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国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君)
ボアシエ委員長
がどういうことを言われましたかは、私も
新聞電報
の断片を承知いたしておるだけでありまして果してどういう
機会
に、どういう
相手
に対してどういう
程度
の
意思
として言われたか、まだはっきりいたしておりません。いずれこれらの問題については、はっきりさせてから
意見
を申すのが適当だと思うのです。がしかし、
北鮮側
がきょう帰るという問題につきまして、
作品会談
をいたしたわけでありますけれども、その
経過
は、
北鮮側
からいつ
調印
をするのかというと、いついつ
調印
をするということをきめてもらいたいということで、
日本側
としては
国際委員会
の、
承認
のあったときに
調印
をするのだということで、それ以上話は進まなかったようでございます。 従って、
北鮮側
は一応帰国したいということでありますが、私の手元にきております
北鮮側
の
代表団
の声明の末段には、現在は帰国する、ここに長く待っていてもしようがないが、われわれは戻って来るし、
日本側
が
調印
の別意を表明するときには、いつでもすぐにこれに応ずるであろう、われわれはこの点に関し、
ジュネーヴ
に
連絡
のために二名を残しておくというようなことを言っておりますから、当然
話し合い
そのものが決裂したわけではなし、やはり向うの
北鮮側
においても、現在
国際委
の
承認
のもとにこれを行うということには
同意
をいたしていると考えております。むろん、これらの問題についていろいろの
考え方
がございますけれども、今日まで、
北鮮側
も、
日本側
も、
国際委
の
同意
のもとに、了承のもとに
調印
をするという話で、
北鮮側
も残っております。ただいまの最終的なコミュニケにおいても、その点は確認されておるわけであります。これを
調印
しておいて、
国際委
に持っていく方がいいのか悪いのかということについては、おのずから
意見
が分れるところでありましょうし、また
国際委
の方も、
調印
という事実によって圧迫すること事態が必ずしも適当でないということも考えられるわけであります。その辺のことは
十分注意
をしながら、われわれとしてはこの問題を扱って参りたい、こう考えております。
kokalog - 国会議事録検索
1959-07-08 第32回国会 参議院 外務委員会 閉会後第1号
公式Web版
国際情勢等に関する調査の件 (会議録情報)
0
昭和三十四年七月八日(水曜日) 午前十時二十五分開会
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
鹿島守之助
君 理事
苫米地英俊
君 堀木 鎌三君 森
元治郎
君
委員
青柳 秀夫君 笹森
順造
君 杉原
荒太
君 津島 壽一君
野村吉三郎
君
加藤シヅエ
君 佐多
忠隆
君 羽生 三七君 藤原 道子君 石田 次男君 佐藤 尚武君
国務大臣
外 務 大 臣
藤山愛一郎
君
事務局側
常任委員会専門
員 渡辺 信雄君
説明員
外務政務次官
小林
絹治
君
外務省条約局長
高橋 通敏君
—————————————
本日の
会議
に付した案件 ○
国際情勢等
に関する
調査
の件 (
国債情勢
に関する件)
—————————————
委員長(鹿島守之助君)(鹿島守之助)
1
○
委員長
(
鹿島守之助
君) ただいまから
外務委員会
を開会いたします。 この際、
小林外務政務次官
から就任のごあいさつをしたいとのことで
発言
を求められております。これを許可いたします。
説明員(小林絹治君)(小林絹治)
2
○
説明員
(
小林絹治
君)
小林絹治
と申します。このたび
外務政務次官
の任命を受けまして、きわめて浅学不練達な者でございますが、どうぞ今後皆様の甚大なる御指導を
お願い
を申しあげます。どうぞよろしく
お願い
をいたします。(拍手)
—————————————
委員長(鹿島守之助君)(鹿島守之助)
3
○
委員長
(
鹿島守之助
君)
国際情勢等
に関する
調査
を議題として
藤山外務大臣
に対し
質疑
を行うことにいたします。なお
藤山外務大臣
の
出席
は、都合により正午までとなっておりますから、この点お含みの上
質疑
を
お願い
いたします。
藤山外務大臣
から
発言
を求められておりますので、まずこれを許可いたします。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
4
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君)
参議院外務委員会
の
開催
に際しまして私から第三十一回
通常国会
以降の主要な
外交関係事項
の
経過
について御報告を申し上げておきたいと存じます。 私は去る五月十三日サイゴンにおもむきまして、同地におきまして
ヴェトナム共和国
との
賠償協定
に
調印
をいたしました。
ヴェトナム賠償
に関しましては、
政府
といたしましてもすでにしばしばその
所信
を表明したところでありますが、元来
ヴェトナム
は桑港
平和条約
の当時国としてこれを
批准
いたし、同
条約
に基いて
わが国
に対する
賠償請求権
を有するものであります。しかして
ヴェトナム共和国政府
は、全体を
代表
する
政府
として、
自由諸国
のほとんどすべてが
承認
している
政府
であり、また、
わが国
が、正式の
外交関係
を維持しているものであります。今回、
同国政府
との間に
調印
されました
賠償協定
は、桑港
条約
に規定された
わが国
の
賠償義務
を履行するための
協定
にほかならないのでありまして、
政府
といたしましては、
右協定
につき
国会
の十分な御審議を得る
所存
であります。 なお先般、
ビルマ連邦政府
より、
日緬平和条約
の再
検討条項
に基き、
ビルマ連邦
に対する
わが国
の
賠償
について、再
検討方
を求めて参りました。
政府
といたしましては、
ビルマ
に対する
賠償額
は、他と比較して均衡を失しているものとは考えておりませんが、いずれにいたしましても先方の言い分をも十分聞いてみるという
目的
で、最近
ビルマ側
と
本件
についての
予備的話し合い
を開始いたした次第であります。 私は
ヴェトナム
を訪問いたしました後、
カンボディア
及び
ラオス政府
の招きを受けて、これら
両国
を訪れ、今後とも
わが国
との
外交関係
、
経済関係
を強化すべき
方途
につきましてそれぞれの
政府首脳
と懇談したのでありますが、特に
カンボディア
におきましては、
わが国
と
同国
との間の
経済協力協定
の
実施細目
について
合意
に達しましたので、右に関する公文の
交換
を行いました。この結果、
さき
に
国会
の御
承認
を得ました
経済協力協定
は、近く東京で
批准書
の
交換
を行いました上で、
具体的実施
の
段階
に入る次第であります。 五月末、私は
米国
にに参りまして
世界各国
の首相、
外相等
とともに
ダレス米国務長官
の葬儀に参列いたしました。多年
米国
の
国務長官
として世界平和のために奔走された同
長官
の業績については、あえて多言を要さぬところでありますが、私は特に同
長官
が今日の
日米親善
のために払われた絶大な
努力
と献身に対して、ここに敬意と追悼の念を新たにするものであります。 次に、
在日朝鮮人
の
北鮮
任意帰還
問題につきましては、
わが国
といたしましては、何
ぴとも自国
に帰り、またその欲する所に居住し、移転し得るという国際的にも広く認められた
基本的立場
に基きましてこれを行おうとするものでありまして、この
自由意思
に基く
任意帰還
という
原則
は、決してゆがめられてはならないのであります。この
原則
は、
さき
に
日本
、
北鮮両赤
十字
代表
の間で
妥結
を見ました帰還取りきめの中に明確に規定せられているところであり、この規定のもとに
帰還業務
が実施されることを期待し、かっこの
協定
が
赤十字国際委員会
に
承認
され、
帰還業務
がすみやかに実施されることを期待いたすものであります。もとより
本件
が実施されることは、
わが国
の
北鮮
に対する従来の
立場
ないし
関係
にいささかなりとも変更をもたらすものではないのであります。 なお、韓国に抑留されております
日本人漁夫
の問題は、それが同胞の運命に関するものであり、一日もゆるがせにし得ないことでありますので、
政府
は、そのすみやかな
釈放
のため、つとに
赤十字国際委員会
にあっせんを依頼たしました。その後、
留守家族代表ジュネーヴ
におもむき、直接事情を
委員会
に訴え、その
協力
を求めた次第でありますが、
政府
はさらに最近
スイス駐在
の
奥村大使
をして、わが
政府
及び
国民
が、
本件
について抱いている強い希望と関心とを重ねて強調せしめ、その善処方申し入れしめたのであります。幸い同
委員会側
におきましても、
本件
に関し、深い
理解
と同情とを示し、これら
漁夫
の
早期釈放方
に現在せっかく尽力中であります。
政府
といたしましては、今後ともでき得る限りすみやかに
釈放
が実現されるよう、
内外世論
の支持のもとに、あらゆる
努力
を就けて参る
所存
でございます。 次に、
安保条約
改定
問題について一言いたししたいと存じます。
本件改定
の
交渉
は、
前回
の
国会終了
後、
米国側
とさらに約十回の
会談
を重ねました。
改定
新
条約
の構想中、主要な点につきましては、すでに過日
総理大臣
もその
所信表明
に際して明らかにされたところでありますが、今、さらにその要点を述べますれば、
国連憲章
との
関係
を規定すること、
日米両国
が
政治
的かつ経済的に共通の基盤に立ち、その
協力関係
を促進すること、
米国
の
日本防衛
の
義務
を明きらかにすること、
条約
の運営に関して
わが国
の
発言権
を確立すること、並びに新
条約
において
わが国
の負うべき
義務
は憲法の範囲内なることを明らかにすること等であります。 さらに
行政協定
に関しましても、その
締結
当時よりの
情勢
の
変化
にかんがみ、
所要
の
調整
を行うべく、
目下折衝
中でございます。 もとより
現行条約
といえども、今日まで
わが国
の平和を守るという点において重要な役割を果してきたのは事実でありますが、
条約締結
当時、
わが国
の置かれていた
客観情勢
にその後相当の
変化
が生じておりますので、右に応じた
所要
の
改定
を行いますとともに、今後の
国際情勢
のもとにおいて、
わが国
の平和と独立を確保上得る現実的な
方途
としての
安全保障体制
を規定せんとするのが今次
改定交渉
の趣旨であり、新
条約
の
目的
及び性格は、あくまで平和の擁護と侵略に対する
防衛
に存するものであることを、ここに重ねて明らかにしておきたいと存じます。 右、
改定交渉
は必ずしも容易なものではなく、
目下
のところ、いまだ条文を最終的に確定する
段階
には至っておりませんが、
米国
は、わが
政府
の
主張
に対し、十分
理解
ある
態度
を示しており、遠からず
妥結
を見るものと考えております。 第二次大戦後、十余年にわたる冷厳な
