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石黒忠篤君(石黒忠篤)
○
石黒忠篤
君 私から
北海道班
の
現地調査
につきまして御
報告
を申し上げます。 この班の
調査課題
は、
少年犯罪
、
めいてい犯罪
、
売春関係
の三つでありますが、
北海道班
は、
米田委員
及び
辻委員
と私とが当ることになりまして、
奥村調査員
を伴い、八月十二日から八日間にわたって、
函館
、
釧路
、千歳及び札幌の各地において
調査項
百に従いまして
現地調査
を行なって参りました。 私は、用務の
関係
上八月の初句を希望したのでありますが、ほかの
委員
の方々の御都合で、先ほど申し上げましたようなことになりました。従って私の直接参加いたしましたのは
函館
、
釧路
の二つだけでごめんをこうむったのであります。
辻委員
が貫いて御
調査
をして下すったのでありますが、御都合上御欠席になりましたので、はなはだ不適任であると思いますが、私から御
報告
申し上げることにいたします。
少年犯罪対策
問題につきましては、八月十三日、十五日、十八日と、
函館
、
釧路
両
地方裁判所
及び
札幌高等裁判所
におきましてそれぞれ問題に関しまして
調査
をいたし、
売春防止法運用
についても、
関係方面
をまじえまして
調査懇談
をいたしました。八月十四日に
函館少年刑務所
及び
函館少年鑑別所
を視察し、十七日は
千歳少年院
と
北海少年院
とをそれぞれ視察をいたしました、また、
売春問題調査
といたしましては、十七日に千歳市をおとずれ、事情を聞き、最後に、同十八日午後
北海道
庁で
めいてい犯罪対策
問題及び
売春防止法運用
の両件につきまして
調査懇談
をいたしたのであります。そのことをこれからお話したいと思います なお、申し添えておきますが、本
調査
に当りまして、
最高裁事務総局
の
家庭局
の沼辺第一課長及び同
総務局
の
今江事務官
が終始同行をして下さいまし、て便益をはかって下さいましたことを御
報告
いたしておきます。 私から御
報告
申し上げます第一は、
少年犯罪対策
に関する問題についてであります。まず、各地の
少年犯罪事情
でございますが、
函館地方
でも
少年犯罪
の数は非常に
増加
しておりまして、
同地ガ
の
検察庁管内
の本
年度前半受理件数
は、三十年度同期に比較いたしまして約三・四倍でございます。特に
輪姦事件
の
検挙率
が高くございます。昨年中の
凶悪犯
、
粗暴犯
は三十年の三・八倍に達したといわれております。また、
釧路地方検察庁管内
では、近時季節的に漁夫の集散がきわめて激しくありまして、そのために
年少漁夫
の
暴行傷害事件
が続出するというありさまであります。昨年の同庁における
事件受理人員
が二十八年の三・五倍強でありまして、一昨年と比較いたしまして、
強制わいせつ
、
強姦事件
が二倍、傷害は一・七五倍というふうに
増加
をいたしております。
年長少年犯罪
は、二十九年から三十二年までの期間に、全
少年事件数
の五一%ないし五五%を示しており、結局凶悪、
粗暴犯
は
年長少年
によって行われているというふうに、本地方では見られるのであります。 一方
札幌家庭地裁判所
は、
年長少年
の非行について、管内の傾向といたしても強姦、
わいせつ等
の
悪質犯
、恐喝、
暴行等
の
粗悪犯
の
一般的増加現象
は認められますが、
北海道警察本部
の昨年一年の
調査
結果では、
年長少年
の
非行増加率
か四%であるのに対しまして、
年少少年
、特に十四才から十六才未満の
少年
が三十四%、十六才以上十八才以下の
少年
が約一五%と、それぞれ
増加率
を示しておりまして、
少年非行
の
増加
は、
年長少年
の方よりもむしろ
年少少年
のそれに見ることができるということを主張しておるのであります。
少年犯罪
の実情について、各主張の立場と基準とが同一でないために、正確な判断が困難であると認められたわけであります。 その次に、
適用年令
の問題について申し上げますが、十八才未満に引き下げることを主張する
検察庁側意見
と
裁判所側
の
意見
は対立をしております。さらに、
検察庁側
といたしましては、
年令引き下げ
が実現しない場合は、せめて十八才以上の
少年
の
凶悪犯等
に限りまして
検察官
の
先議権
を認めるががよかろうという
意見
が有力でありました。
釧路地方検察庁
では、
年長少年
の
道路交通違反事件
だけでも
先議権
を認めるべきであるという
意見
が強くございました。
家庭裁判所
の
決定等
に対する
検察官
の
異議申立
、
抗告制度採用
というようなことにつきましては、
少年側
の
必要的付添制度
を条件に、
裁判所
は同流する意向を明らかに示しておるのであります。 さらに、
少年法改正
の
問題点
といたしまして、
検察庁側
の
執行猶予判決
を受けた
犯罪少年
には重い
保護処分
に付し得るよう考慮すべしという
意見
がございます。また、
検察官
の
意見
と
家庭裁判所
の処理結果の不一致、とりわけ不開始、不処分の比率は高いとの批判に対しまして
裁判所側
は、一々その根拠をあげて、反対をいたしました。後者の批判に対しましては、
裁判所
は、
治安維持
への考慮は十分に払っており、自信があるということで反論をしておったのであります。また、最近の
少年交通犯
の激増にかんがみまして、
犯罪少年
の
雇用主
をも処罰し得る両
罰的規定
の
必要性
、
少年
に対する
罰金刑
の
換刑処分制度
を主張する
札幌地方検察庁
に対しまして、
札幌家庭裁判所
は、処理の実情を訴えて、反対をしているのが目立ったところでございます。 次に、
少年
の
道路交通違反事件
は、全国的に急激な
増加
を示しておりますのでありますが、
函館
の場合もこれと同様でありまして、本
年度上半期
におきまして、全
交通犯
の三一・五%を
少年犯
が示しておるのであります。その三判が無
資格運転
であるという現状であります。また、
少年
の
交通違反事件
は、
少年法
の適用からはずしまして、
行政犯
とした方がよかろうという
意見
が各地の
検察庁
、
裁判所
から出ました。また、
少年法
二十条による
検察官送致事件
中に
罰金刑事件
を含ましめる必要があるという
意見
も
裁判所
にございました。 次に、
千歳少年院
及び
北海少年院
の視察は、現在の
少年矯正施設
がいかに、不完全なものであるが、
北海道
の
特殊性
からも早急に
改善強化
を要するかを十分にわれわれに認識させたのでございます。 まず、
千歳特別少年院
でありますが、ここは、
昭和
二十七年旧海軍の
施設
を転用した
関係
上、
少年院向き
の建物では全くございません。現在、
同院南学寮
は、部屋の仕切りのため、便所、
洗面所
はございません。
仮設的置便器
、
ビニール配管等
を行なっている
状態
であります。院内の天井は、四百五十坪にわたって
しっくい天井壁
が落ちております。またはその憂いがある
状況
にあるのであります。また、
石炭庫
がないので、石炭は戸外にさらされておって、
熱管理
上、
カロリー低下
、流失、沈下には施すに手段がないという
状態
であるのであります。
寒冷地
であるのに、野菜の貯蔵も、火山灰上中にただ埋めているといったような方法をとっている
状態
でありまして、凍結、腐敗、
高位購入
を余儀なくされておるような
状況
であります。その他
農機具倉庫
兼
収納舍
、糞尿ため設備、
独居寮
々舎の
設備等
のはなはだ不完全であること、あるいはないこと等が、同院における著しい点だと思うのであります。教官十九名で百十五名を収容しておりますが、やがて
収容人員
は百三十名に達するであろうと見込まれておるのであります。そこで、
職員
の不足から、
超過勤務手当支給率
は、昨年度二九・六%であって、
職員宿舎
の増設が強く必要を認められておるのであります。
北海少年院
の方は、初等、中等、
医療少年院
として道内日取大の
収容定員
二百六十四名でございますが、八月十五日現在では一・四五倍、すなわち三百八十三名の
過剰収容
の
状態
であります。ことに
初等寮
は、それを上回る二・七倍の、いわば
過剰拘禁
にもひとしい
状態
であります。しかも、
中等寮等
とは分離されておりません。
いがぐり頭
の
少年たち
が狭い板の間に十四人も押し込められておる部屋というようなことでは、
身柄拘束
に終始いたしまして、矯正の実も期しがたいと痛感せられました。なお、ここでは、
独居房
と申しましても、三人平均の入居が普通のこととされているのであります。また、ここは
昭和
十七年の建築でございまして、年々建物の腐蝕及び破損がはなはだしい
状態
で、
早急改築
の必要が認められたのであります。
函館少年鑑別所
では、最近の
少年犯罪
では、暴力と性の
事件
が目だっております。同所の
機能発揮
の職責上からも、鑑別矯正可能な
初犯少年
が少く、
身柄拘束
の
再犯少年
が多くある
状態
であることを嘆いておりました。同時に、
施設
の完備と
収容期間
の延長を望んでおったのであります。この
鑑別所
の
施設
も、実に手狭な、暗い、そして大ぜい一緒に入っておるというようなことで、まことに
鑑別所
というものにふさわしからぬひどい
状態
にございました。 次に、少し一般的に申し上げてみたいと思いますが、以上は、
少年犯罪対策問題等
に関しまして、外地の
意見
のあらましをただいままで申しましたが、
増加
の実情、これに対する
対策
に関しましては、
検察庁
と
裁判所
の意口の相違が認められました。その理由は明らかでないところもございますが、
司法的視野
から、
厳罰主義
か
保護主義
かの点は重大であるといたしましても、現在の
少年犯罪増加
は、心身未発達の
日本青少年
が、
一般社会
の
生活面
における急激な
消費文化
の
膨張——スポーツ
でありますとか、
セックス関係
でありますとか、あるいは見る方も、スクリーンの
関係
でありますとかいうような面から多く影響を受けているものであることを認めざるを得ないのであります。そうであるとすれば、
現行少年法
が成立した当時の理想を今日もなおしばらく見守って、両親であるとか、あるいは教師、
社会福祉関係者等
の
地域社会
の
組織的活動
と
青少年非行
の
総合的科学的分析
の結論の上に立った
少年矯正保護施設
の充実を強化するということが先決問題ではないかと存ぜられるのであります。 第二に、
めいてい犯罪
の
対策
問題について申し述べてみたいと存じます。
北海道
におきまして、
めいてい犯罪
と称せられる
事件
は、昨年度
警察
の一調べによりますと、
刑法犯罪
中六八五%を占めまして漸増の仰向にあるのであります。その七五%は
粗暴犯
となって現われており、地域的には、
札幌方面
だけでも全道の四五%の数を示しております。
警察
の
保護室
の
設置状況
も見ましたのでありますが、これはおおむね妥当と見られたのであります。全
保護者
の約三分の二を占める
泥酔者
の
保護
も適当に行われておるように見受けたのであります。
飲酒めいてい
による
犯罪
の
対策
につきましては、
裁判所
、
検察庁等
において
積極的意見
の開陳は別段ございませんでした。
刑事責任
の有無の判断は、実際上も非常に困難があるものと感じさせられたのであります。また、刑罰以外に
