○田中(彰)
委員 竹内
刑事局長がここにおいでになっておりますからお尋ねするのですが、「
本件については、本年六月頃、上田社長が社員の須田氏を
千葉地方検察庁に出頭させ口頭で
告発させたが、
千葉地検よりは、当社に対し、現在まで
調査は行われていない。
警察署に対しては
報告していない。署長は既に
本件について承知していた模様であるが、当社に対する
調査はない。
昭和三十四年十二月十一日、上田社長は
船橋警察署に呼ばれて
事情を聴取された。
千葉食糧事務所からの
報告によれば、日時は明瞭でないが、『
本件の経過については、
千葉県
警察本部捜査第二
課長に
連絡し、
事情を
説明済である。』と述べている。」こういう工合にここに書いてあるのです。
もし、こういうことが事実で、今まで放任してあるとすると、私の一番憂えるのは、自分の生活に困って米のやみをしなくてはならないといって、ほんのわずかな、背中にしょえる程度のやみをして、汽車賃かけたりなんかして、そして苦しんで持ってきたものは、みんな駅で取り上げてしまう。中に少し態度が悪いと、引っぱっていって罰金とったりなんかしておる。あるいはまた病人があって、その病人に米を食わせたいといって、わざわざいなかへ米をもらいにいったのでも、証明書のない者はみんなとられて、その米を食えないで泣いている人がたくさんございます。日本全国に米のやみといいましょうか、そういうようなことで米をとられたり、
警察に引っぱられたりした人が何百万とおると私は思う。そういうものについては厳重な
警察権を行使してお調べになっておって、国の大切な米が、しかも六千俵以上も盗まれて、そしてこれが流されておる。黙って持っていったのだから、もし証明書があるとすると、その証明書は
食糧事務所で出したのか、出さぬとすればこれは公文書偽造行使、こういうものが成り立ってくる。盗んだことは間違いなく
窃盗罪であります。買った者は臓物故買になる。
事情を知っていればこれも共犯になる。もちろん、この米は玄米です。しかもトラックには七十俵か八十俵しか積めない。それを何千俵ですから、これは
食糧庁の内部のトラックでなければ、そこらへ持って歩けないはずだ。それを堂々とやっている。そしてやみで買う方も、五升や
一斗なら、やみ米とかなんとかいうことで、どこのうちでもあることですから、これは別として、六千俵からの米です。もう
一つ、今まだ調べておりますが、その前にも四千俵近くの米を出してしまって困っておったときに、ちょうどあらしがあった。そこで
倉庫の戸をわざとあけて、ぬらして、それでもぬれないというので、蒸気ポンプでもって海の水をかけて七、八十俵をぬらして、
食糧庁に
報告して、その晩のうちに何千俵という米が処分されたということも、こっちに入っている。これは目下
調査中です。しかし、これは別として、これだけの
事件を、
刑事局長はここにおられて、ただ聞いておられるのでしょうが、これがもし事実としたら、これからいたずらする人があったりした場合に、一斗袋に米五升くらいずつ入れて、三百人も五百人も団結してその米を売って歩いたって、
警察当局はこれに対して取り締まることができない。扱うなら
千葉からやれ、ということになる。また、このほかに、麦も一万七千俵もなくなっておる。
政府の方からやったらどうかというようなことになったら、一体あなたはどうやってお取り締まりになるか。今、全学連なんかの問題で騒いで、国民が非常に心配しておる。あんなこと一で騒がなくたって、米の袋を三千も買ってきて、その中に米を入れて売り歩いたらいい。もし、こういう
事態が起きたらどうなさる。これは実際大へんな問題です。取り締まることができない。それで、今後農家が米をどんどんやみで売っても、あのやみの者が駅なんかでどんなことをやっても、取り締まることができない。もしこれを徹底的に取り締まるなら、これを
窃盗罪としてすぐにお
取り調べになって起訴され、そしてこの関連、臓物故買も上がるでしょうが、全部上げられて、英断な処置——これは英断じゃございません。当然な処置です。これをこうやって放任してあるのですから、どうぞ
一つ、
刑事局長からすぐに
千葉の地検あるいは
県警察に
連絡されて、だれが
取り調べて、どうしてほうっておいたのか。
千葉の検事局ではときどき問題を起こしておる。
千葉銀行問題でも、ああでもない、こうでもないといっておったが、またこれが出てきた。
千葉の地検というのは、こういうものを
取り調べることができない地検なのか。これは国家の重大問題だ。さっそくお
取り調べを願って、次の
決算委員会で
刑事局長から御
報告願いたい。
私、三、四日前にちょっとしたことで用事があったから、検事総長のところへ寄って、五分ばかりお茶飲み話にこの話をしたら、そんなこと、君、絶対ない。この世の中に六千俵もそんな米がどこかへ盗まれて、どこへいったかわからぬということ、しかも、とった人がどこへやったかわからぬと言っておる。買った人もない。そんなばかなことはない。ないといっても、あるからしようがない。これがもし事実としたら、重大な問題だよ。今までの
決算委員会で調べているような、いろんな汚職じみたことも出てくる。今度はただ、
政府と
政府関係のことだけなんです。これが公然になると、もう農家でも、どんな米のやみをしようと、どんなに米を持って歩こうと、見せしめに大きな処罰をしない以上は、これを厳重に取り締まることはできない。強盗を逃がして歩いているのをほうっておいて、小さなこそどろをつかまえるわけにいかない、これは数が多いですから。非常な重大問題です。この点をよほど御考慮していただきたいと私は思う。
参考ですが、ある区の国
会議員が汚職で引っぱられておって、そこに選挙があった。そこで途中で保釈になって出て、選挙に出た。保釈から出てきたんだから、とてもヤジられて演説できなかった。そこで彼は名案を出した。米のやみでひっかかった人だけ入れてくれれば当選するから頼む——ところが、だれが入れたのか知りませんが、その代議士は相当な票で当選した。ここに政務次官がおられるが、政務次官はそれを知っておられるはずだ。(笑声)そういう
事態さえもある。だから、
一つの選挙区でさえも、米のやみをした人ばかりが入れたのではないでしょうが、米のやみで迷惑している人は相当ある。これは全国的な問題です。この間、春秋会でこの話をしたら、二つぐらいゼロを間違っているだろう。六十俵かそこらだ、間違っても六百俵だ。何千俵なんというのは常識上できぬじゃないかと言うから、私は
食糧庁の佐藤
監査課長を連れていったら、さすがの河野さんも驚いて、
千葉県というのはおそろしいことをやるところだ。
千葉県でなくても、ほかの県にもあるんだと言ったら、それは大へんだ。君どうだ、これをほんとうに調べたらどれだけある、と言うから、農協の
倉庫からその他の
倉庫を調べたら全く大へんな問題が起きるかもしれないと言ったら、あきれてしまって、それから話をしなかった。こういう
事態です。
だから、こういう点について、
刑事局長がお帰りになったら
一つお調べになってこちらへ御
報告願いたいのと、さっそく重要
会議を開いていただいて、国民の納得するような処置をとっていただいた方がいいのではないか。こういう工合に私は考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。