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1959-11-20 第33回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月二十日(金曜日)     午前十一時十七分開議  出席委員    委員長 羽田武嗣郎君    理事 木村 守江君 理事 二階堂 進君    理事 堀川 恭平君 理事 南  好雄君    理事 山中 吾郎君       逢澤  寛君    砂原  格君       徳安 實藏君    服部 安司君       廣瀬 正雄君    石川 次夫君       兒玉 末男君    東海林 稔君       三鍋 義三君  出席政府委員         建設政務次官  大沢 雄一君         建設事務官         (計画局長)  關盛 吉雄君     ――――――――――――― 十一月十一日  委員山本猛夫辞任につき、その補欠として千  葉三郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員千葉三郎辞任につき、その補欠として山  本猛夫君が議長指名委員に選任された。 同月十三日  委員山本猛夫君及び兒玉末男辞任につき、そ  の補欠として千葉三郎君及び大西正道君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員千葉三郎辞任につき、その補欠として山  本猛夫君が議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員大西正道辞任につき、その補欠として兒  玉末男君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十一月六日  治水事業五箇年計画完全実施に関する請願(  倉石忠雄紹介)(第三九号)  同(中澤茂一紹介)(第一五八号)  同(原茂紹介)(第一五九号)  芝川改修事業促進に関する請願高石幸三郎君  紹介)(第四二号)  新潟地区地盤沈下対策事業に対する地方負担の  財源措置に関する請願田中彰治紹介)(第  四三号)  新井市に国立地すべり試験地設置に関する請願  (田中彰治紹介)(第四四号)  一級国道九号線山口市早間田、折本間改修促進  に関する請願橋本正之紹介)(第四五号)  宅地建物取引業法中の供託金制度廃止に関する  請願長谷川保紹介)(第六四号)  同(中村幸八君外一名紹介)(第一四六号)  豊富町清明、豊田部落間の道路改修に関する請  願(芳賀貢紹介)(第六五号)  二級国道松山高知線の一級国道昇格等に関する  請願關谷勝利紹介)(第七四号)  深谷、伊勢崎間道路舗装促進に関する請願(荒  舩清十郎紹介)(第一四四号)  牛の峠線道路開削等に関する請願瀬戸山三男  君紹介)(第一四五号)  治水治山事業促進に関する請願吉川久衛紹介)(第一五〇号)  同(中澤茂一紹介)(第一五一号) 同月十日  治水事業五箇年計画完全実施に関する請願(  羽田武嗣郎紹介)(第二二九号)  同(松平忠久紹介)(第二三〇号)  治水治山事業促進に関する請願松平忠久  君紹介)(第二三一号)  県道足尾小山線栃木市内改修に関する請願(  山口好一紹介)(第二三四号)  北薩、鹿児島市間中央線県道指定等に関する  請願池田清志紹介)(第二七四号)  栃木、小山間県道改修に関する請願山口好  一君紹介)(第二七六号)  福知山市段畑地内の土師川右岸築堤に関する請  願(柳田秀一紹介)(第三六三号)  県道羽街道舗装に関する請願山本猛夫君紹  介)(第三六四号) 同月十八日  牛の峠線道路開削等に関する請願瀬戸山三男  君紹介)(第四一七号)  増田川改修に関する請願愛知揆一君紹介)(  第四一八号)  一級国道二十八号線改修促進に関する請願(永  田亮一紹介)(第四一九号)  大光寺橋永久橋に架替の請願山口好一君紹  介)(第四二〇号)  都城市、指宿市間県道の二級国道指定に関する  請願二階堂進紹介)(第四二一号)  鹿屋市、佐多町伊座敷間県道主要地方道指定  に関する請願二階堂進紹介)(第四二二  号)  肝付川の改修工事促進に関する請願二階堂進  君紹介)(第四二三号)  渡良瀬川の岩井地区河川改修に伴う移転住民の  補償促進に関する請願山口好一紹介)(第  四四〇号)  南薩地方における特殊土じよう地帯災害防除に  関する請願池田清志紹介)(第四九九号)  一級国道十三号線横手市地内の舗装等に関する  請願笹山茂太郎紹介)(第五四五号)  国土開発縦貫自動車道建設法による中央自動車  道の道志経由比較線採択に関する請願片山哲  君紹介)(第五八一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月七日  