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足鹿委員 依然として
大臣は
バルク・
ライン方式について明確な
態度を示されないわけでありまするが、少くとも現在、
閣議なり、あるいは
政府与党間なり、あるいは
国会の論議なり、一般世論にかんがみられまして
検討されるというのであるならば—何でもとにかく一文でも一銭でも多くなればいい、それで糊塗しようというようにわれわれは見受けますが、もちろん、少いより多いのを好むのは、何ら変ったことはございません、その
通りでありますが、しかし、先ほどからも申し上げましたように、本年の
米価決定の一番中心は、
生産費・
所得補償方式というものを採用したというところに
一つの大きなことしの意義があるわけです。従って、その
内容について、
政府が、米審を延長される間に、さらに学界の
意見とか各界の
意見を調整して、少くとも去年と同じ九千七百円というものがそのものぴたりで合ってくるような基本
米価を
算定されたことに対して、いま少し謙虚に率直に考え直される必要があるのではないかということを私は言っておるのであります。でないと、とにかく加算やいろいろなもので一応その格好さえつけば、何とか
国会もそのうちに閉会になるだろう、
米価審議会も終るだろう、こういう安易な
考え方ではないと思いますが、少くとも、そういう点については、おのおのがほんとうに大きな画期的なことしの
米価の意義を考えたときには、将来の
日本の
農業の問題あるいは国民経済の面から考えて、がっちりしたものに少くともこれを前進させていかなければならぬと思うのです。そういう点から、ただいま
農林大臣は
バルク・ラインの法則性について非常に疑問があるということを言われ、また、学界にもそういう
意見があるということを言われましたが、私も学界にそういう
意見のあることを承知いたしておりますが、しかし、それと異なった
意見を持っておる者のあることも
大臣は御存じでありましょう。そこで、大体
バルク・ラインの問題については政策的な範疇に属するものだということを私はただいまも述べましたが、その後の、一応八〇なら八〇にきめた後において、
一つの法則性を見出すことが絶対に不可能かというと、そうではないのです。現在の学界にあっても、その後における法則性というものについては、新しい学界の相当権威ある
意見が出ておるのです。御参考までに申し上げてみまするならば、
バルク・
ライン方式の問題についてでありますが、この方法は、簡単に言いますと、米の
生産費が正規分布という一定の型をなしておる点に着目をして、この前提のもとに、
統計学の理論を応用して、
調査農家全体から算出される
生産費と、同じ全
調査農家から算出される標準偏差とによりまして、直接的に八〇%
バルク・ライン
生産費を
算定しようとするものでありますが、この場合、年ごとの数字を基礎とすることによりまして起きてきます偶然的な変動を除去していくためには、標準偏差はこれをなるべく固定化することが望ましいので、過去数ヵ年の移動平均を用い、または
平均生産費についても年々の変動を平均化する意味で移動平均を用いることとしておるのであります。この
方式によりますと、五〇%
バルク・ライン
農家群というような全体の一部を
計算の対象とする必要がなくなってくるのでありまして、
調査がそれを目的として設計されておる
平均生産費を用いる点から言っても、
バルク・ライン
生産費計算方法は著しく改善されるわけである、こういう
意見を学界においても述べられておるのであります。まだこれは十分に固定化したものではないでしょう。少くとも、こういう点については、もっと
大臣は、事務当局の言いなりにならないで—事務当局は、御用学者というか、
政府の意図に沿うような者のもとに、この画期的な作業について
バルク・ラインそのものを紛砕していこうというきわめて冷たい
態度をとっておられますが、
食糧庁長官はにやにや笑って聞いておられますが、笑いごとではないのです。ほんとうにあなた方のことしとられた
態度は、
政府の
米価決定方針をして重大なるあやまちを犯させようとしておる。少くとも、この問題に対しては、もっと謙虚に各界の
意見を聴取して、そうしてあやまちなきを期すべきだと思うのです。何のためのそれでは
生産費・
所得補償方式だとおくめんもなく言えますか。看板をやめて、今まで
通りの
方式をとって、そして昨年の基本
米価を出すために苦労したのだと正直に言うべきではないですか。もっともらしく大看板を掲げてこのような
態度に出られておるということは、私はどうしても理解することができません。
いろいろと申し上げたいことはございますが、とにかく、
昭和三十四
年産米価問題につきまして、
バルク・
ライン方式を中心に私は今まで述べてきたわけでありますが、本
年産の
米価算定に当って、
算定が
パリティ方式から
生産費方式に移行したとはいえ、全然その実体が伴っておらない。
生産費方式を採用の場合の個々の問題、すなわち、
自家労賃の
評価、地代、利子のとり方、あるいは都市、
農村の
物価差の
評価等につきましては、
立場により
見解の相違があり、しかも遺憾ながらこの諸点については甲論乙駁切りがないのであります。従って、これらの諸点につきましては、論議を尽して、未解決の問題は未解決の問題としてさらに
検討すべきものではないか。一般に与えておる印象は、これが
生産費・所得
方式なりというふうにあなた方も宣伝し、一般の方でもそういうふうに理解されるということは、われわれは
生産費・
所得補償方式を三十年以来—当時私も
米価審議会におりましたが、数ヵ年間学界を動員して作り上げた
方式は、そのような甘ったるいものではないのです。そういう点について、もう少し謙虚な
立場に立たれていくことが、私は本年の
米価決定の基本的な
態度ではないかと思います。
大臣に最後に伺っておきたいと思うのでありますが、そういう点から、今朝の新聞紙等を見ますと、
予約減税の問題をめぐって加算額を増加してこの際を一応切り抜けようという
考え方に移っておるような報道が行われておりまするが、その点について、新聞報道は全然誤まりでありますか。加算で乗り切っていかれようとするのか、基本
米価について正しいものを求めようという
態度の上から少くともこれに対してさらに反省と再
検討を加えられていこうという結果が、数百円の動きとなって現われようとしておるのか。その点について、結論を得ておられないならば、その結論は伺おうとはいたしませんが、少くとも謙虚な
態度をもってこの
委員会を通じて広く
政府の
態度を明らかにしていただきたいと思います。