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説明員(伊東正義君)
農業法人の問題でございますが、あるいはお手元に差し上げてあると思うのでございますが、資料といたしまして、共同
経営及び
農業法人の実態報告というものをお届けいたしたのでございますが、これは私の方で各府県に照会いたしまして、報告のこない県が二つございますが、四十四県から、報告が参りました。これを集計いたしましたものを一応
委員会の方にお配りしてございます。ごらんになりますと、
農業法人二百三十九、共同
経営が三十八というような報告でございます。これは先般国税庁当局で六百あれは五十くらいでございましたかの数字を出されたことがございます。これとかなり数字が違うのでございますが、違います大きな原因は、われわれ
考えまするに、
一つは国税庁の方に入っております分で、
農地自体を使用収益しないというような蚕種
関係の会社でありますとか、あるいは畜産の市乳
関係の法人等が実は県から報告が来ておりません。その二つの大きなものが落ちておりまして、実は数が違っておりますのが一番大きな原因ではなかろうかというふうにわれわれ
考えております。しかし、報告がありましたのは、これは実は最低の数でございまして、おそらくまだもっと報告漏れというものがあるだろうというふうには
考えておるのでありますが、これはまたもう少し時間をかけまして
調査をしてみたいというふうに
考えております。
調査しました数は、案外少く出ております。このほかに共同作業等も取ったのでございますが、これは最も典型的な事例だけを報告してもらいたいというようなことで、これは数は掲げてございません。これをごらんになりますとおわかりのように、報告が参りました
農業法人の中で一番多いのは、業種別に見ますと、普通作物、果樹というようなもので大体七割を占めております。このほかにおそらく今後出て来ます大きなものは、酪農とか、土地を使用してこういう法人形態を
考えていくというようなことになりますと、酪農等も将来の問題としては出てくるだろうというふうに
考えますが、今まで報告がありましたおもなるものが普通作物、果樹でございます。
それから組織別に見ますと、これも七割、大半のものが有限会社になっております。やかましかった鳥取、島根の
農業法人の問題がございますが、あれもほとんど有限会社でございましたが、全国的に見ても有限会社が七割を占めているというふうな格好になっております。次が株式会社というような形でございます。
それから、いつごろできたのかということに対しましては、大部分が
農地改革後という報告になっております。従前ありました法人は、小作地は全部買収になりますし、自作地につきましても、これは分割しますと、
生産に非常に支障を来たすとかいうふうな場合、あるいは小作地を分割しますと、そのほかに、その法人の
農業経営に非常に支障を来たすというような場合を除きまして、ごく例外を除きまして、ほとんど小作地、自作地の買収をいたしましたので、改革前のものはごくわずかでございまして、できましたのは
農地改革後が大部分でございます。
また持っております法人の権利の内容でございますが、これもここにございますように、賃借権が大部分でございます。賃借権とその他の使用収益権がこれは大部分になっております。
それから
農地法上やかましい許可の問題でございますが、これは許可のあるなしを見ますと、ほとんど大部分が許可がない、全部で許可を要しますものが二百二十五あるのでございますが、そのうち、許可のあるのは十五だけ、それも九つは前の
農地法以前の許可であります。
農地法によって許可したものは六件で、そのほかは許可がないというふうな形になっております。
それから、これもよくやかましくいわれます共同
経営の問題でございますが、報告のありましたものの大部分は共同
経営の形で、二戸一法人、これも七割くらいが一戸一法人という形のものでございます。
それから
経営面積別に見ますと、これは一町ないし三町という、若干内地の平均耕作面積より比べてみますと、これより高いところのものの法人が多くなっております。二百五十二というものを取りました中で、百三十二は一町から三町というような比較的
経営面積の割合大きなような、大きいといいますか、平均規模よりは大きい面積のものに多いというような事例が出ております。共同
経営につきましては、これはほとんどわずか三十八の報告でございますので、特にこれで傾向として見られるというような形のものはまだ実は出ておりません。やはり普通作物なり果樹に多いというふうな形で出ておりますが、これも、たとえば
