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1959-08-31 第32回国会 参議院 大蔵委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年八月三十一日(月曜日)    午前十時四十三分開会   —————————————   委員長異動 七月三日加藤正人委員長辞任につ き、その補欠として加藤正人君を議院 において委員長に選任した。   委員異動 八月十日委員椿繁夫辞任につき、そ の補欠として吉田法晴君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加藤 正人君    理事            上林 忠次君            山本 米治君            大矢  正君            平林  剛君            天坊 裕彦君    委員            大谷 贇雄君            梶原 茂嘉君            西川甚五郎君            堀  末治君            天田 勝正君            木村禧八郎君            永末 英一君            野溝  勝君            原島 宏治君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    大蔵政務次官  前田佳都男君    大蔵省主税局税    関部長     木村 秀弘君    日本専売公社副    総裁      石田 吉男君    日本専売公社塩    脳部長     小林  章君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○租税及び金融等に関する調査の件  (関税行政に関する件)  (専売事業に関する件)   —————————————
  2. 加藤正人

    委員長加藤正人君) ただいまから開会いたします。  まず、関税行政についての御質疑のある方は御発言を願います。
  3. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 関税部長に伺いますが、実は先般、大阪神戸税関を拝見してきたのでありますが、大阪の方は大体いいと思いますが、神戸へ参りまして、まあ神戸税関と申しますと日本の玄関でありますが、その税関の内部をいろいろ視察してみて、大へん驚いたことが一つあるのでございます。  それは、検査をせられる検査部でありますが、あなたも長く関税部におられますから御存じと思いますが、神戸検査場集中検査をしておられますが、この場所を見まして実に驚いたのでありますが、建物はバラックというよりももう少しひどい、きつくいえば、豚小屋みたいな小屋なんでありますが、中の設備を見ますと、検査する機械もなければ、またサンプルもほとんどないように思います。ようあれでうまく検査ができているものだということを、私だけでなくして、みなの委員もそういう感じを強くしたのであります。あなたは実際あすこごらんになったことがありますか、それをちょっと伺いたいと思います。
  4. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) 私、神戸税関にも勤務いたしたことがございますし、もちろん、終戦後ずっと税関仕事をしておりまして、今お話しになりました神戸税関も見て、内容も存じておるつもりでございます。今、御指摘いただきましたように、税関施設は戦後非常に劣悪になって参っております。  その一つの理由は、御承知のように、昭和十八年に戦争がたけなわになりましたときに、税関が一度なくなったことがございます。これはもう、当時、関満支を除く外国との平和通商という仕事がなくなりました。従って、税関というものは必要でない、ただ海運行政、船舶の運航行政が重要であるということで、税関が当時の海運局に合併になりまして、なくなったわけでございます。そのときまでは、御承知のように、神戸埠頭兵庫突堤を除きましては全部国有でございまして、埠頭も、上屋も、検査場も、税関庁舎も、もちろんでございますが、そういうものは全部国有施設でございました。税関としては、当時、兵庫突堤内国貿易に使っておりましたけれども、それ以外の外国貿易に使われる施設というものは、自分管理をして、そして仕事をしておったわけでございます。従って、たくさんある上屋のうち、どれを検査のための検査場所検査のための上屋として使用するか、あるいはどれを普通の、一般の税小屋として使用するかというようなことも、適宜税関できめればよかったわけでございます。  ところが、終戦後になりまして、税関がまた昭和二十一年六月に、税関が分離再発足をいたしましてからは、御承知のように、税関の持っておりました国有上屋その他の施設というものは、全面的に税関の手に戻らなくなりました。戻ったのは庁舎だけでございます。それで、それらの施設は、当時の海運局にそのまま置いて参ったわけでございます。その後、港湾法の施行されますと同時に、これらの施設神戸市に管理委託をするという格好になりまして、現在は神戸の市の港湾局が、これらの上屋検査場等管理しているわけでございます。それで、税関といたしましては、前々からあすこにあれだけの膨大な上屋等施設がございますので、そのうち税関検査等に必要な施設を移管してもらいたいということで、しばしば申し出を行いまして、その結果、現在持っている程度のものを税関の方に移していただいたという経緯になっております。もちろん、ごらんになりましたのはどこの検査場か、私存じませぬが、いまだに検査場不足を告げておりまして、また施設もはなはだ修理等が行き届いておりません。今後とも、検査場を拡張すると同時に、施設面補修等も逐次やつて参りたいと思っております。  また、検査器具、今御指摘になりました検査用器具等につきましても、非常に不足がちでございます。たとえば、看貫するはかり等も十分に備わっていないというような面もございますが、昨年、今年及び来年、三カ年計画でもって、分析鑑定用器具、あるいは検査用器具等を三年計画整備いたすということにしておりまして、本年及び来年を過ぎれば、相当拡充が見られるのではないかというふうに確信をしているわけでございます。  いずれにいたしましても、ただいま御指摘になりましたように、施設面で非常に不十分でございますし、一方、貿易の量が非常に増大しておりますので、何とかこの辺の改善をいたしたいと思って、主計局等にも物件費の増額を要求しているところでございます。
  5. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 前田政務次官に申し上げておきますが、大体、大蔵省各省予算を折衝せられるときに、やはり私も経験がありますが、大へん大蔵省は遠慮して、自分の省に関する予算を削っておられる。私は、この間神戸税関へ行きまして感じたのは、それなんです。どうか今後、各省予算もありますが、大蔵省も遠慮なしに、バラック豚小屋の中で、設備のない検査をしておる、これはとてもできるものじゃないのですよ。一ぺんあなたも神戸へ行ってごらんになったらわかると思いますが、ようこれで日本の大きな貿易品物検査している、なっておらぬと思います。その点をよくして、一日も早く神戸税関検査というものに対して十分な設備と、そうして施設を作られるように希望しておきます。
  6. 前田佳都男

    説明員前田佳都男君) ただいま西川委員から、神戸税関の、ことに検査部設備豚小屋のように非常に悪い、設備が、検査器具等につきましても非常に不備であるというふうな御指摘を受けまして、私、残念でございますが、まだ現地を見ておりませんけれども、御指摘の点は、来年度の予算要求に十分そういうことを整備改善するように、十分来年度予算に織り込むように尽力をいたしたいと思います。
  7. 大矢正

