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1959-11-24 第33回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会台風科学対策に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和三十四年十一月十三日(金曜 日)委員会において設置することに決した。 十一月十三日  本小委員委員長指名で次の通り選任された。       秋田 大助君    小平 久雄君       西村 英一君    平野 三郎君       前田 正男君    村瀬 宣親君       岡  良一君    岡本 隆一君       堂森 芳夫君    松前 重義君       内海  清君 同日  村瀬宣親君が委員長指名で小委員長に選任さ  れた。 ――――――――――――――――――――― 昭和三十四年十一月二十四日(火曜日)     午前十時五十九分開議  出席小委員   小委員長 村瀬 宣親君       西村 英一君    平野 三郎君       岡  良一君    堂森 芳夫君       内海  清君  出席国務大臣         国 務 大 臣 中曽根康弘君  出席政府委員         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   原田  久君  小委員外出席者         総理府技官         (科学技術庁計         画局長)    久田 太郎君         総理府技官         (科学技術庁計         画局科学調査         官)      井上 赳夫君         総理府技官         (科学技術庁資         源局長)    黒澤 俊一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  台風科学対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 村瀬宣親

    村瀬委員長 これより台風科学対策に関する小委員会を開会いたします。  台風科学対策に関する件について調査を進めます。  まず、台風科学対策に関する件について、政府より説明を聴取いたします。久田計画局長
  3. 久田太郎

    久田説明員 御説明申し上げます。  今般の伊勢湾台風にかんがみまして、科学技術庁長官といたしましては、台風科学対策樹立緊要性並び補正予算提出の時期等を考えまして、とりあえず、この方面学識経験者の参集を求めましてこのたびの伊勢湾台風災害経験から見ました現状の分析並びにその問題点の摘出など、適宜の処置について検討を進めて参りました。  まず、去る九月三十日に第一回の会合を開きまして、それ以後、前後三回にわたって会議を開催しまして、気象観測施設整備、特に台風の生態の研究予報警報等のための洋上観測態勢整備国際共同観測の実現、国家的協力態勢確立、あるいはまた、高潮並びに波浪の数値予報の問題、及び台風研究機関強化並びに警報伝達方式とその態勢整備とか訓練、そういった問題につきまして検討を加えますとともに、具体的な予算案についても、この会議検討を続けてきたのであります。そういたしまして、すでに若干の検討を加えました事項以外にも吹送流の問題、河川洪水とか山津波など、台風に伴ういろいろな現象の究明、その他、地盤沈下影響とか、これに対する堤防設計基準確立臨海工業地帯総合計画、そういった幾多の問題が存在しておりまして、これらを含めた総合的な災害対策について検討がなされなければならないということがわかったのであります。  以上、学識経験者による臨機の処置による会議の模様について報告いたしましたが、このようにして実質的な検討を進める一方、臨時台風科学対策委員会というものにつきまして閣議了解を取りつけるとか、あるいは予算措置等に若干の日時を要しましたが、去る十一月十六日に訓令が施行されまして、現在、各省庁の科学技術者研究者委員として発令の手続を進めておりまして、今週中には正式に発令されるものと考えております。従って、この臨時台風科学対策委員会は、今後、さきに申し上げましたような観点に立ちまして、その基本的な対策方針並びに特に緊要を要する科学技術関係の設備、施設などを検討しようとするものでありまして、これらの検討資料を得るために、来月上旬ぐらいに伊勢湾地区調査団を派遣いたしまして、観測通報施設現状高潮に対する地盤沈下影響構造物防災関係水害地形調査とその後の変化、防潮林の効果、そういったいろいろな問題を対象としまして、伊勢湾台風科学技術的に調査解析する方針でございます。  以上、簡単でございますが、今日までの経過並びに今後の計画について御説明申し上げました。
  4. 村瀬宣親

  5. 黒澤俊一

    黒澤説明員 科学技術庁資源局におきましては、科学技術庁計画局長からただいま申し上げましたことに協賛する意味におきまして、従来資源調査会においていろいろ研究して参りました結果をできるだけ利用しやすいような形にしてダイジェストする。それから、なお、ただいま計画局長から申し上げました調査団の派遣につきましては、資源調査会の方の専門委員方々をできるだけそちらの方へ協力するようにということをやっております。  ただいままでに資源調査会におきまして台風関係についていろいろ整備して参りました資料は、過去十二、三年の間に相当の蓄積がございますが、ただ、これが、たとえば、洪水予防でございますとか、あるいは高潮対策でございますとか、あるいは地盤沈下対策でございますとか、いろいろその部面々々で出ておりまして、これを全部まだ一つにまとめまして伊勢湾というところにアプライしたものはございませんが、今回資源調査会の中に、ただいまの臨時台風科学対策委員会とピッチを合わせまして伊勢湾台風災害調査特別委員会というものを設けまして、安芸会長代理がその委員長になりまして、すでに三回ほどの会合を開き、ただいまの実態調査その他の方法につきまして現地の資料を取り寄せたり、また、今後足らない分を検討したりしておりまして、ただいま計画局長から申し上げました通り、おおむね来月上旬を目途といたしまして、その調査計画を進めておる次第でございます。
  6. 村瀬宣親

