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1959-08-10 第32回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年八月十日(月曜日)    午前十時四十三分開会   —————————————   委員異動 七月三十日委員石原幹市郎君辞任につ き、その補欠として佐野廣君を議長に おいて指名した。   ————————————— 出席者は左の通り。   委員長      平島 敏夫君   理事            天埜 良吉君            江藤  智君            村上 春藏君            相澤 重明君   委員            金丸 冨夫君            谷口 慶吉君            三木與吉郎君            大倉 精一君            小酒井義男君            重盛 壽治君            中村 順造君            松浦 清一君            基  政七君            加賀山之雄君   委員外議員            野溝  勝君   国務大臣    運 輸 大 臣 楢橋  渡君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    運輸省船員局長 土井 智喜君    運輸省港湾局長 中道 峰夫君    運輸省鉄道監督    局長      山内 公猷君    運輸省自動車局    長       国友 弘康君    運輸省航空局長 辻  章男君    日本国有鉄道総    裁       十河 信二君    日本国有鉄道常    務理事     吾孫子 豊君    日本国有鉄道運    転局長     石原 米彦君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告運輸事情等に関する調査の件  (日本国有鉄道志免鉱業所に関する  件)  (航空行政に関する件)  (自動車行政に関する件)   —————————————
  2. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) それではただいまから委員会を開会いたします。委員異動について御報告いたします。  七月三十日、石原幹市郎君が辞任され、その補欠として佐野廣君が選任いたされました。   —————————————
  3. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に、先に行われました委員派遣について、それぞれの班から御報告を願います。  まず、北海道班からお願いいたします。
  4. 相澤重明

    相澤重明君 ただいまから北海道班視察報告を申し上げます。  派遣されました委員は、私と天埜委員の二人でした。派遣される予定になっていました谷口委員は、都合により参加されませんでした。派遣期間は七月二十三日から二十九日までの七日間で、今回の視察の目的は、日本国有鉄道経営現状及び運輸行政事情並びに港湾隧道踏切等運輸関係施設実情調査でありまして、北海道班視察いたしましたところは、港湾関係といたしまして小樽港、苫小牧港、室蘭港の三港湾でありますが、北海道の他の港湾については、北海道開発局より北海道港湾全体の整備状況について説明を聴取いたしました。隧道関係としては狩勝隧道視察いたしました。運輸行政実情調査としては札幌陸運局北海道海運局札幌管区気象台、第一管区海上保安本部でありまして、それぞれの現地機関より詳細な資料提出され、所管事情説明要望事項が述べられました。  次に、国鉄経営現状調査については、国鉄北海道支社より詳細な資料提出があり、管内輸送状況についての説明がありました。なお、千歳空港空港内にある千歳空港測候所視察いたしました。  以上が今回視察いたしましたところでありますが、以下事項別に御報告申し上げます。詳細な資料委員長手元提出してありますので、特に重要な点及び要望事項中心にお伝えしたいと思います。  まず第一に、港湾関係について申し上げます。最初に北海道全体の整備計画について開発局から説明されましたが、それによりますと、北海道重要港湾六港、地方港湾二十三港、避難港七港があり、昭和三十三年、三十四年、二カ年間の整備費は三十五億円となっており、このうち三十四年度港湾事業費は、特別会計分を含め二十一億八千万円で、前年度に比し五六%の増になり、まことに喜ばしいことと思っているが、なお北海道経済発展から見て、今後の増額を期待しているとのことでありました。また昭和三十四年度特別会計分としては、苫小牧港四億円、室蘭港二千二百万円、合計四億二千二百万円となっています。  次に、小樽港について申し上げます。小樽港は北海道における重要港湾の一つで、取扱い貨物量は、昭和三十二年度約四百万トンで、昭和三十七年には四百六十万トンが見込まれています。本港は石炭インチ材雑貨等取扱い量が多く、特に貿易上の金額では全道二百億円のうちの約六割、百二十億円を取り扱っていると言われ、既設埠頭上屋倉庫等輸入食糧雑貨で一パいとなっており、今後硫安、インチ材合板等増加の傾向で、第二号埠頭整備、防波堤の増強高島漁港の修築についての強い要望がありました。なお、これは港湾関係ではありませんが、市当局より小樽市内鉄道用線道路との平面交差解消についての陳情がありました。これは函館本線小樽市の中心街を南北に貫通しており、平面交差点が四カ所もあり、そのうち二カ所は都市交通の要所で、一日百回、延べ五時間の遮断になっており、全く混乱状態に陥っているので、金市民要望としてこれが解決についての陳情を受けたのであります。  次に苫小牧港について申し上げます。苫小牧港はこれから新しく開設される港湾で、今回の特別措置法により石炭港として政令指定された港湾で、昭和三十四年度特別会計に四億円が計上されています。地元としては、苫小牧工業港造成計画を立案されています。それによりますと、工事費百六十六億円で、外港、漁港区、商港区、工業港区を築設されるのですが、ここの港湾計画は他の港湾と異なり、港湾主要部分は全部内陸に築設される画期的なもので、掘り込み式によることにより太平洋の風波から完全に隔離されるのみならず、広大な土地臨海工業地として利用できる有利性があることを強調されました。地元では市当局を初め、関連産業界一致して苫小牧開発に非常な熱意を持っておられ、すでに苫小牧開発株式会社が設立され、市及び北海道東北開発公庫、その他石炭会社七社等から二億五千万円出資され、臨海工業地造成に努力されておりました。苫小牧完成の暁は、当初石炭のみの積み出しで百万トンが可能となり、道内輸送費室蘭に比しトン当り百五十五円安くなるとのことでありました。市当局よりは陳情書提出され、今回の特別措置法により苫小牧開発の端緒が開かれたことは地元として感謝にたえないが、なお今後第一期工事として三十二億円を要するので、その予算措置について特段の考慮をしてほしいとの要望がなされました。  次に室蘭港について申し上げます。室蘭港は石炭と鉄とを主たる扱い品として発達した工業港で、特に石炭積み出しは昭和三十二年四百九十万トンで、道内海送量の過半数を示し、取扱い貨物総量は約一千万トンに達しています。昭和三十七年には千三百八十万トンが見込まれており、港湾施設整備が強く要望されていましたが、特に市当局から四二号埠頭国直轄事業として施行する頭部並びに市単独事業の基部の造成についての工事促進とその予算化について強い要望がなされました。なお室蘭港は、今回の特別措置法により鉄鋼港として政令指定されており、富士鉄と国とで航路浚渫のためそれぞれ本年度二千二百万円を負担することになっています。  以上で港湾関係を終りますが、苫小牧市、室蘭市より日勝線建設促進についての陳情がありました。これが完成すれば、日高の北西市と根室、釧路方面の資材が苫小牧室蘭函館に直結し、その経済効果はまことに大きく、また本州方面に通ずる最短距離の路線を形成することになり、その実現を強く要望されたのであります。  第一に狩勝隧道について申し上げます。本件調査に際しましては、本年七月二十一日に、新得機関区で実地調査された資料提出され説明を聴取したのでありますが、私と天埜委員上り四三四列車機関車に同乗し、隧道内の諸条件を直接体験してきたのであります。本隧道の長さは九百五十三・九メートル、勾配は上り千分の二十五、下り千分の十七、曲線R、二百四十一メートルで、通過時間は旅客列車速度二十五キロメートル時として約二分十七秒、貨物列車速度二十キロメートル時として約二分五十二秒を要し、運転室内の温度隧道内で二十度C上昇して最高五十一度Cまでなるとのことでありました。国鉄説明によれば、医者を機関車に乗車させ、人体に与える影響を調査させたが、特別の害はないとのことでありました。しかし現在は試験的に防毒マスク使用させるほか、重油混焼装置を取りつけ、隧道に入るまでの合理的運転方法により煤煙の排除と乗務員疲労軽減をはかる等、事故防止についてできるだけの措置をとっているとのことでありました。われわれ乗車した経験から見れば、肉体的に受ける苦痛感は相当激しく、それは煤煙より高温による圧迫の方が強く、温度上昇も五十一度を越えるのではないかとさえ思いました。煤煙の少い場合はマスク使用はむしろ疲労度増加するのではないかとも思いました。同行の乗務員の話によれば、この列車はまだよい方で、貨物列車速度の落ちたときは相当苦しいとの話も聞かれました。いずれにしましても、現在の機関車隧道の構造では諸条件緩和は困難のように思われ、将来部分的にディーゼル化をはかるか、全線電化をするか、何らかの措置により事態の改善をはかる必要があることを痛感したのであります。  次に、第三として運輸省地方機関運輸行政事情について申し上げます。説明を聴取しましたのは、さきに述べた四機関でありまして、いずれも詳細な資料提出され、管内所管事情要望事項について熱心な説明がありましたが、主要要望事項中心にお伝えしたいと思います。  まず陸運局からは、自動車関係行政事務定員増についての強い要望がありました。それを数字的に見ますと、自動車台数にして昭和二十七年を一〇〇として、昭和三十三年は八〇〇、検査数昭和二十七年を一〇〇として昭和三十三年三八一、登録数昭和二十七年を一〇〇として昭和三十三年は四七四と増加しているが、一方人員は、昭和二十四年の二百八十八人に対し昭和三十四年は百六十二人と減少している状況で非常に困っているから、定員増加してほしいとの要望がなされました。  また、第二十六国会で成立した積雪寒冷特別地域における道路交通確保に関する特別措置法に基き、道内主要幹線道路の除雪、防雪等のため国道、道道、それぞれ年間約五億円の補助金が交付されるようになり、道路輸送面改善に寄与しているが、なおこれが増額要望されました。  次に、北海道海運局では、管内所管業務問題点として、次の六点をあげられ、その善処方要望されました。  一、離島航路整備法に基く航路補助金増額について。  二、港湾法倉庫業法との調整問題について。  三、船員保険法関係業務運輸省移管について。  四、船員厚生施設に対する国庫補助について。  五、海難防止策強化について。  六、行政費増額公務員宿舎増設について。  この六点でございました。  次に、札幌管区気象台について申し上げます。北海道土地が広大で、産業分布が疎遠なため、気象観測通報がむずかしく、目下各部門別サービス体制確立とその受け入れ体制強化について努力しているが、特に業務機械化観測範囲拡張通信系統現代化について要望され、それらによって人員増を大幅に軽減していきたいとのことでありました。また、僻地職員の待遇は、北海道特殊事情も加わり、全く悪条件下にあり、これが対策についてはできるだけの措置をとっているが、なかなか改善できない。が、この問題は深刻な問題であり、国家的見地から対策を講じてほしいとの強い要望がありました。  次に第一管区海上保安本部について申し上げます。本管区は千四百四十海里に及ぶ沿岸水域と、これに連なる海域を巡視船十三隻、巡視艇二十隻、ヘリコプター三機で所管業務の遂行に当っておられ、北方特有の苛烈な気象条件は、船員勤務条件や健康上にも幾多の困難が伴うとのことでありました。本管区では十六項目にわたる要望事項がありますが、特に重要な点として、昭和三十四年度巡視船五隻の増配、主要港湾における巡視船停泊地及び専用岸瞳整備宿舎増強赴任旅費増額等要望されました。  次に第四として、北海道における国鉄輸送状況について申し上げたいと思います。本件に関しては国鉄北海道支社より詳細な資料提出され、説明されましたが、昭和三十四年度輸送状況を見てみますと、輸送量目標は、旅客において五十五億人キロ貨物は六十七億トンキロになっており、その収入目標は三百六十億円が予定されているが、今の見通しでは六十億ないし六十五億円の減収になる見通しであるとのことでありました。なお、札幌鉄道監理局では、石炭輸送量増加に伴う室蘭本線岩見沢・三川間の線路増設実現が強く要望されました。また、管内踏切現状及び改良計画については、われわれの要求により別途詳細な資料提出されました。  次に第五として、千歳空港について申し上げます。千歳空港北海道における唯一の重要空港で、従来在日米軍に提供されていたのでありますが、本年七月二十日建物地域を除いて日本に返還されたのであります。そこで現在問題となっております点は、空港管理者が防衛庁になるのか、運輸省になるのか、また空港使用面から見た両者関係、それから管制業務移管に伴う施設、機材の維持、管理についての両者関係等でありまして、現地では、これらの問題を本省において早急に解決してほしいとのことでありました。なお、特に空港関係職員住宅状況は、家族持ち、独身を問わず深刻で、無料宿舎該当者有料宿舎に入っておるような住宅事情であり、現地では住宅問題の解決を強く要望されました。また、空港内にある千歳航空測候所からは、職員宿舎、庁舎の増築について同様強い要望がありました。また、千歳空港の霧の問題については、現在空港運営上の重要な問題として取り上げられており、霧観測通報業務整備海霧調査の二点についてその実現方を強く要望されたのであります。また、千歳市より千歳空港整備等に関する陳情書提出されました。なお、私鉄関係について一言申し上げます。北海道拓殖鉄道事情でありますが、この北海道拓殖鉄道争議模様を御報告申し上げます。  第一が争議の発端、昨年末十六余日にわたるストで得た労働協約を協約通り実施しないこと。すなわち、1賃金体系制度化、2臨時雇用の本採用、3新採用車掌賃金月給制にすること等と、今期におけるベースアップ一人平均千五百円(現行一万三千七百八十八円)と夏季手当平均額の一・三カ月(一万一千八百五十円)の要求を五月二十五日に出し、その回答を六月十五日に求めていたところ、たまたま六月五日に現沢本執行委員長(鹿追駅助役)を束瓜幕駅長(非組合員)に配置転換したので、労使の隔りはますます大きくなった。六月六日の第一回団交においても何らの進展を見ず、むしろ会社側のとった今までの経過、今回の委員長を一方的に発令したことは不当労働行為であるとして、六月十七日ストを予告し、六月二十七日より四十八時間全面ストに入ったものである。この間団交を持ち、会社側ベースアップ三百円、夏季手当〇・六カ月を提示したが、組合は拒否した。以来組合側部分ストを繰り返し、これに対し会社側バス部門のロックアウトをもって対抗したが、何ら効果が現われないまま六月十六日よりの無期限全面ストに入ったものである。  第二として、この間当局としては毎日現地よりその情報を取り本省に速報するとともに、社長、専務の来庁を求め、公共機関としてその使命達成上、平和的に早期解決を強く要請し、以後会社労務担当者に再三再四同様要請した。なお、私鉄北海道労働組合にも早期和解につき協力を求めた。また地方労働委員会においても去る七月二十二日に現地調査せるも、いまだ調停案提示に至ってない模様である。  以上が北海道拓殖鉄道争議現状でありますが、現地としては早急に解決をしてほしい、いわゆる公共事業としての本旨に即応するように努力してほしいという要望がありました。  以上で北海道班視察報告を終ります。本視察中いただきました陳情書六件は、委員長手元提出してあります。以上であります。
  5. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に、関西班報告を願います。
  6. 松浦清一

