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1959-12-02 第33回国会 衆議院 運輸委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十二月二日(水曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 平井 義一君    理事 天野 公義君 理事 生田 宏一君    理事 川野 芳滿君 理事 關谷 勝利君    理事 井岡 大治君 理事 久保 三郎君    理事 島口重次郎君 理事 土井 直作君       宇田 國榮君    高橋清一郎君       三池  信君    村瀬 宣親君       板川 正吾君    館  俊三君       杉山元治郎君    内海  清君       菊川 君子君  出席政府委員         運輸政務次官  前田  郁君         運 輸 技 官         (港湾局長)  中道 峰夫君         海上保安庁長官 林   坦君         建 設 技 官         (道路局長)  佐藤 寛政君  委員外出席者         農林事務官         (水産庁漁港部         長)      林  眞治君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      山内 公猷君         運輸事務官         (鉄道監督局参         事官)     井上 健一君         運輸事務官         (自動車局長) 國友 弘康君         海上保安官         (警備救難部         長)      樋野 忠樹君         日本国有鉄道参         与         (運転局長)  石原 米彦君         専  門  員 志鎌 一之君     ――――――――――――― 十一月二十六日  委員長谷川峻辞任につき、その補欠として久  野忠治君が議長指名委員に選任された。 同日  委員久野忠治辞任につき、その補として長谷  川峻君が議長指名委員に選任された。 十二月二日  委員山田長司辞任につき、その補欠として板  川正吾君が議長指名委員に選任された。 同日  委員板川正吾辞任につき、その補欠として山  田長司君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十一月二十六日  馬ヶ鼻灯台設置に関する請願藤本捨助君紹  介)(第八七七号)  古江線大隅高山駅の移転改築に関する請願(二  階堂進紹介)(第九四三号) 十二月一日  本吉、田尻間鉄道敷設促進に関する請願(愛知  揆一君外五名紹介)(第一〇〇一号)  古江線大隅高山駅の移転改築に関する請願(宇  田國榮紹介)(第一〇〇二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月二十八日  自動車業界実態調査に関す陳情書  (第四〇九号)  共済組合による白ナンバー自動車の営業行為取  締に関する陳情書  (第  四一〇号)  青森鉄道監理局設置に関する陳情書  (第四一一号)  宇都宮鉄道監理局設置に関する陳情書  (第四一二号)  野岩鉄道敷設に関する陳情書  (第四一三号)  越美北線開通促進に関する陳情書  (第四一四号)  北陸本線の複線電化に関する陳情書  (第四一五号)  東北本線複線電化工事促進に関する陳情書  (第四一六  号)  東北地方鉄道幹線複線電化工事促進に関する  陳情書(  第四一七号)  両毛線の復線電化促進に関する陳情書  (第四一八号)  日豊本線等改善に関する陳情書  (第四一九号)  隈森宇鉄道敷設に関する陳情書  (第四二〇号)  国鉄播但線気動化に関する陳情書  (第四二一号)  関西本線複線電化に関する陳情書  (第四二二号)  四国、本土間連絡鉄道早期実現に関する陳情  書(第四二三  号)  三陸沿岸縦貫鉄道早期実現に関する陳情書  (第四二四  号)  農林水産関係国鉄貨物運賃暫定割引存続に関  する陳情書(第四  二五号)  同(第四二六号)  同  (第四二七号)  通運事業運賃料金引上げ反対等に関する陳情書  (第四二八号)  海難事故防止に関する陳情書  (第四二  九号)  四国循環鉄道早期完成に関する陳情書  (第四八五号)  観光施設整備に関する陳情書  (第六二五号)  観光事業費国庫補助増額に関する陳情書  (第六二六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  海上保安に関する件  陸運に関する件      ――――◇―――――
  2. 平井義一

    平井委員長 これより会議を開きます。  海運及び海上保安に関する件について調査を行ないます。  先般銚子付近において発生した小型船遭難事件について、質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  3. 久保三郎

    久保委員 ただいま議題になりました十一月二十五日に銚子港において、漁船遭難がありました。これについて政務次官並びに関係局長にお尋ねをしたいと思います。  まず第一に、この十一月二十五日の事故でありますが、これは波崎町の漁船、いわゆる揚繰船三十二トン、これは木船でしょうが、第五幸辰丸というのがございます。当時の乗組員船長ほか三十三名、合計三十四名の乗組員であります。それで銚子港の川口付近一ノ島灯台付近波浪のためこれは転覆したわけです。転覆した結果、生存者が六名、死亡確認された者が三名、行方不明が二十五名、こういう大きな事故があったわけです。当日のこの漁船行動は、二十五日五時ごろ出港いたしまして、イワシの漁に出たわけであります。出港当時の天気状況は良好であったということであります。ところが八時半になりまして、銚子測候所でございましょうが、銚子測候所から海上注意報が出されております。もちろん漁業無線局はこれを各漁船に通達をいたしておりまして、これは各漁船とも承知をしておるはずだと思います。当時の予報は北ないし北東の風で十メートルないし十五メートルに達する見込みというようなことであったようであります。それでこの船は、漁業無線局に対して漁を終えてから十一時三十分に間もなく川口に入るという連絡をして、そのまま川口に入ってきて実は波浪によって転覆をした、こういうことでございます。  当時のこの遭難に対する連絡状況を各方面から見ますると、大体十一時四十分ないし五十分ごろ漁船である第三妙見丸がこれを目認した。そこでこの船から短波によって各漁船連絡した。そこで入港中の第七大清丸がこれをキャッチいたしまして、銚子港内に入っておった海上保安庁巡視艇なみちどり」に連絡したわけであります。これはこの連絡した方の言い分でありますが、当時「なみちどり」に連絡したところが、当直は今ほかの者がいないから出動はだめだ、こういうふうなことを言っていたそうであります。一方保安部関係はどうかというと、零時五分ごろ保安部は眼鏡によってこの遭難を目認して、直ちに巡視艇の「なみちどり」に出動命令を出した。この出動命令は二分後で零時七分、こういうことになっておるようであります。その後保安部関係出動はどういうことになっているかというのに、零時四十分ごろだと思いますが、四十分あるいは五十分になったかもしれません。これは向こう言い分でありますが、保安部自体から救護課長あるいは係長等数名が自転車一ノ島灯台付近出動していったそうであります。これは何も救命道具とかそういうものは一切持っていかなかったそうであります。ところがその当時すでに転覆をした漁船船員は全部船とかあるいは網、こういうものにつかまって泳いでいたそうであります。大体一ノ島灯台から五、六十メートルのところで遭難したらしくて、その後風浪によって一ノ島灯台突堤付近に押されてきたということがあるようであります。そこでこの間、保安部係官が来るまでの間にそこに居合わせた、民間人が集まって参りました中に一人自動車運転手とかがおったそうでありますが、自動車のロープをとって自分の着ていたカッパおもしにつけて投げてこれを救助したというようなことでありますが、やっているうちに自分のズボンあるいはカッパが全部流されてしまった。そこで保安部人間が着ていたカッパを脱いでくれ、こういうことを言ったそうでありますが、これは脱いでくれなかった。あるいはそこに立ち会いというか、来たところの警官に対してもカッパ等おもしにするのだからと言ったが、これも断わられた、こういうことを言っております。それでこれではしょうがないということで、保安部その他に要求しまして、もやい銃を届けてもらう。もやい銃が来た時間はわかりません、聞いておりませんが、とにかくもやい銃が届けられた。もやい銃を発射したところが、一発は火薬がしめって発射できなかった。もう一発は発射できたが、もやい綱が途中で切れて用をなさなかったというようなこともございます。それで自力によって泳いだ者、あるいは民間人の手によって引き揚げられた者というのが、生存者の六名のようでございます。あとはいまだに死体がわからないものがある——引き揚げられた直後に一人なくなりましたが、いずれにしても二十八名の死亡者が出た、こういうことであります。  次に状況を続けて一通り申し上げますと、いわゆる巡視艇の「なみちどり」は、零時七分に保安部から出動命令を受けたようでありますが、ところが出動にかかったのが十二時十五分であります。十二時十五分から動き出したのでありますが、いかり付近にある船のいかりとからみ合って、これがとれない。こういうようなことでごたごたしておりまして、やっと自力で動き出したのは十二時四十八分、こういうふうになっているのです。十二時四十八分に自力航行に移ったのでありますが、中間まで出て——青砥というところです。ここで十二時五十五分に再び投錨した、アンカーした。そしてめがねでもって一ノ高灯台付近を探したのでありますが、漁船の影がないというので、おそらくはその航行路に沈没したのではなかろうか、こういうふうな認定もしていたようであります。いずれにしてもそのうちにいろいろな救命ゴムボートの支度とかそういうものができたので、再び十三時二十九分にいかりを揚げて行動を起こしていったようでありますが、ちょうど一ノ島灯台を通過したのは、この巡視艇は十五時五十七分と言っております。事故が起きたのは十一時四十五分ないし五十分ころのようであります。そうしますと、これは約二時間以上たっている、こういうことで、とうとう保安部の方の救助というものは全然なされないままで今日に至った、こういうことであります。この事故は今回が初めてではなくて、すでにことしになりましても最近の事故としましては、十月の十五日には船員が転落して、これがいまだに行方不明であります。それから十月十六日には第一国丸——これは九トンの船で五名の乗り組みでありますが、一名が助かって四名が行方不明、こういうことになっております。この種事故一ノ島灯台付近事故というのはずっと前からだんだん多くなっております。そういうところが一つ問題点だと思う  なお前後いたしますが、「なみちどり」の十一月二十五日の朝からの行動について申し上げますと、「なみちどり」は当日八時三十分に出港いたしまして、鹿島灘付近巡視をしております。ところが九時十五分に天候が悪くなったのでこれが帰港をしてきた。銚子港に入って停泊したのが十時三十分、これはもちろんアンカーをしております。こういうことでありまして、十時三十分に帰港して、荒天警戒に入ったというが、アンカーをおろしたというような状況であります。これが大体事故の概況でございます。  そこでお尋ねしたいのは、先ほど申し上げました漁船、いわゆる第三妙見丸が十一時五十分ごろ漁業無線遭難のことを知った、こういうのでありますが、保安部で発見したのは、十二時五分であるということであります。この漁船あるいは漁業無線局から発信するそういった通信が、保安部あるいは巡視艇には受信装置がないのかどうか、それは電波が違うので受信できないのか、こういう点を一つお伺いしたい。  それから第二番目には、巡視艇現場付近に到着するまでの間、約二時間かかっております。それからこれはついでに申し上げますが、去年の三月十九日に七面丸という五十七トンの船が、これもやはり同様の場所で沈没しておりますが、このときはやはり全員死亡であります。全員四名でありますが、死亡しております。このときは、その現場まで出動するのに四時間かかっているそうであります。こういうふうな時間を経過していることについて、われわれ自体はどうも納得がいかない。特に先ほど申し上げたように、荒天警戒に入っておるにもかかわらず、アンカーをしておかなければならぬということでは、先ほど言ったように、いざ出動というときに、いかりを揚げるときに、他の船のいかりとからみつかるというような事故が、これはもちろん出てくるわけです。こういうことを考えると、アンカーをしておかなくてはいけないのか、荒天警戒の場合に、そういう態度はいいのか。それから第二番目に、いかりがからみつかるような場所定着地に指定しておくこと自体に問題がありはしないか。巡視艇定着地について、特に銚子港の場合は、どういう対策をとっているのか。  それから先ほど申し上げたように、途中まで出動してきたが、再びアンカーして、そこで三十分ないし四十分様子を見ていたということでありますが、これは大体私の状況判断でありますが、この船の船長以下乗組員が、船に自信がないのではないか。結局船に自信がないから、どうもまごまごしていた。逡巡、ためらっていたということだと思う。船の構造にももちろんそういうことで問題がある、こういうことだと思うのでありますが、言うまでもなく、海上保安庁法の第四条を見ますれば、海上保安庁船艇及び航空機は、海難に際し人命及び財産を保護するのに適当な構造でなければならないと規定しておる。ところが今言うように、船長以下乗組員自信が持てないような船を配置すること自体は、だれが責任を負うか、運輸大臣あるいは海上保安庁長官いずれかがこれは負うべきである。こういうこと自体を長年繰り返しておること自体に問題があろうと思うのだが、この見解。それから、あわせて早急にこれが船艇改善をはかる要があると思う。もちろん、海上保安庁自体の全体の保有船艇はいずれも老朽であるし、さらに近年は大体建造も思うようにいっていないように思う総体の船の数も減っている、こういう事態に対して政務次官はどういうふうにお考えであるか、これをお尋ねします。  それから具体的な方法として、来年度の予算要求を今日やっているようでありますが、三十四年度は船艇建造は四隻となっている。この四隻の配置はどこへやるのか、あるいは来年度の予算要求の中身は、どういうところに巡視艇あるいは船艇建造を考えているか。  次に、問題は、保安部長以下船長も全体に、銚子港の川口における遭難に対して、全然自信を持っておりません。半ば投げております。そうしますと、海上保安の仕事の半分である特に重大な人命財産救助ということが全然やれない。法規による取り締まりというようなことに重点が置かれるようでありますが、こういうことでは完全な保安行政とは私は言えないと思う。しかもここで考えてみてもらわなければならぬのは、大体銚子保安部自体職務態勢そのものが、どうも一般的ではなさそうに思われる。俗な言葉でいえば、大体気合いがない。気合いがない原因は、一つは船に全然自信がない。もう一つは、勤務環境が整頓されていない、整備されていない。これはあとから申し上げますが、そういうこと。もう一つは、あまり言いたくありませんが、これからくるいわゆる廃頽的な気分かありはしないか、こういうふうに考えます。これについてどういうふうに考えているか。とにかく職務に対する熱意の喪失はおおうべくもない事実だと私は見てきた。  それから、今までの例も、先ほど言ったように、これはたくさんな例がございます。一ノ島灯台付近遭難事故は数限りなくある。ところが、今までそういう巡視艇そのものが役に立たないということを認めているようなんだが、海自体から、海上から救難ができないとすれば、陸海空全体をあわせて考えるべきだと思うところが今まで何にもやっておらぬ。これは非常に職務怠慢ではないかと私は思うのです。特に一ノ島灯台付近にこれらに対する何かの対策があってしかるべきだが、いまだにない。  それからいま一つは、救命具にしても先ほど申し上げたように、もやい銃そのものが危急存亡のときに使いものにならなかった。操作も悪かったのかもしれません、火薬がしめったというのですが、波浪の中ですから、これもまたやむを得ないと言えそうでしょう。ところがもやい綱が途中でまた切れるということでは、全然問題になりません。この陸上よりするところの救難態勢を整備拡充する必要があると思いますが、どのように考えておるか。これからどのようにやろうとするのか、それをお尋ねしたい。  質問がずっと長くなりますが、一括して申し上げたい。  それからもう一つは、船の構造からして、この一ノ島灯台付近海難を救済することができないということに考えているならば、それ以外の方法をこの巡視艇で考え得なかったのかどうか。ということは、荒天警戒に入ってから港内に入ってきて、アンカーして、ひっそりしていたのでは、巡視艇の役目は残念ながらできないと思う。同じ保安部の管轄だと思いますが、那珂湊保安署巡視艇は、荒天警戒になれば、港外に出て、入港するところの漁船に対して一々注意をし、指導をし、誘導している、これが銚子港におけるところの巡視艇はなぜできないのか、できない原因はどこにあるのか、これを聞きたい。  それから巡視艇そのもの乗組員でありますが、これも定員そのままであります。現在一名欠員があるようであります。もちろん高級士官といいますか、船員は全部そろっておるようであります。ところが交代要員が全然ないようであります。だからどうしても時間外の出動という場合は無理だ。これは官庁執務時間のみによって勤務している巡視艇、朝は八時半から夕方は五時半まで、それ以外は当直を残してみな丘へ上がってしまう、こういうことであります。こういうことでは一朝有事の場合に用をなさないのであります。これはしかるべく人間をふやす必要があると思うのだが、これはどう考えるか。  それからもう一つは、船長を初め高級士官定着地から約三・八キロの距離にある官舎に居住しております。これは船長以下四名の士官です。無線長とか機関長とか、航海士とか、そういう方であります。ところがここの連絡は、船長官舎にも航海士にも通信士にも全部、その官舎全体には電話一本引いておりません。現場において保安部長に聞いたら、予算関係でつけられないというお話です。そういう予算は全然ないのかどうか。各人に引く必要はないと思うのだが、四、五人の高級船員官舎に一本の連絡するところの電話もないということでは、残念ながら救難態勢などには間に合いっこないだろう、こう思うのであります。これは早急に手配する必要があると思うが、これは考えているかどうか。  それからもう一つ設備の面であります。先ほど申したように十二時四十分ごろに一ノ島灯台保安部勤務課長あるいは係長等が四、五名行ったそうでありますが、これは自転車で行った。ところが保安部にはジープが常備されているようですが、当時ジープは故障して使えなかった。しかも出動したそのもの係官は全然行動積極性がないというのが一般住民の声であります。これらも設備の面、人間の面で即刻改めてもらわなければいかぬ、こう思うのです。  それから次には十一月一日から波浪が激しいときにいわゆる危険標識を立てるということになったようであります。ところがこの危険標識小型船組合に全部おまかせであって、上げても下げても小型船組合だけの責任でやっている、保安部その他からは全然連絡も何もない、これは向こうへまかせっぱなしだ。それでありますから、事故の起きた当時も、その直後入ってきた船もございますが、これもこの標識が上がったというのだが認識しておりません。もっとも最近保安部においてはこの事故直後ではあるようでありますが、事故が起きたから来たのではなくて、計画通りに来たようでありますが、二十六日かに本庁並びに管区からそれぞれ課長等が行って、完全な危険標識を立てろというふうに相談をぶったそうでありますが、残念ながらそのとき保安部長の話によれば地元熱意はさらになかった、こういうことであります。地元熱意を云々する前に、なぜ熱意がなかったかについて考える必要があると私は思うもちろんその全部が保安部責任ではないにしても、とにかく地元熱意がない原因の一半は銚子保安部に対する関係者不信の念があるからではないかと私は考えている。不信の念があるから地元協力態勢熱意がないのではないか、こういうふうに思うわけです。これらもよほど考えてもらわなければならぬ点だと思う。  それから、たとえばこの危険標識波浪計等を備えつけて、科学的にこれをやっていくという態勢がこれからできたにしても、ただ単に波浪計を見て危険標識を上げるという程度では残念ながら万全ではない、積極性がないと私は思う。むしろ先ほど言ったように標識を上げると同時に関係漁船に対する指導がまず必要だと思う。指導とは荒天時において港外においてこれら危険を予防する措置に出るべきだと思う。あるいは標識を上げるだけではなくて、各漁船に対して刻々これらの状況について連絡をする。ところが今の態勢波浪計を備えつけ、危険標識を設置するということをやりましても、ただそれだけだ。こういう行き方では実際に私は危険防止にはならぬと思う。積極性について、どういう考え方を持って今危険標識波浪計を備えつけようとしているか、あるいは今後近い将来波浪計危険標識を設置されるその際、保安部責任をもってやるのかどうか、それとも今のように関係漁業団体にだけまかしてやるのか、その点を明確にしてほしい。  以上がさしあたり御質問する要点であります。一応お答えをいただいてから次の質問に移りたいと思います。
  4. 林坦

