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1959-12-02 第33回国会 衆議院 決算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十二月二日(水曜日)     午前十時二十八分開議  出席委員    委員長 鈴木 正吾君    理事 井原 岸高君 理事 押谷 富三君    理事 鹿野 彦吉君 理事 小川 豊明君    理事 神近 市子君       中島 茂喜君    山本 猛夫君       淡谷 悠藏君    上林與市郎君       西村 力弥君    森島 守人君       森本  靖君  出席国務大臣         国 務 大 臣 赤城 宗徳君         国 務 大 臣 中曽根康弘君  出席政府委員         防衛庁参事官         (長官官房長) 門叶 宗雄君         防衛庁参事官         (経理局長)  山下 武利君         防衛庁参事官         (装備局長)  塚本 敏夫君         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   佐々木義武君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局次長)  法貴 四郎君         外務事務官         (経済局長)  牛場 信彦君  委員外出席者         防衛庁事務官         (装備局建設本         部長)     山田  誠君         防衛庁事務官         (装備局調達実         施本部長)   武内 征平君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局原子炉規         制課長)    藤波 恒雄君         会計検査院事務         官               (第二局長)  保岡  豊君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 十一月三十日  委員森本靖辞任につき、その補欠として久保  田豊君が議長指名委員に選任された。 十二月一日  委員西村力弥辞任につき、その補欠として吉  川兼光君が議長指名委員に選任された。 同日  委員吉川兼光辞任につき、その補欠として西  村力弥君が議長指名委員に選任された。 同月二日  委員堤康次郎君、平塚常次郎君、久保田豊君及  び高田富之辞任につき、その補欠として山本  猛夫君、中島茂喜君、森本靖君及び森島守人君  が議長指名委員に選任された。 同日  委員中島茂喜君及び山本猛夫辞任につき、そ  の補欠として平塚常次郎君及び堤康次郎君が議  長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十一月二十八日  会計検査院検査適正化に関する陳情書  (第六〇三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和三十二年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十二年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十二年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十二年度政府関係機関決算書  昭和三十二年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十二年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十二年度物品増減及び現在額総計算書      ――――◇―――――
  2. 鈴木正吾

    鈴木委員長 決算委員会を開会いたします。  昭和三十二年度決算外三件中、科学技術庁所管を議題として審議を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。  神近市子君。
  3. 神近市子

    神近委員 この間、この委員会だったか、科学技術委員会だったか、どちらかで、佐々木さんが、大体専門部会関係学者方学術会議会員——あとでは、あれは関係者と言ったのか、会員と言ったのか、はっきりしないとおっしゃったのですけれども会議録にはちゃんと会員としてあったのです。その点、どういうことでそのとき、ああいう間違いをなさったのか、ちょっと伺わさしていただきます。
  4. 佐々木義武

    佐々木政府委員 この際、二つ御訂正をいたしたいのであります。  一つは、十一月十一日のこの決算委員会で、原子力委員会にあります原子炉安全審査専門部会最終段階会議委員は何名出席したかという御質問がございました際に、私は坂田委員後藤清太郎委員が欠席した以外は他の委員全員出席というふうに承知いたしております、と発言しておりますけれども、これは二十八名中八人欠席しておったそうでございますので、その点は訂正申し上げておきます。どうしてこうなったかと申しますと、その昼に第一小委員会というのがございまして、その際にはほとんどの委員が出ておりましたので、それがそのまま御飯を食べてから専門部会の方に切り変わっておりますので、そういう記憶違いの発言をしたことをおわびしておきます。  それから第二番目の、学術会議専門委員の件であります。これは実は、原子力委員会下部機関であるただいま申し上げました原子炉安全審査専門部会専門委員方々たちの中で、学術会議の方にもやはり原子力関係委員会がたくさんございまして、その学術会議委員会の方に委員としてかねておられる方、いわば両方委員をやっておられた方がたくさんございますので、こちらの政府側安全審査部会専門委員であって、日本学術会議原子力関係委員をかねておる人が多数いる、いわば関係委員がたくさんいるというふうに発言すればよかったのを、学術会議会員というふうに申し上げましたので、あとで調べてみまして、確かに関係委員というのではなくて、学術会議会員というふうに発言してございましたので、この点御訂正いたしておきます。
  5. 神近市子

    神近委員 佐々木さんの言いそこないとか簡単なことならば、そういうことを問題にしたくないと思うのです。だけれど、私の印象では、この間軽く言いっぱなした。出席者が二十人であったか、二十八人であったかということは、そんなに重大なことではないと私は思うのです。  だけれど、今私どもが究明していこうと考えていることは、この問題は、この間、坂田さんが、原子力に関する限りは学者しろうとと同じに考えていいということをおっしゃっているんです。これは新しく開拓しなければならない科学の原野でございまして、知っている人はわれわれよりも格段に知っていらっしゃるでしょう。だけれど、科学者の世界では全部がしろうとと同じだというようなことをおっしゃっている。片一方では、原子炉を許可していいか悪いかということを判定なさる長官は、学術経験者判断に待つということを数度おっしゃっているし、また長官としては謙遜して、学者方意見によって判定しようというふうになさっている。そうすれば、原子力委員会事務局というものは、この長官判断基礎を作る上において大へん重大な役割を持っていらっしゃる。それは何もわれわれに関係のないことならいいんですけれど、今日最も問題になっている地元は、行ってごらんなさい、大騒ぎをしているんです。皆さんの方に顔を向けている人たちは歓迎しますとかなんとか言っているかもしれませんけれど、とにかく地元は、こんなこわいものを持ってこられてどうするかというようなことが、圧倒的に強くなっている。それは、あなたがそういうずさんな基礎国会をだまそうとなさったとは私は言いませんよ。そんなことは考えません。だけれど、だれとだれが会員であったかなかったかという程度のことは、決定したときから始終頭に入れてお置きになるべきだと思うのです。その点で、これは伝えられるところによると、原子力発電会社の内部で、国会がやかましいから、あるいは世間が騒ぐからということが、審査会議の中に文書にまでそれが出てくるほど繰り返されている。そうすれば、どうせ大したことはないから、それでごまかしておけというふうなことで、あなたはああいうことをおっしゃったのか。それとも、かねてからの調査自分の心がまえが足りなくて——あなたはゴルフは御熱心で、大へんお上手だそうですけれど、もう少し事務的なことをはっきりと把握しているべきだと私は考えるんです。これは長官にぜひ聞いておいていただきたいと私は思っているんです。あなたの部下には、安全審査部会会員学術会議会員が何人いたかということもはっきりしないような人、があなたの心棒としておいでになっている。これは私は非難に値すると思うのです。この点私は、言いそこないでございますと、あやまってもらっても、もうこれは一時間後には、よその人は知っていた。ジャーナリストは知っていた。これを事務局長御存じなかったというところに、私は納得のできないものがある。こういうことで、佐々木さんがここであやまったとおっしゃったところが、これは許せないことです。私はかまいませんよ。大したことでないんだろうけれど、しかし、事実としてわれわれの頭の中にたたき込まなければならない。原子力委員会というものは、大体こういう程度のことしかしていないという一つの証拠だと思うのです。  このことでは、私は法貴さんにもちょっと伺いたいことがあるんです。法貴さんはこの間の十七日の委員会で、気象調査会で、気象調査会原電から独立した機関だとおっしゃったですね。あなたは今でも同じことをおっしゃるのでしょうか。それをちょっと。
  6. 法貴四郎

    法貴政府委員 気象調査会第三者的な機関である、そういうふうに今でも私は考えます。
  7. 神近市子

    神近委員 そうすると、この間、坂田さんも、一体あの調査費はどこから出たかということを言っておられました。そうすると、第三者的な機関であるといえば、原子力委員会関係がないとおっしゃるんですか。ちょっとそれをお聞かせいただきたい。
  8. 法貴四郎

    法貴政府委員 原子力委員会関係ございません。
  9. 神近市子

    神近委員 原発関係ないんですか。
  10. 法貴四郎

    法貴政府委員 現実的にその調査費用の大部分原電が持っているということにおいて大いに関係はございます。
  11. 神近市子

    神近委員 そうすると、純粋に第三者、たとえば国家の費用で、あるいは特殊の財源でこれがまかなわれているというなら、純粋に第三者とは言えるんですよ。ところが、あなたはこの間、たしか二千万円というふうにおっしゃったんですけれど、私どもは三千万円と伺っております。どうしてあれだけ、時にはカン詰になって調査して、六十三回ですか、調査した、こういうふうにおっしゃる。そうして、その三千万円だか二千万円だか知らないけれど、ともかくお金原発から出ている。そうしてあなたはこの間、数十万円われわれの方から援助しているとおっしゃったけれど、あれは大体百六十万円ですね。二百五十万円くらい原研から出ていますね。うだとすると、両方の金で持ち合ったというふうにおっしゃりたいでしょうけれども、二百五十万円というものは、あの気象調査会には何にもお金は、いっていませんよ。あなた方、原研がお買いになつたのは、氷霜核測定装置が十台で百八万円、それから浴化鉛発煙装置が一台で四十九万円、これがしめて百五十七万円。そのほかに観測機等をお買いになったとおっしゃるだろうと思います。それで大体二百五十万円使っておる。それをあなた方の研究用にお買い込みになって、共同研究に使わせただけじゃありませんか。これが向こうにやったのでもない、援助したのでもない、あるいは調査費に援助したのでもない。みんなこれは原研研究用に買って、そして共同でこれを使った。そして貸して使ったことがある。その程度のことです。そうすると、気象調査会というのは、世間お金の方は原発のまるがかえといわれている。機構の方は違うでしょう。だけれども現実にその費用がどこから……。そういうことを言っては学者方を傷つけて悪いのですけれども、結局学者方といえども、この金がどこから出ているかということは必ず頭にあると思うのです。どこかにカン詰めになって、この協議をする。そして至れり尽くせりのサービスをしてもらって、これが政府の与えられたお弁当なのか、あるいはどこかの寄付金を持ってきたお弁当なのか。そのくらいのことは学者方だって認識があると私は思う。私どもでもそうですよ。だから、ごちそうというものはめつたに食べるべきでない。役人方もこれはそうなんで、めったに、ただでごちそうは食べるべきでない。というのは、こういうときに心理的によろめくのです。せっかくごちそうを食べさせられて、そして不利益ばかりを出すということは……。それを私たち考えている。あなたが第三者的な独立の機関でございますと言ったところが、納得できないというのはこの点なんです。そのお金の出ていることはあなたがお認めになっている。  そうすれば、安全審査小委員会結論がどうやら変な出し方だなと思う。審査部会の矢木さんが委員長になって、小委員会のものと、それから審査部会のものと同じものじゃありませんか。ああいうところに段階がありそうに見えて、段階がない。それで、私どもが今日長官のお耳をいろいろわずらわさなければならないというのは、実体がこういうものだったということを納得して、聞いて判断していただきたい、こういうふうに考えるのです。何か言い分があったら、言ってみて下さい。
  12. 法貴四郎