世界情勢
、特に今日なお
わが国周辺
における
政治
上、軍事上のきわめて不安定な
情勢
を考えますれば、平和を守る道は決して容易なものでなく、世界的にも、また局地的にも、常に現実に即した平和への
保障措置
を積極的に講ずる要があると考えるのであります。 先般来、
ジュネーヴ
で
開催
されております
東西外相会議
も、約一カ月余の討議を経ながら、ドイツ統一問題及び
欧州安全保障
の
問題等
について、双方の
主張
は依然として根本的に
対立
し、結局何らの進展をも示しませんでした。よってまず対象をベルリン問題に局限いたしましたものの、ついに何らの
合意
に至らぬまま休会に入り、近くこの十三日から
会談
は再開される模様でありますが、果して
外相会議自体
が何らか建設的な
結論
を得るに至るかいなかは、なお予断を許さぬところであります。
外相会議
がその行き詰まりを打開し、
巨頭会談
の
開催
を可能ならしめるとともに、
大国同
に
平和促進
のための有効適切な
合意
が成立いたしますことは最も望ましいところでありますが、現状における
東西
間の
対立
は、根本的な
政治的信条
の
対立
に由来するものでありますので、
巨頭会談
が
開催
されましても、緊張の緩和が一夜にしてもたらされることは望みがたいのでありますが、問題の解決が困難であるがゆえにこそ、
大国
の
首脳者
による
平和促進
への
努力
が真剣に続けられることを希望するものであります。 以上、
前回
の
国会
以後の
外交
問題に関するその
経過
を御報告いたした次第でございます。
委員長(鹿島守之助君)(鹿島守之助)
5
○
委員長
(
鹿島守之助
君) それでは
質疑
のおありの方は順次御
発言
を
お願い
いたします。
森元治郎君(森元治郎)
6
○
森元治郎
君 一番初めに
北鮮帰還
の問題についてお伺いいたします。
けさジュネーヴ
からの
AP
の
電報
だったと思うのですが、
国際委員会
の
ボアシエ委員長
ですかの談話で、
北鮮
と
日本
が
帰還協定
に
調印
をしなければ、
同意
を与えるにしろ、審議するにしろ、やれないということを言ってきてだいぶ問題を起しているようです。ただ、この
電報
だけでは、ボアシェがだれにということがどうもはっきりしていないようなところもありますし、UPとか、あるいはロイターも打ってきていないので、果してそうであるかどうかはわかりませんが、
政府
がきのうか、訓令を電話でやった
内容
と大へん違うように思うのですが、この点について御
説明
を願います。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
7
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君)
ボアシエ委員長
がどういうことを言われましたかは、私も
新聞電報
の断片を承知いたしておるだけでありまして果してどういう
機会
に、どういう
相手
に対してどういう
程度
の
意思
として言われたか、まだはっきりいたしておりません。いずれこれらの問題については、はっきりさせてから
意見
を申すのが適当だと思うのです。がしかし、
北鮮側
がきょう帰るという問題につきまして、
作品会談
をいたしたわけでありますけれども、その
経過
は、
北鮮側
からいつ
調印
をするのかというと、いついつ
調印
をするということをきめてもらいたいということで、
日本側
としては
国際委員会
の、
承認
のあったときに
調印
をするのだということで、それ以上話は進まなかったようでございます。 従って、
北鮮側
は一応帰国したいということでありますが、私の手元にきております
北鮮側
の
代表団
の声明の末段には、現在は帰国する、ここに長く待っていてもしようがないが、われわれは戻って来るし、
日本側
が
調印
の別意を表明するときには、いつでもすぐにこれに応ずるであろう、われわれはこの点に関し、
ジュネーヴ
に
連絡
のために二名を残しておくというようなことを言っておりますから、当然
話し合い
そのものが決裂したわけではなし、やはり向うの
北鮮側
においても、現在
国際委
の
承認
のもとにこれを行うということには
同意
をいたしていると考えております。むろん、これらの問題についていろいろの
考え方
がございますけれども、今日まで、
北鮮側
も、
日本側
も、
国際委
の
同意
のもとに、了承のもとに
調印
をするという話で、
北鮮側
も残っております。ただいまの最終的なコミュニケにおいても、その点は確認されておるわけであります。これを
調印
しておいて、
国際委
に持っていく方がいいのか悪いのかということについては、おのずから
意見
が分れるところでありましょうし、また
国際委
の方も、
調印
という事実によって圧迫すること事態が必ずしも適当でないということも考えられるわけであります。その辺のことは
十分注意
をしながら、われわれとしてはこの問題を扱って参りたい、こう考えております。
森元治郎君(森元治郎)
8
○
森元治郎
君 どうもこの
北鮮帰還
の問題は複雑な
交渉経過
で、私たちも的確に、現
段階
はどうとかということがつかめないくらい、むずかしい。 その
一つ
の原因は、
小策
を弄している傾きがある。ことに出先の
外務省
のアウトサイダーのような人も、私個人的にも知っておりますが、あまりこまか過ぎる疑いがある。これがこの混迷を招いていることが
一つ
と、それからやはり
外務当局
として、
国際委員会
における
アメリカ代表
に何事かを頼まれて、その動きを期待している、
アメリカ
の動向というものに大
へん気がね
をしているような点がありゃしないかということ、それからもう
一つ
は、やはりすなおに考えれば、ここまできた以上、
調印
をする。
国際委員会
にものを頼むという場合にでも、このようにして
合意
が成立したし
仮調印
でもいいでしょう——更そういうようなはっきりした形をとって、初めて
国際委員会
としても真剣にこれを
委員会
として取り上げ得るのだと思うのです。それを何か事前の承諾の内意をつかもうと、喪で暗躍するようなことは、この
段階
においてはもう必要もないし、はなはだまずいと思うので、すみやかに、過去にとらわれることなく、
調印
をして
国際委員会
に持ち出すならば、私はよい結果を得るのじゃないかと、かように考えるのですが、この二、三の点についてお伺いいたします。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
9
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) 今までの
経過
からいいまして、特に何か
小策
を弄するというようなわれわれとして
考え方
はございませんし、また、実際にこの
交渉
を担当しておられます
日本赤十字
の
方々
が、特に
小策
を、弄しておられるとは私ども考えておりません。ただ、若干
外交
上の
交渉
にふなれな点があるというようなことはあり得るかもしれませんけれども、これは常時
外交交渉
を担当しておられる
方々
でないわけですから、その点については、若干もしそういう点があったといたしましてもやむを得ない点ではないかと存じております。従って、大筋において決して混迷したような進行を続けているとは思っておりません。むろん両方の側における
代表
の間の
折衝
でありますから、その間にどちらが譲歩したとか、どちらが譲歩しないとか、はたから見ておりますと、いろいろな点もございますけれども、しかし、それらの問題を通じて特に
小策
を弄しているというふうなことはないと思っております。 それから御
意見
として、この際
調印
をしてという御
意見
もございますけれども、ただいまも申し上げましたように、そういう点については、われわれとしては初めから
国際委
の自由に帰還する
意思
というものについてのワクの中でやりたいという
考え方
でおります。今日
北鮮側
においてもそれを拒否しておるわけではないのでありまして、ただいま申し上げましたように、今度帰りますについても、二名の
連絡員
を
ジュネーヴ
に残して、つき次第
調印
をするというようなことで帰っていかれますので、
北鮮側
においてもその点について特にこだわっておられるとは思っておりません。まあ昨晩からきょうにかけてのいろいろの出来事でありますし、
新聞電報等
いろいろありますけれども、大局においてそう大きな
変化
もなしに進行しておるのではないかと思います。なお詳しい
電報
その他がだんだん入ってきますれば、それらについて十分詳細な点はわれわれも検討して参りたい、こういうふうに考えております。
森元治郎君(森元治郎)
10
○
森元治郎
君 もしこの
けさ電報
の入った
ボアシエ委員長
の言ったと言われる
内容
、まず
調印
をして——
合意
したものは即はっきり
調印
の形にしたならば、
国際委員会
で取り上げてというあの
内容
は、おそらく全
委員会
の一致した
結論
になろうかと私は思うのですが、その際、
政府
は従来の行きがかりにとらわれないで、これに従うおつもりかどうかを伺っておきます。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
11
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君)
ボアシエ委員長
がそういうことを言われたという
新聞
の
電報
はございますけれども、先ほど
森委員
も言われましたように、また私も申し上げましたように、
ボアシエ委員長
がどういう資格で言われたのか、個人的な感想を述べられたのか、あるいは
委員会
を
代表
して言われたのか、そういう点も明確にいたしておりませんし、また、どういう
機会
にそれをどういう
立場
で言われたのかもはっきりいたしておりません。従って、そういう問題につきましては、やはりそういうことがはっきりしてからでないと、われわれ
国際委員会
の
発言等
を簡単に批評をするとか問題にするということは、今の時期においては適当ではないと、こう考えております。
森元治郎君(森元治郎)
12
○
森元治郎
君 ついでにもう一点重ねて。
ボアシエ委員長
の
発言
したと言われる
内容
はリーズナブルなものだというふうにお考えになるかどうか。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
13
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) まあ
AP
で簡単にそういうことを打ってきておりますので、それがリーズナブルなものであるかないかを、今私の
立場
で申し上げることは適当でない、こう思っております。
森元治郎君(森元治郎)
14
○
森元治郎
君 これから
安保関係
の若干の質問をいたしたいと思いますが、それは主として
条約
の
内容
に関して、われわれがいまだはっきりつかめない、了解できないことに対して、
政府
の所見を伺うところに重点を置いてやりたいと思っております。一番初めに、その
安保条約
の
改定
の
調印
というのは、十一月以後におくれて、
国会
にかけるときには
通常国会
だというのが自民党及び
藤山
さん自身も
新聞
で書いてある
