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寺田参考人 お忙しい中からわれわれの
意見をお聞きいただきまして、まことにありがとうございます。
今度の
通運事業料金値上げにつきましては、ただいま
森川さん、石川さんからも
お話がございましたように、
水産関係業者といたしましても、これは非常な
打撃を受けるものとして賛成いたしかねるのでございます。特に、
水産物につきましては、
通運事業に依存する度合いが、
通運事業関係から出されました表で見ましても九九・九%、ほとんど一〇〇%に近いものが
通運事業者の手によって運ばれておる。それだけ
水産関係者としては
通運事業に頼らなければならないということをまず御
承知おきいただきたいのでございます。
通運事業関係者の
お話によりますと、これは
公共事業の性質を持っておるという
お話がございますが、しかし、いまだかつて
通運事業者に依存しておる者の
意見をお聞きいただいたことがないようなふうに考えております。また、相手方の
負担力があるかどうか、そういうことについても格別の御考慮はいただいておらぬように私
どもは考えております。ある場合には、これは公式の席上ではないかもしれませんが、
負担力があるかないかは
関係がないのだ、こういうような話も出たと聞いております。さらに、
包装の
改善あるいは
作業の
機械化によって
負担の軽減もできるではないか、こういう
お話もあったように伺いますが、
水産物については
包装も
作業も
機械の
改善も現在としてまだ
方法が立っておりません。そういたしますと、全面的に
水産関係では
値上げの
影響を受けなければならない、こういうふうに相なるのでございます。
さらに、
値上げの
内容を伺いますと、一般に九・九%の
値上げ、約一割弱の
値上げであるというふうに言われておりますが、これが
実質は非常な違いでございます。
通運事業の根幹をなします
取扱料、
積卸料、こういうものにつきましては
通運事業者の
説明からいたしましても二一%ないし一八%、
集配料だけが九%、こういうような御
説明を承わっております。ということは、
集配料、もしそれが高ければ
自分らで積むことができる、ところが、
取扱料、
積卸料は、
自分らでなかなかそこまでやり切れない、こういう点を見越しての
値上げであるのじゃないか。これはあるいは私
どものひがみかもしれませんが、そういうふうにも考えられます。
値上げの
方法がまことに
負担ののがれようのない
上げ方をしておられる。
さらに、
割増しにつきましても、先ほど来
お話がございましたが、
急送品割増し、これは新設されるのでございます。これが発送、
積卸につきまして三〇%、
集配料について二〇%、こういうのが新設される。
急送料のごときは
国鉄の
運賃の場合でもこれはやめようじゃないかという
お話さえ出ておりますし、またそのようにお取り運びもいただいておるものと私
ども信じておりますが、それが今度逆に新設される。それから、
バラ積みも、これは現在でもあるのでありますが、その
割増料率が、これは五割にもなっております。しかも、
積卸が五割、
集配料が五割、それから、
衣類その他を汚損しやすいもの、これは従来は腐敗しやすいものとして
割増しが
積卸三〇%であったのが、今度は五〇%に
値上げされている。それから
集配料三〇%はそのまま。それから、
荷物の
分割でありますが、
荷主が数人あるいは
荷受人が数人の場合に、
荷物を分ける
分割割増しが三〇%となっております。それから、
夜間作業はこれもまた三〇%加算がついておる。これは
現行もついておりますが、こういう
割増しがございます。そういたしますと、
水産物のおもなるものは
急送品に違いございません。また急送しなければ運ぶ意味がございません。それから、
衣類を汚損しやすい、なるほどそうかもしれませんが、これは
水産物の特色でありますし、
包装の仕方についても、これは
通運当局でもまだどうしたらいいか工夫のつかない
品物でございます。それから、
夜間作業、これは
市場に着く、あるいは
市場に発送する、夜でなければ
作業のできない
品物でございます。そうすると、どこものがれっこのないような
割増しが現在でもついておる。それをさらに新設されたり加重されたりする。こういうことになりますと、この割合は、それぞれ加算して
割増しがつくのでありますから、それを算術的に寄せてみましただけでも三〇〇%になるのでございます。
値上げの三倍が
割増しとしてふえる、こういうことでございます。
