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1959-10-23 第32回国会 参議院 決算委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十月二十三日(金曜日)    午前十一時十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     上原 正吉君    理事            野本 品吉君            矢嶋 三義君    委員            青柳 秀夫君            川上 為治君            上林 忠次君            小山邦太郎君            谷口 慶吉君            谷村 貞治君            相澤 重明君            北村  暢君            島   清君            武内 五郎君            石田 次男君            奥 むめお君   国務大臣    厚 生 大 臣 渡邊 良夫君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    厚生政務次官  内藤  隆君    厚生大臣官房会    計課長     熊崎 正夫君    厚生省公衆衛生    局長      尾村 偉久君    厚生省公衆衛生   局環境衛生部長  聖成  稔君    厚生省医務局長 川上 六馬君    厚生省保険局長 太宰 博邦君    厚生省年金局長 小山進次郎君    会計検査院事務    総局第三局長  白木 康進君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十二年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和三十二年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和三十二年度国税収納金整理資金  受払計算書内閣提出) ○昭和三十二年度政府関係機関決算書  (内閣提出)   —————————————
  2. 上原正吉

    委員長上原正吉君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  昭和三十二年度一般会計歳入歳出決算昭和三十二年度特別会計歳入歳出決算昭和三十二年度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十二年度政府関係機関決算書を議題といたします。厚生省の部を審議いたします。検査報告批難事項は第二百五十三号から第二百七十一号までであります。  本件に関し御出席の方は、厚生政務次官内藤隆君、尾村厚生省公衆衛生局長聖成公衆衛生局環境衛生部長小山厚生省年金局長川上厚生省医務局長太宰厚生省保険局長会計検査院からは第三局長白木康進君の諸君であります。  まず会計検査院から、概要説明を願います。
  3. 白木康進

    説明員白木康進君) 昭和三十二年度厚生省関係不当事項概要を申し上げます。  まず一般会計でございますが、一般会計におきましては、決算総額の約六六%が国庫補助金ということになっておりまして、私ども検査も、勢い一般会計では補助金が主になっておりますが、三十二年度決算につきましては、このほか特に直轄機関国立結核療養所関係経理相当重点を置いて検査をいたして、ここにその結集を掲げております。  まず補助金につきましては、毎年補助の種目が、多少検査の対象が変っておりますが、ここに掲げておりますのは、公衆衛生関係保健所費補助金、それから法定伝染病予防費補助金、それから国民健康保険療養給付費補助金、大体、この三つを中心にして検査しております。いずれも北海道ほか全国都道府県の約半数について検査をいたしたのでありますが、まず、公衆衛生関係につきましては、従来同様、厚生省で定められておりますところの補助金交付基準の認めていない、たとえば人件費、旅費を含めておりましたり、あるいは職員の数を誤算いたしまして、経費過大計上となっておるというような関係におきまして、国庫補助金の返納を要するものがかなりあります。ここに掲げておりますのは一事項二十万円以上で、北海道ほか六都県におきまして総額四百二十四万円ということになっております。  次の国民健康保険療養給付費関係でございますが、この補助金算定方式は、府県の保険事業主体でありますところの公共団体が行いました療養あるいはその給付された費額基準にして定められるのは、これは当然でありますが、そのほかに、保険料徴収の成績が特に良好なものにつきましては、その徴収の割合によって、累進的に補助金が増額するというような関係がございまして、ここに本院の検査の結果では、たとえば当然翌年度収入として計上すべき保険料を当年度収納額としておりますために、実際以上に収納率が高くなっておる実績報告書に基いて精算が行われておる、こういう関係補助金超過交付になっておりますものが相当ございまして、これも一事項二十万円以上のものについて申し上げますと、北海道ほか八都県におきまして超過交付額二百六十八万円ということになっております。  以上、補助金経理につきましては、厚生省はもちろん、事業主体においても、その是正努力されておりまして、漸次改善の方向にあることは、これはもう疑いないことでございますが、なお何と申しますか、私どもの方で、検査進行度が比較的に少いような費目については、まだ必ずしも良好とは言えないというようなことが、今年の検査からもうかがえるようでございまして、なお一そうの御努力をお願いしたいということでございます。  次に、三十二年度について特に相当重点を置いて検査しました国立結核療養所経理関係でございますが、御承知のように結核療養所は、毎年相当赤字を計上しておりまして、しかもその赤字が漸増する傾向にある。特に特別会計国立病院と比べました場合に、その収支率が、これは、まあ結核療養という事業の特殊な内容から、ある程度やむを得ない面は、これは当然あると思いますが、収支率もあまり良好でなく、ことに診療収入収納率が、国立病院に比べて、結核療養所の方が比較的悪いというような関係もございまして、特にこの診療料金徴収状況中心にして、三十九カ所の結核療養所検査をいたしたわけでございます。  その結果は、徴収決定漏れというものが相当ございまして、その原因といたしましては、たとえば患者によりまして、給付負担区分関係その他の決定がおくれるというような関係もございますが、特に診療費徴収決定基礎となる診療費計算書、あるいは診療に必要な医療券、こういったものの整理が、医療業務という特殊な関係もございますが、一般に十分でなく、また各人別の徴収決定が済んだかどうかという確認も、必ずしも的確に行われていない、こういう関係がおもなる事務的な原因のようであります。その結果は、ここに掲げておりますように、療養所十一カ所について千三百九十四件、金額で六百八十五万円の徴収決定漏れとなっております。  以上が、大体一般会計概要でございまして次に、厚生保険特別会計でございますが、厚生保険関係は、前年の三十一年度給付関係も、特に実態調査というような意味におきまして、長期疾病に対する療養給付というものが適正に行われているかどうか、これを検査したのでございますが、本年度につきましては、もっぱら健康保険及び厚生年金保険保険料徴収状況中心に、例年通り検査を実施しております。ただ従来と違いますのは、従来は、被保険者数の多い、しかも標準報酬月額相当に上昇したと認められるような事業所を特に選んで検査しておりましたが、三十二年度におきましては、むしろ業種別あるいは人員規模別に無作為に事業所を選定しまして、全般的な状況を調べてみようということでやったわけでございますが、その結果は、やはり従来通り調査事業所の四〇%ぐらいのものについて徴収不足指摘しております。件数、金額は、ここに掲げておりますが、前年度以前に比べて、ほかの経理のように、必ずしも改善されておらんということが言えるのであります。もちろん原因も、従来から検査報告に掲げておりますように、事業主が適正な届出をしないことに対して、社会保険出張所その他の実施機関側においても事業主指導とか、あるいは標準報酬月額の適正を期するための工夫が足らないというようなことがおもなる原因でございます。この点においては、なお一そうの御努力を願わなければいかんというように考えております。  はなはだ簡単でございますが、以上で説明を終ります。
  4. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 次に、厚生省から概要説明を願います。
  5. 内藤隆

    説明員内藤隆君) 昭和三十二年度決算検査報告において、厚生省所管事項について批難されましたものは、補助金経理及び国立療養所診療費徴収に関する不当事項並びに健康保険及び、厚生年金保険保険料徴収に関する是正事項についてでありまして、これらは、会計検査院報告通りでございまして、まことに遺憾に存ずる次第であります。  国庫補助金経理に当りましては、従来より、補助金等交付基準を定めて経費の使途を明確にするほか、交付事務取扱準則を定めて、補助事業が円滑に実施され、かつ経理が適正に行われるように努力してきたのでありまするが、保健所運営費補助金及び法定伝染病予防費補助金につきましては、いずれも右の交付基準で認められない経費が算入されていたとか、経費算定方法における誤まりとかの事例が多く、いまだ補助事業者に対し、その趣旨徹底を欠いていると考えられますので、今後とも、一そう趣旨徹底をはかり、補助金経理の適正を期し、事業の促進のため指導監督に留意する所存であります。  また国民健康保険療養給付費補助金につきましては、交付算定基礎となります保険料収納率が、事実と相違したことによって生ずる超過交付についての指摘を受けたのであります。御承知通り昭和三十四年一月より、改正公布されました国民健康保険法の施行に伴い、昭和三十三年十月一日以降の期間にかかる療養給付及び療養費の支給に要する費用につきまして、各保険者に対して定率二割を国庫負担または補助することとなり、これに伴いまして、交付事務も従前より簡素化されましたので、今後は、かかることのないよう十分指導いたす所存であります。  次に、国立療養所における診療費債権の管理につきましては、債務者費用負担区分が多岐にわたるため、平素よりこれが整理把握に努め、適正かつ迅速に処理するよう指導して参ったのでありますが、今回のように多数の徴収決定漏れを生じた事例にかんがみ、施設における医事関係業務改善につきまして再検討をし、事務取扱要領を定めて、その統一をはかり、徴収体制整備いたしました。診療費徴収につきましてはさらに万全を期する所存であります。  健康保険及び厚生年金保険保険料徴収不足についての是正事項につきましては、前年度会計検査報告において指摘され、本年度さらに各都道府県にわたって指摘されましたことは、まことに遺憾に存ずるものであります。従来より、都道府県保険課並びに社会保険出張所に対し、保険料徴収決定については、的確かつ厳正に実施するよう格段の努力を求めてきたところでありますが、御承知のように、逐年適用事業所並びに被保険者の増加は顕著なものがあり、これに対応する現業事務体制が前者の増進と歩調をそろえることが困難であったため、適用事業所に対する調査及び指導監督が十分でなかった点が認められますので、社会保険出張所の増設及び関係職員確保をはかるなど第一線機関整備に努めるとともに、事務取扱いについても、さらに検討を重ね、適用事業主に対しては、啓蒙指導を行い、保険料徴収に万全を期する所存でございます。
  6. 上原正吉

    委員長上原正吉君) なお、補足説明がありましたら……。
  7. 内藤隆

    説明員内藤隆君) ございません。
  8. 上原正吉

    委員長上原正吉君) では、これより質疑を行います。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  9. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣が来る前に、若干伺います。その伺う前に、会計検査院から報告がなされ、その指摘されました批難事項に対して、ただいま政務次官が述べられたことで、相当十分だと思いますけれども、若干伺います。  昨日、自治庁長官がおいでになりましたが、長官説明が何らできなかったというので、本委員会で鋭く反省をうながされたわけでありますが、きょうの政務次官のごあいさつは、どなたがまとめられたか知りませんが、非常によくできております。それでいいわけですが、その文章のまま、やっていただかなければならぬことをあわせて申し上げたいと思います。  まず会計検査院担当局長に伺いますが、あなたの方から出されました検査院報の第三十二表によりますと、厚生省の三十二年末の物品現在額を医療器械四十六億六千余万円としているわけですね。個数にして一万八千百十二個と、こういうふうに検査院報に載せてありますが、この台帳漏れが、かなりあるのではないかと思いますが、あなた方の検査した状況では、どういうふうに判断されておりますか。
  10. 白木康進

    説明員白木康進君) ただいま御指摘の点は、私ども検査の結果では、やはり多少漏れておるものがありますが、あまり大きなものはございませんで、全般的には、必ずしも特に悪いということもないように考えております。
  11. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もし、この台帳登録漏れがないとすれば、厚生省の方に伺いますが、厚生省所管国立病院並びに療養所の数からいって、この時代に四十六億円程度医療器械では、その内容がお粗末だという私は反対的な説明ができるのじゃないかと思いますが、その点は、どういうふうな見解を持っているか伺いたいと思います。
  12. 川上六馬

