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1959-09-01 第32回国会 参議院 文教委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年九月一日(火曜日)    午前十時三十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     相馬 助治君    理事            北畠 教真君            吉江 勝保君            松永 忠二君    委員            小幡 治和君            剱木 亨弘君            迫水 久常君            杉浦 武雄君            二見 甚郷君            安井  謙君            秋山 長造君            千葉千代世君            豊瀬 禎一君            柏原 ヤス君            村上 義一君            岩間 正男君   国務大臣    文 部 大 臣 松田竹千代君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    人事院総裁   浅井  清君    調達庁不動産部    長       柏原益太郎君    大蔵省主計局次    長       吉岡 英一君    文部政務次官  宮澤 喜一君    文部省初等中等    教育局長    内藤譽三郎君    文部省大学学術    局長      緒方 信一君    文部省監理局長 小林 行雄君    日本国有鉄道営    業局長     磯崎  叡君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○教育、文化及び学術に関する調査の  件  (板付基地周辺騒音防止に関する  件)  (日教組の専従者制限に関する件)  (学生、生徒の学割に関する件)   —————————————
  2. 相馬助治

    委員長相馬助治君) これより文教委員会を開会いたします。まず、板付基地周辺騒音防止に関する件を議題にいたします。  議題に入る前に一言申し上げますが、昨日、本議題について調達庁並び大蔵省出席を求めましたところ、大蔵省側出席なかったため、本日にこれが延期されたわけでございます。本件に関しましては、文部省からは小林監理局長大蔵省からは吉岡主計局次長新保主計官調達庁からは、昨日のように柏原不動産部長出席をしております。  なお、昨日大蔵省関係官出席を求めました経緯は、委員長より主計局長出席を求めましたところが、局長並びに次長公用出張のためにお留守でございましたので、大村主計官連絡をいたしましたが、大村主計官は、予算折衝多忙理由としてごかんべん願いたいという言葉をもって、どうしても出席に応じませんでした。やむを得ず本日になったわけでございまするが、この問題に関しては、政府委員出席を求めて、政府委員よりかかる発言をもって出席を拒否されたというようなことは前例にもないことだと存じ、私もまた委員会を代表してはなはだ不満に考えているわけであり、大村主計官言葉は妥当を欠くと私は認定をいたしております。    (「異議なし」と呼ぶ者あり) 何か、本問題に関して、大蔵省から御発言があらば参考に承わりますが、ないとすれば直ちに議題に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 秋山長造

    秋山長造君 議題に入る前に。今の委員長発言ですが、そうすると、大蔵省は欠席のままで議題に入るのですか。
  4. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 来ております。主計局次長が来ております。
  5. 秋山長造

    秋山長造君 今おっしゃったのは、きのうのことですか。
  6. 相馬助治

    委員長相馬助治君) きのうのことです。きょうは、主計局次長吉岡英一君、それから新保主計官も見えております。
  7. 岩間正男

    岩間正男君 これは今後のためにちょっと明らかにしておきたいのだが、その言葉内容だね、「ごかんべん願います」というのはどういうことなのかちょっと意味がわからない。つまり、国会委員会が開かれて、必要があってそうして緊急の問題があって質問者がそういう要求を持っておる、そういうときに、ごかんべん願いますというので出席が拒否されたということは、これは委員長発言のように、今後のために明らかにしておいていただきたいと思います。従って、当然これについての一言釈明は求めておいた方が今後の運営のためにいいのじゃないか。
  8. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 岩間委員にお答えいたしますが、私はこのことについて、やはり人の問題であり、私が電話で直接聞いた言葉でないので、慎重を期して、けさほど委員部担当課長を呼んで、いさいを報告して、事前に次長の方に御連絡を願ったわけでございます。従いまして、次長は、委員長がどういう考え方を持っているかということはあらかじめ知っていたと推定をしております。しかし、今ここで、何か発言がないかと申しましたが、大蔵省側から別に発言がございません。従いまして、私は、委員部課長を通じて、これは院対政府委員の問題として、今後かかる悪例が残ることを厳に戒めるために、正規に取り扱いたいと考えているわけです。従って、むしろ私は、重ねて大蔵省側の弁明をこちらから積極的に求めてここで聞いて了承すべき筋などではないと思うので、あえて弁明せよというようなことを大蔵省に依頼したり要求はいたしません。
  9. 岩間正男

    岩間正男君 それは委員長見解だけれどもね、しかし委員会の今後の運営について非常に私は疑義を持つ問題なんです。従って、今の言葉内容、そういうことで拒否されるということがこれは今後起るとすれば運営上好ましくない。私たちとしては、あえて大蔵省に、ここで、どういう一体内容なのか、かんべんしてもらいたいということの内容がわからない、その点について明らかにしてもらいたい。私はそれを要求いたします。
  10. 吉江勝保

    吉江勝保君 私は、やり何というか、言葉の使い方も不十分だっただろうが、その当時の、そういうごかんべん願いたいと言うたその当時の状況とか、どういう意味でそういうように言うたか一応やはり大蔵省次長が出ておられるのなら、状況委員会として聞いてその上でもう一度処置を考えてみたらどうでしょうか。
  11. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 大蔵省側から発言があれば私はもちろん許します。
  12. 吉岡英一

    説明員吉岡英一君) 昨日、いろいろな事情のために出席いたしかねましたことは大へん失礼いたしましたが、当時の事情を申し上げて御了承を得たいと思います。私、局長と一緒に用事で外に出ておりましたので、直接にはその間の経緯は存じておりませんが、本日聞きましたところによりますと、大村君の方に出席するようにという御連絡がありまして、ちょうど大村君が地方財政を担当いたしておりまして、地方道路譲与税配付は、配付基準を作りまして配付をいたしますのが法律によって八月三十一日までということになっております。で、自治庁とわれわれ大蔵省との間でその配分基準について検討をし、議論を重ねて参ったのでありますが、昨日その大詰めのどたんばの最後の日であったのでありますが、昼ごろまでまだ意見が一致いたしておりません。従って、法律にきめられました最終日意見の一致をさせて出さなくちゃならない、総理府令を出さなくちゃいけないということで、両方まあ必死になって議論を戦わしておった最中であったわけであります。そこで、今委員長のおっしゃいました、予算折衝のためにかんべんをしていただきたいというようなことを申したといたしますと、そういうような事情で一刻を争いましてきのうじゆうに、総理府令法律に命ぜられました期日までに間に合うかどうかの論議をいたしておりまして、おそらく席をあけることが非常に困難な実情であったのであります。そこで、まあできたらかんべんを願いたいというようなことを申したのかと思いますが、言葉その他非常に不十分な点があったことは十分あれでございますが、どうかそういう実情であったことを御了承願いたいと思います。
  13. 岩間正男

    岩間正男君 その間の事情を聞いたんですがね。休会中の委員会については大蔵省でいろいろな見解を持っているはずです。国会に対してもいろいろな意見を申し入れたはずです。それをみずから軽視するような形に出ることは、私は非常に矛盾があると思うのです。これは今後やはり慎しんでもらいたい。予算折衝というようなことを振りかぶったんでは、何でもそれでやられたんではかなわぬです。せっかく委員会が、休会中開いて真剣に討議しよう、そうしてまたそういうことを、私がさっき申したように、大蔵省側国会に対して意向を申し入れてあるはずです。それにもかかわらず、自分の出席を求められたらそういうことでは、これは自己撞着です。そういうことは今後慎しまなければならないと思いますが、こういう点について一応釈明してもらいたい。
  14. 吉岡英一

    説明員吉岡英一君) 事情はただいま申し上げたようなことでございまして、先ほど委員長がおっしゃいましたように、前に約束したほかの会議等があって出られない場合にはやむを得ないのだというお話がございましたが、実情はまさにそういう状況だったように私は存じます。ただ、ばく然と予算折衝というようなことを申し上げたといたしますと、御不審にとられたのもまたごもっともでありまして言葉の不十分だった点は十分認めますが、実情はそういうことでありましたので、御了承願います。
  15. 岩間正男

    岩間正男君 今後は。
  16. 吉岡英一

    説明員吉岡英一君) 今後は、もちろんそういう特殊な事情のない限り、御要望がありましたときにはぜひ出席をいたして御要望に沿うつもりでございます。
  17. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 質疑のある方は、順次御発言を願います。
  18. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 板付基地周辺学校におけるいわゆる爆音防止による鉄筋防音校舎建築費の一部国庫補助について質問をしたいと思います。  この日本にある米軍基地、あるいは米軍駐留憲法違反の疑いがあるということは、すでに良識ある学者の唱えておるところでありますし、またこの基地の存置が、都市の景観はもとより、住民の人命に対する被害、あるいは特に学校教育に対する非常に大きな支障を来たしておることは、文部当局はもちろん、調達庁あるいは大蔵省といえども十分御承知通りであると思います。私は基地周辺にある東光中学校に、つい最近まで在籍いたしておったのですが、これも詳しい資料で文部当局が御承知通り、一時間を四十五分とする授業の間に、多いときには半分以上の授業爆音のために中止しなければ教師の話が生徒に通じないという状態がたびたび起っております。この状態に応じて、文部当局あるいは調達庁大蔵省等に、いろいろ今日まで努力をいただいて、防音装置を進めてきていただいたことも周知通りであります。ところが、筥松小学校の例で見られるように、F86ですか、最初に持ってこられたジェット機の当時は、木造建築のままで防音工事をしても、どうにか一番激しいときにちょっと授業をストップすれば、ある程度は防音の役目を果したのですが、現在のようにジェット機が進歩し、特にF106が持ち込まれて以来、この木造による防音工事はほとんど用をなさなくなって、建ててからわずかしかたたない筥松小学校が、再びこれを完全にやりかえて、鉄筋校舎にすることによって初めて防音の目的を達したことも御存じの通りであります。ところが、この周辺には十幾つかの学校があり、特に新鋭ジェット機の持ち込みによりまして、着陸、離陸の際における旋回距離が非常に拡大しつつあるために、次第に爆音による被害地といいますか、その範囲が拡大されつつあることも御承知通りで、福岡周辺の十数校は全く米軍基地ジェット機のために、現段階においても終日授業困難に陥っているという現状です。この状況は簡単に申しますると、一言にして申しまするならば、米軍基地ジェット機が持ち込まれたことによって起っている特殊な現象であります。言いかえますると、日本の国土の中に駐留軍基地が置かれ、そうしてジェット機があることのためにほかならないのであります。このために福岡市におきましては、生徒増、あるいは不正常授業解消するために鋭意周辺防音化のために努力をして参りましたが、今申し上げましたように、たとえばジェット機旋回距離の拡大、あるいは爆音増大等によりまして、現段階では今日までの防音施策、あるいはその他の施策が、やっとその時点における状況のもとに施された施設が完了するころには、もはやこれは用をなさないというような状態になっておるのでございます。私も板付滑走路から百メートルそこそこの所に住居いたしておりまして、非常にその被害を受けておる一人でございますが、こういう状況の中に従前のような木造による防音工事補助費、あるいは鉄筋校舎の増築の計画ではどうしても間に合わない状況でございます。福岡市に設けられました板付基地移転促進協議会は保守、革新を問わず、あるいは朝野を問わず意見一致して結成されておりまして、板付基地福岡周辺にあることは、あらゆる角度から福岡市民にとって不幸であるので、早急に移転してもらいたいという見解をとっております。皆さんも御承知通り、その周辺の山々には、数年間をかけて膨大な地下防空施設等も設置されて、次第にこれが増強されつつあるという現状です。こういう中におきまして、板付基地の移転促進問題は今日は触れませんが、こういう状況の中にある基地周辺の、特に防音施設に対する文部省の今後の英断をお願いしたいと思うのですが、現在の状況では三十五年度に一部、三十六年、三十七年と、かなり長期の計画でなければ、鉄筋化をすることは、文部省予算、あるいは調達庁補助、あるいは市の財政の中では困難な状況にあります。こういう状況のままで進んでおりますと、先ほど申し上げましたように三年後、おそらく現在のジェット戦闘機はほとんど役に立たなくなり、もっと高性能の、従ってもっと高爆音を出す、旋回距離ももっと大きくなるジェット機が持ち込まれることは、これはまた皆さん周知通りであります。こういう状況の中で、文部当局としては現在——現在というのではなく、従前のような防音対策といいますか、予算補助現状では追いかけっこをして、結局間に合わなくなる、従ってでき上った後には再び古い防音施設を破壊して新たに作り直さなければならないという現状になると思います。こういう状況の中で、従前の例からして、次年度予算の中には板付周辺だけでなくて、板付周辺には大体全国予算の非常に多くのパーセンテージをいただいておるのですが、今後騒音防止のために鉄筋校舎を作っていくという点について、次年度、あるいはできれば次年度の間に全部完備してもらいたいという考え方ですが、こういう特別に予算を増額するという問題について、まず文部当局の決意なり御見解なりを承わりたいと思います。
  19. 宮澤喜一

    説明員宮澤喜一君) 御指摘の問題につきましては、私もあらましを事務当局から聞きまして承知をいたしております。私どもといたしましては、いわゆる基地必要性、国の要請に基いて基地というものが存在していることについては、私どもはこれは国として必要なものであるという考え方に立っておるのでありましてその点につきましては豊瀬委員の御見解とあるいは若干異なるところがあるかと考えますが、しかし、いずれにいたしましても、ここにございます問題は、基地という一つの、要請と、それから文教というもののこれは当然に最も大切な要請一つであります、それともう一つ国予算、この三つの要請がからみ合いまして、それをどうやって最も適切な調整を加えていくかという問題であろうと思います。御指摘のように、板付基地周辺文教施設につきましては、過去から相当大きな部分の予算をこれに充当いたしまして、できるだけ文教弊害が少いようにという配慮はいたして参ったつもりでありますが、ただいま御指摘のように、今後とも基地に伴いまする騒音その他従来と質を異にしまして、今後非常にこの騒音が大きくなっていくであろうということが十分に予測をいたされますので、従いまして今後施設をいたします際にも、当面現実騒音ということばかりでなく、これから先おそらく起るであろうような程度の騒音に対しても、やはり特段の施設を講じていかなければならない。ただいま御指摘のように、これを全部昭和三十五年度で完成をするということには、今度別途国予算というものの要請から問題があろうかと思います。私どもといたしましては、できるだけ国の予算の許します範囲でできるだけ重点を御指摘の問題に置いて施策をして参りたい。問題の概要は、私就任早々でありますが聞いておりますので、そういうふうな心組みでこの問題に対処いたしたいと考えております。  なお、詳細につきましては所管の局長から御答弁申し上げます。
  20. 小林行雄

    説明員小林行雄君) ただいま政務次官からお答え申し上げた通りでございますが、最近の新しいジェット機爆音に対処するために、実は調達庁の方で、これは前から調達庁の方でいろいろこの基地周辺学校騒音対策は非常なお骨折りを願っておるわけでございますが、この新鋭ジェット機爆音に対処しまして、最近におきましてはできるだけ従来と違った質の高い騒音対策をとっていただいておるわけでございます。たとえば、従来の教室だけの防音工事ばかりでなしに、校長室なりあるいは管理室等防音工事をする、あるいは教室生徒児童の人数を小さくして授業が比較的行いやすいような教室を作っていくというようなことも実際行われております。また、確かにお話のございましたような、従来の木造校舎に対する防音措置では十分でありませんので、これをできるだけ鉄筋化していくというようなことも三十三年度、三十四年度一部実施されておりますし、また今年度も実施される予定になっておるわけであります。  なお、それは調達庁の面でございますが、文部省といたしましても、たとえば板付基地周辺から鉄筋化したいというふうにお申し出のありますものにつきましては、たとえばすし詰め授業解消の分にいたしましても、また、危険校舎の改築の面にいたしましても、できるだけこれを取り上げて補助金をつけていくという方針をとっておりまして、実は三十四年度配分も一応片がついておるわけでありますが、その状況から申しますと、三十四年度には、板付基地周辺学校からありました申請につきましては、全部鉄筋認定しておるような状況でございます。たとえば危険校舎につきましても、一応私どもといたしましては耐力度に基きまして四千五百点以下の校舎危険校舎にするようにいたしておりますが、基地周辺のものにつきましては、特別に多少その辺の幅を持たして認定をするというようなこともいたしておるわけであります。今後も防音装置につきましても、文部省といたしましてはできるだけ調達庁にお願いをいたしまして、ただいまお話しのありましたように、年次計画もできるだけ短かい期間のうちに質の高い、構造的にもりっぱな防音措置をとっていきたいというふうに考えておるわけであります。
  21. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 宮澤次官の御答弁の中に、国の要請によって基地があることはやむを得ない、このことに対する論争は別に譲るといたしまして、御承知のことだと思いますが、たとえば蒲田小学校においては不意に教室の中に米軍機銃弾が飛んできたという事件もありましたし、それから二俣瀬という所にジェット機が落ちたために一挙にして十数人の人たちが焼け死んだという事件もありますし、その他たびたび事故が起っています。これは今日では商業新聞に報道することを許されておりますけれども、以前においては、こういった事件でさえも、地元の新聞に載せることも、どういう理由か知りませんけれども、なかなか困難なような状況の中で、いわゆる基地周辺の人だけしか知らないような事件がたびたび起っておることも御承知通りであります。そうして私が一番心配するのは、たとえば一時間のうちに、四十五分のうちにかりに十五分だけが授業の途中で爆音のために話がとだえて授業が行われない、こういったことが三年も四年も続いていっておることの累積というものは非常に大きいと思う。これは私は教師生徒責任に転嫁されることではなくしてもし基地というものが国の必要であるとするならば、国の責任においてこういった事態は大きな英断をもって早急に少くとも最小限度譲歩いたしまして、爆音によって授業を中止しないでいいような状態には、私はいかなる予算よりも優先して行われなければならないと思うのです。係官のお話でも大体従前通り着々と進められておる、特に私たち調達庁の方から非常に努力をいただいておることも十分承知しておりますけれども、私がお聞きしたいのは、従前計画よりももっと大規模な計画によって、たとえば三カ年間で全部鉄筋にするものを、もっとテンポを早めてやっていただかないと、二年ないし三年の間に数千名の児童はこういった正当な授業時間に出席しながらも他の学校生徒よりも多くの時間をロスしておるという教育上の障害が生じておるということです。それでもう一度次官の方で、現在進められておる計画を早めて、次年度予算から調達庁あるいは大蔵省と折衝していただいて、文部省の負担する補助金の方を従前計画から増額していくだけの努力をしていただく熱意があるかどうかという点をお答え願いたいと思います。
  22. 宮澤喜一

    説明員宮澤喜一君) 確かに国内に基地が置かれておるという状態は私たち決して名誉な状態と考えませんし、またそれに伴って非常にたくさんな弊害があるということも御指摘通りだと思います。それにもかかわらず、私たち自身としては、やはり基地というものは国の要請に基いて必要であると考えております以上は、やはりその弊害を除去いたしますためにはあらゆることをこれに対してしていかなければならない。なかんずく特定基地周辺人々に対しましては、これは日本国民全体が背負うべきところの犠牲特定人々に背負ってもらっておるというのが実情でありますから、それに対しては国として当然あらゆる方策をしてその犠牲に報いる、ないしはそれを最小限に食いとめていくということをしなければならないと思うのでございます。そこで、ただいま御指摘一般基準をさらに早めて、あるいはそれを上回ってということにつきましては、ただいま監理局長から御答弁がございましたように、従来におきましても鉄筋設置基準あるいは危険校舎認定基準、それらのものは一般に事務的に処理しております以上に、かなり、何と申しますか、それを越えて処置をしておる。つまりいろいろな事情を見、かつ予見をしながら、他よりも優先をし、かつ手厚くできるだけのことはして参ったつもりであります。今後ともその方針を推し進め、さらには、でき得るならばもっともっとしなければならないことをやっていきたい、こう考えております。ただ、ただいまの補助金補助率という問題につきましては、これは現行の法制その他との問題もございますので、今直ちにかようにいたしますと数字をあげて申し上げる用意がございませんけれども考え方といたしましては、まさに豊瀬委員指摘のような気持で、しかも現実にこうして問題が起り、当委員会でも特別に御指摘を受けておることであります。特に力を入れまして三十五年度予算の編成につきましても考えて参りたい、今後もそうして参りたいつもりであります。
  23. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大体文部省のお考えはわかりましたが、先ほども申し上げましたように、学校校舎あるいは建築の基本的な立場からすると、きのうも吉江委員から災害の問題についていろいろ意見がありましたように、全国鉄筋化するのが一番いいと思うのでありますが、それは現在の地方自治体の予算の中では不可能のことでございますが、特に板付の、周辺基地があるところの学校爆音のために、木造校舎でいいところをどうしても鉄筋にしなければ授業を維持することが困難である、こういった状況にあります。従ってこの木造校舎建築費でできるところを鉄筋防音校舎にするための金額を福岡市だけで背負っていくということは、現在のところ市予算の中でも、またその他の、すし詰め学級解消とか不正常授業解消等に対する経過からしてきわめて困難なことでありますので、この鉄筋建築費マイナス木造建築費を、調達庁規則で言うところの爆音防止対策上の費用として国庫補助をお願いしたいと思うのですが、この点につきまして調達庁のお考えをお聞きしたいと思います。
  24. 柏原益太郎

    説明員柏原益太郎君) ただいまいろいろお話がございましたように、板付基地におきましては、文部省当局のお考えも、木造校舎をできるだけ鉄筋化して防音の効果を上げたいというお考えでございますし、調達庁といたしましてもそういった考え方には全面的に賛成をいたしまして、従来からそういった考え方についていろいろな施策を講じてきておるわけでございますが、現実の問題といたしまして、木造校舎鉄筋化いたします場合に、その差額についての国庫補助というお考えのようでございますが、本問題につきましては、調達庁といたしましては、そのでき上りました鉄筋校舎に対して防音工事の工事費を負担しようという考え方でございまして、本体の工事につきましては文部省にお願いいたしまして、これを推し進めていただいた方がいいんじゃないかというふうに考えております。その点につきましては従来文部省ともお話したこともございます。
  25. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 今の点について文部当局見解をお聞きしたい。
  26. 小林行雄

    説明員小林行雄君) 先ほどお答え申し上げましたように、基地周辺学校につきましては特別の事情があるということで、私ども鉄筋認定につきましては申し出のありましたものを本年度の例で申しますと全部を認定しているような状況でございます。ただお尋ねのございましたように木造分と鉄筋分の差額を国で負担せよという御趣旨のように拝聴したのでありますが、これにつきましては現在法律の規定がございましてやはり国で負担すべきもの、それから設置者である市町村で負担すべきものとはっきり限定されておりますので、現状ではその点は非常にむずかしい問題ではないかと考えております。ただ、市町村の負担する分につきましても、これは御承知のように、市町村負担分についても当然起債が認められておりますので、国としては一応財政措置はまあできているものと考えておるわけでございます。もちろん起債と補助金あるいは負担金とは性質が違うとも考えるのでありますが、差額の分の国庫負担ということは現状ではむずかしいのではないかと考えます。
  27. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 僕が聞いているのは、現在の規則、法律の中ではその通りです。しかし、先ほども冒頭に言いましたように、数千名の生徒児童被害というものは、その地域の市民あるいは父兄ないしは生徒児童が直接的に解消すべき責任ではなくして、次官も言われたように、国の要請によって基地があるならば国の責任で当然解消しなければならない問題だ、従って必要な事項については、現行の法律あるいは規則、そういったものを変更してでもこれを解消していくという決意がなければ、次官が言われたような趣旨は絵にかいたもちであって、ほんとうに生きてこないと思う。こういう点について再度次官の決意のほどをお聞きいたしたいと思うのですが。
  28. 宮澤喜一

