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1959-08-11 第32回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年八月十一日(火曜日)    午前九時三十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀本 宜実君    理事            櫻井 志郎君            仲原 善一君           小笠原二三男君            戸叶  武君            森 八三一君    委員            青田源太郎君            秋山俊一郎君            石谷 憲男君            高橋  衛君            田中 啓一君            藤野 繁雄君            東   隆君            清澤 俊英君            小林 孝平君            棚橋 小虎君            中田 吉雄君            北條 雋八君   国務大臣    農 林 大 臣 福田 赳夫君    運 輸 大 臣 楢橋  渡君    国 務 大 臣 菅野和太郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省農林経済    局長      須賀 賢二君    日本国有鉄道総    裁       十河 信二君    日本国有鉄道営    業局長     磯崎  叡君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (農林畜水産関係物資国鉄貨物運  賃に関する件)   —————————————
  2. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  農林畜水産関係物資国鉄貨物運賃に関する件を議題にいたします。  かねて当委員会においては、この件について遠距離割引と、公共政策割引農林水産業を育成し、国民生活を安定するためきわめて緊要でありますので、これを現状通り存続するよう再度にわたり決議を行い、当局善処を求められてきたことは御承知のことと存じます。しかるに国鉄はその経営上の都合のゆえをもって近くこれを圧縮し、さらに廃止しようとする意図を持っておられるのであります。果してそうであるといたしますと、これは容易ならぬ問題でありましてかように国民経済の重要問題が国鉄の一方的な意図によって決せられることはとうてい許せないと存じます。そこで、本日は政府関係首脳の御出席を求め、公共政策割引現状通り存続されますよう、その善処を求めることにいたした次第でございます。御発言の向きは順次御発言を願います。  なお、政府からの御出席福田農林大臣楢橋運輸大臣菅野経済企画庁長官十河国鉄総裁でございます。
  3. 清澤俊英

    清澤俊英君 農林大臣にまずお伺いしますが、昨日われわれは国鉄総裁出席をお願いして、この運賃引き上げの問題についての方針をお伺いしたのであります。ところが、昨年来その運賃引き上げ実施について農林省等関係によって、まあ一年二カ月の時日を延ばしておった。そうして、この八月三十一日がちょうどその延期の期間に到達するので、従いましてその期間においては大体において十億円を何とか鉄道の方でやりくりする、しかし、その分は農林省責任において国の補償を要求していると、これは大体取れることであろうと、従いまして、あとの十億円は大体運賃値上げによってこれをまかなっていきたい。こういうようなお話でありましたが、こういう結果は、今事務折衝中であると私は考えておるのであります、昨日のお話によりますと。従いまして農林省としましては、そういう一つのケースの中に、この運賃値上げというものを取り上げられておられるのかどうか、同時に今それがきまったとしまするならば、その範囲において農林省はどれだけの農林行政上の責任をもってやっていかれるのか、その点を一つ明らかにしてもらいたい。  なお、つけ加えますが、あと農林次官にそのおもむきを聞きましたところ、農林次官としてはまだそこまでの確定はしておらぬ、こういう食い違いがあるのです。従いまして、そういう運賃値上げに対しては農林省としてはまだ決定しておらぬ。こういう農林次官お話もあるのでありまするが、そういう点をも加味して農林大臣ははっきりとした立場でそういうことをやって農林行政がほんとうにもてるのかどうか。この点を明らかにして御回答を願いたいと思います。
  4. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 御承知通り国鉄が非常な熱意をもちまして運賃体系の改正、ことに公共政策割引廃止または削減ということを主張しておるわけです。それで、ごく最近になりましてからやや態度を緩和いたしまして、これは御承知と思いまするが、一つ妥協案みたいなものを出してきております。しかし、ただいまお話しのように、私ども国会のこれは御決議をいただいておるわけでございます。国会の御意図は、これは当分存続すべし、こういうふうに表明せられておるような次第でございます。さようなこともありますので、これを運輸省が、また国鉄当局が一方的にきめるということは、これは私は許されないことではなかろうか。これはどこまでも政府及び各機関と相談をいたしまして、その上できめると、かようにいたすべきものであると、かように確信をいたしております。そういう考え方に従いまして、まあ時間もあることでありまするから、一つ部内におきましては意見を取りまとめましてこの問題の結末をつけていきたい、かように考えておる次第でございます。なおまた、農林大臣の私といたしましては、農林物資に及ぼす影響というものも十分これは考えております。これはさような立場から、私ども主張もいたします。そして政府全体としても取りまとめたい、かように考えております。
  5. 清澤俊英