    松浦清一君 関西班調査報告を申し上げます。  派遣委員は、鳥畠委員白木委員及び私の三名でありまして、七月二十五日より五日間にわたって大阪府及び兵庫県における国鉄現状及び運輸行政事情並びに運輸関係施設実情調査して参りましたが、これを日程の順序により申し上げますと、まず大阪府に参りまして、近畿海運局大阪陸運局大阪航空保安事務所大阪管区気象台大阪海上保安監部及び国鉄関西支社より、それぞれ管内事情説明を聴取した後、片町線鴫野構内踏切施設及び西成線高架工事並びに大阪環状線工事現場視察し、次いで目下建設中の大阪都市計画高速鉄道大阪環状線との交差地点であり、将来大阪市における交通中心地となるべき弁天町にて大阪市当局より都市計画高速鉄道網について説明を聴取するとともに港湾空港都市交通等に関し陳情を受けました。次いで曳船に乗船し、港湾工事計画、南港の臨海工業地域造成計画に関する説明を聴取しつつ港内視察し、上陸後日立造船桜島工場視察いたしたのであります。  翌二十七日には兵庫県に参りまして、神戸海運局第五管区海上保安本部及び第三港湾建設局より、それぞれ管内事情説明を聴取した後、神戸港、神戸海洋気象台及び海技専門学院視察し、さらに神戸市当局と、主として港湾整備の問題につきまして懇談いたしました。  次いで、翌二十八日、姫路に参りまして、播但線に乗車、福知山鉄道監理局長等から生野隧道列車事故後の状況について説明を聴取するとともに、同隧道区間機関車に同乗いたしまして実地に視察をいたしました。次いで姫路市において同市当局から姫路港の港湾整備計画等について説明を聞き、海上保安庁巡視船にて飾磨港区及び広畑港区を視察し、広畑製鉄所から同港区における同製鉄所岩壁建設計画等について説明を聴取いたしました。  以下九項目に分けまして調査の結果を御報告いたしたいと存じます。なお各所において受理いたしました状況説明書要望書等は別途委員長提出をしておきましたので、詳細な点につきましてはそれらをごらん願いたいと存じます。  第一は、船舶検査官定員不足の問題であります。この問題につきましてはすでにしばしば洲本委員会において同僚委員からその改善方を指摘せられているのでありますが、近畿海運局におきましても、神戸海運局におきましても船舶検査官の増員につきまして強い要望があったのであります。船舶安全性確保のためには、船舶検査官定員不足問題が今なお解決されず、全国的に慢性化した問題となっておりますことはきわめて遺憾にたえません。  第二は、陸運局職員不足の問題であります。大阪陸運局管内における自動車台数は、本年三月において四十二万両で、これは昭和二十五年における五万七千両に比し七・四倍の激増ぶりでありますが、職員は逆に本年度三百十二名で、昭和二十四年度五百四名に対し六二%にすぎない状態であります。今春大阪におきましては、いわゆる神風トラック追放問題と、警察、労働基準局及び陸運局の三者の十分なる連絡のもとに本格的に取り組んでおるのでありますが、大阪陸運局長はその経験からいたしましても、監査制度確立のためには人員整備の必要があることを強調いたしておりました。この問題も全国的な問題でありまして本委員会におきまして数度にわたり同僚委員からその不合理性を指摘されているにもかかわらず、今なお十分なる解決を見ていないことはまことに遺憾と言わなければなりません。  第三は、大阪国際空港整備計画であります。これは大阪空港滑走路一万フィートの国際空港に拡充整備しようとするものでありまして、大阪航空保安事務所長説明によりますと、所要工事経費は総額四十四億円とされておりまして、三十三年度五千万円、三十四年度二億円の予算措置が行われたものであります。しかしながら、ジェット機時代の出現及びオリンピック東京開催を控え、工事の可及的早期完成を目途として予算措置を講ずる必要があると認められたのであります。  第四は、特定港湾施設工事特別会計による港湾工事費に関する港湾管理者負担軽減に関する問題であります。神戸港の摩耶埠頭建設工事特定港湾施設工事特別会計による輸出港湾施設工事として八バースが本年度より四年計画で行われますが、神戸市当局より総工事費は百四億円で、そのうち港湾管理者たる神戸市の負担は、埋立上屋荷役機械施設関係工事費国庫補助対象とされないので六十二億円、すなわち六割にも達し、きわめて過重となるから負担軽減をはかるよう措置されたいという要望がありました。なお大阪港につきましても市当局より同様の陳情がありましたが、この問題につきましては、地方財政の現実をも考慮して慎重な検討を加える必要があるものと認められました。  第五は、姫路広畑港区内泊地整備に関する問題であります。同港区内におきましては、特定港湾施設工事特別会計により、港外の航路拡張浚渫を行うこととなっておりますが、地元におきましては港内泊地整備をも対象工事とするよう要望しております。本件に関しましては大蔵当局側に、利用者において経費負担し行うべきであるという見解がありますが、すみやかに意見調整を行い、将来大型船舶の出入に支障のないよう措置せられんことを希望します。なお飾磨港区につきまして姫路市長より、同港区の埋立費用の財源として地方起債のワクの拡大等について強い要望がありました。  第六は、大阪港に、ショウダー・ヴィジョン施設計画であります。本件については第五管区海上保安本部長及び大阪市当局より、要望がありましたが、これはレーダーで港内状況を写し、それをテレビジョンで各在港船に送るものでありまして、海上保安庁では所要予算の、要求を行う予定であります。大阪港のように霧の深い港湾につきましては、港内船舶交通の安全に資するため適切な計画であると思われますので、これが予算化につきまして政府において十分考慮すべきものと思われました。  第七は、気象業務充実強化に関する問題でありまして、私どもは大阪管区気象台長より、僻地気象官署における環境改宮防災気象完遂のため地方気象台通信能力強化等につきまして、また神戸海洋気象台長よりは大型観測船の配置、船舶気象器検定業務の円滑な運営等につきまして要望を聴取したのであります。由来、気象業務はきわめて地味な業務であるため、日の当らない行政部門といわれておりますが、気象業務は申すまでもなく、気象災害防止交通安全の確保等基礎的資料を提供する重要なる業務でありますので、その充実強化につきまして政府は特段の考慮を払う必要があると認められた次第であります。  第八は、片町線鴫野構内における踏切施設高架計画であります。この踏切における交通量は一日平均約三十四万人に上り、まことに本邦第三位にある趣きであります。このため当所を高架線に切りかえ、もって交通難緩和をはかる計画がかねてより立案されておりまして、それは所要経費は三億五千万円、国鉄四割、大阪市六割負担で、三カ年計画とされております。用地の買取に問題がある趣きでありますが、当所実情はすみやかなる着工を必要としているものと認められました。  第九は、播但線において本年四月六日発生いたしました列車脱線転覆事故の主たる原因となりました生野隧道に対する問題でありまして、若干詳細に御報告いたしたいと存じます。この隧道は生野・新井間にあるもので、全長約六百十五メートルで、上り、すなわち新井から生野に向う場合は千分の二十五という勾配であります。当時七両、換算二十一両編成の臨時旅客回送列車が同隧道を出て下り勾配にかかり、停車すべき生野駅に停車せず、急速に加速進行し、推定九十キロ程度の速力で長谷・生野間の、姫路起点三十八キロ七百七十メートルの隧道手前の石垣に衝撃脱線転覆したのであります。事故の原因と思われる諸点及び当時の状況については、すでに当局から本委員会にも説明がありましたが、機関士及び機関助十三人の殉職者を出し、同列車の車掌について国鉄としては処理済みだそうでありますが、検察当局においては起訴するかいなか目下検討中であるとのことであります。なお殉職された二人の死亡の原因についてはいまだ結論が出ておりません。  本件につきましては、五月一日に兵庫労働基準局長から福知山鉄道監理局長あてにこの種の災害を惹起させぬために是正勧告が出されております。すなわち、その一は隧道断面積拡大措置、その二は集煙及び空冷装置、その三は防毒マスクの配備、その四は播但線の電化または気動車計画の実施、以上でありますが、これに対し福知山鉄道監理局長は、勧告の趣旨に沿うよう目下努力中であり、防毒マスクについてはすでに五月十日各現場機関に配付済みの旨回答したとのことでありました。  次に、本隧道実情について申し上げますと、新井から生野隧道を出るまではずっと上り勾配でありまして、列車運行上非常に困難な場所であることは、過去数回の事故を見ましても、機関車乗務員の窒息、人事不省の事実が記録されているのを見ても明らかであります。この隧道は、当初民営で作られたものであり、すでに当時の鉄道の標準よりも断面績が小さく、その後定められた規準にも合わぬもので、国鉄となって以後変状に応じて改築せられてはおりますが、機関車及び車両の大型化されている現在は、機関車の煙突の尖端より隧道の頂点までの距離はわずか三十八センチ余という個所もあり、従って上がり勾配の隧道通過列車煤煙に包まれ、機関車乗務員の労苦は非常なものであります。今回の事故発生後、生野隧道通過の貨物列車に補助機関車使用する場合、牽引定数換算四十六両を四十二両とし、千分の二十五の上り勾配区間に逆向機関車使用の場合、牽引定数を一割減とし、換気装置は六月三十日現在播但緑使用機関車にその改良装置を完了し、集煙装置については入庫の上装置せねばならぬため九月末日までに順次整備することとし、防毒マスクについては前述の通りすでに配付、また使用燃料については、従来の六千六百カロリー乙種煉炭を六千八百カロリー甲種煉炭に改めて目下使用されており、その他新井・生野間基準運転の指導強化並びに異常運転時に対する処置方についての周知徹底をはかるとともに、今後車掌もこの区間においては客扱い荷扱いを兼ねているのを中止し、緩急車に乗務して非常臨機の処置の行い得るよう指示し、実行する等の措置がとられております。  私が実際に新井から生野まで福知山の監理局長とともに機関車に同乗して体験いたしましたところを申し上げますれば、この隧道上り所要時間約一分二十五秒かかりました。速力は大体二十五キロから二十六キロぐらいでしたが、機関車乗務員煤煙による労苦と暑さは実に言語に絶するものがありました。換気装置も著しい効果は認められないというのが実情でありました。  従って、本隧道による事故の抜本的対策としては、隧道の断面積拡大工事現状のままで工事を行うことの困難と、その費用が約二億円を要し、新隧道建設費に匹敵するものでありますので、電化が最も理想的でありますが、当面の最良策としては、旅客列車はディーゼル・カーとし、貨物列車はディーゼル機関車とすることであります。今回の事故によって、現地といたしましては、とりあえずディーゼル機関車四両の配車方を要望し、この区間の安全運転を行いたいとのことであります。山陰線においても目下ディーゼル機関車使用しておりますので、それとの総合使用計画を急速に立てる必要があることを痛感いたしました。かくして再びこのような不幸な事故を起さぬようにすべきだと考えます。  なお、海技専門学院におきまして校名を大学に改称の要望がありましたので、この際あわせて御報告いたしたいと存じます。すなわち、海技専門学院は、昭和二十年四月、神戸商船学校が、東京高等商船学校とともに清水市の高等商船学校に統合された際に、神戸高等商船学校の施設の全部を継承し、運輸省直轄の唯一の船員再教育機関として開設されたものでありますが、院長の説明によりますと、本学院の学生は、商船学校、高等商船学校専科、商船高等学校専科の卒業者を主体としておりまして、その教育内容は大学と同程度であるにもかかわらず、その名称は、洋裁、美容等の速成講習機関と混同されやすいため、研究活動の面において不利を感じている趣きでありました。本学院の教官も大学教官と同程度の資格審査に合格した者であり、かつ待遇も新制大学におけると同様であり、校名改称に伴い格別の予算措置を要しない趣きでありますので、政府においてはその校名を本邦唯一の国立船員再教育機関たる実質に即した適切なものに改めることを考慮すべきであると存じます。  以上御報告を申し上げます。  なお、この報告に基きまして、播但線にディーゼル機関君の配置を強く要望いたしておりますることに対して国鉄当局の御所見、また神戸摩耶埠頭の建設工事費管理者負担軽減の問題、海技専門学院の大学への改称、この二つの問題については港湾局、船員関係の方々の御説明をいただきたいと存じます。
  7. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ただいまの御報告に対し御質疑等ございましたら、順次御発言お願いいたします。
  8. 石原米彦