    説明員川上六馬君) 全体で四十六億程度では、非常に少い、医療設備不足しているのじゃないかということでありますが、法律によりまして、一件五万円以上のものだけを計上することになっておりまして、そういう点で、必ずしも全体の医療器械ではない点を一つ御了承いただきたいと思います。確かに、まだ設備を今後とも整備しなければならぬというように、全体的には考えております。
  13. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に伺うことは、本論ではないから、深くは伺いませんが、ちょっと感想を聞いておきたいのですが、どなたも気づいておられると思うのですが、三公社関係とか、あるいは組合関係病院に比べて国立病院というと、ほんとうになんですね、われわれ専門ではないから、内部は知らぬが、外観あたりはお粗末で、とても日本国国立病院というような感じがしないのですがね。私は常に、ボロの病院を見たら、これはおそらく国立だろうと認定したら、大がい国立なんですが、このことについては、何ですか、相当、将来のことについてお考えになっていると思いますが、どういう対策を持たれておるのですかね。  それと、あわせ承わりたい点は、これは防衛庁にしろ、どの省庁にしろ、お医者さんの確保に苦労しているわけですけれども国立病院並びに療養所が、都市にもあるにはありますが、かなり療養所によりますと、比較的不便な所にある療養所もあります。そういうことも関係するかと思いますが、非常になんですね、医師充足状況がよくないということを患者諸君から聞くのですが、その充足状況は、どの程度になっておるか、今後、どういう対策を持たれておるのか、簡単でよろしゅうございますから、骨子だけお聞きかせ願いたい。
  14. 川上六馬

    説明員川上六馬君) 国立病院療養所が、大へん施設が悪いが、今後どうしていくかという御質問でございますが、確かに国立病院寮養所は、大へん老朽化したものが多いわけでありまして、病院におきましては、最近は、基幹病院という計画をやりまして、ブロックで一つ二つというものが、かなりりっぱにいたしておるわけでありますが、その他の病院につきましては、やはり今後整備費をできるだけ獲得いたしまして、一そう整備をはかっていきたいというように考えておるわけであります。特に療養所は、数から申しましても大へん多うございまして、さらに病院に比べまして、経費状況が非常に悪いわけであります。この点、非常に私どもの方といたしましても、その改善に苦慮いたしておるわけであります。これも、できるだけ一つ整備費を獲得いたしまして、一段の整備に努めなければならぬというように考えておるわけであります。地方の病院は、御承知のように厚生年金還元融資を受けましたり、あるいは起債を受けましたりいたしまして、かなりの整備費が年々出ておりますので、そういう点で、非常にりっぱな病院にだんだん整備せられていっているわけであります。それに比べまして、国立病院整備費不足いたすものでありますから、今のような現状になっておりますが、今後、まあ整備費の獲得に、特に努力を払っていきたいというように思うわけであります。  それから、医師不足について非常に心配をわずらわすわけでありますけれども、幸い病院の方は、かなり医師充足いたしまして、現在では九八%ぐらいな充足率を見ておるわけでありますが、療養所の方は、全体といたしまして一割余り不足をいたしておりまして、特に田舎の方の療養所には、最近非常に医師不足をしておるところが出て参っておるわけであります。この点は、結核というものが将来だんだん減っていくというような見通しから医師結核医になることに対して関心が非常に薄くなったということと、それから給与が、やはり民間勤務医師に比べますというと、だいぶ悪いわけでありましてこの点、このたびの人事院勧告中だるみ是正によりまして大ぶん従来よりもよくなりますけれども、それにいたしましても、まだまだ民間勤務医師に比べまして、大ぶん給与が悪いわけでありますから、来年度予算におきましては、本俸の一割程度さらにその診療手当を要求して、その待遇改善努力を今後とも払っていく考えでおるわけであります。
  15. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ただいま伺っているところは、本論でないから、私、時間を費しませんが、特に要望しておきたい点は、ただいまの医師充足ということです。  私も若干病院長を知っているのですがね、とても苦労しているようですね。病院は九八%程度充足と言いますけれども、失礼だけれども医者というのにもピンからキリまであるわけですから、昔からやぶ医者というのもあるわけですから、ほんとうに優秀な人を、信頼できる人を自分の病院に引き寄せるというのは骨が折れるようですね。非常に心痛しております。僕らも内閣委員の一員として、給与の問題をよく論ずるのですが、先般、人事院中だるみと、それから医療職等改善が、ごくささやかに行われましたが、もう少しやっていいと思うのですよ。ただ、あなたが今、診療手当で云々という構想があったのですが、けっこうだと思うのですね。それらを強力に進める必要があると思うのです。第一、お医者さんになるのを考えてみると、戦時中は、医学専門学校で三年半くらいでお医者さんになった人がありますが、そういうお医者さんで、今世の中に出て名医になっていばっている人もおるかもしれませんが、今の学生で医者になるといったら、大へんですからね、これは大学四年かかる、インターンから……僕が説明するまでもなく、他の職種よりは、非常に経済的にも、学習期間も長いわけですから、僕は医療職初任給というのは、もう少し飛躍的に上げていいと思うのですよ。そうして、やはり待遇をよくするということは一番重要なことで、もうこの点は、私が皆さんに申し上げると、釈迦に説法になると思うからふれませんですがね。政務次官、そこでお聞き願っているのですから、診療手当なんかを上げるというのは、いい方法だと思うのですよ、他の給与体系に影響は及ぼしませんから。来年度予算編成等についても、特に配慮をしていただきたいことを、これは、特に強く要望しておきます。  そこで、本論に返りますが、三十二年の歳出決算額で、不用額十四億二千百万円というのがありますね。この不用額十四億二千百万円というのは、大まかに言って、どういう内容のものでありますか。
  16. 白木康進

    説明員白木康進君) ただいま不用額内訳明細を手元に持っておりませんので、正確な答弁をいたしかねるのでありますが、よろしければ後刻調査して私の方から報告申し上げたいと思います。
  17. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 後日、それは資料を出していただきたいと思いますが、不用額の横綱は、防衛庁なんですがね、これは単位が違うわけなんです。厚生省関係予算は、不如意なのに十四億という不用額は、厚生省としては大きいのじゃないか。どういう事情で、こういう不用額が出たのか承わったわけなんですが、後日一つ、大まかな数字を教えて下さい。  続いて承わりますが、三十二年末現在で、歳入債権が約百九億円となっていますね。この百九億円というこの債権というものも大きいと思う。これは、回収の見込みが立っているのかどうか。どういう程度整理できているか。また今後の見通しについても、お答え願いたいと思う。特に、病院等療養費債権というのが二十四億ありますが、これらの回収には骨折られるのではないかと思うのですけれども状況一つ、お聞かせ願いたい。その百九億という数字は、相当数字です。これは即座答弁できるようになっていなくちゃいけないですよ。私はお宅の検査を見て、不正事項がないというところはけっこうだと思うのです。しかし不当事項はかなりある。会計検査院から申されたように、約六六%が補助金行政に関するものだとあれば、補助金に関する指摘事項が多くなるのもやむを得ないと思いますけれども、全省庁を通じて厚生省補助金関係指摘事項は、約一割を占めているわけですね。個々の金額は小さいけれども、数は非常に多い、約一割を占めている。一方では、さっき申し上げましたように、十四億からの不用額が出ている。これは、どういう事情不用になったのかわかりませんけれども、また一方は、こういう歳入債権を百九億円かかえている。この回収とか、現在の整理状況がどうだということが、即座答弁できぬということは、これは、工合が悪い。だから、これはお答え願いたい。
  18. 熊崎正夫

    説明員熊崎正夫君) ただいま御指摘の百九億という中身につきましては、私ども、ただいまのところ、ちょっと資料を持っておりませんので、全体につきましては、ここで直ちに正確な御答弁をいたすわけにも参らないのでございますが、三十二年度決算におきまして、ただいま会計検査院から国庫補助金あるいは療養所療養費未払い徴収の問題、そういった関係につきましての回収状況につきまして、会計課長から、簡単に申し上げたいと思います。  保健所関係指摘を受けております補助金関係につきましては、回収は三十四年の、本年の六月末までの間に、全部回収を終っておりますし、伝染病関係経費につきましても、本年の三月末あるいは四月初めまでに、一応全部回収を終っておる状況でございます。  それから、療養所診療費の未収納の分でございますが、これにつきましては、先ほど政務次官の御答弁にもありましたように、医務局長通牒をもちまして、診養費算定並びに請求事務取扱い要領という通牒を出しまして、これは、中身相当精度の高いものだというふうに私どもは自信を持っておるのでございますが、この通牒に基きまして、収納の督促をやるということに全力をあげて現在進めておりますが、すでに、御指摘になりました三十二年度決算分につきましては、その後努力をいたしまして、大体八九%まで収納を終っておるような状況でございます。なおこれから、ただいま申し上げました取扱い要領によりまして、再び、こういうことのないように努力をいたすことになっておる次第でございます。  それから保険関係の、特に健康保険厚生年金保険料徴収不足の分につきましては、これも、先ほど政務次官が御説明申し上げましたように、逐次努力をいたしておる次第でございますが、収納率といたしましては、現在のところ、三十二年度決算で御指摘になりました分につきましては、健康保険料におきましては八七・二%、厚生年金保険料につきましては八一・八%、計八六%というところまで収納率を上げておるような状況でございまして、決して私の満足すべき収納率とは考えておりませんが、なお、今後努力をいたしまして御指摘の点は、十分反省をいたしまして努力をいたす所存でございます。以上簡単でございますが……。
  19. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今の説明は予承しました。で、少し具体的に、それでは批難事項を逐次伺って参りましょう。  二百五十三号から二百六十号、これは補助金の過大交付なんですが、中には人件費云々というような説明もあります。この点については、毎年繰り返されておるということを検査指摘しておりますが、毎年繰り返されておるということは、私は遺憾だと思うのです。しかも、これは二十万円以上というから、これ以外に二十万円以下のが相当あるということを考えれば、やはりこの点も、引き締めて参らなければならぬと思います。その点に対する御見解と、先ほどの説明は、二百五十三号から二百六十号までは全部返納ができたと、かように了承してよろしいですか、お答え願いたいと思います。
  20. 熊崎正夫

    説明員熊崎正夫君) 二百五十三号から二百五十六号の分につきましては、先ほど申し上げましたように、回収を終っておる状況でございます。
  21. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) ただいまの保健所の補助金の個条書きでございますが、これを大きく分けまして、そこにも書いてございますように、保健所に勤め場所を置いております、しかも、交付税の対象になっておりまして、補助金の対象になっておりません監視員が、食品衛生、環境衛生監視員というのがあります、これが同じ場所に勤めておるものでございますから、とかく保健所職員と同一に扱いまして、悪意ではないのでありますが、一緒に補助対象に往々にして何人か入る、これが、大きな一つでございます。  もう一つは、保健所の職員が病気になりまして、ある時期がきますと、長期療養に入りますと、県によりまして、いろいろな方法がございますが、休職になります。そうすると、交付基準では、そういう勤務しないときには、補助対象にしないということになっておりますのを除外から忘れまして、これを算定して補助を要求してくる、こういうことでございますので、細かな事務取扱いのミスが多いために、ちょうどこの年度である三十二年の七月に保健所の補助金取扱い事務取扱い準則を詳細にきめまして以後、これに基くように指導しておるわけでございますが、三十三年度、さらに今年度につきましては、かなり徹底いたしまして、こういうあやまちを再び繰り返さないようにと、こう存じております次第でございますが、さようなものが、ここに出ておりません少額のものにも、概してそういうのが多い。これは、いずれもわれわれの方で、さらに調査いたしまして返済は、もうすみやかにさせるようにいたしておるわけでございます。  それから伝染病の予防費の補助金につきましては、これはある町村で伝染病が発生いたしますと、伝染病予防法に基きまして、人を雇い入れる、常時の人数で足らぬ場合がありますので、臨時に増員いたします。これも交付基準で、患者数に比例いたしまして限度額をきめておるわけであります。それをこえた部分については、補助しないことになっておるのでございますが、それをあやまって過大に補助対象にまで入れておる、これが、一番大きいのでございます。そのほかに、患者の発生したところに迎えに行って、運び入れる伝染病の輸送車の経常費、維持費でございますが、主として燃料費でございます。これも一定の額をきめてある、それをこえてくる、こういうのが多いのでございます。これも、今の取扱い準則で厳重に、そういうことのないように締め出しておりますので、今後はぜひ、こういうのは減殺、あるいは絶無、こういうことで指導しておりますので御了承をお願いしたいと思います。
  22. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 厚生省は、非常に補助行政の部分が多いし、事業主関係があるし、数多くの自治体に関係がある。そうして内容は複雑多岐であるというところに、同情すべき点はあると思うのです。非常に骨を折られると思うのですが、会計検査院指摘を繰り返さないようにしていただきたいと思います。  それから二百六十一号と二百六十九号については、これは、私は二百五十三号と二百六十号よりは、きつく批難したい気持なんですがね。これは、検査官が言われたように、その原因というものは予想されるわけですけれども、しかし、非常に毎年多いということ、それから県は、二十四県ですか扱ったうちで、八県該当している。それから一方、保険者二千八百二十九中十二が該当して超過交付をしているというのですが、そうして二十万円以上がここに出てきているわけですが、これはさらに一段と、強力に指導して、この絶無を期するということにしなければいかんのじゃないかと思うのです。  こういう点については、何か制裁を加える方法はないのですか、穏やかな制裁の加え方は。でないと、これは毎年繰り返して、ちょっと手綱をゆるめると、ぐっと多く出てくる性質の内容のものじゃないかと思うのですがね。何らか穏やかな制裁を加える方法はないですか。そうして絶無を期するという方法はないか。会計検査院並びに厚生省当局からお答え願っておきたいと思います。
  23. 太宰博邦

