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1959-11-30 第33回国会 衆議院 外務委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月三十日(月曜日)     午後二時三十二分開議  出席委員    委員長 小澤佐重喜君    理事 岩本 信行君 理事 菅家 喜六君    理事 佐々木盛雄君 理事 床次 徳二君    理事 戸叶 里子君 理事 松本 七郎君    理事 堤 ツルヨ君       加藤 高藏君    菊池 義郎君       久野 忠治君    小泉 純也君       二階堂 進君    野田 武夫君       濱野 清吾君    山口六郎次君       高田 富之君    帆足  計君  出席国務大臣         外 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         外務政務次官  小林 絹治君         外務事務官         (経済局長)  牛場 信彦君         食糧庁長官   須賀 賢二君  委員外出席者         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    村田 豊三君         専  門  員 佐藤 敏人君     ――――――――――――― 十一月二十六日  委員長谷川峻君、古川丈吉君、山口六郎次君、  二階堂進君、鈴木善幸君、鍛冶良作君及び春日  一幸君辞任につき、その補欠として久野忠治君、  宇都宮徳馬君、園田直君、野田武夫君、前尾繁  三郎君、山村新治郎君及び塚本三郎君が議長の  指名委員に選任された。 同月三十日  委員加藤精三君、福家俊一君、前尾繁三郎君、  山村新治郎君、柏正男君、小林進君及び田中織  之進君辞任につき、その補欠として二階堂進君、  加藤高藏君、濱野清吾山口六郎次君、高田富  之君、帆足計君及び森島守人君が議長指名で  委員に選任された。 同日  委員二階堂進君、加藤高藏君、濱野清吾君及び  山口六郎次辞任につき、その補欠として加藤  精三君、福家俊一君、前尾繁三郎君及び山村新  治郎君が議長指名委員に選任された。 同日  理事小林進君同日委員辞任につき、その補欠と  して森島守人君が理事に当選した。     ――――――――――――― 十一月二十六日  沖繩布令二十三号撤回に関する請願(菊川君子  君紹介)(第八六〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月二十八日  原水爆実験禁止等に関する陳情書  (第五八九号)  海外移住促進に関する陳情書  (第五九〇号)  ヴィエトナム賠償協定反対に関する陳情書  (第五九一号)  日米安全保障条約改定促進に関する陳情書  (第五九二号)  同  (第五九三  号)  同  (第五九四号)  同  (第五九五  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事の互選  千九百五十九年の国際小麦協定締結について  承認を求めるの件(条約第三号)(参議院送  付)      ――――◇―――――
  2. 小澤佐重喜

    小澤委員長 これより会議を開きます。  理事補欠選任についてお諮りいたします。  理事小林進君が本日委員辞任いたしました結果、理事が一名欠員となっております。この際、理事補欠選任を行ないたいと存じますが、慣例によりまして委員長より指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小澤佐重喜

    小澤委員長 御異議がないようでありますから、理事森島守人君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 小澤佐重喜

    小澤委員長 千九百五十九年の国際小麦協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。  質疑の通告があります。これを許します。松本七郎君。
  5. 松本七郎