    説明員宮澤喜一君) その点につきましては、ただいま調達庁並びに私ども監理局長からお答えを申し上げたのであります。まあ、これがいずれの所管、あるいはいずれの役所からの支出になるべきかという問題はございますけれども、そういう問題を別にいたしまして、とにかく国全体としてできるだけのことをいたしたい、事実許されますならば、ただいま豊瀬委員の御指摘のようなことも私どもとして考えてみなければならぬのではないかというふうに考えます。ただ、さらに具体的にどうするかということにつきまして、私ただいま御納得のいくお答えを申し上げる準備がないのが遺憾でございますけれども、御指摘の点は私にはよくわかるように思います。従いまして、私としてはそういう心組みでいきたい、文部大臣も同様の所見と考えます。
  29. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 ただいまの点につきましては大蔵当局としては、これは大体大蔵省というのは各省の出した予算を削るのが上手のように聞いているのですが、そういう手腕をふるわれるのでなくして、やはり現在も僻地の問題で、大蔵省の主計官に私が申し上げましたように、自分の子供を僻地にやっている、自分の子供が現に毎日々々爆音のもとで不正常な授業を受けている、こういった立場に立って各省の予算なり、あるいは大蔵、調達、文部の三者で、積極的にどうしたらばこういう基地被害が、少くとも青少年児童の直接的な教育上の被害解消するという観点に立って解消してもらいたいと思うんですが、すでに来年度予算につきましても準備をしておられるようでございますから、私も、おそらくこの問題について、きのうも、善処をいただいているという善意な立場に立って解釈いたしまして、昨日出席なかった点については追及を行わなかったのですが、この点について大蔵省吉岡次長見解をお聞きしたいと思うんです。
  30. 吉岡英一

    説明員吉岡英一君) ただいまのお話、私ども大蔵省といたしましても、先ほど宮澤政務次官からお話のありましたような気持ちで、いろいろな特殊の事情のありますことを十分拝承いたしておりますので、そういう気持で検討いたして参りたいと思います。お話のありましたように、明年度予算の編成もこれからございます。文部省調達庁お話も十分伺いましてよく検討して参りたいと思います。
  31. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大体時間の関係がありますので、本件についてはむと一点で終りたいと思うんですが、現在次年度予算の編成に着手しておられると思いますが、文部省においては、昨年度計画あるいは従前計画からして、次年度予算の中にどのくらい、従前計画を変更して予算を増額したいというふうな事務当局の現在までの計画ですか、それをお答え願いたいと思います。
  32. 小林行雄

    説明員小林行雄君) 公立文教施設全体の予算につきましては、御承知のように、五カ年計画というものを発足させております。本年度が第一年次でございまして、明年度三十五年度が第二年目になるわけでございます。従って、大体五カ年計画のきめられた線に従って明年度予算要求するということになっております。この不正常にいたしましても、危険校舎につきましても、それぞれその予算を編成します当時の調査をいたしましたものを全国的に集大成いたしましてきめているのであります。これを年次計画に従って推し進めていくという考え方でございます。特に基地周辺学校が幾らという現在私資料を持っておりません。
  33. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 きわめてばくとした答弁で、はなはだ不満ですが、時間の関係で一応これを終ることにいたしまして、先ほど申し上げましたように、基地学校教育が非常に阻害されているという実態につきましては、ただいま資料では次官もあるいは大蔵当局、調達庁当局の方も御存じだと思いますけれども、現在着々と増強されているジェット機被害というものは日に日に増大いたしておりますので、できるならば、次官は大臣を動かしていただいて、大蔵、文部、調達庁と三者一緒になって、自動車上の視察でなくして、一日学校の中におられるとどのくらい神経質になり、爆音被害が大きいか、そうしてまた心身の発達の十分でない青少年がどういう被害を受けているかということを具体的に次年度予算編成前に御調査の上、先ほどもたびたび申し上げておりますように、国の責任で、数カ年の間爆音のもとに支障のある教育を受けなければならないといったような悲しむべき状態を早急に解消していただくように努力をお願いいたしたいと思います。  次に、もう一点ですが、これは調達庁その他のお骨折りで、防音施設の完備をしていただいたために一つ困った問題が生じております。これは筥松小学校の例ですが、防音施設前の電気料は七十九万円程度で年間済んだものが、防音施設をすると、電気料が二百二十六万三千七百円と、三倍近く膨張しております。これを次々に防音施設を十数校にやっていきますと、現在の市の予算の中では、電気料だけでも非常に膨大なものになってくるのです。これは先ほども申し上げましたように、ジェット機被害による防音装置のための特殊な費用として、やはりこれも国庫の中でぜひとも負担していただきたい。この具体的な各学校の一日分の電気料あるいは年間の電気料の資料につきましては、すでに差し上げておりますので、十分御承知のことと思いますが、この防音施設のために膨張した電気料をぜひとも国の補助の中で負担をしていただきたいという点について、それぞれ大蔵、調達、文部当局見解を承わりたいと思います。
  34. 柏原益太郎

    説明員柏原益太郎君) 防音工事をいたしました校舎につきまして、動力費が従来に増して高くかかるということは事実でございまして、特に木造校舎よりも鉄筋化いたしました校舎につきましては、多くの動力を要する関係から、動力費が相当かかるという実情にあることは承知しております。この経費を将来にわたって国で持つべきであるということにつきましては、ただいまお話がありましたように、防音工事に伴う当然の経費であるというふうにはわれわれといたしましても考えておるわけでございます。しかしながら、一方、防音工事の完了いたしておりません学校も、全国の基地につきまして、なお相当ございます。板付基地関係におきましても、まだ未完了の学校があることは御承知通りでございます。学校校舎鉄筋化の問題それに対する防音工事の問題等に要する予算の関係からいたしましても、なかなか今すぐに全国の防音工事を実施した学校につきましていわゆる維持費、補修費といったようなものを見るということにつきましては、財政的な面から見ましても、相当研究を要することだろうと思います。しかしながら、この点につきましては、文部省大蔵省ともいろいろ相談をいたしまして、そういったことのために学校ないし市町村御当局がお困まりになっておる実情をできるだけ早くなくしたいという考えは十分持っておるような次第ございます。
  35. 吉岡英一

    説明員吉岡英一君) ただいまの防音装置後の維持費的なものを対象にするかどうかということにつきましては、私どもも今調達庁から御答弁申し上げました通りの感じを持っております。限られた予算の中で維持費まで持てるかどうか検討してみたいとは思いますが、なかなか困難な問題を含んでおるように感じております。
  36. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 相変らず大蔵省らしい御答弁ですが、再々申し上げましたように、昨年度予算は一兆四千百九十二億という膨大な数字です。その中で、基地にあるジェット機爆音のために青少年の被害というものは非常な大きなものがある。これに対して、一兆四千百九十二億の膨大な予算の中から、大蔵省がそういう直接被害を受けておる施設、青少年に対してだけでも、せめてこれを解消したいという熱意があれば、この維持費あるいは先ほど申し上げました鉄筋校舎建築費というものは実に微々たるものと思います。こういう点について、次年度予算編成期に当りまして、これらの問題を解決するために、従前に増して解消努力していくという熱意が大蔵当局にあるかどうか、再度御答弁をお願いいたします。
  37. 吉岡英一

    説明員吉岡英一君) 私どもといたしましても先ほど申し上げましたような、特殊な事情にある問題であることは、これは十分承知いたしておりますので、十分検討してみたいと思いますが、御承知のように、設備費あるいは設置費までは補助の対象にするが、維持費からは対象にしないという問題は、ほかに非常にたくさんあるわけでございます。そういう問題との関連も考え合せまして、十分に検討して参りたいと存じます。
  38. 吉江勝保

    吉江勝保君 校舎建築について関連して……。
  39. 相馬助治

    委員長相馬助治君) ただいまの問題ですか。
  40. 吉江勝保

    吉江勝保君 昨日、校舎の問題についてだいぶお聞きしたのですが、ちょうどそのとき大蔵省関係の方がおいでになっておらなかったので、そのとき特に大蔵省方面に申し上げましたり、また質問したいと思ったことを、要約して二、三聞いてみたいと思います。  災害復旧に関してきのう聞いたのでありますが、ちょうど災害のシーズンの前でありまして、今度の七号台風に続いて、この九月に相当台風がまたくるのじゃないかと心配しているのであります。この学校校舎が流出いたしましたり、あるいは倒壊しましたときに、この校舎の災害復旧、これに対しまして、いろいろと各方面に措置が講ぜられております。たとえば農業災害にしましても、土木災害にしましてもあるのでありまするが、特に教育の、校舎の災害についての扱い方が、見受けるところが、ほかの方面の災害復旧と比べて、非常にその国家の援助の仕方、国家の費用の出し方が非常に厳格であったり、あるいは僅少であるというような感じを持っているのであります。それで、昨日もお尋ねしたのでありまするが、たとえば土木災害におきまして一件十万円、市町村でありまするが、一件十万円以下のものは起債による、十万円以上のものは国庫で補助する、災害復旧の補助費は国が負担する、こういうようになっておりまして、文教関係でも、校舎はやはり十万円以下、こういうふうにしているようでありますが、学校の設備というものの規模と、土木災害のような大きな災害とはその災害の費用の、損害額というものは非常に差があるのでありまして十万円といいましても、土木災害ではもう十万円以下というようなものはたくさんあるのであります。ところが、学校災害におきましては、これは被害としましては相当、十万円以下というと大きい災害になるのでありまして、それを同じように十万円以下で切っているということは、私は文教施設に対する理解が不十分じゃないか、あるいはこれは文部省当局の要望が不十分じゃないだろうかとも思うのでありますが、あるいは大蔵省が査定するときに一律にそういうようにきめることは、私は不適当ではないか、こういうように考えておりまして昨日も質問をしたのでありまするが、この点につきましてちょうど大蔵省関係の方見えておりますので、御見解を伺いたいと思います。
  41. 吉岡英一

    説明員吉岡英一君) 今のお尋ねの件でありまするが、大へん申しわけないのですが、私も実は先月かわりまして、今せっかく勉強いたしておる最中でありまして、その辺の十万円以下の問題は、他の災害復旧等と関連いたしましてどの程度のものであるか、十分に今お答え申し上げかねます。大へん申しわけございませんが、十分検討いたしまして、文部省等の御意見も拝聴して検討したいと思います。
  42. 吉江勝保

    吉江勝保君 私は今聞きましたが、もう少し何といいますか、おわかりになっておるかと思ってもう少し聞いてみたかったのでありますが、十万円以下と申しましても、文部省の一件一枚十万円と、土木災害の十万円とに非常に差があるということのほかに、これは文部大臣もよく一つお考え願いたいのでありますが、土木災害の場合には一カ所堤防が決壊して、これが八万円の災害であっても、その場所から近接をいたしまして、五十メートル以内にまた崩壊場所がありますと、そこの場所が五万円の災害であっても五十メートル以内であればこれはみな一括して通算して計算しておるのであります。一カ所といいましても、数カ所合せてそれが十万円になれば、これは土木災害で国が補助をしておるのであります。ところが、文部省の方は一校の災害、ある小学校の災害、校舎が流れた、あるいは中学校が倒壊した、こういう場合に、その一校の災害の十万円が、その一つ学校全体の損害が十万円であるならまだしも、その中で、あるいは土地の損害が十万円以下とか建物が十万円以下とか、設備が十万円以下とか、十万円の中をまた小刻みに刻んで、合計四十万円にならなければ災害補助をしないというようなやり方は、文部当局も少しどうかしているのではないか。すでに土木関係では五十メートル以内の災害ではみな一括して十万円以上に計上しておる。一校が災害を受けていながら、その災害の中で区分けをして、土地が何ぼ、建物が何ぼ、設備が何ぼ、まだほかにもあるようでありますが、こういうような区分けをそれぞれして、その一つが十万円にならなければ災害の復旧を見ないということは、ほかの面と比べて非常に文教方面の災害復旧はおくれておるのじゃないか、不均衡じゃないか、これは文部当局一つお聞きをし、大蔵省一つ見解をお聞きしたいと思います。
  43. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) 御親切なお話であると存じます。とかく財政的に困難の状況を告げておる小さな自治体にとっては、十万円の損害をみずからこれを補てんしていくということは、まことに困難な場合も多いと思います。従って学校の災害に対しては、特に一つお話のような線に沿うて大蔵当局ともよく懇談して、御趣旨に沿えるように努力していきたいと思います。
  44. 吉岡英一

    説明員吉岡英一君) 私も今、伺ったことからいろいろ考えなければならない問題があると存じますので、十分検討してみたいと思います。
  45. 吉江勝保

    吉江勝保君 そのことについて、もう一つ監理局長から……。
  46. 小林行雄

    説明員小林行雄君) ただいま他の土木の災害等と比べて不均衡であるということで、具体的にこまかい事情お話がありましたので、私どもそういった点がございますならば、十分それらのことも考えて不均衡を是正したい。予算折衝の面でも、今後そういった面を十分取り上げて大蔵省の方と御折衝申し上げたいと思います。
  47. 吉江勝保

    吉江勝保君 私は文部省の一番災害復旧の責任者である局長が、昨日も話を聞いておりますと、災害県の長野県やどこやらの県は、事務が非常におくれておるので指導しておる、こういうお話があったんですが、どういう指導をやられたのか、そういうように一件々々が十万円に達しなければ国庫補助をしないぞというような指導をされておるのか、もう建設省方面では今言ったように、私は繰り返して言いませんが、包括的に十万円というものを認めておるときに、あまりに今のやつは法律できめたものでもなかろうと思う。文部省の何らかの運営の中できめておるんじゃないか、そういうものをあまりに厳重に執行されておるといいますか、やり方につきましては、学校の災害復旧が非常におくれるということと、地方の負担が非常に重圧に苦しむということをよくお考えになって、早急に直していただきたい。最後に、昨日あれだけ申しましたので、直ちに大臣も帰って相談してみる、こういうようにおっしゃっておったので、きょうは昨日の話に対して、御相談になった模様を実はお聞きをしたかったのでありますが、あわせて今のような点も十分に一つ御検討いただいて、台風時期も近づいておるので、これからの学校災害にはあらためて私が要望するようなやり方にしていただきたい。ぜひこれをお願いいたしておきまして答弁要求いたしません。
  48. 相馬助治

    委員長相馬助治君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  49. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記をつけて下さい。
  50. 岩間正男

    岩間正男君 豊瀬君のさっきの話に関連しまして、これは監理局長から資料を出していただきたいと思います。というのは、この板付だけではなくて、全国的に見たら防音装置を要する、ことに最近のジェット機の発展によって起っている被害というものは非常に大きいと思う。これを調査されておるのかどうか、そのデータがあるのかどうか、これはどこどこになるのか、考えてみても大三沢とか千歳とか、それから立川、横田、ジョンソン基地というものが出てくるだろうと思うわけですが、そのほか大小無数あると思う、そういう資料。そうしてそのためにどれだけの学校防音装置しなければならないのか、それを鉄筋の建物にすればどれだけの一体予算が要るのか、このような一体データがあるのかないのか、これがなければないでいいんでありますが、なければ私予算要求をやったって、五カ年計画なんていってもこれは全く根拠のないことになってくるので、まず第一にそのような資料があるのかないのか、そうしてそれについてはっきりした調査をやって、その基礎を固めてその上に立たなければ、これは一つの国の政治とは言えない。そういう点からお伺いするんですが、どうですか。
  51. 相馬助治

    委員長相馬助治君) どうですかではなくて、岩間君からの資料要求局長応ぜられますか。出せますか、出せませんか。
  52. 小林行雄

    説明員小林行雄君) 御承知のように、もちろん教育施設の関係から申しますと、防音対策文部省としても非常に重要な関連があるわけでございますが、大体米軍基地関係につきましては、従来調達庁の方で御調査をなさり、また予算を取り、実際の工事をなさっておる関係で、特に文部省としては特別に詳しい全国調査を行なっておりません。ただ、サンプリングとしていろいろなケースをとっておるところもございますので、そういった面につきましては、できるだけ私の方としても、ただいま御発言のありましたような御趣旨の点についての資料を御提出申し上げたいと思います。
  53. 剱木亨弘

    ○剱木亨弘君 私はちょっと簡単に板付周辺の問題につきまして、これまでずいぶん長い間難問題に取り組んで参りましたが、その間調達庁文部省がこの問題につきましては、今質問されておりますと、いかにも不十分であるようでございますが、当局の熱意に対しましては、私むしろ感謝をいたしております。特に筥松小学校防音装置については、おそらく近代科学の粋を集めたものと存じます。現在の与えられた条件においては、最上の装置をやっていただいたと存じますし、今後ぜひこのような装置を、すべての学校に及ぼしてもらいますように御努力をお願いいたしたい。  ただここで一言申し上げたいと存じますのは、私福岡市の計画につきまして、しばしばその実現に努力して参りましたが、市が計画いたしました点については、ほぼ今日まで順調に進捗しつつございます。ただ問題になりますのは、この防音装置の関係から、市の施設に優先的に考慮をいただきます関係から、逆に申しますと、県の方の教育委員会としては、たとえば老朽校舎の改築にしましても、これを鉄筋化することによって、県の割当の配分において他の面に支障を来たすというような考慮があるかと存じますが、むしろ県の方を相当チェックするというような傾向があるのでございます。やはりこの周辺地区の鉄筋化につきましては、特殊の問題として考慮いただきまして、県の他の全体の施設についての配分について影響を及ぼさないように特に御考慮をお願いした。同時に、そういう取扱いができるであろうとは存じますが、一つ考慮できますかどうか。なおこの点につきましては、県当局に対しましても、十分なる御助言をいただきますようにお願いいたします。ただ一点だけその点をお願いいたします。
  54. 小林行雄

    説明員小林行雄君) 先ほど申しましたように、板付基地周辺学校鉄筋化につきましては、危険校舎の改築にいたしましても、すし詰め学級解消にいたしましても、できるだけ鉄筋認定を多くしていくということで、本年度も先ほど申しましたように、本年御計画のありましたものは、すべてこれを認定するということをいたしておりますが、そのために福岡市以外の他の県内の市町村に、特に不利を及ぼすというような事態にはなっておらぬと思います。他県に比較いたしまして、そのためにマイナスになっておるということはなかろうと思います。今後もできるだけ本年度と同じような方針で参るように努力をいたしたいと思います。
  55. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大臣があとから見えられましたが、いろいろ申し上げましたように、福岡市におきましては、小中校合せて現在防音施設を必要とするのが十六校あります。それから芦屋、築上等にも、そういった必要な学校が次々に生じてくる危険性を多分に持っておりますが、こういった基地爆音のために、先ほどからいろいろ申し上げましたので詳しく言いませんけれども、直接的に授業に支障を来たしておる。こういった問題について福岡市の板付基地移転促進協議会は都心部に空軍基地があるということについて、好ましくないという観点に立って移転を要望しておることは御承知通りであります。この問題につきまして、大臣はこういった一つ基地によって、十数校が教育上重大な支障を来たしておるという現状に対して、板付基地の移転という問題について、どういう見解を持っておられるか。
  56. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) まだ私はこの問題について検討をするの機会を得ませんですけれども、音響、特にジェット機による異常な音響が授業に支障があるということは、これは当然のことであり、従って防音装置の必要のあることは、直ちに考えられる点でありまするが、その他の点から考えましても、いろいろ異常の音響があるというようなことは、児童心理の上に及ぼす影響もまた少からぬものがあると思うのであります。こういう点で十分な科学的な調査をやったならば、これはどうしても教育上そうした音響のある所に、学校のあるということは好ましからぬ。従って基地の移転というようなことも、自然考えられることでありますが、これはしかし、なかなか簡単に解決を見得るものとも考えられない。むろんそういうことも検討いたさなければなりませんけれども、とりあえず防音装置に対しては十分な検討を遂げ、そうして適切な計らいをいたすべきである。かようにまあ考えている次第であります。
  57. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 すでに大臣御存じの通り授業時間だけの爆音の防止については、防音施設を施すことによってある程度免れ得るし、剱木委員から言われましたように、筥松小学校においては、ほとんどこれが解消しているという現状ですが、青少年児童学校にいるだけで生活しているわけじゃないですね。あるいは鶏が卵を生まなくなったり、あるいはその他の非常に大きな精神障害を来たしている。そして八十フォン、九十フォンという爆音が終日続けられているという現状も、それぞれの学校からのデータで十分御承知のことと思うのです。こういう基地の基本的な問題については、先ほどからも触れませんと言っているのですが、少くとも福岡市においては、最小限度の、緊急な被害を受けているものが十六校もある。こういった現状について、しかも福岡市民全部、保守、革新を問わず、板付基地を移転してもらいたいという要望、決議をなしていることも御承知のことであると思います。こういう点について研究不足だ、あるいは早急には参らぬというようなことではなくして、福岡市民要望にこたえて、文部大臣として少くとも都心部にある板付基地については、早急に移転するように、米軍に折衝していただきたいと思うのですが、この点についてどういうお考えですか。
  58. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) 移転しても移転先においてまた同様の問題は起り得ることなんでありますから、最も望ましいことは基地のないことであります。しかし、これには条約というものもあり、今日直ちにこれをなくするということはできない実情にあることは、あなたも十分御承知通りです。従って、今直ちに移転のことを急速に促進できるとは私は考えないのです。そういうことは望ましいという程度でありまして、これについては深い検討を要する問題でありますから、今直ちに御満足いくような明快なお答えはいたしかねることを遺憾に思います。
  59. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 これだけで終りますが……。ほかに移っても爆音はする。爆音はするでしょうが、都心部にあるということを、一つの最小限度の問題として取り上げているのです。たとえば基地の基本的な問題については、われわれとしては別個な見解を持っているのですが、福岡市民全部が決議したように、離島の遠くに離れていくと、少くとも青少年がその一時間の授業の中で三分の一あるいは半分近くの授業ストップというような現状はなくなると思うのです。こういう面について、先ほどからも次官にお願いしたのですが、爆音の強さについても、一カ年の詳しいデータが各学校にありますので、これを事前に十分見ていただいて、大臣みずからこういった爆音被害下にある教育がどういう支障を受けておるかということを早急に現状を視察してもらって、今のようななまはんかな態度でなくして、新任大臣として、大英断をもって基地爆音下にある青少年の教育上の被害を早急に解除してもらうように努力願いたいと思います。  それからもう一点、三点のうちの二点だけが残っておるのですが、時間がありませんので、簡単にお願いしますが、これは大蔵省の管財局に関係があるのですが、国有財産法の第二十二条無償貸付の項には、「左に掲げる場合においては、これを地方公共団体、水害予防組合及び土地改良区に無償で貸し付けることができる。一公共団体において、縁地、公園、ため池、火葬場、墓地、じんあい焼却場又はと畜場の用に供するとき。」、こうあるのです。ところが、義務教育学校におきましてはこの無償の適用がないために、福岡市におきましては、小学校において一万二千百四十五坪、中学校において二万一千八百九十三坪、合計三万四千三十八坪、借地料にして四百七十六万九千八百七十二円という膨大な費用を負担しているわけです。これは全体の学校校地の七・五%になるようになっておりますが、国有財産法の二十二条の第一号の規定を改正して、緑地、公園、ため池等と同様に、少くとも義務教育学校に貸与しておられる国有財産地についてはこれを無償で貸与してもらうようにぜひともお願いしたいと思うのですが、大蔵省見解をお聞きしたいと思います。
  60. 吉岡英一