    説明員太宰博邦君) 厚生省の方から申し上げます。  大へん申しわけないことだと思っております。先ほど検査院の方から、御指摘がございましたように、国民健康保険療養給付費の補助金交付方式が、以前は療養給付総額の二割でございまして、その二割の分け方につきまして、そのうち、二割のうちの一〇%分につきまして、できるだけ町村のしりをたたくというような意味合いで収納率をよくして非常に熱心にやった所に、ごほうびの意味で配賦していた。それが、ただいま指摘を受けましたように、逆な効果を来たしまして、何とかしてもらいたいというので、相当収納率を上げる心組みでもあったことと思いますが、それが最後の精算の段階になりましても、是正することを怠ったか、忘れたかいたしまして、そうして帳面づらでは、非常に収納率をよくしたような格好になって、このごほうびにありついたというようなことがございまして、これが御指摘を受けたわけであります。この点につきましては、いろいろ私どもの方でも、確かに考えねばならぬ点がある。本年の一月から、新しい国民健康保険法が改正になりましたこの機会に、かような交付方式を改めまして二割は国庫負担として、各保険者に、全部平等にやる、こういう方式に改めるという関係から、今後こういうようなことは、大体起らないと思いますが、なお、それに類似するような点につきましては、確かに御指摘通り、私どもとしては、一そう注意いたしまして、そういう間違いが、知らず知らずの間に起るようなことも防ぎたい、これのやり方といたしましては、地方団体に、何らかの意味の制裁ということも考えられるかもしれませんが、やはり同じ地方行政の、私どもと一緒になってやっている機関のことでございます。私ども、さらに指導徹底をするということにおいて、この弊を防いでいきたい、かように考えております。
  24. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 制裁というのは、参考に聞いたわけなんです。それに重点を置くべきじゃない。  それでは、政務次官に伺いますが、根本は、国庫の負担が低すぎるということですよ。それは自治体の主張は、国民皆保険に基く国民年金には苦労しています。なかなか趣旨を普及させること、普及徹底にも骨が折れますし、いざ経理運用になると、さらに苦労をするわけですね。ことに大会社とか官庁が多い。そういう勤務者を多くかかえているような大都市となれば、ほんとうに所得の中流以下をかかえてやっていくということは容易でないわけですね。そこから僕は、こういうことが誘発してくると思う。原因は、そこにあると思う。これは大きな問題ですから、国民皆保険というものを押し進めていくという角度からいけば、現行の筋でいくとすれば、国庫負担率というものを、もう少し検討しなければ、実際運用が行き詰まるのではないか、かように考えますが、政務次官としては、どういう御見解を持っておるか、承わっておきます。
  25. 内藤隆

    説明員内藤隆君) 御趣旨、ごもっともでありまして、御趣旨に沿うて一つ善処したいと考えます。
  26. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まあ、その程度答弁だと思いますが、そういうことで解決できぬ問題ですよ。これは、大きな問題ですから、社労委員会で、専門のところでやるべきことでありますから、ここでは、その程度にとどめておきますが、その根本を、ある程度解決しなければこの批難事項というものは、百年河清を待つたぐいじゃないかと思っておるのですがね。これは社労委員会の方に、十分一つやっていただくことにします。  次に二百七十号について、ちょっと承わります。この二百七十号の指摘なんですが、こういう問題が起らないように、特に注意していただかなければならぬのです。徴収決定漏れ金額が六百八十五万円もあるというようなことは、放置できないことだと思います。しかもこれは、八十八カ所検査したところが、十一カ所出てきたというのですからね。八分の一だから、パーセンテージにしたら相当なものですよ。しかも、これは金銭の問題ですからね。全力をあげて収納している。八九%収納しているというのには、僕はびっくりしたのですが、よくも成績をあげたものだ。漏れるのも大したものだが、集めたのも大したものだ、こんな感じをしたのですが、まず集める前に、漏れないように、この点は、特に一つ御注意願いたいと思います。これは、特に答弁は要りません。  二百七十一号ですが、これは、ずいぶんひどいものですね。検査した事業所の四〇・二%が不適正である。四〇・三%というのは、四割強ですからね。これを他の資料によって見ますと、不適正と指摘された事項としては、農業共済保険の四四・一%というのが、これが各省庁を通じて最もひどいのです。それについで第二位です。そもそも、大体農林省と防衛庁というのは、これは、会計検査院のお得意先ですが、一番批難されなければならぬところですが、その農業共済保険が四四・一%、次におたくの健康保険及び厚生年金に関する指摘が四〇・三%、不足金額は七千五百余万円となっておりますが、この率ですね、これは何とか、もう少し事前に防止する方法はないのか、何かに欠点があるのじゃないですか。私は実際運用したことがない、専門家でないからわからないのですが、ここをこうすれば、これを少くすることができるという、具体的な構想が皆さんにもあられるだろうと思うのですが、従って会計検査院並びに厚生省当局から、その防止するための具体的な方策を一つ承わっておきたい。  なかなかこの方も収納の方は健康保険で八七%、厚生年金関係の方で八一%、大体八割程度いっているわけですが、こういうことでは、障子を破っては障子を張るということをやっていれば、不経済ですし、未然に防止策があれば、それを研究されて、敢然として行うことが、私はとるべき道だと思いますので、予防策を具体的に一つ聞かせて下さい。
  27. 白木康進

    説明員白木康進君) ただいま御指摘の点でございますが、防止対策を具体的に私の方から申し上げるのは、これはあまり適当でないと思いますが、ただ御参考までに実情について申し上げますと、社会保険出張所等の中では、事業主から保険料算定基礎届を受けつけます場合に、たとえば管内の適宜の場所に相談所を設けまして、そこへ職員が出張しまして、事業所の賃金台帳などと届書とを対比しまして、間違いないことを確認してから、その算定基礎調書を作る、こういうことにしておきますと、ここに指摘しておりますような事態は、ほとんど大部分が防げるのではないか、結局社会保険出張所等におきまして、管内の事業主体と、まあ人数とか、事務の繁閑の関係もありましょうけれども、できるだけ緊密に実態を把握する努力を平素からやっておられるということが、結局根本でございまして、現に、ただいま申し上げましたような方法で、相当の成績をあげておられる社会保険出張所もございますので、こういう方針を全般的に及ぼされたらいいのではないか、こういうふうに考えております。
  28. 太宰博邦

    説明員太宰博邦君) この健康保険厚生年金のシステムといたしまして、事業主に、大体標準報酬の月額を届けさせることに相なっております。これが毎年一回、定時改訂というのをいたしまして、大体、翌年度まで一年間、それが続き、その間におきまして、特に大きく賃金が値上り、値下りしたというときにおいて、さらに届出の義務を課しまして、その場合には訂正する、こういう仕組みでやっておるわけでございますが、いろいろその間におきまして、間違いがともすると起ることがあるわけで、何とかして防止したいと思って、私どもも及ばずながら第一線を督励いたしまして、最善の努力をしているつもりでありますが、なおこういう事態が起ったことは遺憾だと思います。  それで、その防止する方法につきましても、ただいま検査院の方からも御指摘がありましたようなこともやりますれば、相当防止できるはずでございます。私どもも極力そういうことを考え指導しておるのでございます。全般的に申しまして、実は健康保険事業所、被保険者の数の増加というものに対しまして、これを取り扱いまする職員の増加というものがなかなか思うように参らない現状でございまして、たとえば、昭和二十五年度と比較いたすということがいいか悪いか知りませんが、比較してみますると、事業所の数及び被保険者の数にいたしますと、昭和三十四年度——今年度あたりでは約二倍強になっておりますが、これを取り扱いまする職員の方が一・五倍程度にとどまっておる。こういう点からいたしまして、一人当りの職員の扱います量が非常にふえてきておる。この点につきましては、能率を上げますため、事務の機械化もやる、あるいはまた、いろいろ事業主との間の連絡を密にする、いろいろのようなことで、その職員不足する分を補っておる段階でございます。まあこれにつきましては、もっともっと知恵をしぼってやっていかねばならぬと、増員も実は私どもしてほしいと思いますけれども、いろんな国家財政、その他の関係からして思うようにいきません点は、そういうような事務の能率増進ということで補っていかねばならぬ。この点につきましても、財政当局にも機械化その他の予算等も要求しておるわけでございまして、今後一そうそういう点については努力して、御指摘のように四〇%の事業所に事故があるということ自体申しわけないと思っておりますので、今後さらに研究いたしたいと思っております。
  29. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ただいまの局長答弁はきわめてまじめで誠意ある適切な御発言だと思うのです。私は、昭和三十四年度決算検査報告にどういうものが出てくるか期待をいたしておきます。あるいはそのころは事務次官としてここにおいでにならぬかもしれない。(笑声)適切な意見だと思います。  そこで、一つ今の答弁に関連して政務次官一つだけ聞いておきますがね。確かにこれは職員を増員する必要があると思う、仕事の量からいって。ことに、国民皆保険というのは、鳩山内閣から岸内閣に続いての一つの看板政策ですからね。それの推進段階にあるわけですから、仕事の量が急にふえたということは事実だと思う。機械化できるところはして、そして能率向上という点を創意工夫されるというのは、この考え方はけっこうだと思うのですが、限度があると思うのですね。やっぱり質的にも量的にも適当なる公務員を確保するということだと思うのですが、来年度やったらどうかと思うのですがね。このくらい政務次官やる気になりやできると思うのですが、お約束できるかどうか、お答え願いたい。
  30. 内藤隆

    説明員内藤隆君) 明年度予算には人員増の要求を出しておりまして、相当決意をもって予算確保したいと、かように考えております。
  31. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その答弁承わっておきます。  そこで私、この機会に、本院で何回も問題になりました水俣湾のことについてその後の経緯を承わっておきたいと思う。これは厚生省でずいぶんいろいろ配慮されているわけですが、死亡率が四〇%にも及んでおる。そして最近また新患者が出て参った。鹿児島県の北部から熊本県の南部にわたって社会不安さえかもし出しつつある。こういう新しい事態を厚生省当局は知っているかどうかということと、それから橋本厚生大臣以来、この原因究明は厚生省の責任であるということを本院で何回も答弁されているわけです。それに対処して、早期総合的究明をなされるということを約束され、本日までやってこられたわけですが、この早期総合的究明というものはどういう段階にきているのか、要領よく一つお答え願いたい。
  32. 聖成稔