    法貴政府委員 確かに気象調査会費用は大部分原子力発電会社から出ております。それから原研も二百万円程度の資材をそのために用意して提供して、一緒に調査をやっておるというような経過がございます。しかし、それだけの費用原子力発電会社から出ておるから、この調査がいささかでもゆがめられたというような事実はないと私は確信しております。ここにおそろいになりました気象調査会構成メンバー方々は、皆さんその方面の一流の人物でありまして、それが客観的な技術的調査結果に基づいて十分検討されました結論報告書となって出ておるわけでありますから、原電調査費用の大部分を負担したからといって、この科学的な調査結果がゆがめられておるというふうには私は考えておりません。  それから、安全審査部会の方では、何もこの調査会の結果だけをもとにして判断を下したというわけではございません。この前申し上げましたように、この気象調査会の仕事というのはやはり一定期間に限定されておりますから、それで多年にわたる水戸気象台その他の測候記録を全部精密に調査し、そういう結果も全部組み合わせて総合判断をしておりますので、審査部会なり小委員会なりの結論は、その上にさらに一段いろいろな資料をつけ加えて十分の検討がしてございます。そういうことをちょっと申し添えさせていただきます。
  13. 神近市子

    神近委員 大体おっしゃるだろうと思うことをおっしゃったわけで、別に感心もしないかわりに、私は名前をあげて学者方をあげつらい、論評したくない。あなたが、学者方が御判定なさったのだから大丈夫でございましょうとお考えになった。それはごもっともと思うのですけれども、多分大丈夫でございましょう。この学問に関する限りは、すべてがまだ未熟の状態だということをしょっちゅう基礎として考えなくてはならない。こういうことは問題外といたしましょう。だけれども、そればかり考えていない人もあるということ、これは徐々に長官に聞いていただきますけれども、そういう人の数が非常に多いということを考えなければならない。  これに関連して一つ伺いますけれども、今申しました共同研究用にお使いになった機械があるけれども気象調査会からか、原発からか、原研賃料をとっておいでになりますか。それをちょっと聞かせて下さい。
  14. 法貴四郎

    法貴政府委員 それは共同研究という建前にしておりますから、別に賃貸しとか賃料とか、そういう形式はとっておりません。
  15. 神近市子

    神近委員 そんなら、あなたが、原発からごく少額でも、この問題に関して報酬をお受けになっておるという事実はあるのですか。たとえばこれに協力なさったということで、お弁当料という程度のものでも時々お受けになっていたということがありますか。
  16. 法貴四郎

    法貴政府委員 個人的な問題でございましたら、私はオブザーバー的にこの調査会会合出席しておりまして、会合のつど車賃程度のものはいただきまました。
  17. 神近市子

    神近委員 それはどの程度のものなんですか。そのオブザーバーとしての車賃というのは。
  18. 法貴四郎

    法貴政府委員 一回五百円であります。
  19. 神近市子

    神近委員 何回くらいですか。
  20. 法貴四郎

    法貴政府委員 正確でございませんが、二、三回あります。
  21. 神近市子

    神近委員 ここには私持っておりませんが、大体五千円程度のものを月々お受けになっておるということをちょっと聞かされたのですが、それは事実でないのですね。
  22. 法貴四郎

    法貴政府委員 そうい事実は全くございません。
  23. 鈴木正吾

    鈴木委員長 神近さん、大臣の時間が十一時四十分までだそうですから、大臣に御質問があれば集中的にお願いしたいと思います。
  24. 神近市子

    神近委員 大へん申しわけないんですけれども、私は大臣に聞いておいていただきたいことをたくさん申し上げておるので、実は大臣はこの問題に関する限り初耳のことがたくさんおありだろうと思います。大臣は近くこの原子炉を許可すべきかすべきでないかということを御判定にならなければならないので、いろいろ御存じないことも聞いていただいた方がいいのではないかと思って時間を使っているので、大臣にも質問はございます。
  25. 鈴木正吾

    鈴木委員長 それではよろしゅうございます。大臣に聞かしておきたいという御趣意でほかの御質問をなすっているのならいいけれども、もし大臣に主として御質問になるなら、時間があるからということをちょっと申し上げただけです。
  26. 神近市子

    神近委員 そうですが。そうなると、私も方向を変えなくちゃならないのです。それでは私は大臣に第一問として伺いますのは、なかなか長官にはお目にかかれない。出てきていただきたいといっても、きょうは外国のお客さんがあるとか、きょうはこれからヘリコプターで投爆練習場をごらんになる。これは非常に大事なことであろうと思うので、私はその点ではちっとも何はないのですが、それではいつお会いしたらいいかということですね。これは今までいろいろな問題が国会内に渦を巻いていたから、私どもは御遠慮していたのです。本会議もあるし、いろいろあるので、御都合が悪いということは考えていたのですけれども、今後これは早く私どももいろいろな問題を伺ってみたいと思いますから、一つ長官も勉強して、なるべく御都合をつけて出てきて、私どもの御質問を聞いていただきたい。これを一番先にお願いしておいて、それでは仕方がありませんから、佐々木さん、法貴さんにお尋ねすることは少しあと回しにいたしまして、お尋ねをいたします。  今、気象調査会の問題が法貴さんから、大へんよく行なわれたということをおっしゃったけれども御存じのように、あの地元には長期にわたる記録がない。それで、水戸だとか久慈だとか、あの周辺の都会の記録をとって行なわれた。あそこの気流はいろいろ問題があるようですけれども、私どもこの気象調査会だけの何で安心していられないことがある。それで、大体において地元人たち記録や何かを見ますと、気象調査会がやったとあなた方がおっしゃるような調査は行なわれておりません。この間、夜間もやったというようなことをおっしゃったけれども夜間はやっておりません。大体朝の六時あたりにやったのを夜間と言っているようですから、気象調査の日時と、それから人名と、それからそれをあそこで現実にやった調査水戸気象台なんかのは要らないですから、あそこで夜間やった回数、それから雨の日にやった回数、それをなさった人名、それにお扱いになった人、それを出していただきたい。これを御要請しておいて、長官に一、二お尋ねしたいと思います。  この間、坂田昌一先生参考人になっておいでになった。長官がたしかすわっていらっしたと思ったのですけれども、中途でお帰りになったので、あるいはお聞き漏らしになったかもしれません。そのあと、いろいろ御質問が出まして実体がはっきりしたということもあるのですけれども、あのときに、原子力原則として自主民主公開というのが出て決議されて、学者の間ではそれが厳重に守られている。ところが今度の査定にはそのことがあまり守られなかった。こういうことは長官はどういう程度御存じでありますか。
  27. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は守られなかったとは思いません。
  28. 神近市子

    神近委員 坂田さんのそのときの最大の不満は、自分はこの委員会部会員であるのに対して、今年の八月末からは会報も来なかったというようなことをおっしゃったのですけれども、そういうことはどういうふうに、あなたは事務上の点というふうに簡単に考えていらっしゃるのか。あるいはひがんで見れば、学術会議の方がどうもうるさくて、そうして事業家の側にじゃまになる。これはさっきも申し上げたように、私どもあとでこの調査委員会記録というものを見せていただきたいということをお願いしょうと思うのです。陰では国会とかあるいは学術会議というのはしゅうとめ的に扱われて、真剣な考慮の基礎——どもは何にもほかに原子力研究を阻害しょうとか、そういうことは絶対に考えていないんですよ。だけれど、その点でいろいろ疑われていることがある。その点で、会報が行かなかったということ。  それから、先月の決定を出す日に、坂田さんが京都の学術会議で重大な要務を負っていらっしゃる。それを抜きにして、そのことを知りながら、最終的な結論を出す会合が行なわれた。そういうことは一体妥当であるとお考えになるかどうか。  それから、あの公聴会は、お聞きになっていたからよく御認識になっていると思うのです。あの中の藤本何とかとおっしゃる方が、原子力に行って断わられ、原発に行ってもなかなか資料をもらえなかった。それでは吉岡技術長に会って、それは商業上の秘密かと言えば、そうでもない。それで、この算定基礎は何でやったか、放射能の人体に及ぼす被害についての算定基礎はどういうものであるかということをやっと聞き出した。それは秘密でも何でもないはずだ、こういうふうなことを公聴会で言われたことを御記憶だと思うのです。そうすれば、この商業院秘密なんということを口実にして相当この資料公開しなかった、そういうふうなことを知っていれば長官が、いや公開でやった、民主的にやったというようなことを——まあ、これは自主的とは言えないですね。何もかも資料というものは外国から持ってきてあるのだから、それをどの程度使うか、あれを使った、これを使ったというくらいだから、私はこれは自主的な学問の範疇には入らないと思う。それを三原則は完全に守られたと思っておいでになるかどうか。
  29. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 坂田先生のお話がまずございましたが、たしか安全保障部会は九回開いておりまして、その機会に坂田さんは数回もおいでになっております。そして最後の十一月二十九日のときにも、たしか先生おいでになっておるはずです。しかし、そのときに坂田先生は、炉が害があるとかあぶないとかいうような炉の実体に関する安全的意見は何らお出しにならないで、それは黙認されたのか、承知されたのか知りませんが、その点には触れられないで、手続上の問題についてのみ意見を言っておられたようであります。そして最後部会のときには、京都大学の御用でおいでになれなかった。これは、はなはだ残念でございますが、しかし二十八人も委員がございますので、お一人だけの御都合だけを考えて差し繰るというわけには参りません。結局大多数の方々が一番御都合のいい日を選んできめるという以外にはないと思います。そういう意味で、坂田先生が御出席になれなかったのは、はなはだ残念でございます。  それから、自主公開民主原則は、私はあくまで守られていると思います。資料にいたしましても、コールダーホール運転の実績を持っているのはイギリス側でありますから、その資料や何かを使うのはあたりまえで、その判断をする中心が日本人判断であれば、これは自主であると思うのです。資料外国のものを使ったからといって、決して自主性が失われるとは私は思いません。要するに、日本人自分判断でやるということが自主だろうと思うのです。  藤本さんの件につきましても、原電にいらしたようでございますが、藤本さんがどういう資格でどういう資料を御要求になったか私はよく聞いておりませんけれども、当時としては原電としての考え方を申し述べたのだろうと思います。すでに御存じのように、本日は学術会議の討論会員か行なわれておるようでありますが、資料もほとんど全部公開いたしましたし、また安全審査部会の正式のリポートもお配りして手元に入っておるのでありまして、秘密で行なわれたとは私は思えないのであります。いろいろ会社の都合や仕事の運行上、そのときに全部出せないというものもございましょうし、最終結論を出す前に許せる範囲のものをできるだけお手元に渡らせるようにしてやるということで、私は民主とか公開という原則は貫いておるものだと思います。
  30. 神近市子