公共事業に対する財源措置に関する陳情書  (第七八号) 同月十二日  地方道拡張並びに改良事業促進に関する陳情書  (第二一七  号)  新潟地区における地盤沈下調査継続に関する陳  情書  (第二九五号)  同  (第二九六号)  治水事業予算増額に関する陳情書  (第三一四号)  同(第三一五号)  同(第三一六号)  同(第三一七号)  同(第三一八号)  同(第三一九号)  同  (第三二〇号)  同(第三二一号)  豪雪地帯振興対策確立に関する陳情書  (第三五五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  国土計画及び都市計画に関する件      ――――◇―――――
  2. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 これより会議を開きます。  まず連合審査会開会申し入れの件についてお諮りいたします。国土総合開発特別委員会において目下審査中の臨海地域開発促進法案につきましては、本委員会所管とも関係がありますので、この際本案について国土総合開発特別委員会連合審査会開会申し入れをいたしたいと存じますが、これについて御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 異議ないものと認めまして、そのように決定いたします。      ————◇—————
  4. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 次に、国土計画都市計画道路河川及び住宅に関する各件について調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。山中吾郎君。
  5. 山中吾郎

    山中(吾)委員 計画局長にお伺いしたいのですが、今委員長からお話しになりました臨海地域開発促進法所管については、これは国会の問題でありますけれども、それと離れて、臨海地域開発促進法内容は、臨海都市における都市計画一環として、海面埋め立て工業地帯を設定するという内容であるように思うのでありますが、そうしますと、法の性格都市計画性格のように考えられるのでありますが、国会の問題としてでなしに、計画局長として、計画局立場から、法の内容都市計画一環として考えるべきものであるのではないか、それについて御意見をお聞きいたしたいと思います。
  6. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 ただいまのお尋ねは、ただいま衆議院に上程されて、国土総合開発特別委員会に付託されております臨海地域開発促進法のねらっております内容が、いわゆるこの法律目標といたしておりますことは、産業及び人口わが国における適正な配置ということからいたしまして、臨海地域開発も、その産業立地並びに人口配置の上から見ましてこれを考えておる促進法でございますので、お話のように、都市計画法との関係におきましては、きわめて密接不可分関係を持っております。それでは、都市計画法とこの法律関係を直接的にどういうふうに考えておるかというふうに申し上げますと、この法案内容から申しますと、この法律というものは、われわれは国土計画地方計画という立場で、先ほど申しましたように、産業及び人口配置を考えておるものであります。いわば都市計画立場から見ますと、都市計画が集合されたものが地方計画国土計画ではなくて、都市計画というものの上位計画的なものがなければ、この臨海地域開発というものが成り立たないというふうに考えて運用せらるべきものであろうと思っております。特にこの法律内容は、基本計画というものが定められることになっておりまして、基本計画の中におきましては、土地造成及び利用、それから関連施設整備に関する総合的計画というものの基本促進法基本計画として閣議決定をいたすということになっております。従いまして、土地造成土地利用というものは、都市計画実施いたしますところの区域に関しましては、まさしく都市計画法のねらっております都市重要施設配置計画でございますので、いわゆるこの基本計画というものが、都市計画十分調整を持って定められなければならないと思っております。従って、それが国の計画といたしまして、都市計画建設大臣が定めるわけでございます。今回の臨海地域開発促進法基本計画は、審議会審議をいたしまして、閣議決定をいたすわけでございますから、内容的に矛盾するようなことをきめるということは、法律のもとにおきましては適当ではないので、やはりこの基本計画内容そのものから出て参ります重要な要素というものは、都市計画上規律の対象となるきわめて重要なものである、都市計画内容と非常に密接不可分なものであるということはお説の通りでございます。ただ、都市計画基本計画内容というものは、基本計画を定めるにあたっては、その地域地方計画的な立場から出てくる要素のものがあるので、その意味においては、この基本計画内容というものは、都市計画上位計画として理解すべきものであろう、こういうふうに考えております。
