運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1959-10-23 第32回国会 参議院 建設委員会 閉会後第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十月二十三日(金曜日)    午前十時二十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岩沢 忠恭君    理事            稲浦 鹿藏君            松野 孝一君            武藤 常介君            田中  一君    委員            櫻井 三郎君            田中 清一君            米田 正文君            内村 清次君            久保  等君            田上 松衞君            武内 五郎君            向井 長年君            安田 敏雄君            小平 芳平君            須藤 五郎君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    建設政務次官  大沢 雄一君    建設大臣官房長 鬼丸 勝之君    建設省河川局長 山本 三郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○建設事業並びに建設計画に関する  調査の件  (災害に関する件)   —————————————
  2. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) これより建設委員会を開会いたします。  災害に関する件を議題にいたします。  まず政府当局から災害立法その他の災害対策についての説明を聴取いたしたいと思います。
  3. 鬼丸勝之

    説明員鬼丸勝之君) 昭和三十四年の七、八月及び九月の風水害による災害復旧のための特別立法措置につきまして、建設省として考えておりまするところをごくかいつまんで概要を御説明申し上げたいと思います。  お手元に配付されました「昭和三十四年七月・八月及び九月の風水害による災害復旧のための特別措置案概要」という印刷物につきまして申し上げたいと思いますが、その前に建設省として考えておりまする特別立法法律案二つになっておりまして、一つはこの第一ページの一番上の欄の右の方に書いてあります「昭和三十四年七月・八月及び九月の風水害による公共土木施設等災害復旧等に関する特別措置法案」ともう一つは五ページの方の上欄のまん中あたりにございます「昭和三十四年七月・八月及び九月の風水害による災害地域内のたい積土砂及び湛水排除に関する特別措置案」、この二つ法案にまとめておるのでございます。この印刷物では一番上欄がこの特別立法の案の中身の要旨でございます。まん中の中欄は二十八年災の場合の特例内容要旨でございまして、一番下は一般原則ということで、現行制度による災害復旧等措置の要領でございます。  そこでまず最初公共土木施設等災害復旧等に関する特別措置でございまするが、順次申し上げますると、その一、政令指定地域公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法特例と申しまするのは、二十八災の場合の特例と同様に考えておりまして、これは国庫負担率を、事業費標準税収入の二分の一までの額については十分の八、二分の一をこえ標準税収入に達するまでの額については十分の九、標準税収入をこえる額については十分の十ということでございます。  次に二番目に災害関連事業に関する特例、これも政令で指定する地域についてだけ考えておりまするが、これは新規に取り上げた事柄でございまして、すなわち御案内のように、復旧を相当改良的に行う改良的な事業につきまして、やはり負担率あるいは補助率を引き上げるという構想で考えられたものでございまするが、それを関連事業ということで実施いたします場合に、他の法令あるいはこの法律案の中で三分の二以上になっておりますものは別といたしまして、三分の二に満たないものは国がその費用の三分の二を負担しまたは補助すると、最低三分の二の負担率補助率を認めていこう、河川等につきましては二分の一でございますから、これによりまして負担率補助率を引き上げるわけでございます。  その中の2は主務大臣が直轄で行う場合の裏の規定でございます。  次に三でございますが、政令指定地域地すべり等防止、これは従来同趣旨規定がございまして内容の実体につきましては同様でございます。すなわち災害を生ずるおそれのある山くずれとか土砂崩壊地すべりあるいはぼた山崩壊防止するために必要な事業について、費用の十分の九を負担しまたは補助するということでございます。  次に四番目に、政令で指定する地域海岸等についての高潮等による災害防止でございますが、この趣旨につきましては、二十八災当時同様趣旨のものがございましたが、ただ二十八災当時の特例と違います点は、四の1の内容でございますが、ちょっと読みますと「地方公共団体又はその機関等が行う海岸又は海岸に接続し、かつ、これと同様の効用を有する河川風水害により著しい災害を受けたもの及びこれらに接続し、かつ、これらと同様の効用を有する海岸又は河川について、……災害防止するために必要な事業に要する費用については、他の法令で十分の八以上の国庫負担又は補助を行う場合を除き、国がその費用の十分の八を負担し、又は補助する。」というふうに規定しようというものでございますが、これは二十八災当時は、湖岸を含む海岸と、それから海岸に接続する同様の効用を有する海岸だけを対象にいたしておりましたが、今回の災害実態にかんがみましてこれだけではきわめて不十分である、やはり海岸に接続する河川同様の効用を有する河川対象にすべきであるという考え方から、対象を広げた点と、それから二十八災におきましては、国の負担または補助が、被災個所は十分の八で、被災してない個所は三分の二でありました。しかしこれも効用を一体的に考えます場合には、一連の施設をやるわけでございますから、全部十分の八というふうに補助率負担率を一本にいたした点であります。この二点が二十八災の当時と違っております。  それから五番目は水防法特例でございまするが、これは二十八災の当時と同様でございまして、水防資材につきまして国が全額負担する、こういう趣旨のものでございます。  六番目は都市施設災害復旧に関する補助でございますが、二十八災当時は特例としてはございませんでしたが、予算措置におきまして、公共下水道にありましては三分の二、都市下水路都市公園等にありましては二分の一の補助が行われておりますので、今回やはり特例措置といたしまして、公共下水道都市下水路都市公園その他の都市施設につきまして全部三分の二の補助をしよう、公共下水道と他の都市施設補助事を区別する理由もございませんので、公共下水道にならいまして三分の二というふうに考えているわけでございます。  七番目は土木機械無償貸付等でございます。これは二十八災の特例と同様でございまして、地方公共団体復旧事業を行う場合に、国の所有しております土木機械をただで、あるいは安い値段で貸し付けることができるようにしようということでございます。  八番目は公営住宅法に関する特例でございまするが、そのうち一の内容、すなわち災害公営住宅についての補助率を四分の三に引き上げるということと、それから滅失戸数に対する建設戸数割合限度を三割を五割に引き上げるという問題、この点は二十八災の特例と同様でございます。次の2は新たに取り上げた事項でございまして、公営住宅そのものが滅失したりあるいはひどくいためられた場合に、その建てかえあるいは補修に要する費用補助率を引き上げようというものでございます。今回は御案内のように公営住宅そのものが相当やられておりまするので、二十八災当時には特例としてございませんでしたけれども、取り上げることが妥当であると考えたわけでございます。三番目の災害公営住宅建設戸数割合でございまするが、これは二カ年で初年度六割二年目四割ということで、二十八災当時の場合と同様でございます。  次の九は産業労働者住宅資金融通法特例でございまするが、これは新たに今回取り上げようという事項でございまするが、産業労働者住宅事業主が自分のところの従業員のために二年以内に建てようという場合に、住宅公庫からその建設資金を貸し付けられるわけでございまするが、その場合の償還期間を三年間延長し、また据置期間を三年以内認めようという趣旨でございまして、二十八災当時は、公庫個人貸付特別ワクにつきまして、そうした延長なり据置きの措置がとられましたが、これらは現行法におきまして恒久的な措置になっておりますので、その振り合いから申しましても産業住宅につきまして、同様の償還期間延長なり据置きを設けることが適当であろうと考えられた次第でございます。  次にもう一つ特別措置法案といたしまして、たい積土砂湛水排除に関するものでございますが、このたい積土砂についての事業負担なり補助、これは二十八災の場合の特例と同様に考えております。一つ都道府県知事が行いますたい積土砂排除事業につきまして、公共施設あるいは公用の施設にたい積しているものを排除する場合は国が費用全額負担する。それから災害地内の一般の宅地あるいは建物にたい積する土砂で必要なるものの排除事業につきましては、やはり国が全額負担をする。農地等にたい積している土砂排除事業につきましては、これも結局国が全部持つわけでございますが、これは補助という形に相なるのでございます。  新らしい事柄といたしましては次の三の湛水排除事業であります。一定の面積あるいは一定の日数に及ぶ湛水排除をいたします事業につきましては、国が費用全額補助しようというわけでございます。  以上がこの内容の概略の御説明でございまするが、この案につきましては、両法案とも農林省運輸省と共管の法案に相なるわけでありまして、農林運輸両省とは大体意見一致を見ておりまするが、大蔵省とはまだ意見一致を見ていない点がむしろ大半であると申してもよろしいかと思います。そういう意味におきましてまだ検討中の段階でございますから、一つその点お含みおきをお願いしたいと思います。
  4. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) これより質疑を願いたいと思います。御質疑のおありの方は順次御発言をお願いいたします。
  5. 田中一

    田中一君 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法、これは大体が原形復旧原則になっておりますが、今度の災害にかんがみまして私はもう原形復旧プラス改良ということが、この法律の主眼でなくちゃならぬというように考えなければならぬのです。まあいろいろそういう点については建設省も相当財政当局の方とも折衝したのであろうと思うのですが、一部にはそういうことが見えますけれども、その原則として根本的にその考え方というものを変えて原形復旧並びに改良というものが、むろんこれは原形復旧して足りるものは原形復旧でいいと思います。しかしながら原形復旧では少くとも各建設省技術家等が見てこれは無理であるというようなことがわかっていながらこの法律に災いされて、改良が施行されないという点があるのではないかと思うのです。そういう点についてはどういう考えを持ってまた今後ともどういう推し方をしていこうとするのか、それ最初に伺いたいと思うのです。原則論です。
  6. 山本三郎

    説明員山本三郎君) このただいま御説明申し上げました法律案内容について、その点が多少おわかりになると思いますが、公共土木施設災害復旧におきましては、まあ原則としては原形復旧でありますけれども、原形復旧したのではとても持たないというような場合につきましては、それを災害で採択するということに従来の取扱いもなっております。今回の災害等におきましては、伊勢湾付近等災害堤防が長い距離にわたりまして個所も非常にたくさん切れております。そういう所につきましては、今度のような台風に対しても持つように堤防災害で処置したい。ただそこだけをあげましても効用を発揮いたしませんから、それと同じようなこわれない所につきましても同じような処置をしなければなりません。それはまあこわれていない所は災害で処置するわけにもいきませんから、これはその法律案の二というところにございますが、政令指定地域内におきましてそういうふうな災害関連事業を行うときには、非常にまた費用もかかりますので従来は二分の一の補助でやりましたのを三分の二にいたしまして、地方負担も軽くいたしまして、それらの施設が一貫してできるようにということを考えておる次第であります。
  7. 田中一

