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説明員(稗田治君) それでは
一 組織等について
1 監事
制度の強化について
監事の業務執行については、従来各四半期ごとに定期監査を行うなどその実績顕著と認められるが、なお監査事務の処理並びに監査結果に基く改善事項の
実施の
推進については、一そう実効をあげるよう今後規定の整備についても検討したい。
2 各種審議会等の運営の適正化について
公団内部の各種審議会の運営については、審議会資料及び審議方法等において改善の余地があると認められるので、その適正化について十分検討させるようにしたい。
なお、土地等評価審議会に外部者を参加させることについては十分検討したが、当面精通者の鑑定または
意見を審議資料に加える等の方法によって勧告の趣旨にそうようにさせたい。
3 管理
機構の整備について
管理
機構については、管理
対象の漸増に伴い、その整備拡充が必要とされていたので、かねてから公団において研究を進めていたところであるが、このほど成案を得たので近く
実施の運びとなっている。
なお、東京、関東両支所の管轄区域については将来の課題として総合的に検討させたい。
4 支所に対する権限の委譲について
支所長に対する権限の委任については、従来とも
実施してきているが、業務内容を十分検討の上勧告の趣旨の
通りつとめて維持して行うようさせたい。
二 財務及び会計について
1 資金の調達及び
運用の改善について
資金の効率的使用については、従来当省からも勧告の趣旨と同一の観念から公団に対し指導を加えてきたところであるが、今回の勧告を契機とし、一段と資金統制を強化し、もって
運用効率の改善に努力するよう指導の徹底をはかりたい。
2
事業に付帯する事務費
支出の適正化について 公団設立当初の三十—三十一年度においては、用地の取得困難の事情から
事業全般の進捗がおくれがちであったため、事務費の
支出が
事業費のそれに比し不均衡となったことは御指摘の
通りである。しかしながら、三十三年度
予算から用地の手持量も漸次増加し、
事業の進捗度もいちじるしく好転してきたので、現在
事業費の
支出率とこれに付帯する事務費の
支出率との間に顕著な差異は見られないが、なお一段と
事業の進捗度を高めることにより、両
経費支出面の均衡化につとめるよう指導したい。
3 決算処理の適正化及び原価計算
制度の
実施について
決算がいわゆる明瞭性の原則にのっとって明白かつ公正に表示されねばならないことは言を待たないところであるが、公企業体としての実費主義的性格にかんがみ、収益並びに損失の期間的調整を考慮する必要があり、また諸引当金の引当率についても実績不足のため確定し得なかったことなどの理由によって複雑な処理を行うに至ったものである。今後においては決算事務処理を定式化し、できる限り明確な表現をはかるよう
措置させたい。
原価計算
制度については、かねてから当省においても同様の趣旨に基いてその確立を勧奨してきたところであるが、公団側においてこのほど成案を得たので、
昭和三十四年度から統一的に
実施する運びとなっている。
4 退職
手当関係規定の整備について
役
職員に対する退職
手当の支給
基準については目下審議中であって近く制定の見込みである。
なお、すでに退職した者に対しては、役員については退職のつど、
職員については
昭和三十三年七月(それ以降の退職者については退職のつど)暫定
措置として概算額を
支払いずみである。
役員と
職員との支給
基準上の取り扱いについては、他の類似企業体との関連もあるが、極力勧告の趣旨に沿うよう努力させたい。
5 その他会計処理の適正化について
会計事務の処理に当っては、今後極力正確妥当を期するようさせたい。
三
住宅等
建設事業について
1
住宅等
建設事業の
計画と実績について
(1)
事業計画戸数の重点配分について
賃貸
住宅と分譲
住宅との戸数配分については、賃貸
住宅の
計画戸数を逐年増加し、現にこれに重点を指向しているものであるが、今後においても一般の需要動向等を考慮しつつ賃貸
住宅を中心とした供給を
推進するようにしたい。また市街地
施設については、三十四年度においては
