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1959-07-09 第32回国会 参議院 建設委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年七月九日(木曜日)    午前十時二十六分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     岩沢 忠恭君    理事            稲浦 鹿藏君            松野 孝一君            武藤 常介君            田中  一君    委員            小沢久太郎君            小山邦太郎君            櫻井 三郎君            田中 清一君            内村 清次君            久保  等君            田上 松衞君            武内 五郎君            向井 長年君            安田 敏雄君            小平 芳平君            前田 久吉君            野坂 参三君   国務大臣    建 設 大 臣 村上  勇君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    行政管理庁行政    監理局長    山口  酉君    北海道開発庁事    務次官     池田 一男君    大蔵省主計局主    計官      松永  勇君    通商産業省公益    事業局技術長  佐伯 貞雄君    労働省労働基準    局長      堀  秀夫君    労働省職業安定   局職業訓練部長  有馬 元治君    建設政務次官  大沢 雄一君    建設大臣官房長 鬼丸 勝之君    建設大臣官房参    事官      高田 賢造君    建設省計画局長 関盛 吉雄君    建設省河川局長 山本 三郎君    建設省住宅局長 稗田  治君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○本委員会の運営に関する件 ○建設事業並びに建設計画に関する  調査の件  (七月上旬豪雨による公共土木施設  の被害状況に関する件)  (建設行政に関する件)  (建設省並び北海道開発庁関係の  定員に関する件)  (職業訓練法に基く建築関係技能  検定に関する件)   ―――――――――――――
  2. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) これより建設委員会を開会いたします。  本日の委員長及び理事打合会においての結果を申し上げます。  まず委員派遣の件について協議いたしましたが、派遣地九州、関西、関東の三方面とし、派遣委員は自民党四名、社会党五名、無所属クラブ緑風会及び共産党の三派より一名の計八名とすることにいたしました。  次に本日の委員会の審議について申し上げます。建設省並び北海道開発庁関係定員の問題、技能検定の問題、会計法改正問題、並びに建設大臣に対する建設行政一般質疑を行うことにいたしました。  なお八月の委員会は八月四日午前十時よりといたします。  以上のごとく決定して御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 御異議ないと認めます。  なお休会中この近郷建設省関係工事視察をいたしたいと思うのであります。たとえば荒川上流二瀬ダム、それから道路公団または住宅公団のこの近郷における事業視察をいたしたいと思うのであります。これは皆様の申し合せによりまして、そういう視察をしてもいいという御意見ならば、そういうような順序にいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 御異議ないと認めます。それでは調査室長の方でその日程なりあるいはその場所を決定いたしまして、御希望の方の御参加を願いたいと思います。  なお来たる二十日に道路公団で施行いたしました茨城県の那琦川の河口であります海門橋竣工式が二十日に挙引いたされますから、もし御希望の方は御出席を願いたいと思うのであります。もし御出席の御希望がありますれば、一応調査室長の方にお申し出を願いますれば、公団の方と連絡いたしまして車とかあるいはその他の手配をいたしたいと思いますから、至急お申し込みを願いたいと思います。   ―――――――――――――
  5. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) それでは建設省から災害報告その他についての御発言を願います。
  6. 山本三郎

    説明員山本三郎君) ただいまお手元に差し上げました資料のうちに縦とじの「七月上旬豪雨災害による公共土木施設被害状況」という刷りものがございますが、七月になりまして豪雨がございましたが、それによりまして起きました災害状況を御報告申し上げます。  表紙をめくっていただきまして第一番目に「気象の概要」がございますが、まず七月一日から三日にわたります豪雨でございますが、一日の夜半から三日にわたりまして日本海の低気圧から東に延びる梅雨前線が、北陸から奥羽南部を通りまして三陸沖に達し、その影響を受けて新潟県、石川県、富山県、福島県、山形県等の各県に豪雨がございました。そして各地に相当の被害発生いたしました。  次に七月の五日から八日にわたりましての豪雨でございますが、日本海にありました低気圧が発達いたしまして、このために北海道、東北の西海岸と北陸、四国、中国、九州各地にわたりまして雷雨性局地的豪雨があり、特に九州山陰地方では相当の降雨を見たのであります。なおこの雨は徐々に東方に移動しておりまして、影響が全くなくなりますには一両日を要する見込みでございます。  次に第二の公共土木施設被害状況でございます。まず七月一日から三日の豪雨による被害でございますが、これは宮城県、山形県、福島県、新潟県、富山県、石川県の六県にわたりまして被害発生しております。被害中心地は左から二行目に書いてございますような地区でございまして、左から四行目に被害報告がございます。宮城県が五百五十万円、山形県が一億七千八百万円余り福島県が九千二百万円、これは福島県の会津地方でございます。次に新潟県は県の東部北部地方でございまして、これが一番ひどいのでございまして五億四千万円。富山県、これは東部でございまして一億二千万円余り石川県が九千万円、これらを合計いたしまして直轄が十九カ所、補助が千百四十二カ所、合計いたしまして千百六十一カ所で、十億二千九百万円余り被害報告と相なっております。  雨量等は一番右の欄に書いてございます。  それから第二番目といたしまして七月五日から八日の豪雨による被害でございますが、これは非常に飛び飛びでございまして、秋田長野鳥取岡山福岡大分山口の七県にわたりまして被害発生しております。被害報告秋田県が九千三百万円、長野県が四千二百万円、岡山県の一番北の部分でございますが、鳥取県境でございますが、八千七百万円余り福岡が三千三百万円、大分が四百万円、山口県が二千六百万円でございまして、この分が三億一千七百万円。  以上、七月一日から三日の分と合せますると、全部で十三億四千六百万円と相なっております。  最後の紙はこれらによりまする一般被害状況でございまして、これは七月八日の十九時現在の警察庁の調べでございますが、以上申し上げました各県にいずれも大小の違いがありますが、被害発生しております。これでごらんいただきますように、家屋等におきましては福岡県が一番多くなっておりまして、次は新潟県、長野県等でございます。  以上簡単でございますが、御報告を終らしていただきます。
  7. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) ただいまの報告につきまして何か御質疑ありませんか……。
  8. 山本三郎

    説明員山本三郎君) これらの災害につきましては被害の激甚の地方につきましては、係官派遣をしてくれという要望がありますればこちらから参るわけでございますが、目下のところは新潟県からは緊急査定等を要するから係官派遣してくれという要望がございますので、近く派遣したいというふうに考えております。
  9. 内村清次

    内村清次君 ただいま各県の今般の被害状況については資料をもって伺いましたが、これに対する政府としての、また国の責任官庁である建設省といたしましてその被害に対する手当をやっていくということは当然です。ただここで伺いたいことは二十八年災以来から災害復旧をやっておる、そういう災害のまだ未復旧部分がこの中に含まれて今回の災害を増大したというような個所があったかどうか、こういう点はどうなっておりますか。
  10. 山本三郎

    説明員山本三郎君) この点につきましては、現在のところまだ具体的にどういうふうになっておるかということは調査してみなきゃわかりませんと思いますが、二十八年の当時の災害につきましてはすでに九〇%以上完了しておりますし、しかも再び災害のおそれのあるような個所はすでに手当が済んでおりますので、たとえば九州等におきましても二十八年にやられたところが再び今度の災害でやられたというようなところは、私はほとんどないのではないかというふうに考えております。
  11. 内村清次

    内村清次君 この点は私は個所を指定して申してもよいのですが、二十八年災以前の問題はこれは当委員会におきましても大体復旧は済んだのだという答弁をされておる。ただしかし具体的に調べてみますとまだ相当個所別に残った個所があると思うのです。しかし二十八年度災以後の問題につきましては、あなたの方では九〇%の復旧ができている、こういう答弁でしょうけれども、まだまだ私たちはその点には疑点があるわけですよ。それでこれだけの災害報告がなされておりますならば、至急そういうような点を十分調べて、これが原因で災害被害を増大したという個所はもう至るところあるわけですから、この点は十分調べて報告していただきます。
  12. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 今の点は私どもも調べなければいかぬと考えておりますので、至急調査したいというふうに考えております。
  13. 鬼丸勝之

    説明員鬼丸勝之君) なお資料につきまして一言申し上げておきたいと思います。  お手元に差し上げました建設省所管業務概要というものがございますが、これは前回の委員会で御要望のございました御趣旨によりましてとりあえず取りまとめたものでございます。なお国土建設の現況につきましては印刷の都合で、きょうは間に合いませんでしたが、二、三日後でき次第お手元にお届けしたいと思っております。それから建設省設置法関係法令集最新版がちょうどできましたので、それもお手元に差し上げまして御参考に供する次第でございます。内容につきましては特別に申し上げることはございません。   ━━━━━━━━━━━━━
  14. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 建設大臣より建設行政について発言を求められております。
  15. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 最近における建設行政の諸問題及び今後の建設行政の方向につきまして、所感の一端を申し述べたいと存じます。  建設省の所管いたしております道路整備治山治水都市計画、あるいは住宅対策等仕事は、いずれも国民経済の基盤を培うとともに、国民生活向上のための基礎を作りあげるものでありましてまことに重要な仕事であり、今後大いにこれを拡充発展させていかなければならないものと信じております。  まず第一に、道路整備について申し上げますと、道路整備緊急措置法に基く道路整備五カ年計画は、本年二月閣議決定をみましたので、昭和三十三年度以降五カ年間に総額一兆円を道路整備に投資することとなったのでありますが、この五カ年計画を完遂することにより、増大する自動車交通に対処し、輸送の隘路を打開して、産業発展に寄与したいと考えております。特に名古屋―神戸間高速自動車国道につきましては、目下日本道路公団において建設に鋭意努力中でありますが、用地問題を早期に解決して、事業促進をはかりたいと考えております。また東京都内における街路交通円滑化をはかるため、必要な首都高速道路整備するため、首都高速道路公団の発足を見たのでありますが、すみやかに基本計画を作成して、その事業促進をはかる所存であります。  次に治山治水対策につきましては、国土保全開発と民生の安定に資するため、強力にこれを推進していく必要があると考えておりますが、このためにはさき決定をみております治山治水基本対策基本方針に基きまして、水系を一貫した総合的な治山治水事業促進をはかるとともに、特に最近における農業用水あるいは鉱工業用水等の需要の著しい増大にかんがみまして、多目的ダム等による治水利水総合対策の一そうの強化を期するため、治山治水事業に関する五カ年計画を確立して、これを的確に実施する方針のもとに、さきに設置せられました治山治水関係閣僚懇談会において、これが計画内容実施方式財政的裏づけ等を検討して、来年度より新計画の的確な実現をはかることにいたしております。なおこの計画を実施するため、治水事業特別会計設置等、特別の財政措置を考慮いたしておるのであります。また災害復旧事業につきましては、昭和三十一年以前発生災害は、その復旧を全部完了するとともに、昭和三十二年及び昭和三十三年発生災害は、緊急工事については、おおむね三カ年間で復旧する方針でありまして、今後発生する災害につきましても、右の方針によって措置する考えであります。また水防体制、特に洪水予報水防警報に要する通信施設観測施設等整備強化をはかる考えであります。一方水質汚濁防止地盤沈下防止対策等につきましても、総合的な対策推進して参りたいと存じております。  次に住宅対策について申し上げます。本年度住宅建設につきましては、昭和三十二年度以降おおむね五カ年間に住宅事情を安定させるという基本方針に基いて、本年度におきましては、民間自力により建設する住宅約三十五万戸、これを含めて約五十六万戸を目標としておりますが、そのうち政府施策住宅として公営住宅四万九千戸、公庫住宅十万二千戸、公団住宅三万戸、その他三万戸、合計二十一万一千戸の住宅建設を進めており、その達成に万全の努力をいたす所存でありますが、なお今年度低額所得者住宅難現状にかんがみまして、低額所得者のための公営住宅の戸数の増加をはかっておりますが、今後とも低家賃住宅建設について力を注ぎたいと考えております。なお住宅不燃高層化につきましては、住宅対策の一環としてこれを推進して参っておりますが、今後さらにその促進をはかりたいと存じます。また宅地取得の困難な現状にかんがみまして、宅地造成事業の拡充と、市街地における宅地利用合理化推進する考えであります。  最後都市施設整備について申し上げます。わが国における都市施設整備は著しく立ちおくれている現状でありますが、これらの都市施設は、諸産業発展基礎をなすものであります。発展する産業に対応して、また急激に増加しつつある都市人口に対処するためには、広域的見地からの都市計画を策定して、これに基いて輸送、給排水、宅地造成等の重要な都市施設整備促進しなければならないと考えております。本年度におきましても街路事業公園事業等都市計画事業推進に努める所存でありますが、これら相関連する諸施設整備につきましては事業計画的な施行が必要と考えております。また下水道が他の都市施設に比べてその整備が一そうおくれている現状にかんがみまして、この際長期の計画に基き下水道整備を強力に推進していきたいと考えております。  以上建設行政につきまして所見の一端を申し述べた次第でありますが、これらの施策推進のために今後とも格別の御協力を賜わりますよう切望する次第でございます。
  16. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 建設大臣発言に対しまして御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  17. 田中一

    田中一君 今の御説明、御抱負伺いましたが、これは三十四年度予算に見合う仕事の、施策説明をしたにすぎません。ことに、あなた、たくさんおっしゃっているので、どれから取り上げてよいかわからぬけれども、まず一つ取り上げてみましても、たとえば住宅対策のために宅地造成をやる、これは予算化されていると思います。三十四年度仕事はきまっております。そこでそうした今までのような考え方宅地造成したところが、宅地は新しくできるでありましょうけれども、国民負担というものはますます増大するということを考えなければならぬと思う。あなたはほかの新聞記者等座談会オリンピックまでにはあらゆる土地問題を解決するといっておりますけれども、オリンピックなどという問題に対してあなたが関心を持つ必要はないのであります。こういうきわもの的なものよりも、今日まで十数年たっていまだに解決されない数々の問題がございます。オリンピックなどに籍口してものを考えるなんということは建設大臣のとるべきことではないのです。そこで宅地の問題を一つ取り上げましても、市街地における、あるいは近郊における宅地造成をする、というのが基本的な今までの政府態度です。もうそれらの政府宅地開発をしようという地方は、ことごとく大企業と申しますか、電鉄会社その他で買い占められているのであります。でありますからまあどういう方法でそれらのものを了解をとって、それらのものを安く買っているのですから、安く政府が買い上げるというのならばいざしらず、不当に値上りされるという宅地を作るなんということはこれは村上さんの新しい大臣としてのとるべき態度ではなくして、そこにいけばますます交通事情なりあるいは生活負担が過重になるから、都市の再開発をするというような御意見が出れば、これはまことに喜ばしい問題なんです。二十三区という都内はまだまだ宅地は残っているのであります。その宅地は何かと申しますと平面化されている宅地だからです。三十四年度のまあ予算編成に当る基本方針というものの説明だけでは、あなたに期待するものではないのであります。やはり戦後十数年たって今までのマンネリズムに陥っているところの建設行政というものを、ベテランであるあなたが就任されて、一応反省し、検討し、実際に国民が求めているものは何かということをあなたが発言され、あなたが発想されることを期待しているのであります。一つの例をとって、住宅局長がいますから伺いますけれども、今までと同じように二十三区以外の土地開発して新たに宅地を作る、住宅を建てるなんという構想はこれはあってはならないものなのであります。私はたとえばこの間やめられた加納住宅公団総裁東京湾水面埋め立てをしたい。これなんか一つ考え方だ。これは何も加納さんばかりの考え方ではありませんが、一つ考え方だ。これを緒につけておやりなさい。これなんか一つ考え方なんです。今までにない考え方なんです。それは実行しようとする熱意を買って申し上げるのですが、今あなたのおっしゃっているようなものは、これはもう単にまあ岸政権を謳歌する企業が歓迎するものであって、国民が求めるものじゃないのです。宅地の問題について住宅局長は相当大臣と話し合ったと思いますが、都市の再開発の問題、都市における宅地の再開発問題等についてはまだあなた、建設大臣に進講していないのですか。講義をいたしていないのですか。どういう考えを持っておられますか。
  18. 稗田治

    説明員稗田治君) お答え申し上げます。既設市街地の中の宅地を高度に利用していかなければならないということは、われわれとしても十分従来からも心がけておったわけでございます。住宅金融公庫における中高層の耐火建築物に対する融資や、あるいは防火建築帯助成事業、また政府施策住宅における施設つき、いわゆるげたばき住宅、あるいは建物自体を三階以上の中層の建物を多くするというようなことで、宅地高度利用をはかって参ったわけでございます。なお今後とも市街地開発というような面におきまして、不良住宅地区改良等もさらに発展して進めていきたいというふうに考えているわけでございます。
  19. 田中一