    田中一君 現在そういう脆弱だと思われておるところの個所は当然やっておるでしょうけれども、それが全部にわたって実施されたものならばこれらの災害は相当軽減をされたと思うのです。原則としてなってないからそういう問題が起きるのだと思うのです。これは問題はあなたの方でそういう措置によって行政部内の了解によって仕事をしたということじゃなくて、もうはっきりとこの法律の上に恒久性ある改正をしなければならぬということなんです。私は三重県へ行ってみてもまあどういう都合でありますか、関連事業ということになるかもわからん。また御承知のように海岸堤防というものは地方公共団体の実施されなければならぬものになっておりますから、それだけに地方公共団体の実勢力から見て不可能なこともあったと思うんですよ。また当然三年計画でやるという仕事が四年目になってもまだできないということもあり得ると思う。そういう際にやはり大きな災害がもたらされることは事実なんです。現にそれを見てきておる。そうしてそれが一応改良を施して、この程度ならよかろうというものをも破壊するようなことになるわけです。でありますからこの国庫負担法そのものを、もう原則としては改良を施さなければならぬということなんです。改良をする必要のない所は当然そのままでいいけれども、それが原則でなければならぬと思う。というのは、これはわれわれよりももっと古老の話を聞けば何年に一ぺんしかこないと言うけれども、われわれが知っておる範囲でも災害災害度というものはふえ、かつまた被害実態というものも大きくなっておるわけです。これはあなた方内部の人じゃないけれども近所にいる人が言っているのには、もう建設省では、今度この辺に台風がくればどの堤防が切れるんだ、どの海岸がこわれるんだ、これがこわれるとそのあと設計はもうできておるというふうに聞いておる。そうしてもう次年度、三十五年度台風は、このコースをくる台風だとこれが切れるんだ、そのときになっては間に合わぬからちゃんともう設計ができて、いつでも図面が出せて査定ができるというようになっているんだということも聞いておる。これはむろんあなた方建設省河川局その他の方を非難するわけではない。そういうものも良心的にやらなければならぬと思っていても、財政当局は金をくれないからそれができないんだという善意に解釈しますけれども、そういうようなものを放置されておることから大きな災害がくるということ。それから中途半端な施設をしているんでは、自然の力というものはそれに抵抗する、加速度的の力をもってそれを倒しにくるというのは当然です。これは完全に守る態勢でなければならぬと思う。中途半端なものなら堤防なんかない方がいい、被害は僅少に済みます。だから原則として、国庫負担法原形復旧原則をやめて、恒久的に改良を施すということが原則になるような方途考えられないかと言うんです。山本君はそういうことでやっています、やるのは当然ですよ。法の体系そのものを全部そういう形にならないかどうか。そうしてたとえば本年度は十したいんだけれども五ということもあり得るだろう。たとえば三・五・二の比率でもってこれも反対ですよ、反対ですけれども、三・五・二でやることもあるだろうしいろいろあると思う。従って法の原則というもの、考え方というものを変えるような方途に向って進んでくれないかということを言っているんです。それに対してどういう考えを持っているかということです。
  8. 山本三郎

    説明員山本三郎君) お説の通り確かに災害復旧は、災害復旧改良を加味してやった所、あるいは災害関連事業をつけ加えて補強して強くした所、思い通りにやった所は今回の災害によりましても波は越えても切れないという強さになっておるわけでございます。私どもは重要地域海岸等につきましてはぜひそういうふうに早くしないわけでございます。ただ先生のあげ足をとるというような格好になるかもしれませんが、たとえば名古屋の南の海岸等におきましては幸か不幸か今まで災害がなかったのでございます。ですからああいう所に、たとえば災害国庫負担法改正いたしまして、ああいう所がこわれたとき、これは全部災害公共事業でやるということにしておきましても、まだ災害を受けたことがなくて、突然ことしやられたというような所は救うような方法がないような気持がいたしておるわけでございます。もちろん災害を受けた所はもう再びこわれないようにしなければいかぬわけでございます。しかし災害が近い過去に受けたことのないような所もたくさんありまして、そういう所も何とか早く強くしなければいかぬ。従いまして災害を受けた所はできるだけこわれないものを作ると同時に、災害を最近において受けていないような所も強くしなければならぬということでございまして、両方あわせていかぬと弱い所もたくさんあるわけでございますので、承知できないんじゃないかというふうに考えております。
  9. 田中一

    田中一君 あげ足とってもかまわないんだよ。しかし今言う災害の起らぬ所は手がつけられない、この法律じゃ手がつけられません。しかしながら関連法なり何なりと幾らでも法律があるんです。しなければならぬのです。いいですか、しなければならぬのです。しかし災害を受けた場所は少くとも関連事業を含めた完璧な施工をしなければならぬことはもう当然のはずなんです。災害を受けない所にはこの法律によってそれをするんじゃないんです、それは別な法律がございます。また行政権でどの県ではどうということができるはずです。ことにあなた方はよくわかっているでしょう。来年どの辺に台風が来ればどこがこわれるんだということは大体わかっているでしょう。待っているわけではないだろうけれども少くともどこがあぶないということはわかっているはずなんです。さもなければ河川局長の値打ちがない、全国の河川なら河川というものを常時にらんでいなければならぬ。だからそういう場合にはやはり関連事業と言えるんですよ、広義の関連事業ですね。関連事業というのは関連性のあるものとして、一般財政でそのかさ上げなり何なりすればいいんです。これはあなた方の良心です、あなた方の技術ですよ。だからせめて国庫負担法、これのそういう原則を変えるような方向にいけば、岸さんが何か言っておる恒久法、それに合うのではないかと思うんです。そういうような要求がなくちゃならぬと思うんです。これは記憶にちょっとはっきりしませんが京都辺がうんとやられた、キティ台風だったか加茂の橋がだいぶ落ちた、平和池なんか落ちたとき何年だったかな、たしか二十六、七年あのころでもこれはもう原形復旧以外にできないというようなことを言っておる。たとえば橋一つにしても木橋が落ちればまた木橋をかける、こんな愚の骨頂ないですよ。従って鉄橋にかえなければならぬ、永久橋にかえておるんですね。私はあのころからようやく改良を含めた災害復旧ということが実施されたと記憶しておるんです。それは特殊なものはあったでしょうけれども、そういう点についてもう少し抜本的な法律体系を変えるような意図がなければならぬと思うのです。その点はどうなんです。相かわらず台風が来れば仕事をふやすためにも決壊があっても待っている方がいいんですか。
  10. 山本三郎

    説明員山本三郎君) とにかく一度やられた所が再びやられないようにしなければならぬということは仰せの通りでございまして、ただ災害で施工するかあるいは関連事業で施工するかということでございまして、これは国と地方とでどういうふうに費用を持ち合うかという問題もあるわけでございまして事実といたしましては積極的に関連事業に入れまして、改良復旧をやろうという趣旨でございまして、従来の考え方関連事業につきましては、公共土木施設災害とは多少改良的のものもあるし、ほかの災害を受けていない地域改良工事との関連もあるものですから、負担率災害と同じように考えないで、関連事業というもので処置していこうという考え方で進んできたというふうに私ども考えておるわけでございます。従いまして、ただ災害復旧で全部やってしまうというようなことになりますと、非常に物事は簡単に片づくわけでございますし、しかも促進されると思いますけれども、ただ改良復旧をどの程度までの限度にするか、災害負担対象にするものをどの程度のものにするかという点において、いろいろと疑義もあることであります。従来こういう点につきましても大蔵省当局あたりといろいろ折衝した経緯もございますけれども、国庫負担対象にするものはある程度限度がわかるけれども、改良復旧となりますとどの程度までを採択するかというような点で、いつも大蔵省から非常に反対論が強く出ましてなかなか結末がつかないような状況になっている次第でございまして、従いまして、現在の状況関連事業を大いにつけ加えてやらなければいかぬけれども、公共土木施設災害復旧でなくて、改良工事として扱おうじゃないかというふうに考えているわけでございまして、まあ今回の建設省考え方も、関連事業の規模が非常に大きいものですから災害に近いような国の負担率を出しまして、そうして積極的にやろうという考えをしているわけであります。
  11. 田中一

    田中一君 今あなた財政面をやかましく言うけれども、地方負担力の問題の云々なんということは、これは県民にとっては問題にならないのですよ。そういうものは問題にならないのです。起債でも何でもさせればいいのです。しなければならぬことはしなければならないのです。負担の問題じゃないのです。大蔵省の問題じゃないのです。そこが技術家のあなた方に期待するところなんです。今度の場合でも東海地区だって何千人と死んでいるのです。だからあなた方が何も地方財政の問題とか国の財政の問題を考えないで、要求するものは要求なさいというのです。要求できるような法の改正をなさいというのですよ。そうしてむろんこれは地方によっては貧乏県も金持県もございます。それらの点は仕事をするということについては金のあるなしの問題じゃない。仕事をするなら起債でも何でもさせればいいのです。ただ災害というものに籍口しないとさっきいったように仕事が進まぬことなんです。負担率もこれも通常のものになりますとやはり全国的な公平な負担ということになりますから、その部分だけはとうてい改良ということはできなくなると思うのですよ。貧乏県なら貧乏県なほど通常改良工事としての仕事ができなくなってくるのです。これに便乗して云々というのじゃないのです、今私のいっているのは。どっちみちするなら抜本的にやらなければならぬ。金があるなしの問題じゃなくて仕事をしなければならないのです。あと始末あと始末でよろしい。その場合に貧乏県ほどそれをのがしたならばできなくなってくるのですよ。これはあなた方よく知っているはずなんです。それらのあなた方の発言というものを、自治庁なり大蔵省なりが、この法によってあなた方の良心的な主張を裏づけるような法律改正をなさいということを言っているのです。その方向に向ってあなた方いかなければならないのです。がむしゃらにいらっしゃいというのですよ。この際ならば少くとも衆参両院ともあの災害を見ておりますから、私はそれが可能ではないかと思うのです。金の問題はあとの問題です。ここじゃ金の問題を、ほかにもむだづかいしているじゃないかということは言いませんよ。言いたいけれども言いません。しかしそれはあとの問題でよろしいのです。私はそのくらいまでの決意がなくちゃならぬと思うのです。何千人も人間を殺して、この場合には関連事業として今こそしなければ機会はまた失うのです。これ以上の大災害があって初めて腰をあげるようなことになるのです。それはあなた方技術屋さんとして良心的じゃないですよ。そういう見通し、考え、気持を河川局長は持っているけれども政治的にできないという面もあると思うから、これは大沢君から一つはっきりと聞かしていただきたいのですよ。いい加減な答弁じゃ聞きませんよ。
  12. 大沢雄一