    ○林(坦)政府委員 十一月二十五日の揚繰漁船第五幸辰丸事故に関しましては、非常に各方面の御心痛をいただいているわけでございますが、当日の状況はただいま久保先生から言われましたように、概略においてその通りであろうかとも思います。ただ私ども関係者といたしまして、当日の模様を若干釈明させていただきたいと思います。  先ほど漁業無線連絡をしたというお話でございましたが、私ども報告を受けておりますところによりますと、その直前におきまして別の七五三丸という船の事故がございまして、その連絡を出したのが十一時四十五分でございました。それは明らかに海上保安部におきまして、これを受けております。それで直ちに人を出し、警救課長が前面に出ましてその状況を見ましたところ、ちょうど十二時五分に彼の目の前でそういう今度の幸辰丸事故が起こったわけでございます。従って、今度の事故に関しましては、それを見て直ちにこの措置に移ったわけでございまして、すぐに警救の係長以下を陸沿いでまずその防波堤の方に走らせ、また先ほど話のございましたように、あそこの「なみちどり」という巡視船出動を命令したわけでございます。  巡視船は、先ほどお話がございましたように、十二時五分の事故に対して十二時十五分にはもやい綱を解いたのでございます。出るまぎわになりまして、先ほど御指摘のありましたように、いかり綱がひっかかった等の事故がございまして、それで出るのに手間取った。何しろ当時は非常な風波の強いときでございましたので、そのいかり綱のもつれを解くのになかなか独力でできなくて、同地に配属してございます小型の「すま」という救命艇をもちましてこれを援助して解いたというようなわけで、そこで時間を食ったという点はございます。  それから先ほどお話のありましたように、十二時四十八分に抜錨し、その綱もいかりもとれまして出たわけでございますが、銚子の港は、もちろん先生よく御承知の通り、川の流れがあり、またその当時は非常な風波の激しいときであり、非常に航行の危険な場所でございます。従って、その出口におきまして、波の様子、風の様子等を、操船上の必要からそこで波の呼吸をはかる必要があるというので、その船の操船上、出口のところでしばらく待ったわけでございます。それで結局波がこれなら乗り切れるかというところで全員に覚悟を命じまして、そうして乗り出したという実情でございまして、決してただ自信がないからとめておるというのでなく、みずから助けにいく場合に、やはり船というものにつきましては、十分に船の能力とその波の状況その他を勘案して出ていかなければならない関係上、そこで波の呼吸をはかる意味において、しばらく時間をとったというわけでございます。  先ほどいろいろ御指摘がございましたように、あの場所の碇繋地が適当でないというような点についての御質疑がございました。またそこにアンカーしておるのは荒天態勢としてどうかというような御指摘がございました。銚子の港は川の港でございます関係上、途中に船をとめておくということは、他の船の出入りに関係がございまして、それはできないことなのでございます。またあの銚子地方は、東京地方と違いまして、非常に風の強い地方でございますので、碇繋場につなぎます場合には、やはりアンカーをしておかないと、かえって船がいろいろ事故を起こすおそれがあるので、アンカーをしてとめるということは、決して不適当であったとは考えておりません。  それから今のような場合に、あの港を出ていくのにこの船は適当でないのではないかというような点、船が十分でないという点をどうするかというお話がございました。もちろん銚子は非常にむずかしい場所でございまして、喫水の問題あり、また波の問題あり、それから事故が沖で起こる場合は、今の「なみちどり」のような、百七十八トンでございますが、「なみちどり」の型をもってしても小さ過ぎる状況でございますし、もっと大きな船があれば沖の海難に対してはいいけれども、その点では「なみちどり」は十分大きくはないという点は事実でございます。しかしながらあのいその海難につきましては、実は「なみちどり」は出ましたけれども、なかなかいそに近寄って人を救助するということはできないような状況場所でございます。これにつきましては、もっと別の方法を、先ほども御指摘のありましたように、船でうまくいかないものは何か別の方法を考えなければならないじゃないかと言われることもごもっともでございまして、われわれとしても考えておるところでございます。  なお、先ほどの御指摘の中に、三十四年度の建造した船艇の配置の問題もございました。これらは今全国的に非常に船が不足して要望せられております関係上、一隻は北海道方面に配置する予定になっておりますし、その他港内艇は松山に配置することになっておりますし、それから大阪と神戸に配置することになっております。  なお、来年度につきましての御質疑がございましたが、来年度につきましては、現在李ライン方面に非常に船を持っていっております関係上、いろいろ不足を来たしておる。従って、李ライン関係の必要なる船といたしまして、七隻程度の三百五十トン型を作りたい、あるいは遠洋の海難救助するために、千二百トン級の船を作りたい。その他代船建造等をひっくるめまして、船を約十二隻ほど作ることを要求いたしておる状況でございます。  それから現地の保安部の職員に気合いがかかっていないのではないかという御指摘でございました。この点は、先生の御指摘に対しまして、もしそういうふうに映りましたならば、私ども非常に申しわけないと思っておりますが、とにかく今度の海難に際しまして、この海上保安庁の職員が非常に消極的であったということは、私どもとしてはなかったと考えております。これは当時のような、ああいう状態のときでございますし、ああいう非常に大きな事故にあっておるときでありますから、囲りじゅうの人が焦燥の気持になっておったことは事実であろうと思いますので、なかなかそれが、いかりがひっかかって出られないとか、あるいはもやい銃の火が消えたとか、いろいろなことが非常に物足りなく思われた点があったのではないかと考えます。しかしながら海上保安庁の職員も、防波堤のところにかけつけた人間は風のために払い落とされてびしょぬれになって、やはり敢闘いたしておりますし、また持っていったその綱を防波堤のずっと先まで張りまして命綱を作りまして、それに伝わって助かってきた人もあるわけであります。それから中には泳ぎ着いた人を背負って上がってきた実例もございます。決して出ていった者がそんなに気合がかかっていなかったといわれるようなことは、私どもとしては信じておりません。  また、先ほどの御指摘の中に、那珂湊の場合と銚子の場合とはどうかという、比較してのお話がございました。私も詳細に現場を見ての話ではございませんが、報告を受けておるところによりますと、那珂湊と銚子ではやはり港の状況が違うようでございます。もちろん那珂湊も非常にむずかしいところではございましょうが、やはり銚子のあの場合における港の状況は非常に操船その他の関係からむずかしい点もございまして、那珂湊と同じような手をとって指導するということができにくい事情があるように聞いております。やはり那珂湊も銚子保安部の管下にあるのでございまして、決してこれを区別してやるつもりはないのでございましょうが、今申しましたように港の事情あるいは、これは何も地形だけの問題ではなく、いろいろな事情等にもよって、これが那珂湊と同様にできていない点があるかと存じますが、この点は私どももよく反省いたしまして、さらに研究をしていきたいと考えております。  それから御指摘のございました点について、幹部の官舎が三・八キロも碇繋地から離れておるではないか、全くその点は何とも私どもとしては申し開きのできない点でございますが、もちろん当時予算関係上、非常に近いところに土地を得られなかったというようなことから離れた場所にできておるのでございますけれども、現在は付近の民家の電話を借用いたしまして、連絡はとにかくとるようにいたしております。もちろんただいま御指摘のございましたようにこれは不十分であり、かつ信頼性にも欠けることでございますので、至急に検討いたしまして、善処いたしたいと考えております。  それから例の危険標識小型船舶組合にまかせっきりではないかというお話でございました。これはこの危険標識の問題は、実は先般の海難の前の海難あとにおきまして、銚子の港口の遭難というものは非常に救助がむずかしい。従ってこれは事前にそういう遭難が起こらぬようにするよりほかないということで、特に海難の防止に関する関係で、保安部におきましてこういう関係の業者の方々のお集まりを願って、そうして防止対策を相談したそうでございます。その節この問題が起こりまして、少なくとも小型船の、そのときまでに起こりました人命的な事故は主として小型船でございました関係上、小型船の組合が自主的にこれを一つやっていこうというのでそういう標識をニカ所に立てるということをやったのでございまして、もちろんこの内容につきましては市役所その他にも連絡をとっております。先般市役所の方から関係の漁業組合、その以外の漁業組合に対してもこの実情を知らしてもらったはずでございまして、大体各組合ともこの実情については知っておったことと私どもは了承をいたしております。なお私どもはこうしたことではこそくであるということはもとより考えておりまして、実は非常に急ぐものでもあり、またさらに予算をとるという余裕もございません関係もありまして、公益法人の海難防止協会というのと連絡をとりまして海難防止協会の方から、その関係で、あそこに波高計を設置して、それによって信号を発するといったような、先ほどもお話のございました若干科学性を加えた設置をするということで、予算といいますか、それに所要する経費も大体六、七十万円でできょうかというので、海難防止協会が負担してぐれるように話もつきました。それで実はあの事故のございました翌日にちょうど日にちがなっておったのでございますが、そのときに本庁の方からも出かけ、また第三管区の保安本部からも出かけて、地元においてこの問題について相談をする会を開いたわけであります。このときに地元熱意云々のお話がございました。私どもも決して責任を他に帰するつもりはございません。この問題につきましては私どもとして一生懸命にやらなければならないことでございまして、地元関係の方々にもさらに今後とも連絡を密にいたしまして、御協力をいただくものはいただく、そうしてこの問題は片づくようにいたしたいと思います。何せこの危険標識の問題について保安部が命令的に出港をここでとめるがよいかどうかという問題につきましては、いろいろとまだ研究を要する問題があると私は聞いております。特に波の工合その他が小型船の場合には危険であるが、ある程度の型の船になれば何とかいく、またそのエンジンの馬力いかんによって乗り切れる乗り切れないということで非常に差があるのでございます。しかもその船が銚子港に入ると、あるいは裏側の外川その他のところに入りますのとでは、経済的に非常に差があるわけでございます。従ってこれを簡単に入ってはいかぬ、入れということをやりますことが、実際問題としては非常にむずかしいという点も聞いております。しかしながら安全という見地からすれば、そういう点にどの程度の規制を加えたらよいかというような問題につきましては、やはり地元の御協力なりお申し合わせなり、そういった問題が非常に必要であろうかと考えるのでございます。従って私どもだけで一方的にこの問題を推し進めるというわけには参りません。できるだけ地元の方々ともお打ち合わせいたしまして、態勢を整備して万全を期するようにいたしたいと思います。保安部責任を持つのかどうかというお話は、御質問の終わりにございましたが、われわれとしては積極的に打開して、地元の方々の御協力を得て、こうした問題を解決していくようにいたしたい、かように考えております。
  5. 前田郁

    ○前田(郁)政府委員 久保議員から御質疑がございました銚子河口の遭難問題、まことに遺憾でございまして、ただいま海上保安庁長官からお話しいたしました通り、今回の遭難にかんがみましていろいろと方策を練りまして、そうして予算措置もいたしたい、こういうことでただいまやっております。なお、今回の伊勢湾台風にかんがみまして、私どもも得るところが多かったのでございますが、なお各方面においても、こういう海難の問題に非常に注意していただくわけでございまして、今度こそは大蔵当局も私なんかの意見もだいぶいれてくれるのじゃないか、こういうことで、実はきょうも省議を開きまして、今後運輸委員の方その他の方々の御後援をいただきまして、予算措置一つ十分にやりたい、こういうつもりでおりますから、今後ともどうかよろしくお願いいたします。
  6. 久保三郎

    久保委員 保安庁長官のお話でありますが、保安部が消極的ではなかった、こういうようなお話もございます。これはまあ一般民衆が見る方面とはだいぶ違うようであります。ただ、ここで考えてほしいのは、先ほども私が言ったのは、たとえば積極性がなかったという中身には、いわゆる関係保安部の職員の責任ばかりではないだろう、こういうふうに思うのです。一つには、先ほど繰り返し述べたように、船そのもの自信がない、こういうことが問題であります。それからもう一つ積極性がないように見られた原因は、出動までの時間がだいぶたっているということです。保安部の職員が行ったのは遭難後四十分ぐらいたってからだ。しかも保安部と一ノ島の灯台とは目と鼻の先で、歩いてもあまりかからない、それを自転車で行った。出動までに相当時間を食っているということは、いなめない事実です。もう少し早目にできないものか。  それからもう一つは、巡視艇が中間でとまっていたのは波浪の様子を見ていたのだ、こう言うが、私の聞いた範囲では、そういうことをおっしゃらなかった——もちろんおっしゃったかもしれませんが、私の印象に残ったところは、とにかく港口の通路に船が沈没しているようにも見えたし、それから、そうやっているときに民船が一ぱい引き返してきて、行ってもだめだと言われた、こういうことを船長が言っている。行ってもだめだということはどういう意味で言われたのか知りませんけれども、とにかくそういうことは一般民船と保安庁の職員ということの違いということも考えていなかったのではないか、こういうふうにも私は思うのです。いずれにしましても、これはやったと言うでありましょうし、片方がやらぬと言ってもやったと言うのでは、水かけ論でありますから、いずれにしても、そういう批判を受けないように、もう少し適切な方策をとるべきだ、こういうふうに考えるのであります。そういう点については御答弁がないようであります。やるだけやったのだから仕方がないというような感じを受けるのであります。ひがみかもしれませんが、こういうのは私はどうしても納得しません。  それからもう一つ、新造計画その他についても、この銚子の問題でお触れになっておらぬ。これは水産庁からもお見えになっておると思うのでありますが、この漁港に入港する漁船の数は年間七万二千ぞう、トン数にすればこれは大体二百五、六十万トンある。こういうふうに、全国どこに比べても、これは有数な漁港なんです。そういうところに対して、今の巡視船艇その他の救難態勢は、ほかとの振り合いからいっても、非常にお粗末ではないかと思う。それから保安本部から、あるいは管区からも出てくるでありましょうが、巡視艇が、こういう遭難のときには、使いものにならぬ。たとえば喫水が二・六メートルある。年々歳々この河口はいわゆる土砂の沈滞が多くて浅くなっておる。航路の道幅も非常に狭くなっておる、こういうことなので非常に使いにくい、こういうようなことを再三言っているそうでありますが、それに対してどういう考えをしているのか、あらためて今後この救難警備の態勢を強化する考えがあるのかないのか。単なる標識だけつけたのではなくて、船そのもの自信がないというのでありますからこれを変える、これに対してもう一ぺんお尋ねしておきたい。  それから死体捜索ですね、こういうことについても、われわれが見た範囲ではどうも手ぬるいといってはおかしいが、あたりまえのような事故に考えていやしないか。去年の何月でしたか、全日空の飛行機が海上に墜落して、三十三名の乗員が全部死んでしまった、えらい事故だった。ところが川口港では先ほど申し上げたように二十八名死んでいる。この前も、十月に五名死んでいる。それから去年は小型船々々々とおっしゃいますが、去年の三月十九日の七面丸は五十七トンです。これは全員救助されなかったということなんです。出動が四時間後だった。こうなりますと、大体こういう漁船銚子川口遭難して死んでいくのが普通のことであるというような考え方が基礎になっていやしないか、こう思うのです。飛行機の墜落事故は大へんな機動力を利用して死体捜索をした。残念ながら翌日ビーチ・クラフトが飛んできて捜索している。ところが巡視艇は先ほど言ったように二時間後川口港を出ていって、夕方には犬若錨地に行って、翌日また帰ってきたというだけ。地元からの要請がなかった、もちろんあれば出ますと言っている。そういうものであっていいのかどうか。これは先ほど政務次官からも御答弁がございましたが、小さい事故ではない。しかも全部一ノ島灯台付近波浪によるものが多い。しかも救難態勢は全然ないといってもしかるべきだ。なぜならばこれは救助できないのであるからであります。こういうのを軽く見ているところに今日の問題がありやしないかと私は思うのです。これについても答弁いただきたい。
  7. 林坦

