎君       逢澤  寛君    砂原  格君       徳安 實藏君    橋本 正之君       服部 安司君    堀内 一雄君       三鍋 義三君    山中日露史君  出席政府委員         建設事務官         (計画局長)  關盛 吉雄君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君         建 設 技 官         (道路局長)  佐藤 寛政君         建 設 技 官         (住宅局長)  稗田  治君  委員外出席者         農林事務官         (農地局管理部         入植営農課長) 八塚 陽介君         建設事務官         (大臣官房会計         課長)     志村 清一君         専  門  員 山口 乾治君     ――――――――――――― 十二月八日  委員栗林三郎君辞任につき、その補欠として實  川清之君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 十二月七日  積雪寒冷地域道路予算確保に関する請願(坂  田英一紹介)(第一二七五号)  熊野川下流防災ダム設置に関する請願世耕  弘一君紹介)(第一二七六号)  都市防災不燃化対策促進に関する請願中島巖  君紹介)(第一二八二号)  第二松坂橋永久橋架替え請願川野芳滿  君紹介)(第一三一四号)  二ッ山こ線人道橋架替えに関する請願川野  芳滿紹介)(第一三一五号)  豊田町の砂防施設整備等に関する請願田中龍  夫君紹介)(第一三一六号)  寝屋川水系改修事業促進に関する請願外十六  件(押谷富三紹介)(第一三一七号)  同外十五件(志賀義雄紹介)(第一三一八  号)  同外十七件(大倉三郎紹介)(第一三四〇  号)  同外十六件(中山マサ紹介)(第一三四一  号)  同外十六件(原田憲紹介)(第一三四二号)  同外十五件(古川丈吉紹介)(第一三四三  号)  同外十六件(井岡大治紹介)(第一三七八  号)  北海道道神恵内、入舸、古平線を二級国道に指  定の請願高田富與紹介)(第一三三九号)  同(椎熊三郎紹介)(第一三七九号)  東海道第二国道建設に関する請願西村直己君  紹介)(第一三八〇号)  同(佐藤虎次郎紹介)(第一四一三号)  同(中村幸八君紹介)(第一四一四号)  地方道大曲、鷹巣間を二級国道編入請願(  根本龍太郎君外一名紹介)(第一四一五号)  治水事業五箇年計画完全実施に関する請願(  井出一太郎紹介)(第一四一六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月八日  治水事業予算増額に関する陳情書  (第六五八号)  新治水事業五箇年計画完全実施に関する陳情  書(第六七七  号)  公営住宅譲渡処分制限解除に関する陳情書  (第六七八号)  関門国道トンネル通行料金撤廃に関する陳情  書(第六九八号)  低額所得者用住宅建設に関する陳情書  (第七〇三号)  一級国道四号線の舗装促進に関する陳情書  (第七〇五  号)  河川総合開発事業費補助率引上げに関する陳情  書(第七〇六号)  最上川遊水地等改築工事促進に関する陳情書  (第七〇七号)  北上川中流部築堤工事施行に伴い黄海川を中小  河川編入に関する陳情書  (第七〇八号)  千厩川中小河川改良工事促進に関する陳情書  (第七〇九  号)  八王子市小宮町、日野町東光寺両地先間河川敷  の耕作に関する陳情書  (第七一〇号)  由良川改修に関する陳情書  (第七一一号)  芝川改修事業早期完成促進に関する陳情書  (第七一二号)  淀川水系治水工事促進に関する陳情書  (第七一三号)  公共事業関係事務費増額に関する陳情書  (第七一五号)  公共事業費国庫負担増額に関する陳情書  (第七一六号)  尾西地区支線排水路工事並びに処理施設工事を  補助対象事業として認可に関する陳情書  (第七一八号)  耐火建築促進に関する陳情書  (第七二〇号)  大都市災害対策に関する陳情書  (第七二二号)  海岸保全対策促進に関する陳情書  (第八三〇号)  公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部  改正に関する陳情書  (第八三三号)  中小都市公共事業費全額国庫補助に関する陳  情書(第八三四  号)  公営住宅建設用地費引上げ等に関する陳情書  (第八三五  号)  公営住宅建設基準緩和に関する陳情書  (第八三六号)  昭和三十五年度耐火建築助成予算増額に関する  陳情書(第八三  七号)  災害防除恒久的対策確立に関する陳情書  (第八三八号)  由良川及び土師川の改修に関する陳情書  (第八三九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件   国土計画に関する件   都市計画に関する件   道路に関する件   河川に関する件   住宅に関する件      ――――◇―――――
  2. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 これより会議を開きます。  国土計画都市計画道路河川及び住宅に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。山中吾郎君。
  3. 山中吾郎

    山中(吾)委員 予算関係、それから都市計画関係その他質問申し上げたいことがありますが、住宅局長だけおられますので、大臣代理のつもりで質問いたしますから、そのつもりでお答え願いたいと思います。  住宅関係で、開拓部落における住宅状況というものが、非常にみじめな状況にあるので、その点について、私は何か住宅政策としてこのまま捨てておけないような感じを痛切に持っておるわけあります。それで、その点について建設省住宅政策として特別の措置を、開墾部落住宅に対して対策を持ってきたかどうか、農林省との関係について制度的なものを大体御説明を願いたいと思います。
  4. 稗田治

    稗田政府委員 開拓地におきます入植者住宅の問題でございますが、これにつきましては、農林省の方で、入植する場合に住宅並びに営農資金補助等もくるめまして、私額ははっきり存じておりませんけれども、補助金めいめい入植者に出しましてやっておるわけございます。  そこで問題は、その住宅補助金等営農が成り立つまでの暫定的な意味補助されていると思いますが、非常に単価が低い。そこで、数年たちまして営農状態が非常に軌道に乗って、どんどん利益を上げていく入植者の村につきましては、めいめいが立てかえをいたしましたりしまして、りっぱな農家に変わっていくわけでございますけれども、営農成績が比較的上がらない入植者村等につきましては、かなり住生活もお気の毒なような状態になっておるところがあるわけでございます。そこで、前から建設省におきましても、農林省といろいろ協議いたしまして、この入植者住宅につきましては、非常に不良化してしまった住宅、これはそのままほうっておくというのもどうかということで、多少変則的な形でございまするけれども、その所在町村公営住宅というようなことで、不良住宅撤去に伴う公営住宅建設というようなことで、二、三そういった入植者開拓農村につきましても、公営住宅建設いたしました実例はございます。ただ、根本的に考えますと、御承知のように、公営住宅は原則が賃貸住宅であるという建前になっておりますので、一戸々々の農家賃貸住宅制度のままで本格的に乗り出していくというところが、若干むずかしい点があるわけでございます。そこで、われわれが現在考えておりますのは、農村住宅建設につきまして、住宅金融公庫個人貸付ワクを若干農村向けにとりまして、なお、現在住宅金融公庫がいろいろ貸付する場合の条件なり建設基準というものがございますけれども、それをもっと実情に合った、農村向けに手直しをしようということで、そういった融資制度農村住宅という制度を三十五年度からやや本格的に推進していこうというふうに考えておるわけでございます。
  5. 山中吾郎