    田中一君 住宅局長考え方建設大臣考えとするならば、おそらく三十五年度予算編成に当っては、それが予算上にはっきりと打ち出されるものと私は期待しております。そうならざるを得ないと思います。けれども今までは、強力にそれを推そうという意図があるならば、現行法でもある地区の高さというものを制限することができるのです、現行法でも。私は、これを立法化して、五階なら五階、この地区は五階を建てなければならないという規制をした方がいいのではないかという考えを持っておったんですが、現行法でもできる。というのは、行政措置によっててきるということが発見されましたから、それならばおそらく三十五年度予算には計上される。それにはまず何階以上建っちゃならぬという規制よりも、何階にしなければならぬという規制をした方がいいのです。自分は、自分所有地に二階しか必要でない、しかしながらどうしてもあと三階というものを、三、四、五という三階分を強制されるのだという場合には、国がそれに宅地として住宅を建てるという方法をとるならば、これは喜んで市民協力するということになり得るのです。ただ、いまだに足かせやその他の政策というものは、これは国民の意思によってのみ在右されるのです。政府は何らこれをこうしようという考えは持っていないのです。そうして国民が損をするということを感じさせるという政策だから協力をしないのです。  そこで具体的に申し上げれば、今言っているように、当然防火地区として、この地区に対しては防火帯的な不燃建築群があった方がよろしいのだという考えに立つならば、勇気を持ってこの地区は、このラインだけは五階なら五階にきめる、こうおきめなさい。そのかわりその土地を所有したりあるいは使用権を持っている方々に対しては、国が大幅な助成をするのです。国が建ててやるのです。ことに首都高速道路公団等が市街の中心地高架路線としての建造物を作る。聞いてみると、今までの構想としては、その下の、どっちみち高いところを通るのですから、足が、柱が必要なんです。その柱の下に対する負担というものはやはり市民がするのだというような考え方でもって高速道路を作ろう、なんという考えを持っているように聞いているんです。こんなものは当然のことですから国が作っておやりなさい。そこに住宅を設置するならば、これはもう喜んで━━自分の職場に三十分、一時間で通わないでも済むわけなんです。それが抜本的な私は村上建設大臣に期待する施策なんです。同じように、やたらに農地をつぶしています、農地をつぶしたりしていくことが建設大臣宅地造成考えなら、これはまあ今までと同じことなんです。今までの悪い例を再び助長する、そうして不当な利益というものをだれかに与えるということにすぎません。でありますから、今、住宅局長が言っている言葉を三十五年度予算の上に、あるいは政策の上にはっきり具現する、現わすというなら現わすような信念を、この宅地造成の問題にだけしぼってお答え願いたい。と同時に加納住宅公団総裁一つ構想として、どうしてもこれをやるのだという熱意を示しながら、御自分でやめたのか首切ったのかしらぬけれども退陣された。まことに残念です。せめて強力に実行するというような意欲を住宅公団総裁が持ったということに対しては、私は非常に拍手を送ったものです。これらの考えに対しては建設大臣はどのような方針を持って三十五年度事業計画にしようとするか、一つ答弁願いたいと思います。
  20. 村上勇

    国務大臣村上勇君) ただいまの田中委員の御見解、まったく私もその見解を一にするものでありますが、首都圏整備委員会等におきまして、この新しい地域の埋め立てによる土地造成等につきましては十分検討いたしております。従いましてこれを積極的に推進して参りたいと思っておりますが、なお都内のいわゆる不燃高層建築につきましては、非常に狭い土地を有意義に利用するという見地から十分検討して参りたいと思っております。ただいたずらに農地を取り上げて農地宅地にしてしまうというようなことは、これはもう安きにつくことでありますから、これも万やむを得ない場合には考慮に入れなければならないのでありますけれども、ともかくもいわゆる高層建築によってできる限り住宅難を解決するということは私も同感であります。従いまして十分検討いたしまして、できる限り御期待に沿って参りたい、かように思っております。
  21. 田中一

    田中一君 もう一つその問題でなく伺いますが、治水事業の特別会計ですね、これは今度は大蔵大臣とも話し合いはついていますか、これからしようというのですか。もししようというならば、その特別会計にするところの利点と、それから大蔵省かそれに対して反対している点を二つだけ一つ大臣から説明してもらってそうしてどうしてもこれをしなければ、今までの限られた予算で縛られる災害復旧というものが、完全にいかないのだというような御答弁を願いたいと思いますが、その御構想をお示し願いたいと思います。
  22. 村上勇

    国務大臣村上勇君) まだ十分私も研究をきわめておることでありませんから、ここで御期待に沿うような御答弁ができるかということについてはちょっともう少し自信が足りないと思います。が、しかしただいま事務当局におきまして、各関係省との間に今後わが国の災害を少くとも戦前の昭和九年あるいは十六年程度くらいまでに、国民所得に比例した場合に減らさなければならぬ。約一年に一千億円くらいの災害による損失を防止しようというような見地に立って考えてみますと、少くとも五カ年間に三千五百億くらいの治山治水事業費を使わなければ、その目的を達成することができないのじゃないかというので、建設省といたしましてはそういう数字をあげて今折衝いたしております。しかし各省それぞれ立場をかえての必ずしも結論が一致しないものがありますので、目下慎重に折衝いたしておる次第でございます。これが結論を得ましたならば、この大きな目的に向ってどこまでも私どもとしては、この国の災害防止について経費を計上して目的を達成したい。ところが御承知のような、一般会計だけではとうていこれをまかなっていくということは期待はできないように考えられますので、この際前予算国会からのいろいろと話し合い等も承わっておりますので、私はどれだけの特別会計を必要とするかという点については、まだはっきりしたものを持っておりませんけれども、少くとも特別会計によってこれらの不足の経費を補って参りたいということは、前建設大臣としての信念をそのまま私も堅持して、あくまでもこれの交渉に当りたいと思っております。ただ、ただいまの状態ではその数字的な結論に到達しておりませんので、大蔵大臣との交渉の段階には参っておりませんが、これからその推移によっては大蔵大臣あるいは経済企画庁長官とも十分に話し合いを進めていきたいと思っております。
  23. 田中一

    田中一君 河川局長から一つ具体的な説明を聞きたい。
  24. 山本三郎

    説明員山本三郎君) ただいま大臣から御説明申し上げましたが、補足的に御説明申し上げます。  しばしば御説明申し上げましたように、建設省といたしましては五カ年間に三千五百億円の事業を行いまして、戦後の被害が十年間の平均で二千四百億程度でございますが、その被害を千億円減らそうという目途の下に、三千五百億円の砂防、ダム、河川、海岸等を合せましての事業費でございますが、そういう計画を立てまして、本年度予算をきめるとき以来折衝をしているわけでございます。  現在は閣僚懇談会が設置されまして、その下部機構といたしまして事務当局間で今折衝を続けております。現在までに正式の会合が四回持たれましたが、そこでは経済企画庁あるいは大蔵省また建設省、農林省等から、自分の持っている計画なりあるいは考え方等を披露をされまして、いろいろと議論をされておりますが、事務当局間ではやはり建設省の三千五百億円に対しまして、それだけは要らない、もう少し少くてもいいというような議論が財務当局の方から出ております。それに対しまして建設省からは、どうしても治水の担当をいたしまする当局といたしましてはこれだけの金が要るのだ。しかも千億減らさないと戦争の始まり当時の、国民所得に対する被害状況に持っていけないということで強く折衝しております。従いまして、その折衝の段階におきましては、五カ年間でどのくらいの投資をやることが適当であるかということを結論を得たいということで努力しているわけでございますが、その結果が出て参りましますと、これは一般会計で全部まかなえるか、あるいは特別会計を設置いたしまして借入金をやらなければまかなえないかというようなことに、次の段階で進んでくるわけでございます。先ほどお話がございましたように、本年度予算決定する際に、特別会計を作って借入金をするということに対しましては、大蔵省は、特別会計を作りまして借入金をするとその償還に当てるべき収入がないということ、特定の収入がない、それから一ぺん借入金をしますと長期に続いていつまででとめるかということがなかなか見当がつかない、それから過去に治水費の資金の特別会計というものを一ぺん作ったことがあるけれども、これは郵便貯金等の伸びが悪くて資金が思うように集まらなかったので失敗に終った、というようなことを言っているわけでございます。私どもとしましては、借入金をやって促進するならば国家全体といたしましては、三千五百億円の金を投ずるならば、毎年千億の利益が国民所得の上に返ってくるのであるから、当然これは先にやった方が得ではないかということで進めておるわけでございます。今申し上げましたように、各省の事務当局間の連絡会議を、大体現在のところでは目安といたしましては八月一ぱいぐらいは続けて参ろう、そしてその結果を閣僚懇談会にかけまして、そこで各省の意見等もありましようけれども、御決定をいただこうということで進めておるわけでございます。  以上簡単でございますが、御報告を終ります。
  25. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 この治水問題、とりわけ砂防の問題等につきましては、遠藤前建設大臣も非常にお力を傾けておられたことをわれわれも承知いたしております。また新大臣におかれましても、最初の施政方針の片りんをお示しの際まっ先に取り上げられたのが、この治水ということに言及され今また田中委員の御質問に対しては、いささかのかけ引きも誇張しないまじめな熱意のあるお話を承りましたのでこの上われわれの協力をもって推し進むならば来たるべき予算編成に当っては必ず目的を達し得るのではないか、またどうしても達しなければならないという気持を持ちながら新大臣のお話を伺いました。ただ各省との関係において、即ち大蔵省関係は今お話を伺いましたが、むしろ農林省の協力を得ることが大事であることを痛感しているのであります。もちろん建設省の方は去年もある程度話が進んでおったけれども、農林省の方がややもすれば引きずられぎみであったのではないか、特別会計に持ち込むことが両省にわたっておってうまくいくかどうか等の問題もあるので、これらのことを事前に打ち合せをよくしておかないと、閣僚懇談会の際に熱意を傾けて現大臣がお話になっても農林省が少しでもそれにちゅうちょしたようなことを言われると、せっかくのお話が力をそぐおそれがあるのではないかと想像されますので十分配意せられんことを望みます。今御説明の通り返済財源云々などということよりは、年々歳々二千億を突破する損害がきまったようにある日本で、すでに五カ年計画で三千数百億を費すことによって年々一千億からの損害を未然に防げるということ、こんな大きな働きはないのじゃないかと思うにつけ、何ものをおいてもこれはぜひ実現せしめるべきものであろう、政治的にも国家的な高い立場からこれを一つ判断すべきであろうという点において大臣熱意を傾けたと同様われわれも考えておるのでございます。それにつけてはぜひどうしても大臣みずから農林大臣とよく事前のお話をいただき、農林大臣との協力態勢を作ることが第一じゃないかと思います。ややもするとこういう大問題が末端のセクショナリズムから通るべきものが通らぬようになってはまことに惜しいことである。この点は近く事務当局の御相談もあるとのことでございますが、事務当局のみにまかせずに一つ大臣みずからお話をいただいて、建設、農林が一致協力の方途はどうすることによって得られるかという点に周到なるお考えをちょうだいしてどうしても三十五年度予算編成に当りましては、これを大きく打ち出すようにお力を願いたい、という希望を申し添えまして質問といたします。
  26. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 私どもが治水対策の完璧を期するために非常に御参考になる御意見を拝聴いたしまして感謝をいたします。農林大臣がこの点に協力をして下さるということは、これは非常に力強い推進力になることは御意見の通りでございまして、この点はさっそく事務的交渉と並行して私もこれから農林大臣に呼びかけて、協力してもらうようにお願いするつもりであります。また農林大臣といたしましても、ともかく従来の災害は大体に私は農家の被害が最も甚大であるというように承知いたしております。従いまして農家経営の上から申しましても、農林大臣はこの点に十分協力をしてもらえるものと、こうは思っておるのでありますが、なお一そう農林大臣にこの協力を喚起して参りたい、かように考えております。
  27. 田中清一

    田中清一君 先ほど来住宅の問題、宅地造成の問題、高速道路問題等の切れ切れのお話を承わっておりますけれども、私らのように実業家というものは実に何か部分品の話をしておるような気がしてどうも納得がいかない。なぜならば先に法律できまった国土開発縦貫自動車道の法律があって、ここからして冨士山ろくまで道をつけるのに百キロ足らず、八十六キロさえつければ、あすこの二百六十四万人の人が住むだけの水がたたえられてあって、しかもただのような地面が、皇室から無償御下賜になった地面が六万町歩も遊んでおってがらがらで、ちっとも作りもできなければ木も一つ育たないような所があるのですから、そういったようなことをしたらすべてが解決するじゃないですか。それをしなくても少くともその道を八王子までつけたとして一つ考えて見て下さい。八王子の市を中心にした北と南にあれだけのたくさんの丘陵地が遊んでおりまして、そうして東京へはわずか三十キロの所です。そういった所を開発すれば住宅難どころではない、敷地造成も必要ない、そういうわけでありますから、そういったような法律できまったことを法治国はどんどんやっていきさえすれば、一切が解決できると思います。ことに小河内の貯水池は最も近くて水漏れが少くて、そうして百パーセント水もそこで使える、そういうたとえば相模ダムの水を分けて持ってきて使うこともできる。そういうような抜本塞源的なことを考えてもらえませんと、国民は税金ばかり払いまして、そうして今ここでその住宅を高うせよとおっしゃいますけれども、もう一ぺん考えて見て下さい。ただでさえもこの道が狭くて自動車でもうどうにもならぬ。皆さんは自動車に乗ってお気付きにならぬかもしれませんが、自動車で町を一回りして見てごらんなさい。自動車が足で直を歩くよりおそい所を高うしたら、そこへまた人が寄って来るでしょう、人が来れば必ず自動車がまた来るのですから、私はここで住宅を高うするということは不賛成です。一つ抜本塞源的に道をつけたら、金の二百や二百五十億かければ富士山ろくまでいってしまうのですから、そういうようなことしてそうしてやっていただくことを希望したい。いささか横紙破りのようなことでありますけれども、どうも話が姑息で、私どもが聞いておりますとそういったことでは決して住宅の緩和もできない、宅地造成もできない。どんとんどんどんやっぱり農耕地をつぶして、そうして武蔵野の新鮮な野菜を現在の八百万都民に供給することをやめていくことが文化の反映だ、と称する逆立ちをしておるのじゃないかということを私は考える。どうか一つ建設大臣には御一考をお願いしたいと思うのであります。
  28. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 私は治水に対する大臣の御答弁につながってわれわれも一つ考えたいと思うのは、建設省と農林省と事前打ち合せを十分してもらうと同様に、われわれ委員会委員長の御心配で農林委員との打ち合せを一つそり治水問題を中心として、十分練りそれを特別会計に持っていく方途をまあ規模からきめなければならぬ、いろいろ問題があろうと思うから、これを中心に一つ相談の機会を作るように御心配もちょうだいし、それからこの問題に関しては政党政派の別があるはずはありませんので、それぞれ所属政党の調査会にもこれを大きく一つ取り上げるように、委員との連絡をとり、それから政調会等に対しても大きくこの際はものにするようにお骨折りを願いたいということを、委員長にお願いしておきます。
  29. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) お答えします。ただいまの治山治水の問題につきましては、せっかく今政府において事務的折衝の段階になっておりますからもう少し進捗を待ちまして、そうしてその上において農林委員会との折衝が必要ならば開催をいたし、また今のこの治山治水の問題は政党政派を超越するというようなことは、これはあなたがおっしゃらなくとも十分おわかりのことですから、これはまあ皆さんが十分御存じのことですから、この委員会としてもあるいは全員、政府あるいは官民一致して、この治山治水という問題を早期に解決するという熱は皆あるのですから、その辺はわれわれがいかに推進をして政府を鞭撻するかのいかんにかかるのではないかと、こういうふうに考えております。
  30. 内村清次