    説明員(大沢雄一君) 災害復旧するばかりでなく、これを予防しなければならない、そういう見地から、関連事業あるいは改良事業を大幅にいたしまして、再び災害を繰り返さないようにするという御質問の御趣旨と存ずるわけでございます。その点まことにごもっともで同感に存ずる次第でございます。ただ、今のお説にもございましたが、災害復旧負担法を基本として考えまする場合におきましては、どうしても災害復旧ということから出発をいたしまするので、これに関連をいたしまして関連事業をどの程度まで取り入れ得るかということになりますると、なかなか議論もございまするし、また一般改良事業そのものは災害の有無にかかわらずやらなければならぬことは、もう御案内通りでございまするので、そういう関連から非常に問題がありまして、私どもとして思うにまかせないという状況になっております。私どもはこの負担法を現在は基本といたしましてできるだけ関連事業を広げましてそうして御趣旨にこたえるようにいたしたい、こういうことで進んでいるわけでございます。災害防止の点を一般的に法律でどこまで別な立法の形で規制していくことが適当かということになりますると、国の財政力その他の関係いろいろな点で、直ちに改良事業法律で規制するということはなかなか困難な面もありますので、なかなかそこまで踏み切ることはできないでいると、かような現状にあるわけでございます。できるだけ御趣旨に沿うて災害復旧のみならず予防もいたしまして、こういうことを繰り返さないということにいたさなければならと存じてはおりまする次第でございます。
  13. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) この国庫負担法のことですが、まあ公共事業はその管理者である人が復旧するのが原則だけれども、しかし地方の公共団体の財力がこれに伴わないという意味において、この国庫負担法というものができたのですね。従ってこの内容が県あるいは公共団体の税収によって率を変えておると、こういうことになっておるのですが、私が考えるのに、昔の災害復旧については、今も田中君が言われたように思い切って改良をしておると、またそういうことを大いにやったものですが、その場合においては、やはり災害と同じような率で国が県の方へなり町村の方へ補助しておったのが、いつの間にか関連事業ということで二つに分けておるので、この国庫負担法の精神からいえば僕なんかの意見としては、やはり関連事業というものは必要ならば災害と同じように取り扱って、そして同じ率を県の方にやるというようにしたらよほど県なりあるいは町村が財政的に恵まれると、こういうように思っているのですが、相変らずやはり今後においても、これは今度の災害だから特例で三分の二とか四分の三とかということをやっておりますけれども、そのほかの県の災害はやはり従来の負担法でやっておる、昔に返って災害復旧は従来の原則によるということは、これはちょっと今田中委員と私は全然意見が違うのですけれども、これはまあ理想としては、復旧をもって原則とするということは除いた方がいいと思うけれども、しかしこれを除くと非常な弊害が起るとかまたその他の関係からもこれはちょっと除けないとは思うのですが、しかし要するに、この国庫負担法というものは、公共団体に対する高率の補助をやると、またこれを災害が起った場合においては、永久というのではなくて半永久的に、国民が安心してそれに依存し得るというような構造にしなければならぬという意味から申しても、やはり関連事業というものを災害の本体に入れてやるというように踏み切ったらどうかと、こういうように考えておるのですが、その辺はどうなんですか。
  14. 山本三郎

    説明員山本三郎君) お説の通り災害を受けた所は非常に財政状況も悪いという考え方に立ちまして、そこでやらなければならぬ仕事は、災害に準じて高率で補助をするのだという考えに立ちますると、今委員長のおっしゃったように、財政力が非常に落ちたんだから、そこでやるべき仕事があればそれは高率に補助をすべきだというお考えが、私は適当だと思うのでございます。ただもっと突き詰めていきますと、災害の問題だけで救っても、地方財政というものはほかの方面も非常にたくさんあるわけでございますね。交付税の面もありますし、公共土木の災害だけでもございませんので、そういう面との関連もあるわけでございまして、私はむしろ反対に、公共事業というものはもう税収なんかと比較することはやめて、一定補助をして、もし金が足りなければほかの財政の面で援助する、という一つ考え方もあるのではないかというふうにも考えております。従いまして、これはもう財政との関連でございますので、建設省だけではなかなか処置できない問題だとは思っておりますけれども、極端に言いますと、今委員長のおっしゃるようなお考えと、あるいは災害というものはそのつど負担率などは変えないで、もう一定負担率にしておいてほかの面で財政的に地方のめんどうをみるというふうな考え方もあるのではないか、というふうなことをひそかに考えておるわけであります。
  15. 田中一

    田中一君 山木君、今君の言っておるようなことを実行しておるならかまわないというのだよ。実施してないじゃないかというのです。一つの例をとってみても、三重県か愛知県かの海岸堤防は四、五年前から決壊しておる。これはやはり改良していない所があるのじゃないかというのです。そのつどやるといったって仕事はとにかくしちゃってあとの問題はあとの問題で処理しよう、ということを第二段の説明では言っておると思うのです。別の面で補助してもいいじゃないか、法律を変えてもいいじゃないかと。けれども仕事をしておれば文句ないのですよ。仕事をしないというのですよ。財政的に力のない県はますます仕事をしなくなるのです。だから私は今岩沢委員長の言うように、別にものを二つに分けて考えてもいいと思うのです。仕事を実際にするという法の体系に持っていけということを言っておるのです。何もこの法律だけですべてをきめようというのではないのですよ。そうした方向に向うような改正をせよというのです、私の言っておるのは。あなたが今言っておるように、地方財政云々とか、どこが云々なんということをあなた方は言う必要はないのです。これをしなければならないのだということから出発して、あとの締めくくりは今言う通り別の面でその費用を捻出する場合もあるでしょう。しかし仕事をさせなければならないのだということが、あなた方の行政指導では足りないというのですよ。そうしてそれを資金がないからとか何とかいう点で見逃しておるのが現状なんです。これはいけない。仕事をしなければいけない、してしまえというのです。これはあなた方から見れば災害が減るのだから、あなた方の技術家的な良心というものには同調すべきものだと思うのです。金の問題なんか考えなさんなというのです。あなた方行政官だから両面を考えなければならぬと思うけれども、しかしあなた方は技術家としては仕事をしなければならぬ。金の面は他の面でも何でもよい。やはり仕事をしなければいかぬというのです。建設省という少くとも国土を全部掌握しておる行政官庁としては、そのくらいな決意がなくちゃならぬと思うのですよ。もしそれがいいとするならば、この間も何か閣議で岸総理大臣が言っておるというけれども、恒久的な法の体系を作れというのです。それには現在の国庫負担法から見ても一つの方法として、改良というものを義務づけるという方向に向ってもいいじゃないかというのです。そういうような意図があなた方になくちゃ困るのです。二十八年災害を今日において見てもはっきりそれはわかっておるはずですよ。それが今も政務次官がこの法律内容を変えてみろということを言っておるにもかかわらず、この法律によって今の場合縛られておりますからと言っておるのです。この法律に縛られておるのはわかっているのです。この法律を変えて、改善を施して、完璧なものに——まあ人間のすることですから完璧といっても完璧なものかどうかわからぬけれども、少くともあなた方が良心的に完璧と思うようなものにまで持っていくように改正をしなさいということを要求しておるのです。ですから今の大沢政務次官の答弁では不満です。あなた方は現行の法律云々と言うけれども、この法律を変えて改善を施して再び災害のないように、たくさんの技術家がおるのですから、技術家が良心的にこれならば大丈夫だというようなところまで持っていくような考え方はないかということを聞いているのです。現行法の問題なんか聞いているのではないのです。それを乗り越えて建設省としては法律改正をすべきではないかということを聞いているのです。今の負担の問題は私はこの次に質問するのです。先に伺っているのはまず仕事そのものが先決なんですよ。仕事をしなければならないのですよ。そういう強制するようなものに持っていきなさいというのです。
  16. 大沢雄一

    説明員(大沢雄一君) 私の言葉が足りないために私の趣旨がよくおわかりいただけぬことをまことに残念に存じますが、私は御趣旨に賛成なのでございます。ただこの災害復旧のための負担法を本といたしましては要するに限度がございまするので、今お話のあるように災害防止あるいは改良を主体として別の立法を考えるということをいたした場合に、これは単に法律だけで規制いたしましても、国の財政力なり何なりいろいろな問題によって制約いたされますので、なかなかそれは非常にむずかしい問題である。そこまでなかなか、そういう今法律で直ちに改良を義務づけるというような方向へきめたといたしましても、果してそれが県としても地方としてもすぐ実行できるようなものができるかどうか、ということを今ここで検討しなければ何とも申し上げかねますので、そういう点につきまして検討しなければならない、こういう考えを申し上げておりますので、御趣旨はごもっともに存じております。
  17. 田中一