値上げがかりに
通運業者の言われるように一割でございましても、それにさらに三倍の
割増しがつくということを念頭に置いていただきたいのでございます。
従いまして、そういうわけで、
実質負担は非常に多くなるのでありますが、われわれの計算だけによりましても、この
取扱料、
積卸料の
値上げ、それから、先ほど来
お話の出ました
号級の
整理、この
号級の
整理がまたなかなか苛烈なものでございます。
[
石田(宥)
委員長代理退席、
委員長着席〕
四
号駅を全廃する。農林
水産関係の
物資は大体へんぴなところでございますから、四
号駅を使う場合、あるいは等級の下の駅を利用する場合が多いのでございますが、それらが全面的にはね返ってくる。四
号駅が廃止になって、そうして今度は三
号駅になるだけで五十何%も
割増しがつくのでございます。それだけの
負担が増加するわけでございます。さらに、今度は一号、二号、三号の
号級を
整理するという
お話で、三
号駅から一
号駅になるものができてくるようでございます。そうしますと、この
号級の
整理による
影響というものが非常に大きくなるのでございます。われわれの計算で申し上げますと、
取扱料、
積卸料、それから今の
号級の
整理、これだけを入れてみましても、九・九%というのが二八%ぐらいの
影響になるのであります。これにさらに
割増しがつく、こういうふうになるのでございますから、われわれの方の
負担増加はとうてい忍び得ないというものでございます。さらに、先ほど
お話のございました
国鉄の
貨物取扱い駅の
整理、これは今後の問題でございましょうが、これによりましてもまたさらにわれわれの
影響は大きいのでございます。のみならず、またその場合に
通運事業料金がさらにふえる、こういう場合も起ってくると思うのでございます。何としてものがれられない水産その他農林
物資がこれだけの
値上げを受けるというふうになりますと、われわれとしてはとうてい忍び得ない。
つきましては、四
号駅の廃止は何とかお控え願いたい。それから、
号級駅の
整理も、これも何とかお見合せを願いたい。それから、
取扱料、
積卸料だけに重点を向けること、これは私
ども忍び得ない。特に
集配料の
値上げ、あるいはさらに新設の徴収は、これは困る。つきましては、これらのものについては、万やむを得ない場合でございましても、
農林水産物資については特別のお考えが願えないものだろうか、こういう点をわれわれとしては考えておる次第でございます。さらに、
割増しにつきましても、
急送品割増し、こういうものは
国鉄の
運賃とあわせてぜひやめていただきたい。それから、衣服を汚損しやすいもの、これはやはりもっと低率にするなり、あるいはこういうものについては
適用を除外していただくなり、それらの措置をお考え願いたい。できますことならば、
水産物についてはこういう
値上げは一応除外する、あるいは農林
物資についても除外するというようなことが考えていただけないものだろうかということを私
ども考えておる次第でございます。
最後に二つだけ申し上げておきたいことは、現在の
通運事業料金は定額でございまして、運輸省の認可があればその定額はとってよろしい、こういうことになっております。われわれ
関係業者としましても、そこに交渉の余地もございません。これはぜひ何らかの
機会に、
最高金額をきめていただく、その
金額の範囲内できめるというふうに、
最高の限度をきめていただくというようなふうに法律自体も御改正を御研究願いたい、これが
一つでございます。それから、さらに、
水産物につきましては、他の農林
物資も同様でございますが、何かそういう特別の専門
輸送機関あるいは
通運事業機関というようなものが考えられないものだろうか。水産
業者の間では、もうそういうものを研究する必要があるということで、昨日も集まりましてその下相談をしたのでございますが、こういう農林
物資あるいは
水産物資についてのそういう特別の
輸送機関、こういうものもぜひ御
検討をいただきたい、こういうようにわれわれも考えております。また、われわれの方としてもそういうように研究を進めて参りたいと思いますので、御指導、御援助をいただきたいと思うわけでございます。
以上、簡単でございますが、要点だけ申し上げておいた次第でございますが、申し上げましたように、水産
業者に対する
影響は非常に大きいものがございますので、
一つ、当
委員会におかれましても、慎重に御審議の上、われわれの意のあるところをお聞き取りいただきたいと思うものでございます。
ありがとうございました。