    清澤俊英君 ただいまのお話の中に、政府全体として取りまとめるという御意見の中には、国鉄経営という面から、今農林関係物資に対しまする二十億の引き出しですか、こういうものを考えておられるのかどうか、政府全体として考えるという考え方の中に。これは後ほどだれかが御質問すると思いますが、国鉄経営自身にやはり欠陥もあるわけだろうし、また運輸省国鉄関係における取扱いに欠陥もあるだろうし、いろいろなものがあるだろうと思うのです。そういうものを加味して、政府の全体の上の責任において解決していきたい、こうおっしゃるのですか。
  6. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私が申し上げましたのは、そういうことを頭に置いて申し上げておるわけじゃないのです。この運賃改訂自体が及ぼす影響は非常に広範である、また国会においても非常な御関心を示されておったようでございまするから、その間どういう措置をとるべきかということは、これは一運輸省の問題ではない、かようなことを申し上げておるようなわけなんです。
  7. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 大体農林大臣のお考えはわかりましたが、国鉄当局を所管する運輸大臣としては、今日の国鉄のとらんとしておる運賃改訂についてはどういうお考えを持っておられるのか、今後どうするおつもりであるのか、端的にお伺いしたい。
  8. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) この問題は、御存じのように、六月十六日に国鉄総裁権限によりまして、二カ月間に限って延長されまして、八月が期限になっておるのでありまして、この問題は私もあちらこちら旅行しまして非常な陳情を実は受けておるのでありますが、従って永続させるという問題の要請等も強いので、目下国鉄において慎重にこれは検討させておるのであります。ただ、本件の処理国鉄総裁権限事項でありまして、運輸大臣といたしましては国鉄運賃割引は特殊なものを除いてできるだけ整理することが運賃体系上並びに国鉄経営上望ましいことであると実は考えておりますので、そういう考え方と、今問題になっておりますことについていか調和するかという問題について、まあ関係当局とも今検討中でございます。
  9. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 次に、企画庁長官にお尋ねいたしますが、この公共政策割引は長きにわたって行われてきておるものでありますが、今日の経済情勢の中で、一挙に農林物資について運賃改訂が部分的にこの問題についてだけ行われる、こういうことは、先ほども質問がありましたが、農林政策のみならず、生産者並び消費者大衆とともに国民経済の問題でありますが、これに及ぼす影響についてはいかが御判断になっておられるのか、御所見を承わりたい。
  10. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) ただいまお尋ねの件でありますが、この公共政策割引賃率につきましては、ただいま各大臣からお話がありましたように目下国鉄において慎重に検討中であるということを承わっておるのでありますが、経済企画庁といたしましてもこの問題につきましては、これが物価にどういう影響を及ぼすかということにつきまして、今までいろいろ調査をしたのでありますが、その調査の結果がまだはっきり現われてこないために、決定的な結論を今するわけにはいかないのでありますが、しかし個別的に見ますると、この割引廃止によって影響を受ける品目も相当あると思うのでありまして、そういう点については慎重な考慮を払わなければならない。こう考えておるのでありますが、全体的に見まして、大体国鉄運賃体系整備する必要があるのではないかという意向を持っておる次第であります。
  11. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 運輸大臣企画庁長官国鉄当局で今検討中だというお話を申されておりますが、昨日われわれが国鉄当局から伺った筋では、結論を得られ、そうして関係物資について所管せられる農林当局並びに通産当局とそれぞれ事務折衝に入っておる。こういうことなんです。従ってもう国鉄当局としては一応の成案を得ておる。その点は運輸大臣企画庁長官お話はズレがある。  われわれは、そういうことが慎重にとり行われておるという段階は、もう過ぎておると認識しておる。従って運輸大臣もおっしゃる通り国鉄経営上の問題、今日の困難な経営上の問題、運賃体系整備するという問題、この問題は重要であります。がしかし、そのことを通して今当面その収益を幾ばくでも上げるということから、今日の公共政策割引二十億というものを政府から半分出させようが、荷主生産者に転嫁しようが、二十億だけは国鉄としては収益として見たい。こういう具体策を立てておるわけです。そこで、その国鉄自体経営上、運賃体系整備上も必要だということから、農林物資に対してこういう転嫁をされてくる。そのことが国民経済に及ぼす影響が甚大であるという企画庁長官の中間的な調査の結果もあるということであればですね、国鉄それ自身は単なる民間企業でもない、ただしかし、赤字もあり経営も困難な実態でもある、そうであればやはり農林大臣のおっしゃった通り、国全体としてその調和を保つという姿勢で、何か結論を得られるという筋が必要であろうかと思うのです。そういう意味ではわれわれは十億といえども今日の農林物資運賃増によるそういう生産者荷主あるいはひいては消費者影響を及ぼすような運賃改訂はいけない。農林政策上もいけない。だから、その二十億の金というものは国全体の立場処理されるなり、あるいは国鉄経営合理化によってその一部が整備せられるなら、何らか根本的な施策の上に立って結論を得られてから、その国鉄当局経営も安定し、あるいは……農林物資影響して広範な経済的な影響を与えるような、そういう望ましからざる措置をとりやめてもらう。こういうことをやっていただきたい。そのためには八月三十一日で期限が切れるのだからもうどうにもなりませんというようなことで、この中間のこの時期において農林関係物資だけ割引の引き下げというような形で当面収益を上げる、こういう糊塗的な措置はお取りやめ願いたい。あくまでも検討を加えられた末で結論が得られるということを、政府熱意をもって善処せられ、国鉄当局に対しても運輸大臣としても善処せらるるようにやっていただきたい。これがこの委員会の願いなんです。それをばらばらに個々の問題として、今何でもまあおぼれるものはわらをもつかむように農林物資の方へちょっと手をかけて金を召し上げていこうというような、こういう糊塗的な施策国鉄におまかせになる点についてはどうしても賛成しかねる。こういうことなんです。そういう意味において農林大臣運輸大臣経済企画庁長官、もう一度われわれの委員会意向について御所見を承わりたい。
  12. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) ただいまごもっともな御意見でありまして、私が申し上げた検討中というのは、農林当局国鉄当局との間に今の運賃割引の問題についていろいろ折衝しておる点を申し上げておるのでありまして、御指摘のごとく、国鉄が今日経営上重大な段階にきておることは委員の皆様も御存じ通りでありまして、ただ国鉄性格が二律背反的と申しますか、公共性という問題と国鉄それ自身の独自の経営のバランスの問題という問題でぶつかっておりまして、この問題をやはり追及して、国鉄というものは一体どういう性格を持たせていくべきか。たとえば私があちらこちら旅行いたしましても、北海道あたりで全然採算のとれない、まああそこは五十億くらいの赤字を出しておるのですけれども、やはり国家的要請によって新幹線を作らなければならない。そういう場合に、国鉄がやはり経営上の立場からいえばどうしても赤字になるからやりたくないという考えがあっても、やはり北海道開発という大きな目標のためにやらなければならぬ。こういう公共性と、一方に国鉄赤字を出さずに合理的に経営していくいき方、これは今御指摘のような国民の必要上農産物資に対する一つ公共性からいって国鉄運賃割引しなければならないという公共性と、国鉄それ自身経営の面からやらなければならない合理的な運賃改訂の問題、こういう問題に実はぶつかっておるのでありまして私が運輸大臣に就任いたしましてから、どうしても国鉄が今多くの問題をかかえておる、その根本にメスを入れることは言いかえてみれば国家国鉄というものをどういうふうに一体扱っていくかという基本的な問題に掘り下げなければならないということを私も実は気がついて知りまして、そういう点において当局に対しましても根本的な問題の検討と追及を実はさしておるような次第でありまして、従って今御指摘のように、この問題になっておりまするものもその一還として考えるべきであるから、農林大臣が申されましたように、どうしてもこれは内閣全体としてこういう問題を根本的に解決するということで取り組まなければならぬということを実は感じておる次第であります。
  13. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 国会の方からも累次御意見を承わっておりますが、さようなことも考慮いたしまして、ただいま運輸大臣が申されたように、この問題は政府全体の経済政策ということで処理していきたい、かように考えております。
  14. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 私の方は各省経済行政について調整をするところでありますので、今お話の点につきましては、私の方で一つこの問題を取り上げて、そうして各省意見国鉄意見もよく承わりまして善処したいと、こう考えておる次第であります。
  15. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでだんだん関係大臣のお考えがはっきりしてきましたが、ただ国鉄当局としては具体的に八月三十一日以降割引率改訂なりあるいは特別等級への編入等によって十億の水揚げだけは確保する、他の十億は来年度の予算策定の後に政府からちょうだいしたい、こういう方向で具体策を立てておる。そうでございますと、十億になろうが、あるいはそれがそういう形で金を個々運賃補償という形で出すのではなくて、国鉄全体の経営の上に国がどういう援助をするかという根本的な討議もございましょうし、どういう形になるかわからぬ。出なければどうするのだということを国鉄総裁に伺ったら、そのときはそれで仕方がない。取れなければ取れないで仕方がないということだった。仕方がないということは結局来年度はまたあとの十億分は運賃改訂の方に繰り込んで自前で取ろうということになると思うのです。が、私たちはそういう観点からでなくて、取れなければ取れないで仕方がないということであって、なお八月三十一日以降十億だけは取らなくちゃいかぬ、こういう考えはまことに根本的に問題を解決する考え方ではない。従ってもうそういう考えであるならば、当面政府が来年度予算等において具体的に考究するというその政府態度が、はっきり国鉄の問題に関して、また農林関係物資の将来に関して確定するまでは、八月三十一日という期限にとらわれることなしに、現状通りこれを延期すべきであろう、こういう考えを持っている。最後の一点として伺うことは、八月三十一日のそれにとらわれない、そうして根本的な考究、政府全体として考究した暁において、現状いかにするかということについて措置する、こういう態度がわれわれとしては望まれるのですが、このことについては運輸大臣いかがお考えになりますか。
  16. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) この問題は今、農林大臣からも答弁されましたように、私も申し上げましたように、八月三十一日ということで期限があるのですから、その前に一つ政府の方でもこの問題についての調整をしようという段階でございますから、今八月三十一日をここで延ばすというわけにはいかないと思うのですが、御了承願います。
  17. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ところが、それでは八月三十一日までにおいても財政的な裏づけを政府考えられる、そういう結論を出し得る、しかも来年度予算に関してこのことだけを取り上げて財政投融資等の問題を、あるいは一般予算の問題を今月中に確定できる、閣議として方針としてきめ得る、そんなことは不可能だと思う。正直に申し上げて不可能だと思う。そうであれば平仄のあったときに現状をいじるということが望ましいことである。ところが、片方の半分の問題、半分になるか三分の二になるか、あるいはどういう政府考え方に立つかということがきまらぬで、そうして積極的に実施していく片面の方だけを取り上げるということはこれはおかしいと思う。問題の結論を得なければ現状のまま推移するというのが筋だろうと思う。問題の解決を見ないで、暫定的な処理方針を立てて一部だけを取り立ててやろうなどという、そういうやり方は政府施策としてあり得べきことでないと私たち考えておる。農林大臣はどうですか。
  18. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 国鉄当局国鉄経営刷新合理化という見地から御主張になっておるその趣旨、考え方というものは、私どももよくわかるわけであります。さようなことでございまするが、しかし、一方において、すでに長い間公共政策割引という一つの秩序ができている次第でございます。これをにわかに変更するということも、経済界に非常に大きな影響がある。さようなことでございますので、この問題は軽々に結論を出すというわけにもいくまい。さようなことで、政府全体としましてよく相談をいたしまして、まあ国鉄当局は八月末までに結論を得たい、こう言っておるのでありまするから、できる限り努力をして、そういうふうにしたいと思います。
  19. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、結局は、努力の結果八月三十一日までに調和点を見出すような合理的な解決方策政府全体としてきまらぬという場合には、現状で当分推移せられる、こういう認識に立っていいと思うんですが、いかがですか。
  20. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) なるべく八月末までには結論を得ると、こういう目標をもちまして最善努力をいたします。
  21. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私はまたそれを裏返しにどこまでもつくんです。最善努力をして結論が得られないとなれば、結論が得られないままに国鉄当局考え実施に移されるということはあり得べからざることだ、今の答弁からいって。そう了承してよろしゅうございますか。
  22. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 話し合いがどうもうまくそれまでにできないで、具体的な結論が得られないという際に、これが国鉄で一方的に国鉄の案の通り実施されるということは、私はあり得ないと思います。
  23. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 農林大臣責任において合意に達したという形のない限りは、この現行の公共政策割引について変改はないものである、また変改があるという場合には、農林大臣自身責任を十分負って決定するものである。私はそう認識いたしまして質問を終ります。
  24. 石谷憲男