    田中一君 それではなぜ、この二に関連事業もこれを含めると言っているのですか。この思想というものは私が言う思想と同じなんですよ。今度の法律改正によって、これは一の二ではっきり打ち出しているのです。これは臨時特例だからいたしたのだということで済まそうとするのか、なぜこういうものをお出しになるのか、この思想をそのまま恒久的な精神として持っていけと言っているのですよっ従って今の大沢政務次官の答弁は誤解があるといかぬから、もう一ぺん答弁していただきたいのです。もしほんとうにそれならあなた方が言っているように、そういうことならばこの一の第二項というものが出てこないわけです。これを恒久化しろと言っているのです、私が言っているのは。そうしてたとえば次に来るのは財政の面とかあるいは別の面、たとえばここはもう常習的に災害が来るのだから、このたんぼも家も全部どけてしまって海水の遊水池的なものにしてこれを保護しようということもあり得るのです。しかしながら少くとも人命なり財産なりを守るにはそうした恒久的な改良をほどこして、そして国民にこたえるのが政府の義務じゃございませんか。現にこの特例建設省の意図として示しておりながら、今のような政務次官の答弁は非常に不備です。
  18. 大沢雄一

    説明員(大沢雄一君) 私御質問の趣旨を少し違ってとっておりまして恐縮に存じます。この改正法律案特例案で私どもが考えております関連事業を、この範囲内でこれを恒久化するということでございますれば私どももまことにごもっともと存じます。私ども従来ともそういう方針でずっと努力をいたしておりますのでございますが、なかなか国の財政の都合で、また私どもの力が不足でそこまで至らなかったことを遺憾に存じておりますわけでございます。災害のつどかようなことをいたさずに、災害復旧関連してここにあげてある範囲内でこれを恒久的なものにしていくということでございますれば、これは私はこの負担法の規定に沿うて十分できることじゃないかと思っております。そういう点につきましては今後とも努力いたしたいと考えております。
  19. 田中一

    田中一君 この二項にあげてある問題がどの範囲のものか実際やってみなければわからんでしょう。しかし実際にこれをチェックしてこの範囲だときめるのはあなたがきめるのでしょう。それが少くとも地元の国民が安心して生活できるだけのものであるならばこれは納得します。今の説明で。しかしこれを恒久法にするということについて先ほどから財政々々ということを言われるが、財政の面から見てもその方が得なんです。勇気の問題なんです。ジェット機なんかやめても三百億とか三千億とかになるでしょう、簡単に大まかにいえば。勇気がないからです。従ってあなた方の勇気を振い起こすためには、法律をその方向に向って改正して縛ることが必要だと思うのです、国会としては。しかし今度の法律案を政府が提案しようという意図があるならば、少くとも国土を守っているところの建設省としてはそのくらいの法制化を望むことが正しいのじゃないかと、こう思うのです。これは一つ山本君の立場からもう一ぺん答弁してください。
  20. 山本三郎

    説明員山本三郎君) この問題につきましては従来もぜひこうしなければいかんということで建設省では考えまして、前の石破次官当時にもこの点を非常に考えまして大蔵省ともしばしば折衝したわけでございますが、ただいま政務次官もおっしゃいましたようにまだ大蔵省に了承してもらうことができなくて参っております。特例だけでも一つ突破しよう、今回の災害につきましての特例だけでも突破しようということで出しております。従いまして今後の災害につきましては当然そういう努力をしなければならない、こう考えております。
  21. 田中一

    田中一君 もう二十八年度、三十四年度、二年二の特例を作るのです。従ってもし次の機会を狙うには本年度災害以上の災害が起ったときにはじめて気がつくわけです。今度はいよいよしなければならん、三度目の正直だということになるでしょう。そういうことではまた何千人か何万人かの人間を殺すのです。原則をお立てなさいというのです、原則を、今この際に。一体岸総理大臣は新聞発表ではああいうことを言っているけれども、恒久施設を作るのは今がチャンスじゃありませんか。おやりなさい。これは提案を出すんだから、これはちょっと自民党の話し合いができないから何とも言えぬけれども、これはこの際腰をすえて恒久性ある施設を作って災害から守るということは、災害があったときでなければできないんです、今日まで歴史的にですよ。私は今こそいい機会だと思うんです。こういう点については勇気がないからできないんです。山本君、君技術家としてこれは良識によってそれこそ強く主張して、国会における各政党にも働きかけてそうした方向に向うことが正しいと思うのですよ。あなたの良心でそうなくちゃならぬと思いますよ。その点については相手は大蔵省じゃないんです。国民なんですよ。国民がどうしてもそれを熱望するならばそれに向っていくのが当然なんですよ。これに対しては山本さん自分もそういきたいんだというならば、いきたいのだということを説明して下さい。いきたいなら今回地方財政云々ということは言わないで、ぜひともそうしなきゃならぬというならば、そうしなきゃならぬという熱意を通しなさい。
  22. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 災害関連事業はすでに事実上はやっておるわけでございますが、法律的の根拠がないわけでございます。これは地方財政法の財政補助でやっておるわけでございますので、ぜひ一つ法律的根拠を与えまして当然の処置としてできるように私はしたいと考えております。
  23. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 抜本的な方法を立てろということは私田中君と同じ意見なんです。それでその点を少し質問したいと思います。  二十八年のと今度のを比べると多少前進があるかもわからぬ。しかし私はこの法律では満足することができないんだと思います。私が満足することができないだけでなしに各地方団体また国民も満足しないだろうと思うんです。それで今政府としてはこういう法律を作って、これで実際に国民を満足さすことができると思っておるのか、地方団体を満足さすことができると思っておるのか、それからこの法律で今度の災害を救うことができると考えておるのか、その点明らかにしてほしいと思います。どうぞ次官から。
  24. 大沢雄一

    説明員(大沢雄一君) 今回の災害につきましては、災害を再び繰り返さないために、私ども特別立法並びに補正予算の要求をいたしまして最善の努力をただいまいたしておるところでございます。しかしながらこの災害立法、補正予算の措置では、これは私どもは国土を守りまする省としての国の責任を尽しまするには、もとよりこれだけではとうてい足らないのでございまして、このためには治山治水事業の抜本的な対策を樹立しなければならないということは、私ども痛切に感じておりまする次第でございます。従いまして、これらの点につきましては、今回は臨時国会でこの災害対策ということでございまするので、こういうことになっておりまするが、通常国会におきましては抜本的な対策を立ててぜひこれが実現を期したいと強く考えておりまするような次第でございます。
  25. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 口ではそうおっしゃるけれども、実際においては岸内閣というものがこの災害に対してはほんとうに責任を感じておると、そうしてこういうふうにあらなければならぬというほんとうに最善の努力をしておるというように実は思えぬわけですよ。というのはやはり建設省も岸内閣の一つであれば大蔵省もそうですよ。建設省がいろいろな案を立てても大蔵省がそれを減らしてしまうということでは、岸内閣が責任を感じているとわれわれは受けとることができぬわけです。だからどうしても先ほどから田中君が追及しておるごとく、口ではそういうことを言うがほんとうの責任を感じておるのか、ほんとうに熱意を持っておるのか、最善の努力をしておるのかどうかということは私たちには大きな不満があるわけです。これは私たちだけではない国民全部の不満であろうと思います。この不満に対してあなたたちがどう対処していくのか、何か考えがあるならばもっと確固たる信念を一つ聞かしてもらいたいと思います。
  26. 大沢雄一

    説明員(大沢雄一君) 私ども強い決意を持ちまして、少くとも建設省といたしましては大臣も政治生命をかけても治山治水の抜本対策を、次の通常国会において実現するということを申しておりますし、私ももとより大臣に準じましてその覚悟でおるわけでございます。同様な先ほどの答弁もあることでありまするから、同じことを繰り返して恐縮でございますが、さような決意であります。
  27. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私の考えでは、こういう災害復旧地方団体に何分の一を持たす、あるいは四分の三を持たすといろいろに書いてあるが、こういう状態では十分なことができないだろうと私は思うのですよ。やっぱりこういう国土建設というものは全部国庫の負担によってなされるのが私は建前だろうと思うのです。その心がまえが皆さんにないという点、私はなはだ不満なのです。こういう法律を作ってみても地方団体の財政の困難な状態、そういうようなことで十分な成果を上げることができないのではないだろうか、こういうふうに私は考えます。  この間私はずっと三重県から岐阜県などを歩いてみまして、やはり地方団体の中に非常にそういう声が出ておるということなのです。で三重県の津なんかでは再建団体の赤字に対して国がもっと配慮してもらいたい、こういうことを言っております。そういう再建団体など赤字をかかえておる地方団体が、こういう法律によって果して十分なことができるかどうかということ、おそらく私はそこに困難が起ってくるだろうと思うのです。それですから岐阜の長良川の問題にそういう面が現われておると思うのですが、これは河川局長もこの間長良川を視察にいらしたそうですね。私はそのあとへ行ったわけですが、ここでも県関係の工事が非常に弱い。県関係の工事をやった所がほとんど破れてしまっておる、こういうことを言っておりました。これはやっぱり岐阜県が財政困難のために十分なことができていないのじゃないかと、こういうふうに私は考えて帰ったわけですが、こういう点からみましても、この河川の工事とか堤防の工事などはやはり全額国の財政によって責任のある工事をやらないと、とんでもないところから破壊の原因が起ってくる。こういうことになると思うのですが、それに対しまして政府はどういうふうに考えていらっしゃるか。
  28. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 確かに、改良工事を施しました所の分につきましては、多少の事故がございましたけれども、最後に耐えたという事実を私も見て参ったわけであります。できるだけ直轄事業で処置したいのでございますが、県もまあ土木の自営を持っておりまするし、自分で自主的にやる面も必要だと思っております。ただお説のように県の財政が非常に悪うございまして、国が補助金をつけましても中にはそれが消化できないというような県もございます。従いましてやろうと思っておる事業もできないというようなことも考えられますので、今後におきましては国の負担率を従来よりもふやしたい、先ほど政務次官の言われました治山治水五カ年計画におきましての来年度以降の事業費におきましては、国の負担率をふやしまして大きな事業をやりたいというふうに考えております。それからまたなかなか従来はこういうふうな事業には起債も許していないような制度でございまして、従いましてそれらの点につきましてもぜひ起債を許すような制度にしたいというふうに考えまして、自治庁方面にもその点を頼んでおるような状況でございます。従いまして地方の持ち出しの金をできるだけ少くいたしまして、事業が早くできるようにという処置を考えておる次第でございます。
  29. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 その地方負担を軽くするというのじゃなしに、全額やはり国庫の負担においてやるぐらいの意気込みがないと、この問題がうまく解決しないと私たちは考えるわけなんです。ところが皆さんにそういう心がまえもないし熱意もないように受け取れるわけですね。だからいつまでたっても日本に災害がなくならないのじゃないか、こういうふうに私たちは考えて心配しておるわけです。一例を長良川にとったわけですが、こういう所が全国に一ぱいあるだろうと考えるわけです。それに対してあなたたちはどういうような考えを持っておるのか聞いておきたい。
  30. 大沢雄一

