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説明員(有馬元治君) ただいまお
手元にお配りしました答申案は、二十九日の総会で結論を得られたものでございますが、この六日に会長から
大臣に答申が行われたわけでございます。前文のところはお読みになればおわかりかと思いますので、実施の大綱についてのところから簡単に大事なところだけ御
説明申し上げます。
まず第一に
検定の実施の基本的な
態度というところがございますが、ここにはいろいろな専門家の
意見を徴して周到な準備のもとに実施する職種、地域の範囲を拡大する。それからまたヨーロッパの例に徴しても長い歴史の上に今日の成果をおさめているものであるから、絶えず実施に踏み切っても研究改善を加えてよりよい制度にする、これが基本的な
態度でございます。御承知のように、
技能検定をやります場合には、将来どういう範囲の職種にどの程度の規模において
検定を実施していくかということが、まず問題になるわけでございますが、この答申の四ページのところにも
検定の職種というものの
考え方が書いてありますが、職業訓練職種のうちに客観的に
技能程度の判定を行うことが困難と認められるもの、
技能の
内容が比較的単純なもの、こういったものは除外いたしまして、
技能に相当の幅があるという職種について
検定を行うべきである、こういう
考え方からいろいろ検討したわけでございますが、職種の数において大体大きな職種に統合するという
考え方でいきましても、約八十程度の職種が
検定の対象として見込まれるわけでございます。これに従事する労働者の数はぴんからきりまでありますが、国勢
調査の結果から申しますと約五百万ございます。すなわちわが国の雇用労働者が千七百万ばかりおりますが、その約三割に当るわけでございます。その中でこの
検定の次のところにも書いてありますが、大体
検定の対象になる年令層は二十から三十ぐらいまでを
考えておりますので、二十代の年令層をとりますと約百五、六十万になります。これらがまあ
検定の潜在的な対象人口になるわけでございますが、それほどの規模を一応推定しておるわけでございますが、これを一気に
検定を開始するということはとてもできませんので、大体八年がかりで
検定を軌道に乗っけていこう、こういう目標を立てまして、この基本的な
態度をきめたわけでございます。漸次漸進的に
検定をやっていこう、こういう
考え方でございます。
それから第二の実施の大綱のところの
技能の程度でございますが、これは法律には一級と二級という二段階の区分を示してありますが、この一級と二級の
技能の程度をどうするかということでいろいろともんだわけでございますが、結局各職種に通ずる抽象的な基準としては二級の程度は下級の熟練工、これはかけ出しといいますか、ようやく熟練工に達した者という程度。それから上級の方の一級は上級の熟練工、まあこれは当り前のことを言っているような感じがしますが、この間、この結論を出すまでには三月ほど審議会の部会においてもいろいろな検討がなされて結論としてこういう基準ができたわけでございます。
検定の職種は先ほど申したような
考え方で
技能に幅があるもの、客観的に
検定ができるもの、こういう
考え方でございます。
それからだれが
検定を行うかという問題でございますが、法律は労働
大臣に一応してありますが、同じ法律で職権委任の規定がございますので、下級の方の二級については都道府県知事に職権を委任しておる。
それから
検定制度の中で最も大事なのは
検定委員でありますが、これが問題の作成から採点、合否の
決定、ここまで全部やるわけでございます。従ってこの
検定委員の選定が非常に重要な問題でございますが、これは
検定制度の本質にかんがみまして、学識経験者、それから
技能系統、技術系統の専門家、それから職業訓練の関係の専門家、こういった専門家から選ぶ。これは何も労使の代表という
考え方でなしに
技能を
検定する専門家のうちから選定すべきだ。そして合議制の運用をはかりまして、一
検定委員の専断で判定をするということのないような仕組を
考えていく。
次には受験資格でございますが、これは二級と一級に分れるわけでございますが、二級につきましては職業訓練の修了者は、訓練の期間が三年である者はその後二年の実務経験、訓練期間が二年の者は三年の期間、一年の者は四年。要するに満十五で義務教育が終りますから、その後の訓練歴と経験年数を合せますと、二十歳というのが二級の
検定を受け得る資格の最低年令層でございます。訓練以外の者につきましては学校教育法による工業高等学校、これについては実務経験が三年、また訓練も学校も出ていないたたき上げ一本の者は七年以上の実務経験、この七年はいろいろなデータで、組織的な訓練を受けた場合と、純然たるたたき上げできた場合との
技能の進歩の度合を測定いたしまして、この経験年数を換算したわけでございます。その他いろいろ各種学校もありますし、いろいろな教育制定がございますので、これは今申しましたような基準にのっとりましてそれぞれの均衡を
考えて資格をきめて参りたいと思っております。
それから一級は、二級に通ってから一級という格好になりわけでございますが、これも職種によっていろいろ
技能の上達の早いおそいがございますが、平均的に見ますと、大体五年程度の実務経験を有すれば
技能の点においては熟達をしていく、こういう結論でございますので、二級の
検定に合格してから五年以上の実務経験、ただこの制度を施行するにつきましてはいろいろと過渡的な措置が必要でございますので、軌道に乗るまでの八年間においてはぶっつけ一級を受けられる。それは二級の
検定受験資格にさらに八年の実務経験、すなわち訓練修了者であれば二十八、たたき上げであれば三十歳、こういった比較的先輩格の熟練者については八年の間はぶっつけ一級を受けていただく道を開いて、そうしてこの間においては学科その他実情に合うような
検定を実施して参りたいという意味で、暫定期間を設けたわけでございます。
それから次に具体的な実施基準でございますが、これは級別職種別に学科と実技別に具体的な基準を作る。きょうはお
手元に配付してありませんが、同じ審議会で先ほど申しました五種目についてこの具体的な基準が設定されているわけでございます。これは省令の別表に掲げまして、
技能の進歩その他によりまして、やはり三年ないし五年に一度は全面的な改訂をいたして、この基準を上げることによってわが国の
技能水準を向上せしめよう、こういうことで具体的な
検定基準を用意しているわけでございます。これはもちろん各方面の技術、
技能の専門家が三カ月ほどかかって検討した結果得られた基準でございます。合否の基準は、これは
技能検定が
技能に重点を置きますので、大体学科と実技と両方やるようになっておりますが、実技に七、学科に三というふうなウエートで
検定をやって参りたいと思っております。
あと実施の
方法等もございますが、学科を主にした一次試験、それから実技を主にした二次試験、こういう分け方で実施をする。二次試験については民間団体、職能団体等を積極的に活用いたしまして実施の委託をする。さらに試験の課題は学校の入学試験と違いますので、できるだけ事前に公開をする。試験の免除関係につきましても、ほかの法律によります試験
検定制度との調整を
考えて、似たようなものはできるだけ省略する。免除によって調整する、こういう
考え方でございます。