    石谷憲男君 公共割引制度というものが現に持っておりまするきわめて重要性にかんがみまして、当委員会におきましてもしばしばの機会に慎重な審議がされ、さらに過去二回にわたりまして決議が行われましたことは、関係大臣よく御承知と思います。そこで、一体、この公共政策割引というものは、少くとも農林物資に関します限りにおいては、その生産の実情なり、あるいは流通の実態というものから見ましてあくまでもこれは現状のままで据え置いてもらわなければ、かりに、それが二十億である、あるいは二十億の内輪の数字であるとかということによってそれを取り去られることによってもたらす影響が非常に広範深刻である、こういう意味で、当委員会におきましても問題を重要視して取り上げておりますることは、御承知通りであります。しかるところが、昨日来、またすでに先般来の議論をいろいろ要約してみまするというと、このようなあくまでも産業政策的な、従いまして、農林政策的な見地からこの制度の存続を強く望んでおりまする当委員会考え方に基きまする議論、それに対しまする昨日の国鉄営業局長並びに総裁のなさっておりまする答弁というものは、根本的に食い違っているじゃないか国鉄当局はあくまでも国鉄当局なるもの自体立場から、独立採算制の建前を堅持する意味において、あらゆる国鉄内部合理化をはかる一環として運賃体系整備というものをすみやかにいたしたい、その中の問題としてこれを取り上げるんだ、こういうことであります。現に国鉄というものがわが国の経済に持っておりまするあのきわめて大きな役割というものを考えました場合におきまして、そういう立場だけから一挙にこれを取り上げて問題を一方的に進めていいかということにつきましては、これはもちろん、進められてはならないという結論が、だれに聞いてもこれは出てくると思うわけであります。そこで、過去において、国鉄主張されたごとく、これはいわば国鉄経理内部におけるサービスであったということを言わんとされておるのでございますが、そこで、一体、こういうサービスが今までの国鉄経営内部においてできたからやってきたということになるのじゃないかと思われるのであります。ところが、昨今の状況から見ますと、これができなくなった。そこで、一つ荷主さんに勉強してもらわなければならないのだ、こういうきわめて、何と申しますか、一方的な考え方の上に立つと言いながら、国鉄当局内部におきましてもやむにやまれぬ問題があればこそ、この問題につきましてあくまで当委員会の意思に対して国鉄側は強い抗弁をしておられる、かように私は考えるわけであります。そこで、先ほどの質疑の中にもございましたけれども、昨日の国鉄総裁お話を聞いておりまするというと、大体この政策割引によって減額をしておる金額というものは、農林水産物資を合せて二十億、こういうことでございます。そのうちの半分は荷主さんに直接負担してもらう、その半分は国の財政で負担してもらうというような考え方で今後の問題を処理するということでございますが、しかし、半分なんという見当、これもおそらく何ら科学的な基礎の上に根ざさない目の子の見当じゃないかと思うわけであります。十億ぐらいは何とかなるだろうというような、きわめてせっぱ詰まったお考えがあればこそ、これだけ熱意のある当委員会主張に対しましても、なかなか誠意のある御回答が得られない、私はそのようなふうに感じるわけでございます。そこで、一体考え方の上において大いに食い違った問題というのは、なかなか根本的に調整できるものじゃない。これを根本的に調整しようとするならば、これは単なる今までの議論の問題として考えないで、何か別途に、たとえば公共政策割引というものによって確かに減額されておるものが、とうてい現在の国鉄の負担にたえられないものであるならば、なぜ全額それを一般財政の負担にするというような考え方で抜本的な問題の処理考えられないのか、一体、そういう問題につきまして運輸省当局はどういうふうにお考えになっておるのか、これを一点御答弁をいただきたいと思うわけであります。  それからもう一点でございますが、先ほど来すでに問題は事務当局間の折衝に入っておるということでございますけれども、われわれが仄聞いたしますところによりまするというと、ただいま農林大臣が、何とか八月までには問題を求めるように御努力相なるということでございますけれども、しかし、しかく簡単に問題は双方の話し合いがつくように思えないのでございます。もちろん、非常に多数の品目があるわけでございまして、一点品目ごとにそのもたらす影響というものを慎重に考慮いたしまして、少くとも、その影響というものが十二分に吸収し得るという対象の物資でなければそれはやめられないということに相なることは当然だと思うのであります。ところで、一体運賃体系合理化という名前のもとにおやりになっております性質の仕事でございますが、かりに一点ずつ、話し合いがついたものからこれをやって参るというわけにはいかない。これはまことに理論的にも不合理なことであります。そこで、現在提示されておりまする全品目について両当局者の間に十二分なる話し合いがついた上でこれが行われなきゃならぬということは、従来の経緯から考えて当然でございます。少くとも、当初農林大臣がおっしゃったように、一方的に押し切ってやるべき性質のものじゃないと確信をしておられる以上は、これはあくまでもそのようにやらなければならないわけであります。今まで好むか好まぬか知らぬけれどもやってきたという事実に基いて、現に安定しておる事態というものが非常に混乱するという相手方があるわけでございまするから、その混乱がないようにその問題を片づけていかなければならぬということは当然のことでございます。そうなるというと、ただいま申し上げるように、全品目につきまして少くとも両当事者間の話し合いというものが完全につき得たときに初めてこれが実施されるということに相ならなければならないということは、当然私はここで議論する余地のない問題だと思うわけであります。八月末と申しますと、もうすでにきょうは十一日でございまするから、あと二十日でございます。当委員会はもう来月におきましては十日と十一日に開かれる予定でございまして、八月中には委員会がないわけです。どう考えましても、良心的に問題を処理しようといたしまするならば、八月一ぱいで問題が片づくなんということはこれはうその骨頂でございまして、絶対に片づくものでないという前提に立って慎重にやるべきものだ。私はかように確信いたすのでございまするが、そう申し上げましても、あくまで八月末日までにこの問題は何とかまとめるのだという御答弁しかいただけないが、いま少しく誠意をもって事の重要性をお考えいただきまして、とにかく無理はしない、あくまでも十二分なる話し合いのついた上でやるんだ、少くともこれくらいなお考えははっきりと表明していただかなければわれわれの従来の主張というものは許さないと思うわけであります。その点、一つ明確に御答弁をお願いいたします。
  25. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) ただいま御指摘になりました二十億を、その半分だけ国鉄が負担して、あと半分は補償でどうかという、そういう不徹底なことを言わずに、もっと抜本的な考え方でなぜいかいかという御指摘はもっともだと私も実は思うのです。私も実は二十億のうち十億だけ国鉄が自分で持ってやって、十億は国家でやってもらうという考え方を目の子算でやったということは今ちょっと聞いたのですけれども、しかし、それはやはり国鉄として、非常に当委員会におかれましても非常な熱烈な農民諸君の御希望等があり、また国鉄も苦しい中から何とか一つ誠意を示したいということでおそらく出したと思うのですけれども、さいぜんから委員の皆様に申し上げますように、国鉄それ自体運賃体系整備して経営合理化という線からいく場合において、政策的割引、公共的立場から負担させらるべき割引のものを、一体その負担を国家がどうするかという基本的な問題、あま運賃体系外にもまたいろいろ問題がありますが、国鉄それ自体性格をどういうふうに一体決定づけるか。さいぜん申し上げましたように二律背反的な立場国鉄が追い込まれておるという今日の現状でありますから、その点は御指摘のように十分に根本的な問題に掘り下げて解決をこの機会に一つはかりたい、こういうことを実は考えるのであります。  二番目に申されました点ですが、いずれこの点は農林大臣からも御答弁があると思いますけれども、八月三十一日までにこの問題が解決しない場合はどうかというような問題がありましたが、公共割引廃止は、御存じのように農林省と鋭意、また関係官庁とも国鉄との間で今折衝中でありまして大体私も満足すべき段階に達するんじゃないかとも思いますけれども、万一まあ満足すべき成果が得られない場合は、私といたしましては両者の意見も十分に聞いた上で善処したい。こういうことを実は考えておるのでありましてこれで一つごかんべんを願いたいと思います。
  26. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 八月末までにこれが一体きまるのかという御質問であり、御疑念のようでございますが、ただいま運輸大臣が申したように、私どもは八月末までにどういうふうにこの問題を扱うか、その結論を得る目標最善努力をしております。なおまた、しからば万一八月末までにきまらなかったらどうするのだというようなお話でございまするが、先ほども申し上げましたように、これが政府部内の話し合いがつかないままで国鉄が一方的にやるということはあり得ないというふうに御了承願います。
  27. 石谷憲男

    石谷憲男君 運輸大臣は、この機会に一つ抜本的に問題を考えていきたいと申されましたが、抜本的に考えるいい機会だというふうに運輸大臣がお考えであるならまことにけっこうでございまするから、問題を抜本的に理解した上で事柄を阻止されたらいい。先ほどの審議にございましたけれども一体こういう問題だけを取り上げる、しかも強行されようとするところに一つのきわめて重大なる問題のポイントがあるのじゃないかということをわれわれは考えておるわけであります。  国鉄経営というものをいかに理解するか、その上に立っていかような合理化方策というものがすべての面について考えられるか。その中の一環として当然運賃体系の問題が出てくる、こういうふうにお考えになっていくならば、おそらく皆さんのおっしゃることにつきましてももう少しわれわれ理解できるのじゃないかと思うわけでございまするが、少くとももう従来からお聞きいたしておりまする国鉄当局の御答弁を承わりまするというと、国鉄の独立採算の建前一点張りでございます。相手方がどうであろうとこうであろうと考えないような主張、こういう主張というものは私は許されるべきじゃないと思う。国鉄が要するに公共企業体の仕事であるだけに、そのほかにも国の直接やっております企業があるわけでございますが、そういう企業であるだけに、なかなかすっきりと独立採算の建前がとれないという場合は、ほかの場合にもあるわけでございます。  先ほど申し上げましたように、従来は、しかし、その中でこういうものまで見れたから見たのだというお考えであるなら、今になって初めて見れなくなったらどうするか。それを相手方に今になって見れなくなったからお前方半分だけ持て、相手の事情があるにもかかわらず、そういうことを全然考えないで、半分だけ見ろという主張こそまことにナンセンスだと思うわけであります。よろしく抜本的な御検討一ついただくということをさらにお取り上げいただきまして、こういう公共政策割引をどうこうするのだという問題はあとにやってもらいたい、この際はやめていただきたいというふうに運輸大臣にお願いするわけでございますが、どうでございますか。
  28. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 御存じのように、国鉄が独立採算的な立場をとり、また国鉄総裁権限においてこの問題をなす権限を持っておるのでありますが、さいぜんからいろいろと御議論がありましたように、公共性立場、また監督官庁としての立場からも、この問題について合理的な解決をしたいということを実は申し上げておるのでありまして従って御指摘のように抜本的な問題を解決するためにはどうしてもやはり内閣でこの問題を、国鉄をどういうふうに公共性とつまり独立採算的なもの等においてどうこれを調和するかという基本的な一つの対策を立てなければならぬと思うのでありましてこの点においてちょうど菅野長官がここに出席されておりますから、私ちょっと耳打ちしたのですが、経済閣僚懇談会に私も出て、基本的にこの問題と一つ取り組んだらどうかということを申し上げたのでありまして、今、長官からも発言があると思いますからどうぞ御了承願います。
  29. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) この問題につきましては皆さん方からいろいろ熱烈な御希望のことを承わりましたので、もうすでに八月末までに決定しなければならないことになっておりまするからして、至急に関係大臣に寄っていただきまして、この問題について解決するように私の方で手配をしたい、こう考えております。
  30. 小林孝平