    説明員吉岡英一君) 国有財産の問題でございまして、私どもちょっと御答弁申し上げかねますので、管財局長によく御趣旨をお伝えしたいと思います。
  61. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 次に、日教組の専従者制限に関する件を議題にいたします。本件に関しましては、松田文部大臣、宮澤政務次官、内藤初等中等教育局長、人事院より浅井総裁、矢倉職員局長、総理府より八巻恩給局長出席をしております。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  62. 松永忠二

    ○松永忠二君 まず、大臣にお尋ねするわけでありますが、都道府県の教育長協議会から、教職員団体の専従職員及びその構成員について十分に検討され、これに対する対策を樹立されるよう要望するという要望が出ておることは、御承知通りだと思うわけであります。この要望にこたえて、文部省は今後この問題をどのように処理をしていくというお考えなんでありますか、それを一つ大臣からお聞かせ願いたいと思います。
  63. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) お話のように、地方教育会議並びに教育委員会の方から、専従問題について文部省へ最後の決定を依頼してきたことは、お話通りでございます。これにつきましては、文部省といたしましては、他の方面、すなわち、国家公務員、地方公務員その他の方面にも関係がございまするので、関係各省ともよく協議を重ね、十分各省間の調整を待ちまして、その上で実施をしていきたいと、かように考えておる次第であります。
  64. 松永忠二

    ○松永忠二君 各省間の調整を文部省がおやりになってそうして見解というか、意見をまとめて実施をしていこうというような、そういうお考えをすでに決定をされておるのでありますか。それとも、これはやはり、各関係の方面とも十分に協議をして、十分慎重に検討をするという段階にあるのでありますか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  65. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) まずもって十分に検討をしていきた。むろん、各省間との調整を完全にはかることができませんければ、実施するという考えはないわけです。各省間の完全な協調を得て、その上で実施したい、かように考えております。
  66. 松永忠二

    ○松永忠二君 そうすると、そういうふうな各省間の調整ができるまでは、各県は条例でこれを実施するということは妥当でないと大臣は考えておられるのかどうか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  67. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) 私は、各都道府県の条例に基いてこれを実施しようと思えば、この問題は、地方分権の形になっておる今の教育界の姿においては、そういうことも可能ではないかと思いまするけれども、今のところでは、文部省に最後の対策を要望してきた建前から見まするというと、あるいは各府県においてそれぞれの条例によって実施しようという考えではないのではないかと、かように考えております。
  68. 松永忠二

    ○松永忠二君 ないのではないかということではなくて要望されておるということから考えてみて、やはり、そういう点について各省間との調整もでき、一応の考え方が成り立ってから具体的に実施をするということが妥当だと考えておられると判断をしてよいと思うのでありますが、いかがでありますか。
  69. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) さようであります。
  70. 松永忠二

    ○松永忠二君 人事院総裁にお尋ねをしたいと思うのでありますけれども、地公法並びに国公法で決定をされております職員団体の問題は、憲法第二十八条の「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」という、そういう憲法の条章を具体的に国家公務員法、地方公務員法で具現したものであるというふうに解釈をしてよいと思うのでありますが、これについての総裁の見解をお聞かせ願いたいと思うのであります。
  71. 浅井清

    説明員(浅井清君) この憲法の解釈の問題は、これは人事院の所管ではございませんので、これは法制局長官から御答弁を申し上げる筋合いだと思っております。ただ、人事院といたしましては、国会で制定せられました国家公務員法の中で問題を取り扱っておる次第でございます。
  72. 松永忠二

    ○松永忠二君 私がお聞かせいただきたいと思いますのは、職員団体の規定というものが、憲法の第二十八条の勤労者の団結する権利というものに関係があるのかないのかということをお聞きしたいわけであります。
  73. 浅井清

    説明員(浅井清君) それは、憲法の二十八条の団結権の中にいわゆる公務員が入るかどうかという憲法上の問題もございます。これは学説によって違うところもございましょうと思いますから、さいぜんさように申し上げたのでございます。ただ人事院として申しますることは、職員団体の公務員の団結権はこれは尊重していかなければならぬ、そういう立場は明らかでございます。
  74. 松永忠二

    ○松永忠二君 そういうふうな立場から職員団体の規定というものは、やはり国家公務員法、地方公務員法に規定されておるのだというふうに考えられるわけでありますけれども、この点についてはいかがでありますか。
  75. 浅井清

    説明員(浅井清君) 御同感でございます。
  76. 松永忠二

    ○松永忠二君 それではお尋ねをしたいのでありますが、職員団体に関係する法律というのは、地公法の第一条並びに国公法の第一条に規定をされております「公務の民主的且つ能率的な運営を保障することを目的とする。」こういうことと、そういう精神のもとにこれは職員団体というものは規制をされておるものだというふうにわれわれは考えるわけでありますけれども、国家公務員法の第一条の目的、精神というものが職員団体に具現をされておらなければできないと思うのでありますが、この点はいかがでございますか。
  77. 浅井清

    説明員(浅井清君) 地公法のことは所管ではございませんけれども、国公法のことはただいま御指摘通りだろうと思っております。
  78. 松永忠二

    ○松永忠二君 そこで、そういうふうなことになりますと、国公法の職員団体については、国公法の第一条の精神を尊重し、またはそれを具現されたものであるし、また憲法第二十八条の精神と関係のある条章であるというふうに、法律であるというふうに話が出てきたのでありますけれども、そこで文部大臣にお聞かせをいただきたいのでありますけれども、大臣はこの前の日教組との交渉の際に、私は前回の会見でも専従は不合理だとあなた方に話した、参議院の文教委員会でも同じ意見を述べており、今もそう考えておる。こういうふうに言われておるのでありますが、確かに私たち承知しておるところでは、この不合理の問題については、大臣としてはその表現の仕方、あるいはその内容についても改められておるというふうに私たちは考えるのでありますけれども、大臣は専従者を置くことが不合理であるという、そういう法的な根拠を一体どこにお持ちになっておるのか、そういう点を一つ大臣からお聞かせをいただきたいと思うのであります。
  79. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) 私はおっしゃるように、二、三の機会において、専従制度は、私の常識をもってすればどうも納得のいかない点が多い、不合理であると考える。もしこれILO条約八十七号が批准された暁においてはむろんだれでもかれでも、職を離れたものでも、どこからでも専従についていくというようなことは自由であろうけれども、現在のように、教職員に自分の身分を置いて、しかも長期にわたって休暇の形で専従に従事するというようなことは、どう考えても私の頭では不合理である、かように申し上げておるわけであります。
  80. 松永忠二

    ○松永忠二君 人事院の総裁にお尋ねをするのですけれども、国家公務員法の職員団体の中で、やはり職務に専念する義務というものから除外されて、職員団体の業務に専念するということについて——人事院規則でも決定されているわけです。で、今、文部大臣の言われたように、職員団体に専従者を置くことは不合理であるという、そういうことについて総裁の見解一つ私はお聞きしたいわけです。
  81. 浅井清

    説明員(浅井清君) 国会法の規定によりますと、私は政府委員として発言を許されておるわけでございまして、これは国務大臣を補佐するものでありまして、国務大臣の発言を批判することはこれは差し控えたいと思います。しかし、私は人事院総裁といたしまして、ただいま文部大臣の御発言とは別に、国家公務員法でどうなっておるかということを申し上げるのは差しつかえないと思っております。国家公務員法におきましては、専従職員というものを認めて規定をいたしておる。こういうことは申し上げられると思いまする
  82. 松永忠二

    ○松永忠二君 大臣にお尋ねをしたいのですけれども、地方公務員法の中にも明確に第五十二条の五項に「職員は、地方公共団体から給与を受けながら、職員団体のためその事務を行い、又は活動してはならない。」という規定があるのでありますが、それは裏返していえば、今お話のあったように、職員団体については専念するものを認めているということになっておるわけであります。従って、こういうふうに国家公務員法に基いた職員団体にも専従の職員が置かれているという現状において、地方公務員についてもこの職員団体に専従者を置いているということが不合理であるという理屈はどこから出てくるのでありますか。私はあなたの個人的な意見ということではなくて、文部大臣として法律を実施をする責任者としてそれが不合理であるという、そういう根拠をお尋ねをしておるわけであります。
  83. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) 私も今日、これは公務員法によって専従制度が認められておる、これは承知いたしております。しかし、さりながらこれは国際条約、ILO条約が批准される暁にはかえってこの制度がだれでも専従者になれるということになる方がすっきりとしたものになる。現在は私はどうも不合理だと考える、けれども法に基いてこれが事実において、そういう専従制度が認められているということに対しては私もあえて異論を唱えておるわけではございません。
  84. 松永忠二

    ○松永忠二君 そういうふうな大臣のことであるならば、不合理という言葉は適当ではないと私は思います。よりよいと私は考えるけれども、しかし、今の法律では合法的に認められていることであると、こういうふうに表現すべきだと私は思うのでありますが、あたかも参議院の文教委員会で不合理であることを認めているかのごとき発言の仕方をいろいろな前でされるということについては、私は大臣としておやりになる事柄ではなかろうというふうに考えるのであります。  そこで、もう少しその問題についてお尋ねをしていきますけれども、一体今までいろいろ問題になっている専従者の期限とか、あるいは人数の制限の問題等が今問題になっておるのでありますけれども人事院総裁一つお尋ねをしたいのですけれども、国家公務員法の第百一条というところに「職員は、政府から給与を受けながら、」ということで、その職員についての職務専念の義務等についてはいろいろここで法律に規制をしているわけであります。ただしかし、職員団体というものに対して法律的にこれを規制しているものではないというふうに私たちは考えているのでありますけれども、この点については総裁の見解はいかがでありますか。
  85. 浅井清

    説明員(浅井清君) ちょっと御質問の趣旨がわかりかねるのでございますが、ただいま御指摘の百一条はいわゆる職員団体を構成しておりまするところの職員、その専従職員についての規定でございます。
  86. 松永忠二

    ○松永忠二君 私の申し上げましたのも国家公務員法の百一条で規定してあるのは職員の事柄である。それからまた地方公務員法の五十二条の5について規定しているのも職員についてどうこうということを規定をされているわけであります。それからまた地公法の二十四条の勤務条件の問題についても、これは職員の給与あるいは勤務時間、そういうふうなものについて規定をされているわけであります。それからまた人事院規則の中に出ております人事院規則の十五の三、これに規定してあるのも職員のことについていろいろと規定をしてあるわけであります。  そこで、私がお尋ねしたいのは、職員団体のことについてこれを規定をしていくというようなことについては、一体現在の法律の中で職員団体そのものについて専従者の数を規制したり、あるいは専従者の年数を規制するということは法律的にできるのであるかどうかということについてお伺いをしたいのであります。
  87. 浅井清

    説明員(浅井清君) 国家公務員法におきましても、それは九十八条におきまして職員団体そのものについての規定もございますし、職員団体の登録等に関する人事院規則もございますから、職員団体を構成している職員だけのことしか規定できないという見解は成り立たないと思っております。ですから、職員団体そのものに関しての規定もできるだろう。ただ、もし御質問の御趣旨が専従職員を今制限しておるかどうかと仰せられるならば、人事院所管の国家公務員については専従職員は制限しておりません。
  88. 松永忠二

    ○松永忠二君 そこで、今人事院規則の十五の三を見ると、お話のようにこれに基いて参りますならば、専従者の年数というものは制限をされていない。また、専従者の人数というものについても何ら制限をされておらないわけであります。ところが、今度教育長協議会が要望している内容については、教職員組合であるこの職員団体について専従者の数を制限をしたり、あるいはその年数を制限をするというようなことを規定をすることを要望されているのでありますが、こういうふうになって参りますと、そういうことが規定をされたということになって参りますならば、国家公務員と地方公務員の均衡を失するというようなことになると私は思うのでありますが、こういう点について総裁の御意見はいかがでありますか。
  89. 浅井清

    説明員(浅井清君) これは国家公務員に対する専従者の現状が今どうなっているかということを御説明申し上げますれば一番はっきりすると思っております。ただし、私が国家公務員とここに申しまするのは、国会あるいは裁判所というような特別職は除いてお考えを願いたい。それからまた全逓とか林野とか専売とかいういわゆる五現業は除いてお考え願いたい。その前提でいわゆる人事院に登録されておりまする団体について申し上げるのでございまするが、この意味における国家公務員の団体は八百十一ございます。それを構成しておりまするところの国家公務員はおよそ二十三万四千人でございます。その二十三万四千人の公務員に対していわゆる専従職員が何人いるかと申しますれば、九十三人程度と思っております。でございまするから、これを割ってみますと、二千五百人に一人の割合になっておる。それからまた専従の期間を見ますと、まず九十三人といたしまして、そのうち四十数名というものは一年以内でございます。さらに二年以内の者を合せますと六十何名になります。そういたしますと、九十三名の専従職員の中で多くの者は二年以内の期限で職場へ帰っておる、かようになっております。  それから、その専従という意味でございまするけれども、これは一日でもよろしいのでございます。たとえば一日限りの組合の大会がございましたときに出て行く者もこれは専従休暇として取り扱っております。ただいま申し上げた九十三人と申しまするのは、そういう一日や二日の大会に出て行くような者は除いて申し上げておるのでございます。そこで、人事院規則の十五の三によりますれば、専従の期間は一日以上一年ということになっております。これも所轄庁の長の承認を要する。それから、一年たってこれは支障がなければ更新をすることができる、これも所轄庁の長の許可が要ります。ですから所轄庁の長で、支障がありと認めればこれを職場へ帰さなければならぬ、まあ、現状はそういう状態になっております。
  90. 松永忠二

    ○松永忠二君 私が総裁にお尋ねいたしましたのは、そういうことではありません。人事院規則の十五の三によれば、「一日を単位として、一年をこえない範囲内で止める。但し、休暇の期間が満了した場合には、所轄庁の長は、この規則の定めるところに従い、更に休暇を与えることができる。」ということであるので、今のこの規則を実施をするならば、三年、四年、五年というものはこれはでき得る規則であると私は思う、一年ごとに更新をするのでありますから。ただ、今具体的に国家公務員なりそういうものにないというのは、その職員団体が自主的にそれを判断をして、そうしてまたその仕事の内容からいろいろ考えて、自主的に出されたことであって、規則で決定をされて、そのためにそういう結果になっておるというわけでは私はないと思うのであります。従って、私がお聞かせ願いたいと思うことは、人事院規則の十五の三というものを適用していくということになりますならば、何年——専従を一年ごとに更新して——もできるのに、何人専従者を選ぶこともできるのに、これを千人に一人とかあるいは三年に区切る条例を作るということになりますならば、それとこれとの均衡内容というものは法的に違ってくるということを私はお聞きをしておるわけです。それには御異議はないと私は思うのでありますが、いかがでありますか。
  91. 浅井清

    説明員(浅井清君) ただいまお尋ねの点でございまするけれども、お示しのように、まず一年以下ときめまして、それは更新してもよろしいのでございます。しかし、これは専従職員の自発的意思で職場にも帰りますし、また所轄庁の長が、職務に支障がありと認めて職場へ帰すこともございます。ただ、それはどちらでもよろしいわけでございます。必ずしも組合が自主的ばかりではないかもしれません。その一々の実例は、私ここで資料を持ち合せておりませんが、どちらでもよろしいのでございます。所轄庁の都合にもよりましょうし、あるいは本人が自発的に帰るのもございます。しかし、人事院所管の職員につきましては一年未満が一番多いのでございます。二年未満がその次ぎでございます。これがずっと多くなりまして七年とか八年とかいうようになりますのはおそらく九十三名のうちで二名かあるいは一名か、きわめてわずかな状態でございますから、実際は非常に早くみんな職場に帰っておるのが常態でございます。しかし、人事院規則の建前上、更新することができないのかというお尋ねでございますれば、それは更新することはできる、かようにお答えができると思います。
  92. 松永忠二

    ○松永忠二君 そこで、文部省にお尋ねをするのでありますが、数は少くても六年も七年もできるというような規則が人事院規則として規定をされている。そこで、もしこれを勤務条件として規定をするというようなことになったとするならば、この勤務条件の法律的な規制として、第二十四条の中に、国及び地方の公共団体の職員との均衡ということが規定をされておるのであるから、条例でそういうことを規定をしていくということになるならば、これは国家公務員との間に明らかに相違が出てくると私たちは考えるわけでありますが、この点については局長意見はどうでありますか。
  93. 浅井清

    説明員(浅井清君) ちょっと私から補足して先へ御答弁をさせていただきたいのです。その地方公務員と国家公務員との均衡の問題でございますけれども、たとえば日教組というような団体、これは何十万という非常に大きな団体でございます。人事院所管の官庁というのは非常に小さいものも大きいものもございまして、これは何人に一人の専従職員を置くというような規制はこれはとうてい事実問題として非常に困難になる、そういう事情はございますと思います。でございますから、そこのところは非常な大きな団体と、それから人事院所管の職員団体の非常に小さなところとはおのずから違う点があるかとも思います。これはただ御参考のために申し上げたのであります。
  94. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) もちろん国家公務員との均衡は考えなければなりませんので、現実の問題として十分関係各省と協議いたしまして慎重に検討いたしたいと思います。ただ、日教組の実態を見てみますと、千人のうち四年以上の者が三五%、六年以上おる者が一八・五%、十年以上に至っては二十七人もおるというような実情でありまして、教育行政の運営上果して妥当かどうか、こういう問題があるわけでございます。
  95. 松永忠二

    ○松永忠二君 私は教育行政の上から問題があるとか何とかいうことについては別にまたお尋ねしたいのでありますが、今お話のあったように、明らかにやはりもし人数を規定するとすれば、これは国家公務員との差ができてくるということについてはこれは認めておると私は思うのでありますが、いかがですか。
  96. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) そういう問題もありますから関係各省で十分協議いたしたいと思っております。
  97. 松永忠二

    ○松永忠二君 そういうことだから結局お話のように差があるというふうに考えられるわけであります。そこで、なおお聞きをしたいのでありますが、今人事院の総裁に一つ内容として御理解をしていただきたいし、また法律的にもそうだと思うのでありますが、今日教組の問題をいろいろ論議すると同時に、各地方の教組の専従者の問題に論議が進んでいることは御承知通りです。各県の教員組合というものは各市町村の組合の、職員団体の連合体であることも御承知だと思うのであります。そうなって参りますと、職員団体に一人の専従者を得ていくというような考え方法律的には今の職員団体に専従者を認めているという精神からいって、当然考えられてくる内容であるし、性質だと私は思うのでありますが、こういう点については実情をよく御理解をされておられるのかどうなのか。また、法律的にも私はそれが正しい解釈の仕方だと思うのでありますが、いかがでありますか。
  98. 浅井清

    説明員(浅井清君) これはお尋ねでございますけれども、地方公務員のことは所管でございませんので、これは私から何とも申し上げることはできません。
  99. 松永忠二

    ○松永忠二君 その点特に見解を表明されませんので、積極的に私の方から申し上げるならば、私は職員団体に専従者を認めるということであるならば、単位の職員団体の専従者を認めるということであるのだから、現在では市町村単位に職員団体ができているわけでありますから、ここに一人の専従者を認めていくということは法律的にも正しい解釈の仕方と思うのであります。そういうことから数を考えていかないと、ただ表面の日教組の全体の数からどうのこうのという立論は私は成り立たないのではないかというふうに考えているわけであります。この点については、文部省はどういうふうに考えておりますか。
  100. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) 特に教職員の人事は都道府県で扱っております。従って市町村ごとに単位組合はできておりますけれども、事実上教員の給与、勤務時間、その他の勤務条件に関しては当局と交渉する場合、都道府県の場合が圧倒的に多いのであります。従って都道府県ごとに大体六百人に一人という実情になっているわけであります。この場合、何も必ずしも市町村ごとに置かなければならないとは考えておりません。
  101. 松永忠二

    ○松永忠二君 今の局長答弁からいえば、市町村ごとに置いてもいいということになると私は思うのです。また勤務条件の問題等については、今いろいろ問題となっている勤評の問題等についても地方教育委員会を対象として交渉していることは事実であります。こういうような事態を考えてみましたときに、私たちはやはり各単位の職員団体に専従者を置いていくということの方が、職員団体の正しい運営のためには必要であるということも考えることができるわけであります。そういうふうな意味からこれを県単位にいろいろと規制するとか、あるいは全体で規制していくという考え方ははなはだ不当だというふうに私たちは思うのであります。そこで、先ほど教育公務員は特殊なものだから、そこでいろいろ考えなければいけないということのお話があるのでありますが、そのためには教育公務員特例法が規定されていると私は思うのであります。教育公務員特例法の職員団体のことについては何らそういうような問題については積極的に法律的に規定されていないのが事々だと、私は思うのであります。従って、特に職員団体の専従者の問題等については教育公務員として規定すべき内容はもうすでに規定されているというふうに解釈して誤まりではないと、私は思うのでありますが、この点については局長はどう考えますか。
  102. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) 地方公務員法にいたしましても、教育公務員特例法にいたしましても、その制定当時における事情と、その後の経過とはおのずから違うと思うのであります。その後必要があればこれを改正することは一向差しつかえないのではないかと思います。
  103. 松永忠二

    ○松永忠二君 私が申し上げているのは、そういう必要があるならば、そういう事柄は条例改正でいくということが、一体法律の変更じゃなくてできるのかどうかということですか、いかがですか。
  104. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) これは法律できめる場合もあり得るだろうし、条例できめる場合もあり得るだろうと思います。現行法の建前をとっていきますと、条例できめ得ることも可能であろうと思うのでございます。ただ、条例できめる場合、各県ばらばらになるし、法律できめますれば全国的に統一的な基準が作られると思います。いずれを選ぶというようなことはまだ私どもは検討をいたしておりません。
  105. 松永忠二

    ○松永忠二君 いずれがいいか検討しておらないというようなことについては、私はこれは不満だと思うのでありますが、勤務条件の基準については法律で規定しなければいけないと憲法にも規定されているわけであります。従って、こういう勤務条件の基準に関するような事柄については、これを法律で規定をされないで、条例でもいいという法律的な根拠は一体どこにあるのですか。
  106. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) これは地方公務員法第二十四条の六項に「職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める。」、この規定がございますから、この法律の委任に基いて条例できめるわけでございます。
  107. 松永忠二

