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1959-08-10 第32回国会 衆議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年八月十日(月曜日)     午後一時五十七分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 丹羽 兵助君 理事 野原 正勝君    理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君    理事 石田 宥全君 理事 日野 吉夫君       天野 光晴君    今井  耕君       金子 岩三君    笹山茂太郎君       高石幸三郎君    八木 徹雄君       足鹿  覺君    角屋堅次郎君       神田 大作君    栗林 三郎君       實川 清之君    高田 富之君       中澤 茂一君    中村 時雄君       芳賀  貢君    松浦 定義君  委員外出席者         農林政務次官  大野 市郎君         農林事務官         (農林経済局         長)      須賀 賢二君         農林事務官         (振興局長)  増田  盛君         食糧庁長官   渡部 伍良君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    村田 豊三君         日本国有鉄道参         与         (営業局長)  磯崎  叡君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 八月十日  委員西村関一君辞任につき、その補欠として高  田富之君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(こんにゃくの価  格問題、農林水産物貨物運賃問題及びてん菜  糖問題)      ————◇—————
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  まず、コンニャク価格問題につきまして質疑の通告がありますので、これを許します。中澤茂一君。
  3. 中澤茂一

    中澤委員 これはいろいろこまかい問題もあるが、問題は政治的に政府がどう対処するかという問題であって、局長さんにお聞きするなら経過くらいを一応お聞きしておきたい。しかし、本格的な話し合い大臣でなければできませんから、そういう点について一応局長の方から経過報告だけ承わりましょう。
  4. 吉川久衛

    吉川委員長 中澤君の御意見もございますので、大体政府考え方報告を願います。
  5. 増田盛

    増田説明員 コンニャク価格に関連しましては、御承知通り最近きわめて低落いたしております。まずこの暴落原因でございますが、おそらく暴落といっても過言じゃないと思いますが、これにはやはりいろいろな原因があるわけでございまして、この原因をどうつかまえるかということによりまして、それぞれそれに適当した対策が打ち出されなければならぬと思うのであります。そこで、まず第一に、近来におきますコンニャク価格の高騰に伴いまして作付面積が急激に増加しておるということだと考えます。特に、現在の市況を反映しております直接の原因になりました三十三年産のコンニャクイモ生産に関しましては、面積もふえ、しかも反収も近年まれに見るほど非常によかったのであります。それに反しまして、第二に、暖冬による消費の停滞がこれの消費の面から暴落原因になっておるのじゃないかと考えるわけであります。さらに、第三番目には、生産の増大に伴いまして前年度よりの持越量が相当あるわけであります。これは、三十二年から三十三年、三十三年から三十四年という在庫量持ち越しを見ますと、相当ふえております。次に、第四の原因といたしましては、このコンニャクに関連しますいろいろな段階におきまして、これの流通経路があまり近代化されておらない。従って、そこにいろいろな関係業者思惑による価格操作が作用する余地があるわけでありまして、どうもこういう思惑による大きな価格動きがあるのではないか、こういう点も考えられるわけであります。さらに、最後に、いろいろな農産物価格に対しましてマイナスの面があったにしましても、これをささえる農民の力が結集されておればここまで暴落しなかったと思うのでありますが、非常によくやっておる県もありますけれども農協販売面がほとんどといっていいくらい組織化されていないところもあるわけでありまして、完全に組織化されているところもあり、完全に農協系統組織コンニャクに関しましては何もしておらないというところがあるわけでありまして、全体といたしまして全国的なこういう系統組織の不完備、これが作用しまして、価格がだんだん下って参りますと、生産農家にとっては売り急ぐ傾向が出てくる。これはやむを得ざるところでありますけれども、この低落にさらに売り急ぎが拍車をかける、こういうことになったのではないかとも思います。  こういうのが大体私どもの見ております大ざっぱな今回の暴落原因でございますが、最近は若干持ち直しておるようでありますが、これに対する対策も県々によっていろいろ事情があると思うのであります。しかし、共通的な点を考えますと、何と言いましても、コンニャク国民生活上きわめて大事な必需品で、農業の分野から見ましても非常に大事なものでございますから、少くともこれは生産農家農協系統組織の間においてはっきりルートに乗せるということであります。すなわち、共販体制を確立するということであります。これをやらなければ絶対に今後の事態に対処することができないだろうと思います。しかも、共販体制を確立するためには、いまだ県営検査を励行しておらない。あるいは県営じゃなくてもいいのでありますが、権威ある検査によりまして共販体制バック・アップしなければできないわけでありまして、この主産地の中では、この県営検査する現在まだ未実施の県がある現状でありますので、特にこの点が強調されなければならぬと思います。こういう共販体制を至急確立するということ。それから、これに伴いまして、それぞれ必要に応じまして信連——場合によりましてはその背後におきまして農林中金が必要な資金を流すということになるだろうと思うのでありますが、こういう資金によりまして流通段階は整えて参りたい、かように考えております。  なお、この流通関係以外の面でありますが、私ども現在いろいろ検討中でございますが、大体関係者の諸情報を総合しますと、やはり生産過剰ということが争うことができない事実でございまして、山間部生産されておりましたコンニャクイモが、現在では平坦地帯に進出しまして、きわめて作付面積が膨大になっておりますので、最終的に長期的な対策といたしましては、どうしてもこの作付面積を縮小しなければいかぬじゃないか。これに対する対策といたしまして、全般的に流通段階を含めまして、先日主産県約十五、六県の県庁の担当者並び経済連あるいは県の中央会、こういう方々の担当者を集めまして振興局におきまして協議会を開催いたしたのでありますが、大体その方向は基本的な問題としましては今申し上げた点に尽きておるわけでありまして、これを各県ごとにいかに早急に実施に移し、しかも全国的にこれをいかにして結集していくかという問題にかかっておるのであります。何分にも統計資料もきわめて不完備ありまして、作付面積等に関しましても、制度の点から言いましても、桑の間作などをしておるものが見のがされがちでありまして、実際の数字よりも最近におきまして作付面積がふえておるのではないかと思われる節がありますし、需要の面に関しましても、人によってまちまちでありまして、なかなか自信のある需要のつかまえ方ができない。こういう点で、対策の樹立に関しましていろいろ困難な面がございますが、まず基本的な面に関しましてわれわれが努力を続ける、そうして県並びに団体を指導する、こういうことであろうかと存じます。
  6. 中澤茂一

    中澤委員 今局長のおっしゃったことは全部——もちろん、あなたの今指摘した中の共販体制の非常に不備な問題、県営検査をやっていないこと、こういうことは認めますが、農林省においてはほとんど責任がないようなあなたの御見解でありますが、私にしてみれば、明らかに農林省責任がある。なぜ責任があるかと申しますれば、昨年十四万を突破したとき、農林省はこれに対して価格を抑制するということで二百九十トンの輸入をやっておる。この輸入があなたの指摘した在庫持ち越しとからんでこの暴落一つの大きな要因をなしておる。そういうことをあなたは一つもおっしゃらない。そればかりでなくて、先ほど陳情の人も申していたように、要するに、値が上れば勝手に輸入して、暴落すればそれに対して対策もないということではいけない。今特に畑地振興というものを当委員会でも取り上げて、今後徹底的に畑地振興をやらなければならぬというときに、畑作振興の面にからんでも、これをどうするのか。これはあなたにお聞きしても無理なので、政治的な問題ですから私は大臣にきょうはとことんまでひざ詰め談判をやろうと思っておったのですが、一応対策は県なりわれわれも指導するとおっしゃるが、指導するには具体的な指導する対策がなければならぬ。どういう指導をなさるのか、その点についてあなたの見解を伺いたいと思います。
  7. 増田盛

    増田説明員 特に指導の重点は、やはり、生産県の中でも、これは特定の県におきましてきわめておくれておる点があるのであります。本日もそこの代表者といろいろ協議いたしたのでありますが、何と言いましても、先ほど申し上げましたような共販体制の確立。しかも、その場合に、現在経済連が全然今までタッチしておらない。これに対して、やはり本来の本筋でございまして、経済連が早急に共販体制に進む態勢をとらなければならぬ。しかし、その場合に、何と言いましても、これに対する手持ちの数量の維持等の問題があります。このためには資金的な裏づけが最も問題であろうと思うのであります。これに対しましてはすでに私どもの方で農林中金とも相談いたしておりますが、府県によりましては信連の力の弱いところもございますけれども、この場合におきまして、コンニャクの主産県におきましては、経済連は別といたしまして、信連の場合には相当強大な力を持っておる県が多いわけでございまして、この信連がこれに対して積極的な応援の態勢に出、この資金を潤沢に供給する、しかもその足りない点は農林中金がさらにバック・アップする、こういう点を考えなければいかぬと思いますので、この点に関しましては、現在県側とも打ち合せ、しかもそれに即応しまして農林中金とも打ち合せしておりますし、まだ結論を得ておりませんが、できるだけ努力したいと思います。
  8. 中澤茂一

    中澤委員 それは、資金裏づけが必要だ、まさにその通りなのです。そこで、資金裏づけをするには、たとえば特定の県、これはあなたがおっしゃるのは明らかに群馬県なんだ。しかも農林大臣の地元がコンニャク玉を一番多く作っているところなんです。われわれ長野県の方は完全な共販体制をやっておる。群馬事情をいろいろ調査してみると共販体制になっていないのですね。そして、どういうことをやっているかというと、要するに一種の金貸し業者みたいな担保金融をやっておるのですね。農協あら粉を持ってきた、農協はそれに対して市価の八掛くらいで金を貸してやる。そこで、いよいよコンニャクががさっと下っちゃったから、担保金融委託共販ではないのだから、下がれば農民はそんなもの取りにいきませんよ。取りにいけば損してしまうから。結局、厳密な意味の法律的な関係から言えば、これは農協がかぶらなければならぬと思うのです。このごろざっと聞くと、もし現在のままで価格が上らなければ、群馬委託担保といいますか金融担保になっているあら粉だけの農協損害が一億をちょっとこえるのじゃないかということを聞いておるのです。そうすると、コンニャク生産地農協自体としては大問題だと思うのです。だから、そういうことについて農林中金資金バック・アップしてやるとか、話し合いをして貸し出してやるとか、信連の金を貸し出して金融処置をしたらどうだというけれども、それだけではケリがつかないと思うのです。それそこで、どうしてもこの際安定した価格政策というものが抜本的に考えられなければならないという段階に入ってくると思うのです。  それと同時に、値が上ったからといって政府がこの二百九十トンを輸入したときの差益金は一体どうなっておるか。そのとき政府はもうけているはずなんです。そのもうけた額は幾らか、その差益金の処理はどうなっているか、その点について説明して下さい。
  9. 増田盛

    増田説明員 輸入の際の差益金に関しましては、ただいま私の方で数字を調べておりませんので、これはすぐ調べましてあとで御報告いたします。
  10. 中澤茂一

    中澤委員 金額は、あなたがお調べにならぬでも、私が大体わかっておるのですが、四千万から四千六百万の間なのです。そこで、この差益金金自体処置がどうなっているかという問題なのです。
  11. 増田盛

    増田説明員 全部歳入といたしまして一般会計に入っていることと思います。
  12. 中澤茂一

    中澤委員 大体そうだろうと私も実は思っていたのです。しかし、この二百九十トンの輸入が明らかに今回の暴落一つ要因をなしておる。こればかりではもちろんございません。あなたの指摘した要件がこの暴落原因にあることはわかっておりますが、しかし、明らかに二百九十トンの輸入一つの大きな要因をなしていることはそなたもお認めになると思うのです。そうなると、やはり、これによって得た金、これは四千六百万円といわれているのですが、その金というものはこの要因を作る一つの大きな原因をなした収益金と私は見るのです。そうなると、当然この収益金は吐き出すべきだと思うのです。それが私の考え方であるが、あなたに御質問してもちょっと無理だから、私は大臣にどうしても出てもらいたいというのですが、明日でなければ農林大臣出られぬというから、質問は保留いたしますが、あなたはこれに対して局長としてどういうお考えを持っておるか。これが一つの重要な要因をなしておるとなれば、当然国は吐き出すべきだと思うのですが、あなたはどうお考えになりますか。
  13. 吉川久衛