    ○小林孝平君 関連して。先ほどからこの八月三十一日の期限について論じられておりますけれども、この八月三十一日ときまりましたその根本的な理由は、この期限までに農林当局から資料を求めて、その資料によってこの運賃改訂を考慮しよう、こういうことでこの八月三十一日が暫定的にきまったわけなんです。ところが、こういう経過でもってきまったこの八月三十一日を、あたかも絶対変えられないような言い分で、先ほどから、八月三十一日がきまっておるのだから、ともかくそれまでに全部解決をする、こういうようなお話になっているのが大体おかしいと思うのです。そこで、八月三十一日ときめたけれども国鉄当局はどうであるかといえば、この三十一日までに農林当局から資料を求めて、その資料が適正であれば、また、理由があれば継続しようと、こう考えておったところ、農林当局から出されました資料は、これは農林大臣として、よく聞いていただかなければなりませんが、きのうの話では、まるで問題にならない資料が出た、とてもこんなもので運賃割引を要求するなどということは問題にならないと、こう言われておるのです。あなたは、そういう資料でもってこの交渉をやられているわけですが、そういうことで大体この話がつくと考えられておるのかどうか、私はまず聞きたいのです。そうしてここでは非常に熱意があるようなお話でありますけれども国鉄当局では、全然農林省の資料などというものは問題にならない、こんなものでは、大蔵省に予算を要求しても金を出すはずがないと、こういうふうに言われているのです。そういうことであれば、かりに十億、二十億の問題にしても、今のままでは解決しないはずです。それを三十一日までに解決できると考えられておるのは、どういう考え方に基いてそういうことをおっしゃっているのか。  それからもう一つは、この十億、二十億という問題は、これはわれわれは納得しませんけれども、かりに国鉄当局の言われるように、この問題を、こういうふうに、十億は予算措置でやるということにしましても、この問題が解決しなければ、八月三十一日から十億の点だけを実施するということは、私は理論的に不可能であろうと思うのです。この点が先ほどからの議論ではぼかされているのです。話がつかなければ——かりについても、十億は将来に持ち越して、十億だけ八月三十一日からやるということで実施するというけれども、そういうことができるのかどうか、私は非常に疑問であろうと思います。そこで、かりにそういうことができるという前提に立てば、必ずこの三十一日までには同時に十億の予算措置の話し合いがつくということが前提でなければならぬと思うのです。これは先ほど小笠原君が言われた通りであると思うのです。そこで、もう一度この点を明らかにしていただきたい。十億の問題は、八月三十一日までにそういう話し合いができるのかどうか。それができないということであれば、私は、今から八月三十一日をめどにしてこの解決を急ぐということはおかしいと思うのです。やはり今の段階で、これはもう少し時間をかけて研究をするということにしなければならぬ。この二つの点から、私は、八月三十一日にこだわる理由はないと思うのですが、この点いかがですか。
  31. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私の方から運輸省の方へ出しました資料がいかにも不十分であるということが、国鉄側から話が出たという話でございまするが、私も詳しい資料を見ておりませんが、要するに、品目別にこれの影響というものがどういうふうに出てくるであろうかということの資料は、十分説明してあると思います。足らなければ、まだ幾らでも私どものできるだけの説明をいたすつもりでございます。ただいま、さらに、十億円の財政措置がきまっておらなければこういう案は無意味ではないかというようなお話でありまするが、まあその通りでございます。しかし、ただいまお話の中心議題になっておりまするのは、国鉄考え方というものでございましてこれにつきまして政府の方で今申し上げております通り話をまとめていく、こういうことでございます。政府全体の見解といたしまして十億円は政府側が出すのだというふうにきめておるわけじゃない、あくまでもこれは国鉄側の要請というか、御意見がここに御紹介されておると、こういう段階でございます。
  32. 小林孝平

    ○小林孝平君 そういうことであれば、先ほどから運輸大臣それから農林大臣お話、それから今のお話を総合すれば、八月三十一日というものにここの議論段階でこだわる必要は全然ないと思う。この八月三十一日ときめたのは国鉄の一方的な都合でもって大体きまっているわけで、そういうことにこだわらないということであれば、この段階でまず八月三十一日にこだわらないということをきめなければならない。これからいろいろ資料を出します、あるいは経済閣僚懇談会を開きますと言ってみても、この八月三十一日が今の段階できまっているならば、そういうことはほとんど私は不可能だろうと思う。農林当局が数カ月かかって出した資料が全然ここでは問題にならない資料である、こう言われているのです。これから一生懸命に作ってみてもこれが満足のいく資料ができるはずがないと思う。それから予算的の措置、あるいはいろいろの点を考えても八月三十一日までに解決することはほとんど不可能である、こういう今の段階では。ここで先ほどからお話のことが、ほんとうに心からおっしゃっていることであれば、八月三十一日にこだわらない、もっと十分時間をかけてやるということぐらいの御言明があってもしかるべきだと思いますが、いかがですか。  さらに経済閣僚懇談会を開くといいますが、八月三十一日までならば一体そういうことが何回開かれてそういうことが具体的に成果が上るのかどうかということもあわせて経企長官にお尋ねいたします。
  33. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 先ほどから皆さんの御要望がありますので、至急関係大臣に寄っていただきまして相談をしたいと思います。ただ私の希望といたしましては、何回でも解決するまで開いてできれば八月末までに解決したい、こう考えております。さよう御了承を願います。
  34. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) さいぜんから申し上げておりますように、各関係大臣と寄りましてこの問題の解決を……、今限られているような期間でありますから、それに間に合うように一つ話をしようということで話をすることにしておりますから、どうぞそれにて御了承を願います。
  35. 森八三一

    ○森八三一君 大体今まで同僚各位からの質疑で方向は明らかになったと思います。三大臣とも基本的には国鉄のあり方という本質をこの機会にきわめたい、その上に立って運賃問題の取扱いに関する具体的な結論を得たいということだろうと思います。もしそうだといたしますと、今小林委員お話しになったように、常識的に考えましても、おそらく八月三十一日までに結論がつこうとは思えません。というのは、今企画庁長官も一応のめどとして八月三十一日を目ざしているが、そうしてその間に鋭意努力はするが、その努力の結果成果が上らぬということであれば、必ずしも八月三十一日にこだわるものじゃないという趣旨の御答弁だったと私は了解いたします。当然そうでなければならぬと思う。これは努力はいたしますが、努力をしても結論が得られないという場合には、得られないままにやっちまうという御趣旨ではないと思います。そういう御趣旨に私は結論されると思います。  そこで企画庁長官にお伺いいたしますが、今日日本の政治を進めていくときに一番地本的に大切な問題は何とお考えになっているか。これは本年度の予算が一兆四千億という非常に膨大な予算、しかもその財源しては御承知のように過去の蓄積を相当に食っているということなどからいたしまして、この予算の運営いかんということは経済の過熱を招来する危険があるということで、かなり各方面の心配がなされていることは御承知通りであります。そうでありますからこそ、予算の成立いたしました四月二日か一日でありましたか、閣議におきましては大蔵大臣が御発言になりまして、この予算施行の結果が世間で心配されているような、経済の過熱を招来するというような結果を生んではいかぬ、そこで月別に平均予算の使用をするというようなことをお話しになりました。当時の閣議はそれを了承されている。私はこのことを非常に賛意を表する一人でありますが、そういうように非常に心配されている。一番今、日本の政策として堅持していかなければならぬ経済の過熱を防止するというこの一点に、政治を施行していく限りにおきましては、それに障害となるような一切の問題は私は取り上げるべきではない、こう思うのであります。それがいろいろの角度から心配はないのじゃないかというような議論はあるにいたしましても、他方面に逆の意見があるような問題はこの際取り上げるということは、せっかく安定して参りました日本の経済を逆転せしめるということに通ずるのでございますから、一切私はやめていくというようなことが、この際とられるべき最大の問題と思うのですが、企画庁長官として一体何をお考えになっているのか、またこの問題を取り扱って参りまするときに、このことが私は基本的の観念としてなければ結論は得られないと思う。ただ運賃体系を整えるということが急なのか、日本の経済を安定成長せしめるということが急なのか、どちらが急かという基本問題を十分考えて取っ組んでいかなければ、私は結論は出てこない、そういう感覚から一体どう考えているのか、その基本問題をまずお伺いしたい。
  36. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) まず現在のこの運賃の問題でありますが、私ども立場といたしましては、物価にどういう影響を及ぼすかということを考えて、運賃体系整備してもらいたい、こう考えているのでありまして、そういう立場から私の方では善処したいと、こう考えている次第であります。なお、今三十四年度の予算を執行中でありますが、お話通り大体過熱を起さないような大蔵大臣の指示に従って、各省とも予算を執行していると思います。従いまして今の日本の経済情勢のもとにおきましては、過熱の心配はないと思っております。これは私ばかりの考え方ではなくて、財界方面でもそういう観察をいたしている。ただ問題は来年度の予算であります。その点を御心配になっておられることと思うのでありますが、これは今後どういう予算を立てるかということはこれからの問題でありまして、目下各省予算の要求の概算要求書を今編成中でありまして、それに基きまして、それについていろいろまた討議が行われると思いますが、なお私どもの方で来年度の大体の財界の動向を予測いたしまして、それによって来年度はどういうような財政支出をしたらよかろうというようなことについて、目下私どもの方で研究中であります。従いまして、そして、大体予算関係の概算書が出た上で討議をして、そして来年度の予算を決定するわけでありますが、お説の通り過熱ということは、われわれ非常に心配しておりますから、過熱の起らぬようなやはり予算を作るべきである、こういう考えを持っている次第であります。
  37. 森八三一

    ○森八三一君 そういたしますると、私の考えと大体一致はいたしておりまするが、今問題になっている金額としては二十億か三十億か、私は詳細な資料をもらっておりませんからそのことはわかりませんが、国鉄当局お話に基きますれば、問題になっている運賃は二十億であるというのであります。金額から申しますればきわめて二十億という金額は小さいとも言えるかと思います。しかし、私が申し上げるまでもなく、わずかな金額でありましても、それが国民生活に直結する問題に関連する限りにおいては、これは波及する面が非常に大きいというふうに考えなければならぬと思う。そういう場合に二十億であっても国鉄運賃を増徴するという結果は、経済の上に非常な影響を持ち来たすということは、これは常識、議論としては当然出てくる結論であろうと思う。そのことをあえてここで立証するということは、今お話しになった方向とは逆の結果を招来する危険があると私は思うのであります。そういう趣旨から考えますれば、この際問題になっている一部の運賃値上げをするという措置は、国全体の経済政策の上から考慮をされなければならぬ重要な問題であろうと思うのであります。そういうようにお考えになりませんかどうか。ただ吸収し得るからとか、金額が小さいとかいう問題ではない。これはただ単に荷主の問題ではなくて、国民生活全体に影響を持ち来たす非常な大きな問題だと思う。これが波及して参りますれば賃金問題にも私は影響を来たす問題に発展すると思うのです。と申しますのは、生活に直結する重要な物資運賃問題であるからであります。そういうことを考えますると、経企長官としては国鉄のあり方という問題を中心に考えていらっしゃいまする場合に、今申し上げましたような国全体の経済ということを考慮に入れますれば、当然これは処置すべき問題ではない、実施をやるというような問題ではないと思うのでありますが、そういう感覚にお立ちになりませんかどうか。
  38. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) この問題につきましては、先ほど申し上げました通り、今度の国鉄公共割引賃金をやめるという問題がいかにこの経済界に、物価に影響するかということにつきましては、農林省並びに通産省にそれぞれ調査をお願いしておるのでありましてその調査は一部出ておりますが、まだ私どもでも合点のいかない点もあるのでありますから、なおもっと調査を目下お願いしておるのでありまして、従いまして近く開かれる関係閣僚の懇談会でそれらの問題をいろいろ資料をみな提供してもらって、そうして一つこの問題について討議したい、こう考えておる次第であります。それによって結論を見出していく、こう考えておる次第であります。
  39. 森八三一