    山中(吾)委員 岩手の場合を例にとりますと、入植戸数が一万戸くらいありまして、そのうち二千戸くらいの住宅というものは、地方ではササ小屋といっておりますが、丸太ん棒で、ササを屋根にしておるような格好で、こじきのような住宅なんです。そういうふうなものがそのままになっておるものですから、開拓部落における生活というものは、まず住宅から改造してやらないと、人道的にいっても見捨てておくわけにはいかないというふうな状況でありますので、これは今後の問題として、建設省農林省関係者との間で緊密な連絡をとって、対策を立てるべきではないかというふうに思うので、御質問を申し上げているわけです。  それで、今の御答弁では、最初の建設の場合については、建設省住宅政策対象にはなっていないということですね。できたものを今度改造する場合に、建設省住宅政策対象として、金融措置その他については考慮する、こういうことの御答弁のようでしたが、そうしますと、開拓当初における住宅については、建設省関係がないという立場に立っておるわけですか。
  6. 稗田治

    稗田政府委員 建設省としまして、現下の住宅難を解消するというので、政府施策住宅建設戸数等を大体予定を組みますが、その中に建設省が直接関係をいたしております公営住宅であるとか公団住宅公庫住宅というのは、直接密接な関係があるわけでございますが、そのほかに政府施策住宅の中に、その他住宅といいまして、例の厚生年金見返り融資等によるものを毎年三万戸程度あげてございますが、その中には、農林関係入植者住宅戸数も入っておるわけでございます。従いまして、政府で立てます住宅供給計画の中には当然入植者住宅は入ってきておるわけでございますが、予算関係といたしましては、建設省が直接扱っていない、こういうことになるわけであります。
  7. 山中吾郎

    山中(吾)委員 これは、農林省関係の方が来たら質問申し上げたいと思うのですが、三十一、二年ごろの開拓者住宅補助が三千円くらいであったのだそうですね。いなかでは三千円住宅という言葉を使っているんです。だから、ほとんど住宅の形をなしていない貧弱なものですね。私は、何か特殊の目的を持った住宅政策予算を特別に立てなければ、これは解決しないのじゃないか、たとえば大都市スラム街住宅改良、あるいは農村開拓部落というものについての住宅という特別の目的を持った住宅政策を、今までの一般住宅政策に対して特別の項目で対策を立てないと、ほとんど解決できないんじゃないか、そういう特別の目的を持った住宅政策建設省住宅政策として取り上げていくべきなので、農林省における住宅政策にまかしておくということはできないんじゃないか、その辺を、農林省関係建設省住宅政策関係について、今までそういう矛盾についていろいろとお話し合いをしておられて、それについてのこういう悲惨な状況について、将来の対策を立てられる意思がおありかどうか、それを来年度の予算というものの関係においてお聞きいたしたいと思います。
  8. 稗田治

    稗田政府委員 入植者住宅につきまして、従来からも農林省関係当局と十分打ち合わせはいたしておるわけでございます。そこで一番問題になりますのは、たとえば先ほど申し上げましたような不良住宅化しましたものを、これを公営住宅建設という形で救済したものも若干ございますが、その場合にも、一番根本的に問題になりますのは、やはり農村住宅でございますと賃貸性というものが若干薄い。従って、公営住宅であるとか、公団賃貸住宅といったような形では、本筋から申しますと、本格的な供給はできないわけでございます。そこがわれわれ非常に苦慮しておることでございまして、農林当局におきましても、当初におきましては、営農近代化というようなことを考えまして、新しい農村集落部落を作る。つまり農村住宅街を作るような考え方でございますが、そういった考え方でございますと、地方公共団体と国と協力をして公営住宅建設が非常にやりやすくなるわけでございます。当初農林当局も、そういった営農近代化についても入植者について指導をいたして、そういった住宅集団住宅にいたしたいという希望で、実は試みに先ほど申し上げましたような不良住宅撤去に伴う公営住宅建設というやり方で、二、三の例をやろうとしたわけでございます。ところが、残念ながらやはり日本の農業の現状から申しますと、めいめい入植者考えが、近代的な農業経営をするというところまで、かなり考え方に格差があるわけでございます。そこで、やむを得ず中途半端な、集団住宅とは申せない形で公営住宅建設ということをやったわけであります。そこで、今後におきましては、やはり一応都市における勤労者については、ささいながらも文化的な住生活を味わえるような住宅供給が国の施策によって行われておるのでございますが、農村につきましては、同じような文化的な生活を営むように、これは住宅不足戸数という意味から離れて、農村住宅もそこまで引き上げていかなければなるまい、ぜひそういうように発展さしていくべきだというように私は考えております。それで、いろいろ来年住宅金融公庫における農村住宅建設に対する融資ということも考えておるわけでございますけれども、問題が非常に各種の問題を含んでおりまして、確定的にこういった制度でいけば農村には一番ぴったりするのだというところまで、確信のある施策を立案するまでにはまだちょっと時間がかかるのではないか、そういうように考えておるわけであります。
  9. 山中吾郎

    山中(吾)委員 大体お話によって、いろいろとお考えになっておられることが明らかなので、敬意を表するのですが、もしある開拓部落あたりが、集団住宅というふうなものに対して、一致して、われわれも集団住宅を建ててもらうことによって新しい農業共同化も含んでやっていきたいからという地元協力があれば、そういう集団住宅を建てる可能性は来年度においてあるかどうかということと、それから第二に、公営住宅賃貸住宅であるから、開拓農民家賃を払う能力がないので、実際にはこの制度上困難だという御説明だったと思うのですが、そうですね。——公営住宅を建てて、そうして当分の間営農が成り立つまで数年間、もし必要なら家賃を免除してやるというような、そういう開拓農民に対して特別の、いわゆる特殊目的を持った住宅政策、私が申し上げたのは、特別の指定補助、たとえば補助をする。金融公庫を使う場合についても、開拓部落のために住宅を建てる場合については、特別の補助ワクを広げるとか、金融ワクを広げる、あるいは市町村において公営住宅を建てた場合には、その家賃を免除する制度を、国の力によってそういう道を開く、そういう措置を含んで、私は特殊目的に対する住宅政策をお考え願うべきじゃないかということを先ほど申し上げたのですが、今申し上げた二つの点についてお答え願いたいと思います。
  10. 稗田治