    神近委員 おそらく二十八人を全部そろえるのはむずかしいということは、事実私たちも会をやっていればよくわかるのですが、その日に結論を出した。しかもこれは、佐々木局長学術会議の代表としては呼ばなかったというふうなことをしきりにおっしゃっておる。けれども、内部事情を坂田さんがおっしゃっているところを見れば、学術会議としては代表者と見立てて坂田さんを送ったという事実はあります。ですから、そこのところの把握がはっきりしなかったので、私は佐々木さんに文句をつけたわけなんです。長官認識の上では、公明であったということをおっしゃるのは当然だろうと思うのですけれども、事実はそうでなかったということを、われわれは完全な第三者として認めざるを得ない。  藤本さんがどういう資格で原発おいでになったかといえば——あのときは、御認識があるでしょう。公聴会にお呼びになって参考意見を述べろと言われたので、行ったということをおっしゃっていました。それで、そのとき与えられた資料というものはほとんどなかった。当日あの公聴会の席上で配られた、小さな。パンフレット以外には資料は与えられなかったということを言っておられましたから、その点で私は、公開民主自主という点では非常に手落ちがあったと思うのです。  この発電が始まれば、あそこは六億キューリーを保有することになるのだそうですね。この六億キューリーの放射能というものは、日本の全土を痛めるに余りあるほどの量である。それからあれが漏れる量は二十五キューリーというふうに算定していらっしゃるということも、これはあのときにいろいろ文句があったということも、私どもは聞いております。公聴会の席上ではいろいろその点でも論議があった。原発が決定なさった——何か今の長官のおっしゃった言葉からちょっと感じられることは、原発は非常にかわいい子供のような扱いを大体においてなさって、学術会議というものはまま子のように考えて、何だか反対するから困るのだというような意識がとられている。そうすれば長官としても、委員長としても、そのお考えはいささか間違っておるというふうに私どもには受け取れる。  九月二十八日付で、学術会議の会長代理で和達さんから長官にあてて、原子力発電に関する資料公開についてという要望書が出た。ところが、これがどこで間違ったのか、長官のお手元には届いていないということが、この間坂田さんがおいでになったときに、はっきりしたのです。その席上で矢木審査部会長が、いや、わしもそういうものは見ていないと言われたのですが、一体あれは長官あての文書であったはずなんですが、どこで停頓したのか、わかっておりますか。
  31. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ここにありますのがその文書でございまして、私も見ております。この内容はすでに矢木部会長に対して、前から佐々木局長たちでこういうことを考えて、今まで学術会議からの要望もあるし、審査してくれということは伝えてあったわけです。それで文書が参りましたのを、佐々木局長の方で前から何回も言っておることであるし、重ねて矢木さんに見せるというよりも、あて名が原子力委員会委員長ということになっておったので、つい失念して、矢木さんにはそのことを見せなかったそうです。しかし内容については、すでに事前に十分矢木さんの方へその話はしてあったので、その必要もないだろうという考えでそういう措置をとったそうであります。これはあとから私が調べまして、わかったことであります。しかし、書類については私は拝見しております。そういう事情でありますので、若干の手落らがあったかもしれませんが、実質的には学術会議からのお申し出の趣旨は通っているだろうと思います。
  32. 神近市子

    神近委員 九月二十八日ですか、そのときに受け取って実行されているとおっしゃるのですか。それとも、佐々木局長あたりが、これは見せぬでもいいでしょうというふうに進言なさったのかどうか。当然任務を預けてあるところの部会に対して、また矢木さんに対して、実は学術会議の方からこういうような要望書が来ておりますよぐらいは、連絡するのが私はあたりまえだと思うのです。それを、長官あてのものだから長官の頭に入れておけばいいだろう、それじゃ、要望というものが取り上げられたという形にはならないじゃありませんか。いかがですか。
  33. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 九月二十八日の書類というのは、和達さんから、資料公開して、学術会議の者になるたけ見せてくれという要望書なのであります。それはむしろ矢木部会長に見せるということよりも、原電その他に言ってこちらが措置すべきものでもあるのです。それでこちらの方でも公開という原則もありますから、できるだけ見せるようにということで、原電の方ではイギリス側と交渉して、商業秘密以外のところをなるたけ拡大するように話もしておったのでございます。そういうものでありますから、九月二十九日受付の書面でございましたら、矢木さんの方にはそう直接の関係があるというものではないと思うのであります。ここにありますのが九月二十九日のものであります。
  34. 西村力弥

    西村(力)委員 関連して。きょう学術会議でこの問題に対する討論会がありまして、いろいろ審査部会資料なんかも提示して、フリーな討論を願っておるのだというお話でございますが、その会議には合同委員会審査議事録というものは提示されておりますか。学者諸君でありますから、結論だけで御本人の持っていらっしゃる能力で十分理解がいくだろうと思われますけれども、事はやはりその結論に至る過程、それについても十分に知悉してでないと、ほんとうにその結論を正確に理解するということは不可能であるだろうと思うのです。  こう申し上げますのは、この前の科学技術特別委員会において、福田小委員長は、あまりにも繁忙の中であったために途中の議事録は安全審査部会委員である坂田昌一氏その他にも配らなかった。ただ、議事録だけは十分にとってあるのだ、こういうお話でございました。私たちは、安全審査部会委員にその小委員会の議事録を途中配らないで、そして最後的な結論だけを持ってくるというようなことは、正しい審議のあり方ではない、こう思うのです。ですから、本日の学術会議においても、この日本で最初の原子力発電炉、しかもこれは世界的にも改良型というものは初めてのケースである、こう言われておりますので、慎重の上にも慎重を期するということが大事だろうと思います。この前の内閣委員会においては、中曽根長官は、万が一にも事故がないようにしなければならぬのは当然だということを、飛鳥田委員質問に対して答弁しておられる。私たちはその通りだと思うのです。このことは万が一の事故も起こしてはならないという慎重な配慮のもとに進めなければならぬことは当然でありますので、そういう立場から言いましても、本日の会議にはやはり合同小委員会の議事録というものも提示して、そうしてすみからすみまでの検討をやり得るような工合に配慮してあるということが大事であると思うのです。その点については、あるいは私の欲ばりになるかもしれませんが、どうでしょうか、そういうお手配をなさっていらっしゃるかどうか。
  35. 佐々木義武

    佐々木政府委員 安全審査部会で決定いたしました答申書、もちろんお配りして、きょうは皆さんに報告しているはずでございます。第七小委員会というのが今おっしゃいました合同審査委員会の意味かと思いますが、そこで討議しました際の議事録と申しますか、安全審査部会で討議した議事録はもちろん坂田さんもよく御存じでありますし、出ております。安全審査部会の中の第七小委員会というものは、それぞれの部門別にこまかく分かれておりまして、そこでいろいろ細部のディスカッスをしていくわけですので、必ずしも速記等でやっているわけではございません。従いまして、最終段階でこの結論をまとめるような際は、第二次案、第三次案というふうに、何次案までも何回も何回も会議をやっているわけですから、審議の過程というよりは、むしろそういういろいろな案そのものが変わっていったのが議事録になるような格好でございますので、おそらく第七小委員会最終段階の討議の議事録は、私の知っている範囲では、あまり詳細にとっていないだろうと思います。従いまして、専門部会にはもちろん議事録があります。坂田さんもよく知っておられたわけですが、口頭できょうは各専門部会の小委員長から皆さんにお話しになるのじゃないか。あるいは矢木部会長からその間の経過は詳しくお話するのじゃなかろうかというふうに考えております。
  36. 西村力弥

    西村(力)委員 今、局長は、議事録の整備は的確に行なわれていないだろうという推測をされましたが、この前の科学技術特別委員会で福田節雄氏は、議事録はとってあるのだという工合に答弁しておるのです。あなたも同席しておったから、それは聞いておられると思うのです。それでは、私たちとして必要ですから、委員長におきまして、合同委員会、すなわち原子力委員会からの安全の諮問を受けて検討を願っている委員会と通産省関係と合同した委員会、福田節雄氏がその合同の小委員長ですから、その委員会の議事録をわれわれに提示してもらいたい。これはぜひ私は見せていただきたいと思うのです。もし、どうしてもそれが膨大であって、リプリントするあれがないとするならば、議事録それ自体をこの部屋に置いてでも、われわれには見せてもらわなければならないと思います。そういうことを言うのは、学者諸君の良心を私は疑うわけじゃないのですけれども、この結論に至るまでの論議とか問題点の所在やら、それに対する学者としての責任ある処置というものが十分にその論議に出ているはずなのでございます。ですから、われわれを納得させる意味におきましても、その議事録をここに提示をしてもらわなければならぬ。委員長においては、その点よろしく取り計らいを願いたいと思います。
  37. 藤波恒雄

    ○藤波説明員 事務的な手続にも関連するかと思いますので、私から御説明を申し上げたいと思います。  この前の科学技術特別委員会におきましても、西村委員にちょっとお答えしたかと存じますが、原子炉安全審査部会でどういう資料が配られるかということに関連すると思いますので、その点を申し上げますと、毎回の専門部会におきましては、各小委員長から、それぞれ分担する原子炉審査状況につきまして、口頭、あるいは場合によっては資料によりまして、十分経過説明をしていただきまして、それに基きまして問題点の質疑、検討等を行なっておるわけでございます。必ずしも小委員会の議事録そのままを部会に配付しておるわけではございません。もちろん、その部会でのそういった討議を議事録にとりまして部会の議事録といたしましたものは、全部会員にそのつど配付しておるわけでございまして、これらの資料につきましては、もちろん坂田委員部会員でございますので、お手元に行っておるわけでございます。その点は坂田委員にも直接お確かめいたしましたところ、部会に配られた資料は全部手元に来ておるとおっしゃっておるわけでございます。
  38. 西村力弥

    西村(力)委員 矢木さんが会長をしておる専門部会の議事録じゃなくて、その下の小委員会の議事録を見せてもらわなければならぬ、こう申し上げておるわけなんです。そのところが一番核心に触れた論議のされておるところなんでございまして、それを集約して結論づけたものだけを見せてもらっても、その論議の状態あるいは問題点のほんとうの核心はわれわれにはわかってこない。ですから、この小委員会の議事録、合同委員会の議事録、それを一つぜひ提示してもらわなければならぬと思うのであります。公開原則に立つならば、これは提示できないということはないし、またこれは原子力委員会という公的機関の下の諮問委員会であるから、これは何も秘匿さるべきものでなく、公的な性格をもってわれわれの要求には答えなければならぬと思う。
  39. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 小委員会の議事録は福田小委員長の手元で整理いたしまして、私もノートを見ましたけれども、非常に厚いノートで、克明に緊急冷却装置の各パート、パートの機能とか、そういう点の議論や何かも載っておるようなものになっております。それで、その克明なものを一々整理して全部出すということは、相当時間もかかりますし、ちょっと今のところ不可能ではないかと思います。大体、委員会ないしは部会の議事録は出しておりますが、小さな小委員会の議事録までは出していないのが通例になっております。それはなぜかと言えば、一どきにだれもがばっと発言するようなところもありますので、一々そういう小委員会の議事録までは出しておらないのであります。帳面をごらんになるならばすぐ見られる。福田さんに話してみてもいいと思います。
  40. 西村力弥