保安処分
など何らかの
矯正改善施設
は必要であることを主張した
意見
がもっぱらであったのであります。 第二に、
売春防止法運用
の問題について申し上げます。
防止法
の一部施行前の
北海道売春業者
八九十一二名と
売春婦
三千四百五十九名は、昨年四月以降全部転廃業をいたしたことになっておりますが、実際は、
潜在売春婦
として、本年六月現在で約七百名がいる、こういう見込みであるのであります。
都市中心
に千歳、名寄、
帯広等自衛隊駐屯地
、小樽、
函館
、
釧路等
の海港及び
道内益
要
温泉地帯
で
売春
が行われておるものと解されます。
法律施行
後の
発布形態
といたしましては、街娼、旅館、アパート、船内においての
自前売春
、
基地接客婦売春
、
温泉地芸妓等
の
派出売春
があげられますが、このうち
自前売春
が多くありまして、手口が巧妙化し、捜査に困難をもたらし、その間ひもが介在いたしまして、
売春
事犯の助長、婦女子の更生を阻害しておるという
状況
であるようでございます。
警察
取締り
の点からは、勧誘事犯として
増加
をし、昨年四月から本年六月までの総検挙人員が千百十五名のうちの六二%を示しております。このことは、
検察庁
の受理件数にも顕著に現われておるのであります。さらに、
検察庁
の
売春
事犯処理上考慮すベき点として、越訴中の約九〇%が略式請求による罰金で処理されておるという実情があげられまして、
売春
の悪循環ではないかとの批判を感ぜられておるようであります。 婦人の
保護
更生のための
施設
及び活動はまだ十分とは申されないようでありまして、婦人相談所は札幌に一カ所、全道でたった一カ所であります。また、婦人
保護
施設
として札幌市外に道立の手稲向静学園というものがあるだけで、五十名定員のところが、現在は十一名しか人っておらないで、各地で
北海道
婦人補導院の開設が望まれておる、こういう
状況
であります。また、
売春婦
に対しまする更正資金貸付につきましては、昨年度は、資金ワクの二百二十五万円の二四・七%の貸し出ししか行われておらなかった。道庁では、当局に対して貸付手続の簡素化、便宜化等を要望しておる実情であるのであります。 終りに、性病予防
対策
について一言申し添えておきますが、患者数は、昨年度は三十一年度の五分の一に統計上減少しておるものの、実数を把握することは困難であります。各地でその
対策
に苦慮しているのであります。
売春防止法
の全面的施行を契機に、
売春
事犯は潜伏の傾向にありまして、かえってわずかな街娼、
自前売春
の勧誘事犯が日立っているにすぎません。暴力
売春
ないしはひもの
対策
についても、将来考慮を払うべきであると存じますが、
警察
取締り
も一つの転機に際会しているものと思われるのであります。それとともに、知能指数平均値が七六・七で境界線級のものが半数以上を占めている
北海道
売春婦
、ひいては全国の転落女性に対しまする更生
保護
対策
は、
精神薄弱者
対策
とともに、やがて国家的に強力に推進されねばならない社会政策の重要課題の一つであると考えさせられる次第でございます。 以上をもちまして大略の御
報告
といたしますが、いろいろの資料を
調査
員の方で整理をしておりますから、何なりと御参考下さるようにお願いいたします。
kokalog - 国会議事録検索
1959-09-22 第32回国会 参議院 法務委員会 閉会後第4号
公式Web版
参考人の出席要求に関する件 ○派遣委員の報告 ○検察及び裁判の運営等に関する調査 (会議録情報)
0
昭和
三十四年九月二十二日(火曜日) 午前十時三十九分閉会
—————————————
委員
の異動 九月七日
委員植竹春彦
君
辞任
につき、 その
補欠
として
宮澤喜一
君を
議長
にお いて指名した。 五月三十一日
委員林田正治
君
辞任
につ き、その
補欠
として
杉原荒太
君を
議長
において指名した。
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
大川
光三
君
理事
古池
信三君 後藤 義隆君
高田なほ子
君
石黒
忠篤
君
委員
杉原
荒太
君 横山 フク君 赤松 常子君 千葉 信君 市川 房枝君
事務局側
常任委員会専門
員
西村
高兄君
説明員
警察庁刑事局捜
査
課長
秦野 章君
警察庁保安局長
木村 行蔵君
警察庁保安局保
安
課長
中村 隆則君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
参考人
の
出席要求
に関する件 ○
派遣委員
の
報告
○
検察
及び
裁判
の
運営等
に関する
調査
の件 (
暴力犯罪
及び
少年犯罪対策
に関す る諸問題に関する件)
—————————————
委員長(大川光三君)(大川光三)
1
○
委員長
(
大川光三
君) これより
委員会
を開きます。 まず、
検察
及び
裁判
の
運営等
に関する
調査
を議題といたします。 初めに
参考人
の
出席要求
についてお諮りをいたします。
少年犯罪対策
に関しまして、来たる十月九日、第一回の
参考人
の
意見
を聴取することにいたしたいと存じますが、さよう
決定
することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
委員長(大川光三君)(大川光三)
2
○
委員長
(
大川光三
君) 御
異議
ないと認めます。それでは、
参考人
の人選につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じます。
委員長(大川光三君)(大川光三)
3
○
委員長
(
大川光三
君) 本日は、去る七、八月、
検察
及び
裁判
の
運営等
に関する
調査
といたしまして、
最高裁
機構改革
問題、
少年犯罪対策
、
売春防止法運用関係
諸問題、
めいてい犯罪対策
、及び
法務関係施設
につきまして
南九州並び
に
北海道地区
に
委員派遣
を行なっておりまするので、その
報告
を聴取することにいたしたいと存じます。 それでは、まず
南九州班
につきましては私から、
派遣委員
を代表いたしまして、
南九州班
の
現地報告
をいたします。
南九州班
は、私と
古池理事
及び
高田理事
の三名が
派遣委員
となり、
西村専門員
及び、
天久調査員
を随行して、去る七月二十七日から八月一正まで一週間、
熊本
、
鹿児島
の二県においては、
最高裁判所
の
機構改定
、
少年犯罪対策
、
めいてい犯罪対策
、
売春防止法
の
運用
に関する諸
問題等
を、また宮崎県においては、
最高裁判所
の
機構改革
と
刑務所
の
視察
を、
大分
県においては、
少年犯罪対策
、
めいてい犯罪対策
、
売春防止法
の
運用
に関する
問題等
をそれぞれ
調査
して参りました。
調査
に当りましては、
最高裁
より
長井総務局総務課長
、同じく
会江事務官
が同行せられました。また
現地関係者
からも貴重な資料が提出される等各方面から甚大な協力にあずかりました。特に深甚の謝意を表する次第であります。 以下、
調査事項
について順次説明いたしまするが、時間の
関係
上なるべく簡単にとどめ、詳細は、
報告書
に譲りたいと存じます。
最高裁判所
の
機構改革
に関する問題についての
現地裁判所側
の
見解
は、この問題が法曹界や
国会
において検討
調査
されるようになったのは、
昭和
一、十七、八年ごろ
最高裁判所
の
未済事件
が
民刑事
を合わせて約七千件の大きに達し、一件
処理
が著しく停滞したことが機縁となって起ったものでありまして、かかる
状態
を放置することのできないことは当然であり、また、各
関係庁
においても、
改革案
が考えられるのも、決して
理由
のないことではありませんが、しかし、一方新
憲法下
の
最高裁判所
には、従来の
裁判所
に付与せられていなかったいろいろの権限、たとえば
違憲審査権
のごとき重大な権限が付与せられているのであり、
最高裁判所
の改定は、その使命と性格に密接な
関係
を有し、かつ、これに影響を及ぼす点の多いことを十分に考慮し、しかも、きわめて慎重になさるべきものでありますことに最近は、
最高裁判所
の
未済事件数
も、
昭和
三十三年末には四千件弱に減じ、この四千件のうち二千件は、
上告
して
最高裁判所
から
最高裁判所
に持ち込まれるまでの語録の作成、書類の整理、
印刷等
に四カ月かかる、いわゆる
機構院
の
手持ち
でありまして、実質上の
手持ち
ではありません。従って、
事件停滞
の意味における
機構改革
の
必要性
はなく、それよりも、第二審を強化して
下級審
の
裁判
を不服とする
上訴事件
を減らすことが急務であるとする
意見
のようであります。
検察庁側
といたしましては、大体
機構改革
については、
裁判所側
の
見解
と同点見でありますが、
上告範囲
を
法令違反
まで拡張するならば、第二十八回
国会
に提出された
政府案
に同調する旨の付言がありました。 また、
弁護士会側
は、これに反し、国民の
基本人権
に甚大な影響を及ぼす、第一、二群の
裁判
に不服があっても、時間的、
経済的理由
や
地理的事情
から、
上告審
に持ち込むことができないことがある。すなわち一、二審の
裁判
に真に承服して、
不服申立
を中止したのであればよいが、実際は、いろいろの
事情
で
上告
を思いとどまることが国民の
実情
である、従って、
最高裁判所
の
未済事件
が減ったからといって、直ちにその
機構改革
の
必要性
がないとは認められない、
口弁連
の構想である
最高裁判所
の
裁判官
の増員三十名と
上告範囲
の拡張、すなわち
上告範囲
を
現行法
の
上告理由
に
法令違反
をも含ましめるべきだと強調いたしておりました。 次に、
項目別
に説明いたしますと、
違反審査権
の内容及び
運用
の
あり方
については、
現地
の方々は、
具体的事件
を通じてのみ審判の対象となし、抽象の
運用
は、
裁判官全員
をもって構成する
合議体
でなすべきものであること、すなわち、
現行法
の通りが
裁判
の性格に適合するものとし、また
上告範囲
、
裁判官
数等については、
裁判所
及び
検察庁側
は
現行法通り
、すなわち、
上告
の範囲を
憲法違反
、
判例違反等
に制限すべきで、
法令違反
を含めないこと、また
裁判行
の数は、現行の十五名を限度として、増員には
反対
であり、
弁護士会側
は、
上告範囲
をさらに広げて、国民の要望である
法令違反
まで含ましめ、
裁判官
の数は三十名に増員し、
大審院制度
に復元すべきであるとの
反対
の
見解
が述べられました。 次に、いわゆる
中二階的上告裁判所制度
の
採用
の可否及びその
上告裁判所
の判決に対する
不服申立制度
の
あり方
については、
裁判所
、
弁護士会側
はその
必要件
を否認し、
検察庁側
は、
上告範囲
を拡張しなければならないものとすれば、
事情
やむを得ないものとして
採用
するもいたし方がないものとし、また、右上
裁判所
の判決に対する、
不服申立制度
も考慮する必要がある旨の
意見
を開陳しておりました。 次に、
少年犯罪対策
に関する問題、すなわち
少年
の
年令引き下げ
、検事の
先議制等
についての
裁判所側
の
見解
は、
少年
は