    ○松永忠二君 それは誤まりであります。勤務条件は条例できめられるけれども、その勤務条件の要件の根本基準というものが第二十四条に明白に1、2、3、4、5と規定をされているのです。従って、勤務条件の中の基準というものは法律にきめられているのであります。ただこういうことを、勤務条件は条例できめられるということを規定しているのであってその勤務条件の中にあるべき法律的な根拠というものは、基準というものは第二十四条の1、2、3、4、5に規定をされているのであります。あなたの言うように勤務条件が条例できめられるから、何でも条例できめてもいいのだというような考え方法律的な考え方で言うならばこれは違反である。いかがでありますか。
  108. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) これは当然私はこの六項で、条例で定められる。国の場合でしたら法律が要ることが都道府県なり市町村では条例できめる。ただ、その場合にお話のように一項から五項までございますが、しかし給与についてはいろいろ生計費とか国及び地方公共団体の職員とか民間産業等の給与の事情等というものを考慮するということは書いてあります。なお、給与以外の勤務条件を定めるに当っては国及び他の地方公共団体の職員との間に均衡を失しないように適当な考慮が払われなければならない、こういう規定でございまして、別にこのことがあるからといって六項の条例制定の内容を規制したものとは思っておりません。
  109. 松永忠二

    ○松永忠二君 今の説明はこれは私たちは納得できません。まあ、この地方公務員のことだから総裁は発言するあれはないという話でありますけれども、今局長の説明した勤務条件の中に含まるべき、条例の中に含まるべき勤務条件の中の基本的な基準というものは第二十四条にあげられていて、その基準に基いてそれをもとにして結局各条例ができるのであって、法律以外のもので勝手に基準ができるなどということは、われわれは考えることはできません。そこで、なお私はお聞きをしたいのでありますが、この職員団体のこういう専従者の数とか期間というような、そういうような問題については民間あるいはいろいろな事例から考えてみて、これを一方的に決定をするということは一体妥当なものかどうかということについてはどういう判断を持たれておるのか、この点については一つ大臣にその意見をお聞かせを願いたいと思うのであります。
  110. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) 今お尋ねの専従の期間とかあるいは人数等は、これは給与ではございませんで、この二十四条にも明らかに職員の給与と給与以外の勤務条件は別に規定してある。それ以外の勤務条件、すなわち今お尋ねの専従の数とか期間のようなものは、国及び他の地方公共団体の職員との間に均衡を失しないように適当な考慮が払われる、こう規定してありますから、別に民間産業との関係はここに規定されておりません。この点を申し上げておきます。
  111. 松永忠二

    ○松永忠二君 私、二十四条というものに基いてそれがどうであるとか、こうであるとかいうことを言っているのではありません。憲法二十八条に規定されているような団結権とか団体交渉権というようなものを具現をした一つの職員団体の法規制であるというふうに考えてみたときに、一体こういう民間の事例から考えてみても、こういう職員団体の内容運営等の問題について、これを一方的にきめるというようなことについては、これは一体正しいやり方であるかどうかということについて意見を聞いているわけであります。この点は大臣おわかりだと思うのでありますが、私たち考え方で言うならば、職員団体の運営というようなものについては、これはかりに期間とかあるいは数とかいうものを制限する必要があるというふうに考えた場合には、使用者と被使用者との間で協議をし、あるいは団体協約を結べる組合においては団体交渉を行なって協約事項として決定していくべき性質のものだと私たちは思うのです。こういうふうな内容を一方的に決定をしていくということは一体正しいのかどうかということ、妥当な方法であるのかどうかということを私はお聞きしたいわけです。いかがですか。
  112. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) 専従職員並びにその期間また一般教職員団体運営について一方的にそれらのことを決定するということはよろしくない、またこれは使用者被使用者の間において協議の上で決定するべきものだ、かようにおっしゃったと思いますが、地方公務員の場合においては地方条例に基いてこれらのことをも決定して差しつかえない、一方的に決定して差しつかえないという見解文部省としてはとっているわけでございますけれども、しかし、これらの問題については諸法令、諸条例と相競合する件もあり、そこに矛盾なきょうにわれわれも考えて、今後これらの点についてはこれの実施については関係各省、各法令、諸条例等も十分勘案して、その上で実行したい、かように考えていることを申し上げたいと思います。
  113. 松永忠二

    ○松永忠二君 そうすると、大臣になおお聞かせいただきたいのでありますが、もし勤務条件でこういう問題を規定されるということになりますれば、今は千人に一人ということでありますが、これが二千人に一人、あるいは三年が二年になり、一年になるということを一方的にどんどん決定されることであるので、そういうことは勝手なことだというふうに解釈されるわけです。そういうことになると、憲法で規定されているような、いわゆる団結権の保障とかあるいは交渉の権利についての保障とかいう、そういう問題との関係はどういうふうになるのでありますか。こういう点についてどういうふうにお考えでありますか。
  114. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) 団結権というような基本的なものに対して、教職員組合におきましても、組合が結成されている場合において、その自由な団体内の運営に対して干渉がましい考えをわれわれは持っておりません。しかし、ただいまの現実の問題でありまする専従の人数であるとか、あるいはその期間であるとかいうようなことに対して、今地方の教育会議並びに文教委員会において決定された事柄は、われわれは必ずしも団結権その他組合の自由運営に対する権限を侵害するものとは考えておらないのであります。
  115. 松永忠二

    ○松永忠二君 侵害することにならないというふうに考えているというお話でありますけれども、職員団体の規定が設けられたのは、いわゆる勤労者の団結権と交渉権を保障するというような考え方のもとに、職員団体の規定がされておるわけです。その職員団体が一方的に人数をきめられ、あるいは年数をきめられて、そうしてほとんど職員団体の機能が停止をしていくような方向がここに規定をされるような状態に勤務条件として規定をされていっても、それでもなおかつ一体団結権や交渉権が保障されておるという説明はどこから出るのでありますか。
  116. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) 現在の規定におきましても、一応期間におきましては一年ということが規定されておる。それでもよろしいかとわれわれは思うのでありますけれども、それはなお職員団体の方に不都合を感ぜられることもあろうというところで、地方教育会議その他教育委員長会議において決定されたところでは三年というのでありますから、一年でもいいところを三年ということを決定したことは、これはむしろ妥当な考え方であろうと思うのであります。
  117. 松永忠二

    ○松永忠二君 それは一年でいいとはどこにも書いてない。一年を区切りとして何回でもそれを認めることもできるということになっておることは先ほどもお話のように、人事院規則でそうなっておる。それであるのに、今こういうようなことを現実に行われておるということについては、われわれはどう考えてもこれは団結権の保障にはならない、そこで今までどうしてあったのかというと、こういう問題についてはいわゆる法律でも規制をしていなかった、こういうことをいたずらに規制をするということになると、いわゆるその団結権の保障にならない。職員団体の機能というものが抹殺されるような状態にまで至るので、従ってこういう問題については規制をしないで、国家公務員についても一年ごとに更新をするという形で、これが実情に即する方法で相互の話し合いの上に、あるいは理解の上に運営をされておるわけです。それを今度は地方公務員について、特に教職員について、一方的にいつでもその内容が制限をされていくような状態にこれを規制をしていくということになるならば、いわゆる職員団体を設けて、専従者を置いて、そうして地方公務員の団結権や、団体交渉権を保障するということと相反する結果になると私は思う。そうお思いになりませんか。
  118. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) そうならないとわれわれは考えるのでありまして、三年ぐらいの期間を置きましても、それは教職員団体の自由な運営を抹殺するというようなことには毛頭ならないと考えております。
  119. 秋山長造

    秋山長造君 ちょっと今の大臣の御答弁にお尋ねしたいのですが、大臣はそうすると、職員団体の団結権の内容というものは、どういうふうに考えておられるのですか、団結権と言ったらただ何々教員組合という看板をおろすだけの自由ですか、団結権というものの具体的な内容をどういうように考えておられるのか、説明していただきたい。
  120. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) それは、この地方公務員の場合におきましては、単に給与であるとか、職務上のいろいろの条件についての交渉をする権利でございます。地方公務員の場合においては、私はさように考えております。
  121. 秋山長造

    秋山長造君 職務だとか給与だとかいうような問題について交渉する権利とおっしゃる、それも団結権の内容の一部だろうと思う。しかし、かりに大臣のおっしゃる通りとしましても、じゃ専従の人数を制限するとか、あるいはその年限を定めるとかいうようなことは、これは一方的にきめるべきものじゃないので、双方の合意の上で初めてやれることじゃないでしょうか、大臣のさっきおっしゃることと、今おっしゃることと私は相反していると思うのですがね。これは少しかたくなになり過ぎておられるのではないかと思う、いかがですか。
  122. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) 私の方では何ら教職員団体の権限を侵害するようなことはないと考えておるのでありますが、しかし、お話のような点もありまするから先刻申したように、これらの点は諸法令、また諸条例等十分に考えて、そうして各省との協調を待って進めたいと、かように考えておるわけであります。それを申し上げたわけであります。
  123. 秋山長造

    秋山長造君 大臣のお話を聞いておりますと、どうもやはり大臣はまんざら悪意ばかりとも思いませんけれども、何か感じでものを言っておられるように思えてならないわけです。たとえば給与の問題について団体交渉をする権利があるのだとおっしゃる。じゃ、具体的に職員団体と当局の交渉というものは一体だれがやるのですか、一人一人の教員が一人々々当局と交渉するのですか。そうじゃないでしょう。やはり大ぜいの職員の代表の何人かが交渉に当るわけですから、だから、その交渉の代表として交渉に当るという役目を勤める人というものはやはりそれが専従の問題だと思う。だから、その専従の人数を何人にするとか、あるいは専従者の年限を何年にするとかいうような問題は、これは団結権の重大なる私は具体的な内容を構成していると思うのですがね。だから、そう大臣のおっしゃるように簡単に二十四条の六項によって一方的に条例できめてかまわぬのだというようなことを放言することは私は非常な間違いを起すと思う。また、そういう式で万事をやられたら労働法も何もあったものじゃないのです。全く綸言汗のことし、松田天皇、こうなってしまうと思う。だから、大臣はもう少し、苦労人だということを一つの誇りにしておられる大臣ですから、そこらの思いやりというものはもう少しゆとりを持って考えていただかないと、何でもかんでも内藤局長の言うことを口移しにしてやっておられるのでは大へんな文部行政の混乱を来たすと思う。大体、私らに言わせれば何の必要があって次から次にどかんどかん高射砲を打ち上げられるのかと思う。まだ勤務評定の問題も片づいておらない、また教育課程の問題もごたごたしている、最近の教育界の混乱を考えてごらんなさい。どっちが一体手を出しておるのですか。文部省から平静に波乱を起して混乱を起している。これはやはり問題を平穏に片づけようと思ったら、先に手を出した方が引っ込めるのがものの順序だと思う。だから、次から次へ問題が解決せぬ前に新しい問題をぶつけて、要らぬことに波乱を起して、理屈にならぬ理屈をこじつけてやられるということは日本教育界にとっても私は迷惑きわまる問題だと思うのです。だから、団結権の具体的な内容についても観念的にお考えにならずにもう少し具体的に、具体的内容はどういうことかということを指を折って数えてごらんなさい。専従制限という問題は重大な団結権の制限ということになってくる。それについてもう一度大臣の御見解をお伺いしたい。
  124. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) 文部省といたしましても問題は少い方はけっこうなんであります。従って、今度の専従の問題にいたしましても私の方からこれを起してきた問題ではありません。地方教育委員長会議並びに教育委員会の方から出てきた問題でありまして、こちらから打ち上げておる問題ではないのであります。しかし、何もかもこちらからそういう問題に手を出しているというお話でありますけれども、それはやはり私は幾たびか申し上げておることでありますけれども、日教組の方面から政府のやろうとする事柄、すなわちそれは今回の専従の問題は地方から出てきた問題であるということは今申し上げた通りでありまするが、その他勤評の問題にしても、あるいはその他の問題にいたしましても、政府は執行機関として、法律の執行機関としてやろうとする事柄に対して、その内容について反対をどうするというのではなくして、初めから統一行動をとって絶対的反対だと言うて、その妨害行為がまた常軌を逸した程度に従来出てきておるということが、こうした問題の起ってくる原因をなしておるのではないか、かように私は考えております。
  125. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 関連して。ちょっとさきの問題に関連しておりますから……。今、秋山委員から団結権の内容についていろいろ大臣の見解をただされたのですが、大体使用者なり、経営者なり、あるいは当局なりが、職員団体、あるいは労働組合に干渉するというのは一体どういうことをさすものだと考えておられますか。というのは、前回の委員会で私が大臣に質問した際に、最終的には大臣は現在の法律、規則の範囲内において職員団体に対して干渉する意思は毛頭ございませんと、こういう答弁をされましたね。ところが、今具体的に松永、秋山委員から質問されておることに対する答弁を聞いておると、事干渉でないものは何一つないような気がするのですね。職員団体に当局が干渉するということはどういうことだと考えておられますか。
  126. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) 干渉する考えはないということを申し上げておるのであります。
  127. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 いやいや、干渉する考えはないという考えがあるから、あなたの言う干渉とは何をさしておるかと、こういうことを聞いておるのです。
  128. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) 団結権を脅かすような考えは毛頭持っておらぬということであります。
  129. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そこで、たとえばこの前も大臣が言われた、日教組という団体が五十万の現場教師で組織されておるという現実に立ってこれを認め、これと十分話し合いしながら文教政策を進めていきたい、こうおっしゃったですね。そうすると、大臣は現場に立っておる五十万の教師の意向と役員の意向が十分何といいますか、関連してといいますか、自由に反映されておることが望ましいと考えておりますか、それとも下部の意向が尊重されず、少数のもので運営される職員団体が好ましいと考えておられますか。
  130. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) 上部下部、意向が全く一致しておるということは望ましい。しかし、私の現在知る範囲におきましては、現在は必ずしもそうでない、かように思っております。
  131. 相馬助治

    委員長相馬助治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  132. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記を始めて。
  133. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 先ほど松永委員質問に対して浅井総裁は、質問外の内容、すなわち公務員の団体数とか、あるいはその組織人員数並びに特に入念に九十三人という専従者、期間の少いことを誇張されたようですが、総裁が言われたように人事院規則の中にある、一日以上一年、そうして支障がなければ更新することができるという、その支障あるなしの判断は個々の職員に対する判断であって、このことが総裁の言葉から印象づけられるところの団体の役員数の制限あるいは年数の制限を意味しておることは考えられないのですが、その点総裁はどういうお考えですか。
  134. 浅井清

    説明員(浅井清君) お言葉通りでございます。私はただ事実を述べただけであって、さようなことは意味しておりません。
  135. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  136. 相馬助治

    委員長相馬助治君) それでは速記を始めて下さい。  ただいまより休憩に入ります。午後は二時より再開をいたします。    午後零時五十九分休憩    —————・—————    午後二時十六分開会
  137. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 午前に引き続いて会議を開きます。
  138. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 先ほど大臣の答弁では、いわゆる現場教員と団体役員との意思がうまくいった方がいい、こういう見解を述べられたのですが、それは当然のことですが、今、午前中にも大臣が答弁された見解を進めていかれると、たとえば巨体的には専従者の人数制限、役員の減少、こういったことが起ってくるとすると、やはり教職員組合というものが御承知のように、ほかの公務員と違って、全国に職場が非常に多い、こうい4実態から、職場の意見というものが円滑に反映しにくくなる条件があると思うのです。こういう点について、大臣はどういうお考えですか。
  139. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) ちょっとお尋ねの趣旨をとらえかねたのでありますが、できる限り現場の末端の意見が中央に反映されることを私は希望します。
  140. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そこで、先ほど干渉というのは、大体大臣としてはどういうふうに考えておるかという質問に対して、大臣はちょっと的をはずれた答弁をされたのですが、私は干渉をする意思は毛頭ないという大臣の見解表明と、午前中の両委員質問に対する大臣の具体的な答弁の中から見てみると、重大な干渉を行う意思があるということが明らかになったと思うのです。たとえば松永委員あるいは秋山委員から言われたように、また私が前回の質問の際に言ったように、組合の役員、たとえば副委員長が二名要るとか、あるいはその地方の実情に応じて書記長のもとに書記次長制度を置いた方がいい、こういった問題は、あるいはそれに波及して、役員の数といった問題は、組合内部の自主的な運営、ILO条約の八十七号にいうところの、完全な自由で代表を選出し、完全な自由で運営する権利を有しているというこの立場に対して、Aという組合は、専従役員は何人でよろしいとか、あるいは多過ぎるとか、こういった見解を持ち、行政指導を行うということは、大臣の干渉しないという見解と根本的に食い違うと思うのですが、この点はどうですか。
  141. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) 私は、組合の運営内容についてどうあるべきかということについては、干渉する意思は持っておらぬということ、ただわれわれの文部省の方から考えてみましても、教職員が、その公務を運営されるに当って、専従があまりに多きに過ぎる場合に、その職務を執行していく上において不都合がありやしないか、かようなことを考えるわけであります。
  142. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 御飯を食べられて、大臣は頭が鈍くなったのではないかと思うのですが……、これは失礼な言い方ですが、この前の内藤さんは、同じようなことを言っておられる。いわゆる専従者の数が多いと、教壇に立つ教員の数が減ってくる。こういう意味なことを言われたのですが、大臣の、今の組合業務に専念する者の数が多いということは差しつかえが出てくるということはどういうことですか。
  143. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) 定員の数から言っても、これは定員増加の必要を認めておるような場合において、専従者の数がむやみに多くなるような場合にはそれにも支障を来たしやせぬか、かようなことも考えられる。
  144. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 これは内藤さんも少し大臣を補佐していただかぬと困るのですが、前回も申し上げましたように、教員定数の中から専従者が、たとえばある県に二万おるとすると、それから二十人の専従者が出るとしますね、その際には専従休暇をもらう。そうすると、そのあと現場に立つ先生は定数から二十人減るのでなくて、そのあとちゃんと補てんしておる。具体的には翌年あるいはその後現場に帰る際にその教員をどうするかといったような問題が起っていることも事実ですが、そのことは別にして、現実の問題としては、内藤局長は先回もその資料を持たないと答弁されたのですが、あとの現場に立つ教員は補てんをしておるというのは、国の給与を受けていないから、組合の給与で支給するために、予算定員だけの人件費はフルに使えておる。従って、教壇に立つ教員数が減少するということは、実際問題としては起っていない、それを教壇に立つ人間が減ってくるからという見解で不合理だとおっしゃるのですか、それは非常に食い違っておると思うのですが……。
  145. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) そういうこともあり得ると思うのです、私は。その教員の専従者の数がいたずらにふえた場合には、その補充に事欠くということもあり得る、定員数が窮屈であるときに……。
  146. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大臣、強弁ですよ。大臣、それではお尋ねしますが、全国で学大卒業者で未就職の数は何人か、御存じでしたら答弁して下さい。
  147. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) そういうことは私は知りません。話もだいぶこまかくなってきておりますから……。
  148. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 こまかくない。御存じないのでしょう。御存じない。で、たとえば福岡県において、かりに二十名の専従者ができるとして、そのあとが補充できなくなるというのは、あなたの全く一方的な見解で、現に学大卒業者がかなり多く未就職のまま放置されておる、補充できないという現象は、今から十年、二十年後に起り得る想定ということなら別問題ですが、現在ここ数年の教育界の現象としてそういうことはあり得ていない、それを補充できない場合があるというのは架空に立ったところの見解ではないかと思いますが、もう一度大臣の明確な御答弁をお願いいたします。
  149. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) 定員に数限りなく数があるならばいつでも補充できるでしょうが、定員にきまった数が定められている場合においては、やはり困難な場合を生ずると思います。
  150. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そうじゃないですよ。二万引くの二十人は幾らになりますか。大臣、こういう数字はおわかりになると思う。そうすると、その答えがエックスと出てくる、それを、専従者がそれだけ組合の事務に携わっておるために、あと現場に立つ者が二十人減るというのでなくして、それはその予算の中で二万人の予算を組んであると、二十人分は組合費で組合が負担するために予算を食わない、従ってそれだけの人件費が予算に組んである際には、これは完全に消化できる。ただし、あなた危惧が当り得る場合があるとするならば、たとえば福岡県における二十人の教員適格者が不在の場合、ない場合、しかしこれはですね、大学卒業生にしろ、あるいは学大卒業生にしろ、そういうことは現在の情勢の中では全くあり得ない現象です。それでもなお補充できない場合があったと強弁されるのですか。
  151. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) 今のお尋ねでございますが、専従者といえども教員の身分を持っておりますから、教員の定数の範囲内でございます。従って専従者の定数がふえますれば全体の総数、総定員のワクからそれだけ教員の、現場に配当できる数は少くなります。従って教授力が低下する、こういうわけでございます。
  152. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そうじゃないとこの前言ったでしょう。そういうデータはあなた持っているかと聞いたら持っていないと言ったでしょう。今は持っているのですか。福岡県の実際の例からして二万何千人かはっきりした数を押えていませんか。かりに二方として、専従者が二十人おる場合には、二十人は休暇を許可される、そうして組合費からその人件費がまかなわれる、あと二十人をマイナスした人件費の残というものは、あと教員が補てんされて、予算範囲内で教壇に立つ教員はちゃんと確保できているというのが現状だと言っているのです。あなたが机上で教員定数は全国で五十万だから、専従者が減ればそれだけ定数をオーバーするから補てんしてはならないというような考え方、あるいは補てんすべきでないとして今後の行政指導をしようという立場に立っておられれば別ですが、現在まで都道府県の実際の状況というものは、補てんをして、専従者の数によって教壇に立つ教師の数は減少していないという現状です。これは実際問題としてそうなっている。それを、あなたが予算定員の数からだけ減るという一方的な根拠に立って、専従者の多いということが教壇の上にマイナスになってくるという考え方を持っておられるのは重大なあやまちだと思うのですが……。
  153. 岩間正男

    岩間正男君 関連して……。  具体的に内藤局長に伺いたいのですがね。定員を取るでしょう、そうして予算措置はどうするのです。定員の数だけ予算を取るのですか。そしてそれから専従が今言ったように抜ける、あとの残った者、これはどういうふうに処置しているか、具体的なあなたの処置の仕方ですね、伺いたい。
  154. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) 本来この教員の定数は条例できめることになっております。従って県の総定数というものが一応出るわけでございます。そこで、組合専従の方が何人か出ますればその分だけは、本俸の方はこれは御承知通り組合負担でございますから組合費でまかなう。しかしながら、それに対する共済組合の分担金なり、恩給に対する国の負担はこれはしていかなければならぬ、こういうことになるわけでございます。
  155. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 その答弁では不十分です。
  156. 岩間正男

    岩間正男君 しかし、今の本俸の問題、たとえば今言った二万人分取って、そして二十人分なり、五十人分なり抜いた、そうすると本俸の分だけは余るでしょう。今言った予算、恩給とか、そういうのはちょっとしたこまかい問題だ。これは全体の予算問題に大したウェートを占めない。本俸はどうです。
  157. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) この場合は定数というものがきまっている。条例できまってますから、お話のように予算がそれだけ余ったから、今度は定数をふやすというわけには参らぬと思います。(「参っておる」と呼ぶ者あり)これは国できめた、この前御審議願いました教職員の定数の標準に関する法律がございますので、その法律基準に各県はそれぞれ条例化しているところもあるし、条例化してないところもありますが、大部分の県が条例化しております。条例化した場合は、その条例の範囲内で教員定数をまかなわなければならない。それで組合専従が多くなれば、それだけ定数を食うわけでございます。だから、予算はあくまでもその定数の範囲内でする……。
  158. 岩間正男