経営面積ならどの辺に特徴があるというようなこともあまり見られませんで、これは数がまだ少のうございますので、これについては傾向としてどうだというふうなところまでには実はまだなっておりません。これはわれわれが県に照会いたしまして調べました実態でございますが、先ほど申し上げますように、非常に数が少のうございますので、この点につきましては、国税庁との
関係もありますし、もう少し時間をかけて、また再
調査をしてみたいというふうに
考えております。
それから、
農業法人に関しましての
考え方でございますが、これは先般の国会においていろいろ問題もあり、衆議院の
農林水産委員会では決議までありまして、なるべく早くこの問題を法制化するように、ただし、その場合でも、現在の
農地法の体系、そういうものに大きな変革を与えないで立法するようにという趣旨の決議がございました。また税金の問題につきましては、なるべく早く税の問題も
改正するように、その間は
農業法人の課税を認めるように、という趣旨のものがございました。
農林省としまして、
農業法人に対する
考え方でございますが、これは当然、今度できます
基本問題
調査会等においても論議される問題であろうとは予想いたしておりますが、われわれとしましては、もう少し早い
機会にこれについて
結論を得たいということで、実は今
検討をいたしております。ただ、現在あります
農業法人について、これをどう
考えるかという問題と、将来どうしたらいいかということと二つに分けて
考えてみたいと思うのでありますが、現在の法体系のもとで、今申し上げましたような株式会社なり有限会社という形の法人が望ましいものかどうかということでございますが、われわれの見解といたしましては、現在の
農地法というものを頭に置きまして
考えました場合に、現在の商法なり、あるいは有限会社法でできました法人では、私どもは、やはり
農地法が、一番心配しております過去の
農地制度の方へまた逆戻りしていくような弊害が出てくるのじゃないかということを実はわれわれ一番心配しております。土地兼併の問題等、あるいは小作料
統制に違反する問題でございますとか、あるいは不在地主の問題でございますとか、今の会社法、商法なり有限会社法の会社そのものを、そのまま認めていくということになりますと、今申し上げましたような心配点を防ぐことが、どうも法律上はむずかしい、非常に不当な結果が出てくるのじゃないかという
考えを持ちまして、実は先般徳島にできました
農業法人等につきましては、再議命令等も実は出しまして、しかし、われわれとしましては、国会の決議もございますし、この
農業法人については、積極的な
態度で法の
整備もしていくと、
検討するというようなこともつけ加えまして、実は再議命令を出しました。これにつきましては、実は現場に行きまして、いろいろ懇談いたしました結果、
農業委員会で賃貸借の許可の決議をしておりましたのを、申請人が申請を取り下げるというようなことで、徳島の問題は、私ども円満に話し合いがついたのじゃないかというふうに
考えております。しかしその際、私どもが現場に行きまして申しましたことは、先ほど申しましたような将来の問題としては、この問題は、
一つ農林省としては積極的に取り上げていきますということを明言いたしております。それでわれわれとしましても、これは
農業法人が成立いたしますれば、いろいろな前提条件があろうかと思われます。
経済上の問題その他いろいろの前提条件はあろうかと思いますが、われわれの
態度は、そういう条件が備わって、あるいは一戸一法人でありましょうとも、数戸共同した法人でありましょうとも、新しい
経営の
発展の可能性といいますか、芽といいますか、そういうものが出てきているのであれば、それに対しては窓をあけようじゃないかという
態度で、これは何とか早い
機会に
農業法人に関しますところの立法
措置、それに伴いまして、それに
関係ある
農地法の
改正というようなことも、なるべく早い
機会に
結論を得まして、御
審議願うようなことにしたいということで、今
検討いたしております。この問題は、実は
農地局が
農地法の
関係がありましたので、今までいろいろお取り扱いいたしておりますが、実は、
農林省内部におきましても、これは一
農地局だけの問題でなく、各局だいぶ
関係もございますので、官房等でも取りまとめて、早急にこの問題の
結論を出そうじゃないかというようなことも、中で相談いたしておりますのが今までの現状でございます。