    西村(力)委員 福田さんがこの国会の答弁として、議事録はちゃんと完備してある、こういうことを言っているのです。私に答弁しておるのです。ですから、今あなたがそういう工合におっしゃっても、それでは御本人の意見と全く違っている。長官は福田さんを何がゆえにかばうのか、本人の言うておるところと違うことを言うのか、私にはちょっと解しかねるところが出てくるのです。私が言うのは、意地悪でもなんでもない。小委員会の論議というものは、先ほどから言うように、一番私たちの理解を早めてくれる道であって、一番大事なところだ。整理された味も何もないような結論だけを見せられても、やはり私たちにははっきりしないから、そこを見せていただかなければならぬ、こう言うのです。今おすわりになってから、そのままだと見せてやることができるだろうというようなことをおっしゃったわけだが、それじゃ、一つそういう工合に頼みたいと思う。プリントして、整理してというと、これは時間的に相当かかりますからね。どうか一つ、その点、長官のお立場として取り寄せるか、委員長の立場でお取り寄せになるか、とにかく責任を持って、われわれ場所を指定されればその場所においてこれを閲覧することにしますから、出してもらいたい。
  41. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 小委員長と相談いたしまして、小委員長の意向も聞きまして、できるだけ善処いたしたいと思います。
  42. 西村力弥

    西村(力)委員 私は、今決算委員会委員として発言しております。委員長において、その処置は何としてくれるか。
  43. 鈴木正吾

    鈴木委員長 西村君のただいまの要求に対しましては、決算委員長として関係当局に申し入れます。そして、その書類を提出することができるなら提出してもらうように、至急に取り計らってもらうことにいたします。
  44. 西村力弥

    西村(力)委員 提出してもらえるならということですが、先ほどから何回も繰り返して、くどいようですが、議事録としてとってあるということを言っているのです。議事録という限りにおいては公的なもので、これは個人の所有物とは違うのです。出せるものならというようなことは——これは国会にも出せない機密のものである、あるいは民間の機密のものであるというならばとにかく、公的機関の一連のものの議事録なんです。これは出せるものだという前提に立って要求してもらわなければ困る。
  45. 鈴木正吾

    鈴木委員長 承知しました。  政府当局に聞きますが、長官の話によれば、議事録というようなものはとってない、個人のメモのようなことを言っている。西村たちの話を聞くと、議事録はちゃんとできているというが、どっちなんです。
  46. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 小委員会の議事録及びメモ等につきましては、小委員長と相談いたしまして、極力御要望に沿うように努力してみます。しかし、これは小委員長の責任のもとにやっていることでございますから、こちらから一方的に、命令的にやらせるということもどうかと思いますので、小委員長とよく相談をいたしまして、できるだけ善処いたしたいと思います。
  47. 西村力弥

    西村(力)委員 それではそのようにお願いします。ただ、とにかくこの原子力審査部会の小委員の諸君は、原電の顧問その他の関係を持つ人が多いということが、科学技術振興対策特別委員会においても指摘されました。それに対し御当人の先生方から、そういうことになろうとも学者的良心はくずれないのだ、こういうはっきりした答弁でありました。ありましたが、常識的に考えると、そういう工合にして申請者側と密接な関係のある諸君が小委員長あるいは小委員として審査したということについては、むしろ進んでそういう議事録を出して、われわれの俗人的な疑いを晴らすということが必要であると思う。それはあくまで見せられないということになるとすれば、そういう疑念が起こるのです。学者の諸君ですから、学問的良心というものはどんな関係にあろうともくずれないということは信じたいのですけれども、そうばかりもいかぬということになるではないか。であるから、そういう意味からも、ぜひそういうものを提示するように計らっていただきたいと思うわけであります。
  48. 鈴木正吾

    鈴木委員長 関連質問はその程度にして、神近君。
  49. 神近市子

    神近委員 今、長官が爆撃場をごらんにおいでになるので、原子力委員会のメンバーの有沢先生からアメリカ軍に申し入れがあっているはずですけれど、四項目ばかりで、航路の制限、それから実弾を使わないということ、それから模擬爆弾を五百ポンド以下というのを百ポンド以下にしてもらいたいということ、もし原研の構内に模擬爆弾が落ちたならばさらに飛行場については協議するという事項、この申し入れに対してどういうような返事をもらわれているか。あるいはこれはいつ出たのか。またアメリカ軍との協議はできていないのかどうか。その点を伺わせていただきたいと思います。
  50. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 本件につきましては、政府内部におきましても正式に協議をいたしまして、原子力委員会の申し入れに基いたわれわれの条件をアメリカ側にも提示いたしまして、正規の会議で、つまり合同委員会の施設委員会におきまして会議をいたしまして、日本側の要望は全部達せられました。なおその発表の時期や内容については向う側とも相談しなければならぬと思って、時期は考慮しておりますが、内容的にはわれわれの要望は全部達せられました。そういうように原子力施設の上は相当広範囲に、日本の飛行機もアメリカの飛行機も立ち入りすることのできないような区域を設定するように、向うは協力してくれました。しかし正式の発表は向うと協議してやりたいと思います。そういう合意に達しておるのは事実でございます。
  51. 神近市子

    神近委員 ほんとうにそれが守られるものでしょうか。たとえばアメリカも、日本と同じように、海軍と空軍とのせり合いがあるということ、それから防衛庁が持ってきたミサイルの練習場としてこれをほしいという考え方を捨てていないということ、そのことで防衛庁から何か意思表示があったでしょうか。
  52. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 防衛庁からの意思表示はございませんし、かりにあったとしても、原子力施設に害があるような場合は拒絶いたすつもりであります。
  53. 西村力弥

    西村(力)委員 今、中曽根さんは耳寄りな、希望的な結論を得たように言われますが、それはいつ、どういう機関でそういう合意が成立したのですか。
  54. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 発表につきましては、外交交渉の問題でありますから、正式の委員会における正式の発表とそては、やはり向うの了解がなければならないと思います。しかし、これは国会委員会でありますから、委員会を通じて国民の皆様にお伝えするということは大事であると思いまして、私の責任においてあえて申し上げたのであります。両方の合同委員会、その下部における施設委員会、そこにおいての約束は正式に守らるべきであり、われわれは守らせる権利を持っておるわけであります。そういう意味におきまして、ただいま申し上げた程度できょうのところはとどめさせていただきたいと思います。
  55. 西村力弥

    西村(力)委員 確認しておきたいことは、合同委員会の施設委員会、合同委員会という正式の機関を通じての決定は何らない、内交渉の段階だ、ということになりますか。
  56. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 内交渉の合意でありますが、これはある程度的確な合意といって差しつかえないと思います。
  57. 神近市子

    神近委員 きょう御視察においでになることは、私は非常に大事なことだと思ってるんです。それでこの機会に、大体一万五千フィートくらいの飛行機から、模擬であってもいいですから、機関銃の、下に落ちての威力がどの程度になるかということ、たとえば何センチぐらいの鉄板をこれが貫徹できるか。今、電気計算機か何かお持ちになってるでしょうから、数学的に出ると思うので、これをぜひ教えていただきたい。  それからもう一つ、五百ポンドを制限して百ポンド以下ということになっているんですけれど、万一五百ポンド、百ポンドの実弾であった場合に、どの程度の災害が起こるか。この数字はないんだそうですが、長官の御勉強にもなると思いますから、一つぜひ、おついでに私どもにも御研究をおすそ分けしていただきたい。私ども非常にこれは必要事項だと思うので、お願いいたします。  それから、長官がお帰りの時間になりましたから、今日はこれで私の質問はやめますけれど、まだたくさん最終的に伺わなくちゃならぬことがあって、きょうは三分の一ぐらいしか意を尽くすことができませんでしたから、さっき再度御要望申し上げたように、ぜひ今度は何とか時間をお作りいただいて、出てきていただいて、も少しこの問題を深く掘り下げていただきたいと強くお願いいたしまして私は終わります。
  58. 西村力弥

    西村(力)委員 先ほどの内交渉の問題ですが、これが合同委員会で決定されても、この間の東京湾あるいは長崎港の掃海訓練なんか見ましても、こちらは幾ら文句を言っても、向こうは勝手に演習をやる。こういうこともありますので、合同委員会で決定になっても、悲しいかな、やはりこっちが完全に権利を確保しておるのだということも言われない日本の現状でありますから、内交渉で、責任ある発表を国民の前にするというふうに発表されましたが、そういう内交渉の、まあまあよかろうという程度のことで、それを基礎にして、このコールダーホール原子炉最後的な手続を踏むというようなことは絶対あるべきことではないと私は思うのです。長官、その点について、はっきりしてもらいたい。
  59. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は二十四日に石川原子力委員とマッカーサー大使にも会いまして、この件につきましては厳重にわが方の要求を申し入れしたのであります。そしてこの原子力施設の重大性について注意を喚起いたしましたところ、マッカーサー大使もこの点については非常に同感の意を表しまして、できるだけ米国側としても協力させる、軍の方にも協力させるように努力させるという意思の表明がありまして、大体今申し上げたようなところまできたのであります。米国側におきましても、原子力施設の保安については重大な関心を持っておりまして、協定で正式にきまった以上は、あくまで、これを厳守するものとわれわれは思いますし、今後もさせるようにわれわれは努力いたすものであります。
  60. 西村力弥

    西村(力)委員 そういう正式な協定が出る以前に原子力委員長としての結論は出すことはないんだという、明確なるお考えを示していただかなければならぬ、こう申し上げておるのです。
  61. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ある程度実質的な意思の合意があります上は、形式的なものが少しおくれても、私は事実上それが確認されればいいのであると思います。
  62. 西村力弥

    西村(力)委員 そういうことは責任ある立場の、行政を担当されるあり方ではないと私は思うのです。それは、マッカーサー大使とお話し合った、そういうことは向こう様も外交的な立場から相当尊重するでしょうけれども、事はアメリカの国防省との関係にありますし、現実に安保条約改定、行政協定の改定といいましても、既存権というのは一切放棄しないんだということを前提としての行政協定というものが行なわれておるわけです。われわれはそう聞いておる。でありますから、形式的なものがどうあろうとも、実質的に合意されればよろしいんだと言いますけれども、この重大な問題に関しまして、そういうことを先走ってなさるということは、絶対にやめてもらわなければならぬと思うのです。はっきりそれが合同委員会の確認事項としてサインされたときにおいて、初めてわれわれはそれをある程度信じるという工合になる。そういう慎重さをもってやらなければならないと思う。その点に関しては、長官の態度は少し軽率であるのではなかろうか、こういう工合に私は非難をしなければならぬと思う。
  63. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私とマッカーサー大使が会いましたのは、われわれの正式の申し入れを向こうにやるために会ったので、その後両国の外交事務当局において正式の外交交渉を持たれまして、成規の手続によってある程度手続が進んで、そうして実質的な合意は完全に妥結を見て、その証拠も確認されて、あとは形式的な行為しか残っていない。そういう段階でありますならば、私は差しつかえないと思っております。
  64. 西村力弥

    西村(力)委員 その点は意見の対立になりますが、私たちはあくまでもそういう行政行為に対しては強く批判と反対の意思を表明しておかなければならぬと思う。国民自体もそういうことで安心をするものではないと思う。
  65. 鈴木正吾

    鈴木委員長 科学技術関係において外務大臣出席が要求せられておりますけれども、外務大臣は参議院の本会議に出る都合で、外務省の牛場経済局長がお見えになっております。  森島君の質疑を許します。森島君。
  66. 森島守人