  7. 山中吾郎

    山中(吾)委員 局長の御説明が事実であれば、これは確かに都市計画上位にある地方計画国土計画だと思うのでありますけれども、実際の臨海地域における工業用地造成でありますから、私は、これは都市計画という性格の本体ではないかと思うので、いま一度お聞きいたします。国土計画としての臨海地域開発ならば、私は人口配置というふうな立場から、一定地域人口が密集することからくる弊害を除去するという立場で、むしろ人口分散というふうな立場で考えていくところに国土計画性格があると思うのです。ところがこの臨海地域開発促進法内容は、人口集密をしてその地域において工業地帯を設定することにより、一定都市の範囲内において新しく工業用地を作るというのでありますから、実態日本国土計画の上に立って人口分散をさすというふうな首都圏整備法性格と反対に、一定地域内に住居を密集せしめ、密集しておる都市工業地帯住宅地帯として分けるという本来の都市計画性格実態がなっておると思うので、看板国土開発的な看板でありますけれども、実質上は都市計画内容を持っているのではないか、その点をもう一度御説明いただきたい。
  8. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 ただいまの御説のように、この臨海地域促進というものを具体的のわが国国土に当てはめて考えてみます場合におきましては、やはり産業立地条件から申しまして、ことに原材料を海外に依存して生産を高めていくという日本立地条件から申しまして、やはり臨海地帯における工業地帯造成するということの場所が、すでに四大工業地域等人口産業等の過大に集中しておるといったようなところの地域区域がその対象になる、こういうことから、特にそれが首都圏のような東京湾地域等におきましては、すでに東京湾首都圏構想によって、既成市街地における過度の人口集中からくる弊害を除去するために、既成市街地外の新しい区域に向かって計画的な都市配置を考えておる、こういうふうな現状から見ると、東京湾開発首都圏構想とを一体都市計画立場から、また地方計画立場から、どういうふうに理解するかということが、われわれの一つの大きな問題でございます。また都市計画内容といたしましては、先ほどお話にありました通りに、交通、衛生経済等に関する公共の安寧を維持する重要施設計画都市計画でございますから、従ってこの促進法でねらっております町作り具体土地に根づいた計画というものは、私はやはり都市計画として計画的に事業実施され、またその線に沿って利用区分具体的に行なわれて初めて国並びに地方公共団体町作りが、本法案のねらいを正しく実現する方法だと思っております。それのつまり基本となるべきところは、やはり産業開発的な見地から、あるいはまた人口適正配置見地から、あるいは都市相互間の適正配置という見地、すなわちそれを私は先ほど国土計画地方計画と申し上げたのでございますが、そういう見地から臨海地域指定並びにその区域内の規模あるいは整備産業的な方針が定められまして、それが基本計画内容となり、それが具体土地につきましては、都市計画的な手法によって計画が行なわれ、事業が行なわれる、こういうふうになるべきものが国の土地利用一つの合理的な計画的推進方法じゃないかと考えております。
  9. 山中吾郎

    山中(吾)委員 まだ私は十分に理解できないのですが、たとえば漁村のように、現在一つ都市を形成していない地域であって、その地域海面埋立地に適する地域であり、浅瀬である、その付近を含んで一つの新都市造成するという計画目的である臨海都市開発促進法ならば、これは国土計画として、国土総合開発委員会に付託されるに適当なるものであると思う。そうでなくて、東京湾であるとか、あるいは臨海中小都市、現在すでに都市を形成している地域の中における海面都市計画の中において工業地帯を設定して、そして海面埋め立て工業地帯にするということならば、これは単純なる都市計画内容ではないか。それは当然に現行の都市計画法対象として考えるべきものであって、国土計画に値するものではないというふうに思うのですが、今御説明になったことと、私の申し上げることとは矛盾がないのですか、ちょっと聞きたい。