    村瀬委員長 これにて政府よりの説明は終わりました。
  7. 村瀬宣親

    村瀬委員長 本件につきまして質疑の通告がありますので、この際、これを許します。西村英一君。
  8. 西村英一

    西村(英)小委員 大臣が出席する機会に、また再び質問することにいたしまして、今御説明がありましたことについて、質問といいますか、私の意見も申し述べてみたいと思います。  大体、今までの経験で、台風が起こるたびに一応騒動をいろいろするのです。今度は、特に伊勢湾台風がひどかったものだから、関係各省全部一斉に、たとえば、農林省は農業土木について、建設省は建設土木について、運輸省はまた運輸省立場でいろいろやると思うのです。そこで、今度科学技術庁臨時台風科学対策委員会を作った。そのことはいいのですが、その目的ですね、どういうことをねらいにしておるのか。私は、この委員会が、それ自身で科学的な対策一つずつ取り上げていこうとするのか、あるいは、それよりも官庁関係機構的な問題でいろいろ案を編み出そうとするのか。これは臨時とついておりますから、おそらく当分の間でしょうが、何が主要な目的か、その辺をはっきりしてもらいたいということです。それで、おそらく、今までも台風が起これば抜本的とか、あるいは根本的にとかいうことがいわれてきたのですが、いまだかつて抜本的にやったこともなければ、根本的にやったこともない。というのは、やはり、台風研究をするということになれば、非常に基礎的な問題が重要になってくる。それなくして寄せ集めたものでありますれば、それは世間であまり傾聴に値しないから、だれも耳を傾けないのです。ところが、これを科学的に対策研究するということになれば、その範囲が非常に大きくてその基本になるのは、おそらく気象庁でしょうが、気象庁のみでもいかない。おそらく、全機関あげて行なわなくちゃならないということになるので、この臨時台風科学対策委員会は、現在の政府の持っておる機構をどういうふうに仕組んだら最も研究ができるというような研究態勢を作ろうとするのか、または、そうではなくて、たとえば、大臣が先般も申しましたように、台風事前人工調整をする、人工調整なら調整という一つの問題を取り上げて臨時的に研究しようとするのか、その辺が最もこの委員会の根本問題になってくると思うのです。私は、この委員会がありましても、普通の今までのような行き方でいけば、おそらく、半年もたたず、一年もたたぬうちに雲散霧消するような委員会になってしまうと思う。私に、それではどういう意見があるかといいますれば、私もまとまったことは今考えておりませんが、従来の行き方では、やはり日にちがたつにつれて、台風なんというものは忘れられてしまうということになろうと思うのです。その辺につきまして、この委員会の性格はどういうふうに性格づけるか。これは、おそらく大臣に聞かなければならぬことだろうと思いますが、両局長大臣を補佐する重要な方でございますので、大臣のどういうふうな命令によって、また、あなた方はどういうような考え方によってこの委員会を作り、また、今後この委員会を運用していこうとするのか、その辺、一つ忌憚のないところをお話し下さい。
  9. 久田太郎

    久田説明員 お答え申し上げます。  この臨時台風科学対策委員会が半年も出ないで雲散霧消するであろうというお話がただいまございましたが、三月末までという日限を切って作られたものでございまして、それまでの間に台風に対する科学対策を審議する、そういう建前になっております。それで、今、西村先生から二つの大きなねらいのどちらかという御質問でございますが、これは、かなり本質的な性質に触れるものでございまして、大臣から答弁されるのが適当かとも存じますが、私どもの了解しているところを申し上げますと、台風の総合的な対策機構等を議論するということではなくて、あくまで科学対策でございますので、機構の問題を取り上げるといたしましても、たとえば、台風科学研究機関強化をどういうふうにすべきであるかというような面から、この機構の問題はこの対策委員会で取り上げなければならない重要なテーマ一つであろうと思いますし、すでに今度の補正予算においても、この点が盛り込まれておる次第でございます。  第二点といたしまして、科学技術的な台風対策という問題、これは、もう当然この委員会の大きな使命でありまして、この対策委員会のメンバーとして今考えられております顔ぶれも、各行政機関研究所試験所、あるいは気象庁気象研究所等科学技術者研究者方々でありまして、そういう方々によって台風そのもの科学的な調査研究並びにその災害を防止するための科学技術対策、そういったものがこの委員会検討されることになろうかと思います。以上であります。
  10. 西村英一

    西村(英)小委員 そうすると、これは臨時ですから、三月末日といいますと、結局、きわめて短い期間ということになりますが、三十五年度の予算上の問題で設置したというようなことにも了解されるのですけれども科学技術庁で考えるのは、そういうことではなしに、もう少し――たとえば、ある一点の問題をつかまえてそれを深く研究する、その深く研究するのにはどうしたらいいかということを科学にしぼっていく、たとえば、今度はおそらく、気象庁でも台風研究所といいますか、台風研究室を作るというようなことが問題になると思います。そういうような台風研究所を作る、それからまた、あなたのところの大臣が言われるように、その台風研究所を作るねらいは、台風に対する人工調整をやる、つまり、事前処理をやるというようなことになりますが、そういうような特定なことを研究する恒久的な機関をどうするか、これは委員会でありますから、基礎的な研究というものができないと思うのです。おそらく、寄り合って相談するだけで、基礎的研究はできないから、委員会委員会でいいにしても、基礎的研究をするにはどうしたらいいか、また、基礎的研究をする題目は何であるか、こういうことを取り上げてやらないと、ただばく然と台風といっても、それは発生から防災、それから気候、いろいろな問題を科学技術庁のあの小人数で取り上げてやろうといっても、これはおそらく所期の目的は達せられないと思う。だから、そう間口を広げてやっても、一時は、伊勢湾台風なら伊勢湾台風といわれておる間はそれは続くかもしれませんけれども、おそらく、それはすぐに忘れられることです。五年あるいは十年に一ぺんああいう台風がくるかこないかわからないのに、そうしょっちゅう関心を持てるものではない。そこで、今度の台風を契機として、今までぬかっておって、特別に取り上げなければならぬ、あるいは科学技術の振興上、ここはやらなければならぬという重要な点をさして、それに対する研究体制をどうするか、あるいは、人的なあれをどうするかというような、しぼった研究科学技術庁でやられたらどうかと私は思うのですが、どうですか。
  11. 久田太郎