    説明員聖成稔君) ただいま御指摘の水俣の問題でございますが、昨年度年度半ばで予備金を計上いたしまして、職員が三十三年度研究費、さらに三十四年度——今年度予算におきましても、同様に原因究明の経費を計上いたしておるわけでございます。  本病は二十八年以来発生いたしておりまして、三十一年に多発することによりまして、初めてこの病気の存在が明らかになったわけでございますが、翌年にはこの水俣湾でとれます魚介類を摂取することによって起る一種の食中毒疾病であるということが明らかになりまして、しからばどうしてこの魚が有毒化してきているかということに、以来研究を原因解明に集中して参ってきておるわけであります。で、本年度に入りましてから、ただいま矢嶋先生御指摘のように、新たに八名の患者発生を見まして、それも従来は水俣湾の湾内の魚介類を摂取することによって起りましたこの疾病が、本年に入りましてからは湾外において五名の患者の発生を見ました。水俣湾よりもさらに広く不知火海に問題が発展したということを私どももよく承知をいたしておるわけでございます。ただいま御指摘のような原因解明が何と申しましても最も重要な問題であるということで、私どもは、厚生大臣の諮問機関でございます食品衛生調査会というのがございます。この食品衛生調査会の中に、昨年年末に水俣食中毒特別部会というものを設けまして、これには当時熊本大学の学長であられました鰐淵博士を部会長に御就任いただき、熊本大学を中心にいたしまして医学のみならず、薬学、化学、水産学、潮流学、地質学といったような関係の方々、主として熊本大学が中心でございますが、さらに農林省の出先機関でございますが、西海水産研究所あるいは熊本県立の水産研究所、あるいは海上保安庁の出先の人等にも加わっていただきまして、ひたすらこの原因解明に当っていただいておるわけでございます。去る七月に熊本大学の方で新たに有機水銀——水銀の化合物である有機水銀は本病の原因に何らかの関係があるようであるといったようなことが公表されまして、そこで本月の六日に東京で食品衛生調査会を開きまして、ここに鰐淵学長並びに関係者の上京をわずらわしまして、食品衛生調査会に、この問題を中心に御報告を願い、一緒に東京のこの方面の権威者の方とともに検討をやっていただいたわけでございますが、いまだこの水銀が本病の原因であるという決定的な段階に至っておらないわけでございまして、引き続き原因解明を続行中でございまして、何とか一日も早く原因を明らかにいたしまして、先生御指摘の、あの地方における社会不安、あるいはまた漁民ないしは鮮魚を扱っておる方々にも重大な影響のある問題でございますので、早く解決をつけたい、解明をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  33. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その食中毒部会が最近開かれたわけですが、それで熊大の有機水銀説の発表があり、それは肯定も否定もされなかったというようなことが伝えられていますね。ところが会社側は、戦時中に水俣湾に軍が廃棄したその物資による事故だと、そういうように考えられる発表をしていますがね。会社だけでなくして、経団連から視察に行った方もそういう発表をしていますが、それは食中毒部会では議論になった、討論の対象になったのかどうか。これに対して、あなた方はどういう見解を持っておられるのか。早急にこの解明をしていかなければ、現地では、会社に連日のように漁民あるいは魚介商の方々が押しかけてトラブルをやっておるわけです。非常な不安状態にあるわけです。従って早急にやらなければならぬ問題だと思うのです。その角度から、食品衛生調査会は長きにわたってやっておるわけですけれども、結論を急いでもらわなければならぬと思うのですけれども、この会社側の言っている軍の廃棄物資による云々という点については、その調査会ではどういう討論が行われたか、あなた方としてどういう見解を持たれたか、お答えを願いたい。
  34. 聖成稔

    説明員聖成稔君) 今、先生が御指摘のように、戦時中に軍が何かあの湾に投棄をした、それが原因というようなことがいわれておることも私どもも聞いております。過般熊本県の方に、そういう事実があったかどうかということを、まず調査を依頼いたしまして数日前にそういう事実はないという報告が私どものところに参っておるわけでございます。また本月六日に開きました食品衛生調査会におきましては、この問題は討議されなかったわけでございます。もっぱら熊本大学の有機水銀説を中心にいろいろ議論が行われまして、この問題は当時討議されておりませんで、私どもとしては、県の方で調査いたしまして、さような事実がないという報告を聞いておりますので、今のところは、この問題につきましては特にこれを調査会にかけて検討してもらうというような気持は持っておらないわけでございます。
  35. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 担当局長並びに政務次官の順序でお答え願いたいと思うのですがね。今までこの問題については、世界でもまれな病気で、奇病だ、とにかく原因究明だというので、厚生省中心になって、関係省庁と連絡とって配慮をしていただいて参ったわけですが、依然としてわからぬ。わからぬのみならず、だんだん拡大されているというところに非常な重大な問題があるわけです。原因がわからなければ手の打ちようがない、原因がわかるまでは……。わかってから、補償関係も、あるいは漁民の操業関係も解決するというのではどうにもならないと思うのです。だから現地では騒いでおる。それから工場をつぶせといっておる。先般の決算委員会で通産省に伺った。ところが、通産省もこれは一省庁の解決できるものでない。だから農林省にも、その下部機構である水産庁はもちろんですね。それからおたくの厚生省、通産省、それぞれ関係があるわけですから、こういう関係機関で十分この連絡をとって、そうして原因をまず究明するのと、それと並行的にこの危険海域を調査するとか、それから操業危険区域を指定するとか、そういうことをやる必要があるのじゃないかということを、通産関係のときにも議論して、通産政務次官も約束をしたわけですがね。今までの行きがかり上、厚生省としては、まず原因究明で急いでいただくと同時に、こういう危険海面問題とか、あるいは操業禁止海域の設定が必要だというような討議を、農林あるいは通産、厚生という関係省庁事務当局でやっていただきたいと思うのですがね。そうして私は、根本的には今の法規で解決できないので、特別立法というものが必要だと思うのですが、これに対してどういう見解を持たれているのか。これは放置しておいたら長崎県の島原半島に出てくる。それから有明から佐賀県の方に出てくる。これは西日本だけじゃなくて、日本の国のように小さな島で、工業立国を目ざしいる。四海海だ。それで海流の作用もあるし、こうなれば、全国的にこういう問題というものは起って参ると思うのですね。だから工業の振興と民生安定と保健衛生というような角度から、この一つのテスト・ケースとして真剣に取り組まなければならぬ問題だと思うのですが、厚生省当局はどういうお考えか、局長さん並びに政務次官の御見解を承わりたい。
  36. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 御指摘のまず一つである、これが各省庁の所管に関係し、また各省庁が協力しなければいかぬ問題につきまして、昨年来この関係省の事務当局の連絡協議会を厚生省が世話役で持ちまして、開いております。一番最近のは、昨日また開きまして、各省がそれぞれ分担してその所管について対策を講ずる点を、昨日討論をいたしまして、一部進展をいたしております。それからなお原因究明について、われわれの方でも、先ほど部長が説明いたしました通り進行させておるんでございますが、しかし現在でもやるべきことがあるものでございますので、そのうちの水産業の場所の転換、魚礁設置等では、これは御承知通り、一昨年来それぞれの省にお願いをし、また協力いたしまして、従来の法規で許される範囲での補助のやり方等は若干進んでおるわけでございます。それから厚生省で担当しております患者等については、昨年来予備費をもちまして、治療の問題は、これは万全を期しておるわけでございますが、なおまだ原因の究明をいたしませんでも、ある程度疑わしいというようなものなど、それを若干抑制してみて、その結果がまた原因の究明に役立つものでございますので、大体十二月末を目途としての排水の完全処理ということ、これは厚生省直接ではございませんが、通産省の連絡によりまして、疑わしき工場にそういう設置を強く要望いたしまして、これは進行中という、きのうの所管当局の報告でございます。これがある程度完成いたしますれば、もしこれが原因であったとすれば、今後の被害も抑制されますし、それがまた過去の原因一つの明らかにする手段にもなると思います。これはぜひ急いでもらわなければならぬと思って進めてもらっております。それからいま一つ、従来の法律では漁業禁止とかいうようなことは、われわれの方の関係でございますと、食品衛生法が若干関係あるのでございますが、これはあくまで販売の用に供する最後のところしか取り締れませんので、これではだめ、やはり基本は、水産業のいろいろな漁業法、他の方の根本的な法律が要るかと思いますので、この点も各省連絡協議会では、まだどこが分担してどういうふうにやるという結論までにはいっておりませんが、それは十分討論をいたしておるところで、まだきまりませんのは申しわけありません。さような状況でございます。
  37. 内藤隆

    説明員内藤隆君) ただいま局長より御説明申し上げました通りでございまして、私も就任以来、この問題の報告は詳細に承わっております。まあ事務局において、三者の会議等を数回やっておりますので、その間において、われわれは厚生省の立場においての善処を強く申し上げたのであります。  それから特別立法の立案云々という御質問でございますが、これもただいま局長の答えた通り、漁業法その他の関係等もございますので、農林省その他の会議が進むに従ってさようなことに相なってくるかもしれませんが、現在までのところ、われわれはそこまで考えていない、こういう点でございます。
  38. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点は今の答弁の線に沿って早急に努力をしていただきたいことを特にお願いしておきます。  私の質問の最後は、年金局長中心に官房長に簡単にお答え願いたいと思います。官房長おらなかったならば、どなたか適当な人でよろしい。  それは先般の国会で定員法が改正された。それから行政機構改革、行政機関の改正によっておたくに年金局ができた。こういう立場から、調達庁の職員を百人厚生省の方へ配置転換をする。で、その行政機関職員定員法の審議の段階に修正が行われた。修正が行われたから、当初は百人であったけれども、百人をオーバーして採用も可能である。特にこの調達庁の職員は、終戦後なかなかきびしい情勢下に終戦処理を担当されて参ったわけで、最近業務量がちょっと減ったので配置転換問題が起っておるわけでございますけれども、率直に言って、防衛庁に配置転換をされるよりは厚生省に配置転換をされて厚生行政に携わりたい。その方が悲哀を感じないという人が多いというので、事務当局の方、御承知と思いますが、三十四年度予算案審議の段階、さらにその定員法等の審議の段階に、当時の坂田厚生大臣はかなり言質を残しておられるわけです。ところが、最近承わりますと、配置転換が完了していない。そうして必ずしもスムーズにいっていない。職階ですか、それと任地等の関係で必ずしもうまくいっていない。厚生省としては下級の職員だけを引き受けようとして、まあ係長級のクラスはいやがって引き受けない。調達庁としてはそういう人物を職員構成上送り出したいのだ。こういうところに行き違いがあってうまくいっていないということを私は聞いているわけなんですが、実情はどうなのか、御承知と思うのですが、坂田厚生大臣も、それから調達庁担当の国務大臣である当時の防衛庁長官も立ち会いの上で希望を聴取してそうしてできるだけ多く一つ受け入れる、こういうような速記を残しているわけでありますので、ぜひその線に沿って早急にやっていただきたいことの希望を含めて、現状を二つ御報告願いたいと思います。
  39. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) ただいま矢嶋先生仰せの通り、前国会にそのようなお話がございまして、私も国民年金法の立案を担当いたしました者として、お話も承わり、実は私自身も、先生がおっしゃる通りの気持で事を運んでおるのでございます。  まず、簡単に現況を御説明申し上げますと、九月の二十日現在で、全国を通じまして千三百八十九名の充員をいたしましたが、このうち調達庁から迎えました人が総数で八十九名でございます。もちろん、実はこれ以上の割当を各府県にしたわけでありますけれども、なかなか実情は、先生が御指摘のような事情があって、私が思ったようには運びませんでした。しかし、いろいろの障害はございましたけれども、私どもの方から強く各県の知事に対して話をいたしました結果、係長以上におきましても十名採用いたしております。先ほど先生がおっしゃった、級の高い者が受け入れにくい事情にあるというお話は、これはもうお話の通り事実なのでございまして、調達庁におる人々で、転出を希望している人々の中に若い方も非常に多うございますが、調達庁の実情を申しますと、若い人は、本人は希望するけれども、いろいろ中の事情があって出しにくい。まあ比較的年を取った方を出したい、こういうような事情でございます。ところが、この種の人は多くの場合、等級で申しますと五等、それから四等という人が相当おります。私どもの方の地方の部局は、御承知通り各県に年金課というのを、国民年金課というのを設置しておるわけでございますので、総数から申しますと相当の数になりますけれども、一単位ごとで考えますと、おおむね三十名前後の組み立てでございます。課長が四等級、それから課長補佐が、全国の半分ぐらいが四等級または五等級、係長が平均して三名くらいで五等級または六等級、こういうような組み立てでございますので、勢い四等級クラスの人は非常に受け入れにくい。これは事情を申し上げますというと、課長ないし課長補佐は、仕事の性質なりあるいは県とのつながり等から申しまして、原則的には厚生省で仕事に熟達した者か、あるいはその県で課長勤務をして、市町村の指導に対して相当の経験と能力を持っておる者を迎えざるを得ない。課長補佐もそういうような事情がございます。そういうようなことで、なかなか級の高い人を迎えにくかったというわけでございます。しかし係長以下につきましては、いろいろ努力をいたしまして、ただいま申し上げましたように、総数の百名目標に対しては若干まだ及ばない点がございますけれども、もう一息というところまできているわけでございます。  かねがね気持を申し上げておりますように、国の機関で、一方に人員がふえるところがあり、他方に減るところがあるとしますならば、できるだけそういう人を迎えたい。これはもう私ども常々考えておりまして、調達庁の人たちに対してももちろんそうでありまするし、また実は私どもの部内にも引揚援護局というまことに気の毒な部局を持っているのでありまして、この悩みは決してよそ事ではなくて、ほんとうに身にしみて感じておりますので、現状ではまだ十分ではございませんが、努力をしておりますので、この点は御了承いただきたいと思います。  なお、定員法改正の結果、百名という目標のはずがもっと多くとれるはずだ、こういうお話で、実は私どももそう考えたのでありますが、どうも農林部内の事情としては、別にあれで実質的に定員が楽になったわけじゃない。やはり計画上しぼるべきものはしぼらざるを得ないという事情等から、当初の予定通りとってほしい、こういうような実情なり希望のようでございまして、この点も私ども当初の約束でございますので、農林部内に対しましても、できるだけ一つ迎えると、ただし調達庁と農林省とでは、これは公平に見まして、部内で問題を解決する能力が相当に違いますので、調達庁の方からはなるべく級の上な、ほかに行きにくい人をわれわれの方にもらうと、それから農林部内からもらうときは、約束した数ですから、なるべく百名に近いところに持っていくように努力はいたしますけれども、これは級の低い若い人を迎えるようにする。大体そういうふうに配分をいたしまして、先ほども申し上げましたような状況に到達をしている。こういう事情でございます。
  40. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 よくわかりました。ただ一言だけ申し上げておきたい点は、定員法を審議したとき、それから修正案をいろいろ話し合ったときに、農林省の言葉では、ちょっとおかしいのですよ。ただ意見だけ私は申し上げますが、結果からいえば、調達庁と農林省と比べる場合には、調達庁がややといいますか、優先ですよ。農林省は、修正するときに、修正すれば、大体その点調達庁の方から厚生省によけい送れるようにということの若干話があってつうつうだったわけですからね。だからあまり調達庁と対等で、農林省が居直るのはどうかと思うのです。僕の当時の回想からいうならば、調達庁と農林省と比べるならば、やや調達庁に発言権があるように、かように思いますので、参考までに申し上げておきます。
  41. 北村暢