  10. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 都市計画法が考えております原理的な姿と申しますのは、都市計画を行ないます区域は、一応原則といたしまして、市町村区域ということをまず原則にいたしております。しかし、その市町村区域でなくても、区域外にわたっても都市計画区域を設定することの必要性は、たとえば、経済的な社会活動の面から見ましても、経済圏というものを考えまして、あるいは公共当該都市計画適用市町村の水道の水源地を求めるとか、あるいはまた終末処理を求めるとかというふうな、今のような直接の環境衛生施設等にいたしましても、やはりその市町村区域外にわたりまして計画をする、あるいはまた街路網にいたしましても、近ごろ産業立地の仕方が当該市町村区域に隣接し、またはそれに近接した地域において行なわれますような発展の形態をたどっておりますので、従って、たまたま御指摘のような隣接した漁村等を含めまして、将来の開発ということを含めまして、市町村都市計画区域区域外にわたっても行なわれる、こういうことは現実にその例が非常に多いのでございます。ところが、私が申し上げましたのは、臨海地域開発指定地域内の整備現実手法といたしましては、まさしくおっしゃる通り都市計画に基づきまして都市計画決定をいたしまして、これを実施するというのが一番適当な姿ではないかと思っております。そういうふうにわれわれも理解し、またこの法律案におきましても、基本計画に関する調整という条文が第五条にございまして、この基本計画と他の法令との調整関係をうたっておるわけでございます。従って、ただいまもう一つお触れになりました国土計画地方計画というものが、この臨海促進法案のねらいになっておるという説明は一体どこから来ているのかということをさらに補足して申し上げますと、この臨海地域開発促進法というものは、審議会がいわゆる国の計画のもとにみずから立てまして、もとよりその際には地方公共団体意見学識経験者意見も十分参酌いたしまして計画を定めるわけでありますが、都市計画の、いわゆる当該地域直接的利害観点と同時に、国の広き立場の、人口産業のいわゆる適正配置という、そういう考慮が、一定土地利用の仕方におきまして、その土地だけの利用ということじゃなしに、その地域圏全体との関連における考慮というものを十分に臨海地域指定の場合に考えなければならぬというほど、産業並びに人口配置から見て非常に重要な施設がこの地帯に来る、こういうふうなものを臨海地域における促進法というものが開発促進地域としてはねらっておるというふうに理解をいたしておるわけでございます。従って、個々市町村なり、あるいは個々埋め立て等によって免許をもらいまして臨海地域造成する、そういうふうな従来のケースではなくて、かなりまとまった地域における開発でありますので、従って、その開発目標というものは、地域圏社会産業人口適正配置と、今後の将来に非常に影響を与える問題であります。従って、国が先ほど申し上げましたような手続を経て審議して定める、こういう形になってございますので、その限りにおいては、都市計画上位計画的なものがこの基本計画の中に盛られて、そうして正確に検討された上で実施される、こういうふうに私は解釈いたしておる次第であります。
  11. 山中吾郎

    山中(吾)委員 なお次の機会にもう少し分析してお聞きいたしたいと思いますので、この点は保留いたします。  そこで、委員長にお聞きしたい。今私局長と話をしている中で、この臨海地域開発促進法案の法の性格は、国土開発委員会に付託する性格と、建設委員会都市計画に付託する内容を持った性格と二つ兼ね備えたものであると思うので、これは当然に両委員会によって審議されるべきである、このように思うので、その点、御意見をまとめていただいて、次の合同審査のときに、性格を御検討になるように願いたい。  そこで、次官もおられますので、次官にまずお聞きしたいのですが、愛知県の災害にかんがみまして、臨海都市についての災害防止という立場から、ああいう臨海都市都市計画について、高潮対策を含んで都市計画というものを指導しなければ、再び各地域において臨海都市は同じような災害を受けるであろうと思う。それで、少なくとも内陸部都市でなくて、海に面した都市については、防水都市計画といいますか、特別に高潮対策を含んでその都市計画を指導し、認可をするについて考慮を払うべきであると思うのです。この点について、何か将来に備うる対策を御考究になっておられるかどうか。もしあれば、御意見をお聞きいたしたいと思います。
  12. 大沢雄一

    大沢(雄)政府委員 ただいま御意見通りに、臨海都市におきまする都市計画、その他臨海地域開発計画等は、国土保全経済開発の両面から調和のあるものでなければならないと存じます。今次の伊勢湾台風災害の教訓にかんがみまして、その防災の対策につきましては、高潮対策あるいは洪水対策として、地盤の高さや背後地関係等を十分検討いたしまして、防護するに足ります海岸堤防、あるいは排水の施設、あるいは河川堤防等につきまして十分措置を講じますように建設省としては調査研究を行ないまして、恒久的な対策を立てたいと考えておる次第でございます。
  13. 山中吾郎

    山中(吾)委員 そうしますと、高潮災害に対する国の責任を分担する主管省といいますかは、やはり通産省でもなく企画庁でもなく、建設大臣であると考えるのですが、公共土木施設責任者として、その通りでしょうか。次官にお伺いいたします。
