運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1959-09-10 第32回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年九月十日(木曜日)    午前十時二十九分開会   —————————————   委員の異動 八月三十一日委員安田敏雄辞任につ き、その補欠として戸叶武君を議長に おいて指名した。 九月二日委員江田三郎辞任につき、 その補欠として大河原一次君を議長に おいて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀本 宜実君    理事            櫻井 志郎君            仲原 善一君           小笠原二三男君            戸叶  武君            森 八三一君    委員            青田源太郎君            秋山俊一郎君            石谷 憲男君            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            重政 庸徳君            田中 啓一君            藤野 繁雄君            東   隆君            大河原一次君            北村  暢君            清澤 俊英君            小林 孝平君            棚橋 小虎君            中田 吉雄君            千田  正君            北條 雋八君   国務大臣    農 林 大 臣 福田 赳夫君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    公正取引委員会    委員長     佐藤  基君    農林政務次官  小枝 一雄君    農林省農地局長 伊東 正義君    農林省振興局長 増田  盛君    水産庁長官   西村健次郎君    通商産業省繊維    局長      今井 善衛君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選農林水産政策に関する調査の件  (亜麻に関する件)  (農林漁業関係災害対策に関する  件)  (国有林に関する件)   —————————————
  2. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  理事補欠互選についてお諮りをいたします。先般、戸叶委員が一時委員辞任され、理事が一名欠員になっておりますので、その欠員互選を行います。  互選の方法は、成規の手続を省略して、便宜委員長から指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 御異議ないと認めます。  それでは戸叶武君を理事に指名いたします。
  4. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 亜麻の件を議題にいたします。  この件について、東及び北村の両委員から発言を求められておりますので、この際御発言を願うことにいたします。  なお、当局からの御出席は、公正取引委員長佐藤君、農林政務次官小枝君、農林省振興局長増田君、通商産業省繊維局長今井君の四名が出席されております。
  5. 北村暢

    北村暢君 私は、今度の帝麻と中繊の合併申請に対しまして、過日公聴会が開かれたのでございますが、この公聴会を私も終日拝聴さしていただきまして、この公聴会公述人意見等も一通り全部聞かせていただきました。そこで、公聴会の問題の意見の中でいろいろ出ておるのでございますけれども賛成の方が圧倒的に多いのでございます。これは亜麻の同業者あるいはその関連繊維産業各種団体あるいは生産品の販路における関係業者あるいは通産、農林北海道農務部長、こういう関係の官庁の意見がそれぞれ出ておるわけでございますが、この中には、私はそれぞれの貴重な意見を出しておられると思いますけれども、その趣旨独占禁止法趣旨に沿った公述がなされておるというふうにとれる意見ももちろんありますが、そうでない独禁法等の認識というものをどの程度持っておるかというふうに疑われるような意見も相当あるように見受けられるのです。従って、そういう意見については、私は、公取としては、この賛成意見が多数であったからということをもって直ちにこの判決に対して、いわゆる経済憲法である独禁法番人である公取委員会がそういう意見に直ちに賛成するとはもちろん考えません。  そこで、第一に問題になるのは、やはり集中度の問題が、今度の申請に対して決定をする場合の大きな要素になるのじゃないか、このように考えまするので、この点からまずお伺いいたしたいと思うのですが、大体、今度の合併によって亜麻におけるあるいは関連苧麻を含めての集中度というものは、私ども調査したところによれば、大体亜麻全体からいけば八〇%程度集中度になる、それから苧麻を含めて五〇%程度集中度になる、こういうように考えられておりますが、若干の差があっても、このことはそういうふうになるのだろうと思うのです。これについて公取ではどのような調査の結果になっておるのか、また、集中度に対する見解はどうなのか、ちょっとそれからお伺いしておきたい。
  6. 佐藤基

    説明員佐藤基君) ただいまのお話亜麻苧麻糸及びそれ自身亜麻につきましては、北海道亜麻増産協会調査によりますというと、今度合併する二つ会社の全体が北海道全体の七九・六%という数字になっております。それから通産省の調査によりまして、糸の方につきましていうと、亜麻糸につきましては、それが五七・六%、苧麻につきましては三・九%、それを合計いたしますと、四四・八%ということになっております。そこで、今お話集中度の問題でございますが、会社合併することによりまして、集中度が非常に高くなるということは、一般的に申しますというと、独禁法の問題になる、これはお話通りでございます。ただ集中度というものを何で考えるかという問題でございます。これにつきましては、独禁法におきまして合併によって一定取引分野における競争を実質的に制限する場合には、合併をしてはならないという規定がある。そこで、一定取引分野ということをどう考えるか、お話通り昔におきましては、麻に限らず生糸にいたしましても、また羊毛にいたしましても、それが独立して使われておるという状態があった。そこで、その取引分野は、その場合におきましては、麻自身取引分野であり、毛が取引分野であり、絹が取引分野である。ところが、最近の傾向といたしましていわゆる合成繊維というようなものが発達いたしまして現在におきましては、その合成繊維が、麻について申し上げますというと、消防に使うホースであるとか、あるいは洋服のしん地であるとか、あるいはかやであるとか、そういうふうな分野におきまして、従来麻が独占しておったものに対しまして合成繊維がどんどん入ってくる。特に合成繊維は御承知の通り化学的に作られるものでございますからしてその品種は科学の進歩に従ってどんどん改善されておる。増産によって値も下ってくる、ところが、天然繊維におきましては、もちろん品種改良増産ということは関係者は非常に骨を折っておるのですけれども化学繊維とはだいぶ趣きが違う、こういう状態でありまして、そこで、現在におきましては、この麻についての取引分野というのは、麻プロパー考えるか、あるいは他の繊維からも入ってくるのであるからしてもう少し広い見地から考えるかという、これがわれわれとしては重要な問題であります。繊維全体から見ますというと、麻というものは、約一%、ごくわずかなものである。それで現在におきましては、われわれの方としては、ただいま研究中でありますけれども、麻だけ切り離して何%ということは、経済実情に合わないのではないか、一定取引分野という見地からいうと、麻だけを考えるということは経済実情に合わないという見解を持ちまして先ほど申しました数字というものは、あれは間違いないものと思いますけれども、それは麻が独立取引分野を有する場合においては非常な問題だけれども、現在において、ことに近い将来、ますます麻の取引分野独立性というもの、これは絹についても羊毛についても同じでありましてそういう見地から一定取引分野というものをもう少し広く考えることが経済実情に合う、こういう見地で今審議しておる状況であります。
  7. 北村暢

    北村暢君 私も、その点が今度のこの審決をするのに一番大事な点で、従来、両者合併の意向があってもこれを拒否されてきておるが、最近になってやはり経済の、産業の事情というものが変ってきた、そういう中でいかに独禁法を運用するかということでこの問題が申請され、そして今日問題になっておる。そこで、この麻独自の問題であれば集中度がこれだけ高くなるわけでありますから、これはもう従来の考え方からいけば当然合併は認められない。これはもう今までの常識からいえば当然そうであろう、公聴会における公述人意見の中には、そういう競合繊維との分野における、いわゆる一定取引分野考え方における今申したような合成繊維との競合というようなものを考えない場合の意見として五〇%程度であるから、これは独占にはならないのだという意見なんかもだいぶあるようです。これは私は論外だと思う。そこで、やはり問題になるのは、今申した合成繊維との競合面における独占度集中度、こういうものが問題になる。これは朝日新聞の土屋さんもそこが問題だ、そしてまた、業者申請理由もそこにある。そこで、実はそのことを適用したように考えるということになって参りますと、麻は確かに全繊維からすれば一%足らずの地位しか占めておらない。しからば、絹糸はどうか、絹糸はこれも一・何%、二%まではいっていないわけです。そういうことからいくと綿紡糸、それから毛糸、それからスフ、合成繊維、いろいろな繊維があるわけですが、そういう点からいくというと、亜麻にせよ、絹糸にせよ、全繊維というものから考えれば非常に低い。パーセントであるということでありますから、そういうものを絹は絹の競合面において考える、取引分野において考える、こういうことになってくるというと、この今までの独禁法企業合併というものを押えてきた考え方というものが、この帝麻、中繊の合併を認めることによって、これは大きくほかの部面に影響してくる、こういうことが考えられるのです。そこで、私はこの問題について非常に慎重にやってもらわなければならない非常に重大な問題であると思っている。そこで、この前の雪印とそれからクローバーの合併の際にも、相当多数の同業者反対があったのだが、これは合併を認めたそのこともあるのですが、これは前例としないということになっているわけなんです。前例としないということになっているのだが、また、この中繊、帝麻合併というものが認められるということになると、この企業合同というものが認められるということになるというと、独禁法というものの権威といいますか、何といいますか、これが解釈によって非常にゆがめられてくるのじゃないか、このように考えさせられるのです。それで非常に心配しているわけなんですが、そうすると今の公取委員長のお考えですというと、帝麻、中繊にかかわらず、今後こういう繊維全体、繊維ばかりでなしに、これは紙パルプ関係だっていろいろあるわけですが、電力関係でもあるわけですが、そういうようなことについて考え方を変えていこうという方針をおとりになるおつもりなのかどうなのか、そこを一つお伺いしたい。
  8. 佐藤基

    説明員佐藤基君) 私どもの方といたしましては、この法律を忠実に解釈していくわけでありまして、経済情勢の変化によりまして、今の天然繊維人造繊維の問題ですね、帝麻と中繊との合併問題は数年前にも問題になったように聞いております。そのときにおきましては経済情勢が今とたいぶ違うのであります。だから、解釈を変えられると言うけれども詭弁といえば詭弁かもしれぬが、われわれの方としては、一定取引分野は何かということが問題なのであって、何も麻という天然繊維独立考えるような経済情勢の場合この天然繊維独立考えることが経済情勢に合わぬということになれば、それによって一定取引分野考えるのであって、解釈を変えるというと、ちょっと語弊があるが、われわれとしては、同じ解釈を、一定取引分野内容がどうとか、経済情勢が幾ら変ってもそんなことは関係ないと言えないので、やはり経済情勢に応じて解釈していく。だから、この合併がかりに、まだこれから審議をするわけでありますが、合併がかりに認められたからといって、公取委の見解が変ったのじゃなくて、一定取引分野というものは何であるかというその解釈問題であると、こう思います。だから、この自後いろいろ会社合併につきましても、一定取引分野における競争を実質的に制限するかどうかという、この独禁法の十五条の一項の一号に書いてある、これに合うか合わぬかということを法律的に冷静に判断していく、こう思っております。
  9. 北村暢

    北村暢君 この問題は私異議ありますけれども、納得はしませんけれども、次にあれしますが、この一定取引分野の問題についての亜麻製品取引分野、これは売手競争の場合です。ところが、買手競争の場合、これを全然無視するわけにはいかないということは公取でもお考えになっているようですし、また公述人にもこういう問題の意見を聞いておられるわけであります。こういう点からいけば公取としては買手競争の問題について考慮をするのかしないのか、この点。
  10. 佐藤基

    説明員佐藤基君) 今のお話買手競争の問題でありますが、実質論といたしては十分考えたいと思っております。ただ法律的に申しますと、これは立法上の問題は若干あるかと思いますが、同一供給者から、同一または類似の商品または役務の供給を受けるということは、これは条文では、第二条の四項のただし書きにあるのでありますが、いわゆる買手競争は、合併については適用しないということを書いてあります。立法論としては、相当疑問があると思いますけれども、だから、法律論としては何も考える必要はないのじゃないかということが言えるのじゃないかと思います。しかし、これは法律論であって経済論としては、十分その点は考えるべきだと思い、また、この間の公聴会における公述人の御意見にもそういう点に触れた意見が多かったのであります。
  11. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、法律論においてもこれを認めるべきだという意見の人も、少数意見ですけれども、これは公取委員会委員の中にあることは事実なんですね。公取の方から出している雑誌の中にそういうことを述べている、公取委員の方が述べておられるわけです。法律論としても当然考えるべきだという……。従って、これを無視できないということは、また経済的に多数意見がそうであったとしても、また経済的に見て無視できないのだ、こういう御意見のようでありますが、十分買手競争の場合も考える、こういう御意見ですから、そういう前提に立って申し上げますが、この亜麻の場合は、集中度が、先ほどいったように八〇%近い集中度になる。それも地域的には特に北海道というところに限定をされておる。大部分が北海道に限定されておる。従って、この買手独占になって買手競争の場合に、帝麻と中繊でもって八〇%を占めて、残る二〇%が日本繊維、こういう実情になることは、はっきりしておるわけです。その場合に、私は、どうもこの公述人意見でわからないのは、これだけの集中度になるのに、当の日本繊維工業が、これに対して両者合併には異議がないという意見を出しておられる。これはどういう考え方から出されたのか知りませんけれども、私ども買手市場の点からいえば、これはやはり同業者として、これだけのものになるのだから、相当やはり意見があるはずだと思うのだが、まあ異議ないということになっておりますから、それは私は異議ないものを異議あるのだと、こう言ってみてもしようがないのでこれは言いませんけれども、そういう集中度になる。非常に高い集中度になる。これに対してどのような考慮を払われるおつもりなのか、お伺いしたいのですが。
  12. 佐藤基