    内村清次君 先ほど大臣の所信を伺いましたが、田中委員からも一言付言されたように、確かにこの大臣の初所感の発表といたしましては、責任官庁の、たとえば道路整備についてとかあるいはまた治山治水の問題、都市計画の問題あるいは住宅対策の問題、官庁営繕の問題、こういった幾つかの柱が敷衍されることは、これは必要だと思うのですが、私たちが期待いたしておりました新大臣の抱負としては、いささか……従来の大臣の所見とほとんど変りない、どこに一体そのこういった幾つかの柱の中に重点を置いて、そうして大臣の任期中にこれだけはぜひとも一つ解決をしていきたい、だからして委員会協力をして予算獲得や、あるいはまたはその実施面についても十分な国民的な協力もほしい、というようなその点が一つも見えておらぬのですね。今では、まあその真意を委員の方々が、よくそれ以上に熱意を持って、委員長に対して予算をこうやって協力しようじゃないかというようなことが論議されておりますが、一体大臣はどこにその重点があるか。たとえば今日まで道路整備の問題につきましては、一兆予算が確立されてそうして計画もやや軌道に乗りつつあるのですね、この点は。で、三十四年度予算の要求額から見ましても、大体要求面に対して実施は……、予算要求はこれは上々です、そして今後それがいかに実施されていくかという点について私たちは危惧を持っておる。果して五カ年間で実施ができるかどうかという点に、私たちは危惧を持っておるのですが、この点は予算もついたことですから、強力に実施面としては、行政面を責任を持っておるあなたが監督してやっていただきたい。しかしこの治山治水の問題につきましては、従来の経緯を十分お調べになっておるかどうかという点が私たちは疑点がある。三十三年度から三十七年度までの五カ年計画を策定されたと先ほど言っておられますが、しかしこの策定の経緯につきましても、まだ各省間で十分な協議がなされておるかどうかという点にまだ疑問がある。この協議会の性格、あるいは協議会がどういう性格を持ち、そうしてまたどういう計画に対する熱意があるかということも、私たちは大臣からこの点も十分説明していただきたいと思うことが第一点ですね。  ところが先ほど言われておりまするように、建設省面では三千五百億の要求を出しておるが、しかし新五カ年計画においては、三千三百億ばかりの予算しかつけてくれないというような点で、この点で一つは差額が出ておるわけです。と同時に私たちが申し上げたいことは、今日までの経緯にいたしましても、大体二十八年災が起きましてただちに治水五カ年計画というものが作られたのです。この五カ年計画の推移を見ましても、当時の基本計画事業費は一兆千六百九十一億、それが二十九年から三十三年度までに、わずかに千七百四十二億しか今、予算の配賦がないわけです。そのために砂防あたりはその進捗率が九%です。ダムは二七・四%、河川の方は一五・一%、平均といたしまして一四・九%しか進捗率はないわけです。しかもこれは三十三年度に策定せられまして、もうことしは三十四年度ですが、この三十四年度のあなたたちの計画としては、予算の配賦状態を見ましても、なお相当の不足分がなされておるのです。これが三十五年度から三十七年度までにしわ寄せされてしまっておる、そうでしょう。だからして三十五年度に果して、その計画面から今日までに不足したところの予算額というものが、砂防においても、ダムにおいても、河川においてもつくかどうかという点に対しては、これは委員会としては十分なる関心を持っておるのです。これは国民も関心を持っておる。だからして大臣は、一体その治山治水の根源であるところの砂防は大事だということは、あなた方も言明になっておる、この砂防をまずどうやってこの予算を獲得するかというようなことや、あるいはまたはダムの問題、河川の問題をどうやって今までの予算が足らなかった分を、三十五年度にはどういった熱意をもって、どこに重点を置いてやるかということの説明一つもなされておらない、この点をきょうは聞きたかったわけです。そうしてこの計画年度の終りの方になってくると、予算がぐんとしわ寄せされてしまって、そうしてまたさらに大臣がかわれば新五カ年計画、また大臣がかわればまた新五カ年計画だと、こうやって国民を欺瞞するような発言で、いかにも計画性のあるような政策をやっておるというような見せかけをすることが、今日までのあなた方の態度だったわけです。これを抜本的にあなたは一つ、その点に対しては十分経験もおありになるからして、また党内でも有力な発言力を持っておる方であるからして、だからして抜本的な問題として、私たちはそれを解決をしていただきたいというふうに期待しておったわけです。それが第二点ですね。  それから先ほど田中君も私と同様に、何から質問していいかというようなことで、宅地造成問題からお入りになったわけですけれども、これも大きな問題点です。これは国全体の問題です。地方的な政策の問題ではございません。国民全般に均霑したところの上に立っての問題を発言しているわけです。この点は十分一つ大臣もお考えになっていただきたい。たとえば住宅対策の問題にいたしましても、委員会は何を要望しておるか。あなたの前大臣の時代にもたとえば低家賃の問題、あるいは公団住宅の家賃があまり高過ぎるというような問題がここで十分論議されているのです。この点は新法律を中心といたしまして十分論議されているのです。こうやって問題は三十五年度委員会及びまた国民も期待しているところです。いかにして低所得者層に満足を与えるような政策政府によって打ち出されるかどうか、という点が期待されているわけです。住宅対策は一体従来の政府方針としては民間の建設依存、これにのみ依存している。政府みずから予算をつけたところの政府資金による建設という点に対しては、これはどちらかというとあまり重点がない。民間が建てていくものを、今回も五十三万戸のうち約三十万戸ばかりは民間依存でしょう。そしてしかもそれが集計がとれておらない。一体果して、政府が言っておるような五十三万戸の建設計画の中に、今言った三十万戸というようなものの建設を果して完了しておるかどうか、という点に対しての調査というものは非常におくれている。その上に低家賃の問題あるいはまたは先ほど言われておりまするような宅地造成の問題という問題が、どうやって解決されるかという点に対して、政府の具体的な重点説明がなされておらないのです。こういう点は大臣はどういうふうに引き継ぎを受け、どういうふうな研究をなされておるかどうか、どういう点に重点をおいているかということの説明一つしていただきたい。私たちが聞きますると、もちろんこういった不足住宅の中には政府方針一つとして平屋建、すなわち第二種の平屋建の住宅をなお今後重点を入れて建てていこうというような御計画があるのですが、そういうことではいけませんよと私たちははっきり言っているのです。これにかわるところの住宅政策があるはずだということを指摘しているわけです。こういう点の重点がどうなされておるかという点が第三点ですね。  それから現在都市を中心といたしまして、都市計画のうちに特に下水道関係が非常に各地方において要望されていることは、もうこれは必然な問題です。ところが下水道の法案が昨年この委員会で通りましてから今日まで、予算要求を見てみますと、三十四年度予算要求六十一億円に対してわずかに二三%です、十四億円しか予算がとれておらない。こういうことで公衆衛生やあるいはまた都市整備計画の問題に対しまして、十分政策がなされていくかどうかということは、これは大きな問題です。話に聞きますとこの政府の最初の五カ年計画では約二千億の予算が必要だ、ここではっきり言っていらっしゃる。それが二三%のわずか十四億しか予算がとれないという貧弱な予算で、どうして下水道の問題が解決していきますか。こういう点に対して大臣はどういうふうにお考えになっておるか。以上の点を聞きましてあとはまた逐次質問をしていきたいと思います。
  31. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 私の建設行政に対してどこを柱にするのだという御質疑のようでありますが、私は先ほど所感の一端で申し上げましたように、このすべてを私の手で重点的にこれを推進して参りたいところでありますが、特に先般も申し上げましたように年々歳々の災害の防止につきましては、これに重点を置きまして、少くとも昨年、今年度予算あたりで特別会計によってその不足の分をまかなってもらうようになっておれば非常によかったのでありますが、これがいろいろな都合で不調に終っております。私は皆様方の御協力もいただきましてどこまでも、これまでのことはやむを得ないのでありますから、今後強力にこれらの点につきまして何とかその目的が達成できるように努力いたし、また御協力もお願い申し上げたいと思う次第でございます。  ただいま、低家賃による住宅造成をはからなければならないじゃないかということは、私も全く同感であります。ただこれを都内高層建築に求めますならば、なかなか思うように低家賃にもならないので、先ほど田中委員からもお話がありましたが、これらのこういう非常に立地条件の適当な方法等も考えながら、少くとも低家賃の住宅造成いたしたいと思っております。これにつきましてはそういう立地条件等もございますが、なお金利等についての措置ももう少し金利を下げていただくというような方法も講じて、坪当りのコストを引き下げていかなければその目的が達成できない次第であります。  なお、下水道等につきましての御意見全くごもっともでありますが、十四億円はわずかなものでありますが、このほかに十五億ばかりの起債が許されておるようでありますので、パーセントとしては幾らか上回ると思います。大体計画の三分の一程度になっておるように私は承わっておりますが、なお詳細な点につきましては事務当局をして補足いたさせます。
  32. 関盛吉雄

    説明員関盛吉雄君) 下水道事業計画と三十四年度に計上されました予算、起債等の関係から事業量がどれくらいになっておるかという、大臣の御答弁の漏れておる点につきましてお答え申し上げます。  昭和三十四年度下水道事業建設省計上の下水道の点におきまして、ただいまお話のありました通りに十四億五千万というものが計上されております。そのほかに六十億の起債が今年の地方計画に入れられております。従ってこのほか厚生省所管に計上されております終末処理費等も合せまして、市町村の単独の事業を見込みますと、約百二十億程度のものが三十四年度下水道事業量として考えられると思いますが、これは先ほど大臣がお答えになりました長期計画として立っております緊急五カ年計画に対しましては、下水道の三十四年度事業量から見まして約三分の一程度と、こういうことになっておるのであります。
  33. 内村清次

    内村清次君 ただいまの大臣の御答弁ではまだまだほんとうに御研究なさっておるかどうか疑われるのです。これは時日もないことですから、私は決して無理は申しません。ただ私の期待しておることは大きいと言っただけなんです、あなたに対しましては。この点におきまして、そろそろ具体的なこの予算編成期に入って参りましようし、省といたしましては、これに対して来年度は一体どういうふうなところに重点を置いていくかという御研究がなされておる過程だと思っておりますからして、この際具体的な質問は差し控えますが、きょう実はもう少し私は期待しておったわけです。先ほど言いましたように、五つの柱の中のどこに重点を置いてやっていくかというそこまで御勉強ができて、各局に対してこの点に関する資料を集めてこいというような委員の御要求もあったことですからして、この点を一つ重点にやっていきますという資料も御配付になるものと期待しておりましたが、私決して無理は申しません。ですから新大臣の特色を発揮してこの次の委員会あたりには協力態勢が十分に各委員の方々から出てくるような態勢をあなたの方で作っていただいて、ここに重点を入れてやるというようなところははっきり明示して、協力を要請していただきたいことをむしろ私どもの方から御要求申し上げておきます。  ただ私たちが今までの経緯を見ましても、たとえば治山治水の問題にいたしましても、これはあとの方で数字がわかっておることですが、治山治水関係では六四%しか予算がとれておらない、河川の方が六三・五、海岸堤防の方が四三%、それからダムが六七%、砂防の方では六三%、こういった数字が出ておりますし、それからまた都市計画の方に対しては一九・七%、これは御承知と思いますが、本年度予算はあなた方の要求の一九・七%、下水道の方には三二・五%です。それから災害復旧の方では八九%、こういうような予算しか取れておらない現状ですから、この予算の全額をふやすと同時に、どこに重点を置いて五つの柱を解消していくかという点の御方針を、大臣の方ではここにはっきり明示して協力を要請していただきたいと思うのです。
  34. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 建設大臣説明に対する質疑は本日はこの程度にとどめまして、残余はこの次にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 御異議ないと認め次の議題に移りたいと思います。   ━━━━━━━━━━━━━
  36. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) それでは建設省並び北海道開発庁関係定員に関する件を議題といたします。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  37. 田中一

    田中一君 これは、建設大臣は北海道開発庁長官を兼務しておられるから、両方あわせて質問するわけですが、先日の臨時国会の終末日に、定員法の一部改正の法律案が成立いたしました。御承知のようにこの法律案は、どこまでも三十一国会の尾は引いておりますが、単独で政府提案となっている提案でありますので、まず最初に、行管の山口さんも見えておられるから、あなたの方から提案の趣旨という、まあ一応副総理が説明した程度のものでは困るのです。三十一国会の終末において、自民党、社会党両派の共同提案の修正案というものを一応正式にのんで、それを政府が全部のみ込んだ形で提案された、従ってその意図というものはどこにあるのか、また自信を持ってあれが提案された自信のほどとを、益谷さんが説明された以外の実際の問題を、委員会の審議は省略しておるのですから、その意味で適切な、親切な御説明を願いたいと思うのです。
  38. 山口酉

    説明員山口酉君) 第三十二国会で成立いたしました、定員法等の一部改正案についての政府の提案の理由を示せということでございますが、全面的に御要求があったようでもございませんので、北海道開発庁と建設省関係について一応申し上げます。  北海道開発庁関係につきましては、三十四年度事業計画に伴いまして増員を必要とする数九十五名、これは一部調査研究事務に従事する職員五名、それから道路管理の国営化に伴います道路事業の増加に伴う増九十名、合せて九十五名を増加いたしました。  それから建設省関係につきましては、三十四年度事業計画に伴います増員といたしましては二百九十四名を予定いたしました。これは建設行政強化に伴うもので四、道路事業の増加に伴う、これは北海道の場合と同様に、道路管理の旧国道の国営管理に伴う増、それが二百九十名、合せて二百九十四名を増加いたしました。  そのほかに北海道開発庁につきましては、三百三十七名常勤職員を定員内職員に繰り入れようとする、建設省関係につきましては千三百六名の常勤職員を定員内に繰り入れる、かような案でございましたが、この常勤職員の定員化につきましては、その数の決定は前国会の審議の過程におきまして国会で出されました数字でございます。これは当時の状況といたしまして、どうしても国会の御意思で、ある程度常勤職員の定員化をやれということになりましたのでございますが、その数を確定いたしますにつきましては、御承知のことと存じますけれども、両党の間で折衝が行われまして、総ワクの数字を決定され、さらにその最終段階におきまして、いろいろ実際にどういう数字が各省別に適切かということについて審議をされましたけれども、実は当時の状況といたしまして、これが実態に一番即するという確定的な事務的な案は、政府側においても実はできなかった、それで国会において最終的に決定されたのでございますが、政府側の意見といたしましては、実はこれを政令にまかせていただけば、実態調査を実施して、そうしてその次の国会において、それを再び御承認願うという形にするという意見を申し上げておるのでございますが、政令に一応でもゆだねることは適切でないという御意見になりまして、一応割当をした方がいいということで、内閣委員会の最終決定におきましては、国会がその割当をされた次第でございます。  今回、それをそのまま取り入れて政府原案といたしましたにつきましては、実は政府側といたしましては、当初に申し上げました数字は、これは三十四年度事業計画上ぜひ必要であるという数字で、当初予算の計上に伴い増員を予定した数でございますが、これはぜひ国会で成立させていただきたい、かような意思を持っておったわけでございますが、定員化の問題につきましては、これは必ずしもこの短期国会で早急にやるという必要も考えられないというような意見がかなりございまして、提案されるかどうか、最終段階まで見通しがつかなかったのでございますが、最後に、両党間のいろいろのお話し合いがございまして、その結果その政治的なお話し合いの結果として、すでに前国会における両党の話し合いの線で政府に提案するようにということになった次第でございます。  まあ、さような内情をすでに十分御承知のことと思いますけれども、従って、この定員に繰り入れました数字が、どういう根拠に基いてこの数字がはじき出されたかということにつきましては、提案理由で長官が御説明申し上げました通り、前国会における審議の御趣旨を尊重してやったというふうに申し上げる以外にはございません。
  39. 田中一

    田中一君 どうもずるい答弁で……、何も国会の意思というものがどうあろうとも、もしも前国会と同じような経緯でくるならば、なぜ三十一国会に提案された通りの政府原案で提案しなかったかということです。当然話し合いの約八千名というものの定員外職員の定員化という問題が、あなたの方で十分に納得しなければ、その数字なんというものは盛り込むべきものでないのです。  ことに、今まで行管は、ことごとに半人、一人の問題までも、やかましく言っておったのです。その責任が自民、社会両党にあるというようなことを言って、説明ができないと、そういうことでは、今までの行管の態度と非常に違うわけです。  そういたしますと、今後六万何千名といわれておりますところの常勤的非常勤職員の定員化の問題は、行管でお考えになるのはおやめなさい、国会が考えましょう。私は、そんなものでないと思う。ことに山口さん、あなたは、相当な心臓家であって、相当な自信家です。的確な数をあなたが握らなければ、たとえ政治的な圧力がかかろうとも、あなたは、それに対しては反発するような、りっぱな国家公務員です。それが、ここでのめのめと、そうして、説明ができない、これは自民、社会党の責任であるというような発言は、当委員会で通りません。それならばなぜ三十一国会の政府原案でお出しになって、そうして自民、社会両党の修正を待たないんですか。これを待たないで、それが政府原案になったということは、少くとも内容については、十分検討され、自信を持ってお出しになったものと私は考えるわけです。従ってそういう答弁はここでは通らない、聞かれないわけです。益谷さんの提案理由の説明というものは何も自民、社会両党の要求があったから、こうするんだとは書いてございません、そういうような信念のないような書き方はしてございません、はっきりと行管として自信を持って、その数字を上げたというふうに表現されております。あなたの言葉と益谷さんが言った言葉とは、非常な相違がございます。むろん副総理は、内閣の責任においてこれを提案したと言っておるわけです。局長のあなたが内容を知らぬなどということは言わさないです。  まあ、そう言わないで、内容がどういう見地から検討されて、どういう形の配分を各部局と話し合っているか、まあここでは、北海道開発庁並びに建設省の分だけでもけっこうですから、なぜ、数字がそうなったか、どういう数字になったかということを御説明願いたいと思う。そういうことでは、益谷さん以上の政治的な答弁であって、それは、公式の委員会ではおっしゃらない方がいいと思うんです。たとえその背景が、そうした政治的な折衝によって持たれた数字であろうとも、政府が原案としてお出しになっている以上、あなた自身は、それを消化しなければならない義務があるわけです。そうして体系づける義務があるわけです。でありますから、前段として含みのあることは、私も承知しておりますから、表われた数字の内容、なぜ、そこにそういう数字が盛り込まれたかという点についての基本的な行管の態度というものから進めて、この数字を説明していただきたいと思うんです。
  40. 山口酉

    説明員山口酉君) 数字の内容、数字ができました経緯については、先ほど申し上げた通りでございますが、それが政府原案として出たからには、内容説明しろというお話でございまして、これは非常にむつかしいのでございますが、政府といたしましても、提案したわけでありまして、それが非常にたえられない数字であれば、提案しないわけでございまして、従ってこの数字は、現在持っております常勤労務者の全体の数字から検討いたしまして、この程度の数字であるならば、増員を定員内に繰り入れしましても、将来の公務員制度の改革というものが、どういう方向にゆくか、実はまだ不明確でございますけれども、いずれにいたしましても、障害は来たさないであろうというようなことで、まあ大きくにらんで、この数字をそのまま原案に盛り込んだわけであります。  従ってこの数字がこまかく一人々々の点について提案されました当初の基礎的なものは、実は重ねて申し上げてはなはだ失礼でございますが、ございません。ただお話の通り法律としてでき上りました以上は、これをどういうふうにこなすかということは、責任をもって政府部内で検討していかなければならないことはお話の通りだと思います。これをどういうふうにして、現在の定員の中に、どういう姿で繰り入れるかという問題につきましては、これは実は数字の成立します当初は各省に打ち合せておりませんけれども、今後これを具体的に各省庁におきまして、それぞれの部局に新たなる定数として配置する場合におきましては、これをできるだけ合理的に配置しなければならないというふうに考えておりまして、それには第一に、まず定員を運用いたします責任ある各省庁の意見を十分聞いた上、全体といたしまして不合理が生じないようにしたいと思っておるのでございますが、実は最近のうちに、各省の担当課長のお集りをいただきまして、その席で十分御検討を願うことにいたしております。実は、その各省におそらく、それぞれいろいろの事情があると思いますので、画一的にはできないのではないかと思っております。
  41. 田中一

    田中一君 どうもあいまいで、私はもう、あなたもおそらくわからぬのじゃないかと思いますが、僕も、全くどこをつかんでいいかわからない。私の手元にある資料は、三十四年一月二十一日、行管が管理局長手元で作られたいわゆる自民社会両党の修正案、総ワク約八千名のワク内の事務的な分析の仕方でもって、数字が出ておりますけれども、これは何ですか、あなたの方で発表しているはずですから、この数字というものは、大体今後の配分になるのではないかと、われわれは予想をしておるのです。  そこで、これを前当委員会で、大臣に確かめてみますと、建設省の方でも、千三百六名というものがそうだというように答弁しております。千三百六名というものは、今の一月二十一日にあなたの方で調整した資料の中には、はっきりと出ているわけです。開発庁にいたしましては、御承知のように今あなたが御説明になった三百三十七名、これは常勤職員として……。三百二十七名定員化するような資料になっている。  そこで、この数字は、もはや確定したものでございますか。そうして定員内の職員と、定員外の職員と二つに大別して考えておりますうちで、われわれが定員外職員というのは、あなたがさっきからいわれているような常勤職員並びに常勤的非常勤職員を指していっているわけです。定員外の職員、定員法外の職員というものは常勤職員、常勤的非常勤職員といっているわけです。  そこで、それについておのおの各部局で、皆大ぜいかかえております。かかえておりますが、どれをどこから選び出そうとする考えを持っておるかということですね、法律では御承知のように常勤職員、常勤的非常勤職員が定員外の職員です。提案理由説明では、定員外の職員を定員化するのだというようにいっておる。従って、どれを対象として考えられた数字であるかどうか。
  42. 山口酉