  14. 大沢雄一

    大沢(雄)政府委員 臨海地域と申しますると、やはり港湾になっておりまするところもございます。あるいはまた漁港になっておるところもございます。これらにつきましては、やはり海岸法の定めるところによりまして、それぞれ所管大臣がきまっておりまするので、関係各省におきまして十分緊密な連絡をとり、また必要によりましては協議によって主管大臣を一にすることも、海岸保全施設に関しましてはできるような定めにもなっておりますので、それらの点につきましては、十分連絡をとっていたすつもりでございますが、すべてが建設大臣所管というわけには参らぬと存じております。
  15. 山中吾郎

    山中(吾)委員 運輸大臣港湾に対する管轄立場は、港湾として用を足すための立場で、港湾についての施設をする、それが運輸大臣の権利と義務なんです。それから漁港の場合にも、漁業に役立つという立場から漁港管轄するところに水産庁の関係があるので、国土保全という本来の立場から水害を再びなくするという施設等については、建設大臣管轄責任であり、また義務であるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、そこはいかがでしょう。従ってほかの省は、高潮対策について特別の設備を考慮しなくても責任はないのだ、港湾としてあるいは漁港として、貿易港として役に立つ立場から指導をし管理をするのではないかと思うのですが、その点、いかがでしょう。
  16. 大沢雄一

    大沢(雄)政府委員 御意見の御趣旨もわかるのでございまするが、しかしやはり港湾として管理をいたします場合には、国土港湾として使用することでございまするので、その限りにおきましての国土保全責任というものが、やはり同時に港湾としてそれを使用いたしまする所管大臣責任になってくることと存じております。そういうふうな考え方で現在の海岸法ができておると思いまするので、現在の海岸法の解釈といたしましては、私はやはり先ほどお答え申し上げたようになると存じております。関係各省におきまして協議会を作りまして、そういう所管の異なりまするために、国土保全の上におきまして遺憾があってはならないという考え方で、連絡協議会を作りまして、その間そごのないようにいたすことに進んでおるわけでございます。
  17. 山中吾郎

    山中(吾)委員 私のお尋ねしておる目的は、実は臨海地域開発促進法審議をされておる。そうして各運輸省あるいはその他の各省がおのおのの立場で、それについての一定の権限を要求しておると聞いておるわけなんです。おのおのそういう立場海面埋め立てをして工業地帯にする、そして港湾関係もあるでしょう。しかし災害に対する責任は、みな各大臣は別に持たないで、そういう各省まちまちの管轄においてこういう法律実施をされて、そして海面埋め立てられて工業地帯になる。そうして高潮災害に見舞われたときに、その施設その他については、やはり建設大臣主管大臣として全責任を負い、原形復旧改良復旧責任はみなくるはずでありますから、こういう臨海都市における開発という名における臨海地域開発促進法については、建設大臣国土保全立場から強力なる発言権を持たない限りは、こういう法案というものは認められないのではないかということで私お聞きしておるわけです。いかがでしょう。
  18. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 ただいま御意見が出ましたので、補足いたしまして申し上げたいと思います。  先ほどから山中先生のおっしゃっておられます通りに、臨海開発地域、特に予想せられる臨海開発地域は、いずれもわが国の既存の重要な都市またはそれらに隣接したところの地域が今後の対象になろうと思っておりますので、御説の通りに、それらの地域開発ということと、今回の災害等における経験から見まして、わが国全体が災害の常襲地帯のようなものでありますけれども、特にこの臨海地域におきましては、今回の経験にかんがみまして、十二分の措置をしなければならぬということは御説の通りでございます。施設計画ということと、施設整備の問題と二つにわけて御説明を申し上げたいと思っておりますが、まず臨海地域の問題にいたしましても、都市計画の問題にいたしましても、計画が適当なものでなければならない。従って臨海地域計画におきましては、基本計画というものを立てることになっております。