    稗田政府委員 先ほど農村住宅賃貸性につきまして申し上げました理由は、家賃支払い能力について申し上げたのではなしに、本来農村住宅というものは、貸家として供給するのでなしに、持ち家として供給した方がより適切ではないか、農村の一戸々々の開拓者住宅についてでございますが、やはり貸家として居住者が変わるという場合は少ないのじゃないかというところで、賃貸性につきまして多少疑念を持っておるわけでございます。そこで、来年度の予算実施にあたりまして、たとえば入植者全部が一致しまして一つの新しい農村集落形態を作る、そういうようなところまで意見が固まって参りますれば、現行の公営住宅におきしても、あとの管理等から考えまして、集落形態になって参りますれば、賃貸住宅として一応経営は成り立つものでございますから、入植者住宅が非常に悲惨な不良化した状態であれば、これは特定入居もできることになっておりますので、実施の段階で可能であるというように考えております。なお、家賃の減免についてでございますが、御承知のように、三十一国会におきまして、公営住宅管理合理化につきましても、皆さんの御賛同を得て法律が制定されたわけでございまして、あの法律に基づきまして、各県各市等公営住宅管理条例というものを今改正しておるところでございます。そこで、低額所得者であって家賃負担力の少ないものにつきましては、減額をするということを一応明記するようになっておりますので、今度の改正公営住宅法によりまして、各事業主体減額によって営農の一応軌道に乗るものをある程度減額をするということは可能になっておるわけでございます。これにつきまして、国としまして特別にその減額につきましての家賃の差額の補給というようなところまでは、現在のところは考えていないわけでございます。
  11. 山中吾郎

    山中(吾)委員 建設省では、各市町村長に対して、入植部落に対する市町村営住宅を建てる場合については特別の便宜をはかるとか、いろいろのことを指示される意思があるかどうかということをお聞きしたいのです。というのは、各市町村でそういう悲惨な開拓部落住宅状況が明らかであっても、そういう方向に特別の特典を与えるという中央からの指示がない限りについては、どうしても軽視をして建たないのですね。岩手の場合に、二千戸もそういうこじきのような住宅に住んでおる入植者があるのに、一年に五、六戸しか建たない。そういう関係があるので、建設省から、今の住宅を改造し、あるいは集団住宅に賛意を表して、そういうふうな地元協力というのが前提となるべきでありますけれども、特別の配慮を市町村長が払って、力を入れるようなことを指示することはできないかどうか、それをお聞きしたい。
  12. 稗田治

    稗田政府委員 従来から開拓者住宅につきまして、いろいろ建設省として農林当局打ち合わせしてやっておりました分も、一応モデル・ケースという程度の範囲を脱していなかったわけでございます。それで、なおわれわれ建設省としてこの問題を取り上げる場合には、場所のいかんにかかわらず、不良住宅である、従って不良住宅撤去しなければならない、で、撤去された居住者公営住宅特定入居させる、こういう考え方でいっておるわけでございます。特に開拓者という考え方でやっておるわけではないわけでございますが、ただ農林当局や何かといろいろ打ち合わせをしまして、開拓者村につきましても、そういう不良化したものにつきましては、一応モデル・ケースとして実施してみようではないかというようなことで、二、三年前に若干そういった試みをやったわけでございます。今後のことにつきましては、なお農林当局とも十分打ち合わせした上で考え方をきめたい、そういうふうに思っております。
  13. 山中吾郎

    山中(吾)委員 局長の言われておる考え方は、たとえば不良住宅については特に撤去をするとか、改良するという方針をとってきたというのは、都市中心で、いわゆる都市の非衛生的なスラム街に近い地域対象になっておるということだと思うのです。大体住宅政策にしても、建設行政思想の中に、都市中心主義思想がずっと伝統的に流れておるので、農山村に対する建設行政が、住宅にしてもあるいは農村計画にしても、そういうのが非常に手薄であり、抜けておるといつも私は思っておるので、今お話になった思想の中にも、不良住宅の改造というのは、地域を限定せずにといわれておりますけれども、それは都市住宅だと思うのです。特に農村の場合に、開拓部落のああいうふうな住宅というふうなものは、不良住宅だといったところで、それは当たってこないと思うのです。非常に非衛生的で、周囲の環境がよろしくないということを前提として不良住宅といっておるが、都市に限定されると思うのですね。ああいうところは農山村ですから、それで不良住宅といっても、隣人には影響を与えないのですから、私は特別にやはり開拓部落というものをはっきり指定をして、それについての住宅政策を特にわれわれは考慮するからということを出していただかないと、今までの指示では、それは当たらないのではないか、そう思うのです。それを農林省と御相談願いたいと思う。農林省入植課長ですか、おいでになっておるのでお聞きしたいと思うのですが、今住宅局長に私御質問申し上げておる内容は、入植部落住宅のことなんですが、私は岩手であります、岩手だけの問題ではなくて、全国の問題でありますけれども、岩手の現実は一万戸の入植者があって、そのうち二割の二千戸くらいは、丸太ん棒の掘立小屋に住んでおるという状況で、これは課長さんの方が十分御承知住宅事情だと思うのですが、このままで捨てておくべきものではない。ことに入植者の場合には、まず住宅を建ててやって、せめて住む場所を安定をして、それから初めて開拓農業というものが進むのだと思うのですが、農林省開拓事業の着眼の中に、住宅政策が非常に軽く見られておるのじゃないか。聞くところによると、三十一年ごろの開拓農民に対する住宅補助は三千円ぐらいで、いなかへ行きますと、われわれの方で三千円住宅というような言葉がはやっておるわけでありますが、そういうふうな状況では、私は人道的な立場からいっても、あるいは開拓農業の推進という立場からいっても、一番大事なものが抜けておるように思うので、今までの農林省のとってきた開拓関係住宅政策について、私の今申し上げること以外に十分考慮を払われておるか、対策をとっておられるならば説明していただきたいし、これで十分ではないとお考えになっておるならば、今後の対策についてお聞きいたしたいし、それから建設省住宅政策関係においてどういう御連絡をとって、責任のある入植者住宅に対する措置をおとり願っておるか、その点の大体のことを御説明願いたい。
  14. 八塚陽介