心身とも
に未発達で、
矯正
可能なものであるから、
矯正施設
及び
職員
の
充実強化
をはかり、なお
少年犯罪
が
凶悪化
、
多発化
するようであれば、そのときにさらに検討すべきものであるとの
意見
が述べられました。これに反して
取締り当局
である
検察庁
及び
警察
と
弁護士会側
では、現下の
少年犯罪
の
凶悪化
、
多発化
は
年長少年
に多くして、これらの者は、
心身とも
に発育し、事理を弁識する能力も成人と何ら変るところなしとなし、さらに民法七百三十一条、
児童福祉法
第四条等や外国の
立法例
をあけて、特に外国においては、十八才未満を
少年法
の
適用年令
としている国が多いことを
理由
といたしまして、
年令引き下げ
、
検事先議制
の
採用
を強く主張し、また、
家庭裁判所
の決定に対する
検察官
の
異議中立制
または
抗告制採用
についての
意見
は、ともにその
採用
の
必要性
を認める向きが多かったのでありますが、ただ、
熊本地方裁判所
並びに同
家庭裁判所
は、
異議申立
、
抗告制
の
採用
については同調しておりません。
鹿児島地方裁判所
及び同
家庭裁判所
は、
抗告制
は、
少年事件
にふなれな
高等裁判所
の
裁判官
の手をわずらわすことになり、不適当である旨の
意見
が述べられました。 次に、
めいてい犯罪対策
に関する問題でありますが、この問題については、
各地
とも
関係法令
に何らかの手当を加える必要があるとする
意見
でありました。その
めいてい犯界者
の
類型
を大略次の三
類型
に分類されると
現地
では見ております。すなわち一は、
犯罪
の目的で飲酒し、または犯行を容易ならしめるための飲酒をした
犯罪者
、二は、偶然の
めいてい
による
犯罪者
、三は、飲酒すれは
犯罪
を犯しやすいことを認識していながらあえて飲酒をした
犯罪者
に分数され、この
めいてい犯罪
の処罰をどうするかということになりますが、一ないし三のいずれの
類型
に属するかによって処罰にも寛厳があり、従って、一の数型の
犯罪者
に対しては厳罰をもって臨む。二の
類型
の
犯罪者
に対しては、場合により責任を軽減する。三の
類型
型の
犯罪者
に対しては、従来
過失犯
として取扱った判例があるので、
右類型
の
犯罪者
に対しても、原因において事由なる行為の
法理論
を成文化して、加罰の根拠を明白にすることが望ましいこと、また、
保安処分
についても、
収容処分
のほかに
保護
視察
的な非
収容処分
をも考慮する必要があることや、さらに一部には、薬物の施用による
犯罪者
の処置についても、
めいてい犯罪者
と同一に取り扱い、
保安処分等
を考慮する必要がある旨の
意見
が開陳されました。 次に、光市
防止法
の
運用
に関する問題でありますが、まず、
本法全面施行
の
昭和
三十三年四月一日から
昭和
三十四年三月末日までの各県の検挙の
状況
を見ますると、
熊本
が百八十三件、
鹿児島
が四十三件、
大分
が百四十件であります。その内訳は、第五条
違反
の
勧誘等
、第六条
違反
の
周旋等
、第十一条
違反
の
場所提供
、第十二条
違反
の
売春
をさせる
業等
でありますが、その筆頭が
売春婦
で、
売春助長行為者
がそれに次いで多いのであります。その
処理
の
状況
を見ますると、立法の趣旨にのっとり、
売春婦
は処罰より
保護更正
の面に重点を置き、売
助長行為者
に対しては厳格な態度で臨まれておることがうかがわれます。次に、
売春婦
のひもまたは暴力団との
関係
については、
熊本
、
鹿児島
及び
大分
の各県においては、特に目立つほどではないが、二、三その事例があったことを認めております。この種の
事件
は、立証がきわめて困難であるため、
取締り
にちょっとでも行き過ぎがあると、直ちに人権問題を惹起するおそれがあり、従って、
取締り
を容易にするため、
被告人
が
立証責任
を負うように
立法処置
を講じてもらいたい旨の
意見
が開陳されました。
保護更生施設
の面も、各県とも大体完備されておりますが、
食糧費等
の予算が少く、一日の
カロリー
を補給するのに非常に苦心しておるような
実情
で、その増額を要望しております。
婦人更正資金
もある程度活用されておりますが、いまだ十分とは認められませんでした。さらに、一時
保護
または
婦人保護施設入寮
の際、要
保護女子
が子供を持っておる場合に、その子供の
生活費
も基準として早急に認めることや、
精神薄弱者
の取扱いに困却しておるので、適当な
対策
を樹立してもらいたい旨の要望がございました。
鹿児島
県では、
鹿児島
市塩屋町にある、元
赤線地帯
の
視察
の際、元業者から次の陳情を受けました。すなわち、私たちは、転業して
旅館業
を経営しておりますが、分業不振のため
施設
の改造及び
温泉旅館
を計画し、温泉を掘さくしております。しかし、これらに要する資金がなく、県または国に対し
貸付金
の貸付を希望しても、
貸付条件
がきびしいため、なかなか希望が達せられないことや、
固定資産税
は
売春業
を営んでいた当時と現在も同額を課されているから、これらの点について
是正方
を要望いたしておりました。 また、
宮崎家庭裁判所
及び同
簡易裁判所
は、元
地方裁判所
の
焼け残り
の老朽の建物を使用いたしておりまするので、その予算を来年の
裁判所予算
に計上するように当局とは話し合いができておりますが、
国会
においても、その
実現方
に協力よされたい旨の要望がありました。また、
大分地方裁判所
においては、
全国司法部職員労働組合大分文部
の
代表者
から、第一
審強化
に伴い
裁判所
の
一般職員
の地位の向上及び
人員増加
を、要望し、その方法の一つとして、現在の
最高裁判所事務総局
の各局長、
課長
及び各
高等裁判所
の
事務局長
に
裁判官
をもって充ててあるが、これを
裁判所事務官
をもってかえること、また、
裁判所職員
には、
他行庁
に例を見ないほど多種多様な試験が行われているので、この
試験側々
を全廃または緩和されたいこと、及び
大分地方裁判所庁舎
をすみやかに改築されたい旨の陳情がありましたから、申し添えておきます。 以上をもって私の
報告
を終ります。 次に、
北海道班
につきまして、石黒君から御
報告
をお願いいたします。
石黒忠篤君(石黒忠篤)
4
○
石黒忠篤
君 私から
北海道班
の
現地調査
につきまして御
報告
を申し上げます。 この班の
調査課題
は、
少年犯罪
、
めいてい犯罪
、
売春関係
の三つでありますが、
北海道班
は、
米田委員
及び
辻委員
と私とが当ることになりまして、
奥村調査員
を伴い、八月十二日から八日間にわたって、
函館
、
釧路
、千歳及び札幌の各地において
調査項
百に従いまして
現地調査
を行なって参りました。 私は、用務の
関係
上八月の初句を希望したのでありますが、ほかの
委員
の方々の御都合で、先ほど申し上げましたようなことになりました。従って私の直接参加いたしましたのは
函館
、
釧路
の二つだけでごめんをこうむったのであります。
辻委員
が貫いて御
調査
をして下すったのでありますが、御都合上御欠席になりましたので、はなはだ不適任であると思いますが、私から御
報告
申し上げることにいたします。
少年犯罪対策
問題につきましては、八月十三日、十五日、十八日と、
函館
、
釧路
両
地方裁判所
及び
札幌高等裁判所
におきましてそれぞれ問題に関しまして
調査
をいたし、
売春防止法運用
についても、
関係方面
をまじえまして
調査懇談
をいたしました。八月十四日に
函館少年刑務所
及び
函館少年鑑別所
を視察し、十七日は
千歳少年院
と
北海少年院
とをそれぞれ視察をいたしました、また、
売春問題調査
といたしましては、十七日に千歳市をおとずれ、事情を聞き、最後に、同十八日午後
北海道
庁で
めいてい犯罪対策
問題及び
売春防止法運用
の両件につきまして
調査懇談
をいたしたのであります。そのことをこれからお話したいと思います なお、申し添えておきますが、本
調査
に当りまして、
最高裁事務総局
の
家庭局
の沼辺第一課長及び同
総務局
の
今江事務官
が終始同行をして下さいまし、て便益をはかって下さいましたことを御
報告
いたしておきます。 私から御
報告
申し上げます第一は、
少年犯罪対策
に関する問題についてであります。まず、各地の
少年犯罪事情
でございますが、
函館地方
でも
少年犯罪
の数は非常に
増加
しておりまして、
同地ガ
の
検察庁管内
の本
年度前半受理件数
は、三十年度同期に比較いたしまして約三・四倍でございます。特に
輪姦事件
の
検挙率
が高くございます。昨年中の
凶悪犯
、
粗暴犯
は三十年の三・八倍に達したといわれております。また、
釧路地方検察庁管内
では、近時季節的に漁夫の集散がきわめて激しくありまして、そのために
年少漁夫
の
暴行傷害事件
が続出するというありさまであります。昨年の同庁における
事件受理人員
が二十八年の三・五倍強でありまして、一昨年と比較いたしまして、
強制わいせつ
、
強姦事件
が二倍、傷害は一・七五倍というふうに
増加
をいたしております。
年長少年犯罪
は、二十九年から三十二年までの期間に、全
少年事件数
の五一%ないし五五%を示しており、結局凶悪、
粗暴犯
は
年長少年
によって行われているというふうに、本地方では見られるのであります。 一方
札幌家庭地裁判所
は、
年長少年
の非行について、管内の傾向といたしても強姦、
わいせつ等
の
悪質犯
、恐喝、
暴行等
の
粗悪犯
の
一般的増加現象
は認められますが、
北海道警察本部
の昨年一年の
調査
結果では、
年長少年
の
非行増加率
か四%であるのに対しまして、
年少少年
、特に十四才から十六才未満の
少年
が三十四%、十六才以上十八才以下の
少年
が約一五%と、それぞれ
増加率
を示しておりまして、
少年非行
の
増加
は、
年長少年
の方よりもむしろ
年少少年
のそれに見ることができるということを主張しておるのであります。
少年犯罪
の実情について、各主張の立場と基準とが同一でないために、正確な判断が困難であると認められたわけであります。 その次に、
適用年令
の問題について申し上げますが、十八才未満に引き下げることを主張する
検察庁側意見
と
裁判所側
の
意見
は対立をしております。さらに、
検察庁側
といたしましては、
年令引き下げ
が実現しない場合は、せめて十八才以上の
少年
の
凶悪犯等
に限りまして
検察官
の
先議権
を認めるががよかろうという
意見
が有力でありました。
釧路地方検察庁
では、
年長少年
の
道路交通違反事件
だけでも
先議権
を認めるべきであるという
意見
が強くございました。
家庭裁判所
の
決定等
に対する
検察官
の
異議申立
、
抗告制度採用
というようなことにつきましては、
少年側
の
必要的付添制度
を条件に、
裁判所
は同流する意向を明らかに示しておるのであります。 さらに、
少年法改正
の
問題点
といたしまして、
検察庁側
の
執行猶予判決
を受けた
犯罪少年
には重い
保護処分
に付し得るよう考慮すべしという
意見
がございます。また、
検察官
の
意見
と
家庭裁判所
の処理結果の不一致、とりわけ不開始、不処分の比率は高いとの批判に対しまして
裁判所側