    久田説明員 ただいまの西村先生の御意見、ごもっともでございます。それで、臨時台風科学対策委員会としましては、先ほど来御説明をいたしましたような事柄を取り扱いまして、一応三月末に任務を終わることになりますが、この問題は、科学技術的にも非常に大きな問題を含んでおりまして、今度私ども事務局をいたしております科学技術会議におきまして、特別指定研究として台風防災科学技術というものを取り上げまして、これを強力に、国家的な重要研究として推進するという案を作り、近く科学技術会議の本会議にかける予定になっておりますが、おそらく、こういう措置によりまして、この問題が根本的に、国家的な重要研究テーマとして取り上げられ、また、その研究が推進されることになろうかと考えております。
  12. 西村英一

    西村(英)小委員 委員会ができたことはけっこうでございますから、その運営に気をつけていただきたいことと、ねらいをはっきりきめてもらいたい。そうしなければ、従来の、台風が起こるたびに考えられたものと同じことになる。  それから、もう一つは、今度の伊勢湾台風は非常に大きくて、あるいは高潮研究をしなければならぬ、あるいは地盤沈下がどうだというようなことをいろいろいわれておりますから、おそらく、関係各省はおのおのの機関を動員してやると思うのです。そこで、科学技術庁として、あなた方として問題なところは、これは科学技術庁で全部の研究ができるものではありませんが、そういうような、各省で行なわれた研究成果をまとめるということをぜひやらなければいかぬ。せっかく各省でやる成果をそれぞれ生かす。今度は、おそらくてんでんばらばらにやると思うのです。そして各省が勝手なことを言い出すと私は思うのですが、その場合に、科学技術庁の役目として、総合調整ということがそこで行なわれなければならぬと思いますから、その各科学者技術者研究成果をよくまとめる、それを長きにわたってまとめる、こういうことを科学技術庁はやらなければならぬと思います。その点は、別に答弁は要りませんが、一つ十分気をつけていただきたいと思います。  なお、ほかの委員質問があるようですし、私は、質問よりも自分の意見を申し述べたことの方が多かったのですが、運営につきまして一つ十分気をつけていただきたい。なお、大臣が見えましたときに、もう少し聞きたいこともありますが、私の質問はこれで終わりたいと思います。
  13. 村瀬宣親

  14. 堂森芳夫

    堂森委員 ただいま両局長から臨時台風科学対策委員会ですか、これの設置に関して御説明がありましたが、この対策委員会は三月で終わるというわけです。これは三月で終わるは終わるが、将来、これをどういうような形のものにしていくのか、作った結果、委員会なり何なりにして、実際の行政にどのような影響を及ぼしていくのか、科学技術庁としてそういうような構想があると思うのですが、御答弁を願いたい、こう思います。
  15. 久田太郎

    久田説明員 先ほど来若干御説明いたしましたように、この委員会におきまして台風科学技術研究をどういうふうに進めていくか、あるいは、その研究内容はどういうものであるのか、そういった点を十分学識経験者によって御検討願いまして、その結果を各行政官庁に移しまして、これを今後強力に進めていきたい。科学技術庁といたしましては、これを総合調整する立場から、今後とも、これら各省連絡調整が十分適宜行なわれますように注意して参りたい、かように考えております。
  16. 村瀬宣親

    村瀬委員長 中曽根大臣は、やがて当委員会に出席されるそうであります。
  17. 堂森芳夫

    堂森委員 三月までで委員会使命は完全に終わる、こういうふうに考えられますか。私は考えられぬと思いますが、いかがですか。
  18. 久田太郎

    久田説明員 ただいまのところ、一応三月でもって終わる予定にいたしております。
  19. 堂森芳夫

    堂森委員 これは水かけ論になりますが、しかし、たとえば気象庁調査によりますと、何でも、ただいま台風期に入っているそうです。三百年間の統計調査か何かやった結果によると、ただいま八十年くらいの週期台風がくる、そして、今後まだ十年間ぐらいは台風がくる、それはいつくるかわかりませんが、何か台風が激しくやってくる週期に当たっておる、こういう報告をしておるわけです。そういうような報告気象庁にあるにかかわらず、政府全体としては何も台風に対する対策をやっていない。また、地盤沈下というようなことは、もう絶えずいろいろな機関が言っていると思うのです。たとえば、私この間調べたのですが、名古屋の行政監察局ですか、地盤沈下がはなはだしいから、このままほうっておいてはいかぬ、こういう報告も、ことしの八月ですか、しております。また知多半島方面、愛知県方面では高潮がきて、そうして非常な災害がくることは予想できるということも報告しておるのです。しかし、これに対して政府は何もやらなかったということもはっきり言えるわけであります。私、思うのですが、こういう委員会を作って、そして各行政庁に対して、参謀本部のような強い姿で、命令一下ぐんぐんやらせる、はたして、そういうところまでいけると思われますか、いかがですか。
  20. 久田太郎

    久田説明員 お答え申し上げます。できるだけ御趣旨のような成果が上がることを期待いたしております。現在特殊な台風期に入っておるという問題、あるいは地盤沈下等が、今度の災害に対して特別に災害を大きくさせるような影響があった等、いろいろ問題はございますが、これらの大きな研究テーマにつきましては、先ほども申し上げましたように、科学技術会議においてこれを特別な研究テーマとして取り上げて、これの強力な推進措置を講じていきたい、そういうふうに考えております。
  21. 堂森芳夫