    松本(七)委員 実は小麦協定は非常にこまかい問題が多いので、最初大臣にお伺いして、あとお忙しいでしょうからお休みを願いたいと思います。  毎年、この小麦協定は更新して幾らか内容は変わりますけれども、こうやって繰り返しておるわけでございますが、外務大臣としては、自分の担当責任者として、毎年のことで御関心はあるいは薄いのではなかろうかと思いますが、こういった直接のいわば外交面から離れて、専門的な農林関係の問題だとかそういうものについて、毎年の更新にあたって、世界の小麦事情等変化に応じてはたして再検討の必要性がありやなしやというようなことについて、どの程度所管大臣と話し合いをされてきておるものか、こういう点を一応御説明願いたいと思います。
  6. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 御承知のように、この種の協定国内主務官庁の意向が最も重要だと存じております。従いまして、毎年更新するにあたりまして、そうした問題について主務官庁としての意見を徴する——徴するというよりはむしろそれが基礎になって、われわれとしては外交折衝をいたすわけであります。ただ外務省に関しましては、これらの経済関係の諸協定が、そのときにあります他の外交関係との摩擦なり、あるいは調整を必要とするような点について、特に必要があれば農林大臣協議をいたし、また農林大臣に対してそれらの問題についての注意を促す、そういう見地から問題を判断してもらいたいということを申すわけでありまして、小麦協定なりあるいは郵便協定なりというものの内容自体については、主として主務官庁意見に従って行動をするということでございます。
  7. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると今回の小麦協定の場合には、いわば経済局長関係担当官にまかせきりで、何か特別に問題があればそのときに検討するということで、何ら問題はなかったと理解してよろしゅうございますか。
  8. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 今申し上げました範囲内においては特に問題がなかったようでございますから、特にこの問題について協議いたしたことはございません。
  9. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると外交担当者として、最近の国際的な小麦情勢変化ということは、これは詳しく御存じなくても、当然ばく然とながら御存じのことだと思うのですが、そういう事情が変わった中で、もう一度考えてみる必要はないかというような疑いも何ら持たれなかったでしょうか。
  10. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 今回の場合においては、輸入国における義務というのは減らされておる、そういう立場から見ましても、日本として特に経済外交の面でそう大きな支障をなすようなことはなかったと思います。しかもこういう経済協定になりますと、脱退をしたりあるいは新たに参加したり、いろいろそのときの事情によりまして変化をして参りますが、今回の場合主としてそういう状況もなかったようでございます。従いまして国際的な協定に対しては、一応内容のいかんは別といたしまして、今申し上げたような環境においては外交面からは特に協議をする必要がなかったのではないかと考えております。
  11. 松本七郎

    松本(七)委員 社会党は最近の小麦情勢にかんがみて、むしろこれは反対立場をとっておるのです。これは一般の法案の場合も同じことがいえると思いますが、特に条約あるいは協定一つの問題を起こした場合、与野党の中に意見対立、賛否が分かれた場合の取り扱い方についてずいぶん問題があると思うのです。ベトナム賠償なんか特にその大きな例……。近くは安保の問題も出てこようとしておるわけですが、そういうものに対する——これは政府としての考え方ばかりではなしに、国会独自としても問題があると思いまするが、当然藤山さんは国会議員であって外務大臣ですから、両方の立場からこれらの扱い方、特に条約という外国に関係のある問題の扱い方においては、これは特に慎重に——単なる与野党対立というようなことでなしに、考えなければならぬ問題があると思いますが、それらの問題について実は少しお伺いしてみたい点があるのですけれども、本日は大臣も急いでおりますし、またゆっくり別な機会にこれらのこと、特に安保の問題が起こる前にこれらの点についてはお伺いしたいと思いますが、きょうのところは大臣に対する質問はこの程度にしておきたいと思います。御退席願ってけっこうです。  一九五六年の協定期間中に、この協定価格最高最低を割ったことがあったかどうか。まずこの点……。
  12. 牛場信彦

    牛場政府委員 割ったことはございません。割ったことはないし、超過したこともございません。
  13. 松本七郎

    松本(七)委員 この第六条に規定している基準価格、これはマニトバ・ノーザン一号の価格になっているわけですが、このマニトバ・ノーザン一号の生産は非常に少ないということを聞いておるのですが、各国の小麦価格はどのように立てられておるか、どのくらいの価格になっておるか。たとえば米国産、カナダ産、アルゼンチン産……。
  14. 牛場信彦

    牛場政府委員 例示的に申し上げます。アメリカについて申し上げますと、ウエスタン・ホワイト、これは軟質小麦でございますがこれが一ブッシェル——これは十月初旬の値段でございますが、一ドル六十二セント、トンにいたしますと五十九ドル五十三セント、それから同じくアメリカのハード・ウィンター、これが硬質小麦でございますが、これが一ブッシェルードル五十九セント、トンにいたしまして五十ハドル五十二セント、次にカナダでございますが、マニトバ一号がブッシェルにいたしまして一ドル八十四セント、トンにいたしまして六十八ドル五十一セント、それからマニトバ二号がブッシェルにいたしまして一ドル八十一セント、トンにいたしまして六十七ドル三十五セント、同じく三号がブッシェルにいたしまして一ドル七十一セント、トンにいたしまして六十三ドル五十一セント、四号がブッシェルにいたしまして一ドル六〇セント、トンにいたしまして五十九ドル六十七セントとなっております。それからオーストラリアのFAQというオーストラリア特有のスタンダードでございますが、これがブッシェルにいたしまして一ドル五十一セント、トンにいたしまして五十五ドル三十セント、ソビエトの小麦ブッシェルにいたしまして一ドル七十一セント、トンにいたしまして六十三ドルということになっております。
  15. 松本七郎