    吉川委員長 中澤君、政務次官もおりますから……。
  14. 中澤茂一

    中澤委員 大野政務次官一つお伺いいたします。
  15. 大野市郎

    大野説明員 中澤委員のお尋ねになりましたコンニャク価格変動につきましては、局長からもお答えいたしましたが、そのほかに、私思っておりますのは、実は流通過程最終段階のその前にある製造業者段階であります。生産者共販体制が組まれていないために製造業者に牛耳られておる形が、価格変動の特殊な形で現われておるように見られておるのであります。それで、そういう意味で、特用作物でありまする関係から、在庫問題一つでも実は解明に幾らの在庫が残っておるので云々という数字の立証が統計上実は自信を持って申し上げかねるような現在の状況でございます。でありまするから、輸入の問題が御指摘の通りに結果としては原因になったと思いますけれども、果して需要がどれだけで、横ばいであるのか、あるいは暖冬のために減退したのであろうという予測は立っても、消費の総数値というようなものは実ははっきりといまだつかめない段階でございます。しかも、製造の形が、コンニャクを市販に流しまするその段階での水の割り方が問題でありまして、いろいろ実はこの点で操作が行われておるのも事実でございます。そのような、作物消費の形にかわるときに、ほかの米のような工合にキロで生産高が割り出せるというような単純な関係でない実情がございますので、この問題に対しては、どうしても抜本的に、日本人の食べものとしてはたいへん重要な食べものでありますから、統計にもっと力を入れて、はっきりとその意味消費量もつかむ。生産量ということも、もちろん、先ほどのお話のように、農家間作にされるなどのものが統計の外に作られておる傾向もございますとともに、消費の実態が実は算術で掛け算するようなわけに出ない部分がございます。それだけに、値段の下ったときに対策が大へんおくれたものと思っておりますが、抜本的にはそういう意味在庫調査どももっと方法を講じて、これをしっかりつかむように統計の整備をいたすべきであると考えます。  ただいま、輸入のために差益金が出たが、これを吐き出すべきでないかという赤裸々な御発言でございますが、その輸入があって差益が出ましたときにこれはやはり関連しての差金でありますから、コンニャク奨励金にそれを振り向けるとかなんとか、政治的にその関係業界その他からのそういう動きがおありになるべきでなかったかと思いますが、そういう関係で、とにかく国庫収入になって使ってしまっておりますので、あのときに金を国庫が収入したから今度その部分をここで予算にそっくり組めというもし御主張でございますとすると、国庫収入はそのときそのときに予算措置でもって切り上げておりまする関係から、財布を握る方の大蔵省関係はすなおに——そのときのかけ引き条件であれば私は一つ方法論だと思いますが、すなおにはそれを出すとすぐには言わないように私は見ております。ただ、そういう傾向があるのであるし、コンニャクが重要な特殊用産物であるということには間違いでございませんので、そういう過去の経緯にかんがみて、この際特に資金的な面で国は何とかめんどうを見るべきものであるという御主張に対しましては、私も大臣にその旨を御進言しまして、何とかこれはそういう値下りその他に対しても方法を講ずるように折衝すべきものではないかと思います。このコンニャクの問題に対しては再三陳情も受けておりまするので、実は、そういう考えで、当面の損害補てん云々がだめであっても、今の共販体制の強化に対しての行政的な指導措置だけでなくて、国の施策として何かこの問題にてこ入れが必要であるというふうな考え方を今日持っております。ただ、あのとき国庫は収入したからこれを吐き出せという直接論議では、私はむずかしいんではないかと思っております。
  16. 中澤茂一

    中澤委員 農林省政務次官はどうもコンニャク問答みたいなことを言っていてけしからぬと思う。少くとも大野政務次官にはわれわれ全農林委員非常な期待を持っている。ところが、いよいよ暖かいいすの座につくとコンニャク問答みたいなことを言っておって、はなはだ遺憾だということをまず一本申し上げておく。これは明らかに国の責任である。しかもきのうきょう起きた問題ではない。長期にわたってのコンニャクの値下り問題は、もはや前からの問題である。それに対していまだ統計資料がないからこの問題と取っ組めないというのは、明らかに私は政務次官として無責任発言だと思う。統計資料云々でこの問題を扱うなら、統計資料が間に合うまで何年でも待たなければならないのですかということになる。そういうことではなくして——あなたの意図するところはわかる。あなたにそうぎゅうぎゅう言ったって、これは成果の上る問題ではないし、いずれ福田農林大臣が来なければ話のつかぬ問題だということは、私は当初から委員長に言っておるのです。今のあなたの答弁というものは、だいぶ言葉は多かったが何にも根本的に考えているところがないんです。四千六百万吐き出せ、それは一般会計に入っているから無理だ、そんな、無理は承知で私は最初から質問している。しかし、大蔵省に対する折衝の口実は、私はここにあると思う。あのとき四千六百万を国庫に歳入したじゃないか、だから、この際、全額吐き出せとは言わぬが、価格低落利子補給に二千万なら二千万、二千五百万なら二千五百万出せということは、あなたが大蔵省と折衝する一つの口火として私は問題を提起しているのですよ。これはあなたに言ってもほんとうはしようがないんだがね。しかし、そういうことを政治的にあなたが考慮しなければ、あなたがどういう答弁をしたって問題は解決しないわけなんですよ。だから、きょうはあなたに質問はやめます。あした農林大臣とじか談判をやりますから質問はやめますが、少くとも、私は、大野政務次官としては、われわれ農林委員の輿望をになって立った以上、何とかしてコンニャク玉くらい一つ政務次官腕一つで解決してやってやるくらいの気がまえを持って、これに対してはこうすべきじゃないかというもっと積極的な熱意を政務次官は持ってもらいたい。  それから、これもあなたにお聞きしても無理だから一応局長の方に伺っておきますが、現在の当面対策は、ある程度局長も腹の中に大体ここくらいまでやらなければいかぬなということはあると思うのです。私自体も持っておる。当面の対策はいいが、畑地振興の大きな問題として、特産全体に対するこういう価格の暴騰、低落というようなものを毎年々々続けていていいのか、この辺でぼつぼつ抜本的な特産物に対する何らかの方策を考えるべき段階ではないかと考えられる。お互いに考えられることは三つあるわけです。まず、価格安定法の中にこれを入れるか、要するに価格支持を完全に行うかということが一つ。いま一つは、特産物価格調整一つ機関を作ることを振興局はもうぼつぼつ本気で考えなければいけないのじゃないか。この調整機関を作れば、かつて非常にもめた繭の問題と同じ形が私は考えられると思うのです。それは、政府が十億なら十億、二十億なら二十億、特産物価格調整機関に出資をする。それに対して政府が五倍なり七倍なりの保証をつける。それによって特産物——特産物といっても非常に範囲が問題ですが、畑作振興の面から考えて私は特産物と言っておるのです。果樹園芸を入れて言えば大問題になりますが、そういう面においてならば品目もわれわれにある程度の見当がつく。その価格低落しそうになったら、この調整機関が買い入れて政府てこ入れしてやる、あるいはその金の貸付をやって政府が一時価格低落を防ぐてこ入れをしてやる、こういう資本主義経済におけるところの第二段階考え方が私は考えられると思うのです。こういう調整機関を作るという蚕繭事業団方式のものが考えられる。これは特産物全体に対して考えなければならぬ段階に来ておると思う。だから、これを局長政務次官に聞くのは御無理な質問だが、しかし、局長としては、何らかここで畑作振興特産物の全体的な価格調整機関を作って、一つある安定価格を設けようというお考えはあるのかないのかということをお伺いいたします。
  17. 増田盛

    増田説明員 ただいま広い視野からの御意見がございまして、私どもといたしましても十分に研究しなければならぬと思うのでございますが、特に比較的値段横ばいのものはあまり問題じゃないのであります。私どもの所管いたします特産物の中にはいろいろなものがございまして、これ一つ一つがまたそれぞれいろいろな態様をなしておるわけでございます。これを全体といたしまして価格調整機構考えられるかどうかはきわめて疑問でございますが、しかし、全体をひっくるめたアイデアといたしまして、やはり価格の安定なしに農家経営の安定はないわけでありますから、この点なども十分に研究しなければならぬと思うのであります。たとえばコンニャクと同じような状態で今日困っておりますのはイグサでございます。しかし、なかなかたくさん問題がございますので、あるいは特定のものにしぼって、国民経済上あるいは農業経営上全体として重要度のより高いものから作業を始めますかどうか、どちらにしてもこういう対策を考慮しなければならぬ段階に来たと思うのであります。ただ、率直に申し上げまして、まだ私どもそこまで作業を進めておる段階でないのでございます。今後、しかしそう言っておるばかりではいけませんので、このことに関しましては十分に検討いたしたいと考えます。
  18. 中澤茂一

    中澤委員 当初から委員長に申し上げたように、これは農林大臣が来ないと、これは政治的な問題なので、大野政務次官の御答弁を聞いてもあの通りですし、とてもけりのつく問題ではないのです。そこで私は当初から農林大臣出席要求をしていたのですが、きょうはどうしても都合がつかぬというので、一応あすに保留いたしまして、私の質疑は打ち切っておきます。
  19. 吉川久衛

    吉川委員長 暫時休憩して貨物運賃問題の陳情を承わります。  休憩いたします。     午後二時三十一分休憩      ————◇—————     午後二時三十七分開議
  20. 吉川久衛

    吉川委員長 再開いたします。  農林水産物貨物運賃問題について、まず国鉄当局よりその後の経緯について説明を求めます。磯崎営業局長
  21. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 前回の当委員会以後の経過につきまして御説明申し上げます。  前回、六月末まで終了いたしますいわゆる公共政策割引を二カ月間延長いたすということ、及びその理由につきまして御説明いたしたと思うのです。その後農林省に対しまして私の方は六月二十一日付で再度資料の要求をいたしました。それに対しまして七月十日に農林省及び通産省から補足的な資料の提出をいただきました。私の方といたしましては、その後約二週間詳細にそれを検討いたしまして、いろいろほかの統計資料その他との照合もいたしました上で、先週の金曜日から具体的に農林省と折衝の段階に入っております。大体各品目別にいろいろ資料によりまして検討いたしました結果、三十三年度の実績で申し上げますと、いわゆる公共割引の全体の額は約二十億、各品目ごとに検討いたしました結果、その中の約半分に相当する部分、大体通産物資合せまして九億八、九千万円の額になりますが、それらを私どもといたしましては現在農林省と折衝中でございます。それ以後のものにつきましては、すなわち削減のあとの部分につきましては、今の農林省との話し合いでは、過般も申し上げましたように、貨物等級の専門委員会を現在なお続行開会中でございまして、今週十三日にもございますが、その専門委員会におきましてそれを一応検討いたしまして、特別等級に対して一部編入する、残りの部分については農林省として予算措置その他を講じて極力国家からの補償を考えてほしい、こういうような、これは申し入れでありますが、申し入れをいたして現在に至っております。  以上でございます。
  22. 中澤茂一

    中澤委員 前回に、この委員会までに必ず提出するようにあなたに資料の要求をしておるのです。速記録をごらんになればわかるように、あなたの方で検討しておる資料の内容が妥当であるかないかを当委員会も検討するから、そこであなたの方で検討しておる基礎資料というものを御提出願うということを前回のときに私は資料要求をしておるのですよ。お忘れになったのですか。
  23. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 その点につきましては、中澤先生からお話があったことを確かに記憶しております。そのときに、ただこれは農林省から私の方に提出された資料でございますので、私の方からその資料をお出しするのはいかがというふうに考えて、そちらの事務局に参りまして、これは農林省の方に御要求を願いたいということを申しておるのでございます。
  24. 中澤茂一