    堂森委員 三月までに何か結論を出すという予定らしいですが、私、しろうとですからわかりませんけれども、何でも河川改修しますと、川の流れが変わるのだそうですね。そうして、パラドックスみたいになって、河川改修していくと川の流れが変わって、そのために川床が川下ではぐんぐんと上がってくるというような現象が起こるという話を、私聞いたことがあるのです。しからば、その川の流れをどう変えていくかというようなことも、これは学問的にも、技術的にも非常にむずかしい問題だそうです。そういうふうに、私ら、しろうとが聞いても、河川改修一つだってなかなかそう簡単には、こういう方法がいいのだということはきまらぬわけです。また、私の郷里に九頭竜川という川がありますが、私、子供のときに、川港なものですから、波のうねりを防ぐためにはこういう波止場を作った方がいいというので、波止場を作っておるのを見たことがあるのです。ところが、この波止場を作ったために、今度はだんだん港が浅くなってきて、そして、これが洪水期に川港にはんらんを起こす原因になってきた。それで、あの波止揚をとってしまわなければいかぬというような議論が、また、このごろ起きています。私、子供のときに聞いたのでは、鮫島という有名な博士がおられますね、この方が考えた結果、そういう波止場を作ったのです。それが、どうもおかしいというので、このごろ、またとってしまえということになっている。川の流れ一つとりましても、簡単に半年や三月で、こういうことが一番よろしいとか、そんな結論は私は出ぬと思います。私は医者ですが、皆さんどうでしょうか。たとえば、日本医学世界一流医学だといっておったって、ちっとも病人は減らないでしょう。あるいはまた、りっぱな医学を持っておっても、すべての国民に対してりっぱな治療を施すという状態にこない。こういうように、この研究というふうなこと、あるいは、こうしたことが災害を防げるのだとか、あるいは、高潮を防げるのだとか、いろんなことを言ったって、そう簡単に結論が出るでしょうか。私は出ないと思うのですが、いかがでしょうか。
  22. 久田太郎

    久田説明員 台風対策につきまして、何か恒久的な機関を考えるべきではないかという御意見のように拝聴いたしましたが、これにつきましては、先般学術会議からも防災についての総合的調整機関を常置すべしという勧告が出ておりまして、政府としましては、これらに対して今検討中でございまして、将来何かの形でこれらの問題を考えていきたい、そういうふうに考えております。
  23. 黒澤俊一

    黒澤説明員 ただいまの堂森先生お話の、後半にございました洪水の形ということにつきましては、資源調査会におきまして、かれこれ六年になりますが、実は筑後川を例にとりましていろいろ実地の調査をやり、また、水位記録を調べたり、あるいは計算をしたりして、その洪水の出方が河川改修によって変わってくるのじゃないかということを全部調査いたしました。その結果は、確かにただいまお話がございましたように、筑後川におきましては、上流から中流下流まで全部を通じまして、治水の工事が進捗したのにつれまして相当川の状況が変わってきた、つまり、昔は中流ではんらんしていたのが、堤防ができてはんらんしなくなるということのために、その泥が下流の方まできて下流が浅くなるとか、あるいは、昔上流で雨が降ってから二十四時間たって下流水位が上がってきたのが、最近では、それがずっと短くなって十八時間で洪水が到達する、そういうような、いろいろな記録筑後川につきましては集まっております。しかし、こういうようなことが、川がいろいろ違いますと、筑後川でこうだったということが、すぐ九頭竜川にいくか、天竜川にいくかということになりますと、ちょっと問題がございます。そういうようなことを日本の川全部について調べるということも大へんでございますが、おもなる標本的な川につきましてそういうような実例を調べて、何らかの基準というようなものを出していきたい、そういうように考えて作業を進めている次第でございます。できましたら、逐次それは発表することになっておりまして、筑後川につきましては、高さにしまして一尺くらいございます資料ができております。
  24. 西村英一