    松本(七)委員 マニトバ・ノーザン一号を基準価格にとった理由は、どういうところにあるのですか。
  16. 牛場信彦

    牛場政府委員 これは品質から申しましても一番いいということになっておりますし、また格づけの際に一番確かなものであるということで基準にとったわけでございます。
  17. 松本七郎

    松本(七)委員 日本小麦生産高輸入量について伺いたい。
  18. 須賀賢二

    須賀政府委員 最近の実績で申しますと、小麦生産が三十三年産では百二十八万一千トン、三十四年産は百四十一万六千トンという状況になっております。輸入数量につきましては、最近は大体二百二十万トン程度推移をいたしておりまして、三十一年度が二百二十一万トン、三十二年度が二百三十七万トン、三十三年度は二百二十六万トン程度数量になっております。
  19. 松本七郎

    松本(七)委員 その相手国協定による内訳はどういうことになっておりますか。
  20. 牛場信彦

    牛場政府委員 最近三年間のことを申し上げます。昭和三十一年度におきましては、アメリカからは協定でもって五十八万八千トン、非協定で七十三万二千トンカナダからは協定で四十三万七千トン、非協定で四十五万七千トンオーストラリアからは非協定で七万七千トンアルゼンチンから非協定で三千トン、合わせますと協定が百二万五千トン、非協定で百二十六万九千トン昭和三十二年度がアメリカから協定で五十六万二千トン、非協定で七十四万二千トンカナダからは協定で三十五万九千トン、非協定で六十二万二千トンオーストラリアからは協定で八万四千トン、非協定で八万三千トン、合計いたしますと協定の分が百万五千トン、非協定の分が百四十四万七千トン昭和三十三年度がアメリカから協定で四十八万六千トン、非協定で四十七万八千トンカナダからは協定で四十万七千トン、非協定で七十五万八千トンオーストラリアからは協定で五万八千トン、非協定で十五万九千トン、合計いたしますと協定の分が九十五万一千トン、非協定の分が百三十九万八千トンであります。そのうち非加盟輸出国からは昭和三十三年度三千トン買っておるだけでございます。
  21. 松本七郎

    松本(七)委員 この機会食糧庁長官にお伺いしておきたいのですが、日本穀物生産の将来の見通しはどういうふうに立てておられますか。人口増加あるいは耕地の減少という観点から……。
  22. 須賀賢二

    須賀政府委員 米と麦とを大きく分けまして、それぞれの傾向につきまして簡単に申し上げたいと思います。  米につきましては、大体ことしの生産高は、便宜石数で申し上げますと、八千二百五十万石程度になっておるかと思います。これは大体平年作を七%くらい上回っておることになっておるわけでございます。最近は比較的高い生産水準が続いておりまするので、平年作等見方もだいぶ変わってきておるわけでありますが、米の今後の見通しといたしましては、土地改良あるいは新しい技術等も相当広く浸透して参っておりますので、今後ある程度の年率をもちまして生産増加していくと考えております。米の方は、大体人口増加となお所得の伸び等によりまして若干の追加需要がございますので、それらと見合いましてほぼ見合った程度生産がここ数年の間伸びていくのではないかという見方をしておるわけであります。  それから小麦と大裸につきましては、見通しの立て方が、実は米ほど簡単ではないのでございますが、大体の傾向といたしましては、最近の傾向等を見ますと、小麦につきましては裏作関係もありますので、面積は多少減って参っておるのでございますが、その後反収等もある程度微増いたしておるような面もございまして、小麦については大体現在の生産量をしばらくの間横ばいくらいのところで参るのではないか。これは実勢を申し上げておるわけでございまして、今後の農林省指導方針等によりましては若干またウェートも変わるわけであります。実勢といたしましては若干小麦横ばいないし微増くらいのところで参るのではないか。それから大裸は、最近の傾向といたしまして、裸麦は若干減少する傾向があるようでございます。大麦は、内地大麦需要が最近消費性向等関係で多少変わっておりまして、米が増産されるに従いまして大麦消費が若干減って参るというような傾向がありますので、ここ数年の動きをなお見ませんとはっきりとした見通しは立てかねますが、今のところは大体横ばいないし多少大麦の方は減るかもしれないというような見通しを持っておる次第でございます。
  23. 松本七郎

