○田中(織)
委員 長らく議運にごぶさたいたしたのでありますが、山下君とかわって
委員会に出てみて、私
どもが議運の
委員をしておった当時と、
国会の重要な問題である
会期の問題等に対する、特に
与党側の
諸君の考え方が変わっていることに、実は驚いているわけなんですが、先ほどから述べられる、
会期をさらに十三日間延ばしたいということについての積極的な
理由が、非常に乏しい。
衆議院に八件重要な
法律案が残っていると言われますが、何と何でありますか、事務当局からでもお聞かせを願いたいと思う。はたして残っている八件の
法案が、これから残されている
会期内に議了できないものかどうか。それはこの議運の場ではないかもしれませんけれ
ども、まだ各党間で話し合うべき余地を残している問題じゃないか。もう
一つの問題の、
参議院にかかっている
ベトナム賠償の問題については、これは
野党の、私
ども社会党のみならず、
社会クラブ民社クラブもあげて
反対をいたしているのであります。その観点から見ますならば、われわれは、この
会期末の十四日でもって
審議未了、ないしわれわれが一歩譲った形においても、
通常国会への
継続審議、われわれこの
賠償に
反対であるという観点から見て、そういうふうに考えておるのでありますので、先ほど児玉君から指摘しましたように、これを
参議院に送り込んでから三十日以内に議決がない場合には、
自然成立をねらうという
意味から、特に藤山外務大臣が閣議でそういうふうな
発言を求められて、実はこの
会期延長を予定したような形で、本日公報に
通常国会の召集の公示が載っているというようなこと自体、
政府としてきわめて
国会を無視したやり方だと思う。この点は、
与党の
諸君も、国権の
最高機関という
議会の
立場に立ちますならば、
政府のこうした態度は許すべきでないと思う。そういう観点から見ますと、今まで
与党側の
山村委員等から言われる
会期延長の
理由というものは、きわめて
延長の
理由にはならない、このように考えるわけです。それが
一つ。それから全体として
会期延長問題を軽く見ているという点は、先ほど
池田禎治君から指摘されたと全く同様だと思う。私らも、かつて帝国
議会の時代に
——池田君、その他
佐々木君も
長谷川君もわれわれと同じ戦前の新聞記者でありますけれ
ども、帝国
議会時代にわれわれ取材のために入った当時においては、
重要法案が
会期内に成立しない場合には、内閣総辞職をした事例が幾多あるのです。私は、
責任をとるという
立場から、これが
ほんとうだと思う。
池田君が
野球の例、あるいは相撲の土俵の例をとりましたけれ
ども、都合が悪くなれば土俵は幾らでも広げられるというような、そんな
ルールはないと思う。そういう観点から、
会期延長の問題については、慎重に扱わなければならぬことは当然のことである。それにもかかわらず、終戦後の新憲法下における民主
議会において、そのときの
政府あるいは
与党の便宜のために、便宜的に
会期延長がきめられておる。しかも、そういう結果から、
議会において幾たびか問題が起こっている。それはほとんどすべての場合、
会期延長問題をめぐって
国会に混乱が起こり、
不祥事件が起こっているということを考えてみても、
会期延長問題については、もっとわれわれは真剣に考えなければならぬ。そういう点については、たとえば
ベトナム賠償の問題について、
政府の
答弁を
与党の
諸君が支持せられておりましても、むしろ党の
諸君から、既定の
会期内に案件を上げたいということになれば、
答弁その他の問題についても
政府に対してたしなめるべきであって、これは、
国会運営の衝に当たられている
運営委員長初め、
与党の
諸君の責務でないかと私は思う。どうも今回の
会期延長の持ち出し方においても、そういう根本的な、真剣な理念がないから、軽率に出してきたというそしりは免れないと思う。先ほどから、昨年の
警職法問題の当時の
自民党、
社会党のいわゆる
党首会談の問題も持ち出されてきておるのでありますけれ
ども、
佐々木君は、そのときには
会期の問題はあの
申し合わせに含まれていないと言われたが、そういう考え方自体が、根本的に間違っている。
会期延長問題に派生して起こった問題を収拾するために話し合ったあの各項目が、すべて
会期延長問題に関連を持たないという理屈はどこにもないと私は思う。従って、今度の
会期を五十日にきめるということについても、先ほど
山村さんが速記録を引用されて申されるように、
与党が四十日でやれるだろうというものを、
野党の
意見もいれて五十日にきまったということは、これは
与野党一致の話し合いによってきまったということが当然言えるわけです。かりに
政府、
与党が言われるような事情で
会期延長をしなければならないと考えられたならば、最近の
議長から
諮問されている問題等でも、各党派の間に話し合いが持たれているのでありますから、そういうことが全然ないような、規則ずくめでやっているときならいざ知らず、十分話し合いが持たれ、現実にきょうも
理事会、あるいは本
委員会が開かれるまでの間においても、
与野党の話し合いがなされないわけでもない。そういう時間的な余裕もないことはない。党籍を離れておられますけれ
ども、私
ども社会党から推薦した正木副
議長もいるわけです。
議長の方に正式に申し出られる前に、
社会党にも、直接、あるいは正木副
議長を通じて、
与党において持っている
会期延長についての心組みについて
社会党と話し合う、こういう話し合いというものを、先ほどの
長谷川さんも
佐々木君も、どなたも否定されないという
立場になれば、この問題は、一ぺんこの議運を休憩して、
会期の問題について
常任委員長会議や、そういういわゆる形式的な手続は進められているかもしれませんけれ
ども、わが
社会党のみならず、
社会クラブ、民社クラブに、
与党の方から正式に話し合いが持たれて、それからここまで進んだ段階における議運の話を継続していく、こういうことは、何か形式にこだわっているようにお聞きになるかもしれませんけれ
ども、一番根底になる
国会運営の問題については、
与党、
野党ともにやはり
運営の
責任を分かち合っていこうじゃないかという考え方から言えば、少なくとも基本になる
会期の問題については、
野党の
意見をいれて五十日にきめた、それでも足りないということになれば、
野党の方に相談されれば
——私
どもと考え方は若干違うようでありますけれ
ども、問題によって
会期を
延長しなければならぬという問題がしぼられてくる場合においては、おのずから別問題だということを先ほど
社会クラブの
池田君も言われた
通りであります。私は、何か形式的にこだわるようでありますけれ
ども、
委員長におかれては、一応この
委員会の議をこの
程度で中止をして、問題を
——出先の
諸君で、おれ
たちはやはり党の決定に従って全権を委任されておる、何もあえて本国に帰って、あらためて協議する必要はないとおっしゃられるかもしれませんが、きょう昼間に、私の方の国対
委員長があなたの方の幹事長に言ったように、前の四
者会談、
党首会談のときの話し合いできめたことは、今度の
会期延長のことに関する
自民党からわが党への正式な呼びかけ、相談も何もございませんので、事務的な関係でこの
会期延長の問題が進められてきておるのであって、これからあなた方が
議長の
諮問に応じてやられようとする
デモ規制の問題を、私
どもは
反対をしてきておりますけれ
ども、これらの問題をかりに取り扱っていく場合においても、私はやはりそういう話し合いというものは、各党間の協調が前提にならぬ限りスムーズにいくはずはないと思う。そういう
意味で、
委員長におかれては、この
運営委員会の
議事をこのままの形で一応中止していただいて、
委員長の方でそういう計らいをしていただきますならば、
与党の
諸君も、
一つ党本部に持ち帰っていただいて、もう一度やはり各党間の話し合いで軌道に乗せていくような御努力を願いたいと思う。