    ○林(坦)政府委員 船の問題でございます。実は銚子の問題につきましては、非常にむずかしい状況にありますために、実はまだ検討中でございます。とにかく「なみちどり」は先ほど御指摘のございましたように、二・六メートルの喫水がございます。しかしこれをかりに遠くに持っていく場合には、やはりこれでも足りないのでございます。銚子川口における遭難に対しまして、できる特殊な海象、あそこにいろいろな波が非常に高いといったような関係もありますし、かつ浅喫水でなければならぬというような関係がございまして、特別の耐波性のある、かつ浅喫水の巡視艇というものはどういったものがよろしいかということは研究いたしております。これらにおいて結論を得ましたならば、それらについての検討を具体化していくようにいたしたいと考えております。ただ、先ほどもお話がございましたが、銚子の河口のような場合には、あの岩礁がございまして、いそ波が非常に強いという状況でございます。船による救助というものにはやはりおのずから限度があろうと考えます。従って、それに対して今度はどういうふうな方法が必要であるかというような問題も、さらに深刻に考えて検討しなければならない問題だと考えております。  なお死体捜索につきまして、今度の場合はどうであったかというような点がございますが、もちろん当日出ました「なみちどり」は当日夜までやりましたが、日没になって捜索ができなくなりまして、犬若の方に一時寄泊いたしました。しかし、翌朝からまた参って、翌日、その翌日も捜索をいたしておるのであります。なお、その場合にはビーチ・クラフトも出しまして同時に捜索に当たったわけでございます。どうもその状況がなかなか効果を一ぺんに上られなったのは事実でございますが、これによりまして、地元とも話し合いまして、自後やはり警備とともにこの死体捜索に当たっておる状況でございます。決してこの人命事故を軽視しておるつもりはございませんが、銚子における特殊のいろいろな海象状況、あるいは地形状況等のためにすみやかに効果を上げるということができないでおることはまことに残念でございますけれども、この問題につきましても、海上保安庁としてまじめに検討して対策を立てていきたいと考えております。
  8. 久保三郎

    久保委員 今の御答弁で、銚子河口における波浪関係があるから、これに適応した船の研究をして、結論ができたらば考えるというその研究はいつ終わるんですか。見通しはどうですか。
  9. 林坦

    ○林(坦)政府委員 すでに関係方面ともある程度話し合っておりまして、たとえばゴムボートであったらどうであろうかとか、いろいろな問題があるのでございますが、これをほんとうに具体的にしますためには、やはりどうしても一年近くはかかるのじゃないかと考えております。
  10. 久保三郎

    久保委員 その間今の態勢のままでこれから対処できると思うのかどうか。
  11. 林坦

    ○林(坦)政府委員 私どもの対策としましては、そういった船を作ればそれで万全の備えであるとは、あの場所については決して考えられません。もっといろいろ問題があろうかと思います。たとえば岩礁の問題をどういうふうにするか、あるいは事前にこういう問題が起こらないようにするためには、先ほどの波高計の設置の問題を具体化しまして、科学的な表示方法によって海難をあらかじめ防止する、また、あるいは海難防止会といったようなものをひんぱんに開いて、小型漁船を対象とし、あるいはその地方に入る船を対象といたしまして、操船方法、あるいは救命設備の常備等につきまして、さらに啓蒙を深める、あるいは水深の変化に対する検測をしばしばいたしまして、こういった問題をさらに周知徹底をはかる、その他のいろいろな間接的な方法は幾つもあろうかと思います。ただ、今申し上げました船の建造の問題はその一つではございますけれども、これにはやはり時間を要するということを申し上げたわけでございます。
  12. 久保三郎

    久保委員 船だけでは万全でないことは、これはお話でわかりました。しかし、船そのものが全然と言っては語弊がありますが、今のところでは全然といって過言でないと思うほど、いわゆる河口の遭難事故については使いものにならぬ、その他の方では使いものになるようです。そういうことを私は聞きたい。それにいつのころから御研究なさっているかわりませんが、あと一年ぐらいかかるというのはずいぶんひまのかかるものだと私は思う。どうなんです。いつのころから御研究が始まったのですか。
  13. 林坦

    ○林(坦)政府委員 銚子の問題につきましては、実は前々から現在あります十トンぐらいの船、あるいは百七十トンの中間的な船が適当ではないかといったような申し出もございまして、もちろん十五メートルないし十七メートルぐらいの船はどうかというような点で考えておることはすでに事実でございますが、あの場所は特に浅喫水であります関係上、問題は非常にむずかしいことになるのでございます。しかも波が荒いという状況でございますので、研究は私いつごろからということは聞いておりませんが、実は数カ月前にも実験的にゴムボートその他で研究をしたということも聞いております。従って、それをいろいろからみ合わせてどういうものにしたらいいかということを結論を出すには、やはりある程度各方面の権威ある方々の意見ないし実験等を必要とするのではないかというので申し上げたわけでございます。
  14. 久保三郎

    久保委員 とにかく波浪の研究についても、実は茨城県営の測候所でございますが、那珂湊の測候所は従来から河口における波浪の研究をやっておる。最近これは自動的な波高計が入るそうでありますが、今まではそういう研究をしていて、漁船の難破を防いできたようであります。これは測候、気象の関係はあなたの所管外だと思うのでありますが、今までも波浪についての研究あるいは調査なりはしていたのかどうか。
  15. 樋野忠樹

    ○樋野説明員 お答えを申し上げます。波高計は水路部で試作品を作りまして、銚子黒生町沖で昨年の九月にやっております。それで、ちょうど二十号から二十一号の台風関係をうまくキャッチしておりますが、一番盛んのときに機械の故障が起こりまして、今試作中でございますが、ずっと研究しております。
  16. 久保三郎

    久保委員 とにかくこれは船艇の改造なり新造なりを早急にやってもらわなければ、年間七万二千隻も入ってくる港を無防備の状態にしておくこと自体が問題だと思う。これは万全でないと思いますが、まず船艇をやっていただきたい。これは政務次官にも強く要求しておきます。  それからもう一つ、先ほど答弁がなかったようでありますが、乗組船員の数が定員一ぱい一ぱいだということでは、どうやっても遺憾ながらいわゆる官庁執務時間で終わりということで、火急の用には立たない場合がありはしないか。こういうところから勤務態勢も実は地方住民の要望にこたえられないような形になってきやしないか、こう思うので、人間の増員については早急に対策を考えてほしい、こういうふうに思いますが、どうでしょう。
  17. 林坦

    ○林(坦)政府委員 人員の問題は、もちろん数が多ければわれわれの方も勤務その他からいいましても非常に楽でございますが、人員増ということはなかなかむずかしい状況でございます。しかしながらこの巡視船につきましては、大体当直を置きまして常時動ける態勢において勤務いたしております。なお十分でない点はわれわれとしてもさらに考えて、検討しなければならぬと思います。
  18. 久保三郎

    久保委員 続いてお尋ねします。とにかく海上からでは完全な救助ができないということはお話通りであります。とすれば、陸、空からの救助態勢をもう少し増強しなければいかぬ。たとえば、陸の場合は一ノ島灯台付近遭難が多いのでありますから、あの灯台付近に、たとえばもやい銃であるとか、ゴムボートとか、ロープとか、そういうものを置くなりというようなことは今までもやってしかるべきだと思うが、いまだにやっておらぬということは怠慢だと思います。これをこの直後やる考えがあるかどうか。  それからもう一つは、荒天時には特にその地点が遭難現場でありますから、そこに保安庁の職員を見張りに置くとかいうような態勢を増強するべきだと思うが、これはどうです。
  19. 林坦

    ○林(坦)政府委員 もやい銃の件につきましては、検討してみたいと思っております。  それから見張りでございますが、これは大体役所が比較的高い場所になる関係もあり、灯台の付近に置くということはあるいはむずかしいかもしれません。こういう場合においては十分気をつけるようにいたしたいと思います。
  20. 久保三郎

    久保委員 そんな答弁では、事故のあった場合に、困るのであります。私の言いたいことは、灯台そのものを改造して、そこへ救難用具を常備し、あるいは見張りがいるようにするということだけじゃなくて、保安部から行くのに、四十分もかかるのでは、第一今の態勢では間に合いません。だから荒天時には灯台そのものを改造して、そこにいるようにするということになれば、できるはずだ。そういう考えはないですか。
  21. 林坦

    ○林(坦)政府委員 改造して、見張りを置くということは考えておりません。今お話のございましたように、今後保安部におきまして、十分気をつける考にいたしたいと思います。
  22. 平井義一

    平井委員長 ちょっと久保君に申し上げますが、水産庁の漁港部長が来ておりますが、質問ございませんか。
  23. 久保三郎

    久保委員 ございます。——それはどういうわけで、置くつもりがないのか、そういうことを検討しておらぬという意味ですか。
  24. 林坦

    ○林(坦)政府委員 さらに研究してみなければわからぬかもしれませんが、一ノ島の灯台というのは、改造いたしましても、人を常時そこに置いておくことが適当な場所ではないように考えております。しかし、われわれの方としましても、今せっかくお話もございましたので、研究はいたしてみます。
  25. 久保三郎

    久保委員 常時人間を配置するというのではないのです。荒天警戒の場合に、そこに配置したらどうかというのです。常時置く必要はないです。荒天警戒の場合くらいそこに出張って、見張りあるいは救助に当たるという態勢ぐらいはしけそうなものと思うが、どうです。
  26. 林坦

    ○林(坦)政府委員 現在までは考えておりませんが、この問題は御指摘がございましたので、私の方でも検討をいたしておきます。
  27. 久保三郎

    久保委員 次に空からの態勢でありますが、大体ヘリコプダー、これはこの近所に配置がございますか。
  28. 林坦

    ○林(坦)政府委員 現在のところはございません。来年になりましたならば、函館方面からこっちの方に持ってくるつもりで、今いろいろ計画を考えております。
  29. 久保三郎

    久保委員 それでは来年、ヘリコプターをその近所に持ってくるということで、空からの救助は大体間に合うということですね。  次に救命用具の問題でありますが、先ほども何回も出ましたもやい銃その他の問題は、どうも不備なのか、扱いがなれていないのか、こういう点もよく注意してもらわなければならぬし、それからゴムボートの問題も、巡視艇ではなかなか風波の激しいときには、ゴムボーとをふくらまして投げるということも困難である、こういうふうに聞いていますが、これらの研究も早急にして、万全を期してほしい、こういうふうに思います。  それからもう一つ、一般漁船の救命胴衣といいますか、そういうものの着用も、積極的にさせるべきだと思う。ところが、企業にしてもあるいは乗り組みの漁夫にしても、いずれも全部零細企業が多いのであります。そういうことになりますと、なかなか自前でこれをどうするということも非常に困難だと見受けられるものが多い。よって、この際これらに対する一つ対策を何か考えてみたらどうかと思うのだが、どうですか。
  30. 林坦

    ○林(坦)政府委員 御指摘のございましたもやい銃あるいは救命用具その他の問題につきまして、さらに研究を進めていきたいと考えております。  なお、漁船乗組員の救命胴衣の問題でございますが、もちろん自分の命のことでございますから、こういうことについては十分気をつけるべきでございますけれども、経済的の理由その他からなかなかうまくいかないというような問題もあろうかと思います。お話の御趣旨は、これは関係方面にもよく連絡をとりたいと思います。主として水産庁の方で考えていただくべき問題ではないかと考えております。
  31. 久保三郎

    久保委員 続いて、水難救済会というものがございますが、これの末端組織は救難所ですか、これの活動なり救難救助の用具の備蓄、そういうものが完全ではないように聞いておるのですが、この状況はどうなっておるか。あるいはこういうものを水難救済会というようなところでやって、はたして今日の間に合うのかどうか。これに対するお考えを一つ承っておきたい。
  32. 樋野忠樹

    ○樋野説明員 お答え申し上げます。水難救済会の現状は、非常に財政的に困っておるのは事実でございまして、先生の御指摘のように、いろいろの用具その他はそろっていないのが実情でございますが、私どもの方としてもできるだけ私どもの持っておる道具を今のようなときにすぐにもお貸しできるような状態に一部基地備品として用意してございます。そういう点につきましても、今後いろいろ財政に水難救済会の援護といいますか、力添えになってやっていきたいと考えております。
  33. 久保三郎

    久保委員 それでは次に、漁港の根本的改築について水産庁の方あるいは関係である港湾局ですか、その方へお伺いをしたいと思うのであります。  銚子港に入港する漁船が先ほど申し上げたように年間七万二千隻、トン数にして約二百六十万トン、こういう数字はほかの漁港には見られない数字であります。漁獲高その他の問題とは違いましてとにかく船の数が多い、しかもトン数も多いということでありまして、漁港としての価値といいますか、これも重要な問題であると同時に、あるいは今までの避難実績からいきまして、今度は久慈港がこの鹿島灘付近ではできましたが、久慈港からずっとこっちまでの間銚子港以外にない、こういうような状態であります。避難港としてもかなり重要であるという港であります。そこでただ特殊なものは波浪のために非常に災害が多いということであります。その波浪も単なる風波によるところの波浪ばかりではなくして、うねりによるところの波浪、そういうものが多い、こういう特徴があるわけです。しかも、先ほども申し上げたように川口港の特徴かもしれませんが、年々歳々港が浅くなっておる、あるいは航行路が狭まっていく、こういうことであります。こういう特性を持った川口港に対して今のような態勢では、おそらく近い将来に漁港としての使命がもう果たせなくなってしまう、使用が不可能になるのではなかろうか、こういうふうにしろうと考えとしては持つわけです。これらに対してどういう考えをしていくか、あるいは根本的な対策としてどういうようなものを今持っておられるか、それを一つお尋ねしたい、こういうふうに思うのです。
  34. 林眞治