は、一々その根拠をあげて、反対をいたしました。後者の批判に対しましては、
裁判所
は、
治安維持
への考慮は十分に払っており、自信があるということで反論をしておったのであります。また、最近の
少年交通犯
の激増にかんがみまして、
犯罪少年
の
雇用主
をも処罰し得る両
罰的規定
の
必要性
、
少年
に対する
罰金刑
の
換刑処分制度
を主張する
札幌地方検察庁
に対しまして、
札幌家庭裁判所
は、処理の実情を訴えて、反対をしているのが目立ったところでございます。 次に、
少年
の
道路交通違反事件
は、全国的に急激な
増加
を示しておりますのでありますが、
函館
の場合もこれと同様でありまして、本
年度上半期
におきまして、全
交通犯
の三一・五%を
少年犯
が示しておるのであります。その三判が無
資格運転
であるという現状であります。また、
少年
の
交通違反事件
は、
少年法
の適用からはずしまして、
行政犯
とした方がよかろうという
意見
が各地の
検察庁
、
裁判所
から出ました。また、
少年法
二十条による
検察官送致事件
中に
罰金刑事件
を含ましめる必要があるという
意見
も
裁判所
にございました。 次に、
千歳少年院
及び
北海少年院
の視察は、現在の
少年矯正施設
がいかに、不完全なものであるが、
北海道
の
特殊性
からも早急に
改善強化
を要するかを十分にわれわれに認識させたのでございます。 まず、
千歳特別少年院
でありますが、ここは、
昭和
二十七年旧海軍の
施設
を転用した
関係
上、
少年院向き
の建物では全くございません。現在、
同院南学寮
は、部屋の仕切りのため、便所、
洗面所
はございません。
仮設的置便器
、
ビニール配管等
を行なっている
状態
であります。院内の天井は、四百五十坪にわたって
しっくい天井壁
が落ちております。またはその憂いがある
状況
にあるのであります。また、
石炭庫
がないので、石炭は戸外にさらされておって、
熱管理
上、
カロリー低下
、流失、沈下には施すに手段がないという
状態
であるのであります。
寒冷地
であるのに、野菜の貯蔵も、火山灰上中にただ埋めているといったような方法をとっている
状態
でありまして、凍結、腐敗、
高位購入
を余儀なくされておるような
状況
であります。その他
農機具倉庫
兼
収納舍
、糞尿ため設備、
独居寮
々舎の
設備等
のはなはだ不完全であること、あるいはないこと等が、同院における著しい点だと思うのであります。教官十九名で百十五名を収容しておりますが、やがて
収容人員
は百三十名に達するであろうと見込まれておるのであります。そこで、
職員
の不足から、
超過勤務手当支給率
は、昨年度二九・六%であって、
職員宿舎
の増設が強く必要を認められておるのであります。
北海少年院
の方は、初等、中等、
医療少年院
として道内日取大の
収容定員
二百六十四名でございますが、八月十五日現在では一・四五倍、すなわち三百八十三名の
過剰収容
の
状態
であります。ことに
初等寮
は、それを上回る二・七倍の、いわば
過剰拘禁
にもひとしい
状態
であります。しかも、
中等寮等
とは分離されておりません。
いがぐり頭
の
少年たち
が狭い板の間に十四人も押し込められておる部屋というようなことでは、
身柄拘束
に終始いたしまして、矯正の実も期しがたいと痛感せられました。なお、ここでは、
独居房
と申しましても、三人平均の入居が普通のこととされているのであります。また、ここは
昭和
十七年の建築でございまして、年々建物の腐蝕及び破損がはなはだしい
状態
で、
早急改築
の必要が認められたのであります。
函館少年鑑別所
では、最近の
少年犯罪
では、暴力と性の
事件
が目だっております。同所の
機能発揮
の職責上からも、鑑別矯正可能な
初犯少年
が少く、
身柄拘束
の
再犯少年
が多くある
状態
であることを嘆いておりました。同時に、
施設
の完備と
収容期間
の延長を望んでおったのであります。この
鑑別所
の
施設
も、実に手狭な、暗い、そして大ぜい一緒に入っておるというようなことで、まことに
鑑別所
というものにふさわしからぬひどい
状態
にございました。 次に、少し一般的に申し上げてみたいと思いますが、以上は、
少年犯罪対策問題等
に関しまして、外地の
意見
のあらましをただいままで申しましたが、
増加
の実情、これに対する
対策
に関しましては、
検察庁
と
裁判所
の意口の相違が認められました。その理由は明らかでないところもございますが、
司法的視野
から、
厳罰主義
か
保護主義
かの点は重大であるといたしましても、現在の
少年犯罪増加
は、心身未発達の
日本青少年
が、
一般社会
の
生活面
における急激な
消費文化
の
膨張——スポーツ
でありますとか、
セックス関係
でありますとか、あるいは見る方も、スクリーンの
関係
でありますとかいうような面から多く影響を受けているものであることを認めざるを得ないのであります。そうであるとすれば、
現行少年法
が成立した当時の理想を今日もなおしばらく見守って、両親であるとか、あるいは教師、
社会福祉関係者等
の
地域社会
の
組織的活動
と
青少年非行
の
総合的科学的分析
の結論の上に立った
少年矯正保護施設
の充実を強化するということが先決問題ではないかと存ぜられるのであります。 第二に、
めいてい犯罪
の
対策
問題について申し述べてみたいと存じます。
北海道
におきまして、
めいてい犯罪
と称せられる
事件
は、昨年度
警察
の一調べによりますと、
刑法犯罪
中六八五%を占めまして漸増の仰向にあるのであります。その七五%は
粗暴犯
となって現われており、地域的には、
札幌方面
だけでも全道の四五%の数を示しております。
警察
の
保護室
の
設置状況
も見ましたのでありますが、これはおおむね妥当と見られたのであります。全
保護者
の約三分の二を占める
泥酔者
の
保護
も適当に行われておるように見受けたのであります。
飲酒めいてい
による
犯罪
の
対策
につきましては、
裁判所
、
検察庁等
において
積極的意見
の開陳は別段ございませんでした。
刑事責任
の有無の判断は、実際上も非常に困難があるものと感じさせられたのであります。また、刑罰以外に
保安処分
など何らかの
矯正改善施設
は必要であることを主張した
意見
がもっぱらであったのであります。 第二に、
売春防止法運用
の問題について申し上げます。
防止法
の一部施行前の
北海道売春業者
八九十一二名と
売春婦
三千四百五十九名は、昨年四月以降全部転廃業をいたしたことになっておりますが、実際は、
潜在売春婦
として、本年六月現在で約七百名がいる、こういう見込みであるのであります。
都市中心
に千歳、名寄、
帯広等自衛隊駐屯地
、小樽、
函館
、
釧路等
の海港及び
道内益
要
温泉地帯
で
売春
が行われておるものと解されます。
法律施行
後の
発布形態
といたしましては、街娼、旅館、アパート、船内においての
自前売春
、
基地接客婦売春
、
温泉地芸妓等
の
派出売春
があげられますが、このうち
自前売春
が多くありまして、手口が巧妙化し、捜査に困難をもたらし、その間ひもが介在いたしまして、
売春
事犯の助長、婦女子の更生を阻害しておるという
状況
であるようでございます。
警察
取締り
の点からは、勧誘事犯として
増加
をし、昨年四月から本年六月までの総検挙人員が千百十五名のうちの六二%を示しております。このことは、
検察庁
の受理件数にも顕著に現われておるのであります。さらに、
検察庁
の
売春
事犯処理上考慮すベき点として、越訴中の約九〇%が略式請求による罰金で処理されておるという実情があげられまして、
売春
の悪循環ではないかとの批判を感ぜられておるようであります。 婦人の
保護
更生のための
施設
及び活動はまだ十分とは申されないようでありまして、婦人相談所は札幌に一カ所、全道でたった一カ所であります。また、婦人
保護
施設
として札幌市外に道立の手稲向静学園というものがあるだけで、五十名定員のところが、現在は十一名しか人っておらないで、各地で
北海道
婦人補導院の開設が望まれておる、こういう
状況
であります。また、
売春婦
に対しまする更正資金貸付につきましては、昨年度は、資金ワクの二百二十五万円の二四・七%の貸し出ししか行われておらなかった。道庁では、当局に対して貸付手続の簡素化、便宜化等を要望しておる実情であるのであります。 終りに、性病予防
対策
について一言申し添えておきますが、患者数は、昨年度は三十一年度の五分の一に統計上減少しておるものの、実数を把握することは困難であります。各地でその
対策
に苦慮しているのであります。
売春防止法
の全面的施行を契機に、
売春
事犯は潜伏の傾向にありまして、かえってわずかな街娼、
自前売春
の勧誘事犯が日立っているにすぎません。暴力
売春
ないしはひもの
対策
についても、将来考慮を払うべきであると存じますが、
警察
取締り
も一つの転機に際会しているものと思われるのであります。それとともに、知能指数平均値が七六・七で境界線級のものが半数以上を占めている
北海道
売春婦
、ひいては全国の転落女性に対しまする更生
保護
対策
は、
精神薄弱者
対策
とともに、やがて国家的に強力に推進されねばならない社会政策の重要課題の一つであると考えさせられる次第でございます。 以上をもちまして大略の御
報告
といたしますが、いろいろの資料を
調査
員の方で整理をしておりますから、何なりと御参考下さるようにお願いいたします。
委員長(大川光三君)(大川光三)
5
○
委員長
(
大川光三
君) ありがとうございました。 ただいま
派遣委員
からそれぞれ
報告
がございましたが、これにつきまして、
派遣委員
及び政府
当局
に対し御質問のおありの方は、御発言を願います——別に御発言もなければ、
派遣委員
の
報告
に関しましては、一応この程度で終了することとし、それぞれの
調査事項
につきましては、今後別に
調査
を継続することにいたしたいと存じます。
委員長(大川光三君)(大川光三)
6
○
委員長
(
大川光三
君) この際、高田
委員
から、去る十一日新宿で行われました殺人
事件
に関連して、殺し屋なる名称その他総括的な点について発言を求めておられますので、これを許します。
高田なほ子君(高田なほ子)
7
○
高田なほ子
君 けさの朝日新聞の社会面のトップ記事でありますが、十一日に、新宿の盛り場のまん中のコマ劇場の横で、ぐれん隊の殺人
事件
が報道されております。捜査四裸の方では、この問題についていろいろと御捜査の途中であるようでございますが、問題は、ぐれん隊の仲間に引きずり込まれて八時間後に請け負わされた仕事が殺し屋という仕事、その殺し屋という仕事で、上京して間もない青年が殺人
事件
を起したということは、これは容易ならざる問題であります。私は、最近のテレビ、それからいろいろのマスコミの中に、殺し屋という名前が出てくるのをしばしば拝見いたしまして、まことにこれは危険きわまりないことであるが、現実に日本にも、このような殺し屋というものが存在するということになれば、これは容易ならざる問題である。警視庁の方の
意見
では、最近のこの町の
暴力
組織の中での特筆すべき傾向である、こういう傾向に対しては緊急に
対策
を練りたいというような
意見
