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1959-08-10 第32回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年八月十日(月曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 飯塚 定輔君 理事 纐纈 彌三君    理事 田中 榮一君 理事 吉田 重延君    理事 阪上安太郎君 理事 門司  亮君    理事 安井 吉典君       加藤 精三君    金子 岩三君       亀山 孝一君    鈴木 善幸君       高田 富與君    津島 文治君       富田 健治君    中島 茂喜君       三田村武夫君    山崎  巖君       太田 一夫君    加賀田 進君       川村 継義君    佐野 憲治君       中井徳次郎君    北條 秀一君       矢尾喜三郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 石原幹市郎君  委員外出席者         警  視  監         (警察庁刑事局         長)      中川 薫治君         国家消防本部長 鈴木 琢二君         総理府事務官         (自治庁財政局         財政課長)   細郷 道一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方財政に関する件  警察に関する件      ————◇—————
  2. 濱地文平

    濱地委員長 これより会議を開きます。  まず明年度地方財政見通し等につきまして、自治庁長官より説明を聴取することといたします。石原国務大臣
  3. 石原幹市郎

    石原国務大臣 それでは私から、まず最初明年度地方財政見通しにつきまして概略御説明を申し上げてみたいと思います。  明年度財政見通しについてでございまするが、ただいまのところでは、まだ三十四年度財政の経過の途中にありまするので、確実な見通しを得るに至ってはおりませんが、一応現行制度と、それからその実施が見込まれておるものにつきまして、財源措置を要すると考えられるような経費増加額その他をずっと織り込んで考えたところを申し上げておきたいと思うのであります。  まず給与関係費が非常にふえてくるのでありまして、これは一般義務教育職員人員増であるとか、昇給であるとか、それから臨時職員定員化定数化等によりまして約二百四十五億、このうち一般財源地方負担になるものが百八十五億ということになっております。それから三十五年度から公務員恩給制度を、国家公務員の例にならいまして共済方式による退職年金制度に切りかえることにいたしますると、その経費が約百五十五億、一般財源所要額といたしましては大体百億と見込まれるのであります。それから先般人事院国家公務員給与改訂勧告があったのでありますが、国家公務員もその通り行われ、地方公務員がさらにそれに基いて同様の措置をとるということになりました際には、総額で二百億円、一般財源所要額といたしまして百七十億と見込まれておるわけであります。それから公共投資増加額を、長期経済計画伸び率で算定していきますと、まず道路整備五カ年計画、それから公立文教施設整備五カ年計画に基く計画事業量増加に伴う経費として百三十五億、一般財源所要額として六十五億、それから今申し上げました以外の公共事業河川、砂防、港湾その他の建設事業事業量増加に伴う経費の増として二百三十億、一般所要財源として八十五億ということに相なっております。それから国民経済の進展に応じた地方行政水準近代化充実化等のために必要な、いわゆる下水道であるとかその他の都市施設屎尿処理塵芥処理等環境衛生施設整備を中心とする経費、これは大体全部一般所要財源でありますので、これが七十億、それから公債費増加が約十五億、それからPTA負担金のうち公費をもってまかなわるべき義務教育にかかわる教職員費維持費等経費にかかるもの、そういうものをなるべく解消させたいというわけで、これが約九十億、それからその他国民経済の発展に対応する国庫補助あるいは負担金の増に伴う経費その他の経営経費の増といたしまして百四十億、一般所要財源といたしましては九十五億でございます。小計いたしますると、これで約千二百八十億円、一般所要財源といたしまして八百七十五億円ということになるのでありまして、こういうものがふえていく方の費用でございます。  ところが一方、また地方税であるとか、あるいは地方交付税収入見込額については、まだ確実な見通しを得るに至っておりませんけれども、三十四年度地方財政計画計上額に対して当然減収が見込まれるもの考えていきますと、まず第一に、三十四年度において実施せられました所得税減税に照応いたしまして、道府県民税市町村民税減税を行うこととした場合に生ずる住民税減収が約百二十二億円、国税三税の昭和三十三年度収入見込額の確定に基きまして、地方交付税の精算において減額となることによる地方交付税減収が百六十八億円、それから昭和三十四年度において行われました入場税軽油引取税等改正措置の平年度化に伴いまする減収でありますが、これが四十三億円、これを小計しますと三百三十三億円ということになるのでありまして、最初の八百七十五億とこの三百三十三億、これが三十五年度におきまして地方財政にとって大きな影響を与えてくると見込まれる財政措置を要する面であろうと思うのでありまして、約千二百億という数字になるのであります。  これらの問題につきまして、ただいまいろいろ考えていかねばならぬと思っておりますることは、いろいろ税収の減収に伴う収入減になりまするものにつきましては、これは何らかの財政補てんを講じていってもらいたいと思っておりますことと、それから公共事業事業量がどんどん増加していく、臨特は廃止になったというようなことで、地方負担が非常にふえてきておるわけでございます。この問題につきましては、また皆様方のいろいろ御意見、御鞭撻をいただきまして、河川であるとか、あるいは治山、こういう事業費に伴います地方負担については特別に考慮をしてもらうとか、いろいろの措置を御検討願わなければならぬと思っておるのであります。また国民生活水準がだんだん上っていきますについて、それに対応する先ほど申し上げました上下水道であるとか、あるいは屎尿処理であるとか、あるいは環境衛生施設工業用水道港湾施設、こういう国民生活あるいは産業経済基盤の造成に関連するようなものにつきましては、必要な資金を大幅に増額をしてもらいたい、こういうような方向で、三十五年度地方財政に対しまして今後いろいろ検討なり折衝をしていきたい、かように考えておる次第であります。
  4. 濱地文平

    濱地委員長 大臣説明に対しまして質疑の通告がありますから、これを許します。  まず最初門司さん。
  5. 門司亮

    門司委員 今の大臣説明を聞きますと、結局千二百八億、約千二百億ぐらいのもの減収になるという見通しですが、それに対する補てんが非常に希望的な御意見だけで、はっきりしたものがなかったように承わっております。それから新聞その他で見ますと、  これを補てんすることのために、大臣はかなり突っ込んだというか、もう少し念の入ったことが実は新聞に書かれております。たとえば消防に対します新しい課税方法考えておるとか、それからゴルフ入場税を増すとかいうような、地方税制に対する考え方等が実は新聞に出ておるわけであります。それらにつきましても、私はこの際お考えになっておるところを明らかにしておいていただきたいと思います。そうしませんと、ただ財政がこれだけ逼迫しておるからこれを何とかするつもりだということだけでは、どうもわれわれ納得がいきませんので、これを補てんされる具体的なものについての御説明をこの際願いたいと思います。
  6. 石原幹市郎

    石原国務大臣 まず税の方のだんだん減収になってくるものにつきましては、原則的には地方交付税の率の引き上げであるとか、たばこ消費税問題等を、これから検討していかねばならぬと思うのでありますが、今門司委員の御指摘になりました、私が談話か何かに言うておるという点につきましては、地方の方におきましてもあまり大衆課税にならないでまだ何か考えられるものはないかということで、自治庁事務当局といろいろ話し合って検討しておる問題を一、二あげてみたわけでございまして、それは一つは例のゴルフ入場税のようなものをもう少し考えてみたらどうだ、あるいは自動車等につきまして、自家用の乗用車などについてまだ若干研究をする余地はなかろうか。それからこれは前からずっといろいろ論議されておる問題でありますけれども消防施設強化というようなものにつきまして消防施設税、こういうようなことも検討してみたらどうか。中火からいろいろ財政措置をしてもらわなければならぬことはもちろんでありますけれども地方自体としても何か考えられるものはないだろうかというような問題点につきまして、思いつきを提示したというような意味で私が談話を述べたというような次第であります。
  7. 門司亮