    ○北村暢君 一点だけお伺いしますが、厚生保険特別会計の中で、収納率が非常に悪くて、四〇・三%の徴収不足の面がある、こういうふうに言われているのですが、それにもかかわらず、本年度の利益は昨年度よりも五十三億七百余万円増加いたして、約百億七千七百万円の利益を上げている、こういうことのようでございますが、この利益は、相当な利益を上げているというふうに見えるのでありますが、その内容が一体どのようになっておるのか。それからもう一つは、この利益がどういうふうに運用されておるのか、これをお伺いいたしたい。
  42. 太宰博邦

    説明員太宰博邦君) ただいまのお尋ねは、厚生保険特別会計のうちで、健康保険を扱っております健康勘定の件につきまして、三十二年度における決算が、差引百億円の利益になっておると、この点でございますか。
  43. 北村暢

    ○北村暢君 そうです。
  44. 太宰博邦

    説明員太宰博邦君) 大体健康保険というのは、御承知通り、いわゆる日雇者、サラリーマン、労働者等でありますが、この人たちが疾病にかかりまする度合いをいろいろ数字的に調べまして、それでそれに必要なる経費といたしまして、賃金の度合いによりましてこれを幾等級かに分ける。平たく申しますと、賃金の度合いにそれに保険の料率をかけて、そして保険料としてこれをとって、これでまかなっていくと、こういうのは短期保険でございまするから、大体収支とんとんでいけば一番理想的でございます。ところが、御案内の通り保険料の方、つまり賃金がどれだけ上るか、年々上ると思いますが、その度合いは、その年の景気、不景気というようなことによって相当左右されております。それから被保険者はどれくらい増加するかということも、それによっても相当変っております。それから一方、給付の方は、これは病気による給付でございます。伝染病が流行するとか、あるいは流行性疾患が出たとかということによりましても違っております。非常に差が出て参りますというようなことで、なかなか私ども収支とんとんの見込みを立てておりますが、結果といたしましては、ある年には赤字が出、ある年には黒字が出るというようなことで、これを毎年そのつどそれに見合います保険の料率を変えるということもなかなか困難でございまして、数年間はその形勢が続いてくる。従来の経緯をたどってみますと、数年間赤字が出たと思うと、次の数年間また黒字が出る。もちろん、それにはわれわれも人為的には手当をしているわけでございますが、そういうふうなことが出ます。あるいは年によりまして、決算を締めてみますと、意外に大きく黒字が出たり、また赤字が出たりすることがございます。たまたま、三十二年度は、その一、二年前まで健康保険赤字と言われた時代でございまして、非常に私ども運用に苦労をいたしました。そのために保険の料率も緊急分として引き上げました。それから一部負担といいまして、患者医者のところに行きますときに、窓口で最初ちょっと払っていただく、そういう一部負相額もふやしました。それからもちろん、不適正な給付なり何なり、いろいろ手当をいたしたのであります。その効果が出たと申しますか、それにまた国の方でも一般会計から予算として三十億というような、もろもろの手当をいたしたのですが、それが三十二年度において一番そのいろいろな総合的な効果があがった年であろうかと思います。それで締めてみましたら、意外に多くの、百億ということでございますが、大きな決算剰余が出たわけでございます。こうしたものが三十年度以降から少しずつ決算上締めてみますると、特に三十一年度に四十八億ほどの剰余が出ましたりなんかいたしまして、三十三年度までに約百八十億ほど剰余が出た。これは積み立てしてございます。今年度はそういうことで、こういう短期保険にあまりそういう剰余がたくさんある必要がございませんので、若干、将来また赤字になる場合の手当もしておかねばなりませんから、まあ保険料として、保険財政のある程度の割合のものは要ると思いますけれども、これ以上ふえる必要はないというので、実は保険の料率も下げるというようなことも実は考えましてこの冬の国会では、そういう意味で御審議をいただいて、そうして御賛成いただいておったわけであります。ところが、やはりことしにおきまして、今度はまた保険財政が苦しくなりまして、ただいまの見通しでは、今年度はどうにか越せるが、来年度赤字があるいは出るのじゃないかというような情勢で、こういうふうにどうも波があるように私ども感じております。それで百八十億ほどが剰余で、あることはございますが、このくらいのものは持っている必要はあるだろう、将来赤字になった場合の金の手当として。しかしそれ以上ふやす必要はないというので、来年度予算などにつきましては、事実上非常に編成についても苦労がございます。その辺のところを勘案していきたい。かようなことでございまして、御了承いただきたいと思います。
  45. 北村暢

    ○北村暢君 ただいまの利益は積み立ててあると言ったのですが、積み立てるのは銀行預金か何かして、積み立て形式で、全然どこにも流用もしないで積み立てておく、こういうことなんですか。また基金か何かに使っているとか、そういうことはないですか。
  46. 太宰博邦

    説明員太宰博邦君) これは法律の規定によりまして、資金運用部の方に預託してございます。
  47. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の保険局長の北村委員の質問に対する説明について、なお補足説明求めたいんですが、私ども二十八年、三十年、三十一年と、ずっと社会保険あるいは国民保険の赤字について、決算をやってきたわけですが、今御説明のように三十一年、三十二年は、政府がいわゆる繰り入れをしたために黒字になったのも内容的にある。こういうことを今あなた説明されたのでありますが、これは社会保障制度というものを前進させるためには、当然国家的な手当をすべきものということが、今までの国会の中の議論で、これは進められてきたのですから、患者負担で全部をさせるということになれば、これはその年によって赤字になるとか、黒字になるということは、確かにあなたの言う心配のところが出てくる。しかし、国家的な見地から、この一応の最低基準というものをきめていくということは、これは厚生省の担当者としての私は当然なことだと思う。その上に、その年のいわゆる労働事情の変遷によって、確かに賃金の高低、あるいは保険のいわゆる収納率の悪い、いいということが出てくると思う。そういうことを考えると、今ここに百八十五億、三十三年度末にいわゆる剰余金として積み立てをしているということに対しては、今年度、三十四年度はまあどうにかやっていかれるけれども、三十五年度以降はあるいは少しむずかしくなるんじゃないかという御心配をされる大筋は一体何か。それはたとえば、いわゆる炭鉱に従事している従事員の大ぜいの人たちの中から罹病率がふえてくるとか、さっきの水俣病ではないけれども、学者がそういうような想定をされて、あなた方は言っておるのかどうか。この点についてまず解明をしていただきたい、こう思うのです。
  48. 太宰博邦

    説明員太宰博邦君) 先ほど申し上げましたことは、大体保険というものは、片一方で保険料をかけてもらいまして、これに国の方も社会保障の責任者として幾分か出す。それから今度、支出の方は、こういう医療保険でございますれば、疾病の度合にというようなものが一番大きな作用でございます。それで今年度あたり実は医療費が相当増高しておるように思います。これは各月別のいろいろ報告などに徴しまして考えられることでございます。医療費がふえてくること自体は、これは何もちっともけしからぬことじゃない。もしそれだけの疾病がありますれば、ふえるのが当りまえでございます。また病気になってもお医者さんのところへ行けないで、売薬などでなおしておったという人たちが、まあ生活が安定してきて、お医者さんにかかれるようになったのは、これはけっこうでございます。私どもはこれがどうこうというのではないのでございます。ただ収支のバランスということが、この春ごろまでに予想しておりましたものと、幾分変ってきておるということを申し上げまして——これは先ほどのように剰余が出ましたということにつきましても、私どもの予想としてはとんとんと予想しておりましたにもかかわらず、結果においてこういう狂いが出てくるということは、ままあるということで申し上げたわけでございます。今年度の傾向といたしましては、大体医療費はやはりふくらんできておるようでございまして、それには特に流行性の疾患があったということでもございませんで、これは国民の医療の保護という立場からいえば、まあ要するに国民が早くお医者さんにかかるということになったのであるというふうに解釈しておるわけでございます。さような点で、必ずしもこれがどうということではないことを一つ御了承いただきたいと思います。
  49. 相澤重明

    ○相澤重明君 あなたの言うことは、非常に重要な問題を提起しておるわけです。私どもも、もちろん、臨床医学よりは予防医学を積極的に進めてもらいたいということは、これはもう私ども国会でも常に言っておる。そこで今あなたの言う、国民が率先して医療保護を受けるようになった、こういうことであろうというのでありますが、具体的にあなたは担当者なんだから、一体どういうものを今までよりはやったと、こういうことの御説明を願いたい。
  50. 太宰博邦

