○東隆君 私は
公取委員長にお聞きいたしますが、実は
亜麻は、これは戦争作物と、こういわれている。そうして一度戦争中には非常に無理な耕作を進めた作物です。値段は実は非常に安かったでしょうけれ
ども、しかし、軍艦一隻には
亜麻が二町歩とか、いろいろなことを申しましてそうして
亜麻の耕作者を勧奨してきたわけです。そしてやったんでありますけれ
ども、この
亜麻のような特用作物は、
公聴会でもって
発言をされた、たとえば
農業団体関係は、実のところ申しますと、あまり
関係をしておらない。それはなぜかと申しますと、特用作物でありますから、従って、耕作者の間に、耕作者の世話人などいろいろなものができまして、その間に
会社の指導者との間においていろいろ話が進んでいって、そして実は
農業団体がこれにタッチをしておらない。それからずっと今までの歴史を
考えてみまして、
亜麻耕作者に対して国がそれならば力を入れたことがあるかと申しますと、戦争のときにはいろいろと要求はしたけれ
ども、補助金であるとか、その他をあまり出しておらない、この
産業は。そういうような経過をたどってきておるわけであります。そこで、なぜそういうようなことになっておるかというと、これは
亜麻が
生産をされたときに、実は
取引価格の決済なんかは、直接農家とやっておる。それから受け入れをするときに、実はこれは非常に燃えやすいものですから、そこで、協同組合は現場を扱わないで、そうして現在はやっと協同組合の帳簿を通して代金の決済をする、ここまで進んできておるだけでございまして、ずっと今までの歴史を
考えてみますと、協同組合
関係はほとんどタッチをしておらない。そういうような人が実は
公聴会に現われて、そうして以前こういうようなことでもって分割したときに
反対をしたのだから、そこで、そいつが今度
合併をされるのだから
賛成なんだ、こういうふうな
意見を述べられている。しかし、私はこの際
考えていただかなければならぬことは、もっと下部に入って、そうして農家の
意見を聞かなければならぬ。その場合に、私は、一番やはり中心になるのは
農民同盟だろうと思いますけれ
ども、その
農民同盟は
反対をされておる。しかも、実のところ申しますと、
農民同盟一本でもってひとりお出しになっているのですけれ
ども、この
亜麻の
関係を、いろいろ
団体交渉その他でもって
価格の決定をするときには、地区々々でもっていろいろ組織をして代表者を出してやっておるわけで、
価格一つを
考えてみましても、三つ
会社があるのですから、その地区で
関係のものの代表が出てそうしてそこの間で
関連をしてやる、主催者だのなんだの、そういうようなことは
農民同盟あるいは
生産連合会、そういうようなものがやったかもしれない。だけれ
ども、実際はそういうふうに地方的にきめられてきておる。そのときの
農民の意向を強く代表する人は
公聴会には実は出ておらないわけです。だから私はそういうような点から実は非常に疑問を持っておるわけです。
公聴会のその構成について非常に疑問を持っておる。そしてお耳に達しておるのはほとんど
賛成、こういう
意見だけが大きく取り上げられておる。今の
繊維局長の
お話もやはり
合併に
賛成のような報告みたいに聞き取れるわけです。そういうふうになっておるので、私はどうしてもこの際もう一歩
公聴会を掘り下げていただきたいと思う。というのは、先ほど申しましたように、これが一番
関係があるだろうと、こうお認めになって参考人を求められた。それが実はあまり
関係がない、
亜麻耕作に関する限り。私、実のところを申しますと、そういう点ビートもそうだ、今度はやっとこさで
繊維関係ができた。
農林省も
亜麻、ビートについては戦前は一つもタッチしておらない。
亜麻に関する限りはこれはほとんどタッチしておりません。そういうような
関係で
農業団体もその当時のものはタッチしないのです。ただ技術をやる者が村々において
会社の人といろいろ相談をし合っている。そうしてやってきたというような形になって現在に来ているわけです。この点は一つ頭の中に入れておいていただきたい。
反対をするのはどこから出るかというと、こういうことです。私はやはりそこら辺から出てくると思う。そこで問題は、
亜麻という作物が非常に農家にとって有利な作物だったらこれは何も問題はないのです。
亜麻は実は
亜麻一つだけ植えたらこれは大損失です。大ていの農産物はわらかなにか残すものですけれ
ども、
亜麻だけは根まで持っていくのです。そしてしかも、土をつけたまま持っていってしまう、こういう作物が
亜麻なんです。
亜麻を栽培するのはこれは非常に強い形でもって
経営の中にそれを入れて、しかも、酪農に
関係をさせるということで強く主張して進めていっているわけです。だから
亜麻耕作の
亜麻だけで採算をとる農家はあまりいい作物じゃないから毛ぎらいをする作物になってきておる。だから、ある
程度値段を高くきめてもらわなければならぬ、こういうことが出てくるわけです。ところが、この場合にこれが一つになって、そうしてあとで三社が残るようになりますが、そういうような形でやる場合には、これが相当な今度は圧力が加わってくることはこれは火を見るより明らかであります。こういう点をお
考えいただきたいと思います。