    説明員(大沢雄一君) 国と地方団体とがありましてそれぞれ仕事の分担があり、また従って負担区分が定められておるわけでございます。私どもといたしましては、重要な河川海岸はもとよりでございまするが、できるだけ国の直轄でやっていく、そういうことにすることが国としての国土保全の責任を尽す上から必要である、こういう考え方の基本のもとに先ほど来同じことを繰り返して恐縮でございまするが、新治水事業五カ年計画におきましては相当国の直轄の部分もふやしまして仕事をやっていく、こういう考え方で進んでおるわけでございます。しかしさらばといって、すべてのおもな河川を直轄でやることがいいかどうかということになりますると、これは国と地方団体との関係、地方団体存在の意義、またその地方団体に対してどういう財政的な裏付けのされることが地方自治の育成の上からいいかとかいろいろな問題がありまして、なかなか一がいに国で直轄で全額国庫負担でやることがよろしいとばかりもこれはいけない面もありますることは、もう申し上げるまでもなく御承知の通りでございます。そういうような観点から、すべて全額国庫負担直轄事業でやるということにつきましては、私どもとして直ちに今の国と地方団体との関係、わが国の地方制度というものの育成という点から考えましてもどうかということが検討されなければならぬ、かように存じております。
  31. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 続けてちょっと聞いておきたいのですが、今次官は全部国庫負担で直轄工事でやったら弊害が起る、地方自治体の性格もありと、こういう御意見でしたのですが、全額国庫負担で直轄で工事をやって、国が責任を持って全国の河川工事をやるとなった場合どういう弊害が起るのですか、ちょっと伺わせて下さ。
  32. 大沢雄一

    説明員(大沢雄一君) 河川ばかりでもございませんが、そういう問題はむろん道路についても同様に起って参ると存ずるわけでございます。あるいはまた建設省の関係ばかりじゃなく農林省の関係その他にもいろいろ問題があるかと思います。要するに私は弊害があるというふうに申したのではございませんが、地方自治体としてどういう仕事をどの範囲でやるということは——地方自治体というものは御承知の通りわが国の憲法におきましてはこれを認めていく、地方自治体が民主政治の基礎として必要である、こういう観点から地方自治体を認めておるわけでございます。そういう観念からいたしまして、どの範囲まで国がやりどの範囲まで地方団体に財源を与えてやらせることがいいか、という問題があるということをただ申しただけでございます。
  33. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 今の答弁では私は満足することができないのですが、私はやはり国民の立場に立たなければいかぬと思うのです。そんな建設省と農林省の関係とか県と国との関係とか、そういうことではこの問題は解決しないと思うのですよ。被害を受けるのは国民です。被害を受ける国民の立場に立ってものを考えなかったらいかぬと思うのです。第一、農林省と建設省とのセクトといいますかなわ張り争い、そういうことがあって災害が起っている例もたくさんあるわけです。これは三重県でも言っておりましたよ。農林省の工事が不十分なためにそこから工事がこわれてそうして大きな被害が起った、こういうことも言っております。また県の工事が悪いために、せっかく国の工事で下の方を十分にしておっても、上の方で破れて、上の方から水が回ってきたのじゃ何にも役に立たぬ、こういうことも言っております。一体こういう自治体と国、それから農林省と建設省、こういうなわ張り争い根性、こういうものを捨ててほんとうに国民の上に立ってやらなければならぬ、そのためには国の費用であらゆる河川あらゆる堤防すべてのものを、国で守り建設すべき工事はやはり国が金も負担する、責任も全部国が負担してそうしてやらなければいかぬ、こういうことを私は言っているのです。そこであなたがおっしゃった、どうも地方自治体との間のことがどうのこうの、こうおっしゃるから、どういう弊害があるのか私は具体的に一つ聞かしてもらいたいと、こういうふうにお願いするわけです。全部国でやった場合どういう弊害が起るか、具体的にちょっと説明して下さい。
  34. 大沢雄一

    説明員(大沢雄一君) 私、繰り返して申し上げますが、ただ、弊害の問題、弊害があるということを一つも申し上げたことはございません。ただ地方団体というものを認めて、そうして地方団体を育成していくということも、大きな民主政治の基盤として必要なわけでございます。従って申し上げましたように、現在の河川の管理の状態あるいはまた海岸の管理の状態におきましては、私どもはもっと国が責任を持ってやる所をふやすべきである、こういう考えのもとに進んでおりますがさればといって、全部の河川堤防、これを国が直轄で、全額国庫負担でやるということにつきましては、現在の地方制度の建前との間に検討しなければならない問題があるのじゃないか、かように申し上げているわけであります。
  35. 田中一

    田中一君 そこでこまかい問題は、これは議員提案になるか政府提案になるか知らぬけれども、法律案が出てから、議員提案になればこれはわれわれもずいぶんその原案については十分検討して、われわれの意図のあるところを盛り込みますけれども、これは政府提案、政府原案として出た場合には、われわれは御承知のように少数党ですから、今ここで発言しておく以外にはなかなかわれわれの意が通らない面があるのです。そこで申し上げたいわけなんです。  そこでこまかい点は、いずれこれは法律が出たらば質問しますけれども、この国庫負担法の第八条の二で、一応政府の年度別の措置をきめておりますね、これは交付ですが、そこで今までは三・五・二の比率で復旧事業を行なっております。これは行政措置であなた方の方でこの第八条の二でもって、そういうきめ方をしたと思いますけれども、今回の災害は、もうそんなものじゃなくて、当該年度で全部完成してくれというような要望も非常に強いわけです。むろんこれは、緊急性のあるものに限っておりましょうけれども。そこで三・五・二の比率というものが、この条文から出発して、現在、それが慣行になっておる。裏付けは、あなたの方の予算措置が、そういうつけ方をしてきているということですね。そこで、これを五・三・二という比率でもってやってくれという要望が非常に強いわけです。  なぜかと申しますと、これは、今年は十月末になりますし、従って、これが一年ということにはなりませんけれども、少くとも予算措置としては、一年分の予算をつけてもらって、これは当然継続事業なんですから、どうしても。だから、一年分で大部分のものをやってくれという要求なんです。来年またあれば、完成しないものは、やはり破堤したり、災害を受けたりするわけです。そこで、従来もっておりますところの三・五・二という比率というものを、五・三・二に変えるような考え方はないかどうか。これは、全部が全部やらなければならぬということは、それはないと思うのです。少くとも、来年の出水期にまたがるものは、どうしても五・三・二、あるいは場合によっては、二年度でやったっていいという考えを持たなければならぬと思うのです。そういう点については、原則論と当面の具体性ある問題と、事業は分れると思うのですが、そして将来ともに、緊急——人命なり、それから財産なりに非常な被害を及ぼすという問題については、そうした原則を破っていかなければならぬと思うのです。その点について、どういう考え方をもっておるか。  それから、今回の要求は、財政当局に対する要求は、どういう比率をもって、それを考えておるか、答弁していただきたい。
  36. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 公共土木の災害復旧につきましては、法律規定によりまして、緊要工事は、三カ年以内に完成するようにせよということに相なっておりまして、法律的には、そういう規定でございますが、おっしゃるように、通常の場合におきましては、工事について三・五・二という措置をいたしておりますが、その場合におきましても、個所別にこれを早くやらなければならぬ、たとえば海岸堤防等が切れまして、常に水が出たり入ったりしたりするようなところにつきましては、これを早期に復旧しなければいかぬわけでありますから、全工事費の三割をつけたのでは、とうていこれは処置できないということでございますので、それらにつきましては、個所別に七割以上もつけてやっておるのもございます。  昨年の例におきましては、狩野川の災害におきましては、直轄部分の災害は、ほとんどが破堤個所でございましたので、当年度で七割の施工をいたしたわけであります。そして次の年の出水期までには、全部完成したというのが実情でございます。  従いまして、今年の災害におきましても、たとえば長野、山梨等におきましては、来年の出水期までに処置しておかないと、非常に危ないという地点があるようでございますから、それらにつきましては、具体的に県当局から資料をとりまして、それによりまして事業を積み上げて、それを基礎といたしまして要求をいたしております。  それから、一番ひどい愛知、三重の海岸につきましては、ああいうふうな大破堤になっておりまして現在も潮が行き来しているような状況でございますので、これを遮断するための潮どめ工事は、もちろんできるだけ早い期間にいたさなければならぬわけでございますが、来年になりますると、また高潮の季節が参りますので、これらを至急に、少くも元の高さまでには直しておかなければならない。来年の水の時期までには、少くも元の高さまでには直しておかなければならないという趣旨でございまして、ある部分につきましては、本年度内に五割ないし七割の事業をやりたいということで要求いたしております。
  37. 田中一

    田中一君 現在やっている三・五・二の原則は、そのままやっておりますね。実際は、その災害の現状に応じて完璧を期していると、こういうことですか。
  38. 山本三郎