    門司委員 次に聞いておきたいと思いますことは、そのこともありますが、今のお話のように、交付税あるいはたばこ消費税引き上げというようなものが端的に実は考えられるわけであります。ところが、今の政府の今日までとって参りました財政金融との関係、あるいは財政投融資との関係等をずっと見て参りますと、そう簡単に私どもはできないと思います。たばこ消費税の三%のごときは、五年ぐらい前に地方制度調査会から当局にはちゃんと答申をしてあるはずである。それがいまだに実行されておらぬ。この機会に私は、はっきりしておきたいと思いますことは、自主的な財源をふやすことも、これが過重にならなければ、私は今のお話のようにもの考え方によってはよろしいかと思います。このほかに、たとえば最近の土地増価等に対します問題等も単なる固定資産税だけではなくて、もしこのまま土地の暴騰いたしておりますのをほうっておきますと、これは住宅の問題にも関係をいたしましょうし、あらゆる物価の問題にも関係してくるので、これらに対する地主のそうした食欲から土地を放任してあるようなもの、いわゆる遊休されておるようなものに対しても、私は何らか規制をする必要があろうかと考える。それらについてこれを税金で規制するのか、あるいは思い切った農地改革のようなことをするのかというような問題があろうかと思います。しかし、そういうものもあるかと思いますが、なかなかそういうものだけではものの解決はつきませんので、今の大臣説明をずっと聞いていますと、足りない部分というのがほとんど経費の面で、消費的経費考えられる面がこの中に割合たくさん比重を占めておるということができるのではないかと一応考えられてきます。従って、地方自治体の財政の中でこういう消費的経費が非常にふえて参りますということは、自治体の財政負担の問題としては非常に困ることであって、従って、これらについてぜひ政府が責任を持って補てんするという態度をとってもらいたい。投資的経費については、起債その他でカバーができるかもしれない。しかし、消費的経費はそういうような通常経費の中から出さなければなりません。かなり地方財政を圧迫するのではないかと考えられるのであります。従って聞いておきたいと思いますことは、この投資的経費の分については、起債を現状よりもふやされる御意思があるかどうかということ。これに関連して例の起債特例法がありましたが、これが廃止されておる。これをこの際復活を願えるかどうかということをあわせてお答えを願いたいと思う。それから消費的経費につきましては、これはここではっきり聞いておきたいと思いますが、国が必ず財政措置をするという見通しがあるかどうか。今日御承知のように財政の基礎を非常に危うくしておりますものは、消費的経費に対する政府財政措置が非常に悪かったということが一つの原因であって、御承知のように昭和二十九年を頂点として地方財政赤字が現われてきましたが、それから一時ずっと減っております。しかし、これは仕事をしなかったことも一つの問題でありますが、最近一、二年は赤字がふえる傾向になっております。従って、私は非常に大事なときだと思います。一応減ったが、またふえつつあるというのは、あなたの方がよく御存じだと思う。こういう時期でありますので、この際、そういう消費的経費投資的経費に対する財政処置についてのお考えがありますならば、発表をしておいていただきたい。
  8. 石原幹市郎

    石原国務大臣 消費的経費増加投資的経費増加について、いろいろ門司委員から御意見があったのでありますが、私も、大体同様に考えておるものでございまして、最近の地方財政状況を見ますると、三十二年度が比較的よかったわけでありますが、三十三年からさらに三十四年度にかけましてだんだんまた赤字が増高しておるという遺憾な現象になってきておるのであります。そういう意味消費的経費、ことに給与費地方財政に与えておる負担、圧迫というものは非常に大きなものであろうと思う。三十五年度には、さらに先ほど申し上げましたように給与改訂人事院勧告の問題、それから恩給年金に切りかえる問題等について相当莫大な負担の増となりますので、これは私といたしましては全力を上げて、皆様方の御後援をいただいて、補てん全力を尽したい、かように考えておるものであります。  それから投資的経費の問題につきましては、いろいろ議論があると思いますけれども、私は起債のワクは三十四年でたしか百億だったと思いますが、ふやされたように思うのであります。これが三十五年度においても、もっと相当大幅にふやしてもらいまして、ことに使用料手数料等の伴うような公営企業的なものについてはどんどんふやしてもらうというような行き方をとってもらいたい。そういう面に私としてはできる限りの努力を払って参りたい、ただいまはかよう考えております。
  9. 門司亮

    門司委員 もう一つだけ聞いておきたいと思います。今の御答弁の中で、臨時特例に対する答弁が落ちておりますが、これを一つ加えていただきたいと思います。  それからこれは私どもの非常に危惧しておる問題でありますが、一つの問題は、今当局が行おうといたしております税制改正に対します国、地方を通ずる一つ方向であります。これが一体どういう方向税制改正委員会では持っていこうとしておるのか、その点もしおわかりでしたらこの際御発表願っておきたいと思います。  それからその次にごく簡単に聞いておきたいと思いますことは、オリンピックが五年先に来る、こういうことになっておると思いますが、それらの施設に対します地方負担と中央との関係であります。これは国体をかりにやるといたしましても、国体を引き受けた府県ではかなり大きな税負担をいたしております。そしてそのあとの利用その他にかなり苦しんでおるような状況がしばしば見受けられるのであります。やはり今度のオリンピックの問題にいたしましても、かなり地方負担がふえてくると考えられる。それらの面に対する財政処置をもし国がお考えになっておるとするならば、国庫補助でどれくらいおやりになるのか、あるいは地方負担でどのくらいおやりになるのか。いずれにしてもオリンピックをやることによって地方負担があまり多くなって地方財政影響を及ぼすようなことは好ましいことではないだろうと思いますので、その点についてお考えがありますならばお聞かせ願いたいと思います。  もう一つの問題は、財源の問題として最近競輪や競馬の問題が非常にやかましくなっておりまして、これを廃止したらどうかという声が大きい。ところが協会の方から私どもの手元に参ります資料によりますと、それほど悪いものでもない。地方にこれだけ寄与したというような広告のような資料が一応配付されております。従って世論に従ってこれを廃止した場合の財政処置というようなもの考えないわけにはいかないと考える。従って、この点に対します政府のお考え一つこの際明らかにしておいていただきたい。
  10. 石原幹市郎

    石原国務大臣 臨特廃止に伴う措置の問題につきましては、先ほどもちょっと触れたかと思ったのでありますが、さしあたり本年度三十四年度の問題と、それから将来の問題と両方あると思うのでありますが、本年度の問題といたしましては、当面の措置としては、地方実情ぎりぎりのところをよくまとめまして、どうしても足らないものは一応起債でも措置をしてもらわねばならぬ、かように考えております。ただ税の自然増収であるとか、県単事業とのかね合いで、どういうように整理をしてこうかという、地方といたしましてまだはっきりそこまでの総体的のまとめがまとまってないようでございます。それらのまとめに即応いたしまして、三十四年度としては起債でこれを措置する以外に方法がないのではないかと私はただいま考えております。  それから将来の問題といたしましては、臨特法の復活というようなことはなかなか困難ではないかと思われますので、その際には河川であるとか、治山であるとか、国が国家的要請によってやるような事業につきましては、できるだけ国においてやる。全額でやってもらえばこれにこしたことはないのでありますけれども、少くとも道路等負担しておりますようなくらいの負担にこれをやってもらいたい。この問題が片づけば、全体の七、八割は片づくのではないかと思いますので、これは皆様方の御支援によりまして、ぜひともこういう方向努力をしていきたいと今思っております。  それから税制調査会の問題でございますが、これはまだ調査会を開いて数回の論議を重ねておるだけでございまして、私としても、まだどういう方向調査会が持っていこうとしておるかというようなことはよくわからないのでございますが、私の個人的の考え方をもっていたしましたならば、やはり地方財政を堅実にしていくという上におきまして、あるいは自治制度を確立していくという上から考えますと、何といっても国税部分があまりにも大きいのでありますが、地方税の面をもう少し強化できるような——強化といっても増税の意味ではございません。地方税国税から回してもらうべきものをできるだけ回してもらうようにした方がいいのじゃないか、そういうふうな考えを私は持っておるわけであります。  オリンピックの問題につきましては、いずれ都の方からもよく実情を聞きまして、今御指摘のように地方負担が非常に増高しないように、これらの問題も考えてもらいたいと思っておるのであります。これと最初の問題との関連でありまするが、近来公共事業予算をきめられるときとか、いろいろの問題が地方負担ということを考えないで独走的に予算が論議され、きめられておる形がありまするので、私といたしましては、いろいろの公共事業的の予算をきめる際には、必ず地方負担ということを常に念頭に置きつつ、国の財政地方財政を両方考えながらいろいろの予算をきめていってもらいたいというふうに、政調なりあるいは大蔵大臣関係大臣等に機会あるごとに強く要望をしていきたいと思っておる次第でございます。  競輪の問題につきましては、これはいろいろ御意見もあるのでありまして、また通商産業省等との関係もあり、私から結論的なことを申し上げることはできないのでございます。最近いろいろの事故を起しまして、世論もなかなかきびしいということも事実でございます。またこれに対応いたしまして、施行者なりあるいはこの運営に当っておるいろいろの団体等につきましても、それぞれ自粛といいまするか、いろいろの問題を検討しておるようでございまして、地方財政への影響といえば、これは全国で約七十億くらいで、数字から申しましたならばそれほど大きな数字ではございませんが、しかし、この七十億がいろいろの地方に、一部に固まって局所的には地方団体としては非常に大きな影響を受けるところもできてくると思うのであります。この財政の問題、それからこれらに従事しておりまする人々も相当多くの数で、約六万人と覚えておりますが、これらの人々問題等もございまするので、この問題はやはり相当慎重に検討しなければならぬと思います。それから競輪というものが今日まで果してきた地方財政への貢献、それから自転車事業、軽工業、社会福祉施設等に対していろいろ果してきた面もやはり考えてみなければいかぬと思うのでありまして、さしあたりの問題といたしましては極度の自粛といいますか、あるいは運営方法の改善、いろいろの問題をやらしまして、いろいろの問題がありました際には厳罰をもって臨んでこれを自粛さしていく、同時に今後の根本的問題につきましても並行して検討を加えていかなければならない、私はただいまこの程度しかお答えできないのであります。
  11. 北條秀一