通り
、早くも転進をして、こういう線で進んでいるように伝えられているのですが、果してその
通り
でございましょうか。 それからその理由は一体どういうところにあるのか。
岸内閣
の内部が弱体で、
思想統一
、見解の
調整
に手間取るのか。あるいは社会党の反撃が強まってきて、これに対応するだけの態勢が自党内にないということなのか。あるいはもう少しそういう
情勢
では
党内調整
をはかると同時に
PR活動
をやって、
国民
に対する啓発を行なっていってからにしたい。あるいは
砂川
の
判決
がおととい発表になった。最高裁の審理のスケジュールによれば、十月以後には例の
砂川
の問題に対する
判決
が出るのではないかというので、これも頭に入れて待っておられるのか。こういう点について、時間を卸約するために、列挙して一束にして御質問したので、忘れないでお答えいただきたいと思います。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
15
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) 忘れましたらあとで御指摘を願いまして御
説明
申し上げたいと思いますが、御承知のように私はこの
外交交渉
に入りますまでは、むろん私が
交渉責任者
としてこれらの
交渉
を進めて参ります上において
一定
の大体目標を置いて、そうして
日本
の
各省
間の
意見
も取りまとめて参らなければなりません。党その他の
考え方
もできるだけ早い時期にまとめてもらいませんければ、
交渉当事者
として
交渉
に臨んでそれを遂行していくわけには参りません。従って、ある
程度
私は
交渉
に入りますまでは、
一定
の期間を示して、この
程度
にやりたいのだという
交渉当事者
としての
意思表示
をして参ってきておりますが、しかし、
外交折衝
のことでありますから、
各省
間の
意向
も出てきて、あるいは党の
意向
も出てきて、
交渉
に入って参りますと、
相手
方との
交渉
でありますから、いついつまでにこの
交渉
を
妥結
させるんだということは、非常にむずかしい問題でありまして、この
条約締結
の
最終段階
において
一つ
の字句の問題についても一週間や十日議論をしなければならないということもございますのでありますから、私は、実は
交渉
に入りましてからいついつ
調印
をするということを特に申したのではないわけでありまして、できるだけ
交渉
をスムーズに早くやって
調印
をしたいというのが、
折衝当事者
として当然の
気持
であり、その当然の
気持
を、できるだけ早くやりたい、こいうことを表明しておったのは申し上げるまでもございません。今日御報告申し上げましたように、五月三日以来約十回にわたって
会談
をいたしておりまして、
安保条約
及び
行政協定
につきましてのいろいろな
問題点
について
論議
を置ねてきております。ある
程度
論議
が固まりつつありますけれども、まだ問題の最終的な
合意
を見ておらない点もございます。従って私といたしましては、それらの
合意
に達するのがいつの時期に達し得るかということは非常に今申し上げることは困難だと思います。むろんできましたものを
議会等
の
批准
を要請することになりますので、そうした
国会等
の
関係等
も党においては
考慮
を
お願い
いたさなければならぬことは当然でありますが、私としては、それらの問題を
交渉
の
当事者
として特に
念頭
に置いて
交渉
を進めておるわけではございません。むろんそれらの御
意見
を拝聴してはおります。そうしてできるだけスムーズに
問題点
について——必要の問題につきましては何べんも重ねて
日本側
からこれを押し返してもおりますし、また
合意
に達するべきものは達するという形においてやって参りました。従って、そういう
意味
で私としては今日進めておりますので、
臨時国会
とか
通常国会
とかとちらかにきめてそれに間に合せるとかあるいは間に合せないというようなことを考えてやっておるわけではございませんし、またそうやってみましたってその
通り
にいけるかどうかということは、
相手側
の
関係
もございますから……。そういう
意味
において、ただ
交渉当事者
としてはなるべく早くこういう問題について全力をあげて解決していくことが適当だろうと、こういうふうな
態度
で現在やっているわけでございます。
森元治郎君(森元治郎)
16
○
森元治郎
君 そういう答弁の中に
砂川
の問題に対する
判決
が出てからということに対する御回答がなかったのですが、それをいただきたいのと、ただいまのお話では、
合意
に至らない点がまだあるので、しかもそれがいつ
合意
に達するかは見込みがわからないとおっしゃったのは、これは
行政協定
に関するものを言っているのか、あるいはまた例の
期限
の十カ年という問題もこの今意を見るに至らない点に含まれているかどうか、この点を伺いたいと思います。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
17
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君)
砂川
の問題については、裁判を特に
考慮
に入れてはこの問題の
交渉自体
はやっておりません。
政府
としては、むろん
砂川判決
に対する今日までの
態度
がきまっておりますので、われわれはそういうことに関連なしに
交渉
を進めておるわけでありまして、従って、
念頭
にそういうことを置かないで
交渉自体
はやっております。それから
交渉
につきましては、ただいまもちょっと申し上げました
通り
、
原則
的な
話し合い
についてある
程度
合意
したものもあり、あるいは
合意
の
段階
までいっておりませんけれども、
両者
の
意見
を
交換
してみまして、大体
条約草案
を書くときにはこの辺で書けるのだという
お互い
の
理解
を深めていっている点もございます。
期限
十年というものは、今申し上げた第二のような
意味
において、
両者
が同じような
理解
の上に立っているということを申し上げて差しつかえないと思います。また
行政協定
につきましては、今後まだ直接の具体問題として
各省
間から出ておりますものについて、
各省
の御
意見
もまだございますので、最終的に、
両者
がこの
程度
で
草案
を書いてみようというところまでいっていない問題も二、三ございます。従ってそういう状況のもとで、今後ともそれらの問題についていろいろの
話し合い
を
外務省
としてはして参りたいと、こう思っております。
森元治郎君(森元治郎)
18
○
森元治郎
君 いろいろの
話し合い
を
外務省
でこれからやっていくわけですが、そういう問題も
お互い
の
理解
があるそうでありますから、そんなに長くはかからないでも
条約
を起草するまでに至ることはむずかしくないと思うのですが、もし
通常国会
というようなことになれば、その間にはただあたためておくのか。ずるずる
交渉
をやっていくということもできないのでしょうが、その間には
仮調印
といったような形もあるのでしょうか。もし
合意
に達した場合はあたためておくのですか、何らかの措置をとるのか、その辺の御決心をお伺いしたい。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
19
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) むろん
交渉当事者
としての私といたしましては、できるだけ
日本側
の希望を盛り込んでく、
日本側
の
立場
を
交渉
を通じて盛り込んで参らなければなりませんので、その
努力
を今後も続けていくわけであります。だんだん問題の数が少くなってくるから簡単にいくとは、ある
意味
からいえば申し上げにくいのでありまして、数が少くなって討議があとに残っています問題ほど、むしろ問題を何べんもむし返さなければならぬというような、若干
両者
の
合意
のしにくいような問題がだんだん残っていく。
交渉
の過程で申し上げますれば、一応いろいろな問題を取り上げて話がスムーズにつくものはまず片づけていく、スムーズにつかないものは、ある
程度
話し合い
を途中で打ち切って、つくものから片づけていくものもございますので、従って、つかないものが数が少くなったからすぐ片づくというのではなくて、数が少くなったから、ある場合には若干長期にかかるというようなこともございますので、そういう
意味
においてわれわれはやって参りますので、今、先ほど来申しておりますように、いつ最終的に
草案
作成をし、
草案
が作成されて、その字句等についても
合意
に最終的に達するかということは、非常に困難だと思います。
草案
でも作成して、その上で、全部
両者
合意
になった上では、それが
批准
等のために非常に時間がかかる。じきにそうなるのかならないのかということは、今申し上げかねますが、また従って、時間が多少余裕があるのでイニシアルをしておくかしておかないかというような問題についても、今の現状から申すと、必ずしも的確にそうなるともそうならぬとも申し上げにくいのであります。そういう
意味
において、われわれとしては、ただこういう
交渉
をやっております者にとりまして、むろんできるだけ早く
交渉
を
日本側
の要求も入れて解決したいという
気持
は、当然
交渉当事者
としては持っておることは当りまえでございますけれども、なかなかそう言ったって向こうがその
通り
にしてくれるかどうかわからない。(「もう少し大きな声で言って下さい」と呼ぶ者あり)従って、今日はまだ完全にイニシアルをするとかしないとかいうことは申し上げかねます。それからあたためておくというようなつもりは、私自身ないわけであります。
森元治郎君(森元治郎)
20
○
森元治郎
君 なかなかこのごろ大臣も
政治
家になってきたので、いろいろ芸当をするようになってきたので、さよう御質問をしたわけです。 協議事項についてお伺いしますが、極東の平和と安全が脅かされていると認められるときはいつでも協議するということが入るようですが、その協議する場合は、
情勢
判断というものを持たなければこれは臨めないわけですが、
日本
の現状において、一体何を根拠に置いて
情勢
判断をやるのか、下手にまごつけば
情勢
判断は資料が山ほどある米軍に押し切られて、
アメリカ
側に押し切られて、これをうのみにしなければならぬ場合もしばしば出てくるんじゃないかと思いますが、これに対する処置はいかがされるか。
日本
の
発言
を自主的にしかも増大していくという大臣のその間の用意がなければならぬのですが、いかがですか。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
21
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) 協議をする場合の
情勢
判断というのは、お話のように非常に重要でありまして、この問題については平素から
政府
全体としてもそうでありますが、またそれぞれの
情勢
については、それぞれ担当
各省
の
意見
も十分
政府
全体としてまとめて参らなければならぬと思います。従って、担当
各省