    中澤委員 それは農林省から出しておる資料ももちろん加えて、あなたの方で、この前あなたがいろいろおっしゃったそういう価格形成の問題や市場変動の問題が妥当であるかないかという基礎的な私たちの方の検討材料をお出し願いたいというふうに要求してあるのです。それが出てこないと、あなたの方で一方的に改訂についての検討を進めたといっても当委員会が了承できるかできないか。なるほどこれだけの基礎項目で、これだけの調査をやって、そこで出る結論ならという、われわれの納得するものが出ないと、これは当委員会としては承服できませんよ。だから、そのあなたの方で検討しておる基礎的な資料というものを御提出願いたいと言っておるのです。
  25. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 私の方の検討資料は、あくまでも農林省の資料を中心にした検討資料でございます。農林省の出した資料に基きまして私の方は個々具体的に検討したわけでございます。
  26. 中澤茂一

    中澤委員 それは話が違いますよ。あなたは、当委員会の私の質問に対して、われわれは今こういう項目にわたって検討しておるのだということを言っておるのです。だから、その検討資料の内容が妥当であるのかないのか、あなたの方で出しておる基準というものが妥当であるのかないのかを当委員会で検討しようということで、資料要求をしてあるのですよ。農林省の出した資料とあわせて要求してあるのですよ。それはどうなんです。お忘れになったのですか。
  27. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 私の方といたしましては、農林省に対しまして、今先生のおっしゃったような大体五つの項目によりまして項目ごとの資料の提示を求めております。従って、その各項目ごとの農林省の資料が第一回に出て参りましたが、非常に不備でございましたので、それについて具体的にこういう点をこういうふうに調査してほしいということで再度資料の提示を求め、そして農林省から二回にわたって資料が来ております。その資料につきまして私の方は具体的に検討しておるわけであります。
  28. 中澤茂一

    中澤委員 その資料を本日当委員会に提出するまでにまだ至ってないのですか。
  29. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 これは各品目ごとの資料でございますので、その資料に基いて農林省と私の方とで先週から具体的に各資料ごとに検討しております。
  30. 中澤茂一

    中澤委員 そこで、資料はどこまでも要求して、当委員会で妥当であるという結論が出ない限り、決議もしておるのですから、簡単に当委員会は了承はできないと思うのです。  そこで、一体九月一日から若干なりとも変更してやるという方向でいくのか、あるいは賃率改正、法律改正まで通常国会に根本的に持っていかなければいけないという態度でおるのか、そのいずれであるかを明らかにしてもらいたい。
  31. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 その点につきましては、私の方といたしましては、九月一日から新しい割引率でもって実施して参りたい、こういうふうに考えております。
  32. 中澤茂一

    中澤委員 それはどうも自民党の幹部諸公並びに農林水産委員諸公から聞いておる話と大分食い違っている。これは、政府与党の方からの申し入れで、賃率改訂へ持っていくかどうかという重大な段階に来ているので、でき得るならばそういう末梢的な方法でなくやはり根本的な法律改正の賃率改訂まで持っていくべきじゃないかという御意見政府与党の幹部諸公から来ている、だからこの問題は一応据え置きになるだろう、そうして通常国会において根本的な法律改正にいくだろうということを聞いておる。そうすると、あなたの御答弁政府与党の考え方というものは大分食い違っておるんですがね。その辺はどうなんですか。
  33. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 私の方といたしましては、私が責任者でございます。私の承知しない間にそういう話はない。実はけさ総裁と一緒に参議院の農林水産委員会に出席しておりましたが、総裁も私と同じことを申し上げておったということを理解しておりますが、今度の問題を今のまま延ばして、賃率改正と申しますか、先生のおっしゃる賃率改正とはどういうことかちょっと了解できかねるのですが、たとえば運賃改正という意味かと存じますが、そういうことをやるかやらないかさえも今まできめておりません。と申しますのは、新しい賃率を作りますときに、前回も御報告いたしました通り、現在の貨物等級専門委員会で具体的に貨物等級表を作成いたさなければ新しい賃率表はできないのであります。その作業を現在継続中でありまして、約四十人の各業界の代表者に出ていただいておりますので、非常に話がむずかしい面も多多ございます。私どもといたしましては、その専門委員会の結論が出ましたならば、新しい貨物等級表を作りまして、やるならばそれでもって賃率改正をするということになりますので、果してそれがことしの通常国会に間に合うかどうか、まだ私どもといたしましてはその委員会に御諮問申し上げておる最中でございますので、その結論を待たないで今度の通常国会で新しい等級表に基く賃率改正をいたしますということをまだ申し上げ得る段階ではないというふうに思っております。
  34. 吉川久衛

    吉川委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  35. 吉川久衛

    吉川委員長 速記を始めて。  中澤茂一君。
  36. 中澤茂一

    中澤委員 今の資料の問題は、委員長が言ったように、国鉄の財政状態の基本的な面からこういう変更をしなければならぬという資料から、以下ずっと現段階に及ぶまでの資料、この資料を明日午後までに提出してもらいたい。同時に、この問題は営業局長に話してもけりのつく問題ではありませんから、明日の出席要求は、農林大臣、運輸大臣、国鉄総裁、副総裁、営業局長、この五氏の出席を要求いたします。
  37. 吉川久衛

    吉川委員長 ただいまの中澤委員の要求を了承いたしますが、ただいま副総裁が見えることになっていることを御了承願います。  磯崎営業局長に申し上げますが、ただいま中澤委員の要求の資料を明日午後本委員会に提出していただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  38. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 極力提出いたします。ただ、明日午前中参議院の農林水産委員会が開かれることになっておりますので、私も出席いたさなければならぬことになっております。できるだけそういう資料をととのえるつもりでおりますが、どうしても明日午前中作業ができないようになってしまっておりますので、きょうじゅうにできるだけやって、もしできなければ明後日にでも……。
  39. 吉川久衛

    吉川委員長 局長に申し上げますが、局長、あなたが事務的な書類を作るわけではない。あなたは部下に指示を与えて、そしてこういう資料を作れと命じておけばよろしいのであって、あなた自身がお作りになるわけではございませんから、明日午後本委員会の開会中に、従って本日の運賃問題に関しはてきわめて簡潔に質疑を終ることにいたしておきますから、それを含んで実行していただきます。  それでは、質疑通告者の了解を得ましたので、質疑は明日に送ります。  そこで、ただいま私から営業局長に申し上げましたことについて、はっきりした御返事をちょっと承わっておきます。
  40. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ただいま委員長からお達しがございました資料についてでございますが、私の能力の許す限り……ただ、申し上げておきたいのは、私どもの方の資料を御要求になる場合は、当然農林省が私どもに出された資料もともにごらん下さいませんと、私どもの資料だけでは話を受ける方だけでございますので、片一方の話の仕方を一つごらん願いたい、こういうふうに私は思います。
  41. 吉川久衛

    吉川委員長 ちょっと私から大野政務次官に申し上げますが、私の仄聞するところによりますと、国鉄当局から農林省に何かこれに対する意見が出ているように聞いているのでございますが、さようなことがあるのかどうなのか。もしありましたら、それに基いての農林省考え方を、中澤委員がかってから要求されております資料に関連をして本委員会に提出されたいと思いますが、できますかどうか、お答えを願います。
  42. 大野市郎

    大野説明員 先ほど、先週の金曜日に農林省とさらに折衝に入ったという磯崎局長の話がありましたが、その通りでありまして、ただいま、十数種の品目にわたりまして、いろいろ今の公共割引の問題に対しての全面廃止の傾向に対してそういう相談がありましたので、農林省ではその説明を一応聞きまして、検討を要する問題でありますから、その内容だけを聞いて帰って参っておる状況であります。その詳細についてはさらに経済局長から御答弁をさせますが、農林省といたしましては、御承知通りに、この公共割引によってせっかく農産物の価格の問題に対して貢献ができておったのにかかわらず、こういうことでしわ寄せが農林水産物資に片寄って参っておるのが今日までの折衝の形でありますだけに、こういうことはとても承服がならぬという建前で強硬に突っ張っておるのが現在の状況でございます。
  43. 須賀賢二

    ○須賀説明員 ただいま大野政務次官から御報告があった通りでございますが、公共政策割引の九月以降の扱い方につきましては、先週半ばに国鉄当局から一応の考え方の御連絡がございまして、目下その内容につきまして検討をいたしておるのであります。     〔「委員長、何聞いたんだ、資料を要求したんだろう」と呼ぶ者あり〕
  44. 吉川久衛

    吉川委員長 結論は、出せるか出せぬか、こういうことを聞いているのです。
  45. 須賀賢二

    ○須賀説明員 資料の点につきましては、私ども考えておりますのは、この公共割引の存廃につきまして国鉄から詳細な資料の要求があったことは前回にも申し上げた通りでありまして、国鉄側といたしましてはいろいろ御不満もあるようでありますが、われわれといたしましてはできる限りの努力をいたしまして整理をいたしたものでございます。国鉄がそれに基いていろいろ御判断をなさっておられることと思うのでございます。従いまして、当委員会にその資料等を直接御利用になるかどうかは国鉄側の御判断によることでございまして、私の方では本委員会にお出し願ってもちっとも差しつかえないことであります。     〔「冗談じゃないよ、これはすれ違い答弁だ」と呼ぶ者あり〕
  46. 吉川久衛

    吉川委員長 芳賀君。
  47. 芳賀貢

    ○芳賀委員 委員長に申し上げますが、委員長から国鉄並びに農林当局に言われた資料の内容がわからないのですけれども、速記をとめた間にいろいろ言われたようなんですが、一体どういう資料を当局が提出するのか、それを委員長から明らかにされて、なお不足であればわれわれの方からも要求したい資料の内容を明らかにしたいと思います。
  48. 吉川久衛

    吉川委員長 それではお答え申し上げます。  中澤委員から要求しておられます資料は二つでございます。農林省の国鉄に提出をした資料、それから、それに基いて検討した国鉄の資料、速記録を見るとこの二つを要求しております。ところが、その内容を伺いますと、磯崎局長は、非常に広範にわたってそれを品目別に今農林省と折衝中である、それを今すぐ出すということはなかなか容易ならぬことである、こういうお話でございますので、一応時間的にもっともにも思います。そこで、私は、それよりは、基本的な問題を、一体この制度を存続するのかやめるのか、やめる場合には関係省が予算に計上して一般会計から補てんをすることをも要求するのか、それともしないのか、その基本的な方針を明らかにするところの資料をこの際明日本委員会開会中に提出せよ、こういうことにしたわけでございます。  それから、農林省に対する私の要求は、ちょっと私が事情があまりにつまびらかであったために農林省として答えにくかったかもしれませんけれども、国鉄から意見が出されておるように仄聞しております。もしその意見が出されておるとするならば、どういう意見であったのか、それに対して農林省はどういう考え方を持っているのか、どういう返事をしようとしているのか、それを本委員会に提示せよ、こういうことでございます。
  49. 芳賀貢

    ○芳賀委員 なお私から要求しますが、第一点は、農林省が政策割引の存続を要求された品目表ですね。おそらく百三十六品目と思いますが、その品目表はそれほど広範な内容ではないと思います。  この継続の品目表にさらに附すべきものは、継続することによって各品目が現在まで行われた制度によってどれくらいの恩典を受けておったかという数量、金額ですね。こういうものはやはり基本的な資料としてわれわれが手元にもらわないと具体的な審議を進めるわけにいかないのです。それはぜひ農林省からでも国鉄当局からでも明日までに提出してもらわなくてはならない。  なお、仄聞すると、国鉄の方では十九品目だけを削除して、あと残った品目については従来の二分の一程度の割引を継続するということを外部にも放言しておるように聞いております。そういう具体的な案があればあわせて明日提出してもらいたい。  これを要求します。
  50. 吉川久衛

    吉川委員長 私の農林省に要求をしたのは芳賀委員の今おっしゃった内容と全く一致しております。
  51. 大野市郎

    大野説明員 ただいまの委員長並びに芳賀委員の御要求のございました通りの内容のものを、あすの午後までに用意をいたしまして提出いたします。
  52. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 ただいまの須賀局長答弁の中で、農林省としては一応の主張をつけてその品目を提出したが、採択するかどうかは向う様次第だという意味答弁があったわけです。これは基本的に非常な間違いでありまして、いやしくも公共割引というものについての農林相の主張を明らかにしてこれを要求しておる以上、その要求を通すために努力をしなければならないはずなのです。それを、決定を国鉄にまかせるという意味答弁が行われたことは、われわれは了承しがたい。果してそういう真意であるかどうか。これは重大な問題でありますので、もう一度その点は明確な答弁を願いたい。
  53. 須賀賢二