    森島委員 ただいまコールダーホール型の原子炉の問題について、いろいろ重要なる御意見の開陳がございましたが、この問題につきましては、もう一つ奇々怪々な事実がある。  昭和三十三年から三十五年の二カ年にわたる日英貿易協定が昨年調印されました。その際におきまして、コールダーホール型の原子炉をを輸入するのと引きかえに、日本側からサケ、マスのカン詰百万ポンドを増加輸出する、こういうふうなやみ取引があったのでございます。この点につきましては、私が四月二十七日の外務委員会、並びに七月十日の外務委員会におきまして外務大臣並びに関係当局に対して質問をいたしたのであります。当時牛場局長は御出席になられなかった。特に牛場局長の御担任と存じておりますので、この際明らかにいたしたいと思っておるのであります。と申しますのは、コールダーホール型の原子炉輸入の決定につきまして、民間においてもいろいろなうわさが飛んでおり、疑惑の種をまいておる。この点を結局明らかにしなければならぬと思うのですが、その前提条件といたしまして、私が質問をいたしたいと思うのでございます。  と申しますのは、サケ、マスのカン詰は北洋漁業が再開せられまして以来急激に輸出が増加いたしました。これが三十二年から足踏みをして、一頓挫を来たしたのは事実です。二割以上も減少したと私は存じておるのであります。そこで日本の水産業界——と言えば大ていおわかりになるでしょうが、水産業界においては対英輸出を増加したいということで、種々運動が行なわれたことは事実なんです。その反面におきまして、御承知の通り原子炉の輸入の問題がございまして、この問題につきましては、正力前科学技術長官、それから当時の河野経済企画庁長官との間で意見の対立を来たした。正力さんはなるべく早くするために民営論を、河野さんはこの事業の重大性を考えて国営論を堅持しておったという事情でございます。ところが、どういう風の吹き回しか、正力さんの意見が勝を制しまして、河野さんの国営論というものは姿を消したのであります。このことは、原子力発電株式会社の社長になりました安川第五郎さんも、原子力経済研究所で出しております「アトム」という専門雑誌の中に、はっきりと計画が変わったいきさつも述べております。何だかわからぬうちに自分がそっちへ引きずられてしまったということを、ここで堂々と発表なさっております。これらを見ましても、私は裏面には相当いかがわしいことがあったのではないかというふうに存じておるのでございます。  そこで、私は四月の二十七日の外務委員会においても申し上げておきましたが、藤山外務大臣と在英中川代理大使との間で往復せられました電報の写しをここに持っております。これは確実に外務省の電報です。入手先は外務省ではありませんが、数通持っております。この外務省の電報の写真にとったものを示しまして、その権威をただしたのでありますが、特に私はこの電報の中にあります一八七号という電報には、日本のサケカンと原子炉に関する書簡案というものが出ているにきまっている、この一八七号を提示願えますれば、その間の消息が明らかになるということで、この提出を求めたのでございます。次いで、私は七月十日の外務委員会におきまして、再度これを求めましたが、当時御出席の高野経済局次長は、そんな電報はないのだと一蹴された。私は、あくまであるということを信じております。そこで小澤外務委員長が、外務省と森島考えは並行線をたどっている、いつまでもそれを応酬しておってもけりがっかぬ、一つ外務委員会外において両者の間で納得のいく話をしてはどうか、という御親切なお取りなしがございました。しかし、私は委員会で問題になった以上は、公的な性質を持っている。委員会外でやることはお断わりしますということで、今日に至ったのであります。同時に、藤山外相も、担当者である牛場局長出席を求めてやってくれという御趣旨で、私は藤山外務大臣にも決算委員会関係があるので、決算委員会でも取り上げることになるかもしれないと申しておきましたので、本日この問題について質疑をいたしたいと存ずるのでございます。  第一に、牛場局長に対して、昭和三十三年の四月四日に東京に到着いたしました中川臨時代理大使から藤山外務大臣にあてた電報第二一一号というのがございますが、この電報の内容を見ますと、先ほど私が言及いたしました一八七号という電報に言及した上で、「三日パーシバルの求めにより往訪したところ原子炉とサケ罐についての書簡案は日本側申入れ通り受諾するが」というふうなことがはっきり書いてあるのであります。その中段におきましては、数項目にわたる貿易協定でございますから、他の品目についていろいろ意見を述べてございますが、この中段の点は省略いたしまして、最後にパーシバルは、サケカン百万ポンドの点について次のように言っているのでございます。「今回は日本側が別に百万ポンドのサケ罐を獲得しておりしかもそれに対する日本の譲許は極めて漠然としており原子炉輸入の第一回支払は恐らく今年度内には不可能かもしれず、従って比率を考える場合にはサケ罐譲許をもある程度考慮に入れるのが至当である。英側としてはサケ罐の増額を認めながら、それ以外の分についても更に傾斜をつけられたのでは国内的説明が出来ないと特に大臣の意向もあるので御了承ありたいと答えた。」こう述べてあるのであります。この電報から見ますと、その取引ができたことは私は、はっきりしておると思う。  さらに、次の電報であります二一二号という電報によりますと、中川代理大使からは「パーシバルの返答に関しては大臣の決裁に基く最終的のものと思われるついては今後の交渉は概ね左の要領で取進めて差支えないか、」といって請訓をしてきております。この電報の中で中川代理大使は、サケカンと原子炉の点について次のように言っている。「パーシバルの発言はサケ罐を譲許比率に加味して考えたとすれば、原子炉を本年購入しない場合もそれが購入時期の延期で結局は購入すると解される限り来年以降直ちに所要の調整を行う必要がないと主張する根拠となる。」そこで「その意味で本年はタダで一〇〇万ポンド取り、原子炉を明年以降のサケ罐毎年一〇〇万ポンドと交換した結果となる」という注釈を加えております。右のような論拠で「この線で交渉を妥結することにいたしたい。」といって、政府の意向を請訓してきたのがこの電報でございます。そのほかにも電報はございますが、私は特に牛場局長に対して一八七号、いわゆるサケカンと原子炉との関係を明記した書簡案をうたっておる一八七号という電報を依然としてあなたはにせものである、うそである、そういうものはないんだということをおっしゃいますかどうですか、この点を伺いたい。
  67. 牛場信彦

    牛場政府委員 外務省で調べましたけれども、そういう電報はございません。
  68. 森島守人

    森島委員 それでは第二一一号、第二一一号、この両方の電報は偽物でございますか。
  69. 牛場信彦

    牛場政府委員 これはきょう初めて伺いましたので、調べてみなければならぬと思いますが、そういうサケカンと原子炉との取引というようなことはやったことがないのでございますからそれは多分間違いであろうと思います。
  70. 森島守人

    森島委員 多分間違いだろうでは——外務省はあくまで逃げる、これを否定するんだと言っているんです。ほんとうにあるとしても、出せぬことは私は承知している。しかし、これはあり得ることは当然だと思う。そうおっしゃるなら、私はもっと角度を別にして聞かなければならぬ。
  71. 神近市子

    神近委員 外務省の返答の仕方は、この間からずいぶんぞんざいだといって非難されているのですけれども、今の牛場さんなんかも、口の先で突っぱねるようなお返事です。私どもはほんとうに聞きたいんですから、いろいろ御事情もあるでしょうけれども、もうちょっと慎重に丁重に返事してもらいたい。今おっしゃったのは、小学生が何かの答案に返事したような態度でしたよ。  それからもう一つ原電の方では、この問題を話題にされたときに、そういうことも聞いている。だけれども、深くは知っていないということを言っていますよ。ですから、私どもも、この点ではもう少し調査します。あなた方が知らぬ存ぜぬでこれを通そうとなさるなら、私どもは本格的にちゃんとこれの材料を持ってきて、調べます。あまりわれわれをなめて、何も知らないから、われわれのすることはわれわれの権限だからというふうなことに考えていただきたくない。私はそれを要望します。
  72. 森島守人

    森島委員 それでは、ここに写真版にとってあります。これを全部読んだらひまがかかりますから私は読みませんが、一つは第二一一号、この冒頭には第一八七号を引用して、詳しい内容——私が一部読み上げた、去年の四月四日に東京へ到着しておる。その次の電報二一二号、これも四月四日に到着しておる。二一三号、これはもう一つの写しは、三十二年度の二月の中旬に中川代理大使から外務省に藤山外務大臣あてに到着しておる。こういうふうな四通も私ここに持っておるので、出せというなら出します。これを一体、あなたは全部偽物であると断定されるのかどうか。
  73. 牛場信彦

    牛場政府委員 サケ、マスのカン詰原子炉の話はいたしたことがございませんので、そういうことが書いてあるということでございましたら、私は外務省の電報でないということは、はっきり申し上げます。
  74. 森島守人

    森島委員 それなら、こういう偽物をしろうとが作り得るとお考えになりますか。交渉の内容も詳しく出ておる。応対の趣旨も出ておる。こういうものを、たとい私が外務省におったといっても、絶対に作れるものではない。それをすら偽物だ、サケカンの交渉はなかったのだとおっしゃいますけれども、私はこれほどの材料を持ってあなたに今質問しておるのです。その点については、依然として自説を固執されますか。
  75. 牛場信彦

    牛場政府委員 私は何も、森島委員がそれを偽造されたと申しておるのではないのでありまして、どこからお手に入れられましたかわかりませんけれども、そのもとのものは外務省を調べましてもなかったのであります。この一八七号につきましては、はっきり私どもも、ずいぶん前のことでございますから、調査いたしましたが、それはございませんので、従いまして、それと関連いたしますあとの電報も、おそらくこれは存在しないだろうということを申したわけであります。しかしながら、もし御要望でありますれば、ただいま二一一号、二一二号でありますか、これはさらに調べてもけっこうであります。
  76. 森島守人

    森島委員 私が聞いておるところは、外務省から外へ出すときには暗号を変えたり何かして出すという話も聞いております。私と岡君がこの問題を取り上げましてから、外務省内においては大騒動が起こりました。これは私よく知っておる。そうして、何か善後処置を講じたということをいっておりますが、もしこれが全然そういう話がなかったというならば、私がサケカンの問題を出したときに、外務省が特にあわてる理由はない。関係方面へ配付しておる電報をどうしてやるというふうなことについて、いろいろ協議をしたり、重大な意見の交換をやっておる。もし、この私の言っておるものが全部うそだというならば、外務省として何らあわ食って処置をとる必要はないじゃないか。その点は、裏を返してみても、これはあくまで本物で、たとい取られるにしても、ともかくも外務省から出たから、どこから手に入ったんだということで外務省があわ食った。それなら私は了解できる。そうでなければ私は了解できない。
  77. 牛場信彦

    牛場政府委員 私は別にあわてたという事実は存じないのであります。しかしながら、かりにも外務省の先輩であります森島先生が、外務省の電報をどこかから手に入れたとおっしゃいますれば、私どもとしましては機密の保持の上から申しましても、これは非常に慎重に調査しなければならぬ。またあわてるという意味ではなくして、もしそういうことがありますれば、これは重大事件でありますから、従来の庁内に対する電報の配付は一体どうしておるかというようなことを一応調査いたしまして、遺憾なきを期した、これは事実でございます。しかしながら、そのほんとうのものが漏れたからあわてたという意味はないのでありますから、その点は一つ御了承願いたいと思います。
  78. 森島守人