    北條委員 先ほど門司委員の御質問に対して大臣お答えになった中で、関連いたしましてこの際明らかにしておきたいと思うのであります。  それは先ほど新聞談話のことについて、ことに消防施設税を作るとか、あるいは自家用車の自動車税引き上げるとかいう談話が最近新聞に出ましたが、それに対して先ほど大臣は、単なる自分思いつきですということを言われたのでありますが、そういう言葉は私は自分としては理解しかねるのです。といますいのは、消防施設税の新設については、かねて私どもがやかましく政府に要求をしておったところなのです。それから自動車の問題は、これは今日自動車の問題がいろいろの点について問題になっております。非常な関心を持っているところだ。もう一つは、あなたが長い間地方行政を担当されておって、地方財政という点から、何とか地方財政のの弱体を打開しなくてはならぬというふうに考えておられることは、私は事実だろうと考えるのです。従って以上申し上げましたようなところから考えますと、あれは単なる思いつきでなしに、ぜひこうありたいということを大臣に就任以来十分に検討されてこの談話を発表されたことだと私ほ信じたいのであります。それを先ほどのように単なる思いつきだというふうに言われると、はなはだ解せないものがあるが、その点はあなたはもっと真剣にあの問題を考えておるのというふうに言われるべきだと思うのでありますが、その点どうなのですか。
  12. 石原幹市郎

    石原国務大臣 これはお話のように、消防施設税は従来から長い間の問題であり、ことに両院の地方行政委員会等でも相当要望されているということは私もよく承知しておりますし、私も去年の予算編成のときにも党におったのでありますが、党におります一人といたしましても、この施設税という問題については私も主張しておった一人でありますので、私といたしましては、この問題を強く考えております一人であります。それから私が単なる思いつきと言ったのはちょっと言い過ぎかもしれませんが、消防施設税については思いつきという意味で触れておったのではないので、ゴルフの方と自動車の方でございますが、別に税に関係いたしましてはいろいろの調査会もあり、それからまた党にもそれぞれの委員公等もあるのでありますから、そういうところへまだ何ら諮っておりませんので、いかにも何か固まった意見のように受け取られますと困りますので、これは私の考えであるという意味思いつき、こう申し上げたのであります。私個人といたしましては、ゴルフであるとか、自家用乗用自動車、こういう問題は大衆課税にもならないし、相当考えていっていい問題ではないか、かように考えております。
  13. 門司亮

    門司委員 大臣がお昼から向うにおいでになるというお話ですから、ごく簡単に福岡県の今度の災害についての町村財政に対する措置について、二、三お聞きをしておきたいと思うのです。  この問題はすでにくどく申し上げる必要はないと思いますが、昨年の例の静岡県の災害のときにとられましたような起債その他に対します処置を、この場合おとり願うことができるかどうかということであります。大体同じような災害状況でありますので、この起債特例等についても一つ考えが願えるかどうか。  それからその次に問題になりますのは、災害復旧に対します財源の問題としての起債に対します元利補給等についてお考えが願えるかどうかということであります。これらのことを申し上げますのは、今度の被害の特徴といたしまして、御承知のように割合農地に対します被害が多かったということと、それから被害個所の約七割以上というものは小災害であって、国の補助対策にならないということ、こういう特異性を持っておりますので、従って町村の負担というものは非常に重いものになっております。従ってこれを緩和いたしますために、今申し上げましたように単独災害等の事業につきましても一つ起債を願いますと同時に、一つこれについての元利補給の道を講じてもらいませんと、実際上借金だけやったのでは借金払いに困る。大きい災害でありますならば、何割か国から補助がありますから、それだけはのがれるわけでありますが、全額起債でやるような場合には、小災害にはそういう問題が必ず出てくる。従ってこういう災害の特異性、これはことしの災害だけではございませんで、去年の東北地方における状態もこれと同じような状況だったと思います。従って、こういう問題に対するお考えをこの際一つはっきりお聞かせを願っておきたいと思います。それからその次に問題になりますのが、つなぎ融資の問題でありますが、つなぎ融資として相当のものをいわゆる起債その他と別にいたしまして、政府の資金でまかなっていただきたいということが一つあります。  それからもう一つの問題は、従って財政補てんをいたしますための一つ方法として考えられる特別交付税等についても、一つぜひお考えおきを願いたい。これは減収に伴うものがかなりありますので、必然的にそういう処置を講じていただきませんとやりにくいかと考えております。財政需要額と収入額とのアンバランスということだけでなくて、それを埋めることのためにぜひ特別交付税処置をとってもらいたい。こういう問題でございますが、これに対して一つ時間もございませんからごく簡単にいたしますが、現状等についてはいずれ陳情その他で大臣もお聞きだと思いますが、お答えを願っておきたいと思います。
  14. 石原幹市郎

    石原国務大臣 福岡県と山口県の一部に起りましたこの災害はほんとうに気の毒だったと思うのであります。自治庁からもあのあと間もなく係官を派遣いたしまして調査をさしております。まだこの調査はまとまっていないと思うのでありますが、大体御指摘の線のような問題につきましては、それぞれその方向努力したい。ことに去年の災害のうち小災害といいますか、農地の小団地の災害の問題については、これは非常に議論もあり、ことに当院の地方行政委員会の幹部の皆さん方が非常に骨を折られた問題は、私もまのあたりよく拝承しておりまして、これらの問題につきましても、本年もできるだけの努力をしたいと思います。つなぎ融資は、これは例年のいつものことでありますので、そういう措置はとれるだろうと思います。特別交付税の配分のときに当りましては、十分念頭に置きながら配分計画をきめていきたい、かように思います。
  15. 濱地文平

    濱地委員長 川村さん
  16. 川村継義

    ○川村委員 大臣説明に対して門司委員からお尋ねがありましたが、大体私も同じようなことを聞いておきたいと思ったのですが、御趣旨はわかっておりますので簡単に済ましたいと思います。  第一点は、三十三年度は各市町村とも三十二年度に比べて非常に赤字が出ておる団体が増してきておるように見受けるのです。私の県でもそういう傾向がありますが、これは実質収支の上から考えて一体どういうふうになっておるのか。あるいは何かほかに原因があって三十三年度はずっと悪くなっておるのか、この辺のところをまず聞かせておいていただきたいと思います。
  17. 石原幹市郎

    石原国務大臣 いろいろの自治体の実情につきましては、財政課長もおりますので財政課長からお話し申し上げたいと思いますが、三十二年度と三十三年度を比べますると、急に三十三年が落ちておるわけでございまするが、これは三十二年度におきましては、経済界の好況の影響によって、地方税におきまして当初予定された財政計画上の見込額よりも二百八十数億円の増収があった。自然増が非常にあった。三十三年度におきましては、経済界の不況のために、その増収がわずかに二十三億程度にとどまっておった。自然増の伸びがあったかなかったかということが一番大きな影響を与えた問題であったと思うのであります。一番大きな理由としてはその点だろうと思います。ちょっと数字財政課長から……。
  18. 川村継義