    説明員山本三郎君) その通りでございまして、要求額も三割、総体寄せますと、三割ということじゃございませんで、もっと多くやっているわけでございます。
  39. 田中一

    田中一君 そうすると、これも今度、法律の中に五・三・二という一つの案文を盛り込んで、そうして除外例を設けるということも、一向差しつかえないわけですね。除外例を設けるということは、三・五・二の比率でしないでいい場合には、それが緩和できるというようなものは作りたい。私がこういうことを言うのは、あなた方が災害復旧に対する非常な熱意を持っていながら、法律に何の裏づけがないものだから、常に政治力に圧倒されて、あなた方の良心的な意図が具現できない。それを、いかにしてあなた方が考えているところの、国民への奉仕という精神を財政的な裏づけをもって早く国民に安心させるような仕事をさせるかということに重点を置いているわけなんですよ。でありますから、今のような、法律改正しても、あなた方は異存はございませんね。原則は、もう法律にうたい込んでしまう。これは相当大蔵省の抵抗が強いかもしれませんが、現に今までやっているから、一向差しつかえないと思うのですが、この点は、いかがですか。
  40. 山本三郎

    説明員山本三郎君) これは、原則論でございますので、五・三・二がいいのか、四・四・二がいいのか、それの原則をどこに打ち立てるかということは、相当研究をしなければならぬ問題だとは思います。しかし、今の法律では、三カ年以内ということになっておりまして三・五・二ということも書いてない。従いまして財政的な都合では、三以下になることもあるいはなるおそれがあるわけです。  われわれの考えといたしましては、原則をきめていただきまして、その中間的なところの原則を作っていただきまして、やっていただくという方法があるならば、一歩前進ではないかというふうに考えております。
  41. 田中一

    田中一君 第三の問題ですが、小災害を今後どういう工合にして特例を設けるのか。市町村負担それから都道県負担分、融資の十五万、十万という限度以下の災害に対しては、どういう措置をとろうとするのか。二十八年度災のときには、たしか地方公付金によって、これを補ったというような気がしておりますが、これは、どういうことになっておりますか。
  42. 大沢雄一

    説明員(大沢雄一君) 私は、こまかい率は記憶していないかもしれませんが、府県につきましては十五万円を十万円に、それから市町村につきましては十万円を五万円に下げまして、そうして三分の二を元利補給をしたかのように記憶いたしております。
  43. 田中一

    田中一君 私の記憶では、二十八年度災のときには、たしか現行法のままに置いて、地方交付金か何かでもって、それのバランスをとったというように記憶しておるけれども、その点は、どうですか。今ちょっと政務次官の説明とは違うけれども。
  44. 山本三郎

    説明員山本三郎君) これは、自治庁の所管問題になりますので、はっきりしたことは、あるいは間違っているかもしれませんが、あのときは指定地域につきましては、起債を認めまして、元利補給をいたしたというふうに私は記憶しております。
  45. 田中一

    田中一君 そこで、これはむろんその復旧費については、自治庁の所管でございますと言って、あなた方が知らぬ顔しているわけにいかぬと思うんです。これは、たとえば災害の区域、これは二十メーターでしたかな、小災害の間隙二十メーターは一災害として認められるということになっていますね、現行法では。そこで、今度の災害では、非常に広範囲にわたっての災害なんですね、各府県に。  そこで小災害実態というものは、あなた方は、当然調べたと思うんですよ。今言う通り間隙二十メーターという工事は、この国庫負担法に該当するから、それが十五万なり、あるいは十万を越えるものについては該当するんだから、あなた方の調査ができていると思うんです。  これは私がこういうことを言うのは、あなた方があんまり東海三県の災害に目をうばわれちゃって、そして、他の府県のそうした災害というものを、ないがしろにしているとは言いませんよ、手が回りかねる点が多分にあるんじゃないかと思うんです。こういった問題に対するところの実態の把握と、それから措置をどう考えているかということを伺いたいんです。
  46. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 東海三県の災害も大きいわけでございますが、その他の地域におきましても、その地域によりましては、従来ないような大被害を受けておるわけでございまして、それらを決して私どもは、等閑視しておるというわけではないつもりでございます。  従いまして小災害の問題につきましても、非常な関心を持っておるわけでございまして、私どもといたしましては、二十八年にとりました処置は、少くともとっていただきたいということで考えておるわけでございまして、自治庁におきまして、その趣旨におきまして、法律を作っておるというふうに私どもは考えております。
  47. 田中一

    田中一君 これは、あなた方の方に関連がある仕事なんだから、自治庁自治庁と言わないで、自治庁と相談してですよ、まああなた方とすれば、大災害が多いんだから、小災害というものは、なるべく手を離して、向うで府県でもってやってもらうという気持があるかもしらぬけれども、しかしその点については、常に災害のことに質問してみると、建設省は、それはそういうものに対しては、調べがないとか、実数がわからぬとか、府県から申告がございませんとかいうことで逃げようとするんです。私は、もしも災害が、たとえば非常なる小さな小災害であっても、全体の河川なら河川を推持する上に重大なポイントとなるような急所があると思うんですよ。  そこで、僕は伺いたいんだが、一水系ごとに、災害というものをひっくるめてまとめてみることにしたならば、河川局長、一体どうなるか、一水系ごとにまとめちゃう、災害というものを。それを指定区域にする、あるいは今、かりに二十メーターというものを百メーターなり二百メーターなりに延ばすということも一つ考え方なんです。非常にこれは小災害だといって県なら県、市なら市にまかしておいていいものもあれば、よくないものもあるんですよ。だから今回の場合には、まあ関連じゃない、災害に間違いないのですから、それを間隙二十メーターというものを百メーターなり、あるいは一水系というものに拡大してあなた方の方で所管するというか、国が、この国庫負担法のワクの中に入れたらどうかというような考え方を持つんですが、これはどうですか。  これは、地方に非常に強い要望があるんです。災害を直接受けている所では、小さい災害が数あれば、これは復旧しないのです、実態においては——。直接、交通なり、あるいは用水なんかに災害があった場合にはやりますけれども。——そうして、次の災害を呼び起すような原因になるというようなことがあるわけなんですね、こういう点については何も考えないで、現在の法律のままでもって、建設省は自分の方は関係ございませんという態度をとることは、少くとも国土全般を握っているところの建設省としては、これはちょっと納得できないようなものじゃないかと、こう考えるのですが、どういう見解をもっているか。
  48. 山本三郎

    説明員山本三郎君) たしかに小災害を放置いたしますると、ものによりましては、非常に大きな災害の原因になるということは事実でございまして、私どもといたしましては、基本的の問題といたしましては、それを事前に処置いたしまして、災害で処理することができなければ、維持費とか何とかを地方団体に補助いたしまして、それを未然に、少しの、小破の間に直しておくということが、処置として一番だと思います。  それからもう一つは、地方公共団体ごとに小災害をまとめて、それが幾ら以上になったら補助すると、補助対象にするというような考え方もあると思います。あるいは先生のおっしゃるように、水系ごとに集めるというような方法も、一つの方法ではあるかと思いますが、これもなかなか全部、これこそ、水系ごとの小さいものを全部検査しなければ、幾らになるかわからないわけでございます。従いましてその件数が、まあべらぼうに多くなりますので、現在のわれわれといたしましては、なかなか今の状況におきましては、それを一々調べるというようなこともできませんので、一括いたしまして、起債なり、交付税なり、あるいは元利補給の対象にしていただく処置が、今といたしましては、できる一番いい処置ではないかというふうに考えております。これが、一々全部検査をいたしまして、それを寄せることが可能であるならば、先生のおっしゃるような処置もできますと思いますけれども、さて水系ごとにやりましても、五万円なり、三万円なりを全部検査いたしまして、それを寄せてみないと、その結果が出てこないわけです。その処置が、なかなかできないし、またこれを負担対象にいたすかどうかという、たとえば石が少し抜けたものを、一々負担対象にいたしますということもできないことはありませんけれども、これらの問題も、補助金を与えてそれが果してやられたものかどうかの検査という問題も、非常にむずかしい問題でございますので、今の段階におきましては、なかなか考えとしては考えることではございますけれども、実際問題としては、なかなかできないんじゃないかというふうに考えている現状でございます。
  49. 田中一

    田中一君 そうすると自治庁では、何ですか、府県から申請する起債その他は、一々実態調査をしてから許可しているのですか。
  50. 山本三郎

    説明員山本三郎君) これは、従来のものは起債でございましてどうせそれにつきましては、県が返すわけでございますので、国の補助金とか、あるいは負担金でございませんので、負担金の対象にするよりも、非常にその点で、気が楽なわけでございます。  従いまして、写真等を持ってこさせまして、実情は見ている、あるいは現地にも参っておるようでございますけれども、その点が、国の負担金なり補助金の対象にする場合よりも、非常に楽にできるわけでございます。そういう点で自治庁は、まあ一々われわれの行なっているようなものは、現地査定というようなものはやっていないようなのが実情でございます。
  51. 田中一

    田中一君 そうすると、そうした小災害は放置した場合に、打っちゃった場合に、将来、大きな災害を呼ぶことがあり得ると思うのです。  そこで建設省としては、全部の国土をあなた方が見ているという立場から、今までに、そうした小災害に対して調査したことございますか。
  52. 山本三郎

    説明員山本三郎君) これは、全般にわたりましてやったことはございませんけれども、少くとも、今までに改修したような河川がいたんでおってそれがせっかく改修したのに、何もいたんだのに手を加えないでいて、それがもととなって、またやられたということがあってはいけないというような趣旨から、現在の状況におきまして、いたんでおる所がどのくらいあるだろうというような調査をいたしまして、それに対しまして、災害を受けてから補助金を出すよりも、幾らかでも国の補助金を出しましてあらかじめ処置しておいたらいいだろうということで、従来からしばしば大蔵省に要求いたしまして、一時はそれを認めていただいたことがありますけれども、最近、少額補助というような、例のあれから削られておるのでございます。これはぜひ一つ何とかやらなければならぬというふうに考えておりますし、また府県にも、そういう方面で、自分の財源があるならば、川からあがるような財源があるならば、ぜひそういうふうに回してくれないかということも強く要望しておるわけでございます。そういう処置をあわせまして事前の処置を考えていかなければならぬというふうに思っておるわけです。
  53. 田中一

