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1959-11-11 第33回国会 衆議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月十一日(水曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 鈴木 正吾君    理事 井原 岸高君 理事 押谷 富三君    理事 鹿野 彦吉君 理事 田中 彰治君    理事 高橋 禎一君 理事 小川 豊明君    理事 神近 市子君 理事 山田 長司君       平塚常次郎君    保岡 武久君       山本 猛夫君    淡谷 悠藏君       西村 力弥君    西尾 末廣君  出席政府委員         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   佐々木義武君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局次長)  法貴 四郎君  委員外出席者         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房会計課長) 小林 忠雄君         宮内庁長官   宇佐美 毅君         総理府事務官         (宮内庁長官官         房皇室経済主         管)      高尾 亮一君         総理府事務官         (自治庁長官         官房会計課長代         理)      篠崎 正廣君         総理府事務官         (自治庁行政局         振興課長)   山本壯一郎君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房会計課         長)      杠  文吉君         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    谷村  裕君         大蔵事務官         (理財局国庫課         長)      松本 十郎君         会計検査院事務         官         (第一局長)  秋山 昌平君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 十一月九日  委員淡谷悠藏辞任につき、その補欠として河  野密君が議長指名委員に選任された。 同日  委員河野密辞任につき、その補欠として淡谷  悠藏君が議長指名委員に選任された。 同月十日  委員横山利秋辞任につき、その補欠として河  野密君が議長指名委員に選任された。 同月十一日  委員千葉三郎辞任につき、その補欠として山  本猛夫君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山本猛夫辞任につき、その補欠として千  葉三郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十二年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十二年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十二年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十二年度政府関係機関決算書  昭和三十二年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十二年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十二年度物品増減及び現在額総計算書      ————◇—————
  2. 鈴木正吾

    鈴木委員長 これより決算委員会を開会いたします。  この際、委員西村君から、過日報告せられた視察旅行の件につき、追加報告したき旨の要求があります。これを許します。  西村君。
  3. 西村力弥

    西村(力)委員 さきの委員会視察報告をいたしましたが、その中で重要なる一点だけ脱落をいたしておりましたので、追加させていただきます。  それは、愛知用水公団事業に従事している技術陣が、愛知用水公団事業終了とともに分散するということは、同じような事業の将来の施行を有効に、能率的にやる場合においては、実に惜しいことと考えられるのでありまして、この技術陣の有効なる活用については、十分なる配慮をせられなければならないという工合に考えて参った次第でございますので、以上の点を追加させていただきます。      ————◇—————
  4. 鈴木正吾

    鈴木委員長 次に、昭和三十二年度決算外三件を議題として審査を進めます。  まず、前会保留となっておりました大蔵省所管中、理財局関係について発言の通告がありますので、これを許し  ます。  小川豊明君。
  5. 小川豊明

    小川(豊)委員 これからお聞きしようとするのは証券の問題ですが、これは私もしろうとですし、またこれの波及する問題も考えなければなりません  ので、自分では特に気をつけて質問するつもりですけれでも、答弁の方もその点を勘案して答弁願いたいと思います。  私がなぜこういうことを聞くかと申しますと、私、数年間、ずっと前に大蔵委員をしておったときに、例の保全経済会の問題があって、あのときに大蔵委員会としてはずいぶんこの点についての注意等大蔵省側にも喚起していたわけですが、大蔵省としては、当時調査する、研究するということで、  一年半ばかりそのまま過ぎてしまって、とうとうああいうことになって、利用者が大へんな迷惑をしたという点があるのです。それとこれとはもちろん根本的に違いますが、やはり経済金融界の問題として非常に心配になる点もあるのでお聞きするわけです。  そこで、最近の株式市場の動向から見ると、健全な投資家にとってはあまりにも値動きが激しい。この点について、しろうとであるが、危険ではないかと思われる点もあるわけで、大蔵省は健全な大衆投資家の保護を、この点についてどう考え、対策をとっておられるか、この点をお聞きしたいわけです。従って、最近の信用取引に対する措置、あるいは証券業者営業活動に対する指導はどうしておられるのか。それから大衆に対する啓蒙、この点はどうなっておるか。それから、取引所における取引の公正な確保というような点をまずお伺いしたいと思います。
  6. 谷村裕

    谷村説明員 理財局長が本日ちょっと参議院の方に参っておりますので、私、証券担当財務調査官でございますので、かわってお答えを申し上げたいと思います。  今、小川委員からの御質問は、私どもがいつも考えております点を御指摘下さったものと存じます。昨年の十月ごろから非常に株式の市況が活発になって参りまして、ずうっといわば経済の明るさを取り戻し、さらにそれが順調に伸びていく姿を反映いたしまして、あるいはそれよりさらに先回りをいたしまして、いわば早い上げ足でずっと伸びて参りました。最近では、御承知のようにダウ平均が九百五十円をやや上回るというふうなところまで参りました。私ども立場からいたしますならば、個々の株式の値段がどうということを申す意味ではなくて、今、小川委員から御指摘のありましたように、健全な大衆投資家が安心して買える、取引ができる、そういう環境を作ることが大事だと考えておりまして、そういう見方から株式市場動きを見ておったわけでございます。六月、七月、八月と、ほぼ平静に推移して参りましたが、九月に入ってやや激しい動きを見せるようになり、十月に入りましてから相当投機的、と申してはなんでございますが、人気がひどくなってきたように思いましたので、先般信用取引融資規制ということをいたしまして、人気化に対して警告を発する。具体的には取引の量、特に信用取引の量をつづめるようにして、人気化に対して警告を発するということをいたしたわけでございます。信用取引のこまかいことについてはここに申すまでもないのでございますが、やはり市場株式の値を作って参ります一つの大きな指導力信用取引がなっておりますから、それがいわば人気化しておるような場合には、そういうふうにしてブレーキをかけるというのが、われわれの行政の務めであろうと存じまして、さようにいたしました。  なお、そういう際に、御承知のように取引所で取所いたしております非常に大きな部分が、大きな証券会社、俗に四社と言われておりますが、そういうところの手を経て行なわれておりまして、お客の大部分もまた四社というようなものを通じて動いておりますだけに、大きな証券会社動きというものが、われわれにとっては非常に堅実であってほしいということが念ぜられるわけでございます。そこで、そういう四社を含めまして、多くの証券業者方々には、こういう際であるから非常に投機的な気持あるいはただ人気を追って動くというようなことでなしに、その営業活動を健全な線に乗せてもらいたいということを強く要望したわけでございます。  大衆投資家の方に対しましても、機会あるごとに、株式というものはただお金をもうけるために追っかけ追っかけして、値が上がれば喜び、値が下がれば悲しみというようなことで、値動きだけ追っかけているものではない。もっと健全な投資であり、みんなよくお考えになってやっていただきたいという趣旨のことを言っておったのでございます。  先般の措置に並行して、大蔵大臣からも談話を発表いたしまして、特にそういうことをできるだけ、株式投資というものの本質をわかっていただきたいということを申しております。  取引所でいろいろな値の動きをいたします。あるものは成長を見込んで、先を明るいものと見て大きく値が上がっていくものもございます。あるときにはまた、非常に申しわけない話でございますが、買い占めみたいな形で変に動くときもございます。それぞれの値の動き方がございますが、そういう値の動き方について、もしわれわれの方の立場から見まして、行き過ぎ動きがある、あるいは不適当な動きがあるというふうに見ましたときには、取引所を通じまして、そういう動きがどういう理由で、どういう手を通してやっているかということも調べるようにいたしまして、できるだけたくさんの人が安心して取引できる場に取引所をしたいというふうに考えておるわけでございます。  しかし、何分にも証券民主化というようなことで、証券取引所投資の場になってからまだ十年くらいのことでございまして、ようやく最近、いわば大衆投資家というものが市場というものがわかってきたような状況でございまして、まだまだこれからいろいろ株式取引の点につきましては、秩序を正しくしていかなければならない問題があるようでございます。こういった点につきましては、われわれもいろいろ研究し、また勉強するつもりでございますが、どうか国会の方におきましても、誤りのないようにいろいろ御叱正をいただければ幸いだと思います。
  7. 小川豊明

    小川(豊)委員 昭和二十四年の五月に証券取引所が再開された当時、証券業者として登録された業者が一千四百三十六社あったのですが、その後これが破産とか倒産とか、そういうもので取り消されたものが八百七十五社、従って今残っているのは五百六十一社だそうですが、この六〇%強が倒産する過程で、利用者といいますか、取引した方々に対してずいぶん迷惑をかけていることもあるだろうと思う。そこで、今残っているこの五百六十一社の基礎というものは、安定して心配なくなっているのかどうか。この点、御答弁としてもどういうふうな御答弁をいただけるか。私もあまり聞き過ぎてもいけないと思って考慮していますが、まずこの点を……。
  8. 谷村裕

    谷村説明員 ただいま御指摘のございましたように、最初出発いたしたときに比べますと、約半分くらいの業者の数になっております。正確な数字を申しますとちょっと違っておりますが、数字のことはよろしいと思います。一番大事なことは、大衆の間に入りまして、大衆株式取引のお世話をするこの証券業者が、信頼するに足るものでなければならないということは御指摘通りでございます。われわれの行政ポイントも、いかにして証券業者をしっかりした経営のものにさせるか、そしてまたみんなが信頼していけるような営業態度にすることができるか、こういうことに置いておるわけでございます。かって起りました、たとえば中外証券事件といったようなことは起させないように、私ども常に注意をいたしておるわけでございます。  そういう点につきまして最近のことで御報告申し上げることが二点ございます。  一点は、証券業者の資力を充実させるという目的のために、ただいままででも行政指導で、経理健全化というようなことから自己資本の充実に努めてきてもらったわけでございますが、先般証券取引法に基づきます政令を改正いたしまして、証券業者最低資本金を若干引き上げる措置を講じまして、向後三年の間に最低資本金を、たとえば東京、大阪の取引所会員証券業者でありますならば、五千万円にするようにというふうなことをいたした点でございます。もとより形式的な資本金の増額だけでは意味がないのでございまして、そういう措置とあわせまして経理健全化、実質的に充実してもらうということに私どもは努めるつもりでございます。  それから第二に、証券業者営業活動が、いろいろお金を借りて勝手にどんどん動き回るということのないように、ただいま私ども法律では負債倍率というものをきめてございます。たとえば純資産が十ございますれば、ちょうどその二十倍くらいまでのお金は借りてもよろしいという負債の限度というものをきめて、活動をコントロールいたしております。その負債倍率計算方法、これは技術的にいろいろこまかくなりますが、具体的にはそれをもう少しきつくいたしまして、あまり業者借金をうんとして、そして借金でもって大きな活動をしないようにと、実はこの十一月の五日にやはり政令を改正いたしまして、計算方法を変えたりいたしました。実質的に押えられるように、これもまた経営健全化のためにやっておるわけでございます。  どこまで私どもの手が届きますか、これはなかなかむずかしいのでございますが、できるだけ検査を励行いたしまして、特にお客様と証券業者との間に、いわばあぶない関係のないようにしていこう、非常に預かる関係が多いわけでございます。お客さんから株を預かったり、お金を預かったりして、それを持っておりますと、ついつい横っちょに使ってしまったりなんかするということがございますが、そういった点について、われわれの目ができるだけ届くようにして持っていこうと思っているわけでございます。たくさんある業者でございますから、なかなか目の届かない点もあるのでございますが、最近のように状況がよろしゅうございますと、みんな一生懸命になって、こういう機会に自分たち経理内容もよくしようという努力をしているようでございます。ただいま御教示のありましたように、今後の証券業者経営健全化ということにつきましては、われわれとしていろいろな点をよく見まして、指導を進めて参りたいと思っております。
  9. 小川豊明

    小川(豊)委員 今、御説明を聞いてわかったわけですが、証券業者の扱う株価がどんどん上昇しているわけです。この株価の上がっていく要因とし  て考えられるのは、やはり設備投資が増大した、経済が安定してきている、それから株の絶対数が少ないのじゃないか、こういう点も私は考えられるが、このほかにあるならばお聞かせ願いたい。  ところが、一方配当面から見ますと、三十三年十月の採算株二百種について見ても、利回りは六分大毛でした。三十四年の二月になると四分になる。それから十一月になると三分九厘と下がっているわけです。こういう配当面から見ると、高値の要因というのはないにもかかわらず、株価がどんどん上がっていくというのは、私としては健全な上り方ではないのじゃないか、ここに操作に不純なものがありはせぬかという点が一点心配されるので、この点を御説明願いたい。  それから次に、日本証券金融の三十三年十月の融資残高というのを見ると、百三十億となっている。このときのダウは六百円です。ところが、大蔵省がたしかこの六百円の時期に取引業者の代表を呼んで、さっき御説明のあった自粛なり警告なりを発している。これが第一次規制と呼ばれていると思うのです。それ以後、四回か五回にわたって自粛を要望する規制というものは行なわれているわけです。ところが、最近三十四年十月二十七日に第五次規制が行なわれたようですが、この五次のときには日証金残高は二百六十二億、ダウは九百五十円。すばらしく上昇しているわけです。この数次にわたって自粛を要望して規制をやっておるということは、やはりここに不自然な上昇は押えなければいけないという不安があったなればこそだろう、こう思うのです。この規制のねらいというものは、私どもの考えている、上昇が少しく不自然ではないかという点にあるのではないかと思われるのですが、この規制を出したねらいと、そのした場合に生じた結果というものは、どういうふうに出てきていますか。
  10. 谷村裕