    ○川村委員 それくらいの原因ですかね。ほかにありませんかね。それじゃ課長の方から何かほかにあったら……。
  19. 細郷道一

    細郷説明員 御承知のように三十二年度はいわゆる非常な好況によりまして、年度当初に見積った税収あるいは地方交付税が、それぞれ年度末までの間に異常な自然増収をしました。今大臣から申し上げましたように、府県において二百八十数億、府県、市町村を通じますと六百億ほどふえたわけであります。これがやはり非常に大きな原因をなして、三十二年度においては、各団体とも将来の赤字解消のために、いわゆる蓄積をするとか、あるいは再建債を返す、あるいはそれによって今までおくれておりました水準の向上をほかるというようなことをいたしたわけであります。それが三十三年度になりますと、御承知のように経済界の好況の税収に対する反映がぐっと落ちまして、私どもまだ三十三年度の決算は全部つかんでいないのでありますが、府県だけを見ましても、当初の見込額と大した差を持っておりません。すなわち府県で申しますれば、交付税は三十二年度のように年度末にふえるということもございませんでした。あるいは地方税につきましても、わずかに二十億程度が見込みよりもふえたにとどまったのであります。もちろん府県の中には超過課税をしておりました団体もございますので、二十億自体が標準税率で計算しております財政計画からそのままふえたというふうに見込むことはいかがかと思います。なお検討を要すると思いますが、いずれにいたしましても、その程度にとどまったわけであります。  ところが、三十三年度は御承知のように別途にいろいろ歳出の増加要因があったわけであります。それをまかないますためには、その前年以前の繰越金、積立金といったようなものを食い込んでいくことによって、三十三年をしのいできたというふうに私どもは見ておるのであります。なお府県、市町村を通じて全部の調べを今しておりますが、その結果を分析してみませんと、確たることを申し上げかねます。今の段階においては大体そういった見当ではなかろうかと見ております。
  20. 川村継義

    ○川村委員 今検討を加えておられるというお話が出ましたが、その分析の結果をいずれ十分御説明いただきたいと思います。  いろいろの問題がたくさんあると思うのですが、特に私が知っているところでは、結局自治庁の方では再建債等は年限の短縮をして早くやれというようなこと、それから地方では、長い間財政が悪かったために、やらなければならぬ仕事も相当押えてきている。三十二年度は少し財政がよくなったからまあ手をつけろというようなことで、そういう面に金を出していったというようなことなどもいろいろ原因があるのではないか。そういうことを考えていくと、やはり三十四年度、三十五年度はよほど注意しなければならぬ。また以前のように財政が非常に苦しくなる原因になってくるのではないかということなど考えるわけです。先ほど長官から数項目にわたって歳出の問題、あるいは減収等の話がありましたが、先ほど門司委員等からお話がありましたように、ことしは来年度地方財政考える上においては、もう一ぺん腹をきめてかからなければ、またとんでもないことになってしまうのではないかとわれわれは憂慮いたしております。  いろいろ問題は多いと思いますが、その中で長官に御見解を聞いておきますが、交付公債の制度をどうにかやるというようなお考えはないのかどうかということです。どうにかやるということについては、前々から問題になったことでありますから、利子補給等も一部の措置がなされているけれども、あれではどうかというようにわれわれも考えるわけです。ことし三十三年度の終りで六百四十五億ですか現在高があるようでありますが、このままほうっておけば年々この交付公債が増加してしまって、大へんな地方負担になると思うのです。この際やはり交付公債の制度にもう一ぺん根本的なメスを加える必要があるのではなかろうかと考えますが、長官はこれについて今どういう腹づもりをしておられるか、お聞かせいただきたい。  いま一つは先ほどからだんだん出ております地方税の問題でありますが、これはもちろん税制調査会等の結果が出てみなければということもありましたし、しかし先ほどちょっと例が出ましたように、消防施設税の問題であるとか、たばこ消費税等の問題は、これも私も新聞で何か自治庁の方で話をしたのを見たことがありますが、こういうような税目についても、やはり十分検討を加える時期が来ていると思うのです。さきの長官のお話を聞きますと、消防施設税については、自分としては相当前から大きな関心を持っているから研究したい、やるつもりだ、やる考えも持っておるというような意味合いの御発言があったと思います。これなんかも、やはりこの際いろいろと非常にむずかしい問題が必ずまつわりついてくると思いますけれども地方財政ということを考えると、やってのけなければならぬ問題じゃなかろうかと思うのです。この点についても、やはり長官のもっと突き進んだお考えをお聞かせおきいただきたい。それからたばこ消費税についても、これは数年前からこの委員会ではたびたび問題になっておる。ところが、なかなかこれが解決できておりませんけれどもたばこ消費税についても、その率を引き上げるほんとうの腹でやっていくのかどうか。大蔵省といろいろ折衝されておるそうですが、大蔵省と折衝の過程において、たばこ消費税という問題を持ち出して折衝されておられますか、どうですか。ただ自治庁内におけるもやもやとした空気でこの話が出ておるのか、大蔵省といろいろ折衝する過程において、たばこ消費税をこういうふうにしたいという考え方で折衝されておるのかどうか、その辺のところも一つ聞かせておいていただきたい。  第三番目には地方債の問題でありますが、これはいろいろ問題は大きい。ところが、本年のように昨年に比べて百億は増加になっておりますが、これは公募債だけにたよっているわけです。こういう形でいいかどうか、われわれは遺憾に思うのです。もう少し政府資金で考えてやるということが大事ではないか、このように思うのですが、地方債のワクの拡大の問題と、それからこういうような公募債のようなことで、ただ地方におっかぶせるというようなことでなく、政府の責任で、こういう地方債等を見てやるということが必要じゃないかと思うのですが、そういう点について現在の自治庁のお考え、あるいは大蔵省等に折衝されておる過程において、どれくらいの腹でやっておられるか、その辺のところをもう少し明確に一つ聞かせておいていただきたいと思う。
  21. 石原幹市郎

    石原国務大臣 先ほどの一番最初の三十二年と三十三年の問題は、私、先ほどちょっと一言言い落したのでありますが、あなたの御指摘になりましたように、三十二年の好況の影響を受けて、従来からたまっておったいろいろ県単事業とか、あるいは地方によりましては臨時職員をずいぶん定員に繰り入れるとか、いろいろな措置を講じたようなところがあると思うのです。私もある再建団体が、再建の過程において非常な膨大な赤事を生みつつある、生んでいる都市を発見しまして、いろいろ事情を聞いてみますると、そういうことが大きな原因であった。先ほどの自然増収が少かったということで、いろいろ事業を始めてきておったということが大きな原因であると思います。従いまして、将来の三十五年等の地方財政計画樹立に当りましては、いろいろ考えねばならぬと思いますが、しかし、県単も全然抑制してしまうというのでは、地方自治といいますか、地方の行政というものはないことになってしまいますので、そこいらのにらみ合いに苦心を重ねていかなければならぬと思います。  それから大蔵省との折街々々というお話がございましたが、まだ三十五年度の問題については、これからだんだん始まっていくわけでございます。先ほど来は、私の考え方を、私なり自治庁なりの考え方をいろいろ述べたのでありまして、まず御指摘の交付公債については、私も交付公債の実態というものをだんだん知ってからというものは、どうもこれは政府が、国が直轄事業をやっていく上の過渡的措置としてはやむを得なかった制度ではないかと思うのでありますけれども、感心したものではないと私自身も思っておるのであります。少くともこういう形で続けていくのならば、利子の免除くらいのことは考えなければならぬ。現在は、何か政府資金の利さやまでかえって取っているということはまことにけしからぬことだと私は思っているのであります。そういう考え方で進んでいきたいっと思います。  それで先ほども申し上げましたように、自治庁関係地方財政予算が織り込まれておりますのは最後の写りぎりになっていろいろ問題が、たとえば去年も臨特の問題、交付公債の問題あるいは交付税引き上げの問題、たばこ消費税と、いろいろあったのが、とうとう交付税の一%引き上げにしぼられて、これだけでことしはがまんせいということで、最後のとどのつまりにいろいろな問題の中でこれということになるので、そういうことにならないように、ことしは皆様の応援も得まして、国の予算は、他の事業予算がきまっていくときに常に地方財政のことを考えながらきめていくというようなやり方をしてもらいたいということをまつ先にこれを要望していきたいと思っております。また現に要望しつつあります。  それから税の問題でありまするが、消防の問題については、先ほど私が申し上げましたので重ねて申し上げません。ただ、たばこ消費税の問題については、今までの経過では、少くとも住民税減収になる部分についてはたばこ消費税引き上げということを考えていくということでやっているようでございます。三十五年度の全体の財政計画と見合いつつ、その足らざる部分は結局たばこ消費税であるとか、あるいは交付税引き上げ、こういう問題になってくると思いまするので、これらの問題も皆様方の御鞭撻によりまして十分考えていきたい、かように思います。  それから地方債の問題でありまするが、これは私、こういう立場になる前から、地方債のワクはぜひふやしてもらいたい、今地方でいろいろ仕事を伸ばそうと思えば、この地方債のワクをふやしてもらう以外ないのであります。ただこれがえらいふえて、また赤字団体がどんどんできてくるということでは困りまするが、地方債の中には、おのずといろいろ使用料手数料等の収益がどんどん入ってくるものもありましょうし、いろいろありまするので、そうあながち心配ばかりする問題でないと私は思うのであります。私は、どちらかといえば公債については積極論者で、できるだけ公債をふやしてもらいたいということを年来主張しておったものであります。ことに川村委員の御指摘になりましたように、政府資金のワクの地方債の増額——今一千百億といいましても、この中には銀行から借りてくるようなものもワクの中に何ぼか入っているような話も聞いております。そういうものは私もちょっとおかしい。政府資金を中心にしたようなものでもう少し起債のワクをふやしてもらいたい。これは私としても、これに非常な努力を払う一つの問題として取り上げていきたい。かように考えております。
  22. 中井徳次郎