    大矢正君 今の税関行政問題について二、三点質問したいと思いますが、特に、国会が始まると、法律の審議で終始をいたしますために、なかなか大蔵省行政について検討する機会がないので、この機会税関行政について特に質問をしておきたいと思うのであります。  まず第一番に質問したいことは、これは今さら質問する必要性がないかと思いますが、どうも今の税関行政というものは、その本質において目的が変えられているような感じを私持つわけでありますが、日本の国の経済的な要求にこたえて外貨獲得をしなけれならない。そのためには輸出も伸ばさなければならないし、輸出拡大をするために、税関というものは特段輸出貿易に対する協力をするということが、一つの大きな中心的課題であると私は思うのであります。この課題に、さらに従としての立場から、関税の徴収をし、そうしてまた密貿易を防ぐという、こういう立場もあろうかと思うのでありますが、これはあくまでも私は主ではないと思うのでありまして、主たる目的というものは、やはり何といっても、当面、国の要請にこたえていかにして貿易拡大をはかるかということに、税関行政重点を振り向けるということであろうと思うのであります。  ところが、今日の税関行政というものは、そういう行き方ではなくて、いかにして税収を確保するか、いかにして関税確保するかということのみに重点が置かれ、そうしてまたいかにして密貿易を防止するかということのために重点が置かれて、貿易業者に対する手の打ち方とか、あるいはまた貿易業者がより貿易がしやすいための簡素化なり、あるいはまた便宜の提供というものがなおざりにされている傾向が今日非常に出ております。  なぜこれが出ているかといえば、私は、一つには人員が極端に不足をしているがゆえに手が回らないということ、そういうサービスが行き届かないということに一つ原因があるし、それからいま一つは、先ほど西川委員お話ししておりました通りに、施設が非常に不完備であって、これはもう今、近代的な民間産業に比較するならば、想像もできないような非常に立ちおくれた施設の持ち合せしかないという、遺憾ながら実態であり、こういう二つの状態が、今日貿易業者により過重な負担をかけている、そのことのために、ある程度貿易の伸張を阻害しているものと私は考えている次第であります。  従って、こういう面から考えて参りますと、今日の税関行政というものは、もっと抜本的に立てかえて、本来の目的に立ち帰らなければならないと思いますので、そういう面について、大蔵省人員確保についていかなる考えをお持ちなのか、そしてまた施設整備拡充についてどういうようにお考えなのか。たとえば、今日、警察でありますれば、連絡はすべて無線によって行われておりまするし、携帯無線によって連絡ができますから、どんな遠距離におりましても、自由に犯人の逮捕その他ができますけれども、今の税関では、そういった近代的な施設がありませんから、すべてが自転車で追っかけ回すというような、非常に前近代的な方法で行われておりますから、このためにも監視が行き届かないという面があるでありましょうし、またその他、先ほど税関の中の特に一つの大きな検査内容も明るみに出されておる通りであります。そこで、私は、こういう問題について、三十五年度の予算要求に際して、大蔵省の、特に税関としてはどういう趣旨考え方のもとに行おうとされておるのか、その点、まず一つ承わってみたいと存じます。
  8. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) ただいま御指摘になりましたように、税関関税を徴収するのに一生懸命になっておるというような意味内容お話でございましたけれども、われわれ税関行政に携わっております者は、決してそういう気持ではやっておりません。今おっしゃったような御趣旨のような気持でやっております。と申しますことは、関税収入終戦後激減いたしまして、ただいまでは全国税収入の二%半程度にしかなっておりません。従って、関税収入をあげるというようなことよりも、むしろ、ただいまお話のありましたように、輸出を促進する、そのためには国外に日本商品の声価を落すような粗悪なものが送られないように検査も十分いたしますし、また不正な品物が出ないように取締りもいたしております。また、終戦後づけ加えられました仕事一つ為替管理がございますので、これも輸出された商品の代金が一定の時期までに必ず外貨収入として入ってくるということを確保する行政を行なっておる次第でございます。こういうふうにいたしまして、単に関税あるいは物品税を徴収するという仕事よりも、むしろ輸出を円滑にする、長い目で見て輸出が将来伸びていくためのじみちな努力を進めていく、あるいは為替管理本来の趣旨を通すように、そういう意味行政をやっていくということに相当重点を置いておるのでございまして、その点は、われわれの気持といたしましても、ただいまおっしゃいました御趣旨と全く同感でございます。  なお、手続を簡素にして業界に便宜な方法をとるためには、現在の人員をもってしては不足ではないかというようなお話かと思いますが、この点も、われわれとしては全く同意見でございまして、毎年々々増員要求を出しておりますけれども、なかなか、現在の定員法が施行されまして以来、各省とも同じかと思いますけれども増員要求というものはなかなかいれられておりません。昨年度も六百数十人の要求に対して百二十人の増加がようやく認められたという程度でございます。  ただいま、私、若干の数字を持って参っておりますので、参考までに御説明いたしますと、昭和二十六年を一〇〇といたしまして、昭和三十四年度の数字がどうなっておるかと申しますと、外国貿易船の入出港隻数におきましては五・四倍になっております。これは全国平均でございますが、五・四倍になっております。輸出申告件数が二・九倍、輸入申告件数が二・一倍。これに対しまして人員増加は一・一倍、一割ふえておるだけでございます。相当職員の肩にかかってくる労働の量も過重でございますし、また、ただいま御指摘になりました業界に対するサービスと申しますか、できるだけ円滑に輸出輸人事務を進める上から申しましても、行き届かない点がございますので、今後とも人員不足を緩和する趣旨で強く要求をして参りたいと思っております。  次に、施設の面でございますが、ただいま例として申されました無線につきましては、ただいま着々整備中でございまして、本年度をもって完了する予定でございます。なお、自転車等では間に合いませんので、オートバイあるいは検査用自動車というようなものも現在着々整備中でございまして、来年度以降におきましても、今後とも強く要求して参るつもりでおります。
  9. 大矢正

    大矢正君 政府経済五カ年計画からいきますと、たしか、私の記憶では、ここに資料を持ってきておりませんけれども昭和三十七年度には輸出がおそらく四十一億ドルか何ぼかにたしかなるというふうに記憶しております。輸出が伸びれば当然輸入も伸びて参ることは、もう申すまでもないことであります。現状ですら輸出において二・九倍、輸入において二・一倍、これは平均でありますから、特に神戸あるいは名古屋、そしてまた横浜という集中して貿易が行われている港においては、この比率相当高いものといわなければなりませんし、さらに、貿易拡大政府のかけ声のもとに、三十七年度事実四十一億ドルの貿易の実現が輸出において達成されるということになりますと、ますます人員不足になって参りますし、今日のような比率をもって人員増加をしていたのでは、とうてい間に合いません。そこで、勢い、輸入についてはある程度関税の問題、物品税の問題がありますから、集中的に抜き取り検査その他も行なってやっておられるようでありますけれども輸出についてはなかなか手が回りかねるという傾向も今日あるのではないかと、私は推測するわけであります。従って、そういうところから輸出の面におきまして対外的な信用を失う危険性も出て参りますし、また、先ほど来申しておりますように、業者に対するサービス提供が不円滑になって、ために阻害をするという一面も出て参りますから、こういう点については、この三十五年度の予算要求に対して、まず人員確保を積極的に大蔵省としては行なっていただきたいということを、政務次官にくれぐれもお願いしておきたいと思います。  特に、私は、きょう主計局長にも来ていただいて、実際に予算編成立場の人も十二分に実情を私どもからも申し上げて、予算編成参考にしてもらいたいとも考えておりましたが、まああまり圧力を大蔵委員会だからといってかけることも見合せるべきだと考えまして、実は遠慮したわけでありますが、どうか意のあるところを十二分に御了承いただきまして、人員確保につきましては、予算とも関連がありますし、また定員法等関係もございますが、どうか一つ輸出わが国最大の目標でありますから、その点に最大の力点を置いて、ジェトロの結成を見ましたし、輸出貿易拡大のためにあらゆる手が今積極的に打たれているさ中でありますから、それの門戸となる税関においてこの形では、とうてい、これは経済の二重構造と同様に、輸出貿易の二重構造というものが必ず将来現われてくる危険性が出て参りますから、どうぞ一つ御検討いただきたいと思います。  さらにまた、施設方面におきましては、人員確保されない段階においては、でき得るならば施設をすみやかに整備して、できる限り人員が少くても間に合う程度施設完備をするという方向に、予算面確保していただきたいと思います。特に、今日民間企業におきましては、労働者労力というものを非常に考えまして、重い物を持たせるとか、あるいは運ばせるというような、こういう労力については、十二分にこれを少くするために非常に努力をしておりますけれども、肝心の政府のこの税関においては、先ほど西川委員の言われた通りに、人間の力、一人の力をもってしてはとうてい動かすことのできないものまで、一人一人の人間に、てこその他を持たせて動かさしめているというようなことは、これはもうやるべきことじゃなくて、当然機械でもってそういうものはどんどん運搬して、人間労力というものを少くする方向設備改善を行なって、この方面から人的面の補足をしていく必要性があると思いますから、こういう施設の面におきましても、積極的に、三十五年度の予算においては予算獲得の点で、政務次官一つ大いに努力していただきたいということを最後にお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  10. 前田佳都男