    ○須賀説明員 私はただいま御指摘のような趣旨で申し上げたのではございません。資料の利用の仕方その他について、国鉄でいろいろ意見があれば国鉄の意見によってお読み取りを願いたい。ただ、これの存廃その他につきましては、もちろん両者間におきまして十分協議をいたしまして、その結果によって処理すべきものと考えております。
  54. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 両省間の折衝によって云々ということでははなはだ不満足なのです。あなた方は、日本の農業をどうやって保護するかという立場に立って、農民の利益を擁護する立場に立って、農林省主張を貫くために努力をしなければならないはずなのです。それを、何か人まかせのようなそういう態度では、農民の要求が通るとは考えられない。そういう心構えではいけないのです。どうですか、これは今せっかく折衝中だという重大な段階でありますから、一つ政務次官からこの点についての明確な態度を表明していただきたい。
  55. 大野市郎

    大野説明員 先ほどお答えいたしました通りに、農林省といたしましては、国鉄側で資料の要求がありまして、その資料をととのえて、後ほど委員会にも御提出いたします資料を出しておるわけでありまして、従って、国鉄側が一つの合理化を考えてそういう要求をいたしましたので、同じ関係庁として資料はすなおに出してある。しかし、その読み方に対しては、先ほど局長が言いました通りに、相手がどんな読み方をするか見守っている。木で鼻をくくったような工合で資料を出さないというわけには部内の関係で参りませんので、出しておりますが、農林省の腹は、あくまでも、低所得で所得の改造をせねばならぬということを言っております今日の立場でありますから、むしろあくまでも公共割引制の存在の理由を再確認してがんばらねばならぬという考え方で今日おるのでございますから、その点はどうか御了解を願いたい。
  56. 吉川久衛

    吉川委員長 国鉄運賃の問題については、関係当局の資料作成の都合を考えまして、本日の質疑はこの程度にいたしておきます。     —————————————
  57. 吉川久衛

    吉川委員長 次に、テンサイ糖の問題について質疑の通告がありますので、これを許します。芳賀貢君。
  58. 芳賀貢

    ○芳賀委員 食糧庁長官にお尋ねしますが、当委員会としては先般約一週間にわたって北海道の農業事情の調査等を行なったのです。その調査の対象にはテンサイ糖業の問題等も含まれておったのでありますが、たまたま調査の途中において、テンサイの集荷地域の問題についてまだ未解決の問題があることが発見されたものですから、本日は集荷区域の問題だけに限定して質問をするということに理事会の打ち合せはなっておるわけです。いずれ、北海道調査の報告が当委員会で行われた後において、テンサイ糖問題全般の基本的な問題等については調査を進めたいと考えておるわけです。  それで、長官にお尋ねする第一点は、北海道の日甜の美幌工場が操業を開始する、それから台糖の伊達工場も操業開始ということになるわけでありまして、従って、北海道全体の地域内における既存の工場をも含めた七工場に対する原料の集荷区域の設定というものは当然四月中に行われておらなければならぬのでありますが、それがたまたま網走支庁管内においてまだ未解決な地区があります。この点に対しては、長官も先般北海道に行かれたということを聞いておりますので、現在どういうような解決の方途に向っておるか、お尋ねします。
  59. 渡部伍良

    ○渡部説明員 テンサイの集荷地域の調整につきましては、先般日本てん菜振興会法案の御審議の際御説明申し上げましたが、三月三日付をもって「てん菜の集荷に関する調整について」という振興局長食糧庁長官の連名の通牒を北海道知事に出しました。それに基いてテンサイの集荷地域の調整をはかっておるのであります。御指摘の通り、日甜と芝浦精糖との間に、上湧別、湧別、佐呂間の三町村について道庁の案が出てきました。それに対しましては、農林省としまして、各工場の操業度等を均霑せしめる点から、道庁案でいいと思われるけれども、道庁案には、作付生産見込み数量、それから工場の能力等について必ずしも百パーセントその通りでいいと言うこともできない面もありますので、実際の作付状況を精査した上各工場の操業を可及的に均等にするために調整を行う、こういうふうにしたらいいだろうという回答をいたしておるのであります。その集荷の調整については、具体的に町村によって地域別の調整をするか、あるいはテンサイ糖製造工場に対するテンサイの集荷数量の調整にとどめるか、道庁で現地の事情に合ったようにしたらいいだろう、こういう回答を出しておるのであります。ただいままで私が参りまして道庁当局から伺ったところでは、具体的な作付の実態を精査しておる、従って、当初の原案通りでいいか、あるいは再調整を必要とするのか、もうしばらくたって結論を出したい、こういうふうに承わってきたのでございます。
  60. 芳賀貢

    ○芳賀委員 長官が健忘症になったわけではないと思うのですが、そういう抽象的なものではないのです。三月三日に食糧庁長官振興局長の連名による北海道知事あての「てん菜の集荷に関する調整について」という通達は、今長官の言われた以上に具体的な内容を持っておるわけです。特に、三十四年度における網走支庁管内の集荷地域の一部変更の問題については、この通牒の末尾に、「このことについては、貴庁担当部長とも打合せ済であり、又別添のとおり日本甜菜糖業協会及び各てん菜糖製造業者あて通達してあるので念のため申し添える。」というような内容になっておるので、これは結局てん菜生産振興臨時措置法の第三条第一項に基く振興計画を知事が策定して農林大臣の承認を求めなければならぬという根拠から発しておるわけです。ですから、これが収穫時期に至るまで集荷区域がきまらない、従って工場別の販売計画というものも立たないということになると、これは今後の事態としても非常に運用上支障がくるわけなんです。従って、このように当年度における集荷区域が収穫時期に当面している今日まで決定を見ておらない、計画が出されておらぬということについて、これは、中央における食糧庁としても、今までこれを放置しておいたということについてはどのような理由があるのか、その点をお尋ねしておきます。
  61. 渡部伍良

    ○渡部説明員 ただいまお読みをいただいたのは本年度のテンサイの集荷の調整についてのやり方について、「てん菜振興措置について」という別添Iの資料の3の問題でございます。従って、この集荷調整要領に基きまして販売計画の作成をやってくれ、こういうことで、このただいまお読みをいただいた通牒を出したのでございます。それに基きまして、三月三日の知事あての通牒、及び甜菜糖業協会、テンサイ糖製造業者というものが寄りまして、「てんさい振興措置について」の要領3によって道庁が案を作ってきたのでございます。道庁の案について、大体それでいいけれども、なお、工場能力の見方なり、あるいはことしのテンサイの作付計画、それが今はもう実績が出ているわけですから、実績いかんによっては再調整をすることを道庁に一任したのでございます。その一任した際に、地域別にするか、あるいは出来秋の集荷量、生産量で調整するかは、どちらでも道庁が現地の事情に合うふうにしたらいいだろう、こういうことを指示しておるのでございます。
  62. 芳賀貢

    ○芳賀委員 長官の言われたことと少し内容が違うのですが、この三月三日の通牒は道庁の担当部長と事前打ち合せ済みであるということは、これは非常に具体的な内容なんです。これは長官も当時の業務第二部長も御承知のはずですが、これは三月二十七日に北海道庁の農務部長からの「てんさい販売調整地域について」という通牒が関係の工場あるいは支庁長等にも出ておるわけです。これによると、この打ち合せ済みというのは、昭和三十四年度に限る措置として、三十四年度は、美幌工場が操業を開始することによって、従来の芝浦工場の集荷地域であったうちの佐呂間町、湧別町、上湧別町の三カ町に日甜の地域とする、そういうことがこの内容になっておるので、この内容がすなわち三月三日の長官と振興局長通牒の事前打ち合せ済みという内容なわけなんです。これだけ具体的な打ち合せ済みで、そうして農務部長の通牒が三月二十七日に出されて、これがいまだに本年度の生産計画の中に、あるいは販売計画の中に明らかになっていないということは、これは、今後の運営上はもちろん、この地域におけるテンサイ栽培者、生産農民は非常に春の耕作以来不安を持って今日に至っておる。従って、私たちが今回調査に参りましたときも、関係地域の耕作者の代表、あるいは札幌等においては農民同盟の代表等からも、北海道における畑作地帯の農民大会の決議等によってもこの問題を速急に処理してもらいたい、そういう切実な要請も実はあったわけです。この三月二十七日という、このごろは御承知通り、北海道においても激烈な知事選挙が始まって、これは天下分け目のような戦争であったので、これが何らかの理由によって即時実施ということにならなかった。知事選挙が終るまで一応この実施を保留するというような含みのもとに、これを現地においても了承しないような事態があったわけです。ところが、五月になると、自民党の町村君が知事にもうなって、前任者の業績というものはやはり当然新任の知事が継承して事務的にも処理を進めなければならぬのですが、現在においてもこれは放置されておる。こういうような事務上、行政上の怠慢に対しては、これは当然農林大臣あるいは食糧庁長官振興局長の名においてそういう怠慢に対して指摘をする責任があるとわれわれは見ておった。ただ、この集荷地域の問題とかは、営利追求の資本主義の糖業会社の利害に関する問題であるから、われわれとしてはこういう問題にあまり介入したくなかったから今まで静観しておったにすぎない。しかし、この時期になってこれをさらにわれわれとしても放置しておくことはできませんので、先般の委員会の調査によって、この問題に限って今日のこの委員会において取り上げるということになったのですから、もう少し率直に、たとえば先日長官も札幌に行かれたのだし、振興局長も出席しておりますので、これらの内容というものは、この知事がかわったことによる何か影響があってこういうことになっているのか、どういうことであるかということを明らかにしてもらいたい。
  63. 渡部伍良

    ○渡部説明員 先ほども申し上げましたように、三月二十七日に道庁から出てきた案、これは大体これでいいだろう、しかし、これは作付の実績がまだきまっていない、それから工場の能力の算定方法についても検討の余地がある、こういうことであるから、それを、作付の実績がきまり工場能力の算定方法がきまった場合には、各工場の操業を可及的に均等にするように適宜調整を行うという前提で、北海道庁でそれでやったらいいだろう、こういうことを言ったのであります。ただ、そのときに、再調整がもし必要である場合には、作付の状況等について集荷調整委員会が道の指導のもとに調べ直す、精査をする、これが前提になっております。そして、もし調整を必要とする場合には、集出荷の調整については具体的に町村別によるか生産量によるかは道庁の判断に一任をする、こういうことを言っておるのであります。その後作付の実際の状況を見ますと、豆の作付が意外に伸びて、ビートの作付が予定通り伸びなかった、こういうふうなことをいわれておるのであります。そういうことが果してどの程度のものであるか、あるいはこの芝浦と日甜との関係においてどういう影響を及ぼすかということを今調べておるようでございまして、それができますれば、当初の原案通りにそのままやるか、あるいは一部は原案通りで一部は数量を調整して両者の工場を均等せしむるような操作を必要とするだろうかということは、これから出る結論になるのではないだろうか。今は、私が北海道知事と農務部長に伺ったのでは、そういう数字を求めておる、こういうことでございます。遠からず結論が出てくる、こういうふうに思っております。その結論を見て、私どもは、当初の原案でいいならそれでよろしいし、調整するとしても、またその再調整が要るというようなことのないように十分精査をしてもらいたい、行ったり来たりすることはやめてもらいたい、当初の原案にこだわってもいけないし、また、精査をせずにさらに再々調整が要るということでは困るということを言って帰ったのでございます。
  64. 芳賀貢