もここに付記されてあるわけでございますが、一体そのぐれん隊の中に殺し屋というようなものはどういうような
状態
でもって存在されているのか、また、その殺し屋というものに対してどういうような措置がとられておるのか、こういうような一般的な問題についてお尋ねをしておきたい。本問題がまだ捜査中であるというのでございましたならば、これは御答弁の必要はございませんが、一般的な問題としてこの捜査課の方でも重要視されておるわけでありますから、以上の質問にお答えいただきたいと思います。
説明員(秦野章君)(秦野章)
8
○
説明員
(秦野章君) ただいまお尋ねの具体的な
事件
としての新市の件の捜査の経過につきましては、まだ十分承知しておりませんので、一般的な問題としてお答申し上げたいと思うのですけれども、まず殺し屋という言葉なんですが、これは、実際にいわゆるやくざの世界などで、そういう言葉が使われておるかどうかというような点につきましても、まだ十分私どもわかっておりません。今お話がございましたように、テレビや映画の中とかいうもので私どもも散見することはあるのでありますけれども、問題は、そういった社会的な実態がどうなのかということなんでございますが、普通の殺人
事件
で、そういう例はむろんないわけでありますいわゆる教唆犯というものは、人をして殺させるのでありますけれども、いわゆる普通の教唆犯というようなものには、そういうようなものはないのであります。ただ、
犯罪
の実際の姿の中に、いわゆるやくざの世界などでは、自分で殺さずに、子分とかなんとかいうものに殺させるというような例はたまたまございます、これは、殺し屋という言葉が当てはまるかどうかはともかくといたしまして、
犯罪
の捜査の面におきましては、殺人
事件
があった場合に、結局そういうような背景があるかどうかという点につきましては、慎重にこれを検討いたしまして、下手人が逮捕せられましても、ほんとうの首謀者はその背後にあるというような場合は
状況
からわかるのでありまして、そういう場合には、徹底的に背後
関係
を追及するという態度をとっておるのであります。いわゆるやくざの世界などでは、ままそういう例はございますけれども、特に最近そういう例が多くなってきたというようなことは、今のところ、私どもの見たところでは、目立ったものはないように考えております。
高田なほ子君(高田なほ子)
9
○
高田なほ子
君 ただいまの御答弁ですと、私どもが心配していることに対しては、かなり安心のできるような御答弁でございます。しかし、まあ最近のいろいろの世情の傾向を見ておりますと、ぐれん隊の中での殺傷
事件
というものがきわめて多いわけであります。しかし、下手人を逮捕し、背後
関係
を糾明していけば、別に大したことはないというような御答弁でありますが、どうも、現実問題と
当局
の方の見方が食い違っているように思うわけであります。私は、こういう
事件
が起ることを好みもしないし、こういう
事件
が
増加
することも決して好みはしません。けれども、最近のテレビや映画には、さっき申し上げたような殺し屋の存在というものが非常に大きくクローズ・アップされている。そうして最近の
非行
少年
の傾向は、こうしたいろいろの映画とかまたは雑誌とか、そういうものの
影響
を受けながら殺傷
事件
に転落していくようなことが往々にして見受けられるわけであります。昨年でしたか、ちょっと忘れましたが、関西の実業家を殺しにかかったのは、やっぱりうしろにある何々組の親分が教唆をして、そうして子分が、いうところの殺し屋の役に立ち回ったということも承知しておるわけでありますが、あれはまあ大きな実業家の問題でありましたから、新聞等にも出ておりますけれども、どうも最近の傾向を見ると、チンピラがうしろからそそのかされて、そういう
傷害
件に
関係
している、こういう傾向が多いのではないでしょうか。それを殺し屋という名前をつけるということについては、それはいろいろの疑問があるかもしれませんけれども、いうところの背後にある、命令をしてそういう殺傷
事件
に誘い込んでいく、こういうような傾向は最近ふえているのではないかという気がしてならないのです。しかし、
当局
はふえていないというようなお話でありますが、その点いかがなものでしょうか。重ねてお尋ねいたしたい。
説明員(秦野章君)(秦野章)
10
○
説明員
(秦野章君) やくざ、いわゆる
暴力
団、こういうものの
関係
で殺人
事件
が起きますというと、そういう背後
関係
があるかないかということは、当然私どもとしては関心を持ちまして、そういう世界の殺人は、ともすればそういう形態のものが多いのでございます。そこで、
暴力
団の結局
取締り
の問題に関連すると思うのでありますが、ただいま
警察
といたしましては、特に
暴力
団の
取締り
に主力を注ぎまして、全国的に
取締り
を徹底しておるのでございます。盛り場とか、あるいはまた、その他
暴力
団の活躍するような場面には、特に特別な
取締り
態勢をしきまして、結局この種勢力というものに徹底的な圧力を加えていくということが、この種事犯を全滅するゆえんであるというふうに考えざるを得ない。そういうことから、
取締り
を徹底しておるのでございます。その結果、
暴力
団の実勢力というものが少くともふえておるということはないのじゃなかろうか。私どもの
検挙
の数字は逐年
増加
しております。それから、実態
調査
というものを私どもやっておりまするが、実態
調査
の数は若干ふえておる。この実態
調査
の数がふえるという
関係
は、私どもの解釈といたしましては、今まで
警察
の視線に上っていなかった者が、
警察
の
取締り
の強化、
調査
の強化ということで、新しく視野に入ってきたというような
関係
で若干ふえておる。実数がふえておるかどうかという問題については、これはまあ客観的には、そういうもの以外に数字がございませんので、実態を見て、町の
状況
、盛り場の
状況
、その他実態を見て、ある程度
判断
をしていくということになるのでございますけれども、一ころから見ますというと、盛り場等のいわゆる
暴力
の
状況
も幾らかはよくなっているのではないかというふうに見られると思っておるのであります。しかし、お説の
通り
、ある種の大きなある
暴力
団は、
取締り
によって中には壊滅したものもございます。しかしながら、やっぱり新しい勢力が登場してくるという
関係
もございますので、これはむろん楽観もできませんし、ますます
取締り
を強化するという態勢でいかなければ、とうていこの種事犯というものに対する根絶を期しがたいのでありまして、この点につきましては、今後ますます
取締り
の態勢を固めて、結局この種勢力というものの、圧縮をはかっていく、圧迫をしていかなくちゃならないというふうに考えて、目下全国的に
取締り
を強化しつつあるわけでございます。
高田なほ子君(高田なほ子)
11
○
高田なほ子
君 突然の質問でありましたから、いろいろ御資料等もおそろいにならないのじゃないかと思いまするが、まあ私は、
警察
当局
の怠慢をどうだこうだという意味で質問しているわけじゃないのです。ただ、殺し屋というものが、どうも最近のいろいろの映画とかテレビの中に、必ず毎日一つぐらい出てくるのですね。この殺し屋というものの存在、そこに持ってきて、この最近のいろいろの組織されたチンピラぐれん隊というやつ、そういうものの中にもこういう殺し屋というものが出てきているものとすれば、まことにこれは恐怖に価することであるので、そういう意味から、殺し屋の実態というものを実は伺っているわけなんです。私は、自分の住所が池袋でありますが、池袋の西口あたりは、ずいぶん
警察
当局
も重要視されておるようでありますが、なかなかどうして、付近の純真な若い人、それから婦人、こういう者は、最近でも、池袋の西口へは近寄るな、こういうような合言葉もあるくらいに、このチンピラぐれん隊が闊歩している。相当これは
警察
も力を入れている所らしいのですが、そういう目をくぐって、やはり純良な市民がおそれなければならないような現実が白昼、行われているとするならば、ここにある朝日の、この殺し屋というような存在もこの陰にあるのじゃないか。非常に危険なので、こういう質問をしておるわけでありますが、
当局
の方では、そういう殺し屋が現在ないのだとこういうことであれば、これはまた、われわれ大いに安心していいわけでありますが、最近の傾向については、
当局
の力でも、こういうことを必ずしも杞憂であるというふうには感じておられないわけでありますから、一つ一そう、こういう殺し屋などの出現、殺し屋というような名前が使われるような現実、こういうものについては、徹底的に一つ御捜査願ってチンピラばかり追わないで、このうしろに教唆扇動する、こういう者をやっぱり徹底的に追っていかなければ、純真な、上京してから間もない、組織の中に引き込まれてから八時間後に大それた殺人を犯すというようなことになるわけですから、背後にある大物、こういうものに対して徹底的に一つ
取締り
をされることを強く
要望
するわけであります。 質問は、以上で終ります。
—————————————
委員長(大川光三君)(大川光三)
12
○
委員長
(
大川光三
君) 次に、先般赤松
委員
から御発言がございました飛び出しナイフの規制問題につきまして、この際
調査
をいたしたいと存じます。 本日は、
関係
当局
から、
説明員
といたしまして、法務省
矯正
局総務
課長
佐藤昌之氏、同じく刑事
検事
佐藤佐藤治右衛門氏、
警察庁保安局長
木村行蔵氏、同じく保安局防犯
課長
町田充氏、同じく刑事局捜査
課長
秦野章氏、保安局保安
課長
中村隆則氏の
方々
が出席されております。 御質疑のある方は御発言下さい。
赤松常子君(赤松常子)
13
○赤松常子君 この前の法務
委員会
で、ちょっとこのことについてお尋ねしたのでございますけれども、時間もございませんでしたし、また、
関係
当局
の方が見えなかったものですから、きょうに持ちこされたわけでございます。 最近の
少年犯罪
にからみまして必ずと言っていいくらい、飛び出しナイフが用いられている。これは、かつて、三十
国会
でございましたが、当時「
暴力
教室」という映画がアメリカから入りまして、この
影響
が非常に日本の青
少年
に、悪く波紋を描いて急に飛び出しナイフが社会の話題になったわけでございましたことは、御承知の
通り
だと思います。そのとき、これはやはり
国会
で取り上げまして、これは
地方
行政
委員会
の問題でもございますので、一応、ちょっとむずかしい名前の法律でございましたが、刀剣類取締法の一部改正、これが俎上に上ったのでございますけれども、要するに、私どもの立場としては、全面的に製造も禁止したい。販売も禁止したい。それに、山ってこれを
処理
することが根を絶つわけですから、こういうことを中心に論議したのでございますけれども、御承知のように、単に刃渡り五・五センチ以上のものを所持してはならない、こういう非常にゆるやかな結論になったものでございますが、必ずしも
犯罪
はそれ以上のものでなければならないというわけではない、それ以下のものが最近非常に
犯罪
に用いられていることは、御承知の
通り
と思います。で、特に最近は公安
委員会
、東京都及びそれ以外の府県の公安
委員会
からも、この飛び出しナイフの全面製造及び販売禁止を
要望
されているのでございますが、
当局