    松本(七)委員 最近の田畑の耕地面積の趨勢はどういうふうになっておりますか。
  24. 須賀賢二

    須賀政府委員 最近の三年間の傾向を申し上げますが、米は昭和三十二年が三百二十六万五千町歩、三十三年が三百二十八万町歩、三十四年が三百三十一万六千町歩でございます。それから小麦は、三十二年が六十二万三千町歩、三十三年が六十万四千町歩、三十四年が六十万六千町歩でございます。それから大麦について申し上げますと、三十二年が四十一万九千町歩、三十三年が四十二万三千町歩、三十四年が四十二万八千町歩、それから裸麦は三十二年が五十二万二千町歩、三十三年が五十万一千町歩、三十四年は四十七万六千町歩、そういう傾向になっております。
  25. 松本七郎

    松本(七)委員 農林当局としては、この小麦の今の国際的な生産高から見て、それから日本小麦品質改良生産増強という面から見て、これがかなりの圧迫になっているという見方をされているでしょうか。
  26. 須賀賢二

    須賀政府委員 戦後の食糧構造といたしましては、あらためて私から申し上げるまでもございませんが、小麦につきましては相当大量のものを入れましてまかなって参っているわけでございます。われわれといたしましても、もちろん小麦日本農家作物といたしましては重要な裏作作物であり、また収入源でもありますので、できる限りその作付が確保されますように価格政策あるいは作付指導面についても進めて参っておるのでございまして、輸入小麦との関係におきまして、特に国内小麦生産を圧迫いたしているというふうには考えておらないわけでございます。実際のやり方といたしましても、すでに御承知のように国内麦輸入麦との関係は安全に価格の面でも遮断をして操作いたしておりますし、現実国内小麦につきましては逆さやの関係になっているわけでございます。政府で高く買って安く売るというような政策をとっているような次第でございます。
  27. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると農林当局としてもこの協定はむしろ積極的に賛成であり、これの必要性を認めておられるのでしょうか。
  28. 須賀賢二

    須賀政府委員 今回の協定を結びます際の考え方といたしましても、従来の協定有効期間等の実際の推移を見ますと、現実には最高価格最低価格の域をはみ出したことはなかったわけでございます。また今回の場合においてもよほどのことがない限りはさようなことはないのではないかと思うわけでございますが、やはりこういう大きな国際的な小麦価格対策としてとられている措置でございますので、農林省といたしましても従来から加入をいたしておりまするこの協定には、やはり加入をしていった方がいいのじゃないかという考え方をとった次第でございます。
  29. 小澤佐重喜

  30. 岩本信行

    岩本委員 麦類が各農協倉庫に保管されて何としてもはけない、使ってくれないので困っておるというのが真相だが、これはどういう関係になっておりますか。横浜のあなたのところの各府県にある支所みたいなところですが、倉庫を新たに急造して、そこへ無理に押し込めておくというようなことで保管を命ぜられている。農協等ではける方法を交渉してくれというので僕らも行ったことがあるのです。しかしどうにも手がないというのが現状のようだが、そういう場合に小麦を入れなければならぬかということ——小麦ばかりじゃない、大麦裸麦というのがありますが、その間の事情はどういうことになっていますか。
  31. 須賀賢二

    須賀政府委員 小麦輸入につきましては、これは申し上げるまでもないことでございますが、やはり国内政府集荷をいたしますいわゆる国内供給力との見合いにおきまして、実際の輸入量をきめておるわけです。国内集荷量と無関係輸入数量をきめるということは、もちろんございません。国内集荷量と実際の需要見通しと、それと輸入量と三つを突き合わせました需給推算を立てまして、現実輸入する量をきめてやっておるわけでございます。  ただいま農協倉庫に非常にたくさん麦がたまっておるという御指摘でございますが、これは今年度の場合特に顕著な現象が出たのであります。ことしは、春、麦の収穫期天候等がよかった関係もありまして、ことしの麦は豊作であったわけであります。それともう一つはここ数年来、特に去年ことしあたり傾向といたしまして、先ほど申し上げましたような価格関係から、農家政府に麦を売ります割合等が順次増加をして参りまして、麦の集荷量が当初われわれが見込みましたものよりも相当ふえて参ったわけでございます。そのような結果、現実倉庫調達等について、地区によりまして若干計画と見込み違いをしたというようなところがあるわけでございます。そういうところについて、ただいま御指摘のような事例が出ておるのではないかと考えております。  その後の操作は、できるだけそういうところから売却に努めますと同時に、倉庫調整をいたしまして、できる限り農協等に迷惑をかけないように準備をしてやっていきたいと思っております。
  32. 岩本信行

