○關盛
政府委員 ただいまお尋ねの点は、きわめて
具体的な
東京湾における
臨海地域の
開発が予想せられる場合においては、一そうに
首都圏の
地域に、特に
既成市街地の周辺に
産業人口の集中を来たす工業等の制限
地域を設けまして、
人口の増加を
現実に抑制するような
措置を一面において講じていながら、一体国の
計画としては、それでは大きな国作りの
立場から見てよろしいのかどうか、こういう御質問でございます。これはいろいろな見方があろうと思っております。これは、われわれいろいろ考えておりますのは、
首都圏の
計画につきましては、まず
人口の将来の見通しから申して参りますと、
一つの
計画の
目標といたしておるわけでございますが、
首都圏の
人口というのは、昭和三十年におきまして千九百八十万人になっておるのであります。これが昭和五十年には約二千六百六十万人というふうに推定されております。約六百八十万人というものが増加する、こういうことになるのでありまして、その増加
人口というものを自然の状態に放置いたしておきますと、
既成市街地の
人口が五百六十万、それから
既成市街地外の
人口が百二十万、こういうふうな
一つのマクロ的な推定をいたしておるのであります。このような状態になりますことは、今の
お話の
通りに、いろいろな手段を講じましても、さらに過大
都市の
弊害を増大するばかりでありますので、五百六十万人のいわゆる
既成市街地の
人口のうち、どうしても
既成市街地に残さなければならないということで、適正な規模の
人口を、
既成市街地の
整備を行ないまして、約二百九十万人程度
配置し、残りの二百七十万人程度を適正な姿における健全
都市の育成を企図して
既成市街地の遠いところに
配置する、これが現在考えております
首都圏の
人口配置の
一つの
基本になっております。そのような
計画はすでに行なっておるのでありまして、これは
住宅公団の方式によりまして、市街地
開発地域の建設を実は行なっておるわけでございます。ただ衛星
都市の
人口をかりに十万程度と考えてみますと、ただいま申しました二百七十万ということになりますと、やはり二十七の衛星
都市を新たに作らなければならない、こういう形のものになるわけでございます。この
首都圏地域の
人口推計というものは、単なる
首都圏地域ということでなしに、やはり国全体としての各
地域の
人口の
配置計画も想定いたしましたところの
目標でありまして、この
国土計画の
立場からの
一つのデッサンであります。ただ衛星
都市の
配置につきましては、やはりこの
人口の集中を来たす原因は、工場でありますとか、あるいはそういうふうな
人口を雇用する
産業でありますので、必ずしも
内陸部に全部が適当な業種であるとは限らないと思います。従って臨海性を指向するところの工業のごときものは、やはりこの
臨海地域の工業の
立地の要請から見ましても、また
関連産業の系列から見ましても、
立地を必要とするという業種もあろうと思いますので、従ってこの一部のものにつきましては、
臨海地帯を考えなければならない。その場合に
臨海地帯と既存の
地帯との
関係は、やはりこの
首都圏の構想にありますような遮断緑地でありますとか、あるいは適正な
方法による、市街地の自然放置的な連担形成の形をとることなく、合理的な
配置による
計画を進めまして、その
計画に根づいたものを臨海
促進法の
基本計画として進められて
実施される、こういう形になるのが
一つの今後の
計画推進の
考え方だろう、われわれはそういうふうに思って
計画を作っておるような次第でございます。特にまた
都市配置と同様に、
土地が
造成されました場合におきましては、やはり用水問題ということが問題になります。水の問題というものは、
土地のウエートと同様に、今や
首都圏地域におきましての問題でありますので、これは利根川の総合
開発による当該
土地の用求需要に対応する確保の
対策というものも、あわせて並行いたしまして
計画の肝心の点になる、重要なかなめの点になる、こういうように考えております。従って御説の
通りに、
既成市街地でなければならないものに限っては、適当な
人口は
計画的に収容いたしますけれども、そうでないものにつきましては、やはり
首都圏整備法の二十七条のように、極力近郊
地帯に
立地するという行政処置による指導をいたしますと同時に、それらの
施設が離れた
地域に根つくような
土地造成を、
内陸部において現在の
住宅公団の方式によって
実施する、やはりこれらを調和的に行なうということを、
都市計画なり
国土計画の
観点から将来進めなければならぬ、こういうように考えます。