○田中(彰)
委員 あなたも大がい御存じでしょうが、今どこの銀行でも銀行一本じゃないのです。たとえば富士銀行でいえば、富士銀行の中には何々商事
株式会社とか何々
証券とか何々土地とか、いろいろなものを持っているわけです。そこと四社——私は四社のみ言っておるのではないのですが、その他四社以外の第二流といいますか、そういうのと組んで、
会社の株を売ったり買ったり、譲るとか何とかというので、始終やっておる。それで
会社が、外に出たって困るから、出さないようにやみ
取引と言いましょうか、そういうもので
会社がその
証券会社に金を払ったり、その銀行に払わぬでもいい金を払ったり、株を非常な高い金で買ったりしておる。そういうもので出たのが東洋精糖とか豊浦精糖とか、いろいろ出ておりますが、出ないやみ
取引が非常にあると思います。僕らもこれを気にして、今に必ず何か大きな、伊藤斗福のような事件がもっと出ると思う。それだからといって、伊藤斗福のはつぶれてもそのままになっているけれ
ども、四大
証券についても、十四
投資信託についても、あるいはまた
証券の問題についても、倒れても別に国家が保証はしない。銀行であれば、万が一のときは金を持ってきて、
投資の金が足りなければ補うということはありますが、
証券にはそれはないのであります。こういう点を私も、もう少し調べますが、あなたの方もよく調べていただきたい。これはやみのものがある。
会社の社長なんていっても、このごろは、社長としていすにすわっておりますけれ
ども、四大
証券あるいは二流
証券の持っている株で、あるいはそれを銀行の名義にしたり、銀行で持っている株で日本の財界をあしたにおいて変え、きょうにおいて変えることができる。株が上がったり下がったりすることは、人が売ったり買ったりするからだとか言っておりますが、普通の株主が五万や十万の株を売ったといって、上がったり下がったりするものではない。たとえばこの間、日軽金の株が非常に上がっておったが、あれなどはやはり
証券会社が某銀行と横井のような大阪の某氏と組んでああいうことをやったので、株があんなに暴騰した。そして暴騰して上がったときに、もうけてしまったときに出すから、今度は下がる。すると迷惑する者は、この株は四百円以上になったからいいだろうと買っておった一株、二株、十株くらい買った人間が損するだけであって、決して大きな銀行とか
証券会社は損しておりません。
自分で好きに買って上げて、好きに売ってもうけている。ほかの者は知らないから、あの株は
会社の
内容がいいから上がったんだろう、あるいは人が売ったから下がったんだろう、人が買ったから上がったんだろうと思うが、そんなことはありません。みんな二十本の指の中に入る
人たちがやっていることにおいて日本の現在の
株価が保たれている。そして少し何かあると、すぐ献金したりなんかして、それをおさめる。そういうような傾向がこのごろ激しいのです。われわれも財界に影響を及ぼすのはいけないからあれするが、激しいのです。
伊藤斗福の
保全経済会とか、
西村とか、その他のつぶれたものと今の四大
証券との違いは、片方は
大蔵省が許可した手前、監督をある程度している。片方は許可しなかったから十分な監督ができなかったので、それだから乱雑で倒れた。しかし今監督されている方も
大蔵省より知恵があるから、あるいはまたいろいろなことをやってつぶれたって、政府は一銭の保証もしないのだから、
保全経済会がつぶれたのと同じ結果になるのだということはだれも知っている者はありません。みんな、
大蔵省がついているから、万が一倒れたり損したりしたら国が保証してくれるのだ。四大
証券の
会社の株、その他の
証券会社の株はいくら買ってもいいのだ。テレビを見ても、出ているのはそうでしょう。あなたがそこの債券をお買いになれば担保がついている、工場がある、土地がある、営業権がある、こういうことを聞きますと、担保か何か取って金を貸しているような気がしますけれ
ども、その債券を買ったって、ほかの株の上げ下げがあればそんな債券というものは何にもならない。そうかといって、
証券会社がその債券を買わしたからといって、あんたが損したら私が払いましょうということはない。伊藤斗福とちっとも変わらない。ただ、あなたの方は許可している
関係上、監督なさっているだけで、ちっとも保証がないわけです。
そういう点、
一つ、私
どもも調べて出しますが、もう少し、今あんたのおっしゃったようなことでなく、われわれは許可を与えているけれ
ども、
投資信託に金を出しても、信託
会社がちょっとまずいことがあって失敗すれば、政府の保証も何もないのだ、
保全経済会の株を持ったと同じことだ、それに
投資したと同じことだぞ、という観点からお考えになると、私は相当あなたの目の前には、今後私が調べて出す書類以上のいろいろなものが現われてくると思う。今まであなたは、かたいかたいとおっしゃるけれ
ども、
一つもかたくはない。ただ損上ないということ、株が上がったり下がったりすることは自由だ。そうして
投資している。それに銀行がくっついている。銀行の裏には銀行の作った
証券会社がある。そうして操作しておる。
会社の重役をおどしたり、社長をおどしたり、いろいろなことをして、今度お前の株をこうやるぞ、ああやるぞといって、ない金を出してそれを補って、株のつり上げをやっておる。それを世間には出さないようにしてくれというな
取引が多い。これは、あなたが東洋精糖をごらんになっても、芝浦精糖、白木屋をごらんになっても、その他某火災保険をごらんになっても、みなそれです。そういうことをお隠しになって、かたいかたいとおっしゃるのでしょうが、私の方も調べますから、あなたの方もそういうような観点から監督された方がいい。あなたが非常に抗弁されると、百姓とか、株を持っている者は知らないから、株が上がったり下がったりというのは、
会社の
内容がよくて、そうして人が売ったり買ったりするからなのだと思っているが、そうではない。
証券会社があやつっているから上がったり下がったりするのだ。倒れたら
大蔵省はめんどうを見ないのだ。おれの方へ頼んだって知らないぞ、と一言新聞に発表してごらんなさい。あしたから
投資信託なんかを買う者は一人もない。私もよく調べて出しますから、あなたの方も、もう少し深くお考えになっていただきたい。日本の今の株のすべての
動き、すべてのあれは、全部この
投資信託を持っている
証券会社にあやつられておる。そうして銀行がそれを援助し、銀行の姉妹
会社がそれを援助している。これ以外にはございません。日本の株が上がるからこうだとかなんだとか、
大蔵大臣がどんなうまいことを言っても、あなたがどんなことを言っても、このからくり以外にないということです。さっきあなたは、二流株、三流株は上がらないとおっしゃったが、そういう手づるのないものは援助してくれませんから、それはだめだ。だから、テレビで毎日、あの株買え、この株買えと宣伝しているけれ
ども、手づるのないものは銀行の前へ行けば名前を書いてくれるようなことをしてくれない。私も調べて出しますが、あなたの方ももう少し観点をかえて、
一つ民衆があまり迷わぬようにやっていただきたい。これをお願いしておきます。