    岩本委員 豊作関係でとおっしゃいますが、多少豊作の影響もあろうと思うけれども、そういうことだけじゃないように私どもには思えるのですが、それはしばらくおきまして、しからば今の調整というのは、困り切っているのをどういうふうにはけさせて、いつごろまでにはその調整を終わる見込みなのか、それをちょっとお聞きしたい。
  33. 須賀賢二

    須賀政府委員 内地麦につきましては、先ほど申し上げましたように、今年の場合当初百二十六万トン程度集荷見込みをいたしておったのでございますが、それが結果は百四十九万トン程度集荷になる見込みでございまして、二十数万トンも当初の見込みよりふえて参っておるわけでございます。従いまして、これをさばいていくのには若干の時間がかかると思いますが、われわれの目標といたしましては、できる限り調整に努めることはもちろんでございますが、来年の新麦の出回り等をいずれ控えて参るわけでございますから、それらとも見合いましてできる限り倉庫事情調整には努めたいと思っております。
  34. 岩本信行

    岩本委員 そこで聞いているのです。その若干の日というのはどのくらいかということを聞きたい。現に困り切っているから、全国的の調整でしょうけれども、どういう調整をされるのか、来年の麦が入るまでには一切処理できる、こういうのか、あるいは来月あたりはつく、こういうのか。その若干というのはどういう若干なんです。それを一つ……。
  35. 須賀賢二

    須賀政府委員 それは地区によって状況が非常に違っておりますので、ただいま御指摘をいただいておりまする倉庫事情を具体的に調べてみませんと、その倉庫に現に入庫いたしておりまする麦がいつごろ搬出できるかということをここではっきりとお答えいたしかねますが、具体的に倉庫事情等をお教えいただきますならば、私の方で現地機関を通じまして早急に取り調べたいと思います。
  36. 岩本信行

    岩本委員 横浜支所がおありになるようですが、大体神奈川県だろうと思うのですが、その支所……。その点について一つ注目してお調べを願いたい。
  37. 須賀賢二

    須賀政府委員 承知いたしました。
  38. 松本七郎

    松本(七)委員 先ほどちょっと長官からお話に出たのですが、国内産の小麦輸入小麦との価格差調整をどういうふうにしてなさるのか、伺いたい。
  39. 須賀賢二

    須賀政府委員 内麦と輸入小麦との価格のきめ方は、これはそれぞれ独立にきめておるわけでございまして、輸入小麦につきましては輸入原価輸入小麦としての価格の評価をいたしまして、それを売却価格としておるわけであります。従って現実操作では輸入小麦につきましては食糧管理特別会計としては若干の利益金を出しておる。それから内麦につきましては、内地小麦輸入小麦との品質関係等もにらみまして、内地小麦としての価格を別に設定いたしておるわけであります。こちらの方では買い入れ価格よりも売却価格の方が下回りまして、内地麦勘定といたしましては若干の損失が出るというような形において、操作をいたしておるわけでございます。
  40. 松本七郎

