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藤田進君 私は、
日本社会党を代表いたしまして、
爆発物その他による
事故対策に関しまして、
緊急質問をいたす
ものであります。
最近、
人命の
軽視ということが、町の愚連隊ばかりではなくて、
岸内閣においても
人命軽視の
風潮はきわめて強いと言わざるを得ません。(
拍手)大じかけには
核武装論争によって表現されております。先般も、
岸総理に対して、核非
武装、世界平和を訴えて長年運動した一僧侶が面会を求めて参りましたが、これに会わないで、
総理官邸のそばで、ついに自殺を遂げた
事件もあります。私は、本日、そういった
核武装その他による
大量殺戮の方向を論じようといたしておるのではなくて、もっと身近に、
国内に頻発する
爆発物、これは
花火工場や、あるいは
火薬庫、それだけでなくて、空を飛んでいる
爆発物、昨日の
新聞でも御
承知のように、あの
沖縄においても大量の損害、
重軽傷者あるいは
死人を出したわけです。これらに対する
予防措置や、あるいは現実に起きた事態に対するこれが
緊急対策、将来にわたる
立法上、
予算上の
対策について、明確な御答弁を賜わりたいと思います。
まず、
岸内閣総理大臣に対してであります。私が
緊急質問を申し上げるまでもなく、すでに御
承知かと思うのでありますが、ちょうど
選挙中でございましたが、先般、五月二十九日には、長野県の
飯田市において、実に二千
有余戸が全半壊その他
死傷者を出しているのであります。続いて先月、六月の八日には、
広島市において、これまた大量の
死傷者を出すに至りました。これらをつぶさに
調査をいたしてみますと、かりに
広島の例をとってみますと、
市営住宅がその周辺に立ち並んでいる。しかも
火薬庫から二十メートル、三十メートルの所にあって、市の
当局者も、その
火薬庫がさような威力を持つ
ものであるということは全然知らないで、
住宅地帯に指定いたしました。そうして
監督官庁は過去三年間全然これが
調査も何もしていない。こういったような
現状であります。私の調べによりますと、
昭和二十九年から三十三年の五カ年間を数字的に見て参りますと、製造中あるいは消費中、運搬中、
貯蔵中、その他を含めまして、
件数におきまして三千百六件の
事故を起しております。
死人の数は、これがために八百三十九人に上っております。その他
重軽傷者は四千三百五十六であります。この
死人の八百三十九だけを考えてみましても、この本
会議場にいる
皆さんの数倍であります。しかも年寄りではなくて、若い、いわゆる
青年男女の前途有為な
人たちであります。
昭和二十九年の
件数を見ますというと五百六十一件、
岸内閣になって
昭和三十三年度は六百二十八件、六十七件ふえている。また、
重軽傷者も百人を増しているのであります。私は、この大きな
原因は、今日、その
予算において、
立法その他において、
国内の
人命軽視の
風潮が、むしろ
岸内閣から発足をして、これが事前の、あるいは事後の
措置について全く顧みられていない点にあると思う。
事故発生後においても、
災害救助法の
適用ということは、この
飯田の場合もそうですが、ほとんど
国家の適切な
扶助救済という
ものはなし得ない
現状にある。また飛行機、これは主として
米軍機でありますが、年間約百件のそういった
事故を起している。これが
国家が補償する割合は三割に満たない
現状であります。こういう
実態をまず御存じであるかどうか。私は、
実態を御
承知になっているとするならば、これに対して
岸内閣としてはいかなる
予防措置をとろうとされてきたのであるか。私の見たところでは全然ない。
広島の例を見ても、三年もほったらかしておいて、二十メートル、三十メートル付近から
市営住宅が建っている。こういうことでありまして、これに対する
予防措置をいかに講じてこられたのか、はっきりしていただきたい。起きた
事件に対して緊急にいかなる
措置をなされるのか。また
予算上、
立法上、今後これに対して従来
通りでいいとおっしゃるのか。さらに、
国会等に対して提出をなさる法案なり、あるいは
予算措置等についてこれまた具体的にお答えをいただきたいと思います。
次に、
通産大臣に
所管大臣としてお
伺いを申し上げたいと思います。
花火工場あるいは
火薬庫、いわゆる
火薬の
貯蔵、
広島の場合はダイナマイトその他の
貯蔵、これが問題でありまして、わが国の
中小零細企業が
花火工場その他の
火薬物を多数取り扱っております。その
貯蔵におきましても、大体九千二カ所と私は
承知いたしております。これが
火薬庫の数であります。
煙火工場は三百三十三、これらの
煙火工場だけを取り上げてみても、
零細企業で
過当競争をしている。給料その他を見ますと、
婦人労務者は一日がわずかに百五、六十円、一カ月五千円から
高給者でも八千円です。昨年起きた事例を見ましても
全滅をしているところもあります。
婦人労務者、
男子を含めて、
作業員は
全滅をしている。
男子の
労務者でも大体一万二千円前後であり、こういったところに
事故発生の大きな
原因がありますとともに、これらで働いている
労務者の悲惨な
現状という
ものは申し上げるに忍びません。こういう毎度から、中小企業金融公庫なり、あるいはその他の
金融等によりまして、設備の
改善、こういった