    ○芳賀委員 長官は大事な点を飛ばして答弁しておる。三月二十七日の農務部長通牒の内容は、第一は、冒頭に、この区域調整は昭和三十四年度に限るということを前提にして、佐呂間、湧別、上湧別の三カ町は日甜の美幌の集荷地域とする、端野村については従来通り芝浦地域とするということが前段で明確になっておる。今長官の言われた、実収等を見て、豊凶の状態やそれから収穫の状態を見て調整しなければならぬという点については、これは第二の点でうたってある。「但し、芝浦、日甜両会社区域間の原料生産に甚しく相違を生じ工場操業日数に相当の不均等となることが確実となった場合は、両社間の協力によって原料の調整を行うものとする。」、これは一と二とは違う。一の点の集荷区域は、作付前に、三十四年度に限る措置として、これこれ三カ町は、ことしから操業する日甜の区域にこれを変更しますということで、しかし、耕作が行われて実収が明らかになった場合において、この区域の変更によってはなはだしい不均衡が両工場間に生じた場合においては、結果的に原料の調整等を行うというのがこの趣旨であるわけです。長官は、一を全然言わないで、調整をしなければならぬから、実収が明らかとならなければできないと言う。そういうこととは内容が違うのです。しかも、これは、生産振興臨時措置法の第三条の一項に基いて、当然早期に確定して知事が生産計画、振興計画、ことしは販売計画までも含めた振興計画というものを策定して、そうして農林大臣の承認を得なければならぬ。しかもこれに基いて今度は製造業者はテンサイの購買に対する計画というものを策定して、これも知事の承認を得て農林大臣に提出しなければならぬということになっておる。ですから、当然今まで行われなければならない措置が、計画の中にも出てきていないのです。ですから、おそらく農林省においても、ことしの知事が策定して承認を求めたこれらの計画の内容というものはつまびらかになっていないでしょう。こういうことは、法律の上から見ても運用上から見ても前例のないようなことであるので、どうして今までこれを放任されたかということです。その両工場の原料集荷区域が変更されたことによる現実の不均衡が生じた場合においては、これは両工場間において調整しなさいということが親切に農務部長通牒の中に明らかになっておるわけです。それが今まで道庁においてもこれを放任しておるような状態に置かれておる。なお、われわれが現地へ行って聞くと、これは知事の手でもどうにもならぬからして、今度は現地の支庁長にまかした、支庁長の手でも調整がつかぬから、支庁の一産業課長にこれを適当にやれというように、そういうだんだんだんだん下の方に責任を転嫁するような現状に置かれておるということを、われわれはこれは調査の上で明らかにしてきたわけです。そういうことになると、いつまでたってもこの問題の解決はできないということです。ですから、非常におそまきではあるけれども、三月二十七日の農務部長通牒というものを明らかにして、そうして当年度の生産計画というものを大臣が承認して早急に今後の事態を進めていくように、これは食糧庁長官振興局長からあらためて北海道町村知事に対して通牒を出すべきであると思いますが、いかがですか。
  65. 渡部伍良

    ○渡部説明員 御承知のように、私の方で今のような指示をいたしたのに対応して、四月に入って北海道農務部長から現地の支庁長なり農業団体、それから今の集荷調整委員会の方に、芝浦、日甜の調整については最終的結論が出るまでは暫定方針でいく、つまり、中立帯でいく、こういう通知を出しておるわけです。それが今まで引き続いてあるわけであります。最初の農務部長の決定通りに行われておらないのは御指摘の通りでございます。これには、お話がございましたように、いろんな問題がからみまして、相当深刻な問題になっておりまして、いつまでも、地域をきめてもそれが実行されない、それに空白の期間を置くということは、テンサイの生産農家に迷惑を及ぼすことでございますので、中立地区を作って作付なり指導は道庁が責任をもってやる、こういうことでやっておるのでございます。その後作付の実績が出てきまして、結局その三カ町をどこにつけるかということは、それだけの問題でなくして、その今御指摘になりました第二項の問題がバックグラウンドになってあるわけでありますから、第二項にあります芝浦、日甜の両社のいわゆるプロパーの地域の生産実績もわかりつつあるわけでございますから、そうすれば、理詰めで、北海道庁の当初の位置の方は原案そのままでいいのか、あるいは多少の修正を要するのかという結論がおのずから出てくるわけであります。その結論を出すために現在精査をしておる、こういうことを申し上げておるのでありますから、第一点を忘れておるのではございません。第一点の結論が出るのには、芝浦、日甜の両社のプロパーの集荷区域がバックグラウンドになっておる、従って、それが出ない限り、すぐ結論は出ないということでございます。
  66. 中澤茂一

    中澤委員 関連して……。  それは、長官、私は現地調査の農林委員の一人として湧別初め農民から陳情を受けておるが、一体どこにやるんだと言っている。もうぼつぼつ、前渡しというか、若干金の問題もからんできておるらしいです。出荷時期が迫ってきておるから、われわれはどうするんだということで強い陳情を受けておる。早くきめてくれと言っている。そこで、われわれが現地調査に行くと、——これはいずれビート問題全体を討議する場合に問題にしようと思いますが、一体あそこに現在の状態で三工場許可したということはでたらめですよ。そこで、日甜に行けば、日甜は、おらが方は二千五百町歩で、湧別ほか三カ町の千二百町歩はおらの方だ、おら方は三千七百町歩だと言う。芝浦に行くと、七千二百町歩だと言う。どっちもおら方だと言っておる。そこで、現地の農民は困ってしまっておる。あれは出荷前に若干の前渡しみたいなことも農民対会社の間であるらしい。これじゃわれわれの帰趨がわからないじゃないか、だから至急われわれのものをどうにかしてくれという陳情を受けておる。そこで、この問題は早急の問題だからというので、函館へ行きまして一応意見調整をやって、報告書の問題もあるし、同時にこれは農民のために早急に結論を出してやらなければいかぬ、こういうことになりましてそこで、十一人の調査委員が集まりまして、皆が意見をかわした結果、二千五百町歩の今の日甜の工場ではそれは非常に不利である、成り立たない、政府が許可した以上、やはり政府がその保護政策の上からある程度の責任を持つ必要がある、そこでこれは、芝浦が六千町歩なんだから、この千二百町歩というものは日甜へやるべきであろうという結論を委員長を中心に討議をして出してきたのですよ。だから、それをまだもたもたして結論が出ないということはおかしいので、だから、当委員会の調査委員の結論は与野党問わず一応一致しておるのです。だから、それに対して何らか現地農民のために至急きめてやらなければならない段階なのです。だから、当委員会は場合によればここで何らかの意思表示をして、そして、あなたなり大臣の方から北海道庁に対して、これこれの処置をとるべしという、その方法を講じて、至急に現地農民のためにきめてやる必要がある、こういうことで本日この問題だけを取り上げようという理事会の決定で取り上げたのです。だから、私は、調査委員の一人として、われわれの現地調査の結果出した結論は妥当なものであるという確信を持っております。だから、それを至急処理してもらいたいというのが要望なのです。
  67. 渡部伍良

    ○渡部説明員 お話の筋は私もよく了解しております。一日も早く結論を出した方がいいと言っております。ただ、一応案を出しまして、俗な言葉で、けちがついているわけです。それを直してまたそれにけちをつけられたのでは北海道庁も面目がなくなる。だから、今度出せばそれでできるような案を作らないと物笑いになるということを言ってきておるのでございまして、それにはバック・グラウンドになる今御指摘がありました二千五百町、千二百町、こういうような話がございますが、これは面積だけではいかぬし、ことしの作付の収量の見込等も加味して、これならば原案通りでいけるじゃないか、そういうことをやってきめれば、それからあとずさりをしない、こういうことを言ってきているので、急げということについては私の方も言っております。
  68. 中澤茂一

    中澤委員 それでははやての伍良さんにも似合わないことでおかしいですよ。これは、即答で、きめますと一言で言ってもらって、芳賀君は五分間でこのビート問題は終ると思っていたのです。ところが、そういうことはおかしいじゃないですか。ビート全体の持ついろいろ問題にしなければならないものが相当わかってきたのだが、あれだけの保護政策をやって、何で指示権くらい持たないのですか。農林省が指示を出したならばこれに対しては会社は絶対服従させるくらいの指示権を農林省が持たぬということはおかしいじゃないですか。だから、指示権を持って、あなたの方が、湧別ほか三ヵ町、千二百町歩は日甜へやるべしとぴしゃっとやったらどうですか。その点で、はやての伍良さんのお手並みを見せようじゃないですか。
  69. 渡部伍良

    ○渡部説明員 指示するのには基礎の調査が必要でございますので、基礎の調査で私の方が確信が持てますれば指示いたします。
  70. 中澤茂一

    中澤委員 それは、われわれの調査の結果、作柄は平均しています。別に斜里の北連工場の方がうんと悪いとか、それから芝浦地帯が——われわれあの地帯を全部通ってパイロットフアームへ行ったのですから、作柄を自動車の窓から見てきたのだ、畑によって若干の格差があるかもしれないが、それは平均したらどこも平均ですよ。畑によって若干できのよしあしがところどころある。それはどこへ行ってもあることで、ことしの作柄というものは決して悪くない。そこで、片方六千町歩でしょう、片方二千五百町歩でしょう、だから、この三ヵ村というものはやはり日甜へつけるのが妥当であるというのが当委員会の調査委員の一致した結論だったのです。だから、六千町歩の方が全然とれないで、片方の日甜側の方がばかよかった、そんな作柄じゃないです。ことしは全道平均しています。ただ、地区別によって、ずっと根釧地区は悪いとか、帯広からこっちはいいということはある。全体は作柄は平均であります。それは、あなた、八日間自動車で二千三百キロ走ったんです。一日四百キロからずっとビート畑の中を走ったんだから、われわれの目に誤まりはないですよ。だから、そこでわれわれの結論をちゃんとお聞きになって、よろしい、わかった、じゃこうします、こうでなければいかぬ。
  71. 渡部伍良

    ○渡部説明員 御趣旨の点はよくわかります。ただ、私の方でも、北海道庁の方に、とにかく当初の案をわれわれの方は原則的に是認しているわけですから、もしそれに文句があるなら慎重にやらないと困るということで、ただそれがまだ北海道庁が原案通り、やらない、ペンディングして、やらないでいるわけですから、なぜ早くやらないか、ぐずぐず言っているのならどういうことを言うのか聞いていたのです。(「権威を持ってやれ」と呼ぶ者あり)権威を持ってやれといっても、北海道庁の作付が一番権威があるのですから、それができるまでは私の方で指示できないです。
  72. 芳賀貢

    ○芳賀委員 振興局長にお尋ねしますが、昭和三十四年の、てん菜生産振興臨時措置法の第三条一項に基くテンサイ生産振興計画というのは、知事からこれは出ているんでしょう。それと、さらに、この第八条に基くところの製造業者からのテンサイ購入計画というものを、これは知事の承認を経て当然農林省に提出されているはずです。どうなっておりますか。
  73. 増田盛

    増田説明員 この生産計画は、正式に言いますとまだ出ておりません。というのは、三十四年度は特別事情がございまして、五カ年計画案を練った場合に北海道庁から各種の案が出たのであります。そのいろいろな案が出まして……。
  74. 芳賀貢

    ○芳賀委員 三十四年度のは。長期計画じゃないですよ。
  75. 増田盛

    増田説明員 いや、三十四年度以降五カ年計画ですが、その場合に三十四年度の計画が初年度になるわけであります。従いまして、五カ年計画との関連で初年度をどうするかという問題は、全体の計画との関連で討議しなければいかぬ。そこで、これは私どもも協力し合って作業したのでありますが、北海道庁の意見がなかなかきまらない。しかも国会に対しましては五カ年計画案を出さなければいかぬ。それは初年度が三十四年度となっております。そういう関連がありまして、三十四年度を切り離して生産計画を立てて農林省の承認を得るということがなかなかできかねる、そのうちに市町村段階におろしてさらに細密に検討するということになったわけであります。そこで、一番新しい段階で言いますと、市町村別の計画を積み重ねてくる、それによって、五カ年計画案に対して、全体としてはいいけれども、あるいは慣習その他によって若干の変更を見ることがあるかもしらぬということで、現在はそういう段階になっておりますので、従って、正式にこの法律に規定する第三条の振興計画は、まだ正式には出されておらない、こういうことであります。
  76. 芳賀貢