    田中一君 そうすると、今回の特例としては、地方公共団体が要求しているように、十五万円を十万円に、十万円を五万円に下げてくれという要求ですね。これに対してはこたえようとしておられぬわけですね。態度としては。
  54. 山本三郎

    説明員山本三郎君) それに応じて立法を作ろう、立法しようというように考えております。
  55. 田中一

    田中一君 そうすると、今私が申し上げたような、十五万円を十万円だか十二万円だか存じませんが、原案は、少くとも現在の十万円、十五万円という限度を下げて、広く補助対象にしようという考えを持っておるというふうに了解してよろしいですか。
  56. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 先ほどから申し上げましたように、補助対象でなくて、起債の方の処置でやろうということで考えております。
  57. 田中一

    田中一君 そこで、あなた方が実態も知らないで、その小災害を合せますと、大災害をこえるような大きな負担があるのだ、また重要度があるのだということも調べないできめるのは、今回のような災害の場合には不親切な行き方だと思うのですよ。現行法が悪ければ変えるべきです。だけれども、あなたの方は、実態をつかんでいないからそれは言えない。二十八年災のときには、われわれはずいぶんそれを要求した。しかし、あなた方は実態を知ってない。知ってないから、それは融資でもってやるとか、起債でやるとか、そのまま見のがしておったのです。これは少くとも大沢さん櫻井さんなんかは地方長官を長くしておったからわかっているはずだ。少くとも、あなた方が知らないものだから、われわれが、十五万円を十万円程度に引き下げてくれ、十万円を五万円にしてくれという要求をしても、あなた方がのほほんとしていて、現在の融資でいいじゃないかということを言われる。これは不親切です。この際一つ勇気を持って、しいて言うならば、あなたの方には地方長官出身の議員がたくさんいるのだから、あなたの方じゃない、自民党には、政府与党には。だから、それらの声も十分聞いて、そうしてこれはどうか、今回は相当大きな、莫大な負担をしなければならぬという府県もたくさんあるのだから、補助対象にするように建設省が努力すべきが当然である。私はこう思うのです。こんなことも、法律が出てからでは間に合わないから、今強く要求するのです。これについては、櫻井さん、あなた発言して下さいよ。関連質問でいいから。
  58. 櫻井三郎

    ○櫻井三郎君 賛成です。(笑声)
  59. 田中一

    田中一君 それで、あなたの方で調べてないからいけないんですよ。まあ、昨年にしても、一昨年にしても、災害が少なかったのだから、査定官も遊んでいるのだから、そういうときには地方へ出して、十分調べなければならぬと思うのだよ。
  60. 山本三郎

    説明員山本三郎君) ひまのときに調べておりまして、大体の今までの統計によりますと、個所数にいたしまして、補助対象になったものの三〇%、金額にいたしますと、主ないし四%というような概算の調べはございます。
  61. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 小河川は、自治庁起債対象として出す場合は、やはり一応県が査定して、そうして県の認定のもとに、自治庁の方へ持ってくるでしょう。県は、町村が、自分の村でこういう災害がありました、金額は百万円でございます、これをすぐただあっせんするだけですか。そうでないでしょう。それは、まるきり起債そのものは災害復旧に使うか、あるいは災害に便乗して、そうしてその町村の学校を建てたり、あるいはいろいろなことをするというようなことを私は聞いておるのですがね。これじゃ、結局災害を悪用する、こういうことになるのだから、だから少くとも災害という銘を打った以上は、府県は、出張所があるのだから、責任を持って国庫補助対象として調査ができるのだから、そういうことは、少くとも建設省なりあるいは自治庁が府県に指令をすべきものだと思うのですが、現状はどうなんですか。
  62. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 起債をいたす場合におきまして自治庁からも、なかなか内容がわからないから、建設省からも一つ応援してくれというようなお話がいつもあるのでございます。しかし、そのうち、自治庁の方におきましては、具体的の応援がなくてきめておるような状況でございます。市町村の起債につきましては、県を経由いたしまして自治庁に持ってくる。自治庁は膨大な書類を出さしております。これは、写真等もつけますし、まあ、災害の査定の申請の書類みたいな、ああいうふうな詳しいものではございませんけれども、実情を知るに足るような資料はつけて参りまして、それによりまして自治庁は査定いたしておるというのが実情でございます。
  63. 田中一

    田中一君 そこで、市町村の場合には県がチェックするというのはあるだろうけれども、都道府県の場合には、どこがチェックするんです。
  64. 山本三郎

    説明員山本三郎君) これは自治庁がいたすわけでございます。
  65. 田中一

    田中一君 災害国庫負担法にそういう不備がある。少くとも、あなた方の所管する国土が災害を受けたということに対して、これはかすり傷だからおれの知ったことじゃないということはいかぬですよ。これは、起債でやっていろんなら、借金は返すのですから、その実態をやはり過年度のものであっても、あなたの方でお調べになって、そうしてこれは補助しなければならぬという場合には、追っつけ補助するというような方法をとることが望ましいわけなんですよ。だから、これは法の不備です。今言う通り法律限度を下げれば、あなた方はやっぱりそれを見なければならなくなってくるんですよ。だから、そういう点については、今私が要求というか、希望しているような、限度を下げるという方途に向おうとする意思があるかないかという問題をまず聞いておきましょう。いずれ、これは別の面で、もう少し建設省をいためつけなければならぬ。
  66. 山本三郎

    説明員山本三郎君) これは、従来からもずいぶんそういう話がございましたけれども、非常に政府部内におきましては困難な問題であるというふうに考えております。
  67. 田中一

    田中一君 それから最初に戻るんですがね。一体、指定区域というものと、それから災害救助法に基く指定区域、これに関連はありますか。全然ございませんか。それから指定区域というものは、どういう根拠に立って指定しようとするか、指定してきたか、今回の災害に対して指定しようとするか、これについて御答弁下さい。
  68. 鬼丸勝之

    説明員鬼丸勝之君) この指定区域の中にはいろいろございますけれども、一般には、政令で指定する地域と申しますのは、二十八災の場合の考え方と同様に、その県なりあるいは市町村の行う災害復旧事業費ですね。あるいはその県なり市町村が、国がやる場合はその負担にかかる災害事業費、これは建設、農林、運輸、それから学校関係等もありますかと思いますが、こういうものを全部合せまして、県なり市町村の標準税収入額をこえるというものを指定するというのが二十八災当時のやり方でございます。その考え方を大体踏襲していくというふうに考えております。
  69. 田中一

    田中一君 この問題は、災害地側からどなたか質問してくれるといいんだが、ちょっと僕は詳しくないから、これは櫻井さん、あなたは経験があるのだから、あなたが質問してくれれば一番いいのだが、二十八年度災にはそういう考え方で納得しておりましたか、山本君おったでしょう、おったね、二十八年にはおったろう、河川局長やっていたろう、していなかったか……。かつて、その二十八年度災の指定というものに対しては全然不満がなかったんですか。これは法律が出るまでに僕も調べますけれども、どうでしたか、当時の人がおらぬからわからぬか……。その問題は一つまあ次までに調べてみます。  それから、ここにあります三の「政令指定地域地すべり等防止」、これは御承知のように地すべりという現象が起きた場合、地すべりというものが起きるのではなかろうかという場合、それからこれに関連して現に崩壊が一部あった場合、これはその下の方なり上の方から原因を起す事態があるのではなかろうかという場合等々、非常に広範にあります。ことに砂防工事等はこれは全部関連しておるわけです。そこでその指定地域というもののきめ方はどこで押えようとするか、と同時に、二の災害関連事業というもののワクをどの現象でどの区域で押えようとするか、指定しようとするかという点について詳細にこれは伺っておきたいのです。鬼丸君は砂防を見ているでしょうから、あるいは地すべりも見ているでしょうから、おわかりだと思うのですが。
  70. 鬼丸勝之

    説明員鬼丸勝之君) 先ほど申し上げました政令指定地域考え方は、この案の横に書いてあります一、二、三、四はちょっと別ですが、五もそうですね。五、それから六ですね、八、公営住宅、これは同じような指定地域になるわけです。そこで海岸につきましてはなおさらに具体的に検討されております。二十八災当時は愛知と三重と静岡というふうに海岸については具体的に指定されております。これはもう少し、検討中でございます。
  71. 田中一

    田中一君 これを私はもう少し正確に三の「政令指定地域地すべり等防止」、この防止ということは、予防なのか、それから地すべりが起ったという現象なのか、起ろうとする状態なのか、それから現在まで地すべり防止法で指定する区域以外のものがあった場合、主として砂防ですね、それが河川土砂が流れ込んで災害を起したという事実はたくさんあります。その場合にそれに関連する上流砂防というものをどういうふうに含めるかという点を、河川局長一つ次回の委員会までに詳しく報告してほしいと思う。そうして、たくさんわれわれ数を見ておりますからね。これが単なる災害の現象、現地だけの災害原形復旧、または改良すればいいんだというものにはとどまらないのです。この点については十分研究して実態の把握をして、そうして次回までに一つ御報告を願いたいのです。
  72. 山本三郎