    西村(英)小委員 大臣がお見えになりましたので、今まで計画局長資源局長の話を聞いて申し述べたことを繰り返すようではございますが、臨時台風科学対策委員会をお作りになっていろいろ研究される、これは、まことにけっこうでございます。しかし、今お尋ねしたのは、その目的内容のことをちょっとお尋ねしたのですが、今まで何回となしに台風がき、そのたびに抜本的、根本的というようなことを言う。運輸省で大きな事故を起こしましても、たとえば、洞爺丸事故を起こした、あのときすぐ委員会を作るのです。委員会を作るのは、政府一つの言いのがれにはなる。また、そのときにはそれで人心をやわらげるといいますか、また、研究しなければならぬというので始めるのです。ところが、それがかつて永続したためしがない。そこで、そういうことを繰り返してはいけない。今度は中曽根大臣相当な決心を持ってこの台風には臨んでおられるようでけっこうでございますが、これが従来のように、龍頭蛇尾にならないような方法を、まず大臣に要望したいと思います。  そこで、委員会というようなもので、今後いかにすべきかというようなことで、取り上げるべき問題を検討するならいいけれども、根本的なことは、やはりこの委員会じゃ研究できないと思う。それで、たとえば、大臣が言われる台風人工調整一つを取り上げてみましても、これは相当長期にわたって恒久的機関を持って研究しなければ、それはいろいろな雑誌等には書いてございまするが、それを実行して効果あらしむるためには、相当長年月を要すると思う。長い期間やらなければならぬと思う。そういうような、いろいろなことを取り上げる委員会なら、まあ、それでもいいと思いまするが、これを機会に、恒久的な機関を作ることを、大臣はどういうふうに考えておられるか。まだ時期も早いので、おそらくまとまった考えもないかと思われますが、この委員会の運用を、科学技術庁長官としてどういうふうに持っていくのであるかということを、一つお尋ねしたいのであります。
  25. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 この委員会臨時に作られた委員会でございまして、今年度の年度末までの間に答申をするということになっております。それで、総合的な、政府としてとるべき施策を、この委員会によって答申してもらおうと思っております。その総合的な大きな幾つかの方針を、今度は政府といたしまして、各省が分担してこれを受け持ってもらうように、科学技術庁として閣議に報告してそして閣議でこれを取り上げてもらって、来年度以降やってもらうように実はしたいと思っております。  それで、どういう項目が大事な点であるかということを考えてみますと、今、西村先生お話しになりました、台風に対する恒久的な対策というものが、やはり一番大事であるように思います。恒久的な対策として、まずとらえるのは、台風の生態研究の問題であります。この点につきましては、実は今度の補正予算でもさっそく始めたいと思いまして大蔵省に交渉したのでございますが、気象研究所というのが今気象庁にございます。この気象研究所の中に台風関係の仕事をやった人がまだ四、五人しかいないわけです。そこで、台風研究部というものを作って、相当な人間を配置しながら、実験と理論的研究をやっていくようにしたいと思います。この点につきましては、楢橋運輸大臣とも完全に今提携がとれまして、運輸大臣も非常に力を入れてくれておりまして、来年度予算でこの台風研究部を新設する、そうして、中に四つのセクションを設ける予定で、その第一、第二セクションは理論的な研究、第三、第四セクションは実験研究をする、そういう方針で進めております。実験研究の中には、人工降雨の研究とか、それから、たとえば、飛行機につきましては、今遷音速風洞なんかできておりますが、台風につきましても大きな水槽のようなものを作って、それにいろんな変化を与えて、そうして水蒸気がどういうふうに巻いていくかとか、蒸発がどの程度吸収して行なわれるかとか、地球の自転がどういうふうにそれに影響を及ぼすであろうかとか、そういうものを、小型の実験装置を作りまして研究していくようにいたしたいと思っております。  それから、もう一つ大事な点は、日本資料のみならず、アメリカその他の国におきましても相当進んでおりますので、共同研究を進めていきたい。具体的にはアメリカのハリケーンが対象でありますが、あるいは豪州の、今やっておる人工降雨等も非常に参考になると思いまして、これらの国々とも協力してやれるように、外交交渉を通じて、実は国際的協力をやりたいと思っております。  それから、このようにして台風の生態研究とこれに対する対策を、研究部というものを作って長期的に、予算も経営化してずっと続けてやっていくようにして発足いたしたいと思っておりますが、台風について一番大事な点は、今度の経験にかんがみて、数値予報をするということだと思うのです。だから、高潮にいたしましても、単に高潮がくるというだけではだめで、東京湾については四メートル、五メートルの高潮になるかもしれない、大阪湾については四メートルから六メートルの高潮になるかもしれない、そういうふうに、メートルということが非常に大事なんです。堤防が五メートルなら、四メートルないし六メートルの高潮のおそれがあるというならば、六メートルくればオーバー・フローするのはあたりまえでありまして、ほうっておいても人間は逃げ出す。その数値予報ができなかったというところに、今度の災害の原因があると思います。そこで、測候所あるいは管区気象台の人員を強化して、そうして数値予報ができるような体制を整えるということ、それに必要な器材を整備するということ、それから住民に対してその数値予報の結果を刻々伝達して、いろいろな措置をとらせる防災気象官といいますか、そういうものを重要なところには配置して、ラジオあるいは地方団体とも連絡して、人的災害を少なくともこれによって防止するという措置をとりたいと思っております。これらも来年度の運輸省予算として要求して驚ります。われわれはこれを強くバツク・アップいたしたいと思っております。  それから、もう一つ大事な点は、各地域ごとに災害の予想図というものを作らせたいと思っております。これについては、たとえば、大阪湾、あるいは伊勢湾、あるいは木曽川――大体ポイントは見当ついております。そこで、できましたら航空写真をまずとる、整備する、そうして、その航空写真と実測等も勘案して、この川はどのくらいな雨が降る場合には、こういうふうに流域がくる、なお、高台はここにあるから、ここは安全だろう、そういうように、各地域ごとにあらかじめ防災訓練ができるような防災地図を作っておく、これは、すぐは間に合わないかもしれませんが、五年計画ぐらいでそういう重要なところの地形を航空写真でとっておいて、そうして防災地図を作って、どの村はどこべ避難したらよろしいか、あるいは何々学校は木造を今度は鉄筋に変えたらいい、そういうようなところまで現地指導ができるような資料整備いたしたいと思っております。これは建設省の仕事でありますが、この点につきましても、建設省と連絡をとってやって参りたいと思います。  いろいろ考えておることもございますが、人命を損傷しないということが第一、それから第二には、今までのような不合理な経験を何回も繰り返すことのないように、物的措置を講ずるということ、そういう点を中心にいたしまして、永続的な措置を講じていきたいと思っております。
  26. 西村英一

    西村(英)小委員 もう一点お尋ねします。今度の委員会調査団を派遣する。これはまことにけっこうなことです。そこで、調査団が行って、各省の工事に科学技術的に欠陥が相当あるようにいろいろいわれておるのですが、もし、そういうことが判明されましたら、科学技術庁長官としては各省大臣に勧告を出すようなお気持がありますか。たとえば、行政管理庁長官が各行政機関について悪いところは指摘するように、今度の伊勢湾台風につきましても、科学技術的な立場でもって検討して各省の施行工事、各省のやり方、各省の通信連絡上欠けておるところがもしありとすれば、各省大臣に対して勧告するつもりでございますかどうか、それを一点聞いておきたいと思います。
  27. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 そのようにいたしたいと思っております。台風につきましては、予防の点、それから工事の施行の面、それから防災のための連絡組織、警報伝達組織、そういう各方面にわたってしさいに点検いたしまして、今行き届いていないという欠陥があること、将来はこういうふうに行なわれることが望ましいという点、そういう点にわたって網羅的に、必要があらば勧告をいたしたいと思っております。
  28. 堂森芳夫

