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説明員(
吾孫子豊君) この
調査団の
報告書の前書にございますように、六月の二十四日から八月の七日に、至るまで慎重に検討を重ね、入坑踏査を含むあらゆる観点からの
調査と、それに基く討議を尽しましたが、
調査委嘱事項のすべてにわたっては意見の一致を得るに至りませんでした。しかしながら、既往において問題とせられていた諸点については、十分に掘り下げて検討いたしましたので、ここに審議の経過から得られた最終結論を取りまとめ、下記の通り
報告することといたします。
なお、団員の意見が分れた点につきましては、主要な事柄について審議過程において述べられた主張の根拠と、これに対する反対意見の根拠とをあわせて
報告し、御参考に供しますと、こういうことで「記」以下の御
報告があったわけでございますが、この中で、おもな点をかいつまんで申し上げますと、第一の実収炭量は幾らであるかということにつきましては、その1にございますように、まず理論可採埋蔵炭量を算定するため、
昭和三十年四月一日
調査資料、志免鉱業所から福岡通産局へ
提出した
資料のことでありますが、これを基礎とし、JIS規格に基いて作図を行うことに全員の意見が一致した。この「別紙1」と書いてございますが、その別紙まではきょうはお配りしてございませんが、作図方針について意見がまとまったわけであります。
そこで、
調査時点については、できるだけ現在に近い時点を選ぶことが適当であると考えたので、
昭和三十四年四月一日をとることとし、
調査団は同日現在の各炭層別炭層図を作成したと、これも膨大な図面でございますので、コッピーもございませんので、差し上げてはございませんが、
調査団の全員が確認した炭層別炭層図というものが作製されたわけでございます。
これによって計算したところ、理論可採埋蔵炭量は
昭和三十四年四月一日現在で千五百十二万三千トンとなった。これに対し、
委員の一部から次のような意見が
提出されたということで、イ、ロ、ハ、ニというような意見が出されたことは記録されておりますが、この点は団長から御
報告をいただきました際に、ここに書いてあるイ、ロ、ハ、ニというような意見、これはまあ団員の中の少数意見であったわけでございますが、こういう意見が付記されておるけれども、この意味はどういう性格のものでございますかということを、団長の御
報告をいただきました際に私から御質問を申し上げました。団員すべて御列席のところでそのことをお伺いいたしましたところ、それについていろいろお答えがあったわけでございますが、そのお答えにつきましては、別刷りで、志免鉱業所臨時炭量
調査団
報告書受領の際の質疑応答という見出しの刷り物が一部入れてございますが、それに詳しく書いてございます。ただ、結論的にここの2のイ、ロ、ハ、ニというようなことが書いてあるけれども、この意見は、こういうような意見が論議の過程において出たということを記載したのであって、千五百十二万三千トンという理論可採埋蔵炭量の数字について影響を持つものではないという御
説明がございました。それで、この理論可採埋蔵炭量の千五百十二万三千トンというものは、全員、団員一致で確認された数字であると、こういうことになったわけでございます。
それからそのただいまの同じページの3のところに、安全率と実収率とについては、全員の意見の一致を見るに至らなかったと、ただし、
昭和三十年四月一日の
調査資料は、切羽実収率をもってそのまま実収率としていたことが審議の過程において判明したが、これを直ちにJIS規格にいう実収率とみなすことが不適当であることが確認された。この点も
報告を受領いたしました際に、念のためにお伺いいたしましたところ、青山団長が、この点は重要なポイントだ。切羽実収率とJISにいうところの実収率とを混同していたことが
現地調査によって判明したのである、これは大きな収獲であったというふうに申されておりましたので申し添えておきます。
それから4のところに、実収炭量の算定については、意見甲は、—意見甲と申しますのは、これは青山団長以下前の青山
委員会のメンバーであられた
委員各位の御意見であります。この意見甲は、将来の掘採見込みを判定するのであるから、さきに述べた各炭層別炭層図の上に現在の志免鉱業所の出炭方式によってどのように切羽がつけられるであろうかということを作図し、その炭量から掘採率を求め、これを今後の掘採率を算定する参考にすべきであると出張した。これに対し、意見乙—これは
国鉄労組側から推薦されて出てこられた正田教授以下三人の方の御意見でありますが、意見乙は、実収炭量の算定には過去の実績の検討を根拠とすべきであるという主張がなされたということで、実収炭量の算定方法についてそのような意見の対立があったということが書かれてあるわけでございます。それからまた別の意見うとして、そこに安全率、実収率というものについてどう見るかというようなことについていろいろ意見が出、またそれに対する反論があったということが書かれてございますが、それでは安全率、実収率という数値はどういうふうになったかと申しますと、結論だけ申しますと、実はこの
調査報告にはそういう計数が一切入っておりませんので、この計数に実際に
提出された別表あるいは別紙の数字を当てはめるとどういうことになるかということを御