としては、早急にこの問題にどう取り組もうとしていらっしゃるのか、お伺いしたいと思っております。
説明員(木村行蔵君)(木村行蔵)
14
○
説明員
(木村行蔵君) お答申し上げます。 ただいまお尋ねの件につきましては、すでにいろいろな
事情
について十分に御案内であることと承知いたしております。この銃砲刀剣類等所持取締令を改正しましたのが三十年の十月であります。そのときに、事は私
たち
の方では、原案といたしましては、飛び出しナイフ、それの刃渡りの長さいかんにかかわらず、一応全面所持禁止という形で原案を出したわけでございます。しかし、まあいろいろ審議の過程におきまして、参議院におかれまして、現物を取り寄せまして——長さのいろいろに違った現物を取り寄せまして、検討され、
判断
されまして、一応五・五センチをこえるもの、刃渡り五・五センチをこえるものについては所持を禁止と、こういうふうな内容に変りまして、修正して改正案が
通り
ました。これは、一つの問題は、自民党と社会党両党におかれまして自社共同で修正案を出された
事情
等もございまするが、これは、
国会
のそういう重要な一つの
決定
であれます。私
たち
の庁も一応は——一応といいますか、十分にその自社両党の一致した修正案というものの当時の
事情
については、十分に尊重申し上げなきゃならぬかと思います。それが一つの問題でございます。 それからもう一つは、確かに飛び出しナイフのうちで五・五センチをこえないもの、改正後の
現行法
で所持禁止になっていないもの、これが相当使われております。大体の
状況
を申し上げますと、こえるものが一とすれば、こえないものが二くらいの割合で使われております。そういう
状況
でありますので、まあ全面禁止と、長さのいかんにかかわらず全面禁止ということも、一つの大きな踏み出しではないかと思いますけれども、ただいま申し上げたような
事情
と、それからもう一つは、飛び出しナイフ自体が非常に便利なものでありまして、社会的効用も全然ないとも申せない点もあります。また
業者
の製造のいわゆる事業の自由といいますか、あるいはその発展といいますか、そういうものも考えなければなりません。万般いろいろな
状況
を勘案して現在としましては、
警察
庁におきましては、
調査
中というのが実態でありまして、どっちに踏み切るかということはまだ未
決定
であります。 また、先ほど各県の公安
委員会
、おもに大都市の公安
委員会
、大府県の公安
委員会
から、飛び出しナイフの長さいかんにかかわらず全商的禁止をしてもらいたいと、こういう
要望
が正式に出ておることは事実でございます。そういう事実ありますので、いろいろ慎重に検討しておるというのが事実でございます。
赤松常子君(赤松常子)
15
○赤松常子君 もちろん、今社会的にいろいろこの
必要性
のある職場も確かにございます。それも、御承知のように、電線の修理及び敷設の場合とか、あるいは船に乗っていらっしゃる
方々
も、やはりこの飛び出しナイフを使う業務が非常にあるということ、承知をいたしておりますけれども、これも、それは必要でございましょうけれもど、そう一般性はないと私ども考えるわけでございまして、だからといって、社会的にそれが販売を許される
理由
にはならないと思うのです。そういう特殊の業務の方には、そういうルートで渡ればいいのであって、またそれは、何と申しましょうか、だからといって、一般の市販に出ていいという
理由
にはならないと思うのでございます。 それから、あなたのおっしゃるその
業者
の業務、職業の自由、選択の自由、これもさることながら、やはりこういう社会の
犯罪
の大きな原因をなしている職業というものは、いつも言われておりますように、やはり公益の立場から、公安の立場から、非常に検討されていかなければいけないということ、私ども、ほかの場合にもたくさんあることで、現に
売春防止法
のときなどに、
業者
の職業が禁止されるというようなこともあり得ることなんですから、単にそういうことでこういうことが許されていいかどうか、もっと検討したいと思っております。 それからまた、よくいわれることは、輸出をされていて外貨の獲得に相当貢献しているからという
理由
もよく
業者
がおっしゃいます。調べてみますと、なるほど一億円くらいの外貨は、これによって入っていることもわかっておりますけれども、これは私、また立場をかえて申しますと、その輸出先は、多くアメリカだということも聞いております。そうすると、アメリカにこういう
少年犯罪
の原因を作る飛び出しナイフが日本から入っていくということが、向うの社会及び向うの母親
たち
がどう思っておるかということ、私どもは、ただ外貨獲得がこれでできるからいいということが、国際的に見て私どもは許されないのじゃないか、こういういろいろな
理由
も、今私ども考えているわけでございますが、そういう、悪になる種を
外国
にまで売り出すということも、私はもっと考えてみていいように思う。こういうことから少し
当局
としてもお考え下さって、この問題に強い態度で臨んでいただきたいと思います。それは、さまざまな立場もございましょうけれども、特に
少年犯罪
の激増が非常に憂えられている、それにこれが使われている、こういう現状に立って、もっと強くこれの研究を進めて下さって、せめて今度の通常
国会
には、今申します全面禁止の線を打ち出していただけるようにならないものかどうか、もう一度お尋ねしたいと思います。
説明員(木村行蔵君)(木村行蔵)
16
○
説明員
(木村行蔵君) 先ほど申し上げましたように、慎重に検討いたしておりまして、今のところ全面禁止に踏み切るかどうかというところまで、実際率直に申し上げて、まだ私
たち
の方では腹がきまっておりません。ことに通常
国会
までという時期を限られますと、よけいそれは申し上げにくいのでございます。ただ、こういう
事情
もありまして、少し数字を申し上げると、おわかりかと思いますが、殺人とかあるいは
傷害
、恐喝、いわゆる
凶悪犯
と
粗暴犯
、これが
昭和
三十一年中に十二万六千六百四十一件発生しております。その中で、飛び出しナイフも含めて、日本刀以下刃物類を使ったのが、用いてそれを敢行いたしましたのが一万一千六百七件、約九%、その中で、刃物類の中で、一番たくさん
犯罪
に、こういう粗暴、
凶悪犯
に使われておりますものがあいくちでございます。これが約一一%、一割一分くらい、飛び出しナイフは約九%、それから、刃物類を全然用いないで、無所持で、何も凶器を用いないで殺人あるいは
粗暴犯
を敢行した、これが九万五千、五百七十件、まあ大部分が凶器を用いずして人を殺している。こういう
事情
もありますので、ことにあいくちの場合は、これは長さのいかんにかかわらず全面所持禁止、それでも一番たくさん使われているという
事情
もありますので、いろいろな
事情
を慎重に検討しておるのであります。お尋ねの件について、全面禁止の改正をするかどうかというふうなお尋ねに対しましては、現在検討を進めておるということ以上には申し上げられないということを、まことに印しわけないと思いますけれども、そういう
状況
であります。
赤松常子君(赤松常子)
17
○赤松常子君 それは、いろいろな立場の相違で、
意見
のあることはよくわかりますけれども、せんだって、私警視庁に参りまして、青
少年
課を訪問して、最近の不良玩具の一応集められた
実情
を拝見いたしました。ほんとうに
少年
の想像性及び好奇心へは興味でもって、自分でいろいろ新しい玩具を作っていたものもそこに陳列されていたのです。やはりそれに一番
少年
の想像性を刺激いたしておりますものが飛び出しナイフであったようでございまして何か、示唆を受け、一つやってやろうという気持が、非常に危険な玩具を自分自身で作っている。その
影響
を与えているものが飛び出しナイフであるというような私は感じを受けたのでありまして、現われているものすら危険であるのに、またそれを助長するような
影響
を持っているこの飛び出しナイフに関しては、ただ一般、私ども見のがしていい
理由
にならない。もっときびしくこれに対する考え方をもって、
子供
をそういう危険な玩具に近づかせないように、あるいは
犯罪
を少しでも防止するようにしたいと思うのでございまして、ただできているものを問題にするより、もっと広く、これから示唆を受けて
子供
が不良化に傾いていくということも強く考えたいと思うのでございます。今おっしゃるように、通常
国会
まではとても考えていないというお言葉、私、大へん失望したのでございます。せんだって、ある婦人団体から、この飛び出しナイフの禁止の
陳情
書が参りましたのを、法務大臣に直接お届けしたときに、法務大臣が、考えてみよう、社会悪の根源になる、こういうことに対し、もっときびしく考えてみようとおっしゃって下さっておりますが、今、
当局
のお考えが非常に私たよりなく、失望いたしておりますが、もっとこれに対して、プラス、マイナスの点から御考慮いただきたいと、強く、
要望
いたしておく次第でございます。
高田なほ子君(高田なほ子)
18
○
高田なほ子
君
当局
の今の御
意見
を聞いて、確かに赤松先生と同じような感じを私持つわけです。 ご承知でありましょうが、今の御説明のように、私ども社会党に属している者は全面禁止を主張しているので、
当局
の方では、当時の法制定の場合の社会党の態度というものを指摘されておるようでありますが、当時と、それから脱会の
少年犯罪
の傾向、
非行
少年
の傾向、そういうものが毎年のように変ってきており、やはり母親
たち
からは、この飛び出しナイフの危険性というものが強く実は指摘されてきている。でありますから、この
状況
というものは、今そういうふうに、法制定の当時よりはずっと変ってきておるというようなことが重要な問題になっているわけですから、
当局
の方でも十分にこれは研究をして、全面禁止の方向に行かれることが望ましい。しかし私は、まあこれを必ずしも法を改正なさらなくとも、何か行政措置でもって、この危険を防いでいこうというような熱意があれば、できないわけはないのじゃないか。先ほど
粗暴犯
の中で、ナイフその他の刃物による殺人、
傷害
、脅迫
事件
が数字的にあげられておりますが、十二万六千六百四十一件のうち、ナイフその他のものでの
傷害
事件
が一万一千六七件というふうにあげられて、この中での飛び出しナイフを使ったものは九%であるというような数字があげられているわけです。しかし、この九%という数字は、
当局
の方に大きな
事件
として届出があったもの、また、
警察
当局
がこれにいろいろの指導を加えたもの、そういうものが九%である。単に中指を傷つけたとか、それからほっぺたにかすり傷を負ったというようなことは、親同士が事を荒立てないで、話し合いでもって、
事件
を
事件
としないでおさめておるので、ここに出ている飛び出しナイフ使用による障害
事件
が九%だから、この飛び出しナイフを全面禁止することについては時期尚早である、またはその他の
理由
で、次の
国会
にはこれは出せないというようなことを言っておられますが、現状はもっともっと、やはり母親の身になって、この全面禁止の方向に行くような行政措置がされるべきではないか。念のためお尋ねしておきますが、銃砲刀剣類等所持取締法の第四章の雑則の中で「あいくち類似の刃物の携帯の禁止」、この二十二条では、「何人も、業務その他正当な
理由