    ○林説明員 お答え申し上げます。銚子の漁港はお話のように日本におきまして有数な大漁港でございます。全く先生のお話通りでございます。ただ河口にございまするいわゆる河口港でございます関係で、お話の埋没の問題、あるいは川と海との関係でございますので、波の条件等が特殊の事情にあることもお話通りであります。昔からの大漁業地でありまして、中には銚子、波崎、両方の漁業地を控えておるわけであります。  そこで、御承知と思いますが、古くから銚子漁港の修築改修につきましては、農林省におきまして補助をいたしまして、実施をいたして参ったわけであります。その仕事が前の計画につきましては、大体昭和三十三年度に終了をいたしたわけであります。たとえば航路につきましても、計画といたしましては五メートル五十を維持したい——これは漁船の大型化という問題もございましたので、途中から計画変更いたしまして、五メートル五十に航路の浚渫をいたしたわけでありますが、あるいは流砂の関係、あるいは漂砂の関係等から、お話のございましたように、港口における航路の不安定、ないしば埋没による水深不足等の問題から、五十トン以下の船につきましては、水深の問題もただいまのところいいのじゃないかと思いますが、それ以上の大型船につきましては、やや困難がありますので、根本的対策を考えなければならないと考えておるわけであります。さしあたり本年度におきましては、根本的対策の前提といたしまして、いわば維持浚渫と申しますか、航路の維持をいたしますために、今まであまりそういう事業をやっておりませんでしたが、特に三千万円の事業費をもちまして、約六万立米くらいをやることにいたしまして、ただいまそれを実施中であると思います。  なお根本的な対策につきましては、漁港としてもきわめて重要な地位にあることはお話通りでありますが、河川といたしましても、いわゆる利根川でございまして、なかなか問題のきわめて深刻な河川でございます。その河口にあるわけでございますから、河川の関係とのいろいろなお話し合いをいたしまして、両方が相成立いたしますような計画を作り、それによりまして、われわれの立場から申しますと、航路の水深維持ができますようにやりたいということで、昨年度、県及び私の方、河川の関係等といろいろ御相談をいたしまして、なかなかむずかしいめんどうな技術的問題がございますので、まず銚子のいろいろな条件の調査、それからそれによりまして模型実験、これによりまして両方の要請をうまく調整するのにはどうしたらいいかということを研究中でございます。模型実験もただいま進行中でございます。これが終わりましたならば、十分協議をいたしまして、問題は航路における水深維持ということが一番大きい問題だと思いますので、それに対して、あるいは背割堤といいますか、そういった具体的工作物の研究をいたしまして、事業化をいたして参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  35. 中道峰夫

    ○中道政府委員 ただいまお話がございましたように、銚子の河口は昔から難所であるといわれておりまして、地元関係方面からも強くこの点について避難個所がほしいという要請もございました。運輸省の方では、単に漁船ということだけでなくて、一般の通行船舶に対する避難港ということを考えまして、このみさきを回りました、ちょうど銚子の背面になる名流地区に現在避難港を建設中でございます。大体昭和二十七年に着工いたしまして、現在まで主として防波堤の工事でございますが、ほとんど七割近く完成をいたしておるような状態でございます。今回の遭難状況を考えますと、出漁漁船十四隻の中で、六隻がこの名洗避難港に避難をいたして参りまして、事なきを得ておるというような事情もございますので、さらにこの避難港の整備は促進いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  36. 久保三郎

    久保委員 漁港部長さんからお話がありましたが、そうしますと来年も調査といいますか、研究といいますか、続けられて、そのあとで基本的な、根本的な改修計画を立てる、こういうふうになるわけですか。
  37. 林眞治

    ○林説明員 調査について申し上げますと、大体千六百万円程度の計画をもちまして、模型実験、現地調査これは水位、河口、流量、底質の調査、水深測量、いろいろな調査をやるわけであります。三十三年度から開始いたしまして、本年度も継続中でございますが、進行の度合いからいたしまして三十五年度に一部なおかかるようになるわけであります。従いまして三十五年度におきましては、これに基づく具体的な改良計画と申しますか、具体的なことを研究して定めて参りたい、こういうふうに考えております。
  38. 久保三郎

    久保委員 河口港はここばかりではなく、その他にもございまして、大体似通った特性を持っておるところが多いと思う。たとえば先ほどの那珂湊の問題もそうです。こういうことについて、これは水産庁ばかりではなく、関係の運輸省あるいは建設省、こういうものが共同でやってもらわなければ、うまい工合にはできないだろう、こういうふうに思うのです。これは政務次官に要望しておきますが、銚子港ばかりではなく、よそにもこういう問題があると思うので、河口港に対しての総合的な対策を、やはり政府自体として考えてもらう必要がある、こういうふうに思うのです。もちろん銚子港については、今漁港部長からお話がありましたが、これは早く完成してもらわなければなりません。それと並行してやはりそういう問題を研究あるいは調査し、対策を練ってもらう必要があると思う。港湾行政が今年度から政府の施策によって、太鼓入りでだいぶ宣伝されておりますが、なるほどそれも必要です。必要ないとは申し上げませんが、それに目が奪われて、こういう零細企業が主体になって使う河口港というか、漁港というか、そういうものがどうも裏側に隠れてしまうというのは残念だと思うし、また、先ほど繰り返し申し上げたように、乗組員等が船ぐるみ死んでいくということは、漁船だからあたりまえのようにどうも感じてやしないか、そこに問題もあるので、真剣にかかっていただきたい。だからこれに対する対策一つ政務次官の方で関係方面連絡して、早急に樹立していただきたい、こういうふうに考えます。避難港についても七割程度防波堤ができたそうでございますが、来年度引き続き早急にやって、今の救難態勢とあわせて、この方面の完備をして損害をなくしてほしい、こういうふうに思います。漁港部長に対しては、一日も早く銚子港の改修をして、りっぱな港にして、安心して漁業ができるというふうに強く要望しておきます。とにかく政府にしても世間にしても、くどいようでありますが、こういう事故に対しては多少の関心は払うかもしれませんが、深刻な関心を払わぬのが現状であります。特にこれはなれっこになって、銚子港を管轄する保安部等はしょっちゅうあることだというふうにだんだんなってきているのではなかろうかと思うのであります。非常に残念なことであります。よって、根本的な対策を早急に立てることだ。それから地元の協力もこちらの態勢ができなければなかなか思うようにできぬことでありますから、職務執行の態勢にしてもきちんと整えてやってほしい、こういうふうに私は要望して、一応質問を終わります。
  39. 内海清

    ○内海(清)委員 関連。今、久保委員から御質問ございました点につきまして、私がお尋ねいたしたいと思っておりましたことは大体述べられましたので、きわめて簡単に一、二申し上げたいと思います。  今回の二十五日の事件は、まことに貴重なる人命を失いました。私どもは先般も小型船人命財産の保護ということで、小型船に対する通信設備の問題をここで決議をいたしたわけでございますが、今回の事故に対します応急の救難態勢というものが十分にできていなかったということは、ただいまの質問で明らかに相なったと思うのであります。しかし根本的な問題は、やはりこういうふうな海難をなくするということ、ことに銚子港におきましては今日まで多くの海難が出ておるのであります。私が調べたところによりますと、三十一年は二件で、死亡がないようでありますが、三十二年になりますと四件で、行方不明が一名と死亡が一名、三十三年になりますと八件で、行方不明が十二名、死亡が五名、さらに三十四年になりますと、今日までが七件であって、行方不明が二十九名、死亡が五名というような状況であります。このことはただ単に応急的な救難態勢を整えただけでは容易に解決できない問題じゃないか。ただいまお話がございました銚子港の河川港としての特殊な港、これに対する根本的な対策を講じなければならぬと思うのであります。しかし、ただいま承りますというと、農林省におきましてもあるいは運輸省におきましても、それぞれの計画によってこれが実施いたされておると思うのであります。これが早急に実現を見なければ、今後再びかような海難、大事件を起こすことは火を見るよりも明らかだと思うのであります。従って私は、この際にこれらの計画が早急に実現いたしますよう特にお願い申し上げたいと思うのであります。  かような意味合いから、一つ委員長にお願い申し上げたいのでございますが、ただいま国会開会中で非常なむずかしい問題もあると思いますけれども、当委員会といたしましてもでき得べくば調査団でも作っていただきまして実情をよく調査し、そうして委員会で今後根本的な対策の実現について強力に進めていただきたい。このことを委員長に希望を申し上げてお願いしておきたいと思うのであります。  なお、応急のものといたしまして、救命用具の問題など今論議されたわけでありますが、これは船舶安全法で今日規定されております。しかし、このものはまだ不完全なものであって、これは再検討されなければならぬものじゃないかと思うのであります。特に今日ではいろいろな救命用具もできているようでありますし、科学的な研究の上に立ってこの点も検討していただきたい。同時に、ことに漁船等につきましては、業者にいたしましてもあるいはまた乗組員にいたしましても、比較的海難に対する関心と申しますか、心がまえというか、そういうふうな面の指導訓練が十分でないと思うのであります。この点につきましては先ほどの御質問にもありましたからくどく申し上げませんけれども、今後当局において十分な指導訓練、教育をいたされまして、応急の海難救助の万全の態勢を整えていただきたい、こういうことを申し上げまして私の盗問を終わりたいと思います。      ————◇—————
  40. 平井義一

    平井委員長 次に、陸運に関する件について調査を行ないます。  踏み切り問題について質疑の通告がありますので、これを許します。板川正吾君。
  41. 板川正吾

    板川委員 私は最近頻発する交通事故の問題に関しまして、またその交通事故の中で非常な災害をもたらしております踏み切りの問題等に関連しまして質問を行ないたいと思いますが、最近陸上交通の分野で自動車が急激な進出をいたしておりますことは御承知の通りであります。日本経済の成長、国内自動車工業技術の進歩、国民生活の向上等によって自動車の陸上輸送面における役割が非常に大きくなっておりますことは御承知の通りであります。たとえば旅客輸送の人員では全体の四割近くが自動車輸送であります。また貨物輸送の扱いトン数では七割六分が、これまた自動車によって輸送されているのであります。     〔委員長退席、天野(公)委員長代理着席〕  しかしながら、この自動車輸送が非常に増大しております反面に、交通事故が非常に急速に増加しておりますことも御承知の通りであります。特に昨年、三十三年度の実績を見ますと、交通事故の件数が約十七万件であります。これは前年に比較しまして一五%増加しており、死者が八千二百四十八人で、前年比九%増しで、負傷者が十四万五千四百三十二人、これまた前年比一七%増しということになっております。またこれを一日当たりにしますと、件数で四百六十三件、死者が二十三人、負傷者が三百九十八人、こういうふうになっております。これは昨年度の実績でありますが、本年度はさらにこの交通事故が増加しまして、件数においては一八%増し、死者が二一%増し、負傷者が二二%増し、死者が一日三十人をこえる、こういうふうにいわれておるのであります。こういう交通事故が頻発して参ります事態というものは、まことに憂慮すべきであろうと思うのであります。特に最近の事故は、交通機関の頻度化、スピード・アップ、また大型化というようなことから事故の被害が非常に甚大となった。昔ならば十年に一度ぐらいしか起こらないような大事故が最近は月に一度くらいの割合で起こっておるようであります。しかも、関係者も世論も、こうした大事故が頻発しておりますることをやむを得ないというような状態で、半ばあきらめておるようにも見えるのであります。私どもからいうと、反省といいますか、原因の追及、事故防止に対する熱意がどうも足りないやに思うのであります。私も運輸関係でありますから体験上からもわかるのでありますが、昔、大事故が起こりますると直ちにその事件の原因を徹底的に究明して、その後の事故防止に万全を期するというのが非常に熱心に行なわれておりました。ところが今日は世論もあまりやかましくない、だから同じ踏み切りで同じような大事故が相次いで起こっても、また同じ道路で同じような自動車衝突事故が連続して起こっておりましても、鉄道側も、自動車側も、道路側も、また警察側も、原因を究明してその事故の防止をするという熱意が少ないと思うのであります。これはまことに人命軽視の憂うるべき傾向でありまして、私は自動車の発展普及等から考えまして、今にしてその対策を根本的に立てなければ、将来さらにこの大事故が頻発して参るのじゃないか、こういう点を憂うるのであります。  そこでまず私は次官に、この交通行政、特に事故防止上の行政、これについて政府としてどういう対策を考えておるか、お伺いをいたしたいと存じます。
  42. 前田郁

    ○前田(郁)政府委員 ただいまお話の踏み切り事故の問題に対しましては全く同感でございまして、最近その数もふえて参りますし、運輸省としても、この問題に対しましては、どうしても根本的の対策を立てなければいかぬと、ただいま交通事故防止対策本部にすべての問題を提案いたしまして、その結果を待ちましてこれに対するところの法案も出したい、こういうことでやっておるわけでございます。ただいま私自身といたしましてもこの事故防止の陳情とかいろいろなものを各方面から受けまして、最近またいろいろな事故が起こりまして、それで痛切にこの問題を解決しなければいかぬということを考えているわけでございまして、本問題に対しましては私もできる限りの努力をいたしまして、来たるべき国会に法案も出したい、こう考えておる次第でございます。
  43. 板川正吾

    板川委員 政府も一つこういう交通事故の実態をよく認識されて、事故防止のために一そうの御努力を願いたいと思うのであります。  そこで私、まず鉄道監督局長、自動車局長、国鉄関係運転局長、さらに建設省の道路関係を担当されておる責任者の方から、交通事故を防止するについてどういう対策、どういう考えを持っておるか、また現在の交通事故に対する認識といいましょうか、そういう点をとりあえずお伺いをして、次の質問に入りたいと思いますから、順次一つ各立場から交通事故防止対策についての所見を承りたいと存じます。
  44. 山内公猷

    ○山内説明員 交通事故が交通の発達に伴いまして漸次上昇しております根本的な問題につきましては、ただいま先生の仰せられました通りでございます。ただ交通事故というものが鉄道なり自動車なりの走行キロに非常に大きな関係があるという面から見ますと、ある程度その自動車の増加の割合に対しまして並行的にふえておるということはないわけでございますが、しかし事故というものが絶滅されないまでも絶対数において減らさなければならないということは私たちも常々考えておるところでございます。根本的な問題といたしましては、ただに運輸省だけの問題でもなく、ただいま政務次官からお話のありました内閣の交通事故防止対策本部というものを作りまして、各省集まりましていろいろの立場から施策を進めまして、総合的な事故防止の態勢をとっておるわけでございます。  そこで、私どもがこの事故防止につきまして常に関心を持っておりますのは、事故の起こります原因は、一面におきましては人的な原因があり、また一面におきましては物的な原因がある。その双方詰めまして事故を絶滅していかなければならないということで考えておるわけでございます。その問題につきましては、現在一番事故の多いのは自動車関係でございますので、その点につきましては自動車局長からお話し願うことといたしまして、われわれの部面におきましても機関土の試験を実施いたしまして、技術の向上に努めておるわけでございます。かつまた事故の一番ふえております踏み切り事故につきましてはただいま法案を研究中でございますが、踏切番というのが今まで非常に低い立場にありましたが、これを踏切保安人という法律上の一つの職制にまで上げまして、この人たちの地位を確保することによりまして事故を少なくして参りたいというふうに考えておるわけでございます。それから物的の面におきましては、鉄道の面では信号の問題あるいは車両の問題、これはそれぞれその方でも研究しておるわけでございますが、特に踏み切りの問題につきましては、これも今回法案の中で検討いたしておりますが、今までは踏み切りの基準というものはないわけでございまして、結局そのレール上を走ります列車の頻度、それから通路を走ります自動車の頻度ということによりまして、現在まで行政指導によって第一種踏み切りから無人の信号機のない第四種踏み切りまでの格づけができておるわけでございますが、これをある程度法的な基準を作りまして、その基準に合ったような踏み切りを作るように経営者を指導して参りたいと考えておるわけでございます。また全体的にはどうしても経営者並びに実際に第一線に働く人たちの事故防止というものに対する注意力が必要でございまして、これらにつきましては毎年秋に全国踏切安全運動というものを実施いたしまして、踏み切りの安全をはかりますとともに、交通事故全体に対しましては繁忙期に入ります前にわれわれの方から逐次そういった事故の情勢、事故防止の心得というものを国鉄並びに各私鉄に連絡をいたしまして、さらに一そうの注意を願うことにいたします。とともに、事故が起こりますと、ただいま先生の仰せられましたように、その一つ事故を掘り下げまして、もって他山の石にするという意味合いから、事故警報というようなものを各事業者に伝達いたしまして、同種の事故の起こらないように注意を払うように指導いたしておるわけであります。  簡単でございますが、大体われわれの方で今やっております交通保安の面におきます行政の大要を御説明いたしたわけであります。
  45. 國友弘康

    國友説明員 交通事故防止は、われわれの最大の命題でございますが、この防止に関しまして施策を進めていきます上におきましては、その所管及び関係する官庁が非常に多いわけでありまして、そういう関係で、先ほど政務次官からもお話がありました交通事故防止対策本部が設けられまして、事故防止対策というものが討議されましたのですが、この事故防止対策本部におきましては、われわれの関係から申しますと、一番最初に神風タクシーの問題が取り上げられました。さらに目下問題になっておりますのが神風トラックの問題、長距離路線を運行いたしますトラックについての労務管理あるいはその他事故防止の問題、それから砂利トラック輸送についてのスピードの問題あるいは事故防止の問題、こういう問題が現在取り上げられ、その対策を練っておるわけでありますが、私ども自動車局の関係といたしましては、これらの事故防止対策本部の決定等も受けまして、運転者の休養施設の整備とか、そのほか運行管理者の選任に関する規定とかいうようなもので、省令等の改正もいたしたわけでありますが、それによりまして相当事故防止についての施策を進めますと同時に、今後は重大事故原因についての徹底的な調査究明、それから対策の研究、あるいは労務管理の適正化のための事業者の監査、それから指導の強化とか、あるいは定期的な運転者の実態調査と整備事業の保安監査の強化というような問題、あるいは運転者や運行管理者の研修制度を強化するというような問題につきまして、さらに今後強く指導し、施策を進めていきたいと考えておる次第でございます。
  46. 佐藤寛政