予算が相当増額されたので一そう積極的にその
建設を
推進する
方針である。
(2)
事業計画変更
措置の的確化について
今後は勧告の趣旨に沿い、明確な
措置をとるようにさせたい。
(3)
住宅規模番組化の是正について
賃貸
住宅の一戸当り
建設予算上単価と
実施単価との間に大差のあることに伴い、
建設住宅の規模が
計画平均規模を若干下回っておることについては、
予算単価の合理化をはかり、
計画規模の達成を実現するようにさせたい。なお、小規模
住宅を
建設するについては、需要実態に即応し、供給
住宅の多様化をはかるというねらいもあるので、この点を了解されたい。特定分譲
住宅については譲受人側の
要望もあり、ある
程度やむを得ないと思われるが、なお勧告の趣旨に留意の上、今後の
実施に当るようにさせたい。
2
住宅の直接
建設費について
(1)
住宅建設費
予算の過不足に対する
措置の明確化について
鋼材価格及び地価の高騰によって生じた三十—三十一年度の賃貸
住宅建設予算超過額約一億五千万円は、おおむね三十三年度までに調整し解消した。
なお、分譲
住宅建設予算について生じた余裕については緊要と認められる事項にこれを指向し、所与の資金の活用を図っている次第である。
未契約概算額については、実情を検討の上、今後
実施額との開差を少くするよう努力させたい。
(2)
工事請負業者に対する鋼材
交付方式の検討について
鋼材支給の方法については、本年度から無償支給に改め
実施中であるが、
交付方式自体についても今後十分検討させたい。
3
住宅用地の取得について
(1) 用地取得の事前
措置の適確化について
設立当初において事務不慣れのため、若干不適当な事例を残したが、現在は、相当慎重な態度で事前
調査を行なった上、取得している。当省としては、今後ともますます事前
措置の適確化を
推進させる
方針である。
(2) 農地転用手続の簡素化について
この点については、機会あるごとに農林省に対し、
要望してきたところであるが、公団
住宅の
公共性にかんがみ、農林当局においても漸次協力的な態度をとりつつある。しかしながら、農地転用許可事務の迅速化の面においては、なお、必ずしも十分ではないので、その改善の具体策につき農林当局と協議中である。
(3) 一団地
住宅経営の手続の簡素化について
都市
計画法上の事務処理の迅速化については、かねてから
地方庁に対し、注意を与えているところであるが、なお、今後ともその徹底に努めたい。
経由機関の簡素化等
制度の改訂を行うことは法律改正を必要とし、また、他の公団等との取扱上の均衡もあり慎重を要するので、将来の課題として十分研究したい。
(4) 用地取得方法の改善について
公団の用地取得については、従来からできる限り、地主もしくは地主代表との直接交渉または
地方公共団体のあっせんによることとしているが、さらにその徹底を図るよう指導したい。
不動産業者等が介入する場合においては、地主の正当な利益を保護するため、契約時及び代金支払時に地主の立会を求めることや総面積、個別面積、総価額及び平均単価等の通知を行う等の所要の改善はすでに
措置済みであるが、なお一そうその励行確保を図るようにさせたい。
価格の
決定にあっては、従来の価格審議方法をさらに強化するとともに、精通者に鑑定を依頼する等によって、一層慎重を期するようにさせたい。
4
住宅建設事業の施工について
(1) 団地
工事の
促進について
創立当初においては、指摘のような傾向があったが三十二年度以降においては、体制も整い、施工条件及び当初設計等の面で大幅な改善を見、工期の設定の合理化等
工事の
計画的
推進がなされているが、今後なお一段と努力を重ね、能率的に
促進をはかるようにさせたい。
工事請負業者の選定については、今後とも一そう適正を期するよう指導したい。
(2) 特定分譲
住宅工事の公団
直轄契約の適正化について
設立当初の事務不慣れのため、不手際な処理を行なったものとみられるが、今後は一そう慎重な業者選定を行い、このような事例を繰り返すことのないようにしたい。
5
施設建設事業の
予算措置の合理化について
市街地
施設の
建設については、年年増強してきたが、今後ともその拡充強化を図りたい。また、