    谷村説明員 問題は、御指摘のように二つあると思います。なぜ株価はこう上がるのかという要因の問題と、そういうのに対していわば融資規制というふうな形で市場活動規制いたしますことがどういう意味を持つかというのとだと思います。  第一の点は、これは非常にむずかしい問題でございまして、いろいろな方がいろいろな議論をしていらっしゃいますが、確かに御指摘のように、株式利回りはただいま既配当利回り率で三分台になっておる。これは申すまでもなくその通りでございますが、そのことの意味は、実は株価が高くなっているからということなんでございまして、なぜそれでは三分くらいの利回りでみんなが買うかという点が問題なわけでございます。五十円に対して、かりに一割であれば五円の配当がくるものを、それがたとえば百円になってしまえばたった五分、二百円になってしまえば二分五厘。そんなに低い利回りなのになぜ買うかといいますと、先ほど小川委員、おっしゃいましたように、経済の先の成長ということを見ているわけでございまして、これは株式の銘柄によっていろいろ違うと思いますが、たとえば一つ計算の例を申しますと、ただいま五十円につき一割五分の配当をいたしております株式があるといたします。これは、名目上の配当率は一割五分でございますが、かりにそれが五百円いたしておるといたしますと、わずかに利回りは一分五厘というふうな低いものになってしまうわけであります。五百円が一体適当であるかどうかということは、人によっていろいろ判断するわけでございますが、かりにこの会社が五年間に倍額増資を三回するといたしますと、二倍になり、四倍になり、八倍になる。しかも配当率は依然として一割五分というものを下らずにずっとやっていけるだけの収益力事業内容を持っている。こういう仮定をして、その間、増資プレミアムがついて参りますが、増資プレミアム計算に入れて株価五百円がどのくらいに回るかということを見て参りますと、七%に大体回る計算になります。かような五年間に三回増資があるだろうとか、増資をやってからそれだけの配当が維持できるほどの収益があるだろうかとか、そこにいろいろな人の見方考え方判断があるわけでございますが、私どもはそういう判断が間違っているというふうに言うわけにも参りませんし、そういう判断はできるだけ慎重に、合理的に考えてやっていただきたいということを申しているわけでございます。そこが一番今の株価というもの、株を買う人たち考え方だろうと思うのでございます。そのほかに、御指摘になりましたように、買おうと思っても株の数が少ないものでありますから、やはり人気的にどうしても少ないものを求めようとする気持もございましょう。しかし、基本的には株式というようなもの、あるいは証券投資というようなものは、最も経済的に、あるいは合理的に判断しなければならぬものといたしますと、今御指摘になりましたように、経済が大きくなり、成長していくということで、みんないろいろ判断して買っているのだろうと思います。それが証拠には、やはりあまり見通しがないものについては、ダウ平均は上がっておりますが、その株価はむしろ上がらずに下がっているというふうなものもあるようでございます。われわれはそういう判断が合理的でなくなって、人気的になったり、思惑的になったり、投機的になったりすることを極力押えたいという気持でございます。とかく行き足がつきますと、そのつもりで一緒になってわいわい行ってしまうのが常でございますので、昨年の十月から十二月にかけて四回規制をだんだんに強化いたして参りました際も、実は株価それ自身を押えるというふうな意味ではなくて、取引所取引するその取引の仕方が過度にわたらないように、行き過ぎないように、思惑に走らないように、そういう意味でのブレーキのかけ方をしたわけでございます。従いまして、これは経済動きに応じまして増資が行なわれていくというふうなことであれば、ダウ平均がだんだん上がって参りますのは当然なことでございまして、それが行き過ぎないようにするためにときどきブレーキをかける、こういう形でございます。  今回の規制措置をいたしました十月二十七日、その前の約一カ月間というものを見てみますと、先ほどちょっと申しましたように、六、七、八、九とほぼ横ばい——横ばいというのはダウ平均ではございません。取引の量あるいは信用取引の姿、そういったものにおおむね順調の動きが見られておりましたのが、十月の一日から二十七日にかけて非常に急上昇いたしたわけでございます。明らかに人気化投機化の要素がうかがわれたわけでございます。これはいろいろなポイントが五つ、六つほどございます。たとえば信用取引回転の速度というふうなものを見ましても、普通大体六月から八月ごろまでは一カ月に一ぺん二十七、八日くらいの計算で回っておりましたものが、十月の下旬に入りますと十七日とか十六日とかいう回転の早さを示して参ったことも、たとえば一例としてあげられるわけでございます。それを二十七日に規制措置を発表いたしまして、実行いたしましてからあとは、大体十月一日から二十七日まで上がってきたその上がり坂を、同じテンポで下がってきているという格好でございます。これは株価について申しているわけではございません。株式取引状況について回転率あるいは融資残高というものが動いているように思います。今日現在でも、やはりいろいろな談話が出たりいたしますと、それに一喜一憂、というと言葉がおかしゅうございますが、上がったり下がったりしておりますが、大勢としては大体整理商状が続いているということでございまして、効果ということを今小川委員がおっしゃいましたが、やはり株価はある意味では行き過ぎを今訂正しながら、その方面の言葉で言うば、少し下押ししながらもみ合っている状況だろうと思われますし、気持としては行き過ぎをこの際整理しようという気持が一般に強いようにうかがわれますので、そういう思惑的な気持行き過ぎ気持を整理してもらう意味では、私ども効果があったと考えております。
  11. 小川豊明

    小川(豊)委員 いま一点お尋ねしたいと思います。数はちょっと明確でございませんが、証券業者が五百社あって、そのうち投資信託業務を許可されているものは十四社ほどあるそうですが、これは投資信託業務証券業務とあわせて行なうことができる、こういうことになるわけです。これについて私とも疑問に思うのは、こういう投資信託業務証券業務という利害の反するものを一つ業者に行なわせることは、民法の百八条から見て抵触するのではないか、こういうことが考えられるわけです。これに対して、大蔵省としてはどういう見解をお持ちになっておりますか。  それからいま一つは、最近の新卒大学卒業生とか、そういうものの採用状況を見ていくと、一番新卒を採用しているのは証券業者、それから一番支店をどんどん増設しているのも証券業者です。こういう点から見ると、僕が心配になるのは、こういうふうに新しい採用者を何に使うかというと、おもにセールスに使う。支店を作り、新しい採用者をどんどんセールスに使っていくということは、資金を集めていくことです。そういう点から言うと、かつて、いわゆる高金利の法律に抵触してやめさせられたけれども、ああいう保挙経済会とその内容についてはやや似たようなものになってくるのではないか。ここに私のしろうとながら心配をする点がある。ここでその杞憂を一掃してもらいたいと思うのです。
  12. 谷村裕

    谷村説明員 ただいま御指摘のありました投資信託のことでございますが、一言にしていえば、投資信託が大衆の非常な信頼を受けてやっておるのであるから、それが再びかってあったような、たとえば保全経済会のようなものであるということのないように、しっかりとその健全な運営をはかるようにせよということであろうと思います。  そこで、内容は二つあるわけでございますが、一つ投資信託の兼営をやらせておるような場合に、それはいわば双方代理のようなことになって、証券業者の本業の方と、それから投資信託の方とが利害相反するようなことがあっていかぬじゃないか、こういうのは分離したらどうだというような御意見。これは実はこの春の国会でも大蔵委員会で問題になったわけでございますが、投資信託を十四社現在やっておりますうちで、一番大きくやっております四社につきましては、すでに投資信託を分離する方針をきめまして、具体的にその実行の段階に入っております。この十一月の下旬の、いわゆる四社の株主総会におきまして、新しく四社がそれぞれ分離いたします投資信託の会社にその営業を譲渡するということをすでにきめまして、今までの四社がやっておりました投資信託は、今度が離した新しい会社に渡してしまう。四社は投資信託はやらない。新しく四社から分かれた投資信託の、いわば指図をする会社が独立してこれをやっていく。こういう形に今準備して、だんだんと実現の方に進んでおります。それが実行できますのは、おおむね来春三月から四月にかけてのことであると存じます。しかし、何分にも残存元本およそ三千億、多数の方々から信頼を受けてやっております投資信託でございますから、あまり急激な変化を起こすのもいかがかという配慮もございまして、御指摘のような意味での証券会社と委託会社が混淆することによる不合理さをなくすということは、はっきりわれわれの指導方針としてやりますけれども、分離の仕方というものは、完全に別の会社にはなりますものの、さしあたり資本関係、人的関係等では、経過的に旧証券会社との間につながりを持つという形になるのも、これはやむを得ないかと存じております。  四社は、そういうふうにいたしまして、投資信託を分離して、たくさんの投資信託の受益者の方の信頼にこたえてやっていくという態勢を作るわけでございますが、残余の十社は、投資信託を分離するほどに、まだその投資信託の収支採算が完全に参っておりません。本来ならば、論理的には分けるのが正しい姿でございますが、経過的にはまだ分け得ない状況でございますので、御指摘のありましたような、証券業者投資信託を両方やっておることによる、いわば妙な、あるいは不合理な点はできるだけこれを行政指導によって是正させていくというつもりでおります。もっとはっきり申し上げれば、本業が投資信託をうまいこと食いものにしておるというようなことは実はございません、と言ってよろしいと思います。むしろ本業の方が投資信託を伸ばすために相当背負い込んでおるという格好の方が、実は多うございます。やはり証券業者も相当な大きな会社でございますし、世間的な信用ということも大事でございますし、何よりも他の同業に負けてしまうことは残念でございますし、立ちおくれることのないようにと思って、考えておりますから、投資信託のお客さんを大事にするということは、たとい分離しておらなくても、本業と兼業しておりましても、一生懸命になってやっております。そうでございますから、論理的に考えますと両者混淆することもあり得ましょうが、実際はかなり残りの十社も投資信託のために一生懸命になってやっておりますので、いろいろ問題はあるかとも思いますけれども、この点はいましばらく、経過的に一緒にずっとやらしていくということで進めておるわけでございます。  第二に、投資信託がたくさんの人を雇い、たくさんの販売店を持ち、どんどんセールスを使って売り込んでいく。売り込んでいくためには次々とお金を集めなければならない。お金を集めるためには投資信託の利回りがよくなければならぬ。そのためには株を上げていかなければならぬ。どうも、ぐるぐる回りをやっておる。いわゆる自転車操業みたいなことをやっておるのじゃないかという御懸念でございますが、私どもも、投資信託の運用については、多数の受益者の信頼を受けてやっておるのだから、慎重にやれということを言っておりまして、さような懸念のないように、また実際問題としてそういうことでないように、株の運用、利益の分配、やり方等につきまして、いろいろ監督もいたしておりますし、その仕事をやっております者も、それは真剣になって考えてやっておると思います。よく自転車操業というふうなこともいわれますが、私どもは、そういうことでなしに、最も合理的な、最もよく株式市場というものがわかって、多数のお客さんのかわりにそれをやっていく、そういう組織としての機関投資としての投資信託というものをりっぱに育て上げるようにやっておるつもりでございますので、御懸念、御心配のないようにやって参りたいと思います。
  13. 小川豊明

    小川(豊)委員 今、御説明ありましたが、四社は投資信託の業務と証券業務を分離する、あとの残った十社ですか、これは継続していくわけですが、これも方針がそうきまった以上は、おそらく分離し得る段階がきたら分離させる意向だと思う。そうすると、分離し得る段階にいくまでに非常に努力をしなければならない。その努力の中に、過当競争とでもいうか、そういう競争が盛んに行なわれて、むしろこの中から不健全さが出てくると大へんな問題になるのじゃないかというのが、僕の心配一つ。  それからさらには、投資信託に対しては元本の保証というものはないわけなんです。よく地方へ行ってみると、元本の保証があるという考え方の上に、従って投資信託はいいんだ、こういう考え方に立っている方を往々見受けるわけです。そこで大蔵省として、これには元本の保証はないのだということを、投資家に対してやはり周知徹底させる必要があると思う。そういう点をあなたの方ではやっておられるか。やっておられるならば、どういうふうにやっておられるか。投資信託は株式利回りよりも低いのですが、これをどうして利益を上げていくかということを考えているのか。投資信託の今後分離した後の運用、こういう点を御説明願って、私の質問を終りたいと思うわけです。
  14. 谷村裕

    谷村説明員 第一点の過当競争の問題は、御指摘通りでありまして、私どもも一番そういう点を警戒いたしております。何分にも、日本の経済は各方面で競争が激しいのでございますが、特に大衆の信頼を受けてやらなければならぬ問題でありますだけに、過当競争のためにそのやり方を誤るようなことがあってはならないと思います。御指摘の点、十分これからも行政の面で注意して参りたいと思います。  第二の、元本保証の点につきましては、投資信託というものの本質は、これは銀行預貯金あるいは普通の金銭信託などとは違って、合同してやる一種の株式投資であるという、その投資信託というものの本質、ほんとうの姿というものをよくお客さんにわかって買ってもらいなさい、という指導をいたしております。これは、たしか六月か七月のころでありましたか、投資信託をやっておりますところを呼び集めまして——ちょうどあのころ新聞にもたくさん出たわけでございますが、投資信託というものを売り込むのにあまり急になって、お客にその本質の理解をさせることを忘れるようであってはならないということで、投資信託というもののいろいろな宣伝のパンフレット、新聞広告、あるいはテレビ、ラジオ、そういうようなときに、投資信託というものは普通の預貯金、金銭信託などとは違うんだ、株式投資だ、株式投資に伴うリスクというものもあるのだ、そういうものを必ず明示せよということを、従来も申しておりましたが、最近のようになって参りますと、特にその必要を感じましたので、業者にきつく申してございます。なお今後とも、御注意のありましたように、この点はよく投資家にわかってもらうように注意いたします。
  15. 小川豊明