    説明員佐藤基君) この買手市場の問題はお話通りであり、法律上の問題から離れても、経済的にわれわれも実は心配しておるのです。ところが、公述人意見その他、われわれの調査から見ますというと、ことし作る麻につきましては、前年の十二月から、一月、二月の間に団体交渉をする、各地の農民団体団体交渉をやっていく。従って、いわゆる買手独占心配があまりないということのみならず、亜麻というものが、あまり買う方で値段を安くということになれば、やはり農民が何も亜麻を作らなくても、要するに収穫上の収入があればいいんですから、今一応問題になるのはテンサイ糖だと思いますが、そちらに変っていく。だから、経済上の制約からいっても買手独占にはなり得ないということが、この間お聞きになったと思いますが、北海道庁意見もあるし、あるいは、たしか農林省意見もあったかと思いますが、買手独占の、いわゆる買手によって独占、だから価格を不当に引き下げるという心配はまずないというのがこの間の御意見であったように思います。そういう点を考慮してわれわれ結論を出したいと思います。
  13. 北村暢

    北村暢君 そこで、その問題は私は非常に重要だと思うし、買手競争の場合、その団体交渉でもってきめるから独占価格として買いたたきをされるという危険性はないのだ、そういうおそれはないのだというのが、これは道庁から農林省から、それから北海道生産連中央会全部その意見なんです。そういう意見なんですが、実際にこの合併申請する以前に不況カルテル申請して許可されてやっておるわけですね。そういう中においてすでに生産者価格が下げられている実情がある。これはやはり団体交渉の中でやっている。やって、不況カルテルのために、ためにとは言いませんけれども、下っている実情がある。これは私はやはりこれの下げる場合のいきさつ等についても、農民の方自身から聞いている場合、これは団体交渉でやはり三者——帝麻、中繊、日繊と三者があって、そうして団体交渉に応ずる場合に意見があるわけなんです。で、三者が意見がなかなか一致しない、そういうところにやはりこの農民生産者価格というものが守られてきている。ところが、今度一本になって八〇%という集中度を持つわけなんです。そうなればこれは当然この独占価格というものを形成する危険性というものがある。団体交渉をやるからそのおそれがないんじゃなくして、団体交渉という民主的な手段ということをとるからその心配はないということではなくして、団体交渉の中において、必ずこの独占価格においてたたかれていく、これはカルテルを結成したときにすでに千円下げられているのですから、これはもう企業合併をして独占価格を形成していくと当然これは強力になる。そうしてまた亜麻は不利なところには作らなくてもいいんじゃないかという。農民は買いたたかれれば作らなくなるのだから、そういう心配はないのだ、こういうことは私は非常な行き過ぎな暴論だと思うのです。これはあとから農林省にも私質問いたしますが、農林省増産政策をとってきている。それだけに買いたたかれれば農民は自主的に作らなくてもいいんだと、こういうことになるのだから、買手競争において独占価格を形成する心配はないのだ、これは公取としても十分考えるべきことであると思う。こういうふうに思うのです。どの程度考えられるか、公聴会意見は全部そういうふうな意見が出ているのだ。それを真に受けるというと私は大へんなことになると思う。で、実際に農民生産団体である生産連あるいは中央会等はそういう賛成意見を出しておる。実際に耕作農民である農民同盟は、これは反対意見を出しておる。で、生産連なり中央会がそういう意見を出したということについて、私は、昨年の輸出入取引法の改正の動きのあったとき、このときに農業団体は一斉に反対をいたした。あるいは輸出カルテルを結成する、こういうときに反対をしている。これはもうすでに公取で御存じの通り、それを、輸出カルテルを結成するより越えて独占化を強行するこの企業合併というものに対して、農業団体賛成するというのは、私は、どうしても話が合わないし、わからないのですよ、これは。従って、これは北海道中央会なり、北海道生産連反対しているので、私はまあこれは中央農業団体が、これは反対するのか賛成するのかというふうにまで押し詰めていくと、こういう結論が出たのかどうだかという、非常に疑問を持っている。ですから、輸出カルテルにさえ反対する農業団体なんだから、それを飛び越えてのトラストに発展するこの企業合同というものに賛成をする、しかも、この企業内容がよくなるということで主張しているこの一定取引分野におけるそういう面からして、合成繊維との関係からいって、これは今後十分考える必要があるというならまだ話がわかる、買手競争の方においては、明らかにこれは八〇%の集中度になるということははっきりしているのですから、そういう面について独占価格心配がないという意見を吐くということは、独禁法というものをどういうふうに理解しているのか、私は理解に苦しむのです。ですから、これらの点についてそういう賛成意見があったからということで、これは北海道庁農林省も、それか農ら業団体賛成している、賛成しているからといって、ほんとうに生産をしている生産農民団体である農民同盟というものが反対しているのだから、この点については、私は、公取としてやはり声なき声というものを聞く腹というものを持ってなければ、この独禁法番人である公取の任務というものは、私は完全におおせないんじゃないか、こういうふうに考えるのです。それに対してまあどういうお考えか。
  14. 佐藤基

    説明員佐藤基君) この点につきましては、先ほど私が申しましたのは、公聴会を通じて述べられた多数の意見を述べているのであって、先ほど申しました通り、私の方じゃ結論が出ておりませんので、十分お話の点は考え結論出したいと思います。
  15. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 私が頭が悪いからわからぬのかもしれませんが、今度改選になってから出られたという方は初めてじゃないかしら。ですから、この問題はこうこうこういう問題で審議するのだというのでないと、やぶから棒に、合併ということはわかりますよ、どういうわけで合併するのかということを聞かしてもらわぬと、私は関係ございます自分の問題を持っておりますから、どういうわけで会社合併するのか、それを聞かしてもらってから議題に入ってもらわぬと、私が頭が悪いからわからぬのでしょうが、ほかの方は知っているかもしれません。それをやぶから棒に審議されてもわからないから困る。(「賛成」と呼ぶ者あり)そうでないと、お話、何の意見聞いてもだめだと思います。どういうふうに合併するか、どういう会社はどうするのだということも全然わからない、それを聞いてからやってくれ、迷惑千万だ。
  16. 佐藤基

    説明員佐藤基君) 今の問題、ごもっともな御質問で、その点をあらかじめ説明しないとおわかりにならぬかと思いますが、便宜、私からお話ししたいと思いますが、これは中央繊維会社という資本金五億です。それから帝国製麻資本金七億二千万円。この二つ会社合併したいと、こういうわけなんです。それで公聴会をするにつきまして、その合併理由というものを私の方から発表したんでありますが、それによりますというと、この二つ会社はかつて集中排除法に基いて分割された会社であります。その会社が分割されておったのでありますけれども麻産業経営で重要な前提条件というべき原料需給中央繊維——甲会社から奪い、かつ両社をして、いつも細糸から太糸まで生産するという不合理な経営態勢を余儀なくとらしめることによって両社経営をきわめて脆弱不安定化したものであるが、この結果はさらに経営安定のベースに達しない弱体な麻メーカーの併存をもたらし、麻業界過当競争を惹起することになったのである、こういうことになっております。というのは、どっちの会社か忘れましたが、甲の会社太糸の麻を作っている、乙の会社は細糸を作っている。お互いに競争するからして太糸を作っているものも細糸を作りたい、細糸を作っているものも太糸を作りたい、こういうふうな競争経済的にみて、あまり利口な方法でない。そこで、両社合併すれば、いわゆる経営の合理化と申しますか、そういう点でうまくいくのじゃないかということでございます。それから、最近における合成繊維の進出は目ざましく、ことに麻の従来における需要分野合成繊維によって逐年著しい代替を受けつつあるので、これが両社経営にとって相当の弱点となっているのが現状である。これは先ほど申します天然繊維、絹であるとか、毛であるとか、綿であるとか、麻であるとか、こういうものが従来はその天然繊維だけで独立分野と申しますか、取引がされておったところが、現在は用法がだんだん変ってきて、ことに合成繊維というものが化学的に非常に進んできたものだから、合成繊維と従来の天然繊維と混紡するとか、交織するとかいうことで、天然繊維独立分野というものがだんだん薄らいできた、全体が一つの繊維取引市場になってきたと、こういうことを言っているわけです。そこで、両社経営にとってそういうふうな合成繊維との争いが非常に競争がひどい、ひどいのでこの両社合併して経営を健全にもっていきたい、こういうことであります。  それから次に、今まで申しました諸事情にかんがみ両社はこの際合併し、重複設備及び販路等の合理化をはかり、多角化を強化して、その経営基礎を確立することによって麻製品の生産販売コストを低減して消費者に奉仕し、あわせて輸出の増進をはかるとともに麻業界安定に寄与しようとするものである、こういうふうな理由合併したいということを公取の方に申しております。その問題であります。
  17. 田中啓一

    ○田中啓一君 大体その合併申請理由というものは今公取委員長から聞いてわかりましたのですが、しかし、どうも私ども、今後農産物の、大ざっぱにいえば、加工会社であります、繊維であろうが、衣料であろうが、これは非常に大切なもので、結局そこの段階がいいものを作り、需要、消費を開拓していかなければ農業をやっていかれないというようなこと、それで今ちょっとお話を伺いましたが、これはどうも独禁法を作った時分に、なま木を裂くように、とにかく理論上二つの方がいいというので分けちゃったというお話なんですが、それらの経緯ですね、それから今、合併理由というものは、まことに抽象的な理論が書いてあるだけで、われわれしろうとにはなかなかわかりにくいのですが、幸い繊維局長が御出席でありますから、分かれた経緯、合併しようとする経緯、また繊維の需給関係、消費動向から言ってどうだ、あるいはまた、経営の実態と申しますか、あまり小さいものを幾つもの会社でやっていることがいいかどうかということも、やはり問題になると思うのですよ。やはり一つの繊維の原料から糸にするという段階の会社のようにも思いますから、それはやはり相当の規模でなければ、私は能率が上らないだろうと思う。そういうことも考えられますから、これは一切しろうとのいろいろ気づきで申しておるんでありますが、繊維局長から一つ、実態的に御説明願ったらいかがでございましょうか。
  18. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  19. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) それでは本問題はこれで打ち切りまして、午後に再開をいたしたいと存じます。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕   —————————————
  20. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記をつけて。  農林漁業関係災害の件を議題といたします。  この件については、前回の委員会においても問題となったのでありますが、本日重ねて議題として、その後にわかった災害の被害状況及び全般的に災害対策の進行状況等について農林当局の説明を求めます。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  21. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記をつけて。  それでは御発言の向きは御発言を願いたいと存じます。
  22. 田中啓一

    ○田中啓一君 実はこの六号、七号の台風の間に起きました災害というものは、相当激甚な地方が各県にわたっておるのでありますが、実は岐阜県は非常に独自な様相を呈しておりまして、約三千町歩、三千戸の農家というものが一月水の下に沈んでおって、今ようやくたんぼが土の色を見せ出したという状態であります。そこで天災法に基く融資あるいは自作農創設法に基く融資というものをやろうということで、今それぞれ御調査中のように伺っておるのでありますが、実は旧村で申しまして三ヵ村ばかりがほとんど水につかっておる状態でございますが、そこは平野が低湿地帯で非常に、まあこんなことがなけらねば大豊作、よくできる、また農家の経営面積も割合大きい、三千町歩三千戸ですから、平均して一町歩あると、こういう所でありますから、実は自作農創設資金の貸付のやり方につきまして、まあ小さい五、六反くらいの農家であれば、貸してやらぬと土地を売るという状況になるのだが、一町歩以上もあればそういうようなことにはならぬだろう、実力はあるだろう、貸さぬでもいいだろう、こういうような運用方針がどうもこれは事務当局にはあるらしいのです。ところが、そこはそういう事情ではないので、幸いにして相当実力のある農村でありますから、確かに実力はあるのでありますけれども、牛を買ったり、また農機具を、このごろはやるトラクターを入れたりなんかいたしまして、一ぱいに資本を下ろしておる農家は農協には一文も金がないというような状況でありますし、それからまた農家によりましては、不幸働く者が何か病気しておるとかなんとかというような事情で、生活のためにかえって農協から金を借りておる。大きい農家であるけれども、借りておるというようなものあるように聞くのであります。でありますから、一つ、そういった農家の経営規模にかかわらず、この際どうしてもその金を借りなければ、来年までやっていけないという農家には一つお貸しを願いたい、こういうことを一つ特に大臣、政務次官、ことに政務次官には御調査いただきましたので、特に強調してお願いをいたしたいと思いますので、あえて申し上げたわけでございますが、どうぞ一つ御答弁を願います。
  23. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 ちょっと補足して。今、岐阜県の平坦部の約三千町歩の水害の話ですが、これは田中君の述べた通りのような状態に近い。しかし、米は一粒もできない。それからもう一つ私がつけ加えて申したいことは、非常に個人の財産がもう壊滅しておる。たとえていえば、家屋等の壁も落ちてしまうというような、また家財道具というようなものも全部消滅してしまうというような状況ですから、やはり経営面積を単位にするということは一つ考えてもらいたい、その状況によってですね。この点を一つつけ加えておきます。
  24. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 今回の災害につきましては、まあ金融上の対策を主力として考えておるのでございますが、まあ何をおきましても、災害補償法による共済金の支払いを取り急いでやらなければならぬ。追っかけまして、営農資金といたしましては、天災融資法を発動することにいたしておりまするから、これでいたします。また、食いつなぎというような意味合いにおきまする田中委員お話のものにつきましては、これは自作農資金の活用をいたして、これも弾力的な運営をいたす方針でございます。さらに施設の災害につきましては、公庫の災害復旧資金を活用することに相なりまするが、これもワクの制限等が通常の場合にありまするが、その制限にかかわらず、これを増額するということも考えておる次第でございます。なおまた、住宅等の問題につきましては、その復興資金を住宅公庫より貸付をするというふうに考えておりますので、いずれもそれらのものは、まあ災害の状況に応じまして、これに対処し得るようにいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  25. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 それからもう一件落しておりましたが、やはり岐阜県のような平坦地の問題ですが、とにかく一粒も今年度の収穫がない。しかも、土地が非常に肥沃な所で、経営面積も大きいというようなので、食糧の問題。それから岐阜県の希望とすれば、そういう力のある地帯に対しては、食糧の配給、食糧を来年度まで貸してもらいたい、来年度の作ができたらば、当然返す能力はある。来年度の予約供出に加うるに今年度の借りた食糧に対して、それを返還する力がある。当然力があるのですが、今資金を借り入れて、その資金で配給の食糧の代金を払うよりも、むしろ来年度まで拝借したい、貸していただきたい、こういう希望があるのですが、一つこれについて、今のそういう制度があるかないかということを僕も知らぬのですが、そういう方法をとっていただくことができるかどうか。
  26. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) その話につきましては、ただいま知事の方にも、そういう希望があるかどうかというようなことを取り調べてもらいたいのだということを当方から申し入れております。その結果を待ちまして、これは国の所有に属する物品の売却代金の納付に関する法律というのがありまして、この法律によりまして弾力的の運営ができると思います。御期待に沿い得ると思います。
  27. 仲原善一