    説明員山口酉君) 定員外の職員のうちで、今回繰り入れの基礎にいたしましたものは、常勤職員であります。これは前国会における御審議の事情もさようなことで進んで参りましたので、今回も、それを基礎にいたしております。
  43. 田中一

    田中一君 官房長に伺いますが、前委員会説明された千三百六名という数字は、これはコンクリートしたものですか。すっかり話し合いが済んでいる、これはきまったもの、あるいは今の監理局長答弁を聞いておると、まだすっきりきまっていないように思えますが、どうですか。
  44. 鬼丸勝之

    説明員鬼丸勝之君) 千三百六名という人数は、これは行管を通じまして、大体確定的なものであると承知いたしております。
  45. 田中一

    田中一君 山口さんに伺いますが、そこで、この配分が各部局と打ち合せをして、その要求━━各省の方の数字を検討しながら、今あなたが言っている、ように、常勤職員の数の中から選んだ数字だとおっしゃっているから、それは実態に即した個人々々のものは考えておらなかったのだ、全体の中から、そういうように考え出した数字をきめたとおっしゃっているのだが、どういう基準で、その数字を積算されたか、ぜひ伺いたいと思います。
  46. 山口酉

    説明員山口酉君) この数字の積算の基礎は、先ほどから申しましたような事情で、私は御説明する材料がございませんですけれども、これをどういうふうな基準によって、各省の部局に定数配置をするかということにつきましては、今後の問題になるわけでございます。  実情を十分伺いました上で、基本的な考えといたしましては、できるだけ原則に立ちまして職務の重要性というものから判断いたしまして、その数を割り当てることになろうかと存じますが、実は具体的の、どの人を選考するかということにつきましては、これは実は各省庁で、それぞれ任命権を持っておりまして、その任命権の範囲に属するわけでございます。総ワクの━━総ワクと申しましても、各省における定数の配置であります、そのワクの数字の算出根拠といたしましては、できるだけ重要な、職務の重要性というものを勘案して配置するのが、まず一応の原則であろうと考えております。  具体的にどの人を各省で定員内に繰り入れするかということは、これはその職員をどういうふうにして選考をいたしますか、選考基準を作って、人事院の承認を得た上で任命権者が決定することでございますので、行政管理庁といたしましては、その個々の問題にまで立ち入る権限もございませんし、立ち入る考えは持っておりません。
  47. 田中一

    田中一君 ただあなたが、さっき国家公務員法の改正を考えておる、国家公務員法の改正された場合に、この程度のものならば、行管で考えているものに対する支障はなかろうという考えのもとに、一応これをのんだという説明もしているわけなのですよ。職階制に関する法律がございますから、これは当然任命権者が個々の問題にするのに違いありませんけれども、あなたは、行管の一つの……きょうの読売新聞にも出ておりますが、国家公務員法を全面改正する、これは行管から出たか、あるいは内閣の調査室から出たか知りませんけれども、一つのアドバルーン。これは三十年に制度改正の審議会の答申があって後に四年経過しております。しかし、まだ出ない、成案ができない。ことに三十一国会には、国家公務員に対して当然提案するといっております、これも、とうとう出ない。今度は、三十五年には必ずやるといって、アドバルーンを上げております。どこにあなた方の意図があるか存じませんけれども、今国会で通過いたしました常勤職員の定員化の問題、これに対しては、あなた自身としては、これも、やはり国家公務員法の全面改正の、何か自分の鏡に照らし合せて各省に指示をするようなこともございませんね。これは、各部局がだれにどういう任命をしようとも、ワクははめないということは言えますね。どうです。
  48. 山口酉

    説明員山口酉君) ただいま申し上げましたように、行政管理庁といたしましては、各省庁が、省令等で出します内部の配置人員総ワクにつきまして協議を受けるわけでございます。  その際に、非常に片寄ったことにならないように、どういう根拠で配置をすべきかということについては、審議をする建前でございますが、その中に、具体的にどういう人を任命するかという問題は、これは任命権者が、人事権によって、自分で、これが適切と思う人を持ってくるわけであります。そこまでは何ら申し上げる権限を持っておらないと存じます。
  49. 田中一

    田中一君 では、どの辺までをあなたは指示しようという考えですか。個人々々の問題は、むろんそうです。おそらくあなたの方の行管が、これこれの職種についているものではいけない、あるいはこれならよろしいとかというような、相当な圧力をかけるような指示をするのではないかというようにわれわれはみておるのです。昨年の定員法改正のときにも、妥協してああいった数字になりましたけれども、あの内容を十分あなたの方から、報告書をもらって拝見しておりますけれども、これは、少くともあなたの方で、国家公務員の職種、あるいは年限等一つ一つに対する一つの基準というものが生れているわけですね。  今度の場合には、一面、自民党、社会党両党で話し合いをしたものをうのみにしたのだから、一応自分の方で意図しているところの国家公務員法の改正という点に支障はないから、一切の問題をまかしておくというふうに理解していいですか。
  50. 山口酉

    説明員山口酉君) 各省、画一な基準によってやるということは、現在の常勤職員の配置の状況が、必ずしも同様でございませんのと、業務の内容も、それぞれ違っておりますので、さような方法で基準を作ることはできないと存じております。  それで、できる限り各省の実情に応じて、適切な配分をいたしたいと思っておりますが、その場合に、ただいまの段階で、どういうふうなものを作っても承認するかということのお尋ねに対しましては、やはりそういう一つの各省の御意見が出て参って、それを見たしでないと申し上げられませんので、できるだけ各省の実情に応じて、無理のないようにやりたいということを考えておりますので、その点で、御了承いただきたいと思います。
  51. 田中一

    田中一君 あなたに、もう一つ伺って、あと建設省に聞きますが、この数字を見ますと、建設省の場合は、常勤職員は六千八十三名が、現在の数字なんです。これに対して千三百六名、従って二一%というのが、現在の常勤職員に対する比率です。それから北海道開発庁を見ますと、千九百六名が現在の常勤職員、それに対して三百三十七名ですか、一七%が割当なんです。そうして農林省関係を見ましても、相当大幅に伸びているわけです。実態から見ると。  これは、どういう形で、そういう公平に配分しようという考え方が、公平でないような印象、たとえば二〇%なら二〇%全部同じように配分するということならいざ知らず、これはやはり各省大臣の要求ではないと思う。あなたの方でチェックしていると思う。この点は、そのうちの一番著しい、私の心配している点は、デスクの者と現場の者とを差別をつけようという考え方があるのではなかろうかという疑惑を私は持っております。公共事業というものは、末端において、自分の労力でもって仕事をしなければならないものがあるのです。机の上へ足を載っけて指図しているという立場の者もあるのです。一般行政職の方のように、机に向って、来た者と応待しているという者ばかりではないのです。どうもそういう点が、行管として区別をつけるような傾向があるのではないかと私はひがむわけです。  そこで最後に、そういうような配分の比率が相違しておるという点からみましても、行管としては、現場とデスク、いわゆる事務と技能と申しますかもそうしたような職分の差別をつけようという考えはないのだというような理解をしてよろしゅうございますね。
  52. 山口酉

    説明員山口酉君) この前の配分につきましては、先ほど来申し上げました通り、各省の御意見は、承っておりません。各省では、配分の基礎はおわかりでないと存じますが、実は、正直に申し上げますと、私どもも、この説明は十分にできませんし、これが、非常に公平無私であるということも自信をもって申し上げられません。  ただ、ただいまお話のございましたように、その中に差別をつけようという、職種によって差別をつけようということは考えていなかったわけでございますが、しかし公平に、各職種を通じてできるだけ公平にしたいという気持を持っております。それは、現在の数についてのみ考えればいいようなわけでございますが、実は、現在の数の確定数を三十一国会の当時持っていなかったのです。実態調査をやっておりませんでしたので、その前の年に、実態調査をいたしまして、二万七千人の繰り入れをやったわけです。その当時の基礎資料を使いまして、その基礎資料から、その後の変化の状況を推定いたしまして、そうして現在は、そのような状況であろうというものを考えて、その状況に応じて、こういうふうにやった方が公平ではないかという意見を国会の方に申し上げましたけれども、国会の方にも、一つの案を持っておりまして、私どもの意見を全面的に取り入れられてはおりません。従って私どもといたしまして、これが事務的にも、公平だということは実は申し上げられません。  ただ、いずれにいたしましても、これは、すでに法律としてきめられたものでございますので、でき上ったものをできるだけうまく運用しなければならないという立場で、これから各省と具体的に折衝いたしまして、各省のできるだけ運用のしやすいような方法に、原則をそこなわない限りで承認いたしたいと思っておりますが、将来の問題といたしまして、まだ常勤労務者並びに定員外常勤的非常勤職員の問題はございまして、前国会でも、行政管理庁長日から国会に申し上げました通り、近く抜本的な対策を講じたいということで、七月一日現在の実情を把握するために、約今後四カ月くらいの日数がかかると思いますけれども、各省にも御協力いただきまして、実態を調査して、その上に抜本的な方策を立案いたしまして政府部内で協議、決定されましたならば、来通常国会には、御審議をいただきたい、かような心づもりをもって目下作業をいたしております。
  53. 田中一

    田中一君 受けて立つ建設省の方に伺いますが、三百三十七名の開発庁長官の配分の考え方、それから千三百六名というものに対して、建設省は事務的に、どういう形で行管の意図する、行管の配分に対して受け取り方として、どういう配分をしようとするか、御説明いただきたいと思うのです。
  54. 鬼丸勝之

    説明員鬼丸勝之君) お答えいたします。  今回、定員化されることになりました千三百六名の建設省部内における配分の考え方についてお尋ねだと思いますが、その点につきまして、まず申し上げますと、御承知のように、あるいは先ほどちょっとお漏らしになりましたように、今回の千三百六名という定員化の員数は、準職員六千八十三名に対しまして二一%四くらいの割合になっております。そこでこれを建設省といたしましては、本省と付属機関の部門に若干、それから各地方建設局の部門に大部分を配分することになるわけでございます。  で、この内訳の配分の数字につきましては、先ほど監理局長も申されておりましたように、行管当局とも、十分相談いたしまして決定することになるわけでございます。もちろんその際、地建の実情等も、十分勘案いたしまして、大部分定員化の数は、地建の方面に配分する、こういうことに相なると考えております。具体的な数字は、目下行管の当局とも打ち合せ中でございます。まだ申し上げる段階に至っておりません。
  55. 池田一男

    説明員(池田一男君) 北海道の定員化につきましては、先ほど来のお話の通り三百三十七名が、今度定員に繰り入れられることになりましたのでありますが、これの配分につきましては、従来の関係も考慮し、しかも現地の開発局におきましては、地建に相当するようなものが開発建設部と申しまして、十カ所ございまして、それに重点を置きまして、各開発建設部の定員化に重点を置きまして、配分したいと思います。  それで、その調査は、ただいま進行中でございますので、できましたら、行管の方とも相談いたしまして、早急に定員化をしたいと、こう考えております。
  56. 田中一

    田中一君 そこで、昨年ですか、一昨年でしたかに、給与法が改訂されて、行一、行二になった。そこで、どうも今山口さんは、すなおな筋の通った答弁をしていますけれども、行二の方に対する愛情と申しますか、理解と申しますか、そういう点が、非常に欠けているのじゃないかという危険を多分に感ずるのです。むろん行二の俸給をもらっている諸君が、あるいはその中には、現場の事務には堪能しているけれども、他の面等には遜色があるというようなものもあるかもしれません。しかしながら国土事業というものは、何といっても、どこでもきまるわけです。きまった場合には、実施するのが主眼です。従って私は、建設大臣としてまた北海道開発庁長官としては、現場の技能者、これらをどうしても日の当るところに持っていって、責任を感じさして、同時に、当然な身分を当然化して正当化して、仕事熱意を持たして仕事をさせることが、一番望ましいことなんです。事務的に、非常に偏重するようなことがあっちゃならぬと思うのです。たしか、そのために、今度の場合、六千名からあるうち、千三百名足らずの者がくると、非常なやりにくい面が多々あると思います。思いますが、行管は、そういう指図はしないと言っておりますけれども、事務、技能の両面を、いたずらに事務偏重というような形にあっちゃならぬというように僕は考えておるのですけれども、その点は、行管では、そういうようなことまでも言われております。しかしまた話を開いてみると、どっかに一つ方針というものが、陰に隠されておってそれが、うしろの方で圧力をかけることがあるのではないかというような心配をするわけです、ですけれども、その点については、現場の任命権者、この方々の意見を十分に尊重して、そして配分するようにしていただきたいと思うのです。これが第一の注文です。  それからもう一つは、この今度の約八千名というものは、定員化された。しかし残っておる者は、まだ五万五千名程度あるのです。これはむろん建設省関係では九千名、いや九千名じゃない、もっとあります。一万名程度、一万名以上あると思いますが、これらの者を、一体どうするつもりか。今度の考え方は、常勤職員の中から選考しようという基礎的な立場に立っておるならば、残っておりますところの約一万名というものを、全部常勤職員として転格させなければならぬと思うのです。  この点については、これは、もう今まで歴史的に見ても、歴代の建設大臣は、行管に対する理解と、大蔵省に対するところの予算の裏づけ、これの二面にわたって、長い間要請してきているのです、北海道開発庁長官として、あるいは建設大臣として。ところが、なかなかそれがいかない。四年前にようやく五千四百名というものが、常勤的非常勤職員が、常勤職員として転格されたという事例があるに過ぎません。松永主計官が見えておりますから、あわせて伺いますけれども、たしかこの問題は、松永さんあなたの所管でしたね━━そこで大蔵省の方としても、残されておるところの常勤職員並びに非常勤職員の総員を、これは何も、もう━━一般の全部の共済組合の加入とか、いろいろな問題が、もう解決されておるのです。登録されたところの常勤的非常勤職員というものが、現在常勤職員並びに一般職員と同じような処遇を受けつつあるのです。ただ、違っておるところが、二点しかないわけです、現在では。有給休暇の点が、まだきまっておらないことが一つ。それから旅費等が、日額旅費を含んだ旅費等が、これは常勤的非常勤職員には当てはまっておらぬということです。処遇の問題につきましては、この二点しか相違がないわけですね。  そこで建設大臣にお願いしたいのは、━━建設大臣並びに北海道長官としてお願いしたいのは、これらの人たちを、この際、行政措置でできるのです。そして、三十四年度予算の裏づけから、こう計算してみると、大体年間六千円程度が支出されれば、これは全員この常勤職員になれるのです。まあ六万名としても、大したもんじゃないのです。六、六、三億六千万あれば、全部準職員になれる。建設省の場合には、そんなものじゃない、もっと少い金額でいいわけです。何千万でいいのです。一万名として六千万です。これだけあれば、全部裏づけられたところの将来定員化される職員の立場に立つわけであります。従って、ことしは一つ、この三十五年度予算を計上する前に、その折衝を行管並びに━━これは行管じゃない、主として大蔵省です、大蔵省の方と折衝しようとするか。これはもう歴代の建設大臣が要求しておるのですから、その今までの方針を堅持してここで幾ら━━私は全員と言っておるのですが、全員ですね、常勤的非常勤職員を常勤職員化に持っていくかどうかということについての御見解を伺いたいと思います。
  57. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 非常にむずかしい問題の点がありますので、事務当局から御答弁をいたしたいと思います。
  58. 鬼丸勝之

    説明員鬼丸勝之君) ただいま田中委員の御質問の趣旨は、建設省関係で申しますと、今回の定員化の千三百六名が常勤労務者を対象にして行われるということでありますから、千三百六名分だけはいわゆる準職員の定数が減る、減員されるということになるわけでございますが、その点につきまして、常勤的非常勤職員から、まあ端的に申しますと、穴埋めをしたらどうかと、こういう御趣旨だろうと拝承いたしたのでございますが、この問題は、今まで、従来、常勤労務者等、補助員も含めまして、これの定員化を建設省といたしましては要求して参りましたいきさつもございますし、今回の千三百六名分に見合う数字を直ちに常勤的非常勤職員から準職員に昇格させる、つまり穴埋めをするということは、理論的にも、なかなか筋の通りにくい面がありはしないか。また、かつ予算措置といたしましても、費目の移用流用というような問題もございまして、非常な困難な面があると考えられるのでございます。  しかしながら、なおこの問題につきましては、事務的には大蔵省当局とも十分相談をいたしまして、検討をすることはいたしたいと考えております。
  59. 田中一

    田中一君 この常勤職員と一般職員との給与の差というものは、どのくらいあるのですか。私は、全然ないのじゃないかと思うのです。俸給表によるところの差異はむろんあるでしょうけれども。これは松永主計官答弁して下さい、あなたの方でいいのでしょう。
  60. 松永勇

    説明員(松永勇君) 常勤的非常勤職員というのは、予算科目で申し上げますと、まあ常勤職員というのは目を立てております。工事事務費のうちの目、常勤職員給与。常勤的非常勤職員というのは、工事事務費のうちの工事雑費から支出されるわけであります。  従って現在のやり方は、まあ間接費、工事に伴う間接費の職員ということになっておりますので、その実際の個々の給与の基準は、これは建設大臣がきめて払っておりまして、大蔵省としてはいわゆる工事雑費ということになっております。  従って、実際の給与の支払いは建設大臣が、訓令だったと思いますが、きめておる次第でございます。
  61. 田中一

    田中一君 そうすると、常勤的非常勤職員を常勤職員に転格さすことは困難だということになりませんね、支出面から見て。どっちなんですか。なるのですか。
  62. 松永勇