    小川(豊)委員 今、元本の保証はないんだということを、投資信託をやっておる業者に対しては徹底するようにしろと御指導なさっておる、こういうことですが、テレビ等を見ておると、この元本の保証はされていないんだということなどはどこかにふっ飛んでしまって、ただ、これを買えば有利だ、これを買えば有利だということだけがやられているので、この点は、商売のじゃまになってもいけないだろうが、もっと私は徹底させる必要があるのではないか、こう思うわけです。  それから、今、田中委員の方からも関連して質問があるそうですから、私はこれで終りたいと思いますが、もう一点。  これはそれとは違う点で、私の質問はこれで終りたいと思いますからあわせてお聞きしますが、先般専売公社に関して決算委員会がここで開かれたときに、理財局の方で、専売公社の益金が一千百億か二百億あるのを、これは益金ですから当然国へ納めるわけですが、その納めるのは、葉タバコの購入等で現金がないために、国庫余裕金を何百億という金を借りて納めているわけです、こういう答弁がった。その余裕金に対して和子は幾ら払っているのかとお聞きしたところが、利子は払っていない、こういう答弁です。従って、あなたの方ではこの何百億という余裕金を出すについては、利子を取っ  ていないということがわかるのです。  そこでお聞きしたいのは、三公社五現業と言われていますから、国の機関としての国鉄とか電電公社、こういうも  のもあるし、林野とかアルコール、印刷、造幣、郵政、こういうのが五現業  でしょう。こういう三公社なら三公社に対して、あなたの方ではやはり余裕金を使わしていると思う。ところが、聞くと電電公社も国鉄も金利は払っていると言う。そこで、一体どうして専売公社だけには金利を取らないで、全く国の機関である国鉄や電電公社からは金利を取るのか。専売公社は大蔵省の所管であったのが分かれたから、専売公社の方だけは金利を取らないでめんどうを見て、国鉄や郵政関係のものは金利を取っているのだ、こういうふうにも解釈されるのですが、そういうばかなことがあってはならない。従って、これは、取らないなら取らない、取るなら取る、その取る理由、取らない理由というものが明確でなければならない。一方は取って一方は取らないというのは片手落ちではないか。こう思うので、この点をお聞きしたいと思うのです。
  16. 松本十郎

    ○松本説明員 お答えいたします。最初に御質問のありました五現業につきましては、余裕金を国庫に預託しておりますが、これについても利子はつけておりませんし、そのかわり国庫から繰りかえ使用で貸した分につきましても利子は取っておりません。  三公社の場合はその現業とは別でごいまして、独立採算的な観点で国庫とつながっております。そこで国鉄と電電でございますが、これにつきましては、余裕金を国庫に預託しておりますが、この預託金につきましては、一定の支払い準備額をこえる部分について日歩八厘の利子をつけております。そのかわり、金が足らなくなって国庫から繰りかえ使用で貸す分については、同じく日歩八厘の利子を取っております。そうして平仄を合わせているわけでございますが、専売公社につきましては、財政専売でございまして、結局総収益から総損金を引いたものをまるまる納付金として国庫に取ってしまいますので、そういう意味で、平素余裕のある金を預託している部分につきましても利子はつけておりませんし、それとのうらはらで、貸しました場合、繰りかえ使用しました場合にも利子はつけておりません。しかし、御指摘がございましたように、三公社の中で専売公社だけが財政専売的なものだから別にするのもおかしいじゃないかという御議論もございまして、これにつきましては、将来の問題として慎重に検討したいと思っております。
  17. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 ちょっと、大蔵省の方に証券関係でお尋ねします。今あまり資料を持っておりませんし、何ですから、今後これをちょっと研究してみたい。こんなふうに私も考えておったやさきに、ちょうど小川委員の質問がございましたからお聞きします。  私たちしろうとから考えますと、伊藤斗福等のやった保全経済会でありますとか、あるいは西村とか、その他いろいろのことをやったことがございますが、それと四大証券のやっている仕事と、あなた方の役所からごらんになった場合にどういう工合に違うものか。私は同じように考えているが、どういう工合に違うのか。それを一つ説明していただきたい。
  18. 谷村裕

    谷村説明員 ただいまの田中委員の御質問、非常に大きく業務の範囲がございます中で、特に投資信託の問題だけに限ってのお話だと思いますが、断然として違うわけでございます。違います理由は、投資信託の委託会社として動いておりますのは、証券投資信託法という法律によりまして大蔵大臣の免許を受け、監督を受けましてやっている仕事でございまして、私どもが十分に監督の権限と同時に責任を持っているわけでございます。保全経済会その他のものは、法律に基づかない、むしろただいまで申せば、出資の受入、預か金及び金利等の取締等に関する法律に触れるやり方をもってやっておったわけのものでございまして、法律上の根拠から申せば、四社その他がやっおります投資信託は、国としてその必要性と、またそれを育てることの有益性等を十分認めてこれを免許し、また監督している、そういう業態でございます。それが第一点でございます。  第二点は、投資信託の場合には、確かにこれは三千億というふうな残存元本にただいまなっておりまして、多数の大衆からお金を集めまして、そうしてこれを株式に運用しているわけでございますが、御承知のように、集まりましたお金自分で勝手にそれを経理したり、帳面を適当にごまかしたりするという工合に参らない。これはそれぞれの信託会社が管理者となって、たとえば野村証券ならば、四十億を集めたものを大和銀行という信託会社が信託財産として別個に預かり、経理し、管理しておる。こういう姿になっておりまして、証券会社がそれを株式に運用するとか、あるいはコールに出せとか、あるいはまた社債を持てというふうに運用の指図はいたしますけれども、指図に従って信託会社が売ったり買ったりいたしました結果は、全部信託会社の手によって厳格に経理されているという点であります。これが投資信託におきましては、指図をするものとそれを受けて管理をするものとが別々の人格にいたしまして、両者相合わさって一本になって受益者の信頼にこたえておるという形でございますので、御指摘のような、いわゆる町の何がしとは違うわけであります。  第三番目に、やはり四社、その他投資信託をやっております十四社は、その場でいいかげんなことをして、あとは野となれ山となれで逃げていこうというわけのものではございません。永遠の生命を持って、りっぱに活動する企業体として、株式会社として、相当の資本を持って、客の信頼を受けてやっておりますだけに、その運用の態度はきわめて慎重でございます。慎重であるということは、先ほどちょうど小川委員からも御指摘がございましたが、今のように株の値がどんどん高くなってくると、高い株を買いましても利回りは低うございますから、あまり収益は出て参りません。ですから、投資信託というのは、今どういうときに株を買ったらいいか、どういう場合に手元にある株を売ったらいいかということを、一生懸命になって考えております。たとえば昨日、前場でダウ平均二十五円くらい下げましたときに、投資信託はまだ買いに出ません。もう少し下がったら買おうと思って待っていたかもしれませんけれども、そうすぐ飛びついていかない。高くなってくれば、投資信託はどんどん手元——手元というとおかしいですが、信託財産である株を放していきます。そういうようなわけで、最近のように株式市場で活況を呈して参りますと、株に運用しておりましたものもだんだんいわゆる利食いをいたしまして、いい値で売るから利が乗ります。その乗ったものを、またいい株があったらその株を持って、手元に留保しておくというようなことで、株式に運用する割合が、最近はだんだん落ちてきております。ただいまでは全体の約七割ちょっとというくらいのところが株に向かっておりまして、あとはコールその他の、これをわれわれは防御部分と呼んでおりますが、備えにしてとっておるというふうな状況でございます。これのために相当の専門家がおりまして、やっておるわけでございます。すべて健全な、できるだけよい株を選んで、その株をどういう工合に組み入れるかということも、実はわれわれに届け出て、われわれの承認を受けているわけでありますが、運用の対象になる株について非常によく研究し、考えてやっております。この点は、かつての某々のごときが、勝手に、自分の思いつきのままの運用をやり、あっちに金を貸し、こっちの事業投資し、あるいは自分の私腹をこやし、というふうな金の使い方をしておったのと異なりまして、非常に厳格な組織のもとに、合理的に考えて運用しております、というふうに申し上げられると思います。  なおしかし、いろいろわれわれとしましては、その健全な発展運用について注意しなければならない面、多々あると存じます。小川委員、あるいは田中委員から御指摘のありましたような点も、世上ずいぶん気にしているようでございますから、そういう誤解のないように、よくわかってもらうように、またそれにこたえるように業者を十分指導して参りたいと思います。
  19. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 今のあなたの御説明を聞くと、なるほど説明は健全なやり方なんだが、しかし保全経済会でも、あなたの方でああいう工合に放任しないでおいて——許可してくれ、許可してくれといって願い出ていたんだが、許可しなかった。あの場合に許可されれば、今の投資信託のように、やはりそういう指導もされ、いろいろの措置もされたんだが、どういうことで許可されなかったのか知りませんが、許可されなかった結果が、つぶれたというふうに、彼の裁判所の答弁の中になっております。  そこで、ああいうものがつぶされて投資信託というものにあなたの方で非常に力を入れておられるが、われわれが考えますのに、片一方は許可をしなかったから、監督権の範囲をこえて乱用したと申しましょうか、不健全化してやっていった。片一方は、監督しておるから心配ないんだ、こうおっしゃいますけれども、それではこの四大投資信託、その他で十四あるそうですが、そういうものが万一失敗をした場合、政府の保証があるというふうに考えておる人も多いのですね。ところが、政府の保証がない。保証がないということになると、保全経済会との四大投資信託との違いは、政府の許可があるかないかというだけの違いであって、やはり彼らも同じように、あるいは何かで失敗をする、あるいは何かの反動を受ければ、たくさんの集めた金が倒れていく。政府は保証していない。ただ、そういうことをやっていいという許可を与えているだけだ。こういうように考えていいわけでしょう。  そこで、もう一つ私らの考えておるのは、あなたが新聞をごらんになっても、株主名簿をごらんになってもいいのですが、一流会社の株の三割ないし六割ぐらいまでは、四大証券と申しますか、大きな信託会社がみな持っておるのですね。それだから、彼らがたとえばこの株を高くしょうと思えば、買い占めればいい。それも、自分が大半を持っておるのだから、少し買えばいい。たとえば私なら私が、某会社の株を二十万株売りに出した。それで株が下がります。下がったときに、彼らがちょっと手を分けて買えばいい。また、これを下げようと思えば、彼らは売ればいい。これはいろいろ資料を調べなければ、今、はっきりしたことをあなたに申し上げられないが、大会社の株の値段を左右するものはこの四大証券である。そうしてこの大会社の主権——社長とかにはなっておらないけれども、事実上主権を握っておるのはこの四大証券である。これに対してあなたの方は、課が違いますが、こういう大きな株を持っておるときに、この配当ですね、あるいは売ったり買ったりする利益、こういうものがどうなっておるか。あの株主名簿に載っておるようなものを標準として税金などもとってあるかしれないが、われわれははっきり追及してみたいと思う。  それから、先ほどあなたは、配当率が非常に少ない、こうおっしゃるけれども、今株で配当率なんかを標準にしてやっておるところはございません。また、あなたがさっき御説明なさったように、増資、これはある程度考えておりましょう。それよりも、株の上がり下がりを自由にしておるものは、やはり四大証券ですよ。あらゆる会社の名簿をごらんになればいい。ところが、あの会社の名簿に、きょう十万株持っておっても、あした五万株にしたり、三万株にしたりする。税務署はこれをどうしても持って歩けない。非常に金をたくさん集めて、集めたものはあなたの方に届ける。その間に、彼らが集まった金でいろいろなことをやるのです。株を買ったり何したり。これは無税です。そうして相当の金が集まると、これをあなたの方に届けるのですが、こういう点も私はよく調べます。  しかし、私が一番憂えるのは、四大証券が集めたたくさんの金で——あなたの方に言わせると信託の方が手伝っている、投資信託の金を管理しているとおっしゃるけれども、この二つがからまって会社の株の上がり下がりを自由にする。それから横井のような者があれば、そこにちょっと会社が、よし、お前の方に加担しようといっただけで乗っ取れる。乗っ取られちゃ困るから、会社はどこかから借金して株を買う。その中に四大証券及び、そのほかに五つ六つの証券会社がありますが、みんなそれに介在して、もうけておるんですね。今度は一つ証拠を出しましょう、私も調べているから。そういうようなものが出たら、どういう処分をなさいますか。そういうものが会社と組んだり株屋と組んだりして、いろんなことをやっておったということがここに出てきたら、営業を停止しますか。それとも社会に堂々と大蔵省として発表してこういう投資信託のものを持ってはいけない、この会社はこういうことをやっておったのだ、というようなことをやられる意思がございますか。それともまた、財界に波乱を来たすからというので、内々にそれを処理される意思か、それを一つ聞かしていただきたい。
  20. 谷村裕