    説明員前田佳都男君) ただいま大矢委員から税関行政について大へん有益な御指摘をいただきまして、ありがとうございました。貿易拡大しなければいけないし、外貨をどうしても獲得しなければいけない。それがためには、輸出拡大のために税関が協力するということは、これは当然のことでございます。ことに、私が聞いておりますところによりますと、月末には輸出の雑貨が殺倒してきて、全くてんてこ舞いだということを私は聞いております。しかも、その数が非常にふえてきておりまするので、輸出検査ということがややもすれば滞りがちであるというふうなおそれもある。そういうことは極力ないように尽力はいたしておりますけれども、何分にも人数が少い、人員が少いということがこの大きい原因であるということは、今、大矢委員の御指摘通りでございます。定員増加につきましては、三十五年度の予算に十分、私は、この物数増に比例して、そういう定員確保できますように、極力これは尽力をいたしたいと思っております。しかし、なかなか、これは定員法関係もあって、むずかしい問題でございまするが、十分御指摘の点を反映するように私は努力をいたしたいと考えております。  なお、人員不足に加えまして、施設が、先ほど西川委員からも御指摘になりましたけれども、非常に万事旧式である。あるいは自転車を使っている、無線設備がないというような御指摘、これはもう人員不足に加えて、なお施設近代性を持っていないと、一そう能率が上らないということになりますので、施設近代化については極力、これまた三十五年度の予算要求で十分、私は御意見を反映するように努力をいたしたいと思います。
  11. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 別にほかに関税行政についての御質問は……。
  12. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この際、簡単に一つ承わっておきたいと思うのですが、今度の安保改定に関連しまして、大蔵省としては、行政協定に基いて関税特例法、あれについて何か大蔵省としての意見なり主張ですか、そういうものを持って何か折衝されたかどうか。
  13. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) これはもう単に税関行政部面だけではないかと思いますけれども、現在の段階では、御承知のように、外務省各省意見を取りまとめてアメリカ側と交渉をしておられます。税関行政部面におきましては、現在の行政協定を受けて制定せられております関税法特例法、これがすでに施行後相当年月を経ておりまして、どこに不備があるかとか、あるいはどの点はうまくいっておるというような面が、すでにはっきりしておりますので、現在の特例法趣旨がそこなわれる、いわゆる乱用されるおそれのある面につきましては、外務省を通じてアメリカ側に申し入れをいたしておる段階でございます。
  14. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その点をちょっと、資料みたいな形で出していただいてもいいのですが、特例法によって、これまでいろいろ自家用として、無税で、非常に必要以上輸入されて、それが日本産業をある段階において圧迫するような、直接、自動車の問題でもあったわけです。そういうあれを報告していただきたいのですが、実績ですが……。
  15. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) もちろん、これは税関で検挙いたしておりませんものについてはわかりませんけれども税関で従来検挙いたしました特例法違反事件につきましては、資料でもって御報告できると思います。それから、従来免税で入っておりました実績、そういうもので税関で把握しておりまするものについては、後ほど資料として提出できると思います。
  16. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それと、特例法による場合、自家用であるかないかを判定する場合、結局、向う側と話し合いするということになると、日本税務官吏決定権がないわけですね。それから、あの特例法をわれわれ審議したときは、ちょうど平田君が主税局長でしたが、そういう弊害はない、大丈夫と思うと言われたのです。ところが、イギリスでは非常に弊害が出て、そうしてイギリス税務官吏決定権があるというふうに変えたように、大蔵省で出した資料で私ども承知しましたが、そういう点について実施後すでに七年を経て、その決定についてはどういう実情であったか。非常に決定について、今の特例法では自主性がないのですね。ないと思われるのです、われわれに。ですから、その点は一体どうなっておるか、この七年間の間に。
  17. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) ただいまおっしゃった通り米軍あるいは米軍の軍人、軍属が輸入する物品につきましては、もちろん日本政府側決定権はございません。いかなる品物をいかほど入れるかということについては、向うが自由に必要量認定して入れておるわけでございます。ただ、これはヨーロッパ各国、いわゆるNATO条約あるいは二国間の防衛協定によりまして、米国が外国に軍隊を駐留さしております各国の例を見ましても、大体その物品なり数量認定権米軍側で持っておるようでございます。ただ、御承知のように、NATOには、そういう品物は妥当な数量、合理的な数量しか入れないということがNATO条約の文面にございまして、一体それじゃどういう程度が合理的かという判定になりますというと、大体今申し上げましたように、各国米軍側にその認定の権限を与えておるようでございます。わが国におきましても、この合理的な数量に限るということは、条約協定の文言には出ておりません。おりませんけれども運用は大体NATOあるいは二国間防衛協定を結んでおる各国と同じような運用方法をとっております。  ただ、米軍免税で入れました品物を、日本人あるいは日本に長年居住しておる外国人、そういう者に譲り渡しますことにつきましては、これは行政協定、あるいは国内法としては特例法でもって縛っております。行政協定では、自由にこれを日本人に譲り渡していいということにはなっておりませんので、日本政府が同意した条件のもとで、その条件に合致する限りにおいて譲渡してもよろしいということになっておりますし、また、特例法におきましては、関税物品税を納付しなくちゃ譲り渡しはできない、譲り受けはできないというふうになっております。これは各国の例でも、そういうふうに、譲渡の段階で縛っておるというのが実情のようでございます。  それで、ただいま御指摘になりました輸入段階で抑えるということは、これは無理であろう。どういうものがどういう数量入ってくると、これは米軍側として多いじゃないか、あるいはどうとかいうことを判断する基準というものを持っておりませんので、これは相当むずかしいのじゃなかろうか。ただ、国内でも相当ある品物、たとえばレモンであるとか、あるいは洋酒であるとか、自動車であるとか、相当国内市場ではんらんしておるそのために、弊害が目についておるような品物につきましては、個別的にその品目に限って軍側に自粛を申し入れるという程度であるまいかと存じております。また、第二の譲り受けの段階におきましては、相当強く協定にもうたってありますので、相当強く向う側に対してこちらの権利として主張していくということが、これは可能でもありますし、今後ともやらなければならぬと考えております。
  18. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その御趣意はよくわかりましたが、しかし、われわれ目の前で見まして、そういうふうになっていないので、問題じゃないかと思うのです。たとえば、譲り渡すときに、保税地域からそれを出すときには関税をかける、あるいは国内の税をかけるとかただいまなっておりますが、ところが、御徒町なんか、あそこは保税地域でしょうか。
  19. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) 実際問題としましては、なかなか、今御指摘になりましたように、一たん品物を保税地域に入れさせまして、関税なり物品税を課税して、その上で譲り渡しの許可を与えるという、いわゆる法律上の手続そのものはなかなか行われておらないのが実情でございます。自動車のように、登録制をしいております品物につきましては、その点ははっきりとそういう手続が履践されておりますけれども、今のカン詰であるとか化粧品であるとかいうようなものは、日本人のブローカーが基地へ行って、基地からこっそり仕入れてきて、それを御徒町等のマーケットに流して、そしてそれをまた一般の人が買いに行くというようなことで、なかなか取締りが困難でございまして、ただ、現在ではそういう一般の物品につきましては証紙制度を作りまして、納税済の品物には証紙を張って差し上げる。証紙のない品物を店頭に並べて置きますと、これは一応関税を逋脱した品物として嫌疑を受けるというような仕組になっておりまして、次第に軌道に乗ってきておるかと思いますけれども、もちろん、陰でもって相当大きな、大量の物品が動いておるという情報もキャッチしております次第でございまして、なかなか、全体の品物について法律が予想しておるような手続面に乗せるということは、非常に困難な問題かと思います。
  20. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは困難な問題でしょう。しかし、これは放置できないと思うのです。やっぱり日本の、やはり日常消費物資ですと、どの程度数量になるかにもよりますけれども日本の中小業者とか、そういう方面に対するやっぱり圧迫になると思うのですよ。日本の消費物資を買わないで、そういうアメリカ軍の放出物資を買うということになれば、それだけいろいろな面で日本経済の圧迫になる。ことに、中小企業対策ということは非常に重要でありますからね。この点については、アメリカ軍の方で相当追及してくれなければ困るし、こっちからも強硬にやはり反省を求める必要があると思うのですよ。今のいわゆる安保体制下というのですか、そこで、そういうものに対する非常な批判というものが起ってくるのですしね。この点については、もっと、困難だからしようがないというだけでは済まされないと思うのですよ、日本の中小企業者に対する圧迫を考えますとね。この点、今度の安保改定に関連しまして、大蔵省側でもよほどこれは腰を据えて主張される必要があるのじゃないかと思う。どうですか、その点いかがですか。これはまあ大蔵省だけの問題でないと思いますがね。
  21. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) これは、協定の文言をどういうふうに修正するとか、あるいは向う側に対してどういう主張をするとかというような問題も、もちろんございまするけれども協定運用実施上の乱用という面が相当ございます。それで、われわれといたしましては、たとえばゴルフ道具であるとか、あるいは酒、たばこというようなものにつきましては、従来米軍側に申し入れをしまして、クーポン制を採用せしめた。いわゆる一人の軍人なら軍人がPX等で年間に買い入れるゴルフ道具あるいは酒等につきましては、年間あるいは月間買い入れるその数量をクーポン制によって縛ってもらうということで、これは現在も実施されております。ただ、凡百の品物、化粧品であるとかカン詰であるとかいうようなものについてまで、そういう方法を採用してくれということは、これはなかなか困難でございまして、今後とも、特に弊害を起しておるような品物については、逐次軍側に申し入れをいたしたいというふうに考えております。  ただ、今度の協定に関連して、従来弊害の起きておる部面を十分向う側に説明をし、そしてそれの防止について向う側と協議をやって、いかにしたら防止ができるかということを相談をしていくという面はございますけれども、ただ、協定の文言の上で改正をいたしましても、なかなかそういう弊害がなくならないということを御了解願いたいと思います。
  22. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まあ最後に、これは希望ですが、なるほどこういう協定の文言だけを直してもすぐ直るものではないと思いますが、まあ基本は、外国軍隊が日本に駐留しているという事態から起るのであって、基本の問題までわれわれは考えなければならぬと思いますが、もっと事態を私たちは正確に知るために、先ほども御答弁ございましたが、そういう弊害についてのいろいろな資料を、この取扱いについてはわれわれも注意いたしますが、なるべくできましたら詳細に御提出願えれば願いたいと思う。それがまた、われわれとしてもそういう事態を直すためにも、資料を出していただくことが非常に必要ですし、そういう意味で、ごめんどうでしょうが、資料を提出していただきたいと思うのです。
  23. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) 承知いたしました。
  24. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 別に御質問ございませんか。——別に御質問がなければ、次に移ります。   —————————————
  25. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 次に、専売事業についての御質疑のある方は、順次、御発言を願います。
  26. 平林剛

