○甘利説明員 ただいま非常に高い見識に基いた御
意見を承わりまして、私非常に教えられた次第でございます。この問題につきましては、
新聞等で幾らか誤まり伝えられておるところがございます。私は一個の技術者としては、ただいまの
ような
理想論として、UHF帯にすべてのFMを整理して、UHF
テレビを充実するということが非常にいい方法ではないかと
考えております。またアメリカにおきましても、UHFとVHFの使い方を誤まったために、非常な混乱を生じて、FCCは非常な非難をこうむっております。私にもFCCから、ぜひ
日本はこのあやまちを繰り返さないでくれ、UHFを
日本はどう使うかということに大いに期待するのだと、これは
一つの失敗経験者として、好意ある忠告をしてくれたわけでございます。一方VHF帯におけるFM
放送の実験は、もちろん国際的的なバンドとして認められておるわけでございますので、過去数年にわたっていろいろな実験が行われてきた。これは非常に好ましいことで、
郵政省としても大いにこれを奨励して参ったわけでございます。従って現在、先ほど松前先生は五十万とおっしゃいましたが、私、
数字ははっきりいたしませんが、NHKの調査あるいは工業会の話によりますと、三万ないし五万というふうに聞いております。その数が多いか少いかという
判断ですが、もし切りかえるとすれば、もう実施の時期がおそいわけでございますが、ここでもう一度その問題について再検討をしておこうじゃないかというのが私の
考え方でございます。従って、何もUHFに切りかえるという
方針を立てて、それを押しつけていったということではないのでございます。先般もこの問題については、電子
機械工業会の一同と懇談いたしまして、私の真意を述べまして、工業会においても早急に
研究委員会を開いて、この問題を討議するというふうに申し述べておりました。そのときのいろいろな
意見を総合しましても、ただいま松前先生の言われました
ように、主として
日本のFM帯における無線機器の輸出につきまして活発な議論があり、その
意見を十分聞きました。二、三の社から
数字をあげて、たとえば月産一千台、二千台といった
ようなものを作り、それを主として南方地域に輸出している。もし国内でこれを実施しない場合には、輸出だけにたよるので、生産計画が非常に立ちにくい、やはりそれを国内で吸収する
ようなバッファー・アクションがないと非常にやりにくいのだということも十分承わっております。またせっかくFMの技術が、これは東海大学を中心にして非常にりっぱなデータを出されて、われわれ非常に感謝しているわけですが、そういったりっぱな技術が、せっかくここまで伸びてきたのに、これを切りかえることによってその進展を阻止するのじゃないかということも、重々
考えた上での私の発言でございます。問題はやはりそういう点にありまして、ここで生きて伸びつつある輸出産業の見きわめと、ここ二、三年は確かにVHF・FMを実施しても、一応収容できるでありましょうが、その先を
考えますと、最近のFMに関する非常にものすごい需要、これを将来いかにしてはくか、かなり先の問題になるかと思いますが、周波数のスペクトラムをどう配分するかということは、われわれとしては将来にわたって、非常に重要な
責任を負う仕事でございますので、その点についても
意見を述べまして、利害
関係者の
協力を求めるという態度で
お話をしたわけでございます。非常に重要な、利害相反する矛盾がここにありますので、私どもも早急に、この問題についてより深く検討していきたいと思います。これはまたゆっくりと
研究して、延ばしていいものではありませんので、一面UHFの
研究を促進することもやりますが、それはやはり相当時間を要すると思います。一方VHFの機器の生産は生きているわけでございますので、このゆっくりした進みと生きているものを見比べて、決断を下すということは、
見通しとして非常に困難な仕事ではありますが、やはりきわめて重要な問題であるだけに、われわれは衆知をしぼり、また多くの方の御
意見を聞いて、早期に決断を下したいと思っております。決断と申しましても、私は、在来
郵政がそういう
方針で進んできたわけでありますから、ここで強権をもって、反対を押し切ってかえるということは絶対いたしません。やる場合には、必ず皆さん全部の御賛同を得た上でなければ、これは絶対に実施しないつもりでございます。