    ○中井委員 ちょっと関連して。私は実はおくれて参って大臣に伺えなかったのでありますが、今のお話の中で、大臣は、地方債についてはむしろ積極論者である、こういうような御意見でございますが、その点はどうでございますかね。これは私は時間があれば実はきょうお尋ねしたいと思っておりましたが、国があのような健全財政、健全財政ということをうたっておられまするが、そのしわ寄せは地方に来まして、それがその年その年起債でもってやれというふうなことになりましたので、今日地方債は七千億を突破するようなことにもなっておる。この辺のところで戦後の混乱から地方財政を何とかして考えなければならぬということになれば、私はここ数年の苦しまぎれのやり方をどっかで線を引かねばならぬ時期にもう実は来ておるのではないか、こう考えておるわけです。きょうはあなたと私は議論をしたいとは思いませんが、この辺のところ石原さんも苦しまぎれに、ことしは苦しいからちょっと起債で、私はそう何年も大臣をやっておるわけではないのだからというのでは困る。もう少し長期の御計画をこの際お立てをいただかぬと、実は各地方におきまして、あんな県がどうして赤字なんだろうというので調べてみると、過去十年ばかり大いに起債によりまして、それでにっちもさっちも動かないというような県も、二、三出て参っております。また市におきましても、そういうものが数多くございます。ですから、この辺のところは慎重な御配慮をぜひとも願いたいと思います。私はもっと言葉をはっきり言えば、この際はそんなこれまでのだらだらとしたその場限りの、その年だけの予算がつじつまが合うというようなことはもうやめるべき時期だ、こう考えておるのであります。今大臣は口をすべらされたのかもしれませんが、地方財政についての公債の積極論というのは、少くとも国の予算、国の財政とのにらみ合いにおいて、そういう超非常事態であるならばあるいはやむを得ないかもしれませんが、今日の事態では、国はほとんど国債は発行しでおらぬ。国債といえば、敗戦前の国債あるいは東京の市債あるいは電力会社の社債、そういうものを国が肩がわりしまして、そうしてそれが残っておるというふうな事態であって、しかも国は余剰金があると、ちゃんと国債の積立金などという法律の制度がありまして、余剰金の半分はそこに回すなどという厳格なことになっておる。ところが地方に至りましては、場つなぎのことをやっておる。ここに私は今の政府として非常な盲点があるように思います。従ってことしあたりも、非常な積極予算をお組みになって、地方をよくお考えになるといったって、地方は自己負担ができないということになってきておるわけですから、この辺の調節こそが私は今日の地方財政の一番大きな問題であるというふうに考えておるのでありますが、この際大臣の率直な見解を再び伺っておきたい、かように考える次第でございます。
  23. 石原幹市郎

    石原国務大臣 これは私が最初からいろいろずっと申し上げている全体を聞いていただけば、私の気持はわかっていただけたと思うのでありますが、私は、税ではできるだけ地方税をふやしていかなければならぬ、国税から地方税に持っていかなければならぬと思います。それから国が公共事業費をいろいろきめていく場合に、河川であるとか、治山であるとか——道路はある程度国の負担が多くなっておりますけれども国家的要請でこんなものをどんどんやっていきたいときには、国でもっと負担をすべきじゃないか、臨特廃止に伴う国の負担増加の問題をここらにしぼって、国で大いに考えてもらわねばならないということを強く主張したいと思います。それから私は、総括的に財政一般公共事業費その他の予算をきめる際には、地方負担がこれにどのくらい伴っておるのか、地方財政はどういうことになるのかということを常に念頭に置きながら公共事業費の予算等をきめてもらいたい。これは大蔵大臣初め関係各省大臣あるいは党の政務調査会等に強く要望をしていきたいと思っております。ただ起債の問題については、いろいろ事業の性質があるのでありまして、公営企業で上下水道などの使用料とか手数料の収入を伴うて、しかも地方が非常に希望しておるものがたくさんあるわけでございますから、そういうものはそうびくびくしなくても起債で処理していい価が相当あるのではないか。もっとワクをふやしてもいい面があるのではないかという私の気持を申し上げたのであります。地方財政はどうなってもかまわぬ、全体のつじつまが合いさえすればいいんだから、足らざるところは全部起債でやれ、そういう無責任な起債論者でないのでありますから、その点御了承を願います。
  24. 中井徳次郎

    ○中井委員 私のお尋ねしたのは、ガスをやったり、水道をやったりして起債をする、そんなことは言っておりません。おりませんが、今日七千億の地方債の金利だけで四百億を突破しておるだろうと思う。全く大蔵省の預金部の利払いは地方地方税でもってこれをまかなっておるというふうな悪循環が出てきておる。これをどこで断ち切るかということです。おっしゃったのは公共事業だと思う。これについては大いに積極的にやる。ただし金利はうんと下げてもらう。これはオーソドックスの考えですが、それをやはりやらなければいかぬ。議論ばかりしておりまして実行を伴わないという点にわれわれは大いに不満を持っておる。それを強く感じておりますので申し上げた次第であります。
  25. 阪上安太郎

    ○阪上委員 先ほどから大臣が三十五年度地方財政見通し、千二百五十億になんなんとする歳入減、それから支出増、それだけの欠陥が出てくると言われたのですが、こんなことはわれわれは前々国会のときから十二分に承知しておることであります。そのときにわれわれはほんとうに検討して、この委員会の全会一致をもって附帯決議をして、その附帯決議の中に、減税に伴うところの減収補てんの問題であるとか、あるいは臨特法の打ち切りによって生ずるところの欠陥であるとか、あるいはその他のいろいろな問題についてつぶさに附帯決議でもって政府の善処方を要望しておったわけです。ところが、今になって突如として新聞発表で、いきなりああいう数字見通しとして出ておる。そのことはそれでいいといたしましても、どうですか、この場合われわれに、あの附帯決議に基くところの自治庁の善処方、対処方についてのしっかりした態度というものをこの際示していただきたい。そうしませんと、予算編成期に入ってきて、結局は取引きをいたしまして、あなた方の苦手である大蔵省と自治庁案と足して二で割るという結果になる。この際事前に誠意をもって、われわれにそういう態度が固まったならば示してもらう。その間に大蔵省と折衝済みでないという場合もありましょうけれども、むしろわれわれはその方が望ましいので、それをやっていってわれわれのバック・アップを受けて、地方財政というものを確立しないと、今までのような行き方をされておりましたならば、いつまでたっても同じようなわだちを踏んで行くことになると思います。でありますから、勇気を持ってこの委員会に、あの附帯決議に対するはっきりした自治庁の態度というものを、どことも相談されることなく一つ報告してもらいたい。この点できるでしょうか、一つ伺いたい。
  26. 石原幹市郎

    石原国務大臣 先刻大体の三十五年度財政見通しを差し引き千二百億ということを申し上げたのですが、これは一応集計してみなければなりませんので、しかもこういう問題に対しては大体こういう考え方で対処していきたいと思っておるのだというおおよその考え方数字を申し上げたわけであります。もう少ししますと、さらにいろいろ具体的のこまかい問題についての考え方も、ここに御披露申し上げていいと思うのでありますが、いましばらくお待ちを願いたいと思います。やがて皆さんに御披瀝いたしまして、そしてやはり皆様方全員の御協力を仰がなければ、とうていこの地方財政の難問は解決していかないと思いますので、ぜひそうさせていただきたいと思います。
  27. 川村継義