    谷村説明員 ただいま田中委員からいろいろ御指摘がございましたが、確かに投資信託という、大きな財産を指図する地位におるということが一つ。もう一つは、お客さんとの間のいろいろな証券業者取引で、大体七割くらいを占めておるのが四社であるということ。この二つの点から四社が市場取引に対して持つ影響力は大きいと存じます。私どもも、そういう今お話しのような点を、ずいぶんいろいろな方からも注意を受けておりますので、四社の営業活動の健全性と申しますか、適切であることにつきましては、十分注意して見ておるわけでございます。  何分にも株式市場というものは、いろいろな考えを持った人がいろいろな動きをするわけでございますが、やはりそこで支配的、と申しますと言葉が悪いかもしれませんが、大きな力を持っておりますものは、たとい四社の間でそれぞれ相互に牽制はございましても、相当大きな力にはなると存じます。十分注意して参りますが、実情から申しますと、たとえばAという会社が何か市場で操作をしようと思えば、Bという会社がそれに対して必ず、たとえば売りに出れば買いに出るとか、あるいはCという会社がまたその裏を出てくるとか、やはり市場というものは、みんなが気をそろえて何かしてやろうと思えばこれはある程度人為的なこともできましょうけれども、同時に競争の場でございますだけに、何かしようと思えばそれに対立する動きというものがあってそこで牽制されるわけでございます。一つ一つの材料、事件等御指摘があれば、またそれぞれについての御説明がわれわれとしてはできるものはできると思いますけれども、一般的に申しまして、そう切り取り強盗勝手次第というようなことにはなっていないと私どもは思っております。  しかし、お話のように、四社の持っております力は強うございますから、さようなことはないように常々、いつも何かというと四社を呼んでいろんなことを言うので、四社にばかり注文をつけて、はなはだ妙な行政の仕方だとお思いになるかもしれませんが、四社にいろいろなことを私どもとしては申しております。  なお、もし法令違反というような状況があったらどうするかという御質問でございますが、違反の内容、またその大きさ等にもよるわけでございますが、別にその点は四社といえども、影響力を持っておりますけれども、法令の命ずるところに従いまして、それに合った処分をすることは当然だと思います。先般、名義貸しの問題で、やはり四社に対して処分をいたしたこともございます。四社にも、当然証券業者として守ってもらわなければならないことは要求いたします。間違っておれば、軽重はそれぞれの性質においてでございますが、処分すべきものは処分するということにおいて変わるところはございません。     〔委員長退席、押谷委員長代理着席〕
  21. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 あなたも大がい御存じでしょうが、今どこの銀行でも銀行一本じゃないのです。たとえば富士銀行でいえば、富士銀行の中には何々商事株式会社とか何々証券とか何々土地とか、いろいろなものを持っているわけです。そこと四社——私は四社のみ言っておるのではないのですが、その他四社以外の第二流といいますか、そういうのと組んで、会社の株を売ったり買ったり、譲るとか何とかというので、始終やっておる。それで会社が、外に出たって困るから、出さないようにやみ取引と言いましょうか、そういうもので会社がその証券会社に金を払ったり、その銀行に払わぬでもいい金を払ったり、株を非常な高い金で買ったりしておる。そういうもので出たのが東洋精糖とか豊浦精糖とか、いろいろ出ておりますが、出ないやみ取引が非常にあると思います。僕らもこれを気にして、今に必ず何か大きな、伊藤斗福のような事件がもっと出ると思う。それだからといって、伊藤斗福のはつぶれてもそのままになっているけれども、四大証券についても、十四投資信託についても、あるいはまた証券の問題についても、倒れても別に国家が保証はしない。銀行であれば、万が一のときは金を持ってきて、投資の金が足りなければ補うということはありますが、証券にはそれはないのであります。こういう点を私も、もう少し調べますが、あなたの方もよく調べていただきたい。これはやみのものがある。  会社の社長なんていっても、このごろは、社長としていすにすわっておりますけれども、四大証券あるいは二流証券の持っている株で、あるいはそれを銀行の名義にしたり、銀行で持っている株で日本の財界をあしたにおいて変え、きょうにおいて変えることができる。株が上がったり下がったりすることは、人が売ったり買ったりするからだとか言っておりますが、普通の株主が五万や十万の株を売ったといって、上がったり下がったりするものではない。たとえばこの間、日軽金の株が非常に上がっておったが、あれなどはやはり証券会社が某銀行と横井のような大阪の某氏と組んでああいうことをやったので、株があんなに暴騰した。そして暴騰して上がったときに、もうけてしまったときに出すから、今度は下がる。すると迷惑する者は、この株は四百円以上になったからいいだろうと買っておった一株、二株、十株くらい買った人間が損するだけであって、決して大きな銀行とか証券会社は損しておりません。自分で好きに買って上げて、好きに売ってもうけている。ほかの者は知らないから、あの株は会社内容がいいから上がったんだろう、あるいは人が売ったから下がったんだろう、人が買ったから上がったんだろうと思うが、そんなことはありません。みんな二十本の指の中に入る人たちがやっていることにおいて日本の現在の株価が保たれている。そして少し何かあると、すぐ献金したりなんかして、それをおさめる。そういうような傾向がこのごろ激しいのです。われわれも財界に影響を及ぼすのはいけないからあれするが、激しいのです。  伊藤斗福の保全経済会とか、西村とか、その他のつぶれたものと今の四大証券との違いは、片方は大蔵省が許可した手前、監督をある程度している。片方は許可しなかったから十分な監督ができなかったので、それだから乱雑で倒れた。しかし今監督されている方も大蔵省より知恵があるから、あるいはまたいろいろなことをやってつぶれたって、政府は一銭の保証もしないのだから、保全経済会がつぶれたのと同じ結果になるのだということはだれも知っている者はありません。みんな、大蔵省がついているから、万が一倒れたり損したりしたら国が保証してくれるのだ。四大証券会社の株、その他の証券会社の株はいくら買ってもいいのだ。テレビを見ても、出ているのはそうでしょう。あなたがそこの債券をお買いになれば担保がついている、工場がある、土地がある、営業権がある、こういうことを聞きますと、担保か何か取って金を貸しているような気がしますけれども、その債券を買ったって、ほかの株の上げ下げがあればそんな債券というものは何にもならない。そうかといって、証券会社がその債券を買わしたからといって、あんたが損したら私が払いましょうということはない。伊藤斗福とちっとも変わらない。ただ、あなたの方は許可している関係上、監督なさっているだけで、ちっとも保証がないわけです。  そういう点、一つ、私どもも調べて出しますが、もう少し、今あんたのおっしゃったようなことでなく、われわれは許可を与えているけれども投資信託に金を出しても、信託会社がちょっとまずいことがあって失敗すれば、政府の保証も何もないのだ、保全経済会の株を持ったと同じことだ、それに投資したと同じことだぞ、という観点からお考えになると、私は相当あなたの目の前には、今後私が調べて出す書類以上のいろいろなものが現われてくると思う。今まであなたは、かたいかたいとおっしゃるけれども一つもかたくはない。ただ損上ないということ、株が上がったり下がったりすることは自由だ。そうして投資している。それに銀行がくっついている。銀行の裏には銀行の作った証券会社がある。そうして操作しておる。会社の重役をおどしたり、社長をおどしたり、いろいろなことをして、今度お前の株をこうやるぞ、ああやるぞといって、ない金を出してそれを補って、株のつり上げをやっておる。それを世間には出さないようにしてくれというな取引が多い。これは、あなたが東洋精糖をごらんになっても、芝浦精糖、白木屋をごらんになっても、その他某火災保険をごらんになっても、みなそれです。そういうことをお隠しになって、かたいかたいとおっしゃるのでしょうが、私の方も調べますから、あなたの方もそういうような観点から監督された方がいい。あなたが非常に抗弁されると、百姓とか、株を持っている者は知らないから、株が上がったり下がったりというのは、会社内容がよくて、そうして人が売ったり買ったりするからなのだと思っているが、そうではない。証券会社があやつっているから上がったり下がったりするのだ。倒れたら大蔵省はめんどうを見ないのだ。おれの方へ頼んだって知らないぞ、と一言新聞に発表してごらんなさい。あしたから投資信託なんかを買う者は一人もない。私もよく調べて出しますから、あなたの方も、もう少し深くお考えになっていただきたい。日本の今の株のすべての動き、すべてのあれは、全部この投資信託を持っている証券会社にあやつられておる。そうして銀行がそれを援助し、銀行の姉妹会社がそれを援助している。これ以外にはございません。日本の株が上がるからこうだとかなんだとか、大蔵大臣がどんなうまいことを言っても、あなたがどんなことを言っても、このからくり以外にないということです。さっきあなたは、二流株、三流株は上がらないとおっしゃったが、そういう手づるのないものは援助してくれませんから、それはだめだ。だから、テレビで毎日、あの株買え、この株買えと宣伝しているけれども、手づるのないものは銀行の前へ行けば名前を書いてくれるようなことをしてくれない。私も調べて出しますが、あなたの方ももう少し観点をかえて、一つ民衆があまり迷わぬようにやっていただきたい。これをお願いしておきます。
  22. 谷村裕

    谷村説明員 田中委員のお話は、そういう御観点からいろいろ見ておられるということとして、私どもも、よく注意して参りたい点でございます。全部が全部、万事が万事そうであるというふうにおっしゃいますけれども、私は必ずしもそう思っておりませんが、それは言葉の言い方の問題であろうかと存じます。どうぞ、今後ともそういう点でお気づきがありましたら、よく御指摘、御教示いただきたいと思います。
  23. 押谷富三

    ○押谷委員長代理 山田君。
  24. 山田長司

    ○山田(長)委員 過日、管財局長に、朝鮮銀行の整理について資料の請求をしたのです。それは御承知のように、当時の朝鮮銀行の整理にあたって第二会社をこしらえてある。日本不動産銀行、それから日本貿易信用株式会社、前者は不動産関係の仕事をしている会社のようでございます。そこべ投資した第二会社の資料、どれだけそこへ回したのか、資料を出してくれと言ったのですが、きょうそれが出ていないので、どういう理由で資料が出ていないのか。一つお示し願いたいと思います。
  25. 谷村裕

    谷村説明員 はなはだ申しわけありませんが、私、所管しておりませんので、山田委員のおっしゃいましたことは、直ちに所管の管財局の方へお伝えいたします。
  26. 山田長司

    ○山田(長)委員 これは、引揚者も長い歳月を費やしていろいろ当局に要求していることのようですから、できるだけ早く資料を出してもらいたいと思います。次の委員会までに一つ御提出願いたいと思います。     —————————————
  27. 押谷富三

    ○押谷委員長代理 次に、防衛庁、調達庁を除く総理府所管につきまして審査を進めます。  まず検査院当局の説明を求めます。  秋山検査第一局長
  28. 秋山昌平

    ○秋山会計検査院説明員 検査報告の二八、二九両ページに掲げました自治庁関係の報告事項について御説明申し上げます。  新市町村建設促進法に基きまして合併しました新市町村が、その一体化をはかるために施設整備事業をいたしまた場合に補助金が交付されるのでありますが、ここに掲記しました四件は、三十二年度中に交付されたものの六一%ほど検査しましたうちの不当と認めたものでございます。  最初の第七号でございますが、これは県道、つまり県の施設でありまして、村の施設ではないわけでございますが、これに対して橋梁整備の事業を行ないまして、それに補助金を交付したのは誤りであるというふうに指摘したのでありますが、本件につきましては、その後県道の廃止がございまして村道に編入されましたので、現在におきましては是正されたと同じような結果となっております。  次の八、九号。この二件はいずれも前年度に施行済みの工事でありますのに、三十二年度にした工事として補助金を受け取ったのでありますが、これを指摘しまして、返納の措置がとられたものでございます。  一〇号。本件は、大阪府の岬町におきまして、前年度に南海電気鉄道株式会社が道路の幅員を広げるという工事をいたしました。そうしてこれを町に寄付いたしました。町といたしましては一文も負担せず、工事もしていなかったのに、補助金の交付の申請をいたしまして、二百二十万円の補助金の交付を受けておったのでありますが、会計検査院において調査しましたところ、その事実がわかりまして、返納さしたものでございます。本件は幸い発見いたしまして返納されたのでありますけれども、見つかったら返せばよいという問題では決してございませんので、非常に遺憾な事態であると存じております。詳細につきましては、御質問に応じてお答えいたしたいと思います。
  29. 押谷富三

    ○押谷委員長代理 山田長司君。
  30. 山田長司

    ○山田(長)委員 新市町村の促進に関する補助金の使用されている町村の用途、目的というのは、大体どういう意図でこれは全国の各市町村に配付されたものか。これらの指摘事項とは別な角度から、事情を一つ伺っておきたいと思います。
  31. 秋山昌平

    ○秋山会計検査院説明員 新市町村建設促進法の補助金と申しますのは、町村が合併いたしまして、そのために新しく町村役場へ通ずる道路でありますとか、あるいは小、中学校を統合いたしまして、それに通学のために便利な道路を作るとか、その他新市町村の一体性を確保し、その組織及び運営を合理化するため、特に必要な施設の整備、こういった事業に対して補助金を交付するということに相なっております。
  32. 山田長司

    ○山田(長)委員 そうしますと、それらの目的以外に、もし使用されたとすれば、これについて自治庁はどういう処置をします。  それから、各府県から市町村に補助金を配付された場合に、こういう申請が一応あって支給されたものと思われるが、これらについての資料は一応あるものかないものか。
  33. 篠崎正廣

    ○篠崎説明員 補助金の交付方法の御質問でございますが、自治庁といたしましては、この補助金につきましては、各市町村からの補助申請をまず県段階におきましてまとめまして、それで知事が内容を下調べをいたしまして、これが新市町村建設促進法の法律目的にかなう補助金であるかないか、それを判定して、そこでもって知事から自治庁長官あてに申請をする。こういうふうないわゆる間接補助金の格好になっております。  そこで関連いたしまして、先ほど来、見つかったら返せばいいじゃないかという問題でもないというようなお話もございましたが、確かにその点はその通りでございまして、われわれといたしましては、まず第一次の県段階におきます補助事業内容とか申請書その他の内容につきましてよく調べまして、架空の工事であるかないか、あるいはことによれは、現地にも何回も当たるというようなふうにしまして、やっていただくように常々指導はしておるわけでございますが、今回の御指摘の事件につきましては、まことに手抜かりでございまして、恐縮に存じておるわけでございます。
  34. 山田長司