事故を再び起さないための
措置を、
通産大臣としてはとられる必要があろうかと私は思うのであります。これらに対して緊急にいかなる
措置をとり、さらに恒久的には、具体的にどういう
措置をとろうとされているのか。国の
災害救助法の
適用もないという
現状におきまして、これらについて詳しい御説明をいただきたいと思います。特に現場の
火薬庫やあるいは
煙火工場、こういったところの
災害の
未然防止につきましては、出先の機関において相当な手不足を訴えていることを、私はこの
調査で非常にはっきりとつかんで参りました。
広島の場合の
原因もそういったところにもあろうかと思うのであります。こういう点において、あるいはまた、いわゆる
保安距離、国宝、文化財、保護すべき
物件等についての場合と、
学校、病院の場合とは、従来のやり方が違っておりますし、一方また、
都市建築基準法の面から見ても、大きな矛盾があるのであります。こういった点について、
所管大臣として今後いかなる
立法措置をしようとしているのか、いないのか、こういったことについてお
伺いをいたしたいと思います。
国家公安委員長に
伺いますが、これは過去の例を調べてみますと、
事故が発生いたしまして、世間がやかましくなると、
国家消防本部あるいはそれぞれの
警察本部等に対して通牒を発しているにすぎないと、私は資料によって知ったのであります。これらの
事故未然防止ということに重点を置いて、今後もっと
一つ督励をされて、かかる
事故頻発の
折柄、
公安委員長の
立場からも、具体的にこれが
未然防止措置について特にお
伺いをしておきます。
外務大臣につきましては、これは一
たん外国のジェット機その他が
墜落をいたしますと、
爆発物に変化をいたしております。この被害はきわめて甚大であります。特に、一昨日の
沖縄におけるあの小
学校に
墜落をしたということ、これを
新聞その他の報道によって見ますというと、
搭乗員はいち早く飛びおりて助かっているのであります。私も
沖縄には参りました。上空から見ればまことに小さい鳥であります。早く
自分が飛びおりるよりも、少しその退避を考えたならば、ああいう
事故は起きなかったであろうというのが、
現地沖縄島民の批評であります。これは要するに、このわが
内地四つの島にも頻発しておりますが、これらの
搭乗員、ひいては
岸内閣も含んで、
人命に対する尊重の観念ということが希薄だからこそ、かように
事故を発生し、その被害が甚大化していると私は言わざるを得ません、(
拍手)かような意味合いにおきまして、これを契機に、ああいったまことに残念な、悲惨なことが契機で、私
どもは遺憾でございますが、
外務大臣とされては、
沖縄を含むわが日本領土におきましても、一カ年に百件をこえるという
事故が頻発をしているのであります。これらについて
一つ具体的にアメリカとの交渉をなさる必要がある、私はかように考えます。しかし、従来の答弁のように、全く実も葉もないようなことになるかどうか、お答えを聞いて再
質問をいたしたいと思っておりますが、私は、これを
機会に、米軍との間に、あるいはアメリカ国との間において、これが
事故頻発に関してでも、
沖縄に対する態度を鮮明にされる必要がある。その態度の内容については、しばしば
日本社会党が申し上げているところであります。
防衛庁長官にお
伺いいたしますが、この爆発
事故を契機にいろいろ
調査を進めて参りますというと、防衛庁所管の
火薬、弾薬庫についても、同様な危険性を多々全国至る所に持っております。人家がかなり近接している所もある。こういったようなことで、私は、防衛庁における弾薬庫、
火薬庫に爆発があるとするならば、さらに従来に見ない大惨害を起す可能性があるということを心配いたしております。防衛庁長官におかれては、こういう悲惨な
現状を前にして現在、私は時間がございませんから、指摘申し上げ事例を申し上げる時間がないのでありますが、防衛庁所管の
火薬庫につきまして
現状でいいと考えられているのか、これらについて具体的に
対策をお
伺いいたしたいと思います。
大蔵大臣につきましては、結局、わが国の
予算、財政の運営という
ものが、いわゆる再軍備に重点が置かれて、国作り、町作りというところが結局は手薄になってきている。そのしわ寄せが、人的な手不足において、あるいは設備において、とうとう今日のような
事故を発生している
原因にもなっているところであります。かような現実から、今後大蔵大臣とされましては、各省要求その他の削減をされて参りましたが、こういった少くとも
人命に関することについて、もっと耳をかして、これらの
予算についても十分受け入れる心がまえを持たれるべきだと思うのであります。これまた緊急に、今日、
飯田並びに
広島市その他の
災害に関して、どういう財政上の
措置をされようとしているか、もし
立法を要するならば、その点も含めてお
伺いをいたしたいと思います。また、
沖縄の一昨日の
事故は、これは御
承知の
通りでありますが、
新聞によりますと、電報等による見舞を打電されたというふうに聞いております。私は、国としてこれに対して手厚い救済の手を差し伸べるべき必要があろうかと思うのであります。これにつきましても、大蔵大臣とされましてはどういうお考えをお持ちであるか、お
伺いをいたしまして、まず一応の
質問を終る
ものであります。(
拍手)
[国務大臣岸信介君
登壇、
拍手〕