においてそれぞれ今後のそういう判断については、むろん
十分注意
をしてやられることだと思います。そうした材料の上に立って
情勢
判断をしていくことはむろんございまして、重要な協議に当って、
情勢
判断を誤まっては相ならぬことはむろんでございますから、そういう点については、
政府
としてもこうした問題について今後十分な
情勢
判断の材料も入手し、またそれに対する正確な検討もして参らなければならぬことは当然だと思います。
森元治郎君(森元治郎)
22
○
森元治郎
君
関係
各省
などから的確な情報とおっしゃいますが、
日本
には自衛隊というものがありますけれども、昔は大公使館に陸海軍武官がいるとか、あるいはこういう人たちがそれぞれの国で軍人としての正当なる待遇を受けてしかるべき情報
交換
などをやって、ことに軍事
情勢
などについてはしっかりつかんでいた、そういう組織があったわけですが、現在それが全然ないので、ただこの小さい島にもぐっていて、緊迫した、脅かされているというのを、
関係
各省
が幾ら集まっても、これはわからないと思うのですが、いかがですか。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
23
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) むろんお話のように戦前のような軍の組織が今日あるわけではございません。しかし、戦前のような軍の組織が、的確な
情勢
判断に非常にいい影響を与える場合もあろうかと思いますが、また戦前の経験から見ましても、必ずしも軍だけの
情勢
判断で問題をきめていきますことは、危険なこともあろうかと思います。従いまして、必ずしも戦前のような軍の組織がないから
情勢
判断の非常に誤まるんだということは言えないんではないかと思います。むろん今後のこういうような
国際情勢
なり国際軍事的な
情勢
なりの把握については、
政府
としても十分
努力
して参りませんければなりませんし、
各省
ともそれぞれ
日本
の将来の運命に関する問題でありますから、それらについては的確な材料をとり、正確な判断をするように努めて参らなければならぬと思っております。
森元治郎君(森元治郎)
24
○
森元治郎
君 次に、この事前協議と拒否権の点でありますが、大臣は、
国会
の質問に答えてノーと言うことは拒否権である、これをあえてやるならば、世界の非難を
アメリカ
が買うであろう、また
アメリカ
も、
日本
がノーと言ったならば、いやだということはやるまい、こういうような答弁が総理及び外務大臣からあったように
理解
をしておりますが、どうもこれは非常に甘いので、事が起ってしまってから
アメリカ
が非難を受けるだろうなどということを期待しているだけでは、何とも醜態のきわみだと思うのです。ことに武力攻撃というものを前提としているのですから、始まった以上がちゃがちゃになってしまって、世界が非難しようとしても非難ができないような事態になってしまうので、ここはやはりもう少しはっきりとしておかなければいけないと思う、はっきりと。そこで、われわれが振り返ってみると、拒否権というような問題を、過去の歴史と申しますか、
経過
というものから見てみますと、
大国
と小国との
関係
すなわち
日本
の場合は
アメリカ
がしっかりした軍備を持ち、戦争をやれる国柄であり、
日本
は平和憲法のもとで自衛隊というえたいの知れないものを持っている国と共同で動作をする、共同か
協力
か、その辺はむずかしいようですが、一緒にやるという場合には、おのずから差が出てくる。ダンバートン・オークスという例の
会議
でも拒否権の問題が
論議
されて、結局ソビエトもイギリスも
アメリカ
も拒否権を置くことに一致した。その
意味
というものは、たくさんの軍隊を持っている国が、持たない国の表決によってその軍隊を使われてしまうなんというのは、もってのほかだ、こういうようなことから拒否権を設けることに米、ソ、中国、イギリスが
意見
が一致した
経過
があるので、
日本
の場合でも、
アメリカ
は
大国
であり、
日本
は小国も四等国の小国で、これと一緒に危険に対処するという場合日に、どうしても
アメリカ
としては、
日本
のノーということを聞き得ない場合がしばしば、あるいはすべて起ってくるかもしらぬと思うのです。そこでわれわれとしては、
国会
における答弁だけでは満足できないので、もしこれを
政府
が言うようなものとするならば、単に
国民
の反対、あるいは社会党その他文化人などの反対を押えるための単なるゼスチュアであって、実際の
内容
は、曾祢同僚
委員
が過般の本
会議
でも御質問申し上げたときの、白紙委任状を
アメリカ
に与えるものではないかということに私は帰着すると思うのです。拒否権があるんだとまで極言をされるならば、この点をやはり明確にすべきではないか。
大国
と小国との現実の
関係
においては、先ほど申した
通り
の理由であります。から、そうされることが正しいと思うので、もう一回御答弁を願います。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
25
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) 協議でありますから、われわれノーとむろん言えることが当然であり、それを確信いたしております。同時に、協議が整わない場合には、これが実行に移らぬということも、これまた確信しております。ただいまお話のように、
政治
論として
大国
と小国との間に、小国がいかにノーと言っても、なかなかそれはむずかしいじゃないかというようなお話かと思いますけれども、私は今日の国際社会において、小国の
発言
というものは相当尊重されることになり、国連においても拒否権問題がすでに問題になったようなわけでありまして、小国だからということでもって、
大国
が小国の
意思
を完全に無視していくということは、いろいろの
情勢
上あり得ないと思います。また日米
安保条約
を
締結
するという
日本
と
アメリカ
との
関係
から見ましても、
日本
の
意思
に反して
アメリカ
側が行動することが、
日米両国
の共同
関係
からいいまして、
政治
論としてもあり得ないことではないかと、こう思うのであります。その点において私は今日でも協議によって拒否権があり、また協議が整わない場合には、これは実行されないことだというふうに確信を持っておる次第でございます。
森元治郎君(森元治郎)
26
○
森元治郎
君 なるほど大臣の御答弁も、その
気持
はわかりますが、この事前協議をしなければならぬ事態というのは、緊迫した事態であって、あるいはすでに火花が散っているかもしれない。
アメリカ
としても、やはり
日本
とは共同すると言っても、
アメリカ
を守りたいのでありまして、この際は、どんなことかあっても海外に出なければならぬ。
日本
の了解を取りつけ得ない、
日本
がノーと言っても出なければならぬという事態が想像されるのです。そういう場合のことを想像しない限り、事前協議という事項が対象とする事態というのはないので、そういうふうに、たとい
日本
がノーと言っても、
アメリカ
としてはこの際やらなければならぬというときに、
日本
がノーだからノーだと言っているのか、あるいは
アメリカ
が実際行動に移ってしまったときに、いかなる
態度
をおとりになるおつもりか、その点をお答え願います。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
27
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) ただいま
森委員
の御指摘になりましたように、事前協議をやる場合に、非常に緊迫しているんだという状態のもとに協議が行われる。むろん緊迫している状態のもとにある
程度
行われるとは思いますが、しかし、今回は
安保条約
全体の運営にわたって協議がされていくわけでありまして、従って、瞬間的な緊迫な状態が起ろうという前提のもとにおいても、各種の
意味
において、先ほどお話のありましたように、
情勢
判断等についても協議がこれによって行われて参ると思います。従って、それらの問題に当りまして、何か事前に協議するひまがないというようなこと、あるいは瞬間的な何か判断をしなければならぬという
機会
は、私はないとは申し上げかねますけれども、しかし、むろんその事前にそういう
情勢
に至る過程において、
両国
がどうすればいいか、また
日本
の
立場
としてそういう際にそういうことをしてもらっては困ると言うならば、
アメリカ
は他の方法を考えるということも当然あり得るのではないかと思います。また、ある時間的余裕も私は
政治
論的にいえばあると存じます。それでありますから、
日本
が
主張
いたしますノーという言葉が全部受け入れられないのだというようなふうには考えておりません。
森元治郎君(森元治郎)
28
○
森元治郎
君 大臣の
委員会
におけるただいまの御答弁を伺っても、どうしても納得がいかないので、結局これは
アメリカ
側に言わせれば、お前の方で国内的にむずかしいなら事前協議ということで相相談することにしてやろう、
政府
の方もどうも都合が悪いから、事前協議ですべて円満にいくのだというような
説明
でごまかしているようなんですが、これは実際問題として実効は全然なくて、自然のままに事態に引きずられていってしまうことを御警告申し上げて次の問題にいきますが、この一九五四年十二月二日に
アメリカ
と中華民国との間に相互
防衛
条約
が結ばれまして、その追加の文というのが同じ月の十二月十日ダレス
長官
とヨー外務大臣との間に
締結
されております。その中にこういうところがあるのですが、これと事前協議にわれわれが注文をつけておる問題との関連を伺いますが、本「
条約
に基く
両国
の
義務
及びいずれか一方の締約国によるこれらの、区域のいずれかでなされる武力の行使が他方の締約国に対し影響を与えるという事実にかんがみて、明らかに固有の自衛権の行使である緊急的性格を持った行動の場合を除き、前記の武力の行使を
合意
事項とすることが
合意
される。」ということが、この
条約
の追加として出ておりますが、この点はわれわれの心配することを
意味
しているものだと思うのですけれども、
外務当局
はどういうふうに御
説明
されますか。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
29
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) むろん協議でありますから、先ほど来申し上げておりますように、全般的な問題について協議をしていくわけでありますが、緊急事態のときには何か自衛的な措置をとるということは、むろんこれは
国連憲章
の範囲内でやること当然でありまして、しかも国連がそれを安保理事会なり総会で
承認
しない限りは、その限度においてその措置は否定されることになるわけでありまして、そういう
意味
において、私どもは今の協議事項そのものが、あるいはノーといいますか、緊急事態に非常に乱用されるという
森委員
の御心配はそういうところにあるかと思いまするが、そういうことはないと考えております。
森元治郎君(森元治郎)
30
○
森元治郎