    ○山田(長)委員 私が伺おうとしておるのは、市町村の建設に当たっての補助金の使途を、自治庁ではどういうふうに、それでは各府県から報告書等を出さして調べているか。調べているのかいないのか、伺いたいのです。
  35. 篠崎正廣

    ○篠崎説明員 その点につきましては、十分調べておるわけでございます。その使途につきましては、もちろん法律に規定してございまして、何でもかでも使ってもいいというものではないわけでございます。
  36. 山田長司

    ○山田(長)委員 私が伺っておりますのは、実は市町村の合併にあたって、記念に金側時計を分けた、それから火鉢を大量に配ったりしている事実を実は数カ所にわたって知っておるのです。で、市町村建設の促進費としてきて、それが実際の町村の合併に役立たせる道路や橋梁等の修理じゃなくて、そういう形に使われておるから、これが補助事業内容を知りたい、こういう意図で私は質問したわけなんです。この今起こっている不当事項だけに限って聞こうとしたわけじゃないのです。だから、その内容については、そうするとあなたも全部報告資料等が出ていて、わかっているわけですね。
  37. 篠崎正廣

    ○篠崎説明員 内容につきましては十分承知いたしております。ただいまの道路、橋梁以外の品物を買うというようなお話でございますが、これらにつきましては補助対象事業にはなっていないわけでございまして、これは別の経費から出ているのではないかと考えております。
  38. 山田長司

    ○山田(長)委員 それでは、祝いとして金品等の援受があったとするならば、なおこれは不当事項の中に入るものと思われますが、私の方で町村名を指定した場合は、自治庁ではこの町村合併促進に関する補助の内容としてわかっているとするならば、それはわかりますね。
  39. 篠崎正廣

    ○篠崎説明員 おっしゃる通りでございます。ただ、この補助金が今おっしゃいましたその使用の時期でございますね、その町村合併促進法に基づく補助金と新市町村建設促進法に基づく補助金とは、多少違ったニュアンスがございます。町村合併促進法当時の補助金の中には多少道路、橋梁とかいったもの以外のものが入っておるかと思いますが、新市町村建設促進法に基づく補助金の場合におきましては、今おっしゃったような場合は、これはよく事態を調べてみなければわかりませんですが、おかしいような気がいたすわけでございます。
  40. 山田長司

    ○山田(長)委員 町村合併促進法に基づいての場合、道路、橋梁等以外のものということになると、その以外のものの中にはどんなものが入っているのですか。
  41. 篠崎正廣

    ○篠崎説明員 町村合併促進法の当時におきましては、一町村当たり四十四万何がしの補助金が出ておったわけでございます。これが合併を促進するために、まあ、いろいろな会合とか、その他必要であったわけでございますが、そういった面にも出ておったわけでございまして、当時はまだ合併途上でございますので、道路、橋梁とかいったような事業はまだ軌道に乗らなかったわけでございますので、事業費としてではなしに、事務費としての補助金が出ておったわけでございます。その点が、町村合併促進法と新市町村建設促進法との補助金の違いであるわけでございます。
  42. 山田長司

    ○山田(長)委員 建設促進の場合における補助金の額が違っているようですが、この場合はどのくらいでございますか。新市町村建設促進の二段階に分けて経費が出たと思うのですが、その経費の差はどんなふうな差のつけ方で出されたものですか。
  43. 篠崎正廣

    ○篠崎説明員 今の二段階とおっしゃる点は、補助金の中に二種類あるということであろうかと思います。すなわちこの補助金の中には計画調整費補助金といわれるものと、施設整備補助金というものと、二通りあるわけでございます。まず計画調整費から御説明申し上げますと、これは町村合併の際に各関係町村がいろいろな事業を持ち寄ってくるわけでございます。それらの事業を選定いたしまして、数カ年間の事業計画を作るわけでございます。ところが、合併のどさくさでとかく事業が財政力に見合わないような計画も間々でき上がるわけでございます。そこで、合併の終了次第、そういった財政力に見合わない、あるいは取捨選択を誤ったような事業をふるいにかけまして、どういう事業をどういう順番でやるべきかといったようなことをそれぞれ取捨選択するのが、結局この計画調整費補助金でございまして、そういった仕事をするために補助がなされるわけでございます。これは金額的には大体一町村当たり、もちろん新市町村でございますが、十五万円程度の補助金が出されてございます。  それからもう一つは、施設整備費補助金でございますが、これにつきましては、そういった計画調整によりまして取捨選択いたしました道路なり橋梁、あるいは学校、そういった事業を具体的にやるための事業費でございまして、金額は相当大きくなるわけでございまして、予算的には一町村あたり大体二百万程度の平均額の予算措置がなされておるわけでございます。
  44. 山田長司

    ○山田(長)委員 町村によっては全くの話し合いで、何らの書類の取りかわし等がなされずに合併されているところがあります。ところが、かなり詳細にわたって財産を調べたり、あるいは将来学校とか消防署とか、道路とか橋梁とか、あるいは隔離病舎などを整備してもらうことを条件として合併が促進されたところがあると思うのです。ところが、それがもう歳月がたって、約束期日が来ておる。こういうふうなことから、これはペテンにかけられたという町村があるわけです。こういう場合に、固定資産税とか市民税とかいうものが小さな村にかけられてくるわけで、これはペテンにかけられたと思われるのも無理はない。そういう場合に、条件が全く無視されている町村合併が行なわれたところについては、自治庁では、これら町村がもと通りに復することを許すことができるかどうか。こういう点をお伺いしたいと思うのです。
  45. 山本壯一郎

    山本説明員 町村合併を行ないました新市町村につきましては、先ほど来、説明いたしておりますように、新しい地域社会の一体性を確保いたしますいろんな建設計画を立て、これの調整をやりまして、この調整が終わりました建設計画に基づきまして新しい地域社会の建設経営をやっていくわけでございます。この建設経営につきまして、ただいまお話の出ました施設整備の補助金、起債その他の特例なり優遇措置を与えておるわけでございます。  今、御指摘になりましたことは、合併が終わりました新しい市町村としての実現が、なかなか当初の約束通りできていないようなところを、もとに戻すかというふうな御意見のように承ったのでございますが、これは私、一がいに言えないと思うのでございます。合併計画そのものに、はたして客観的に見て非常に無理があったのか、あるいは合併そのものにつきましていろんな紛争等があって、そういうことになったのか。個々のケースによっていろいろ違うだろうと思います。今、私どもは大体合併を進めております。最終処理の段階にございますので、ただいままでのところ、合併をいたし、それがうまくいかないので、直ちにもとに戻すということは考えておらないのでございますけれども、合併が大体全国的に一段落いたしました暁におきましては、既存の合併で非常に工合の悪いものにつきましては、慎重に検討いたしまして、それの善後策を講ずる必要があるのじゃないか。かように考えておる次第でございます。
  46. 山田長司

    ○山田(長)委員 今、施設整備費の問題とか、あるいは町村の合併促進に関する経費が出ているということも明らかになり、しかもそれらの経費が当然使われるべき場所に使われずに、それで条件が満たされずにおるからそういう世論が起こってきておるわけなんです。これは別に私は一地方に限ったことじゃなく、全国的にあることだと思うのです。こういう場合に、それじゃ自治庁はいかなる監督をして、市や町の合併にあたって取りかわされた書類の実現というものをしてやるのです。もし、そうでないとするならば、これは自治庁に大きな責任があると思うのです。町や村が市の固定資産になってしまったり、市民税になってしまったりして、負担が大へん重くなってきて、しかも合併の条件のときには、そういう負担はすぐにかけない、これらの経費については当然市当局がめんどうを見るという書類まで取りかわしてありながら、この実現をしないとするならば、これは自治庁に責任があると思うのですけれども、こういう場合にあなた方監督の衝にあたってどういう処置をとっておりますか。
  47. 山本壯一郎

    山本説明員 合併を行ないます場合、関係市町村でいろいろな希望条件を持ち寄りまして、場合によっては今お話しになりましたような書類の取りかわしとかなんとか、いろいろなこともあるわけであります。いろいろな条件につきまして、新しく生まれました新市町村でどの程度実行しておるかという問題になってくるだろうと思います。  先ほどの計画調整をやってもらいますのも、合併の場合にあれもこれもとあまりにもいい好条件ばかり持ち寄りまして、少し冷静に考えると実現不可能なようなことまでも盛り過ぎておるような傾向が多分に見えるわけであります。そこで計画調整と申しますのは、合併いたしました新市町村が新しくできました団体の立場に立って、ほんとうにその団体として、はたしてどれだけのことをやるべきか。もちろん体性の確保も必要でありましょうし、その間に組織運営の合理化も必要でありましょうし、そういうふうないろいろな問題は、その地域社会の経済力なり、行政力なり、財政力に応じてもう一度計画を練り直す。それには基礎調査もがっちりやりまして、その上で基本計画を立て、実現可能な実施計画を立てていくというふうな指導をいたしておるわけであります。  そういう際に、最初の約束がどの程度織り込まれるか、どの程度実現されていくかということにつきましては、団体によりましていろいろニュアンスがあり、違う点があるだろうと思います。そういう約束の中で、たとえば役場庁舎の問題でありますとか、法律的に規定しておる問題につきましては、紛争がありましたときは、これは町村合併調整委員その他のあっせん調停に付するとか、あるいは場合によっては住民投票等によって解決するのが適当であろうと思います。その他の条件につきましては、建設計画の調整の段階でよく練りまして、新しい団体として最も合理的な計画を進めていく。こういうように指導しておるわけであります。
  48. 山田長司

    ○山田(長)委員 ただいまの説明を聞くと、なお私には理解ができなくなるのです。一体、住民投票などというものは、公職選挙法に基づかないためにずいぶんでたらめで、ボスが部落を回って票を集め、ボス一人で何百票の票を持ってきて入れたというようなインチキな住民投票が行なわれておる。また、住民投票自体がごまかしですよ。住民投票はいかにも公平に行なわれておるように考えておるけれども、住民投票自体に大きな間違いがあると思う。なんで住民投票を公職選挙法に基づくような制度にしてでも、公平を期するようにしてやらないんですか。
  49. 山本壯一郎

    山本説明員 住民投票の例を出したわけでありますが、この住民投票を行ないます場合には、御承知のように、ある合併が原則的に行なわれた。ただ、その中の一部の地域の住民が合併に賛成しない。いろいろあっせんなり調停なりいたしますが、なかなか話がきまらない。これは住民の意思によって決定せざるを得ないというふうな段階に、最後の手として使われるようになっておるわけであります。ただ、住民投票を公職選挙法並みにやるべきかどうかにつきましては、確かに御意見のような問題があろうと思うのです。現在のところ、法律の規定は御承知のようなことになっておりましてこれをかりに行ないます場合には、今おっしゃいますような弊害がなるべく起こらないように注意して指導して参りたいと思います。
  50. 山田長司

    ○山田(長)委員 施設整備の事業費とか、あるいは町村合併促進費に関する経費などというものが出ているか出ていないかなどということは、一般住民には、議員でもない限りにおいては、わかっていない。それから合併されてしまって負担が急にかかってきて、それで地方自治体の議員を責めて、初めて内容がわかってきたというような町村が、全国で無数にあると私は思うのです。これらのことも、これは今合併されてしまったあとだから仕方がないけれども、たまたま不当事項として、きょうの町村合併の「新市町村建設促進費国庫補助金の経理当を得ないもの」として出ているから申し上げるわけなんです。これらの問題については、全国でかなり町村に問題がある以上、やはりこれが分離を要求してきた場合に、何らかの措置で自治庁でこれを考えないと、とんでもないヒョウタンのくびれているところよりももっとくびれの激しい、橋一つしか市とつながっていないようなところが市になっておるというところがあるわけなんですから、あとで分離するようなそういう問題が起こったときには、ぜひ私は勘案して分離をさせてもらいたいと思うのです。一応抽象的な例をあげて話をいたしましたけれども、これは経理の処理ばかりでなしに、不当な合併を行なっておるという一つの問題として、経理と両方かみ合わせて、以上申し上げたのです。どうぞ一つ、よくその点を御考慮願います。
  51. 西村力弥

    西村(力)委員 私の要求しておる担当係官がまだ参らないようでございます。同じ自治庁関係でありますので、お知りの限界で答弁していただきたいと思うのです。  第一番目には、市町村あるいは府県が、たとえば港の改築とかあるいは道路の整備とか、そういう事業をやる場合に、関係受益者からの寄付を集める。その大口は業者関係、そういうところからお願いする。こういう場合に、何か自治庁においては、それに対する規制的な基準、そういうものを作っておられるかどうか。その点について、一つお尋ねをいたします。
  52. 押谷富三

    ○押谷委員長代理 西村君、主管局長が来ておらないようですから……。
  53. 西村力弥

    西村(力)委員 おわかりがないようですから、これは後日お尋ねをいたすことにいたします。本日の質問は、後日にさせていただきます。
  54. 小川豊明

    小川(豊)委員 自治庁の方にお尋ねいたします。ゴルフ場というのは、体、これは娯楽施設として取り扱っているのか、スポーツ施設として取り扱っているのか、どうですか。
  55. 押谷富三