    ○芳賀委員 今の局長の御答弁は、今後の五カ年計画、たとえば甘味資源の増産の十カ年計画の線に沿った七十五万トン計画の一環として、テンサイ糖については四十万トン、そのうち三十万トンは北海道地域において十カ年計画で生産する、その十カ年計画の一環として第一次五カ年計画を三十四年度から始めるという場合の、その五カ年計画を増田さんは言われておるのです。私の言うのは、振興法に基いて、毎年度知事が策定して農林大臣の承認を求めなければならないこの第三条第一項に基くテンサイ生産振興計画の提出、これは出さぬとか出ておらぬという問題でないのです。これは当然出さなければならぬのです。しかも、ことしから「てん菜の振興措置について」という閣議決定が行われて、その後において「てん菜集荷調整要綱」というものが政府において持たれておるわけです。この調整要綱に基きましても、振興計画は第三条第一項の規定によって道府県知事の定めるテンサイ生産振興計画、ことしから新たにその中にテンサイの販売に関する計画も含めて生産計画を出さなければいけないということが明らかになっております。そして、この計画を立てる場合は、市町村別のテンサイの作付面積、反収及び総収量並びに販売先、テンサイ糖製造工場名及び販売先、——だから、どの工場に対してどの地域をその工場の集荷地域として、これに対してこの作付面積の中における反収あるいは総収量が幾らになる、そういうこともことしから策定計画の中に入れなければならぬことになっておる。そして、さらに、テンサイの取引価格及びテンサイの取引条件の概要もこれは明らかにしなければいけないのです。ですから、私が出ているかどうかということを聞いた場合、これは、先ほど言った北見地区における三ヵ町において、三月二十七日に北海道庁の農務部長は、事前に食糧庁長官や食糧庁の業務第二部長やあなた方と相談して、この三ヵ町については三十四年に限るということを前提にしてこの区域変更を行う、こういう事前了解を得て、そして三月二十七日に農務部長通牒が出たのです。ですから、これが実施されなければこの計画というものは穴があいてしまうから出てこない。そういう事情を知りながら、今まで計画が出てきておりませんだけでは、これは済まぬと思うのですがどうですか。
  77. 増田盛

    増田説明員 これは、今御指摘になりましたように、テンサイ生産振興計画はもうとうに法律の定めるところによって提出されなければならぬ性質のものであります。しかし、これは、私ども、もちろん早く提出したいし、早く検討したい。承認する前にいろいろやはり検討しなければいかぬ。ところが、これは一度も今まで道庁の案として正式のものが出てきておらない。これは、従来は道全体の計画でよかった。道一元の計画で出てきて、そうしてあまり時間をかけないで大体検討、承認したものであります。ことしは、特に、道庁で三十四年度の計画をやって参りますと、いろいろ、計画を立てるにしても、土壌改良計画はどうするとか、土地改良計画はどうするとかという問題になってきますとなかなか結論を得ない。従って、今まで私どもが、ことし三月でも、十指に余るいろいろなものを持ってきて、そのつど私ども検討して返しますと、なかなか出てこない。これは結局地元に選挙という事情もあったと思います。従って、二月に出す三月に出すということで延び延びになりまして、そのうちに市町村別の計画を検討してそれを積み上げて出すという約束になっておりまして、それも四月に出すという約束だったのでありますが、その四月がちょっとまた延びて、選挙が終ってもなかなか出てこないのでありますが、前回参ったときの私どもに対する道庁の話でありますが、八月二十日ころには出したい、こう言って帰っておりますので、現在、私どもの方の参事官が、作業の状況その他がどうなっておるか、こういう点を調べまして、大急ぎで出させるようにしたいと思っておりますが、今言ったような事情がありまして、例年と違いましてことしは特別おくれておる、こういうことであります。
  78. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、製造業者から出る購入計画というものはことしはどういうことになるのですか。そういうものは全然抜きにして勝手放題に争奪戦をやらすのですか。振興計画が出てこない。振興計画が大臣に承認されておらない。今度は工場別の業者からいわゆる原料の購入計画というものが知事の承認を経て出されてこなければならぬ。この生産計画が全然できないで、どうして製造業者の購入計画が立てられるか。地域配分もきまっていない。野放しでこれからテンサイ糖の事業というものはやらすお考えですかどうですか。
  79. 増田盛

    増田説明員 私が今までお話し申し上げましたのは生産計画についてでございますが、先ほど申し上げましたような事情で計画の提出はおくれておるのであります。もちろん生産計画そのものは実施に移しておるわけであります。しかも、道一本の措置では、道庁も先般の国会に提出いたしました五カ年計画案に賛成なのでございますが、しかし、細部の点において変更があるかもしれぬからというので、市町村から上ってくる数字を待っておるということでございます。従いまして、現実におきまして、事実上は生産計画を実施に移されておりまして、しかも作付面積は大体わかっておるわけであります。従って、そういう事実に基きまして各工場の購入計画が立てられるということでございまして、計画の承認がおくれておるということによる支障はないと考えております。
  80. 中村時雄

    ○中村(時)委員 関連。  振興局長の言っていることもはっきりしないし、また食糧庁長官の言っていることもはっきりしない。私はなるべくなら何も言わないで黙っておろうと思ったんですが、あまりにもあなた方はポイントをはずしておるのではないか。第一に、振興局長が言っておる土地改良だの土壌改良というものが、この三カ町と一体何の関係があるか。何の関係もありゃしない。結局、問題は、どうするかということが残っておるだけである。たとえば、所有耕地面積別で分けた場合に、芝浦と日甜とどちらが足りないかということははっきりしておる。ただし、ここに問題が一つある。それは、日甜にいたしましても、ほかに新設工場を作らせたくないから、自分たちの耕地面積を非常に縮小的にこの調査の報告をやっていこうとする傾向が多分にある。また、実際に、今まで日甜が独占企業を行なっておったそのために、あなた方がそういう通牒を出しても、現地農民の中には少くとも日甜にいきたくなくて芝浦にいきたいという声が出てくる。そうしてこの問題をどう扱うことがいいかということが現地の行政機関としては非常に困難な状態になっておるのが現実の状態なんです。そういうことを考えた場合、少くともあなた方が今の耕地面積別の取扱いをどうきめていくかという問題が一つ出てくるだけである。その中に土壌改良あるいは土地改良等の問題も含まれてくるでありましょうが、今の三カ町に対しては、そういう問題は別の問題であり、すでに作付を終って収穫を目の前に控えておるが、そういうような状態になっておるために、どっちにもつけないという状態になっておる。私はこれが一つのポイントだと思う。私はそういうように推察する。今まで振興法によってそういう計画が出てこなければならないのに出てこないというのはそこにある。だから、計画を出そうと思えば出せるわけです。こういう問題に対して振興局長はどういうように考えるか。また、食糧庁長官は、いろいろの事情があったでありましょうが、わざわざ北海道まで行かれたのですから、その結論においてどのようにお考えになっておるか、お聞きしたい。
  81. 渡部伍良

    ○渡部説明員 私どもの方は、当初道庁の方から出てきたのを、原則的によろしい、こう言っておるわけであります。それがなぜその通り行われないかということについては、まだ北海道で、その通りやったらいいのか、あるいはこれを多少手直ししなければいかぬのかという点について結論を出していない。その結論が出ないゆえんは、二項にあります両社の工場の操業を均等にするためにそのほかの町村の生産実績をどう見るかというところに問題を残しているんじゃないかと思います。それさえ出てくれば、当初の道庁案通りでいいんならいいでやれるわけですし、手直しするなら、ああ言ったけれども、ここはこうするがよろしいか悪いかということをこっちからきめればよろしい、こういう問題だと思います。
  82. 中村時雄

    ○中村(時)委員 それは、長官、よくわかる。あなたの言うことは、やはり机の上のプランとしてはそれでいい。また、通達を出すこともけっこうだと思うのです。ただし、それがデッドロックに乗り上げてきている。その原因はどこにあるか。両方とも営利会社なんです。現実に現在ニセント四〇くらいで砂糖を買っている。実際にはどうかと言ったら、あなた方は高値にしようと思って一生懸命おだてて三セント四〇の線までいこうと思って値段を上げる。砂糖の価格から言ったって五十億からもうかるのです。そういうような問題であなた方は大へんな問題を起しているのです。そういうふうにテンサイ糖というものはもうかるようにできているから、千何百町歩もとることについては、両方ともとりたいのです。日甜に行けばおれの土地に含め、芝浦に行けばおれの方にと言うのはあたり前です。そこで、耕地面積別に見れば、机の上でこういうふうにしたらいいという結論を出してあなた方は通達を出している。その通達は正しいと思う。われわれもその通りだと思っています。だから、それをはっきりさせればいい。両方にまかしていれば、両方ともおれのものだということになって、どっちつかずになる。現地では日甜だってたくさん入っている。芝浦も負けたら大へんだといって巻き返している。そういうときにどういう態度をとるか。あなた方は行政の指導権を持っている。さすれば、はっきり結論が出てくる。だから、そういう方向を確立されることを僕らは望んでいる。それに対してどういうふうに考えているか。振興局長のように、ただ言いわけのために、土壌改良に持っていく、土地改良に持っていく、そんなことは別の問題です。
  83. 渡部伍良

    ○渡部説明員 これは、経過的には、私をして言わしめれば、道庁の承認があったときにそのままきめておけばよかったのだと思います。しかし、それがそうなっていない。従って当初の原案通りにするのか、あるいは手直しするのかということでやっているわけですから、その経過を忘れて、当初の通りやるといっても、覆水盆に返らずでございますから、それには、さっき最初に申し上げましたように、またやってまた返す、行ったり来たりするのでは困るから、今度は最終的に結論が出るように慎重にやっていくということであります。
  84. 中村時雄

    ○中村(時)委員 たとえば、あなた方は、当初再三再四の調査をやって一つ自信をもって通達を出している。その自信裏づけというものがあって、もしもそれが別の角度から出てきた場合に、あなた方がやった行為というのは、ほんとうにはやてになって、失敗したということになる。そうでなくして、あなた方が自信を持ち、われわれも裏づけをしてきている。実際には、だから耕地面積別の上からもはっきりしている。集荷の上からもはっきりしている。三十年度において実際には今の耕地面積が三倍からふえている。それなどから見ても、三工場ができる可能性を持っている。できぬという人もあるかもしれないけれども、私はできると思う。そういう観点から見まして、あとの残りは三つに集約されてきた。その三つの問題は、先ほどから何回も言っているように、もうすでに机上の理想案じゃないのです。現実にぶっかっているのです。そのぶっかりは、今言ったように利害の関係からぶっかっている。その原因はあなた方が作った。しかし、あなた方が実際に調整しなかったら、調整する者はいないんです。現地では選挙にからんでいろいろな問題が起っている。そこで、耕地面積別にあなた方が判断を加えて、これは日甜なら日甜にこうするのだということの意見は、私は正しいと思っている。だから、そういうような問題の裏づけは幾らでもしてあげます。生産別のものが必要だったら生産別のものを出してあげましょう。あなた方ができなかったら出してあげます。だから、そういうことでなくして、少くともあなた方自身が、腹はきまっているにかかわらず歯にきぬを着せるようなことをせずに、はっきりさせてあげた方が、現地の農民のために、プラスになるであろうと思う。しかし、その問題の裏面にあるところの日甜の動き方については今後大いに注意を要する。そのことははっきりしておかなければならぬ問題じゃないかと思う。
  85. 渡部伍良

    ○渡部説明員 御趣旨の、早くやれなかったということは全くお説の通りでございまして、私も道部長によく言ってきております。ですから、遠からず向うの方から意思表示があると思います。
  86. 中村時雄

    ○中村(時)委員 関連だからあまりくどくは申しませんけれども、遠からずということに対して、現地の連中は、一日も早く、こう思っておる。あなた方がこれから努力をして、大体においてどの程度の期日ででき上るか、最高どのくらいの余裕を持つか、最低どのくらいでいけるかという見通しの一つの確約を振興局長からお聞きしたい。
  87. 渡部伍良