    説明員石原米彦君) ただいまの播但線事故対策につきましてお答えいたします。  お調べいただきましたように、播但線の現在の生野隧道の窒息事故防止といたしましては、現在のとりあえずの措置は打てるだけ打ちまして、引き続いてああいう事故を起さないように処置いたしたいと存じます。ああいう勾配区間の隧道内で、蒸気運転が非常に苦しい運転になりますことは重々認めておりまして、お説のように根本的な解決は電化が一番でございますが、次善の策といたしましては、ディーゼール化いたしますことがやはり根本的な解決方策になると思います。しかしディーゼル機関車は、現在の車両事情では、予算事情ではたくさん作れませんので、漸を追いまして、煤煙に苦しむ線区の解決ということも非常に大きなファクターの一つにいたしまして、逐次配車いたしておりますが、播但線もこの苦しい区間の当然一つになっておりますので、ディーゼル機関車あるいはディーゼル・カーによります解決もできるだけ近い将来に行うことといたしたいと存じます。ただディーゼル機関車は、まだ日本におきましては十分にたくさんできておりませんので、信頼性等におきまして電気機関車あるいはディーゼル・カーなどに対しまして、まだ著しく劣る状態でございますので、試作と申しますと少し語弊がありますが、いろいろ改良、改造などを考えながら使っておりますので、大量に生産をするというところまできておりません。
  9. 中道峰夫

    説明員(中道峰夫君) ただいま御質問ございました神戸の摩耶埠頭建設に伴いまして、港湾管理者負担が非常に過大であるという御指摘でございますが、この点につきましては、この特別会計が制定されまして、本年の三月に当委員会におかれまして付帯決議がございまして、「上屋、荷役機械、埠頭用地等を本法案の対象施設とすること」というようなことがございまして、私どもの方は、当初これらの施設について国庫負担対象にすることを提案いたしまして、財政当局と折衝をいたしたわけでございますが、三十四年度におきましては認められる事態にならなかったわけでございます。特に神戸の摩耶埠頭につきましては、埠頭用地の管理者負担が相当多額に上っております。で、これは神戸の問題だけでなくて、特別会計の全般の問題に関するわけでございますので、三十五年度の予算におきまして、付帯決議の御趣意によりまして、管理者負担を過大にするような要素である埠頭用地あるいは上屋、荷役機械等の負担軽減につきまして、政府負担をする方向で、現在三十五年度の予算の編成を考えておりますので、そういう線で進めていきたいと考えております。
  10. 土井智喜

    説明員(土井智喜君) 海技専門学院の校名改正につきましては、かねてから、まあ、学生はもちろんでございますが、関係当局より要望がございましてそもそも商船教育の校名につきましては、先般商船大学あるいは商船高等学校等ができましたときに、そういう再教育機関についてもあわせて考えるべきじゃないかというような要望もございまして、今日まで至っている次第でございますが、最近この船舶の大型化という傾向が一般化されまして、その商船高等学校卒業生の甲種船長あるいは甲種機関長、そういう方面への補習としましても、このような教育機関が専門学院というような名前ではまぎらわしい、海技大学校あるいは海上技術大学校というような名前に改称してくれというような要望が海運界から起っているような次第でございまするので、われわれの方もそういう趣旨を体しまして、目下運輸省設置法の改正等を検討している次第でございます。
  11. 松浦清一

    松浦清一君 専門学院の関係はそれでいいのですが、播但線のディーゼル機関車化の問題ですね、それは具体的にやはり考えておられるのですか。来年度は何ぼふやすとかどうするとかですね。そういう理想的なことじゃなしに、現実の問題として、何とかしなければならぬということは御当局自身が痛感しておられると思いますが。
  12. 石原米彦

    説明員石原米彦君) お答えいたします。実はディーゼル化しなければ解決されない問題だということは十分承知しております。まあ電化は……。ただ、現在の製造両数で参りますと、実は—このトンネルもえらい一つでございますが、現在ディーゼル機関車を配属しておりますところを申し上げますと、たとえば四国の土讃線とか篠ノ井線であるとか、北陸線、山陰線というようなところに配備しております。率直に申しまして、これらはさらにひどい区間でございまして、機関車にお乗りいただいて蒸気運転の隧道区間がいかに苦しいかを御報告いただきましたが、あれ以上苦しい目で実は運転しているところもかなりございます。そうして窒息事故も過去において起った例が幾らもございます。それで、ディーゼル機関車を現在配備しておりますのは、隧道勾配の、従事員もえらいし、お客様も非常に苦労なさるというところにばかり配備しております。それで、もう少し両数がふえて参りますれば、お話のようなこともできますけれども、あそこにも配備いたしたいと思っておりますが、先ほど申しましたように、ディーゼル機関車は、国鉄全体の予算も足りませんが、それにしてもディーゼル機関車というものがあの型式のままで大量生産すべきであるかどうかという点に実は疑問もございまして、さらに安くて有効な機関車ができないかということも研究の議題に上っております。来年度の予算はまだはっきりしておりませんので、はっきり申し上げかねますが、漸を追いましてディーゼル機関車化をしていかなければならぬと思っております。ただ、ディーゼル・カーの方は、はるかに信頼性もございますし、両数もたくさん作って、完全な大重生産過程に入っておりますので、むしろディーゼル機動車化の方を先にあの線区は実施するというようなことになるのじゃないかと思います。
  13. 松浦清一

    松浦清一君 私は、国鉄の御当局に糾明をするという意味ではなしに、あそこへ行って痛感したのですが、また、回送列車だったからまだしもよかったのですけれども、あれがお客を満載してああいう事故が起ったのでは何百人と死なさなければならぬ。ああいう事故がまたあそこで起りますと、これだけわれわれが警告したにかかわらず、まだ国鉄はやってないということで、国鉄に対する世間の世論というものは非常に大きな反撃になってくると思うのですよ。だから、そういうことの起らない前に、いろいろ予算の都合もあるでしょうけれども、おやりになるという腹をきめて、ほかにもあるからどうだこうだということでなしに、まず事故の起ったところから手をつけていくということで、積極的におやり願いたいと思います。  それから港湾局長神戸市当局と去年の予算編成の当時にお約束をなすったことがあるのですね、負担率の関係で。結局そのときに運輸当局として—まあ大蔵省が承認されなかったのでああいうことになりましたけれども、最初にお約束された通りに実行されるための努力を三十五年度の予算の編成期にはやっていただきたいと思います。これはまあここでの話ですけれども、大蔵当局としてはいろいろ御異存のある向きも出てくるかもしれませんが、当面、あなたの方がさらに積極的におやりを願うということのために御努力を願いたい。
  14. 中道峰夫

    説明員(中道峰夫君) そういうふうに今考えております。
  15. 小酒井義男

    小酒井義男君 先ほど北海道班の御報告によりますと、北海道において私鉄の争議が非常に長期化しておるということでありますから、この問題について監督官庁としていろいろ努力をしていただいたようでありますが、もう少し詳細にいきさつをお聞きしたいことと、それから、これの解決をさせるために、今後どういうような方法が考えられておるか、その二点について一つお尋ねしたい。
  16. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 北海道拓殖鉄道の労働争議の経過につきましては、相澤先生から詳細な御報告がありまして、私の御報告とダブると思いますが、ただいまのお話で、簡単に今までの争議の経過を申し上げたいと思います。  この組合は、私鉄総連の夏季手当闘争の一環として五月の二十五日、夏季手当賃金引き上げの要求をいたしまして、会社側と交渉しておったわけでございますが、ついに決裂をいたしまして、組合側は六月二十七日、二十八日の両日にわたりまして四十八時間ストを決行し、さらに二十九日から無期限の部分ストに突入いたしたわけであります。その後、七月の二日、三日の四十八時間ストの決行があり、また先ほど相澤先生から御報告がありましたように、委員長を転勤させたということが不当労働行為であるといって地労委に提訴したものであり、あるいは会社側が自動車部門のロックアウトというようなことをやりましたり、また賃金夏季手当の問題のほかに、臨時雇の本採用というような問題もありましてこのストライキの解決が非常に複雑な様相を呈して参ったわけでございますが、その結果、組合側といたしましては、七月の十六日、ついに全面的な無期限ストに突入をいたしたという経過になっております。  これに対しまして北海道の地労委は七月二十二日に現地事情調査というようなところから本件を取り上げまして、二十七日に職権調停の決定をいたしまして八月の三日に調停案の提示をいたしたわけでございますが、その内容といたしましては、まず第一、賃金、本俸に四百五十円、補正金三百三十円の増加、二番目に夏季手当は六千五百円、三番目に、その他は八月末を目標として団交すること、四番目に、今後一年以内に紛争が起り、団交で未解決の場合はあっせん、調停を経ることという調停案の提示があったわけでございます。申しおくれましたが、両者の主張の違いは、組合側夏季手当を一・三カ月分の一万一千八百五十円要求しておるのに対して、会社側の回答は〇・六カ月分四千三百六十九円ということになっております。賃金の引き上げにつきましては、組合側は一律千五百円というのに対して、会社側が三百円。ただいまの調停案は、これに対して夏季手当として六千五百円、賃金の引き上げとして本俸プラス四百五十円、そのほか補正三百三十円という調停案を出したわけでございましてこの会社の四月現在の基準賃金は一万三千七百二十七円、かように相なっておるわけであります。この調停案に対しまして、会社側は八月四日受諾という通知を地労委に出しておりますが、組合は五日の大会で絶対多数でこの調停案の拒否の決定をいたしております。その後の状態は、会社側と双方の間に団交は行われておるのでございますが、何ら進展をしませんで、現在なお組合側ストライキを続けておるという状態になっております。  この争議がなぜ紛糾したかという原因でございますが、これは昨年の末の労働協約、越年資金という問題で十数日のストが行われたわけでございまして、地労委のあっせんでようやく解決したわけでございますが、その間労使の不信感がありまして、正常な労使の関係が妨げられておったということが非常に大きな原因でございます。さらに今回組合側がなぜ拒否をしたかという理由は、詳細にはよくわからないのでございますが、現地報告によりますと、先ほど言いました第四番目の、今後一年以内に紛争が起り団交で未解決の場合は地労委のあっせん、調停を経るという条項が一カ年の労使の休戦条項であるということに強い不満を持っておるようであるという現地からの報告であります。札幌陸運局といたしましては、先ほどの御報告にもありましたように、社長、専務を呼びまして平和的な解決をはかるように勧告をし、あるいは地労委に協力をいたしまして、本件解決をはかっておるわけでございますが、不幸にして現在まだこの解決がなされないことは遺憾と思っておりますが、今後もそれぞれそういった労働関係政府機関に協力をし、また、あるいは陸運局として本件解決に努力をされたいと、かように本省の方に申し述べておりまして、本省の方でもこの解決しないところの長期のストライキということは、公益に及ぼす影響が強いので、なるべく早期に解決をするように現地の方に話をし、またいろいろの、組合あるいは会社側に対しましてもこの解決について協力方を申し入れておる次第でございます。
  17. 小酒井義男