    ○押谷委員長代理 それも主管局長が来ておらぬのです。
  56. 小川豊明

    小川(豊)委員 そうすると、私はゴルフの課税についてお尋ねしようと思ったのですが、その御答弁のできる人はおられますか。
  57. 山本壯一郎

    山本説明員 大へん説明員が不足で恐縮でございますが、今の課税の問題は税務局の主管になっておりまして……。
  58. 小川豊明

    小川(豊)委員 これは地方税ですね。従って、あなたの方で課税についての問題は取り扱うわけでしょう。
  59. 山本壯一郎

    山本説明員 実は私、行政振興課長でございまして、きょうの決算の当面の問題になっております新市町村の補助金その他合併関係のことを所管いたしておりまして、税のことは税務局の所管になっておりますので、御要望によりましては説明員を呼びますから……。
  60. 小川豊明

    小川(豊)委員 それでは、今、日本にゴルフ場は六十か七十あるはずです。ところが、これは百分の五十を課税することになっておるが、百分の五十課税しておるのは一つしかありません。あとは、ほとんど一人当たり二百円とか三百円とか、そういうふうに課税しておる。百分の五十というのは規定であろうと思う。これを、どうしてこういう形をやっておるか。聞くところによると、特例を設けてやっておられるというが、こういうゴルフのようなものに対して、そう特例を設けて、恩典的な措置をとらなくてもいいではないかということが、お尋ねしたい一つ。  それから、いま一つは、入会金という制度でもって、一人当たり大体三十万円くらいの入会金というのをとっているそうです。入会金は利用料だという解釈から、これに対して課税することは、半額課税ならば十五万円課税できるわけです。ところが、これは出資の形をとっておる、出資の形をとっておれば、これは入会金ではなくて出資金ですから、出資した人は皆ただだというならば、これは脱税になってくるのではないか、こう思うわけです。この点をお尋ねしようと思ったのですが、時間がありませんから、これはあなたの方からそれをお伝え願って、あとで回答してもらえばけっこうです。
  61. 押谷富三

    ○押谷委員長代理 神近市子君。
  62. 神近市子

    ○神近委員 私は問題が変わって、自治庁ではないのですけれども、コールダーホールの原子炉についての安全性の答申が一昨日出ましたので、いろいろ原子力委員長にお尋ねしたいことがあったのですけれども、きょうはおいでにならないというので、部分的に原子力委員会局長あるいは次長、そういう方々に、私どもがこの次に申し上げる質問の基礎になるようなことを少し伺わしていただきたいと思います。  原研と原子力委員会との関係はどういうものなんですか。これは構成的に一体なのか、それとも原子力委員会はこれに対しての行政権あるいは監督権というふうなものを持っていらっしゃるのか。その点、どなたかおわかりですか。
  63. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 原子力委員会は、所掌事務の範囲内には直接原子力研究所を監督するという事項は明記してございませんが、原子力研究所が実際に業務を施行する際に、事前に原子力委員会に定めます業務計画というものがございまして、それにのっとって業務を運営することになっているのでございます。あるいは人事の問題に関しまして、理事長等最高人事に関しましては原子力委員会の同意を得まして、あるいは意見を聞いて、内閣総理大臣がこれをきめることになっておりますので、そういう関係で、業務的に、あるいは人事の問題あるいは経理の問題に関しましては予算の見積もり調整の権限を持っておりますので、そういう面から監督できるようになってございます。
  64. 神近市子

    ○神近委員 それで、ちょっと伺いたいことは、この前の閉会中の科学技術委員会でも問題になっておりましたが、非常に原研の繰越金が多いということですね。二十三億何千万かになっております。その中でも建設費が非常に多く繰り越しになっているということはわかるのですけれども、研究費がやはりだいぶ繰り越しになっている。二億近いのじゃないですか。そういう点が、一体どういうところから出てくるのか。私どもが考えれば、原研である以上、研究費が足りないくらい使うべきだと思うのですよ。建設費は、工事がおくれたとか、あるいは支払いが延びたとかいうことがあるでしょうけれども、研究費がこんなに余るというのは、一体どういうところに問題があるのでしょうか。名前からして研究を売り物にしているところでそんなに研究費が余る。取り過ぎていたのか、あるいは監督が悪かったのか、あるいはこれを指導する人が悪かったのか、どういうところにその原因があるとお考えですか。
  65. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 いろいろ原因があろうかと思いますが、私の承知しております一番大きい原因は、原子炉等の燃料等、特に燃料でございますが、ただいまの段階ではアメリカ等外国からこれを購入しているわけでございますけれども、実はなかなか契約条項がむずかしいのでございまして、普通の商取引とはずいぶん趣が変わってございます。そこで、各国とも同じ状況でございますけれども、どうしても今までの既存法からこれを推しはかって参りますとなかなか無理な点もございますので、何とかして契約条件を有利と申しますか、現在の法律で許せる範囲でそういうものを入手したいということに努力はしておるのですけれども、実際はできない。そこで原研の方では、来年度これくらいの業務がいつから開始されるということで、予算はとっておるのでございますけれども、その期日までに正確に、普通の商品を買うように燃料あるいは諸器材等が入手できるかと申しますと、往々というよりは、大がいの場合には延びるような傾向になりがちでございます。その原因は、ただいま申しましたように、非常にむずかしい条件が入っておる。たとえば一番問題になりますのは、免責条項と申しまして、一旦業界が、メーカーでも政府でも同じでございますけれども、できた製品を日本側に、たとえば原研なら原研に渡す際には、事後の責任は一切負わない。いかなる責任も負わないというふうな、普通の従来の商法、民法から考えますと、とうてい想像もできないような条件がつくわけでございます。これは日本に対してのみかと申しますと、決してそうではないのでありまして、各国に対してみな一様にやっておる。これはどういうことかと申しますと、やはりまだ未知の分野と申しますか、想像のつかないような問題も中に含まれておるといったようなこともございまして、なかなかメーカーの方では大事をとりまして、非常にきつい責任の免除方を要請するわけでございます。そういう点は、何とか少しでも有利にしたい。たとえば善意をもって処理するという条項を入れるとか、いろいろそういう交渉に実際は手間取りまして、契約というものは従来の普通の契約のようにスムーズにいかないのが多うございます。そういう観点から、来年の八月から炉を動かすというふうに予定しておりましても、実際はそういう契約の手続上のおくれとか、あるいは第二番目には、器材等も、非常にユニークな高度の品質を要請する器材等も多い関係上、検査等いたしますと必ずしも所定の規格に全部が合致するというものでもないようでございます。そういう面からいたしましても、あるいはもっと性能の確実な高いものということになりますと、あるいは注文を控えたり、やりかえたりというようなことで、従来の経験からいたしますと、不思議なくらい問題が延びる点もございますので、そういうのが今お話のありました繰越金等を生じますおもな原因のように承知しておるのであります。
  66. 神近市子

    ○神近委員 今おっしゃったのは第二号炉の輸入資材の問題ですね。けっこうです。  それでは、今おっしゃった今までの商法の取引上にも見られないような、全部責任を負わないというような契約、その未知の分野が多いだけに、また経験が少ないだけに、この原子力関係のものを持ち込むということは、非常な困難と、いろいろとおくれることがあるというふうに今おっしゃったのです。  今どうしてこんなに日本の研究がおくれるのか。そうして何でも、ものをきめなければならないものはみんな外国の資料を持ってきてあるいは外国の経験を持ってきてやらなくちゃならないというのが、今の日本の原子力の開発の状態だと思います。それで、私は早くできる限りの研究を日本で促進すべきじゃないかというふうに考えていたのです。  それで、前に科学技術委員会で、やはり長官に同じようなことを申し上げたのですけれども、私がこの問題で一番気になることは、安全度がどの程度確認されているのかということで、今度の安全審査専門部会の決定をずいぶん注意して見ていたわけです。それが一昨日出ました。あれを見ますと、一体、あれのどこに総括的に言って安全であるということが言えるのだろうか、私どもはこういうふうに読んだのですが、局長はあれをもってどういうふうにお受け取りになったか。あれはまだ疑問符が何カ所にもたくさんあって、こういう条件、こういう条件であるならばというようなことは、これは一体最終的な答申になるものか。あるいは中間的な答申なのか。形式は別として、内容は一体どういうふうにお考えになるか。できればあなたの方から、こういうわけだから安全だ——これは私どもしろうとが読んでも、一体これはイエスと言っているのか、ノーと言っているのかわからないところが何カ所もあるのです。あなたのお受け取りになっている内容をつけ加えて、これが安全である、地形的にあるいは気象上に、あるいは炉心の構造に、グラフアイトに安全であるか。そういうふうなものが一々御説明できるかどうか。ちょっと、それを伺わしていただきたい。
  67. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 ただいまのお話は、一昨日答申のありましたコールダーホール発電炉の安全性に関する問題の中で、いろいろ答申の中には条件とおぼしきものが入っておるが、一体、そういう条件が入っておるのにもかかわらず安全というふうに当局は考えるか、こういう趣旨かというふうに拝聴いたしましたのですが、そういう趣旨でございましょうか。
  68. 神近市子

    ○神近委員 そうです。
  69. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 この条件の問題に関しましては、実はあの中にいろいろ条件のような点、あるいは今後の検討に待つというふうな点が随所にございますけれども、こういう船舶とか、あるいは発電所のような大きいものは、建造物の建設の問題に関しましては、従来の例から申しましても、許可に際する審査の仕方といたしましては、初めの段階ではやはり大綱的なと申しますか、基本的な面をまず審査いたしまして、そしてそれに間違いがない、その面からいたしますと安全であるという判定を下して、許可がおりました自後引き続きまして工事の施行の認可、たとえば詳細設計とか、あるいは工事の方法の認可等の手順を踏みまして、さらに工事中の検査あるいは溶接の検査等いろいろございますが、検査に関してのさらに、何と申しますか、許認可がありまして、それから竣工した場合にはその竣工に対して検査をして認可を与える。あるいは保安規程等に関して認可を与える等、幾種かの段階を踏みまして実際の運転というふうに相なるわけでございます。そこで、原子炉の規制法でも、この点をあらかじめ予定してございまして、規制法の六十二条に、「許可には、条件を附することができる。」と明文でうたってございます。ただしその条件は、「許可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り、」かつ、許可を受ける者に不当な義務を課してはいけないという条件と申しますか、条件はつけることができるけれども、その条件の内容というものはこういうものでなくちゃならないというふうにしてございます。従って、もしあの答申書の中に、ただいまおっしゃいましたように、条件と申しましてもいろいろ解釈の仕方があるわけでございまして、その条件そのものを解決しなければ安全性に影響を来たして問題の解決にはならないというふうなものがあれば、これはもちろん答申そのものが条件付ということになって、ただいま申しましたいわゆる条件を付することができるけれども、条件の内容はこうだということに該当しない、不当な条件になるわけでございます。けれども、そうじゃなくて、その条件そのものはただいま申し上げましたような趣旨で、炉の建設、運転等にあたって一種の注意事項といたしまして、こういう点を特に注意して念入りにやりなさいというふうなことでありますれば、法自体でもそれを予定しておることでございます。  ただいまお話のありました点は、はたしてそれでは答申書にありますいろいろな審査、再検討を要するとか、あるいは検討を要するとか、あるいはさらに研究を要するとかいったような文言は、どちらにそれでは入るのだろうかという点が御質問の焦点かと思います。私どもただいま承知しておりますところでは、決して条件そのものを解決しなければ安全性というものは確保できないという趣旨の条件では毛頭ないのでありまして、むしろ今後詳細設計なり、工事の施行なり等に際して、こういう点を特に注意して念入りにやりなさいという趣旨の条件のように考えますので、ただいまの段階では私どもといたしましては、その点はそれほど問題にする必要はないのじゃないかというふうに感ずる次第であります。
  70. 神近市子

    ○神近委員 ただいまの段階では問題にする程度のことではないというのは、私はずいぶんおそろしい話だと思うのです。このことでは私どもは矢木部会長に来ていただいてよく伺おうと思うのですけれども、あなたのお読みになったのでは、規制法の六十二条は、安全性が最大限度に確保されている、最小限度の危険においてというふうな意味だったと思うのです。それであなたのお考えは、あの答申はこの六十二条の規制をやすやすと突破しておるというふうにお考えになっておるわけですか。
  71. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 ただいまお話のありました「許可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最小限度のもの」はやる、こうなっておりまして、あの答申書にいろいろあります注文は、そういう実施を確実にするために現在の許可申請書の範囲内で検討すると、安全ではあるけれども、それを確実に実施する際にはあるいはもっと詳細な設計も必要でありましょうし、工事そのものに対してもいろいろむずかしい問題があろうと思います。そういう確実な実施をはかるに必要な条件はつけてもよろしい、こうなっておりまして、あの答申書にありますいろいろな、研究すべしとかどういう文言でありましたか、ありますのは、そういう意味で実施を確実にするための注意事項というふうに了解しております。
  72. 神近市子

    ○神近委員 その、必要であるとか、こういうことが望ましいとか、これを確認しなければならぬとかいうふうた条件を、だれが会社に対して監督あるいは要請する、あるいは命令するのですか。
  73. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 これは先ほど申しましたように、規制法で、工事施行の認可、あるいは検査、あるいは竣工検査等、まだまだ幾つもの検査の段階がございまして、その検査は、発電関係に関しましては通産省の公益事業局が主としてやることになっております。
  74. 神近市子