    ○佐藤(寛)政府委員 最近におきまして道路交通の事故が非常に多くなっておりますし、またその一つ一つ事故を見ますというと、それが相当深刻になっておるように私感じております。このことは道路を担当しております建設省といたしましても非常に重要なことであると、実は私は道路の責任者といたしまして心痛いたしておる次第でございます。申すまでもございませんが、この原因にはいろいろな理由がございましょう。人的な方面の理由もございましょうが、施設の面から見まして、私の担当いたしております道路というこの施設の面から見まして、まだまだ不十分な点、これが相当原因になっておるというようなことも考えられるわけでございます。これにつきましては、私ども道路の整備にあたりましては、踏み切りの除去あるいは整理ということを相当重要といたしております。現在道路工事を実施いたしております道路整備五カ年計画、この計画におきましては、個所にいたしまして三百六十カ所、約四百億円程度の事業になるわけでございますが、この五カ年計画におきまして、重要な危険な踏み切り、この程度に対しまして一つ改善をはかりたい、こう考えまして、すでに本年度におきましてもそのうち百二十カ所について手をつけておるような状態でございます。しかしながら、この程度の改善ではとうてい十分どころか、まだまだもっとやりたいわけでございます。のみならず、この踏み切りを除去して立体交差にいたし——その事業を待っておられない平面交差のいわゆる踏み切りでございますが、その踏み切りはかりに踏み切りのままであっても、もう少し手を入れれば若干安全な踏み切りになるところもあるというようなこともございまして、最近、踏み切り事故などございますと、道路の管理者側からも出させまして、十分その原因調査させておるわけでございます。近くのものに対しましては、もちろん本省からも出かけまして、いろいろ道路施設側のさらに改善する点があるんじゃないかということを注意いたしておる次第でございます。そういうふうにいろいろ工夫いたしまして、踏み切りの整理、除去をできるだけ早く促進いたしたい、関係方面ともよく御連絡をいたしまして整備を進めたい、こういうふうに考えております。
  47. 石原米彦

    ○石原説明員 それでは国鉄といたしまして、運転事故防止の点につきましてごく概略申し上げます。  国鉄といたしましては、終戦以後悪性事故の増加に悩まされたのでありますが、その後年々落ちついて参りまして、近年は毎年、事故の総件数におきましても、またこのうちで最も私どもが重要に思っております列車の事故、列車脱線、列車衝突というような事故、そういうような面におきましても、責任事故におきましても、年々幸いにして減少いたしましております。現在の成績を大づかみに戦前の昭和十一、二年に比較いたしますと、列車走行キロ当たりの件数は、列車事故におきましては大体三分の一、それから職員の責めに帰する事故においては四分の一という状態にまで詰まって参りまして、相当国鉄が安定したいい運営をしているといわれておりました昭和十一年ごろに比べましても、運転事故の成績は格段に上がって参ってきているのでございます。ただ、一つだけ心配いたしておりますのは、踏み切り事故でございまして、これは年々増加しております。それで、最近、昨年、今年あたりの実例で申しますと、特に重大事故——私ども多数の死傷者を伴いましたりあるいは多数の車両の脱線転覆を伴うというものを特に重大事故統計というのにとっておりますが、それの七割ないし八割は踏み切りの障害に原因する事故でございます。従いまして、一般の事故といたしましては、率直に申しますと、これは生身の人間のやっていることでございますから何とも言えませんけれども、大体そう社会に御迷惑をけるようなことはあまりなくて済むのじゃないかと思っておりますが、踏み切り事故につきましては率直に申しまして、非常に危惧の念を持っております。踏み切り事故につきまして、これもごく大づかみな数字を申し上げますと、昨年度の成績で申しまして、一日平均七件の踏み切り障害が起こっております。つまり列車と車あるいは人とぶつかるのでありますが、大部分は車、そのうちでも自動車でございまして、これと一日平均大体六回余りのぶつかり方をしております。なお、踏み切りの上にとまりましたり何かいたしまして、合図をして、非常ブレーキを使って危うくとまってぶつからずに済んだというのがちょうど同じ件数、一日平均七件ございます。うっかりしていればたちまち倍にふえるという状況でございます。それから、それに原因いたします脱線、転覆事故というものも、すでに新聞にも始終出ておりますような状況になっております。従いまして設備的に申しますと、この踏み切りの設備を幾らでもよくしていかなければならないということが、最大の重点でございますが、三十一年の年度中に踏み切り対策の防止の委員会を国鉄限りで設けまして、それ以後そちらの方にある程度計画的に力を注ぎまして、立体交差にいたしますに、この二、三年で五億円の金をかけております。それから平面交差の設備をよくいたしますのに、二カ年間で十一億五千万円ほどの金を投じております。何分にも踏み切りの全部の数で申しますと、全国で、国鉄だけで四万二千カ所ございまして、なかなか手が回りかねる状態でございます。ただいま申しました金は国鉄の負担分でございまして、踏み切りはいろいろ御協定によりまして、建設省あるいは都道府県、道路管理者側にも御負担をいただきまして、協議の上分担をして金をかけておるわけでございます。しかしながら、遺憾ながら事故は毎年ふえておりまして、踏み切り事故は年々例外なしにふえております。それで自動車が増加いたしますのと、この踏み切り事故との関係につきまして私調べてみましたところが、こういう法則ができております。ここ十年間くらい、大体全国の自動車の保有両数が倍になりますと、国鉄におきます踏み切り事故が五割ふえております。そこで、非常に大づかみな申し方で恐縮でございますが、自動車の数が倍になりますれば、その間に鉄道の列車の数ももちろん、それほどじゃありませんが、数字はふえますので、踏み切りでぶつかる頻度と申しますか、それは倍以上になるはずでございますが、五割しかふえていないということは、それだけいろいろ、運輸省あたりで音頭をとっておりまして、私ども一生懸命になりまして踏み切り事故の防止の運動もいたしますし、設備も少しずつよくなっております効果であると思います。しかし逆に申しますと、今のような勢いで自動車がふえて参りますと、今程度の対策では年々また自動車が倍になればまた五割ふえる。そのうちに大きな事故に発展してしまうということも考えられますので、これはぜひこの程度の踏み切りはこうすべきであるという大綱を法律的におきめをいただきまして、それに基づいて優先的に、何でもかんでもやらなければならぬというようなことにしていただきませんとどうにもならないのじゃないかと存じます。実はこの四万二千の踏み切りにつきましては、相手になります、御相談いたします側も都道府県その他非常にたくさんでありまして、そちらの方の財政的な御都合もございます。国鉄にももちろん予算の制約はございますけれども、そういったような点で、必要は認めながら、協議整わずにおる面も少なからず実はございますので、これだけの程度の交通量なり条件なりのところは、いつまでにこれだけのことはすべきであるという義務を課していただきました上で御相談を進めるというようなことが必要なんじゃないかというふうに感じておる次第でございます。以上でございます。
  48. 板川正吾

    板川委員 それではまず自動車局長一つ質問したいのでありますが、交通事故の七割六分が自動車による事故であります。また踏み切りにおける事故の四割七分がこれまた自動車による事故であります。こういうように自動車による事故が交通事故の中で圧倒的多数を占めております。こういうような事故に対して自動車局としては、先ほど申されました内閣の中における交通事故防止対策本部に参加をして、そこで活動をやっておるというのでありますが、いま少し真剣に対策を立ててもらいたいと思うのでありますけれども、具体的にどういうような対策をとられようとしておるか、もう少し説明を願いたいのであります。たとえば道路——東京周辺の国道になりますと、ある地点で常に自動車による衝突事故というものが行なわれます。これは例をあげろといえばあげてもよいのでありますが、十七号国道におきましても四号国道におきましても、同じようなところで常に自動車による衝突事故等が行なわれておるのでありますが、そういうように事故が道路上の事故であるから、自動車の方には直接は関係ない、こういうようにお考えなのでありましょうが、またそうでなくして自動車にも責任があるとするならば、そういう問題に対して、たとえば建設省の方に、この地点はまことに危険であるから道路アイを作るなりあるいはガード・レールを設置するなりして事故防止をしてもらいたい、こういうような要望等をした事実があるかどうか。そういう事故防止の具体的な措置をいかにやってきたかという点を一つお伺いしたいのであります。
  49. 國友弘康

    國友説明員 自動車交通が非常に発達して参りまして、自動車による事故は、数量から申しますと、ふえて参っておることは事実でございますが、私どもとしましては先ほども申し上げましたように、関係個所、関係官庁が非常に多いのでありまして、私どもの担当する分野においては、先ほども御説明申し上げましたように、自動車運送事業等運輸規則の改正もはかりまして、事故防止についての措置を講じておるのでございますが、たとえば道路上について、非常に事故の頻発しやすい道路、そういうところについての考慮ということから申しますと、これは権限のことを申すのではないのですけれども、道路交通取締法を所管しておる公安委員会なり警察の関係が総体的な関係を見ておるのでございまして、私どもといたしまして、現在主点を置いて事故防止をはかっておりますのは、私どもの所管から申しましてもそうなるのでございますが、営業用の自動車について非常にやっております。従いまして、たとえば居眠り運転の防止とか、そういうようなたぐいのものについては、これは強力に指導をしておるわけでございますが、道路についてのいろいろな原因事故が発生するというような場合、防護さくの問題とか、そのほかにつきましては路肩の危険標識の設置等について建設省の方にも申し入れをいたしまして、建設省から道路管理者に防護さくの設置等についての通達を出してもらう等、そういうような措置につきましては積極的に施策を進めており、関係の建設省あるいは道路局、公安委員会、警察庁等とも連絡を十分にしておる次第でございます。
  50. 板川正吾

    板川委員 道路上の自動車事故は警察庁の方の所管ということにもなるかと思いますが、しかし、何といっても事故を起こすのは自動車でありますから、自動車局長も大いに責任を感じて、そういう事故が頻発するような場合には、自動車行政の立場からも一つ道路管理者、建設省の方に事故防止上の措置を申し入れる、こういうようなことを一つ今後も強力にやってもらいたいと思うのであります。  この道路上の事故を見ますると、スピード違反というのが一番多いのであります。これは二割五分を占めております。このスピード違反が防止できるならば、自動車の交通事故というものは大へん軽減されると思う。これは私も実はちょっと見ただけでありまして、詳しいことはわからないのでありますが、最近聞くところによると、自動車に今のメーターのほかに、あれに接続して一つのメーターを取りつける。そうするとそのメーダーには自動的にグラフに記録されるようになっておりまして、時間帯とそれから走行キロ、タクシーの場合は乗降の量あるいはメーターを立てたりした回数、こういうものが、その日の運行状況が一目に記録されるという機械ができた、こういわれておりますし、実は私もきょうは持ってくるのを忘れましたけれども、グラフを見ておるのであります。まだ完全じゃないというのでありますが、私は将来そういうものができたならば全部の車両に取りつけをして、そうして義務的にそういう記録を自動車業者に記録させて保管さしておく、そして事故があった場合には、それを見ればどういうスピードを出しておったかどうかということがはっきりするのでありますし、また自動車事業者の方からいっても、うるさいチャージ問題だとかなんとかいうことも防止できるものであろうと思うのでありますが、こういうようなメーターといいますか機械ができたということを御存じでしょうか。
  51. 國友弘康

    國友説明員 一般的にスピード違反を取り締まっておるのは公安委員会、警察庁でございますが、私どもといたしましては、今先生がおっしゃいましたメーターのようなものが存在しておることを存じておりますし、それの試験も私どもいたしております。タコグラフと称する機械でございますが、先生のおっしゃいますように、いまだ完全とまではいかないのでございますが、これについては十分試験をし、さらに一番最初に考うべきはやはりタクシーの車両であろうと思いますが、それらについて、このような機械を試験的に装着いたしまして、試験的に運行さしてみるということも考えるべきである、その方向に検討を進めていきたい、こう思っております。
  52. 板川正吾

    板川委員 この自動車運送事業等運輸規則を改正して、運転手や業者に事故防止上のいろいろの措置を行なって参ったと先ほど言われますが、なかなか一片の通牒だけでは業者の方もそれを完全に履行しないのが通例でありますから、私はそういう行政指導をされて、記録に残るようなことをさせれば業者といえどもそれに従わざるを得なくなると思うのであります。このメーターはまだ完全じゃないようでありますから、私は事故防止上の建前からいってもこの種の研究等について大いに一つ自動車局の方で助成をされて、一日も早く完成をされ、費用も一台について一万五千円ぐらいの程度だそうでございまして、全部取りつけてもそれほど経営上影響を及ぼすような金額でないのでありますから、取りつけて事故防止をさせるように一つ将来指導していただきたいと思うのであります。  次に鉄道監督局長及び国鉄の運転局長にお伺いしたいのでありますが、最近踏み切りにおける自動車等の事故が非常に頻発しておるということはまことに憂うべき状態であります。自動車がますます大型化して参り、また重量化しておる、鉄道の方はスピードを出すためにますます軽量化して、スピードを出していく、でありますから、こういう中で踏み切りで接触でもすると、お互いに大事故となっておるのであります。そこでまずお伺いしたいのは、一体鉄道の運転側からいって、踏み切り支障しておるなと思ってから急停車をする、急停車をした場合に一体どのくらいの間隔があれば踏み切りに事前にとまれるのか、急停車の措置をしてから停車までの距離及び時間等を一つ示してもらいたいと思います。
  53. 山内公猷

    ○山内説明員 列車の種類並びに列車のスピードによって違うわけでございますので、具体的の問題は具体的に資料によって計算いたさなければできませんが、およそのところを申し上げますと、現在国鉄で運行しておる特別急行、これは大体時速百十キロぐらい走っておりますが、非常ブレーキをかけますと、約六百メートルぐらいでとまるわけでございます。急行列車におきましては、大体時速九十キロメートルというふうに計算をいたしまして、その場合の非常ブレーキから列車がとまるまでの距離といたしますと、約四百三十メートル。それから普通列車でございますが、時速七十キロメートルといたしますと、それが約二百五十メートル。それから貨物列車でございますが、時速五十キロメートルといたしますと、約三百十メートル。それから電車の場合には、時速が八十キロメートルといたしまして、約三百三十五メートルという数字が出ております。
  54. 板川正吾

    板川委員 とまるまでの時間がどのくらいかかりますか、何秒くらいかかりますか。
  55. 山内公猷

    ○山内説明員 ただいまの場合で、特別急行の場合には約二十秒ぐらいかかります。それから急行列車の場合には約十九秒ぐいでございます。それから普通列車の場合ですと——ただいま計算をいたしましてお答えいたします。
  56. 板川正吾

    板川委員 私の計算ですと、特急が二十秒、急行が十七秒、普通が十三秒、貨物列車が二十二秒、電車が十五秒、こういうようになっております。  それで自動車局長にちょっとお伺いしたいのですが、自動車が踏み切りを通る場合に、踏み切りも大きいのと小さいのがありますが、普通の踏み切り複線区間、そしてトラックが満載をしておるというようなときに、普通の状態で一体何秒くらいでその踏み切りを通過できると思いますか。
  57. 國友弘康

    國友説明員 ちょっと私、その計算をしたことがございませんので、今ここでお答えできる資料も持ち合わせておらないし、知識も持ち合わせておらないのですが、研究しておきたいと思っております。
  58. 山内公猷

    ○山内説明員 ただいまの計算でございますが、その条件によっていろいろになると思いますけれども、特別急行の場合に、ただいま言いました一秒間に走る距離が三十メートルという計算の基礎に立ちますと、二十秒かかります。それから急行列車の場合には一秒間に二十五メートル走るという計算で十七秒、普通列車の場合には一秒間に十九メートル走るということで十三秒、貨物列車の場合には十四メートルといたしまして二十二秒、電車の場合には二十二メートル走るとして十五秒ということでございますが、これは、このスピードで走っておりまして急ブレーキをかけた段階でございます。駅に入りますとかあるいは減速をいたしました場合には、もっと短いというあれが出るということでございまして、与えられました条件は、ただいま申しましたように、一秒間に走ります距離を出しまして、計算をしたわけでございます。
  59. 板川正吾