    小酒井義男君 監督局長、あそこは沿線の利用者というのは今の場合はどうしておりますか。
  18. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 現在沿線の利用者といいまして、別にたくさん入っておりませんで、たとえば然別湖でありますとか鹿追、あるいは終点でありますところの東瓜幕というようなところはだいぶ困っておるようでございます。はっきりいたさないのでございますが、温泉でありますとか、あるいは村がバスを借りて、どうしても必要な輸送をしておるというふうなことも聞いております。この辺の状態はどうも遠いところでございまして、本省でしかと把握いたしておりません。
  19. 小酒井義男

    小酒井義男君 やはり一番犠牲になるのは沿線の利用者だと思うのです。一つ監督官庁としても、できるだけ早く争議解決をするように関係の向きに一ついろいろな手を積極的にうんと打ってもらいたいと思うのです。先ほども局長もそういうことをやろう、こういう御答弁のようでありますから、その点を特に私の方からもお願いをしておきたいと思います。
  20. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 札幌陸運局も非常に本件に関しまして強い関心を持っておりまして、しばしば会社側に勧告をし、あるいは組合側にも、直接かどうかわかりませんが、解決の努力をしておるようでございます。私の方には今後とも早く解決するように努力をしたいというふうに申しておりますので、われわれの方もできるだけ早く解決するようにという話を申しております。で、現在、先ほど御説明いたしましたように地労委に入っております。陸運局といたしましてもこの地労委に協力をいたしまして、早期に解決をはかることが一番近道ではないかというような意見をわれわれの方からも申し送っておるわけでございます。
  21. 中村順造

    ○中村順造君 先ほど北海道と関西の調査の結果を報告されました。私は、その中で、この狩勝隧道、それから播但線生野隧道について、結論的にはこの調査報告によりますと、その後何ら改善されておらない。その乗務員の、御苦労にも機関車に乗っていただいたのですが、乗務員の苦痛たるやまさに言語に絶する。換気装置も何ら考慮されておらない。こういう報告がなされております。  この点につきまして国鉄当局に一、二お尋ねいたしますが、まあ従来の播但線事故から、その後の経過から見ましても、ただ重油の混焼だとか、あるいはマスクを貸与したとか、こういうことで一時的に今後事故が起らないようにという配慮がされておるようでありますが、私も若干専門的な正場から考えてみましても、私はそのことで必ずしも万全だとは考えておりません。隧道を大きくするとか、あるいはこの動力車の形なり、変った動力車を配置するとか、こういうことになりますなら、若干それらの点も緩和されると思いますが、今とられておる措置では私は必ずしも万全だとは考えておりませんが、この点について一つ国鉄当局の方からその後の、先ほどのお話でも全国各地で、狩勝あるいは生野隧道に限らず、危険と見られる隧道がある、こういうふうに当局自身もお認めになっておりますが、これらの点につきまして、やはり今とっておられるようにマスクを貸与するとか、あるいは重油の混焼で、一時的にそれでよろしい、こういうふうにお考えになっておるかどうか。さらに狩勝、播但だけではなくして、その他の隧道につきましては、乗務員の窒息事故、あるいは火傷等によって危険と目される隧道につきましては、具体的にどのような措置当局としてとられているかでどうか。それからもう一つの点は、これらの点につきましては、労働組合からも建設的な要求なり要望がなされていると思いますが、それらの取扱いについて当局はどのような取扱いをされているのかどうか。さしあたってこの二点だけ一つお答え願いたいと思います。
  22. 石原米彦

    説明員石原米彦君) ただいまの御質問にお答えいたします。お説のように、さいぜん私申しましたように、とりあえずとりました措置、たとえばマスクを配るとか、あるいは牽引車数を減らすとか、通風換気装置を作るとか、いろいろな手段を講じてはおります。また石炭は良質の石炭を使うとかいうような措置をとりあえず講じたのでありますが、これらが根本的な対策だとは私ども思っておりません。特に狩勝隧道のお話が出ましたが、これらはもう以前から非常に有名な難所になっておりまして、これらを蒸気運転を継続しておりますことは、職場環境といたしましても、また旅客サービスの点から申しましても、現代にふさわしいと申しますか、決してそういうことだとは思っておりません。前時代的な輸送方式が残っていると考えております。ただ隧道の大きさを、穴を大きくするということは、全国の隧道の数も、断面の狭い隧道もたくさんございますので、これを広げて参りますことは、実際問題といたしまして非常な金を食いまして、いわゆる労多くして功が少いと思っております。それから小型の機関車を入れればよろしいわけでありますが、実際に現在の蒸気機関車実情から申しますと、小型機関車が一番老朽になっておりまして、もう四十年もたった機関車を使ってやっている。小型機関車でなくて大型機関車の比較的大きいのは、電化によって浮いてきておりますが、小型の機関車は一番老朽なのを無理をして使っているという状態になっております。結局われわれといたしまして一番早道でもあるし、正道であるとも思っておりますのは電化、ディーゼル化を促進するということ、さいぜんも御要望がございましたが、これが一番早道でもあるし、正道であると思っております。すでに戦後、蒸気機関車は一台も作っておりませんし、先般動力近代化委員会というのを作りまして、その答申をいただきまして、蒸気機関車は今後作りませんで、蒸気機関車がくたびれてくるのに、それと速度を合せてできるだけ早く全国路線をディーゼル化、電化すべきであるという大方針をきめております。従いまして、予算の許す範囲においてできるだけああいう蒸気運転というものをやめていきたいということを私どもとしましても痛切に感じておりまして、根本策はそれ以外にないと思っております。従いまして、暫定措置は、とりあえず予想される危険を極力防止するという応急策としてとっておるわけであります。
  23. 中村順造

    ○中村順造君 今のお答えは、私の質問の前段のお答えには多少該当していると思いますが、後段の労働組合からこれに対していろいろな建設的な意見なり要望なりが出ていると思いますが、それについて当局はどういう取扱いをされるかということの間に対しましてはまだお答えがないようですが、吾孫子理事も来ておられるようですから……。
  24. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 労働組合からいろいろな意見が出ておったかと思います。そういう意見につきましては、それぞれしかるべき機会を通じて当局側と話し合いをしておるはずであります。
  25. 中村順造

    ○中村順造君 しかるべく手配をとってある、こういうようなお答えでございましたが、私もここで具体的にその問題を取り上げて申し上げるつもりじゃありませんが、いずれにいたしましても、私は、先ほどもお話がございましたように、播但線生野隧道の場合は回送列車でありましたからああいう被害の程度で、結局職員が殉職いたしましたけれども、結果的に見て、まだ当局がとられる手段は、あの事故だけをとらえてみましてもあったと私は思います。先ほど、同じ職員の間でありますから、私は言いたくないのですが、車種の問題につきましてもいろいろ当局で考えておるというようなお話も、報告もありましたが、結局、日常当局が言っておるように、ほんとうに輸送の業務を、職員とあるいは当局とが揮然一体となってやるという考え方があれば、私はこの事故は未然に防止された事故であったと思います。たとえ機関車乗務員が高熱のため窒息し、仮死の情勢になっても、今の規定からいえば、私は防げるような運転取扱いになっておると思いますが、その点にも遺憾な点があったと私は考えております。これは私が申し上げるまでもなく、国鉄当局としても内容を十分お考えになればわかることだと思いますが、これらの点を、先ほどの運転局長のお話もありましたが、まだ全国で多数のこの種の隧道がある、こういう前提に立ちますなら、もう少しこれは、ただ組合の言うことだからとか、あるいはいつかもお話もありましたように、ただ経営上の問題だとか、こういうことで片づけることなくして、ほんとうの建設的の意見はそのまま認めて入れる、具体的な措置をするということを私は要望いたしまして、この質問は打ち切ります。
  26. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ほかに御発言もなければ、派遣委員報告に関する件を終りといたします。   —————————————
  27. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に、日本国有鉄道の運営に関する件のうち、志免鉱業所に関する件を議題といたします。  去る七月十日の本委員会説明を願いましたが、以後の本件に関する経過について御説明を願います。
  28. 十河信二