    ○森八三一君 そういたしますると、先刻来しばしばお話がありましたように、現在提示されておりまする農林省からの資料というものは、きのう国鉄当局お話ではこれは全然問題にならぬ、こんなもので予算をどうするこうするというようなことの対象になる資料ではないという明確な御答弁と申しまするか、説明があったわけです。そこで、長官が要求されまするような資料を整えまするためには、これはもう一ぺん初めからやり直すということではなかろうかと思いますが、相当資料の整備をしなければ今求められているようなことの答えを出す資料になりかねると思う。そういたしますると、八月三十一日という日にまで、おやりになる努力を私は別にそれをとやかく申すものではございませんが、実際問題として出てこない。現に四月以降数カ月かかって出された資料というものは根本的にだめだと、こうおっしゃるけれども、もう一ぺんやり直すと、わずか十日間や十五日の間にそういう資料が得られるということは、これは常識としては考えられません。そうしますと、八月三十一日ということにこだわっていらっしゃるのが非常におかしい、こういうことになってくる。そこで先刻お話しになりましたように、鋭意八月三十一日を目途として努力をいたします、努力をいたしまするが、結果的に結論が得られぬ場合に、八月三十一日は自然に消滅するのだという御答弁のように私は了解しておる、そうでなければ話が筋道が通りません、そういうように了解していいかどうか、この点についてお伺いしたい。  それから運輸大臣にお伺いしたいのは、最初はこの問題は運輸大臣権限ではない、国鉄総裁権限の問題なんだ、こういうお話、ちょっと聞いておりますると、政府としては鋭意研究するけれども国鉄総裁権限でやってしまえば仕方がないのだというようにも聞えるような趣旨のお話があったように思うのであります。これは私の聞き違いであればけっこうでございますが、そうだといたしますると、いか政府部内で閣僚懇談会をお開きになりまして御研究願っておりましても、国鉄当局では、企業体の収支を合せるためにどうしてもこれは実行するのだということで一方的になってしまえば、これは何とも仕方がないというようにも受け取れるのでありますが、運輸大臣としては経済閣僚懇談会の結論のもとに、閣議で方針が決定せられるまでは、国鉄当局が一方的な行為をとるべきでないということを言明される御意思がありますかどうか、その点を運輸大臣にお伺いいたしたい。
  40. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 今企画庁から出ております資料につきましては、事務当局でいろいろ検討中なのでございまして、それによって結論をわれわれは判断したいと、こう考えておるのでありますが、まだ最後的な判断を下す域には到達していないということを申し上げておるのでありまして、国鉄総裁がどういうように言われたのか知りませんが、私の方ではそういう考えをしておる次第であります。従いまして、たとえばある品目などでは、これをやめることによってにわかにその価格に影響を及ぼすというような問題などもあると思うのであります。そういう問題を一体どうするかというようなことも、具体的に今検討中なのであります。従いまして、大体事務当局でもう最後の判断に到達するように大体なっておると思いまするからして、従いまして、至急に懇談会を開きまして、そうしてまあ一応八月三十一日という目途になっておりまするから、それを目標一つ解決するように努力したい、こう考えております。
  41. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 森委員のおっしゃいましたことは、これは国鉄総裁権限事項でありまして、この点は法律的にそうなっておりますが、監督官庁として、運輸大臣といたしまして、またさいぜんから皆様方の御意見及び国会の御意思等を尊重いたしまして、国鉄総裁権限だからといって、監督大臣である私の了解なしに、勝手に運賃だけを断行するということは、これはやらせませんから、御了承願いたいと思います。
  42. 森八三一

    ○森八三一君 経企長官の御答弁の中に、経済企画庁の事務当局が出しておる資料を検討中だ、こういう御発言があったのですが、私の申し上げたのは、国鉄の事務当局から、関係農林省なり通産省の方に資料の要求をしてそれが出てきたものでは問題にならぬ、こういうことをきのうおっしゃっておる。そこで私は、やはり主管省である農林省なり通産省なり、そっちの方が、もし国鉄考えていらっしゃるように措置するとすればどういうような影響がくるであろうかということを基調としてやらなければならぬと思うのです。経済企画庁の方で持っていらっしゃる資料だけでお考えになるということでは筋が違うと思う。前の答弁で、経済企画庁とおっしゃったのが間違っておりますればそれでけっこうでありますが、もし間違っておって、農林省なり通産省なりで出しておる資料ということでありますれば、昨日お話しのように、専門家の運輸事務当局国鉄事務当局がごらんになって、これじゃ問題にならぬという資料を、経済企画庁長官がごらんになって判断ができるという資料では私はなかろうと思うのです。これは専門家の方がおそらく私は詳しいと考えなければならぬと思う。そういうことであるとすれば、おそらく資料のやり直しをしなければならぬ。やり直しをしなければならぬということになれば、とうていこれは八月三十一日を目途にやると申しましても、実際問題としてはできない。私はここでそうかれこれ追い詰めたくはございませんけれども、三大臣とも、八月三十一日を一ぺん言ったのだから、それにこだわって言わなければならぬという考えでなしに、これは重大な国民経済全体に影響する問題ですから、慎重に考えてやる。そのためには、必ずしも八月三十一日は絶対のものではないということぐらいはおっしゃって私はしかるべきだと思うのです。何もそう気がねしてかれこれおっしゃっておらぬでも、私は国民経済全体の問題を考え議論をしておるのでありますから、その線に沿うということであれば、なま煮えの結論でやるということではいかぬ。それは十分手を尽し、ことにそれは三大臣ともはっきりおっしゃっておりますように、国鉄のあり方というものの根本を考えた上に扱うことだと思うのです。これは今まで数年かかって国鉄問題は論議しておる。そうして得られておらぬ結論を、あと十日や十五日の間に得られようというようなことは、これは神様でない限り不可能である。そういう問題をここに提起されておるときに、八月三十一日にこだわっておったのでは、話は平行線で進みません。もう少し率直にお話し願いたい。それは八月三十一日を目途として努力をするけれども努力しても、国鉄の基本的なあり方の上に立って結論が出ないとすれば、その際には八月三十一日は自然消滅で、自動的に延期されていくんだ、こういうことになる。これは当然だと思うんですが、その点はどうですか。私は当然だと思うんです。
  43. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 八月三十一日という大体期限がありますので、それを目途にわれわれ努力するということを申し上げておるのでありまして、そうしてそれで結論が出なければ、またそのときのことであります。今からどうするこうするということでなく、われわれは八月三十一日を目標にして努力するということを申し上げるより今お答えすることはできぬと思っております。
  44. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 十河総裁にお尋ねしますが、昨日の話を聞いてみますると、国鉄なり運輸省の運輸政策あるいは交通政策、全般の動きつつある経済情勢の中におけるそういう交通政策、これは運輸政策を誤まって起きた赤字というもののその補てんを、すべてとはいいませんが、公共割引廃止という方向に持ってくる。さらにまたそういうふうにいって、衆参両院の農林水産委員会をして、国が十億内外の金を出させるように援護射撃をさせるような議論の進め方をして、非常に問題だと思う。それはこれによって二十億なり二十四億という機械的な計算は出ますが、そういうふうな運賃に転嫁したり、あるいは政府から補助をするというような際には、まず私は国鉄自身が、これはそういう赤字を十分消化できるような合理化をやらなければならぬ。たとえば言いたくはありませんが、ある局長は、自分が退官する際に、一つの貨物ホームが駅にあるのに、もう一つの貨物ホームを作って、その地方の人はいいことをしてくれた。数百万円でもう一つの第二の貨物ホームを作った。ところが、やめたその局長は、すかっとそこに自分の製材所を作って専用ホームにしている。それを国鉄が数百万の金を出して、さらに参議院議員選挙はどうですか。貨物が駅に着いて、そうしてホームに留置する、これに対しては留置料金を取るようになっている。荷主に対して、何票とってくれ、留置料金をまけるからというような、こういうことは、もう私たち至るところで見ているんです。そういうことの合理化を、総裁としては、広範な事業ですから目が届かぬと思いますが、そういうふうな印象をまず受けたことは、それは国民の広範な支持をなかなかこの運賃値上げが受けにくいというのは、そういうところに私はあると思うんです。六百万も七百万もする貨物ホームを作って、それが退職した某局長の専用貨物ホームである。そういうことが許されている。そういうことが随所にある。まずそういうことを合理化して、なおそれが消化できないということが私たちとして十分了解できない。国民の広範な支持が得にくいというところは、総裁としては、広い事業ですから目が届かぬと思いますが、そういうことが至るところにある。その点は十分気をつけていただきたい。  さらにまた私は営業局長にお尋ねしたいんですが、二十億なり二十四億なりというものは、公共政策割引によってそれだけマイナスだ、それを廃止すれば自動的に二十四億なり二十億の増収になる、公共政策割引廃止しても輸送量に変りがないという前提に立っている。そういうことが一体論証できますか。二十億なり二十四億なり、公共政策割引でまけておいて、これを廃止しても自動的に輸送量は変らないという前提に立って、たとえば学生割引がある。これを廃止しても今と同じ交通の輸送量があるという前提に立たぬとこういう政策は成り立たぬのです。そういう政策が運賃を上げることと、輸送量との相関関係を計数的にはっきりはじき出さないと、これは私は出てこないと思う。それからもう一つ、私昨日の話を聞いて、農林省はけしからぬと思っていた。ところが、要求した調査資料を見ると、通産省と農林省、こんな広範囲な調査はとても半年や一年でできる調査でない。またこの調査ができたら、国鉄全体の建て直しが可能なほど基本に触れた調査なんです。私、昨日入手して調査してみますると、農林水産物それぞれについて、運賃割引生産者消費者価格に及ぼす作用とか、あるいは物資の流通範囲に及ぼす影響とか、あるいは輸送改善に及ぼした効果とか、産業助長に及ぼす効果等を、これをとてもやれということは、私は怠慢ではなしに、事実上これはとうていいかに善意の努力をしても、これは不可能なんです。またこれが私はできましたら、国鉄の建て直しの基本的な指針が私は得られるほど、根本的な調査である。これを農林省や通産省に要求するまでに、運賃体系をきめる営業局長国鉄自身が、こういう私は調査機構をもって動きつつある経済情勢の中で、いろいろな輸送機関別の量はどうだというようなことを把握せずして、農林省や通産省が出さないか期限までやっちゃうんだ——できない要求をしておいてやれというようなことは、私は少し無理だと思う。そこでお尋ねしたいことは、たとえば学生割引あるいは公共政策割引というものをやめても、同じ交通量だという前提に立っていると思う。運賃を上げ下げすることと、物資の輸送量、距離というような、そういう相関関係をはっきり出して、われわれを説得されるなら、事情やむを得ないものならいろいろな措置があると思うのですが、私はその点は少し無理な要求を局長の方からして、赤子の手をねじるようなことを言って、八月——次の九月一日ですか、やるというような措置は、これは了承できない。もしこの調査ができましたら、私は国鉄運賃国鉄再建の重要な基本資料が得られるほど重要な広範な、かなりの年月をかけぬとできぬ調査です。森さんも言われたように、とてもこれはどんなに善意の努力をしても私はできないと思う。その点は別にして、とにかく今の、昨日来の議論の前提は、公共割引をやめて他のものと同じようにしても、物資はちっとも変らずに移動するという前提に立って私はそういうことはない、それは十年のこれを見たって、それは運賃関係でだんだんとまた他のそれがまず流通圏から脱落することが予想される、採算のベースに合いませんから、特にかさに比べて値段の安い物資はまずその流通圏から脱落して、国鉄のレールの上に乗っかってこない。またもっと高くなればできなかったトラック輸送も可能になってますますこれは赤字の悪循環ということになって、決してこの廃止をいたしましても、二十億なり二十四億なりが自動的にはね返ってくるということは私は困難だと思う。だから、学割とその問題について、二つの問題について相関関係をはっきり示してもらいたい。
  45. 十河信二