    ○仲原善一君 施設災害の中の問題でございますけれども、この十万円以下の小さな災害については、従来補助金がなかった。経過的に申しますと、一時昭和二十八年から二十九年の災害の場合には、特別立法でこれを救済した例がありますけれども、今回にもそういう小災害が、三万円以上十万円以下の施設の小災害について、被害者の猛烈な要求、補助の対象の要求があるわけですが、これについてどういうふうにお考えになっていますか、その点だけお伺いしたい。
  28. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 十万円以下の小災害につきましては、これは小さいからというので、これは政府が一々介入するのもどうかというようなことで、従来は政府が介入しなかった。ところが、それが昭和二十八年のようなああいう歴史以来の大災害だというようなことでは、実情に即し得ないというので、十万円以上の補助復旧方式ですね、これと同様にいたすことにいたしまして、その補助を支給する災害の規模の限度を三万円まで引き下げたのです。その方式でやってみますと、これは一々こまかい仕事に補助金を出すというので手数が非常に繁雑である。また、その補助金の出し方について会計検査院等から批難をずいぶん受けたわけであります。これは三万円程度の小災害につきましても、これを救済ずる必要はあるのだ、あるが、方式は改めなければならぬというふうに存じまして、昨年の伊豆災害を中心とする災害につきまして、その趣旨はこれを実現するのでございますが、やり方を改めまして、地方団体が——市町村でございますが——市町村がその復旧事業に当ることにいたしまして、その復旧資金を、その必要な資金を市町村に対しまして起債をしていただく、その起債の償還につきまして、その元利を政府が補給する、こういうことをやったわけでございます。これは割合に好評でありますので、私どもといたしましては、今度の災害につきましては、二十八年度補助金方式でなくて三十三年度にとりました元利補給方式による起債方式でやる、こういうことをただいま考えておる次第でございます。これをいたしますには立法を要するわけでございますが、しかし、立法はあとの元利補給について必要に相なりますので、起債につきましては、早急にこれを考えておるという方法で、意見の調整をしておるわけです。
  29. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 ただいまの大臣の起債方式に対して、伊豆災害でおとりになった方式について、会計検査院や大蔵省から多少反対の意向が出ておるやに仄聞するのでありますが、伊豆災害と同じような方式で断行されるお考えでございますか。
  30. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) さような考えでただいま意見の調整をいたしております。おそらくそういう方向できまると思います。
  31. 森八三一

    ○森八三一君 まことに残念なことでありますが、連年同じような格好の災害が相次いで、これは地理的の条件その他から不可避的のものでありまして、どうしても災害の復旧を早く安心してやれるような形をとっていく必要があると思います。そこで今、大臣がお話のように、復旧のためには現行の法律では十分でないために、新しい立法をしなければならぬ場合が多々存在していると思うのであります。今までの昭和二十八年の十三号台風以来これまでを考えてみますと、大体いろいろなケースのほとんど全部が出尽している。その場合に、そのときどきに処して臨時立法をいたしまして対策をとって参ったのですが、ともいたしますると、そのときの情勢によって、振り返ってみますると必ずしも公平に行われているというわけには参っておらぬような点もないわけではないと思うのであります。そこで、私は今年の災害対策問題ではありませんが、今まで起きた各種のケースを考えてみますと、どういう場合にはどういうような措置を必要とするかということは、おおむね想像がつくと思うのであります。そこで、将来に備えるために、この際、災害復旧に関する何か基本立法を一ついたしまして、その範囲で、ただ問題は経費があるかないかという問題ですが、予算の点だけは他日補正をすれば間に合うことでございますので、早急に安心をしてやれるような基本立法、たとえて申しますれば、米のお話にありましたような貸付をするようなことだとか、あるいは米を安売りした場合におけるその補給の問題とか、現在の天災法によりましても高率の金利補給をしようとする場合には新しい立法を要するとか、いろいろな現行法だけでは始末のつかぬ場合がたくさんある。そういう場合に、国会中でありますれば、直ちにそういう手続はとれまするが、国会がございませんというと、その手続をとるために相当長時間を要する。第一線の連中は、やってもらえるのかやってもらえぬかという安心がございませんから、必ずしも勇敢にやるというわけに参りかねる場合も多々存在すると思います。そこで私は、そういうあらゆるケースを考えて、どういうような程度の災害の場合にはどういうふうにするというような基本立法考えておく必要があるのじゃないかという感じを持つのですが、大臣、こういう点について御構想がございますか、将来そういう問題は考えておられるのです。か、そのお考えを伺いたいと思います。
  32. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) まことにごもっともなお話と思います。私もこれは熱意をもって一つ検討していきたいと、かように考えております。
  33. 千田正

    ○千田正君 今度の災害に限ったわけではありませんが、従来災害の場合は、復旧は原形復旧というのでほとんど大部分根本政策としてやっておったわけであります。ただそこにプラス・アルファの何事かがあれば、次の災害のような場合は必ずそれを防げる、あるいは損害を未然にのがれるというような場合におけるところのもう一段踏み込んだ施策が必要じゃないか、これは何も農林関係ばかりではなく、建設省の関係もそうでありますが、特にそういうことを強くわれわれは感ずるのであります。ことに農林省関係の問題としましては、水産庁関係の漁港の修築中の問題、そういうものは災害でやられる、もう少し早くできておったならば、あるいはもっとプラス・アルファのものをつけておけばここで防げるのだ、将来もそういう災害は除けるのだということがたびたびあるのでありまして、林道の問題にしてもその通り、こういう問題につきましては単なる従来のような原形復旧の形ではなく、それに対してプラス・アルファ、何事かをつけて完全な防災の態勢を整えることが、今後のいわゆるこうした災害を防ぐ大きな根本問題だと思いますが、その点については農林大臣はどういうふうにお考えになっておられますか。
  34. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 災害の復旧だからというので災害個所の原形復旧をするということを考える復旧方式は、これはまことに経済効率という点から見てマイナスになる面が多いのではないかというふうに考えます。ただいまは関連工事というようなことで若干復旧の範囲を広めておりますが、しかし、私は関連復旧というようなことでなく、効率復旧だというような趣旨におきまして災害以後は実施すべきものであるというふうな感じを持っております。お説ごもっともでありますので、さような方向で対処していきたいというふうに考えている次第でございます。
  35. 田中啓一

    ○田中啓一君 最後に、いささか老婆心でありますけれども、実は岐阜県で三千町歩大水になりました所は、堤防の切れ込んだ所は大体私の想像では五町前後の大きな池をなして、田畑は一朝にして池になっている、おそらく五町前後ぐらいの。しかも、深さは、深い所は十メートルも、堤防に近い所はあろうかと思っております。こういう池というのは、堤防をもとへ直すときも、そんなものを堤防の背後に置いておいたのでは、堤防そのものが非常に弱体ですから、ある程度は当然これは堤防の強化策としても埋めなければならぬ問題ですが、実は五町歩というだいぶ大きいものでありますから、これは田畑の原状復旧の方は農林省の所管だ、今もっぱら建設省が、堤防の復旧に多量の土が要るのでありますから、サンド・ポンプの船を二隻持って行って、盛んに川の方から泥を吹き上げて堤防を作っておる現状でございます。そのサンド・ポンプ船のある間に田畑の方へも一緒に砂を吹き込みましてすれば、この五町歩の池というのはたちまち原状復旧になるわけです。その機会をのがすと、またそこへサンド・ポンプを持って行ったりするのは、これは大へんな費用がかかることになりまして、結局は国損であろうと思う。結局災害現地をごらんになった政務次官もおいでになり、農地局長もおいででありますので、これは大臣をわずらわさぬでもいいですから、建設省と打ち合せて、こういうことは一つ手早いところやってのけておいていただきたい。これは、昭和二十六年の大水のとき、そういう池を作った場合は、同時に原状復旧をやってしまった。非常に百姓も喜ばれたということでございますので、まことに老婆心でございますが、一つ何とかそういうことを効率よくやっていただきたい。
  36. 千田正

    ○千田正君 水産庁長官にお伺いしますが、漁港関係その他におきまして、損害は今度のあれはどのくらいになっておりますか。また、それに対する長官としての方針はどういうふうにお考えになっておられるか伺いたい。
  37. 西村健次郎

    説明員西村健次郎君) お答えします前に、一言ごあいさつさせていただきます。  私、去る九月一日に水産庁長官に任命されまして皆様の御支援と御鞭撻によりましてやって参りたいと思います。  お尋ねの件でございますが、第六号、第七号等の台風等の被害の水産関係、これは漁港施設、総額で約十二億一千万円程度ではないかと思います。私、今実はきちんと集計したものを持っておりませんで、府県別のを自分で集計したものですから、多少数字が間違っておるかもしれません。もし間違っておりましたら、御容赦願いたいと思います。
  38. 千田正

    ○千田正君 これはその程度で済めば比較的軽い方だと思うのですが、私は途中で中座しておりましたからわかりませんでしたけれども、大臣としては今度の七月、八月の災害に対しましては、いずれも一括してこれに対しては対策をやる、こういう御方針でありますか、それを承わっておきたい。
  39. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) その通り考慮いたします。
  40. 東隆

    ○東隆君 私は、大臣にまだ申し上げておりませんが、先ほど金融の面で、自作農創設維持資金をお使いになる、そしてこれはきわめて弾力がある、こういうふうに言われております。私は、自作農創設維持資金はやはり本来の目的に使うようにしていただかないと、全国的ないろいろな計画に非常に差しさわりがある。そこで、災害に関して出した分については、すみやかにワクを補てんをする、こういうことをやって、そして当初の計画をうまくやっていくような態勢を作ることが、これが一番肝要なことでないかと、こう考える。それで、例年災害が起るたびに、実はこの自作農創設維持資金が災害の方へ回されてそして非常にワクが小さくて、しかも、貸し出しのワクも小さい、こんなことで非常に迷惑をしておるわけで、特に北海道では、大臣おいでになったでありましょうけれども、負債の問題で今たよるべきものは自作農創設維持資金しかないので、そんなような意味で、計画的に政治をする意味においても、一つ使った分は補てんをして、そして本来の目的の方に使う、そういうふうにして一つやっていただきたいと思います。御所見を伺います。
  41. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 自作農資金の本年度の予算は百億円、御承知の通りでございますが、ただいま災害等もあろうかというので、二十六億円これを留保があるわけです。昨年は伊豆災害等もありまして、やはりその復旧にこの資金を使ったわけでございますが、十億円くらい使っておりますが、今度の災害に対しましても自作農創設資金を多少利用さしてもらわなければならぬと考えております。万一これに不足を生ずるということがありますれば、もちろんそれは足らない額を補足するということをいたしたいというふうに考えております。もう少し様子を見まして善処する、かようにいたしたいと思います。
  42. 戸叶武