    森島委員 言いのがれは上手ですけれども、なかなかあなたのおっしゃる通りにはいかない。外務省が私に対して、お前えらいものを手に入れた、一体どこから手に入れた、ということを非公式に尋ねてきた事実もあるのでございます。私はその内容をここで暴露したくはないのであります。外務省があわ食ったことは事実であります。私はもっと早く牛場さんに会って、その問題を聞こうとした。牛場さんとの私的会談のことは、きょうはここで言いません。しかし、外務省があくまでこのような態度をとったということは、私は遺憾しごくであると思うのでございます。外務省としてもサケカンの輸出、原子炉の購入等について取引をやった事実は、あなたが何と否定しても、世間にはこれで、はっきりしておる。  そこで、私はもう一つ伺いますが、この二一一号の原本を外務省でリプリントしたものがどこかに回った。それを私は手に入れた。これをあなたにお見せしますから、本物かうそ物か、御判定願いたい。     〔森島委員書類を示す〕  これは返していただかなければならぬ。その中には、ちゃんと外務省という用紙に、外務省という字も出ております。外務省独特のやり方なんでしょうが、極秘という判もついております。私はそのもの自体を否定されたら、あなたは役人としての良心がどうかしていると思う。
  79. 牛場信彦

    牛場政府委員 電報は主として番号をもって判定するほかはありませんので、二一一号という番号につきましては、先ほど申し上げたように、さらに調査いたすことはけっこうであります。
  80. 鈴木正吾

    鈴木委員長 そのもの自体がどうかということです。
  81. 牛場信彦

    牛場政府委員 ですから、二一一号というものがありますれば本物であるということになると思います。二一一号というものがなければうそだということになると思います。私たちの通常やっております事務の上から申しますと、暗号電報をこういう格好で、何号とも何とも書かないで外に出すということはないと思います。
  82. 森島守人

    森島委員 いや、極秘というふうにちゃんと書いてあります。暗号電報であるということは当然だと思う。
  83. 牛場信彦

    牛場政府委員 これは森島先輩はよく御承知でしょうが、極秘というのと暗号とは必ずしも一致いたしません。暗号というものは、外務省におきましては特殊の取扱いをいたしておりますが、その点は私が御説明をするまでもなく、よく御存じのことと思います。
  84. 森島守人

    森島委員 私もそんなことは知っております。しかし暗号と極秘が別だなんということはあり得ない。暗号で来て、その上に極秘と書くような場合もあるし、いろいろ取扱いはあります。これは牛場さんに御教示を受けぬでも、とっくに知っております。  そこで、もう一つ私は牛場さんに、角度を変えてお尋ねしたいのです。私が非常に不思議にたえないことは、貿易協定や通商協定というものは、元来業者や関係方面に周知さすべきもので、秘密はあり得ない。しかるに日英貿易協定に限って秘密なんだ。公表できない。これは一体、どういうふうになるのですか。
  85. 牛場信彦

    牛場政府委員 これは日英協定だけではございませんで、日仏協定も秘密になっておりますし、そのほかお互いにクォータを約束するという事実は原則として秘密になっております。しかしながら、業界はこれを知らないかという問題になりますと、日本の輸入から申しますと、通産省の輸入公表を通じまして実際業界に知れわたっております。相手国との関係がありますので、こういう席上で外務省から発表することはできない。これは外交常識のことでありますので、私から申し上げることはないと思います。そういう事例になっております。それから先方に対する輸出の面においては、通産省で適時業界に対して指示を行ないまして、こういうものがこれだけ輸出できるようになったということを知らせるわけでありまして、決して業界に対して黙っておるというわけではないのであります。
  86. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 ちょっと関連。今、森島さんから書類が出されたが、あなたの方はこれを否定しておる。これは外務省で扱ったものではない。そうすると偽物だということになるのですね。
  87. 牛場信彦

    牛場政府委員 偽物ということは、意味を非常に取り違えられると困りますので、偽物とは必ずしも申し上げられないと思いますが、それが電報でないということはこの席上で大体申し上げられる。しかしながら、そのものにつきましては、さらに調査をいたしまして、後刻はっきりしたことを申し上げられると存じます。
  88. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これは第二一一号、こうなっております。あなたはこういうものを扱っていないというならば、二一一号というものはほかのものがあるはずです。
  89. 牛場信彦

    牛場政府委員 在英大使館との間報は、年間におきまして千通以上の電報が往復しておりますから、二一一号というものはおそらくほかにあると思います。
  90. 森島守人

    森島委員 じゃ、ここで私がお伺いしたいのは、外務省の条約局調査室の調べで、現行通商貿易協定図表というのが出ております。これが九月号の「外交時報」に載っております。これを私が通覧いたしますと、今おっしゃった日仏が入っておるかどうか、私それほどの時間的余裕がないので見ておりませんが、全部で五十五の協定がございますが、この中でたった一つ内容を書いていないのが日英貿易協定だけなんです。私はここにサケカンとの取引をやったその関係で、ぜひ機密にしなければならないのだという積極的な理由があると信じております。これはどういう必要があって秘密になっておるか。
  91. 牛場信彦

    牛場政府委員 森島先生のおっしゃいますのは、取引がもし行なわれたとすれば、昨年の協定ということですが、日英協定はだいぶ前から、十年くらい前からやっておりまして、その間、終始不公表でございます。
  92. 森島守人

    森島委員 私は個々のことは知りませんが、五十幾つもあって、一々内容が民間にも周知できる。だれでもわかるように内容が相当程度に盛られておるわけです。ただ、三四という番号の下に出ております連合王国貿易局取りきめ、一、昭和三十三年、一九五八年四月二十五日署名、同年四月一日発効、こうありますが、二、わが国と英本国及び植民地との間の貿易関係事項を規定。これだけで、内容は一つもない。これはおそらくごらんになっておると思う。これをごらんになれば、日英間のものが特に秘密になっておるということについては、私は特殊な理由がなければならぬ、こういうふうに信じておるのですが、この点を納得させるような御説明はできますか。
  93. 牛場信彦

    牛場政府委員 これはほかの協定の例を二、三申し上げればわかると思います。たとえば日仏の貿易協定でございますが、本文は公表いたしております。しかしながら、それに付属いたしましたクォーターをきめた分は不公表ということになっております。日英の貿易協定におきましては、これはたしか一九五二年だったと存じますが、そのとき公表すべき分につきましては、合意ができておりまして、つまりただいま申し上げましたこの協定は、日本と英本国及び英国植民地との間の貿易をきめたものであるという趣旨でございますが、それはそのときにできております。それはそのとき公表いたしております。昨年行なわれました交渉は、その公表されました部分に付属いたしますクォーターをきめた部分について交渉いたしたのであります。従いまして、これが不公表になるのは、相互にクォーターを交換するという性質上やむを得ないことでありまして、これは日仏協定と全然変わったところはない次第でございます。
  94. 森島守人

    森島委員 防衛庁長官が時間の御都合がおありだそうですから、一問だけ。  日仏協定のお話がございましたが、日仏協定についてはここに、はっきり出ております。四七、フンス貿易取りきめ、というところに出ております。四八にはフンス金融とりきめというのができておりますが、これをすら秘密とおっしゃるのですか。
  95. 牛場信彦

    牛場政府委員 それに付属したクォーターが秘密だと申しておるわけであります。
  96. 森島守人

    森島委員 日仏協定も秘密だ、それが間違っておったら取り消しなさい。
  97. 牛場信彦

    牛場政府委員 そうじゃないのです。今、日仏協定の主文は公表いたしておりますが、付属しておりますクォーターの分は秘密であるということであります。
  98. 森島守人

    森島委員 しかし、秘密は、日英協定の場合と違うじゃないですか。日仏協定を見てごらんなさい。印刷にしても十数行にわたるものが出ておる。クォーターは秘密かもしらぬが、しかし日英協定はたった一行です。これはどうしても政府において秘密にしなければならぬ理由があったものと私は思うのです。この点において相当大きな疑惑を投げておることは、間違いない事実でございます。      ————◇—————
  99. 鈴木正吾

    鈴木委員長 科学技術庁所管はこの程度にとどめ、防衛庁所管について審査を進めます。  質疑の通告がありますのでこれを許します。  小川豊明君。
  100. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 ぜひ一時に打ち上げたいということですから、内容を読みませんが、防衛庁関係で一一号から二三号までが不正がありあるいは不当である、また不用意である。その結果多額の国費がむだづかいされておる。これは検査院の報告書を見てもわかる通りです。そこで、各省関係機関にもそれぞれこういう事項はたくさんあるわけですが、防衛庁という特殊な仕事の関係上、一件々々の持つ全額というものは、他の機関よりも非常に多いのです。そういうことで、防衛庁に対しては非常に悪口も出ている。たとえば、何でも買います防衛庁、高く買います防衛庁、こういうようなことまで言われているわけです。この指摘に対して、今度は防衛庁側の答弁書を見ますと、一つを除いて、全くその通りであり遺憾であった、こう言っておられるわけです。これはその通りであり遺憾であったと認められたんだから——、いいわけですが、その後の処理はどうなっておるか。これは事務当局でけっこうです。  それから、この中で二〇号は、これは会計検査院の指摘に対して防衛庁では、このようにやることが当然であったというふうな御回答になっておるわけです。  そこで、時間がありませんから、こういう数々の一一号から二二号まで指摘されている中で、二〇号を除いてはみな御指摘の通りであり遺憾であった、こういうことになっておるので、事務当局から、遺憾であったとすれば、その後の処理をどうしたかということをお聞きしたい。  それから、防衛庁長官の方には、今後これに対する長官のお考えというものをお聞きしておきたい。こう思うわけです。
  101. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 ただいま御指摘のように、防衛庁に批難事項が多いのは、全く私どもといたしましても監督が不十分であったと考えております。額の点におきましても、相当な額であることも私ども了承しておりまして、この点も非常に遺憾に存じております。そういう点におきまして、やはり国費を使っておりますことでもありますし、ぜひこういうことをなくしたい。こういうふうに鋭意努め督励をいたしておるわけでございます。  それから、批難事項以外でありますが、たとえば繰越額とか不用額等も非常に多いではないかということで、こういう方面なども鋭意改善を加えまして、この点は非常に減ってきております。しかし、批難事項等にいたしましても、十分こういうことが出ないように監督もし、注意もいたしたいと考えております。
  102. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 長官、これを見ても、年度末になって調達が非常に多いということは、ずっと金は計画があるでしょうが、それを使わないで、調達できないかあるいはしないでいて、年度末になって大急ぎで調達をするからこういう問題が出てくる。従って、あなたの方では監督を厳重にしていると言うが、監督はもちろん厳重にするのは当然です。監督ばかりでなく、一年の計画があるのだから、年度末に発注しなくても済むように、急いで年度末に発注しなくても、計画に基づいていくように指導を、もっとなさるべきではないか。ただ、注意し、厳密にしてばかりおっても、そういう点が出てくるだろうと思います。全体としてはこういう問題が幾つか出てきて、その金額が多いとすれば、防衛庁に対する不信が出てくる。その不信の念を国民から払拭することが、私は最も大切な点ではないかと思うので、この点は特に私の尊敬している赤城長官に念を入れてもらいたいと思うわけです。
  103. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 ごもっともと存じます。どうしても年度末等で急いで契約をしたりなんかするために、間違ったことなどをしでかすこともあると思います。でありますので、事務的なといいますか、そういう点もお説のように整理いたしまして、計画のきまったものは間違いを起こさないようになるべく早く契約をして、スムーズに事を運ぶようにいたします。
  104. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 今度は、二〇号を除いて一一号から二三号までのその後の処理はどういうようになっておりますか。この点での御説明を求めます。
  105. 山下武利