    説明員十河信二君) 国鉄経営上、今御指摘のありましたような、いろいろな不合理な不経済なぜいたくなよけいなことをやっているところも多々あるかと思います。私は就任以来極力そういう面を押えまして、厳重に監督をいたしているつもりでありますけれども、まだまだ行き届かない点が多々あるかと思います。私はこれを深く反省して、みずから自分を鞭撻して、この上とも一そうそういう点に努力をいたすつもりでおります。ただ、今日国鉄財政が非常に窮迫いたして参りましたことは、皆様も御承知通り、第二次大戦以後国鉄の独占性というものがだんだん影が薄くなりまして、独占性どころでなく、激しい自動車等との競争をしなければならぬような立場に相なって参りました。先刻運輸大臣からお話がありましたように、昔国鉄が独占企業であった際の運賃体系はこれを改正いたしませんと、国鉄から、幾らか引き合うもうかる貨物は全部逃げてしまってもうからない損をする貨物だけを独占して輸送しなければならないことに相なって参ります。それゆえにわれわれは運賃体系の根本的な改正をいたしたいということで、すでに二年前から部内の権威者にもお願いいたしましていろいろ調査検討をいたしている次第であります。本件の特別割引につきましても、先年運賃値上げをいたしました際に、運賃値上げと、この特別割引廃止とが同時に重なり合うと、急激に経済界に動揺を来たすおそれがあるということで、慎重に考慮して、一年延ばしたらよかろうという皆さんの御意見によって、一年延ばしたような次第であります。農林省の出した資料がどうとかこうとかいうことは、国鉄の事務当局のあるいは言葉が過ぎた——国鉄の思うような資料が出なかった、あるいは資料に何か疑問があったということから申し上げた次第じゃないかと思います。今お話のありまするような、実に広範なる非常な御努力をもって整えられた資料であります。私どもはこれに対して十分に敬意を表し、慎重に考慮をいたしまして、せっかく皆様からお話のあることでありますから、せめて半分だけは何とかごかんべんを願って、あとの半分は政府から補償をいただいて、こういうふうにきめたらどうかということを目下政府関係方面と協議をいたしている次第であります。御了承をいただきたいと思います。
  46. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいま御指摘の二つの点についてお答え申し上げます。初めの公共政策の割引を一部廃止することによって運賃が上るので、その物資の流通が従前通りいかないじゃないかという御質問であります。その点につきましては、過去の実績等から申しましても、そういう点も確かにございます。しかしながら、昭和二十五年、昭和二十八年、昭和三十二年、ことに昭和三十二年は、私の方の再建のための一割三分という運賃値上げをいたしました。その前後の物資の動き、これを物資別に十分検討いたしましても、むしろ運賃の増減による物資の流動状況の影響よりも、全体の景気変動、あるいはことに農産物等につきましては、その作柄、あるいは水産物にとりましては漁獲高といった、私ども運賃以外の面によるものの影響が強いということが、計数的に出ております。たとえば昭和三十二年に運賃値上げいたしましたが、輸送量は昭和三十一年よりも上回っております。これは物資別に大体出ておりますが、また昭和二十八年におきましても、これは朝鮮事変の影響で、運賃値上げにかかわらずやはり輸送量はふえております。そういったような、やはり御指摘通り運賃の増高によるところの、一部流通経済からの脱落ということも考えられますが、それよりもっと大きなファクターとして、いろいろな運賃以外の要素によって、貨物が動いていくということに相なると思います。たとえば今申しました通り、昭和三十二年と三十一年の実績に徴しましても、おおむねその点は明らかじゃないかというふうに考えられます。  それから、学生割引の御質問が出ましたが、今お答えすべきかどうかよくわかりませんが、一応、この間新聞等に出ましたので御質問があったことと存じますが、その点につきましては、いろいろ詳しく御説明申し上げたいのでございますが、これはいずれ別の機会に譲るといたしまして、もちろん学生割引が、今の五割がいいかどうかという問題は一応別にいたしましても、五割の学生割引がもし二割になったという場合は、もちろんある程度の学生の旅行の減少はあると思います。しかしながら、私どもといたしましては、あの問題につきましては、現在学生の割引証というものは、高等学校あるいは中学といったような、大学以外の学生に対して必ずしも潤沢に配布されてないというようなことを高等学校の校長会議、あるいは中等学校……各府県の教育委員会というところからいろいろ耳にいたしております。そういった面、すなわち学生全体のなるべく多数が、一部の人だけじゃなしに多数の人が、学生割引の恩典を受けるというような制度考えますれば、全体としての学生の旅行量というものは必ずしも減らないのではないかというふうに考えております。もちろん今申しました通り割引変更による直接の影響を受ける学生は、あるいはいるかもしれませんが、それと同時にやりますほかの政策によりまして、全般的にほかの輸送量をふやしていくということはもちろん考えておるわけであります。  それから第二番目の調査の点でございます。ただいまお読み上げになりましたが、それは私の方が去る四月十一日に出した調査、私の名前の農林省に対する公文書だと存じます。ただ、私どもといたしましては、なるほどその内容は非常にむずかしい、非常に大問題だということはよく存じております。しかしながら、これは実はことしの四月に突然起った問題ではございません。すなわち、昨年の六月末に、これをちょうどやはり当委員会におきましても、あるいは衆議院におきましても、同じ問題でもって一年延期いたしました。そのときに、十分この点につきましては、農林当局といたしましても検討されたことでございます。従いまして、もし私どもが、四月にこつ然としてそれだけの資料を要求したとすれば、それはあるいはただいまのような御非難があるかとも存じますが、しかし私どもから申しますれば、農林省当局としては、当然一年前からそういった資料を要求されておってしかるべきものだ、またされておるだろうということを確信いたしましたのでそういう資料を要求いたしたわけでございます。その点、昨日も申し上げ、重ねて申し上げて恐縮でありますが、ことしの四月にこつ然として話が出たものでないということだけを申し上げておきます。
  47. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  48. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記をつけて。
  49. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 こういう機会ですから総裁に申し上げておきますが、交通事情のこの革命的な変化に、バスやトラックに手を出さずに、そうしてやめた局長が栄転するために、それをほうっておいて、不採算路線ばかりやりながら、そうして公共政策割引等にしわを寄せては、これはますます斜陽産業になってしまう。これはそういう問題との関連においてもっとやるべき問題が、公共政策割引にしわを寄せる前にもっとやるべき問題があるのに、そういうことをほうっておいてバスやトラック、あるいは飛行機、こういう問題に手をつけずに、そういうことは私鉄やその他にやらしておいてそうしてそれぞれ高級官僚の諸君がちゃんとそこに天下るようにこうなっている。きのうも局長が斜陽産業だと言っておったが、斜陽産業にするもの自体は私はそういうところにあると思う。ですから、私はもっと公共政策割引国鉄運賃の問題を解決しようとする前にもっとあるということと、そのことを一つ申し上げて今後御検討を願いたい。  それから、それはずっと以前から調査資料を要求されておったと思いますが、これはいかに善意でも、とても半年やそこらでできないものです。しかし、この調査をやることは絶対必要です。共同で、運輸省なりあるいは企画庁、通産、農林等が、どうしてもこの基本調査をやって、運賃以外の景気変動その他の方が大きいと言われたが、しかし、何らかその相関関係をひもといていけば、これは景気変動によるものだ、これは運賃によるものだというパーセンテージが出るはずです、今の統計学からいえば。やはりそういう努力をやって、単に遷延策をとるというのでなしに、幸いこの機会に、相当進んでいるわけですから、もっと関係各省が協力をして、まず調査を完了して、ほんとうに公共政策割引廃止したら物資の流通はどうなるか、特にかさが大きくて値段の安い原料生産物はどうなるかということをもっと計数的にはっきり出してから私はおやりを願いたい。そういうふうになれば、われわれに対する説得力ももっと出てくると思う。そういうできない難題を短日月に吹きかけてやられるということは、私は無理だと思う。  そこで、最後に企画庁長官に……、官房長官も出ておられればお願いしたいと思うが、そういう調査を至急に完了して、そうして一つ物資の輸送の中から、これは景気変動によるもの、これは運賃によるものというふうに、今の統計学からいえば分析できるのですから、そういうことをやって、果して影響がないか、十分消化できるものか。そうして、むしろこういう政策はだんだんと他の輸送機関に転嫁してしまって、赤字の悪循環になっていくのじゃないか、こういう杞憂をしろうとながら持つのです。それが杞憂であればいいのですが、私はますますそういうふうになっていくと考えますので、一つ至急に、他の委員からも言われたように、この調査の完了を待ってやるというふうに一つ善処していただきたい。われわれは必ずしも遷延策を要求するものではありません。その点どうですか。企画庁長官の御意見を伺いたい。
  50. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 今、各省から出ておる調査をもう一度われわれは検討したいと思いますが、今、中田委員もおっしゃられました通りに、この運賃値上げと物価との相関関係、これがまたほかのファクターによって動いておる点も少くないが、しかし、運賃がどういう関係にあるかということは、直接にまだ今まで調査したものがないのです。それをもう少し私たちも知りたいと思いまして、今、その点を私ども調査さしておるわけです。これがわかりさえすれば問題は解決するのですが、それが今のところわからないのでございまして、いろいろのファクターによって物価が上ったり下ったりしておるわけですから、その点はこれから私ども調査したいと考えておりますが、とにかく今まで出た調査に基いて一応検討したいと考えておる次第であります。
  51. 戸叶武