    板川委員 普通自動車が満載した形で踏み切りを通る場合には、条件によって違いますが、四秒ないし九秒くらいかかるそうです。そうしますと、今の列車の秒速からいうと、ほんとうに瞬間的に踏み切りを、電車と電車の中間を走っていくような、非常に危険な状態なのであります。そこで、私がそれをなぜ言うかということは、やはり踏み切りをもっと改善しておかなくちゃならないのじゃないか。たとえば、自動車が四秒ないし九秒かかるならば、もっと早く、踏み切りの場合には、通過できるような改善をしておく必要がある、そういうことを私は言いたかったのであります。  これは鉄監局長にお伺いしたいのですが、踏み切りで大事故を起こしたような場合には、その原因を究明して、再び事故を起こさないように十分な対策を立てる、こういう主張をされましたが、国鉄の場合とそれから私鉄の場合、一体どういうふうに事故を究明して、再び事故が起こらないような対策を立てておられるのか、そういう具体的な点を一つ説明していただきたいつ
  60. 山内公猷

    ○山内説明員 大きな事故が起こりますと、私どもの方には、各地方を管轄しております陸運局がございまして、陸運局の係官を出しまして、事故原因の探求をいたします。その上で会社に指示すべき点は指示するわけでございますが、また、東京におきましては、先般電鉄の運賃改正をいたしました際に私鉄の整備の五カ年計画を出されまして、その中でも、各社いろいろそういった施策を講じておりますので、それらを十分監督をいたしまして、踏み切りの整備というものに将来相当経費をかけるというふうに指導いたしております。また、事故が起こりますと、陸運局でそういった事故の取り調べをいたしまして、本省に連絡をして参りますとともに、直接会社側を呼びまして事情を聞き、至らない点がありますれば、指示をいたしますとともに、全体的にどういった会社がそういう交通の事故防止についてやっておるかということも、さらに再検討いたしまして、それぞれ必要な指示を与えておるという現状でございます。
  61. 板川正吾

    板川委員 先ほど監督局長は、現在踏み切りの設置基準がないから、今度設置基準を法定する方針だ、こう言われました。現在この踏み切りの設置基準について、国鉄に対しては総裁通達が昭和二十七年六月付で発表されております。また私鉄に対しましては、鉄道監督局長通達として、昭和二十九年四月二十七日付で、踏み切り設置の基準というものが通達をされております。これは法的な根拠でなくて、行政指導だろうと思うのですが、その通達が現在どのように守られておるでしょうか、その関係をお伺いしたいのであります。
  62. 山内公猷

    ○山内説明員 先ほどちょっと言葉が足りなかったのでございますが、設備基準がないというのではなくて、ただいまお話のように法的な設備基準がないという意味でございます。それで国鉄には、ただいま言いましたように総裁達で出ておりますし、私鉄につきましては昭和二十九年に鉄道監督局長達というもので出しておるわけでございます。これがどの程度に守られておるかということでございますが、実は全面的にこれが守られておるというふうにも考えておりません。二、三会社を取り出しまして調べたわけでございますが、結局本年度踏み切りの設置基準として第三種に上げなければいけないという個所が、たとえば五カ所あったといたします。それで会社がそれをやりまして、来年度になりますとそれがまたふえるというように、最近道路交通が非常に盛んになって参りましたので、今日の個々の踏み切りの基準が十分であったといたしましても、すぐそれが程度が上がってしまうというような状態がありまして、運輸省といたしましては全国的にそういった状態を最近把握いたしておりませんので、この十月に全国の国鉄、私鉄の踏み切につきまして一斉調査をいたしました。これができますと一応われわれの方の基準に対して全国の国鉄、私鉄の踏み切りはどういう状態であったかということが相当正確に把握できると思っておるわけでございますが、現状といたしましては、一応行政指導としてそういうふうにやるように指示をいたしておるわけでございます。この調査の結果が出ますとこれに当てはめまして、各社の踏み切りの状態が設置基準にどのくらい適合していないかということがはっきり出てくるのではなかろうか、かように考えております。
  63. 板川正吾

    板川委員 監督局長通達として昭和二十九年に出されて、すでに五年余を経ておるのであります。法的な強制力はないにしても、そういう通達をしたならば、もう少し早くその基準が守られているかどうか、また基準そのものが実態に即しておるかどうか、また守られていないならばどこに原因があるのか、こういう点をもうちょっとすみやかに研究をして、踏み切り事故に対する防護策というものを立てなくてはいけないのではないか、こう私は思っておるのであります。私の知る範囲では七割くらいしかこの基準が守られていないということを聞いておるのでありますが、一体守られない原因はどこにあると思いますか。その点何か研究されたかと思いますが……。
  64. 山内公猷

    ○山内説明員 これはただいま調査をいたしておりますので、正確な推定はないわけでございますが、一応われわれの方といたしましては、毎年そういった状態を調べておることは調べておるわけでございまして、七割くらいというのではなくて、私の方といたしましては、踏み切りの総数が国鉄におきまして四万四千二百八十四あります。そのうち、ただいま言いましたように、われわれの考えております基準からさらに上げなければならないのは、国鉄といたしましては千六百二十二というふうに概数的につかんでおるつもりでございます。それから民営鉄道につきましては、二万九千六百十一の踏み切りのうち、六百五というものをさらに整備をしなければならないというふうに、数字は各踏み切りごとにつかんでおるわけでございます。  それで、そういった状態がどうして起こるか、また、それに対してどうしたらいいかという御質問でございますが、これは、ただいま言いましたように、自動車というものが非常に激増して参るわけでございまして、結局私鉄もいろいろやっておるわけでございまりすが、なかなか追いつかない。踏み切りだけに金を投ずるというわけにもいきませんし、自分の方の必要でなくて、自動車の必要でその踏み切りの格上げをしなければならないという点は、公益事業としては当然であるとわれわれも考えておりますが、なかなか経理の内容からいいまして、他動的にできたものに右から左に追いつけない。毎年々々それに追われておるといユ態状のために、こういった整備すべき踏み切りが残っているのではないか。それで、われわれといたしましては、この解決策としては、どうも今までのような行政指導では手ぬるい。何らか法的にそういうものを強制できるということが必要ではないかということで、現在立法をせざるを得ないと考えておるわけでございます。
  65. 板川正吾

    板川委員 踏み切りのうちで、一種、二種、三種、四種とありますが、第二種の踏み切りの構造で、私は今度の踏み切りに対する法律ですか、それが出なくても、事故防止になるのじゃないかと思う点が一つ気がついたから申し上げるのでありますけれども、第二種踏み切りは、御承知のように、深夜、早朝は踏切番がいない。昼間、ラッシュのときに踏切警手がおるという踏み切りでありますが、これは全国的には少ないのであります。わずか〇・六%しかそういう踏み切りはない。しかし事故は二%。この第二種の踏み切りの事故というのは、性質上非常に大きい。それはなぜかというと、踏切遮断機があり、踏切番人がおるような構造をなしておる。近所の運転手なら別ですが、よそから来た運転手等は、朝早くても電車が通るのだから、当然番人がいるものと思ってそこを通過しようとすると、踏切番はいなくて、列車が入ってきて事故を起こす、こういうふうなことになっておるのです。こういう第二種踏み切りというのは、遮断機が、踏切番人がいるときもいないときも同じ状態であるのですね。横にこう斜めになっておる。私は、もし踏切番人がいなければ、その遮断機を上に向けておくとか——踏切番人の小屋のわきに、この踏切番人のいる時間は、何時から何時までだ、こう書いてあったって、それは見ないのが悪いといえばそれまででありますが、もうちょっと親切な工夫があれば、第二種踏み切りにおける事故というのは大いに防止できると思うのです。こういうような点は、何も法律を改正しなくてもできるのでありまして、一見して明らかに、この踏み切りには今踏切番がいないというふうなことがわかるように、バーの位置というものを私は変えたらいいんじゃないかと思うのですが、これに対してどうお考えでしょうか。
  66. 山内公猷

    ○山内説明員 第二種踏み切りにつきまして、踏切番がいないときに、なるべくバーが見えないようにした方がいいというお話でございますが、実は、それはわれわれの方といたしましても、そういうつもりで指導いたしております。たとえば国鉄におきましては、踏切番人のいないときにはバーをなるべく見えないように立てておりまして、それから、踏切番がいないということをできるだけ大きく表示するというふうにやっております。私鉄におきましても、大体同じような様式で指導いたしておりますが、非常に数の多い対象のことでもございまして、あるいは徹底していないところがあるかと思いますので、今後そういうところは、ただいまお話のように指導して参りたいと思っております。
  67. 板川正吾

    板川委員 最近の踏み切りの事故を見ますると、踏み切りの構造がやはり大きな原因になっておると思う。それは道路が広がってきておるのに踏み切りは従来のままだ、こういうのが非常に多いのであります。大事故の起こった踏み切りは大ていこういう構造になっておる。ここに略図にありますように、古い道路は中で、そこで踏み切りも同じような直線であったわけです。その後道路か拡幅されてきているのに踏み切りだけは旧態依然として広がっていない。こういう状態ですから、道路が広がるということはそれだけ交通の需要に応じたわけです。交通量がふえたわけです。ところが踏み切りのところへくると、狭いために通過時間が思わぬほどかかってしまう。一方において電車はますますスピードアップされておるために、踏み切り事故は非常に大きくなっておるのでありますが、こういうような踏み切りが国鉄、私鉄全体の中でどの程度あるか調べたことがございますか。
  68. 山内公猷

    ○山内説明員 ただいまお話しのように道路幅員と踏み切り幅員が違う、踏み切りの幅員の方が小さいというのは、現在国鉄、私鉄とも相当あると考えております。ただどの程度あるかということは、現在そういった資料がございませんのでお答えできないわけでございますが、先ほど申し上げました踏み切りの実態調査でもそういった踏み切りの状態も調査の項目に入れておりますので、これが完了いたしますとその実態が明らかになりますので、その実態調査の集計が終わりますまで具体的な数字は御猶予願いたいと思います。
  69. 板川正吾

    板川委員 その資料はどうせ踏み切り事故防止対策上必要となるのでありますから、一つ全国的に調査されて対策の基礎としていただきたいと思うのであります。  次に道路局長に、時間の関係があるそうでありますから、ここでお伺いいたしますが、先ほど道路局長は、今度の五カ年計画で三百六十カ所、四百億の巨費を投じて立体交差をすると言われております。もちろん私はこの交通事故を、特に踏み切りにおける事故をなくするためには、原則的に立体交差というのは当然でありますが、しかしこの立体交差をするには最低二、三千万円から、大きいのになりますと三億から五億近くかかるようであります。従って、立体交差になればけっこうでありますが、これをもってしても、平面交差における自動車の非常な増加と鉄道の頻発、こういうもので平面交差における踏み切りの事故というものは大きくなって参っておるのでありますから、この平面交差の方で聞きたいのであります。立体交差についての非常な予算をとっておられるというのでありますが、平面交差の踏み切り、ここでの予算というのはお考えになっておるんですか。本年度でもけっこうでありますが、建設省としてどのくらいあるんでしょうか。
  70. 佐藤寛政

    ○佐藤(寛)政府委員 踏み切りの除却につきましては、道路とりいたしましては最近並びに今後の自動車交通から推察いたしますと、幹線道路では結局立体交差にしなければならないという観点で整備いたしておりますので、先ほどああいう数字を申し上げたのでございますが、それにいたしましても、先生の御指摘のように、非常にたくさんあるもののうちわずかしかできませんので、まだまだ問題が残るわけでございます。この残る平面交差の踏み切りにつきましても、いろいろ改善策を考えております。  まず、地方によりまして、道路が鉄道を踏み切って、またしばらく行くと踏み切りというような、踏み切りの頻度の非常に多いところがよくございます。これらにつきましては、道路の改良にあたりまして、路線の選定を注意することによって一ぺんに踏み切りがなくなるというような場合がよくございます。これらは別に踏み切り改善とは申しませんで、いわば道路改良という項目の中でそういう工事をやっております。  それからまた、道路整備事業の中で特改、特別改良と申しておりますが、いろいろこまごました道路の計画的な改良ではないけれども、ごく一部分を、たとえば急なカーブを直すとか、ごく一部分のとりあえずの改良事業がございます。この特別改良の中で非常に危険な踏み切りなどの見通しを若干よくしたり、それから急に曲っておるところを局部的に直したりというような事業をいろいろやっております。しかし、先ほど申しましたような例は道路改良の中に含まれておりますし、また次に申しました例は特改と、こう扱っておりますので、そういうものだけ取り上げて、どのくらいの数量になりますか、ただいまちょっと申し上げかねますが、そういうものも相当取り扱っておるということを申し上げたいのでございます。
  71. 板川正吾

    板川委員 それではもう一つお伺いしたいのですが、それはこういう場合です。まあ国道の場合は、これは国鉄と建設省ですから、この問題は国と国ですから、それほど問題じゃないと私は思います。大体において同じような時期に行なわれておるようです。問題は、市町村道路ですね。これと鉄道——国鉄、私鉄、こういうものとの踏み切りが私は問題になると思うのであります。また、これが踏み切りの大半であります。そこで建設省側としては、こういう場合にこれをいつまでもほうっておくわけにいかない、当然道路と同じ幅に踏み切りの中もしてもらわなくちゃならぬわけでありますが、踏み切り内のことはこれは鉄道側のことであって、道路側では責任はないのだ、こういうことなのでしょうか。それとも、踏切道もやはり道路の一部である、こういうことで、こういう場合に共同の責任を感じておられるかどうか。その点を一つ明らかにしていただきたい。
  72. 佐藤寛政

    ○佐藤(寛)政府委員 踏み切りの部分は鉄道と道路が重なるところでございまして、道路側といたしましても兼用工作物という取り扱いをいたしておりますから、それは鉄道であって、道路ではないというような態度は決して考えてはおりません。  そこで、御指摘のような場合でございますが、もちろん国道、県道というような場合には、重要幹線ではああいうものを考えませんで、立体交差にするという考え方でいっておりますから、そうでなく、市町村道等の場合に御指摘のようによくあるようでございます。実は市町村道の場合に、おおむね都市計画事業で幅を広げてずっとやってきた。それで鉄道の付近まできてああいう状態になっておるという場合が多いんじゃないかと思うのでございます。この都市計画事業はちょっと私の所管とは違うのでございますが、しかし同じ道路の問題でございますから、いろいろ話し合いもしておりますし、承知いたしておるという意味で申し上げたいと存じますが、そういう場合にもやはり工事を続けて、改良幅員で早く踏み切り部分を作るべきだと思います。それからまた都市計画当局もそう考えておると思うわけでございます。ただ、従来の踏み切りが今度幅が広がって何メートルになるにいたしましても、相当大きな踏み切りになりますと、踏み切り保安施設としても、たとえば信号機をつけるなり、あるいは踏切番を置くなり、いろいろ従来までの踏み切りの状態で放置しておけない場合が多いんじゃないかと思うのでございますが、そういたしますと、ただ踏切道を作るということだけでなく、いろいろ経費関係、その負担関係も出て参りますし、それから道路の方にいたしますと、国とか県とかという場合ですとそういう話はしやすいのでございますが、町村ということになりますと、御承知のように財政状況から見ていろいろな関係もございます。町村の道路管理者側にはそういう事情もございますし、それから鉄道側にはいろいろ踏み切りの負担関係などもあって話がおくれているんじゃないかと私は思うのでございます。これは都市計画の場合でございますから、私ははっきりと存じておりませんが、そういうことじゃないかと思うのでございます。しかし交通を考えますと、私どもといたしましては、できるだけ早く御相談して、ああいうすでに両側ができておるというような場合には、言うまでもなくその踏み切り部分を遅滞なく整備するようにすべきだ、こういうふうに考えております。
  73. 板川正吾