    ○渡部説明員 私の方の所管になりますので……。  これは一日も早く結論を出したいと思います。ですから、何日という日にちは御容赦願いたいと思います。
  88. 中村時雄

    ○中村(時)委員 食管の長官に申し上げますけれども、一日も早くというのは政治家の常套手段だ。あなた方も将来政治家になるか知らぬけれども、それはそのときに言いなさい。今は少くとも事務官僚として、大体文書を出したら向うの方はいつごろ、大体このごろにこうということは、少くともあなた方の頭の中では判断ができるはずです。そういう意味におけるところの事務当局の長官としての責任を果すべきがあなたの立場だと思う。そういう意味において、少くとも一日も早くというような答弁はしない方がいいと思います。
  89. 渡部伍良

    ○渡部説明員 できるだけ早くいたします。
  90. 芳賀貢

    ○芳賀委員 きょうは大臣がいませんから、大野さんに参考までに聞いておきますが、私の質問しておる問題は、これは行政上の問題かあるいは政治的、政策的な問題か、どういうようにあなたは判断していますか。
  91. 大野市郎

    大野説明員 食糧庁長官答弁にございました通りに、道庁の報告がおくれておりまするために結論がつきかねておりますので、行政上の問題と考えて、一日も早く決定するようにさせたいと思っております。
  92. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうなると、これは別に北海道の知事がかわったから事熊が変るとか、政策が変ったからこれが変るという問題ではないわけですね。ただ行政上の問題であるとすると、将来の北海道の糖業振興あるいは日本の甘味資源の十カ年計画を達成するために、この点が行政上の問題であるとすれば、これはたとえば北海道庁あるいは中央の政府機関の行政能力というものが果してこれをうまく進めていけるかどうかということです。この地域問題一つの解決さえも、もし町村知事のもとにおいてできないという、そういう貧困な行政能力者にこの問題の処理を農林省がまかせられるかどうかということにも問題は発展してくると思う。これは道庁にはできないのだ、今の知事ではできないのだということになれば、これは中央として直接処理しなければならない問題であるし、これは政治的、政策的な問題でない、単にこれは行政上善意をもって処理しなければならない問題だとすれば、能力がないとすればしょうがない。能力はあって怠慢であるということになれば、これは食糖庁長官や振興局長がこの怠慢を指摘して、すみやかに当初の方針通り解決して処理して、生産計画も早期に提出して、それを大臣の承認を得て、そうして製造業者に購入計画というものをすみやかに立てさして、七つの工場が順調な操業を行うことのできるようにしたらいいじゃないかこういうように私たちは考えておるのですが、いかがですか。
  93. 大野市郎

    大野説明員 お説の通りでありまして、五カ年計画、十カ年計画の振興を国会にお諮りして、それを推進するわけでございますから、一地方の行政上の手続のおくれのために農民に迷惑をかけるわけに参りませんので、日時は何月何日と申しかねますが、一日も早くこれが解決をはかりまして、もしおくれ過ぎるようなときにはこちらで決定をいたします。
  94. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その点、長官はわざわざ北海道へ行ってきたのですから、長官から言っていただきたい。それで、長官としては、これは北海道の町村知事にその処理の能力があるというふうに認めてきたのですか。
  95. 渡部伍良

    ○渡部説明員 認めてきました。(笑声)
  96. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは笑いごとではないのですよ。こういう問題の処理さえも怠っている。たとえば三浦農林大臣も退陳まぎわに新しい三工場の建設等を何ら根拠のない上に立って発表しておるのです。ですから、こういう問題のすべてが政策的、政治的の問題であると彼が解釈しているとすれば、これは重大な誤謬がここにある。そういう点は委員会としては正確な判断をして帰ってきた。あなた方がときどき行っても、そのくらいの点の判断ができないようでは、当然、農林省が行うべきことを道庁にまかせることができるかできないかという今後の問題が出てくると思うのです。そういうところに大きな問題が底流しておるのです。この三カ町をどこにやりなさいというそれだけの問題ではないと思う。ですから、その意味において行政の筋を通す。また、今後の糖業発展のためにも、たとえば十勝地区へ行っても、新工場誘致で町村長諸君はもう全く会社の代弁者的な行動に終始しおる。これは自村に工場が建った場合には三千万、四千万の固定資産税が毎年貧弱な町村財政を潤すというところに源泉はあるのですけれども、そういうことでは正しい意味の北海道における三十万トン計画の達成はできないと思うのです。その点を申し上げておきます。  もう一つは、納付金制度との関係ですが、ことしから台湾製糖の伊達工場と美幌の日甜の新工場とが操業するわけです。納付金制度から言うと、台湾製糖の製品に対しては従来通りの方針で買い上げを行う、それから美幌工場についてはこれは買い上げ対象にしないということがもう事前に明らかになっておるわけです。さらにまた、日甜の製品に対して納付金を納付させるというような問題にもからんで、やはり、中澤委員が指摘したように、美幌工場の建設を政府が認めたということには大きな誤まりがあったというふうにわれわれは見ておるのです。しかし、政府が承認して工場が建って操業する場合においては、やはり、その工場で軌道に乗った操業が行われて、製品も適正なコストで生産されるというような条件を与えてやる必要があるのではないかと思うのです。今までの経緯についてはいろいろあったにしても、できて操業するという場合においては、やはり、全体の生産を順調に発展させる意味から言っても、集荷区域というものは今までの約束もあるらしいから与えるものは与える、そうして企業努力の中で低コストの生産をみなにぜひやってもらうということに持っていくためにも、やはり、この地域問題は、実収が明らかになってから配分するのとは筋合いが違うのですよ。ですから、そういう意味において、北海道知事に早急に連絡をとられて解決させたらいいと思う。もう農務部長も手を上げている。網走支庁長も手を上げて、もう産業課長にそれをまかせておる。こういう行政のあり方というものはないと思う。全国を探しても、全世界を探してもない。こういう責任の所在にある親方が全然手を上げて、末端の一係官くらいにこういう大きい問題をお前うまくやれといったってできないと思うのです。長官、こういう事実が実際にあるのですよ。こういう点はどうするのですか。
  97. 渡部伍良

    ○渡部説明員 少し話がこまかくなるのですが、この三町村を当初の案通りに地域的に日甜に所属せしむるかどうかという問題と、現在のこの地域のテンサイの生産指導をどうするかという問題は別の問題でございまして、あとの産業課長云々ということは、私は産業課長にそういうことをやれと言っているとは聞いてきませんでした。ただ、その地域の生産指導については、遺憾のないようにやれということを通牒も出ておりますし、支庁長も責任を持っておられるのでしょうが、産業課長が第一線に立ってやっておる、こういうふうに了解してきました。従って、あくまでこの三町村をどう処理するかということは知事なり農務部長の責任である、それは知事も農務部長もそのつもりになっておるというふうに私はとってきましたから、それを早くやれということを言ってきたのであります。その点御了承願いたいと思います。
  98. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に振興局長にお尋ねしますが、現在までのテンサイの作付の実反別の把握というものは道庁がやってきたか会社がやったか、その点はあなたはおわかりだろうと思いますが、いかがですか。
  99. 増田盛

    増田説明員 現在までのところは会社の調査した面積が基礎になっております。
  100. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうすると、たとえば既往においては日甜だけの独占的な事業だったのですが、その当時は会社が実反別になわ入れして調査してもそれほど大きな狂いはなかった時代もあったかと思いますが、現段階においては、もう日甜とか芝浦とか北連、台糖、これはほとんど利潤追求の会社ですから、もうけを中心にしてやっておる。北連の場合はちょっと性格か違うかもしれませんが……。ですから、こういう営利追求、利潤追求の会社や工場に面積の把握をまかせるというやり方はどうお考えですか。
  101. 増田盛

    増田説明員 現在の調査方法から言いますと、実は、会社の調査方法が一番確実なものがあった。それは一筆調査をやっておったことがあります。そのほかに統計調査部の調査もございますが、両方最終的には全道の数字から言いますとそう大きな違いはないのでありますが、やはり、細密な、たとえば市町別にあるいは町村別というものをやる場合にはどうしても会社の統計によってやらなければできませんので、現在までのところは、私どもの方は、会社のやり方でやって支障を来たした、あるいは工合が悪いことがあるということは聞いておりません。しかし、あるいは御指摘のような会社のいろいろな都合によりまして万一数字のごまかしなどがあるようでありましたならば、あるいは統計調査部の機構等も活用するということも研究しなければならぬかと思っております。
  102. 芳賀貢

    ○芳賀委員 長官、どうですか。
  103. 渡部伍良

    ○渡部説明員 今振興局長からお答えした通りであります。
  104. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ですから、こういう非常に大事な問題が今後の問題として残っておると思います。それで、簡単に一つの事例を申しますと、われわれが全地区を回った場合にこういう現象が明らかになっておる。三十三年度の芝浦工場の地域内においては七千二百町歩。ことし前年同様の地域内においてどうなっておるかというと、これは中澤委員が指摘した通り六千五百町歩。ですから、前年度よりも七百町歩の減反ということになっておる。それから、この内容を調べてみるとまた一つの問題がある。これは三カ町村を含めたものであるが、それでは問題になっている三カ町村においてはどうかというと、この三カ町村については昨年は一千百五十町歩で、ことしは一千二百町歩。この三カ町村は五十町歩の増ということになっておる。そうなると、結局三カ町村を差し引いた場合の芝浦の工場地域内の作付状態はどうなっておるかというと、これは昨年度よりも七百五十町歩減っておる、こういうことになっておる。これは非常に問題がある。しかも、この地域の支庁長は、もう一工場建ててもらいたいという陳情までしておるわけです。そういうことになると、会社、工場だけに作付反別の把握をまかせるという場合、全く正しい狂いのない方法でやれば、これはどの会社が調べてもなわで調べるから同じですが、もしこの数字に集荷区域の問題や原料の多寡がやはり会社の利益に関係するというようなそういう意図的な作為的な数字が集計されて各会社、工場から出た場合においては、それをもとにして芝浦工場の原料地域が少くなったとか日甜の方がまだ足らぬというような論争が出てきた場合においても、これを正しく解決するめどというものはないと思う。これが正しいか正しくないか立証する正確な調査を道庁も行なっておらぬし、また政府も行なっておらぬが、これは現実の問題として出てくると思うのです。これは網走支庁管内ですが、北連工場の場合は、去年が五千三百町歩で、今年は同じ区域で五千八百町歩。これは明らかに増反になっておる。それから、やはり網走支庁管内の日甜の区域においてはどうであるかというと、これは中澤君が言ったように、日甜の方でも三町村は自分のものだというような計算の上に立っており、この地域は、三カ町村を入れると、昨年が三千六百五十町歩で、三十四年は三千七百町歩。この地域でも若干増反が行われております。網走支庁管内における芝浦のいわゆる三町村を除いた残存区域だけで七百五十町歩という膨大な作付面積がどうして減少しておるかということは、これはよほど慎重に検討しないと、われわれとしてはこれをそのままうのみにすることができないのです。もしこれが会社の営利追求の方針として今後各会社や各工場がみんなこのような方法で反別把握とか報告をする場合は、北海道における面積は実際伸びていても伸びてこないですよ。そうなると、工場をどんどん建てるとかなんとかいうことも全くこれはナンセンスだと思うのです。こういう事実があるから、道庁においてもこの三町村の帰属をどうするかということは問題ですよ。結局これは行政的な問題であるということを大野さんは明確にされたけれども、やはり伏在する政治的な動き、政策的な動きというものがいつまでも問題の解決をずらしておるというようなことになっておると思うのです。ですから、このような事実を委員会としては十分把握してかからなければならぬが、食糧庁長官振興局長ももうちょっと活眼を開いてやってもらわぬと困ると思うのです。いかがですか。
  105. 渡部伍良