    説明員(松永勇君) それは困難だとかということじゃなくて、今申し上げましたのは、そういう給与が、どう違うかということを申されましたので、給与の実態は、建設大臣がきめておるのだと、建設大臣の訓令によってきめておるのだということを申し上げましたので、それを定員にするかとか、常勤にすぐにするかとかということとは話は別だと思います。
  63. 田中一

    田中一君 じゃあ、官房長に伺いますが、私が言っているのは、残されている九千名全部を常勤職員にせよというのですよ。  あなたは今千三百六名の定員化された職員の穴埋めですか、穴埋めすら困難だと言う、その困難の根拠を示して下さい。
  64. 鬼丸勝之

    説明員鬼丸勝之君) 田中先生も御承知のように、現在建設省定員外職員といたしましては、なお常勤労務者  でも五千数百名、それから常勤的非常勤職員といたしまして九千名おります。私どもといたしましては、これらの定員外職員につきましては、勤務の形態、あるいは職務の内容からいたしまして、定員内職員と同様と認められますので、これは全員定員化をいたしたいということで、今後も、その定員化の要求をし、かつその実現に努力する決心でございまするが、ただいまお尋ねの点は、今回の千三百六名の定員化に伴って、常勤的非常勤職員からいわゆる常勤労務者の穴のあいた方面に穴埋めをしたらどうかと、こういう御趣旨だと承知いたしましたので、その点は、先ほどお答えいたしましたように、非常な困難を伴うと、事務的にも困難を伴うものと考えるということをお答えしたような次第でございます。
  65. 田中一

    田中一君 全員定員化の問題は、建設大臣も、歴代の大臣も要求しておるのです。同時に、また行管としても、総理府の制度調査室、この答申を待って、具体的な全面的な国家公務員の制度を変えたいと言っているのです。  これはもう答申は三十年に出ているのです。おそらく内閣としては一つのものを持っておると思う。それが三十一年、三十二年、三十三年、三十四年と、四カ年を経ているのです。今日まで。これは全面的改正をいたしますと、きょうの読売新聞に出ております。これは、私はそれを信用しないのです。調査会の調査委員が答申をしておる。その答申が、われわれはいつもその問題で、国会で論議をする場合に、全面的改正のときに、全部を適切な、何というか正しい立場に置きますということを答申しておる。していながら四年経ておるのです。全員定員化の問題を言っておるから、常勤的非常勤職員を常勤職員にするのは筋が違うのじゃないか。これは一応、あなたの言っておることは筋が通る。そういう段階なんか認めない、全員定員化をわれわれは要求しておるのは、その立場に立っておる、その通りです。しかし、今までだまされ続けておるのです、その四年間、りっぱな技能を持ち、知識を持っておる諸君が、日雇い人夫と同じような境涯にあるということをあなたは知らなければならない。官房長、あなたは、現場のことはあまり明るくなくてもいいかもしれないが、現場の実態をごらん願いたい。もうだまされませんという。だから一つの段階として、国会で、国会の意思というものが、約八千名定員化ということを行管がのんだということの現実から見て、あるいはまた全部で二万名の増員を国会が要求するかもしれない。その場合に、さてやはり同じように常勤職員のワクから、これを拾い上げますということになりますと、これはとんでもないことになる。常勤職員の中から拾い上げますというような考え方が、今度初めて出たからあえて私は申し上げるのです。私が今建設大臣に言いたいのは、行管が、そういう常勤職員の中から今度の千三百六名というものはとるのだという考え方を捨てていただきたいということです。実態に即して、ほんとうに日本の国土事業の重要な部門を担任しておる、一応国家公務員としてのワク内にある条件を備えておるところの人たちには、そういうような給与面からの行一とか行二とか、あるいは技能者とか事務屋とかいうような区別なくして、適正なる登用、転格の面をはからなければならないと思うのです。官房長は逆襲したつもりで僕に言っておられるかもしれないが、国会が、また二万名もし増した場合にはどうするのか。その場合には、今度のように国会の意思で八千名ふやしたというならば、やはりわれわれとしては、当然これは常勤職員としての形まで転格させなければならないと思う。当然のことなんですよ。困難性ということをあなたは説明していないのですよ、私のあげ足をとったつもりで言っているかもしれませんけれども、万々承知の上で、申し上げているのです。どこに困難性があるのか。それならば、三十一年にわれわれが大蔵当局と、主計局長と大いにやり合って、当時一万何名という、約九千何名だったかな━━常勤的非常勤職員を常勤職員に転格さしたという事実を官房長あなたは知っているでしょう。その場合に、建設省の場合は、これも行管の山口さんが言っているように、数字を持たなかった。あなた方も、数字を持っていなかった。要求している側の方も、数字を持っていないのですよ。この辺であろうという、一万八百名という数字を示したところが、それなら、まあその中の、手を打って半分の五千四百名を認めましょうということが大蔵省から言われて、建設省としても、これを承認して、これが常勤的非常勤職員が常勤職員になった事実があるのです。  その際にも主計局長は、これは単にこれだけをするのではない、実態を調べて、当然な方々は、どしどしと常勤職員はおろか、一般職員にもするのだということを言明しているのですよ。こういう動きが強くなると困るものだから、国家公務員制度全部を変えるのだ、変えるのだと言って四年を経ているのです、きょうの読売新聞を見ますと。  これは松永君個人的なことになっていかんけれども、松永君、この間も言っておりましたね。昨年の暮に、松野総務長官は、必ずこれをやるということを、ちょっとあなたは個人的な解釈を言っておった。やはり現実としてできないのです。そういうことでもって、村上さん、あなたは現場で、命がけでもって働いているあなた方の職員が不安定な状態に置かれていいと思っているのですか。どういう困難性があろうとも━━官房長の言われる通り困難があることはわかっておるのですよ。困難があろうとも、何とかしてこれらのものをせめて━━今の段階では、国会があるいはまた一万名、二万名の定員化の法律案を出すかもしれない。われわれは要求するかもしれない、その場合に対処して、常勤的非常勤職員を常勤職員の座にすわらせるという努力をしなければならぬと思うのです。むずかしい問題じゃないのです。これはもう五年、六年、七年と長い間あなた方の耳にタコができるほど、この問題では論議し尽してきておるのです。従って建設大臣一つ強い意思をお示しを願いたいと思う。  これは今まで全部やってきておることですよ。あなたの前何代かの前任者も、この問題については五千四百名という人たちを常勤職員に転格させたという実績を持っておるのですよ。国家公務員法全部の改訂をしてから、それをするなんということに、だまされてはいけません。御答弁願います。
  66. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 田中委員の御趣旨、よくわかります。また職員に、少しでも誇りを持たし、一つのプライドを持って仕事をやるということについても、これは今後も、積極的にやるべきであろうと思います。特に、その技術また職員としてりっぱな働きをしておる者に対しましては、われわれは、十分これが常勤職員になるように努力いたしたいと思っております。  ただ、今回の穴埋めという問題につきましては、これは、もう少し検討した上でお答えいたしたいと思っております。
  67. 田中一

    田中一君 穴埋めと言ったのは、これは官房長が言っておるのですよ。私は九千九百名全部を常勤職員として転格させるように努力すべきだ。また国会が八千名でも、一万名でも二万名でも、定員外職員を定員化させるということになったならば、受け取る座がないわけです。座が五千余名しかない。まだ九千名残っておるわけです。それを全員常勤職員の座に着かすべきだということを要求しておるのです。  穴埋めということは、官房長が先ほど言ったのですよ。だからその点は間違いないようにしてもらいたい。全員常勤職員の座に着かすべきことに努力していただきたいと思います。
  68. 田中清一

    田中清一君 本日の「業務の概要」の中にあるのですが、高速自動車道については、「高速自動車、国道中央自動車道(小牧市・吹田市間)及び高速自動車国道吹田神戸線(吹田市・西宮市間)を、昭和三十七年度に供用開始することを目途として整備するほか、」としてありますが、まことにこれはあいまいです。  すでに三十二年の八月に、これはわれわれの審議会において建設命令が出ておりまして、そうして相当な予算を獲得しておられるのですが、われわれの調べたところによると、まだほとんど地面の買収すらも遅々としてというか、むしろほとんどないと言って差しつかえない。汽車の廃線敷を五キロばかり買って大きな地鎮祭をしたりなんかをして、実に国民の中には、相当に批判をしておるのです。こういうような遅々としたことでは、これはほんとうに仕事も何もできない。何十年間かかるおつもりなのか、これを目途とするということじゃなしに、もっとしっかりしたことを聞きたいのですが、きょうは皆さんお疲れでありますから、きょうは私は言いませんが、どうかこの次の委員会には、道路公団総裁なり、その当時の道路局長であった富樫先生にも、また今の道路局長殿はもちろんでありますけれども、いらっしゃって下さって、私どもは、その時言質を得て、その当時にすでに岸道路公団総裁は、もうすでにその地面の方は百姓はもうすでに承知しておりますからということが、速記録に残っておるのです。それにもかかわらず、いまだに濃尾平野には、一つも買っておらぬということです。  それらはまことに怠慢といいますか、ほんとうに国民としては非常に迷惑なことですから、どうか一つそれを聞かしていただく、今度一つ道路公団総裁一つお連れ下さいまして、そうして私どもに話を聞かしていただきたい、これだけ希望いたすわけであります。
  69. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) ちょっと言っておきますが、これからは、議題の範囲においてのみ御質疑を願って、それ以外のところは、また委員長のところに申し出て下されば、その日の議題を追加いたしますから、今はとにかく定員法の質疑があったのですから、これはあなたの非常に全生命をおかけになっている道路についての質疑ですから、これは今後(田中清一君「これにはこうなっている。」と述ぶ)もちろんそうですが、議題がそうなっていますから、今後における委員会の運営は、そういうつもりで一つお願いをいたしたい。
  70. 田中清一

    田中清一君 今申し出たことは、この次に取り上げて下さいますか。
  71. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) ええ。それじゃ本件に対する質疑は、これをもって打ち切りまして、暫時休憩をいたし、午後は、大体二時にいたしたいと思います。    午後零時五十二分休憩    ―――――・―――――    午後二時十四分開会
  72. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 午前に引き続き建設委員会を開会いたします。  まず職業訓練法に基く建築関係技能検定に関する件を議題といたします。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。  この議題に関して政府側から説明員が、ただいま建設省から大沢政務次官、高田建設事官稗田住宅局長、それから労働省からは有馬職業訓練部長の四方でありまして、後ほど中小企業庁の川瀬振興部長が見えます。
  73. 田中一

    田中一君 稗田局長に伺いますか、この職業訓練法は昨年の国会で通りまして、われわれの法律の理解は、少くとも職業訓練法の目的とするところは、中学を出て職がなくて、たんぼもなくて職がないという地方の二、三男とか、あるいは社会的に日陰にあるような、劣っている職業であると言われているような職人の持つところの技能、こういうようなものが漸次その技能を習得する者が少くなってくるという点や、または東南アジアに日本の簡易な技術を輸出する等のまことに妥当な目的を持った法律案として上程され、ことに衆議院段階においては、社会党の申し出による修正も自民党の了承を得てこれも認められ、かつ参議院におきましても私がちょうど社会労働委員会に出向きまして、二日間四時間余質疑をして、一応この法律案に対する賛成の意を表して成立したものでございます。残念なことには、当時建設省はあなた方の事業の末端においては、当然この職業訓練法に基く技能というものが含まれておるにかかわらず、この法律の制定あるいは国会における審議の過程においても関心を示さない、という点については非常に遺憾に思います。過ぐる三月二十五日の予算委員会における私の質疑によって、そういうものがあったのかというような、まことに残念ながら薄い関心しか持たなかった、というような現実があるわけであるが、その後聞いてみますと、建設省の方でもこれに対しては相当な強い関心を寄せ、またこの実施に当っての数々の条件等も労働省の方に申し入れ、かつ建設省が掌握する技能習得者に対しては、一応建設大臣あるいは建設当局との了解のもとに実施をする、というような申し入れもしたかのように聞いております。そこで建設大臣がおりませんから大沢政務次官に伺いますが、この問題が今申し上げたような精神をもって立法されながら、訓練法という主目的が忘れられて、現在それらの技能を習得している者に対する検定をして位づけをしよう、というような段階にきておるように聞いております。先月来持っておりますところの職業訓練審議会の答申も出たようでございます。そこで建設省としてはあなた方の事業の末端が掌握する技能習得者に対して、現在労働省が考えておるような施策というものが妥当なものであるか。あるいはまた今までの御意見をどういうように労働省の方でそれを理解しておるか。それぞれ今までの経緯と、あるいは申し入れの文書があるならばその文書等について、一応の今までの経過を御報告願いたい。
  74. 大沢雄一

    説明員(大沢雄一君) 田中委員職業訓練法の立法の精神等に関しまする御意見、まことにごもっともでその通りと拝承いたした次第でございます。  建設省といたしましては、労務者の検定につきまして、労働省に対しましてもいろいろと希望その他の意見を申し入れまして、立法の精神に沿うた検定が行われまするように希望をいたしております次第でございます。ことに御案内の通りに非常に建設省の業務と関係のありまする職種等につきましては、一そう本省の立場からそれらの点につきまして十分考慮いたさなければならぬと考えておりますることは、ただいま御注意の骨子の通りと考えておりますわけでございます。従来の経緯その他につきましては、申しわけありませんが、私まだ参りまして日が浅うございますのでよく承知をいたしておりませんから、住宅局長からお答えを申し上げることにお許しをいただきたいと存じます。
  75. 稗田治

    説明員稗田治君) 職業訓練法検定実施に伴う建設省と労働省との意見調整の経過について申し上げます。  労働省に対しまして建設省としましては、事務次官名で意見を申し入れたわけでございます。  その一点は技能検定技能士の性格上、実技に重点をおき学科は実技を補足する程度とし、高度の内容は要求しないことというのがその一点でございます。  第二点は、建築大工は建築士とは本質的に異なるものであるから、その制度及び試験においてはこれを明確に区別すること。  三点としましては、建築士が建築関係職種の技能検定を受験する場合は、建築士の受験学科と重複する学科の試験を免除すること。  四番目としましては、技能検定の結果与えられる技能士の称号は、直ちに労務者の営業上、雇用上有利な条件となることが予想されるので、技能検定の実施に当っては次の点に留意していただきたい。一つは、受験資格を有する者には、それぞれの職種について、全国的に同一に受験の機会を与えてほしい。第二点としましては、特に学科試験に不慣れな者に対しては、口頭による試験または講習会を行うというような方法を考慮していただくというような点でございます。  なお、建設省所管の業務に関係ある職種に関しましては、以上述べましたことについて措置をしていただくほか、検定実施職種の決定技能検定委員の選任及び試験委託団体の選定、その他検定実施の時期、方法等についてはあらかじめ建設省と協議していただきたいという点を申し出たわけでございます。  それで現在までの段階を申しますと、第一点につきましてはつまり技能に重点をおいていただくということでございますが、これはすでに事務的に話し合いまして調整済みでございます。  第二点、つまり建築士法との競合の問題でけじめをはっきりしていただきたいということと、建築士の資格を持っておる者が技能検定を受ける場合の重複する学科の免除の点でございますが、この二点と三点につきましては了解を受けておるわけでございます。  第四点の受験の機会を均等に与える問題につきましては、二級建築大工の技能検定は全都道府県、一級につきましては受験者数によりましてもはっきりと確定はできないのですけれども、全国でほぼ二十個所程度に予定をされておるようでございますので、一応全国的に機会は均等に与えられておるのではないかというように考えておるわけでございます。口頭による学科試験でございますとかあるいは講習会の実施等につきましては、今後検定実施に至るまでの間に検討を要する問題として残されておるわけでございます。  それから第五の新しく職種の決定につきましては、今後建設省とともに協議して運営していくというような見解を得ておるわけでございます。  以上が職業訓練法検定の実施に伴いまする、今日までの建設省と労働省間の事務打ち合せの調整の結果でございます。
  76. 田中一

    田中一君 それを一つ資料にしてお出し願いたいと思うのですが、あなたの方の意見並びに労働省との調整ができた点は調整できた点として、経緯を一つお出し願いたいと思います。
  77. 稗田治

    説明員稗田治君) 資料は後ほど揃えまして提出いたします。
  78. 田中一

    田中一君 そこで有馬さんに伺いますが、昨年、あなたおられたかどうか、石田労働大臣とそれから次官だと思ったな、たしか……社会労働委員会で私は主として建設労働者、建設各職労働者の立場からいろいろ御質問したわけです。そうして問題点というものを指摘いたしまして、これらの点に対してどうするかということをるる申し上げたはずなんです。大体これはむろん受け取り方の問題があると思うのですが、私は新しく職業訓練をしようという相手、いわゆる訓練所に入所しようという者に対する職業訓練、並びにそれによって起るところの、受験の資格をとった者たちから発生するところの数々の施策、むろん検定なんというものはございません、試験というものによってその格づけがされるというふうに了解された。これが前提となっての質問だったんです。ところがそれが三十四年度予算の上において見ましても、たとえば今、大工とかあるいは板金工とかに対する検定をしようというような考え方に変ってき、かつまた職業訓練そのものに対するところの労働省の対策というものが非常にまずしいものなんです。一体どのくらいのものを準備し、またどのくらいのことを、予算を入れてあるいは地方なら地方の補助をして行おうとするのか、大体この法律制定後実施されて今日までの労働省の対策を、大づかみに一つ説明願いたいと思うのです。
  79. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 田中先生の御質問の第一点でございますが、その法律制定の際に検定と、それから訓練所における各種の試験、特に卒業試験と、その当時話がこんがらがっているような御質問でございましたが、訓練法は、御承知のように、訓練と検定とは明らかに章を別にいたしまして、第五章に技能検定という章がございまして、これは職種の選定なりやり方については、政令にまかしておる受検規定が多い章でございますが、そういう立て方になっておりまして、訓練期間中における各種の何といいますか、半年ごとに行われる試験というものとは性質が違う規定になっております。そうしてこの検定の章は一年間準備期間を置いて大体今年度から実施しようという、こういうふうな当時から予定をしておった章でございます。  第二点の訓練の現状でございますが、これは今まで戦後のだけをとってみますと、昭和二十二年から補導所という名称で経営されておった施設を終了した終了生が総数で二十九万六千人ございます。また訓練法ができる以前の労働基準法時代に、技能者養成規定に基いて養成施設において終了した終了生が、同じく二十二年からの累計でございますが、八万一千人ございます。こういうふうな実績をもちまして、今日におきましては、この公共の訓練におきまして約五万五百人、事業内の訓練におきまして六万二千人、こういうふうな訓練生が各種の訓練期間はございますが、総数において約十一万三千ばかりの訓練生が訓練されておるという状況でございます。これを予算の面から見ますと、本年度予算で申しますと、国の関係の予算がこれは補助金もありますし、直接事業団に対する運営費、交付金、あるいは出資金という形、いろいろな形がございますが、国が出しておる予算が十九億二千万円、地方負担をしておる予算額がこれは概数でございますが、約十四億九千万円、こういうふうな予算で訓練事業を運営しておる次第でございます。
  80. 田中一