    説明員太宰博邦君) 新しく何か私の方でしたということよりも、まあ病気のことでございまするから、いろいろ先ほど申し上げましたように、時によりまして思いがけなく流感が出るとかいうようなことがあって、そうしますとお医者さんにかかる度合いが多くなるということから医療費がふくらむ、こういうこともあり得るわけです。それからまた、そういう特別の理由もなしに、だんだん国民がお医者さんにかかる度合いがふえてくるということも、それによって医療費がかさんでくるということもあるわけでございます。もちろん、できるだけ国といたしまして、また個人といたしましても、病気にかかるよりも予防ということに注意はみなしているわけでございますけれども、やはりそれにいたしましても、病気になるということはどうしても免れないことでございます。その場合に、従来家でふとんをかぶって寝ておったというような者も、お医者様のところに行けば早くなおって、早く働けるということにもなるので、それはお医者さんに行くということも、私どもとしては、そういう意味で医療費がふくらむということ、これまた決して悪いことじゃない。それはあるいは、喜ぶというのもおかしいのでございますけれども、まあそういうことは当然のことじゃないかというふうに思うわけでございます。それで従来ここ二、三年、医療費というもののふくらみ方というものが少し鈍化しておったようでありますが、ことしあたりからふえてきた。この原因というものは、どうも今のところ、直ちにこれだということは事柄の性質上なかなか究明しにくい、また申し上げにくいと思います。まあたとえばこんなことが理由になるとも存じませんけれども、近年皆保険ということをやかましくいっております点が、あるいは一つの、国民に対するこの方面のPRにもなったのかもしれませんが、それだとは断定できません。もちろん、そういうようなことで、この医療の問題はなかなかむずかしいのでございまして、ただしかし、長い目で見て参りますれば、やはり国民の経済なり所得の伸びとほぼ並行して医療関係の支出なども伸びてきているようでございますが、そのときそのときだけを取り上げて見ますれば、ある年には予測よりも赤字がふえてくる、あるときにはまた黒字が出るということでございます。
  51. 相澤重明

    ○相澤重明君 どうもあなたの説明を聞いておって、何を言っているのかさっぱりわからぬのですが、私のお尋ねしているのは、つまり国民のいわゆる医療に対する関心が深まったということは、お医者さんに健康体であっても早くからだを見てもらう、あるいは整備をする、あるいは人間ドックになんか入るということも一面ありますね。そういうことで、とにかく医療に関心が深くなって、そうして実際に健康診断の回数が多くなったとか、あるいは予防の注射が多くなったとか、あるいはことしの台風十五号のような場合で、特に多くの費用を費したとか、いろいろなものがなければ、単にあなたの言う年々その年にならなければその増減がわからないというようなことで、医療行政というものを担当されてはたまらんです。われわれが決算の中でいつも言っておるのは、当然社会保障という建前において医療行政というものは国が負担すべきである。こういう考えだから結局この保険料率についてもできるだけこれを下げて、そして患者が発生をした場合でもその人たちにはできるだけ負担を軽減させようと、これが本来の厚生省のあり方だということを私どもは主張してきたわけであります。だからわれわれ社会党が常に今まで言ってきたことは、とにかく保険料率をできるだけ引き下げろ、そして国家資金をこの中に投入しろ、決算赤字の中でも、常に患者負担だけを多くするということはいかん、こういうことを主張してきたわけであります。今の局長答弁を聞いておると、これは単にことしはまあどうにかいいかもしれんけれども、来年になればあるいはまたよけいかかるかもしれぬ、その次はあるいは赤字になるかもしれぬ、こういうことだから、保険料というものを下げるなんということはとんでもない。保険というものは、本来が考え方として、患者と、いわゆる被保険者と政府との関係で両方で半々で持つべきものだ。なるほどその考え方というものは、従来やり来たったのはそういうことだ。しかしわれわれの言っておるのは、社会保険を前進させるのが文化国家の建前で、厚生行政は特にその中心である、これが常にわれわれが主張してきたところである。それと同時にいま一つは、診療報酬の問題でも、厚生省が長い間、医者とうまい話ができなくて、前の堀木君なんかずいぶん苦労したけれども、ああいう問題でももっともっと大局的な立場に立って考えなければいかん、こういうのが常にわれわれが言ってきたところだけれども、今の局長答弁を聞いておると、これは単に保険料を下げないための何か理屈を言っておるだけに過ぎない、こういうふうに私ども考えられる。これはいずれあとで根本的な問題として大臣に質問するけれども、次官はどうです。次官は、少くとも自民党の政策としてこの予防医学の問題については、特に厚生省の社会保障の問題に力を入れておるわけだ。そのために今まで政府資金というものを繰り入れてきたわけです。それを今後促進する、もっとふやすという考え方があってしかるべきだ。そういう点を次官としてはどういうふうにお考えになっておるか、この際御答弁をいただきましょう。
  52. 内藤隆

    説明員内藤隆君) 御趣旨よくわかりました。これは単に政府だけ一方的にということよりも、社会保険というものの性格から見て、双方やはり協力をして助け合っていこうというところに私は社会保険制度の根本があろうと、かように考えます。今の段階ではまだこれをどうするということをここでお答えできないのでございまするが、御趣旨はよくわかっておるつもりでございます。
  53. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは次官は政治家なんで、議員なんだから、当然いろいろ各党各会派ではそういう政策をお互いに進めるのだから、あなたがすなおに予算編成の前にこうしますということは、これはなかなか言えないと思うのです、責任者として。しかし考え方としては、今社会保障というものは、やはり前進させていく、全体の国の政策の中でやっていくということは、これは否定すべくもない。またこれを取り上げてお互いの政策としてやってきておる、国民に公約しておるのですから。だからその点はぜひ促進をするように、なお今後は努力してもらいたいと私は思います。それではこの点はいずれまた予算編成の問題もあるので、大臣とあとでお話することにします。  次に、大臣がお見えになる前に、少しやはり担当局長にお尋ねしておきたいと思うが、国立病院の給食の問題について、今患者に対しては一食どのくらいの給付を行なっておるか、これを一つ答弁いただきたい。
  54. 川上六馬

    説明員川上六馬君) 国立病院の給食費はどのくらいかということでございますが、現在一日百二円でまかなっております。
  55. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうすると、一日が百二円ということになりますと、一食は三十四円という計算ですか。三十四円というもので、どんなものが一体食べられるでしょうか。献立などは大体厚生省は御存じでしょうね。どういうものをおもに食わしているでしょうか。
  56. 川上六馬

    説明員川上六馬君) むろんこれは主食のほかに、蛋白あるいは脂肪その他ビタミンなどにつきまして、栄養士が各施設におるわけですから、それによって栄養上は一応欠陥のないものを提供しておると考えております。
  57. 相澤重明

    ○相澤重明君 栄養士がおって栄養上に欠陥のないものを食べさせておる。そうすると、ほとんどそれだけの栄養のものであれば患者さんは大体食べられますね、これは。
  58. 川上六馬

    説明員川上六馬君) 食べられますというのは食べておるかという……。
  59. 相澤重明

    ○相澤重明君 ええ。
  60. 川上六馬

    説明員川上六馬君) 食べておると思います。
  61. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうすると、残飯というものは、ほとんどないわけですね。大体が食べられるということですから、そう残飯というものはないわけですね。いかがでしょうか。
  62. 川上六馬

    説明員川上六馬君) それはやはり食欲によりまして食欲の不振なものはむろん残飯を出しておるわけでございます。
  63. 相澤重明

    ○相澤重明君 失礼ですが、あなたは国立病院の近い東京都あるいは神奈川県の方をどのくらいお回りになりましたか。
  64. 川上六馬

    説明員川上六馬君) 三、四十カ所見ております。
  65. 相澤重明

    ○相澤重明君 三、四十カ所お回りになって、それてこの食事の時期に、おそらく献立も見、あるいは食事の内容もごらんになっておると思うが、どうですか、麦と米とまぜてそうして干物でたくあんでどうですか、栄養百パーセントですかね、そうして残飯はその日の健康状態によって患者がどうも食欲がなければ仕方がない、食欲があればたくさん食べられると、こういうようなことになっておるのですかね。今はどうですか。
  66. 川上六馬

    説明員川上六馬君) むろん大へん食事代が安いものでございますから、特にいい魚を使うとか、いい肉を使うということをしましては、むずかしい面もあるかと思います。しかしただいま申しましたように、非常に食費は安いにかかわらず、国立病院といたしましては栄養の欠陥を来たさないようにこれは工夫をいたしております。私は、まあ施設によりましては不十分なところもあるかと思いますけれども、食費の安い割合にはかなり注意をいたしまして、患者の嗜好に合うように、残飯を残さないように、そういう点を相当努力をいたしておるつもりでおるわけでございます。
  67. 相澤重明

    ○相澤重明君 まあ一つ、やはり最高幹部の方がおいでになるとあるいはいいときもあるかもしれませんが、私は実は国立病院をずっと回っておるのです。残念ながら残飯が非常に多い、特に寝ておるような人たちが食べられられない、麦のたくさんまじったものを食べさせる、魚は干物で実際には手をつけられない、こういうのでむしろ差し入れ——親族や知人が来て、そうして何とか食べられるものを一つもらいたい、こういう患者さんが非常に多い。これははなはだ厚生省の、患者に対するところの親切度合いというものが私は不足しているのじゃないかということを思うわけです。そこでその一番根本は、今あなたが端的に指摘されたように、一日の給食費が百二円である、今あなた国会の食堂でライスカレー食って幾らですか。あなたが一皿食って幾らですか。これを考えても、いかに患者に対する、やはり国家的な立場でこれらの人たちに対するサービスが悪いかという点を私はおわかりだと思う。これは私は何もあなたを責めているわけじゃないが、そういう実情であるから、これはどうしても直してもらわなければいけない。人間として、特に身体をいためておる人たちですから、その人たちが十分栄養をとって早く回復して社会人になれるように、私はやはり厚生省の人は、政府の閣僚の諸君にも理解をしてもらって、私ども国会議員にも率直にそういう点をやはり訴えてもらえるようなことがほしいと思う。社会全般の人がそういう認識をすることが私は厚生省のより方針をよくしていくことだと思う。そういうことで今私は、実は内容的にお尋ねをしたわけなんですが、せっかく大臣おいでですから、あなたどうですか、今の一日百二円、一食三十四円それで栄養士による、まあ病気の身体が回復する栄養が十分とれるとあなたはお思いになっておりますか。これは一つ大臣から御答弁いただきましょう。
  68. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) 相澤先生の専門的なお話を承わっておりまして、私も、国立病院は、就任浅いものでございまして、数カ所しかまだ見ていないのでございまするが、御意見を尊重いたしまして、漸次できるだけの措置を講じていきたいと、かように存じております。
  69. 相澤重明

    ○相澤重明君 大臣の誠意ある答弁でぜひ今後努力していただきたいと思います。  それから次に、担当の局長一つお尋ねしておきたいのですが、残飯は一体どういうふうに処理をなさっておるのでしょうか。
  70. 川上六馬

    説明員川上六馬君) 残飯は国庫に歳入することを建前にいたしております。
  71. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうすると、残飯は歳入を建前にいたしておりますから、各国立療養所病院のその残飯を売った金は厚生省に引き上げると、こういうことですか。
  72. 川上六馬

    説明員川上六馬君) 収入にいたしております。
  73. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでは大へん失礼な話ですが、三十二年度残飯の収入は幾らになっておりましょうか、御説明いただきたいと思います。
  74. 川上六馬