    堂森委員 大臣が御出席になりましたので、二、三お尋ねをいたしたいと思います。  ただいま西村委員質問に対しまして大臣はいろいろお答えになりましたが、災害を学問、技術の力ではたして早急になくすることができるかということについては、私は疑問があると思うのです。そこで、不幸にしてわが国を襲うところの災害台風は今後まだ十年ぐらいは続くであろう、こういうふうなこともいわれておるのでありまするから、特に人的被害――数千というような犠牲者が今回の伊勢湾台風によっても出ておるわけでありまして、やはり、これをいかに防いでいくかということが根本問題であろうと思うわけであります。  そこで、今回技術庁長官の主唱のもとに臨時台風科学対策委員会ができるわけですが、何でも予算を聞きますと、八十数万円ぐらいで来年三月末まで、こういうことであります。一体、八十数万円でどういうふうな仕事ができるのですか。将来のことについては、またあとからお聞きしますが、ただいまの構想について大臣から少しく御説明を願いたい、こう思います。
  29. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 八十数万円の予算では少ないという仰せのように思いますが、この予算相当部分は、現地へ行きまして調査するための費用であります。それからあとは、帰りましてから各省等のいろいろな資料を徴しまして対策を立てる費用でございます。かければ無限大にかかるわけでありますが、臨時に、今度の台風災害にかんがみて緊急にやる仕事と、それから長期的にかかってやる仕事と分けてみまして、臨時に急にやる仕事が多ければ、来年の台風に間に合うという要素もございますが、科学技術庁方面の力にも限度がありますので、恒久的にやることを割合に広げまして今度は八十万円程度でやるということになったわけであります。
  30. 堂森芳夫

    堂森委員 この対策委員会はどういうふうな人たち――名前はいいわけですが、専門別とか、あるいは行政別とか、そういう方面で、どういうふうな方面の人がなられるのか、御答弁を願いたいと思います。
  31. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 大体、気象研究所方面からは台風の気象関係、それから海上保安庁の関係からは海の関係、それから、あとは地理調査所長とか、農業技術研究所長とか、土木研究所長、建築研究所長、それから科学技術庁の審議官、あるいは運輸省の運輸技術研究所、大体そういうところの責任者が委員に任命されまして、そのほか、大学の教授を専門委員に任命いたしまして、大学の教授あるいは学識経験者意見も徴するということになっております。
  32. 堂森芳夫

    堂森委員 そうした顔ぶれによって調査がなされることは非常にけっこうなことでありますが、来年の三月にこれが終わって、その後、来年度はこういう方面に対する科学技術庁としての方法対策というか、あるいは委員会をさらに強化していくのか、あるいはもっと強いものを何か作っていくのか、その辺の構想を一つ答弁願いたいと思います。
  33. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 この臨時委員会によって対策を立てまして、そのできた対策各省庁をして実行せしめるというのが来年度からの仕事でありまして、従いまして、年度末、仕事が終わりましたら、この委員会は解散する予定です。そうして生んだ政策というものを、今度は実施官庁が実施する、その実施を裏づけるために、科学技術庁は閣議その他において努力していくようにいたしたいと思っております。  なお、来年度は、今科学技術会議の答申の中にもございますが、特別指定研究という構想を実施いたしまして、台風防災科学というものも、その特別指定研究の中に入れてもらって、各省庁もこれに力を入れてやるということにいたしたいと思っております。
  34. 堂森芳夫

    堂森委員 私の考えでは、日本全国が、今後十年間なら十年間、あるいは台風に襲われる危険がある、こういう前提に立つならば、やはり半永久的と申しますか、長い期間にわたって全国的に、こうした台風がきた場合、その地方はこうとか、あるとかいうこまかい研究というものがなくちゃいかぬだろう、こう私は思うのです。従って、ただこれらの、十人か二十人か知りませんが、そういう人たちによって構成される臨時対策委員会をもちまして、万事今後災害を防いでいく方法が考えられる。そういうことはあり得ないと私は思うのであります。  そこで、科学技術庁というものの大きな仕事の一つとして、災害対策を練っていくような強いものがなくちゃならぬと思います。特に日本の役所ばかりではありません、どこへ行きましても、役所というものは非常にセクト主義の強いものでありますから、失礼ですが、あなた方の弱い科学技術庁の指揮あるいは忠告、アドヴアイス、そういうものによって完全にやれるかどうかということは、私は疑問があると思うのであります。従って、何といいますか、たとえば、アメリカの国土開発省のような姿のものが――省であるかどうかは別にしまして、そこが科学的にどんどん日本の国の国土というものについての責任ある指導をしていかなければならぬと思います。  具体的な例を申しますと、私は名古屋の被災地を当時見まして思ったのです。たとえば、海岸地帯のあのひどい地帯では、資本のうんとある大きい工場なんかは、やはり災害に対してちゃんと準備をした建築をしております。地盛りから基礎、全部がきちんとしてあります。ところが、その工場の間にはさまれたような一般の民家、バラックのような、マッチ箱のような家は全部水に浸っている、あるいは半分くらいは水に浸っている、こういうようなことです。しかも、あの地方で聞きますと、何でも地下水が五十メートルぐらいぐんぐん下がってきているそうです。地下水の下がるということは、これは地盤沈下が起きておることであります。ところが、これは私は建設省当局にも質問したのですが、「そういうような地盤沈下があるということを知っておりながら、なぜ建築に対する強い規制を行なわなかったか」こう申しますと、建設大臣は、「建築基準法というものがあってこれに基づいて地方の自治体の首長が条例を出して規制することになっておるが、残念ながら全然しておりません、今度災害が起きたので、あわてて全国に向かって建築については、特に災害に対して強い規制をするような条例を出すように通牒を発しました」こういうような答弁をしておるのでありまして、いかに学問でりっぱに、こうすることがよろしいということを幾ら科学技術庁が委嘱した学者や技術家が言ったところて、これを実際の行政に実行しなければ、これは何にもなりません。従って、科学技術庁というものは科学技術庁ですから、そういうふうな強い、何といいますか、学問、技術というものを実際の行政に生かしていけるように強い力を持ってこなければ、これはおそらく口頭禅に終わると私は思うのであります。従って、科学技術庁長官としてはもっと強い決意を持って、この災害に対する科学技術庁の組織を固めていく、こういう方向にいかねばならぬと思いますが、いかがでございましょうか。
  35. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 日本災害というものは、日本の現在の国土、国富の損失という面から見ると、一番大きな要素でありますので、政治が相当力を入れなければならぬ部面であると私も思います。この点におきまして、今まで、ややもすればその力が足りなかったということをわれわれも反省しておるのでございます。今度これだけの災害が起きまして、科学技術庁といたしましても、従来のような概念でまた見のがしてはいけないということを感じまして、各方面にいろいろ警告を発したりして努力はして参りましたが、それでも、時間がたつと、これまた、のど元過ぎて熱さを忘る、災害は忘れられたころくるということを繰り返すおそれがあります。従いまして、われわれといたしましては、臨時委員会を作って、その結論を強力に実施させるというところに力を入れていきたいと思います。そうして、これは緊急対策でありますが、長期的な対策としましては、科学技術庁に資源局がございますが、資源調査会というのもございます。この資源調査会防災部会というのがありまして、気象庁の長官の和達さんが部会長になって、これは恒久的機関としてあるわけであります。われわれといたしましては、とりあえずは、この資源調査会防災部会を活用いたしまして、恒久的な研究対策確立するようにいたして参りたいと思います。しかし、一番大事なのは、今まで資料とか調査報告というのはかなりあるのですが、要は、これを政治が実行するという点に非常にあるのです。今度でも、たとえば、高潮の問題につきまして、資源調査会では、大きな湾に対する高潮の公式をある程度確立しておる。しかし、それが数値予報までいけなかったのは、やはり人員が不足だったり、あるいは実際公式に当てはめるだけの資料が足りなかったりしたためにあるのでありまして、どうしても大事なのは、やはり政治力がいろんな結果やリポートを実施するということにあるように思うのであります。その点、私はまだ力が足りませんので、大へん恐縮に存じておるのでありますが、科学技術会議その他の機構を活用いたしまして、実行力を持つように努力をして参りたいと思います。
  36. 堂森芳夫