    松本(七)委員 内麦が比較的割高になっておるというのは、どういうところに原因があるように見ておられましようか。
  41. 須賀賢二

    須賀政府委員 内麦につきましては、現在の食糧管理法の麦の値段をきめる根拠になりまする規定が、非常に厳格に規定をされておるわけでございます。これは食管法の第四条ノ二に「政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ麦ヲ其ノ生産者ハ其生産者ヨリ委託受ケタル者売渡申込ニ応ジテ制限ニ買入ルルコトヲ要ス」、現在麦は政府がきめました値段によりまして、農家から買い入れの申し込みがあります場合は、無制限にこれを政府において買い入れなければならないことになっておるわけでございます。その場合に価格の方は第四条ノ二の二項に「前項ノ場合ニ於ケル政府ノ買入ノ価格ハ政令ノ定ムル所ニ依リ昭和二十五年産及昭和二十六年産ノ麦ノ政府ノ買入ノ価格平均シテ得タル額ニ農業パリティ指数を乗ジテ得タル額ヲ下ラザルモノトシ、其ノ額ヲ基準トシテ」云々というふうに規定してございまして、現在麦の政府買い入れ価格をきめます基準は、昭和二十五年産と二十六年産政府買い入れ価格平均額に対しまして、「農業パリティ指数を乗ジテ得タル額ヲ下ラザルモノトシ」というふうに、ここで非常に厳密に規定してあるわけでございます。それで麦の政府買い入れ価格は、実際には農業パリティ指数動きによってその程度年々上がって参る。パリティ指数は年によりましては多少下がった年もございますが、傾向といたしましては若干ずつ上がっておりますので、二十五、六年の基準に対しまして若干ずつ、パリティ指数動きに応じまして上がって参っておるわけでございます。これはこれより下がることはできない規定に現在なっておりまして、こういう関係から麦の買い入れ価格というものは非常に窮屈にできておるわけです。それを現行制度によりましてその通り実行いたしておりますので、近年逆ざやの関係がやや拡大をして参ったような結果になっておるわけであります。
  42. 松本七郎

    松本(七)委員 最近耕地が住宅あるいは工業用地に転換される傾向が非常に強い。こういう傾向に対して特に何か規制する方法でも考えておられるのか。あるいはこのまま放置するおつもりか。
  43. 須賀賢二

    須賀政府委員 これは実は私どもの方の所管でございませんで、農地局で扱っておる問題でございますが、御指摘のように耕地が工場用地あるいは宅地等に転用されます傾向が最近非常に強いわけでございます。これに対しましては昨年から今年にかけまして農地局の方で転用基準の再検討をいたしますために特に協議会を設けて、今後の運用方針を検討いたしたわけでございます。できる限りそういう良田が転用されないような新しい基準を作って指導いたしておるようでございますが、詳細は別の機会に農地局からお話し申し上げるような機会を与えていただきたいと思います。
  44. 松本七郎

    松本(七)委員 これは担当者がおられなければ仕方がないですが……。  それではもう一つ、今度は小麦粉の需要の面に関係するのですが、学校の給食は粉食奨励というあれもあってかなり実行されてはおるけれども、これは文部省だけにまかせておったのでは実際に食生活の改善はなかなかできないと私は思う。私ども方々回ってみても、なかなか不平不満が多い。名ばかりのパン食であって、子供も喜ばなければ学校もこれにはこまかい計算ばかり手間取って迷惑千万だというような実情なんです。文部省がはたしてどれだけそういう実情をつかんでおるか、疑いなきを得ない。やはり直接の食糧そのものの担当省であるところの農林省あたりが、そういう需要の面、消費の面についても実情把握にもっと努力される必要があるのではないかと思うのですが、学校の給食等についてもある程度そういう実情把握をやっておられるのかどうか。文部省との連絡その他給食についての検討は、文部省にまかせないで農林省自身がもう少し積極的にやってもらいたいと思うのですが、どうでしょうか。
  45. 須賀賢二

    須賀政府委員 学童給食につきましては、これは私どもの方でも十分関心を持って進めるべきはもちろんでございますが、実際問題といたしましては、これは文部省の方で御指導願っておるわけでございます。私の方では原料供給の面につきまして必要なるお世話をいたしておるわけであります。ただ御指摘の点もありますので、私の方でもさらに立ち入ってこの問題は十分考えてみたいと思っております。
  46. 松本七郎

    松本(七)委員 今度の協定日本買い入れる予想量はどのくらいになっておりましょうか。
  47. 牛場信彦

    牛場政府委員 この協定では基準数量というのがまずきまるわけでございます。このきめ方が十四条に出ておりまして「協定の最初の収穫年度についてはその直前の五収穫年度の最初の四収穫年度について、その後の各収穫年度についてはその直前の六収穫年度の最初の五収穫年度について」きめるということになっております。それでその数量を具体的に計算いたしてみますと、大体百九十万五千トンほどになるのであります。そのうちの五〇%がこの協定のもとにおける買付ということになるわけであります。
  48. 松本七郎