    戸叶武君 この自作農維持資金がいろいろの方に使われておりますが、ことに開拓者なんかにおいても自作農創設維持資金に依存する向きが非常に多いようでありますが、これにもいろんな難点があるのですが、聞くところによると、開拓営農振興臨時措置法改正案を用意しているということでありますが、それは通常国会に出しますか。
  43. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 開拓者につきましては、とにかく戦後農村の中でこれを階層別に分けますと、開拓農家というものは、非常に立ちおくれている、これが再建復興をぜひこの段階に来たら積極的にやらなければならぬ、こういうふうに考えておるわけです。さような意味で私も来年度の予算におきましては、これは重点中の重点であるというふうに取り上げていきたいと考えておるわけで、それに関連する諸法制につきましても、通常国会にはぜひ実現さしていきたい、こういうふうに考えております。
  44. 戸叶武

    戸叶武君 日本の国は地理的な関係、気候風土の関係からいって豊作の年には災害が伴わない傾向があるので、一面においては豊作で非常に農家は喜ぶと同時に、局部的であるが災害で非常に犠牲を払わなければならぬところがある、これが毎年のように台風常襲地帯といわれておる日本においては通例になっておるのですが、これに対するやはり、先ほどから千田さんも言いましたけれども、いつも起きることなので、起きて緊急対策が必要なのに、いつも緊急措置においてどじを踏むような点があるので、これは災害対策におけるところの基本法的なものができて、そしてすぐにそれが発動してどういう場合にこうというふうにやれなければ、いつでも私は同じようなことを繰り返しているのではいけないと思うのです。今度岸さんがイギリスに行っても、年寄りのチャーチルがすぐに聞いたことは、五年も日本が農作で百姓の生活がだいぶよくなって、日本経済もずいぶんいいんじゃないかということまでほかでは注意しているというか、ほかから見ると、むしろ日本の台風に対する基本対策というものが立ってないということが政治の面で一番おくれていると思うのですが、この機会に農林省なり建設省なり、まともに取っ組んでやらないと、だらしないものになると思いますが、それに対する具体的な構想をぜひお伺いしたい。先ほどの話では、お気持はわかりますが、もっと一般の期待しているのは具体的な方式だと思います。
  45. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 先ほど森さんからもお話がありましたが、私自身といたしましては、この際災害に対する根本的な対策というものをきめてかかるべきである、こういうふうに考えておるわけであります。まだ具体的にどういうふうに進めるかということにつきましては、この席でこれを申し上げる段階になっておりませんが、さような方向で鋭意取り組んでおるということを申し上げておきたいと思います。
  46. 千田正

    ○千田正君 農林省プロパーの今度の災害の総額はどれだけくらいになっておりますか。同時にまた、先ほどお話がありましたように、予備金からの支出が七十億ぐらいのことを大蔵省あたりは考えておるようですが、農林省プロパーとしてはどのくらいのものを要求しているのか、その点をお答え願いたいと同時に、臨時国会が開かれる場合に、当然これは予算要求等をしなきゃならないと思いますので、その辺のこともあわせてお答え願いたいと思います。
  47. 小枝一雄

    説明員小枝一雄君) ただいまのお尋ねでございますが、大体農地関係が百二億七千七百十二万二千円、林野の関係が百三十七億六千三百九十万八千円、水産関係で十二億一千三百三十八万九千円、総計が二百五十二億五千四百四十一万九千円、こういうことになっております。  なお、それにつけ加えまして農作物関係が相当ございまして、これはトータルで申し上げますと、被害面積でございますが、面積で三十五万三千二百町歩、大体これに対する米でありますとか、カンショでありますとか、雑穀でありますとか、そういうものを大体トン数にまとめまして二十六万三千トン、こういう次第でございます。
  48. 千田正

    ○千田正君 ただいまの次官の御説明によりますというと、二百五十二億五千四百四十万、こういう大体の数字が出ておりますが、今度のとりあえずの応急処置として政府が大蔵省その他と懇談中のものが七十億の予備金の支出を求めているようですが、その中に農林省関係からの要望としてはどれくらいのパーセンテージになっておるのですか。
  49. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) かわりまして申し上げます。今予備費の要求のお店でございますが、実は予備費の中で一番金高になりますのは農地局の農地なり農業施設あるいは林野の林道施設なり、治山の施設と思うのでありますが、実はこれはまだ大蔵省と共同査定に入りましたばかりでございまして、実はこういう方面につきまして予備費の要求はまだいたしておりません。それからそのほか開拓地の住宅の問題でありますとか、いろいろ対策を立てることがございますが、これにつきましても現在調査をしているような段階でございまして、農林省としまして、農林省関係で予備費を全部で幾らいただきたいというところまでの要求は、今度の七号台風あるいは八月末の大水害というようなことにつきましては、まだいたしておらぬというのが現状でございます。
  50. 千田正

    ○千田正君 災害に対する復旧は、非常にいろいろの段階を経て復旧しなければならぬと思いますが、そのうちで緊急に必要なものがあると思います。緊急に必要なものを、とりあえずの段階として、予備費の支出を要望しているはずでありますので、農林省として緊急にどうしても必要な大体の額はわからぬですか。
  51. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 今申し上げましたように、私の方の農地関係あるいは林野関係につきましてやっておりますことは、先生のおっしゃいますように、緊急に査定をしまして、ただいま工事の復旧をする必要性のあるところにつきまして、実は長野、山梨等を中心にしまして今緊急査定にかかっているというような段階でございます。金額的には、まだそれが出て参りませんと幾らということを申し上げかねますので、まだ今農林省としてさしあたり幾ら要るのだというような要求は実はいたしておりません。
  52. 千田正

    ○千田正君 一番われわれといたしまして心配な問題は、従来でもそうでありますが、夏に必要な物が冬に出てきたり、冬に必要な物が夏に出てきたりするような従来のやり方でなくして、やはり応急の処置としてやらなければならぬものは早急に講じてもらいたいということです。それから同時にまた、臨時国会が当然開かれる際におきましては、これらの問題を含めた予算の要求等を農林省から出さなければならないと思いますが、こういう点については、それだけの覚悟をもって臨時国会においては予備金支出でまかない切れないその他の問題を解決しよう、こういうような御方針でございますか、どうですか、この点をお伺いしておきたいと思います。
  53. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 私から前段の応急的な問題についてもう二言付言いたしますと、実は今の法律関係では、応急復旧費は将来災害復旧の対象にするということになっておりまして、農地や農業施設の関係でございますと、一カ所五万円以上で全額の二〇%以内というようなことを、事務的に大蔵省ときめておりますが、応急復旧は現場でやってよろしいというようなことに実はなっております。そういう意味で応急復旧的のことはいたしております。それを正式に幾らとして予備費を要求するかというようなことにつきましては、先ほど申し上げましたように、査定を待ちました上でやろうというふうに考えている次第でございます。
  54. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 他に御発言もないようでありますから、本件は本日はこの程度にして、重ねて当局の善処を願います。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕   —————————————
  55. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記を始めて下さ。  先刻の亜麻の件を議題といたします。まず前回の質疑に対し繊維局長の答弁を求めます。
  56. 今井善衛

    説明員今井善衛君) 先ほどの御質問に対して御答弁申し上げます。  最初に、今回の両社合併のバック・グラウンドともいうべき麻業界の現状について簡単に触れたいと思いますが、御承知のように、ほかの繊維につきましては非常にその景気が上昇して参ったのでございますが、残念ながら繊維業界のうち麻だけが景気に取り残されているような現状でございます。なぜ麻だけが競争に取り残されたかと申しますと、麻繊維の特徴というのは、これは非常に丈夫でかつ水にぬれたときに強いという特性がございましてそのために麻の需要というのは、工業用、つまり、たとえば畳糸だとか、あるいはしん地だとか、あるいは帆布だとか、あるいはホースだとか、そういった工業用途が非常によけいに占めているわけでございます。ところで、今まで丈夫である、水にぬれたときに強いという特性が、合成繊維の出現によりまして非常に大きな競争相手ができたということでございまして、たとえば畳糸につきましては、御承知のようにビニロンという合成繊維が非常な強さをもって現われて参っております。あるいは帆布とかホースというふうなことになりますると、綿布に特殊の加工をいたしまして、樹脂加工だとか、あるいはゴム加工だとかいうような特殊の加工技術というものが発達して参りまして、そのために麻に対する非常に大きな競争相手になったということでございます。従いまして、従来、主として麻が工業用資材として占めておりました……。主業用資材のうちでもって今大体麻製品がどれだけ占めるかということを計算してみますと、昔、大部分麻製品が占めておった分野において、現在わずかに三〇%きり占めていないということでございましてこれは麻業界が非常に不況から脱し切れない一番大きな理由でございます。  ところで、麻業界としてこの不況から脱出するために、いろいろ麻業界麻業界として共同でいろいろの努力をしているわけでございますが、まず、何と申しましても、やはり生産コストを引き下げ、あるいは需要の分野を開拓するとか、あるいは販売経費を節減するということが当然必要になるのじゃないか。今回のおそらく合併の動機というものはそういうところにあるのじゃないかと思います。たとえば中央繊維並びに帝国製麻は、たしか二十四年でございましたか、集中排除法によりまして分割になったわけでございますが、その際には、まだ今のような合成繊維というのは出現しておりませんので、相当強い会社であったわけでございますが、その分割いたしますときに、今まで一つの会社でございましたので、工場はそれぞれ番手による特性を生かしながら動いておったわけでございます。ところで、分割いたしますときに太番手または中番手、比較的太い糸の方は帝国製麻というところについていきまして、それから細い番手の糸をひく工場の方は、これは中央繊維の方に分割されたわけでございます。この細い番手あるいは太い番手ということによりまして用途がそれぞれ違うわけでございます。細い番手と申しますと主として衣料関係、それから太い番手ということになりますと工業用が主というふうな格好になるわけでございます。ところで、会社が販売努力を続け、あるいは新規に需要を開拓するという場合におきましては、製品にバラエティと申しますか、多様性を持つということがこれはやはり一つの大事なことじゃないかと思います。ところが、現在は、たとえば細番きりやらないとか、あるいは太番きりやらないということになりますと、どうしても需要を開拓するのに不便である、従いまして、両社とも、自分がたとえば細番きりやっていない場合には太番もやりたいという希望を持つわけでございますし、それから太番きりやっていない場合はまた逆に細番もやりたい、そうなりますと非常に工場経営としましては不経済経営になるわけで、両社合併して一つの会社として太番も細番も両方持つ。それからそれぞれの工場においてはそれぞれ専門的にひいていくということになりますれば、生産コストはそれだけやっぱり下っていく、もちろん合併によりまして販売に要する経費こういうものは今より下ってくる、こういうふうな、主として他の繊維に対して現在麻産業の受けております非常に苦難な道、それをいろいろのコストの節減によりまして打解して参りたいというのが今回の両会社合併の真意じゃないか、かように考えておる次第でございます。
  57. 東隆