    ○川村委員 今の点はぜひ一つしっかりやっていただきたいと思います。自治庁は、毎年ちょうど今ごろになると、こういうようなことが出てくる。あとはずるずると後退してしまう。そのような結果になるのだが、そういう点を長官よく考えてやってもらいたい。  最後に一点お伺いいたします。きょうは時間もありませんからくどくど申しませんが、これは自治庁の見解を聞いておいて、私たちも十分研究してみたいと思います。それは、お聞きになっていると思いますが、佐賀県の背振村でしたが、あそこで村有林等を売り払って、そして村の収入をはかるということで住民税を免除した。村側はこれは公約だ、こう言っているようです。ところが県といたしましては、それは地方税法違反だ、こういう見解で対立しているようですが、これについて自治庁の見解を一つ聞かしておいていただきたい。先ほど申し上げましたように、われわれもこの点について研究してみたいと思います。
  28. 石原幹市郎

    石原国務大臣 この佐賀県の背振村の話は私も聞きまして、昔の観念なら、たしか税金をやめておったような村もありまして、こういうことは普通のように私も思っておったのでありますが、最近の地方税法とかいろいろな建前から申しまして、住民税免除の措置をとったことが、法違反かどうかというような問題につきましていろいろ論議されておりまして、法制局などの意見も、まだ検討中だと言えば語弊がございますけれども、適用条文その他がまだはっきりしないというような問題があり、自治庁の中でも意見がございまして、ここで私がはっきり違法であるとか適法であるとか答えかねる今段階でございまして、もう少し研究させていただきたいと思います。
  29. 川村継義

    ○川村委員 今の問題は、まだ自治庁としても結論に達しないと了解しておいてよろしゅうございますね。
  30. 石原幹市郎

    石原国務大臣 そういうことでございます。
  31. 濱地文平

    濱地委員長 それでは、次に警察に関する件について調査を進めたいと思います。北条さん。
  32. 北條秀一

    北條委員 私は、本日の委員会の開催通知がございましたので、直ちに八月四日付で、地方行政委員会における質問の要項というものをプリントいたしまして、それぞれの関係向きに送ってあるわけでございます。従いまして、きょうはそれぞれ担当の方が出ておられると思うのでありますが、ところが警察庁長官は、どういう理由か知りませんけれどもおいでになっておりません。きょうは松川事件につきましての最高裁の判決がありましたので、その方面に出ているというようなことも想像されるのでありますが、すでにもう判決も済んでしまった。済んでいるのになぜ一体この委員会に出てきてもらえないか、私としては不満であります。この点まず警察当局の見解を求めたいと思います。
  33. 中川薫治

    ○中川説明員 ただいま北条さんからお発言のように、本日の当委員会で、北条さんが東京都下におきます選挙違反捜査のことにつきまして質疑する、こういう趣旨の連絡を確かに受けております。それで私ども、そういったことについては実情等も調べておるのでありますが、私どもの長官はいろいろ各種の仕事がございますし、本日は他の用務等もございますので、お示しになりました事項等につきましては、私、詳細調べておりますので、できれば私がお答えいたしたいと思います。
  34. 北條秀一

    北條委員 刑事局長で御答弁願えましたらけっこうでありますが、他の用務等もありということは、結局、私がきよう質問しようとすることがきわめて軽度の問題であって、他の方が非常に重いということで御欠席になったかどうか、それを聞いたのでありますが、それをあらためてもう一ぺん聞きたい。
  35. 中川薫治

    ○中川説明員 長官の心境ですから私がお答えするのはどうかと思いますが、各種の仕事がございまして、いずれも重要でございますので、それぞれ庁員が手分けして事に当ることが適当かと思います。
  36. 北條秀一

    北條委員 よろしい。それでは時間もだいぶ経過いたしましたので、ことに重要な仕事をされております国家消防本部長も出ておられますので、国家消防本部長に対しても、こういう点につき御質問申し上げたいということを言ってありますので、その方は簡単に済みますからその方を先にやります。そうすれば重要な国家消防本部長の任務についていただけると思いますので、先に御質問いたします。ただし、きょう私が質問する問題はことごとく行政の倫理の問題でありますから、従って国家消防本部長も、願わくは最後まで列席されて、私の質問について聞いていただけば非常に参考になると私は考えておりますので、そういうことを希望しておきます。  第一に国家消防本部長にお聞きしたいことは、八月四日付の文書でもってあなたに出しております問題については全部調査していただけましたか、準備してこられたかどうか——それではお伺いいたします。  あなたにお伺いしたいことは、さきの本委員会におきまして、消防団についての表彰式を日本消防協会の新しい会館でおやりになった、これは非常に不謹慎じゃないかという質問を私はいたしました。その際にあなたの方では、予算がない、金がない、場所がないのだというようなことであそこでやったということでございますが、ところが五月、参議院の普通選挙になってみますと、消防協会の理事長である斎藤さんが立候補されたのです。しかも選挙違反で、非常に大きな規模で追及されているということは御承知だろうと思います。私はその後、当時の表彰式に出た消防団員にいろいろ聞いてみますと、表彰式はいわば斎藤候補者の選挙の事前運動のごとき雰囲気を持っておったというふうに言われているのであります。私はあいた口がふさがらないのでありますが、国家消防本部長たる者が、そういうふうな不謹慎な措置をされたということは、これは見のがすことができない。よろしく国家消防本部長としてはその不明を天下に謝すべきでないか、こういうように私は考えておりますので、あえてその点をあなたに申し上げようと思ってさきのような質問を出したのであります。この点について国家消防本部長としてのお気持をこの際はっきりしていただきたい、こういうように思います。
  37. 鈴木善幸

    鈴木説明員 本年の三月三日に、お話のありましたように消防関係者、功労者の表彰伝達式並びに表彰式を日本消防協会の会館で行なったわけでありますが、前会にもお答え申し上げましたように、この消防会館を使いましたことは、同じ消防関係の団体の会館でございますし、また全国の消防関係者の寄付金をもってできたものでありまして、非常に消防には関係の深い会館でございますので、表彰式を挙行するのにちようどいい会場でございますので、これを使用したわけであります。ほかに別に意味があるわけでございませんし、またわれわれといたしましては、消防に一番関係の深い建物を使ったということで、当然のことと考えておったわけでございますし、今日でもさよう考えております。なお、この表彰伝達式並びに表彰式は、毎年三月三日前後に一つの行事として行なっておりますので、本年だけやったわけでございません。また日にちも特に例年と変っているわけでございません。例年行います表彰の伝達式並びに表彰式でございまして、特別な意味を持ったものでは絶対ございません。例年通りの行事を行なったにすぎないわけでございます。
  38. 北條秀一

    北條委員 日本消防協会の会館を建てるときの事情は、どこからその資金が出たかということについては消防本部長もよく知っておられると思う。同時に東京都議会においては、あれは建築法違反であるということで非常に紛糾したことも御承知であろうと思う。そういうことを承知の上であそこで表彰式をやるということは適切ではないということを前に申し上げたのであります。ところが今言いましたように、消防協会の理事長があのとき出ておられたはずです。出ておられて、何らかの機会において発言をされておるはずです。また表彰を受けた人たちにみんな会っておるはずです。そういうことになりますと、あなたはそういうことは考えていなかった、ただ場所がなかったから、幸いあそこに消防協会の建物がやっとできて、その落成式が近々行われるので、あそこでやったって他意はなかったと言われると思いますが、それは弁解のための弁解であって、どう考えたって常識的に考えれば、あの表彰式は決して適切でなかったということと、同時にまたこれが斎藤候補者の選挙の事前運動に関連しておったんだということは常識的に判断されるのです。その点を私は今言っておるわけでありまして、こういうふうな不謹慎なことをやるということは断じて許せないと思う。従って今後そういうことをやっちゃいかぬということを私は強くあなたに申し上げたい。結局今日の行政は、古いことわざで李下に冠を正さずとか、あるいは瓜田にくつを入れずということがありますが、岸総理大臣を初めとして、どういうふうな疑いがあろうとも、証拠さえあがらなければいいんだ、斎藤候補の事前運動ではないんだ、証拠さえなければいいんだというふうな考えでやっておられるから、従ってあなたの部下であられる全国の消防団員諸君までも、そういうふうなきわめて不明朗なところがあるのですよ。だから私どもは、民主消防団と言いながらも、実際には全国の消防団については相当言い分があるわけです。これ以上多くを申し上げませんが、どうかこれから先そういうふうな疑いを持たれるようなところで、国家消防本部たるものが、しかも名誉ある表彰式を持っていくということは断じてやっちゃいかぬということであります。従って本年度もまた表彰式をおやりになると思いますが、どうか本年度の表彰式は、そういうふうな疑いを持たれるようなところでやらぬように私は願いますし、この際この点をはっきりと本部長としてあなたの態度を表明しておいていただきたいと思う。
  39. 鈴木善幸