による場合を除いては、あいくちに類似する刃物を拐帯してはならない。」現状の飛び出しナイフの危機がすべての母親によって心配をされているときに、この二十二条を少し拡大解釈すれば、「あいくちに類似する刃物を携帯してはならない。」こういうような条項を拡大
適用
しても、行政措置で相当の成果はあげられるのではないかというような感じを持つわけなんです。私は専門家でありませんから、「あいくちに類似する刃物」という、その範疇については、これはわかりませんですけれども、やはりこれは、あくまでもこの法の精神は、危険なものを持っている人に対しての危険を他に及ぼさないための収締り法でありますから、当然この二十二条の法を解釈して、そして行政措置でもってこれがいろいろの有効な段がとられないとは私考えられないわけなんです。この点について御
意見
を伺わしていただきたいと思います。
説明員(木村行蔵君)(木村行蔵)
19
○
説明員
(木村行蔵君) いわゆる法で定めた条文については、なるべく拡張解釈することは、少し行き過ぎになりますので、したくありませんけれども、ただ、行政指導というのがありまして、事実上いろいろ指導して、また向うの方で承諾する、自発的に提出させる、こういうことで、五・五センチ以下のもの、あるいはあいくちに類するもので、解釈上入らぬものもあるかもしれませんが、そういうものを出させるという行政指導はだいぶやっております。
説明員(中村隆則君)(中村隆則)
20
○
説明員
(中村隆則君) 私からお答え申しげます。 法の一条で、あいくちは全面的に禁止されておるわけでございます。従って、この
関係
からしまして、あいくち類似のものは、類似の形をしておるものはやはりいかぬという考え方で第二十二条は規定されておる、こう考えております。
高田なほ子君(高田なほ子)
21
○
高田なほ子
君 大へんお役所的な答弁で、残念でありますが、これは、あいくちというのは、法でもって禁止していることはここに書いてあるのですが、ここの雑則の中に、さらに「あいくち類似の刃物の携帯の禁止」、「あいくちに類似する刃物を携帯してはならない。」大へんこれは、法の精神をこの条文でもって一そう徹底させるためにこういうような条文が入れられたのだと私解釈するわけです。
現行
でもってその飛び出しナイフの刃渡り五・五センチ以下のものは、これは法に抵触しないわけですが、四五センチでも、開けばこれはあいくちに類似する刃物になると、これは解釈できないこともないわけだ。でありますから、これは、取り締るというのは、その反面からいうと、
保護
するためにこういう
取締り
をしておるのでありますから、
保護
の面が必要であるといった場合には、この
取締り
の解釈は、拡大解釈されても一向これは差しつかえないのじゃないか。要するに私
たち
は、
子供
が、遊び道具に法に抵触しない飛び出しナイフを持って歩いている、これがたまたま最近
傷害
の傾向が多くなったために、母親が心配して、
当局
にも
陳情
しているというありさまでありますから、法が五・五センチ以下のものは禁止していないからといっても、二十二条を
適用
すれば、当然
保護
するというような建前で徹底させることができるのじゃないかというような気がするわけです。この十条では、「所持の態様についての制限」がここに書かれておりますが、たとえば銃砲でも、安全装置をしなければならない、おおいをかぶせなければならない、または容器に入れておかなければならないというふうに、大へん親切な
取締り
の規定があるわけです。これは、とりもなおさず無事の人に殺傷を、迷惑をかけないために、このような親切なこまかい
取締り
規定があるわけでありますから、法は、五・五センチ以下のものを合法であると評しても、
現行
がそれにそぐわないということになってくれば、やはりこの法律の精神というものは十分に尊重せられて、しかるべき行政措置をもってしても、この危険にさらされているものを救ってやるというような建前をとっていただくことが望ましいのではないか、このように考えます。 再度御答弁をわずらわしたいことは、「あいくち類似の刃物の携帯の禁止」、「類似する刃物」、こういうように、飛び出しナイフの法定外のものを認めることは不可能であるかどうか、この点についての御
意見
を再度伺っておきたい。
説明員(中村隆則君)(中村隆則)
22
○
説明員
(中村隆則君) 今、いろいろと御
意見
を承わったわけでありますが、第二条の
関係
でいいますと、五・五センチ以下の飛び出しナイフは差しつかえないと、こうはっきり書いてございます。現任の飛び出しナイフは、五・五センチ以下の規格を守っておるわけでございます。それで、二十二条との関連においてこれをどういうようにやるということは、拡大解釈はできるだけ慎しみたいというような気持からしまして、今のままの法では困難であろうと思います。
高田なほ子君(高田なほ子)
23
○
高田なほ子
君 法解釈はその
通り
で、やたらに法は拡大解釈されては、これは困るのですけれども、現状のありさま、そのありさまから、多くの民衆がこうしてもらいたくないというようなことがあれば、しかるべくやはり行政的な指導の面というものは強化されていいんじゃないかという、そういう
意見
なんです。だから、何もこの二十二条を
適用
するとか、二条がどうであるとかいうようなことを表面に打ち出す必要はないけれども、しいて言うならば、この二十二条でもこのような親切な規定があるのだから、五・五センチ以下の飛び出しナイフについても、しかるべく指導の面が強化されるようにということを
要望
する立場に立っておるわけです。そういうことはできないとおっしゃるのですか。
説明員(中村隆則君)(中村隆則)
24
○
説明員
(中村隆則君) お言葉を返すようでございますが、もしその飛び出しナイフがいけない、使用を禁止したいということが
決定
されるならば、やはりそれは、明確な法律の改正の措置等、そういったことによって
国民
の指導をすべきではなかろうかと、こう考えますので、二十二条の解釈によって、現在いいとなっているところの飛び出しナイフについて、いろいろな指導をしていくということは避けたいと考えております。
高田なほ子君(高田なほ子)
25
○
高田なほ子
君 じゃ、法律改正をしなければ、現在いろいろ問題の起っている飛び出しナイフについては、
当局
はもうノー・タッチで行くというような態度ですか。それとも、現状の
子供
たち
の間に危険であると母親が騒いでいる、この事態に対して、やはり幅のある指導をされていこうとするのでありますか。私は、
当局
は、人をふん縛るばかりが能じゃないと思うのです。やはり
保護
の面についても、相当に幅広い解釈をしながら、一般の
国民
の
要望
に沿っていくという態度こそ望ましいのです。法律改正がないのだからそれができないというようなことは、これはちょっと、私としては合点のいかない問題なんです。まあお立場上そうおっしゃるのかもしれませんが、これは大臣に伺うことにして、少しあたたかく心がまえをしてもらいたいと思うのです。法律改正をしなければ何もできないというような言い分は、ちょっと私は納得はいきません。
説明員(木村行蔵君)(木村行蔵)
26
○
説明員
(木村行蔵君) 高田
委員
のお気持は非常によくわかるのでありますが、現在
少年犯罪
というものは、一番多いのは殺人、それから強盗というような
凶悪犯
、それから
粗暴犯
が目立ってふえております。この
少年犯罪
だけでなしに、
犯罪
を犯す以前の御承知のような虞犯
少年
、これは、
警察
の
関係
だけでも、七十二万人昨年タッチしております。それらの
犯罪
以前の問題としては、おそらく五・五センチ
未満
の飛び出しナイフについても、いわゆる補導の形においてそれを供出させる、あるいは持たせない、こういうことは、単に法律だけでなしにやり得る手はあると思いますので、できるだけそれは活用したいと思いますが、ただ、向うは、言うことを聞かない、法律では所持禁止にしておりませんから、ここいらに一応の限界はあります。しかし、まあお気持のほどはよくわかりますので、ことに親にとりましては、
子供
が殺人をしたり、人を傷つけたりということは大へんな問題ですから、できるだけこの数多い、七、八十万の虞犯
少年
の中には、凶器所持というのが一番多いのですそれから、先ほどもちょっとお話が出ましたけれども、不良団加盟というのが実に多いのです。そういう問題について、やはり補導の過程において、今おっしゃるような趣旨はできるだけ行政指導としてやりたい、いわゆる強制でなしに、補導としてできるだけ進めていくつもりであります
赤松常子君(赤松常子)
27
○赤松常子君 先ほどから伺いまして、私大へん失望している次第でございますが、いろいろこれと取っ組んでみてまだ材料がそろわないから結論が出ないという立場なのでしょうか。それとも、いろいろ研究なさってみて何かある点にこだわって、ひっかかりがあって、それでたたずんでいらっしゃる、それから進まないという
状態
なのでしょうか。何かもっと熱意を持ってほしいと思うのであります。その点について、何にこだわっていらっしゃるのか。あるいは十分
調査
ができていないのか。やがてはやろうと思っておいでになるのか。われわれのこの全面禁止について、ちょっと
当局
のそこの点をもう少しはっきり伺いたいと思っております。
説明員(木村行蔵君)(木村行蔵)
28
○
説明員
(木村行蔵君) 全面禁止いたすについての材料は、今その可否について、最近の情勢に応じて
調査
中であります。これは、まだ十分にいろいろな角度から
調査
しなければなりませんので、今、赤松さんからおっしゃいましたような、完全な
調査
ができ上っていないというのが一つの。ポイントであります。それから、もう一つの。ポイントは、率直に申し上げまして、三十年の参議院におきまして、自社両党の共
同一
致で修正されているわけでございます。これが大きな問題であります。これは御賢察いただきたいと思います。
赤松常子君(赤松常子)
29
○赤松常子君 えらいそれにこだわっていらっしやいますが、その際、法務
委員会
では、全面禁止を主張したわけなんでありますけれども、
地方
行政
委員会
の立場で、何かそのときに、
業者
の主張が少し取り入れられ過ぎたということが突如だろうと思うのであります。今、高田
委員
がおっしゃいましたように、当時とはだいぶ違っておりますし、外貨獲得、
業者
がそれにおもにこだわって製造のワクをはずしてもらいたいという主張がそのときあったように聞いているのであります。そういうことも、今申し上げますように、
外国
にまで悪の種を輸出するということは、決して日本としては名誉ではないと思うのでありますし、私どもも、党内において一そうそういう点を広げてよく
意見
もまとめてみたいと思っておっておりますけれども、それだけにこだわっているということも、今の
状態
で適当でないと思うのであります。もっと、そちらさんでも、持たない方がいいとは思っておいでになると思うのであって、
犯罪
を助長しないようにしてもらいたい。これは皆思っていることだと思うのであります。問題は、目的に向かってそれぞれの立場で進んでいくようにしたいと思っております。もっとこう、熱意を持ってこの問題と取っ組んで、早く結論を出していただきたいと思って、お願いしておきます。
古池信三君(古池信三)
30
○
古池
信三君 先ほど来、同僚の
委員