君 この
条約
についての解釈を
一つ
伺いたいのですが……。
説明員(高橋通敏君)(高橋通敏)
31
○
説明員
(高橋通敏君) この
アメリカ
と中華民国の
条約
の点でございますが、私はこの
条約
を読みまして了解いたします範囲におきましては、
アメリカ
と中華民国との
条約
の第六条には、この
条約
の適用される地域としまして、中華民国におきましては台湾と澎湖島だけに限られているわけでございます。従いまして、中華民国側としては、実は自分の方はこれだけではなくて、将来支配に入るべき地域も考えるべきであるということが、おそらく中華民国側の強い
主張
ではなかったかと考えられます。そこで、そういう事情で、実は
条約
の本文では、台湾と澎湖島を限りましたが、それ以外の地域にわたる場合にも、相当相互の
防衛
的な
関係
をつけようではないかという
主張
があったのではないか。そのような場合に、台湾と澎湖島以外の場合に武力を行使するというようなときは、それはそのつど
情勢
を判断しまして、そこで
合意
事項として武力が行使されるのだ、こういうふうなことを念のために注意的規定として書いたので、あくまで
条約
の本体は、台湾と膨湖島に限られる、こういう
意味
だと思います。
森元治郎君(森元治郎)
32
○
森元治郎
君
条約
の
期限
の問題に入りますが、大臣は、諸般の事情を
考慮
して十カ年が適当と思う。また、
日本
の方で安全を保障し得るまでには十年くらいかかるだろうという想定のもとに十年という
期限
を一応考えた、こういうようなことが大臣の
国会
における答弁であったと思いますが、この
意味
は、十年もすれば軍隊を持つのかどうか、軍隊となるのだということになるのか、あるいは自分一人で自分を守れるまでに成長していくのには十年もあればたくさんなんだというふうにお考えになっているのかどうか、それから
条約
の終了を予告し得る条件というものは、一体どういうふうにお考えになっておるのかを伺いたい。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
33
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) この
条約
の
期限
を何年にするかということについては、いろいろの御議論があったことは、沖縄、小笠原を入れるか入れないかと同じように、いろいろな御議論があって、われわれもそれをずっと拝聴してきたわけであります。そこで、私どもとしていわゆるNATO
条約
のように長いものは必ずしも適当だとは考えておりません。そうかといいまして、この種の
条約
を作ります場合に、あまり短期であることも、必ずしも適当ではないと考えます。むろん
国際情勢
なり、あるいは軍事
情勢
なりが、今日相当に科学兵器の進歩発達等によっていろいろ
変化
しておりますことはむろんでありますけれども、しかし、今日国連においても、核実験の問題すら、すでに二年を経てなかなか進んでおりませんし、また一方では軍縮
会議
というものも、必ずしも円滑に進捗していないことは、皆様方御承知いただいておる
通り
だと思います。それでありますから、あまり短期であることも必ずしも適当でないと思います。そういう
意味
からいいましてやはり十年くらいが適当であろうとわれわれも考えております。また、ただいまお話のありましたように、われわれは前提としていつでも申し上げておりますように、今日自分の力だけで自分を守るということが、自衛のためでも非常に困難である、従って、自由主義社会の世界におきましても、あるいは共産主義の世界においても、集団的な安全態勢というものがとられておるわけでありまして、従って、世界的軍縮というものが全般的に非常に大幅に行われません限りは、自分一国でなかなか自衛力を全うしていくというわけにはいかぬと思います。従って、私自身
日本
の自衛力が増したら、もうこれでこういうものが完全に要らないのだというような
段階
がすぐこようとも考えておりません。ただしかし、若干ずつは
日本
の自衛力も増加されて、財政経済とにらみ合せ、あるいは
国民
生活の向上ともにらみ合せ進んで参ることはむろんだと思います。従って、そういう根本的な問題を別にいたして、そういうことを検討することもあり得るとは思います。そういうことでありますので、私どもは諸般の
情勢
から見ましてやはり十年くらいが適当であろう。そうしてお話のように十年がきましたならば、どちらか一方の当事国がこれを廃棄したいという通告を出しますと、一年の予告期間をもって廃棄できるということが、最後の御質問であります廃棄手続の問題になろうかと思います。
森元治郎君(森元治郎)
34
○
森元治郎
君 初めに五年とか三年とかという案もあったように聞いておりますが、それがほんとうかどうか。それから十年たったときには一応終了させるつもりか、現在の心がまえはどういうふうであるか。ただ単に十年くらいが適当だと思ってふわっとやったのか——
条約
の
期限
をきめるときというのは、おのおの腹づもりがあってきめるので、ふわっときめることはないのです。相当
両国
あるいは
関係
国が議論をし合って
期限
というものをきめるので、ふわっときめたなんというのはまずないので、その心組みを伺いたいと思います。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
35
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) むろんわれわれは国連の安全機構に期待を将来かけて参らなければならぬと思いますし、また、それに
日本
が
努力
して参らなければならぬのであります。従って、国連がこの世界の平和的な処置に対する力を持って参ったと
両国
が認めれば、むろんこういう
条約
は解消して国連に一任されることは当然だと思います。これは国連加盟国として当然それは考えて参らなければならぬと思います。従ってお話のように、国連において軍縮が達成し、あるいは世界の平和維持の機構が完備してくるというようなことがあれば、
両者
合意
の上でそれに対応してこれらのものを解消していかなければならぬことは、国連加盟国の一国としては当然考えて参らなければならぬと思います。がしかし、そういう
情勢
がくるかこないかということは、今にわかに先ほど申し上げておりますようにわれわれ判断できませんし、が同時に、少くもできるだけ早くそういう時期がくることをわれわれ
努力
していかなければならぬことは、メンバーの一員としての当然の責務だと思います。むろん今申し上げた
立場
において、私どもは
条約
の
期限
をどうするかという問題を考えて参るわけでありまして、むろん今日、十年後の
国際情勢
というものを断定的に見きわめますことは非常に私は冒険だと思います。従って、今十年後には世界の
情勢
が一変するのだとか、しないのだということを、私は申し上げることはこれは当然避けていかなければなりません。がしかしながら、少くもそのくらいな期間をやはり現在の現実の
政治
家として今の
国際情勢
をながめて参りますれば、当然考えていかなければならぬのでありまして、またそうでなければ、
両者
合意
の上、あるいは
国連憲章
の平和維持達成の
目的
がさらに機構的にもあるいは維持力の上においても達成すれば、当然解消されるべきものと思います。でありますから、そういうこともにらみ合せてみますと、決して十年ということ自体が、ばく然としたという
意味
ではないということは申し上げられます。ただそういうものの基礎になっておりますのが、多く
政治
情勢
の判断なりその他になって参りますので、若干透視的な見方によってこれをきめていかなきゃならぬという点が、ばく然という御印象を受けられるゆえんじゃないかと、こう思うわけです。
森元治郎君(森元治郎)
36
○
森元治郎
君 ばく然と透視的にというのはどういう
意味
ですか。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
37
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) 上の方からふわっと、全体の
国際情勢
を考えていかなきゃならぬ……。
森元治郎君(森元治郎)
38
○
森元治郎
君 透かして見るのですか……。 それからこの
条約
期限
に関連して、本
条約
は十年、そうすると
行政協定
は一体何年になるのですか。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
39
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君)
行政協定
は本
条約
があります限りにおいては、あり得ると思います。しかし
行政協定
の
内容
等につきましては、従来の例から見ましても、随時そのときの
情勢
に応じて
内容
を変えていくことは、
両者
合意
の上ならできることでありまして、そういう
意味
において、本
条約
がありますれば、
行政協定
がなければならぬということに考えております。
森元治郎君(森元治郎)
40
○
森元治郎
君 なければならぬけれども、これは
行政協定
は無
期限
で、一年の予告で廃棄するとでもいうのか、一体
期限
もやはりつけなければおかしいので、当然つくと思いますが、短いですか。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
41
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君)
行政協定
につきましても、本
条約
とほとんど一体の、実際的問題を処置する
協定
でありますから、本
条約
と同じことであるということを申し上げて差しつかえないと思います。
森元治郎君(森元治郎)
42
○
森元治郎
君 北大西洋
条約
は三十年で、そうして北大西洋
条約
当事国間の軍隊の地位に関する
協定
というものは四年であったと思う、こういうこの関連から見て、一体、必ずそれは大臣が今おっしゃったように、ときどき直さなければならぬということであるならば、期間が若干短かくなるのが普通だと思うのですが、その点。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
43
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) むしろこれは期間が短かくなるとか長くなるとかいうことは、やはり随時協議をして、
行政協定
のことでありますから、そのときどきの実情によって、変ってくるものにつきましては、随時協議していかなければならぬと思います。そうして変えられるものは
話し合い
で変えていくということが必要でありまして、必ずしも一ぺんきめたものが、
期限
まで
一つ
もいじらないのだということよりも、その方が適当ではないか、今日までも現行の
行政協定
でも、刑事裁判権の
問題等
については、途中でいじっておりますので、そういう
意味
において考えて差しつかえないと、こう思っております。
森元治郎君(森元治郎)
44
○
森元治郎
君 大臣は、この現行の
安保条約
は、平等でなく不平等であるというので、これを
国民
の
気持