    ○平林剛君 私からは、第三十一国会で成立した法律で、塩の需給を調整するため約三十万トンの塩田の整備をする法律、これが成立しましてから、その後具体的にどういうふうに状況が進展をしているか、その概要をお聞きしながら、その中における問題点を指摘いたしまして、政府並びに公社側の見解をお尋ねいたしたいと思うのであります。  まあ、私、大体のことは承知いたしておりますから、適宜、状況の概要については副総裁並びに塩脳部長から積極的にお話をいただくことにいたしまして、最初に聞きたい点は、塩業整備の臨時塩業整備審議会がその後発足されておりますが、その委員七名は総裁が委嘱することになっております。具体的にはだれですか。これ、私がお尋ねするのは、議会で委員の選考につきましては注文をつけてある。それに反していないかどうかという点から、お尋ねをするのであります。  それから第二には、塩業需給対策要綱を昨年答申をいたしました塩業審議会というものとこの臨時塩業整備審議会との関連、今後の運営はどういうふうなお考えを持っておるか。  まず、この二つについてお話をいただきたいと思います。
  27. 小林章

    説明員(小林章君) 第一点でありますが、会長が秋山孝之輔さん、それから会長代理が舟山正吉さん、それから委員といたしましては、工藤昭四郎さん、それから岡先生、栗原先生、篠原先生、西川先生、この七名でございます。  次に、臨時塩業整備審議会と塩業審議会の関係についての御質問でありますが、臨時塩業整備審議会は、先ほどお話がありました今回の措置法に規定されておる審議会でございまして、これは整備に関して重要な事案について審議をお願いいたすところでございます。それに関しての重要な事項といたしましては、これまた法律で要求をされておりまする合理化計画書の審議、これが当面の重要な問題になっております。一方、塩業審議会につきましては、これは御承知のように、法律に基かないで、公社発足以来公社に設けられておりまする塩業審議会でございまして、特に今回の事態に対処しまして昨年改組拡充いたしまして、塩事業の基本問題について御審議願い、御答申をお願いするということに相なっておりまして、今回の法律の基礎になりました政策についても、この御答申によったわけでございます。今後もそういう基本的な問題について御審議をお願いいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  28. 平林剛

    ○平林剛君 最初にお尋ねいたしました臨時塩業整備審議会の委員を委嘱する場合に、国会の意思にその通り従っておやりになったかどうか、私の質問はそこに重点があるわけであります。  それからもう一つは、第二の点について、ただいま塩業審議会と臨時塩業整備審議会の性格についてお話がありましたけれども、最近の新聞に、塩田なしの製塩、あるいはイオン交換樹脂膜の製塩を許可するかしないかという問題について、今月の末から臨時塩業整備審議会で審議されるという報道が、東京の日本の一流の新聞で報ぜられているのであります。これは私は誤報じゃないかと思うので、その点を確かめておきたい。法律の定めからいきますと、臨時塩業整備審議会はこの問題を取り扱うような性格、運営になっていなかったのではないか。新聞の誤報か、あるいは何かほかの事情があるのか、その点を明らかにしていただきたい。
  29. 小林章

    説明員(小林章君) 最初の点でございますが、これは国会の御審議には沿っておりますということでございます。法律でもはっきり「学識経験のある者のうちから公社の総裁が委嘱する。」と相なっておりまして、いわゆる学識経験者のうちから七名の方の委員を総裁からお願いする、こういうことに相なっておるわけでございます。  それから、次の新聞の報道の問題ですが、実は私、その新聞が出ていたということは聞いておりますが、最近の新聞ニュースとしては、記事としては読んだことはないのでございますが、そういうことが出ておったということでございますが、いずれにしましても、先ほど申しましたように、臨時塩業整備審議会には合理化計画書の御審議を、とりあえずの重要な案件として、今御審議をお願いいたすことに相なっておりますので、従いまして、これから塩業者が残る、残ってやっていきたい、ついては合理化計画書を法律に従って出す、出せばそれは塩業者だけの判断では間違いがあっては困る、公社だけの判断では間違いがあっては困るので、そこでそういう第三者の判断機関といいますか、審議機関としてそういうことが法律に設けられておりますので、そこにお願いして御審議を、御判断を、御診察をお願いいたすことに相なるわけでございます。従いまして、イオン交換樹脂膜であろうと、流下式であろうと、真空式であろうと、業者がやりたいといって合理化計画書を出してくれば、それは当然臨時塩業整備審議会にお諮りするということに相なるわけでございます。さように考えておりますので、御了承をお願いいたします。
  30. 平林剛

    ○平林剛君 私の質問の最初の答えは、塩脳部長が答弁するより、副総裁が本来積極的に答えてもらわなければいかぬと思いますが、大体話はわかりました。  第二の質問については、これは塩脳部長が、毎日新聞、朝日新聞の大新聞に出ていて、ここにあるように、こんなにでかく書いてあるのを見のがしているのは、大へん仕事が忙しいか、でなければ、これを読まないというのは私どうも納得できないのだけれども、問題は、イオン交換樹脂膜のような問題について、臨時塩業整備審議会で審議をなさるということに、ちょっと疑問があるように思う。というのは、あとでこの問題は質問していきますけれども、やはり日本の将来の塩業に対する基本的な要素が含まれている、そういう点から、どうも疑問がある。法律を見直してみましても、合理化計画寸は専売公社があとで提出させるようにしておるわけですけれども、その中でやるべき性質のものか、あるいは塩業審議会で基本的な問題としてやるべきものかということについては、私は疑問を持っています。これはあとでまた、その問題について触れることにいたします。  そこで、次に聞きたいのは、私、この八月から大分県の豊後高田、それから山口県の三田尻塩業、小名浜、中国地区の松永、尾道、いろいろ塩業の実情を私独自で見て回った。ところが、この塩業整備を法律に基いて円滑に進行させるために、なお改訂すべき問題点が幾つかあるということを発見をいたしました。  その一つは、法律をながめただけで当時その関係者が感じた塩業整備に対する心がまえ、あるいは構想というものと、あるいは受け取り方と、その後専売公社が政府と相談をして出された施行令、施行規則による実際問題との間に、整備されるものにとってはその条件が非常に過酷というと言い過ぎかもしれないけれども、厳粛なるものがあるということを私感ずるのであります。たとえばその例は、豊後高田における高田塩業が、私ども先般大蔵委員会として視察いたしましたときには、その七割は残存したいという希望を持っておったのであります。ところが、その後における施行令、施行規則による実際問題をいろいろこまかく検討して参りますと、結局、全廃をせざるを得ないということになりました。これは私、やはりこまかいところまで触れていくために、だんだんその構想というものがきつくなっていったのじゃないか、こういう感じを受けるのであります。  第二に感じた点は、塩業の整備に必要な交付金の交付の方法が施行令の第十条に規定してあるのでありますが、現実問題に直面して若干の是正を必要としているのではないかという感じを持ちました。これはまあ、最近尾道で全国の塩業者が会合いたしまして、しかるべき方面にそれぞれ陳情の行動を起しているという点からも立証することができるのであります。  第三は、塩業の廃止に伴い離職する塩田労務者の退職金の解釈をめぐりまして各地で紛争が起きている。その一例としては、先般大分県の高田塩業で、このために塩田労務者がストライキを行いまして、お互い塩田が整備され、業者も、また塩田労務者も、今後の生活にいろいろ悩んでいるときに、労使が対立するというまことに不幸な状態まで巻き起しているのであります。これらは、結局、あの塩業整備の法律で抱いたときの感じと、現実問題になったときとの幅が狭くなってきた、それぞれの現象ではないだろうかという感じを強くしておるのであります。  そこで、私、その感想に基いて、若干、現在の専売公社側が進めていきます塩業整備の具体的進行が、今後どういうふうな見通しとして進められていくか。たとえば、三十万トンを目標に整備をすることになっておりますけれども、これは一体どういう工合になっていくだろうか、条件次第によりましては、三十万トンの目標がどんどん進められてしまって、法律による第二段の措置をとらなくてもいいようになってしまうのではないかというようなことも想像できますし、また、地域的に片寄っていくというようなことになりはしないか。たとえば四国とか、割合条件のいいところは残るけれども条件の悪いところは、地域的にこれが整備をされていく結果、地方産業に与える影響なども考慮せねばならぬ。そういう点から、地域的には一体どうなるだろうという点が、私、当時法律を担当いたしたものとして、心配をしている点であります。これらの点についてどういう見通しを現在持っておられるか、これをこの機会にお聞きしたいと思います。
  31. 小林章