    鈴木説明員 表彰式の際に斉藤理事長も出席いたしておりましたが、斉藤理事長は会長代理として形式的と申しますか、書きものにしました祝辞を述べただけでございまして、表彰式自体はまことに厳粛に行われたことは、私は今日でも確信いたしております。将来こういう表彰式を毎年行うわけでございますが、将来も表彰式をどこで行うかという問題につきましては、その計画が立ちましたときに、また十分研究したいと思います。
  40. 北條秀一

    北條委員 そんな寝ぼけた話をしちやいかぬですよ。そういう疑いを持たれるようなことをやっちゃいかぬ。そういうことはやりませんとあなたもここで言明できると思う。それじゃ私はあらためてあなたにお聞きしますが、日消会館で本年表彰式をやったということは堂々たるものだ、ちっとも不謹慎な点はございませんと、こういうふうにお考えになっておるのでしょうか、どうなんですか。
  41. 鈴木善幸

    鈴木説明員 北條委員はいろいろなお考えから不謹慎だという御批評をされるかと思いますが、私といたしましては、あの表彰式を日本消防協会の会館で行なったことは決して不謹慎であったとは考えておりません。
  42. 北條秀一

    北條委員 幸い長官もおられますが、別に長官に質問するつもりはありません。ただ、今の質疑応答は長官もお聞き下さったと思いますので幸いだと思いますが、以上申し上げましたように、ほんとうに政治を正しくするためには、やはり最高の指導者である、すなわち国家消防の場合には消防本部長が、はっきりとした厳然たる秋霜烈日たるものを持っていかなければ消防そのものがいかぬということを私は言っておるわけであります。これ以上あなたに申し上げませんから、今後はよくこの点私の申し上げたことを誤解しないように正当に解釈してもらって、そして常々と国家消防を民主的に運営していただくように切にお願いをいたしまして、あなたに対する質問を打ち切ります。  それでは一つ警察の方に、先ほどの刑事局長の話によりまして、私が質問いたしました点については十分にお調べ願いましたし、また責任を持って御回答できるということでありますが、つきましては、御参考に私は東京社会新報というものを同封しておいたはずでありますが、これにつきましても全部目を通していただきましたか。
  43. 中川薫治

    ○中川説明員 ただいまお示しのあの文献は、いただきまして、私拝見いたしました。
  44. 北條秀一

    北條委員 それではこれもごらん下さったということで、私はまず第一にここにあげてありますように、今回の地方選挙に際して、警察はその権力を乱用する傾向が非常に強かったということで、私はこれから質問いたして参ります。権力乱用の傾向に関して、イ、ロ、ハ、ニとありますが、ニは若干違うようでありますけれども、これは権力乱用の裏側になるわけであります。従ってイ、ロ、ハ、ニ、いずれも関連をいたしておりますから、おそらく中川刑事局長もそういう考えで全部事実を当っていただいたものと思います。  そこで第一の町田警察署に関連した問題について申し上げますが、社会新報を見たということでありますから、それについてお伺いいたしますが、この社会新報には四つの重点がある、四つの重点とは一体どういう点かといいますと、これは質問の要項の中に入っておりませんが、第一は、星という刑事が町田警察の八割は保守党を支持しておるのだということを被疑者に対して言明いたしておるという点であります。これは実に人を食った話だと思いますが、一体保守にも革新にも偏せざる厳正中立であるべき警察官がそういうようなことを言明する、あるいはそれが捜査のテクニックであったかもしれませんが、言明するなんということは、これはとうてい許すことはできない、これが第一点であります。  それから第二点は、この新報の裏にございますが、当時被疑者の森山都会議員候補、落選候補者でありますが、その細君を暮夜ひそかに訪れて、そして警察に出てきてくれということを言ったということです。このことについては、私は町田警察署長に会って、奥さんは今病気で寝ているから、調べる必要があるならば病床に行って臨床尋問をしてくれぬか、ようございます、こういうことあった。ところがあにはからんや、ここに書いてあるようなことをやったわけであります。その点が第二点。  第三点は、これも中段に習いてありますが、懐中電灯で天井裏まで捜査した。もちろん捜査でありますから、天井裏を捜査しようと、あるいは縁の下を捜査しようと、これはやむを得ないことだと思いますが、しかし、この際に問題になるのはこの捜査はあたかも鬼面人を驚かすといいますか、威嚇なんだな。この捜査そのものが威嚇なんだ。そうしてよけいなことをやって、被疑者あるいは善良なる人をおどかしつけて、何だかんだというやり方をやっているということであります。  それから第四点は、これこそ非常に物騒なことでありますが、森山候補者に対してある刑事が言っていることは、きさま泥を吐かなければ、手錠をはめて、縄つきにして町を歩いて、二度と町田の町を歩かせぬようにするぞ、こういうふうなことを言っておる。さらにまたもう一つは、笠原という被疑者に対して、お前、三十万の金をふところに入れて、選挙中方々を買収して回ったのではないかというふうなことを言っておる。その次に、最もひどいのは、大下という被疑者に対して、横山茂喜という警視庁の刑事が、もし警職法の改正が昨年実行されておったならば、きさまらのようなやつは、さかさにつるして泥を吐かせるんだ、こういうことを言っておるのです。  この社会新報にあります要点は、四つに尽きると私は思う。だから、これを見て調べていただいたのでありますから、以上申し上げましたことについて、この際一つあなたの方ではどういうふうな見方をされているか、調べた結果について御答弁願います。
  45. 中川薫治

    ○中川説明員 ただいまおあげになりました数点の項目は、確かにお示しになりました質問要項にございましたが、それ以前に、すでに関係者から東京都公安委員会におおむね同様趣旨の申し立てがしてあるのであります。従いまして、警視庁におきましては、それ以前にいろいろそういった面につきまして調査を遂げておったのであります。ところが、本件につきましては、関係者の方で刑事事件として、たとえば刑法の職権乱用の罪、こういう疑いがございまして、東京地方検察庁にも告発の処置がとられておりますので、東京地方検察庁におかれましても、捜査を遂げておられるようであります。東京地方検察庁の捜査につきましては、独自の見解でおやりになりますので、私がとやかく申し上げることは不適当と思いますから省略いたしますが、警視庁におきましても、そういった事件の内容につきましていろいろ調べて参ったのでございます。おあげになりました事柄を一つ一つについて申し上げてもよいと思いますが、それぞれ取り調べた職員につきましては、警視庁で調べております。その結果、警職法ができたらひどい目にあうんだとか、わが町田の町は、保守党が大へん勢力が多いから云々とか、こういうふうに警察の政治的中立性を疑われるような事柄、ことに捜査について不適当なような言動等については、そういうことを言ったような事実は認められないのであります。それから、ただいまおあげになりました候補者の夫人に対しまして呼び出しを行なったことは事実でございます。これは犯罪捜査を行うに当りまして、われわれ当然のことでございますけれども、被疑者として逮捕し、すなわち身柄を隔離して調べる必要があるものにつきましては、それぞれ法律の定めるところに従いまして逮捕措置をいたすのでございますが、御指摘の場合におきましては、いろいろ犯罪捜査をやっておりますと、奥さんから事情を聞いた方がいい、こういう事情が生れて参りましたので、いわゆる呼び出しとわれわれは申しておりますが、そういう措置を講じたのであります。呼び出しを行使しますにつきましては、呼び出される側の立場もございますので、なるべく早くそのことを申しておいた方がよいという考え方のもとに、確かに夜十時過ぎだと思いますが、適当な日においで願いたい、こういう趣旨で呼び出しているのであります。この文献におきましては、当夜出てこいというふうに受け取られるような記事が出ておるのでございますが、そういうことはないのでございまして、御都合のよいH、なるべく早い時期において出頭してもらいたい旨申し出ておりまして、その点はやむを得ざる措置だと考えるのであります。捜索のことでございますが、これまた憲法に基きまして刑事訴訟法で厳格な制限がございまして、調べるべき場所その他について指定を受けますので、指定を受けました場所において厳密に捜査するのは警察官として当然の任務と考えるのであります。それから泥を吐かすぞ、そんなことを言ったということでありますが、被疑者に憲法で保障せられた完全黙秘権を実行せられる権利はあると思うのでございますけれども、官憲がいろいろ事情を聞くということも、これまた許された権利でございまして、事情を聞くことは正しいと思いますが、その際、脅迫的言辞を行なった事実は認められないのであります。大体お尋ねの点は以上で尽きるかと思います。
  46. 北條秀一