    説明員(十河信二君) 今月七日おそく臨時調査団の青山団長から報告提出せられましたから、その報告について吾孫子理事から詳細に御報告申し上げたいと存じます。
  29. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) ただいま総裁から申し上げましたように、今月の七日夕刻でございますが、志免鉱業所の臨時炭量調査団の団長として青山秀三郎氏から調査団の調査結果についての報告提出せられました。その報告は皆様のお手元にただいまお配り申し上げた次第でございます。これをごらん願いますと、調査団の結論がわかるわけでございますが、この調査団の報告いかがしましょうか。少し良うございますが、一応読ましていただきましょうか。
  30. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) できれば要点だけにお願いしたいと思います。
  31. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) この調査団の報告書の前書にございますように、六月の二十四日から八月の七日に、至るまで慎重に検討を重ね、入坑踏査を含むあらゆる観点からの調査と、それに基く討議を尽しましたが、調査委嘱事項のすべてにわたっては意見の一致を得るに至りませんでした。しかしながら、既往において問題とせられていた諸点については、十分に掘り下げて検討いたしましたので、ここに審議の経過から得られた最終結論を取りまとめ、下記の通り報告することといたします。  なお、団員の意見が分れた点につきましては、主要な事柄について審議過程において述べられた主張の根拠と、これに対する反対意見の根拠とをあわせて報告し、御参考に供しますと、こういうことで「記」以下の御報告があったわけでございますが、この中で、おもな点をかいつまんで申し上げますと、第一の実収炭量は幾らであるかということにつきましては、その1にございますように、まず理論可採埋蔵炭量を算定するため、昭和三十年四月一日調査資料、志免鉱業所から福岡通産局へ提出した資料のことでありますが、これを基礎とし、JIS規格に基いて作図を行うことに全員の意見が一致した。この「別紙1」と書いてございますが、その別紙まではきょうはお配りしてございませんが、作図方針について意見がまとまったわけであります。  そこで、調査時点については、できるだけ現在に近い時点を選ぶことが適当であると考えたので、昭和三十四年四月一日をとることとし、調査団は同日現在の各炭層別炭層図を作成したと、これも膨大な図面でございますので、コッピーもございませんので、差し上げてはございませんが、調査団の全員が確認した炭層別炭層図というものが作製されたわけでございます。  これによって計算したところ、理論可採埋蔵炭量は昭和三十四年四月一日現在で千五百十二万三千トンとなった。これに対し、委員の一部から次のような意見が提出されたということで、イ、ロ、ハ、ニというような意見が出されたことは記録されておりますが、この点は団長から御報告をいただきました際に、ここに書いてあるイ、ロ、ハ、ニというような意見、これはまあ団員の中の少数意見であったわけでございますが、こういう意見が付記されておるけれども、この意味はどういう性格のものでございますかということを、団長の御報告をいただきました際に私から御質問を申し上げました。団員すべて御列席のところでそのことをお伺いいたしましたところ、それについていろいろお答えがあったわけでございますが、そのお答えにつきましては、別刷りで、志免鉱業所臨時炭量調査報告書受領の際の質疑応答という見出しの刷り物が一部入れてございますが、それに詳しく書いてございます。ただ、結論的にここの2のイ、ロ、ハ、ニというようなことが書いてあるけれども、この意見は、こういうような意見が論議の過程において出たということを記載したのであって、千五百十二万三千トンという理論可採埋蔵炭量の数字について影響を持つものではないという御説明がございました。それで、この理論可採埋蔵炭量の千五百十二万三千トンというものは、全員、団員一致で確認された数字であると、こういうことになったわけでございます。  それからそのただいまの同じページの3のところに、安全率と実収率とについては、全員の意見の一致を見るに至らなかったと、ただし、昭和三十年四月一日の調査資料は、切羽実収率をもってそのまま実収率としていたことが審議の過程において判明したが、これを直ちにJIS規格にいう実収率とみなすことが不適当であることが確認された。この点も報告を受領いたしました際に、念のためにお伺いいたしましたところ、青山団長が、この点は重要なポイントだ。切羽実収率とJISにいうところの実収率とを混同していたことが現地調査によって判明したのである、これは大きな収獲であったというふうに申されておりましたので申し添えておきます。  それから4のところに、実収炭量の算定については、意見甲は、—意見甲と申しますのは、これは青山団長以下前の青山委員会のメンバーであられた委員各位の御意見であります。この意見甲は、将来の掘採見込みを判定するのであるから、さきに述べた各炭層別炭層図の上に現在の志免鉱業所の出炭方式によってどのように切羽がつけられるであろうかということを作図し、その炭量から掘採率を求め、これを今後の掘採率を算定する参考にすべきであると出張した。これに対し、意見乙—これは国鉄労組側から推薦されて出てこられた正田教授以下三人の方の御意見でありますが、意見乙は、実収炭量の算定には過去の実績の検討を根拠とすべきであるという主張がなされたということで、実収炭量の算定方法についてそのような意見の対立があったということが書かれてあるわけでございます。それからまた別の意見うとして、そこに安全率、実収率というものについてどう見るかというようなことについていろいろ意見が出、またそれに対する反論があったということが書かれてございますが、それでは安全率、実収率という数値はどういうふうになったかと申しますと、結論だけ申しますと、実はこの調査報告にはそういう計数が一切入っておりませんので、この計数に実際に提出された別表あるいは別紙の数字を当てはめるとどういうことになるかということを御説明申し上げるために、もう一つ別の刷りもので「志免鉱業所臨時炭量調査報告について」、八月十日付日本国有鉄道と書いた刷りものが差し上げてございます。この刷りものの四ページを一つごらん願いたいと思います。  四ページのところに意見甲の算定方法、それから安全率、実収率というものが書いてございまして、そこに三十四年四月一日現在における実収炭量は七百四十八万五千トンであるということが書かれております。これが前に問題にされました、八百万トンと言われておった数字に見合う実収炭量でございます。なお、その内容につきまして、五ページのところに、前に志免鉱業所調査委員会で審議をされました際の結論との比較が書いてございます。それは参考までに申し上げます。  それから同じく実収炭量について意見乙の方は違った見方をいたしておりますので、その意見乙の方によると、どういう安全率、実収率になったかということは、ただいま申し上げましたつづりの六ページのところに意見乙(小数意見)として書いてございます。これはちょっと刷りものがミス・プリントのようなところがございますから、そこだけちょっとお断り申しておきますが、この意見乙として書いてございます中ほどのところに、「従って、過去の採掘跡の一区域について考えればその中に採掘できなくてとり残されている。炭柱の炭量を計って、」と、文章が繋がるところがその行が切れておりますので、これをちょっとお断りしておきます。これを差し引いた残りと採掘跡の全面積との比率を求めればこれが安全率であるというような文章が書かれております。このような意見乙の方の見方に従いますと、その七ページのところにございますように、安全率、実収率ともに非常に高い率がございます。これは意見乙の方の見方でございまして非常に高いところは安全率一〇五%あるいは実収率一〇六%というような数字もここに出されておりますが、まあ低いところもありますので、平均いたしまして、上下層平均の掘採率は八三%、この八三%の掘採率を前の千五百十二万三千トンに掛けますと、千二百五十五万二千トンになる。約千二百六十万トンが、これが意見乙でございます。これは前に問題にされました千二百万トンという意見に対応する計数がこれでございます。以上のようなことでございまして、実収炭量につきましてはこの千二百五十五万二千トンという数字と、意見甲の七百四十八万五千トンという数字と、両方がここに出たわけでございます。  それから出炭見込みにつきましては、この報告の第2のところに書いてございますが、調査事項につけられた四条件については、現状のままで推移したらいかになるかという趣旨であるとして、これに従って作業した。しかしながら、調査団としては基本的に意見が対立し、調整することが不可能であるので、二つの調査報告提出する。両案に共通である点は、在籍労務者数は三十四年五月現在員を減耗補充により保持することとした、という点だけが共通であって、それ以外の点については全然意見が違う、こういうことになったわけでございます。これで、それでは結論がどうなったかということは、ここには数字は一切書いてございませんので、これも調査団から提出されました資料に基いて国鉄当局で数字を出してみたものが、この調査報告についてという刷りものの十ページから十一ページのところに書いてございます。これでごらん願いますというと、意見甲の出炭見込、これが坑内の状況が逐年悪化するであろうということを勘定に入れての出炭見込みでございますが、それによりますと、昭和三十四年が三十三万七千六百トン、以下逐年漸減いたしまして昭和三十八年には二十四万トンになるであろう、こういう見込みでございます。なお御参考までに申し上げておきますが、昭和三十四年度の上半期の実績見込みから見ますというと、いろいろな事情も手伝っておりますが、これよりも実績見込みはさらに下回るであろうというように思われます。それから意見乙の方の出炭見込みの方は、これは現状は悪化しないという前提に立って出炭量はコンスタントに維持される見込みだ、こういうことでございますので、昭和三十四年度については従前の計画でありました四十六万四千七百四十トンというものが出るが、以後大体四十六万程度でコンスタントに出炭が継続できるのである、こういう結論になっております。  そういうことでございまして、今度の調査団の御報告は、団長もそういうふうにおっしゃっておられましたが、できればもう少し計数をはっきり入れた答申にしたがったけれども、いろいろ各委員の意見の一致を見るということがむずかしかった事情もあるので、主として異なった意見の考え方を明らかにするという趣旨でこの報告書をお出しするということにしました。数字がどうなるかということは、いろいろ添付した資料があるのであるから、それを見てもらえばすぐわかるはずである。計算すれば出るはずである。こういうお言葉でございましたので、その数字によって国鉄当局が計算してみたものが、御報告申し上げたような計数でございます。  なお、お手元調査団員の名簿、これはもうさいぜん御承知のことでございますが、念のために名簿、それからこの臨時調査団を編成する前に国鉄当局と労組との間で申し合せをいたしました事項の内容だけを御参考までに入れてございます。  以上、簡単でございますが、概要の御報告といたします。
  32. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ただいまの御説明に対し、御質疑のある方は順次御発言願います。
  33. 相澤重明

    相澤重明君 今説明を聞きましたので、私ども十分検討したいと思いますが、先ほど委員長が申されましたような日程もありますし、来月もありますから、それまでに私ども十分検討して、委員会でまたいろいろお尋ねをしたいと思います。
  34. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ほかに御発言もなければ、本件については本日はこの程度にとどめます。   —————————————
  35. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に、航空行政に関する件を議題といたします。  先般わが国に移管されました航空管制業務に関してその説明を求めます。
  36. 辻章男

    説明員(辻章男君) 御説明申し上げます。  長年懸案でございました航空交通管制の本部の業務を含みまして全面的な移管が日米双方の合意によりまして去る七月一日をもって行われた次第でございます。  航空交通管制業務の内容とはどういうことかということでございますが、これは一言にして言えば空の交通の取締りでございます。たとえば航空機相互間の衝突の防止でありますとか、航空機と他の障害物との衝突の防止、それから航空機の秩序正しい航行を促進し、維持する、及び航空機の安全かつ敏速な航行に必要な助言情報を提供しまして機長を援助する、それからまた捜索、救難援助を必要とする航空機に関しまして情報を関係機関通報してこれを援助する。これらの業務は航空法に定められておるわけでございまして運輸大臣の指定した空域において行われるものでございます。こういう仕事は計器飛行の発達によりまして発生し、発展したものでございまして、天気のよいときには、操縦士が自分の目で外界のものを見て風向、風速を計算して進路を定めていくことができるのでございますが、天候が悪い場合には、自分の目によらずに、機械によりまして、航行の援助施設によりまして飛行をやっていく、そういうために起ったものでございます。  それで、この航空交通管制業務は、大別いたしまして、航空路の管制業務、それから進入管制業務、進入管制業務と申しますのは、離陸直後あるいは着陸前の飛行機の進入に関しまする管制の業務でございまして、飛行場周辺の一定の空域において行われるものでございます。それから最後に飛行場管制、これは飛行場におきまして、まあレーダー等によります着陸の誘導業務等がこれに属するわけでございます。大体この三つに分れるわけでございまして、従来飛行場の管制でございますとか、あるいは進入管制の業務につきましては、個々的に逐次日米で、意見の一致しましたものから日本がやっておったわけでございますが、この航空交通管制の本部、これは入間川にあるのでございますが、これの移管につきまして、先ほど申し上げたように、七月一日に移管されたようなことでございまして、これによりましてわが国の交通管制が全面的に自主的な運営態勢にきたということでございます。  なお従来は、多少前後いたしますが、行政協定に基きまして、在日米軍に委任して最近に登った次第でございます。手続といたしましては、航空交通管制に関する取りきめの改正という形で航空分科委員会及び行政協定によりまする合同委員会において決定されまして、日本側に移管された次第でございます。わが方といたしましては、航空交通管制本部を設置いたしまして、これによりまして七月一日より全面的にわが方の運輸省職員によりまして運営して参っております。  以上はなはだ簡単でございますが一応報告申し上げます。
  37. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ただいまの説明に対し御質疑がございましたら、順次御発言を願います。
  38. 相澤重明

    相澤重明君 いかがですか。これ来月現地調査をしていろいろまた説明をしていただくということで、きょうは私、この程度でけっこうだと思うのです。
  39. 江藤智

    ○江藤智君 一言航空に関連いたしまして、ちょうど大臣も見えておりますし、私ちょうど総理のお供をいたしまして昨日帰ってきたのであります。国際航空という問題につきまして、非常に一つの新しい感じを持って帰ったばかりでございます。ちょっとそのことについて大臣にお尋ねいたし、またきょうでなくてもけっこうでございますが……。おそらくそういうふうに努力しておられると、従来の大臣も努力しておられたと思いますが、ということは、今度私ども主として欧州とソ連圏に入って参りました。航空機が非常に発達しております。たとえばソ連のモスクワの飛行場に参りますというと、大部分の飛行機がジェット飛行機である。これは自由主義国家群とは非常に違った感じを持っておりまして、御承知のようにソ連ではTUのジェット旅客機が非常にふえておる。一年前くらいまでは一台くらいしがなかったのですけれども、今はモスクワの飛行場は大分部がジェットの旅客機でございます。各国とも非常に急速にジェット化をしつつあります。日本でももちろん日航その他ジェット旅客時代の態勢を整えておることは事実でございますが、この点について一つ大臣は十分考えていただきたいことが一つ。  それからいま一点は、昔は船というものがその国の延長のようにして、外国の方におりまして、自分の国の船が来るというと、ちょうど自分の国がそこにきたような印象を与えたものでございますけれども、今度回ってみますというと、自分の国の飛行機あるいは自分の親しい感じをもっている飛行機が、その空港にきておるということは非常に何と申しますか、心強いといいますか、やはりそれだけ旅行もしやすくなることは申すまでもない。ところが共産圏、いわゆる東欧諸国の国に入りますと、これは飛行機はもちろんソ連の飛行機でありますが、飛行条件が非常に違ってきております。まあ旅行には割合なれているけれども、いわゆる東欧共産圏に入って飛行機に乗るということは、実におっくうな感じを受けたのです。その設備、あるいは言葉その他の点におきましても、非常に心細い感じを受けた。ところが実際問題として、プラーグあるいはモスクワには相当SASあるいはBEAその他の西欧諸国の飛行機が入ってきておる。たまたまわれわれは、それに乗る時間がなかった。ダイヤの関係で東欧の飛行機に乗ったということになっておりますが、これについても、モスクワにも相当西欧の飛行機が乗り入れてある以上、私の希望としては日航も、羽田にたくさんの外国の飛行機が入ってきている以上は、もっとルートを延ばす必要があるのではないか。これは従来からも、交換条件になっておるので、そういうあれもあるのでございましょう。残念ながら、飛行機数が足らないとか、乗務員の養成が足らないとかということで、これは実現されておらないのでありますけれども、日航も、少くともアメリカ方面だけでなく、一つヨーロッパ方面にも、日本の航空路が開かる時期じゃないか。  これがもう、かりにモスクワ空港、あるいはプラーグ、ワルソーというような空港に、あるいはもっと手近かなところではコペンハーゲンにすら、JALの飛行機が行っておったならば、これは日本の外国に対する近親感というものが非常に増進されるのじゃないかということが、私の今度の旅行で受けた一つの強い印象なんですが、たまたまそういう飛行機についてのお話がございましたので、これについてぜひ大臣に十分御考慮を願いたい。またそれについて御意見があれば、この際お聞かせ願いたい。突然でございましたが……。
  40. 楢橋渡

    ○国務大臣(楢橋渡君) ごもっともな御指摘でありまして、日本の航空事業というものは戦後マッカーサーの占領後になしくずし的にできて、根本的な世界の情勢にマッチするような航空対策というものができておらないというふうに私はみておるのですが、従いまして航空が今おっしゃいましたような世界的な大きな文化あるいは経済の交流に役立つ、その国の象徴であるというようなことはおっしゃる通りでありますので、来年の秋までにはコペンハーゲンまではぜひとも延ばしたいと考えております。  一方国際航空を強化すると同時に、国内の航空整備といいますか、そういうことをやはり強化していくという内陸方面も、できるだけやはり航空網を充実したいということで、いろいろ考えておるのでございます。
  41. 江藤智