    説明員(小林章君) 三十万トン目標云々のまず御質問のように承わりますが、この法律を前国会で御審議願ったときに十分御説明、御審議をお願いいたしましたように、予算には三十万トンを一応予算措置として予定いたしたのでございますが、法律の建前そのものは、何トン要るとか何トン残すとかというようなことではございませんで、今後塩価が下っていく、法令で三十七年度に塩価が白塩でトン一万円になりますぞと。その趣旨は、またもちろん塩業審議会の答申にもありますように、なお今後もいわゆる国際価格にしわ寄せするような方向努力をする。これは国際価格でありますが、法令では、三十七年度の塩価が一万円になるぞ、これを目標にしてやっていけるかやっていけないかを御判断しなさい。それでやっていけないと思われる方は、この際おやめなさい。やめる方にはこれだけの交付金を上げます。逆にいえば、これだけの交付金の用意がございますから、やっていけない方はおやめになったらどうかと、こういうことになっておりますので、それがまあ大体予算的措置としては三十万トンくらい予定いたしておけばいいだろう、こういうことだったわけでありますので、その進展いかんによりましては、その際またその予算的措置等については考えなければならぬ問題も起ってきましょうが、その際にも、確かに再三政府当局また公社といたしましても申し上げたと思うのでありますが、いわゆるただいまも第二段の措置ということを申されましたが、強制取り消しの規定、これは一応伝家の宝刀として、法律上には規定されておりますけれども、実際問題としてはそういう強制措置、強制取り消しということはしたくないし、今のところはやるつもりはないのだ。ほんとうに塩業者との納得づくの話し合いでこの事業はやりたいということは申し上げたと思うのでございます。現在もそういう気持でこの仕事を進めておるつもりでございまして、実は一昨日も塩業者と話し合い等を持ったわけでございまして、自来できるだけ納得づくの話し合いでやっていくということに考えております。  なお、地域的に一体どうなるかというような問題でございますが、現在のところ、廃止しますと言って出てきておりますのは、大体七万トン程度でございます。この程度はもちろん非常に少いので、十地方というよりも、むしろ全国から非常に小さい。ほんとうにもう待ってましたとばかりに、やめたいという方々が出てきておるわけでありますが、これから最盛期も過ぎれば、おいおい出てくるかと思うのであります。いずれにしましても、わが国の塩業は十地方にその大部分がございますので、そういうことになりますと、地域的にはこの辺が中心である、また当然企業がそこにありますからそうならざるを得ないというように考えますが、今の段階で具体的にどの地域がどうだということはちょっと申し上げかねますが、大体塩業地としてはそんなところではないだろうかというふうに考えているわけでございます。
  32. 平林剛

    ○平林剛君 塩業整理に必要な交付金の交付の方法につきまして、専売公社はその後施行令の第十条をまとめまして、これを下部に徹底しておるようでございます。この規定によりますと、「法第三条第一項に規定する製塩施設の減価をうめるための費用に対応する部分の金額については、その百分の二十に相当する金額を交付決定後遅滞なく、その百分の六十を下らない金額を昭和三十五年度の末日までに、残額を三回分に分割して」「交付するものとする。」ということになっております。だから、最初は二割、次に六割、あと残額という工合に、三回に分けて交付をすることに後にこまかく規定をされたのであります。ところが、塩業組合や塩業者の中におきましては、金融機関との契約において、塩田を廃止する場合は直ちに支払うというような契約になっている向きがかなりの部分あるようであります。この交付金を受けましても、塩業者はそのほとんどを金融機関の契約に従って返済することになるのでありますが、実際の契約書にさようなことが書いてありますと、結局、第二回、第三回の分をもらうまでは、塩業者は廃止後も相当の金利負担をせねばならぬということになりまして、私は、これは衆議院大蔵委員会の付帯決議の趣旨にどうも即さないのではないかと考えるのであります。すなわち、衆議院の大蔵委員会の付帯決議には、廃業者については細心の注意を払ってできるだけこういう事態になった者に対して便宜をはからうようにということに相なっておるのであります。私は、これらの当時の精神から考えまして、この交付金の交付の方法については是正すべきだと思いまするけれども、また是正できるような性格のものではないかと考えますが、いかがですか。
  33. 小林章

    説明員(小林章君) 政令の第十条についての御質疑でございますが、この点は、これも御承知のことと思いますが、今回の法律の内容は非常に複雑と申しますか、むずかしい内容をかかえておりますので、実体規定が今回の場合は政令に譲られておる部分が非常に多いのであります。従いまして、前国会で御審議をお願いしました際にも、いわゆる表に現われた法律の条文だけでなしに、実体であるところの政令の内容まで含めて御審議をお願いしました。その際に、分割交付はこうするということははっきり申し上げまして、その線で御審議をお願いし、また今年度の予算措置もそのように相なっておるわけでありますけれども、その後の、政令審議のあとで別にこういう政令ができたのではなしに、法律審議の段階で一緒に、実質的の内容の法律であるということで、この政令も御審議をお願いして御決定を見たような次第でございますので、この点はその後別に新しく取りつけたわけではないというように御了承をお願いしたいのであります。  それからなお、ただいまの金融機関との約定で、やめればすぐ繰り上げ償還というようなことになっておるので、やめても金が出ないからなかなかやめられない、衆議院の大蔵委員会の付帯決議に反するではないかというようなお話でございますが、この点につきましては、一番金を貸しておる大口である農林漁業金融公庫当局とも先般話し合いをいたしまして、そういうような政府の線であり、また法律の建前であるならば、当然これは協力しなければならぬということで、一応約定にはもちろん、そういう企業をやめれば繰り上げ償還の催告をするぞということになっております。現にそういう手続は金融機関としては一応やることはやる。しかしながら、やっても、公社から現実全部金が出るわけではないから、従ってそれが出るまではいわゆる遅延利息は取らない、出たときに払ってもらえばいい、遅延利子は取りませんというような話し合いにもなっておりますので、その点はこの規定と実体とがそうそごはないというように了解し、また先般の塩業者に対する話し合いでも、そういうことを促しておるようなわけでございます。
  34. 平林剛

    ○平林剛君 先ほど、この配分の方法について委員会で審議をお願いしたと言われますが、衆議院の大蔵委員会はどうか知らぬけれども、参議院についてはさようなことはない。だから、あなたはそういうことで私の方の質問をそらしてもらっては困る。現に政令が出たのは四月の四日でしよう、ただいまの規定をしておる政令が。参議院の大蔵委員会で審議されたのは三月三十一日ですから、まだきまっていないその施行令を持ち出して、衆議院の大蔵委員会はやったかもしれませんけれども、参議院はさようなことはないのです。念のために申し上げておきます。  そこで、今の交付の方法については、それでは延滞をしてもこれについての利息は免除するということになったのですか。
  35. 小林章

    説明員(小林章君) ただいま申し上げましたのは、一番大口の農林漁業金融公庫との話し合いを例として申し上げたのであります。これにつきましては、いわゆる繰り上げ償還の催告をするが、しかし、公社から金を分割払いでくれた際には、その期間いわゆる遅延利息は取らないということは、はっきり話し合いできまっておるわけでございます。
  36. 平林剛

    ○平林剛君 遅延利息というと、要するに利息を取らないということでなくて遅れたことに対する利息は取らないということなんでしょう。そうすると、金利は返済するまでは負担しなければならぬということになるのじゃないですか。
  37. 小林章

    説明員(小林章君) 約定利息についてはその通りでございます。
  38. 平林剛

    ○平林剛君 それでは、私は、実際の救済措置にはならないのじゃないかと。これを救済するのが正当であるかどうかというのは、また別な議論があります。あるけれども、私は、今度の塩業整理をせざるを得なくなったという事態に立ち至ったのは、これは政府と専売公社の責任です。衆議院の大蔵委員会で、付帯決議の中ではっきりと、こういう事態に立ち至ったのは「政府並に日本専売公社の施策に欠くる所多きものがあったと認める。」と、責任の所在を明らかにしておるのであります。  そこで、私は、前からこの点については、具体的に実行面を検討するに従って矛盾を感じたのであります。なぜかというと、塩業整理に必要な交付金は、相当部分が、今お話しのように、農林漁業金融公庫やあるいは農林中金に対する借入金返済に充てられるわけですね。こういうような好まざる事態に追い込められた責任が、政府並びに専売公社にあって、そしてその借入金返済に当っては、政府出資機関である農林中金あるいは農林漁業金融公庫は、契約書だけに基いて、金利その他は一銭の負担も損も受けないというのは、何か矛盾している感じがする。政府の施策の至らぬところによってこういうことになったとすれば、これはやはり関係者は率直にその責任を感じて、当時からも、やはり金利についてはめんどうを見てやるべきではなかったか、こういうことを感ずるのであります。しかも、今度の契約書だけをたてに取っていけば、長期返済でいくところが一括返還を受けるということになるわけですから、あるいは二回ないし三回に返還を受けるということに相なるわけですから、金融機関としてはかえってよい条件を得るわけであります。お互いに関係者が苦悩しておる中において、金融機関だけが少しも傷を受けない、しかもそれが政府出資機関であるというような、実はこれは、私は、建前は別にしても、感情として、また全般の感じとして不権衡のそしりをまぬかれないのじゃないだろうか。そうすれば、今日この問題については、何か金利を免除するとか、あるいは軽減するような措置をとったらどうかというようなことまで感じておるのであります。  ですから、ただいまのような交付の方法については、ただ遅延金利だけは取らないということだけでなく、もっと別な方法をとれないか。具体的な例を申し上げると、たとえば大分県の一つの塩業においては、どのくらい違うかといえば、これだけで一千七百万から二千万ぐらい違ってくるのですよ、金利だけで。こうなってくると、そうでなくても、やめたくないと考えていたものが、その後の条件でやめるようになる。そこへもってきて、契約書いかんによっては、さらに金利負担がやめたあとにおいても残ると、こういうことはちょっと過酷になり過ぎはしないかということから、私は、政令でありますから、その後政府においても十分検討して、若干の是正をするということを検討すべきだと思います。政令はちっとも動かさないという考えで、今後何でもかんでもやりますか。
  39. 小林章

