○堀委員 そうしますと、私そこになるとちょっと問題があると思うのですが、山越製作所のものは最近の
調査によって調べてみてもJIS規格に合っていない。大和田講師がわざわざ山越製作所へ行かれて
調査をされたところが、それの検定をすべき機械も現在は故障しておるという
状態で作られておる器械である。そうすると山越の器械を頭の中に置いて、そしてその器械をもとに出てきたものに、障害の
程度を明らかにするということまでも可能かどうかという点に、私は実は問題があったと思うのです。JIS規格がまだできておらないときにできた品物
——JIS規格というものは、さっき申し上げたように三十一年の三月に制定をされておるのですから、その以前に出たものには、JIS規格に合ったものがあるはずがない。規格がないわけです。その後にきめられた規格に合せたかどうか、そこのところは私もよくわかりませんけれ
ども、しかし少くともそれ以前のものが、それほど完全なものであったとは思われない。JIS規格ができた後においてすら、現在調べてみると十分でないものが出されているということから見ますと、その規格自体がきわめて不十分なものであったということが頭の中にあるのにかかわらず、そういう不完全な器械を使って障害の
程度を明らかにするような
省令を作ることは、私はこの
省令の作り方に少し問題がある、こういうふうにまず第一は
考える。
それから第二点としては、この間から私は
学校医の問題について触れておりますけれ
ども、難聴という問題は、これはやはり児童にとっては重大なんです。難聴であるかどうかがわからないままで
学校へ行っておる場合には、その学童の成績が不良になるのは当然でありますから、難聴をすみやかに発見しなければならないことは当然でありますけれ
ども、現在の
学校の身体検査の
実情との関連で、果してこのような高度の検査が行い得るかどうかということについて、一体
学校保健課としては
自信があったのかどうか。現在全国に約五万に近い
学校があるわけですが、この五万の
学校の所在地で、耳鼻科の専門医師のいないところの方が大部分で、普通は内科のお医者さんが
学校医をしている。その
学校医を内科のお医者さんがしているのに、このような耳鼻科の専門的な、高度の器械の使用をさせて、そして難聴の
程度までも明らかにさせようなどということは、私は現行の
状態と
省令の作り方との間に、大きな開きと困難を感ぜざるを得ない、こう思うわけです。そういう点から
考えるならば、私は前段の聴力障害の有無を判定するに足ればいいのではないか、
程度というものは、それぞれの専門的な病院に連れていって精密な検査をするようにすべきであって、これは難聴ではないかということだけの疑いをそこで選別をすれば足りるのではないか、こういうふうに
考えている。
そこで、いろいろと大和田講師の話を聞いておりますと、大体現在売り出されておりますものは、二万二千円から八千円くらいで売り出されている。この価格をもってしては、聴力障害の有無及び障害の
程度を明らかにすることは事実上困難である、こういうことがいわれているわけです。標準型のオージオメーターは、御承知の
通り十五万円から三十万円くらいするものでありますから、これだけのものならば障害の
程度を判定することも可能であろうけれ
ども、二万円前後のものでそういうことを判定さすのは、第一無理である。それと、
程度をはかるということになれば、きわめて高度の技術と、それに伴うところの環境が必要である。ところが身体検査を行なっている
学校の教室などというものは、きわめて雑音の多いところであって、子供たち静かにしろと言っても、それは静かにできない。そこで結果として起ることは、こういうことを行なって多数の
学校が大きな負担を負うだけでなくて、誤まった結果が出る危険がある。このことはこの前もちょっと触れましたけれ
ども、
文部省の方で身体検査のときに行なった知能指数と、厚生省が再度精密に行なったものとの間には、全然食い違いがあるということが
新聞紙上に出たわけでありますが、これは当然だと私は思うわけであります。そこでまず問題は、一番肝心なところは、現在の
学校の
実情その他を勘案するならば、私は
学校保健法施行規則の第一条八項を改めて、「左右各別に聴力障害の有無を明らかにする。」ということで、「障害の
程度」という項目を削ってもらいたい。これがある限りは、今後もなおかつこの問題は非常に大きな問題として、幾ら器械を一時的にどうこうしても、あとに残る問題だと思うので、
考え方をそういう選別の範囲にとどめる。そうすると七、八千円の器械で間違いのないものができて、そしてそこで選別をして、難聴の疑いのある者は専門的な場所へ連れていって、正確に検査をさせるということになるのが科学的な
方法ではないか、こういうふうに
考えるわけですが、
学校保健法施行規則を
改正する
意思ありや否や、ちょっと伺いたい。