の最大公約数を取り上げて、平等のものにしていきたいのだというのが、一番の骨子であるように思います。が、
政府
が今まで発表あるいは
国民
にいろいろな
機会
に示したところによると、どうもそうではない。その一番はっきりしているのは、概括的なこれは問題ですが、現行
安保条約
は、
行政協定
において日米の
協力
がうたわれているのに、本
条約
では
日本防衛
の
義務
はうたってない。
アメリカ
の
日本防衛
はうたってない。今度の
政府
の案によれば、本
条約
では
日本防衛
ということを一緒にやるということをうたっておりながら、
行政協定
にいきますと、
日本
は軍隊を持っていない、戦争もできない国であるという大へんおとなしくなりまして、駐留軍は外国の軍隊であるから、外国の軍隊はその駐留国において特権的な地位を持つことは、これは国際的な慣例であるから、そう諸君が平等々々と言っても、必ずしも平等にはいかないのだと言って、逃げている。
現行条約
は、本
条約
で
義務
はうたわないで、今度は
義務
はうたった。かわりに
行政協定
にいきますと、平等なんということはどこへいっちゃったかわからない。で、それは仕方がないのだ、小国なんだからということで、いかにもそのときは憲法を尊重するような口ぶりで、そうして外国に特権的なことを認めているということは、はなはだ私は解しかねるのですが、大臣はどういうおつもりでありますか。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
45
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) 本
条約
によりまして、
アメリカ
が
日本防衛
の
義務
を持って、そうしてここに、隊を駐留させるという事態が起って参りました場合に、われわれとして
日本防衛
の
義務
を持ってくれる
アメリカ
軍に対して、できるだけその
防衛
の任務を達成してくれるに適当な待遇を与えていくことは、これは決して従属的でもなければ、あるいは不平等でもないと考えております。むろん今日までの
行政協定
あるいは
安保条約
そのものの成り立ちからいいまして、占領軍当時の引き継ぎのような形においてあった点はたくさんございます。従って、そういうものは直して参らなければなりませんけれども、ある
程度
日本防衛
のためにおります外国軍隊に対して、
防衛
をやってくれるのだから、そのやりいいように
一つ
いてもらう待遇をするということは、これは私は決して不平等でもなければ従属的でもない。
日本
が自主的にそういうことを認めて、
アメリカ
軍に対して
日本
のできる限りの待遇を与えるということは適当だと思います。しかし全体を通じて、それではどういう状態でもいいのかといえば、それはやはり
日本
の
国民
生活と関連して参りますから、その
日本
の
国民
生活を無視してまで待遇をするというわけに参らないことはむろん当然でありまして、そういう点については、われわれも十分
考慮
して参ることが、今申し上げたような
意味
において、不平等にならぬ点だと思います。ただ、若干今お話のありましたように、
日本
の自衛隊というものは、各国の軍隊と違った性格を持っております。従って、それに伴います若干の
日本
の国情の相違というものは、これは当然われわれも
考慮
に入れながら
安保条約
を結んで参らなければならぬことは当然でございます。
森元治郎君(森元治郎)
46
○
森元治郎
君 あと二点だけにとどめます。
アメリカ
が第三国と事をかまえた場合、すなわち日米
安保条約
の区域ではない所において
アメリカ
が第三国と事をかまえたときの
日本
の
立場
というものは、一体どういう
立場
をとるのか、その点を伺います。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
47
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) 第三国で
アメリカ
が事をかまえました場合に、当然
日本
としては
日本
に直接侵略がこない、あるいは直接
日本
の平和が侵されない問題について
日本
が介入し、あるいはそれに巻き込まれるということは、避けて参らなければならぬことは当然のことだと思います。従って今度の場合におきましても、
日本
の基地から作戦行動等に他の紛争に飛んで参りますというような場合には、事前の協議をしてもらわなければならぬということを規定して、そうして当然われわれとしてはそういう規定によりまして協議をしていくということにいたして参らなければならぬと思います。
森元治郎君(森元治郎)
48
○
森元治郎
君 穏やかな事のかまえ方ならばそれで済むのですが、どんどん火花が散ってここの辺は——極東は割に穏やかであるという場合には、依然として介入はしないのですね。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
49
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) 非常に激しい火花が散っておるが極東は静穏だとう……。
森元治郎君(森元治郎)
50
○
森元治郎
君
日本
の
条約
区域が平穏である場合。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
51
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) むろん今度の
条約
を作ります
目的
というのは、私は、
日本
が他国から侵略をされ、あるいは
日本
の安全が害されるという状況下において
条約
がまず発動するということが、本
条約
改定
の
一つ
の
目的
だと思います。従って非常に周囲が平穏だと、今お話のようなヨーロッパであるとか、あるいはヨーロッパとまで遠く言わないにしましても、お話のように極東の事態が静穏だというようなときに、それに巻き込まれるというようなこと、また
日本
の憲法上がらいいましても、進んでそういうことに
日本
が介入していくということはあり得ないと考えます。また、
国民
も当然そう考えるだろうと思います。
森元治郎君(森元治郎)
52
○
森元治郎
君 そういう場合には、
日本
の
立場
は中立ということになるのか、中立という言葉で表現され得るかどうか。中立というのは、まあ戦時状態にあって、戦争に参加しない第一国の取得する地位だと思うのです、国際法でいう中立はね。そのときは
日本
は中立という
立場
になるのか、何という
立場
になりますか。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
53
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) 中立という
立場
と申しますか、私どもは自由主義陣営の一口として当然今日いわゆる中立政策というものには、必ずしも
外交
政策の上で同調はいたしておりません。そういう
立場
からいえば、お話のような
意味
における中立という
意味
では、むろんないかもしれませんけれども、戦争に直接介入するということは当然起って参りませんし、また、
日本
憲法もそれを当然許してはおらぬのでありまして、
日本
が侵されたときに初めてこの状況下が——、本
条約
の発効の状況下が起ってくるということであります、それは。
森元治郎君(森元治郎)
54
○
森元治郎
君 しからば、極端な話を伺いますが、あちらこちらで火花が散って、また戦争という言葉は避けますが、
日本
は、幸いこの地域はどこからも外部からの武力攻撃もない。わが盟邦が、自民党内閣の盟邦である
アメリカ
がだんだんくたびれちゃって、ひっくり返っちゃっても、それは動かないことは当然でありますね。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
55
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) 少くも
安保条約
に関する限り、また
日本
の憲法に関する限りは、
アメリカ
の本土が攻撃されると、そこまで応援にいくということは絶対にあり得ないことであります。
羽生三七君(羽生三七)
56
○羽生三七君 ちょっと関連して。 今の
森委員
の質問に対する外務大臣の答弁に関連してですが、この
日本
の区域以外の所で紛争が起った場合、その場合に中立の
立場
をとるかとらないかというときに、外務大臣は、自由陣営に属する
日本
としては、森君の言うことと同じ
意味
ではないが、しかし戦争に関連しては介入することはない、こういう御答弁であります。それはそれでいいと思うのです。だが、われわれの言う、今まで中立と言っていることは、
岸内閣
や、あるいは外務大臣や自民党が
アメリカ
の
考え方
とときに同じであっても、そんなことに私は反対するものではない。人それぞれおのおのの
考え方
を持っているのは、これは御自由です。共産党の諸君がソ連を好きなのも、それも自由。われわれもまた特殊な
考え方
を持っている。そんなことを制約するものは何もないのです。問題は事が起ったときに、軍事的にどういう
立場
をとるか、これをわれわれ社会党員はいつも言っているのです。だから、今、外務大臣が言われたように、一朝有事の場合には軍事的には中立の
立場
をとるというなら、それでいいのです。それ以上のことを私たちは望まないのです。だが、それならば
条約
のすべての面に対してそれを貫き通せばいい。
条約
のこういう問題が起ったときにそういうことを貫き得るならば、もう本質的に
条約
の最初からそういう
考え方
を貫いたらどうです。そのアイデアがどうであろうとか、どっちの陣営の
考え方
の方が好きだとか、そんなことは私たちはかれこれ言わない。それは御自由です。軍事的中立をわれわれは言う。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
57
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) お話のように、
日本
の憲法が自衛の
立場
以上には認めておりませんから、積極的に戦争に介入するということはあり得ないことですし、今度の
条約
交渉
に当りましても、憲法の制限以内ということは厳に守っておりますので、会お話のようなことは、私は起り得ないというふうに考えております。
森元治郎君(森元治郎)
58
○
森元治郎
君 私は、こういう質問をしたのは、もう何でもかんでもわれわれ自民党
政府
は中立主義はとらないのだと言っているか、やはりこういう中立という場合もあり得るのです。で、その点を私は伺ったわけです。中立という場合も当然あり得る。さように考えるのですが、大臣はどうですか。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
59
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) 軍事的には
日本
を直接侵略される危険がない限り、現在において
安保条約
の協議事項でもノーということになっております。また、憲法の範囲内ということ自体は、軍事的介入を進んでするわけではないのでありますから、そのこと自体を中立というかどうかは、私も国際法上の中立というのかどうか、正確にはわかりませんけれども、