    松本(七)委員 五〇%に規定した理由はどこにあるのでしょうか。
  49. 牛場信彦

    牛場政府委員 御承知の通り旧協定におきましては百万トンという数量を保証しておったのでありますが、今回は日本事情から申しましてできるだけ保証数量を低く押えたいということで——しかしながら他方におきまして、他の主要輸入国は相当高い比率を受諾しております。たとえばイギリスが八〇%、それからオランダが七五%、ドイツが七〇%、ベルギーが八〇%というふうに非常に高い数量を受諾いたしておりまして、日本に対してもできるだけ高い比率を受諾してくれという要請が強かったわけでございます。そのいろいろな情勢を考慮いたしまして五〇%ということで各国の了承を得た次第であります。五〇%ということになりますれば、旧協定におきます百万トンと大体見合ったくらいの数量になります。それからまた今後の日本小麦輸入需要の変動に応じまして、それが減ればこの買付保証の方の数量も減るということになりますので、ほぼ妥当なところではないかと考えておる次第であります。
  50. 松本七郎

    松本(七)委員 前の協定には輸出国の売り渡し保証量の規定があったのですが、今度はこれがなくなっておるのはどういうわけでしょう
  51. 牛場信彦

    牛場政府委員 今回の規定におきましては、輸出国の義務がやや形が変わりまして、一方におきましては最高基準価格が二ドルから一ドル九十に下げられました。その間十セント下がったわけでありますが、そのかわり輸出国の義務といたしましては、その輸出国の輸出します小麦がこの最高基準価格を上回るという状態が生じましたときに理事会が最高価格宣言というものを行ないまして、その最高価格宣言が行なわれております間におきましては、輸出国はあらかじめきまっております輸入国に対して、持っております義務だけのものを売らなければならないということになっておるわけであります。  それからまたその最高価格に至りません間におきましては「輸出国は、相互に連携して、輸入国の商業的買入の要求を満たすに十分な数量小麦を、当該収穫年度中に価格帯内の価格輸入国の買入に供することを約束する。」ということがきめられておりまして、従いまして、保証数量はなくなりましたけれども、実際におきましては輸出国の義務はこの協定におけると同じようにはっきりいたしておるということが申し上げられると思います。
  52. 松本七郎

    松本(七)委員 この協定四条の規定を統制し、監督する機関はどこでしょう。理事会でしょうか。
  53. 牛場信彦

    牛場政府委員 これは理事会の権限になっております。
  54. 松本七郎

    松本(七)委員 それから三十六条七項の「敵対行為の発生によって自国の安全が危くされると認める輸出国又は輸入国は」、この協定から脱退できるというのですが、これはどういう事態を想定しての規定でしょうか。
  55. 牛場信彦

    牛場政府委員 一番はっきりいたしておりますのは、戦争が始まったような場合のことでございます。
  56. 松本七郎

    松本(七)委員 それから非本土地域という規定がありますね。これは前の協定と同じだと思いますが、前協定でこれを適用した国あるいは地域がありましたら、一つ指摘してもらいたいと思います。
  57. 牛場信彦

    牛場政府委員 旧協定におきましては、お示しの三十七条の一項の規定の宣言をした例はないと存じます。今度の協定におきましてはオランダがいたしておりまして、「オランダ、スリナム及びオランダ領アンティール間の公法の下における平等にかんがみ、この協定において『非本土』とは、オランダ王国に関する限り、本来の意味に使用せず、『非ヨーロッパ』を意味するものとする。」ということを申しております。それが唯一の例であります。
  58. 松本七郎

    松本(七)委員 前の協定では「その政府外交関係について責任を負う海外領域」とあったのが、今度は「その政府が国際関係について責任を負う非本土地域」こう変わっているのですが、これは何か理由があって変えたのでしょうか。
  59. 牛場信彦

    牛場政府委員 海外領域と申しますと間に海がはさまっているというような意味を持ちまして表現がやや不正確になると思われます。非本土地域といいますれば、本国以外の土地ということがはっきりといたしますので、そういうふうに変えられたものと思っております。
  60. 戸叶里子

    戸叶委員 松本委員から大体御質問がございましたので、私は一、二点だけ伺いたいと思います。  先ほどの御答弁を伺っておりまして、各日本への輸入国からどのくらい輸入をしておるかということがわかったのですけれども、輸入価格を伺いたいと思います。
  61. 牛場信彦