    板川委員 こういう道路が広くなって踏み切りが狭いままでおるというのは、結局は負担関係ですね。市町村側ではそれを負担したくない。鉄道側もずいぶん踏み切りを持っておって、私鉄の場合は二百七十メートルに一カ所、国鉄の場合は四百八十メートルに一カ所持っておる。そういう状態で、全部改修するのは大へんだということで、負担関係が両方条件が整わないからこれができないでおるんです。これは明らかなんでありますが、この負担関係で、道路法では、御承知のように受益者負担の原則と、それから原因者負担の原則と二つが並列しておる。これは市町村道路の場合はこうですよ。市町村側では、道路が広くなって、その周辺に住宅ができた、鉄道の乗降客が非常にふえた、従って受益者負担の原則に従って、鉄道はお客さんがふえたんだから踏み切りの費用くらいは持ってもらいたい、持つべきだということで、自分の方で分担しようという気持が起こらないで、鉄道側に陳情すれば何とかできるもの、また費用はすべて鉄道側で持ってやるもの、こう思っておるのです。鉄道側からいいますと、この線路の拡幅をする必要が生じたのは道路が広くなったからだ、原因は道路にある、だから、道路が広がらなければ踏み切りを広げる必要がないのだから、従ってこれは原因者負担の原則によって道路を広げた側が負担すべきである、とても二百七十メートルに一つ、四百八十メートルに一つの踏み切りを注文通り広げるというわけにはいかない、こういう気持がある。そこで、両方がそういう都合のいい原則をかついでお互いに相手の費用でこの工事をしようというところにこの問題がどこでも解決しないのです。そういう場合、現在の道路法では、三十一条、五十五条等に、そういうような負担の区分の扱い方といいましょうかがあるようでありますが、たとえば道路側として、こういう場合に、どうしても、その市町村として、この道路を——都市計画じゃないものと考えて、道路側として、どうしても、これは事故が起こってしようがないから、この程度の踏み切りを拡幅してもらいたいというような場合、鉄道側はそういって、原因者負担の原則でなかなか応じない、相談がまとまらない、協議が整わない、こういう場合には、一体どういうような措置をしたらこの問題が急速に解決するようになるのですか。この道路法の扱い方ですが、よくわからないので、一つその点の法的な解釈をしていただきたいと思います。
  74. 佐藤寛政

    ○佐藤(寛)政府委員 県道などの場合に、県道をずっと広げていぎまして、そしてある鉄道と、かりに平面交差で交わるといたしますと、鉄道の方の改良的な理由が何にもなくて、線路をふやすわけでもないし、列車回数が多くなるわけでもない、たた道路のつけかえか何かでずっと改良していきまして、そしてこの踏み切りで渡ります場合には、普通はこの道路側が原因者でございますから、原因者負担ということで、道路側の負担においてやっておるようであります。県道なんかですと、私どもの場合はそういうふうにやっておる。町村道等になりますというと、やはり一番問題の起こりは、先生の御指摘のように、財政負担が容易でないという点にあるわけでございますが、理屈はそうであるけれども、そこに今先生が御指摘のような、いろいろな、やはり一方において受益的な面が出てくるのじゃないか、こういうことで話がむずかしくなりまして、ときどき私ども中へ入っていろいろごあっせんすることもあるのでございますが、県道等の場合におけるような形ではいかない、むずかしくなる、こういうことでございます。県道等におきましては、私が今申しました場合には、原因者負担、道路側の負担ということで、道路工事に関しましては、そういうふうにやっております。
  75. 板川正吾

    板川委員 次に踏み切り関係の法案が出されるということでありますから、今非常に事故原因をなしておるのはこういうところにあるのでありますから、受益者負担あるいは原因者負担といういろいろの考え方もありましょうが、はっきりと負担区分を明確にして、それは市町村側の財政的な関係もありましょうが、原因者負担であるというならばそれはそういう考え方を持つのです。しかし一方において受益者負担の原則もありますから、お互いに都合のいい方をとって、まあつっかけばんこというのですか、これは鉄道側でやるべきだ、とてもわれわれの方は費用はない、鉄道側は、一々市町村の道路を向こうの要望に応じて踏み切りを改修しておったら、とてもたまらない、こういうことなんですが、この負担区分を現在県道、国道においては原因者負担という建前をとっておる、こういうのでありますから、この思想、考え方をやはり市町村等に私は明らかにしてやってもらいたいと思うのであります。そうでないと、いつになっても、市町村の側は受益者負担を主張しておって、問題の解決にはならない、こういうところに踏み切り事故の大きな原因があると思う。あとで資料で説明するつもりでありますが、最近の事故はみなこういうところで起こっておる。こういう点を一つ早急に、通達等でもけっこうであります、いずれは踏切保安法ですか、こういう中で明らかにされると思いますが、一つ早急に事故を防止する意味で善処されたいと思います。  それでは、次に鉄道監督局長にお伺いしたいと思います。最近私も気がついておるのでありますが、京浜電車、あるいは亀有の駅構内、あるいは名古屋鉄道、こういうところで非常に大きな踏み切り事故によってたくさんの死傷者を出しております。先ほど局長は、事故が起こった場合には、原因を直ちに究明して、その原因を取り除いて事故防止のために指導しておる、こう言われておるのであります。そこで具体的に一つお伺いしますと、京浜電車の立会川第三踏み切り、これは第三種の踏み切りであります。ここでは非常に事故が起こっておるということが報道されております。たとえば自動車の交通量は、平日で一時間百七十台、競馬、オート・レースなどの開催日は六百台から千台、遮断機はないし、警手もいない、警報機だけの第三種踏み切りで、七月十九日タクシーと特急電車が衝突して、死亡一、重傷一、軽傷二ということが報道されておって、しかもここでは最近、自動車と電車との衝突事故が三件も相次いで起っておる、こういうように報道されております。私も現場を見て参りましたが、この踏み切りの安全を確保するために、どういうような指導をされて参りましたか、それを一つお伺いしたい。  次は、やはり京浜電車で、この間花月第三踏み切り、これは四種でありまして、だれもおりません。ここで五人が死に、三十三人が大けがをした事故がありました。これは十一月七日であります。この花月の踏み切りは、海側の方が九・一四メートルの道路であります。しかし踏み切りの幅員は二・四メートルであります。山側の踏み切りに接続した道路の幅は八メートルであります。手前が九メートル、向こう側が八メートル、しかし踏み切りの幅は二・四メートル、こういう状態でありまして、ここで大事故が起こったのでありますが、これに対して、一体どのような防護措置をその後とられたかどうか。  第三は、亀有の常磐線の転覆事故であります。この亀有は、山側の道路の幅が六・三メートル、踏み切りの幅が五・五メートル、海側の道路の幅が八メートルであります。ここでもやはり踏み切が非常に狭いのであります。亀有の事故では乗客二十二人が重軽傷を負っております。ここでもその後一体どういうような踏み切り事故防止措置が講ぜられたか、一つお伺いしたいと思います。  第四は、名古屋鉄道の国府踏み切りでありますが、ここでは十一月二十九日にも一人が死に、五人が負傷し、電車が一両炎上しましたし、また十月九日には同じ場所で特急電車とトラックが衝突して十三人が死傷しておる事故があります。この国府第一号踏み切り、第三種でありますが、ここでは踏み切りの幅が五・八メートル、接続しておる道路の幅が八・四メートル、これまた踏み切りの幅が狭くて道路が広くなっております。こういう大きな死傷事故を起こすところはほとんど踏み切りが狭くて道路が広い、こういうような状態でありまして、ここに私は大きな事故原因があると思うのです。この原因を排除する対策といいましょうか、これをその後どういうふうにとられたか、一つお伺いしたいのであります。
  76. 山内公猷

    ○山内説明員 ただいま御指摘のように、立会川、花月園あるいは国府におきまして、踏切道よりも道路の幅が広かったということは十分に承知いたしております。これらにつきましては、ただいま建設省の道路局長お話しになりましたように、われわれの方といたしましては、道路の拡幅のときにやはり鉄道側に事前協議があってしかるべきものが協議なく道路を広げられた、それで今までのような鉄道の踏み切りにしておきましたために、事故が起こったわけです。先ほどからいろいろ建設省のお話によりましても、まず、やはり道路管理者側におきまして、そういう場合には一貫した道路計画ということでやっていただきたいと思いますし、今後もそういうように関係個所に御連絡を申し上げたいと思います。個々の場合におきますとなかなかむずかしい問題もあるようでございまして、たとえば亀有の踏み切りの場合におきましては、あそこの駅長から、事故の起こります相当前に、踏み切りの拡幅をしてもらいたいということを道路管理者側に言いましたところ、あそこはみぞができておりまして、このみぞを暗渠にいたしまして道路にするというのには非常に金がかかる、かたがた別の道路ができることになるので、その道路の利用価値はぐっと減るであろうということでそのままになったというような実情がございます。また花月園の第三踏み切りの場合にいたしましても、われわれも事故が起こりました場合に存じたわけでございますが、やはりその両わきに家が建っておりまして、全然そのさら地のところへ拡幅するというわけにもいかず、なかなか具体的な条件としてはむずかしかったというふうに聞いております。そのほかのことにつきましては、こまかい点、担当の課長からお話し申し上げたいと思いますが、われわれの方といたしましてはそういうことではありますが、実はこれらの事故全部が、踏み切りに列車が参りまして直前横断の事故でございまして、事故者側に何といっても十分な御注意を願わなければいけないということで、経営者といたしましてもやはり運行その他十分考えなければいかぬと思っておりますが、やはり踏み切りの状態におきまして、すぐに拡幅のできるところと、立地条件が非常に悪いというものは、時をかして経営者側から再度道路管理者側に交渉させまして、そういった原因を除去するように指導いたしておるわけでございます。今申しましたように、客観条件が都会地でございますと、なかなか問題がございまして、早急にできないことを遺憾に考えております。
  77. 板川正吾

    板川委員 この踏み切りとつながった道路が鉄道側に協議なくして拡幅された、そういう点で鉄道側でもそれに対応する措置ができないというのでありますが、先ほど道路局長お話ですと、やはり原因者負担の原則、道路が拡幅されたのだから、踏切道の拡幅も原因者負担の原則を容認されてお帰りになったと思うのでありますが、これは今の道路法の精神からそういうふうな解釈をとっておられると思うのであります。そうしますと、この踏み切りにつながる道路を拡幅された場合、一体鉄道側も安閑としてないで、そういう計画を知ったならば、すぐ道路ができるのじゃないですから、早急に相手方に道路も踏切道も同時に拡幅するような交渉をすべきではないか。これは道路法の建前はそうじゃないでしょうか。三十一条といい、五十五条といい、道路側も鉄道側も一つお互いに協議して、その費用分担をきめなさい、そして協議整わざるときは建設大臣に裁定を求めなさい、建設大臣は鉄道側と相談して話がまとまらない場合には、運輸大臣と相談して裁定した場合には両方の話がきまったものとみなす、こういうように道路法にあるようでありますから、そういう場合は、さっそく鉄道側も早急に踏み切りを広げてもらうような、鉄道構内ですから相手が工事するわけにはいかないでしょうから、こちら側が積極的に出なければなかなかこの問題は解決しないと思う。そういう意味で一つ今後こういう平面踏切道の狭いところを改修をしてもらいたいと思うのでありますが、この点は私の道路法の解釈が間違いでしょうか、どうでしょうか。お伺いします。
  78. 山内公猷

    ○山内説明員 道路法の問題でございますので、建設省からお答えすべき問題だろうと思いますが、われわれの方も今先生のおっしゃったように、原因者負担であって、道路管理者側においてその費用の負担をするものだというふうに考えております。この点は道路法ではございませんが、建設省と国鉄との間に道路の負担につきましてこまかい協定をいたしておりますが、この協定におきましては明らかになっておるところでございます。ただ、今道路局長が言われましたように、国道、県道というような場合は今まではそう問題になっておらなかったのでありますが、市町村道となりますと、財政的にやはり何らか経営者に持たした方がいいというようなところで、交渉がなかなかうまくいかないというようなところもあろうかとも思いますけれども、原則的にはただいま先生のおっしゃられた通りじゃないかと思います。われわれの方は当然に道路法の解釈をする役所ではないのでありますが、そのように考えております。
  79. 板川正吾

    板川委員 この亀有の事故のその後を見ますと、トレーラーの運転手と踏切警手が送検をされたというのです。こういう原因運転手、踏み切りだけに負わして、その根本をそのまま放置しておったところにも問題があるのでありまして、どうも運転手と踏み切りだけにこの責任を負わせていくというのは、私はあの事故の実情から見て妥当でないと思う。この点は検察庁の方がおりませんから、またあとにいたします。  そこで、今度は国鉄の運転局長にお伺いしたいのでありますが、踏み切りで支障した場合に、踏切警手が列車を防護する措置があると思う。これは運転取扱心得によって、列車防護の措置というものがあるのでありますが、現在国鉄の場合はどういうことになっておりますか。また私鉄の場合には、これはどういう防護措置を講ずるような規定となっておりますか。私が質問したいのは、この規定も大体知っておるのでありますが、どうも最近の実情に即さない規定だと思うのです。一時間に一本とか二時間に一本とかいうようなところならばこういう防護規定もいいのでありますが、列車回数のひんぱんに出ておる都市周辺では、こういった日本全国、しかも一日に十回か二十回しか走らないようなところを基準とした防護措置よりも、頻度の多い、事故回数の多いところを重点にした防護措置というものがやはり行なわれなくちゃならないと思うのです。そういう点から聞きたいのでありますが、国鉄では踏み切りにおいて自動車が支障した場合、踏切番は列車に対してどういう措置を規定としてやっておられるか、お伺いしたい。
  80. 石原米彦

    ○石原説明員 お答え申し上げます。今、規定書をここに持ってきておりませんが、私の記憶で申し上げます。列車をとめます場合の一般的な防護の規定がございまして、それを一般には適用することになっております。従いまして、まず火急の場合には、赤の手旗を持っておりますればその赤の手旗を振りながら列車の進行してくる方向に向かって進んで参ります。もし手旗のない職員が事情を発見してとめなければならない場合には、両手をあげるとか、手に持っているものを何でもいいから急激に振り回すとかいうようなことによりまして危険の合図をすることになっております。それから時間がございますれば、発雷信号をもちまして列車のレールの上に——結局かんしゃく玉の大きいものでありますが、それをしかけますれば、夜間でもはっきり機関士に知らせることができます。それから夜間でございましたならば、旗のかわりに赤いランプを使いますし、赤いランプがございませんでしたならば、白のランプでも、その他炎でも何でも急激に振り回して合図することになっております。なお最近は発煙信号というものがございまして、昼間は煙、夜は炎が見えるような煙が出る信号を、踏み切り、車掌、機関士、線路工手それぞれ持っておりまして、線路が支障しているということを発見いたしますと直ちにそれをたいて急を知らせることになっております。亀有の事故でも発煙はいたしたのでございます。  それから、さいぜんの答弁で申し上げましたように、踏み切りの事故が一日七件の割合でございますと同数だけ、非常ブレーキを使って危うくとまったという、これも平均一日七件ずつの事故が起こっておりますが、いずれもそういう防護によりましてとめております。  それから、なお信号機を取り扱うことができます場合には——これは信号機のあらいところではなんでありますが、信号機がひんぱんにありますところでは、最近は信号機を遮断するということも試みに行なうようにしております。それから実は数日前に参議院の運輸委員会でも、この踏み切りの保安の御質問がございまして、三種踏み切りなんかでベルの鳴っている時間が長過ぎる、あれでかえって車が油断して入ってくるのじゃないか、あれをもっと縮めろという御質問がございましたが、こういうことをいたしますと、万一車が足を落としましたときに防護に当たれる時間が少なくなります。そこらのかね合いがなかなかむずかしい問題だと思っております。
  81. 板川正吾

    板川委員 ベルが鳴り過ぎるというのは、京浜の立会川第三踏み切りなんかそうです。これは道路と踏み切りは同じ幅なんですけれども、駅へ電車がとまっていると、とまっている間鳴っているのです。だからとまっている間は鳴っていても来ないから大丈夫だろうというふうに出て、事故が多いようなんですが、その点はまたあとお話し申し上げるとして、踏切番の列車防護の方法としては、国鉄の運転取扱心得ですか、五百十八条で基準を示しております。第一種から第三種まであって、第一種の場合には二百メートルのところで旗を振るか発煙筒をたけ、八百メートル先で雷管による爆発で音を出してとめよ、これは三十メートル置いて二個を装置しておく、こういう規定です。第二種というのは百メートルで発煙管あるいは赤旗を出せ、四百メートルのところで三十メートル置いて雷管を二個備えつける。第三種というのは右以外の方法でなるべく早く発煙筒をたくなり赤い旗を出すなりしてとめろ、こういう規定になっているのであります。ここでどうも、線路の上を五十近い踏切警手の人が八百メートルもかけていって雷管を備えろなんということは、私はまず規定はできたけれどもこれを実際行なうというのは全国でも例がないのじゃないかというふうに考える。まあ、あったかもしれません、しかし、とにかくたくさん例がないということなんです。こういう踏み切り防護の方式を昔のままでやっておっては実態に即さないのじゃないかと思うのです。非常に頻度化しておる都市の電車区間、こういう場合には、もっと自動的な停止を表明する何かの装置が必要じゃないか。たとえば踏み切りで支障された自動車が動けなくって危険だ、これは上下線を支障しておるといったら、踏切番は気持がもう、なかなかとっさに判断が下せません。そういう場合に踏み切りの近くに、たとえばボダンを押せば、自動的に装置してあって、百メートル、二百メートル先において光が出るなり発煙信号ができるなり、そういうような自動的な装置、これは大して金がかかるものじゃないと思う。こういうものを特に都市の踏み切りには義務的に装置させて、とにかく踏み切り事故を最小限に食いとめるという工夫が私は必要だと思う。これは何も法律の改正を要するものじゃない。こういう点において、私鉄もそうでありますが、どうでしょうか。そういう工夫をされて当面の踏み切りの事故を最小限に食いとめるだけの努力を払われたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  82. 石原米彦