    八塚説明員 ただいまお話しになりましたように、実は終戦後間もなくの開拓政策は、緊急という名が示しますように、非常に早急に多くの人を、いわば僻地へ送り込んだということになっておりまして、当時の考え方は、とりあえず奥地で開墾をしてもらうという格好であった関係上、お話にありましたような、いわゆる三千円住宅というような格好になっておったのであります。当時としまして、資材の関係補助金関係というものが円滑にいかなかったり、あるいは開拓者のいわば生計費そのものというものが乏しかったりいたしまして、現在非常な悪い形のままで残っておる点は、御指摘の通りでございます。その後、御承知のように開拓者の中にも、ごくわずかではございますが、かなり優秀な成績をおさめておるものもあるわけでございます。一方依然として非常に営農が不振の状況に陥っておるものもございます。大部分はある程度自分の家につきまして、その緊急開拓当時の古い家を直し得るように、まあまあその程度まではいっておるのじゃないかと思いますが、やはりどうしてもそこまで手の及ばないという人が、岩手で、今お話にありました二千戸というようなことでありましたが、あるいはその程度は確かにあると思います。私どもとしましては、その後単価につきましても、漸次上げておるつもりでございますが、やはりまだ不十分であるというふうには考えておりまして、通常の新しい入植者に対する補助単価等も今後機会を見て上げていきたい。それから今すでに、当時入りまして非常に老朽した住宅改築の問題でございますが、北海道につきましては、実は改築予算をとりまして、大体その事業が終わっておるのであります。考え方としましては、内地もそういうことを及ぼしていきたいというふうに思っておりますが、まだこの点は、予算的には確定せられておらない状況でございます。当初の開拓考え方は、とにかく入っていって手で起こしてという、今から考えますとまあやむを得なかったかと思いますが、行き方としては非常に反対であったのじゃないか、従いまして、昨今では、やはりある程度住宅も早く建ててもらうというふうな考え方で、これはごく一部でございますが、機械開墾地区、そういうところでは、むしろ住宅の施設も当初に早くやっていくというやり方にしておるつもりでございます。なお建設省との関係でございますが、私どもの方も、今回の災害等におきましても、いろいろごめんどうを見ていただくようになっておりますし、従来ともいろいろお打ち合わせをいたしておるわけであります。ただ開拓者というものは、先ほども申し上げましたように、ピンとキリとが非常に離れておりまして、ごく一部の優秀な農家は一般の企業家並みに、あるいは企業家以上に、通常の住宅政策のべースに乗り得るかと思いますが、これはごくわずかにとどまるのじゃないか。やはり開拓者に対する住宅は、補助ということで、今後も私どもとしては進めていかなければ実情に合わないのじゃないかというふうに考えておるわけであります。非常に大ざっぱでございまして、なお計数的にいろいろ御説明する必要があればいたしますが、一応以上お答えいたします。
  15. 山中吾郎

    山中(吾)委員 今お答えのように、開拓農民にはピンからキリまで確かにあるわけですが、住宅はピンからキリまであってはいかぬと思うのです。住宅法あるいは住宅金融公庫法にしても、すでに法律の第一条に、最低の文化生活ができるに値する住宅という思想の上に、社会保障の思想にしろ何にしろ立っておるのですが、農林省の行政からいきますと、営農という立場からいつもお考えになるのです。開拓の場合には、住宅政策がはっきり入っておる総会的な行政でしょうから、少なくとも住宅政策については、建設省のそういう思想と同じ土俵の上に立ってこれを解決しなければならないのだ。課長の今のお話思想の中には、営農として考えておられるから、開拓農民にはピンからキリまであるという思想と同じように、住宅もピンからキリまであるのはやむを得ないという考え方に立っておるので、私はこういう点については、各省の中に建設行政の国の住宅政策を担当した者があるのですから、そういう共通の思想に立って、緊密なる連絡をとって、今後の開拓農民住宅はピンからキリまでないようにしていただきたい。最低の文化生活、少なくとも人間の住む程度住宅は確保することを、責任を持って両省でやっていただかなければいかぬのではないかと思うので、それで、今掘立小屋のような状況にある住宅の改良については、一つぜひ、集団住宅というふうなことの構想の場合には、建設省もそれについての措置考えられるということも言っておりますし、あなたの方の農業協同化という思想とマッチする場合もあると思いますし、何かもっと緊密に連絡をとって、来年度予算の裏づけを前提として対策を立てるように、一ついろいろと御相談を願いたいと思います。北海道だけは予算化したが、他の方はというお答えについても、われわれも非常に問題があるのですが、なぜ北海道だけが予算措置ができて、同じ開拓農民という点については、北海道と東北、特にああいう寒冷地帯については別な差別行政をすべき理由は一つもないのですから、開拓農民という立場というものは共通したものだと思うので、その点も一つ考え方を切りかえて、そういう行政が進むように希望をいたします。
  16. 八塚陽介

    八塚説明員 私の御説明が若干不備であったかと思いますが、私どもといたしましても、確かに営農状況はピンからキリまでございますが、住宅としましては、もちろん一定の規格以上ということで現在は考えておるのでございます。ただ時間的に考えますと、終戦当時入った人たちの住宅は、当時としてはそろっておったのでありますが、今から考えると、非常にひどいものになっておる、そういう実情でございまして、考え方といたしましては、もちろん同じ程度住宅は、少なくとも最低限そろえなければいかぬというふうには思っておりますが、その点、そういうつもりでやっておるつもりでございます。なお、私どもの入植者住宅のうち、非常にひどいというのは約八千戸あるというふうに考えております。その八千戸につきましては、先ほども申し上げましたように、今後努力をいたしまして、改築補助金を出せるようにいたしていきたい。その点については、現在考えております最低限の、少なくとも規格に合うことができるように考えておるつもりであります。北海道を先にいたしました点につきましては、例の北海道開拓では居小屋という感覚で、開墾中はササぶきの掘立小屋にいるという行き方をやったものでありますから、とりあえず早急に手をつけたわけでございまして、今後改築等の施策をもし進めていきますとするならば、当然積雪あるいは寒冷地帯から進めていくことになろうと思いますので、御了承願いたいと思います。  なお、今後のいろいろ住宅政策につきましては、私どもやはり一部分の仕事でございますので、至らない点が非常に多くあろうかと思います。そういう意味におきまして、十分建設省の方の御指導を受けて進めて参りたいと思っております。
  17. 山中吾郎

    山中(吾)委員 今のような措置対策をお立て願いたいと思います。  それで、河川局長にお尋ねします。治水予算についての論議の中に、特別会計は設定するけれども、予算の面については、建設省の三千七百億の計画に対して、企画庁は二千九百億くらいでいいと言い、大蔵省は二千五、六百億円くらいでいいと言うので、予算の面について見解の相違があって対立しておるというふうにうわさをされておるわけなんですが、その点について建設省としては、既定の通り、国土保全の立場からは大体三千七百七十億ですか、そういう計画が科学的に見てどうしても必要であるという確信のもとに要求されておると思うのですが、その点、方針が変わっていないかどうかということと、それからその計画の中に、災害対策費を含んでおるのではないかと地方の人が心配をしておるわけです。含んでおるかいないか、それをお聞きしたい。
  18. 山本三郎

    ○山本政府委員 お説の通り、三十三年度以降五ヵ年間で三千七百七十億治水事業計画を立てまして、これに基づいて大蔵省に要求をいたしておるわけでございます。この中には、災害の復旧対策事業は含んでおりません。
  19. 山中吾郎

    山中(吾)委員 新聞を見ますと、愛知県の高潮対策費がその中に含まれておるように書いているのですが、間違いありませんか。
  20. 山本三郎

    ○山本政府委員 建設省といたしましては、三千七百七十億というものは、すべて砂防、河川改修、多目的ダム、それから海岸の改良工事。海岸の改良工事は含んでおりますけれども、災害復旧は含んでおりません。また災害関連事業も含んでおりません。
  21. 山中吾郎