説明申し上げるために、もう一つ別の刷りもので「志免鉱業所臨時炭量
調査団
報告について」、八月十日付
日本国有鉄道と書いた刷りものが差し上げてございます。この刷りものの四ページを一つごらん願いたいと思います。
四ページのところに意見甲の算定方法、それから安全率、実収率というものが書いてございまして、そこに三十四年四月一日現在における実収炭量は七百四十八万五千トンであるということが書かれております。これが前に問題にされました、八百万トンと言われておった数字に見合う実収炭量でございます。なお、その内容につきまして、五ページのところに、前に志免鉱業所
調査委員会で審議をされました際の結論との比較が書いてございます。それは参考までに申し上げます。
それから同じく実収炭量について意見乙の方は違った見方をいたしておりますので、その意見乙の方によると、どういう安全率、実収率になったかということは、ただいま申し上げましたつづりの六ページのところに意見乙(小数意見)として書いてございます。これはちょっと刷りものがミス・プリントのようなところがございますから、そこだけちょっとお断り申しておきますが、この意見乙として書いてございます中ほどのところに、「従って、過去の採掘跡の一区域について考えればその中に採掘できなくてとり残されている。炭柱の炭量を計って、」と、文章が繋がるところがその行が切れておりますので、これをちょっとお断りしておきます。これを差し引いた残りと採掘跡の全面積との比率を求めればこれが安全率であるというような文章が書かれております。このような意見乙の方の見方に従いますと、その七ページのところにございますように、安全率、実収率ともに非常に高い率がございます。これは意見乙の方の見方でございまして非常に高いところは安全率一〇五%あるいは実収率一〇六%というような数字もここに出されておりますが、まあ低いところもありますので、
平均いたしまして、上下層
平均の掘採率は八三%、この八三%の掘採率を前の千五百十二万三千トンに掛けますと、千二百五十五万二千トンになる。約千二百六十万トンが、これが意見乙でございます。これは前に問題にされました千二百万トンという意見に対応する計数がこれでございます。以上のようなことでございまして、実収炭量につきましてはこの千二百五十五万二千トンという数字と、意見甲の七百四十八万五千トンという数字と、両方がここに出たわけでございます。
それから出炭見込みにつきましては、この
報告の第2のところに書いてございますが、
調査事項につけられた四
条件については、
現状のままで推移したらいかになるかという趣旨であるとして、これに従って作業した。しかしながら、
調査団としては基本的に意見が対立し、調整することが不可能であるので、二つの
調査報告を
提出する。両案に共通である点は、在籍労務者数は三十四年五月現在員を減耗補充により保持することとした、という点だけが共通であって、それ以外の点については全然意見が違う、こういうことになったわけでございます。これで、それでは結論がどうなったかということは、ここには数字は一切書いてございませんので、これも
調査団から
提出されました
資料に基いて
国鉄当局で数字を出してみたものが、この
調査団
報告についてという刷りものの十ページから十一ページのところに書いてございます。これでごらん願いますというと、意見甲の出炭見込、これが坑内の
状況が逐年悪化するであろうということを勘定に入れての出炭見込みでございますが、それによりますと、
昭和三十四年が三十三万七千六百トン、以下逐年漸減いたしまして
昭和三十八年には二十四万トンになるであろう、こういう見込みでございます。なお御参考までに申し上げておきますが、
昭和三十四
年度の上半期の実績見込みから見ますというと、いろいろな
事情も手伝っておりますが、これよりも実績見込みはさらに下回るであろうというように思われます。それから意見乙の方の出炭見込みの方は、これは
現状は悪化しないという前提に立って出炭量はコンスタントに維持される見込みだ、こういうことでございますので、
昭和三十四
年度については従前の
計画でありました四十六万四千七百四十トンというものが出るが、以後大体四十六万程度でコンスタントに出炭が継続できるのである、こういう結論になっております。
そういうことでございまして、今度の
調査団の御
報告は、団長もそういうふうにおっしゃっておられましたが、できればもう少し計数をはっきり入れた答申にしたがったけれども、いろいろ各
委員の意見の一致を見るということがむずかしかった
事情もあるので、主として異なった意見の考え方を明らかにするという趣旨でこの
報告書をお出しするということにしました。数字がどうなるかということは、いろいろ添付した
資料があるのであるから、それを見てもらえばすぐわかるはずである。計算すれば出るはずである。こういうお言葉でございましたので、その数字によって
国鉄当局が計算してみたものが、御
報告申し上げたような計数でございます。
なお、お
手元に
調査団員の名簿、これはもうさいぜん御承知のことでございますが、念のために名簿、それからこの臨時
調査団を編成する前に
国鉄当局と労組との間で申し合せをいたしました事項の内容だけを御参考までに入れてございます。
以上、簡単でございますが、概要の御
報告といたします。