    田中一君 そこで先月末まで審議をした審議会に付託された案並びに答申、これを一つ資料としてお出し願いたいのですが、お持ちですか。
  81. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 答申は持っておりますから、本日よければお配りさしていただきます。
  82. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 配って下さい。
  83. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 今、政府委員室から持って参ります。
  84. 田中一

    田中一君 そこで答申案を拝見したいのですが、答申案による検定の実施という点についての現在までの経過を一つ報告願いたいのですが。
  85. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 答申が出されるまでの経過を簡単に申しますと、昨年の九月中央職業訓練審議会が、前の工業大学の学長をしておりました内田さんを会長といたしまして発足いたしました。検定の問題については、法律にも検定に関して特別の部会を設けるというふうに書いてありますように、非常に重大な問題でございますので、早速検定部会を設けましてそうして過去十カ月近くの間、部会といたしましては前後七回開催いたしました。その結果に基いて審議会の答申ができたわけでございます。その間におきまして産業界の専門家、それから関係各省の専門家、これには当然建設省の専門家の方々も御参画願いまして、検定の実施細目について検討を加えて参ったわけでございます。まあその結果の大事な点だけが答申という形で出ているわけでございますが、ここに至る過程におきましては議事録に明らかに出ておりますように、いろいろな討議がなされて紆余曲折があってこの答申がなされたわけでございます。  また一方におきましては、われわれといたしましては、昨年の十一月から検定を実施するための準備といたしまして、今年実施をいたします五種目について逐次試行検定と申しますか、トライアルを実施いたしました。今日まで延べ約六百人の対象に対しましてトライアルを実施して参ったわけでございます。これらのトライアルの経験を基礎にいたしまして各府県を督励いたしまして、現在実施の準備につきまして最終的な指導をしている段階でございます。
  86. 田中一

    田中一君 答申に基いて今労働省はどういう方向に行こうということを考えているか。また現在地方自治団体ではいろんな方面において相当な動きを示しているのです。それらは答申というものに基いた労働省の確固たる方針がきまって指示しているものか、その点はどういうことになっておりますか。
  87. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 答申ができます過程におきましては、最初の原案がだいぶん修正されたわけでございますが、その段階々々に応じまして各府県を指導いたしまして、今日最終的な答申の内容に従って準備事務を指導している段階でございます。
  88. 田中一

    田中一君 職種としては何と何ですか。
  89. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 工業的な職種といたしましては機械工、仕上工、機械製図工、それから手工業的な職種といたしましては建築大工、板金工、この五職種でございます。
  90. 田中一

    田中一君 検定を行うという方法等については具体的な案は現在持っておるのですか。持っておったらそれを資料としてお出し願いたいのですが。
  91. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 今日お配りいたします答申がその実施の大要でございます。
  92. 田中一

    田中一君 一応この答申案について説明を願いたいと思います。
  93. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) ただいまお手元にお配りしました答申案は、二十九日の総会で結論を得られたものでございますが、この六日に会長から大臣に答申が行われたわけでございます。前文のところはお読みになればおわかりかと思いますので、実施の大綱についてのところから簡単に大事なところだけ御説明申し上げます。  まず第一に検定の実施の基本的な態度というところがございますが、ここにはいろいろな専門家の意見を徴して周到な準備のもとに実施する職種、地域の範囲を拡大する。それからまたヨーロッパの例に徴しても長い歴史の上に今日の成果をおさめているものであるから、絶えず実施に踏み切っても研究改善を加えてよりよい制度にする、これが基本的な態度でございます。御承知のように、技能検定をやります場合には、将来どういう範囲の職種にどの程度の規模において検定を実施していくかということが、まず問題になるわけでございますが、この答申の四ページのところにも検定の職種というものの考え方が書いてありますが、職業訓練職種のうちに客観的に技能程度の判定を行うことが困難と認められるもの、技能内容が比較的単純なもの、こういったものは除外いたしまして、技能に相当の幅があるという職種について検定を行うべきである、こういう考え方からいろいろ検討したわけでございますが、職種の数において大体大きな職種に統合するという考え方でいきましても、約八十程度の職種が検定の対象として見込まれるわけでございます。これに従事する労働者の数はぴんからきりまでありますが、国勢調査の結果から申しますと約五百万ございます。すなわちわが国の雇用労働者が千七百万ばかりおりますが、その約三割に当るわけでございます。その中でこの検定の次のところにも書いてありますが、大体検定の対象になる年令層は二十から三十ぐらいまでを考えておりますので、二十代の年令層をとりますと約百五、六十万になります。これらがまあ検定の潜在的な対象人口になるわけでございますが、それほどの規模を一応推定しておるわけでございますが、これを一気に検定を開始するということはとてもできませんので、大体八年がかりで検定を軌道に乗っけていこう、こういう目標を立てまして、この基本的な態度をきめたわけでございます。漸次漸進的に検定をやっていこう、こういう考え方でございます。  それから第二の実施の大綱のところの技能の程度でございますが、これは法律には一級と二級という二段階の区分を示してありますが、この一級と二級の技能の程度をどうするかということでいろいろともんだわけでございますが、結局各職種に通ずる抽象的な基準としては二級の程度は下級の熟練工、これはかけ出しといいますか、ようやく熟練工に達した者という程度。それから上級の方の一級は上級の熟練工、まあこれは当り前のことを言っているような感じがしますが、この間、この結論を出すまでには三月ほど審議会の部会においてもいろいろな検討がなされて結論としてこういう基準ができたわけでございます。  検定の職種は先ほど申したような考え方技能に幅があるもの、客観的に検定ができるもの、こういう考え方でございます。  それからだれが検定を行うかという問題でございますが、法律は労働大臣に一応してありますが、同じ法律で職権委任の規定がございますので、下級の方の二級については都道府県知事に職権を委任しておる。  それから検定制度の中で最も大事なのは検定委員でありますが、これが問題の作成から採点、合否の決定、ここまで全部やるわけでございます。従ってこの検定委員の選定が非常に重要な問題でございますが、これは検定制度の本質にかんがみまして、学識経験者、それから技能系統、技術系統の専門家、それから職業訓練の関係の専門家、こういった専門家から選ぶ。これは何も労使の代表という考え方でなしに技能検定する専門家のうちから選定すべきだ。そして合議制の運用をはかりまして、一検定委員の専断で判定をするということのないような仕組を考えていく。  次には受験資格でございますが、これは二級と一級に分れるわけでございますが、二級につきましては職業訓練の修了者は、訓練の期間が三年である者はその後二年の実務経験、訓練期間が二年の者は三年の期間、一年の者は四年。要するに満十五で義務教育が終りますから、その後の訓練歴と経験年数を合せますと、二十歳というのが二級の検定を受け得る資格の最低年令層でございます。訓練以外の者につきましては学校教育法による工業高等学校、これについては実務経験が三年、また訓練も学校も出ていないたたき上げ一本の者は七年以上の実務経験、この七年はいろいろなデータで、組織的な訓練を受けた場合と、純然たるたたき上げできた場合との技能の進歩の度合を測定いたしまして、この経験年数を換算したわけでございます。その他いろいろ各種学校もありますし、いろいろな教育制定がございますので、これは今申しましたような基準にのっとりましてそれぞれの均衡を考えて資格をきめて参りたいと思っております。  それから一級は、二級に通ってから一級という格好になりわけでございますが、これも職種によっていろいろ技能の上達の早いおそいがございますが、平均的に見ますと、大体五年程度の実務経験を有すれば技能の点においては熟達をしていく、こういう結論でございますので、二級の検定に合格してから五年以上の実務経験、ただこの制度を施行するにつきましてはいろいろと過渡的な措置が必要でございますので、軌道に乗るまでの八年間においてはぶっつけ一級を受けられる。それは二級の検定受験資格にさらに八年の実務経験、すなわち訓練修了者であれば二十八、たたき上げであれば三十歳、こういった比較的先輩格の熟練者については八年の間はぶっつけ一級を受けていただく道を開いて、そうしてこの間においては学科その他実情に合うような検定を実施して参りたいという意味で、暫定期間を設けたわけでございます。  それから次に具体的な実施基準でございますが、これは級別職種別に学科と実技別に具体的な基準を作る。きょうはお手元に配付してありませんが、同じ審議会で先ほど申しました五種目についてこの具体的な基準が設定されているわけでございます。これは省令の別表に掲げまして、技能の進歩その他によりまして、やはり三年ないし五年に一度は全面的な改訂をいたして、この基準を上げることによってわが国の技能水準を向上せしめよう、こういうことで具体的な検定基準を用意しているわけでございます。これはもちろん各方面の技術、技能の専門家が三カ月ほどかかって検討した結果得られた基準でございます。合否の基準は、これは技能検定技能に重点を置きますので、大体学科と実技と両方やるようになっておりますが、実技に七、学科に三というふうなウエートで検定をやって参りたいと思っております。  あと実施の方法等もございますが、学科を主にした一次試験、それから実技を主にした二次試験、こういう分け方で実施をする。二次試験については民間団体、職能団体等を積極的に活用いたしまして実施の委託をする。さらに試験の課題は学校の入学試験と違いますので、できるだけ事前に公開をする。試験の免除関係につきましても、ほかの法律によります試験検定制度との調整を考えて、似たようなものはできるだけ省略する。免除によって調整する、こういう考え方でございます。
  94. 田中一

    田中一君 そこで私は今日、建設省も来ておりますから、建設関係の技能者の面について質問するわけですけれども、一体現在のこの検定を受け得る資格者が大工の場合、板金工の場合どのくらいあると考えておりますか、総数は。これは労働省の方でむろん調査してあるはずだと思うのです。対象というもの、今ここに対象は全部で五百万といったり、他面百五十万といったりしているんですから、大工がどのくらい板金工がどのくらいと考えておりますか。
  95. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 大工さんの例で申しますと、今までに公共訓練を受けて修了したものが三万一千三百人ほどございます。それから事業内の訓練を受けたものが一万三千五百人、まあ約四万四、五千の修了生が出ておるわけでございます。大体過去十二、三年の実績でございますので、これらの修了生が年令的には大体二十台に出てきておる。従ってこの検定制度の対象としては最も適当な年令層に達しておるものと考えております。このうちもちろん訓練の修了生だけか受験することにはなっておりませんので、その他の経験者も来るだろうと思いますが、ことしどの程度受験するのであろうかというこの推定でございますが、これは予算上の推定で実際はもう少し変わると思いますが、一級については大体約八千ばかりを見込んでおります。二級については約二万ばかりを見込んでおります。これは強制でございませんので、実際にやってみなければどれだけお客さんが来るかわかりませんけれども、一応そういうふうな推定をしております。
  96. 田中一

    田中一君 そこでこの検定を受けて二級技能士になった場合、賃金はどのくらいに考えておったんですか。賃金に対する裏づけですね。
  97. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) この検定に合格しても技能士という称号が与えられるだけで、賃金の点は直接の結びつきはないわけでございますが、われわれとしましては、この検定制度が法律にも書いてありますように、技能労働者の地位を向上をさせるという最終目標でございますので、賃金の点においてもできるだけいい賃金がもらえるように、これは行政指導の面では考えておりますが、直接、二級だから一万五千円、あるいは一級だから二万円というふうな賃金額を示して指導するつもりはございません。社会的な相場がだんだんよくなることを期待して、できるだけの行政指導をするという考え方でおります。
  98. 田中一

    田中一君 建設省に伺いますが、そこで今これはあなた方がよく知っているが、私はきょう初めて聞いたんですが、そこでこうした形の検定をあなた方の掌握しなければならぬという大工に課した場合、賃金の方に対して労働省は関係ないと言っているけれども、どういう工合に考えているのです。
  99. 稗田治

    説明員稗田治君) 賃金につきましては、この一級技能士の検定を受けた者が相当の数になってくれば、おのずからそこに雇用関係等につきまして級別の差が出てくるものと想像しておるわけでございますけれども、現在のところ一級についてはどの程度、二級についてはどの程度という、賃金について別にきまったような考え方もしていないわけでございます。
  100. 田中一

    田中一君 あなたの建設省の方で営繕等でもだいぶ仕事を出しておりますが、大工という技能者はどういう形態でその賃金を取っておるか。まあ契約の問題ですがね。通例どういう方法で賃金を算定し、自分技能を売っておるか。現在あなたのわかっておる範囲で一つ説明してもらいたいのですがね。
  101. 稗田治

    説明員稗田治君) 住宅局におきまして取り扱っております予算関係の単価につきましては、一応坪当りの単価等でとらえておりますので、実際にもちろん坪当り大工職が何名というそういう数字は出てくるわけでございますけれども、実際に大工がどういう形で、どういう賃金で請負から手渡してもらっておるかというところまでは詳細に知らないわけでございます。
  102. 田中一

    田中一君 そこでこれに関連するがちょっと前もって伺っておきますが、PW━━一般職種賃金、これは建設職員だけ今日まで適用されておるけれども、この職業訓練法に基く有資格者と現在のPWとの関連ですね、同じ労働省の部内ですから、何か一応の話し合いがあったんだろうと思うのですが、その点はどういうことになっておるのです。将来どうなるべきだというような考え方を持って立っておるのですか。
  103. 堀秀夫

    説明員(堀秀夫君) 御承知のように、一般職種別賃金が労働大臣の告示で定められておるわけですが、これは地域別、それから業種別基準と最高最低という幅をつけまして告示をしております。そうしてこの基準は大体通常の労務者の場合を予想しておりますが、最高の場合は、これは技能の高い者につきましては最高の額を取ってよろしいということで、基準に比べまして二割五分程度の幅をつけておるわけでございます。それからなおそのほかにさらに著しく技能の高度な者につきましては、この最高の額よりもさらに三割の技能手当、もしくは役付手当を支給して計算してよろしい、こういうことになっております。  そこでただいまの先生のお話の点でございまするが、職業訓練を受けまして技能が相当程度に達しました者につきましては、当然技能が高度のものとして一般の労働者より高い賃金が支払われるであろうと、こういうふうに考えております。
  104. 田中一

    田中一君 これは一般職種別賃金の問題についてはあとで質問いたしますが、ただ賃金の幅があるからそこで勝手にできるんだという考え方だけでは済まないわけであります。労働省が賃金を直接労務者に払うならばこれははっきりわかります。大体において今建設省答弁しているように、一応坪当り単価というものを出して一種の能率給になっておるわけですね。何も腕がいいからよけい賃金をもらうのじゃなくて、余分に仕事をするから賃金をよけいにもらうのだということだと思うのです。で、この職業訓練法に基く技能士の受ける報酬の点等は、これは昨年の法律の審議のときに十分に質問してあるんですよ。一体技能士の講習を受ける、あるいは検定を受ける、試験を受ける、これはみんな労働者の負担になるわけですね。一体得になるものは何かと考えますと何もないんです。そういう点であなたに伺ったんですが。  そこで建設省の方にもう一ぺん伺うんですが、建築士法との関連で、いろいろその立場から建設省は労働省に対する申し出をしておることは御報告を伺いました。しかし建築士の資格を持たない大工も相当あるんです。あるいは建築士の資格を持たない大工さんの方の中に相当な技能を持っている者もあるかもわからぬ。建築の場合にはこれは何といっても設計並びに監理、ことに一番身近な問題として、今まで二級建築士に頼まなければ図面とか確認の書類が受けつけられなかったものが、大工さん自身でやれば済むという利点が、お返しがあるわけですね。けれども技能士の資格を持った者の賃金が伸びた方がいいというお考えに立っておるのか。建設省はいやそんなものを出してくると困るんだ、予算の面で非常に今後予算を組むのに困るという立場に立っておるのか、どっちなんですか。
  105. 稗田治

    説明員稗田治君) 職業訓練法の趣旨につきましては、こういった技能者が、ことに建築大工のような技能者につきましては、最近一般的に徒弟としての養成がなかなか行われていないということで、こういった養成の制度を設けて、なおその養成をしていく場合に一定の目標とする基準としまして、一級あるいは二級の技能士の資格を作るということでございますが、一般の技能の水準が向上していき、なおかつ技能者の今後の育成ができるという点でけっこうだという考えでございます。
  106. 田中一

    田中一君 労働省の方は、これは資格を与えた場合に賃金が伸びることを望んでいるのだと、当然またこれは賃金が技術の向上とともに報酬もふえることが望ましいのだということを言っておるのですが、あなたの方で予算編成にどうですか、単価の伸びというものは。現在検定しようがしまいが、現在の技能というものはわかっているのですよ、あなたの方ではつかんでおるわけでしょう、そうでしょう、つかんでいるのでしょう。技能の価値というものは、それがいわゆるあなたの方で予算に組む賃金ですね、それをもう少し伸ばそうということになりますと、あなたの方はどういうふうになりますか、あなたの方で労働省の要望にこたえて賃金を伸ばしていく、予算を何割かふやしていくというような考えに立つのですか。同じ閣内で同じ内閣の大臣がやるのですから、労働大臣の方の考え方に乗って予算をふやしますか、その割合だけ。
  107. 稗田治