学校施設の
建設については、
昭和三十四年度から別途
予算措置を行なっている。
四、
住宅の管理について
1 賃貸
住宅の管理について
(1) 管理方式の改善について
住宅の大量管理は前例もなく、管理方式において適切でなかった点もあったが漸次実績も明らかとなったので、現在公団において、管理
機構の改訂と関連して、管理方式全般にわたり検討を行い、一部について成案を得たので近く
実施の見込みである。指摘にかかる管理
職員制度、共益費使用
基準、単身者
住宅及び店舗等の管理方式についても、実態に添い、合理化を行う見込みである。空家による調定不能率については極力その引き下げに努力させたい。
(2) 家賃について
ア、家賃算定
基準等の検討について
家賃算定の基礎となっている未契約額及び改修整備費については、極力
実施額との間に開差を生じないよう計上額の適正化並びに残
工事の早期
実施を図ることとし、また、
建設利息、損害保険料及び諸引当金の積算率については実績その他を考慮しつつ、再検討することとさせたい。
なお、借入金優先償還方式については、かねてから研究を重ねてきたところであるが、資金事情その他の客観情勢とにらみ合せて、その採用について十分検討したい。
イ、家賃調整方式の検討について
家賃の調整については、極力調整残を生じないよう
措置させたい。なお、端数調整については、これを合理化するようにさせたい。
ウ、固定資産税(都市
計画税を含む。)相当額の処理について家賃に含まれる公租公課相当額は、公団が負担する
経費見込額の一項目であって、課税時期の前後による実際
負担額とは必ずしも一致するものではないと思われるが、かりに差額を生じた場合は、将来の税負担の増加に対する引当を考慮する等入居者の利益となるよう
措置させたい。
(3) 修繕費の適正処理について
修繕費の支弁については、管理業務開始の当初には指摘のような事例もあったが、現状はおおむね改善されつつあり、今後とも処理の適正を徹底させたい。
(4) 賃貸
住宅に対する固定資産税の賦課の均衡化について
勧告の趣旨に添い、自治庁、大蔵省等の協力を得てその実現をはかるようにしたい。
2 普通分譲
住宅の管理について
(1) 譲渡対価調整
基準の制定について
三十三年度以降普通分譲
住宅の
建設戸数は少いので、あらためて調整
基準を制定するまでもないと思われるが、今後は団地間の調整は、可及的に避ける
方針である。
(2) 改修整備費及び未契約額について
普通分譲
住宅に含まれる改修整備費については、今後廃止するようにさせたい。未契約額についても極力これを少くするよう計上額の適正及び
実施の
促進をはかるよう努力させたい。なお、いわゆる精算方式については、研究課題として十分検討したい。
五、特定分譲
住宅の管理について
(一) 委託業務処理の適正化について
申し込み、審査並びに
工事管理の委託に関し、指摘のような不的確な事例を生じていることは事実であり、当省からもたびたびこのことを注意している次第であって、委託先の選定方法、委託条件、監督
基準及び委託料の
支払いについては、慎重に再検討するよう公団を指導したい。
(二) 特定分譲
住宅の設計の適正化について
持ち込み設計及び委託設計の審査の徹底については、しばしば当省からも注意を促しているところであるが、なお一そう審査の適正化をはかるよう指導したい。なお、
地方の実情に即した設計については、すでに北海道、北陸
地方等に向くものを準備しており、今後一そう拡充させたい。
(三) 割賦金収納率の向上について
この点についても、かねてから、その強化向上をはかるよう指導を加えているところであるが、審査の徹底及び収納方式の改善等によって、勧告の趣旨に沿うようにさせたい。
(四)
住宅引き渡し後の実態把握と適正使用の確保について
管理人員上の制約もあり、また
対象が各地に散在するため、完璧な把握ないし確保は至難であるが、事前指導の強化等によって、譲受人に合
目的的に使用させるよう取り計わせるとともに、不適当な使用事例については、厳重な
措置をとるようにさせたい。
六、公団に対する監督について
勧告の趣旨にのっとって十分検討したい。
以上でございます。