    説明員川上六馬君) 不要物品などの収入と一緒になっておるので、ちょっと今わかりかねるわけでございます。
  75. 相澤重明

    ○相澤重明君 まあ、あなたにはあまりわからぬ方がいいんだ。ほんとうは私はむしろわかるようなことを聞いておるのじゃないんです。実は国立療養所なり国立病院患者諸君は娯楽設備というものが非常に少い。おそらくテレビのあるというところはごく少いでしょう。一病院でも一つか、せいぜい二つくらいでしょう、大きいところでも。これはもう大臣にあとでそういう点についても、なお患者慰安について努力してもらいたいと思うのですが、映画をやるといってもごく回数が少い、こういうことで、病院長患者の人たちと話し合って、それで、それを有効的に使っておるところがかなり私はあると思う。これは私が調査したところですよ。全国の中でこれはもうかなりある。いわゆる会計検査院指摘の建前からいけば、これはなるほど国の予算から出たものと、そうして余ったものを処理をしたのだから、会計法上からいけば歳入として計算すべきものだと思うが、それは逆なんですね。これはあまりにもいわゆる画一的な考え方で、むしろ私はこの際会計検査院一つ聞いておこうと思っているんですが、会計検査院は、こういうものをどういうふうに処理をするのが正しいとお考えになっておるか。つまりこれは処理の仕方が、残飯であるからといって外へ捨ててしまえば、これは犬が食うか、カラスが食うか、いずれにしても、風でさらわれてしまうか……。ところが特に厚生省は衛生に関する大元締だから、そういうことがあってはいけないというので、ドラムカンに入れたりあるいは箱を作って入れて、それを豚の飼料にしたりあるいは鶏のえさにしてそうして幾らかでもその収入によって、できるだけ病院のために患者のためになるようにしていこう、これがおそらくどこの病院でも足りない金の中で創意工夫をこらしておることじゃないか、こう思うわけです。そこで会計検査院はそういう末端の調査をしたことがあるのか、その場合にどういう意見を出したのか、この点を明らかにしてもらいたい、こう思うのです。
  76. 白木康進

    説明員白木康進君) ただいまの点は、私ども病院検査の際に、担当者によってあるいは取扱いがいろいろなふうになっておる面もあろうかと思いますが、結論として、私どもの方で、特にその売却代金を歳入に提示しなければいけないというような結論を下したことがございません。これは私の私見でございますが、残飯は、おそらく患者が自分の経費を支弁して、まあ食したもので、それをいわば食べなかったというような関係もございますので、直ちにこれを売却して歳入にすべしという議論も本質的にも出てこないんのじゃないか、まあ、私実情はよく知りませんので、ここに責任ある御答弁をいたしかねますが、結論として、これをどうしなければならぬというようなことは考えておりません。
  77. 相澤重明

    ○相澤重明君 当局も大体それでいいですな。これはつまり外に出しておけば、犬が食ってしまえばこれは残らぬわけですな。そうでしょう。あるいはカラスが来て食べてしまえば、これは別に売りたくもなくなってしまう。ところが、それを上手に保管すれば幾らかでも残る場合がありましょう。そういう場合には、保健衛生の建前からできるだけ病菌を残さぬように、まあ先ほどあなたの御説明のように、患者には栄養食を与える、こういう建前で残飯が残らぬように指導する、これが厚生省の、当局の考えであっていいと私は思うのです。そう理解していいでしょう。そうすると、たとえば残飯が出た場合には、これは現場の処理にまかせる、いわゆる病院長も良識をもっておりますから、病院長のいわゆる処理にまかせる、こういうふうにやはり私は柔軟性ある運用というものを本省が指示してやっていいんじゃないか、こう思うのですが、そういう点はいかがでしょうか。
  78. 川上六馬

    説明員川上六馬君) 従来、残飯は一応歳入とすべきだというように私たちは聞いておったもんでありますから。今、検査院のお話が果してその通りであるならば、先生のおっしゃったような工合に、職員患者以外の方にもこれは回していきたいような気持があるわけでございます。
  79. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは今の局長答弁で私は了解をします。そういうふうに現場の病院長も良識をもってやっておるし、患者の人たちにもたとえ一銭でもそういうものがあった場合には一つその人たちのために使ってやる。特に娯楽面については私は一つ大臣にこれは、今年度予算はどのくらいお考えになっておるか、ちょっとお尋ねをしておきたいと思いますが、全国の病院患者さん、あるいは職員も含めますが、とにかく病院療養所に対するところの娯楽設備あるいは文化設備、そういうようなものを今年度はどのくらい要求するおつもりですか。
  80. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) 現在のところ、らいの患者さんに対しましてはしかるべき措置を講じております。一般病院につきましては、外郭団体の寄付等によりまして娯楽機関は相当設備を備えておるわけでございますけれども、まだまだとても十分な慰安施設というようなわけにはいきませんので、この方面にも努力いたしたい、こう考えておるわけでございますので、財政上今のところそこまで手が回りかねる、それよりも医療費とか、何とか、そういう面が先だつ、こういう考えでおります。
  81. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは大臣一つぜひたまには現場の病院を、往復のときでもけっこうですから、慰問してやってほしい。私も大体年末とか、夏とかというときには、できるだけそういうお気の毒な人たちは慰問をするつもりで私どもおります。ですから、そういう中で一つできるだけ現場の苦しい状況をよくしてやると、こういうことで、せめてテレビの一つくらい、あるいはラジオの一つくらい買えるように御努力を、たまには映画のできるように、こう希望しておきます。  そこで次に、私はこれは厚生大臣ばかりではなくて、もちろん労働大臣との関係もあるわけですが、一つの立法的なものについて大臣の御出席のときにお尋ねをしておきたいと思うのですが、実は全国に脊髄を侵されている脊髄損傷というのですがね、脊髄損傷患者が約二千人くらい私どもおると思います。現在箱根の風祭の療養所を初めとして、九州等から全国的に今入院している人が約千名からおると私どもは推定をしておるわけです。こういう脊髄損傷患者に対する法律的ないわゆる立場はけい肺法に基いておるわけです。ところがけい肺法については、御承知のように、二年前に暫定的に、本格的な法律を提案するということで当時実は成立をしておるわけです。おそらく労働大臣もけい肺法についてはあらためて通常国会あたりで私は提案されるものと、こう理解をしておるわけです。そこで、このけい肺法がそういうふうに提案をされる際に、私は脊髄損傷患者については特別なやはり立法措置を考えなければ、これらの人たちが救えないのではないか、こう私は思うわけです。特に脊髄損傷患者というのは、御承知のように、山で石炭を掘ったり、あるいは銅を掘ったり、こういう鉱山とか、あるいは今の場合は高層建築でありますから大工さんですね、ああいう人たちが高いところから落ちたり何かするとみんな背をやられる、それから最近は自動車がスピードを出すようになりました、自動車の運転手がやられるそうだ。私は国鉄の出身者なんですが、国鉄でもそういうのがあるわけです。これは脊髄損傷患者というのは、もうほとんど廃人同様な、もう一たんこれにひどく侵されると全然機能が麻痺してしまう。まあ実際こういう公開の席で言うのはどうかと、今特にお隣りに奥さんがおるのでどうかと思うのですが、これはもう全然腰から下は機能が停止してしまう。もうまごまごすると両足を切断しなければならない、こういうような人たちもかなりおるわけです。こういう非常にお気の毒な病気の人たちを、ほとんど今の場合に、労災法に基いて処置をされておる人たちというのはごく少くて、生活保護法に基くところのいわゆる医療を受けておる人たちが多い。こういう点を考えてみると、これはもう実に終始この人たちはなくなるまで近所の人たちから見離され、社会からも見離される立場に置かれるという実にお気の毒な人たちです。この人たちに対する手厚い措置というものは、ぜひとも私はこのけい肺法がいわゆる改正提案をされる際に、独立立法として提案をすべきではないかと、こう思うのであります。大臣はまあ就任後日が浅いのでありますが、おそらく専門的にお考えになっておると思うのですが、この点いかがでしょうか、一つお答えをいただきたいと思うのです。
  82. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) ただいま御意見の脊髄損傷患者でございますが、これは労災法によりまして一応援護の措置は講ぜられておるわけでございまするが、私どもとしましては、長期にわたりました場合におきましては、生活保護法と、こういう面におきまして考えておるわけでございまするが、お説のように、特別立法を作りまして特にこれを何とかしょうと、こういうことでありまするならば、私どもも最近とみにこの問題が世上に上っておるわけでございまするから、これも十分御検討させていただきたいと、かように考えます。
  83. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは大臣が今御答弁いただいたように、ぜひ検討をして通常国会には提案のできるように私はしてもらいたいと思うのですが、労災法の適用を受けるのはごく少いのですよ。これは公務外が多いのです。公務外のいわゆる病気としておるわけです。それはまあこれからは私はおそらく文化病の一つとだといってもいいと思うのですよ。今おそらくここに専門家のお医者さんの、厚生省あたりに研究されておる人がいて、これはまだ最終的結論が出てないのです、医学上の立場からいって専門的に言うと。私は専門家じゃないからそのお話を、御講義を拝聴しただけなんですが、そういうお話なんです。そこで現在のところは最高、法律のいろいろな適用を受けていっても七年です、七年で、あとは、もう法の適用を、受けられない。しかもこの中には、生活援護法さえ実際にはなかなかその都市の所管ですから、これがいれられない場合もある。こういうことで、非常に患者の方はお気の毒で、風祭へ大臣行ってごらんなさい、あそこでは手押車に乗って足がない人が、そこで竹細工をしておる。その竹細工の収入で実は生活の補助をしておる。こういう実態なのです。ですから、いかにお気の毒かということは、これはもう一つの例を取り上げてもおわかりだと思うのです。  ですから、私は、この業務外の、いわゆる労災法の適用を受けられないような、そういうみじめな人たちを何とかやはり救っていかなければならぬし、一般の生活保護法には、なかなかまた入れられぬ、そういう患者さんだけでありますから、非常に気持も、まあどちらかと言うと、暗い気持になっているということもございますので、せめてこれは一つ厚生省の首脳部の皆さんが大臣と一緒になって、一つ検討をされて、次の国会には、私は特別立法をして、これらの人たちを救済をしてやってほしい。私ども、実は参議院の社会労働委員会で今月、十月一日、二日のときにおやりになったと私は思うのです。藤田委員、小柳委員の方から、その点はたしか質問をしてもらったのですが、ぜひこれは大臣も、今御答弁をいただきましたが、特別立法として、けい肺法と同時にこれは通常国会に提案されるように、大臣の善処を望みたいと思うのです。再度大臣、まことに恐縮ですが、大臣一つ、温情ある御答弁をいただきたい。
  84. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) 十分相澤先生の御意見を尊重いたしまして、検討をさせていただきます。
  85. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでは、今の脊髄損傷患者に対する療養の件については終るといたしまして、次に、先ほどちょっと局長にお尋ねをしたことで、これは大臣にお尋ねしておかぬといかぬと思うのですが、次官には、先ほど私から意見を申し上げておいたのですが、健康保険、社会保険については、これは、もう当然被保険者としては掛け金を掛けるのは、これは当然な話なのです。これは、私どもも理解しておる。しかし三十二年度決算をするに当りまして、三十二年度も六十六億九千余万円の増加が、ここに厚生保険特別会計の中では出されておる。そこで、去る三十三年末は、どのくらいになっているかというと、百八十五億の剰余金が積み立てられておる。こういうことを御答弁をいただいたわけであります。これには、前年度において三十億の政府資金の導入があったから、実はこの会計としてもやりくりができ、黒字を生む原因に大きくなったと私は思う。これは今までの歴年のいわゆる厚生省決算のときに、前に二十八年、二十九年、三十年という当時の赤字の時に、これではいかぬのじゃないか、そうして、もっと厚生事業に対するところの国の力を入れなければいかん、こういうのが、三十年をピークにして、三十一年二年と、いわゆる政府が三十億の繰り入れをやってきた。そこに、今日の黒字を生んだ、黒字財政になったところの根本の大きな理由がある。そのほかにも、先ほど局長説明されたいろいろな、いわゆる被保険者療養給付が少くてすんだ、あるいは会員が非常にふえた、それから掛金が、これは増額をしつつある、こういうことで、私は黒字になったと思うのですが、しかし三十三年の末に百八十五億の黒字になったから、それでは、今後掛金を引き下げることができないかどうか、こういう問題で御質問申し上げたのですが、局長としては、今年はともかくとして、来年以降になるというと、なかなか、それは今ここで的確な答弁をすることはできない、これはたいへん変動のあるものである、こういうような御説明です。  しかし私どもの主張しているのは、社会保障というものは、国全体がやるべきことであり、与党の政策の中にも、中心の政策として入っているわけです。従って三十億繰り入れたものは、全部白紙にしてしまう、こういうことであっては、これは私はいけないと思う。そういう建前で今後も国庫助成というものを行うとすれば、会員が増加し、掛金が当然増額をしてくる、給料が上れば、それだけふえてくるのですから、そういう面で私は考慮する必要があるのじゃないか、こういう点をお尋ねしたのでありますが、大臣は、いかがでございましょうか。
  86. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) まことに、ごもっともな御意見でございまして、いかなる国におきましても、社会保障制度というものが、福祉国家の充実という面におきまして私どもは、十分にこれは考えなければならない尊い御意見と、かように考えているわけでございます。  しかし保険財政が黒字になった。しかし将来長期にわたりまして、黒字財政が続くかどうかということは、現在の医療費が年々非常にかさばっている、あるいはまた、掛金がかけられない場合も出てくるというような状況から推しまして、やはり私どもは、御意見の趣旨に沿いまして、将来は、なるべくそういうふうにもっていきたい、かように考えておりますが、現在のところは、検討を加えつつ、その面に向いまして、将来努力をいたしたい、かように考えております。
  87. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 厚生省関係終りますので、最後に私、一問要望を含めて聞きたいと思う。おそくなりましたが、これで厚生省関係を終りたいと思います。  大臣に、一問要望を含めて聞きたい点は、大臣、おいでになる前に会計検査報告を審議いたしました。おたくは補助行政が非常に多くて自治体、さらには事業主関係があり、非常に行政が複雑多岐であるという点は認めます。しかし、相当不当事項指摘されている、不正事項は、幸いにしてなかったけれども相当指摘された。それに対しては、関係局長から大体において適切な答弁があったわけですが、大臣の責任をもって、今後同じことを繰り返さないようにしていただきたい。部下を監督指揮して、改善努力することを要望いたします。  で、さらに大臣に特にこの際、要望しておきたいことは、ややもすると厚生行政というのは、補助行政が多い関係上、場合によると、みみっちい格好になって、事務的になり、それから現状維持的になるという傾向が私はあると思う。それではならんので、意欲に燃えた積極的なたくましさというものを厚生行政の中に打ち立ててもらいたい。これがそうすることによって、厚生行政が伸展するかどうかということが、近代的平和的福祉国家であるかどうかということのバロメーターになると思う。あえてそういうことを言うわけは、三十二年度検査報告を見ますと、三十二年度検査報告でも、防衛関係費が一二・九%、お宅の社会保障関係が一二・四%と下回っているわけですね。そうして、一つの例をあげれば、教育文化費も一三・〇%、こういう状況になっているのですが、私は懸念するのですが、ここでは論じませんが、もしも今、岸内閣が志向している方向で、安保条約が改定されれば、人によって違いますが、結果は、見てごらんなさい。好むと好まざるとにかかわらず、日本の予算の性格は、相当変って参ります。バンデンバーグの決議の趣旨というものは、そんなに生やさしいものではないと私は予見しているわけです。従ってこの厚生行政の適正進展のために、大臣は、十分一つ善処してもらいたい。  で、具体的に要望しておきたい点は、先ほども保険関係の業務もふえて参りますと、その公務員の数と業務の内容が一致しない関係上、十分届かないところもあって、不当事項として指摘されている面が非常に多いわけです。局長にも承わったのですが、業務量に適合するところの人員を確保することが大事だと思います。この点について、大臣一つ十分やっていただきたいということをお約束していただきたい。  それからもう一点は、具体的な問題ですが、先ほども伺って、所管局長から言明いただいたのですが、南九州の人を、今恐怖のどん底に追い込んでいる、大臣も御存じだと思うのですが、水俣病の原因究明、解決については、厚生省関係省庁と連絡をとって、従来通り中間的な動きをとって、解決に努力していただきたい。非常にローカル的な、具体的な問題でおそれ入りますけれども、要望を含めて、大臣の御意見を承わりたいと思います。
  88. 武内五郎