    牛場政府委員 これは本会計年度の上期、つまり四月から九月までの外国産小麦の食糧庁買い入れ価格平均を申し上げます。アメリカにつきましては、軟質小麦トン当たりにしまして六十八ドル七十八ないし七十一ドル二十五、これはブッシェルにいたしますと一ドル八十七ないし一ドル九十四ということになります。同じくアメリカの準硬質小麦、これはいずれも包装持込みでありまして、裸よりはちょっと高くなっております。買い入れ価格トン当たり六十九ドル七十ないし七十六ドル六十六、ブッシェルにいたしまして一ドル九十ないし二ドル〇九。同じくアメリカ硬質小麦トン当たり七十七ドル三十九ないし七十六ドル七十二、ブッシェルにいたしまして二ドル〇九ないし二ドル十一ということでございます。次にカナダ産の小麦であります。これがトン当たり七十七ドル十一ないし七十八ドル二十六、ブッシェルにいたしまして二ドル十ないし二ドル十一。その次オーストラリア小麦、これが軟質小麦につきましては、トン当たり六十五ドル十一ないし六十七ドル七十五、ブッシェルにいたしまして一ドル七十七ないし一ドル八十四。同じく準硬質小麦七十二ドル十六ないし七十二ドル十九、ブッシェルにいたしまして一ドル九十六ということでございます。
  62. 戸叶里子

    戸叶委員 今アメリカカナダを伺って、まだあと日本輸入しておる国の全部のトン当たりの価格というものは伺っておらないわけですけれども、これは参考のために、今おっしゃったのも含めましてあとで資料にして出していただきたいと思うのですが、委員長、そのことをお願いしておきます。
  63. 小澤佐重喜

    小澤委員長 わかっていますね。
  64. 牛場信彦

    牛場政府委員 承知しました。
  65. 戸叶里子

    戸叶委員 それからイギリスが今まで小麦協定には入らなかったのですが、今度入ったわけです。その入った理由というのは、値段が安くなったからだと思いますが、イギリスがこれまでカナダ、豪州から買っていたために小麦協定に入らなかったのが、今度値段が下がったので入ったというそういうことによってカナダなり豪州とイギリスとの関係がどうなるかということを伺っておきたいと思います。
  66. 牛場信彦

    牛場政府委員 イギリスは一九四九年協定には参加しておったのでありますが、五三年の協定更新の際に、主として値段の問題につきましてイギリスが最高価格二ドルを主張いたしましたに対しまして、アメリカが二ドル二十を主張して、結局それが二ドル〇五にきまりました。その値段現実的なものでないということがおもな理由でありましたが、それで協定には参加いたさなかった次第であります。しかしながら、これはカナダ、豪州から買いたいというわけでは実はなかったのでありまして、イギリスの全く自国本位の考え方だったわけであります。カナダ、豪州はむしろイギリスには小麦協定にとどまってもらいたいという希望を強く出しておった次第でございます。今回イギリスがこの協定に参加いたしますようになりましたのも、昨年の九月カナダのモントリオールで開かれた英連邦の通商経済会議におきまして、カナダオーストラリアから特に強くイギリスが小麦協定に入ってくれという要求がございまして、それが大きな力となっておったと思われるのであります。今回の協定におきましては、値段最高価格が下がりまして一ドル九十になりましたし、また最低価格を割りましたときにおきまする輸入国の義務がよほど軽減されまして、またそのほか脱退の規定もこの前に比べて詳細にきめられたというようなことがございますので、イギリスも参加したと思われるのであります。
  67. 戸叶里子

    戸叶委員 他の質問松本委員から質問されておりますので、私はけっこうでございます。
  68. 小澤佐重喜

    小澤委員長 本件について他に質疑はありませんか。     〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
  69. 小澤佐重喜

    小澤委員長 質疑がなければ、これにて本件に対する質疑は終局いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 小澤佐重喜

    小澤委員長 御異議なしと認めます。よって、本件に対する質疑は終局いたしました。  本件については別に討論の通告がございませんので、直ちに採決をいたします。千九百五十九年の国際小麦協定締結について承認を求めるの件を承認すべきものと議決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  71. 小澤佐重喜

    小澤委員長 起立多数。よって本件は承認すべきものと決しました。  なお本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 小澤佐重喜

    小澤委員長 御異議がなければさように取り計らいます。  本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十一分散会      ————◇—————