    ○東隆君 私は公取委員長にお聞きいたしますが、実は亜麻は、これは戦争作物と、こういわれている。そうして一度戦争中には非常に無理な耕作を進めた作物です。値段は実は非常に安かったでしょうけれども、しかし、軍艦一隻には亜麻が二町歩とか、いろいろなことを申しましてそうして亜麻の耕作者を勧奨してきたわけです。そしてやったんでありますけれども、この亜麻のような特用作物は、公聴会でもって発言をされた、たとえば農業団体関係は、実のところ申しますと、あまり関係をしておらない。それはなぜかと申しますと、特用作物でありますから、従って、耕作者の間に、耕作者の世話人などいろいろなものができまして、その間に会社の指導者との間においていろいろ話が進んでいって、そして実は農業団体がこれにタッチをしておらない。それからずっと今までの歴史を考えてみまして、亜麻耕作者に対して国がそれならば力を入れたことがあるかと申しますと、戦争のときにはいろいろと要求はしたけれども、補助金であるとか、その他をあまり出しておらない、この産業は。そういうような経過をたどってきておるわけであります。そこで、なぜそういうようなことになっておるかというと、これは亜麻生産をされたときに、実は取引価格の決済なんかは、直接農家とやっておる。それから受け入れをするときに、実はこれは非常に燃えやすいものですから、そこで、協同組合は現場を扱わないで、そうして現在はやっと協同組合の帳簿を通して代金の決済をする、ここまで進んできておるだけでございまして、ずっと今までの歴史を考えてみますと、協同組合関係はほとんどタッチをしておらない。そういうような人が実は公聴会に現われて、そうして以前こういうようなことでもって分割したときに反対をしたのだから、そこで、そいつが今度合併をされるのだから賛成なんだ、こういうふうな意見を述べられている。しかし、私はこの際考えていただかなければならぬことは、もっと下部に入って、そうして農家の意見を聞かなければならぬ。その場合に、私は、一番やはり中心になるのは農民同盟だろうと思いますけれども、その農民同盟反対をされておる。しかも、実のところ申しますと、農民同盟一本でもってひとりお出しになっているのですけれども、この亜麻関係を、いろいろ団体交渉その他でもって価格の決定をするときには、地区々々でもっていろいろ組織をして代表者を出してやっておるわけで、価格一つを考えてみましても、三つ会社があるのですから、その地区で関係のものの代表が出てそうしてそこの間で関連をしてやる、主催者だのなんだの、そういうようなことは農民同盟あるいは生産連合会、そういうようなものがやったかもしれない。だけれども、実際はそういうふうに地方的にきめられてきておる。そのときの農民の意向を強く代表する人は公聴会には実は出ておらないわけです。だから私はそういうような点から実は非常に疑問を持っておるわけです。公聴会のその構成について非常に疑問を持っておる。そしてお耳に達しておるのはほとんど賛成、こういう意見だけが大きく取り上げられておる。今の繊維局長お話もやはり合併賛成のような報告みたいに聞き取れるわけです。そういうふうになっておるので、私はどうしてもこの際もう一歩公聴会を掘り下げていただきたいと思う。というのは、先ほど申しましたように、これが一番関係があるだろうと、こうお認めになって参考人を求められた。それが実はあまり関係がない、亜麻耕作に関する限り。私、実のところを申しますと、そういう点ビートもそうだ、今度はやっとこさで繊維関係ができた。農林省亜麻、ビートについては戦前は一つもタッチしておらない。亜麻に関する限りはこれはほとんどタッチしておりません。そういうような関係農業団体もその当時のものはタッチしないのです。ただ技術をやる者が村々において会社の人といろいろ相談をし合っている。そうしてやってきたというような形になって現在に来ているわけです。この点は一つ頭の中に入れておいていただきたい。反対をするのはどこから出るかというと、こういうことです。私はやはりそこら辺から出てくると思う。そこで問題は、亜麻という作物が非常に農家にとって有利な作物だったらこれは何も問題はないのです。亜麻は実は亜麻一つだけ植えたらこれは大損失です。大ていの農産物はわらかなにか残すものですけれども亜麻だけは根まで持っていくのです。そしてしかも、土をつけたまま持っていってしまう、こういう作物が亜麻なんです。亜麻を栽培するのはこれは非常に強い形でもって経営の中にそれを入れて、しかも、酪農に関係をさせるということで強く主張して進めていっているわけです。だから亜麻耕作の亜麻だけで採算をとる農家はあまりいい作物じゃないから毛ぎらいをする作物になってきておる。だから、ある程度値段を高くきめてもらわなければならぬ、こういうことが出てくるわけです。ところが、この場合にこれが一つになって、そうしてあとで三社が残るようになりますが、そういうような形でやる場合には、これが相当な今度は圧力が加わってくることはこれは火を見るより明らかであります。こういう点をお考えいただきたいと思います。  もら一つの問題は、これは輸入ですね。輸入の量が、これは実のところを言うと、コンスタントに続いておるわけです。そしてベルギーやあっちの方から入れるやつは非常に安い。向うから入ってくるものは亜麻くずの形で入ってくる。輸入でもって安い値段で入ってきて、しかも、太番のものに亜麻くずが有効に使われる。北海道なんかでも、戦争中なんかでも必要なときに、毛麻、毛の亜麻と言っておりますが、くずです。そういうようなものまでどんどん買ってきたのですけれども、いざ都合が悪いときにはそんなものはもちろん買いませんし、場合によっては受け入れのときに亜麻を火に燃やしてしまうというようなことも行われている。そういうような実に奇々怪々な歴史を繰り返しておるわけです。というのは、亜麻そのものを一つ取り上げてくると、これは非常に利益にならぬ、採算に合わない、そうしてしかも、外国から入ってくるやつでもって押えつけられるという条件がある。そういうものにあまり関係のない者が発言をされている。しかも、経営の合理化から何を主張されるかというと、おそらく海外からの輸入を要望せられるだろうと私は思う。これは海外から原料の亜麻の輸入、ラミーの輸入の要望が確実にあると思う。そういう作物です。だから北海道で耕作をしている農民価格の点でもって保証されればこれは別ですが、価格が保証されるということはないのですから、これは完全に独占禁止法法律を有効に、意味を強めてもらわなければならぬものじゃないか、そういう意味で合併反対なのですけれども、この点はもう一度一つ深く堀り下げてもらって、そしてほんとうの亜麻耕作者はどういう意見を持っているかということをもう一度聞いてもらわなければいけない。しかし、亜麻耕作者そのものはあまり詳しくそういうようなことについてはっきりした意見を持っているとも限りませんけれども、事情はそういう事情になっております。だから、これは単に会社経営合理化というような点から考え、判断をすべきものでない、これが一点です。それからこの点は先ほど北村君も言われておったのですけれども、私は公聴会の参考人の構成について非常に欠けておると思うのです。さらにラミー関係、この関係の者も抜けておる。それから大麻の関係、これはみな共同作物としてずっと続けてきているわけです。そうして糸になる率は一番悪いのが亜麻だったのです。そういう点もお考えになって、これはもう一ぺん考えていただきたいと思うのです。これが第一点です。  それからもう一つは、今度は会社が本心から合併を希望しておるかどうかということを、これも一つはっきり見きわめをつけていただきたい。ここに出ているのを見ますと、いかにも公聴会の陳述の形式は、両社長とも合併に踏み切って説明をされておる。しかし、私どもが聞いているところによりますと、実のところを申しますとそうではない。反対の意向も十分にある。しかも、経営者陣の中には実は金融人が入っておる。そうしてその金融人は明らかにいろいろな操作をすることによって会社の堅実な経営合理化だのなんだの、そういうような方面に進もうとしておるようなことも私どもは聞かされておるわけです。これは現に札幌の製麻なんかの場合においても、精製工場、亜麻を集めてそこで粗繊維にする工場ですが、そういうようなものは整理をされてしまった。それから札幌の工場そのものも、機械その他もスクラップにされてしまっている。工場が縮小されるというようなことも、これは説明には、そういうことが絶対ない、そういうように説明されていますけれども、今までの間にすでに敷地を売却したり、いろいろなことをやって、そうしてそれでつじつまを合わすというようなことをやっている。しかも、従業員数は半数になっている、製麻だけ考えても。そういうような形が今もう現に出ている。そしてそっちの方は一つも縮小はしないとかいろいろなことを言われておるのですが、これはもう形は完全に自分たちがこれからやろうとすることを如実にちゃんとやってきておる。だから、そういう点を公取委員会の方ではしさいに見る必要がある。この点も一つお考えを願いたいと思う点です。  それから、私は、まだ麻関係繊維としての関係、そして亜麻工場という北海道に特有の産物を中心にして明治の二十一年ごろに始められてずっと続けられてきておるこの工場が、合併の暁にはなくなるのではないかと思います。だから、そいつのなくならないという保証ができるなら私は相当陳述が正しいと、こういうふうに思いますけれども、しかし、それは保証はできないと思う。そういうような状態になっておりますから、こういうふうな三点から考えてくると、原料生産者である耕作農民の意図が十分にまだ反映をしておらない、こういう点その他の関係は、これは私はもう少し亜麻耕作というものについての一つ調べを十分にしていただかなければ、これは問題になるし、北海道における唯一の繊維工業として出発したものがなくなってしまうようなことにもなる。そんな点をかね合せて、私は非常に合併に対して懸念を持っておりますから、これだけを申し上げておきますが、私は、今申し上げた点について、公聴会は欠けておると思うのです。その点、どういうふうにお考えですか。
  58. 佐藤基

    説明員佐藤基君) 亜麻生産耕作農民反対であるというような御意見でございますが、それはある程度公聴会に現われております。しかしながら、その現われ方が非常に微力であるというようにも今伺えたのでございますが、それは、われわれといたしましては、公聴会のみによって意思決定をするものでありませんから、お話の点はなお検討いたしたいと思います。  それから、会社側が合併賛成しておるというけれども真意はどうか、ことに金融資本の方から押し付けられておる、それだから表面賛成しているというふうにも見えるのだが、というお話なのですが、これは実は、会社合併したいというのに、君たちは合併する気がないのに言っておるのかと聞くわけにもいかないので、とにかく正式にそう言ってきた以上は、これはそれを前提として私は考えたいと思います。しかしながら、お話の点もありますからして、なお研究いたしたいと思います。  それから、過去の歴史、帝麻につきましては四千人も使っておった、現在はそれが半分になっておる、だから将来まだどんどん減るだろうというお話。これはちょっと議論になるかもしれませんが、帝麻の方では、今のようにほうっておいたらばさらに減るのじゃないかと思われる、それだからして、経営を合理化して強力なものにしていけば、そういう心配はない、労働者の整理ということは考えていない、ということを申しておるわけでありますが、それが果して正しいのかどうかということはわれわれの方として検討したいと思います。
  59. 東隆

    ○東隆君 札幌工場の存置の問題ですね、これは、公取委員会の及ぶところじゃないと思いますけれども、しかし、これは重大な関係があるのです。札幌の工場が、これは今太番のものを製造していたが、実はすでに半分はスクラップになってしまっておる。そうしておいて施設は減さないと、こう言っておるわけです。それから帝麻そのものにおける仕事の転換その他も、これはいろいろ問題があろうと思いますけれども、しかし、亜麻そのものは、北海道でできるのですから、唯一の産地なのですから、だから、そこにおけるところの原料工場からもう一歩進んだところの工場が、しかも、非常に長い歴史を持ってきている。そうして、もしかりに亜麻を混紡したところのもので化繊というような問題についても、実を言うと、北海道でもって化繊の生産の計画もすでに立てられております。そういうような問題も出てきております。だから、私は、この点は何らかの形ではっきりさしておかないと、これは重大な社会問題を起こしてくるのじゃないかと、こういうふうに思いますが、その点はどうですか。    〔委員長退席、理事仲原善一君着席〕
  60. 佐藤基

    説明員佐藤基君) 札幌工場の問題は、お話のようなことを私の方でも聞いたんです。そこで、工場廃止ということを、われわれの方で何といいますか、差し出がましく言うのはどうかという気もしたんですけれども、これはやっぱり従業員の問題にもなりますので、その点は念を押したんです。押さしたところが、いや、札幌工場は廃止しないということを会社側が言っておる、こういう事実であります。
  61. 戸叶武