    ○渡部説明員 御指摘のように、現在の調査の機構ではきめ手がないわけでございます。そこで、私の方では、テンサイの集荷要領の中では、道主催のもとに集荷調整委員会というようなものを作って、そこに諮って、それには生産者の代表も入れて、道で調べあるいは会社で調べたその食い違いが出るのはおかしい、それはどこから出てくるかと聞けるような機関を作ったらいいじゃないかということを示唆しておるわけであります。今度もしかりに原案でよろしいという結論を出す場合にも、やはりそういう集荷調整協議会にかけてやってもらった方がいい、つまり、将来にわたることですから、得心づくでやったらいいということをかねがね言っておるわけであります。しかし、根本的には、やはり、道が生産の実態を把握できないということでは、これは農林省もできないわけですから、困るわけです。どうしても道ができるだけすみやかな機会に実態が把握できるようにしなければならぬというこを強く言っておるわけです。今までは支庁別くらいの資料しかいかなかったのですが、それだけでは北海道のテンサイを伸ばすには十分でないというので、町村別にまでブレーク・ダウンさせているわけです。それがなれてくれば、今度は生産の作付の実態等も把握できるのじゃないか、こう思うのです。どうしてもそういうふうに持っていかなければならぬと思います。
  106. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ですから、今後の工場誘致運動もよほど慎重に検討しなければならぬと思う。工場を誘致するまでこの地域では何百町歩ふえますとか計画を出してきます。たとえば芝浦が工場を建てておる北見市の区域においては前年度よりも三百二十五町歩くらい反別が減っておる。工場だけ建てて、安心してすぐ減反してしまうということになれば、これは全く意味をなさぬと思うのです。こういうような大きな減り方が一カ市町村の中で出るということは、その内容を精査する必要があるのではないかと思う。こういうやり方を続けていかれると、これはもう行き詰まりがきますから、今後はやはり、原料の集荷と原料の配分というものを、今のような形でやるべく、あるいは趣きを変えて、一つ方法としては、たとえば生産者団体に集荷権を与えて、そして適正な審議会か協議会等によって工場に対する原料配分を行う、こういう何か別の方法でも採用しなければ、問題の解決はできないのじゃないかとわれわれは考えるのですが、そういう点に対して何かお考えはありませんか。
  107. 渡部伍良

    ○渡部説明員 将来の問題といたしましては、今五カ年計画、十カ年計画をやって、それは結局、今までは土地改良とかあるいは土壌改良の基本的な問題にそう深く手を入れなくても伸びがきておるが、これからはどうしても深く入れなければならない。それには町村別にその改良の可能性が大体年次別にどの程度出てくるかということの大見当をつけなければならぬ。そうすれば、現在の工場の能力では消化できない時期がくるわけですから、何年ごろに大よそ消化できない面積がどのくらいか、これはやりようによってはできるという見当をつけて、新しい工場の導入をはかったらいいのじゃないかと思います。  そこで、今度の集荷要領では、その先のことについては必ずしも十分の検討は積んでおりません。これは二つの考えがあると思います。そういうふうに十カ年計画なら十カ年計画を町村別に作っておきさえすれば、地域を会社に与えて、その地域内のテンサイの生産の伸びを指導さすという考え方一つでございます。しかし、それには、政府で受け持つ土地改良等の生産条件の基本的な整備というものが間に合わない場合には、会社だけに生産の伸びの責任を負わすわけにはいかぬ、こういう場合にも出てきますから、その調整をどうするかということを考えなければならないのじゃないかと思います。従いまして、地域にこだわったのがいいのか、——いわゆるその地域でまかなえない分を生産数量で再調整するという考え方を織り込まなければいけない、これからの工場を許可するに際してはあくまでも一定の長期計画に基いてそういう方針をきめなければならない、こういうふうに考えております。
  108. 芳賀貢

    ○芳賀委員 以上でごく局部的な問題は終ったのですが、いずれまた適当な機会に全般の問題について審議したいと思いますが、私の判断では、道庁にまかしておいたのでは処理ができないと思います。ただ、問題は、行政に筋を通すという場合は、これを道庁にまかしておいたのでは期待に沿った解決はできないということを指摘しておきたいと思います。後刻また委員長から適切なこれに関する御発言があるということを私たちは予期しておりますので、足鹿さんから関連質問の要求があるので、この程度にしておきます。
  109. 吉川久衛

  110. 足鹿覺

    足鹿委員 大体今までの各委員の御質問で尽きていると思うのですが、私が現地を見た所感から一、二ただしておきたいと思います。  甘味資源の国内需給対策が初年度からこういう状態では困ると思うのです。実際現地を体験して、今さら言うまでもないと思うのですが、結局テンサイ糖の振興計画の母体となるべき協会の負担金の問題にも事態は深く及んでくると思う。それはとってもって全体的な甘味資源の国内の総合的な需給対策の支障をも招来する重大な問題が、ただいま各委員から指摘された点に集中して現在起きておるわけであります。一般的なことはまた別の機会に申し上げますが、結論的に言うならば、食糧庁としては、あるいは振興局なり政府責任において、この問題を百尺竿頭一歩を進めて積極的に解決する熱意を持たなければならぬ。ところが、今までの質問に対する御答弁を聞いておりますと、それは道庁にまかしておくからいい、仕方がないのだ。もう少し成り行きを静観するのだ、——静観するにも時期があると思うのです。大体長官はどういうところへ見当をつけて今静観をし成り行きを見ておるのか。片っ方では生産計画が出てない。あなたはもう少し成り行きを見たい。一体いつどういう考え方でこの問題を解決しようとするのか。いろいろその理屈を並べておられるが、問題はあなたの腹だと思う。大体時期の見通しはいつごろになりますか。
  111. 渡部伍良

    ○渡部説明員 先ほどからお話がありますように、この問知事さん、農務部長等と相談したのでありますが、はっきりした日にちまでは約束してきておりません。できるだけ早く、こういうことでいっておるわけであります。といいますのは、まあ道庁の中でも、道会だとか、人員の配置転換だとか、いろいろもめているようでございまして、私の方でこうだと言ってもその通りには参らないということもあります。そういう問題がありますから、はっきりいつということを今申し上げることはできないわけであります。
  112. 足鹿覺

    足鹿委員 それは道政が過渡期であっていろいろ困っておられることもわれわれはわからぬことはないのです。だが、今私が言ったように、やはりこれはひいては納付金その他の問題にも及んでくる重大な問題である。現にそういう声はわれわれが現地を調査したとき察知できるのです。そういう点を顧慮されてあなたの決断を早く下されることがいいと私は思うのです。  それから、私どもは、公平な立場で見て、先ほど中澤君からも指摘があったように、七つの既存の工場、どれをどうということはありませんよ。しかし、一番長い開拓をして今日の基盤を作ったその既存のものが成り立たないというのは、各委員の一致した見解なんです。それに対して、今長官がいろいろ言われて、収量の問題やその他を指摘されますが、そういうことではないのです。片っ方は、六千町歩を大体確保しておって、実測と計画との調整がつかないでにごしておる。片っ方はそういう実情とは全然違うのですから、われわれは、新しいものを今後育成していくために既存の長い歴史といろいろな——そこには間違ったこともあったかもしれないし、その会社の運営なりあるいはそのやり方について農民のほんとうの利益に相反するようなことがあったかもしれませんが、とにかく、そういうことは別問題として、既存のものが成り立たない状態を放置して今後新しく伸ばしていくということは不可能ですよ。それは言うまでもないと思う。そういう見地から、私どもとしては、与野党一致の見解として、この問題に対する意見の統一をはかっているわけです。少くともこの委員会の正式調査班の意向でありますから、それを尊重していかれるかどうか、それを一つ伺っておきたいと思う。
  113. 渡部伍良

    ○渡部説明員 もちろん尊重いたさなければならないと考えております。
  114. 中澤茂一

    中澤委員 ちょっと……。  今これをどうするかという問題、これは将来にわたって私は大きな問題になると思うんですよ。納付金が根本的問題になってくるし、実際現地を見ると、すべての面にこういう手厚い保護政策をとっている。だから、これに対しては、振興局長が、もし場合によれば私の方の作報を強化してやるということも考えられると言ったが、これはどうしても政府が直接にぎって断固たる計画をもって押していかなければだめだと思う。第八条にこういう指示権があるかないか知らなかったが、今見ると第八条にあるわけだ。それをこんな段階であやふやあやふやなめられてしまっては、いよいよ収拾つかない。これはいろいろ政治問題があるということは私らはある程度聞いてきた。政策問題でなく政治問題がこの中に含まれているということを聞いてきたが、ここで食糧庁長官としては断固たる指示権の行使をやる、同時に、お前らには勝手な調査はさせない、作報の調査で基本的なものは農林省がいつもつかんでいるのだ、こういう体制をとらなければいかぬと思う。それには、振興局長が言ったように、ぼつぼつ予算折衝期になりますし、甘味資源の十カ年計画というものは道庁や県庁が立てるものではなくて国が立てるものだし、しかもあれだけのあめをやっているのだから、保護の代償には権限は徹底的に行使するという体制が必要だと思う。それには、振興局長が言ったように、今の段階において作報の調査の基本原則をきめなさいよ。そして、ことしの予算を取って作報を強化して、テンサイ糖の調査は政府が直接つかんで反別総生産数量の調査をやる、ここまで踏み切っていかないと、だんだん禍根が大きくなって、しまいには収拾がつかないようになってしまう。この問題は本格的に調査報告書が出ても一日や二日で済む問題じゃない。現地の調査の結果、山のように議論が出ている。だから、その本格的な議論は後日に譲るとして、私は、この際食糧庁長官として、作報の調査権、調査機構の拡充をやって、そうしてビートの作付反別、生産収量をつかむ必要があると思う。また、それをつかまなければ、十カ年計画だ、ハチの頭だといって計画ばかりやってもだめだと思う。つかんでびしびしやるという体制にしてもらいたいんですよ。だから、予算の時期に入るんだから、あそこの作報の拡充をやって、ビートを本格的に政府が全部やるんだという腹がまえを一つ示してもらいたいと思う。
  115. 渡部伍良

    ○渡部説明員 今の統計機構では悉皆調査をするというわけにはいかないと思います。これをやるのには相当の人員と経費が要ると思います。現在北海道の統計機構にそれをそのままビートだけについて作るということは、もう少し研究さしていただかなければ、私は、今すぐやる、こう言うわけにはいかないと思います。しかし、いずれにいたしましても、会社から都合のいいような報告が出てくるということをそのまま放置することは工合が悪いですから、そういうことでないように、統計機構も使うし、道の機構も使うし、場合によっては食糧庁の調査の機構も使うというような考え方で、正確なデータをつかむということをやらなければならぬ、こう考えております。
  116. 中澤茂一

    中澤委員 それがもしできないとするならば、これは重大な基本的な問題だから、収納時の期間というものは一カ月半か二カ月半でそう長くないですから、その間農林省から収量検査官というものを現地に派遣して、看貫調査を全部させる必要があると思う。そこまで断固たる処置をやらないと、これはえらいことになってしまうこととおそれているのです。だから、それがどうしてもできなければ、収納期間の一カ月か一カ月半、五人なら五人本省から収量検査官を派遣して、完全に収量を把握させる、そこまでいかなければ、最後の納付金とか償却の問題とか——償却の問題でも議論すればいろいろ問題はあるんですよ。去年の芝糖の問題も……。しかし、そんなことを言い出せば、これは半日も一日もかかるのでやめますが、やはり、どうしてもそういう統計調査でつかめなければ、収量検査官を収納期間に会社へ直接派遣して会社で把握していくということもお考えになったらいかがかと思うのです。
  117. 渡部伍良

    ○渡部説明員 そういう点は研究させていただきます。
  118. 吉川久衛

    吉川委員長 政府に申し上げますが、ただいままでの質疑を通じて十分了解されたと思います。質疑をされた各委員は今回の北海道の調査に参加をされた諸君でありまして、つぶさに現地を踏査をして、その上に立っての質疑であることを十分了察をされたい。この質疑を顧慮されまして、それぞれの意見を尊重されて、筋を通して、そうしておそくとも本月末までには地区の所属を決定するという腹がまえをもって善処されんことを本委員会として要望いたします。  本日の議事はこの程度にとどめます。  次会は明十一日午前十時より開会することとして、本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十三分散会