    山中(吾)委員 念を押すためにお聞きしますけれども、建設大臣は、災害復旧事業の中に改良事業というものを大幅に入れて、原形復旧の原則からとって、いわゆる改良事業というものも災害復旧として、愛知県のような場合については、原形復旧の費用と同額くらいのむしろ経費がかかる見込みでいるということをこの間答弁されて、それは現行法からいうと、原形復旧の思想の中に予算というものは計上されざるを得ないから、おそらく治水計画の費用の中に取り込まれて、そしてあの改良工事が行なわれるのじゃないかという質問をしたら、そうではないと答えられた。今局長の言われている、海岸の改良事業は含んでいるというのは、いわゆる災害復旧の改良事業以外をさしているのか、あの海岸の高潮対策として、災害対策事業として考えている海岸の改良復旧を含んでいるとすれば、これは大へんなことだと思うのです。その点を御説明願いたいと思います。
  22. 山本三郎

    ○山本政府委員 今建設省で立てております三千七百七十億の中には、この間大臣が申し上げました伊勢湾の高潮対策についての改良復旧分は含んでおりません。
  23. 山中吾郎

    山中(吾)委員 それで一応安心をしましたが、地方では非常に心配しているのでお聞きしたわけであります。  次に、計画局長にお聞きします。臨海地域開発促進法案が国土総合開発特別委員会へ提案されて審議されているので、局長はそれを中心としていろいろと意見を述べられていると思うのですが、建設省の方では、昨年でしたか、私の手元に新都市開発公団の設置についてのパンフレットをもらっているわけであります。この内容は、臨海地域を埋め立てて、総合的な新都市を開発するという構想のもとにそれを行なう公団を設置するという内容であるので、私は非常にいい構想だ、これならば、一つの都市計画として総合的に矛盾のない都市ができ、そして海岸の高潮対策を含んでりっぱなものができ、あとで矛盾がなくなるのだと思ってむしろ賛意を表しておったわけでありますが、こういう構想と今度の臨海地域開発促進法案の構想とは両立しているのか、また違った構想なのか、その辺のところを御説明を願いたいと思います。
  24. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 ただいま御質問のございました点は、要するに建設省といたしまして、かねてから国土計画立場からいたしまして、特に国土の普遍的な開発と申しますか、と同時に、一面緊急的には、産業並びに人口というものが放置しておくことができない状態に相当急激に増加している。その関係から、宅地の供給というものを一定の計画のもとに合理的に進めていかなければならない、これが一つの当面の課題でございまして、実は昭和二十七年以来その研究をいたしまして、これが政府部内といたしまして、できるだけそういう線に沿って取り上げられることを期待して建設省としては立案し、また今日まで研究をいたしまして検討してきたのでございます。その一つが、ただいま御質問のございました新都市開発公団という思想でございまして、そのねらっております点は、いわゆる宅地と私が今申しましたのは、工業用地はもとより住宅用地等、いわゆる農地としての造成にあらざるそういったような土地を総合的に開発をする。その宅地の造成の場所といたしましては、臨海地域もありますし、また内陸部もあるわけでございます。それらの地域につきまして、国が一定の計画のもとに宅地造成の投資をいたしまして、地方公共団体等による事業計画だけではまかない切れない分量を考え、かつそれを都市計画法の施行によりまして、総合的な公共施設もさらに加えていこう、こういう関係でいろいろ進めておったのでございます。ただその後三十三年におきましては、運輸、通産両省におきまして、臨海工業地帯造成公団というものが同時に政府部内におきまして要求が出ましたので、その間において調整がはかられました結果、三十三年度の際に、三十四年度要求の形といたしましては、工業地帯開発公団という形で今一本になった、こういう経過をたどっております。ただいまのお話の点は、そういったような建設省本来の新都市開発公団、これと臨海地帯開発促進法と、こういう観点でどういうふうに考え得られるか、一方は総合的であるし、一方は部分的ではないか、こういう御質問でございますが、これは、やはり主として産業なり人口なりの集中しておる今のような事態を計画的に処理するという形におきまして、いずれもそのねらっております点は重要な地帯の開発でございます。今の促進法は、もっぱら臨海部を中心にいたしまして、臨海部が一定の計画のもとに基本的な線に沿って開発され、また造成され、また整備されるということを考えておる立場法律である、こういうふうに理解しておりますが、内陸部につきましても、やはりそれと同じような精神で、手法で考えなければならぬ、そういう意味におきましては、内陸あるいは臨海部、それらを通ずる一つの基本というものがなければならない、その意味におきましては、それはやはり総合的な計画でなければならないということで、その計画に根ついたものが一部内陸であったり、あるいは臨海部であったりする、こういうふうな地域の分担が分かれたのだ、こういうふうにわれわれ考えておるのでございます。
  25. 山中吾郎

    山中(吾)委員 その臨海地域についての新都市建設という思想が、あの法案の中に、むしろ私は総合的にはないと思うので、あれは埋め立て公団ですね。その埋め立て公団のような思想を持っておると、下水道とか衛生設備その他を含んで総合的にやらないものだから、非常な矛盾ができて、あとで国民から怨嗟の的になる結果が出るのだと思うので、私は最初から総合的な新都市開発公団というならば、これは人口集中排除という思想もはっきり入って参りますから、国土の計画に非常にいいと思うのであります。それで建設省が、これが最善だと思って昨年からこういう構想を持っておったのですから、今の部分的なああいうふうな思想を持った法律に賛成する思想の変遷は、私は認められないと思うのですが、向こうでは、あの法案に賛成の答弁をされておるのでしょう。そこで、どうも矛盾があると思う。日本の国土建設の良心に従って、反対するなら反対していいじゃないですか。この構想と建設省のなにが一致しないその点、どうです。言える範囲内において率直に話していただけませんか。
  26. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 この臨海地域開発促進法がねらっております点は、これは議員立法でございますので、提案者が当該委員会におきまして表明せられております考え方、またこの法案の中におきましても、すでに審議会等の設置から始めまして、臨海地域指定、基本計画の内容等につきましても、経済企画庁が、本法案が成立しました場合におきましては、その事務を担当することになっておりますので、政府を代表しまして企画庁が答弁をしております事柄、それらを総合いたしまして理解をいたしますと、ただ単に埋め立てをねらっておる法律にとどまらず、この法律のねらっております臨海開発地域指定というものは、いわゆるこの国土計画なり、あるいは地方計画的な観点から、所要の考慮を払った上で適当なる地域の決定を行なわなければならない。しかもそれは、単に埋め立てのみではなくて、土地の造成にとどまらず、利用及びこの関連諸施設の整備ということに関する総合的な計画というものがこの当該地域に立てられまして、その地域における計画実施する場合につきましては、別に特別の機関を法律でもって設置する、こういう仕組みになっておるので、従って、この法律のねらいは、単に土地造成だけではなくて、やはり先ほど山中先生のおっしゃったような広い意味の総合的な土地の利用計画というものを、相当な広域の地域にまたがって考えた場合に、この地域なり、あるいはこの地域の開発なり、またその地域と背後地を結ぶところの交通幹線なり、あるいはまたその地域における造成さるべき土地、あるいは施設の規模だとか、あるいは整備の対象となる公共施設等を初めとした施設を総合的に実施する一つの計画が、この基本計画というものである、こういう説明と、またその意思で提案者が作成せられたことになっておりますので、従って、先ほどお述べになりました新都市開発公団の構想は、臨海部と内陸部と両方担当することになっておりましたが、今回の促進法の担当分野は、一部臨海部に直接接続した内陸部はもとより入りますけれども、おおむね分けますと、臨海部と内陸部、臨海部の方にその促進のねらいを置いた法律である、こういうふうにわれわれ理解をいたしております。しかしながら、いずれの手法によるにいたしましても、やはり国土の総合的な基本的な計画に根づいたものでなければならない、こういうふうに考えております。
  27. 山中吾郎