    ○武内五郎君 関連して、ちょっと前に戻りますが、保険料金が、保険関係が黒字になったといって、大へんお喜びのようでありますけれども、まだ依然として赤字の続いている町村がたくさんある。特に赤字の、ことに保険料金の納入のできない者の調査をやった町村がありまして、それによりますと、納入し得ないものが、納めようと思って、納める意思があっても、納められないものが六〇%もある、こういうような数字が出ている。そういうようなことを考えますると、これは、私は保険法の根本的な改正を必要とする問題が含んでいると考えます。そういう点について、すでに新国会を前にして、いろいろ忙しいだろうと思いまするが、十分そういう点の考慮を必要とするのではないか。  その次に、もう一つお伺いしたいことは、これはお伺いしたいのでありまするが、小児マヒの予防ワクチンがソビエトから入ってきました。二万人分の予防ワクチンが入った。まだ、これは施療に使用されていないはずである。いろいろ、それと相続いてカナダから入ったとか、あるいはアメリカから入ったとかいう、競争するように入ってきたようでありますが、ソビエトから入ったものについての試験が終っているかどうか、そのワクチンが、私医者でも何でもありませんのでわかりませんが、何か期間を過ぎると効力がなくなるとかいう話なんですが、せっかくソビエトから無料で送ってよこしている予防ワクチンを、むだにしては、これは相済まぬと思う。早く使用できるような措置を講じてもらいたいし、今、どういう状態になっておるのかお答え願いたいと思います。  ことに地域的な東北、北陸地方のような気候の非常に悪いところでは、小児マヒというのは、これは風土病になっている。都会でも、貧民窟がほとんどそうだと私は見ているのですが、そうなって参りますると、天候の悪いところ、生活程度の低いところ、これは小児マヒの温床だと考えざるを得ない。そういうような、まことに日本の厚生政策の貧弱さを現わす、きわめて外国に対しても、顔向けのならない恥かしい状態をわれわれは露呈することになると思うのですが、一日も早く、そういうものの使用ができるようにしていただきたい。  それから、そういうような非常に重大なものが、日本でまだ作られない、先ほど矢嶋君からお話がありましたように、安保条約が改定されて参りますると、まことに険悪な状態になって参ると思うのですが、原子兵器なんかを作るよりも、私は一日も早く日本で小児マヒの予防ワクチンも、結核防止の大切な薬なんかも、どんどん作るような、そういう方面に力を注いだらいいじゃないかと思うのでありますが、厚生省では、どういうふうに、その点を考えているかその二点をお伺いしたい。
  89. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) ソビエトから入りましたワクチンは、現在正規の規定に基きまして、国立予防衛生研究所で、もうすでに検定中でございます。これはどこの国のでも、それから国産につきましても、万一、これが生きた菌が残っておりましたら大へんなので、これを全部検定することになっております。所定の検定を今、極力最大のスピードで進行中でございます。今のところ、まだ最後、確実な何日に検定が終るかということは、若干これはズレがあると思いますが、従来の例でございますと、検定開始後約満三カ月かかるのが通常でございますが、今回は、必要な中身内容の証明が到着して、すぐ始めましてから、大体二カ月間で終るように、すべてのことを集約して進行中でございますので、十一月末か、十二月のごく上旬、できれば十一月中には終るということで、今全力をあげておりますので、そうなりますれば、効力期間には十分間に合います。しかも大体この病気の多発する六月以降、今年はもう終息いたしておりますが、六月までには、十分な免疫獲得に役に立つ、こういうことではからっております。  なお、国産の方でございますが、これは、もう本年国産を開始いたしております。ただし、これは非常に重大な製剤でございますので、まず国の責任でやり、国産のスケールをきめるということで、同じく国立予防衛生研究所が七千五百人分の生産を終りまして、実は、十月の下旬から検定を、今度は自家検定を始める予定でありましたのを、すべて準備が終っておったのを、このソ連のものを早くということで、このソ連のあとのあと回しにいたしまして、ソ連のが終り次第、今度は国産の検定も終り、これも追加して使用する、こういうことで進行中でございまして、なお来年は、国立機関のみでは、これは生産力に限度がございますので、現在予防衛生研究所で、生産中に大体民間の大会社から技術員をことしの春以来、派遣いたさせまして、これに最初から教育を施しております。  従いまして来年は、若干の予研の国のものと、それからある程度民間による正規の製造開始と、それから不足分は、さらに輸入に待つと、こういうことで非常な量が増大して獲得できる、こういう予定にいたしております。
  90. 白木康進

    説明員白木康進君) ちょっと、先ほど相澤先生の国立病院の残飯の処理について、私お答えいたしましたが、なおちょっと補足させていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  91. 上原正吉

    委員長上原正吉君) どうぞ。
  92. 白木康進

    説明員白木康進君) 私の方の厚生検査課におきまして、病院検査の際に、残飯の処分代金は、これは歳入に徴収するようにということを申し上げておるようでございます。これは、患者が残飯の所有権をいわば放棄したといいますか、また残飯の出所も、職員の分も、これは多少ではありますが、入っておる。それから、これを処理するのには、多少国の人件費その他の経費もかかるというような、いろいろな観点から、そういうことを申しておると思いますが、私の考えといたしましては、まあそれも、そういう扱いも、これは一理ございますけれども、もともと患者の食べ残しの物でございますので、患者の方と、それから病院の方とのお話合いによりまして、その処分代金が公正に処理されるということでありますれば、必ずしもこれは歳入に入れなければならぬというふうには、私ども考えておりませんが、取扱い上、ただいま申し上げましたように、いろいろ問題もございますので、なお厚生省当局とも御相談の上で、なるべく御趣旨に沿うように適正に処理について御相談申し上げたいと思っております。  以上、補足して御説明いたしました。
  93. 相澤重明

    ○相澤重明君 今、会計検査院からも言ったように、まあむずかしく言えば、いろいろあるというが、しかし本来が、私は先ほどいろいろ質問したけれども、結論的には、患者の食べられなくて残した物、それをどういうふうに有効に使うかということは、現場では保健衛生上の建前と、効率的な運用が必要だと思うのです。そういう面で検討してもらいたいというのが私の言ったことなんです。これは、ですから今、会計検査院の言うように、病院長患者と、よく話し合って、そうしてそれが不公正にならぬように、また、できるだけそういうふうなものは出ない方がいい、残飯は出ない方がいいけれども、やむを得ず、これは出る場合もある。そういうときには、そういう処理をして、まあ娯楽設備だとか、あるいは滋養分がとれるものなり、たとえば肉一貫目買ったら、その方がよかったというのなら、それもけっこうな話で、栄養士の人がおるそうですから、それはそういう人に、できるだけ有利なようにやってもらう。こういうことを私は希望します。  大臣も、このことについては異存がないと思うのですが、念のために先ほどの武内君への御答弁もありますから、それも一緒に御答弁いただきたいと思うのです。
  94. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) 政府管掌保険の保険料徴収不足につきましては、矢嶋さんのおっしゃられる通りでございまして、私どもは、できるだけこれにつきまして、人手を集めまして、できるだけ将来とも、そうしたような手落ちのないように努力をいたしていきたいと、かように存じております。  熊本県の水俣病のことにつきましては、私も再三報告を受けておりまして、実は困った問題だ、有為の人々が、全く働き盛りの人々が、みんな知性を喪失しておるというような状況につきましては、まことに大きな社会問題である。しかし、その原因につきましては、果して魚が、どういうところの病毒によってやられておるかということについて、非常に私どもの方としても研究をいたしておりまして、これが、はっきり原因が探究されるという段階になりますれば、私どもも断固たるところの一つの措置を関係各省と連絡をとりまして講じていきたいと、かように考えておる次第でございます。  ただいまの相澤さんの国立病院におけるところの残飯の処理につきましては、なるほどお説の通りでございまして、そのような方向に指導していきたいと、かように考えております。
  95. 上原正吉

    委員長上原正吉君) ほかに御質疑がなければ、これをもって厚生省の部、検査報告批難事項、第二百五十二号から第二百七十一号の質疑は、一応終了したものとすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  97. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 速記を始めて。  以上をもって本日の審議は終了いたしました。これをもって散会いたします。    午後一時五十七分散会