    岩間正男君 余ったのはどうするのですか。
  159. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 余ったら残す……。  内藤さん、実際問題として一年間に二万一千三百人が教員定数だとしますね、ところがお産で休んだり、あるいは病気で休んだり、あるいは補充の時期がいろいろ変ってきたために、たとえば、今日現在をとってみると、全国であなたの言うところの教員定数にぴしゃっと合っているところはほとんどないといっていいと思うのですね。これは実際の状況としてそういうことが起っている。こういうことの事態の一環として、やはり専従者の問題も、たとえばさっき言ったように、二万人の中から二十人が専従化していると思うので、それは予算が、あなたが言うように機械的に考えると、定数以上の教員数が在籍しているという現象が生じてきますね。しかし、これは給与については組合が負担しているから、それだけの金が余る。従って、この金については別の教員を補てんしているというのが現状です。これは全体の、今言ったような教員の異動の実態からすると、年間をはじいてみますると、あなたが心配されるような教員定数のオーバーという形では必ずしも出てこない。ただ、共済組合費とか、あるいは恩給とかいったようなものは、ある時期において専従者の数だけ新たに採用するとすると、そういうものは国できめた定数プラス専従者の数になってくることはあるでしょう。そのことは認めます。しかし、今私が大臣に質問したのは、その恩給やあるいは共済組合の金が国に対してどれだけ支障あるいはマイナス、負担を与えているかという質問ではなくして、補てんをした際には教壇実践の教員数は減らないと、こう言っているのです。福岡県の場合も実際減っていない。こういう現実に対して、そういう現実把握をしないで、すぐ専従者の数から教壇に立つ教員数が減ってくると、こういう一方的な、また事実と相違した根拠に立って判断しておられるような気がするのですが、そのことについては大臣了解していただけましたか。
  160. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) この問題はですね。予算の問題と定員の問題と分けて考えていただきたいわけです。そこで、定数の問題は、組合専従といえどもこの教員の身分を持っているわけでございますから、定数以上のものがそのワクにおったら教員の身分はないわけです。予算と定員とは、私は分けて考えていただきたい。予算の場合には、一定の定数を組んでも、いろいろ先生が途中でおやめになったりいろいろな事情があるから、定員と予算は必ずしもマッチしません。その予算の問題と定員の問題は分けて考えていただきたい。  今申し上げたのは、専従といえども教員の身分を持っている、教員の定数のワク内である、このことを申し上げているわけです。
  161. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 それは身分の問題、その他の問題はその通りです。それから予算と定数は分けて考えてもいい。分けて考えてもいいけれども、実際は、それは予算と定数は全く分離して考えられないものである。定数があるから予算がくっついてくる。だから、先ほどから言ったように、実際問題としては、一々の全国のデータを取っていくと、いわゆる教員定数に対しては常に一定していない。そういう現象を、その誤差を把握しておられぬでしょう。これは。おそらく何月何日付のいわゆる教員定数の全国教員の実数というのは把握できないくらいに非常にこうさっき言ったような諸条件が常に折り重なって変化してきている。こういう状況の中で定数が多くなる、こういう考え方だけでね、この問題を考えるというのはあまりに機械的な考え方である、こう言っている。
  162. 相馬助治

    委員長相馬助治君) ちょっと答弁の前に、速記をとめて。    〔速記中止〕
  163. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記を始めて下さい。
  164. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そこで、大臣が言ったところの教壇に支障があるという問題からだけ論ずるならば、そのことは私は解消できると思うのです。それから次に、大臣が不合理だと言った中に、数の多いと同時に、年数の問題が出たと思うのです。そしてILO条約の批准後はだれでも専従することができて、すっきりしてくる、こういう見解を述べられた。その際に、たとえば現在の日教組の諸問題をもって大臣と交渉する際に、たとえば今の日教組の専従しておる書記が代表で出て来、大臣と交渉する、こういった際に、大臣が先ほど答えた下部の意向が円滑に反映し、その意向をもってそれぞれ当局と折衝していくといったことがすっきりと、しかも間違いなく円滑に反映できるという考え方に立っておられますか。
  165. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) またはなはだ失礼ですが、なお私の頭が悪いのかあなたの質問の要旨がはっきりつかみ得ません。いや、聞いておったのですが、なお明確にお答えできないことは遺憾だから、政府委員答弁させます。
  166. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) 先ほど大臣がILO条約を批准した場合に、だれでも役職員になれるというお話がございました。このことが公務員にそのまま適用になるかどうか、これはいろいろ議論のあるところでございます。ですから一般問題として、大臣もお話をされたと思うのです。特に教員のような一般の国家公務員、地方公務員については別の考え方もあり得ると思うのです。そこで、そういう場合に専従制度が再検討されることがこれは当然だと思うのです。現在のような形で残るのか、あるいは別個な形で存続するのやら、そういう点はまだ政府部内でも慎重に検討を続けなければならないと考えておるわけでございます。
  167. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大臣が松永委員質問に対して答えられたのは、一般的な問題じゃなくて、いわゆる日教組あるいは日教組の傘下のいわゆる単位団体に対する専従制限問題に対する、だれでも専従することができてすっきりしてくる、こういう答弁で、内藤さんはなかなかいい世話女房ぶりを発揮して、大臣の答弁をほかの方にすりかえてしまったようですが、そうでなくして大臣の答弁は、事日教組に関する問題で、ILO条約の問題と関連していた、そういう際、あるいは現状の中で、前回も大臣が答えられたように、教員でなく純粋の雇い、あるいは書記といってもいいんですが、こういうものが日教組のように全国的に非常に多くの職場が散らばっておる中で代表として出てきた場合に、大臣が言われたように、下部の意見と役員の意見、代表する者の意見が完全に密着するかどうかという点については大臣どう考えられますかという質問です。これでおわかりですか。
  168. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) なおまだはっきりしませんが、私の申し上げたのは、不合理という言葉を使ったのは悪いかしれませんが、なお私はそういうふうに考えておるのでありますが、しかし、現在は専従制度が法律に根拠を持って認められてきておるから、やむを得ずこれを認めてやっておると、やむを得ずやっているんである。しかし、他日これがILO条約が批准された暁においては、教職員の身分を持たない者でも専従につくことはできるからすっきりすると、こう申し上げたのであります。
  169. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 もう二点だけに限定しますから……。ILO条約八十七号の完全な自由で代表選出という言葉は、この内容としては雇いの者を入れようが代表として選ぼうが、あるいは第三者を選ぼうが、あるいはその職員自身を全部選ぼうが、完全な自由というものは必ずしも、いわゆる職員でない、教員組合の場合は教員でない者を意味するという前提の仕方は間違いだと思う。その際にもやはり全員を教員で選んだ方がいいというその団体の意思があった際には、代表全員は教員の中から選ぶということも、この条約の精神からは当然だと思うんですね。その際にあたかも雇い的な、教員でない者が代表として選出されなければならないというふうに考えられるというのは大臣の大きな誤謬だと思う。そこで、あといろいろの人が質問が多いので、一、二に限定して質問したいのですが、前回も言いましたように、職員団体が、先ほどもちょっと触れましたように、委員長は一名で副委員長は二名おった方が自分たちの意向を反映しやすい、あるいは調給部長がおった方が、情宣部長がおった方がいい、こういう役員の構成については完全な自由で代表を選ぶ権利がある。これは先ほど言った基本的な団結権の問題、その際に、たとえば専従者の数制限によって、うちの組合では少くとも、たとえば福岡市の場合には八十六校ある。その中で、区域が五区に分れておる、研究区が。その研究区の中から実際問題として専従者を一名出して、五名の専従で運営しておる。その際に、かりに四名に制限されると、ある一研究区の中からは専従役員が出せないということになって、自分のところは下部の意向が円滑に反映できないという事態に遭遇する。こういった数の制限が、組合が自主的に、あるいは組合員が自主的に内部運営の必要上から役員の数を決定する基本的な権限を法律によってきめるとするなら、これを剥奪することになるなら、団結権の基本的な侵害ではないか、こういう点については大臣どうお考えですか。
  170. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) 豊瀬委員のお言葉は、非常に私にはわかりにくいのです。豊瀬委員自身の頭のよさで私に質問されるためであろうと思うのでありますが、(笑声)私はあなたのおっしゃる、教職員組合がその専従員を何人作るとかいうようなことについて、われわれはとやこう申すことはありませんと、こういうことを申しておるのでありますが、これらのこまかい点については、政府委員答弁させます。
  171. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 それは、内藤さんの答弁ではだめなんです。これは基本的な団結権に対する大臣の見解を聞いておるのですね。例を引いてみますと、たとえば文部省の中に大臣が一名おって、副大臣が要る、あるいは局長が十人要る、あるいは何々局が要る、何々部が要ると、こういうことは、やはり文部省当局の運営の必要上から決定されておる。組合の方も、委員長一名に、副委員長二名、書記次長二名、あるいは情宣部長、教宣部長、言いかえますると、組合役員が何人要るかということは、その組合並びに組合員自身の完全な自由な意思によって出されなければならない。ただ、個々の人間を選ぶ場合には、浅井さんが言ったような、支障がなければ許可すると、個々の職場の実態から……。これは職員団体に対する法律規制という問題でなくしてAという具体的な個人に対する職場の上司の見解として出てくる問題であります。このことと、職員団体の役員の数を規制していくという問題は、おのずから別個な問題ですが、今文部省の例をあげたから、今度は大臣もよくおわかりになったと思いますが、そういう組合の、そして組合員の自由な意思によって運営機構を決定する権限を、法律あるいは条例で拘束していく、剥奪していくということは、基本的に憲法違反の疑いがあるし、常識からいっても好ましいことではないし、かりに日教組が、文部省は初中局長は要りませんと、政務次官はゼロでよろしいと、こういうことを言ったら、それは文部省自体の問題だと、こう大臣はおっしゃるに違いない。それと本質的には違いますけれども、そして本質的には、職員団体あるいは労働組合に対する当局の権利による、あるいは法律による基本的な権限の侵害というもっと重要な意味を持ってくる問題を、法律ないしは局長の言う条例等で制限しようとすることは、先ほど大臣がおっしゃった干渉する意思は毛頭ないという見解と百パーセント相反すると、こう言っておるわけです。その点を、その矛盾をどうお考えですかと、こう聞いておる口
  172. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) 一段とわからなくなりましたから、(笑声)私は政府委員答弁させます、私の責任において。
  173. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) 今お尋ねがございましたが、文部省の定員、これも文部省が勝手にきめているのではなくて国会の御審議によって文部省の総定員をきめておるわけです。しかも、文部省の局の構成につきましても、文部省設置法をもって、国会の御審議を経てきめておるわけです。そこで、今職員団体のお話が出ましたけれども、職員団体の役員をどうこうするというようなことを文部省は考えておるわけではございませんで、ただ専従者というものをどの程度にすべきかと、これが教育上支障のない範囲はどの程度か、また専従期間があまりに長いと、これは教育上いろいろ支障があるし、特に現場復帰の場合に困るし、また現場の教職員と遊離しないようにと、こういうような点から、私どもはある程度のそこに制限が必要ではなかろうか、かように考えておるのでありまして、組合の組織運営について当局が干渉する意思は毛頭ございません。
  174. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 僕は大体年寄りを大事にする精神に非常に富んでおりますので、これ以上大臣を追及しません。あとの委員に譲りますが、今私が最も悪い例をあげたのに、すぐ便乗して内藤さんが言うと思ったから、内藤さんではだめだと言おうと思ったのです。というのは、文部省というのは国の機関ですから、従って国会できめるのは当然です。職員団体の役員を選ぶというのは、国や経営者が干渉することはできない。先ほど言った完全な自由な意思によって選び出されると、そうしてその機構が決定されることが、きわめて重要な問題です。だから、質的に違うと言ったのは、そこです。たとえば教育上多少の支障があると——先ほど言ったように、実際問題としては、恩給とか共済組合の金については幾分の影響のあることもある。しかし、さっき言ったように、教員定数をオーバーしているかどうかは、残念ながら文部省は資料をお持ちになっておらない。  それから、もう一つ申し上げたいのは、先ほどあなたのおっしゃった、教壇に帰って困りゃせぬかと——この間内藤さんから、豊瀬先生のようなりっぱな人が出てきたとおほめいただいて、甘くなっているわけではないのですが、専従を十年した人が教壇に帰るときに教育にうとくなっている人が実際にあったとしますね。このことは、その本人の自己研修なり、前回も申し上げましたように、本人が教員としての資質をなくしておるかどうかという全く個人研修に属する問題であって、これまた団体を規制するところの理由になるものではありません。本人が教員としての適格性を完全に喪失しておれば、本人に教員をやめてもらうことはあり得ても、それによって団体の基本的な運営機構を法律で制約しようとする見解を打ち立ててきょうとすることは、これは全く暴論です。  それからもう一つ申し上げたいのは、たとえば私という人間が十年たって、もう一年組合役員に出たいと考える。二万の福岡県の教員は、豊瀬という人間を、十年たったけれども、もう一年役員をさせたいと考える。ところが、三年という一つの規制の法律ができるとすれば、組合員全員が自分たちの意向を反映させるために役員になってもらいたいと考え、また私自身がなりたいと希望しても、法律によって基本的な立候補の自由、役員選出の自由権というものが奪われてくる。こういう基本的な権限を剥奪する内容を持っておるものを、先ほどの恩給のわずかな金、あるいは共済組合の金、教壇に帰った際に困るだろう、こういった全く個人的なささいな問題から割り出して制約していくということは、八十七号にも違反するし、憲法の二十八条にも違反するし、職員団体を結成する自由を認められておることを完全に無視していくものであると、こういうふうに考える。後にも述べたところの個人の立候補の自由、組合員が役員を選出する自由を、そうした面で年数制限によって剥奪するという問題について大臣はどうお考えですか。
  175. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) お話のように、組合員がいかなる役員を選出するかは、これ自由でございます。しかしながら、同時に、公務員たる身分を持っている者は、公務員としての適格性を絶えず保持していかなければならぬ。今回の措置がこれはあくまでも公務の運営に支障がないようにという配慮から出たものでございまして、決して組合を弾圧するという意図は毛頭ございません。
  176. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 公務に支障がないかということは一番私は感心したのですが、宮澤次官はなるほどそうだとうなづかれた。というのは、それは公務に支障があるかないかということは個々の教員にわたって判断する問題ですね。そのことをもって団体の自主的な運営機構、役員選出の自由権というのを剥奪することは、そういったことにも増して重大な自由権の侵害だと、こう申し上げている、これはどうですか。どうもこの前、松永委員質問に対してあなたは答弁されませんでしたが、前にあなたが書いた本をこう書いてあるがどうだということを言われたときに、もう前に書かれた本だから忘れたとおっしゃるけれども、あなたは大体頭がいいからお忘れになることはないでしょう。あなたも昔はそういう考えでいた。そうして今言ったような趣旨から考えてこのことはどういう理由が成り立とうとも、たとえば先ほどあなたがおっしゃった、かりに専従者の数が多いことによって定数を上回って、そのことが若干定数をきめたという法律の精神にそもそも逸脱すると申しますか、あるいは違法性の可能性があったとしても、先ほど私が申し上げた憲法の精神あるいは職員団体の結成を認めるその趣旨からすると、そういったささいな問題は違法性が阻却されていく、こういう考え方に立っている。
  177. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) 労働組合あるいは職員団体の権利の面から御主張される御議論はよくわかります。しかしながら同時に、専従職員といえども公務員でございます。ですから、公務優先の立場をとって公務員としての適格性の保持ということが、これが私は最終的にきめなければならない問題ではなかろうか。そこで、その調整の問題になってくるんじゃないか。先ほど来大臣が完全適格性のお話も出ましたが、結局今の専従制度を認めながら、しかも公務に支障がないように、公務の遂行に支障がないようにするためにある程度の調整が必要ではなかろうか。そこで、千人に一人とかあるいは三年を限度にするというような調整が出たのではなかろうか、かように思うのでございます。  それからいま一つ、松永委員からの、私の著書について御批判が出ましたが、これは書物をよく読んでいただけば誤解が氷解すると思うのでございますけれども、こういう意味なんでございます。専従職員の昇給というものはこれは認めないのが原則でございます。ただし、専従職員といえども公務に従事した期間がある。たとえば三カ月なら三カ月公務に従事しておった。この期間まで昇給を無視することはこれはいき過ぎである。これは組合専従考といえどもこの分については差別してはならない。こういう趣旨でございますので、この点をもう一度明らかにしておきたいと思うのでございます。
  178. 岩間正男

    岩間正男君 私も二、三の点で職員組合に対して運営面、そういう実態をつかんでいられるかどうか、その上に立ってはっきり今度の処置に出られたのかどうか、こういうことに関連していくと思うのであります。これはこの前の大臣の答弁では職員組合は認めるし、むろん日教組が存在することは、これは何ら差しつかえないんだと、こういうことを言われております。組合がある限りはその運営をやらなくちゃならないわけです。そういう点で現在専従という制度がとられているわけなんですが、これは現在これを制限して千人にした。千人に一人、それから三年という制限をつける、こういう根拠ですね、これは何かあなたたちで調査の上に立ってその具体的な一つのデータの上に立って、根拠のある何かそういう理由によってこういうことをきめられたのかどうか、この点をまず伺いたい。
  179. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) 専従者の数の問題でございますけれども、これは先ほど来申しましたように、公務に従十する建前から申しますと、なるべく少い方がいいと思うのであります。しかしながら、少いからといってその組合業務に支障があってもいかぬと思います。そこで、国家公務員等の例は、先ほど浅井人事院総裁がお述べになったような二千五百人に一人という実情でございます。教職員の場合には、たしか岩間先生も当時の御事情を御存じだと思うのでございますが、発足当時職員団体に切りかわるときに千人に一人という基準が出たわけでございます。ですから、その発足当時の事情から考えて、すでに相当今日まで職員団体として実績を上げている日教組において、発足当時における千人でいいものなら、現在の段階において六百人にもふえるということは、これはいかがかと思う。ですから、千人に一人が妥当ではなかろうか。  それからいま一つ、任期の問題でございますが、先ほど人事院総裁は、国家公務員の場合には大体一年ないし二年が大部分を占めておる。ところが日教組の場合には、先ほど御説明申しましたように、四年以上というものが相当数、また六年以上あるいは長きにわたっては十年以上の人も相当多い。これではやはり教育上支障があるのではなかろうか。結核の休職の場合には実は三年を限度に認めておりますので、せいぜい三年程度ということが一つの目安ではなかろうか。まあ、三年くらいでしたら現場へ戻っても——もちろん豊瀬先生のような例外の場合もあろうと思いますけれども一般的に申しまして、三年程度でしたら現場に復帰しても教育能力が低下することはまずなかろう、こういうような見地でございます。
  180. 岩間正男

    岩間正男君 ただいまの答弁でわかった。大体心づもりですね、あなたたちの都合のいいように目分量をかけて、いかにもそれにふさわしいような実態を掲げておりますけれども、私は、実態調査の上に立っていない、それから歴史的な一つの発展の事実をつかんでいない。あなたは今、発足された当時千人に一人と言われましたが、これは当時給与を当局側が持っていたんですよ。そうじやなかったですか。それからその当時は、職員団体というよりも、もっと労働組合法によって罷業権を認められた組合であった。そうでしょう。ところが二十三年ですか、この地公法ができて、御承知のように制限されてしまった。地公法上による職員組合ということになったわけです。そうすると、第一に、まずそのような権利が剥奪されていますから、それを運営する面においてはたくさんの人が要ってくるのです。組合の業務に携わる人が千人、しかもこれは非常に違うんです、ほかの職場と違う。一つのグループの職場で二千人持っているとか三千人持っているとかいう職場じゃない。この実態から考えますというと、たとえば一つの職場に二千人もあって、三千人もあるような、たとえば国鉄というような、そういう職場において千人に一人とかりになっているとしたら、教組の場合は三十人、五十人、はなはだしいのは五人、六人というような職場さえあるんです。それをまとめて、その意思を統一して、そうしてその上に立って一つのこれは運営をやっていくということになりますと、私はむしろこれは五現業なんかの場合と比べるならば、三倍くらいの人員がなければ同じような運営はできないだろうということは言える。ところが、こういう事実をあなた方は少しも見ていない。つまり、教員組合としての特殊性というものを具体的に把握していない。機械的に、今の問題は千人くらいにすれば大体今の半分くらいに減らせるだろう、そうすると実際は日教組の活動力というものは減るだろう、どうもこれは工合がいい、勤評務定などというものをやるには非常にどうも工合がいい、そうじゃないですか、腹の底は。そうでしょう、そうおっしゃいよ。そういうような格好で私はやられておるのが今の実情じゃないか。こういう点は、何ら科学的な一つの調査根拠の上に立っていないということをまず指摘したい。これでは組合を弱める、あるいは組合を骨抜きにする、あるいは組合を認めないという方向にいくというようなことには役立つかもしれないけれども、しかし、組合をほんとうに存在を認めて、そうしてこれの一つの正しい発展、そうしてこれの運用、そうしてその当然の任務を果させるという方向に努力していない。組合というものは一体、あなたたちじゃまに考えているが、どうですか。大臣にお聞きしたい。組合というものは必要なんですか、必要でないのですか。あなたはこの前も私に対する答弁では、認めるんだと言っているが、そんな消極的なものなんですか。かりに組合というものがなかったら、今教育行政がどうですか、文部省手をやきませんか、人事の問題にしたり、えらいような問題をやっていく上に、実際はまとまって、五十万の総意を代表する組合と折衝したり、これを通じていろいろな調査をやったり、意見を反映する。だからこそ教育行政というものは一つの民主国家の形態として発展しているんだ。どうでしよう、この点で組合があった方がいいのか、ない方がいいのか、どういう一体見解を持っているのか。あなたたちの行政のやり方を見ると、組合を衰退させて、抑える。あわよくばこれをなくする方向に考えておられる。これは私の邪推かもしれない。邪推ならば非常にいいわけだが、どうもしかし最近のやり方は、内藤行政はそういうことになっているんじゃないか。これじゃ私はまずいと思う。だからその点で、まず大臣の見解を組合員に対して一つはっきり聞きたい。そしてこれは地公法第一条の精神を果すためには、組合があった方がいいのか、ない方がいいのか。私の考えでは、あった方がいいからこそ、この地公法を作ったときに、同時に職員組合は認めているんだ。相関関係があるのです。この法律はそういうばらばらになっているわけじゃない。体系の上に立っている。十分な体系じゃないけれども一つの体系を持っています。第二の三年間ということを言っているけれども、あなたはさっきの人事院総裁のうまいところだけ使って、人事院総裁の要点のところだけ引っぱり出して、そして言ったのは、うまい工合に、こっちにもいいことを、あっちにもいいことを言った。それをあなたは自分の都合のいいことだけをとった。そうでしょう。どんどん専従は一年ごとに更新することを原則として認めている。たとえば今五年勤めたって、一年ごとに更新されているんです。組合大会をもって、そして新たな秘密投票によって決定されている。役員が選ばれる。そして専従と選ばれた役員は関係ないという、これは形式論です。これはこの前も私は指摘した、形式論です。事実は同じなんです。役員だって専従という資格を持たなければ運営できないじゃないですか。そういう何か一つの官僚的な答弁じゃだめだと私は思う。そういう点からいえば、今あなたは三年が都合がいいとか、それで三年でやらないというと、職場から離れて工合悪くなる。それについてはどうしようもない。さっきからいろいろ実例をあげました。何ぼでもあなたたちの言う欠陥が起るということは、現実においても補充されている。ちゃんと満たされている。満たす条件もあるし、その気持になれば定員法だってそういう形でやっていけるわけです。専従も含めて定員をとってもいいわけだ。それをやらないんだ。定員法というものはきまったものだからと言って少しも積極面には使っていない。そうでしょう。そういうことをやっておいて、三年でなければいかぬ、これは基本的には、豊瀬さんの強調したように、根本的な問題なんだ。この前も私申しましたけれども、組合の運営の基本的な問題です。実質的に運営して、そうして使用者からのいろいろな制限や圧迫、干渉というものがないように、あくまでもこの組合の自治的な運営、民主的な運営によって役員を選ぶということを抜きにすれば、これは労働組合というものがなくなるんです。根本的な問題ですよ。それを新たな一つの制限によって今度はそれが三年だということになったならば、私はそれによって失うものが非常に多いと思います。今の二つの根拠というものは私はないと思う。この点がさっきの答弁じゃあ私は非常に不十分だと思うし、大臣に対しては、今の一体労働組合、ことに教育労働組合の場合の日教組に対して、果して一体これが存在した方がいいのか、そしてこれをどういうふうに考えているのか、この点についてあなたの根本的な意見をお聞きしたい。
  181. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) 私は、組合はもちろんこれを認め、またその健全なる発達を希望しておるものであります。また専従年限の問題についてでありますが、私は法律といえどもやはり常識の上に立ってできておるものである、従って規定の上では事実から一年ということになっておりましても、しかし、さらにこれを更新ができるということも、そうした点から常識の上に立っておる。さればといって、一年では短期に過ぎるという考えもありましょう。従って、これを更新できるという道が開かれておる。さればといって、またこれが何年となく続いていくということも、これはまたいろいろの点で支障を生じて行き過ぎになるのではないか。そういう点から考えて、まず三年ぐらいのところは最も常識にマッチしたことであると考えておるのであって、これをもって組合の発達を阻害するためにやっておるのだというような考えを毛頭持っておりません。
  182. 岩間正男