    山中(吾)委員 御説明のように、あの法律は総合性が少しもないと私は見ておるので、もう一回だけ聞きますけれども、臨海地域促進事業というような事業を見ますと、その事業計画の九割九分まで埋立事業と書いておる。あと一分くらいなにか入っておるのですね。だから事業計画を見ますと、あれは埋立事業を中心とするものであるということを事業計画の中に書いてあることが一つと、それから国土の総合計画というその性格が一つもない。一定の部分々々、埋め立てできるところをただ埋めるというだけですから、全国の国土の総合性には関係がないので、これは新都市開発計画という実体だけだと思うのですね。Aという地域を埋め立てすることによってBという地域に高潮の影響があるから、総合的な関連を持って、全国のABCという埋立地域の中に、やはり片一方埋めれば片一方にどういう施設をしなければならぬというような国土計画のなにまでの性格は持っていない。ただ埋立地域だけ埋め立てていくというのと並べて、全国の総合計画だとあれは称しておるので、看板に偽りがあると思うのです。一つの水系をとってきて、いわゆる総合開発計画によるところの地方計画というのは、上流にダムを作ることによって下流の洪水を防ぐという、そこに全地域についての有機的連関があるので、これは国土総合計画として立てなければならないし、その内容を持っておるわけですけれども、あれは総合には何も関係はない。だから、御説明を幾らされても、この新都市開発計画ということを一歩も出ていないように思う。それを、今度は内陸部と臨海地域にさらに分けておるところにも、変なところがあると思うのです。その点、これは議員立法なんだから責任がないというようにお考えにならないで、やはり行政の立場からこれは欠点が出ると思えば、堂々と意見を述べられてしかるべきだと思う。私は向こうの委員会に行ってなおお話をすればいいのですが、その機会がないのですが、私が申し上げておるのは、事実を間違いなく受け取って、この問題を間違いのない方向に持っていくべきだと思うのでお聞きしておるのですが、私の今申し上げておる考え、見方については、どこか間違いを犯したところがありますか。
  28. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 間違いを犯しておるところがあるかということについては、何とも申し上げられませんが、今一番重要な点について御心配になっておられる点は、要するに必要なところをただ埋め立てるという観念で国土を造成するというようなことはいかぬ、そういうことの一点ばりに考えておるきらいがあるのではないか、やはりそういうふうなものであってはならないという形につきましては、私たちも全く同様でございます。従って、今回のこの促進法の中にも、私がただ観念的に申し上げておるのではなくて、先ほど申しましたように、国土の総合的な開発計画に根づいたものでなければならない、そういうことを行政的に確保する方法は、一体何であるかということで、いろいろ議論があったのでございますが、これが国土総合開発法の立法例に準拠いたしまして、この促進法の「基本計画の樹立等」と書いてあります第三条の規定におきまして、基本計画を内閣総理大臣が定める場合におきましては、建設大臣を通じまして、都道府県知事の意見を聞く、この建設大臣という意味が、まさしく先生の御指摘になりました、いわゆる国土の総合的な開発計画というものを所管いたしております建設大臣というものが、地方の府県の意向をとりまとめて、そうしてこの計画に反映する、こういう形をとっておるわけでございまして、国土総合開発法という一つの法律もあるし、またこの臨海地域開発促進法案という法律案もある。これはやはり一般法と特別法の法律的な関係になる、こういうふうにわれわれは理解いたしております。  ただ、お話の点は、立法論として、臨海のみを取り上げることなく、その他の内陸部分を含めた意味合いにおける新都市開発構想の法律を作って進んでいくべきじゃないか、こういう立法論につきましては、これはいろいろ御意見ごもっともな点もありますが、つまり臨海以外の宅地につきましては、これはずいぶん歴史的に古いのでございますが、昭和三十年に、建設省におきまして、宅地開発公団という案を作りまして、やはり予算を要求いたしました。その結果、三十一年から住宅公団に宅地部ができまして、これが要するに宅地造成、それから一部工業用地の造成及び工業用地の埋め立て等に関する事業も行なうごとに法律改正されまして、三十一年からその事業公団として行なっております。なおこの宅地の造成等につきましては、宅地と申しますか、工業用地を含む造成につきましては、地方公共団体の宅地造成事業に対する起債等の事業も行なって、今日進んでおりますが、つまり今お話しの意味を私なりに理解いたしますと、それらを一つ総合したものを考えるべきじゃないか、こういうことでございますので、これは立法論としては、御意見としては十分われわれも御参考にさしていただきたいと思っております。
  29. 山中吾郎

    山中(吾)委員 私は、これで終わります。
  30. 羽田武嗣郎

  31. 中島巖

    中島(巖)委員 きょうは大臣が見えませんので二、三道、路局長に質問しまして、また次の機会に大臣のおるときに質問いたしたいと思います。  そこで、基本的の問題といたしまして、昭和三十三年度から、例の岸内閣の内政面の柱ともいうべき道路整備五ヵ年計画が樹立したわけであります。そこで、三十三年、三十四年度なんかの予算は、五ヵ年計画の一兆億予算の中から見ますと、一年当たりの額が非常に少なかった。しかし、それは最後へ持っていって大きく予算を計上する、こういうような説明でありました。そこで、いよいよ来年度予算は、五ヵ年計画の第三年を迎える段階になってきたわけだ。従いまして、かりにこういうような大きな台風があって、それがためにあるいは予算を若干削るとか、あるいは国の財政収入が多くてある年にはふやすとか、いうようなことも、国の財政需要関係によってあるだろうとわれわれは思うのです。しかしながら、そういうことがあるにしましても、大体の第一年度は幾ら、第二年度は幾らという五ヵ年間の計画というものは必ず樹立しておるだろう、こういうように考えるわけであります。従いまして、具体的な問題といたしまして、この一兆億の五ヵ年計画予算に対して、三十三年、三十四年度の予算は何%に当たるのであるか、来年度の三十五年度におきましては、何%ぐらいを計上しておるのであるか、この基本的の問題についてどういう立案をされておるか、御意見を承りたい。  さらに、具体的に三十五年度におけるところの道路整備費の全体予算はどうなるか、この点をお伺いしたい。
  32. 佐藤寛政