この基本計画というものは、まさしく先ほど申しましたように、国土計画地方計画という観点で立てなければならないほど重要な産業人口の配分に関する関係のある重要な問題がこの促進法臨海地域内容として現われますので、その観点から、単なる建設大臣大臣としての発言ではなくて、いわゆる国土総合開発法における経済企画庁長官建設大臣が対等の立場において当該地域指定をすると同様の意味合いにおきまして、今回の法律におきましても、その基本計画の樹立につきましては、第三条の第三項におきまして、基本計画臨海地域開発審議会審議に付する場合におきましては、あらかじめ建設大臣を通じて関係都道府県知事の意見を聞かなければならない、こういうことになっておりますゆえんのものは、またそこにあるわけでございます。  それから、また都市計画におきましても、ただいま仰せの通りに、重要施設土地利用に関する配置計画というものが、この都市計画そのものの内容計画でございます。従って都市計画法の施行令の第二十一条におきましても、防水、防潮等の施設というものを、都市計画法適用区域の町村におきましては、計画し、また決定をすることになっております。これらは、いずれも地方公共団体管理者である行政庁としての長の意見を聞きまして、都市計画をきめるわけでございます。そこで、そのように総合的な計画都市計画であり、また臨海地域基本計画でなければならない。そのような計画実施するのに、事業面から見て参りますと、海岸堤防にいたしましたならば、海岸法に海岸保全区域があり、またその他の事業関係法律が現在の国家組織法におきまして、各省に所掌事務が分担されておるわけでございますが、それらの事業実施は、計画を達成する場合におきましては、年度別にまた個所別にも跛行性のないように事業促進する、これが今度の促進法事業実施のねらいであろうと思っております。従って、海岸堤防等につきましても、保全区域施設管理の所掌事務は、主として港湾地域、あるいは主として農地保全、主として漁業等といったような所掌事務に分かれておりますけれども、計画を立てる場合におきましては一貫した計画でなければならぬということは、都市計画法計画も同様でございます。従って、その管理事業実施面の平仄を合わせた事業実施するというところに、今回の一定地域に関する促進法のねらいがあり、またそれが今回の促進法との関係における目標であろう、私たちそういうふうに考えております。
  19. 山中吾郎

    山中(吾)委員 大体わかりましたけれども、この間の災害等にかんがみて、こういう新しい臨海地域開発事業の場合には、法的に高潮災害を防止できるというふうな根拠が現われてない限りは、私はどうしても建設委員立場からでも責任を持って賛成できない。また建設大臣においても、その責任を明らかにしてこういう問題に当たらなければ、お互いに両管轄だというような責任回避の姿では、これは成り立たないと思うのです。国土保全主管大臣として、その点明確なる信念を持ってやるべきであって、その意味において、建設委員会に付託にならないでこういう法案が通るということは、私は絶対認められないのじゃないかというふうに思うので申し上げたのです。  これはこれだけにして、なおこういう国土開発というふうな法律については、全体として統一されていないと非常に法律法律の間に矛盾がたくさん出ると思います。首都圏整備法の第二十七条によって、前の国会で制定された首都圏既成市街地における工業等の制限に関する法律があった。これはわれわれ審議したはずでありますが、それによって人口の稠密を防止するために製造工業の工場の新設を制限をし、学校の新設まで制限をした、そういう法律が成立しておるはずであります。そういうふうな法律と、この密集を予想される海岸地帯埋立地ができて、工業地帯ができるということは、まっこうから相反する。部分的な矛盾でなくて、法の本質から二つの法律が両立し得ないほど矛盾をした関係にある。たとえば東京湾付近に臨海地域開発促進法に基づいて埋立地ができ、そして人口集中をする工場地帯が作られるということと、首都圏整備法の二十七条による、かりにこうした学校その他人口の集中を誘発するような施設は制限をするという法律は、これは本質的に両立し得ないのじゃないか。一方の法律を作れば、一方の法律を廃止しなければならないのじゃないかというふうに考えるのでありますが、こういう関係について建設省としては、首都圏整備都市計画国土計画、全体の立場からはっきりとした考えをお持ちになっておるのかどうか、これをお聞きいたしたい。
  20. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 ただいまお尋ねの点は、きわめて具体的な東京湾における臨海地域開発が予想せられる場合においては、一そうに首都圏地域に、特に既成市街地の周辺に産業人口の集中を来たす工業等の制限地域を設けまして、人口の増加を現実に抑制するような措置を一面において講じていながら、一体国の計画としては、それでは大きな国作りの立場から見てよろしいのかどうか、こういう御質問でございます。これはいろいろな見方があろうと思っております。これは、われわれいろいろ考えておりますのは、首都圏計画につきましては、まず人口の将来の見通しから申して参りますと、一つ計画目標といたしておるわけでございますが、首都圏人口というのは、昭和三十年におきまして千九百八十万人になっておるのであります。