    説明員(小林章君) いろいろ御指摘を受けましたが、その中で、初めやめないつもりだったが、その後の条件でやめるようになるものがあったというようなお話でございましたが、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、今回のやめるかやめないかは、三十七年度の塩価白塩トン当り一万円という塩価目標を基準にして御判断願うという、こういう条件を申しますか、目標は当時から変っておりませんでしたので、従って、何かその後条件を変えたのじゃないかというような誤解があるようでございますが、その点は、そういうことはないというふうに御了承願っていいんじゃないかと思います。  それから、金利の問題でございますが、この点につきましても、これまた法律、政令に明記されておりまして、今回やめる人についてはこれだけの交付金をやる、その交付金の算定の方法はこうだぞというものを、算定していって、足したものを交付金額として上げる、こういうことになっております。いわゆる柱としては三つの柱が規定されているわけでございますが、その中には、ただいま御指摘のありました金利というものは実はないのでございます。金利としての柱はない。ただしかしながら、こういう計算をして、これだけの交付金を上げる、もらった交付金は実はこれは何に使ってもいいわけでございまして、もちろん税の特例等の点には関係すると思いますが、これだけを渡して、それで塩業界からいろいろな混乱なしに縁を切っていただくというのが、大体の今回の交付金の考え方でございまして、従いまして、まあこまかく見れば、たとえば塩田の土地の転換費用、一応農地に転換するものとしての計算で、八十七万円という額が計算されておりますが、それもいろいろ御審議がございましたが、こまかくいいますと、それでできる土地もあればできない土地もあるし、また非常に有効な、それ以外に有利に処分できる土地もあれば、全然できない土地もある。いろいろこまかくいえば困難な問題もありましょう、むずかしい問題もございますけれども、今回は一律に、そういう計算で上げる。しかも、そういう金も今すぐ要るわけじゃない。しかし、推定補償をやりましても、根拠としては三年分の推定補償が出ることになっておりますが、三年分としてこれはまとめて上げる。そういうことで一応これだけのものをまとめて上げるということになっておりまして、もらったものを最も有効にお使い願って、そうして塩業界からきれいに去っていくというような仕組みになっております。  従いまして、この法律御審議の段階におきましても、交付金の内容についていろいろ御議論ございましたけれども、これで渡し切りだということで御決定を見たようなわけであります。法律、政令、いわゆるその当時御審議願いました交付金の柱の中には、金利というものの柱がございませんので、これはそういうことで御判断を願いたいということに相なっておりますので、これにつきましては、われわれといたしましては変える意思はございませんし、また当時、これはたしか衆議院だったと思うのでありますが、御審議の段階におきまして、個人の判断というものが非常に重要なポイントを占めるものですから、柱の条件がぐらぐらするようでは困る、従って、きまったならばきまった線でやらなければ、判断を誤まらせるおそれがあるから、その点の判断はどうかという御質問もございまして、それについては、政府当局、また公社といたしましても、そういうことのないようにするということも申し上げておりますから、この点につきましては、われわれといたしましては、変える意思は、実ははっきり申し上げまして、ないのでございます。  ただ、確かに片っ方で、先ほど申しましたように、先に要る金、前払いする金、厳密にいうと、逆に金利を返してもらわなければいかぬという問題もあるかもしれません。そういうことは問題にしないでやるということで、割り切っているわけであります。それにつきましては、確かに分割払いということで、金利を払うということは気の毒であります。従いまして、先ほどの衆議院の大蔵委員会の付帯決議にもありますように、できるだけ親切に考えるということは当然のことでございまして、われわれといたしましても、この最初に払う金をできるだけふやす努力をしたいと、かように考えております。予算的措置につきましては、現在のところ、先ほど御指摘のありました二割ということになっておりますけれども、これは二割が最低限度でありますので、予算上許されれば二割をふやすこともできますので、さように努力をいたしたい、かように考えております。  なお、公社の場合には、予算ができましたならばすぐにお支払いすることができますので、来年度の分割交付に  つきましては、本年度内に予算が成立しましたならば、四月一日にすぐにでもお支払いできるのでありますから、そういうつもりで、元金をできるだけふやすなり、また実際支払いをできるだけふやすというような方向で、御指摘の線には沿いたい、かように考えているわけであります。
  40. 平林剛

    ○平林剛君 私は、決して地方の実情を誤解をしているのでなくて、やはり法律を作った当時、あなたの方はいろいろなこまかいことまで考えていたかもしれないが、この対象を受ける人たちはそんなこまかなことまで気づかないで、一つの幻想を抱いていたのですね。それが非常にこまかく知れるに従って驚いているというのを、実際問題として指摘をしているのです。誤解や何かじゃないのです。金利の問題についても、ほんとうはわれわれが当時審議の中でもっとこまかく見るべきだと思いました。だから、その点についてはわれわれにも落ち度があるわけでありますが、今お話をだんだん進めていけば、交付金の方法については、百分の二十というのが最低であって、いろいろの実情考えて、なお是正する幅があるようですから、そういう点でもいいから、衆議院の大蔵委員会の、細心の注意を払い万遺憾なきを期してもらいたいということを、特に私は強調しておきたいと思うのです。  特に、今度塩田を整理されるものは、弱小塩業者ですよ。そしてその中には、こまかくお話ししていけば、専売公社の方で相当考慮しなければならない人も部分的には出てきているのです。一々これは申し上げませんけれども、その実情をよく検討して、まあめんどうを見るような態勢をとってもらいたい。  同時に、私はこの問題は専売公社だけが一人でやっていたのではだめだと思います。何といっても、今後塩田を整理されるときには、整理をして、その後どういうふうにして生かしていくかというふうになりますと、これは地方の関係産業とも重大な関連がありますし、また、農地に転換しようとすれば、農林省との関係が出てくる。港湾に変えようとすれば、港湾関係政府行政機関とのつながりが出てくるという工合に、政府全般が配慮しなければならないのです。政務次官はこの点をよく頭に入れて、これは政府の責任なんだから、専売公社が中心になってそういう関係官庁ですか、そういうものとの連絡を密にして、こまかくめんどうを見てやる、こういうことが必要だと思います。今までそういうことをやっていますか。もしやっていないとすれば、そういう連絡会議を持って、地方末端にまで行き届くような配慮をすべきだと思います。
  41. 前田佳都男

    説明員前田佳都男君) 塩業整備臨時措置法に関連いたしましてその立法の審議に当られました平林委員から、この法律を通過する場合の考え方と、実際これを施行に移す場合にいろいろギャップがある、問題があるという点の御指摘をいただいたのでありますが、ことに、この交付金の支給方法等につきましても、金利負担等に関連いたしまして、いろいろ示唆のある御意見を拝聴したわけであります。ただ、先ほど専売公社の部長から御答弁を申しましたように、今回のこの法律は、分割交付ということを一応建前といたしまして、そういう条件のもとで整理するという、もちろんその当時は政令は出ておりませんでしたけれども、そういうことに相なっております。その点、今にわかにこれを改訂をするというふうなことはできないと思うのでございますけれども、現在の条件の範囲内におきまして、先ほどの部長の申し上げましたように、元金をできるだけ早く渡すとか、いろいろ極力業者に損のかからないように、利益になるように、できるだけの努力をいたしたいというふうに考えております。  さらにまた、関係官庁との連絡等につきましても、従来もかなりやっておるつもりでありますけれども、今後におきましてもさらに、御趣旨を体しまして、十二分の努力をいたしたいと考えております。
  42. 平林剛