    佐藤(寛)政府委員 道路整備五ヵ年計画事業予算の既往の規模、並びに来年度ただいま要求しております規模等についての御質問かと存じますが、御指摘のように、この五ヵ年計画の第一年度である三十三年度の予算のときには、御承知のように、まだ道路整備五ヵ年計画の閣議決定が決定になっておらなかったわけです。いろいろな理由がございまして、必ずしも計画において予想しておったような予算をきめていただきまして実行する、こういう形にはなっておりませんでした。第二年度、すなわち本年度でございますが、本年度におきましては、この三十三年度を除いた四ヵ年の残事業、それに対しまして、おおむねガソリン税収入のガソリン税の割合に応じまして要求いたしたものでございますが、これにつきましては、三十四年度は、数字的におおむねその程度予算が確定に相なったわけでございます。言葉をかえますと、三十四年度につきましては、計画的に、計画通りに予算が決定に相なった、こう申すことができるかと思います。もっともこれにつきましては、先般の伊勢湾台風その他において若干節減をいたしましたが、これは別といたしまして、当初予算計画通りきまったわけでございます。  それから来年度、三十五年度につきましては、私どもといたしましては、もちろん国全体の予算状況は非常に困難な事情にあるかと存じますが、道路整備事業につきましては、道路整備五ヵ年計画という計画に基づいて実施いたしておるわけでございますから、ただいま要求しております予算は、今後に残っております計画上の事業に対しまして、やはり本年度と同じように来年度期待されるガソリン税の割合によって要求することにいたしております。その割合を数字で申し上げますと、ちょうど残事業の三〇%に相なるようでございます。すなわち、残事業の三〇%に相当する事業実施するに必要な予算を要求いたしておるわけでございます。これは五ヵ年計画分でございますが、この五ヵ年計画に対しまして、さらに私どもといたしましては、昭和三十九年度に開催がきまっておりますオリンピックのためにいろいろな準備をしなければならない道路事業があるわけでございます。これらの道路事業の中には、もちろんただいま実施いたしております道路整備五ヵ年計画の中に含まれているような事業もございます。しかしながら、やはり三十九年に東京で開催されるという現実の事情を勘案いたしますと、それまでにその五ヵ年計画に入っておらない事業であって、どうしても間に合わせたいというものがやはりあるわけでございます。それらのうち、来年度から着手をしておかないと間に合わなくなるおそれがあるというようなものが若干ございまして、これは、それを事業予算にいたしますと約七十億でございます。オリンピックのために準備しなければならないその程度事業がございます。それと、先ほど申しました本年度において災害のために節約いたしました予算、これは、本年度はいろいろな事情で節約いたしたわけでございますが、道路整備を五ヵ年計画通り遂行するために、本年度その節約した分は、やはり来年度においてそれを実施し得るようにいたしたい。これらのものを合わせまして、来年度において予算要求いたしておるわけでございますが、その数字の全般は、ただいま要求しておりますのは約千二百二億でございます。私どもといたしましては、この国の大事業、閣議決定のもとに実施しております道路整備五ヵ年計画を、やはり来年度におきましても予定通り遂行させたいものと存じまして、ただいまいろいろ準備をいたしておる次第でございます。
  33. 中島巖

    中島(巖)委員 重ねてその点についてお尋ねしますが、今ここでこまかい数字を質問してもお困りだろうと思うから、本日でなくてもよろしいですが、五ヵ年計画の年次計画というようなものをお調べになって、この次の委員会でお示しを願いたいと思います。  それから五ヵ年計画は、道路整備緊急措置法によりまして閣議決定を経まして、事業の量なども決定できておるわけであります。従いまして、今局長からお話のありました五ヵ年計画以外のことを、たとえばオリンピックなんかで手をつけなければならない場合には、あの法律の精神からいいましても、他から財源を求めなければならないと私は考えております。従いまして、あわせてそういうこともお願いしたいと思います。  それからもう一つお尋ねいたしますのは、一級国道の方は、閣議決定によって相当大幅にふえておりますけれども、二級国道の方は、ごく微々たる一割四分程度の増じゃないか、こういうように予算面から見ておるわけでありますけれども、あれは法律から見ても、また変更のときは閣議決定を経なければならぬということで、道路整備五ヵ年計画遂行の上において矛盾ができれば、それをまた訂正することも法律でできることになっておるのです。従いまして、二級国道についてもう少し何とか考慮を払わねばならぬ、こういうようにわれわれは考えるのでありますが、政府の方の考えはどういう考えですか、その点、承りたい。
  34. 佐藤寛政

    佐藤(寛)政府委員 ただいま御指摘のように、一級国道は、道路整備五ヵ年計画におきまして、七年間でおおむね完成するという目標を立て、そういう進め方をいたしておりますので、一級国道については、実際この事業実施しております状態を見ましても、かなりの進捗が見られるわけであります。実は二級国道以下につきましても、従来のいろいろの交通利用上の立場、あるいは道路整備の見地から見まして、一応バランスをとった事業計画の立て方を、五ヵ年計画ではいたしておるわけでありますが、さて実施いたしてみますと、やはり一級国道に次ぐ幹線道路、二級国道と申しますと、最近の自動車交通の増加に伴い、整備の十分でない路線を非常に重い交通量が通っておるような状態でございまして、実際から見ますと、もう少し整備を進めたいという感じがございます。この点につきましては、ただいま先生が御指摘になったと同様に私も考えるわけでございます。しかしながら、道路整備五ヵ年計画の上では、各道路の種別ごとに計画事業量が決定されておるので、これを変更いたすということになりますと、計画そのものを閣議にかけて直さなければならない、こういうことでございまして、その点で簡単にはいかないわけでございます。しかし実際にはそういう感じを持っておりますので、たとえば来年度の予算の内容などを考えますにあたりましては、二級国道に対しましては若干繰り上げを考える、各年次にわたる全事業に対しまして繰り上げを考えまして、できるだけそういうことが実際の上にないようにいたしたい、こういうふうに思っております。しかし終局的には、ただいま申しましたように、最後に計画の変更なり何なりが必要になってくることと存じております。しかしこれにつきましては、ただいま直ちに計画を変更することも考えておるわけではございませんが、一方におきまして諸般の情勢をうかがいますと、いろいろ経済状況も、この五ヵ年計画を準備いたした時代とは違っておりますし、政府部内におきまして、また新しい経済計画を立てるというようなお話も伺っております。そういうようなお話が進み、固まりましたならば、この道路の五ヵ年計画も、当然それに応じまして規模、構想等が変わるべきものと私は考えておるわけでございます。そうしたような機会がありましたならば、当然道路整備五ヵ年計画終了前といえども、変更する機会があるのではないだろうか。そういうようなときにおきまして、いろいろ実施後に生じております実情を勘案いたしまして、実際の交通状況に合うように、各道路種別の事業の進捗の度合いなどを考えて参りたい、こういうふうに思っておるわけであります。
  35. 中島巖