からいろいろお話がございましたが、私も、殺人あるいは
傷害
というような
凶悪犯
罪の防止という点につきましては全く同感です。これは、母親というような立場からのみではなく、
国民
全般として、少しでもこういう
凶悪犯
というものは少くし、われわれが平和な、平穏な生活を楽しめるようにしていかなくちゃならぬということについては、毛頭これは異論がないことであります。重大な関心を持っているわけです。ただ問題は、具体的に、しからばどうしたら
犯罪
の防止ができるかということでありまして、これは、非常に私はむずかしい問題だろうと思います。先ほど政府の
当局
から御説明があったように、殺人、
傷害
というようなことに使われる凶器としては、単に飛び出しナイフばかりじゃなしに、あるいはあいくちであるとか、その他出刃ぼうちょう、刺身ぼうちょう、あるいは日本刀も使われていることがありましょう。従って、そういうようなものを総合して
犯罪
の予防
対策
というものは立てるべきでなかろうかと、こう思うわけであります。しかも、むずかしいことは、そういうような刃物類というものは、一方において、悪くするとそういう凶器として使われる場合があると同時に、一方においては、日常生活の上において必須のものとして使われる場合も多いのでありますから、単に
犯罪
行為
に用いられている点だけを考えて、一般にわれわれが利便を受けて使っているという面を、これも等閑に付するわけにはいかない。その辺の調整をどうしていくかということが問題の中心であろうと、私はそう考えるわけです。そこで、この銃砲刀剣類等所持取締法という法律があって、これには非常に詳細な規定がなされておるわけてすけれども、たとえば第三条において、各号に該当する場合以外は、銃砲または刀剣類を所持してはならぬという規定があるのにかかわらず、現在相当所持しておるやに思えるのですが、一体これに対する
取締り
というものは、ほんとうに厳格になされておるのか。あるいはそういう
取締り
に抜けたところというか、緩慢なところがあるのじゃないかというような気もいたすのですが、そういう点についてはどうでありましようか。一つ御説明をいただきたいと思います。
説明員(木村行蔵君)(木村行蔵)
31
○
説明員
(木村行蔵君) この銃砲刀剣類の所持禁止に
違反
する携帯あるいは使用につきましては、刑事局とも
関係
がありますが、
暴力
団の
検挙
あるいは
少年犯罪
の捜査、補導の場合、それはもちろん
犯罪
物件としては全部領置して取り上げますが、それ以上についても、
事件
が起った、
犯罪
にからんででなしに、銃砲刀剣類に関する供出の大きな運動をたびたび展開しまして、それを供出させると、日本刀、あいくち、あるいは飛び出しナイフというようなものを、相当大がかりにたびたびやっておりまして、むしろ非常な熱意を持ってやっておるのが
実情
であります。そういう
状況
でございます。
古池信三君(古池信三)
32
○
古池
信三君 この法律によりますと、ずっと罰則がついておるようでありますが、
犯罪
が起って、その
犯罪
に使用された凶器というものが没収されるということは、これはもう当然なことだと思うのですが、そういう
犯罪
が何も起らないで、ただこの法律に
違反
して所持しておった、あるいは携帯しておったというような場合に、それを取り上げるとか、あるいは法に従って
処分
するというような事例は相当にあるのかどうか。そういうような数字的な何か資料があったら、示していただきたい。
説明員(木村行蔵君)(木村行蔵)
33
○
説明員
(木村行蔵君) 今御質問の点で、犯罰と関連なしに、ただ所持している場合、これはもちろん法律
違反
でございますが、これについて所持だけで
取締り
をし、それを取り上げている場合が相当あると思いますが、遺憾ながら手元に資料がありませんので、また後日提出いたしたいと思います
古池信三君(古池信三)
34
○
古池
信三君
犯罪
が起ってからその使用された凶器を取り上げるというだけでは、これはもうすでにおそいのであってむしろそれ以前に、たとえば十五センチ以上の刀剣あるいはあいくちというようなものは、これは、もういつそれが
犯罪
に使われるかわからないという、きわめて危険な
状態
にあるものと認められるわけですから、これに対する法の
適用
による
取締り
をよほど厳重にやれば、私は、いろいろ皆さんが心配されておるようなことがよほど防止できるのじゃないかというように思うのです。この点については、一つ一そうの
取締り
の励行をお願いしたいと思います。それから、そういうわけでありますから、ただこの際飛び出しナイフだけを取りしげてしかも、刃渡りを議論するということは、むしろこれは枝葉末節じゃないかと、はなはだ、言い方は不穏当ですけれども、もっと大きな立場で、厳重に取り締る必要があるのじゃないかということを私は主張したいと思います。 そこで、刃渡り五・五センチということは、すでに法律にも規定されておりまするし、先年の法改正の際にも、いろいろ慎重審議されてこういうふうになったのだろうと思うのです。そこで私は、もう一つお尋ねしたいのは、飛び出しナイフを使って
犯罪
が行われた今までの数年間の例によって、五・五センチ以下の飛び出しナイフを使った場合がどのくらいあって、それから、五・五センチをこえる飛び出しサイフを使った
犯罪
がどのくらいあったかというような、数字的な資料があるかどうかということも、一つお尋ねをしたいと思うのであります。
説明員(木村行蔵君)(木村行蔵)
35
○
説明員
(木村行蔵君) ただいま手元に、三十三年中における、一番最近の
状況
でございますが、これの飛び出しナイフ使用
状況
、
犯罪
そのほかの
条件
について申し上げますと、三十三年中に
事件
発生件数の中で、飛び出しナイフを供用したものが約千二百件、
事件
発生の件数として申しあげると千二百件その中で、発生しましても
検挙
に至らないものもありますので、
検挙
に至ったものが約九百七十七件、約千件ばかり
検挙
になっておりますが、その
検挙
の中で、たとえば一件で、一人で何回か飛び出しナイフを使って
事件
を起している場合もありますので、その
検挙
になった件数のうちで、飛び出しナイフを使用したナイフの数、物件数、これが九百十七件でございます。この九百十七件のうちで、刃渡り五・五センチメートルをこえるものが三百九件、これが全体の約三四%、九百十七件の一四%に当ります。それから問題の五・五センチメートル
未満
のもの、それは六百八件、物件数六百八件で約六六%でございます。そういう
状況
で、先ほど高田
委員
から御質問のありましたことに答えまして、一対二というふうに申しあげましたのは、大体そういう
状況
でございます。
古池信三君(古池信三)
36
○
古池
信三君 三十三年度の使用はただいま伺いましたが、それで、その飛び出しナイフによる
傷害
の度合いとか、そういうことはわかりますか。たとえば、殺人をしたか、あるいは相当な重傷を与えたとかというようなことですね。
説明員(木村行蔵君)(木村行蔵)
37
○
説明員
(木村行蔵君)
傷害
の度合いは今のところございませんけれども、大体千二百件の内訳を申し上げますと、
凶悪
の度合いといいますか、こういうものは御推察いただけるかと思いますけれども、一番悪質な殺人、これが六十二件発生しております。その中で使用された飛び出しナイフの数が五十七個、物件として五十七でございます。それから、比較的多いと思われて悪質なものは強盗、普通の強盗でございますが、これが百九十六でございます。相当の数になっております。その百九十六件の発生件数のうちで、件数に関連しまして、物件のナイフの数は百二十二でございます。それから強盗傷人というのがございますが、これはやはり現実にけがをしておる、これが五十七件、発生件数のうちで、物件数が四十一ございます。それから
強姦
というのがございます。これは、発生件数四十二件のうちで物件数が、三十。それから
傷害
、まあ殺人とか強盗とか
強姦
ではありませんで、
傷害
、けんかとかその他の
関係
、これが四百七十八件でございまして、物件数は四百三十五。それから恐喝、これが三百六十四件の発生件数で、物件数が二百二十六であります。一番よく使われておるのは
傷害
、それから恐喝、その次に強盗あるいは強盗傷人、こういうふうな
状況
であります。
古池信三君(古池信三)
38
○
古池
信三君 ただいまのは、飛び出しナイフ使用の場合の
犯罪
と承知しますが、普通のナイフを使用して、そういうふうな
犯罪
を行なったということはございますか。
説明員(木村行蔵君)(木村行蔵)
39
○
説明員
(木村行蔵君) ただいまそういう統計は、まだここにももちろんのこと、私どもの手元の材料としてはまだそれをとっておりませんが、必要だろうと思いますので、さらに研究を進めて参りたいと思います。
古池信三君(古池信三)
40
○
古池
信三君 私が先般飛び出しナイフをいろいろ見たことがあるのですが、たとえば非常に刃が鋭くなっておる。刃の先端が鋭くなっておるとか、あるいは開いた場合に、もうそれが簡単にもとへ戻らないような装置があるというようなものを見たのですが、そういう点について、たとえば、その先端の刃の角度をもう少し緩和するとか、あるいは割合に簡単に一たん飛び出したナイフをさやに納めることができる装置とか、そういうようなことをもし、工夫すれば、よほど今心配されておるような点が緩和されるものかどうか。こういうような点について研究されたことがありますか。
説明員(木村行蔵君)(木村行蔵)
41
○
説明員
(木村行蔵君) 私も現物を見ましたのですけれども、これは飛び出しナイフじゃありませんけれども、今までの飛び出しナイフは、これを突きましても戻らないで固定して、非常に殺傷能力が強いんですけれども、最近製造
業者
の方でもいろいろ工夫しまして、こうぶつかるとすぐ戻る。こういうのは突けないわけです。突くと自分の方が危ない。ですから、これを使用すると、逆にこういうふうになって、刺すことはむずかしいような、工夫をしておるように思われます。ただ切先は、これはまだ私は現物を見ておりませんけれども、あるいは工夫しておるかもしれません。
古池信三君(古池信三)
42
○
古池
信三君 そういうようないろいろな研究すべき点がたくさんあると思うのです。ですから、今後十分そういう点を研究していただきまして、あくまでもこれは
犯罪
防止ということは大事なことなんですから、その目的に沿うように、十分なる御検討をいただきたいと私は思う。ただ簡単に法律で全面禁止といいましても、その所持の
取締り
ということが十分にできないんでは、これは何にもならぬことですから、そういう点をも見合ってまた一方においては、平和的に日常生活に使うという面が、これは非常に多いんですから、そういう点も十分に生かして考えて、そうして調整をとりながら、なおかつ
犯罪
の防止もやっていけるというような、そういうあらゆる点を御考慮の上、この問題については、じっくりと取り組んで進んでもらいたいということを私は、
要望
いたします。
委員長(大川光三君)(大川光三)
43
○
委員長
(
大川光三
君) 本件についての
調査
はこの程度にとどめます。次回は、十月九日午前十時より、
少年犯罪対策
について
調査
を進めるため
委員会
を開きます。 本日は、これをもって散会いたします。 午後零時三十六分散会