○
桑原参考人 お許しをいただきまして、この
機会におきまして
一言愛知用水につきまして
愛知県政の
立場からいたしまして御
説明を申し上げたいと存ずる次第でございます。
愛知用水のことにつきましては、そもそもの事の起りからいたしまして、
国会関係、なかんずく衆議院の
農林水産委員会の
各位には非常な御
尽瘁をちょうだいいたしまして、ことに、先般は、前の
委員長であられまする
松浦周太郎先生、そうして
委員各位おそろいで
現地に御
視察をいただきまして、いろいろと御
支援、御
鞭撻をちょうだいしたのでございますが、それに引き続きまして、本日ここに、きわめて政務御多端の
折柄、しかも暑熱のこのみぎりにおきまして、
農林水産委員会を御開催下さいまして、
愛知県政でも重大な問題でありまするこの
愛知用水につきまして、私
どもをお呼び出しをいただきまして御
審議をいただきますことは、まことに感謝にたえないことでございまして、この
機会に、従来の御
支援、御
尽瘁に対しまして、同時にまた本日のこの御厚情に対しまして、衷心より厚く
御礼を申し上げる次第でございます。
愛知県は、御
承知の
通りの状態でございまして、百五十万の
人口を有しまする
名古屋市を
中心といたしまして、県下全体の
人口が四百万あるのでございまするが、そのうち百五十万が今申しました
通り名古屋市でございまして、残り二百五十万がその他の
地域でございまするが、この
名古屋市あるいはその付近は工業的な色彩も多いのではございまするが、しかし、何と申しましても、広大な
農業地帯を有しておるのでございまして、
名古屋市以外の二百五十万の
人口のほとんど大半は
農業人口である、かように申し上げてもあえて過言ではない、かように存ずるのでございます。米の産額にいたしましても、平年作二百十万石を有しまする大
農業県でございます。もちろん、
名古屋市という
消費都市を控えておりまして、年々六十万石、七十万石の米を
県外から移入いたしておるわけでございまする。かように、二百十万石の
米産地でございますか、それだけの事実をもっていたしましても、いかに
愛知県が
農業県であるかということがわかるわけでございまするが、それだけに
愛知県政上の
地位におきまして
農業が大きな価値を持っておるわけでございます。
愛知県の現在の
予算は、
一般会計が大体三百三十億ほどでございまして、この三百三十億の
予算は、くしくも
愛知用水の三百三十一億とその額を同じゅうするわけでございます。この三百三十億の
県予算のうち、御
推察の
通り、申すまでもなく
教育関係の
経費が非常に大きな
部分を占めておるのでございまして、百十億、すなわち三分の一強を占めておるわけでございます。その次が、これまた御
推察をいただきますように、
土木関係でございまして、約五十億を占めておるわけでございます。その次が
農林水産、
農地関係でございまして、
愛知県はかような大きな県でございますだけに、
農業、
農地につきましては、県の機構といたしましても
農林部と
農地部とに分けておるのでございます。
予算の面におきましても、
農林関係を
産業費と申し、
農地関係を
農地費と申しておるわけでございますが、この二つが
農林水産、
農地の
関係でございまして、この
農林部と
農地部の両
予算を合せますと、本
年度におきまして三十五億一千万円になっておるわけでございますが、これは例年の例でございますが、実は九月の
県会において
追加をいたすことになっております。これは、御
承知のように、先般四月二十三日に
府県会議員選挙が行われまして、
愛知県におきましても
県会議員の
選挙が行われましたので、その
選挙の前に当初
予算を編成いたしましたので、
単独県費の
補助等につきましては、その
半額を当初
予算に見積り、
あとの
半額を九月の
県会に譲ったというふうな
状況もございます。従って、九月の
県会におきまして
追加予算を見ますれば、この三十五億一千万円という額はさらに増加して参ることと存ずるのでございますが、いずれにいたしましても、
愛知県政におきまして、
教育、
土木、そして
農林、
農地関係ということになるわけでございます。
このような
県政上の
地位を