    戸叶武君 今までの議論の中において、運輸政策の原則的な面と当面の対策とがごっちゃに入ってきていると思いますが、特に今、最後に経企長官が発言したことは重大で、物価と運賃との関係のデータが正確に把握できなければ、問題解決は困難だと言った発言は重大発言だと思います。そういう点をおろそかにしているところに、今の官庁なり政府の怠慢があるのですが、特に運賃体系というものを物価にどう影響を及ぼすかによってきめると経企長官は前に断言しておりますが、その通りだと思います。しかしながら今、国鉄の悩みというものは、楢橋運輸大臣が説明したように、要するに公共性独立採算制との二律背反性による悩みにおいて公共的な奉仕をしたいという面と、財源がないという面の悩み、これに対して国家回答を与えず、結局、活路を運賃値上げというところにだけぶつかっていくところに、方々から袋だたきになっている原因があるのであるが、これに対して、国鉄だけにしわ寄せをして、政府は思いやりをしていないというところが、一つの問題点だと思うのです。前に営業局長が説明しましたが、三十二年の一割三分の運賃値上げのときに、私は運輸委員長をやっておりましたが、反対でした。反対は物価に対する影響というものを各委員がやはり強調してきたのですが、物価に影響があったのです。そうして私鉄運賃値上げしない、これは国鉄の場合と違うのだからと言っていながら、去年は河野君が一割七分の値上げを声明して、そういう党における実力者の声明というものが政府を動かして、あとでは私鉄運賃値上げとなり、政府献金ともなるといったような非常に悪循環が生まれてきて、しかも国鉄は今日ほんとうに経営難に陥っているのは、金のもうかる事業はさっき中田君が指摘したように、近郊の電車、バス路線、トラック輸送、そういうものに蚕食されて斜陽産業になったというのは、政府みずから国鉄公共性というものを守らないで、そうしてほうりっぱなしにして、踏みつぶして、重荷だけしょわせて金はやらないというような、まるで国家の奴隷のような状態にしてしまったから、こういう壁にぶつかってきているのだと思う。この問題はあとで十分いろいろ検討される機会があると思いますが、当面の対策はもう結論が大体出ていると思うのです。それで福田農林大臣は八月三十一日までに結論を得る目標で進むということを明言しておりますし、それから楢橋運輸大臣は、満足な結果が得られない場合には善処する、その善処するというもののもっと具体的な態度の表明はいますぐできないかどうか知りませんが、それから菅野経企長官は関係閣僚の話し合い、楢橋さんの言う経済閣僚懇談会といいますか、そういうもので八日三十一日までに結論を出すということを明言しておりますが、その問題は、だれもそういうことを言っておるけれども、八月三十一日までに結論が出ないという認定の上に立って、出すというけれども、それは一つの仮説にすぎない、お気持にすぎない、問題は、心配しているのは、八月三十一日までに結論が出ないときに、どういう具体的な善処をするのか、それでこれは出ない場合においては、当然国鉄だけの独走を許さないで、運賃値上げということはできない、させないというような形を楢橋さんが言っておるようですが、抽象的で明言していない。また国鉄といたしましても国家から十億、自分たちのやりくりで十億やっておる。国家の方へお願いして十億という線を出しておるのも、国の方の予算編成期に当って、早く基本線が出なければにっちもさっちもいかない、国家の方から全部出してくれれば国家にお願いしたいというところだろうが、そうはいかないというところに悩みがあると思う。延ばせといったってやたらにずるずるとは延ばせないが、いつまで延ばしたら結論が出るか、八月三十一日までに結論が出ないことははっきりしている。努力は知っている、三十一日までにとにかく結論を出すようにやってもらいたい、やれないときにはいつまでにぎりぎりのところ結論を出すのか、その線がはっきりしなければ一般の業者も困るし、業者だけでない、国鉄だって立ち往生する、その非能率的な政治、非科学的な政治、総合性のない政治というものが八方ふさがりの現実を生んでいるのですが、そこに問題はしぼられてきていると思いますが、それを楢橋さんが明言した場合の、満足な結論を得られない場合には善処するというその善処の具体性、それから結論は三十一日に得られない場合は、ぎりぎりにおいていつまでに得るか、それに沿って延期ということも成り立つ、時の問題というものに非常に制約されてくる。それとも、こういうことはもう簡単にはできないからやめだというのか、そういうとにかく一般に影響を与えることだから、そういう楢橋さんの政治的用語としての善処というような形ではなくて、一つの運輸行政を担当するところの閣僚の発言ですから、もっと具体的に一つの建設的な結論を出してもらいたい。それを楢橋運輸大臣、菅野経企長官、福田農林大臣に御答弁願いたい。
  52. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 戸叶さんからお話がありましたが、さいぜんから申し上げますように、三十一日を目途としてここで明らかにしましたように、経企長官も経済閣僚懇談会を開く、農林大臣もしばしば言明しておりますように、それを目途としてやるということにしておりますので、これをまとまらなかった場合いつまで延ばす、あるいはこれを延期するということはここでちょっと言明しかねるのでありまして、どうか今おっしゃいました御趣旨をよく体しまして、できるだけの努力をいたすということに御了承願いたいと思います。
  53. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 大体運輸大臣がお答えになったことと私も同じ考えでありまして、とにかく一応八月の末を目途としてできるだけ努力いたしたい、こう考えております。そのときの、できない場合のことにつきましては、その懇談の場合にいろいろこれは討議されることだと、こう考えている次第であります。
  54. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま両大臣からお答え申し上げた通りでございます。
  55. 戸叶武

    戸叶武君 そういう答弁では回答になってないと思うのです。国鉄だって私は計画は立たぬと思うのです。何をやれ、これをやれといって弁慶立ち往生、十河さんが泣きつらして動きがとれなくなってしまう。それから一般の業者だってこういう不安定の中に置かれたのでは困ると思うのです。これは三十一日までに努力するのはわかっているのです。できないということがはっきりしているなら、いつまでその場合において延ばして結論つけるか、なるだけ早くというけれども、なるだけ早くでは抽象的でわからない、そういうことをやっているからずるずるコンニャク問答になってえたいがつかめないので、世間を困惑させるのです。閣僚みずからが世間を混乱させるのだから、そういうことはもう少しはっきり言わないとだめだと思うのです。そういうのは古い政治家のやり方で、もっと合理的な科学性を持ってもらいたい。
  56. 清澤俊英