    戸叶武君 この麻の問題は、生糸の問題よりも深刻な斜陽産業と見なければならないのが現状で、すでに数年前ラミーの問題が起きたときに、九州の農民が非常な動揺をしたので政府では応急処置をもって金融処置その他によってこの農民救済に当ったんです。そのときも、フィリピンから入るラミーによる撹乱、もう一つは、あれは東洋繊維かと思いましたが、経営のふしだらから来るものが農民に転嫁されたんですけれども、今度のも明らかに帝国製麻中央繊維合併というのを政府側で報告するような表面づらからだけ見られないのです。私は、それ以後、数年間これを見守ってきたのでありますが、帝国製麻が今日のような主体性を失い弱体化したのは、背後におけるところの富士銀行における圧力です。金を貸したんだからその帝国製麻というものをコントロールしていかなければならないのは事実でありましょうが、日本の金融機関の無責任な点は、金を貸して金をしぼり上げる点に対しては忠実であるけれども会社経営の合理化に対して積極的な献策というものはしない。そうして、専門的な知識を持っていた人たちというものはどんどん排除せられて、そうして今日のコースにまで追い込められたのですが、その間において犠牲は農民とそれから労働者に転嫁されたんです。それは政府が簡単に考えるようなものでなくて、帝国製麻が今日にまで斜陽産業としてどれだけ労働者が犠牲になって街頭にほうり出されたかは、涙なくしては語れないような状態です。この深刻な状態というものは、経営者に人を得ず、しかも、この会社をバックアップすべきところの金融関係においても妥当な処置は講ぜられず、たとえば数年前の問題におきましても、政府の処置におきまして、ラミーにおいては農林中金からたしか安い利子の金が出されたんです。そういうようなときにも、同じ性格なものであるから、この亜麻の問題に対しても会社がそれをお願いしたらよいというふうに労働組合の方から献策させた場合においても、富士銀行の重役が入っておる関係から、富士との関係があるからちゅうちょして、政府から当然手を差し伸べたような安い長期におけるところの低利の命というものを借りられないというようなていたらくでもって、全く労働者の夏季手当においても事欠くというような状態でしたが、こういう無責任な経営態度、それから経営に対して責任を負わないところの金融の圧力、こういうものが日本のよろめくところの産業界において随所に起きておるのであって、こういう点を、表面づらから見た経営の合理化という名のもとにおいて、独占禁止法によって分散化されたところのその責任にのみ問題を転嫁して、そして、これを再び合併すればこれが合理化して何とかなるというようなことでは、とてもこの問題は片づかない問題で、メスはもっと深いところに入れなければならないと思う。これはこの問題だけでなくて、あらゆる産業界、中小企業、特に弱体産業、斜陽産業というものにはこういうだらしない状態が随所にあって、しかも今までその会社を頼ってそして生活をしてきた生産農民というものはお先まつ暗、それから、会社に殉じてきたところの労働者は、合理化の名によって必ず首を切られるんじゃないかという不安定なおそれにおののいている。これは今の中小企業の争議というものが悪化をしている状態を労働組合の行き過ぎだけに見ているようであるが、そうじゃない。これは死にもの狂いの戦いがこれから始まるのです。見ててごらんなさい。今、政府側において、帝麻は労働者の整理、弾圧をしないということを確言しているそうですが、これを確言したからには、それをもととして政府側は処置を行うでしょうから、それに対する責任を負ってもらいたい。これは必ず血を見るような争いが起きます。これは火を見るよりも明らかだと思う。今の経営者の無責任な態度、それから今までのだらしないやり方、冷酷な金融資本の産業投資に対するところの無責任な態度、これは私はもうおそるべき問題が起きると思うので、公取でもって軽々率々にこの問題を処置すると、この問題を火ぶたとして、日本の無責任な金融資本に対する戦いが私は開始されると思う。    〔理事仲原善一君退席、委員長着席〕 これは一経営者だけの問題でない。日本の銀行ほど無責任で、ほんとうに高利貸し的で、冷酷で、産業を育てるということに対する愛情も技術も経験も持たないで、そして産業に関与しているところはない。こういう実態を掘り下げてもらいたい。これをやらない限りにおいては、簡単にあなたたちが考えているような処置をやると、あと起きるものの泥はみなあなたたちがかぶらなければなりませんよ。この問題が今度は一つのモデル・ケース——悪いモデル・ケースとして、ほかの問題にも火を吹いてくるでしょう。今ドイツでもってストライキがないというのは、労働組合の代表者まで経営に参加させてガラス張りの経営がなされておって、そして共同の責任が分担されているからであるんです。そういうようなことがやられていない日本の、しかも、経営に対して無責任な経営者、そして、金を貸して金を吸い上げることにのみきゅうきゅうとしているところの金融資本、それに対して、形式的な報告なり陳情なりを聞いて、唯々諾々として政府の施策というものを、朝三暮四というか、変更することにやぶさかでないような政府のやり方、こういうところに産業界におけるところの混乱というものは生まれてくるのですから、私たちは今後これを監視しますけれども、軽率な形において、形式的なおざなりな公聴会で事足れりと思ったらえらいことになる。今斜陽産業ですから、労働者はがまんにがまんしてきているんです。けれども、この行き清まった状態が、今の弱体な中小企業における争議が死にもの狂いの絶望的な争議となっている以上に、私は、深刻なものが、昔東洋紡でやったような戦いが展開されないということは保証できないと思う。これは政府に対してあらかじめ私は警告しておきますから、それまでずっと掘り下げて問題を処置されるならいいが、そうでなくてそれにならっていいかげんな形式的なおざなりな解決方法をしたならば、私は、責任は、政府と富士銀行と金融資本に責任追及の火ぶたを切っていくつもりですから、そのつもりでふんどしを締めてやってもらいたい。
  62. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 今、亜麻が問題になって公取でおやりになっておるというのでお話がございましたですが、私は実は三十年来の亜麻作りでございますが、ちょうど終戦後非常な工業の発達により、そうして合成繊維が発達して参り、帝国製麻というものは一体どうなるかという心配を常にしておったものでございますが、戦争当時は非常に価格も安くございませんし、一番百姓は、われわれ強みを持ったのは、金が非常に早い。夏場に金の一番借りたい時期に買われるので、これが一番強みだったのでございます。その後、だんだん変って参りまして、酪農が盛んになってクローバーの混播をすることが先決問題でございます。そこで、だんだん亜麻価格も安くなってき、今では亜麻を作らなければならぬという状態ではございません。そこで、そんならクローバーの混播をして、亜麻を抜いたあとでクローバーが刈れますが、そこまでやる方法は、原麦と麦の中にこれをまいておきますと、亜麻ほどは太りませんが、どうにか翌年のクローバーだけなります。そういうわけで今、亜麻をたくさん作っておるという百姓はおりません。だから、だんだん会社の方では前ほど熱を上げておりませんし、一般繊維状態を見ますると、われわれ差まするワイシャツでも必ずしも亜麻ではございません。それはだんだん減ってきて、ハンカチもその通り、輸出もその通りでございます。でございますから、これなりでいきますと、会社を廃止する廃止せぬは別にして、全く事業というものは非常に不振になるだろうと思っておりましたが、きょうび聞きますると、中央繊維合併されるというのでやっておるようでございますが、合併するせぬは別で、そういうものにはこだわりませんが、亜麻というものが全く安くなって、採算が全然合わなくなりますると、きょうびは作らなくなります。でございますから、どうしてもこうしても亜麻を作らなければならぬというものではございません。でございますから、公取の方のお考えは別途でございますから私は干渉しません。ですが、現在の社会情勢、それから一般産業の情勢から見ますると、昔のような亜麻産業というものは非常に窮屈であり、お困りであろうから、帝国製麻というものはこれなりでは存続できぬだろうと心配していたものでございます。でございますから、もし採算上、非常に安くなって、そうして北海道の耕作者が作って間に合わなくなれば、これは方法はつかぬのですから、わきに転向して作らなくなるという現状でございますから、これは、私は決して会社合併には関係ございませんが、そういうわけでございますから、間違いないようにお願いしたい。
  63. 北村暢

    北村暢君 これは私は、今いろいろ意見が出ておりますが、ここで、上屋さんが述べておるのですが、斜陽産業としての亜麻産業を全然皆無にする、つぶしてしまうということは、これはできない、そのためには、小の虫を殺して大の虫を生かさなければならない、こういうような点で、ある程度の犠牲はやむを得ない、こういうような意見を書いておられた。従ってこの合理化、多角化のために企業合同される。従って、まあ今、戸叶先生から出ておるように、これによって、土屋さんが言われておるように、人員整理も日本の産業構造の中からやむを得ないのだ、こういうことをはっきり言われておるわけなんであります。だから、その心配は私は当然出てくるかと思うのですが、そこで、繊維局長にお伺いしたいのですが、一体この亜麻産業というもの、亜麻繊維というものを、今後合成繊維との関係においていかように繊維行政として持っていく考え方なのか、この考え方を私、お伺いしたい。それは合併によって、私は帝繊も中繊も斜陽産業とはいいながら今後発展していっていただきたいと、こういうような気持を十分持っておるわけであります。決してこの二つを斜陽産業なるがゆえにつぶしてしまうとか、いきなりほうだいに見ておるとか、こういう気持はないのですが、従って、繊維行政として、繊維政策として合成繊維亜麻との関係においてどういうふうな考え方を持っておるか。それは合成繊維も、それから亜麻も、これは原料が国内の生産の問題ですから、しかも、亜麻は今日三分の一程度は輸入する、こういうような状況にあるわけですから、農林省の施策等においても、その需要度を高めるために亜麻の振興をはかっていく、こういうような方針を打ち出しているのだが、この考え方と、通産省の考えている繊維行政を——合成繊維亜麻関係をどうしていくかということは、今後政府としては重要な問題だ、こういうふうに考えますので、まず繊維局長から、どんな考え方を持っているのか、お伺いしたい。
  64. 今井善衛

    説明員今井善衛君) 先ほど来、麻産業は、斜陽産業であるというふうなお話が出ましたが、現状におきましては、ちょっとさようのように見えるわけです。ところで、麻製品の用途といたしましては、工業用の用途と、それから衣料用の用途と二つあるわけでございまして、工業用の用途につきましては、先ほど申しましたように、丈夫であるという特性、あるいは耐水性が強いという特性でもって工業用の用途に使われておったわけでございますが、それが逆に合成繊維の方から侵食されている。ところが、衣料用の方につきましては、麻製品の他繊維に比べての特性というのは、これは風通しがいい、通気性がいいということ、ただ非常にしわになりやすいという問題でございます。ところが、合成繊維なるものはこれは風通しが悪い、それからしわになりにくいわけなんです。従って、両者の長所、短所がちょうど交錯しているわけでございまして、去年あたりからテトロンと麻の混紡というワイシャツが出ておりますが、ことしも相当増産されているわけであります。それからまた夏の服地といたしまして、やはり麻とテトロンの混紡、これもことしは非常に引っぱりだこになっているという関係で、今後麻製品はワイシャツなり、あるいは服地とか、そういう合成繊維との混紡によって今後伸びる道がある。これはおそらく、ワイシャツ地等から申しますと、ほかのたとえば合成繊維と綿との混紡とか、いろいろございますけれども、麻とテトロンとの混紡というものが、一番夏のワイシャツ地としてはしわにもならぬし、風通しもいいということでもって、今後需要というものは伸びていくのじゃないか。従って、その新規需要というものがもっと伸びていきますれば、麻産業というものは決して斜陽産業ではない。やはり国内で亜麻を作っていただかなければならぬし、苧麻も作っていただかなければならぬ。特に原料を海外から一部仰いでおりますけれども、この原料なんかは、綿花なり、羊毛みたいに、非常に大量にとり得る品物じゃなくて、そうはとり得ないものでございます。従いまして、昔から国内で生産をお願いしている次第でございますから、そういう意味合いから申しましても、やはり亜麻なり、苧麻というものは、今後作っていただかなければならぬかように考えております。
  65. 北村暢

    北村暢君 それで方針が麻とテトロンの混紡、こういうことで消費は開ける、こういうことのようですけれども、テトロンとの混紡の糸というものは、実は品質の比較的悪い糸でいいわけなんですね。ハンカチとか、洋服生地、あるいはワイシャツの生地、こういうものは非常に細い優秀なものが必要なんです。そういう点からいって、今後の麻の栽培の方向ですが、日本の麻なり、亜麻は、非常に品質の点からいって優秀なものが幸いにできるわけです。ところが、将来の混紡というものの方の需要というものは大きく伸びていくということになるというと、そういう優秀な亜麻というものは必要でなくなってくる、原料の点から言ってですね。そうすると、その輸入の亜麻というもので事足りる。しかも、これは国内の生産価格より非常に安い、こういう状態にあるわけです。ですから、先ほど海外の市場、台湾とか、ベルギーですか、ここから輸入しておるようですけれども、まあ綿のように、そんな膨大な生産ではないけれども、相当入ってくる可能性というものはあるわけです。でありますから、今後のこの繊維政策の中で、一体この輸入に相当程度依存していくのかどうか。最近の亜麻の耕作の傾向として、収量の多い、品質の悪いものでも、そういうふうな品種を栽培する傾向が出てきている。それはもうはっきり、ここのお手元に出ている資料でも、作付反別が減っているのにもかかわらず、生産量というものはぐっと上っているわけですね。これはもう品質は落ちているけれども生産量、この収量の多いというものが、品種がとられている、こういう傾向をとっているわけです。そういうような点からいって、この国内の亜麻も作ってもらわなければならないと、こうおっしゃるけれども、その点を、この輸入というものをある程度規制するとかなんとかというけれども、私はまあ帝麻と中級に関するものは、輸入のものをそう使っているところは——うんと使っているのは、大部分ほかの会社ですから、輸入のものを使っているところ、それは綿紡の会社とかそういうところが多いわけですから、それですから直接輸入については、あの帝麻、中繊の製品というものについては、ないにしても、今後の考え方がどういうところに重点を置いていくのか。そこにやはりこの農林省との、政府としての行政上の連絡がない限りは、農林省だって、増産々々一点張りでやっていて、余っちまったら、今度は価格をどうするかという問題が出てくるわけです。そこら辺の繊維行政としての考え方をどういうふうに持っておられるか、これを伺いたい。
  66. 今井善衛

    説明員今井善衛君) 実はこの輸入物と国内物との、その専門的な品質の点につきましては、私は十分は承知していないのでございますが、ただ私どもといたしまして、輸入が安いということによって、輸入に依存するということは非常に危険であるというふうに考えるわけでございまして、これは非常に大きな、たとえば綿花なり、羊毛なり、いろいろのものにつきましては、これは全面的に輸入に依存せざるを得ないとともに、依存して一向差しつかえございませんけれども、しかし、たとえば麻、あるいはほかにも繊維産業としてパルプ等の問題もございますけれども、要するに海外の供給力がそれほどないという品物につきましては、どうしても国内で安定的なソースを求めなければならない。その産業のやはり立ち行く根拠としましては、国内原料に根拠を置かなきゃならぬ。そしてその輸入物は、単にその過不足を補うという程度のものが一番望ましいというふうに考えておるわけでございまして、国内で安定的なソースがなくなるというふうなことになりますれば、非常にこの原料の配当として不利な立場になりまして、高いものを買わされるという危険もございますから、従いまして、そういう点につきましては、今後農林省とも十分連絡をとりまして、そういう方針でやって参りたいと思います。
  67. 北村暢

    北村暢君 それからもう一つお伺いしたいのは、ここ二、三年にわたって不況カルテルを結成してきたわけでありますが、その効果について、一体通産省ではどのような評価をされておるのか。
  68. 今井善衛