    ○山下政府委員 一一号から二三号までにつきまして、各号についての批難を受けましたことは非常に遺憾に存ずる次第でございます。総体的に申しまして、こういうふうな次第になりましたのは、工事あるいは物資の調達を通じまして、各部門間の協力、連絡が十分でなかったということが言えると思うのでありまして、私たちはそういう点を十分に反省いたしまして、内部の緊密な連絡を保って、今後ともこういうふうなことがないようにいたしたいと存じているわけであります。  なおまた、国損を生じましたものについても、できるだけそれを回復するという措置をとっておるのでございまして、たとえば一一号あるいは一二号等につきましても、目下訴訟中でございまして、できるだけこの失われた国損を回復したいということで、せっかく努力をしておるところでございます。なお責任者につきましては、その後おのおの適正な処分を行なった次第でございます。
  106. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 僕の言いたいのは、もちろん責任者を処分することは必要でしょう。責任者を処分したからこれで済んだということではなくて、こういうことの起こらないようにするためにはどうするかということが、私は大切だと思う。それから同時に、起こったこのものに対しては、あなたは今一一号、一二号を言いましたが、これを全編見てみると、ものの購入にあたっては単価を高くしなくてもいいものを高くしたとかいうようなものが指摘されているのです。ここにも不注意なり不用音心がある。私は悪意とは言いませんが、ただ責任者を処分したから済むということでなくて、今後あなたの方の予算はどんどん増大していくだろうし、さらにこういう仕事がどんどん方々に拡充されていくだろうし、充実もされていくだろう。その中でこういう問題が起こることは、非常に自衛隊そのものに対する不信感というものも出てくる。それをなくさなければいけないというのが僕の言うことだ。ただ、ここで通り一ぺんのあれでなくて一一号、一二号、一三号、いろいろ指摘されていますが、これに対する、たとえば一一号ならば、これは回収はついたのかっかないのか。ついたなら、幾らついたのかという回答があっていいと僕は思う。これはあとで聞きます。  そこで、この二〇号です。二〇号を見ると、これは時間がありませんから読みませんが、会計検査院の方からこれに対しては積算が過大であったから、こんな高く買わなくても済むものを高く買い込んだ、こういうことを指摘されているのです。これに対してあなたの方では、それは会計検査院の指摘が間違っているとは言っていませんが、私の方のやった措置が正しかったということを言っておられる。自信のある仕事をやることは、これは私はりっぱだと思うが、ここには食い違いが出てきておる。そこで、この食い違いに対してお尋ねするわけだが、会計検査院の指摘はここでは正しくなかった。あなたのやったことが正しいということをあなたの方では言っておられる。それならば、会計検査院の指摘は、事態を正確に把握していなかったままに指摘してしまったではないか、こうなるわけです。この点について、会計検査院から一応この指摘に対する点をお伺いしたいと思います。
  107. 保岡豊

    ○保岡会計検査院説明員 その当時、この東洋精機などについて調べることができた。そのときに通産省に報告を出しているようなものを調べれば、会計検査院の言っておるようになる。こういう事実に基づきまして、結果論でなしに、そういうことができたということで私ども案を立てております。防衛庁の方でおっしゃいますことも、当時これより把握できなかったということのようでありますけれども、もう少し実態を調べる。その契約の前に通産省の方に報告を出すとか何とかいうこともやっておるのでありますから、そういうことを調べれば、検査院の言うようにできたんじゃないか。こういう根拠で批難をしております。
  108. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 今お聞きの通り、検査院の批難はおわかりになったと思うんです。そうすると、検査院は非常に人手も少ない。そういう中でこの点を指摘している。防衛庁の方は直接これを購入する立場に立っているわけですから、相当の人も調査機関も持っておられるだろうし、ことにこれは慎重にやらなければならない。検査院のこの指摘に対して、あなたの方ではこれが当然こうでなければならなかったというような答弁なんですが、この答弁を御訂正なさいますか。それとも、これはやはりそのまま正しいと主張なさいますか。どうですか。
  109. 武内征平

    ○武内説明員 ただいまの御質問に対しましてお答え申し上げます。このキャリバー三〇の実包につきましての御批難の要旨は、三点あると思います。その一つは材料費の購入の見積もりが高いということ、その次は労務費の見積もり、それから第三は償却費の中に工具の修理工場の償却を入れる。こういう三点になっておるわけであります。もちろん会計検査院の御指摘につきましても、検査院のお考えによっていろいろ見方がありますので、一がいにどうということは言えないと思うのでありますが、私の方は実際に物を調達いたしまする実施官庁といたしまして、当時の実情からいたしまして、この方法によるよりしかたがなかった。また、よるということが必ずしも不適当ではない、というふうに考えたということで御回答申し上げておるわけであります。  まず第一に、材料費の見方が高い。こういうことにつきまして、こまかくなりますけれども申し上げますと、このキャリバー三〇の実包を作ります際に、材料費のとり方といたしまして、板から薬莢を作ります場合と棒材から薬莢を作ります場合と二つの方法があるのであります。そうして、これは御承知のように、旭大隈と東洋精機という二つの会社で作っておるのでありまして、材料費だけについて考えますると、棒材からだんだん打ち抜いていって薬莢みたいな形を作るのと、板材を白きねで締めて作るのと、二つ方法がありまして、旭大隈の方はすべて板材から作っていく。東洋精機の方は、約八〇%くらいは板材から薬莢を作っていきますけれども、約二〇%は棒材の方から押していく。それはマニュウランというフンスの機械からやっていくわけであります。その二社を相手に指名競争をやったわけであります。そうしますと、確かに板材の方が値段が高いのであります。棒材の方が安いのであります。しかしながら、たま全体を考えますと、加工費と材料費と合わさって価格の基礎をなすものでございまして、板材の方は確かに値段は高うございますけれども、加工費が安いのでございます。それから棒材から形を成形していきます場合には、工程が多くなりますので加工費が高くなるのであります。従いまして、材料費のみをとらえまして申されますとそういうふうになりますけれども、加工費プラス材料費という面で考えますと、むしろ板材から作った方がわれわれの計算では安くつくようなところで、材料費のみからは考えられないということがわれわれの第一点に対するお答えでございます。  それから第二点は、加工数でございますけれども、本件の場合におきまして、このキャリバー三〇の実包を旧米軍から注文を受けておりましたのは東洋精機だけでございます。旭大隈の方は実際に受けたことはないのであります。従いまして、原価計算をいたします場合におきましてはこの東洋精機を中心にいたしまして考えて、旭大隅の方は補助的に考え計算したという実情であります。そういたしますと、東洋精機の方は、原価計算上私の方に提出を求めた資料あるいは現地に行きまして調べた資料によりますと、会社が長い歴史を持たないせいか、原価計算上のレートと申しますか、賃率を出しますについての材料が不十分であります。すなわち労務費は労務費で大福帳式に整理してあるのであります。何人かかったというふうになっておりますけれども、原価計算をやりますについては、直接工と間接工というものが分けてないので、レートが計算できないのであります。すなわち運搬工は間接費であります。直接に物を作るのは直接工であります。それを合わして一時間当たりの賃率が出るのであります。従いまして、原価構成的に分けることができないものですから、実際要った労務費というものを、これはかつて米軍から四千万発を注文しておりますから、その全体の金額を出しまして、それは大福帳から探せますから、それに基づきまして、今度発注いたすのが約二千万発でありますから、それを比例計算して出しておるというようなわけであります。会計検査院の方は、機械に当たって何人の工員がつくのが合理的であるというふうなところから、それを全体に締めくくりまして、工数を出しておるわけであります。この方法も、もちろんございます。ございますけれども、それは実際にそれだけの工員がいないわけでありまして、これは一つの想定に基いて合理的に計算なさるということであります。われわれの方は、実際に四千万発受けたときの労務費全体は幾らであったか、そうすると、それは実際の数字であります。われわれは実施官庁でありますから、実際の数字に基づきまして計算するのがいいんじゃないかということで、われわれの方は計算した数字でございます。  それから、第三点の減価償却費の中に工具修理工場の償却費を入れるのはいけない。こういう御指摘でございますけれども、これは工具修理工場でございますから、生産工場のごとく一〇〇%は稼働しておらないのであります。工具の修理が出たたびごとに修理する。こういったような工場の一部分であります。しかし、これはいかなる工場におきましても、修理工場の償却費というものを原価の中に入れるのは原価計算上の常識でございまして、そういう方式でわれわれは原価計算をしてやっておるわけでございます。こういうことを申し上げております。現実に、この三十二年のたまの、本件の契約につきましては、相当原価計算がシビアーでございまして、両社ともこれを受けられないということを非常に強く言ったのでございます。しかし、われわれの方の計算でいきますと、この千九百万発くらいのたまは一社でできるじゃないかというところで、計算のベースには二千万発というものを一社で受けられるといった基礎に基づいて計算しておりますものですから、価格の固定費的のものは相当シビアーになっておるのであります。従いまして、この実績を調べますと、両社とも赤字を出しております。この旭大隈につきましては六百九十万余り、東洋精機につきましては千六百五十万くらいの赤字を出しておりまして、この赤字はわれわれの原価計算の際において予想できる数字でありまして、両社がどうしても受けないというのであれば、個別原価計算をやって、おのおのの受注量に応じた原価計算をやるのでありますが、両社がそれで受けたものでありますから、この契約をいたしたのであります。従いまして、三十三年度の契約につきましては、単価も三十二年よりは、実績が出ておりますから、それに基づいて幾らか上げて契約したというようなわけでありまして、これ以上安い値段で契約するということは実際無理だったのでございます。現に三十三年度の契約においては、なれというファクターは出ておりますけれども、にもかかわらず、たまの発注量はほとんど同じくらいの数量の際に、単価はより高く買っておる実情でございます。これは会計検査院の御指摘のような見方もございますけれども、実施官庁といたしてはこれ以下に買うということは無理である。また、原価計算も、一社が全発注を受けるという想定のもとに原価計算してありますものですから、シビアーな計算になっておるということであります。また結果におきましても、赤字が出ておる。従って、この程度でやむを得なかったのじゃないか、かような見解であります。
  110. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 こういう実包を作るのは、日本ではニカ所だけですか。ほかにもたくさんありますか。
  111. 武内征平

