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森島委員 私が申し上げておるのは、それならば初めから
予算委員会でそういう御態度をおとりになればいい。はっきりお約束しておきながら、今になって出せぬというのでは、私は
ベトナム賠償に関する
審議をこれ以上続けることはできないと思う。速記録にはっきり載っておる。(「これじゃ
質問なんかできない、やめよう」と呼び、その他発言する者、離席する者多し)そこで私はもう一度、誤解があると困りますから、
岡田君の
質問と
藤山さんのこれに対する
答弁を、速記録に基づいて読み上げますから、この点は間違いのないようにやって下さい。長いですから省略しておきますけれども、
岡田君は「御
承知のようにずいぶん
戦争損害と
賠償額との間に疑惑、いろいろな話が出て、
政府はおそらく今度の
ベトナム賠償を機会に
各国に与えた
戦争損害というものを
調査していると思うのですが、」これは私注釈を加えますが、今になって
フィリピンだとかほかの国の
損害を
調査するというようなことは、それは
政府として怠慢といわなければならぬ。これは
政府がやったとは言いませんが、こういうふうな態度じゃ
いかぬと思う。私は、当時においてしっかりした
資料を持っておらなければならぬ、こう思うのですが……。(「今聞くのはおかしいじゃな
いか」と呼ぶ者あり)それだから私は今注釈を加えておるのだ。「この
戦争損害というものを
出してもらわない限りにおいて
——われわれが
国会で
審議をする場合においても、
ベトナムの
賠償がはたして妥当なものであるかどうかということは、
ベトナムに与えた戦争の
損害、これに比べて妥当かどうか。それから
インドネシアあるいは
ビルマ、
フィリピン、これらに与えた
戦争損害と比べて
ベトナムの
賠償が妥当であるかどうか。こういう
資料がない限りにおいてわれわれは
審議はできないのですが、これは当然第二次世界戦争中に
日本の国が与えた
各国別の戦争の
損害というものは
外務省にあるはずでありますけれども、これを
予算委員会に御
提出を願いたい。そうでなければわれわれは
審議を進めるわけには
いかない。なぜならば、血税、二百億円の税金をわれわれが出すのが妥当であるかどうかということを判断するのですから、
予算委員会に御
提出を願いたい。この点は
いかがでございますか。」こう
岡田君が聞いております。それに対して、これは間違うといけませんから、
藤山さんの
答弁を全部読みましょう。「
戦争損害につきましては、
各国それぞれ違っておりまして、物的あるいは精神的、人的
損害というようないろいろな種類の
損害があるわけでありまして、これらの問題につきましては
調査が非常に困難であることむろんであります。物的
損害にいたしましても、はたしてどの
程度の
損害があったのか。また人的
損害についても、その人数等についても現実には
調査が非常に困難でございます。また精神的苦痛というものに対する何と申しますか、推計というものも非常に困難な点がございます。しかしむろんそういう困難の中においても、われわれといたしましても、できるだけ先方側の
要求も聞きながら、こちらの乏しい
材料も集めながらも、そういう点について一応の
調査はいたしておるわけであります。」
調査をやっておると、これは認めておる。「しかしそれが正確なものだということにはとうてい
いかないことは
岡田議員も御了承いただけることだと思います。従って何かそういう状態の数字を出せということならば出すことができるかと思いますけれども、正確な数字を出すということは非常に困難なことだということは御了承願いたいと思います。」、この点において困難ではあるし、それから正確な数字は出せぬかもしれぬけれども、一応の
調査はしているから
資料は出すということをはっきりお約束になっておる。それから
岡田君はそれに対して、「適当であるかどうかということは、これはわれわれとしても判断することですから。その
資料はお
出しになるのですか。お
出しになってもいいというような御
意見ですが、お
出しいただけますか。」と、重ねて
質問をいたしておる。これに対して
藤山外務大臣は、「今、
ベトナムの
関係については、出すように先般も御
要求がありましたので、出すように準備を進めております。」、準備はしておる。
日本側が外国に与えた
損害に対して、準備を進めている。出せるものは出すと言っている。出すように準備をしている。「また他の国について必要があれば、御
要求に従ってできる限りのことはいたしてみたいと思います。」こう言っている。これは出すということを前提としている。あるものを出さぬということではない。(「全然
出していないじゃな
いか」と呼ぶ者あり)それから私たちは
資料として正確なものを
要求している。これに次いで
岡田君はさらに
質問をしている。「それではべトナムの
戦争損害を初め、
各国の
戦争損害についての
調査はできるだけ早くお
出しになる、こういうように了解してよろしゅうございますか。」、と問いましたのに対して
藤山外務大臣は、「できるだけ早く出すことにいたします。」、こう明快に御
答弁になっておる。それで今まで出すのがおくれておるから、早く
出してくれということなんです。私はここで一括して申しますと、不完全ではありますが、外国から出たものはここで
資料としてお
出しになっておる。これは
資料としてきわめて不完全である。しかし同時に
岡田君が主眼点を置いたのは、
日本側の
資料をお
出し下さいということです。これに対して
藤山さんは、できるだけは出すということをきょう御
答弁になりましたけれども、この際には、なるべく早く出す、何ら条件はつけておらぬのです。その
資料をお
出し願いたい。もう
一つ加えて、
日本側が
いかに査定したかということは、今それは出せぬということでございますが、これは
日本側が
いかに査定したかということは、秘密会ででも御説明を願いたい。これに対して
外務大臣から明確なる
答弁を伺いたいと思います。