    説明員稗田治君) 技能者に対する賃金がそれぞれの労働力に応じ、あるいは技能に応じて正当な対価として支払われるということははなはだけっこうだということを考えておるわけでございます。
  108. 田中一

    田中一君 建築士法で考えられておるところの大工即二級建築士という対象と、労働省が考えておるところの大工というものとに私は違いがあるように思うのですが、その点の見解建設省はどういう工合に見ております。
  109. 稗田治

    説明員稗田治君) 建築士法にいう建築士は、御承知のごとく建築物の設計、工事監理等を行う技術者でございます。また職業訓練法にいう建築大工技能士は木造建築物を構築する技能労働者でございます。従いまして本質的にははっきり理念的に区別できるものであるというように考えておるわけでございます。ただ人によりましては両方の技術、技能を兼ねておる方もあるわけでございます。お説のように三十二年度かと思いましたけれども、建築士でなければ設計または工事監理ができない、坪数の切り下げ等もございましたので、実際に建築大工で三十坪以上の木造建築物を施工いたします大工職の方が、二級建築士として相当入っておるわけでございます。そういう面で非常に境のところがいろいろまぎらわしい点もございますけれども、それはやはり建築士法にいう建築士の能力と建築大工の技能というものを両方かねそろえておる、というように解すればよろしいのじゃないかと考えておるわけでございます。
  110. 田中一

    田中一君 これに関連してちょっと、通産、わざわざ来てもらったのですが、通産省の公益事業局ですか、職業訓練法の実施に伴って非常な刺激を受けたらしくて、あなたの方で今度は電気工業技術者の検定を通産省独自でやろう、これは立法化すればいいんだけれども、それは間に合わぬから━━間に合わぬというのは、労働省でやたらに自分の方の職域内の範囲、何といいますか、あなたの行政範囲内の技能者を振り回されてはかなわぬから、さっそく旧に戻してやろうという考えになって、最近どうやらその方針がきまったようですが、従来ともに電気工事技術者に対する技能検定とか試験とか扱い方の問題、それから社会におけるところの地位の基準ですね、それが途中で少し放置されてまた新しく今度それを立案し、実施しようという考え方、これ一つ報告願いたいのです。これは私こんなことを当建設委員会で申し上げるのは、建設省にはそういう自分の方で担当している仕事技能者に対する何らの関心を示さないから、あえて私はあなたに来てもらったわけです。請負人相手に仕事をすればいいんだという考え方建設省の人たちの頭にあるらしくて、その末端でほんとうの仕事をするのが大工や、左官や、技能者であるということが忘れられておるものだから、あなたによって教えてもらおうと思って呼んだわけですから、一つ率直に御報告願いたいと思うのですがね。
  111. 佐伯貞雄

    説明員(佐伯貞雄君) 電気工事人制度につきましての従来からの取扱い、あるいは最近におきます取扱いについて御説明申し上げます。電気工事人制度につきましては、戦前から強制規定といたしまして、電気工事人の資格がある者でなければ屋内配線等の工事仕事をしてはならないということで、電気工事人取締規則というのがございまして、それによりまして監督しておったのでございますが、戦後になりましてただいままでのは単独省令でございましたために、法律に基いておりません省令でございましたためにその効力を失うようになりました。従いまして自然的にその効力を失いましてしばらくの間は、と申しますか、ただいまに至るまでその規則の適用がないわけでございます。別途通産省としましては、かねてから電気事業法、現在では公共事業令となっておりますが、その改正ということを考えておりまして、昭和二十七年ごろから準備に入っております。で、その法律の中に電気工事人制度を復活するということの案が入っておるわけでございますが、御承知のようになかなか電気事業法が上程されるに至りません。一方電気の保安の確保ということは一日もゆるがせにすることができませんので、法律の制定を待たず、これは強制規定ではなく一つの省令の制度としまして、電気工事技術者の技能を向上し、あわせて電気の保安を確保するという目的から、最近、本年六月二十七日でございますが、電気工事人の規則を出しまして、一応省令的な意味におきます規則として公布した次第でございます。
  112. 田中一

    田中一君 これは大沢さん、あなた、通産省ではこの職業訓練法に基く検定の重大さ、ということはおそらく労働省がどういうところからどういう検定委員とか、試験官を持ってくるかしらぬけれども、これはとても打つちゃっちゃおられないという気持から、今のような、戦前あった制度を再び起して、国民生活の安全を期そうとしておるのであります。そこで建設省としてはあなた方が持っているところの、あなた方の計上する予算の範囲内の技能者が相当いるわけです。それで少くとも建設関係の労働者が持っておるところの技能というものは、どこがそれを所管した方が安当であるかという点についてのお考えはどうですか。これは自分の方じゃなくて労働省がこれを持つべきだというお考えに立っているのか、当然一番その技能なり技術なりを判定し得る能力は建設省がもってるのだというのか、どっちなのですか。
  113. 大沢雄一

    説明員(大沢雄一君) 御意見いろいろ示唆に富んだ点が非常に多いことを拝聴しておるのでございますが、通産省の電気工事人規則につきましては、ただいま御意見の次第も非常にあると思いますが、この問題につきましては、実は消防関係におきまして、火災の防止という見地から消防関係の方で試験をして取締りをしたいという問題も現実に起っておりますので、それらのことも、あるいは通産省が法律によらないで急いでこういう規則をお考えになった点につきましても、あるいはそういう点も考慮されておるかとも私としては聞きましたような次第でございます。お説の通りに建築関係技能検定につきましては、建設省の私どもの技術者におきまして、最も適切な検定ができるのではないかというふうに私も考える次第でございまするが、そういう意味から、目下のところ、所管が労働省ということになっておりまするので、労働省の検定に対しましてそういう建設省関係者の持っております技能の面で十分に協力をいたします。先ほど田中委員がお申し述べになりましたような技能検定の立法の趣旨を達成いたすように協力をいたしたいという考えで、労働省の方とも連絡をし、協力いたす態勢になっておることでありますが、いろいろの関係におきまして、各省がそれぞれその関係の技能者の検定を行うということも、これまたどういうものかということも考えられますので、御趣旨を体しまして私どもの関係につきましては、なお十分今後検討さしていただきたいと存ずる次第でございます。御了承を願いたいと存じます。
  114. 田中一

    田中一君 ずいぶんおかしなことを政務次官答弁するわけで、……医者はどこがやってるのです、資格を与えるのは。看護婦はどこが、産婆はどこが、あんまはどこがやってるのです。少くとも今日まで日本では技能技術に対する国家試験があるのです。それはどこで、労働省でやってるのですか。数十ございます、そういう技能技術に対する検定をやってるところは、これはおのずから専門々々です。これが社会主義国家になったらこれは別です。今の段階ではこれは各省がやってるのです。  もう一つ伺いますが、佐伯さんに伺うのですが、これによって電工も職業訓練法の範囲内に入れるのだというようなことになっておったのです。そこで通産省としては、労働省に対してこの電工の検定並びに技術技能の向上に対して取扱いに対する答弁をしておりますね、それを一つお読み上げ願いたいのですが。
  115. 佐伯貞雄

    説明員(佐伯貞雄君) ただいま回答の文案をここに持ち合せておりません。しかし趣旨といたしましては、通産省として電気工事に対する検定をやりたいから、当方におまかせ願いたいという趣旨の回答でございますが、ただいま文案はちょっと用意しておりませんので。
  116. 田中一

    田中一君 大沢政務次官に伺いますが、通産省はそのような態度をもって労働省に申し入れをしております。建設省自分の方では省議で決定したことなんだから、何といいますか、建設に関する技能者の検定は労働省におまかせして協力しようという態度にほんとうに決定をしたのですか、建設省の省議というものは。
  117. 大沢雄一

    説明員(大沢雄一君) 私の申し上げたことは少し足らなかったかもしれませんが、あるいは現在の建設省の何といいますか、一応の態度をありのままに申し上げたようなわけでございます。現在といたしましては、技能検定が労働省の所管の職業訓練法に基いて行われておりまするので、あるいはこれを建設省建設関係のものにつきまして行うということになれば、立法というような問題のことも考えなければならぬ点もあるのではないかというふうな感もいたしますので、現在のところといたしましては、建設関係の技能検定につきましては、できるだけ建設関係の技能者の利益が保全され、その社会的地位の改善に資するというこの趣旨が達成できるような意味におきまして、建設省としては労働省のこの検定協力していくという現在目下の態度をとっているわけでございます。だが決してどこまでも正しい、こういう意味で申し上げているわけではないのであります。ただ、また一面御意見もございましたが、これはほんの私見でございますが、飛び込んだばかりの私といたしましては、今医者その他の技術の試験につきましての御意見もございまして、ごもっともに私も拝聴したのでございますが、一般の労務関係の者につきまして、今お話にもございました通りPWの賃金等につきましても、労働省の方が一応所管にもなっておりますので、そういう点を考えあわせてみますと、今すぐこれをそれぞれの関係の多い省でまず試験をばらばらに分けてするということは、直ちにそこまでいくべきかどうかということにつきましては、あるいはさせることが正しいのかもしれませんが、目下のところといたしましてはその辺のところまで割り切るだけのまだ検討が進んでおりませんので、御趣旨を尊重して検討申し上げたい、かように答える意味で申し上げたのでございますからどうぞ御了承願いたい。
  118. 田中一

    田中一君 佐伯さんにもう一ぺん伺うのですが、あなたは今度電工に関する検定をやることについては予算上何も支障がないのですか。またあなたの方の所管の権限でそれができるというような立場をとっておるのですか。
  119. 佐伯貞雄

    説明員(佐伯貞雄君) 今般のこの制度につきましては、目下のところ予算上は別段支障はございません。それから強制規定ではございませんから、通産省でやって支障ないという結果が出ております。
  120. 田中一

    田中一君 今度の職業訓練の職業訓練法に基く検定等は、これまた強制じゃないのです。好きな者はやりなさいと言っているのです。いやな者はしないでよろしいと言っておる。ただ、それが受ける受けないの問題、資格を取った取らないの問題、それらが社会に及ぼすいろいろな影響があるということなんです。ことに大工さんの技能検定するのに、だれが検定するのが適格者かということになると、これは問題です。  そういう点で一つ稗田住宅局長は、現在の大工の技能検定するのには、だれかという、一人の例を言えばいいのですよ。どういう人ならば適格者というお考えを持っておるか、あるいはおれならいいのだというふうに考えておるのか、あなた心配じゃないですか。労働省が、あなたの掌握しなければならないという技能を、よその人が勝手に検定していいと思いますか、どう考えますか。
  121. 稗田治

    説明員稗田治君) 建設省としましては、建築物の質を維持するというので、設計並びに工事管理につきましては、御承知の通り建築資格をきめておるわけでありますが、建築士の工事管理によって、建築の維持あるいは工事を進めていくという態度をとっているわけであります。従いまして、この建築の質の向上という点につきましては、建築士法を通じて施行していきたいというふうに考えておるわけであります。  なお大工職の検定を実際にだれが担当するのが適当であるかというお尋ねでございますが、もちろんこれは、ただ一人の人というわけにはいかないのではないかと思います。ですから、場合によれば建築士の者が試験委員の中にある程度の数が入ることも考えられるわけでございますが、技能検定そのものにつきましては、従来徒弟から、弟子を養成しまして、これでお前は一人前になったと言って店を分けるといったような、従来から、そういった近代化はされておりませんけれども、そういった訓練方法なり検定方法は、実際問題としてあったわけでございますので、やはり大工職の相当優秀な方が試験委員の中に加わるということが必要じゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  122. 田中一

    田中一君 これは有馬さんに伺いますが、どうです、一体大工、板金工等をあなたの方で画一的な検定をやるということは、時期が早いのではないか、というような私は結論を持っておるのです、ということは、何と言っても一つの国家が与えるところの資格というものは、社会においては評価されるのです。やっぱり官尊民卑なんです。これがあなたの方で全部の大工を職とするもの、大工という技能を持つ者に対しては一律に一ぺん検定するのだという前提に立つならば、これまた一つ考え方です。検定を受けてもよし、受けないもよしというようなことでは、いたずらに混乱になるのです。まして、あなたは、さっきから口をきわめて今までの技能者養成、またはその他の養成機関で出た者が何万人もいるということをおっしゃいますけれども、こういう方々の訓練を受ける方法と、二十年、三十年という長い間、これを自分の生業として持っている技能者等をも考えますと、時期が早いのじゃないかという気がする。今大沢政務次官は率直に、自分に準備がないものだから、今の段階ではやむを得ないと言っているが、準備がある通産省は、これはいかぬというので、はっきり自分態度を明らかにして、今言っております。建築士というもの、これは、従来の建築士というものは、代書屋なんかが建築士になったのです。一昨々年でしたか、この建築士法を改悪して、大工を圧迫しようとしたときに、これはいかぬといって立ち上って出した経過措置によるところの建築士である大工、これらは高度の技術を持っている、決してそんなに悪いものじゃない、決して三年や四年で訓練所を出たという者ではない。なるほどむずかしい文字は知らぬでしょう、むずかしい外国語は知らぬでしょう、あるいは数学を知らぬ者がいるかもしれない、しかしながら持っている技術、間違いない寸法というものは、これはもう学習を受けた者に比較するときに、段違いくらいの高度の技術を持っているのですよ。ことに今伺ってみると、大工の技能検定をするのは、大工以外にはないだろうと、まあ、稗田局長も専門の学科をおさめて何十年やって、やはりそう言っている。学校を出たといっても大工の理論というものはわからない、そうすると、大工というものは何もない。まず試験をしろという、大工に一級の資格でもやるかしなければ、検定ができはしません。  ことに先ほど伺ってみると、検定方法建設大臣がしたり、地方自治団体にまかしたり、これは、地方自治団体がまた各企業者、企業体にその検定をさせようなんということを、委託検定をさせようということを考えている段階においては、まだまだこの問題は、実施する段階ではないのではないか、こういうふうに考えるわけです。  これはあなたの方にも提案というか、申し入れをしたと思いますけれども、全日本建築士会という二級建築士である大工の団体が申し出した申出書をごらんになりましたね、有馬さん。
  123. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) はい、拝見しました。
  124. 田中一

    田中一君 この申し出に対する一項目ごとのあなたの答弁を伺いたいと思うのです。あなたの考えているところの大工というものと、われわれの通念として考えているところの大工というものは違うのではないかという気がする。  この際、社団法人全日本建築士会が申し入れをしていることを一項目ずつあなたの反論があるなら反論を、賛成するなら賛成といったようなことを明らかにしてほしいと思います。
  125. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 今の全日本建築士会の申出書というのは、今ここにはありませんので、時期尚早論を唱えておったという結論は承知しておりますが、一項目ずつの反論は、また別の機会にさしていただきたいと思います。  まず最初に、検定考え方について、多少田中先生と考え方が違うのじゃないかと思いますので、その点を最初に申し上げてみたいと思いますが、われわれが訓練法に基いて検定を行いますのは、何も各省がやります安全とか保安というような見地から、検定とか試験自体としてやる制度ではなくして、これはあくまで養成、訓練というベースの上に、そのベースの上に、実務経験の年数を計算いたしまして、技能というものがどういうふうに順調に成長していくか、それを基準にして、その成長の過程において検定を行う、こういう仕組みで、これはヨーロッパの制度も、そうなっております。従いまして試験検定ということだけを目的にしてやっているわけではございませんので、養成から、その後の技能の成長ということをこいねがって検定をやっておるのでございます。従いまして検定は、これで普通の学校の入学試験のように、おっことそうというねらいでやっているわけじゃなくて、技能を順調に育てていこうという見地から検定をやっておりますので、その点は、根本的な認識の点で少し差があるのじゃないかと思います。  それから時期尚早論につきましては、いろいろな団体から、これはまあ労働組合でございますが、特に総評系の組合から、そういう御意見が出て、私も再三会合を持ちまして、それらの団体と意見交換をしておるのでございますが、これにつきましては、いろいろと考え方の違いもありますし、事実認識の違いもありますが、やはりこの制度が始まるにつきまして、いろいろな心配があるということはよくわかるわけでございます。先ほど先生が御指摘のように、先輩格の、腕一本できた先輩格の大工さんあたりは、非常にこういう検定制度に弱い、なかんずく学科に弱いというふうな懸念があるわけであります。しかしながら私どもは、学科の試験にいたしましても、学校の試験のような問題は出すつもりはありません。事実、今日までのトライアルの結果におきましても、大工職の受験者において、初めて学科に満点をとった者が二人も出ておる、また五十才以上の大工が、八十五点以上の点数をとっておる、全体としても、まあわれわれがこの程度の学科の裏づけ、知識があればよろしい、六十点ぐらいとれればよろしいと考えておったのが、大工につきましては、やはり平均が七十点ぐらいになっている、まあ文字が読めなかったり━━外国語は出しませんが、文字が読めなかったり、方言が出たり、いろいろあると思いますので、その点は、かなもつけますし、方言もつけて注釈もするし、そういうふうな試験をやっていきたいという考え方でトライアルをやりました結果は、やはり優秀な大工さんは優秀な成績が出ておる、こういうトライアルの実績をもちまして、われわれはこの検定に踏み切ってきたわけでございますので、その点は、ぜひ先輩格の古い大工さんが、この試験に弱いという先入主でなくて、そういう優秀な大工さんは、どんどんこの試験で通るというふうに私たちは持って参りたいと思いますので、今後の運用の面で、その点は解決をして参りたいと思います。  また委託の問題について御意見があったようでございますが、私どもは、この手工業的な大工さん、板金工等につきましては、できるだけわれわれの直接の手で、国と府県というふうな立場で検定を実施して参りたいと思います。その場合には、もちろん建築関係の技術屋の専門家、この方々の御協力も得ますが、やはり何といっても、職人の検定でございますので、その先輩格の職人さんの試験委員、これが問題を出し、実際の判定をする、こういう仕組みにして参りたいと思いますので、実情からかけ離れた検定をやるつもりは全然ございませんから、その点は、一つ御認識をいただきたいと思います。
  126. 田中一