    中島(巖)委員 大体道路局長の言われることはわかりましたけれども、やはり五ヵ年計画を若干でも変えるには、閣議決定を経ねばならぬ、これは原則であります。従いまして、次期の大臣の見えたときの委員会において、それらの問題についてもう少し——きょうは時間もありませんし、大臣もおりませんので、具体的にいろいろお尋ねすることは省略いたしますけれども、次の委員会において、もう少し数字を基礎にして具体的に政府の方針をお伺いしたい、こういうように思いますので、よく大臣とお打ち合わせ願って、来ていただきたい、こう考えるわけであります。それからきのうの朝日でありますか、例の国土開発縦貫自動車道の小牧—東京間の分が調査の結論が出て、工費三千二百億というような記事が出ておる、これはごらんになったと思いますが、そこで、法案を提出するには審議会の議を経なければならないのですが、審議会の開催の予定日、並びにその審議会が開催できたとすれば、法案は通常国会劈頭に出される準備ができておるのかどうか、その辺についての御意見をお聞きしたいと思います。
  36. 佐藤寛政

    佐藤(寛)政府委員 国土開発縦貫中央自動車道、特に小牧—東京間でございますが、これは御承知のように、過去三年にわたって調査をいたしておるわけであります。その結果がようやくまとまりまして、ただいま報告書その他の取りまとめをいたしておる段階でございます。実は昨日朝日新聞にその内容とおぼしきものが出まして、私もびっくりいたしたわけであります。まだ発表する段階ではございませんのに、いろいろ数字などをまじえて内容が出たことは、大へん遺憾に存じておるわけであります。もちろんあれを見ますと、数字あるいはいろいろ説明において、私どもが考えておるところと若干違ったところなどがございまして、そういうことがあります関係上、ああいうことが漏れましたことをさらになおさら遺憾に存じておるわけであります。しかしながら、ただいま取りまとめの段階にありますことは事実でございまして、これにつきましては、近く縦貫自動車道審議会を開催していただくよう、ただいま日取りその他をいろいろ御相談いたしておる次第でございます。できますれば年内のうちにも審議会を開催いたしまして、報告するものをよく申し上げ、またいろいろの事務も進めるように取り計らっていきたい、かように思っております。
  37. 中島巖

    中島(巖)委員 きょうは大ざっぱなことだけ伺っておいて、また大臣が見えたらこまかくお伺いいたしたいと思いますが、そこで私の方でお聞きしたいと思う要点は、漏れた漏れぬということについて責任を追及する考えはないわけなんですが、先ほども質問いたしましたように、この審議会が、新聞で見ると大体二十一日というようなことが書いてあるので、おそらくそうだろうと思うのですが、それで通りさえすれば、国会劈頭にこの法案を提出できる準備ができておるかどうか、このことをお伺いしたい。
  38. 佐藤寛政

    佐藤(寛)政府委員 建設省といたしましては、かねがね大臣からもお話があったことでございますので、今国会に法案を出させるように、ただいま準備をいたしておるわけであります。
  39. 中島巖

    中島(巖)委員 今国会に出す——次の通常国会に出すということ、これはたびたび大臣からの言明があってわかっておるわけなんです。そこで私の聞きたいのは、これまでになって、年内に審議会が開かれて通ることはわかっているのだから、それに、次の通常国会は、二、三月ごろで安保で大荒れに荒れてきまして、ほかの法律審議などということはできないと思う。従って審議会でもああきまり、国会からも非常な要望があるのですから、そういうようなことからにらみ合わして、通常国会劈頭に出してもらいたい、こう思うわけなんです。これらはまた大臣といろいろ質疑応答するつもりですが、事務当局の方としてその準備ができるのかどうか、この点をお伺いしたいのです。
  40. 佐藤寛政

    佐藤(寛)政府委員 ただいま、私答弁中に今国会と申し上げたかとも存じますが、もしそう申し上げておりましたら、それは次の通常国会でございますから、修正させていただきます。建設省としては、事務的に次の通常国会に出せるように準備をいたしておりますが、何分これは、各省の連絡その他をいたさなければなりませんので、国会に提出できるようにできるだけ進めておりますが、いつごろというわけには、ちょっとただいま申し上げかねるかと思います。
  41. 中島巖

    中島(巖)委員 それから、これに関連してもう一つお伺いするのは、例の建設省で俗称名神高速道路と言っておる小牧—神戸間は、昨年度などの予算関係を見ると、一割五分くらいしか三十三年度は予算が使えなかった。ほとんど八五%繰り越しになってしまっている。ところが、三十四年度はどうなんですか。大体予算は消化できるのですか、どんなお見通しですか、それをお伺いしたい。
  42. 佐藤寛政

    佐藤(寛)政府委員 名神高速自動車道路につきましては、ただいま鋭意工事を進めておるわけでございますが、御存じのように、資金調達の関係におきまして、世銀から一部を借り入れるためにいろいろ交渉があったわけでございますが、ただいままだ交渉は継続中でございます。その途中におきまして、計画線の変更とか、こまかい変更がございまして、実は本年度工事は、年度当初に予想しておった程度は、ただいまのところは進捗いたしておりません。しかしながら、なお数ヵ月あるわけでございますし、だんだんと従来までに交渉、あるいは準備いたしておりました諸般の準備態勢も固まって参りましたので、今後におきますさらに一段の進展により、できるだけ繰り越し額が少なくなるように私も努力いたしているわけでございます。
  43. 中島巖

    中島(巖)委員 僕は、建設省公団の責任追及をするつもりで質問をしているわけじゃないのですよ。従って、この次の委員会までに、どれだけ今まで予算の消化ができておって、どれだけ残っているのだ、それから本年度中にどれだけ消化できるのだということを、責任のある資料をもってお答え願いたいと思うのです。どういうわけでこういうことを質問したかと申しますと、この前予定路線の法律は、国会四百三十名の発案でできたのであるから、通ることはわかっているのですが、予定路線の法律だけでは、工事に着手するわけにはいかない、いわゆる基本計画の樹立をして審議会の議を経ねばならぬ、こういうことになっているわけです。従ってこの法律が通り、基本計画を樹立して審議会の議を経る、こういう段階を法律にしめす通りにとっていかねばならぬわけです。そこで、片方にそのようにたくさんな名神国道予算が残っており——これに対しましても、五ヵ年計画でたしか百二億計上してある、こういうように考えるわけです。ただいまオリンピックの問題なんかも、道路局長から答弁がありましたが、少なくとも富士吉田ぐらいまでは、この五ヵ年計画のうちに既定の予算だけは投入することが僕は必要だと思う。そういう場合において、全線に対しての基本計画はできないにしても、一部の基本計画は来年度中にもこしらえて、一年も二年も予算をダブつかして余っている金があったならば、こちらへ順次回して、漸進的にかかる方法をとった方が、名神国道のように、一気にかかって農地やその他で挫折をしているよりもよくはないか、こういうふうに考えるのですが、時間がないから、質問が多岐にわたりましたけれども、ただいま申し上げた関係なんかについて、一つよくお考えをお聞きしたいと思う。
  44. 佐藤寛政

    佐藤(寛)政府委員 調査がまとまりましたら、これを審議会に御報告いたしますと同時に、政府部内におきましても、その後の進め方につきまして十分研究しなければならぬわけでございます。その際に、先生のただいまの御意向などもよく一つ検討さしていただきたいと存じております。
  45. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十七分散会