    ○神近委員 原子力委員会でもはっきりとした責任を持つことができない。それが通産省にいきまして、これは監督権はあるかもしれないけれども、通産省としては事業場の監督でしょう。あるいはこれは通産省だったら商業べースに乗るか乗らぬかで大体においてきめるでしょう。私どもが原子力委員会に求めるところは、これが基本的にほんとうに安全であるかどうか、それが学問上あるいは科学的に確認できるのかどうかということなのです。あとの事業の形態やなんかについては通産省がやるでしょう。けれども、通産省にいったら科学的な確認というようなことは縁が遠くなるでしょう、これは事業体の監督官庁でありますから。私どもはその点をもっと原子力委員会で、はっきりと見きわめていただきたいと思うのです。  この答申についている条件は経済的条件じゃないですよ。全部あらかた安全に対しての条件なのです。その点は、私どもはもう少しはっきりと、この会社側に出ているところの問題を一体どういうふうに監督なさるのか承りたいのです。この前の七月二十三日でしたか、あの中間報告、あれなんかは、作ってみてから一つよくたたいてみて、そこをまたやればいいじゃないかというふうな答申が出ていたと思うのです。小さな家なら別ですけれども、原子炉のような金のかかる大きなものを、作ってみてからあそこを手直と、ここを手直ししということはできないと思う。また、それはやるべきじゃないと思うのです。その点で私どもがやかましい上にもやかましく考えていただかなければならないのは、おそらく手直しということは発電会社はやりませんよ。これはだれかが批評していたように、目こぼし、あるいはこう言っておいたのだけれどもまあ仕方がないというようなことで、もみ消されるのではないかということが非常に不安なのです。それで、もう少し責任を持って、あなた方の方でこの問題について頭を突っ込んでやっていただきたい。こう考えるのですが、いかがですか。
  75. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 安全の問題に関しましては、もちろん最終責任は内閣総理大臣にございまして、施設検査、性能検査、あるいは運転等に関する許認可権を持っておりまして、最後までこれは監督するようになっておるのでございます。従いまして、通産省は通産省として電気事業者に対しての監督をやる。こちらは安全のサイドから主として責任を持っていろいろ監督する、という建前になっております。
  76. 神近市子

    ○神近委員 総理大臣に安全に関する最終責任があると言ったって、こういう問題は総理大臣に何がわかりますか。たとえば飛行機の問題、あるいはいろいろ考えてみると、判をつくだけが総理大臣の仕事であって、ほんとうの仕事はあなた方の仕事じゃないのですか。
  77. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 その通りであります。私どもの責任であります。
  78. 神近市子

    ○神近委員 そうすれば、総理大臣にあずけてしまわないで、そうして総理大臣にはもう安全が確認できてから、この通りでございますと言って判をもらえばいいのですよ。  ですから、私どもはここで考えていただかなければならぬ。一番簡単だから取り上げますけれども、飛行場の問題がそうでしょう。この飛行場の問題だって、この間、中曽根さんが知らなかったじゃありませんか。空中に特別の練習場があるとか、あるいは日米委員会の契約だの、そういうふうなことはまだ調査をしていなかった。それで安全が安全だと言われていて、ここにきてやっと飛鳥田委員指摘されて、日米委員会の申し合わせだとか、あるいは空中に三重の練習場があるということ、そうしてコールダーホールを作るところはその中央にあるというふうなことが初めて明らかになった。そうしてこれを作文したのですけれども、よほど困って作文したと思うのです。そうして言ったことは、落ちても大したことはない、今まで飛行機はあまり通らなかった、誤投は年々少なくなっていった、そう言ったとたんに、きのう、おとといは皮肉のように誤投があったでしょう。麦畑におっこったからこの危険はなかったけれども、ちょうどあつらえたように誤投をやって見せた。  そういうことがありますから、私どもはこの作文だけで、ああさようでございますか、これでけっこうでございます、とは言わないのですよ。それだからあなたに聞いているのは、一体、あなた方はどういうわけで最終的にコールダーホール型の炉を買ってきょうとなさるのか。一体あなた方は国民の側に立つべき立場なのか、会社側に立つべき立場なのか。よくあなた方の心がまえというようなものを伺いたいと思います。おそらく中曽根さんは政治家ですから、国民の側に立つと言われるでしょう。けれども、原子力委員会というようなものの構成は、こういう発電炉のようなものを作ることを予想して作られた機構でしょう。だから、どうしても発電会社を作らなければならないという立場に追い込まれていられるのではないか。ちょうど兵隊に武器を持たせれば使ってみたくなるように、原子力委員会というものができ上がれば、発電炉をどうしても作らなければならぬというふうなお考えに傾いているのではないか。その点が私どもは非常に不安なので、きょうは長官がおいでにならないのですけれども、原子力委員会の中では最も有力な佐々木局長であるというくらい名が通っておりますから、私はその点で、あなたは民衆の側、国民の側に立つのか、発電会社の側に立つのか。どっちかはっきりと承って、あとの質問を進めたいと思います。
  79. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 初めの爆撃演習地の点でございますが、私ども承知しております限りでは、決して原子力委員会、特にこの問題を審査されました安全審査部会の皆さんが、その問題を承知しないで審議を進めたというふうには了解しておりません。この六月ぐらいからこの問題に関しましては、たしか資料を集めて検討を続けておりました事実を知っております。ただ、お話のように、いろいろ日米間に協定があったというような点に関しましては、あるいはそこまで問い詰めずに実態を調べたという点は、少し調査不十分のそしりはあろうかと思います。けれども、さらばといって、この問題を全然検討もせずに安全であるという結論を下したとおっしゃいますことは、少し事実に反しているのじゃないかという感じを私、持つわけでございます。  それから、きのう落ちましたのも、まことにおっしゃる通り皮肉でございまして、私どもも同様に感じたのでございますが、実際にすぐ調査いたしてみますと、あれも五キロ以上六キロ近く離れました、東海村とは反対側の南部の方に落ちております。それも小さい二十五ポンド爆弾の模擬爆弾でございまして、決して今までの事例から見まして、非常に特異な現象だというふうには解釈できないのじゃなかろうかと承知しております。その意味から申しますと、あるいは皮肉じゃない事実かもしれません。  最後に、一体原子力局長は民衆の側に立ってこの問題を処理しておるのか、会社側に立って処理しておるのかというきつい御質問でございますけれども、私は官吏でございますので、行政官として法の命ずるのに従いまして、厳正な行政をとっていくつもりでございます。と申しますのは、原子力行政の本体は何かということを常々考えておるのでございまして原子力行政の本体は、言うまでもなく、極端にいえばつに尽きます。その点は何かと申しますと、安全、衛生の確保ということが問題の焦点でございまして、この点を抜かしますれば、普通の経済行政等と大して差のない行政になります。ただ一つ本質的な違いは那辺にあるかと申しますと、原子力行政ポイントは保安をいかにして確保するか、日本の民族の将来等々のために、単に産業の発展、あるいは民生の福祉増進という点のみじゃなくて、反面の悪である保安、衛生等をいかに将来確保していくかという点が根本の問題でございます。委員会ももちろんでございますが、私自身の心がけという点から申しますと、安全を確保するというのが主でございます。  その意味から申しますと、会社に対しても、もちろん安全の点は幾らでも要求します。同時に民衆に対しましても、あに原子炉のみならず、アイソトープ等を通じて、今後原子力の時代に入って参りますと、それぞれ常識的にこの問題に対する認識なり注意というものが必要になって参りますので、やはり近代の日本人としてそういう点に関して十分御研究もし、用意もしていただきたいということは、東海村の人ばかりでなしに、日本全国民に対して私どもとしては御認識をいただくようにしむけるというのが、一つの任務かと承知しております。従いまして、私も日本人でありますから、日本人全部に対してそういう点をとくと御考慮いただきたいのはもちろんでございまして、会社側とか人民側とかいう趣旨を離れまして、安全を確保するというサイドにおいては、どちらにも御注意をいただくようにしていきたいというふうに考えております。
  80. 神近市子

    ○神近委員 そのお覚悟であれば安心だと思います。次いで伺いたいのは、その覚悟でおいでになってそれで一昨日の答申を、さっきのお話では、概括的におっしゃれば、まずこれなら安心だろうというような意味にとれたのです。一体あなたの今のお覚悟と、その腹をもってあれをお読みになって、これが安心たというふうに読めるかどうか。私、先ほど飛行場の問題を出したのは、あなたも多分あのときお聞きになっていたでしょう。非常にはっきりとした誤認があった。あなたは調査もしていたとおっしゃるけれども、あのとき知らなかったことが幾つか出てきたのですよ。調達庁長官もおっしゃったのですけれども、危険区域があるということ、それから日米委員会の契約には実弾も使っていいことになっている。今までは使わなかったけれども、何かの拍子に使ったということによって決してアメリカをとがめることはできないような約束になっている。そういう点で、飛行場の問題が一番はっきりするから私は今ここへ持ち出したのです。まだ申し上げれば、たとえば逆低層の問題もここに書いてあるようですけれども、逆転層の問題の調査はどの程反だれがして、そしてそれは昼間やられたのか、夜間もやられたのか。それは御存じですか。
  81. 法貴四郎

    法貴政府委員 逆転層の問題につきましては、気象調査会というのがございまして、これは原電の直接の関係の械関ではございませんで、気象庁が中心となってあの東海村近傍の気象調査をやるために設けられた会でございます。そこで、その気象関係の権威者を網羅しまして、相当大規模な実験を数回にわたって東海村地区でやっております。そして逆転層に関しても相当詳細な資料を作っておるわけでございますけれども、もちろん昼間も夜間も全部調査してございます。その結果から、東海村地区に格別日本全国のほかの地区に比べて著しい特徴的な逆転層があるわけではない。むしろほかの地区に比べれば、そう心配しなくてもよろしいというような結論を出しております。
  82. 神近市子

    ○神近委員 気象調査はだれが主任でおやりになるのですか。和達さんですか。
  83. 法貴四郎

    法貴政府委員 委員長を私失念いたしましたが、実際の現地調査の主任は気象庁の川畑幸夫さんでございます。
  84. 神近市子

    ○神近委員 今何とかおっしゃったけれども、大して危険はないという程度のことでは、私たち納得できないのです。私どもの聞いているところは、逆転層の調査は主として昼間行なわれたので、海岸の方に向けて風が吹くという状態は、夜間はそれに変化が起こるということを聞いているのです。その点は御存じですか。
  85. 法貴四郎

    法貴政府委員 逆転層は普通夜間が多いわけでございます。従いまして夜間に逆転層ができるということは、日本全国共通の現象と申しましてもよろしい程度でございまして、それが長時間にわたって停滞するというふうなことがなければ特に東海村が危険であるということにはならぬ、そういうことであります。
  86. 神近市子

    ○神近委員 専門部会の先生方は何人くらいでいらっしゃるのですか。安全審査小委員会ですか、あれは十五人ということは承っておりますけれども、矢木さんが部会長になっておられる専門部会は何人くらいの学者の方々が集まって、そして一体この決定の日には何人くらい御出席になっておられましたか。
  87. 法貴四郎

    法貴政府委員 原子炉安全審査専門部会の中に第七小委員会というのを作りまして、これは実質的に通産省のコールダーホール審査委員会とも合同で長時間にわたりまして審査をやりました次第でありますが、その小委員会委員数は十四名でございます。それからこの間の十一月九日のときの専門部会にはこのほかの専門委員の方の御出席もありまして、およそ二十名足らずだったと思います。ちょっと正確ではございませんが。  それから気象関係の問題に関しましては、先ほど調査会のお話だけいたしましたのですが、その調査会の資料も参考にした上にいろいろ各方面の資料等も集めまして、この小委員会の中にさらに気象のグループというのを作っております。それは気象研究所長の小平吉男さんが主査なのでございまして、気象研究所の伊東彊自さんのような専門家も含めまして、原研の青木さんであるとか、四、五人の方で気象グループというのを組織しまして、この方々だけで通計二十一回会合を開かれまして、非常に綿密に調査を進められたわけです。たとえば水戸気象台の長年にわたる調査資料であるとか、そのほか現地の近傍の気象の状態に関するあらゆる資料をとりつけまして、非常に詳細に検討していただきまして、そうして結論を出していただいた、そういうことでございます。
  88. 神近市子

    ○神近委員 九日の決定のときには二十何人、小委員会が十五人でしょう。そうすると、そのあとの方々は欠席なんですか。坂田昌一さんが欠席だということは、きょうわかっておりますけれども、そのほかにも欠席が多かったのか。  それから私が伺いたいことは、この専門部会では、こういう決定事項をきめるときに全員一致なのか、多数決なのか。どっちなんです。
  89. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 一昨日の専門部会には、私の承知している範囲では後藤清太郎委員が病気で欠席なさいました。それから坂田昌一委員は書面を矢木部会長に出しまして——これはもう前からその日は都合が悪くて出られないというお話で、それを承知で、来られぬでもやむを得ないからということで開いたわけでございまして、その際坂田委員からは矢木部会長に手紙をお出しになりまして、部会を開く直前にその手紙を矢木部会長がお読みになったように記憶しております。そのお二方が、片一方は病気、片一方はよんどころない他の事情で出席しかねましたほかは全員出席というふうに承知いたしております。
  90. 神近市子

    ○神近委員 多数決か、少数決か。
  91. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 もちろん決議の仕方は多数決だとか全会一致というふうにきめてはおらないのでございますが、あのときのきめました際には、坂田さんの手紙を矢木部会長が逐条各専門委員の皆さんにお諮りしてその判断を仰いで、最終的には総合的に全員一致という形で決定いたしたというふうに伺っております。
  92. 神近市子

    ○神近委員 まあ欠席裁判みたいなもので、坂田さんを除いたあとの全員一致だったわけですね。
  93. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 そうです。
  94. 神近市子