森委員
のお説の
通り
のことだと思います。
森元治郎君(森元治郎)
60
○
森元治郎
君 中立というのは、小理屈こねる専門家もたくさんおられるようだが、中立というのは、おれは戦争のないときにどっちにも加わらないというのがほんとうの
意味
の中立ではなくて、中立という場合は、戦争が起って、それにどっちにも加わらない場合の第三国の
立場
をいうのですから、私は、やはり自民党内閣でも中立はあるのだ、中立をとることはあるのだということを言わしたかったのです。(笑声) 小さいことを伺いますが、
安保条約
の第二条、第三国の駐兵の禁止と、うことは削除ということになるように伺っているのですが、そうした場合に、国連の決定による行動の必要上、
日本
に対してそれが要求された場合、
日本
はこれに応じなければならないということは、憲章の五条第三項ですか、にあったと思うのですが、その
通り
ですか。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
61
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) この項の削除は、そういう場合に
アメリカ
の許諾を必要とすることになっている。それが削除される。御指摘のところはそうだと思うのですが……。
森元治郎君(森元治郎)
62
○
森元治郎
君
アメリカ
の許諾を必要とするということだけを取るのですか。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
63
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) むろんそういう項が削除されることになりますから、
アメリカ
の許諾を受けないでも国連軍等が、もし
日本
が国連の精神に従って、国連軍が何か行動するという場合には、新しく
アメリカ
の許諾を得なくて、国連当局と相談することで決定していく、こういうことです。
森元治郎君(森元治郎)
64
○
森元治郎
君 これは削除ではなくて、そこを書きかえるわけですか、その趣旨を。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
65
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) つまり現在の規定では、
アメリカ
以外の軍隊、それは単独の軍隊でありますか、あるいは国連の軍隊で、警備隊でありますかは別としてそういうものが
日本
に基地もしくは駐留するという場合には、まずもって
アメリカ
の許諾を得なければできない。しかし、今度では、そういう条項がなくなりますので、従って、その単独の国もしくは国連と、そのときに話し合えば、それだけで、
アメリカ
の許諾を得なくても済むということになるということでございます。
森元治郎君(森元治郎)
66
○
森元治郎
君 そうすると、削除ではなく書きかえということになりますか、そういう趣旨で。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
67
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) 書きか、えということでなくて削除だと思いますが……。
森元治郎君(森元治郎)
68
○
森元治郎
君 終ります。
羽生三七君(羽生三七)
69
○羽生三七君 先ほどの
森委員
の質問の中の事前協議の問題ですが、事前協議をする場合のこちら側の協議者はどういう構成になるのでしょうか。これは私、問題の発展によっては相当大きなウエートを占めることだと思うのですが、何らかのお考えがあるだろうと思いますので、承わりたい。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
70
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) 今日まで
条約
もしくは
行政協定
そのものの大体
折衝
をやっておりましたので、まだ最終的に協議機関の問題には触れて参っておりません。がしかし、
両者
の協議の過程におきまして、当然協議事項を置いて参りますから、協議機関を置かなればならぬ。どういう種類の協議機関を置かなければならぬかということは、それぞれ考えて参っております。まだその
条約
あるいは
行政協定
の方がきまっておりませんから、その問題についての直接の
話し合い
は、実はいたしておりません。これからの
段階
でいたすことになると思います。ただ、今日の協議に当りましては、お話のように広範な
情勢
の判断に対する協議もございますし、あるいは
日本
が侵略されましたときに、協議をして行動するための協議を必要とする、これは
日本
の自衛隊と
アメリカ
の軍隊とが単一司令官のもとには構成されません。従って、やはり協議機関が必要だと思います。そういう
意味
において、いろいろな協議機関がございますので、それらの問題につきましては、今後どういう種類の協議機関をどういう
段階
に設けていくかということは、具体的な問題になってくると思います。がしかし、全般的な協議機関として現在御承知のように岸・アイク声明に基きまして、一応日米安保
委員会
というものができております。が、当然これは任務を終了したので、一応解消することにはなろうと思いますけれども、あの種類の協議機関というものが——その構成のメンバーは若干訂正するかどうかは知りませんが、少くとも基本的には、現在の構成メンバーにプラスするかプラスしないかは別といたしまして、あの種類のものが
一つ
入り用であろうということは、私どもも考えております。そのほかに、むろん自衛隊と
アメリカ
軍隊との間に協議機関とか、そういうものが要ると思います。そこで、現在の日米安保
委員会
の構成、あれをどういうふうに増加するか、減らすというわけにはちょっと性質上いきませんけれども、ふやすとなる場合、あるいはその性格を若干変えていく、もう少し広範なものにするという
意味
においては、メンバーについても
考慮
しなければならぬ、そこまでは考えておりませんが、そういう種類のものを持っていくと考えております。
羽生三七君(羽生三七)
71
○羽生三七君 この前、ずっと前でしたが、予算
委員会
で、私、岸総理とそれから
藤山外務大臣
にお尋ねしたときに、そういう重要な事前協議の場合に、結果によっては
国会
の
承認
を求めんならぬ事態になるかもしれぬというようなお話がありましたが、それほどに重要な問題が、もし協議されるような場合においては、
アメリカ
の軍とか
日本
の自衛隊
関係
という純粋な軍事面の方が協議をするのは、私は適当でないと思う。むしろ
政治
的に配慮すべき最高の私は懸案だろうと思う。だから、そういう場合における構成メンバーというのは、非常に私は重要だと思うので、この点については私どもは安保解消論者ですから、立ち入ったことをいうわけではないが、
政府
の
立場
に立ってお考えになっても、私はこれは非常に大きな問題だろうと思います。これは御注文申しあげておきます。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
72
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) 羽生
委員
の言われますように、私も最高の協議機関というのは、相当重要だと思います。そうして単にこれは軍の
意向
だけでなしに、やはり
政治
的判断のもとに、一番最高の機関として判断をしていかなければならぬわけですから、その構成等につきましては、相当慎重に考えていかなければならぬと思います。
羽生三七君(羽生三七)
73
○羽生三七君 今もちょっと申し上げましたように、この本来安保
改定
に反対をしておる私たちが立ち入った
論議
をするのは少々おかしいのですが、しかし、
政府
、自民党の
立場
に立っても、どうしてもおかしいと思うごく一、二の点を申し上げてみたいと思うのですが、それは、かりに社会党の
立場
でいえば、外国から理由のない攻撃、侵略があれば、社会党も私国連に救援を求めるだろうと思う。国連の救援が間に合わなければ、他の適当な国に救援を依頼することがないとはいえない。そこいらは、私は大して自民党、社会党変らないと思う。ただ、私どもはそんなことは起らないと、本来、理由なき他国からの攻撃、侵略が予測し得る将来にあるとは思いませんが、かりに、万一あるとすれば、その
立場
は、そう大して自民党と異なることはなかろうと思う。問題はそうではなしに、
日本
にかかわりのない他国の戦闘に、なぜ
日本
がかかわり合いをするような
条約
内容
を持たなければならないか。それは先ほど
森委員
が触れられたことにも関連をいたします。だから、
日本
に対する直接攻撃の場合に、
アメリカ
に守ってもらうというなら、これはある
程度
話はわかります。
国民
も納得するでしょう、判断は別として。そうなれば、どうして、不断に、常時
日本
に米軍が駐留しなければならないか。これは有事の場合だけに、
政府
自民党の
立場
からいっても、限定されたらどうですか。沖縄あるいはハワイ、あるいはグアムの線、これはもう今のスピードからいって、近代兵器の現状からいって、決して不可能ではない。むしろ
日本
に
アメリカ
軍が駐屯することによって、問題が起る。しかも
日本
の安全の度合いよりも、安全をそこなわれる度合いの方がはるかに多い。これはもう万人の常識であります。ですから私たちは、今
政府
の言うように、他国から侵略があった場合に、
日本
を守ってもらうのに何が悪いか、そんないろはみたいな議論は、社会党だって当然だと思っています。そうではないんです、問題の所在は。だから、それをチェックする方法を考えなければならない。 それから、もう
一つ
は、この前も私何回も総理にお尋ねしたときに、事前協議の場合に、たとえば、イエスと答えるようなケースがあるか、ほんどない、ノーと答える、いかなる場合においてもか、いかなる場合においてもノーと答、える。これは速記録にみな載っています。だからときにはイエスと答え、ときにはノーと答えるならば、いい悪いは別として、
条約
の体裁上協議事項は確かに残ります。しかし、いかなる場合にもノーと答えるなら、そんな協議事項ならはずした方がいい。極東の平和と安全に関する一項ですね、これははずしたらいい。それから今の常時駐屯ということは、全然
意味
がない。だから、もし
日本
の安全ということを至上命題とするならば、そこからものを根本的に考え直さないと、単なる平板な
防衛
論議
ということで、どろぼうの戸締り
論議
でこの問題を扱っても、もう本質的に問題が異なっておる。そこに私は問題の所在があると思うのですが、いかがですか。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
74
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) お説のように、社会党の皆さん方も、
日本
に侵略の事態が起ったときには、当然他国から助けてもらう、その