これが昭和五十年には約二千六百六十万人というふうに推定されております。約六百八十万人というものが増加する、こういうことになるのでありまして、その増加人口というものを自然の状態に放置いたしておきますと、既成市街地人口が五百六十万、それから既成市街地外人口が百二十万、こういうふうな一つのマクロ的な推定をいたしておるのであります。このような状態になりますことは、今のお話通りに、いろいろな手段を講じましても、さらに過大都市弊害を増大するばかりでありますので、五百六十万人のいわゆる既成市街地人口のうち、どうしても既成市街地に残さなければならないということで、適正な規模の人口を、既成市街地整備を行ないまして、約二百九十万人程度配置し、残りの二百七十万人程度を適正な姿における健全都市の育成を企図して既成市街地の遠いところに配置する、これが現在考えております首都圏人口配置一つ基本になっております。そのような計画はすでに行なっておるのでありまして、これは住宅公団の方式によりまして、市街地開発地域の建設を実は行なっておるわけでございます。ただ衛星都市人口をかりに十万程度と考えてみますと、ただいま申しました二百七十万ということになりますと、やはり二十七の衛星都市を新たに作らなければならない、こういう形のものになるわけでございます。この首都圏地域人口推計というものは、単なる首都圏地域ということでなしに、やはり国全体としての各地域人口配置計画も想定いたしましたところの目標でありまして、この国土計画立場からの一つのデッサンであります。ただ衛星都市配置につきましては、やはりこの人口の集中を来たす原因は、工場でありますとか、あるいはそういうふうな人口を雇用する産業でありますので、必ずしも内陸部に全部が適当な業種であるとは限らないと思います。従って臨海性を指向するところの工業のごときものは、やはりこの臨海地域の工業の立地の要請から見ましても、また関連産業の系列から見ましても、立地を必要とするという業種もあろうと思いますので、従ってこの一部のものにつきましては、臨海地帯を考えなければならない。その場合に臨海地帯と既存の地帯との関係は、やはりこの首都圏の構想にありますような遮断緑地でありますとか、あるいは適正な方法による、市街地の自然放置的な連担形成の形をとることなく、合理的な配置による計画を進めまして、その計画に根づいたものを臨海促進法基本計画として進められて実施される、こういう形になるのが一つの今後の計画推進の考え方だろう、われわれはそういうふうに思って計画を作っておるような次第でございます。特にまた都市配置と同様に、土地造成されました場合におきましては、やはり用水問題ということが問題になります。水の問題というものは、土地のウエートと同様に、今や首都圏地域におきましての問題でありますので、これは利根川の総合開発による当該土地の用求需要に対応する確保の対策というものも、あわせて並行いたしまして計画の肝心の点になる、重要なかなめの点になる、こういうように考えております。従って御説の通りに、既成市街地でなければならないものに限っては、適当な人口計画的に収容いたしますけれども、そうでないものにつきましては、やはり首都圏整備法の二十七条のように、極力近郊地帯立地するという行政処置による指導をいたしますと同時に、それらの施設が離れた地域に根つくような土地造成を、内陸部において現在の住宅公団の方式によって実施する、やはりこれらを調和的に行なうということを、都市計画なり国土計画観点から将来進めなければならぬ、こういうように考えます。
  21. 山中吾郎

    山中(吾)委員 局長お話を聞いておりまして、非常に苦しい答弁に聞こえますし、それで、臨海地域開発は、人口の稠密を誘発するという方向に御説明が聞こえるわけなんで、この点、首都圏整備計画との関係について、やはり建設省においても御検討願って、矛盾のないすっきりとした見通しがつくまでは、そう簡単にこういう法案をお通しになる方向に努力されることは、私は日本国土計画上悲しむべきことだと思うので、国会の権威の上に立っても、もっと慎重に検討しなければならぬということを、今の御答弁からなお深く感じておるので、さらに次の機会にもいろいろの立場から納得するまでお聞きいたしたいと思います。  さらに他の省が、そういう建設省で考える悩みを持たないで、通産省の立場から、あるいは運輸省の立場から、国土保全あるいは国土計画に無責任立場で主張し、その主張が法案に反映するというようなことは、私は建設省の立場から責任を持って阻止すべきだ、そういうように思いますので、それを御希望申し上げまして、私の質問をきょうは終わりたいと思います。
  22. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時三分散会