    岩間正男君 組合を認めるということを言われた。そうして運営の面について、実は大臣、私先ほど申しましたように、もっと具体的に今の教育の職場の現状、そうしてそれをほんとうにまとめてやっていく組合運動、そういうものの上に立たれて私は検討されたならば、今のような私は千人でいいというような結論は出ない。常識でこう言われているにすぎない。それから、非常に組合の千人を無制限に専従というような心配を持っていますが、これは専従、心配のないことです。なぜかというと、組合が給与を負担しているのです。専従者を無制限にやってごらんなさい、だれが参るかというと、組合員が参る。ですから、私はこんなことを少しも心配する必要はない。そこに一定の方式が出てきます。そうして自分の負担でまかなえる範囲内でこれはやっている。それの方が組合員相互の利益になる。そういう観点からこれはまかなわれている。そういうことを文部省が横丁の方から手を出して、そういうことを私は制限する必要は少しもない、こういう点はどうです。こういう点は非常に私は実質に合わないと思います。おかしいと思うのです。この点どう思いますか。
  183. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) 私は、専従の年限が三年にきめようが、専従を千人に一人ということをきめようが、それによってこの組合が破壊されてしまうというようなことは毛頭考えておらない。そういうことはあり得ない。そういうような薄弱な組合ではない。今日まで発達している組合はそういうものでない、私はかように考えております。
  184. 岩間正男

    岩間正男君 おほめにあずかって日教組は喜んでいるだろうと思いますけれども、これはとんでもないことです。これは実態を把握していられない。私は、千人で今なかなか運営ができなくなるところがある、そうしてほんとうに円滑な運営ができなくなってきて支障が出る。そういうことで私は目的が果せないから、ここのところは非常に心配だ、こういう点をどうですか、もう少し検討を……。今さっきからの理由によると、根拠が非常に薄弱ですな。一つの常識だと言われておりますが、常識にもなっていないんじゃないかと思いますが、目分量、大体これくらいが工合がいいのだということではかられておる。この点についてはもっと根拠のある検討をされるお考えはありませんか、どうですか。こういう問題についてはこの点はどうです。
  185. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) ですから、その点につきましてはこの問題を直ちに実施しようというのではありません。各関係、各公務員、その他いろいろ勘案してその上できめたいということを申し上げているわけでありまして、今日の大日教組、その他教職員組合、地方における組合も相当長い歴史を経てきておるのでありますから、ことにこれが運営についてみな組合員はなれている、よくわかっておる。そういう点から考えましても、よく六百人が、千人ということが標準になっていることが何ら支障がないのみならず、なれていることに対しては非常に円滑にいくだろう、かように考えております。また三年の年限につきましても、三年後に教職に帰って、教職のことを、さらに専従のことをともどもあわせ考えるときにおいて運営の上においてもきわめて円滑にいくであろう、かように考えております。
  186. 岩間正男

    岩間正男君 どうも検討されておるという矢先から結論を出されているようです。これは大臣どうもまずいと思います。やはりもっと検討して、そこはデータのある、そうしてわれわれを納得させるに足る、いやわれわれはまずとして、ほんとうに国民、それから教職員の諸君を納得させることのできる、そういうデータを慎重にお出しになったらいい。あまり結論を急がれます。この速記録は二月前に私たちやった。このときはだいぶもっと慎重なはずだったが、もっと一カ月後には、最近の新聞では大体踏み切ったようなことを書かれている。ここでは慎重な、神妙なことを言われておりますが、腹の底ではどうもそう言っていないのではないかということを心配しておりますが、この点やはり私はもう少し調査して、調査の上に立って根拠のあるものを出してもらいたい。そうでなくて、漫然とやられてはたまらない。それでは弊害も大きい。私はそれと関連して新卒の問題でありますが、このデータありますか。これはせっかく出たけれども、職がなくて困っておる、こういう人がたくさんいる。そうして一方では、定員がないと言ってひっかけておいて、そうして職場補充できないということでは、法律が現行ではそうなっておるのだ、しかし、現行の法律はいい方に変えることができるのだから、私はそういう条件のもとに立てば、これは何ぼでもそういうことはやれる。もう一つ聞きますが、何人おりますか、日教組の専従というものは何人おりますか。
  187. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) 現在のところでは、私どもの報告では千五人ということになっております。
  188. 岩間正男

    岩間正男君 新卒はわかりますか。
  189. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) 新卒は大学局所管になっておりますから、いずれ大学局長が参ることになっておりますから、大学局長からお答えすると思います。
  190. 岩間正男

    岩間正男君 この次、われわれは論議してみたいと思います。一方でこういう専門の学校をせっかく卒業しながら、実際は就職できなくて困っている若い諸君が町に溢れているのをわれわれは知っているのです。それを一方では定員で縛られているから補充ができない、こういう点は国民が納得ができるか。そういう点はきょう質問を終るわけにいきませんから資料を出していただきたい。  それからもう一つは、こういう点はどうなのか、憲法二十七条二項によると「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。」こうなっておるわけですね。法律でなければこういう問題はきまらないわけですね。そうしてそのあとの地公法の方では、二十四条の六項、こういうことになって、そうしてこれは条例で定める、こうなっております。前後の、法律の姿から見ると、専従の問題などということは勤務条件という中に入れるのには非常に無理じゃないかと思うのですが、どういうふうに法律を読んでみても、あなたたち見て、何とかこれをやれる法律はないだろうかということで探して、この二十四条の六項ということで、しめしめということを考えられたかしらぬが、そういうことはいかなる法律でもないのであります。専従の問題をうたいたいなら、法律で明確にしない限り、いきなり飛んで条例でやられるということはおかしいし、これは逆に追及していけば憲法違反の問題にひっかかってくる、これはどういうふうに解釈してここのところを飛んだのです。飛んで、どういう解釈で落ちついておるかわからない、これは大臣から……。
  191. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) 法律ですべて具体的に書く場合もありますし、法律が条例に委任する場合もあるし、その場合によってそれぞれ直接にやる場合、あるいは下部の命令に委任する場合、それはいずれでもいいと思うのであります。これは国会の御審議によっておきめになるわけであります。
  192. 岩間正男

    岩間正男君 ちゃんと憲法二十七条をもう一度読んでいただきたい。「法律でこれを定める。」というのです。その少くとも基準が地公法の中に出ておる。何を根拠にして一体、これは専従問題を条例でやりますか。どこを根拠にして、これは何でもその他などということで、ごみ箱のように何でもここに入れるという法解釈は非合理だと思う。前後の関係で二十七条を読んでいただきたい。専従の問題などということをこの中に含めるということになっておりますが、その点重要です、法律問題として……。
  193. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) これは法制意見も出ておりまして、専従の扱いについては地方公務員法二十四条の六項によるこれは勤務条件だ、有給休暇の条件と同じように無給の休暇でございますので、これは二十四条の六項による勤務条件であるという法制局の見解がすでに示されております。
  194. 岩間正男

    岩間正男君 これは休暇のようにするわけですか。この意見についてもこの次あたり大臣と論議しなければならないと思うのです。
  195. 松永忠二

    ○松永忠二君 関連して。それは私は時間をかけてそのことも聞きたいのですが、それは出ている通達は、解釈はこれは職員について言っているので、専従職員というものについて言っているのであって、専従職員の薮を幾つにするとか、あるいは年数を幾つにするとかいう、制限するとかいうことについて、これを勤務条件でやれと書いてあるところどこにもない。どこの文章、どこの言葉を使ってあなたはそういうことはできると解釈してあるというのですか、どこの言葉を……。
  196. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) 法制局の見解を求めたところ、専従休暇の問題は有給休暇と同様に二十四条の六項で扱うべきものである、こういうふうに回答が出ておりますので、当然専従の中には人数の問題も期間の問題も含まれる、かように解釈しておるのでございます。
  197. 松永忠二

    ○松永忠二君 それは、あなたはただ架空なものでそういうことを言われているので、理由というのがちゃんとそこに書いてあるじゃないですか。そこの理由の中にそんなことはどこにも書いてない、どこにそういうこと書いてありますか、どこに。そこにちゃんと法制局の長官の理由というものが書いてある。どこにそういうことが書いてあるのですか、どの言葉からそれを言うのですか。
  198. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) この照会いたしました、これは法制局長官からの文部次官と自治事務次官あての回答を見ますと、まず回答の一、「問題」というところがございますが、その中で「許可の要件、許可される期間の基準、許可の取消及びその要件、職員団体のためもっぱらその事務を行い、又は活動する職員が職員として有する地位又は権利等を定めることは、法第二十四条第六項にいう「職員の……勤務条件」を定めることであると解すべきであるか。」という問いに対して「お尋ねの問題は、積極に解する。」以下理由が述べてあります。
  199. 松永忠二

    ○松永忠二君 理由の中のどこに書いてある……。
  200. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) そこの「積極に解する。」ということは、これ全部について回答が出ているわけであります。
  201. 松永忠二

    ○松永忠二君 それならそれは職員について言っていることなんです。職員についてそういうようなことを言われているのであって、職員のことについても、「どのような要件のもとに、どのような限度で認められるか、その場合当該職員は地方公共団体から給与を受けることができないことのほか、どのような地位又は権利を有するか等それを許容するについての諸条件として例示されているお示しの事項が、職員が地方公共団体に対し勤務を提供するについて存する諸条件であることは疑いのないところであり、」その職員がその職員団体についてそれをつくかつかないかということについて職員が自分の意思を決定することについて、非常に重要な関係がある、こう言っておるだけのことなんです。そういうことを職員団体の中の千人に一人をやってもいいという積極的な理由というか、その理由はどこにどういうふうに書かれておるのでありますか。
  202. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) この照会を出したときに、私ども見解としては、そういう専従の問題すべてを包含している。ですから人数の問題、あるいは期間の問題、そういうものを含めて照会したわけでございます。
  203. 松永忠二

    ○松永忠二君 それは、私の方で実はお尋ねしたいのはそのことなんであって、理由の中にもその職員についての問題は規定をされておるわけです。しかし、職員団体が千人の中で一人について、それを内容として、そういうことを定めることが勤務条件であるということには何ら触れておらないし、そういう理由は何も書いてないわけです。だから、たとえば昇給とか昇格の問題、あるいは恩給のような問題とか、そういうことについて、かりにこれがこういう条件である、こういう条件であるということについて示されていくということについては、これは確かに勤務条件の中と積極的に解釈できるとしても、千人に一人でなければならないとかいうような、そういう理由はどこにあるのですか。
  204. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) 具体的にその理由の中にお示しになっておるかどうか私も存じませんけれども、要するに公務を職務専任の義務を免除される場合に、どの程度に公務に支障がないか、あるいは年限としてどの程度に妥当であるか、この点は全般的に勤務条件の中の問題である、かように解釈しておるのでございます。
  205. 松永忠二

    ○松永忠二君 この問題の中にも明確に出ている職員団体の中で、「もっぱらその事務を行い、又は活動する職員が職員として有する地位又は権利等を定める」と、そこにもあるように、職員として有する地位または権利等を定めることは、法第二十四条第六項にいう勤務条件を定めることであると解すべきであるということについては、積極的にその通りであると、こう言っているのです。その職員団体の中で千人について一人の職員を認めていくというようなこと、そういうことについて規定をすることは、そういう何もこれは見解の披瀝ではないわけです。一体この通達の中から職員の団体について人数を制限できるという積極的な理由がどこにどういうふうに具体的に書かれているのですか。問題として出されている内容の中にも、ただ本人について許可の要件であるとか、許可される期間の基準、許可の取消し及びその要件、そういうことについては一々勤務条件であるとは言っておるけれども、千人に一人職員団体の中で認めなければできないなどということは、一体この通達のどこから出てくる根拠があるのですか。
  206. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) 具体的にその問題に触れていないことは御承知通りでございます。しかし、今お話のように、専従職員の地位及び権利、こういう点から職員団体の役員のここでは数を言っているのではなくて、職員が公務員であって公務から離れることがどの程度許されるか、こういう地位及び権利の問題を扱っておるわけです。私どもはこの解釈から当然に人数及び期間が出てくる、かように解釈しておるわけでございます。
  207. 松永忠二

    ○松永忠二君 私はこれは次回と思ったんですが、そういうふうなことは、あなたはそういうようなものに含まれているという言い方をされるけれども、明らかにそういうものに含まれた字句も言葉も使ってないわけです。そこで、つまりこういう勤務条件、専従者の個々の職務とか身分とかいうものについて、これを勤務条件できめるということについては、それは一応の見解として積極的に解すると誓いであるけれども、職員団体の中の専従者の数のような問題を勤務条件できめていいということをこの回答の中で言っているのではないのです。そこで、われわれから言うならば、これをもとにしてあなた方は専従者の問題を勤務条件として条例できめる、その内容がどうのこうのと言われるけれども、千人に一人なんということを言っているので、これは全くこの回答をたくみに利用して、さっき言った通り、拡大——拡大する場所がないにもかかわらず、職員個人のことについて規定をしている問題を職員団体にまで拡充して条例の中できめていくということは、一見回答についても全く逸脱した行為です。大臣一つ、こういうような問題について先ごろからいろいろ話が出ていることなんであって、あなたは口を開くと、一々運営について干渉はいたしません、そういうことは決してしないのですと言っているけれども、職員の数が一方的に条例で千人に一人、二千人に一人になるようなふうにされる条例が勝手に作られる状態に置くということが、そういうことを認めているという態度が、これが運営に干渉することになるのです。だから、法律で制限をする事柄については、職員のこの専従に従事する職員の身分とか、そういうものについて制限をしていくというようなことについての問題は、これはまた別であります。そうしてまた法律で現在そういう点を認められているのは、給与をとにかく国から出してもらったり、公けから給与を出してもらうということについては、これを制限していかなければできない、そういうふうな点で法律が条項を設けて明確に規定をしているんです。そういうことも民主的にそれが選ばれていかなければ、これは職員団体として認めることはできないという規定があるわけです。法律としてそれだけ規定をしておけば十分なんです。つまりその職員団体の役員というものは、民主的に選ばれているかどうかということを法律で規制をし、その職員が公けのものから給与をもらっているかいないかということが、職員団体についての職員として規定をしておけばいいのであって、その職員団体が幾人専従者を持っていくというようなことを一方的にどんどんきめられるという、そういう条例をきめていいという理屈はどこにも出てこない。この通達の中にもそんなことはちっとも触れて解釈していない。法律の中のどこの職員団体の中にも、職員についてということは明確にしているけれども、職員団体についてということは明確にしていないんです。あなた方の言っている地公法の二十四条だってそうじゃないですか。職員団体の中に書いているのはみんな職員という言葉が使ってある。そういうことを私たちは申し上げ、再々そちらから出ておるので、私は繰り返しませんけれども、今のような考え方はまことに私たちは不当だと思うし、特にこの通達を通して、この解釈を通して、千人に一人などという制限をしていいなどということは、どこにも出ていない。もし、それに反発することがあるなら、再度私はお聞きしたい。そういう点について大臣に要請することは、ぜひ十分に検討をしていただきたい。こういう問題について、あるいは私は今時間もありませんから申しませんが、ILO条約の閣議の決定事項の中にもどんなことが書いてあるかといえば、わが国の労使関係についても「ILO条約の趣旨とする労使団体の自主運営並びにその相互不介入という近代的労使関係の基本的精神が、わが国の労使関係にも十分とり入れられるよう諸般の施策を進めて参るとともに、労使関係法全般についてもかかる観点から検討を進めて参りたいと考えている。」そういうことが閣議で決定されているし、その答申の中にもそういうことが書かれているし、またこのILO八七号というものは単にその労働組合のことだけではないというふうにちゃんと条約の中にも条文に出ているわけです。労働組合の関係のことだけではなくて、これは「労働者団体及び使用者団体は、」というような、九八号についてもそういうふうなことが出ておるし、それから特にこのILOの八七号については「この条約において「団体」という場合には、労働者又は使用者の利益を増進し且つ保護することを目的としたすべての労働者団体又は使用者団体をいうものとする。」というふうに規定されているんです。こういうようなことを考えてみたときは、全くあなたのおっしゃっていることは、少しわれわれには理解できないし、十分に検討をしてもらわなければできないし、殊に局長がこの通達を通してそういうことができるというようなことを言うことはもってのほかだと思う。再度あなたの的確な答弁をお聞きしたい。
  208. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) 法律でも、あるいは条例でも、あらゆる場合を想定して、これをことごとく限りある条項の中にはめていくということはむずかしいことであろうと思います。従って、いろいろの新しい面の出てきたときに、その条項の解釈によって疑義の出てくることは、それはあるであろうと思う。しかし、文部省としては専従の人数の問題、あるいは期限の問題等については通達なり何によって拡大、積極的解釈をして、当然勤務条項その他に入るものとの解釈をとっておるわけでありまするが、しかしお話のように、この点はさらに検討をいたしたいと思います。またいろいろとお説を承わりましたが、もちろんその中には私の理解できない深遠なお話もありましたようでありますが、これらの点については速記をよく勉強いたしまして、御趣意のあるところをよくとらえて検討いたしたいと思います。
  209. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) 専従休暇を許可する場合に、これはあくまでも当局の許可でございます。従って許可する条件として、どの程度にすべきか、これは公務に支障がない範囲で許可する点でございます。従って人数、期間について当然に許可の裁量に入ってくるものである。その場合に、私どもは法制局にも見解をただしましたところ、私ども見解では、この許可をする期間の基準というような点も、これを積極に解する、それからお話の数については、直接文面では出ておりませんけれども、これは職員団体のためにもっぱらその事務を行い、または活動する職員が職員として有する地位または権利、こう包括的なものの中に含まれておるものと一応解釈したのでございます。
  210. 松永忠二

    ○松永忠二君 今の説明は納得はいたしません。あなたのおっしゃったように、その数について触れていないということは事実であります。個人の職員としての地位または権利を定めるということについては、そうだというふうに積極的に解するけれども、職員団体の中の専従者の数をきめることが、これが勤務条件であるという解釈はこの中には出ていない、これは明確であります。これは今後またいろいろと追及していきたいと思う。
  211. 吉江勝保

    吉江勝保君 先ほど質問が行われております間に、岩間委員のちょうど質問だったと思いますが、きょう出席いただきました浅井人事院総裁の出されました資料といいますか、それについて、ちょっと触れておられたのでありますが、まあお話しになりました資料の内容の取り上げ方は、いずれにいたしましてもデータといいますか、非常に正確な基礎に立って論旨を進めておられました岩間委員でありますので、その浅井総裁がああいうような一年未満のものが何十何名で、二年目のものが何十何名、こういうような発言がありましてそういうような答弁をされました浅井総裁を、あなた方が引っぱり出してというような言葉でありましたが、そういうように受け取れた言葉発言があったのでありますが、きょう人事院の総裁がお見えになりましたのは、これは最初に委員長からもお話がありましたように、いわば理事の間で十分に相談をしましてそうしてお越しをいただいたのでありまして、まあ事務当局が都合がよいような意味で引っぱり出して答弁をされたというわけではないのでありまして、資料の、データの正確性というようなことから誤解が起りますとまずいと思いますので……。  それからきょうはだいぶ時間がたちましたので、きょうの質問はこの程度で終了していただこうかと、こういう動議を出したいと思います。
  212. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記をやめて。    〔速記中止〕
  213. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記を始めて。
  214. 岩間正男

    岩間正男君 それは事実が違っているところがあったら、私のあれを訂正していただきたい。もう一つ、人事院の総裁の今のいわゆる国公の人たちだけ言われていると思いますが、実はあの中で重要なのは、国家公務員の中に五現業、そういう実態だと思うのです。こういう実態をこれはどういうふうにして当委員会としても把握するのですか。たとえば国鉄、全電通、全逓の諸君、こういうものが公務員の中では非常に大きななにを占めるのです。わずか二十数万の国公だけの、しかもそれは実態だと、私は表面ああいうことになっていると思うけれども実情はこれは違っている面が出てくるだろうし、それから原則的な面で浅井人事院総裁の出された、年々更新するという点を認めるのか。それから専従については、これは先ほど文相が訂正されましたけれども、専従の規定については明らかにこれはあるわけです。地公法にもあるわけです。単に国公法だけにあるのじゃなくて、地公法にもある。こういう点で、人事院総裁のあの発言にさらに追加して、そういう実態も今後調査するような方法を設けていただきたい。従って必要があれば、そのほかに私たちこの問題をやっていく上において、いろいろ今後まだまだ勉強しなくちゃならない。これは文部省にも勉強してもらわなければならないし、われわれも勉強しなければならない。そういう点では参考人なんかももっと広範に委員会でもあまり制限しないで、もう専従制限みたいなことをしないで、それでどんどん発言を、参考人の要求があったらこれに快く応じていただいてお互いにフリーな立場でこの問題を徹底的に研究していただきたい、この問題を要望しておきます。
  215. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 今、岩間委員発言内容はよくわかりましたが、私からも再言しておきたいと思いますことは、人事院総裁をそちらでもって引っぱり出して、勝手なことを言わせてということは、出てきたき方が事実と反しているというのは、吉江委員の御指摘通りでございます。  それからただ一つ、私は委員長として感じていたことは、御承知のように、休会中は本委員会に出てきて、政府側を代表して意見を述べ得る者は国務大臣だけです。他の者はいかなる者といえども政府委員ではありません。説明員です。従いまして、人事院総裁が、自分は政府委員であるから国務大臣を補佐すると言ったことは非常なる間違いなんでありまして、これは実はいかがかと思ったのですけれども、そのこと自体が別に委員長から発言して云々することではないと思ったので、別に申さなかったのですが、総裁引っぱり出し云々の問題については、吉江委員指摘通りであるということを御了解願っておきたいと思います。  それから後段のことは、一つ委員長理事打合会に、そういう意思が委員からあったことを私からも十分伝えて、御趣旨に沿うように協力したいと思います。  本問題についてはこの辺で終ります。   —————————————
  216. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 次に、国鉄から営業局長がお見えになっておりますから、学割の問題について触れたいと考えております。それでは御発言を願います。
  217. 松永忠二