    堂森委員 中曽根国務大臣に要望しておきたいのですが、たとえば、このごろ土地改良が非常にはやる、といっては語弊がありますが、行なわれております。ところが、この土地改良が行なわれる以前には、川のはんらんは割合少なかったと思うのです。ということは、豪雨がきた場合に、湿田が自然の沼か何かになって、そこで水をささえてくれて、下流洪水を防いでくれた、ところが、土地改良が全国的に行なわれるようになりまして、川の水が一ぺんに下流流れてくる、こういうことになりました。また、こうしたことは――私、土地改良が悪いというんじゃないのです、土地改良を行なって、たんぼの水を一ぺんに川に流すということと並行して、川の堤防の修理といいますか、そういうものが同時に並行して行なわれていない。これは一例でありますが、そういうふうに、農林省のやることと建設省のやることとが並行した工事として行なわれないということは、これは全国各地にあることであります。従って国務大臣として、今後災害を防ぐためには、やはり各省のセクト主義というものを除いて、総合的な、やはり国土の開発といいますか、国土の経営ということがなされなければ、災害を、あるいは台風を人工的に防ぐということは、私は今のところ不可能だと思うのです。しかし、台風がきた場合に、被害を最小限度に防ぐということは、これはわれわれの技術や学問でできると思うのであります。これがなされていないのは、さっきも大臣が言われましたが、政治というものがこれに伴っていない、こういう答弁であったと思うのでありまして、中曽根青年大臣は、今後閣議においてこの各省のセクト主義というものを取り除いて、そうして災害を防ぐために大いに総合的な施策、行政が行なわれるように努力をしていただきたいと思うわけであります。しかも、この三月まででそんな調査研究が終わるはずはないのですから、八十余万円というような、そんなわずかでなしに、もっと予算をとってたとえば研究をするにしましても、そんなわずかな金じゃなかなかできないのです。私も正力さんが大臣の当時、東京都内における工学部、理学部、医学部なんかに使っておる研究費の詳細を調べて歩きまして、正力さんに、「あなたは大臣をしておって、こんなことで科学技術の振興ができますか」と言いましたら、「その通りだ」と言っておられましたが、全く基礎研究というものに金が足らぬという現状は、これはだれでも御承知のことでありますから、その方面にも一つ大いに力を入れていただいて、さらに、来年度は台風に対する研究と同時に、調査を強力に進めてもらうような努力を私はお願いしまして、私の質問を終わります。
  37. 村瀬宣親

  38. 平野三郎

    平野委員 三点ほどお尋ね申し上げたいと思います。第一は、台風を阻止するということが中心に研究されておるわけでありますが、これについて、まず根本的に考えなければならぬことは、台風を阻止することは可能である、これは中曽根大臣からも、人工降雨であるとか、あるいはドライアイスを飛行機で投下するとかいう方法によって、台風日本に襲来しないようにすることは、科学的に検討して、これを阻止する目的を達成し得るというお答えでありましてそれを中心に検討が進められておるのであります。しかしながら、かりに、完全にその目的を達成して台風日本にこないようにすることができた場合においては、一体日本はどうなるか。このことは、この前も松前さんからもお尋ねがあったように、台風一つの資源であるという説があるわけです。そこで、この点をまず解決しなければならぬのじゃないか。もちろん。台風が猛威をふるうことをとめるようにしなければならぬことは当然であり、それを目的として今委員会もお作りになってやっておるわけでありまして、われわれもそういうふうにやっておるわけであります。しからば、その目的を完全に達成をして、今後、未来永劫、日本には台風がこないということになった場合において日本はどうなるか。つまり、台風は非常なマイナスでありますが、一面からいえばプラスの面もあるわけであります。かりに、プラスの面があるとすれば、被害のない程度において台風にきてもらわなければならぬということもあり得ると思うのですが、その点について、科学技術庁としてはどういうお考えを持っておるのかという点を、まず第一にお尋ねいたしたい。
  39. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 まさにお説の通りだと思います。台風がある程度きておるから、日本の森林は繁茂し、農作物は収穫量を増し、また、電力会社はこれを発電の材料にしておるのでありまして台風がこないということになると、砂漠地帯みたいになってその害の方がはるかに大きいだろうと私は思います。要は、これを適当に雨を降らす程度にコントロールをするということだろうと思いますが、それが可能であるというところまでは、まだいっておりません。しかし、不可能と言い切るには早い。必ずしも夢でないという程度でありますので、今研究の芽が方々に出ておりますのを助長いたしまして、調節をするという方向に進めて参りたいと思っております。
  40. 平野三郎

