○飛鳥田
委員 どうも僕はあまりあげ足をとるのは好きではありませんが、他でいいものがあって、こっちはどうも足りないけれども、バランスをとればとおっしゃるのですが、しかし僕がきょうもらうものが少な過ぎて、あしたもらうものが多過ぎる、それの平均をとるというのならばいいと思うのですよ。朝三暮四でもかまわないと思います。しかしもらう人々は人格が別でしょう。こちらの大学の研究職の方がもしあなたのおっしゃるようにいいと
考えましても、もらう人はこっちは一人、こっちの悪いお医者様の
給与をもらう人はこの人というように違う人なんですよ。同じように勤めているこの人とこの人がバランスをとってなんという話は、あまりひどいじゃないかと私は思います。たとえば
淺井先生の
利益において私が損をしていいという
理由は、私はないだろうと思うのです。やはり
国家が公正にやるとするならば、
淺井先生の場合も私の場合も同断で公平でなければならないと思います。それなるがゆえに
国家と称し得るのだろうと思うのですが、もし
淺井先生の
利益において私が損をしてよろしいという判断を下すならば、それは
国家ではありませんね。
淺井先生の味方というにすぎない。私はそういう
意味であげ足をとるようなことは申し上げたくありませんが、しかしこの
人事院勧告をなさる場合に、何か今おっしゃったような精神が根底にありはしないだろうかと私は思うわけです。医療
関係者はやはり医療
関係者として、その人の社会の平均の賃金、あるいはそれ以上のもので雇って差し上げなければいけないのではないでしょうか。そして今この問題は必ずしもこれをもって足れりとはしていないけれども、しかし暫定的にやむを得ない、こうおっしゃったのですが、しかし
人事院は
予算を組んでお金を出す側ではないわけです。そして雇用者ではないわけです。やはり
人事院にスト権を奪われている
公務員の
利益を守ってあげる
立場であって、
勧告者の
立場である、こう思うのです。その
勧告者が政治的に配慮をなさるという根拠が一体
法律上のどこにあるのか。私は、そのことに
政府が従うか、
国会がそのことを認めるかは別として、やはり
公務員の
利益を守る役目を背負った
方々として、そんな暫定的で仕方がないというけちくさい
考えをお持ちにならないで、堂々とした
勧告をお
出しになるべき
責任があるのじゃないでしょうか。私は
淺井先生に政治家になっていただきたいとは思いません。おそらく全国の
公務員だとて、あなたが岸さんと同じような政治家になられて、どうも仕方がない、暫定的だなどとお
考えになることを求めているとは思いません。
法律もそれを求めていないはずです。そういうお
考えに基いてこういう
勧告をお
出しになりますからこそ、
政府もそういうあなた方のおなかの底に甘えて、また別な
態度をとってくるのではないか。別な
態度をとってくるから、しょせんは
公務員の
利益が守られずして、国立の病院その他に就職をしていくお医者様はますます減っていくだろう、こう私
たちは思わざる得ないわけです。そういうお医者様が減っていくということは現に勤めておられるお医者様
たちの労働強化をもたらし、同時にまたその地方における
一般住民の健康管理に欠陥をもたらす結果になるのではないだろうか、こう私
たちは
考えるわけです。
なぜお医者様のことをしつこく申し上げたかと申しますと、私自身、自分の弟
たちが医者なものですから、あんまり
給与が違うのでびっくりして今申し上げているわけです。これではどんなことがあってもみんな
民間へ行ってしまいますよ。医は仁術なりといいますが、仁であるだけでは食っていけないのですからね。もう一度この問題について、暫定的で仕方がないなどという
考え方を是正していただいて、やはり先生がそういう人々を遇するに最も妥当なる道、こういうことを
勧告していただくように私はお願いしたいと思います。そういう
意味で、先ほどちょっと面子上修正はできないかというお話でありましたけれども、
関係するところ非常に大きいわけです。そういう
意味であらためて、少くとも修正の意思を表示せらるるお心持ちがあるかどうか、こういうことを、くどいようですが、伺いたいと思います。
一体日本は医者とか、自分のことを言っておかしいのですが、弁護士とか、そういう連中の精神的な労働を非常に安く評価する悪い癖がある。大学の教授に対しても同様です。そういう精神労働を高く評価できないような国が栄えたためしはない、こう私は感じておりますが、ぜひ
一つこの医療
関係の人々について——最もいいなどとおっしゃるこの医療
関係の人々について、はっきりした答えをここでやっていただきとうございます。もし何でしたら、先生のお答えの載っております速記録を北海道の病院の
方々へ送ってあげたい、こう私は思いますので、明確にしていただきたいと思います。