    ○武内説明員 このキャリバー三〇系統につきましては二社でございます。その他のたまにつきましては別にございます。
  112. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そこで、これは会計検査院の指摘では、会計検査院のような様式でいけば千六百九十万円節減することができた、こういわれている。あなたの方で聞くと、片方は一社千六百万円損した、それからもう一つは六百万円損した。そうすると、これは二千二百万円も損している。こういうことになるのですね。これは見方がどうであるか知らぬが、非常に食い違う。そうしてあなたの方では、非常に計算がシビアーである。こうやっておるというが、この一一から二三までのその他を見ると、みなあなたの方では単価の見積もりが高過ぎたということを指摘されて、それに対してはまことに遺憾であったと、全部回答を見ると承認しているのですね。承認している点から見れば、あなたの方でかなりルーズな発注をしているのじゃないかということが予想される中で、この実包だけはこういうふうにシビアーにやっているんだということがわれわれには納得いかない。そうして、今お聞きすると、二千二百万も相手方のメーカーには損をさしているという。この点から見ると、確かにずいぶん刻んだものだろう。こう思うわけですが、検査院の指摘の千六百九十万円むだにしたのではないか、こういう点とは非常に大きな食い違いなんだ。この点が僕の方では納得いかない。あなたの方の説明を聞いていると、これ以上やりようがなかった。これが正しいとするならば、検査院の指摘というものは無理な指摘であった。無理な指摘をして、こういうふうに報告に出されて、国会で問題にならなければならないということならば、これは検査院としてどうなんです。  こういう検査をする場合に、あなたの方では、もっと念を入れて事情を聞いて、そういう指摘をすべきでなかったか。こういうことになるのだが、防衛庁の問題で去年もあなたの方との食い違いが一つあったと思います。こういう点について、あなたの方ではそれだけの確信を持ってやられたか。もう一回お聞きしておきたい。
  113. 保岡豊

    ○保岡会計検査院説明員 防衛庁の方でお作りになった予定価格は、一社を対象としている予定価格でございます。それで、一社を対象とするのと二社を対象とするのとでは、予定価格が違います。ですから、私どもの方の批難は、一社を対象として、一社にやらせるということにして、その土台において考えて批難しております。実際は防衛庁で二社にやらしたわけであります。その後、防衛庁は、三十三年度の予定価格の積算を見ましても、その翌年の積算を見ましても、一社でやらせるときと二社でやらせるときは違えてやっておられます。そうして、一社でやらせるときのものは、私どもが申しているくらいくらいのものでございます。ここにそのデータを申し上げますと、一社でやらした場合は二十八円何がし、一社に分けた場合は三十三円、こういうことになっております。ですから、私どもの批難の根底は、どこまでも一社を対象としてやったものであります。ですから、それを二社でやらした場合には、予定価格はまたおのずから別になるということでございます。
  114. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 実包というのは何4万発か、大へんなあれなんですけれども、一社でやれば安くできたものを、二社にしなければならなかったということは、この実包の生産を非常に急ぐから二社でもやらなければならなかった。急がないならば一社でやらしておいてもよかった、安く済んだ。こういうように考えられるわけですが、これは二社でやらなければならない、どうしても急ぐ事情というものがあったのですか。実包だから、演習に使うのか。どういうことなんですか。
  115. 武内征平

    ○武内説明員 これは各社が、この期間であれば、すなわち予算は大体年度内に消化するというのが原則でありますから、示された期間内におきましてはこれしかできない、こういうことが正式に書面によって出てきたわけでございます。そこで、一社を前提として競争入札をやった場合、その入札者がない場合におきましては、その品物が分割して発注するに適するものならば、その予定価格を変えない範囲において分けて随契にしてもよろしいという会計法の規定がございますので、それに基づいて二社にいたしたわけでございます。
  116. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 私は、規定がどうだこうだと言っているのじゃないのです。たとえば検査院は、一社に発注するならばそう高くなく済んだ、こういうことを言っているのです。そこで、指摘されているように千六百万円も節減できるものを、節減せずに二社に出してこういうことをやったということは、二社なり三社なりに出してまで急速にやらなければならない事情があったとするならば、これはやむを得ないことなんです。そういう事情があったのか、なかったのか。一社へ発注しておくならば、年度内にその物が入ってこなくたっていいでしょう。注文もしなかったというならばまずいかもしれないけれども、注文してあったならば、年度が延びたって、かまわないでしょう。それならば、一社にやらしておいたら安くできたじゃないか。それを二社にやらせなければならない事情というのは、どういう事情があったのか。それをお聞きしている。
  117. 武内征平

    ○武内説明員 これは一社と契約いたしましたけれども、一社と契約すると同じ価格でやったのでございます。二社にしたからその価格を高くしたのではございません。そのために無理があってやはり赤字が出たのじゃないか、かように思います。
  118. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そこで、これは会計検査院の指摘というのをここへ報告書として出されなければ、私どもは内輪だからどうでもいいと思うが、あなたの方もこれを出されたし、防衛庁の方では、くだけて言えば、それは会計検査院の指摘が間違っているのだ、こういうことなんですよ。ですから、この点は会計検査院が、私の方の指摘は間違っているというのか。防衛庁の方で、会計検査院の指摘が正しかった、これからそういうことは改めるというのか。どっちかにしてもらわないと僕の方では困る。どうなんです。
  119. 山下武利

    ○山下政府委員 毎年検査院から御指摘を受けますものにつきましては、私の方からも十分に事情を申し上げまして、御了解を願うようにいたしておるわけでございます。もちろん私の方としても、全く御指摘の通り悪いというものも多々あるわけでございます。その部分につきましては当然に遺憾の意を表するわけでございますが、どうしても最後まで両方意見が合わないものも若干出てくることは、これはやむを得ないという点がございます。検査院の方といたされましては、どうしても実施官庁でありません関係から、やや理論的に、こうなるはずでなかったかという見地からやられることもございましょうし、私の方としましては、理論的にはそうであっても、実際に当たってみるとなかなかそうはいかなかったという、立場の相違と申しますか、そういうことから、最後まで意見が合わないままで国会に御報告になることが例年あることは、どうしてもいたし方ない点でございます。そういう点につきましては、国会で、両方のそれぞれの立場から十分に御説明を申し上げるほかやむを得ない、かように考えておるわけでございます。
  120. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これは、こうだと思うのです。会計検査院が指摘されるならば、この文書になるまでにあなたの方でわかるだろうと思う。従って、こういうふうに出される前に、もっとあなたの方の、こうでなければならないということを納得してもらうような努力もして、ここへこういうものを——両方はどっちも厳然とした機関なんです。その機関から食い違ったものが出ては、国民に疑惑を持たせるだけで、何もならない。これはもっと慎重にやるべきで、この問題はここで議論しても、あなたの方の食い違いがあるから、きょうはおきますが、今後その点は注意してもらいたい。もっと打ち合わせをよくしてほしい。こういうことで、おきましょう。  それから、防衛庁の長官にお尋ねします。今あなたの手元にちょっと差し上げたわけですが、習志野の、あそこは旧軍の地所でしたが、今はずいぶん開拓されて農業をやっているわけですが、御承知のように、やせ地はやせ地なんです。従って、農業に適地であるか不適地であるかという疑問も出てくるのですけれども、しかしあの広漠としたやせ地に開拓農民が入って、営々として今日まで苦労してやってきたところへ、あなたの方であそこに落下傘ですか、降下訓練というから落下傘の訓練だろうと思うのですが、そういうのを作る。今現に、町歩でいうと二百二十二町歩あるそうです。だから、これ以上拡充しなくても足りるじゃないかというので、地元の農家から拡充することを取りやめてほしいという陳情が再々出されているそうです。聞くと、面積は足りるのだが、どこかその演習場の北東部にイペリットを埋めてあるところがあって、そこを使うわけにいかないから、そっちを拡充するんだ、こういう話だそうです。イペヘリットを埋めてあるなら大へん有害だから、事前に早く処理するのがほんとうじゃないか、こう思うのです。イペリットがあるけれども、これはそのまま手をつけずに置いて、そっちを拡充するということは自衛隊としては、もしそういう事情ならそれはやらずに——イペリットは海の底に置いても、いつか銚子の漁民があれを引き揚げて大へんな被害があった。それがまだたくさん入っているそうですから、やはり処理しなければならぬと思う。ただし、これは海の何百メートルも底ではなくて、地の底に埋められているものですから、もしそうなら、それを処理して足りるならば、そういう拡充をしなくてもいいではないか、こう思うことが一つ。これに対する御見解を。  それからさらに、宮城県でもこういう問題が起こっておる。宮城県では、ナシ畑だから、あるいは麦畑その他とは違うと思いますが、反当四十万円の補償をしているわけです。宮城県はナシ畑だけれども、東京から非常に遠い。ところが、東京のすぐ近郊で、住宅街として今後どんどん発展しなければならない要素を十分持っている習志野が、四十万円よりもかなり低く査定されているということを聞いているので、その査定の根拠はどうか。  要するに、イペリットを処理すれば拡充しなくても済むなら、イペリットを処理して拡充しないのか。それともそれはそのままにしておいて、これは拡充しなければならないのか。拡充するならば、こういう補償に対しては、東京の近郊と宮城との違いも出てくるでしょう。地価の関係も出てくるでしょう。また作られている作物等によっても出てくることはわかるけれども、しかし、だれが見ても、やはり一応そういうものを計算して、納得のいく金額でないといけないと思う。そういう点について、長官の御見解を伺いたい。
  121. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 習志野の空挺団の演習場の拡張は、イペリットが埋まっているのでそこが使えないからということだけではないと思います。実はイペリットが埋まっているという話を今初めて、そのことじゃないかということを聞いたわけでございます。これはよく調査いたしてみたいと思います。  それから地価、土地の値段の問題でございますが、これはやはり納得のいく均衡のとれたものでなければいかぬと思います。この点につきましても、権衡のとれたようなもっともであるという値段をよく査定させるようにいたしたいと思います。
  122. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 約束ですから、私もう少しこの点をお聞きしたいと思いますが、これで質問をやめます。あと西村君がもう一点あるそうですから……(「イペヘリットはあるのか、ないのか、はっきりしなさい」と呼ぶ者あり)それが、はっきりしないのでしょう。イペリットがあるから今、片隅でやっている。だから、こっちを使えば差しつかえないけれども、こっちにはイペリッとがあるから危険だという。危険ならこれはとるべきだ。だから、そういう点で、とって差しつかえないなら、それは何も問題を起こして拡充する必要はない。あなたの方は、むだなところまでとろうと思ってないのでしょう。必要だから御計画なさるのでしょうから、そういう点を十分調査して、もし拡充する必要がなければ、地元の農民がしたくないというのだから、やめてもらいたい。どうしてもしなければならぬというなら、その点を明らかにしなければならない理由もはっきりするでしょうし、補償の問題についても、均衡を失しないようにすべきだと思うのです。この点は、あなたの方でも初耳でしょうから、調査してもらいたい。あとで聞きます。
  123. 西村力弥

    西村(力)委員 私、資料をちょっとお願いしたいのですが、それは新島のことです。新島のあすこのミサイルの試射場を作る案ですが、それの計画、図面を付して、試射場とそれに至る道路と、それから敷設される飛行場、それから岸壁の整備の計画、そういうものを地図を付して、それから予算を付して、この資料を提出してもらいたい。
  124. 鈴木正吾

    鈴木委員長 なるべく早く資料を出してくれるように要求します。  本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十三分散会