    田中一君 そんなにりっぱな成績のある実例があったなら、やる必要はないじゃないか、何もいたずらに……検定するのに幾ら金がかかるんです。
  127. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 学科を中心とする一次試験というのは、大体五百円でございます。それから二次試験が、これは実技でございますので、職種によっていろいろ違いますが、大体千円前後でございます。
  128. 田中一

    田中一君 それに要る材料、場所等は、どこの負担になるんですか、その検定料の中から出すんですか。
  129. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) これは検定料の中に含まれておりますので、諸経費は検定料から出します。
  130. 田中一

    田中一君 何も、そんなりっぱな結論が出ているとすれば何もする必要はないじゃありませんか。あなたの言っているのは、今までの技養とかで訓練を受けた者の計数を言っておりますが、この人たちだけにやるというような考え方一つ方法なんです。あなたがいつも言っているのは、だれでも受けたい者に受けさすんだということなんです。それなら何も、だれもやらぬと言ったら……別にそれだけの成績が、実際出ていろんなら、やらぬでもいいじゃないですか。
  131. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) それは、この受験資格に書いてあるような所定の期間を、まじめにやれば必ず通るという結果でありまして、全然やらぬでも通るというふうには考えておりません。  それからまた養成出身だけに検定しろという御意見も審議会の審議の過程においても、もちろんありましたけれども、やはり今日までの実情は、養成制度が百パーセント普及しておるわけでもございませんし、古い連中が、相当ここ当分ございますので、同じように希望者には、道をあけてゆくという考え方で受験資格をきめたわけでございます。
  132. 田中一

    田中一君 これは、あなたがだいぶ、あっちでもこっちでも大いに反撃を食って、ずいぶんいかにこれを逆に反撃するかを勉強なすったと思いますけれども、しかしこの際、大工や板金をなぜ、どうしてそれを取り上げたんですか、あなた方のねらっているのは、別にあるんでしょう。
  133. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 先ほどの答申にありました漸進的に職種、地域を広げてゆこうという考え方で、さしあたり今年の五種目を、どうして選んだかという御質問のようでございますが、われわれの考え方といたしましては、日本の今日の状況におきまして、手工業的な職種と工業的な職種は、大体労働者の数が平均しております、半々ぐらいの比率になっております。従いまして今後われわれが検定職種として選んでゆく場合に、その両方の系統の職種が、均衡を得て検定職種として取り上げられるように考えて参りたい、これが第一点。  それからもう一つは、先ほど申します通り、検定は、訓練のベースの上に考えておるという考え方でございますので、訓練実績の比較的多い職種から取り上げていこう、こういう考え方で、五職種を選定したわけでございます。
  134. 田中一

    田中一君 技能者養成の場合の指定は、たしか百二十幾つかありましたね。今度八十幾つのうち、建設関係の職種は幾つくらいありますか。
  135. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 職種の数は、これは大きくまとめるか、小さく細分するかによっていろいろ違いますが、現在の訓練職種を前提として一応、われわれが今日の段階で推定した建設関係の職種は、大工職のほかに、左官、タイル張り工、築炉、屋根ふき、トビ、ブロック建築、こういった職種が推定されております。
  136. 田中一

    田中一君 屋根工なんか、ないのですか。
  137. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 屋根ふき工ですか。
  138. 田中一

    田中一君 ええ。
  139. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) ございます。
  140. 田中一

    田中一君 これは建設省に、もう一ぺん伺いますがね。今のようなものを全部それをやって、あなたの方は、それで唯々諾々と受けるのですか。  私は稗田さんの個人的な意見だと言うから、何も言わないのですが、少くとも建設技術の向上というものをはかるのは建設省がすべきなんです。検定だけはあるいは、あなたが言っているように、あなたの私見のように、労働省にまかす場合はあっても、建設技術の向上ということのねらいは、向上ということは、これは当然建設大臣がすべきですよ。その熱意がなくて、準備がないから、ああいうしどろもどろなことになるのです。検定の問題は、まあどういうふうにきめてもかりにいいとしても、その技術の向上、技能の向上は、当然建設大臣が関心を持たなきゃならぬ問題なんですよ。村上さんどこへ行ったか知らぬけれども、それを念を押したかったのです。将来どうするかということ……。これはどういう基準で、屋根ふき工の一級技能者と二級技能者を何を基準にするか、どういうことをもって検定するか。おそらく技術は単純なものです。なれによって上達することはあり得ますがね。単純なものですよ。私どもがふけるのだから……。ただし、文字による試験ですね、屋根ふき工の一番つらい文字による試験等に、さっきの話だと、三対七だか四対六だかの比率でみたいということを言っておりますがね、これは、労働省がどういうものを試験官か、検定人にして、その検定をしようとするか。これはまあ建設省に相当相談してきめるということになっているそうですから、あえて申しますと、大工の場合には、優秀な大工という表現をしましたね、稗田さんは……。屋根ふき工、築炉工、それからタイル張り工、こうしたものに対する優秀な技能者というのは、何を指しているのですか。稗田さん、あなたに伺うのですが、そういう検定任務を建設省に相談することになっているそうですから伺うのですが。
  141. 稗田治

    説明員稗田治君) ただいまのところは、建築大工につきましていろいろ検定方法等につきまして打ち合せをしているところでございます。逐次指定されました職種がきまりますれば、そのときに、また十分検討したいと考えているわけでございます。
  142. 田中一

    田中一君 それじゃあ建築板金は、もう今度検定しようというのですから、それはどういう人を検定人にする考えですか、そういうふうになった場合には……。
  143. 稗田治

    説明員稗田治君) 板金になりますると、これは建築関係だけというのではないんじゃないかというふうに考えております。
  144. 田中一

    田中一君 先ほど有馬部長は、建築板金だと言っておりましたよ。
  145. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) いや、工場板金も、両方入っています。
  146. 田中一

    田中一君 建築板金の検定は、どうしますか。今、建築板金は、大体機械化されているんですよ。大ていのものが機械でもってやる、割合単純です。機械でもって、もう昔のように木の何か棒でもって、たんたんたたかないんです。くるっと回せば、すぐに形が出てくるようなことになっていますね。そうすると機械に頼むんですか、検定を……。機械があるにかかわらず、機械をやめて、そうしてぽんぽんたたかして検定しようというのですか。非常におかしいんですよ。あなた知っていましょう。今の板金が、どういう機械を使ってやっているか、大ていのものは、みんな機械でできます。機械でできるものと、ぽんぽんたたくものと比較して技能検定しようというのか、どっちなんですか。大ていの複雑なものは、機械でできます、今、板金は……。これ以上申し上げても、これはしようがありませんからね、ただ私は、今の段階では、まだ検定の基準とか、いろんな問題が残っているのですよ。まだ訓練の方法も十分じゃないし、それから検定の基準も明確じゃない。従って、これは年内に二級技能者の検定をしようとか、来年は一級とか、今、五つの職種を検定しようとかということに対しては、非常な危険を感ずるのです。これは狙いがどこにあるのか、はっきりつかめないのです。  それはなるほど技術の向上、技能の向上、これはなかなかいい言葉です。実際においてやれるかどうか。やった場合、社会的な混乱が起きないか、起きるか、そのために技能は向上するかしないか、そうした問題も検討しないで、それで急速に、どうしてもやるんだという考え方は、これは労働省の訓練部の仕事がなくちゃ困るから、どうしてもやるんだということにしか、私は印象づけられないのですが、これは、これから何べん繰り返してもしょうがないから、もうここらへんでやめますけれども、これは建設省も相当決意をもって、これに対処しなければならないんです。タイル張りというところも、一枚々々タイルを張るんじゃないんです。ちゃんと紙に張って、きまったものをはめ込めばいいんです。なれによって習得するものなんです。それはむずかしい理論を覚えないでも、タイルは張れるのです。建築板金を作るには眼っていちゃ困るけれども、機械を回せばひとりでに出てくるんです。一定の位置に置けば……。それにかかわらず、それがまだ、どういう基準で検定するかという方法もきまってないのに、どうしてもやるんだ、やるんだということに対しては、建設省も、十分に監視をしていただきたいのです。  そうしてほんとうに技能者の技能を向上さすなら国が全部費用をお持ちなさい。それで大工なら大工職全部に対して無料で、日当を払えと言いませんけれども、まあほんとうなら、日当払ってほしいんです。一日やれば、八百円でも、千円でも収入が入らないのですから、手間が取れないのですから、それくらいの熱意をもって技能検定するならいざ知らず、本人の負担において、自分の一日の日当、手間というものを捨てて、なおかつ受けるということになると、やはり裏づけの問題が考えられてくるのですよ。おそらく指導して、そうして検定を受けた者、いわゆる一級技能士、二級技能士は、賃金が確保されるのだ、何割得になるのだと、PRを労働省がやって、なるべく受けさせようということをやるかもしれない。そういうことは危険です。いたずらに混乱を巻き起すばかりなんですよ。私は大沢さんも、村上建設大臣と御相談になって、態度を明らかにしていただきたいのです。  これは先般の予算委員会でも十分言ってあるから、あなたの方からこのような態度をとるという答弁があるはずだったのです。それがきょうまでない。全体の建設行政、ことに建設に関する技能者の問題を含めて、一度次の機会に建設省態度を明らかにしていただきたい。わざわざ佐伯さんにきていただいて、大へん恐縮しましたけれども、あなたの方では事の重大性を考え、そのような措置を申し入れ、それを労働省が納得したのですか、その点は……。
  147. 佐伯貞雄

    説明員(佐伯貞雄君) 担当の課におきましては、納得しました。
  148. 田中一

    田中一君 ……というわけですよ。建設省は、その点、十分考えていただきたいと思います。いたずらな混乱があっては困ります。私は、こういう程度のものならば、日本の大工さん、板金工は一切受けるなといいたいくらいなんですよ。  そこで、三月二十五日だと思うけれども、予算委員会で、これは稗田君も知っているはずです。労働大臣がきめておるところの一般職種賃金に関すること、これに関して、あなたに申し上げますがね。国が年次予算化する建設工事の単価というものは、一体何を基準にして積算しておりますか、こういう私の質問なんです。これに対して遠藤建設大臣は、担当の局長答弁させているのです。担当の局長は、皆説明しているが、だれもPWによって積算しているという人はいないのですよ。いいですか。大体PWというものは、何も労働者の賃金をきめるといったものではない。あなたは知っているはずですよ。終戦当時、占領軍の命令で、請負人がやたらに命令通りの仕事をやっている。そのために突貫工事どころではない、まるでむちゃくちゃな仕事をやらせて、ヤミ資材でもなんでも使わせる。ヤミ資材として請求できないものだから人夫をごまかしておった。だから一切の問題、不正支払いを防止しようという建前から、請負人の規制のために作ったのがこの法律第百七十一号なんですよ。それがこの法律がないにかかわらず、この十一条だけが残っている。準用しているのですよ。日本の労働者の賃金が、国の法律をもって規制されておるというのは建設労働者のみです、ほかに一つもございません。そうして建設労働者の賃金というものを見込む予算の上には、だれ一人としてこの法律によって賃金を積算していますといっているものがないのですよ。なぜ生かしておくのですか、こんな法律を、こんな化けものを、なぜ生かしておくのですか。  これは、建設労働者に対する侮辱ですよ。むろん国がこれによって、予算を計上している以上は、補助金を交付される地方公共団体は、これによります。これが低ければ、民間は、これに右へならえです。だから建設労働者は、現在でも低賃金でいるのですよ。これをおやめなさい、こういう要求をしておったのです。これを建設大臣はお粗末なもので、遠藤建設大臣は、一体そういう法律があるのですか、PWって何ですかというような質問があったものです。局長は、だれも知らなかったのです、だから私は、これは正しいと思うのです、局長大臣も、見上げたものですよ、こういう戦後処理の化けものが生きているなんということは、常識では考えられないのです。  一体労働省としては、どういう見解を持っていますか、これに対して……。
  149. 堀秀夫

    説明員(堀秀夫君) ただいま、先生御指摘のように、この法律百七十一号は、終戦直後政府の支払いが、不正な価格及び賃金によってなされることを防止するという観点から出されたものでありますから、その後価格統制等も、漸次消滅いたしましたのに伴いまして、大部分は、その存在の基礎を失っておるということは、御指摘の通りでございます。  そこで昭和二十五年の国会におきまして、この法律を廃止する法律が成立いたしたのでございます。その際、政府直営の公共事業に雇用される労務者については、その賃金は、やはりその地方における、一般の同種労働者に支払われている賃金と比較してきめられるのが適当である、こういうような考え方から、ただいま御承知のように法律は廃止になりましたが、その但し書きによりまして、十一条関係が残っておる、こういう状況でございます。  そこで、ただいま残りました法律の規定の部分によりまして、法令上これをどういう工合に用いておるかということでございますが、これは、政府直営の公共事業に雇用される労務者の賃金と、それからもう一つは、緊急失業対策法及びそれに伴う施行規則によりまして、国の行う失業対策事業の労務者の賃金の基礎に用いるわけでございます。ただ政府が発注する請負関係の工事につきましては、これは法律上の規制もございませんし、その労務者の賃金については、何もこの法律は規制をしておらないわけでございます。これが残りましたのは、ただいま申し上げましたように、政府直営の公共事業の労務者の賃金については、その地方における同種労働者に対して支払われておる賃金の、やはりその基準によるのが適当であろう、それにかわる適当な基準がないから、便宜的にこれを用いる、こういう考え方で残されたものと、われわれは了解しております。  失業対策関係の労務者につきましては、これは、失対事業の労務者というのは、なるべくすみやかに一般の常用に進んでいただくことが望ましい。しかしそれに進まれないものについては、国が失業対策として、その労務者を救済していく、こういう考え方で、今のような規定が設けられておるわけでございます。  ただ、お話のように、これに関連しまして、この法律に基く労働省の告示の額が、その時期々々によりまして、ズレがあることは御承知の通りであります。それからまた存在の基礎が、この法律のできました当時と、だいぶ違っております。それは、私どもも十分認めておることでございます。  そこで、この点につきましては、現在PWというものを、果して存置しておく必要があるかどうか、こういう問題になるわけでございますが、この問題につきましては、ただいま申し上げましたような建設関係及び失対労務者の関係もございますので、われわれといたしましては、実は建設省、それから大蔵省等の関係者と、十分協議をいたしまして、この法律の残っておる部分を果して存続せしむべきかどうかということについて、真剣に検討を今やりつつあるわけでございます。近く結論を得次第、適当な方法で処置をいたしたい、このように考えておるわけでございます。
  150. 田中一

    田中一君 まことに明快な答弁でけっこうです。  そこで高田君、君今労働省のああいう見解に対して受けて立って答弁して下さい。実情を。
  151. 高田賢造

    説明員(高田賢造君) ただいま労働省の方から御答弁がございましたように、PWの賃金につきましては、建設省から先般労働省に申し入れを行いまして、現在、伺うところによりますと、近く検討を加えまして、その結論を出されるというふうに伺っております。そして予算の関係等もございますので、おそらく大蔵省等とも、十分御相談があろうと思いまするし、また建設省の関係におきましても、もちろん事業の執行上、関連いたすこともございますので、労働省と相談をいたして参りたいと思っております。
  152. 田中一

    田中一君 政務次官に申し上げておきますがね。この問題は、これは特別失対とか、あるいは直用の人夫に関する云々ということを、今基準局が言っておるようだけれども、事実において、社会に流布されておる悪い影響というものは大きなものがある。これは建設省自身でも、これによらないならば、これは強く要求していただきたいのですよ。被害者は、あなた方が掌握しなければならない建設労働者が被害者なんです。この問題について真剣に一つ建設省は取っ組んでいただいて、労働省と十分に話し合って、大蔵省に対しては、その点の要求をして目的の貫徹をしていただきたい。廃止ですよ、こんなものは。廃止です。  法律というものは、一つの思想があって作られるものなんです。その思想を逸脱した、便宜上使うなんということは、かつて土地区画整理法という法律ができるまでは、耕地整理法で、すべての市街地の整理をやったという、長い間生きておった、そういう悪い例もある。ましてや終戦処理のこの思想のもとに、それも過渡的な、悪い請負人を規制するためにやった法律の精神が、このように悪用されておる例はございません。  だからこの問題は、大臣とよく御相談になってぜひとも、これは、法律でも何でもないのです。あなた方がやめればいいのです。――労働大臣が、告示になっておりますかな、これは。
  153. 堀秀夫

    説明員(堀秀夫君) これは、やはり廃止する法律の中におきまして、それをただし書きで残すということになっておりますので、このただし書きを削る法律措置が必要になります。もし廃止するとすれば、そういう措置が必要になります。
  154. 田中一

    田中一君 それでは直ちに法律を、九月持たれようという臨時国会にお出しなさい。こんなものは何でもない。それとも、支障がありますか。大蔵省の方でも一応三十四年度予算に組み込んである単価以外のものは払おうとしないでしょうから、この法律のあるなしにかかわらず、こんなものは、なくたって一向差しつかえない。
  155. 堀秀夫

    説明員(堀秀夫君) ただいまお話の通りでございますが、これは、建設省、大蔵省とよく協議をいたしまして、適当なる方法考えたいと思います。  ただ、もう一つそれと同時に、現在失対事業の労務者につきましては、これは緊急失業対策法施行規則によりまして、現在PWを基礎に使っておるわけでございます。そこで、これを廃止いたしました場合に、その算定基礎をどういうふうにして調査するかというような問題もからみます。  そのような、いろいろな問題がございますので、もし廃止するとすれば、それにかわる措置をどういうふうに講ずるかというふうな点につきまして、労働省の部内及び大蔵省、建設省等と十分協議いたしまして、検討の上、なるべくすみやかに結論を出したい、こう思います。
  156. 田中一

    田中一君 建設委員会が開かれるたびに、この経過はどうなっておるか、どのくらい進んでおるか、必ず委員会ごとに、私は質問いたしますから、その点十分、大沢さん、研究を急いでいただきたいと思います。
  157. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) それでは、本日は、これをもって散会いたします。    午後四時十七分散会