    説明員山本三郎君) ただいまの御趣旨に沿いまして、次の委員会で御報告をいたしたいと思います。
  73. 田中一

    田中一君 それから砂防工事を施したところと砂防工事を施さぬところとでは、砂防堰堤といいますか、水路といいますか、そういう施設をしないところの災害現象というものは、非常にはっきりと施した方がいいということが立証されているのです。こんなことは当委員会では何年間も口をすっぱくして政府に対して申し入れをしている。それで先般の委員会では、建設大臣は、自治庁は農林砂防に対しては起債を現在認めるけれども、将来は起債というよりも補助率の点で十分に実施できる方向に持っていこうということを答弁しておりましたが、一体、砂防法の一部改正をして、建設大臣が答弁しているような形に持ってこようという意思がむろんあると思います。それで今回の特例法は、この面で今明確にしてもらうと同時に、砂防法の一部改正というものを出そうという意図があるかないかという点を伺いたいと思います。
  74. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 今回の特例におきましては、政令指定地域地すべり等の問題につきましては、補助率を高めまして処置したいというふうに考えております。これを全般的にどうしようかという点につきましては、今後研究しなければならぬ問題と思いますけれども、まだ成案を得ていない状況でございます。
  75. 田中一

    田中一君 先だって、前回の委員会で建設大臣は、国庫負担率を高めることによってそれをなし遂げようということの発言がございました。私はそれを期待しております。
  76. 山本三郎

    説明員山本三郎君) その点につきましては、来年度の要求においても、国の負担率を高めて事業の施行に役立てたいという趣旨で要求している次第でございます。
  77. 田中一

    田中一君 そういたしますと砂防法の第十三条、第十四条の改正が当然必要になってくるわけです。これは負担率をきめておりますから。従って砂防法の一部改正という法律案通常国会あたりに出すという用意があるというふうに了解してよろしゅうございますか。
  78. 山本三郎

    説明員山本三郎君) これの考え方は、砂防法の特例を作ろう、治水事業の促進法を作りまして、その中で砂防法の特例を作りまして、五カ年計画を遂行するために補助率を上げるのだということを考えております。
  79. 田中一

    田中一君 私は、なぜ特例特例と持っていくか。岸信介君は新聞記者に向って、恒久法を作って治山治水を完成すると言っておるので、けさの新聞で。特例なんか要りませんよ。砂防なんというものは、歴史的に今まで事業そのものとしては冷や飯を食っている事業なんです。しかしこれは非常に重要な問題だということがかなり認識されている今日では、特例はいけません。通常砂防として法の改正が一番望ましいのです。そこでその際に、私はそれを要求するのですが、その際にこういうことを山本考えませんか。たとえば美峯川の上流へ行ってみました。そうすると、大体年間十二万立米くらいの土砂の流入があるであろうと想定しておるものが、瞬時にして二十五万立米から三十万立米という土砂が入ってくる。これはむろん上流の水害の決壊にもよるけれども、結局上流砂防というものが完全になっていないからそういう現象が起きるのです。そこでこれはまあ相当通産省あたりでもって抵抗が強くあるかもしらぬけれども、ダムを築造する場合、発電ダムであろうと何ダムであろうと、ダムを築造する場合には、必ず上流砂防、山腹砂防というものを堰堤限度の標準でこれを施工しなければならないというふうに法律改正したらという考え方を持っているのです。きょうかきのうの何新聞かを見ると、泰阜ダムがもう埋め尽しちゃって、そうして近所の学校では、自分の校舎の柱に水位をつけておる。水が上るのがわかっておるのだから水位のメーターをつけている。しるしをつけているなんという写真が出ておりました。まあ泰阜ダムは二十五年から三十年近くなると思いますけれども、結局今日の傾向として、多目的ダムというものが唯一のものであるように歴代の大臣はそれを言っておる。その効用というものは、上流砂防を施工しないために機能を失いつつあるのが現状です。天竜川の支流で千代川というのがございます。千代川のダムなどは、これはたしか関西電力か何かやったんでしょうけれども、これなどは、作ってから十数年でもうすっかり埋没しちゃっているのです。これは埋没しちゃっているのですよ。はっきりと土砂が上にきているのです。従って砂防法の改正によって堰堤を作る場合には、上流砂防を、漂砂その他が当然流れる場合もあるのだから、それを計算してその寿命というものを計算して、そうして上流砂防はこの地点、この地点、この地点には必ず砂防を施工しなければならぬというような規制をしたいと、こう考えておるのです。大臣は一年か二年でかわるのだから、おれは知らぬというのじゃなくて、これは国民のものなんです。これに対して河川局長、どういう見解を持っていますか。
  80. 山本三郎

    説明員山本三郎君) ダムの寿命を延ばすためには、当然上流におきまして砂防をやらなければいかぬと私は考えております。ただこれをどういうふうな形できめる、法文化すという問題につきましては、なかなかこれもいろいろと意見があると思います。発電のダムを作りましてそれが埋まれば発電の会社も非常に電気の面として損するようになるわけでございます。それからまた沿岸にも害を及ぼすような事態も生じてくるわけでございます。従いまして原因が、そのダムを作る人に全部やらせるとなりますと、おそらく発電のコストが非常に高くなってしまいはせぬかということでございまして噴気の単価を上げることも、やはりこれは国家としてはよほど考えなければならぬというような問題もございますので、だれがやるかということについては非常にまあ問題があると思います。ただダムを作りまして上流の山が非常に悪いようなところに作るようなときには、砂防を先にやらなきゃならぬという点につきましては、私はぜひそうしなきゃならぬというふうに考えております。ただこれをだれに義務づけるかというようなことがはっきりいたしませんと、訓示規定のようなものになりまして実効がないじゃないかというふうにも考えられますので、それらの点につきましては、よく考えなきゃいかぬというように思っております。また各県等につきましては、砂防をやらなければ発電のダムは埋まるのだから、そういう点をよく会社にも話しまして、積極的に砂防工事に協力させるという立場をとる必要があるのじゃないかということも考えております。それらの点につきましても、今後真剣に考えなければならぬ問題だというふうに考えております。
  81. 田中一

    田中一君 むろん電力会社等からの抵抗は強いと思うのです。アロケーションの関係も出て参りますしね。それはむろん、そういう点はあなたの方でおそらくもう調査研究済みであろうと私は予想しておったんですよ。負担の問題なんか計算すれば出てくるのです。とにかく日本の国土から、無から有を生じようという施設をしていながら、それが結局その効果を減殺するというようなことは避けなきゃならないのです。少くともあなたの方では、そういう点についての調査ができておるものだと私は思っておったんですが、今までできておりませんか。
  82. 山本三郎

    説明員山本三郎君) ダムを作る場合におきましては、その流域のダムの上流から毎年平均どのくらいの土砂が流れてくるだろうというような調査はいたすわけでございます。また砂防の方におきましても、流砂量の調査等をいたしておりまして、大体平均毎年この流域では一平方キロ当りどのくらいの土砂が流れてくるというようなことはまあいろいろと調べてはおります。しかし、まあ毎年平均といいましても、これは通常の場合でございまして、一どきに大きなやつがくれば、先生のおっしゃるように、一ぺんに埋まってしまうというようなことも考えられるものでございますので、なかなかこの調査も的確に、突然のときにどのくらいの土砂がくるだろうというような点につきましての調査なり見当をつけることが非常にむずかしいわけでございまして、それらの処置はまたさらにむずかしいというようなことでございますが、しかし、一ぺんに土砂が下流に流出するようなことのないようにするのが砂防の務めでございます。徐々に流さぬというと——全然流さないとこれまたいかぬわけでございまして土砂は徐々に流すような処置が必要であるということが砂防の任務であるというふうに考えておりまして、なかなか調査の面にむずかしい点もございますけれども、相当程度の流砂量等の調査はしております。従いまして、どの流域で平均すればどのくらいの——普通の場合ならばどのくらいの土砂が流れてくるという見当はついておるわけでございます。
  83. 田中一

    田中一君 日本はね、日本の国土全体が、全部が毎年台風の常襲地帯となっているのです。だから、常時流れる流砂なんというものを計算する必要はないと思うのです。何がさてもこの辺までやっておけば大体よかろうということを実施調査して施工するのが当然なんです。ことに言いたいのは、建設省が施工しているものですら上流砂防を施さないものが多いのですよ。だから、電力、工業用水、農業用水等のものはさておいても、国は当然すべきですよ。そうして、一定限度の基本的なものを国はそれを負担して、電力料金の問題もありますから、それらの問題を勘案しながら堰堤を作るというならば、当然それを規制しなきゃならぬ、強制しなきゃならぬ、私はこう考えておるのです。今特例でもって砂防法に対する補助率をきめようと言うから、そんなことはやめてくれということが一つ通常砂防を主体として砂防法の改正をなさいということ。同時にその際には、上流堰堤を作る場合には、上流にずっと砂防をしなきゃならないという義務づけ方をしなければいけない。負担の問題とか、だれがするかという問題はあとの問題でもいいのです。それには砂防予算、あなたの治山治水計画から見ても、そのくらいの金は国にございます。私はそいつは当然なさねばならぬ問題だと思うのです。この問題も次の委員会までに……。こんなことは、調べるとか何とかの問題じゃないのですよ。実態が、現象がそれを証明しているのじゃないですか。これをもってね、意図があるかないかの問題を一ぺん大臣と相談してこっちに持ってきて下さい。  それから、先だって自治庁では、起債は認めたくないと、農林水産の復旧砂防に対しては起債は認めるけれども、この建設省通常砂防に対しては補助率でいこうということを言っておりました。しかし、長野県のようなところは、これはもう全部自分の行政区域に河川が多過ぎて、もう砂防をやったんじゃ応接にいとまがないというようなことなんです。従って、非常に知事にしても熱意は持っていても手がつかないというのが現状なんです。私は、この際、自治庁とも話し合って建設省としては、砂防事業を遂行させるためには、起債をも認めるという原則を立てていただきたいのです。そうしなければ、また次年度には災害が起るということは歴史が証明しております。こういう点についても、一つだいぶ砂防事業に熱意を持っている村上さんだから、大臣の答弁として次の委員会までに見解を明らかにしていただきたい、こう思うのです。
  84. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 砂防の問題につきましては、起債をぜひ認めるようにしてくれということで自治庁にも強く要望しております。
  85. 田中一

    田中一君 それで、住宅の問題が残っているのだけれども、これは午後にやってもらいたいのです。
  86. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  87. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 速記をつけて。  それでは、本日はこれをもって散会いたします。    午後零時三十四分散会