占むる農業でございますので、私
どもといたしましても、
県政の面から各
方面の御
協力をちょうだいいたしまして、私、
微力ではございますが、これに当っておるわけでございます。私個人といたしましては、
百姓の子ではございますが、しかし、
百姓と申しても
養蚕農家のせがれでございます。従って、私自身は
農業につきましては何ら経験はございませんが、今申しました
通りの
県政上の
立場に立っておりますので、各
方面の御
協力、御
支援、また御
鞭撻をちょうだいいたしまして、
微力をささげて当っておるわけでございますが、特に御
尽瘁を賜わっておりますこの
愛知用水につきましては、ただいま
濱口愛知用水公団総裁の申されたような次第で今日に参っておるわけでございます。
この
愛知用水の
計画は、戦後御
承知のような
状況で
具体化を帯びて参ってきたのでありますが、国政において取り上げられ、強く推進されまして、初めて今日の
段階まで達したのでありまして、地元におきます私
どもの
微力、何ら加うるところはなかったのでございます。しかし、現在の
愛知用水公団の
事業は三百三十一億の
予算をもって進められているわけでございますが、このうち、
県費といたしましては、結局はこれを
負担しなければならぬのでございますが、ただいまは、あるいは国の補助なり、あるいは
先ほどお話のありましたような世銀の
借款なり、あるいは政府からの
資金部の資金なり、かような御配慮をいただきまして、すべて
公団においてこれを取り扱っていただいているわけでございますが、
愛知県といたしましては、これが
完成後におきましては、その三百三十一億のうち、
農業関係の
施設として約四十億の
負担をしなければならぬのでございまして、これに
建設利子等を合せますと、相当の額になるわけでございます。結局、六十九億九千万でございますか、約七十億の
負担をすることになるわけでございまして、これを
愛知用水完成後におきまして十五年間に完済しなければならぬのでございまして、一年に約四億六千六百万円という大きな金を払って参らなければならぬのでございますが、一面、これまた御
承知のように、
水道計画をこの
愛知用水計画の中に持っておるわけでありますので、これは県といたしましてその大
部分を
負担いたして参らなければならぬわけでございます。これは幸い二十年の長期にわたる
年賦償還でございまして、均等に
償還して参るわけでございますが、これがやはり毎年四億二、三千万円の
償還をいたして参らなければならぬ次第でございます。これとても、総計は
建設利息と合せて参りますれば八十九億くらいになるかと思いますが、そのくらいの金を結局
負担するわけでありまして、この
農業用水施設関係と
水道施設関係とを合せまして、終局におきましては約百五十五億くらいの金を
負担しなければならぬわけでございます。それだけに今後におきます
県政の上に大きな
負担となるのでありますが、それだけにまた
県政上非常に重大な問題でございまして、私
ども、この大きな問題をかかえ、日夜その
微力を嘆いておる次第でございますが、
皆様方の非常な御
支援をちょうだいいたして今日までの
段階に達しておるような次第でございます。
この
愛知用水事業のうち、
支線につきましては、
公団より県が受託して
工事の施行に当っているわけでございまして、先般これを御
視察をちょうだいいたしたのでございますが、この
事業の
進捗状況につきましてもいろいろ御
示教をちょうだいいたして、ありがたく存じている次第でございますが、今日まで各般の事情に制約されまして必ずしもこれがわれわれの思う
通りには参っておらなかったのでございます。しかし、ただいまも
濱口総裁の
お話にもありましたように、
幹線工事が、大体この
昭和三十四年、しかも昨今六月ごろから
昭和三十五年の
終りまでに一番集中いたしておりまして、ちょうど昨今から三十五年の十二月
一ぱいまでがその
最盛期でございます。
幹線水路中の一番大きな
工事であります、あるいは
トンネルとか、あるいは
サイフォンという点につきましては先般詳しく御
視察をいただいたことと思うのでありますが、かような
工事が順調に進んで参っておりますので、これらの