    ○江藤智君 この問題についてはいずれ一つ……。
  42. 天埜良吉

    天埜良吉君 相澤委員と一緒に、千歳飛行場へ参りました。ところが飛行場が返還されたというのでありますが、入口でチェックをするのです。いろいろ聞いてみますと、未返還区域の中を通るというようなことになっているそうですが、これは通路のところは返還をしてもらって、別に返還区域を限るという方法もありましょうし、あるいはまた入口は別の返還区域の方へつけるというような方法もあるかというようなふうに考えましたが、これは千歳飛行場に限らず、方々にあるのではないかというような気もしますので、御参考までに申し上げて、ああいうふうなことのないようなふうに御尽力を願いたいと思います。
  43. 辻章男

    説明員(辻章男君) 今の千歳の問題につきまして、簡単にお答え申し上げます。  千歳の飛行場が返還になったのでございますが、御指摘のように一々検問所を通過しなければならず、非常な不便不愉快を一般の乗客に与えておるわけでございますが、実は全面的な返還ではございませんで、なお米軍の建物地域が残っておる関係上、ああいうことをやっておりますので、私どもの方といたしましては、あそこに、通路にさくを設けて、その米軍地域あたりには、人が入れないようにして、あの通路を行政財産として返還してくれないかという交渉を実はしたのでございますが、米軍の方の了解を得るところとなりませんで、なおまた、それじゃ迂回道路ということも考えたのでございますが、ああいうふうに、非常にあの辺は建物が密集しておりまして、それもできないような状態でございますが、なお将来も、引き続き一般乗客の便宜のために、ただいま申しましたような線で、なお交渉を進めていきたい、かように考えております。
  44. 大倉精一

    ○大倉精一君 ちょっと関連して参考のために聞いておきたいのですけれども、航空管制について運輸省と航空自衛隊、それから駐留軍の航空隊ですね、これとの関係は、どういうような関係になっておるか、われわれしろうとにわかるように御説明願いたいと思います。
  45. 辻章男

    説明員(辻章男君) これは、まず米軍との問題でございますが、これは先ほど申し上げました行政協定によりまして、日本側に返還されました施設につきましては、全面的にやれるわけでございます。ただし米軍の方で留保しておるものにつきましては、米軍の方がやっております。これは先ほど申し上げましたような飛行場、個々の飛行場につきましては、米軍がやっておりますものと、日本側がやっておりますものと、二本建になるわけであります。ところが、航空管制本部の方が移管になりましたので、その二本の、全体のコントロールするものは、日本側がやっておるわけでございます。それじゃ日本側に返りました飛行場の管制の問題につきましては、自衛隊と航空局との間にはどういうことになっておるかという点でございますが、これは航空自衛隊が専用をしておる飛行場につきましては、航空自衛隊が事務の処理に当っております。  千歳でございますとか、たとえば名古屋の小牧というふうな、そういう、両方とも使っていくというふうなものにつきましては、航空局の方と自衛隊の方と話し合いまして逐次その分野をきめていきたい、かように考えております。
  46. 大倉精一

    ○大倉精一君 そうしますと、共同使用の部分については、航空自衛隊との関係は、まだ規定していない、はっきりしていないというわけですか。
  47. 辻章男

    説明員(辻章男君) 一応現在の建前は、航空交通管制は運輸大臣が一元的にやるということが航空法に書かれておりますので、私どもの方から人を派遣いたしまして、航空自衛隊の職員と一緒に実は運営しております。  けれども、今後そういうやり方を、どういうふうに調整していくかということにつきましては、なお話し合っていこうということでございまして、現在の姿におきましては、共用しておりますような飛行場につきましては、運輸大臣の一元的なもとに置かれております。
  48. 大倉精一

    ○大倉精一君 どうも、主体がどちらにあるかわからんような格好なんですけれども、そういう場合に主管は運輸大臣にありますけれども、やはり何といいますか、ウエートは航空自衛隊の方に持っていかれておるのではないか。昔なら軍でありますけれども、軍の要請が優先するのではないかとわれわれは懸念するのですけれども、そういうことについては、どうですか。
  49. 辻章男

    説明員(辻章男君) これは、事の要請が優先するということはないのでございますが、ただ、その飛行場を使います、離着陸いたします飛行機の数が、とちらが非常に多いか。また、それがいわゆる国内航空におきまする幹線のルートであるかどうか、そういうふうな点を考慮いたしまして、自衛隊の方と話し合っていきたい、かように考えております。
  50. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは運輸大臣、やはり所管があなたの方で、共用部面ばかりでなくて、日本の航空管制については、やはり運輸省としての主体性を確立するために、はっきりすべきではないかと思うのですが、大臣のお考えをお伺いいたします。
  51. 楢橋渡

    ○国務大臣(楢橋渡君) 御指摘の通りでありまして、法にも、そういうものがありますから、できるだけ明確にしたいと思います。
  52. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ほかに御発言もなければ本件は、この程度にとどめます。   —————————————
  53. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に、自動車行政に関する件を議題といたします。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  54. 大倉精一

    ○大倉精一君 運輸大臣にお尋ねするのですけれども、この前の委員会のときに、最近ハイヤー、タクシーの労働問題について暴力団の介入をしておるという現象について、私ども非常に憂慮しておるのですけれども、先般の委員会におきましては、現在発生しておるところの暴力団の介入という現象について、運輸大臣として善処をしていただきたい、こういうことで運輸大臣も善処するという御発言があったのでありますけれども、その後、たとえばメトロ・タクシーの暴力関係については、どういう工合になっておるのかお伺いいたしたいと思います。
  55. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) その後、メト口・タクシーの状況につきましても把握すべく、十分東京陸運局長に申しまして連絡をとっておるのでございますが、同時に円満なる解決の方向に持っていけるように努力するように指導しておりますのでありますが、まあその後の模様といたしましては、非常に積極的な変化というものが、現在のところまで出ておりませんので、今後、十分に指導していきたいと思っております。
  56. 大倉精一

    ○大倉精一君 横浜の滝野川その他の暴力問題は、逐次解決に向っておるようで、非常にけっこうだと思うのでありますけれども、今の御答弁によりますというと、その後、変化が出ていないという答弁でありますけれども、私のこの前の要望は、変化を生ずるように努力をしてくれ、こういうことであったのでありますが、でありますから、これは監督官庁として黙って放っておけば、変化は出ないということになりますけれども、まあどういう工合に、その後の措置をされていったか。つまり監督官庁として主導権をにぎって積極的に対処せいという工合に言っておいたのでありますけれども、そういう点についての経過を一つ御説明願いたいと思います。
  57. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) ただいままでの状況といたしましては、ナンバーを取りはずした車両数の問題がございますが、この問題につきまして、合計車両数といたしまして七十四両のナンバーの取りはずしが行われたわけでございますが、このナンバー・プレートを取りはずしました件につきましては、原宿警察署が道路運送車両法違反として、七月三十一日に地検に送致いたしました。また神奈川の営業所の分もあるわけでありますが、神奈川の営業所の分につきましては、神奈川警察署が、会社の暴力事件とともに地検に、七月の初旬ごろ送致したということでありまして、現在はナンバー・プレートの取りはずしにつきまして、地検の方の措置をなされた。まあこれについて陸運局としても打ち合せをしておる、こういう状態でございます。
  58. 大倉精一

    ○大倉精一君 地検の関係関係としまして、監督官庁としては、ああいう公益事業の一日も早く事業活動を開始させるという役目があるんじゃないかと思う。それにはやはり経営者なら経営者の方に監督官庁として応分の働きかけをして、そうして円満に事業の遂行を早くできるようにめんどうを見てやるという、こういう親切気が私は必要だと思うのです。  ことに、この暴力団あたりが介入したり、こういうような状態になりますというと、たとえば大組合や大企業では、みずからこういうものを処理する能力があるのですが、とにかくああいうふうな組合は、自分で能力がないわけです。だからして監督官庁としても、この前も要望として申し上げたように、積極的に、早く公益事業を開始するように努力をしなければならぬ。こういうことを要望しておいたんですけれども、どうも、そういう動きが見当らない。非常に残念に思うんですけれども、どういう工合な方針でおられるのか、さらに積極的に取り計らいをする必要があると思うのですが、お考えを聞きたいと思います。
  59. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) まあ公益事業として、できるだけ早く再開をさせなければいけないということ、これはその方向で考えて、東京陸運局からも指導させておりますが、実績が上らないでおりますことは遺憾でありますが、今後も、経営者等も招致いたしまして、その方向にせっかく解決いたしますように、尽力いたしたいと思っております。
  60. 大倉精一

    ○大倉精一君 この問題は、先般大臣にもお願いをしておいたんですけれども、大臣とされましても、さらに積極的に、この暴力事態を早期に解決するように御努力を願いたいと思うのですけれども、大臣、御所見を願いたいと思います。
  61. 楢橋渡

    ○国務大臣(楢橋渡君) 大倉委員の御指摘、ごもっともでありまして、直ちに一つ陸運局に命じまして、善処させますから、御了承願いたいと思います。
  62. 大倉精一

    ○大倉精一君 陸運局に命ずるのもけっこうですけれども、これは非常に社会問題になっておりますので、大臣みずからも、一つ御努力を願いたいと同時に、やはり陸運行政について、監督官庁は一つの確固たる方針を持って、きぜんたるものを持ってもらわないというと、運輸事業というものは、非常にむずかしくなってくるのではないかと思う。  最近の新聞等見ておりましても、交通事故は毎日々々、どんどんと増加をしております。政府におきましても、内閣におきましても、交通事故防止対策特別委員会というものをお作りになっておるはずなんですけれども、にもかかわらず交通事故というものは、どんどんどんどんふえてくる。これは、どこに原因があるか。これは私は、やはり根本的には陸運行政、運輸行政というものの一つのきぜんたる方針がないからじゃないか、という工合にも感じられるわけなんです。でありますからして、こういうような問題につきましても一つ、はっきりとして、大切な陸運行政をしっかり確立をするように御努力を願いたいということを要望しておきます。
  63. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 関連して。今、大倉委員の言われたことで、大体尽きるんだが、答弁を聞いておると、やはり下から上ってきた報告を答弁にかえておるという形だね。もう少し積極的にこの問題はして、大臣は、陸運局を通じてやらせるという、私はこれでやらしてもらえばけっこうだが、そういう意味で、はっきりとこの問題は、こうしなければならんということでいかんと、委員会のときには、考えて十分慎重にやりますといって返事をして、次になると、今度は下から上ってきた報告を、またここに報告をしてもらうということでは、一向進まんということが、従来ままあるケースですから、せっかく楢橋運輸大臣が新しく就任され、新しい機構で進むように考えられ、われわれの方でも期待しているところですから、どうかこまかいことを言わずにぜひ解決していただきたい、ということを私も要望しておきます。
  64. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ただいま野溝君から委員外の発言を求められましたが、これを許可するに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 野溝君。
  66. 野溝勝

    委員外議員(野溝勝君) 委員外の質問をお許し願いましてありがとうございます。今も重盛、大倉両委員からもお話のありましたごとく、最近における運輸行政がややもすると私は混乱をしているように見受けるのでございます。特に最近における運輸上の事故の多いことは、それを物語るものだと思うのでございますが、それにつきまして特に今議題となっております自動車行政の面についてお伺いしたいと思います。  特に自動車行政につきましては、先般七月十日に運送協議会がありまして、その自動車運送協議会の答申があったわけであります。その答申の中で特に問題になったのは、多くの意見が出たのでございますが、議題外のことであるということで、陸運局に一任するということでけりのついた問題でございます。と申しますのは、個人営業の許可等の問題に関する意見であったと思います。そこで世論においても各新聞社がこれを取り上げて問題にしているのでございますし、当然運輸行政をあずかっている大臣その他関係当局においても、十分了承されていると思うのであります。またそれぞれの関係団体からも強くその要請が行われたわけであります。それらについてこれは一応運輸省に一任されてあるのでございますが、それに対してどういう一体処置をとろうとしておりますか、この際一つ具体的に御所見をお伺いしたいと思います。  特に大臣におきましては、就任早々から朝日新聞の論調の中にもありましたごとく、問題点でありました個人営業の問題については非常に熱意を示されておった。さらに九州において、大阪において、北海道においてもそうした意見が終始一貫出ているようなわけでございます。こういう問題について、きょうは自動車局長もおられますし大臣もおられますので、一つこの間の事情をお承わりをしたいと存じます。
  67. 楢橋渡