    平野委員 そういうことだろうと私も思います。そこで、これはお尋ねも申し上げ、また、お願いも申し上げたいと思いますが、非常に重大な点なのですね。台風を完全に阻止するということではいけないわけであって、日本が砂漠のようなことになっては困るのでありまするが、その辺を適当に調節しなければならぬ、被害を起こさぬ程度に台風がくるようにするということが最も理想的である、こういう結論になろうと思うのであります。そういう観点から、いろいろ今度特別委員会をお作りになって、政府において御努力願っておるということはけっこうでありまするが、これは非常に重大な点でありまするから、私はこれの結果を非常に期待しておるわけでございます。これは、私どもしろうとがこんなことを言ったって、何にもならぬことであって、やはり専門の学者の方々がお集まりになって、御研究を願うわけでありますが、これにつきまして、来年の三月までに結論をつけるということでありますけれども、その結論の出し方は非常に重大だと思いまするので、私は、でき得れば、その中間において、一応われわれ政治に関係する者もその報告を聞きたい、こう思います。来年三月、最終の決定をして、そうして報告を聞いたのでは、あまりにも重大な問題でありまするから、この点、やや遺憾の点がある、こう思います。その辺の政府の御都合もございまするが、適当な機会におきまして、その御研究成果を、中間的に、一つ委員会に御報告を願いたい。また、われわれ政治家としては、大所高所に立ちましていろいろアドヴァイスを申し上げるということは、意味のないことではない、こう思いますので、中間の御報告を願いたいということを希望を申し上げるわけでございます。その辺の点につきまして、政府としては御用意があってしかるべきと思いまするが、その点はどういうお考えでありますか。
  41. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 中間報告はいたします。まとまりましたら、できるだけ早く当委員会に御報告申し上げまして、御意見を承りたいと思います。  なお、年じゅう台風を見ておりますと、一番悪いことをするのは九月から十月にかけての台風で、六月、七月、八月くらいの台風は、むしろ集中豪雨の害が非常に多いようであります。従って、上半期は集中豪雨、下半期は台風害と、こういうような傾向が統計的に見られると思いますので、そういう点から見て、調節という方法も考えて参らなければならぬと思います。
  42. 平野三郎

    平野委員 もう一点お尋ねいたしたいことは、台風に関しましては、アジアの関係としましては、やはり関係各国と連携をとる必要があるのではないか。これは政治的な関係は抜きにいたしまして、各国との共通の利害の問題でありまするから、話し合えばわかると私は思うのであります。たと、えば、韓国であるとか、あるいは北鮮、中共、台湾といったようなアジアの関係諸国と密接なる連絡をとるということは、何としても、もう当然必要であろう、こう思うわけでございます。中曽根大臣とせられては、この際、そうした気象に関するところのアジアの国際連携というものを進める必要があるし、これは、おそらく呼びかければ必ず目的を達成し得ると思うのでありまするが、その意味におきまして、早急に気象の関係に関しまするところのアジアの国際会議というようなものを日本が呼びかけまして、そうして進める必要があるのじゃないか。もうすでに気象台長などは、韓国の気象台長と深い連絡をとっておられるようでございますが、これは学者として当然のことであります。いろいろ政治的な問題が障害になりまして、ともすれば、うまくいかないというような傾きがあるようでありまするが、これは一つ中曽根さんがそういう政治関係を一切抜きにいたしまして、台風に対する国際アジア会議というものを開催すべきではないか、こう思っておりまするが、そういう点についてどのような御用意があるか、また、どういう方針のもとにお進めになるかという点を承っておきたいと思います。
  43. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 台風の被害国でありまする日本、フィリピン、台湾、中国、あるいは韓国、あるいは米国、こういう国々と国際的な連携を持って研究をし、あるいは必要ならば国際会議を開くという構想を、あの大災害のあと私はすぐ持ちました。しかし、日本がとりあえず連携をして有益である、実効性があると思われますのは、この研究日本より進んでいると思われるアメリカのハリケーン・プロジェクトあるいは豪州の雲物理の研究とかいうところだと実は思いまして、アメリカの方面には、台風問題で協力して研究していきたいというようなことを打診してみましたら、向こうも非常に乗り気のようでありますし、豪州の方もおそらく協力してくれることだろうと思います。それで、そういう先進国あるいは同じくらい進んでいる国とまず連携して、しかる後に、今のようなスケールの関係国の会議を開くのが日本としてはいいのではないかというような気がいたしまして、まだ関係国の点は踏み出さずに、様子を見ておる最中であります。ある程度具体案がないと会議を開いても無意味でありますし、私は、その必要性を平野先生と同じように十分感じておりますので、適当な機会にそういうことも考慮して参りたいと思っております。
  44. 村瀬宣親

    村瀬委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後零時十八分散会