    ○平林剛君 この塩業整理交付金の、欠損金の補てん費用についてもやはりそうですが、政令では昭和三十三年三月三十一日現在の欠損額を限度として交付する、こういうふうになっているのであります。私、この理由はいろいろ考えるんでありまして、ある程度必要やむを得ないものであるかもしれぬと、そういう感じもあります。しかし、普通世間一般の人が常識で考えると、塩業を廃止する日における欠損額を見たらどうかというのも、一つの理解の仕方であります。この欠損金については、三十三年三月三十一日だけしか見ない、あとはどんな欠損が出てもおれは知らぬぞというやり方になっているのであります。ところが、まあ別な見方からすると、これを何とか、政府並びに公社の責任だから、できるだけめんどうを見るべきではないかという見地から見れば、その塩業を廃止する日の欠損を見たらどうだろうかというような意見も当然あり得ると思うのであります。  ただ、これはいろいろ専売公社も苦心をされて、政令においてはその期限を限定されたのだと思いますけれども、今回継続中に塩業整備の対象になるのは、先ほど申し上げたように、比較的弱小塩業が多いので、その資本力においても、合理化競争にも勝てないという企業が、まずつぶれるということになっているわけであります。そのなぜつぶれなければならぬかという中には、必要やむを得ざる欠損ということもある。たとえば、ある塩業においては、公社の方から指導をされていろいろな施設を講じたわけです。ところが、近々四カ年にならないうちにやめざるを得ないということになる。そうすると、膨大な借入金を抱えたものがやめざるを得ないということに相なる。しかも、多額の欠損金が出ているわけです。昭和三十三年三月三十一日においては、まあこれは七千五百万円程度であるやつが、それから後三千万円も四千万円も出る。これは無理に作為的に作った欠損金なら、これは別です。しかし、そうでなくて、今この最盛期に仕事をしていきたいという意味でやる。しかもなお欠損が出るというような、必要やむを得ざる欠損については、何かめんどうを見てやる方法がないだろうかというようなことも感ずるのでありまして、これは私のただいまの感じであります。先ほど政務次官お話しになったように、各点において、いろいろ細心の注意を払うべき点が多いようでありますから、どうかそういう配慮のもとで善処をしていただきたいということをお願いいたしておきます。  最後に、イオン交換樹脂膜の件についてお尋ねをいたします。先ほど申し上げたように、最近の新聞報道によりますと、塩田の要らない革命的な製塩技術として注目されておるイオン交換樹脂膜が、いよいよ企業化されることになって、民間会社の申請が今月の末に臨時塩業整備審議会で審議されると、こういうことが報道されているわけです。しかし、先ほど申し上げたように、臨時塩業整備審議会で審議されるというのは、どうも少し、解釈を広げれば別だけれども、法律をすなおに見れば拡大解釈になりはしないか。ここでやるから悪いとかいいとか言うんではないんですよ。ただ、法律の建前から、ちょっと疑問があるんじゃないかということを提議をいたしておきます。  それと同時に、この民間会社の申請が、今日福島県の新日本化学において行われたということです。私、実はおととい福島県にも行ってみたのでありますが、これは専売公社は、現在、この問題については一切臨時塩業整備審議会、あるいは塩業審議会か知らぬけれども、そういうところにおまかせしてしまって、専売公社としては具体的な方針を持っていないのかどうか。もし持っているとすれば、どういうお考えでおられるか、これをお聞きしておきたいと思います。
  43. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) イオン交換樹脂膜をどういうふうにして取り入れるか、あるいはそれに対してどういう考え方をとるかということにつきましては、塩業審議会の方である一つ考え方がございます。大体のその考え方を申し上げますと、とにかくイオン交換樹脂膜法による製塩の方法というのは非常に画期的なものである。まあ最近の言葉でいいますると、技術革新の部類に属するものである。しかし、それをいきなり工業化するといいますか、そういうことについては、今まで二、三の会社でいろいろな実験をやって試験をやっておりますが、そういうことから考えていきなり工業化するかということについては、まだいろいろ疑問があるのではないかと思います。なおかつ、現在のような、塩の需給の関係から日本の塩業を整備しなければならぬというような場合には、いきなり新しい技術だからといって、すく持ち込むということも穏当を欠くのではないか。従って、それを現実にどういうふうに工業化していくかということについては、公社だけできめないで、別の機関で、特別の機関といいますか、そういうもので、十分各方面の意向を審議した上で、それに対応する考え方をきめるべきである。しかし、せっかくそういうふうにできてきた一つの新しい技術であるから、その芽をとめてしまうということも、これはよろしくないことなので、やはり進歩すべき技術というものは進歩させるべきじゃないか。従って、既存のワクといいますか、整備をしたあと、あるいはまあ整備後の既存のワクの範囲内で工業化を考えるというふうな、暫定的な考え方としては、そういう考え方をとるべきじゃないか。まあ大体そういうふうな趣旨の答申が、塩業審議会からあるわけでございます。  それで、お話のように、具体的な申請というものが出ておりますが、これは非常に各方面から興味を持たれていることでございまして、新聞に書いてありますことは、私どもが発表したわけでもなく、その発表されている内容については、私ども責任を持つわけには参らないのでありますが、その申請については、もちろん、公社側としても意見を持つ必要があると思います。しかし、その申請が出て参りますと、やはり現在やっております塩業会社が、これを自分仕事として残すんだということになりますと、御承知のように、やはり事業合理化計画書という形で出て参りますと、塩業整備審議会の審議事項になっておりますので、そちらの方に審議の対象になって回るということは自然かと思います。いろいろな関係がございますので、今の段階において、私どもからいろいろな意見を申し上げるということは、この際差し控えさせておいていただきたいと思います。
  44. 平林剛

    ○平林剛君 このイオン交換樹脂膜の採用については、さきの国会でも、私、大蔵省の監理官と専売公社の総裁の意見を尋ねました。そのときに監理官は、政府を代表して第一に、慎重にやる。第二に、過剰生産力発生の根源にならないようにする。第三に、既存の許可のワク内において行うということを答弁されました。専売公社の総裁は、実際の製塩家に実施するには、せいぜい中間工業試験ではないかという見解を話し、本格的な実施は多分の危険があると言明をされました。同時に、もしやるとしても、既存の許可のワク内において行い、独立で許可をすることはなかなか考えられないということを話されたのであります。今、副総裁からのお答えも、大体それに似たり寄ったりでありますけれども、しからば、現在新日本化学が許可の申請を行うということになりますと、当然他の現在試験中の会社も、これは能率が非常にいいんですから、革命的な方法で、若干資金はかかっても、将来のことを考えると、続々申請をしてくるのじゃないかということになりますと、これはやっぱり自然工業化していくのではないかという懸念を持っておるのであります。現在もうすでに、そういう方に歩み始めているのじゃなかろうか。  そこへもってきて、私は新しい情報を聞いたのでありますけれども、この新日本化学の既存のワクというのは、一体何万トンですか。そして私の情報では、新たに佐世保塩業——この佐世保塩業が現在まで操業していない。すでに許可はとったけれども、操業していない会社があります。これが福島県の小名浜に移転を申請している。そしてそこでさらに製塩を、このイオン交換樹脂膜において行うという希望を持っているということです。私は、これは現在の政府並びに専売公社が塩田を整理して、多数の犠牲者を出しているという実情から考えて、何もまだやっていないのがそういう申請をするというようなことは、ちょっと疑問があるのではないか、おかしいじゃないかということを、私は言いたいのです。もしさようなことが事実であるとすれば、やはり専売公社は、かつてわれわれに答弁をしたように、やはり慎重な態度をとってもらいたいということを希望するわけですけれども、この点についての真相はどうですか。
  45. 小林章