    ○国務大臣(楢橋渡君) ただいま野溝委員からのお話は、私実は最近の運転手の人々の夢を実現するといいますか、非常にまじめにやっているような人たちには、できるだけ一つその個人の営業を許すような方針をとったらどうか、また国家目的のために犠牲になったような人々、たとえば駐留軍においてのああいうふうな転職されたような人々に対して、閣議決定等もありますから、こういう人々に優先的にやったらどうか。今神風タクシーとかいろいろ問題がありますが、一面から言えば事故防止というような大きな観点からいっても、一つ取り上げるべき問題ではないかというので、タクシーの個人の営業について、近々私もその方針をはっきりしたいと実は思っているのであります。  いろいろこの問題について議論が非常にありまして、ただいまも衆議院の運輸委員会において、私は意外に思ったのですが非常な反対を受けました、けしからぬというような反対を受けた。いろいろ議論があったのでありますが、世間の一般の世論から申し上げましても、既存業者が今のような労務管理状態、ことに非常に特権的な立場に立っておる、しかも需要と供給とのアンバランスからくる非常な既存業者の地位の強化といいますか、そのもとに働いている労務者といいますか、運転手諸君の実情等を私も多少たりともいろいろ調査して知っておりますので、どうしてもここにやはり新しい一つ風を吹き込む必要があるということを考えて、事務当局にも、個人タクシーの許可について彼我の得失をよく研究して、僕の考えはこういう考え方を持っているのだから、その線に沿った考え方をまとめてもらいたいということをやっておる段階でございまして、まあ詳しいことは一つ自動車局長からお話しいたさせますが、そういう方針でやっておりますから御了承願いたい。
  68. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 個人営業の問題につきましては、大臣からもいろいろと伺いまして、その利点及び欠点について検討を加えております。これらがまとまりました上は、できるだけ早くその方針を打ち出していただきたいと思って、鋭意現在検討中でございます。
  69. 野溝勝

    委員外議員(野溝勝君) 私は、せっかくこの問題が今大きな問題となっておりますし、特に憲法上も関係がございまして非常な物議を起し、司法当局並びに警視庁方面からもこの事件に対する見解が雑誌、新聞その他にも出ておるようでございます。ことに立法府にありましてわれわれといたしましては、かようなことに対して法の精神を誤まらぬように考えなければならぬと思います。特に運輸大臣におきましてはすでに法律家でございますし、憲法と法律の関係などもよく御存じだと思うのでございます。さらには私どもは、法律の中にも、今でも保守的の人の作った法律、すなわちあくまでも資本主義を守らんとするような法律もあるのでございます。こういうのに対しましては、民主時代の今日、立法府におきましては新しい進歩性にこれをかえる努力をしなければならぬと思っています。  さような見地から特に法律家でございまする運輸大臣に希望を述べておきたいことは、まず憲法第十四条における権利、義務の問題でございます。さらには十八条における奴隷的拘束を受けないというこの点でございます。さらに二十二条における公共の福祉に反せざる限り居住権の自由、職業選択の自由、こういうものが厳然として憲法に規定されております。この精神を受けて私はやはりこの立法の精神もこれに基いてやらなければならぬと思っております。そのときに当りまして、この道路運送法でございますが、この道路運送法につきまして特に考えさせられる点は、これが公共事業として扱われております、しかし、なるほど公共事業かもしれませんけれども、私は公共事業であればあるだけ、この目的に沿わなければならぬと思うのであります。しかるに今日、多くの交通事故を起している際に、また近い機会にオリンピック開催を決定されている際に、今のような問題を急に思いついたからといって私は解決のできるものじゃないと思うのでございます。こういうような点についていろいろと御意見もある、よって慎重に今検討されている、—私はきょうは掘り下げてここで御質問いたしたいとは思いませんけれども、ただ慎重にというだけで時期をおくらせればおくらすだけ混乱の度合いが起ってくると思うのです。で、申し上げておきますが、私どもは白ナンバーとか、神風タクシーとか、そういうものを賛成しておるのじゃないのですよ。そういうものがどうしてできるかという問題なのです。あるいは共済組合ができるかということ、このよってもって起るところの原因を私は大臣、局長等が十分検討されて、そうしてこれに一つ十分なる総合的な意見をまとめまして善処してもらいたい、というのがわれわれの希望なんでございます。  そこで、きょうは一々一問一答をするのじゃございませんが、さらに私申し上げておきたいことは、公共事業だというのに御承知のごとく大和交通株式会社の利益はどうなんです。日本交通の利益はどうなんです。最近ますます膨大なる利益が獲得されておるではございませんか。しかるに今のメトロ問題は依然として労働者の経済問題を解決しようとしない。私は一つの例でございますが、これは大きな会社でございますが、とにかく大和交通のごときは、三十年三月においては半期三千七百数十万円、三十三年度におきましては九月までの半期だけで七千八百四十六万円、三十四年の四月までの半期だけで八千七百七十一万円、これは資本金が二億五千万円の会社です。さらに日本交通におきましては、台数八百九十台、資本金が一億円でございます。にかかわらず三十年五月の半期の利益は三千四百一万円、三十四年の五月ですが、この五月までの半期だけの利益が、その当時と比較いたしまするというと三倍にも四倍にもなっている。いわゆる一億二千五百十八万円になっている。これは営業成績でございますから間違いないと思います。私は会社が利益を得ることはいいと思います。別に私は反対するものじゃございません。しかし、それは労働者のノルマ強化の上に立っての利益である。今まで自動車の車台数を、人民が迷惑であっても顧みず、少数の車両に食いとめんとする今までの陰謀なんです。先日の自動車運輸協議会におきましても、業者は一千台で食いとめようとしている。それで審議会の心ある人々は、この交通地獄を憂えて努力しました結果、二千八百台に、自動車の数はおさまったのでありまするけれども、こういう点のいきさつについては、もう自動車局長、運輸大臣ともに御了承だと思いますから、これ以上申し上げません。ただ私どもは、かような憲法に保障されておるところの基本的人権の問題、職業選択の自由の問題について、かような特定の個人的利潤の追求のみを許しておいて、個人の許可を許さぬということになりますならば、勢い生活に困る諸君は、免許を持っておって、生きなければなりませんから、共済組合とか白タクシーという形においておもしろくないことではありますけれども、出てくるのではないかと思うのです。特に私は大臣に申し上げますけれども、外国をすでに御承知の大臣は、どこでもみんな許しておるではございませんか。特に五十才以上の方々は会社からはほとんど雇用関係を打ち切られます。その際に一体どこに職を求めようといたしましても、日本のような底の浅い経済の事情のもとにおいてはなかなか職場がございません。こういうようなときには私は個人営業を許してそれで個人営業といいましても、みんなに全部免許を持っているから許すというのではなくして、それにはおのずと限界を行政者が考えて、それらの諸君と相談し合って案を立てられることはけっこうだと思うのです。ですからそういう意味におきましても、外国の自動車運転手の方々は、重いノルマで事故を起すよりは、私どもは最小限度の収入で、最低限度の生活をやって、事故を起さぬように福利民福をはかって努力しております、ということをみな言っておるのでございます。どうかそういう点においては、たとえば個人の人々の間には、事故を起した場合に対するところのあるいは負担の問題であるとか、あるいはそれらの諸君の中には非常におもしろからざる人もあるとかいろいろありましょうが、私は行政者といたしましては、やはり個人の基本的職業の選択の自由という立場に立って、その点に対する注意を行政者に促して、一つこの問題の解決に積極的に乗り出してもらいたいと思います。特に本日の朝日新聞の八面にあります通り大きな見出しで、「タクシーの個人営業、巧妙な?反対の動き、業者がリスト配る、申請者の”違反”事実のせ」という、これは一つ私は委員長の了解を得まして、ここで朗読いたしませんが、委員の参考のために記録にとどめておくことを御了承願いたい。従って、そういう点に対する私は一問一答の形ではございませんが、切実に今日の自動車運転手の諸君が血みどろな要求をいたしておる。これに対して最後に大臣の御所見と、特に御決意を一つ承わりたい。
  70. 楢橋渡

    ○国務大臣(楢橋渡君) ただいま野溝委員から実に心打たれる話がありまして、私もその点は同感でありまして、今御指摘になりましたような会社も、タクシーには私、大臣になる前からよく乗りまして、いつでも運転手にどういう勤務状態であるか、どういう収入で、どういう運命になっていくかということを聞いて私はひそかに義憤を感じておった一人でありますが、不思議な縁で運輸大臣になりましてからこの問題に実は取り組むことになったんですが、ちょうど御指摘になりますように、熊本へ参りましたら白タクシーがほとんど四〇%以上あるというので、私は驚いてしまった。白ナンバータクシーというものは当然法の秩序から取り締らなければならぬ。そこで陸連事務所長に言ったのは、一体白ナンバータクシーが四〇%も出るというそのよって来たる原因というものを、よほど深く掘り下げなければこの問題の根本的な解決はできないんだ、ということを実は申したんですが、今度個人のタクシーの問題について、最初申し上げましたような私の考えで運輸当局に指示しておりますけれども、野溝さんも御承知と思いますが、あらゆる方面から非常な反対が起きて現に私は今衆議院の運輸委員会で、この問題について非常な反対もあるというような状態でありますが、しかし私の考えといたしましては、やはり既存の業者が非常な特権的な立場に立って、今労務管理及び膨大な利益を上げておって、そういうことが打破されるということ、言いかえれば、打破されてここに新風を吹き込むというのには、今度はやはり絶好の機会ですから、二千八百台を中心としてそういう一つの大きな転換をさしたらいいじゃないか、ということを強く指示しておりまして、いずれ私が近々その方針を発表いたしますと同時に、一方においては、おっしゃいましたような白ナンバー・タクシーその他共済組合というようなものの、法を乱すものは取り締る。しかし一方においてはそういうけじめをきちっとつけるということをさせたいと思いますから、どうぞ御了承を願います。
  71. 大倉精一

    ○大倉精一君 この問題は、非常にこれはむずかしい問題だと思います。それで大臣はまだ就任なすって間がありませんから、今日のこの事態を招いたことについては、これは大臣の責任では私はないと思う。私はやはりトラックあるいはハイヤー、タクシーという部門から出ておりますので、従来この種の事業におきましては、自動車というきわめて先端を行く近代的なものを使いながら、その従業員は最も前時代的なもとに置かれている。この矛盾に対して今まで微力を尽してきたわけでありますけれども、果してこういうような前時代的な条件のもとに呻吟をしているタクシーあるいはトラック労働者に対して、どういう工合な施策をしたならば一番適切であるか、ということを慎重に一つ考えてもらいたいと思う。いわゆるこれは総合的なものでありまして、一部的な見解によってやられると、非常にこれは重大な問題が出てくるのではないかと思っております。特に先ほど大臣が所見を述べられました中に、これは非常に重大な問題だと思うんですけれども、既存業者の特権的な状態という御発言がありましたけれども、特権的なものがあるとするならばこれは行政面において直していけば私はいいと思う。ですからしてそういうものを今まで放置しておいて、いよいよそういう面から、だから白ナンバーが悪いじゃないかというこういう議論は、これはやはり問題があるのではないかと思います。  それからもう一つは、従業員の労働条件につきましては、私はかねがね事故防止の見地から、ハイヤー、タクシー並びにトラックの従業員の労働条件が、事故防止上一番大きな要素であるから、この労働条件については監督官庁として格段の関心を払うべきである。こういう工合に再三にわたって申し上げてきたのでございます。これに対してややもすれば、労働条件は私の管轄ではございません、こう言ってのがれておった傾向が非常にあるのでございます。ところがこの前小委員会を作っていろいろ検討した結果、やはりこの問題については監督官庁としても今後めんどうを見ていく、こういうような意向だったと思います。特にこの委員会におきまして、この小委員会の一つの結論としてハイヤー、タクシーの運転手の給与の問題をいわゆる固定給を主体とする給与体系を確立すべきである、こういう結論を出していたわけです。これに対して一体当局はどういうような行政指導をしたか。私はそのほとんど行政指導したらしいものを見たことがありません。たまたま大阪陸運局で固定給の六〇%を業者に勧告したようですが、これも勧告しっぱなしでほとんど何の権威もない。こういう意味で今野溝さんのおっしゃったように、白タクとか個人営業の問題が出てくる根源というものを徹底的にこの際追及して、かつその根源を直す必要があるのではないか。特に一九五二年のジェノアにおけるところのILO内陸運輸委員会の決議がある。それは路面運送の面においてはこれは労働者の犠牲において不当競争を行う公算が非常に大きい状態だから、これを免許並びに許可する国においては、免許、許可の条件の中に労働条件を入れろ、こういうような決議があるのであります。そういうような決議も私は再三にわたって当局にこの委員会において申し上げておるのでありますけれども、これにつきましても一向に熱意を示していない。委員会における答弁はその場限りの答弁をしますけれどもそういう熱意を示していない。こういうところから、先ほども私が言ったように、非常に放漫な陸運行政から今日のような事態を招いておると思う。でありますから、私はここで今こうだ、ああだ言いませんけれども、これは一つ慎重に運輸大臣、十分にその間のよってきたるゆえんというものを御検討願って、将来悔いを残さないようにお願したいと思う。特に交通関係は品物の売買と違いまして、安かろう悪かろうではいけないと思う。交通運輸関係の行政の第一番は安全だと思う。いわゆる野放図な無責任な運輸行政によって自動車が町を走る兇器になっては大へんだと思う。そういうことがないように、これはぜひとも慎重な態度で臨んでもらいたいと思います。特に共済組合とかあるいは白ナンバー、個人営業とかありますけれども、そういう問題につきましても十分に一つ御検討願いたいと思う。  それから改めて私はここで強く一つ要請するのですけれども、もう一段、運輸部門、陸運部門、港湾関係も含めて、この労働条件については特に監督官庁として積極的な関心を持ち、指導をしてもらいたいと思う。たとえばタクシー会社がナンバー・プレートを百五十万円とか二百万円とか出して買えるということは、これは一体なぜ買えるのか、払うべきものを払っていないから買える。運転手の労働賃金とか将来の保障 こういうものをやっておればナンバー・プレートを百五十万円なり二百万円なり出して買えないはずです。そういうものを野放図にしておいて表面だけ事故防止対策委員会を作って表面を糊塗しようとする、そういうところに私は根本原因があると思うのです。これは一つ慎重の上にも慎重を期して御考慮を願いたいと思います。やったあとでこれはしまった、ああやったらこれはまずかったというような、一般市民大衆が非常な迷惑をこうむるということがないように特段の一つ御考慮を願いたいと思います。  大臣のこの点に対する見解を承わりたい。
  72. 楢橋渡