通り
だと思います。われわれもそのつもりでやっておるわけです。ただ、現在の
国際情勢
の認識において、若干私どもまだ社会党の方と違うから、第二段の議論が分れてくるのだと思います。われわれの
立場
、特に実際
政治
の局に当って、そうして責任をもって
日本
の安全というものを考えて参ります場合に、現在の
国際情勢
または軍事
情勢
からいいまして、むろん世界の
国民
が平和を念願し、局地的な紛争もできるだけ起さないように避けていくという念願を持っていることは当然でありますけれども、しかし、そうしているにもかかわりませず、やはり局地的な紛争も現に起りつつあることは御承知の
通り
なんでありまして、従って、そうしたことで、やはり何か
日本
の
防衛
力が空白を感ずるというようなときには、その空白にのしかかって、何かの戦争誘発の条件にならぬとは、これは言い切れないと思います。そういうことにおいて、つまり今回の
条約
そのものが、直接
日本防衛
のための戦闘をする場合でなく、
日本
に侵略を防止する防止能力があるということも言えるのではないかと思うのであります。で、その
意味
において、社会党と若干
意見
が違ってくると思うのです。そういう
安保条約
のような防止能力は要らないのだという御判断と、われわれは、
安保条約
というものが——事実こういう
条約
が発効されることそのことは好ましいことでないのでありますから、むろんこういう
条約
を作りましても、発効されないように
努力
して
外交
をやっていくのは当然のことだと思いますが、しかしながら、やはり若干の防止的能力というものは、こういうものによってあり得る、これは共産圏の場合においてもおそらく私はそうだと思うので、中ソ友好同盟
条約
の軍事条項というのも、やはりこれは
一つ
の防止能力というふうに見ても差しつかえないのではないかと思うのでありまして、やはりこれらの
条約
を作りますときには、何か問題がそこにすぐ発生してくるのだからというその発生に現実的に対処する場合でなく、その
意味
の中には、若干の平和を維持するための防止能力というものが加わっているということは、これは当然なことだと思うのです。で、その防止能力が必要であるかどうか、また、それ自体が防止能力になるか、
アメリカ
との
関係
においてなるかどうかという、点になりますと、社会党の方と若干
意見
が食い違うと申しますか、あるいは並行的になるというか、そういうことになるのじゃないかと私は思います。
羽生三七君(羽生三七)
75
○羽生三七君 もう時間がないようですから簡単にいたしますが、その防止能力になるかならぬかは、それは判断の違いですが、かりになるとしても、外相の今言われるように、皆さんのお
立場
からいってなる場合があるとしても、しかも他との比較でですね、先ほど私が前段申し述べた問題との比較においても、なおかつ私は危険のウエートの方が多い、それを言うのです。 もう
一つ
は、
日本
に加えられる直接攻撃は別として、
日本
の基地を使用して他国の紛争に
アメリカ
が加わる場合、これはどうして
条約
上チェックできないのですか。そこに問題があるわけですね。だから、それを事前協議でなしに、
条約
そのものからこれをはずすべく工夫されたらどうですか。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
76
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) われわれとしては当然事前協議によって、
日本
はそれに対するはっきりした、
意見
も申しますし、先ほどお話のありましたように、総理は、そういう場合にノーと言うということを言われておるのでありまして、私どもとしては、当然協議事項でそういうことが規定されて参りますれば差しつかえないことだと考えております。
羽生三七君(羽生三七)
77
○羽生三七君 それは根本的な見解の違いになるから、私はこれ以上は申し上げませんが、問題の所在はそこにあるだろうと思います。 それからもう
一つ
は、先ほど
森委員
から質問されたが、
条約
の
期限
の問題ですね。これほど世界が激しい
変化
をしておるのに、
日本
の方から十年に
合意
するなんということは、私はとんでもない違いだと思う。おそらく外相の頭の中にも、もっと短かい期間を考えられたであろうと思うし、それから
政府
部内にも、
条約
専門家の間にも、それからいろんな外部の
外交関係
の評論家たちも、一年とか三年とかということを考えられておると思うのです。それだから、もし必要があるならば、更新して継続したらいいでしょう。どうして最初から、こんな長い
期限
をお考えになるか、
アメリカ
の要求で外相が押されておるとするなら、これは別ですが、もし何も向うから強い要求がなかったら、必要があれば、当然更新すればいいのだから、これは断じてそんな長い期間は私はいかないと思う。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
78
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) 期間の問題につきましては、いろいろ御
意見
がございます、先ほどから申しているように……。NATOみたいに二十年なり三十年なり長くした方が適当じゃないかというような御
意見
もありますし、羽生
委員
の言われたように二年なり三年なりという
意見
も、いろいろございます。われわれとしては、先ほど来申し上げておりますような見地に立ちまして、まず十年くらいが適当ではないかというふうに考えております。
羽生三七君(羽生三七)
79
○羽生三七君 これで終りますが、もう
一つ
。どうですか、外務大臣、先ほど森君も言われましたが、相当、
政府
、与党の中でもいろいろな
意見
があるようだし、それからもうだんだん変ってきて、最初外務大臣は五、六月ごろなんて言われておったのが、この調子でいくというと、
通常国会
、それも予算が通ったあとなんということになりかねない、その間あたためておるかどうか、それは知りませんが、どこにもこれを徹底的に
改定
しなければならないという意欲というか、一般的
情勢
はほとんど存在しておらぬと私は見受けます。だから無理をしてこんなことを強行されぬように、ここらで
一つ
お考え直しになったらいかがですか。(笑声)
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
80
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) 決して私は無理をして強行いたしておるわけではないのでありまして、
アメリカ
側との話も円滑に進められておると存じております。これはむろんこれだけの
条約
を
改定
することでありますから、お話のように、いろいろな御
意見
があることは当然でありまして、
条約
地域の問題についても過去半年、ほぼ一年に近く
論議
してきております。ただ、私はやはり現行の
安保条約
というものが、非常に占領当時の延長で作られた形になっておりますし、
日本
が自主的な
意見
を申し述べる状況にもなっておりませんし、それらのものが、やはりそういう
意味
において
改定
されることは望ましいことであり、私自身がたびたび申しておることでありますけれども、外務大臣に就任以来、衆参両院の
外務委員会
においても、なぜ核兵器の問題については文書で取りつけないのだと、いろいろな御
意見
もあったわけで、そのこと自体、私はやはり
国民
の声だと思っておりまして、私自身が何か功を争うとか、あるいは急いでやりかけたからやっているというよりは、私はやはり
国民
の声ではないかと思います。ただ、それらのものを具体的にしていく前に、もっと強力に
条約
に規定したらどうだ、あるいはもっと弱く規定すべきだという、そういう幅についていろいろ御
意見
があると思います。協議事項だから手ぬるい、拒否事項にしろ、あるいは協議事項にするほどの必要はない。中には、
日本
にそういう兵器も要るのだという御議論もございます。しかし、全体として、やはり
日本
が自主的な何かの形において
アメリカ
と協議をし、占領当時からの延長を少くも現在の
安保条約
からできるだけ払拭しておく、百パーセントそれはできないにしても、払拭しておくということ自体については、私は、これは
国民
の皆さんの考えておることではないかと、こう思っておりますので、私自身、今これをやめるという
考え方
は持っておりません。
羽生三七君(羽生三七)
81
○羽生三七君 手段方法は、
国民
願望の手段方法は、おのずから他に道があるだろうと私は思っておりますが、質問はこれで終ります。
森元治郎君(森元治郎)
82
○
森元治郎
君 今、羽生
委員
の御質問に対する大臣の答弁の中で、非常に大事な
発言
が
一つ
あったと思うのですが、それは従来中ソ同盟というものは
日本
を敵としたものだ、けしからぬじゃないかというのが自民党及びその
政府
の
一つ
の大きな論拠であったようです。だからわれわれの方でもこれに対応しなければならぬのだ、ただいまの御答弁の中には、中ソ同盟は平和能力を維持するために戦争防止能力をここに加えているのだという大へん
理解
のある
発言
があったのですが、これは特に銘記されて、そうやきもきしないで、やはり中ソとも仲よくしていくということに、この
主張
を伸ばすというお考えはないかどうか、もう一ぺん伺いたい、いかがでしょう。
国務大臣(藤山愛一郎君)(藤山愛一郎)
83
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) 今日まで
外交
をとってきておりまして、特にソ連、中共を敵視しているつもりは、われわれ毛頭ないのでありまして、ソ連については特に問題がないと思いますが、中共が、
岸内閣
が何か中共を敵視しているという判断が相当多いわけでありますけれども、総理がたびたび言われておりますように、総理自身も特に中共を国際
外交
の上で敵視しているということはないと思っております。むろん—ソ同盟
条約
につきましても、そういう同盟
条約
を作る上において、
日本
が
安保条約
を
アメリカ
とやります場合において特に中共を敵視あるいはソ連を敵視して作っているわけでもないと同じ
意味
において、そういうことが言えるのだということを申し上げたわけであります。
森元治郎君(森元治郎)
84
○
森元治郎
君 質問ではないのですが、この前の六月の
外務委員会
で、
政府
の留保答弁があるのです。それは、茨城衆那珂湊飛行場
アメリカ
車の対地訓練区域の返還問題について、那珂湊の宮原市長が二十三年にジョンソン基地の司令官に会ったときに、三十五年になったらば返すだろうというようなことを言った。これに対して丸山調達庁
長官
は、私は聞いてない、そこでそれを聞いてくれと頼んだところが、向う側と接触して調べてみます、こういう御答弁があったので、どういうふうになったか、それを本
委員会
に返事してくれるように、措置を
委員長
からとっていただきたいと思います。
委員長(鹿島守之助君)(鹿島守之助)
85
○
委員長
(
鹿島守之助
君) 承知いたしました。 ほかに御
質疑
のおありの方はございませんか。 本日は、これにて散会いたします。 午後零時七分散会