    清澤俊英君 さっきから聞いておりますと、私は二つ問題があると思う。その一つは、運輸大臣が、二律背反の体制になっているからこれをまず根本的に解決しなければならないということと、その解決の中から二十億ぐらいの運賃問題は必然的に解消してくる線も出てくるかもしれないと思う。それをまずきめるのも私は八月三十一日などには簡単にいかないと思うのです。これは中田君が言う通りです。いろいろ合理化して出るか出ないかということが重大な問題なんです。これが一つ。しかるにそれを抜きにして、ただ国鉄の経理上並びに運賃体制が不統制だから統制するということと切り離しては問題にならないと思う。その根本に立って考えるべきものであって、私どもとしまして見ても、中田君が言うがごときことはたくさん了承しております。また新線を建設するにしましても、今運輸大臣みずからが言っている五十億も赤字の出ることを承知でかけなければならぬ線がある。それ自身は地方的な開発のために必要かもしれないけれども、だからといって、それをその地方の農民に及ぼすような運賃体系を変えていくというようなこともこれは考えなければならぬ問題だと思う。ただ経済企画庁長官は物価の国民に及ぼす影響のことだけを言っておられますが、私は農林大臣にお伺いしたい。農林大臣はただ物価だけの問題ではないと思う。今問題になっておりまする農業経営上の重大な問題ではないかと思う。一体、大体この間うちからわれわれが中央市場等の物価と生産地の物価等を検討してみますると、生産者は二割ぐらいしか手元へ入っておりません。一割五分は中間に消えている。運賃は二割ぐらい、ひどいのは二割以上かかっております。それに荷作り、小運搬、集散地から鉄道に持って行くもの、今度は鉄道へ、到着駅に参りますればそれが荷おろし、消費者の販売場所までの運賃等を加えますれば、私は中間ではおそらくは一割五分か二割しか利益がないと思う。こんな体系の中に果してこれを上げますと、中央の価格が上るだろう。中央の価格が上って、しかも現物は全部トラックでくると思う、従いまして遠い地方から来まするところの農産物は、とうてい間に合わないので放棄するであろうと思う、間に合うものに変えるだろう、こういう問題が出てくると思います。私は農政上に重大問題だと思う。農林大臣はこの点についてどう考えるか。ただ物価だけの問題じゃありません。今日の農業経営上の私は重大な危機に立っていると思う。だから北海道の、きのう岡村文四郎君が目色を変えて、あの遠いところでありますから、従いましてわれわれは絶対これはのめない、幹部の怒るのも無理がないと思う。そういう点に対しましてどれだけお考えになっているか、これは農林大臣からはっきり御答弁を願いたい。と同時に、運輸大臣は、二律背反性とこの改正というものをちゃんぽんにして考えている、それがきまらぬうちにすぐ運賃の問題に手をつけるということは間違いじゃないか考えます。その点に対する運輸大臣考え方を今一つお伺いしておきたい。  経済企画庁長官はそういった立場で、ただ物価と国民関係だけではなく、生産と農業の経営というものに対しての考え方はどれくらい一つ考えになるか、そうしてみますと、私はそう簡単に先ほどから全部の人が言う通り、そう簡単に八月三十一日などにこの問題を解決することはできないと思うのです。少くとも多分一年なり二年なりくらい延ばして、本式な解決に乗り出されるのがほんとうじゃないかと思う。今までやられるようなあれを足して二で割って二分の一にしてものの帰結を出すような、二十億あるから一つ二分して半分が国で持って、半分は何とかお前さんやってくれというような、そんな簡単なやり方でこの問題は解決する問題じゃないと思います。その点に対する御見解を一つお伺いしてこれで私は終ります。
  57. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいまのお話、まことにその通りでございまして、生産者価格、消費者価格の間に非常な較差がある。つまり中間経費が農産物につきましては非常に高くついておるという問題ですね。私もこれは農産物資全体を通じて重大問題であるというふうに考えましてそれが軽減方に努力をしていきたいと、こういうふうに考えております。その中間経費のうちに運賃が入ることは当然でございまするが、ことにこのただいま問題になっておりまする措置影響は、特に北海道とか九州とか遠距離のものが大きな影響を受けるわけであります。そういうようなことも考えながら、これは国鉄が独自でやってもらっては困るのだ、特にその影響を受けるのは農産物資でありますので、その受ける影響等につきまして十分これは政府全体として勘案いたしまして、その結論を出して参りたい、こういう要請をいたしておるわけであります。そういう方向でいたすことは今三大臣から申し上げた通りであります。
  58. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) ただいま御指摘がありましたが、国鉄の持っておりまする公共性と並びに独立していかなければならないという独立採算的の立場に立つ二律背反の話を申しましたが、この運賃の問題も農産物資の持つ公共性と、国鉄の持つ独立採算的の立場から運賃体系整備しろという問題とのぶっつかりでありますけれども、その点については、国家国鉄というものを公共的の立場からどう一つ処理して、国鉄自体性格というものを決定づけるかという基本的の問題が、この問題を中心として掘り下げられて論議されたのであります。従いまして私が二つを混同しているわけではありませんので、そういう立場からこの問題が取り上げられておりますので、従って運賃の現在の問題になっております農林物資に対する割引の問題等につきましても、基本的に一つ内閣で取り上げて、この問題を検討し、ひいて国鉄それ自体が持っておる性格をもっと掘り下げて、基本的な安定策を立てようということに今日いろいろ結論づけられたようなことでありまして、従いましてそういう線に沿いまして、運輸大臣といたしまして、できるだけこの国鉄立場並びに要請されておる農林物資公共性というものに対する合理性を一つ解決したいということに努力したい、こう思うのであります。
  59. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) この運賃の問題を物価ばかりで見ずして、農業経営立場からも見なければならぬというようなお話でありますが、まことにごもっともな御意見でありまして、この農業経営という立場からも、もちろん農林省の方でもいろいろ検討されておることと思うのでありまして、私どもの方の立場といたしましては、物価あるいは経営者の立場、それからまた鉄道運輸と、全般総合しての結論を出すべきことでありますので、そういう観点からこの問題を善処したい、こう考えておる次第でございます。
  60. 田中啓一

    ○田中啓一君 私はただいまお話を伺っておりますると、国鉄の方からはこの問題解決のためにさだめし要点に触れた質問書、資料の提出というものを農林、通産の当局に向ってやられたようにうかがえるのでありますが、主としてこの問題を右にするか左にするかということの決定的な資料として要求されたように私はお話を伺っておりました。従って、もし私の取りようが間違いで、何もそんな重大な意味のものではない、ただ参考のために要求しただけだということであるならば、そのように私の間違いを是正をしていただきたいと思うのでございます。私はそうでなくて、重大なる、これによって決しようとする資料の提出を要求されたものだと実は受け取りました。そこで私は、その国鉄当局から両省に向って出されました質問書を一つこの際資料として出していただきたい。それからまた農林、通産両省がお答えになりました答弁書もまた資料としてお出しを願いたい。この問題はもうここで去年から論議をされておる通り、非常な私は重大な問題だと実は痛感をいたしておるのであります。わが国の今後の国民経済の円満なる成長発展をはかっていくという見地から、当然解決をされなければならない実は問題である、かように実は思うのでありまして、議会としても私は、何と申しますか、問題解決によって背負わされたところの質問書と答弁書というものは、十分検討をいたしたい、そうしてわれわれの意見も述べたい。また、それに対して企画庁などが何らかの判定をなさるならば、その御判定がわれわれの納得のいくものかどうかということを、実は議会としては責任検討しなければならないものだと思うのでございます。でありますから、まず質問書とそれから答弁書とを一つ委員会へ御提出を至急お願いをいたしたいと思うのでございます。
  61. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 磯崎局長どうです、ようございますか。
  62. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 私の方から農林省、通産省に出しました質問書は、すぐ提出いたします。ただし、農林省並びに通産省から出されました資料は部数が限られておりますので、どうぞ農林省、通産省の方へ御要求願いたいと思います。
  63. 須賀賢二

    説明員(須賀賢二君) 農林省から提出をいたしました資料は相当の分量になっております。今ここで所要部数を直ちに複製をいたしまして差し出すということになりますと、若干時間を要するかと思います。従いまして、手元にありますものを少部数直ちに御提出をいたしますことは可能かと思います。
  64. 仲原善一

    ○仲原善一君 当面の問題といたしまして、先ほど来、八月三十一日の問題が出ておりますが、この点について、私は八月三十一日にはそうこだわらなくてもいいんじゃないかという意見を持っておりますので、その点お伺いしたいと思いますが……。と申しますのは、この運賃体制は、賃率と等級と、これが基本になって、さらに各種割引制度、そういうものが総合されて出ております。基本的に運賃体制を考えられます場合に、やはり三者は総合的に判断されるべきものであると、従来の経過から見ましても、賃率なり、等級については慎重に研究されております。いかに合理的にやられても、そこに国民経済立場からいきますと、非常に不合理な点が出ますので、それを公共政策の割引等で補っておられます。従ってこれは切り離しては考えられない問題であっていつも運賃体制と関連してやるべき問題であると考えます。ところが現在は、公共割引制度だけを取り離して、特に急速にやろうという段階になっておりますので、この点が非常に私納得いかない点でございます。従って、八月三十一日ということに特にとらわれることなしに、現在進行しております等級なり賃率の改正と合せて合理的にやられ、さらに不合理な点が出た場合にその趣旨に従って公共割引制度を併用されるというのが至当であると考えますので、特に八月三十一日を一どうしても公共割引結論を出さなければならぬということでなしに、その趣旨からいって、やはり総体的に並行して解決すべきだという気持がいたしますので、その点だけを、いろいろ申し上げたいことやら、お伺いしたいことがたくさんございますけれども、時間の関係もありますので、特に当面の問題の八月三十一日にこだわらなくてこれはもっと延ばしてもいいのじゃないかということを考えておりますが、運輸大臣はその点についてどういう御見解でございますか。
  65. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) この問題は、一年前に起った問題を一年延期して、なお二カ月間延期して八月三十一日という問題になって、今九時以来いろいろ御意見が出ておるような状態でありまして、従ってさいぜんから申し上げますように、八月三十一日ということを目途として政府においても極力この問題の解決善処したいという考えを持っておりますから、御了承願います。
  66. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  67. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記をつけて。  それではただいまの、かねて当委員会の問題になっておりまする農林畜水産関係物資国鉄貨物運賃について、遠距離割引公共政策割引現状通り存続されますより、その貫徹を期し、重ねて政府善処を求めるため、次の決議案を提出いたします。    農林畜水産関係物資国鉄貨物運賃に関する件   この件に関し、かねて当委員会においては、遠距離割引公共政策割引が、農林水産を育成し、国民生活を安定するため極めて緊要なるにかんがみ、これを現状通り存続するよう既に再度にわたり決議を行い当局善処を求めてきた。   しかるに、国鉄当局は、その経営上の都合の故をもって、近くこれを圧縮し、更に廃止することを意図している。   果して然りとせば、これは容易ならざる問題であって、かかる国民経済上の重要問題が、単に国鉄の一方的な意図によりて決定されることは到底許すことのできないことである。   よろしく、政府において、速かに公共政策割引現状通り存続する方針を決定し、これがため必要な措置を講ずることとし、しかして、かかる措置実施されるまでは、国鉄の取扱は現状どおりとすべきである。   右決議する。    昭和三十四年八月十一日       参議院農林水産委員会
  68. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  69. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記をつけて。  これを当委員会決議とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 御異議がないようでございますから、そのように決定し、これを内閣総理大臣、内閣官房長官、経済企画庁長官運輸大臣農林大臣及び国鉄総裁に送付し、善処を求めることにいたします。  ただいまの決議に対し、御出席楢橋運輸大臣から御意見を伺います。
  71. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 委員長の御指名によりまして御決議の趣旨をよく体しまして、関係当局とも相談いたしましてしたいと、こう思います。
  72. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) それでは、本日は本件はこれで終了いたします。  散会いたします。    午前十一時四十二分散会