もら一つの問題は、これは輸入ですね。輸入の量が、これは実のところを言うと、コンスタントに続いておるわけです。そしてベルギーやあっちの方から入れるやつは非常に安い。向うから入ってくるものは
亜麻くずの形で入ってくる。輸入でもって安い値段で入ってきて、しかも、太番のものに
亜麻くずが有効に使われる。
北海道なんかでも、戦争中なんかでも必要なときに、毛麻、毛の
亜麻と言っておりますが、くずです。そういうようなものまでどんどん買ってきたのですけれ
ども、いざ都合が悪いときにはそんなものはもちろん買いませんし、場合によっては受け入れのときに
亜麻を火に燃やしてしまうというようなことも行われている。そういうような実に奇々怪々な歴史を繰り返しておるわけです。というのは、
亜麻そのものを一つ取り上げてくると、これは非常に利益にならぬ、採算に合わない、そうしてしかも、外国から入ってくるやつでもって押えつけられるという条件がある。そういうものにあまり
関係のない者が
発言をされている。しかも、
経営の合理化から何を主張されるかというと、おそらく海外からの輸入を要望せられるだろうと私は思う。これは海外から原料の
亜麻の輸入、ラミーの輸入の要望が確実にあると思う。そういう作物です。だから
北海道で耕作をしている
農民が
価格の点でもって保証されればこれは別ですが、
価格が保証されるということはないのですから、これは完全に
独占禁止法の
法律を有効に、意味を強めてもらわなければならぬものじゃないか、そういう意味で
合併に
反対なのですけれ
ども、この点はもう一度一つ深く堀り下げてもらって、そしてほんとうの
亜麻耕作者はどういう
意見を持っているかということをもう一度聞いてもらわなければいけない。しかし、
亜麻耕作者そのものはあまり詳しくそういうようなことについてはっきりした
意見を持っているとも限りませんけれ
ども、事情はそういう事情になっております。だから、これは単に
会社の
経営合理化というような点から
考え、判断をすべきものでない、これが一点です。それからこの点は先ほど
北村君も言われておったのですけれ
ども、私は
公聴会の参考人の構成について非常に欠けておると思うのです。さらにラミー
関係、この
関係の者も抜けておる。それから大麻の
関係、これはみな共同作物としてずっと続けてきているわけです。そうして糸になる率は一番悪いのが
亜麻だったのです。そういう点もお
考えになって、これはもう一ぺん
考えていただきたいと思うのです。これが第一点です。
それからもう一つは、今度は
会社が本心から
合併を希望しておるかどうかということを、これも一つはっきり見きわめをつけていただきたい。ここに出ているのを見ますと、いかにも
公聴会の陳述の形式は、
両社長とも
合併に踏み切って説明をされておる。しかし、私
どもが聞いているところによりますと、実のところを申しますとそうではない。
反対の意向も十分にある。しかも、
経営者陣の中には実は金融人が入っておる。そうしてその金融人は明らかにいろいろな操作をすることによって
会社の堅実な
経営合理化だのなんだの、そういうような方面に進もうとしておるようなことも私
どもは聞かされておるわけです。これは現に札幌の製麻なんかの場合においても、精製工場、
亜麻を集めてそこで粗
繊維にする工場ですが、そういうようなものは整理をされてしまった。それから札幌の工場そのものも、機械その他もスクラップにされてしまっている。工場が縮小されるというようなことも、これは説明には、そういうことが絶対ない、そういうように説明されていますけれ
ども、今までの間にすでに敷地を売却したり、いろいろなことをやって、そうしてそれでつじつまを合わすというようなことをやっている。しかも、従業員数は半数になっている、製麻だけ
考えても。そういうような形が今もう現に出ている。そしてそっちの方は一つも縮小はしないとかいろいろなことを言われておるのですが、これはもう形は完全に自分たちがこれからやろうとすることを如実にちゃんとやってきておる。だから、そういう点を
公取委員会の方ではしさいに見る必要がある。この点も一つお
考えを願いたいと思う点です。
それから、私は、まだ麻
関係の
繊維としての
関係、そして
亜麻工場という
北海道に特有の産物を中心にして明治の二十一年ごろに始められてずっと続けられてきておるこの工場が、
合併の暁にはなくなるのではないかと思います。だから、そいつのなくならないという保証ができるなら私は相当陳述が正しいと、こういうふうに思いますけれ
ども、しかし、それは保証はできないと思う。そういうような
状態になっておりますから、こういうふうな三点から
考えてくると、原料
生産者である
耕作農民の意図が十分にまだ反映をしておらない、こういう点その他の
関係は、これは私はもう少し
亜麻耕作というものについての一つ調べを十分にしていただかなければ、これは問題になるし、
北海道における唯一の
繊維工業として出発したものがなくなってしまうようなことにもなる。そんな点をかね合せて、私は非常に
合併に対して懸念を持っておりますから、これだけを申し上げておきますが、私は、今申し上げた点について、
公聴会は欠けておると思うのです。その点、どういうふうにお
考えですか。