    ○松永忠二君 大へん時間もおそくなりましたので、簡単にお尋ねするわけでありますが、鉄道運賃制度調査会で答申があって、特にこの中で学校生徒の運賃割引の問題について調査会が答申をしておるわけであります。そこで、国鉄の局長一つお尋ねをしたいのでありますが、この調査会の答申に当って、この委員の中には一般教育関係の委員も五名ばかり含んでおるのでありますが、この人たち意見が、どういうふうな意見が申し述べられたのか。それからまた今後この答申を具体的にどういうふうにして、国鉄としてはこの問題を処理をしていくつもりなのか。この二つの点についてお尋ねをするわけです。
  218. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまの御質問についてお答えを申し上げますが、ちょっとその前に、運賃制度調査会のお話が出ましたので、運賃制度調査会の設立——簡単な経過だけちょっと申し上げましてお答えいたしたいと思います。  この運賃制度調査会は、鉄道の運賃、あるいはもろもろの旅客、貸物の運賃制度につきましての、最近の飛行機とか自動車等の発達の現状にかんがみまして、新しい鉄道の運賃制度がいかにあるべきかということを検討いたすために、一昨昭和三十二年の秋にできたものでありまして、この会長は原安三郎氏で、委員は二十五名おられます。  ただいま先生のおっしゃいました通り、この中で教育関係の方といたしましては、東大の紺野先生、拓殖大学の高橋先生、大阪市立大学の富永先生、それから全国高等学校長協会会長の両角英運先生と、これらの方々が直接教育に御関係になってる方々でございます。そのほかは新聞あるいは私の方の関係の、運輸関係の人あるいは国鉄労働組合の顧問、そういったいわゆる学識経験者にお集まりを願った委員会でございまして、過般七月の上旬まで約八十何回かの会合を旅客及び貨物運賃の双方について開かれました結果、一応の答申を出されたわけでございます。なお、まだこの運賃制度調査会は継続されておりまして目下貨物運賃の詳細の点について現在なお検討中でございまして、多分来月の下旬くらいまではかかるのではないか。最終的な全部の答申が完了いたしますのはあとまだ二カ月くらいかかるのではないか、こういうふうに考えられております。この中でいろいろ問題がございまして、今申しました通り、貨物運賃、旅客運賃の全般にわたる問題でございましてその中の旅客運賃の問題のうちの一つとして、運賃の割引の問題が議題になったわけでございます。運賃の割引と申しましても実はたくさんと申しますか、いろいろございまして、例をあげて御説明申し上げますと、身体障害者の割引あるいは被救護者の割引あるいは戦死軍人遺族の割引、それから今お話の学生の割引、それから傷痍軍人の、これは割引でなしに運賃の免除、無賃乗車の問題、これは一〇〇%割引ということになりますが、いろいろこういう割引がございます。これらのことについていろいろ検討されたわけでございまして、この中で金額的に一番大きいのは今お話しの学生の割引でございまして、年額割引の額といたしましては、約二十八億の額に上っております。すなわち学生の割引は昭和二十三年にその当時まで二割でございました。国有鉄道創設以来と申しますか、古くから二割で割引いたしておりましたのを昭和二十三年の八月に五割に一挙に引き上げまして、この制度は御承知通り学生の休暇の際に帰省するための、家に帰るための旅行の援助というような趣旨でもって創設されたものでございます。これらをどうするか。この学生に対する特殊な優遇措置をどうするか、と同時にこれと並びまして、国鉄は現在の経営状態と申しますか、財政状態と申しますか、これらと関連して、これらの割引をどう調整するかというようなことについていろいろな議論が戦わされました。今どの方がどういう議論をされたかということを申し上げるだけの実は速記録を持って参りませんでしたが、大体の審議経過だけを御説明申し上げます。  学生の割引が今申した通り帰省旅行というものの援助の方法として創設された趣旨にかんがみまして、まず割引を適用する期間、すなわち現在は通年と申しまして一年じゅう学生の任意の時期にいつでもこの割引証をもらえることになっております。この期間をある程度休暇ということと関連して制限するということも考えられるのではないかということも種々議論になりました。また旅行の目的、すなわち遊びに行くとか、あるいはそういった種類のものは学生なるがゆえに特別な恩典は与えられるべきでない、この制度の趣旨から申しますれば休暇中の帰省あるいは広く広げても学校の研究旅行といったような学生の旅行の目的、それが学生なるがゆえにある程度の援助を必要とするという学生なるがゆえのある程度の旅行目的というものも考えるべきでないかという建前から、旅行の目的でもって制限することができないであろうかという問題、あるいは割引率、現在の半額という大幅な割引の率を調整する方法でもってできないか、おおむねその三つの案について各委員からいろいろ論議されたわけでございます。しかし、いろいろこれは数回にわたって論議されました結果、第一の割引の適用期間で制限するということは、現在の学校の制度は必ずしも三学期制度をとっていない、二学期制度の学校もあるといったような、学校の学期制度の関係から申しまして非常にむずかしいのではないか、ことに後ほど申し上げます、この学校の中には各種学校と申しまして非常にいろいろな技芸その他を教える学校も相当入っております。こういう学校になりますと、必ずしも一般学校と違った学期制度をとっておる学校もあるということでもって、そういった適用される学生の立場から申しましても、適用の期間を制限するということは実際問題として非常にむずかしいのではないかということでもってこれは実現が不可能であるということでもって議論は一応打ち切ったわけでございます。次の、目的でもって制限するということも種々論議されました。これは、ことに学校関係の方々から、もちろん単に学生がスキーに行くとかスケートに行くとか、そういう遊びについて学生なるがゆえに、同年のほかの青年より特別の待遇を受ける必要はないと思うが、遠方から来ておる留学の生徒が家に帰る、いわゆるこの割引の設立の目的の趣旨、帰省の建前、あるいは学校が一緒になりまして集団的に旅行すると申しますか、いわゆる学生なるがゆえの研究旅行、こういったものにつきましては当然これは考えてやるべきだというお話もございました。しかし、これもいろいろ議論し、やはり各種学校の問題になって参りますと、この目的ということが必ずしも明確にならないという点もございますし、また同じ研究と申しましても、大学の場合の研究の目的と高等学校の場合の研究の目的とはおのずから違って、ただ一律に研究という言葉でもって全部をカバーするには少し無理があるというようなことからいたしまして、この研究目的、帰省目的というだけでもって制限してその他を使わせないということもこれは無理ではないかということでもって、この点も議論が打ち切りになりました。結局最終的に残りましたのは、きわめて技術的な問題になりますが、割引率をどういうふうに調整するか、その調整の方法としていかなる方法が最も妥当であるかということについていろいろ検討されたわけでございまして、現在の学生の割引の方法は、これはきわめて技術的な問題で恐縮でございますが、現在学生が百キロ以下の旅行の場合にはこれは割引をいたしておりません。すなわち学生が、小田原へ行くとか、あるいは近間の百キロ以内の所に行く場合には割引をいたしておりませんが、百一キロをこえますと、そこから割引が始まるわけでございます。百一キロをこえますととたんにもとの一キロから割引する、こういう非常にむずかしい制度になっております。ですから逆に申しますと、五十六キロのところの運賃の方が百一キロの運賃より高くなる。具体的に申しますれば小田原まで旅行する学生は小田原までの普通の切符を買うよりも熱海までの学割を出して熱海までの切符を買った方が安い、こういうことになるわけでございます。そういう非常に運賃制度上も不合理であるし、また社会的に常識的に見ておかしい、その点を是正すべきではないかということでもって一応の結論としては、今の制度をそのまま残しまして百キロまではやはり割引しない、百一キロをこえたならばそのこえた分について今までと同じように五割の割引をする、こういうことにいたしますと、先ほどのこの学割の趣旨、たとえば遠距離の学生、遠距離から東京なり大阪へ留学している学生になりますと、この改革による影響は非常に少い。しかし、近間の旅行する学生、すなわち近間の百キロから二百キロぐらいまで旅行する学生には多少の影響はあるが、遠くの帰省という目的からいえば割合に影響は少い。そういう趣旨でもって一応の案といたしましては遠距離となるに従って影響は軽微となる、そういう方法をとるべきではないか。非常にこまかい点で恐縮でございますが、そういうような議論がさまざまされました結果、一応のこの答申といたしましては百キロまでは今まで通り割引しない、百一キロをこえた分については五割の割引をする、そうして旅行の目的あるいは旅行の期間ということについての制限はしない、こういうような答申が出て参ったわけでございます。  これと関連いたしまして、これは高等学校の校長協会の会長から非常に強く言われた点でございますが、実は現在割引証、すなわち学生が割引を請求する場合には学校から割引証という紙をもらいまして、その割引証を私の方の出札の窓口に提示いたしまして、それでもって私の方で五割の割引をした切符を売ることになっておりますが、その割引証の配付が非常に高等学校生徒については少い、場合によってはほとんど配付がないという強い御要望がございましたことは事実でございます。すなわち現在の割引証の配付の方法についてもう少し学生間に公平を期するような配付をしてほしい。若干と申しますか、大学尊重、大学ばかりが学割の恩典を受けて、当然受けるべき資格のある高等学校生徒にはほとんどその恩典がないというような点が小松と申される前の委員からも、また現在の両角委員からも相当強く主張されたわけでございます。と申しますことは、現在この学生割引証と申しますのは大体どのくらい出ておるかということになるわけでございます。現在私の方からは約一千五百万枚を文部省に作ってお渡しいたしております。文部省はそれを直轄学校は多分直接に、それから府県の学校は府県の教育委員会を経てと存じますが、文部省の手でもってこれを各学校配付されておるというふうに承わっています。この約千五百万枚のうち現実に学生がこれを使いますものは実は約九百万枚でございます。すなわち約六百万枚が何らかの形で使用されていない。これはなぜはっきりするかと申しますと、先ほど申しました通り、学生の割引を使います場合には必ず出札の窓口に学生の割引証と申しますのを提示いたしますので、その割引証は私の方の運賃が五割になりますので、それを私の方のいわゆる事後審査の機関でもって審査をいたしまして運賃の不正がないかという審査をいたしますので、その証拠書類として必ず全部まとまって東京へ戻って参ります、その戻って参ります枚数が全体で約九百万枚でございます。従って六百万枚が何らかの形、すなわち学生がまず学校からもらって使わないという状況一つあります、それから学校が何と申しますか、あとへとっておくというような形でもって学生に配付し切らなかったということもあるかと存じます。あるいは府県の教育委員会等でそれをある程度保留されているということもあるかとも存じますが、割引証は現物はここに持参しましたが、こういうようなものでございます。その割引証が千五百万枚のうち約九百万枚しか返っていないというのが現状でございます。私どもといたしましては、文部省から毎年度末その残りの枚数、すなわち翌年度に対します必要枚数を文部省から伺いまして、それを調製いたしまして、そして文部省にお渡しするということで、今年度もすでに四百万枚実は七月末にお渡しいたしておるわけでございます。結局これらの未配付の問題をぜひ解決してもらいたい、解決してほしいという強い御要望がございましたので、ただいま申し上げました答申と関連いたしまして、結論の一つといたしまして学生の割引証については配付方の改正を行なって、学生生徒に対して必要な枚数が行き渡るようにすべきである、こういう答申が今申しました技術的な答申のあとについておりました。ここでもって主として高等学校の先生方の御意見が明らかにされておるわけでございます。そのほか私どもといたしましては、実は直接各学校から相当割引証がわれわれの手に入らないということをずいぶん承わっております。また非常に申しわけございませんが、たとえば私の親戚の子供あたりからもどうしても学割を学校でくれないのだ、おかしいじゃないかということを個人的にずいぶん聞くことがございますが、私どもといたしましては文部省から御要求の枚数をそのまま印刷して差し上げておる以上、そういうことはあり得ないと実は思っておるわけでございますが、その点については何らかの方法で私どもといたしましては文部省にもう少し不便のないようにこの配付をお願いしたいということはお願いしているわけでございます。すなわち今までの使用の平均率は約千五百万枚のうち九百万枚、約七〇%以下、六八%ぐらいしか学生が使ってないという現状でございます。なおこれは割引証のことになりますが、文部省も一応学校別に分けまして基準を作っておられます。大体使用の実績から申しますと、私の方で回収いたしました九百万枚を詳細に検討いたしますと、大学生が大体平均七・五枚、それから高等学校生徒が一枚、それから中学校生徒が〇・三枚、それから各種学校が一枚、こういう程度の実績、これは三十三年度の一人当りの使用実績でございます。すなわち学生数と学割証の数の比率が今申しましたような数字でございます。そういう条件になっておりまして、私どもといたしましてもこの配付につきましては、もう少し文部省といろいろ御相談いたさなければならぬと考えております。こういう答申が出まして実は今申しました通り、運賃制度調査会の答申はまだ貨物の最終的な答申が出ておりませんのでございます。ただこの答申の結末に、この答申の中でたくさんいろいろ言ったことがあるが、この点についてはできることはどんどんやっていけ、そして国鉄の経営状態が少しでも困らないような形でもって実現を期していけという要望もついておりますので、私どもといたしましては、この答申を中心といたしまして現在どうやってこれを具体的に実現するかということを目下検討中でございます。
  219. 松永忠二

    ○松永忠二君 大へんこまかく御説明をいただきましたが、大臣も後の予定があるそうでありますので、先に一つだけそういう点をお聞きをして、一つこまかいことはまた係の人にお聞きをいたします。今後の処理の問題については、今後今からいろいろと相談をするという話でありますが、何か今年度中に関係の法規を改正して冬の休みから実施をするというような方針をきめられているというようなことを聞いておったわけでありますが、特にそういうことは別にまだそこまできまっておらないのか。それからまたこれを実施をするに当ってはもちろん委員会の中に教育関係の方が入られて、それぞれの立場からいろいろと意見を申されたと思うわけでありますが、その教育の関係の団体もまあ中学、高等学校、大学といろいろまあ団体を組織しているわけであります。文部省もまたこの問題についてはやはり意見を持っていると私たちは思うのであります。こういうことについてはやはり実施の段階においては十分にそういう関係団体とか関係の組合等十分意見を聴取し、また協議をした上で実施をしていくというふうなことになるというふうに私たち考えているし、またそういうふうにやってもらわなければ非常に困るという点を考えているわけなんです。で、まあ問題の点についてはあとで少し触れたいと思うのでありますが、こういうことについては国鉄の方としてはどういうふうな考え方を持たれておるのか。  また、大臣に特にお答えをいただきたいのは、先ほど話の出ているように二十八億という大きな数字であるのであります。それがまた、答申にもこういうふうな割引というようなものについては国が補償していくとかいう、そういうことについては考えていくべきが妥当だというようなことがいろいろ書かれている。特に今単に学割というものが帰省の旅行に使われているのみではなくて——もちろんそれにも十分使われているけれども文部省でもいろいろ配付についての注意事項を出した中にもありますように、就職とか進学のための受験等にも非常に利用されている。いや、むしろ高等学校ではそういう生徒にだけ配っているというのが実情であるのであります。もちろん中学校についてもそういう実情であるので、これが変更されるということになることは非常に関係する人も多いわけでありますので、特にまあ文部大臣としてもこの問題については十分やはり文部省側の立場からこの問題を十分善処していただきたいということを強く私たちも希望しているわけです。この点だけを大臣にお聞きをしたいのでありますが、なお局長からも今後の処理の方法についてわれわれの考えているような方法で慎重に検討するということであるのか、そういう点についてはどういうふうなお考えなのか、一つお聞かせを願いたいと思うのです。
  220. 松田竹千代

    ○国務大臣(松田竹千代君) 文部省としては、相当改正が実施されるならば影響するところ大きいのでありまするからこの点についてはできる限り運輸省当局と話し合いを進めてできる限り影響の少いように、まあ現状の維持という主張を出したいと思いますが、しかし、運輸省の側に立って考えられている、独立採算制で経営状態を完璧にしていこうという趣旨も十分に考えながら、現在学生に対しては必ず必要な学生に割引証が行き渡る、また必要でないところにいくようなことのないように手配を十分にいたしまして影響のないように努力いたしたい、かように考えております。
  221. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 私ども事務当局といたしましては、現在この答申案につきましていろいろ具体的に検討中でございますが、これをいつから実施いたしますか等につきましては、いろいろ上の方とも相談いたしまして、また文部御当局の御意向も承わって慎重にやりたいと思っております。ただ、私どもといたしましては、非常にこの学割につきましては先ほどからるる申し上げておりますが、割引誰そのものの配付に非常に私ども自身がいろいろの方からしかられるわけでございます。この点につきましては、もう思い切りましてこの枚数を私は二千万枚にふやしたい、こういうことを実は考えているわけであります。大体基準といたしまして大学生一人当り十枚、高等学校生徒は一人当り三枚半、中学校は一枚、各種学校は一枚半、合計二千万枚という枚数を、これも印刷だけで実は三百万円ばかりかかります。この負担は文部省の方でやっていただくか、私どもの方でやるかは別といたしまして、それについては実はだいぶ文部省と私どもの方で問題になった点であります。うちの方の負担はことし限りにしていただきたい。私ども三百万円出してぜひ割引をさせていただきたいということでもないので、何と申しますか、印刷は文部省でやっていただきたいとお願いをしておるのであります。これも文部省の御予算の関係もありまして、そう簡単には実現できないのでありますが、私どもといたしましては、今の文部省の御必要な枚数、それから大学生、高等学校生徒、その他の生徒の数全部を勘案いたしまして二千八十九万枚、約二千百万枚ぐらいの所要の枚数になるわけであります。従来私どもの方で千五百万枚しか差し上げてなかったことがあるいは今までの、たとえば今松永先生のおっしゃった高等学校生徒が受験にいくのにも使えない、中学校生徒が受験にいくのにも使えない場合があるということは実は私どもも聞いておりますが、そういうことはこういうところに欠陥があったのではないかということを反省いたしまして、私どもといたしましても、枚数は文部省と十分相談いたしまして今までよりも飛躍的にふやして参りたい。約二千万枚差し上げますれば、今の九百万枚に対して約五割ぐらいの利用者の増があるんではないかというようにも考えております。実際に必要でもって国鉄に乗ってくれるという学生は、ほんとうに私どもの方からいえばありがたいお客さんなのであります。従って、そういった国鉄を利用しようという学生が喜んで利用できるような枚数をぜひ差し上げたいというふうな、積極的な実は心がまえをもってこの仕事を処理いたしたいというふうに考えております。
  222. 松永忠二

    ○松永忠二君 もう少し私の方でお聞きをしたいのですが、今二十八億という金額のお話があったわけですが、これの計算の基礎というものはどこからきているのか。特にこの点は百キロ以上使っているもの、二百キロ以上使っているもの、こういうふうに段階的に相当使っている要素が違うと思うわけです。そういうようなことも考えていく必要があるのではないか。だから、その使用の実態というものを相当把握されていて、そうしていろいろ問題があるという点について御意見があれば、一応そういう点も考えられるわけでありますが、今のお話の、百キロをこえて少しでも出れば、初めから割引計算されるということは矛盾だというお話ですけれども、これは一つの標準をきめれば当然そういうような結果になるわけですから、やはり遠距離の旅行帰省の負担を軽くしようという意味ならば、やはり一定の一つ基準を設けて、それについて基準のところから割引していくという方法も妥当だというふうにも考えられるし、まあ実態は、非常に長い距離のものが多いのか、あるいは百キロから二百キロの間のものが多いのか、その実態はどういうふうな状態なのか。  もう一つ具体的に回答していただきたいのは、二十八億という数字でありますけれども、これは今お話の九百万枚について、具体的に使用された金額というものの割引を積算してずっとこう出してあるものなのですか、およその見当として出されているものなのですか、その二つの点についてお答えを願います。
  223. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまの御質問でございますが、非常に数字でこまかくなって恐縮でございますが、大体私の方の現在のお客様のうち、定期のお客様と定期外とに分けまして、定期は問題でございませんが、定期外の全体の平均の汽車に乗られる距離は約三十五キロから三十六キロでございます。学生がこの学割を利用いたしまして旅行いたしますのが平均二百六十五キロでございます。これは昭和三十三年度の実績で、これはもう明瞭に、ただいま申し上げましたこの割引証が全部回収されますので、これによりまして距離を全部計算いたしまして運賃を算出いたしました結果、一人平均が、運賃が三百三円九十二銭、距離にいたしまして二百六十五キロ、これを積算いたしますと、ちょうど半分でございますので、五割でございますので、この運賃相当額が割引されている、こういう勘定になるわけでございます。二十八億と申しますのは推定ではございませんで、正確な算出に基きました金額でございます。  今の御質問の中で、百キロ未満につきましての学生の数はちょっとわかりかねるのでございまして、一般のお客さんと一緒に、切符も全く同じ切符を売っておりますので、定期ははっきりわかりますが、一般の乗車券につきましては、学生と学生以外とは、百キロ未満の、同じ切符を使うものにつきましては、これは分けることができない。たまたま、ごく時を切りまして、一年のうちに三日とか四日とか、そういうサンプルの計算がございますが、通年いたしました全体のそういった資料はございません。  つまり割引額につきましては、現実に割引したものの実績であるということと、平均の一人当りの運賃が三百三円九十二銭であるということ、これは正確な数に基いたものでございます。
  224. 松永忠二