    ○石原説明員 お話がございましたように、踏み切りの整備につきましては技術的な検討を要する問題も多々あると存じております。ただ何百メートルも走っていってとめる例はほとんどないじゃないかというお話でございますが、これは列車回数のそうひんぱんでないところ——これは日本じゅうに起こっておりますので、そういうゆっくりしたといいますか、完全な方法でとめた例も入っております。ですけれども都会のようなひんぱんなところでは、おっしゃいますようにとてもさように参りませんので、三種の急拠の防護でやっととめるかとめないかという場合が多い。それでも間に合わないという場合が多いのでありまして、お説のようにいろいろ技術的に防護の仕方、あるいはそれに対する設備というようなものも、予算の問題ともにらみ合わせましてぜひ研究しなければならない問題がたくさん残っておると存じております。
  83. 板川正吾

    板川委員 なお、その点で鉄道監督局長にお伺いしたいのですが、今のような緊急を要する踏み切りというものが私鉄に多いのですね。私鉄は大体都市に集中されておる。だから踏み切りも二百七十メートルに一つ、国鉄は四百八十メートルに一つ。私鉄の方が電車区間であり、都市にあるという建前からいって、自動的な信号装置、発煙なり発光なりでとめる装置というものを踏み切りに備えつけるべきじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  84. 山内公猷

    ○山内説明員 現在、私鉄におきましてもそういった場合の措置は、国鉄と大体同様の措置をとっております。これは国鉄の運転取扱規則によります細則というもので実施いたしておるわけでございますが、都市内の踏み切りについては、ただいま御指摘のような問題がございます。これは私どもの方も、また私鉄自体も昔からだいぶ問題になっておるところでございまして、今度の亀有の事故につきましても、国鉄では電話をかけましたときに信号所は話し中であったというような事例にかんがみまして、そういった非常電話をかけましたときには全部がそれを聞くというようなシステムに変えたわけでございます。機械的な制度につきましては、現在各私鉄で数社検討いたしておりますのは、車内警報装置、電車の中に警報を受ける装置をつけるという方法、あるいは自動列車停止装置というものを現在検討中でございまして、先生の御趣旨のような研究は今やっておるわけでございますが、われわれもできるだけそういった研究を助成いたしまして安全を期したいと思っております。
  85. 板川正吾

    板川委員 政府は今度の通常国会で鉄道と道路との交差に関する法律案、いわゆる踏切保安法といわれる法律案の提出を用意されている、こういわれておりますが、この踏切保安法ですか、これに対する概要、どういう内容を持った法律としたいかということを今ちょっと明らかにしてもらいたいと思います。
  86. 山内公猷

    ○山内説明員 こまかく申し上げますと時間がかかりますので、ごく概要を申し上げますと、まず第一に、立体交差の問題といたしましては、立体交差施設の設置基準を法律できめまして、主務大臣が鉄道事業者及び道路管理者に対して、基準に適合した立体交差施設を設置するよう命令することができるという権限を与えてもらうように考えております。  次は、踏切道及び踏み切り保安設備の基準の問題でございますが、踏切道及び踏み切り保安設備の設置基準をやはり法定いたしまして、主務大臣は鉄道事業者及び道路管理者に対し、基準に適合する設備を設置するよう命令することができるようにいたしたいと思っております。先ほど来質疑にありましたように、現在も一応の基準を持っておりますが、これを法的に命令する権能がございませんので、それを命令することができるようにしようとするものでございます。  第三番目は、一番問題になる点でございますが、踏切道の種別の変更に伴う費用の負担の問題であります。現在は踏み切り種別の格上げに伴う踏み切り保安設備の変更に要する費用は鉄道事業者が負担しておるのが実情でございますが、最近における踏み切り種別の変更の原因は、道路側の原因に基因するものが非常に多くなって参りました。また踏切道の性格から見ましても、鉄道と道路との共通的な性格を有しますので、格上げに要する費用については、鉄道事業者と道路管理者がそれぞれ二分の一の負担をするというような法律にいたしたいと思っておりますが、この点につきましては現在関係官庁と協議中であります。  次は、踏切保安人の問題でございますが、先ほども御答弁の中に一部触れたわけでございます。踏切保安人の配置を鉄道事業者の義務といたしまして、その職務及び権限につきまして必要な事項を法律できめるというのが大まかな骨子であります。  そのほかまだこまかい点は相当ありますが、時間の関係上省略させていただきます。
  87. 板川正吾

    板川委員 この踏切保安法の内容について、運輸委員会としてもこの際明らかにして、やはり世論の批判に私はこたえるべきだと思うのであります。恐縮でありますが、もう少し質問させてもらいます。  ただいまの御説明の内容に四つ、五つ触れてみたいと思うのでありますが、踏切りの場合の道路と鉄道との交差に関しては、立体交差を原則にする、立体交差の基準を明らかにする、その基準に適合させることを鉄道と道路管理者に対し義務化する、これは賛成であります。しかし問題なのは、その義務化された鉄道事業者なりあるいは道路管理者なりがその立体交差に要する費用を負担するということが、私は率直にいって大きな問題になろうと思うのです。先ほども言いましたように、立体交差に要する費用は、一カ所について大きいものですと五億円くらいかかりますし、小さいところでも三千万円はかかると思うのであります。国鉄と国道、この場合は国と国ですから問題はないのでありますが、私鉄と国道、あるいは私鉄と市町村道、こういうような市町村道路が立体交差になるようなことも当面はないと思います。しかし、とにかくそういうような場合に、立体交差の施設や踏切道の管理の費用、その費用の基準を明確に設けるというのでありますが、その内容はどういうことになるのでしょうか。作るときには半々であるが、その後はどういうことになりますか。たとえば一億円も立体交差にかかるという場合、道路側が五千万、鉄道——鉄道といってもこの場合は私鉄というふうに考えてよろしいと思いますが、私鉄が五千万、こういうふうになりますか。この場合の立体交差の費用の出し方……。
  88. 山内公猷

    ○山内説明員 ただいま言いました場合は、現在平面交差しているものが立体交差になるという場合を一番ポピュラーな例で申し上げたわけでありますが、それらの場合におきまして一様になかなかいきにくい点も多いわけでございます。それで一応半々というのは常識的な問題ではございますが、しかしまだこの点は法律的にはっきりと各省の話し合いがついたわけではないわけでございます。費用の分担につきまして国鉄と建設省との間には非常にこまかい協定があるわけでございますが、私鉄の場合ではそれぞれの地方との協議によってなされる場合が多いわけでございます。それらを一体どう調整するかということは問題でございますが、一応はそういうようないろいろの基準を考えますが、原則的には私鉄等の場合には両者間の協議ということも一つ方法ではないかというふうに考えております。といいますことは、私鉄というのは、言葉は非常に悪いのでありますが、ピンからキリまでございまして、非常に大きな私鉄があるかと思いますと、日常の保安もかすかすだという私鉄もあるわけでございまして、これらを一様の原則で縛るということは法律的に可能かどうか、われわれも自信がないわけでございます。法律はできたけれども実施はできないというような法律は作るべきではないと思っておりまして、一応御説明申し上げましたが、この辺はまだペンディングの点が多いわけでございまして、十分実情にも即し、各官庁とも十分なお話をした上できめて参りたい、かように考えております。
  89. 板川正吾

    板川委員 踏切道の構造基準を法定する、そして基準に適合させることを鉄道事業者及び道路管理者の義務とする、こういうことは私ども賛成です。こうなれば狭い踏み切りがなくなるからであります。ここで、踏切道の構造基準を法定するといいますが、踏切道の構造基準を法定化して、そしてそれに適合させるために義務化させるのでありますから、費用がかかります。費用の負担区分の内容、これはどういうふうなものにするか、この点もわかっておりましたら一つ説明願いたいと思います。
  90. 山内公猷

    ○山内説明員 負担区分につきましては、現在まだ検討中でございまして、この席上で具体的な御説明はまだできかねるわけでございますが、十分実情に即したことでやって参りたい。現在まだ各省と連絡中でございますので、その点御了承願いたいと思います。
  91. 板川正吾

    板川委員 次に踏み切り保安設備、これは信号とかあるいは遮断機とか、こういうのですが、保安設備の新設あるいは開設等に要する負担区分、たとえば踏み切り保安設備の設置基準を法定化しまして、その基準に適合させることを鉄道事業者と道路管理者の義務とする、しかも主務大臣はそれを命令することができる、こういうことになるのでありますから、賛成でありますが、そういう場合に費用の負担区分というのがやはり問題だと思うのです。これは明らかにならなければ仕方ありませんが、考え方を一つ発表してもらいたいと思うのです。  それから踏み切りの種別というのは従来通り一種から四種というようにお考えでしょうか。  それからもう一つ、保安設備をつける基準ができます。しかしその後の道路の情勢あるいは周辺の都市の発展の状況等によって、四種であってよかったものが三種にしなくてはいけない、こういうような基準に達すると思うのです。四種と最初きめても、いつまでも四種ではないのでありまして、たとえば一年に一ぺんなり二年に一ぺんなり、そういう実情を再検討して、昇格すべきものは昇格するような措置がとられなくてはならぬと思うのです。そういう場合には、この保安法の中ではどういうふうにお考えになっておられるか。
  92. 山内公猷

    ○山内説明員 保安設備につきましても、ただいまお話のありましたように現在踏み切りが兼用工作物になっておるわけでございますが、電車あるいは列車によりましてそれをこわすよりも、やはり一般自動車によりましてこわす方が非常に多いわけでございまして、維持管理につきましても道路側に御協力願うという意味でお話は申し上げておるわけでございます。  それから踏み切りの設置基準というものは一応抽象的なものでございまして、一日どのくらいの列車が走り、どのくらいの自動車がここを通るという場合には第一種である、第二種であるという一般的な基準でございますので、具体的な踏み切りにつきましては踏み切りの実態を調べて第一種である、第二種であるというふうにきめていかなければならないわけでございますので、仰せの通り今後一定の間隔を置きまして調査をいたしまして、それで変えるべきものは変えていくというふうな行政をやって参りたいと思います。
  93. 板川正吾

    板川委員 踏み切り保安設備の設置基準に適合するよう踏み切りを新設したり、それから開設する場合に費用を法定区分するというのでありますから、その費用を鉄道事業者が負担しようとするときは、その鉄道の経理内容が悪いときは国が二分の一を補助する、こういうお考えがあるようであります。これは、補助するというのはもちろん国鉄の場合じゃない、私鉄の場合を言われたと思う。ここで補助の対象になるという、私鉄の経理内容が著しく不良である場合というのはどういう範囲をお考えになっておられるのでしょうか。
  94. 山内公猷

    ○山内説明員 一応一般的には赤字を出しておるという私鉄を考えております。ただ赤字を出すにいたしましてもいろいろ経理内容がありますので、補助金を出す上には黒字であるのに赤字を出すというような決算であればもちろんそういうものは除かれるわけでありますが、その点は十分私鉄の考課表なり実際の経理内容を調べまして、現実にその私鉄が赤字であるということを確かめました上で補助金を出すということにいたしたいと思います。
  95. 板川正吾

    板川委員 監督局の鉄道と道路との交差に関する法律案要綱によると、補助の対象となる費用は踏み切り保安設備の整備に関する費用、この項目にあるのでありますが、そのほか踏切道の管理に関する費用とか、あるいは立体交差施設の設置に関する費用の方には、これはいずれも法定化されますが、これを負担する場合には補助にならないのですか。要綱の中でそういうふうに解釈できますから、お伺いします。
  96. 山内公猷

    ○山内説明員 たとえば立体交差になります場合には、私どもの方で考えております法律では受益の範囲で負担していただこうということでございますので、補助の対象にはなりません。それで補助を出しますのは非常に限られた場合でなければなりませんので、非常に強い行政といたしましてただいま御説明したような会社を対象として考えておるわけであります。踏切道の場合も同じように補助の対象といたしておりません。
  97. 板川正吾

    板川委員 踏み切り保安設備の設置に関する費用が補助の対象になるのですが、大私鉄の場合は私はそれほど経理を圧迫しないと思う。しかし、いわゆる中小私鉄、小さい私鉄になりますと、この費用が非常に大きくなると思う。その場合、今赤字を出していないが、そういう踏み切なり設備を各所に作るために大へん赤字になるというような場合には、これは補助の対象にならないかどうか。
  98. 山内公猷

    ○山内説明員 これは赤字になった会社を対象といたしておるわけでございまして、将来赤字になるかもしれないという会社は、補助の性格からいいましても、対象として考えておりません。
  99. 板川正吾

    板川委員 この踏み切り設置基準に適応させるために、新設、開設が行なわれる場合に、その費用が膨大になった場合——これは大私鉄の場合もあります。そういう場合に、それに対して法律ができて基準が設けられた。その基準に適応するために踏み切りの施設費が充実された。そのために膨大な費用がかかった。こういう場合に、その分を特別に、たとえば低利の金融措置を講じてやるとか、何かそういうような対策というのは同時に考えらるべきであろうと思うのです。それはまあ基準の引き方いかんということになるのでしょうが、しかし基準を低く引けば、やはり事故は今まで通り起こっていき、またふえていくと思うのです。基準を高めにすれば、鉄道事業者の費用が非常にふえる。そういうふえた場合に、たとえば低利の金融等を考えられるかどうか。
  100. 山内公猷

    ○山内説明員 現在踏み切りに要します費用程度のものであれば、大事業者は一般の金融機関を通じまして、借り入れをするということは可能であろうというふうに考えておるわけでございます。われわれの方でこの補助金の予算要請をいたします場合には、一般的なものではいけないのでございまして、個々の会社を洗いまして具体的に出したわけでございますので、そういったような事情が起これば別途またそういったことは考えなければならないと思いますが、とりあえずこの立法の段階におきましては、大私鉄にそういった踏み切りの金融の措置ということまで考えておりません。そう大きな数字にならないというふうに考えております。
  101. 板川正吾

    板川委員 この補助の対象が、この考え方から言いますと鉄道事業者のみ対象になっておりますが、中小私鉄の場合と同様に、中小都市の地方公共団体の場合にも、この原因者負担によって非常に支出がふえると思うのです。こういう場合に、地方都市の公共団体が経理内容が非常に悪いときは、補助の対象になりますかどうか。
  102. 山内公猷

    ○山内説明員 その場合は、この法律に考えておりますのは鉄道事業者だけでございまして、地方公共団体に対して補助は考えておりません。
  103. 板川正吾

    板川委員 これで終わりたいと思いますが、踏切警手の職務権限を今度強化しよう、こういうお考えがあるようであります。踏切警手を踏切保安人というふうに名前を変えて、そうして職務権限を強化するために、たとえば踏切道内における交通指示権を与える、こういう構想があるやに聞いておるのでありますが、この踏切警手が交通指示権を持った方がいいかあるいはどうかということは、私自身もまだ考え方が、どうも、さてどっちがいいかなというところなんでありますが、この踏切警手に交通指示権を与える、こういうことの得失というのですか、そういう点をこの際明らかにしていただきたいと思います。
  104. 井上健一

    ○井上説明員 お答えいたします。この問題は慎重に考えなければいかぬわけですが、結局踏切保安人が相当強い権限を持つということになりますと、これは警察権との関係がございますし、それからまた事故の場合の先ほどの責任ですね、そういう点でいろいろ問題がありますので、一応そういうふうな包括的な表現をしておりますが、具体的な点につきましては慎重に検討して内容をきめていきたい、かように考えております。
  105. 板川正吾

    板川委員 この踏切保安法、すなわち鉄道と道路との交差に関する法律案は、大体いつごろまとまって、国会に提出される運びとなるか、それをお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
  106. 山内公猷

    ○山内説明員 現在関係官庁と協議をいたしておりまして、まとまり次第出したいと思いますが、まあ私どもといたしましては、次の通常国会に提出すべく現在準備を進めておるわけであります。
  107. 天野公義

    ○天野(公)委員長代理 次会は来たる九日水曜日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後二時四十七分散会