    説明員今井善衛君) 不況カルテルについてでございますが、実は繊維産業は去年までは非常に不況になっておったのでございますが、一番不況の先がけをとったのが麻でございまして、従って、東洋繊維問題とかいろいろの問題を惹起したのでございますが、従いまして、不況に対する対策といたしまして一番早く手を打ちましたのが麻産業でございまして、その後繊維工業全体の設備の過剰というふうな問題からいたしまして、繊維産業は非常に深刻な不況に見舞われたのでございますが、たとえばおととし、去年と繊維産業が非常に不況に見舞われたわけでございますが、おそらくあの値段の下り方なり、あるいはその量自体の不況ということになりますと、麻よりももっとほかの繊維が一時的にせよ非常に深い不況に入ったと思います。麻はもちろん不況ではございますけれども、不況ながらそれほど上下動しませんで、不況のままで続いていった。ほかのものにつきましては、初めは神武景気とかいってよかったのでありますけれども、それから非常に不況の波が深刻でございまして、そうしてその後最近になって立ち直りつつあるということでございます。従いまして、もし麻産業について不況カルテルなかりせば、もっと非常に悲惨な状態麻産業というものは陥ったのではないか、かように考えております。
  69. 北村暢

    北村暢君 不況カルテルをやらなければ今よりも悲惨な目にあっただろう、やった結果大した波がなくてきたんだが、そうして今日一体不況カルテルの結果、私は、問題は不況カルテルをやってもどうしても不況は克服できないですね。平均生産費に達しないので合併すると、こういっているのです。ですから、それほど不況カルテルの成果が期待するほどに出なかったとか、その結果両者合併とまでいかなくても、この効果によって相当程度の成果を上げて経営内容が改善された、こういうふうに公述で述べている人もいるのですよ。いるのですが、一体その点の評価をどういうふうにつかんでいるか。
  70. 今井善衛

    説明員今井善衛君) 不況カルテルでは出荷制限によりまして、各企業が過当に競争することによって販売価格を泥沼に陥らせるということをまあ防ごうという趣旨でございます。不況カルテル結成後におきましては、これは幾分価格が低下いたしました。しかし、これはほかとの繊維競争の問題でも低下させざるを得なかったというふうな面もあったんじゃないかと思います。従いまして、不況カルテルを認めましても、他繊維との競争がありますので、従って、独占的な高い価格を維持するということはできないわけでございますが、ただ麻業界内部における過当競争というものは防止できている。従って、麻製品としての価格をそれほど下げないで済んだ、こういう問題があると思います。それから今回の合併の問題ということになりますと、販売価格の問題じゃなくて、むしろ生産費の問題をいかに下げて力をつけていくか、そういう問題でございまして、従って、必ずしも両者が重複する問題じゃない。現に不況カルテルを結成しておりますのは、二社のほかにあとたしか十六社と思います。全体で十八社だと思います。ほかの社はもっと弱小の会社でございます。それらについては、依然として不況カルテルの継続を望んでおる。これは綿はダブっていないというふうに考えております。
  71. 北村暢

    北村暢君 それで私の質問には、最後のところがはっきりしないようですが、この辺で時間もあれですから打ち切りますが、そこで、農林省の振興局長にお伺いしたいのですが、振興局長公聴会意見を見ますと、亜麻産業というものは奨励をして増産をしていくという考え方をとっている。それは先ほども申しましたように、三分の一は輸入しているのだから、自給度を高めるために増産をしていくのだ、こういう考え方をとっておられるようです。そこで、一体具体的にいかなる奨励の措置をとってきたのか、そうしてまたこの不況カルテルというものが結成されて、ある程度生産の規制もやってきた、こういう状態にあると思うのですが、そういう中において一体この亜麻繊維業界が不況カルテルを結成してやらなければならないような状況にあったときに、それに対応して農林省はいかなる亜麻増産という政策をあわせてやってきたのか、これを一つ具体的にどういうことをやったのか、お伺いしたい。
  72. 増田盛

    説明員増田盛君) 特殊な農産物の問題になっております亜麻あるいはラミーのような農産物が具体的に企業としてこれで価格を維持するかという問題は、きわめてむずかしい問題であると思います。一般的にいって私どもの方でとっております増産奨励対策は、これは亜麻に関しては相当古い歴史を持っております。これは大体原原種圃、原種圃それから採種圃、こういう一連の優良種子の育成、配付という機構を通じまして新しい情勢に応じた製糸、それから反収が高い、それから栽培的に見て農民が当然要求するいろいろな特性というものがあります。倒伏しにくいとか、あるいは耐病性が強いとか耐寒性が強い、いろいろ特性があるわけでございまして、これに対する育成をし、あるいは外国種を導入しまして、これを増殖し配付する、こういうのがおもなる目的でございます。大体私の記憶しておるところによりましては、亜麻に関して毎年こういう金を四、五百万円補助金として使用いたしております。それからラミーに関しましては、御承知のような機業界の変動がありまして浮き沈みがあり、やむを得ず生産を縮小せざるを得ない段階があったのでありますが、ようやく立ち直りまして拡大する機運を迎えましたので、本年度もラミーの原種圃の費用に関しまして、これはきわめてわずかでございますが、七、八十万円程度だと思います。これに対して同様に優良種子を、優良種苗を——この場合には種子ではなくて種苗でございますが、原苗を育成し、増殖し、配付する、こういう方針をきめたわけでございます。そこで、次にお尋ねの不況カルテルが結成されたちょうど昭和三十一年当時でございますか、当時の事情でございますが、これは亜麻に関しましては特別不況カルテルによって生産を制限したということは、私どもの方ではなかったと記憶いたしております。ただ、不況カルテルと直接関係はございませんが、当時やはり不況の波に見舞われまして大きなラミーの会社が倒産をすることになりまして、これに対してラミー栽培の性質上、企業会社の方はそういう点を遠慮してしまいましたので、それに関連しまして、一定の集荷地域が生産を縮小する結果として縮小するもやむを得ざる場合があったわけでございますが、現在は逐次これも元に戻りまして、漸次拡大を見つつあったのでございますが、しかし、全体といたしましては、亜麻もラミーも企業側のいろいろの事情といったよりも、特に亜麻につきましては、やはり競争作物の関係上、最近はむしろ減少しており、作付面積が減少しておるという状態でございまして、私どもといたしましても、これに対して何とかして需要に応じまして作付面積を拡大いたしたいと考えておるわけであります。そこで、これは昭和三十一年より、新しい品種をオランダから導入いたしたのでありますが、この品種がきわめて成績がよいわけでありまして、現在北海道の過半数の作付面積がこの品種に置きかえられつつあるわけでありますが、これは従来の品種に比べましていろいろすぐれた諸特性も持っております。しかも、従来の品種に比べて収量が相当高い。従いまして、農林統計調査部の数字によりましても、ここ数年間につきまして、亜麻の反当収量が四割ないし五割くらい増収いたしております。なお、新しい国内で育成した品種といたしましても、最近青柳という品種が出ておりましてこれもきわめて品質もよく収量もよいわけでありまして、こういう新しい試験場で育成いたします品種によりまして、逐次、従来の作付面積を置きかえていくならば、私は現在計画いたしております増植計画程度のところまで作付けを拡張することが可能ではないかと考えております。
  73. 北村暢

    北村暢君 振興局長、非常に調子のいい話ですが、これは七十年来の帝麻、中繊が北海道亜麻の耕作について関与してきたいきさつからいって、農林省が非常に力を入れてこの増産をやっているようなことを宣伝されておりますけれど、これは会社の方がまだ農林省よりも一生懸命やっている、実際は。それで肥料の問題にしても、除草剤の問題にしましても、非常に亜麻会社の方の努力というものが耕作面において非常な耕作農民に対して努力してきておる。これは否定できない事実だと思います。そのことがこの七十年来の生産者との取引の上において、私は、取引そのものが近代化されておるわけです。いわゆる亜麻会社に恩恵を受けて農民が作り、また一方から言わせれば、亜麻はあまり利益のない、大した作物でないから、会社が頼んで作ってもらっているのだというような意見も出しておりますけれども、しかしながら、先ほど言ったように、亜麻というものは夏の農家の金のないときにじかに会社から金が来るという、まあ、あまり有利な作物でないのだが、非常に農民としてはそういう面においてやはり魅力のあった作物、しかも、北海道における冷害に強く、寒冷地作物としてはいいものであるし、また、先ほど来言っているクローバーとの混播からいっても奨励して寒地農業の作物として奨励するに適当な作物である、こういうことなんです。それで一がいに、岡村さんから、まあ、あまり作らなくてもいいのだというような意見も出ているけれども、私は農林省の立場としては、やはり増産をさせていく。しかも、輸入品が非常に安いのですから、それと競争していくための国内の生産者価格の引き下げということは、先ほど言っているその技術の改良なり品種の改良なりによってやっていかなければならぬことは当然のことなんです。当然のことなんですが、私は絹やビートが、絹も同じ斜陽産業として非常な苦しみをしてきている。まあ、ビートは寒地農業の作物として非常な奨励を受けている。農産物価格安定法を適用されている。生糸はこれは御存じのように繭糸価格安定法によって相当な保護を受けている。この亜麻に関する限りは斜陽産業として絹と同じような形態にありながら、しかも、不況カルテルというものをやって、なおかつ不況カルテルでだめだから企業合同までいかなければならない、こういうようなことを言っているのに対してそれだけ苦んでいる亜麻の問題に対して、地域的には北海道ということに限られているのでありますけれども農林省が一体この亜麻に対しての助成措置なりなんなりというものは、今言ったように品種の改良やその他で四、五百万の金を使っているという話でありますが、一体、絹やビートとの関連において四、五百万円一年間に使っているからといって、農林省増産を奨励しているとかなんとか言ってみたところで、私は口で言っている宣伝だけにしか聞えないので、実質的に農林省は何もやっていないと言ってもいいと思います。そういう行政上の私は農林省が当然やらなければならない耕作農民に対する助成を、この帝麻なり中繊なり、この会社にやらせて、そうして企業採算が悪い悪いと言っているようなことは、これはどうしても私どもは理解できない。従って、私は企業合同をしなければならないような状態にある中において、一体農林省は亜麻産業の将来というものに対して振興さしていくというようになったならば、一体どういうような合同の前にまだ一歩、絹なりビートなりにとっている措置というものがとれないものかどうか、これを私は、積極的な農林省意見としてあるべきである。ところが、これに対して君は賛成だと言っている、農林省意見として。農林省農民の立場に立たなければならないのに価格は八〇%の集中度になるけれども団体交渉でやるのだから、これはその心配はないのだと言っている。先月の十一日の衆議院の農林水産委員会において大野政務次官は八〇%の集中度については、これは確かに芳賀委員の質問のように独占的な形になって影響あると思われるけれども、大臣の意見がどうであるかわからないから、この次に回答をしたい、こういうように政務次官は答えられているのです。で、私は、この公聴会における農林省意見というもは、農林省の省議で大臣が承知して出したものだとは受け取れない。何か特産課の課長の個人的な意見が、何となしに局長の判をとって、めくら判を押して出したような感じを受ける。少くとも農民の立場に立って農民を守ろうとする公聴会意見として、通産省は企業の立場に立ってこういうことが出るかもしれないけれども農林省のこの意見というものは、私は、はなはだもって解せない。振興局長なり政務次官もおられるのだから、一体、大臣がこういうつもりでおるのかどうか、これをはっきりしてもらいたい。
  74. 増田盛

    説明員増田盛君) ただいまお尋ねの公正取引委員会におきます公聴会におきまして、私の名あてで出席要求があったのでありますが、かわりまして園芸特産課長が出席したわけでございます。その際公述いたしましたことは、もちろん園芸特産課長の個人の意見ではなしに、振興局長意見でございます。従いまして、公聴会で申し上げました意見は、決裁といたしまして全部一応お話し申し上げる、その点を明らかにお答え申し上げまして、内容に入るわけでございますが、いろいろ先ほどから御指摘いただいておりますこういう特殊な企業と結びついた形の農産物の価格維持という問題は、私は非常にむずかしいと思います。私どもが現在努力している点も、実はこの点にあるわけでございますが、いろいろな作物ごとに検討をいたそうと憂えているわけでありますが、きわめて多面的でありまして、なかなか結論を得ないのであります。御存じの通り、ただいま亜麻に関して問題があるわけでありますが、実は昨今におきまして問題になりましたのは北海道の雑豆、それからコンニャク、それから昨年度はイグサ、それから除虫菊、ハッカ等々、まことに群小のマイナー・クロップスと称される作物が多いのでありまして、この中で特に企業と結びつく、あるいは企業の中でも比較的大きいのと結びつくのもあります。中小企業と結びつくもの、あるいは農家の農産加工的な色彩が強くて、それが中間的な商人の機構と結びつく、いろいろな段階がございます。これに関して確かに農林省といたしまして、現在いろいろな価格変動について有効適切な手が出せないのでありますが、しかし、やはり何といいましても、私は、最もこの価格維持の機構の中における基本的な問題は、まず生産する農民と当該の企業との取引関係であると思います。私は、この取引関係を正すということにおきましては、やはりその団体が、あるいは農業協同組合の形をとり、あるいは耕作者の団体の形をとって団結するわけでありますが、こういう団結体が企業と対等の資格におきまして栽培前に取引上の条件、いわゆる契約栽培における契約の内容を明らかにする、こういうようなことが最も基本的だと思うのであります。従いまして、当面問題の亜麻につきましても、私はそういう考え方をきわめて重要視するわけでありまして、幸いにいたしまして北海道におきます亜麻価格が形成されます決定の方式に関しましても、団体交渉の方式がはっきり生まれまして、対等の資格で交渉しておるわけです。しかも、生産団体には北海道農業協同組合中央会の部長も入ってそれから生産農業協同組合連合会の部長も入って、それから農民同盟、あるいは農村連盟、こういう団体の代表が入っておるわけでありまして、私はこういう様式で、対等な資格で、しかも、両方が相互の立場を十分に理解し合って交渉するならば、私は妥当な価格形成ができるのではないか、かように考えておるわけであります。しかし、私どもがこれだけを期待するということは、いかにも一方的な措置のように考えるわけでありますが、基本としてはさように考える次第であります。しかも、私は一方において、やはりいろいろな農作物を原料とする諸産業を見る場合におきまして、やはり片方におきまして企業自体が壊滅に陥るというようなことになりますと、あるいは破綻に瀕するということになりますと、やはり農産物が同時に成り立たない、こういう点も明らかでありまして、私は先ほど繊維局長が御説明申し上げましたような事情で、今回の両社合併が行われるものであると理解し、しかも、この亜麻業界がいい意味で立ち直る、企業体の体質改善をして、よくなれば、私はそっちの方向にいくことを希望して、しかも、団体交渉の方式があるという事実を重視しまして、私どもといたしましては、特別に異議を唱えなかったわけでございます。
  75. 北村暢