    説明員(小林章君) 新日本化学は、御承知でしょうが、二万五千から三万トンくらいの実績を持っているはずでございます。なお、佐世保塩業のお話でございますが、これは許可がありましてから建設の段階で問題がございまして、現在のところできておりませんが、許可をとったものでございまして、これは私の聞いたところでは、新日本化学は佐世保塩業の許可を承継してやりたい、こういうことのようでございます。  なお、これはもう私から今さら申し上げるまでもございませんが、全然製塩をやっていない佐世保塩業云々のことはおかしいじゃないかという御指摘でございますが、これは前回の国会審議の際にも、主としてこれは特に衆議院の大蔵委員会では問題になった点でございますが、この点につきましては、今回のこの法律の前提となりました塩業審議会の答申、その前のもう一つ前提の政策と申しますか、対策がございまして、これは三十二年の十二月十八日、約半年かかって公社、大蔵省、塩業者が話し合いを進めまして、そこで大体塩業者もこの際整備に踏み切らざるを得ないという腹をきめたわけでございます。そのときの話し合いに基く対策の中に、もうこういうことになってきたから、整備をやるということを考えるくらいだから、これ以上増産はもちろん困る。しかし、既許可のもの及びこれに準ずるものを除いて、その他のものは具体的に政策がきまるまではそのままという取りきめになりましたので、従いまして、佐世保塩業は当然既許可でございますので、具体的な答申がきまるまでそのままということで、ずっと推移して参ったわけでございます。  一方、先ほど副総裁からも話しました塩業審議会の答申には、そういう当然まあ新しい技術、新しい研究というものの芽をつむことは、今後のためにならない。いいものはやはり伸ばすべきである。しかし、一方整理という問題もある。その点のかね合いをどうするかということも関連しまして、まあ塩業の整備が完了するまでは、そういう新技術をやりたいというようなのは、既存のワクの中でそれを承継してやるというものならば、慎重に審議してやらしてもいいじゃないかという答申がございますので、従いまして、新日本化学、これは親会社は旭化成でございますが、旭化成がもう数年にわたって、聞くところによると、相当の金を使ってイオン交換樹脂膜の研究をいたして参ったようでございますが、そこがそのワクを承継して、ワクの範囲内でやりたい、こういう申請が出てくれば、これは答申の趣旨からいっても、一がいに断われませんし、またこれはこの前の国会でもいろいろ審議のあった点でございますが、先ほど申しましたように、新しい技術の芽をつむというようなことはいけないという趣旨からいきましても、頭から否定するわけにもいきませんので、これを一応やらざるを得ない。それでやる。やりたいということになると、整備措置法に基きまして合理化計画書が出て参りますので、その合理化計画書が出て参りましたならば、それは臨時塩業整備審議会にお諮りする。従いまして、イオン交換膜だからイオン交換膜を臨時塩業整備審議会にかけるというのでなしに、残って、残存してやるという合理化計画書をかける。そのやり方もいろいろあるでしょう。その中にそういうものが出てくる。こういうことに相なるわけであります。  なお、根本的にどうするかという問題等につきましては、これは先ほど申しましたように、一応今回はそのワクの中で承継するならば、そういう審議をした結果、やらしてやってもいいじゃないか、こういうことで処理していいのじゃなかろうか、こういうふうに考えております。なお、結論がどうなるかということは、今のところ、まだ、先ほど副総裁も申しましたように、言うべき段階ではない、かように考えております。
  46. 平林剛

    ○平林剛君 私は、今のお話のように、臨時塩業整備審議会で審議をするということには疑問を感じておる。今のお話であると、合理化計画書を審議するのだ、こういうお話です。しかし、念のために法律を読みますと、「審議会は、公社の総裁の諮問に応じ、第六条第一項の規定による製造の許可の取消、第七条第一項の規定による補償金の額その他塩業の整備に関する重要事項を調査審議する。」、この法律の目的を受けてこれが出されているのでありますから、たとえば佐世保塩業の移転だとか、このイオン交換樹脂膜の採用の問題については、ちょっと性格が違ってくるじゃないか。私はそういう見解を持っているのです。ただ会長の秋山孝之輔さん、私、前に専売公社総裁であったときから非常に尊敬し信頼している人です。だから、多分誤まりはなかろうと思いますけれども、何かその点について釈然としないものがあるわけです。  お尋ねしますけれども、副総裁あるいは塩脳部長は、イオン交換樹脂膜というものを実際にごらんになったことがありますか。
  47. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) 私は、実際の試験をやっているところを見たことがございます。  それから、ただいまお尋ねの塩業整備審議会にかけるのはおかしいじゃないかというお話でございますが、これは、「その他塩業の整備に関する重要事項を調査審議する。」、それで残存したいという塩業者は全部事業合理化計画書というものを作りまして、その出てきた合理化計画書というものを塩業整備審議会で審議する、こういうふうになっておりますので、残存希望があれば、当然合理化計画書を出さなければならない。その中に今の問題が入ってきておれば、自然に塩業整備審議会の審議事項になる、こういうことでございますので、そこに、法律に書いてありますのでは、許可の取り消しとか、許可を取り消しした場合の補償金の計算とかというふうにございますが、これはまあ全体の方針としまして、許可の取り消しというような無理なことはやらないで、できるだけ塩業者自分の判断でやるように、いろいろ勧奨もいたしますし、そういうやり方もやりますので、許可の取り消しというふうなケースはほとんどないだろうと思います。むしろ、残存業者が事業合理化計画書を出す、その内容を審査して、そういう業者の判断が正確であるかどうかということをやることが、その審議会のおもな審議事項になります。特に公社が、その問題だから、塩業整備審議会にかけたというのでなしに、自然に審議事項になっている。かような意味でございます。
  48. 平林剛

    ○平林剛君 塩脳部長は見たことがありますか。
  49. 小林章

    説明員(小林章君) 試験機関で見たことがございます。
  50. 平林剛

    ○平林剛君 私がなぜこんな質問をするかというと、どうも今試験をしているところの民間工場は極端な秘密主義をとっている。私の承知している限りでは、民間の会社の方のイオン交換樹脂膜の研究や試験がぐんと進んじゃっていて、専売公社の試験研究がおくれているというような印象を受けている。そうでなければまことに幸いだと思うが、私が見た目ではさような感じがする。そうなりますと、日本の塩業に対して重大な影響を与える革命的な製塩技術の方法について、専売公社の指導性という点を非常に私懸念をしている。勝手に動き出しちまうということになる。これについて、私のようにやかましく議論をしなければ、他の日本の塩業そのものに影響を与えるようなことになりはしないか。絶えず注意していく必要がありはしないか。  専売公社の総裁やあるいは副総裁、関係者ことごとく慎重にやり、あるいは過剰生産の発生の根源にならないように、既存の許可のワク内でやるといっても、いろいろ便宜的な方法を講じて、福島県の小名浜では、佐世保塩業が移転をしてそこでやる。やっぱり業者というものが、これは非常にいい方法だといえば、飛びついてくるのですよ。今の国内塩業によって生産される塩価が高いから、どうしても将来のことを考えると、そこにいく。それで、自分のこと中心に走るから、日本塩業全般をながめる向きが少くなる。これを監視するのは、やっぱり専売公社でなければいかぬ。だから、私は、その技術、あるいは実際の指導の面について、公社としては、もっと積極的な根本的対策をとっていってもらって、そうして他の審議会や、あるいは塩業整備審議会に接するというようなことを希望しなければならない。これはぜひ一つ、副総裁もそういう点に配慮をして、遺憾なきを期してもらいたい。これは、日本塩業将来のために、いろいろな進歩をすることはけっこうなんだけれども、それによって、社会的ないろいろな不安が起きるということを、これは単に新技術だとかどうとかいうことだけでなしに、考えてもらいたい。これは政務次官も、ぜひきょうの私の意見を実際問題として検討して、政府としても配慮を行なっておいてもらいたいということを要望いたします。
  51. 上林忠次

    ○上林忠次君 塩業に対する基本的な問題じゃもちろんありません。さまつな問題で、いずれ整備審議会の問題になることと思いますが、私、先般北海道に参りまして、北海道で製塩をしております井華塩業というのを視察して参ったのであります。これも合理化の案を作っておりますが、聞きますと、現在二万五千トンしか作っておらぬ。三万五千トンくらい作り得るなら、許可がされるなら、相当合理化ができるのだというお話を聞いて参ったのであります。もちろん、三十七年にはトン当り一万円の値段には下げられるし、将来は八千五百円までは下げ得る見込みがある、確信があるということを聞いたのであります。それには、今の二万五千トンを三万五千トン程度にしていただきたいというような陳情を受けたのであります。  そのときも話になったのでありますけれども、小名浜あたりの塩が北海道に運搬されるということになりますと、トン当り三千円も運賃がかかる。内地の塩業製塩、塩が北海道に分布されるには、相当運賃がかかる。地場でこれが生産されるなら、その運賃の軽減のためにもいいじゃないかというようなことを聞いたのであります。北海道全般を回りまして、開発計画を聞いて参ったのでありますが、北海道自身がああいうような原始生産の地帯でありまして、農林水産業に依存しておる。大きな産業が起きない、第二次、第三次の産業が起きないというようなことを考えますと、北海道の開発が遅々として進まないのもむべなるかなと私は見て参ったのであります。たまたま、こういうふうな現地の製塩があるのだ、小さいながら、この産業も、運賃の関係あるいは将来の合理化計画の進展によりまして、現地の製塩ができるならば、十分一つ庇護していただきたいということを申し上げまして、御参考に供する次第であります。北海道があれだけの大きな地域を持ちながらいい産業がないというようなことで、開発が遅々として進まないということを考えますときに、たとえ小さな塩業でありましても、皆さんの特別な御関心を得たいということを申し上げておきます。
  52. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 他に御質問ございませんですか。  では、今日はこれをもって散会いたします。    午後零時三十一分散会