    ○神近委員 その点なんです。坂田さんがああいう声明書を出して反対意見をおっしゃったその中に、学術会議を代表する者として自分は出席しているというふうなことがちょっとあったと思うのです。この間の七月の二十三日でしたか、学術会議があって、あのときも安全性に対する反対意見がずいぶん強かったと聞いております。そのとき、どうもいろいろ——これは特に佐々木さんに責任があるようですけれども、反対をすると赤だと言うのだそうですね。大体ロッキード、グラマンのときだって、あれは赤だ、赤だと言われたときがあったのですが、私どもはもう何も成心があって言うんじゃないですよ。私が一番おそろしいことは、事故が起こったときに、起こるであろう混乱というものを考えると、子供だの女だのという立場から考えれば、これはもう万全の安全性を持たせていただきたいからこういうことを言うのであって、何もほかに成心はない。原子力の発展ということも望ましいことではあるけれども、今度のコールダーホール型が私は問題だと考えるわけです。それで申し上げるのですけれども、反対意見が常に押えられるということ、坂田先生は、たしか私の聞いているところでは、学術会議か何かでやむを得ない御欠席だと聞いております。それならば、日を違えたところでいいわけでしょう。そうして坂田さんに言いたいことを言わせて、それをみなの協議の事項にすべきだと思うのです。学術会議においての様子を聞いても、私も「朝日ジャーナル」で読みましたけれども、反対者は発言のできないような空気を作っておくというのは、どういうことか。これは佐々木さんなんかに私は非常に責任があると思うのです。なるべく民主的に運営されるということが原子力基本法の精神なんですから、意見というものは十分に出させて、御決定になるべきだと思うのです。
  95. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 初めの点でございますが、坂田委員が学術会議の代表としてというお話でございますけれども、私どもそういうふうには解釈しておらないのでございまして、専門部会の皆さんはもう大半学術会議の会員でございまして、坂田さんのみ学術会議の代表でというふうには実は解釈してございません。そうではなくて、むしろそれぞれみな地震の大家、あるいは原子炉自体の大家、あるいは理論物理の大家というふうな職能別の感覚から、一番その大家の方に委員になっていただいたというふうに解釈しております。  それから第二番目の、赤だとかいう問題でございますが、これは私ども実は承知してございません。必要な御議論で、建設的な意見でございますれば、あくまで歓迎すべきものでございましてそのためにいわゆる基本法には三原則という万国に例のない特殊な法律をうたってまで、こういう意見を確保しようということになっております。正しいと申しますか、技術的であり、科学的であり、しかも建設的な意見でありますれば、もちろん歓迎すべきものでございますので、その点は十分反映できますように運営するつもりでございます。その証拠には、国会からの要請もございまして、公聴会も、神近先生もおいで下さったようでございますが、開き、各方面の意見も聞き、あるいは学術会議で、この点に関しまして、特に安全の問題でパネル・ディスカッションをやりました際にも、できるだけ聞係者各位に御出席してもらって御答弁するということで、むしろ私の方からいろいろ会社側あるいは専門部会の委員の皆さんにもお願いして、そうして堂々と一つディスカッションしてもらいたいということをお願いしておったような次第であります。反対があれば、その反対は思想的な反対であるというような考えを決して持っておりませんのでございます。そうでなくて、あくまでもこれが正しいと申しますか、理屈のあるものであれば、やはり堂々と民主的に検討し合うことが必要であると存じます。  それからもう一つ、最後に坂田委員の御欠席の件でございます。これは、この前の専門部会のときに坂田先生がお見えになりまして、その際、大体今度の手紙に載っておる趣旨のようなことを御発言になったのでございます。というのは、学術会議で最終的にきめる前に——学術会議と申しましても学術会議全般ではございませんし、学術会議の一部だと思います。そういう方面にもう一ぺん説明する機会等を持ってもらえないかという話が、要望事項としてありました。それから、資料の公開等の問題に関しましても御要望がございまして、そういう点に関しましては一昨日の前の専門部会のときに、専門部会でもそれぞれの意見を開陳いたしまして、一応坂田委員も御納得したかどうか知りませんけれども、御主張しっぱなしでその席はお帰りになったと記憶してございます。一昨日、矢木部会長に来た手紙の内容も、大体、事柄自体は安全性そのものの内容的な問題と申すよりは、むしろ手続等と申しますか、前に御主張になった点をもう一ぺん繰り返して御主張になっておるように承知してございます。その点も、本人から御丁寧な手紙をいただいたわけでありますから、矢木部会長としてはその手紙をお読みして、一つ一つ、この点はどう考えますか、どう考えますかということで、もう一ぺんその点をコンフアームいたしまして、その結果坂田先生の手紙の件は、矢木部会長が坂田先生に電話で、あるいはお会いして事情を申し上げれば御了解がいくだろうということで、他の専門委員も、それではそういうふうにして最終的にきめましょうということで決定したというのが真相でございます。
  96. 神近市子

    ○神近委員 もう時間がないということで、私はたくさんはお尋ねできないのですけれど、坂田さんが公開を御要求になったということをおっしゃいましたね。それから、もう一つは何でしたか。
  97. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 学術会議でもう一ぺん説明の懇談会のようなものを開いてもらえぬかという趣旨のものでございます。
  98. 神近市子

    ○神近委員 私はそれはごもっともだと思うのです。公開の点も、今、公聴会のお話がありましたけれども、公聴会なんというのは、あれは私どもが拝見していても、この通り民主的にやりましたというお座なりの口実にするだけじゃありませんか。あの中に書いてあることが、一点でもほんとうに取り入れられているかどうか。特に反対した人たちの意見なんかは考慮に入れてないでしょう。早く持ってきてくれという人はいなかったけれども、ともかく地元の人はあれだけ安全のことと、それから保障とを要求していた。あの中で一番大事なことは、秘密裏に皆さんが事を運んでおるということを言っておりました。藤木という人は——この人はどういう人か知りません、今ちょっと記憶にないけれど、藤木という人はそう言っていたでしょう。今度公聴会に出ることになったから資料がほしいと言って原発に行ったけれども、よこさなかった。大学の先生方を何人か誘って三人で行って要請してきたけれども、出さなかった。それは商業的な秘密なのかといえば、そうではございません。そうして、もらったものは、あの日出ていって、あの薄っぺらなパンフレットを一冊ずつ。それで公聴会で意見を言えなんといったところが、それは無理ですよ。  それから、私がもう一つ伺いたいことは、どなたが御存じか知らないけれども、あの委員会が中間報告を七月の何日かにやった。あのときの委員会に何人出ていらしたか知りませんけれども、材料をこんなに多く持っていって皆さんに配付する。その日のうちに、何時間かかるか知らないけれども、ともかく結論が出る。こんな材料をその場で見て、見てしまったものをみな持ち帰る。一体、そういう研究の態度というものがあるでしょうか。それが会議をしたということに、一体なるのかどうか。  私は、この専門部会についても同じようなことが行なわれていると思いますよ。もう賛成とか反対とかいうことは頭の中できまっていて体裁だけに出てきて、イエスかノーか、その決定というものは一人か二人の人で……。多少いろいろ弾力性を持った考え方のできるような人がその既定観念を持った委員方に対して——たとえば、坂田さんなんというのは硬骨漢で、抵抗が強かったのでしょう。ああいう形で抵抗したのでしょう。もっと弱い人たちは、その中にぐずぐずに引き込まれて、たとえばこの間イギリスへ行っていらした武藤さんだとか、あるいは福田さんだとか、そういう人たちが、一人か二人か三人の頭で大体ものをきめておいでになるのじゃないですか。逆転層やあるいは耐震性や、みな御研究にはなったでしょう。なったでしょうけれども、それを自分たちに都合のいいように曲げるということもできるのじゃないか。その材料、素材をそのまま利用していらっしゃらないのじゃないかというのが私どもの疑いです。  これについては今お返事をいただいておいて、もう時間がないということですから次の機会に、中曽根長官に出ていただきたい。私どもは、この良心を売ったような学者方でこの冒険をやらされ、三百三十億というような大きな事業が、この一部の少数の方々の決定によって引きずられるということは妥当でないと思う。それでいろいろなにするのですけれども、この次の委員会ではもう少し材料を出します。きょうは今申し上げたことに対する御返答を伺いたい。
  99. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 第一点は、公聴会は何ら跡始末をしていないのじゃなかろうかという御疑念のようでございますが、それは事実と違います。私どもは、あの中にございました各種の要望事項を原子力委員会としてはたんねんに調べまして、安全審査部会に出すものについては特に要望いたしまして、こういう事項があるのでこの点に関しては特に注意をして審査をしてもらいたいというふうにしてございます。  それから、資料の公開の件でございますが、これも苦干誤解があるように考えられますのでお話し申し上げます。公聴会の自後、私どもは共産党本部等々からずいぶん資料公開の問題で質問を受けました。それに対してはたんねんにお答えしてございます。お答えの趣旨は、もちろん三原則がございますので公開します。これが原則でございますので、決して非公開の態度はとりません。ただし、商業上の秘密があるものはやむを得ないことがあります。審査の過程にある申請書そのものを、まだ審査の済まない、ディスカッションの済まない最中に出すということも当を得た処置ではございませんので、検討が済みまして、商業上の機密に属せぬ事項については一切公開しますということを申し上げたわけであります。部会では一昨日決定になりましたので、全部公開いたします。ただ一部、私ども関係じゃなくて、相手方の英国のメーカーあるいは公社等から、こういう点は商業上の機密上困るという点が相当あるようでございますので、その点に関してただいま相手方のGECと原子力発電会社とせっかく交渉中でございます。それが済みますれば、商業的な秘密という理由がありと認めればもちろんこれは公開いたしませんが、それ以外に関しましては全部公開するつもりでございます。決して三原則に反するような態度はとりません。  それから第三番目でございますが、専門部会が膨大な資料を昼に持ってきて、夜に審査して返したというふうな御疑念と申しますか、お話があるようでございますけれども、もしそういう事実があるとしたならば教えていただきたい。私の承知している範囲では、ございません。
  100. 神近市子

    ○神近委員 坂田さんの公開をしろという要求、一般に秘密にしてやっているじゃないかという要求、これに対して今あなたは、専門部会の決定が出たから公表するとおっしゃったでしょう。私どもはこの決定に至るまでに公表をなさるべきだと思うのです。そうでなければ今回の決定事項について、あるいは安全性の問題について、あるいは耐震性の問題について、気流の問題について、炉の構成について批評する余地はないじゃありませんか。決定して、国会が黙っていればそのまま許可がおりるのでしょう。そういう段階にきてから公表なさったって、それは公表という名に値しませんよ。討論にかけていいか悪いか、安全か安全に疑惑があるかということを討論させて、識者の目を通して、そしてこれならば大丈夫安全だからというところにきて答申すれば、あるいはその答申によって許可なさるならなさるべきです。大事なところは隠しておいて、そして都合のいいところを出して答申をさせておいて、それによって安全である安全であるというようなきまり文句を言って歩くということは、私は卑怯だと思うのです。その点、いかがですか。
  101. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 政府で御依頼いたしました審査をいたします専門委員の皆さんには、もちろん全資料を差し上げてございます。ただ、第三者である皆さんに対する公開の問題に関しましては、これは相手方もあることでございますし、審査の審議の過程の途上で逐次変わっていく問題でございますので、申請書そのものを全部公開するというのは少し行き過ぎじゃなかろうか。従って、全資料に基づいて安全審査部会の委員の皆さんが審査した結果におきましては、商業上の秘密以外は全部公開する、こういう態度で進んだわけでございまして、決して公開の三原則に反せぬと存じております。
  102. 神近市子

    ○神近委員 今おっしゃったのですが、この相方手というのはイギリスのGECですね。
  103. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 何が商業上の秘密かというような点は、もちろん相手方が一番よくメーカー自体でございますから、この点はノー・ハウであるとか、この点は特許であるとかいうような点はよくわかる。こちらではわかりません。その点に関しましては、もちろん相手方の指示に従うのが妥当かと考えております。
  104. 神近市子

    ○神近委員 それで、今、委員には全部配付した、これは当然だろうと思うのですが、どうしてたとえば学術会議の人たちあたりに公開しないのですか。国民はチンプンカンプンですから、何にもわからないですからいいですよ。だけれども、ちゃんとした学者方に意見を問う、そしてその方々がこれなら安全だと言うときなら私ども文句はないと思うのです。私はこの次にまだこの問題についてお尋ねする事項があるのですよ。きょうは時間がないから申しません。少数の学者方を手玉にとって——これはあなたじゃないですよ、発電会社が。それでやらせていて、安全だ安全だと、うそをつく。あの原子力の産業会議から出ているパンフレットなんか見てごらんなさい。都合のいいところだけ書いて、ファーマーの報告なんか、飛行場の問題なんかするっと抜けておるじゃありませんか。これは危険度に対してもそうですし、そういうふうなことをやっておいて、そしてあなたがいかにも発電会社の代弁者のように、学者方にはちゃんと資料は渡してございますとか、あるいはそれだから手落ちはございませんとか、あるいはイギリスのメーカーの指示は守らなければなりません、とおっしゃる。イギリスのメーカーなんて、グラファイトの問題でとった態度を見れば、売り込もう売り込もうということに夢中であって、ちっとも商業的良心というものは持ち合わせていない人たちであると見ていいと私は思うんですよ。そういうふうにおっしゃるから、私がなお危険を感ずるのでございまして、私はこの問題はまたあとで伺いたいと思います。特にきょうは長官がおいでにならない。もうこの問題は技術的の段階というよりも、政治的段階にきていると思います。長官が今度おいでいただくときに、またよく伺いたいと思います。
  105. 押谷富三

    ○押谷委員長代理 本日はこの程度にとどめ、散会いたします。     午後一時四十九分散会