    北村暢君 今、振興局長はそういうふうに言っておられますけれども不況カルテルが結成されておる段階において、年々歳々亜麻生産高は上っているのですよ。それから作付面積は若干ですが減ってきておる。この点は生産農民に有利であるといえば有利です。しかしながら、不況カルテルが結成せられているのに対して、農林省増産政策一点張りでやってきたということ、そこら辺に今までの農政の欠陥だのなんだのということで、今まで相当批判されて、農林省増産すればいいのだ、増産一点張りで、流通とかそういう面については非常に抜けておったということがいわれているのですよ。これははっきりそういう批判が非常に強く出てきている。そういう時期において、不況カルテルを結成しているのに、農林省増産政策一点張りできて、しかも、増産されてきているなら、一体そういうことを考慮して奨励政策というものを推し進めてきたのかどうなのか。しかも、カルテルを結成したために生産者価格が下っているというこの現実、これについて農林省農民の立場に立つならば、もう少し頭のいい行政のやり方があったのではないか、こういうことを私は感ずるのですよ。確かにそういう面ばかりでなしに、企業そのものからいえば、生糸関係、ビート関係においても助成措置というものは、これはもう非常に大きな力でやっているでしょう。ほかの特殊園芸作物はたくさんありますよ。ありますけれども、絹と亜麻というものは先ほど言っているように斜陽産業として非常に特殊な道を歩いてきている。そういうものに対して特にどういうふうに対処したかということについては、私の質問に対してあまり答えられておらないような感じをするわけです。そしてまたそのことによって、ただ団体交渉による価格の決定の仕方が民主的であるから、それで農民の利益が守られるんだと、こういうふうに理解されているようだけれども、先ほども言っているように、今までの千円値下げをするときの状況からいってその前の年にすでにもう千円下げなかった。ところが、日繊帝麻と中繊の間で意見の食い違いでもって千円下げられずに済んだ。そして翌年この千円下ったという事例がある。やはり三者あることが価格の上において農民独占価格で支配されることから非常に大きく守られてきている、そういう内容的なことでしっかり吟味しないと、価格のきめ方が民主的であるからきまる価格も民主的にきまるだろう、こういうことにはならないので、その内容が八〇%の独占を強化するということになれば、私はこれはやはり農民に及ぼす影響、来年、再来年はいいでしょうけれども、あえて価格を落すということはしないでしょう、約束通り。しかしながら、独占の形態というものが弊害が起きてくるというのは、一年や二年で簡単に出てくるかこないかわからない。そのために公取番人としておるのだから、そういう点を一つ十分やはり考慮すべきであった。それが賛成意見を述べているということについては、積極的に賛成意見を述べているわけだが、少くとも農林省農民の立場に立った者が保護されるという条件付でなければ賛成すべきでなかったと思う。そういう無条件に賛成をしておる、こういうところに私ども農林省のセンスが非常に疑われる。それと同時に、この企業合同による前に、農林省はまだこれに賛成する前に私はビートなり、生糸なりにとった措置というものが斜陽産業なるがゆえに、やはり特別な行政措置というものが考えられるべきでないか、こういうことを強調しているですが、その点については、これは合併してからでも私はこの問題は起ってくると思う。ですから、この点については、もう少し亜麻というものについて特殊条件、農業における特別条件というものをやはりビートその他に考えると同じような形で考えてもらいた。これは亜麻は作付反別からいっても、ビートは今三倍くらいになりましたけれども、作付反別は二年、三年前は亜麻もビートもほぼ同じですよ。そういう点からいって北海道にとっては非常に重要な作物ですよ。ですからそういう点からいっても、私は亜麻産業の発展を、また奨励をしていくという立場に立って農林省はもう少し力を入れるべきでないか。そして斜陽産業にとって企業努力をやることはもちろんであるが、帝麻も中繊も私はそういう面でやはりもう少し、企業内の努力はもちろんであるが、そういう面の斜陽産業としての特殊事情から起る農政上のやはり施策というものがあってしかるべきである、これを強調しているんですよ。あなたの答弁は答弁として、私は非常に不満足でありますが、承わっておきますが、将来についてこの点をよく考えていただきたい、こう思うのであります。
  76. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 他に御発言もないようでありますから、本件はこの程度にいたします。  速記をとめて。    〔速記中止〕   —————————————
  77. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) では、速記をつけて。  国有林の件を議題にいたします。  この件について櫻井委員から発言を求められておりますので、この際御発言を願うことにいたします。
  78. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 北海道国有林野事業経営等の実情報告をいたしたいと存じます。  先般、高橋、小笠原、棚橋、北條及び櫻井の各委員五名は、北海道における国有林野事業経営実情を視察する機会に恵まれたので、この際その概要を報告いたしておきたいと思います。  北海道国有林の現況は、その面積約三百十一万町歩、蓄積で約十三億石でありますが、これは全国の国有林に対比して、面積で約四一%、蓄積において約四三%に当り、また道内の全森林に比較して、面積で五五%、蓄積で七四%を国有林が占め、昭和三十三年度の木材生産量は道内総生産量約二千五百万石のうち、国有林からの生産は約一千六百五十万石で、六六%に上っております。  このように重要な地位と役割を有する北海道国有林は、地元の経済とも密接な関係を保ち、その影響力も大きく、重要な産業資源を形成していて、その分布する地域は広大であり、西南部はブナ帯に始まり東北部の寒帯林に至り、人工林はきわめてわずかで、未開発林の割合が多いなどの特性がございます。  北海道においては、すでに御承知のように、去る昭和二十九年の風害による約八千万石に及ぶ風倒木整理が行われ、そのため木材生産が急激に上昇し、道内消費のほか内地輸送及び道内貯木が行われたのでありますが、すでにその整理もおおむね終了しております。天然林が九五%を占める道内国有林については、事業経営上各種事業の機械化、直営生産事業場の整備統合、作業量の年間均等配分化、施設の充実等諸般の措置が行われております。三十三年度からは林力増強の施策に沿い、未利用林を開発し、また林地の生産力を高めるため、針葉樹への林種転換を計画的に行おうとする生産力増強計画が実施に移され、特に造林については三十三年度で二万四千余町歩の実績となっており、今後の計画は二十八年度を基準として三十五年度二・三八倍、四十年度に二・五二倍の造林が予定されていて、人工林による生産力の増強が企画されております。また当面広葉樹を主体とした木材生産の増強をはかることになっております。  現地においては、営林局その他関係一方面から事業経営の説明を受け、また造林地、機械化された伐採事業施設の現場を視察することができました。  次に、北海道における木材の需給について申し上げます。北海道の木材需要量は、三十三年度において、約二千四百万石であり、木材の用途は、パルプ材が約二一%、坑木九%、合単板五%、一般用材その他約五〇%で、原木の移出は約百七十万台となっております。木材需要は累年増大の傾向を示しておりまして、三十三年度は二十八年度に比して三六%の伸びとなり、今後、合板、パルプ等の用材を中心として増加するものと見られております。  道内の木材需給は、二十九年の風害発生前までは、拡大を伴いながらも均衡を保ってきたのでありますが、風倒木の整理促進によって、一時的に供給過剰を来たし、一般的な経済成長とともに、これが刺激ともなりまして、製材、パルプ等の設備の増設拡充が行われました。その後は、風倒木の整理終了とともに、供給不足の傾向が見られる状態でありまする  私たちが視察いたしました本州製紙の釧路工場、苫小牧市にあるホモゲンホルツの岩倉工場等は、新技術による近代的工場設立の事例であります。  木材の供給不足については、特に針葉樹に著しく、将来針業樹廃材のチップ化による利用、広葉樹利用への転換、広葉樹利用歩どまりの効率化、未利用あるいは薪炭林等、小亭広葉樹利用の積極化を進め、需給緩和に資することが必要であり、施策の強化が望まれます。  北海道国有林は、現在、旭川、北見、帯広、札幌、函館の五つの営林局によって経営されておりますが、その森林経営の事実量を検討してみますると、次のような実情であります。三十三年度において、営林署数は、全国三百三十八に比し、七十七署であり、一営林署当り管理面積は、内地平均一万七千町に比べ約四万町歩となり、二倍以上、また道内の一営林署当り職員数百三人、伐採量三十七万石、造林面積三百十七町歩に及び、少い職員数に対して伐採及び造林量ともに内地平均のそれぞれ二倍半余となっております。このように、一署当り管理面積及び蓄積はきわめて大きいのでありまして、面積や蓄積だけでは経営集約度や治山事業の有無等の関連からだけでは営林署の適正規模判断に不十分かとも思われますが、それにしても内地との間にはなはだしい違いがあります。  道内における営林署のうち私たちが見聞いたしました比較的有業規模の大きいものを例示してみますると、旭川営林局上川営林署管内は、森林面積八万三千町歩できわめて大面積を管理しており、この地区に営林署を増設して二署とし、管理面積をおのおの四—五万町歩程度に分割したい計画があるようです。上川地区は風倒木が道内で最も大量に発生した地帯で、約二千二百万石の被害木を出し、被害跡地の計画的造林を初め、その他の事業量も多大なものがあります。  次に、札幌営林局振内営林署については、森林面積九万四千余町歩を有し、地元品同村の面積の約八割強を国有林野で占め、村の産業経済とも緊密な関係があり、村当局からもこの地区に新設営林署の設置を強く要望されておりました。そのほか金山、占冠等その他の町村でも同様営林署増設の希望あるいは陳情がありました。このような事情でありますが、営林署の新設については、現在北海道五営林局管内で大体十数カ所において問題となっているように聞き及びました。  右のような事業経営の概況でありますが、このほか問題点といたしまして職員の福祉の問題があります。国有林事業に従事している職員は事業の性格及び人事管理等のため、勤務地の移動が、多くまた山間僻地に勤務し、常に家族の生活拠点の安定を欠くうらみがあり、特に子弟の教育等に対する福祉施設の設置並びに耐寒住宅の整備等、その配慮の必要性が痛感されました。また、この問題は全国的な事項としてその対策措置が要望されております。  次に、国有林から生産される木材の販売方法であります。従来多くの比重を占めていた随意契約処分を少くし、可及的に競争入札の割合を多くしていきたい方針のようでありますが、その具体的実行方法の問題は今後の検討事項であると考えられます。  なお、今回の視察途次、私たちが見聞いたしましたその他の農林諸施設の事項について簡単に触れておきますと、その一つは、テンサイ栽培の振興に関することであります。これに関しては北海道当局及び関係町村から寒冷地農業の振興策として強い要望があり、適正な原料テンサイの価格支持、土壌改良等土地条件の整備、品種改良等に関し、国の援助対策の実施が望まれました。テンサイ事情については、まとまって作付けせられ、また作付面積の多い十勝地帯の町村を見ることができましたが、いずれも非常に熱意を持ってその振興を希望されており、テンサイ栽培による畑作経営と農業収入の安定が切望されておりまして、テンサイ糖工場の設置についても町村か円それぞれ熱心に要望がありました。  また、根釧原野の機械開墾による。パイロット・ファームを視察いたしましたが、この方式を北海道の他の開墾福地にも実施してほしい旨の希望もありました。  このほか、北海道当局及び各支庁、北海道開発局、各種農業団体、市町村等から農林産業に対する諸般の事項にわたる希望並びに陳情がありました。そのおもなるものをあげますと、酪農振興、農林産業改良普及事業の拡充、農産物価格の安定、農家負債整理の促進、土地改良及び開拓事業の強化、治山事業の拡大、沿岸漁業の振興、総合的土地利用計画の策定等についてであります。  右概要を御報告いたします。
  79. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 他に御発言もないようでありますから、本件はこの程度にいたします。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  80. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記をつけて。  本日はこれをもって散会いたします。    午後一時三十九分散会