    ○国務大臣(楢橋渡君) 大倉委員の御指摘のありました点は、私も実は今、申されました点について幾多同感を申し上げたいのですが、先般行政管理庁から陸運事務局に対する、御承知のような勧告がありましたので、私ちょうど列車中で聞きまして、東京駅に着くなり陸運局に参りまして車検場その他を見て参りました。非常に陸運局人員不足、急激な自動車の増加で十倍自動車がなっておるのに、人員はかえって減らされておるという状態で、車検場でも実は働いておる陸運事務局の人たちの気の毒な状態を見て参ったのであります。そのときに東京の陸運局長にも私は申しましたが、ちょうどハイヤー、タクシーの問題等もありましたので、各タクシー会社の一つ労務的な問題、特に労賃等についてどういうような支払いをやっておるか、あるいは退職金等についてどういうような制度を設けておるか。そのときに私は安全自動車というのがあります、そこを見まして、そこは非常に福利施設その他非常によくできておるのを見まして感心しましたが、そのときに自動車局長もあるいは陸運局長も見えておりましたので、何とかこの機会に労務者の、つまり生活改善といいますか、処遇の問題について安定した方法をもっと掘り下げて検討しなければいかぬぞ、ということを私からも実は注意いたしておりまして、その後私は仙台から北海道ほとんど各地の陸運事務局を回りまして、九州も回っております。至るところ見ますると人員不足等、そういうことからいろいろの問題を実は私自身も抱え込んで帰ったようなわけでありまして、私も運輸大臣になりましてからできるだけ前線の人々のやっておることをよく見て、それから自分の施策の参考にしたいと思っておりますので、どうぞ一つ御了承願って御支援を願います。
  73. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 私もこの問題きわめて重大な問題だと思っております。ということは従来ややもすれば、先ほど来野溝氏の発言にあったように、特定の業者の圧力によって左右されておったり、あるいは運転手自身もきわめて悪い条件に置かれておるし、運転手の処分というようなものも、二重、三重処分というようなほかに例のない処分をされておる。たまたま運輸大臣は法律の専門家でありますので、この際いわゆる時代に適応した運輸行政、特に自動車行政というものを樹立しなければならぬ。そのためにはいわゆる運輸省だけではでき得ない問題がたくさんある。言いかえれば半面、道路取締法あるいは運転手の処罰問題というようなものを法的にやっぱり解決をしながら、今大臣の言われたような基本線を生かしていくということでなければ、ただこの姿の中でかりに許可をする、許していくということになると、一面許可をとったときだけは非常に喜びがわき上るが、二年三年すると特定資本にさらにまた吸収されて、もとの姿に返るという、そういうことのないという証明ができなかろうと思います。そういう状態の中にあるので、その基本線を生かしてもらうために、もう少し総合施策について幅を拡げてもらって、せっかくいろいろな事情を知って特に東京都の問題などは楢橋さんは非常によく知っているわけでありますから、こういう状態の中で運輸行政自動車行政を指導するためにはどうあるべきかということを、運輸大臣の立場からあるいは閣内におって、時代に適応した方法にするためには、どの面とどの面を変えなければならぬかということを、十分一つ研究された上でこの問題を処理をしていただきたいと思うし、きょうは時間がありませんから、この問題に対して私も基本線には、運輸大臣の言われたことには賛成でありますけれども、そうするためにはどうしなければならぬかということに対してはかなり多くの意見を持っております。従って、この意見はきょうは保留しますが、そういう意味合いで幅の広いほんとうに時代に適応した自動車行政を打ち立てようじゃないか、首都圏整備委員会も作っておりまするが、大きな首都を作っていこうじゃないか、高速道路というものもかなり反対があってもやろうじゃないかという段階、かなり変った角度にきておりますから、その時代、時勢に適応した自動車行政を盛り込んで行かなければいかぬ、いわゆる情実や人情や、そうした姿では解決できない段階にきているということを申し上げて、私の質問を終ります。
  74. 楢橋渡

    ○国務大臣(楢橋渡君) 重盛委員のおっしゃいましたことごもっともでありましてタクシー個人の許可問題も御承知のように利害得失ということを十分に検討をさせる、かつまた許したことによってやはりそれだけプラスになるという面を見出さなければ、これは許可すべきものでもないと思うのでありますから、その点は御指摘のように全般的なことから総合して、この問題の解決の社会的に最も妥当性のある線を見出していきたいと、こういうことで実は苦慮している次第でありまして、御注意の点を十分に勘案いたしまして今後の運輸行政に資したい、と思いますから御了承願います。
  75. 大倉精一

    ○大倉精一君 これに対し今タクシーの方に目が向けられておりますけれども、この際この問題が起き上った機会に、全般について一つ再検討願いたい。たとえばトラックの面におきましては、これはもう方々で白昼堂々と非行の行為が横行している。つまり自家用が堂々と営業行為をしている、これもお手上げ、しかしやる気になったらやれる。この前新潟におきましては、やる気になってすっかりこれを淘汰しました。このように、私は実は昨日岡山に行って参りましたけれども、岡山でもいろいろな業者の組合の方も一生懸命になっておりますけれども、当局が一生懸命にならない。これを放置するとやっぱりこれもタクシーと同じことになって参ります。さらにまた認可料金がありながらほとんど認可料金は守られていない、これも放任状態。しかも認可料金がありながら官庁にしても入札をやっている、競争入札をやって認可料金は官庁も無視している。こういう工合に今のところ陸運行政に関する限り、道路行政に関する限り法律があってなきがごとし。こういうものを放任しているからこういう状態が起ってくるのでありますから、この際そういう方面にわたって全般的に楢橋運輸大臣、一つ再検討願って、そしてほんとうに道路運送というものが正しく近代的な運営ができるように御努力願いたいと思います。
  76. 楢橋渡

    ○国務大臣(楢橋渡君) 大倉委員のおっしゃるように、私もあっちこっち回りましてやみトラックといいますか、これが実に横行しておって場所によっては八〇%やみでやっておる、こういうことを聞いておりますから、この問題もやっぱり掘り下げて一つ総合的に何します。
  77. 相澤重明

    相澤重明君 大臣も各所回ったように、私どもも現地調査で先ほども報告をしてありますから、そこで今各委員から言われたように、私はむしろ運輸省の総合的な面として予算の関係がだいぶあると思います。実は私ども議員としては運輸省のそういう予算問題についても率直な当局の意見を一つ述べてもらいたいし、私どもも述べたいと思う。従って来月の下旬ごろに、すでに内閣でも各省の予算編成をやっておるわけですから、下旬ごろに一度そういう点で説明を求めたいし、また私どもの意見も言いたい、こう思っております。  それからいま一つ、ちょっと気になるので大臣にこの際お尋ねをしておいて、私の質問を終りたいと思うのですが、さっき近々のうちに何か方針を出されるというようなことをちょっとあなた言われておったようですが、近々とはいつごろのことですか。
  78. 楢橋渡

    ○国務大臣(楢橋渡君) 大体今御存じのように白ナンバー、あるいは共済組合タクシーという問題が非常にクローズアップして大きな問題になっておって、しかも取締りは実際いうと警察その他検察庁では十分できないような状態、これはやはり運輸省が少くとも全般的なタクシー問題についても、今度二千八百台増車させるについてどういう基本的な考え方を持っておるか、ということをはっきり出すことによって、初めてそういう問題の処理もできるということを私は感じたので、きのう旅行から帰って参りましたので、けさこちらの政府委員室で集めまして、ごく急速に政府の方針を声明してきめなければいかぬ、だからできれば私は今週中ぐらいに、もっと早くやりたいと思って基本的なことを……、そうしないと率直に申し上げまして、警察、自治庁あるいは法務省にだけ言ってお前の方は何もしておらぬじゃないか、どういう方針だ、ぐらついているのじゃないかと言われる何があります。これは率直にいってそういう点で自分の立場を明確にして、頼むべきものは頼んで、やるべきものはやらなければならぬということを事務当局に言っております。ですからその点は早くやります。
  79. 相澤重明

    相澤重明君 大臣の言っておることはわかるような気もするのだが、今私どもが考えておるのは、大臣は急速にその方針は出したいと言うのだけれども、さっきから言われたいろんな要員問題とか、あるいは運輸省建設省との関係、たとえば踏切道の問題、そういうような交通事故等の問題等を考えていくと、相当予算折衝の問題がある程度見通しがつかないというと、非常に混乱をするのじゃないかと私は思うのですよ。そういう点で私どもも来月の下旬あたりには運輸省の考えもまとまるのじゃないかと、こう思うから私も実は来月お聞きをしたいと、こういうことを言ったのですが、その考え方を一つ……。
  80. 楢橋渡

    ○国務大臣(楢橋渡君) 私はタクシーの問題を……、今のことはぜひ予算の編成の前に一ぺん開いていただきまして実情をよく申し上げます。私は就任してから大ていひまがありますと現地を全部回って歩いています。海運局、陸運局その他いろいろな出先の、あるいは海上保安庁の方に回ってみまして非常に大きな予算問題にぶつかっておるのです。これではとてもやれないという考え方を非常に持っておるので、ぜひとも一つ委員会の皆様方にも御了承を願って、御助力を願い、こちらの誠意も披瀝して御協力を願いたいと思いますから、これはぜひお願い申し上げます。
  81. 村上春藏

    ○村上春藏君 今の運輸大臣のお話の個人営業の問題ですがね、これは私はどうも日本が法治国である以上、いわゆる白ナンバーが営業しておる、自家用車が営業しておるということは許されぬことだと私は思う。それが営業しておる、そうして多数の営業しておる白ナンバーがそういう、事実、既成事実を作ってそれで個人営業を許せというようなことがあるとすれば、これは単に自動車—タクシーだけの問題じゃない。あらゆる問題で許可制のところがあるわけなんです。それを既成事実を作り、いわゆる多数の数によって法を曲げられるというようなことがあるということになると、これは単にタクシーだけの問題じゃない。従って、個人営業に対しては慎重に私はやってもらいたい。そうせぬと、日本が今日のいわゆる法治国としての法を正しく守っていくということができないということになる。慎重に一つこれはやってもらいたい、こう思います。
  82. 楢橋渡

    ○国務大臣(楢橋渡君) 白ナンバー及びトラックのやみですね、こういうものは違法行為であり、法の秩序を守るために厳重にこれを処罰しろという問題と、今別個の問題として起っています、個人タクシーの営業の問題とは全然別個でありまして、そいつははっきり頭に当局も入れてやるということを申し上げたい。そういうことにしておりますからどうそ……。
  83. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ほかに御発言もなければ、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時十九分散会