    ○松永忠二君 まとめてもう二、三点。今のお話だと、二百六十五キロという平均の距離ですが、これはいろいろ見方、理屈のつけ方もあると思うのですが、やはり相当長い距離が平均されておるということであるので、やはりその負担としては相当な負担を旅行でしているということは現実だと思うのであります。そういうような意味からいうと、私たちの立場からいえば、今の状況の経費の負担をふやしていくということについては非常に学生の負担になるというような考え方もあるわけなのであって、やはり相当な距離でやっているということを考えてみたときに、やはりできるだけ負担を軽くしなければできないじゃないかという気持を持つわけであります。  それからもう一つは、これは防衛庁の防衛大学等にも、そのほか各省の関係の方にもこれは出されていると思うわけでありますが、こういうものとの関係、数字的な関係とか、あるいはこの考え方の関係等はどういうふうになるものなのか、この点について御答弁を願いたいと思います。  なお、文部省の方に聞きたいのは、文部省配分基準というのは一体どういうふうになっているのか、各大学についてどういうような考え方配分されているのか、その点を一つ聞かせていただきたいと思います。
  225. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまのお話の、非常に学生の、ことに学割を使う学生の足が長いということは、私ども十分承知いたしております。すなわち三百キロで申しますと、ちょうど東京から名古屋の少し手前になりますが、これの普通の運賃が六百十円でございます。学生が三百五円、これに対しましてただいまの案でございますと百二十円ぐらいの値上りになるような勘定でございます。これは今検討中のことでございます。  それから各種学校、今おっしゃいました中で、学校の種類の中で、実は私ども一番問題にいたしておりますのは、いわゆる文部省令によるものでない、防衛庁、それから農林省、厚生省等の学校がございます。すなわち防衛庁の防衛大学のほかに農林省の農林講習所ですか、それから厚生省の看護婦養成所といったものがございますが、これは九百万枚のうちで、全体で二十万枚でございます。すなわち実績から申しますと九百分の二十という数になっております。これらと若干違いますが、さっき申し上げました各種学校、最近非常に多い洋裁学校でございますとか、いろいろそういった種類の学校がございますが、これらの学校生徒を募集する一つの、私どもよく町で見ます学校の広告のビラの中に、国鉄割引ありといったようなことが、一つの実は学校のあれになっておるわけであります。そういったことにつきましても、私どもといたしましては、一応文部省が各種学校として御認定になった以上、それらにつきまして、客観的な基準、すなわち一年間の学習時間が何時間であるとか、学校生徒が一クラス何人以上であるとか、そういった一つの客観的な基準を置きまして、認可と申しますか、私どもの方の学割及び通学定期の対象としているわけであります。これらにつきましても、少し率直に申しまして行き過ぎじゃないか、もっと学校内容等も検討してしかるべきではないかといったような御意見も相当調査会で出たのでありますが、それらにつきましては、一応各種学校認定については、もう少し文部省と相談して、文部省認定したものの中から、ほんとうに学生が実際いわゆる帰省旅行を必要とする、あるいは研究旅行を必要とする学生を集めている学校かどうかという実質的な検討をしなければならない。たとえば非常に申し上げにくいことでございますが、実はそういった学校の学割の不正の発行が非常に多いのであります。ときどき監査をいたしますが、たとえば昼間部だけはいいが夜間部はいけない、固いそういった誓約書を入れてもらっております。それは、一つの形式的な基準以下のところはいけない、形式的な基準以上でなければいかぬという一つ認定基準がございますが、これらに反しまして、出すべきでない人たちに出して、そしていろいろ監査してみると、結局学割の不正使用であったといったようなことが、学生と申しますか、生徒はもちろんのこと、学校当局も非常に無責任に学割を使用している学校も実はあったわけでありまして、これらにつきましては、そのつど、学割の取消し等の措置をいたしまして、反省を求めておりますが、実は、毎年々々この実例が跡を断たない。また学生が自分の学割証を他人に貸す。しかも学生でない自分の親戚に貸すという例も、実は夏などになりますと、数え切れないほど実績が上っておるわけであります。これらにつきましては、今後学校御当局の十分な御指導をお願いいたしまして、せっかくこういった学割を設けておるのでございますから、いやしくもこれが不正に、その目的の本旨にはずれた使用のないようにしていただきたいということをお願いしておりますが、今の学校内容等につきましては、今先生の御指摘の防衛庁とか、農林省とか、厚生省とかという、いわゆる何と申しますか、普通の学校でない、特殊な、各省ごとの学校のほかに、いわゆる文部省の直轄、文部省の御監督のもとにある各種学校につきましても、非常に問題があるということを申し添えたわけであります。
  226. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) その割当の基準の出し方でございますが、これは、年々ずっと少し変更を加えて参ったわけでございますけれども基準の出し方といたしましては、前年度の実績を見まして実績から割り出しまして、大学、高等学校、中学校、特種学校、先ほど磯崎局長お話しになりましたように、三十四年度におきましては、大学七・五、高等学校一枚、中学校〇・三、各種学校一枚、こういうような基準を割り出しております。前年の実績を基準にいたしまして、それから割り出しております。
  227. 松永忠二

    ○松永忠二君 各府県……。
  228. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) 各府県に対しましては、基準に対しまして生徒数をかけましたものを配付する。大学に対しましては、直接文部省から渡しますし、高等学校以下に対しましては、各府県の教育委員会を通じて渡すということにいたしております。また、私立学校につきましては、知事を通じて渡すということでございます。ただし、その場合に、一応基準の枚数を渡しますけれども、あらかじめ国鉄から配付を受けます場合にも、若干の予備をいただいておりますから、それは大体五%くらいは予備として渡しておる。こういう実情でございます。そして、毎年の年度末の手持ちをさらに調べまして、翌年度は、その手持ちを勘案して渡すべき所には渡しておるというような方法をとっております。
  229. 松永忠二

    ○松永忠二君 だから、今の説明だと、基準というか、実績をもとにして、各府県の実績をもとにして、それに生徒数をかけるということなんですか。そういうことをやられているという話ですが、相当これは関心も深いし、実際のところ、学校にも非常に大きな関係があるので、やはりこれは係の者が一人できめるということではないと思うのですが、そういうようなことはどういうふうになっているのか。  なおもう一つ、国鉄からの受入枚数というのが、今のお話と非常に違っておるのですね。千五百万枚出ておるのに、九百四十五万というような数で、しかもとめ置いておる数が四十六万四千というようなことでは、これは実際のところ、どういうことになるのか。ずいぶんとめ置いて、しかも受け入れの数も違っておるという数字が出ているわけです。ここの辺はどうなんですか。大学、高校、中学の割合とか、そういうふうなものについて、あるいは各県への配る配り方、あるいは大学への配り方というようなものについて、やはりもう少しきちっとした基準というか、明確なところとが必要じゃないかと思うのですが、この点について数字の違うところと、基準の問題について。今話があったように、配付方法を改善しなければできないということがいろいろ言われておるので、こういう点について、配付の方法等は相当やはり改善が必要だということをわれわれも思っておるのですが、こういうふうな点については、今後どういうふうな検討をするのですか。
  230. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) 今の配付基準でございますが、これは、今申し上げましたように、実績を調べまして、私どもとしましては、きちんとやっておるつもりでございます。毎年実は数年間少し実績を調べまして、その年度によりまして変えて参っております。  それから配付につきまして、国鉄から私ども券をもらいますときには、その基準枚数に学生生徒数をかけましたものを基準にいたしまして、ただ、前年度の手持ちがございますから、それを引きまして、その差額をいただいておるということであります。それにまた、先ほど申しました予備のために五%ほどを加えたものをいただく。これがなくなれば、また先ほどのように、国鉄としましては千五百万準備されておりますから、次々にいただくということになりますけれども基準枚数といたしましては、各一人当りの基準が出ますから、それに学生生徒数をかけたもので計算ができますから、それを基準にして国鉄から配付を受けておるのであります。ことしすでに国鉄から受けましたものは、昨年度の手持ち等を勘案いたしまして、七月までに四百万、それからそのあと九百四十五万枚いただくという計算になっております。これは、先ほど申しましたように、各学校別の一人当りの基準枚数に学生生徒数をかけたものから、昨年度の、昨年末の手持数というのがありますから、それを引いたもので三十四年度は九百四十五万枚という計算を立てておるわけでございます。ただ、先ほど国鉄の磯崎局長からお話がございましたように、各学生に対しまして十分不足なくいくようにという御配慮から、二千万枚までふやして印刷をして準備をして下さろうということでございますから、私ども今後さらに検討いたしまして、行き渡らないような実情のないように十分調査をいたしまして、さらに検討していきたいと思います。
  231. 松永忠二

    ○松永忠二君 先ほどお話があったように、使用されているのが九百万枚ということでそこに出ておる、配付枚数を調べてそこに年度別に三十二年度、三十三年度というのがあるわけですから、八百二十一万というのが配付の総計になってるわけです。こういうような数字からいうと、全部使われているということに、極端にいえばなるわけなんです。で、国鉄の方は実際に使ったものを集めて整理をされるんだから、これの方が確かだと私たちはその方を信用せざるを得ない。だけど、その数字と全然……、これだと全く全部使っちゃってるということになる。全部使ってもまだ足らないということになってるわけだから、これは、この数字というのは全くどこからどういうふうに出たのか知らぬけれども、こういうふうな数字を持っておられるからいろいろ問題が出てくるようになるのです。それから、今話の出てきているように、国鉄でも約六割八分くらいの消化率で、その九百万枚というのが出ているのだから、実際にはこれを十分使っていくようなやり方をしていけば、これはやはりここで金を上げなければ、枚数をふやさなきゃできないというものでもない。何らか負担をかけないで、今発行されてる枚数を十分に徹底して利用していくというやり方を考えられると思うのです。だから、そういう点については、枚数が多くなればなった方がいいだろうというような気持もあるでしょうけれども、同時にもらったものを十分に消化をしていくという形の中で、二千枚もらって、また一千枚ふやして、またそれが余るというようなことを……、それだから国鉄の方じゃ数からいうと収支とんとんだなんて、こういうことが出されたのでは、これは非常に困るので、やはり出ているものを十分に消化をしていって、できるだけ負担を増していかないような方法で、国鉄との間に交渉もするし、それから内部的にも適正に配分をしていくというような方向で努力をしてほしいと思うのですが、この点の数字のことはどういうことになってるのですか。    〔委員長退席、理事吉江勝保君着席〕
  232. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) 数字につきましては、国鉄と今ここに突き合せしておりませんから、私の方の数字としましてはこういうことになっております。資料として提出いたしておりますけれども、国鉄から受け入れました数は、三十二年度は八百三十六万七千枚、三十三年度は八百とんで六万枚、それから三十四年度は九百四十五万枚、これは三十四年度の計算でございまして、このうち実際に受け入れてるのは四百万ということでございます。この枚数は各学校別に一人当りの基準をきめますから、それに生徒数をかけまして、それを基本にいたしまして、さらに年度末に繰り越しが残っておりますから、それを引いたものを各年度の受け入れ数としてここに出しているわけでございまして、私どもとしましては間違いのないつもりでございますけれども、先ほど言われました千五百万枚との関係につきましては、さらに突き合してみたいと思います。  それからおっしゃる通り、私の方としましては、この基準枚数でいきますならば、現在の枚数でも十分足りるわけでございますけれども、その配付実情がどうなってるかという点に問題があるわけであります。私どもも各学校に対しまして、あるいは教育委員会に対しまして、その使用につきまして十分遺憾のないように常に注意をしておるわけでございますけれども、実際に使用の実情につきまして、私ども監査をする方法がないわけであります。で、不必要のところにたくさんいったり、あるいは必要のあるところにいかなかったりしないようにということは、十分大学に対しては直接、高等学校に対しましては教育委員会を通じまして十分督励をいたしておるつもりでございますけれども、なおまた今後も十分督励をいたしまして遺憾なきを期したいと思います。おっしゃる通り内部的に今の枚数でも十分有効に使われるようにということに第一に努めなきゃならぬと思いますから、そういう方向で十分努力していきたいと思います。    〔理事吉江勝保君退席、委員長着席〕
  233. 松永忠二

    ○松永忠二君 教職員の割引について従来二割の割引をしていた、それについて文部省も事務次官名で運輸省の次官に、こういうことを実施をしていいことを要請しておるというふうにまあ希望したということを聞いているわけなんですが、こういうふうなことはどういうふうになっておるのか、両方からお聞きしたいと思うのです。  それからまた最後にもう一つ、国鉄の方に一つぜひ今のお話のようなことで文部省の方の枚数、いろいろな問題があるので、十分にやはりあなたの方でふやしてやるという気持は非常にありがたいのでありますが、ふやしたためにあまりにもたくさん出てきて、しかも金額的には非常に負担が重くなってきたということではまことに困るので、こういう点についてはやはり一定の余裕の期間を置いて、十分に使用している学校教育委員会に善処を求める方法もあるので、いきなりこの問題をすぽっとやっていくというやり方でなしに、十分に一つ検討してやってもらいたいということを特に要望しておくわけであります。教職員のことについてだけ御答弁をいただきたい。
  234. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 教職員につきましては、私も実は正確なことは覚えておりません。二、三年前に文部省からそういうことがあったことを記憶をいたしております。ただ昭和二十四年になりますか、二十四年に教職員の割引を廃止いたしましたときは、結局教職員と一般公務員との給与ベースの問題から廃止になったというふうに、私は昔のことでございますから、私が直接携わっておりませんから——そういうふうに承わっております。その後私どもといたしましては、今の私の方の現状から申しますれば、割引をふやすということはもうとうてい考えられないことでございまして、もし教職員あるいはその他の方々に教育上、文教政策上御必要ならば国家でもって補助をされるなり、何らかの形を文部省でおとり下さって、私の方の運賃だけでそれをカバーされるということは直接今のところでは非常にむずかしい状態ではないかというふうに考えられます。
  235. 松永忠二

    ○松永忠二君 その点はやはり私は時間もおそくなりますので申し上げないのですが、団体割引については、教職員のつき添いの団体の割引をどんどん変更してしまって、今まで教職員の団体割引をつき添いの場合に認めていたのが変更されているということを私たち聞いておるわけなんで、特に今の教職員の問題についても、やはり文部省文部省として意見を実は持っておると思うので、こういうふうな問題が、今私申し上げたのは修学旅行の生徒の団体について行く教職員の割引というものが全然数が減ってきてしまっているということを聞いておるわけなんで、こういう点については、やはりよく調べていただいて、一方的にどんどん国鉄の方で勝手にきめてしまって、文部省の方では知らなかったということのないように一つしてもらいたいと思うのです。その点だけ一つ聞かしていただいて私終りたいと思います。
  236. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまのお話の中の教職員のつき添いでございますが、これは、私の方は実は最近新聞紙上等では、学校の修学旅行になるべく団体業者を排除したいと、こういうふうな御意向もあるやに承わっております。私どもといたしましては、生徒百人につきまして二人まで生徒と同じ率の割引をいたしましたつき添いを認めております。従って、この二人が団体のあっせん業者になります場合もありますれば、学校によりましては教職員がなる場合もある。これらの方々は百人について二人は生徒と同じ割引率を適用しておると、こういうふうに改めております。
  237. 松永忠二

    ○松永忠二君 従前と変更はないのですね。
  238. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 昨年十月から教員の五割を三割にいたしまして、そしてあっせん業者を含めて今の百人に二人ということにしたわけです。
  239. 松永忠二

    ○松永忠二君 変更したわけですね。
  240. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 私の前に申し上げましたことを訂正さしていただきますが、五割を三割にいたしまして、二人ということにいたして、昨年の十月から改正したわけです。
  241. 松永忠二

    ○松永忠二君 文部省一つ……。
  242. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) 私、学割の方は私の方が窓口となって国鉄といろいろお話し合いしておりますけれども、修学旅行のつき添いにつきましては、御質問のようなことはございませんでした。十分今後注意したいと思います。
  243. 岩間正男

    岩間正男君 これは簡単に答えていただきたいのですが、私三つの問題でお聞きします。一つは学割定期、これはどうなっておるのですか。今度の値上げをやるのかどうか。第二は今度の割引の値上げをやることによって実収はどれくらい見込んでいるのか。第三の方はちょっと……。
  244. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 定期につきましても、もちろん調査会の答申には、非常に詳しく学生定期、通勤定期及び普通定期について各原価計算上からいたしまして、計算等を全部つけまして要求されております。現在の学生割引は六カ月定期の最高が九割二分二厘の割引、割引という率にはおよそ合わない、非常にもう何と申しますか、百のうちの八の運賃しかいただいていないという、こういう割引率になっております。これらにつきましてこれらがことに最近非常に通勤客がふえておる、しかも通勤客には非常に膨大な金がかかる、こういったことからいたしまして、調査会の答申といたしましては、学生定期及び通勤定期についてある程度の調整をしろという答申を出しておられます。ただ通学定期につきましては通勤定期と違う、ことに通勤定期は、最近は割合に勤務先で持つ、すなわち、公務員も六百円までは国家でもって通勤費を負担してくれるということになったわけでございます。これらとも関連いたしまして、勤め先でもって相当通勤定期を買ってくれる、すなわち、通勤定期が会社の経費になってしまっているというのが大部分の社会情勢になりましたので、それらと関連して、学割についてはある程度調整率は考えるということであります。
  245. 岩間正男

    岩間正男君 第二は……。
  246. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) これらにつきましては、今案を検討いたしておりますが、その次の、今度の、今考えておりますこの学割の改正を実施いたすといたしますと、二十八億のうち約八億でございます。八億が私の方といたしましてはふえますが、ただ逆に私どもといたしましては、さっき申します通り、なるべく学生にいろいろな意味でよけい乗ってもらうというような意味から割引証の枚数をふやしたい、ある意味では鉄道に親しんでもらうというような意味も含めまして、そういった意味もございますので、それによる、さっきちょっと松永先生が御指摘になりました、ある意味に減収分は含めませんで、この分からの増収分を含めますと八億でございます。
  247. 岩間正男

    岩間正男君 学割定期ですね。去年騒いだわけですね。一昨年か、一昨年の運賃値上げのときにだいぶ騒いだ。それで、しかも今までの五円区間のものを十円にするとか、そういう形で相当上ったわけです。あのとき一割六分くらい上っている。私も運輸委員をやっておったからこまかい計算をしておった。そういう中でまた上るというのですか。これは全体の運賃の値上げの問題と関連してくるわけですが、学割定期を非常に使っているところ、圧倒的多数使っているところは東京、京浜、京阪、こういうところですね。営業係数は六十五くらいじゃないですか。つまり五割以上のもうけになっているところですなあ。こういうところもやはり勘案して、これはあまり上げない方がいいのじゃないか。  それからもう一つ、第三に、私は伺いたいのだが、去年の三月二十六日の運輸委員会で、私運輸委員をやっていたときに国鉄総裁の出席を求めて、運賃値上げがどうしても必至なような財政経済政策をとっている、国鉄は。そこで、これはどうしても今のやり方になるというと上げざるを得ないようになるのじゃないか、しかしこれは、はなはだけしからぬじゃないか、これはこの前上げたばかりで、しばらく上げないということを言っているのに、また近い将来上げなければならないのじゃないか、こういう質問をしたところが、国鉄総裁は、私の在職中は運賃値上げをいたしませんと答弁している。これは私の質問に対して答弁している。三月二十六日の運輸委員会の速記録を見てごらんなさい。こういうものとの関連があるときに、学生のようなところにそういうしわが寄ってくるのは、はなはだ困るのですが、こういう問題はどうしますか。
  248. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまのお話の初めの方でございますが、実は私の御説明が不備だったと存じますが、松永先生からお話のございましたのは、いわゆる私の方の言葉で学割と申しておりますもので、これは五割引の遠距離旅行の場合です。先生のおっしゃったのは、通学の定期のお話だと存じます。ですからちょっと話が変って参りますが、通学定期については、ちょっと先ほど申し上げました通り、結局、これは通勤定期なり、あるいは普通定期と申しまして、行商人の使っておりますのは普通定期と申します。いわゆるかつぎ屋でございます。これらが、たとえば千葉、茨城から東京へいろいろ持って来る、これはやみ屋でなくほんとうのかつぎ屋でございます。これが荷物をかついで来る。これは普通定期で相当の割引をしています。で、全体の定期がいかにあるべきかについては、いろいろ原価計算をいたしております。もちろん、先生のおっしゃった通り、東京、大阪については、これは営業係数としては、非常に、全国的に見ればいい方でございます。もちろん北海道とかあるいは東北、四国等に比較いたしますれば、非常にいい方でございますが、ただ最近の通勤輸送のふえ方というものをちょっと数字でもって御説明を申し上げますと、現在は、大体通勤客と普通客の割合が、ごく大ざっぱに計算して六五対三五くらいでございます。六五%が通勘客、三五%が普通客といったような割合で、これは戦争前の状態に比較いたしますと、戦争前は約半々、定期と普通客の割合が半々であったものが、どんどん最近定期客の割合がふえている。逆に普通のお客が減っている。この状況から申しますと、今の通勤事情、すなわち住宅の問題その他を比べまして、しかも国鉄の定期は割合安いということから、国鉄沿線に、最近ごらんの通り、非常に膨大な団地、あるいは住宅地がどんどんできております。これらが全部国鉄の通勤輸送にかかって参ります。従って通勤輸送は、最近ごらんの通り、べらぼうないわゆる金を使って、車両の増備、あるいは線路の増設、駅のホームを広げるといったように、年間約七、八十億の金を使って通勤輸送の改善をいたしおるわけでございます。これらの状況は、非常に急激な通勤客の増加でございまして、東京、大阪付近の営業係数がいいと申しましても、これら定期客の最近の原価を見ますと、大体一般の原価に対しまして、六七%という相当高い数字が出て参っております。これは主として車両の改善、設備の改善のために上った数字でございまして、従って、定期と申しましても運賃は安い、非常にこんでおりますが、必ずしも原価から申しまして、一般原価の何分の一というほどの低額な原価しかかかっていないというわけではないのでございます。これらにつきましては、もっと原価計算を詳細にいたしまして、定期だけの原価を出してみる必要があると思いますが、いろいろそういったことをやっております。今までの試算の過程におきましては、定期などの一般運送原価に対して六七%という数字も、実は想像しなかった程度に高い実費がかかっているという結果を示しております。  運賃値上げの次の問題、総裁が三月二十六日に御答弁申し上げたというお話でございました。今私はちょっとそれを持っておりませんが、今度の問題は、何と申しますか、あの当時先生も御存じの通り、たとえば貨物につきましても、いろいろな等級改正の問題があったわけでございます。運賃制度全体の不合理と申しますか不均衡と申しますか、そういうことの是正について、実は一緒にやるべきじゃないかという御意見も相当あったわけでありますが、それらを一緒にやりますと、一般の運賃値上げと、それからそういった不均衡不合理の是正ということと一緒になりまして非常にある局部の人については大幅な値上げになるということで、これは二度に分けるべきだというようなことがございまして、従って調査会もできたわけでございますが、まあ運賃値上げはこれは、たとえば学生なら学生としては運賃値上げでございますが、全体といたしましては、これから上りました金は、通勤輸送に使う、あるいはそのほかの設備の改善に使うというような方法でやっていくことになるのじゃないかというふうに、まあ総裁が申しましたことを私が申しましても御答弁にならないかもしれませんが、私としては、そういうふうに了承いたしております。
  249. 岩間正男

    岩間正男君 時間がないから、ここでは、運輸委員会でないから、論議やりませんけれども、しかし、いろいろそういう解釈でごまかしてはまずいと思うのですね。運賃値上げしないとはっきり言っているのだ。国鉄総裁がやめてやるのだったらいざ知らず、今直ちに値上げすれば、これはわれわれ黙っていられません。この点は、特に学生あたりにしわがいく。学生の方は、定期なんか九割二分今まで引いていたのだ。今度は相当に是正するのだということで、相当にこれはこの前も騒がれた問題だ。だから、十河さんに話して下さい。どうするのだ。速記録でちゃんと、いやしくも一国の国鉄総裁が、国会委員会ではっきり言ったその言葉に食言するようなことだと、私は大へんだと思う。古武士のような風格をしていますから、よくあなた、営業局長さん話して、そうしてああいう問題もあるのだから、あれをやっぱりちょっと……。
  250. 相馬助治

    委員長相馬助治君) はい、伝えてもらいましょう。  ちょっと速記をやめて下さい。    午後五時四分速記中止    —————・—————    午後五時二十四分速記開始
  251. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記を復活して下さい。  散会いたします。    午後五時二十五分散会