地点を連係いたします暗渠にいたしましても
明渠にいたしましても、これからは
トンネルなりあるいは
サイフォンと違いまして比較的
工事も容易でございますので、順調に進んで参る、かように
考える次第でございますが、県が受託しておりますこの
支線は約一千百四十五キロメートルあるわけでございまして、これらは、
幹線なりあるいは
公団が直接やりまする約百キロほどの
支線、これは
支線中の
支線であり、ほとんど
幹線にひとしい大
支線でありまするが、これに県の受託しております
支線は全部連結するわけでございます。従って、
幹線なり、これら
公団の受け持ちます
支線の設計が完了し、そしてその
分水位——県の
受託支線の
接合点の
分水の位置が決定いたしましたり、あるいは
水量計算が行われまして、
通過水量が決定いたしましたり、こういうことによりまして、すべての段取りが整うわけでございまして、一部
支線は着工しておりまするが、これらの
関係の
諸般の情勢の円滑なる推移とともに、県の受託しております
支線事業も今後十分なる
努力を傾倒いたしまして、
公団の
工事とわれわれの受託いたしておりまする
工事と相待ちまして、さらに
農林御当局のいろいろの御援助、御
示教をちょうだいいたしまして、また
各位の御
鞭撻を大きな刺激といたしまして、この
支線の
工事を進めて参り、
予定期間でありまする三十五
年度一ぱい、すなわち三十六年の三月までに
完成し、そして少くとも三十六年の六月の
通水期までには水がその管を通るようにしていきたい、かような
考えを持っておる次第でございます。
この
愛知用水は世紀の大
事業といわれておるわけでございまして、これによりまして
関係地域の
農業もその様相を変えて参ると存ずるのでございます。
一つ一つのこまかい
施設につきましては、この
通水条件が決定いたしまして、いろいろその
状況判断が確定することができますれば、さらにこまかい
施設はやって参らなければならぬと
考えておりますが、今日において予想せられまする一般的な
営農の
体制というものは整えて参らなければならぬのでございまして、先般もこの点につきまして
委員各位より親しく御
示教をいただいたのでございます。これらの点にかんがみまして、
愛知県の占めておりまする
農業上の
地位、
性格というものから
考えまして、また、同時に、
受益地域がその中におきましても格別な
性格をこの
愛知用水によって付与せられるという点にかんがみまして、
営農の
体制をも整えて参りたい。すでに、このことのために、三十一年、三十二年、三十三年、そして本
年度三十四年、かような意味合いにおきまして、約一億二千万円の
経費を投入いたしており、また本
年度投入いたそうとしておるわけでございます。これは、国の
農林省方面の非常な御
支援をいただき、またそのおかげもあるわけでございまするが、今申しました一億二千万円、そして二十四
年度の当初
予算におきまして三千百万円というこの
愛知用水関係の
経費は、全く
単独県費でございまして、
愛知用水の
営農体制を確立して参りますために投入いたしておるような次第でございます。実は、先般御要求によりまして提出いたしました
参考資料の中に、この点につきまして掲げてありました
数字が非常に不十分でございまして、さらに先ほど
委員長さんの御了解をいただきまして再提出をいたしたのでございまして、
あとから提出いたしました
資料がこれを示しておるわけでございまして、その点御了承を願いたいと存ずる次第でございます。
いずれにいたしましても、かような
考えで
県政上からは
愛知用水に対処いたしておるわけでございます。問題はむしろ今後にあると存ずるのでございまして、一そうの御
鞭撻、御
支援を賜わりたいと、かように存ずる次第でございますが、ここにまた
吉川委員長さん初め
委員各位の本日の御
審議に対しまして、また前もって重ねて敬意と謝意を表しまして、一応私の
説明といたします次第でございます。
なお詳しくは御
質問等によりまして私からも親しく
お話を申し上げ、また、
数字等につきましては他の
参考人から御
説明することにいたしまして、一応私の御
説明を終らせていただきます。まことにありがとうございました。