    北條委員 今呼び出しの話がたまたま局長の口から出たのですが、警察の方が、便利なとき、都合のよいときに出て下さいというようなことは一通り言うのです。けれども、その次に電話なり巡査が行ったときの応答はちょうどこれは裁判所でのよけいなことは言いませんといった宣誓と同じようなものであって、実際はそうでない。すぐ出てこい、こういうようにとれるのです。これが実際なんです。その点理屈の上では確かにあなたの言われたようであるかもしれない。しかし、事実はそうではない。全く逆だということを常に頭の中に入れておかなければ民主警察の実態を知らせることはできないということなんです。  そこで、町田に関連いたしまして、こういうことについて専門家の中川さんにお聞きしたい。これは新報に出ておりませんが、老沼という老人を選挙運動期間中被疑者として引っぱった。その老沼という人が三週間町田警察におった結果どういうことになったかというと、略式命令で二千円の罰金なんです。たしか二千円だと思っておりますが、私はそういうことならば軽微だとか重いとかいうことで文句を言いません。あるいは常識的にいえば軽微なんです。ところが、それをあえて選挙運動期間中引っぱったということは、なるほどあなたの方では捜査する権限があるかもしれませんが、私の方からいえば非常に大きな選挙妨害である。それが一体選挙区にどれだけ大きな波紋を措かせたかということを考えるのでありますが、捜査と選挙運動の妨害についてどこで線を引いておられるのか、こういうことについて専門衆としての見解を示していただきたい。
  47. 中川薫治

    ○中川説明員 これは非常に車要なことでありますからよく御了解いただきたいと思いますが、選挙運動期間中、官憲が違反のある疑いをもちまして捜査するということは、ももろん法律上与えられた権限ではございますけれども、その権限を行使して、選挙運動期間中それが世間に知れますと、何々派の運動員は警察で選挙違反ざたになっている、こういうことがわかる。そうすると、われわれ投票という効果と無関係でございますけれども、俗に申すと、あの派の運動員は選挙違反で引っかかった、そういうことになって不利益になるということは確かにあると思います。社会的作川といたしまして。そこで、社会的に不利な作用になるものでありますから、投票が行われるまでは一切選挙違反の捜査はしない、そういう形式をとって捜査するのも一つのやり方だと思いますが、またそういう立場をとりますと、選挙違反はやればやり得だ。それから投票の終ったあとで捜査の問題に確かになるけれども、選挙運動の効果には全然関係はない。そういうような作用を来たすこともまた事実だと思います。また世上公明選挙を高唱される方々は、警察の捜査はにぶい、もっと選挙運動期間中にもどしどし法律に与えられた権限を行使して、選挙違反の捜査をやるべきじゃないかという論があるわけです。二つの論議いずれも私は一つの見識だと思うのであります。選挙運動期間中であっても、警察はどしどし犯罪捜査をやって、公明選挙の実を警察としてあげなければいかぬじゃないかということも一つの論だと思いますけれども、選挙運動期間中に捜査することによって、われわれ警察関係者が意図するわけではありませんけれども、投票の結果に影響が出てくるということもあり得ると思います。その関係をどういうふうに調和するかということが私たちの悩みでありまして、その悩みの解決について、こういうふうに考えておるのであります。大体選挙は投票が済んでから捜査するものが少くありませんが、投票前に捜査するにつきましては、相当証拠が確実なものを中心にして強制処分をいたしております。ところが、強制処分以外の任意捜査になりますと、証拠が確実かどうかということは任意に事情を聞いてみなければなりませんが、任意にビラが張られたか、ポスターが張られたか、確かに任意と思われることにおきましても、選挙運動期間中にやっていることは事実でございます。これまたやりませんと、選挙運動期間中はできなくなりますので、任意取調べはもちろん選挙運動期間中におきましてもやる。強制処分をやるにつきましては、ただいま申しました二つのロジックが成り立ちますので、その中間といいますか、両方のプリンシプルを中和したことになると思いますが、証拠の比較的確実なものにつきまして行うということに相なろうかと思います。     〔委員長退席、纐纈委員長代理着席〕  そこで具体的な例について申しますと、ただいまの老沼さんの場合におきましては、略式処分によって起訴されたということになれば、大体証拠が確実であった、こう認められますので、この処置は私は不適当な処置だとは考えない、こう思います。
  48. 北條秀一

    北條委員 今回の町田署だけではありませんが、きよう委員会に出てきていろいろな問題について質問しようと思っておったところが、たまたまけさ毎日新聞の社説に「ウソでかためた選挙費用」というのが出ていた。これはお読みになったと思いますが、中川さんは多年の経験とうんちくを傾けて勉強しておられると思いますが、あなたはどうも大物をつかまえないで、ざこばかりつかまえている。選挙は政治の根本ですから、その根本を粛正するためには、やはりざこをつかまえてもだめなんです。しかもざこをつかまえるのに、何といいますか、鶏とさくに牛刀を用いるということわざがありますが、あなたの方では鶏の肉をさくのにいつでも牛を殺すような刀をもってやる。だから先ほど言いましたように、鬼面人を驚かす、結局すべてが威嚇になってくる。きょうは時間が十分ありませんから、私はまた重ねて質問する機会を持ちますが、町田署の場合は、まさに鶏をさくに牛刀をもってしておるのです。これは私は顕著な事実だと考えております。  それではこういう点はどうですか。これは担当の刑事で横山茂喜というのがおりますが、この問題があってから警視庁の捜査第二課へ電話をした。そのとき電話にお出になって、町田のことについて少し事情を聞きたいのだがと言うと、いっでもお待ちしております、こういうことだったのです。それでは参りましょうということで、私は六月二十六日の午前十一時ごろに、こちらからあらためてお伺いしますからと言って行ったわけです。そうしたら本人はいない。どこにおるかと言ったら、丸の内警察なんです。そこで私はすぐ電話したのです。そうしたらこういうことだったのです。そういうことについては、たとえ国会議員さんであろうと、すべて上司から御答弁申し上げることになっております、こういうことなんです。そうすると、そこに主任さんが出てきて、名前は聞かなかったが、その主任が万事上司に聞くことになっていますからと言いますから、そうですかと言って私は帰ってきた。そのときにあらかじめ約束しなければいいんですよ。いつでもお会いします、第三議員会館にお伺いしてもよろしいということだった。いざというときにはこういうやり方が、今日の警察の一般的な態度だと思う。そこで私は先ほど冒頭になぜ長官が出て来ないかと言ったのは、あなたの方の一番の長官は柏村長官だ、われわれの方は国会なんだから、その一番最高峰のところで質疑応答をするのがいいと思ったからなんです。だから今の刑事の態度、すべて警視総監、そういう指導方針をとっておられるのか、この点を一つ伺いたい。
  49. 中川薫治

    ○中川説明員 これは御案内のことと思いますが、私の方の組織は、一番最高のものは警視庁におきましては警視総監、当庁におきましては長官でございますけれども、長官が言うことは権威があるということは事実だと思います。そこで本日の問題に返りますが、本日長官が伺いまして、長官から言った方がより説得力がある。これは事実であると思いますが、長官の仕事は各種ございますので、いろいろ仕事を手分けしませんと、すべての仕事を長官がやって参るというわけにも参りませんので、そのときの状況等によりまして若干手分けすることもやむを得ない。こう理解するのでございます。  それから第二のことでございますが、犯罪捜査につきましては、いろいろ俗に申しますと、交番の巡査も捜査に関与いたします。いわゆる刑事と称する巡査の身分を有する者も関与いたします。ところが、そういう人たちはそれぞれの犯罪の疑いにつきましてデータを集めることを主たる任務にいたしているわけであります。そのデータを取捨選択して、いろいろ総合判断するということについては、これはあまり下の職員がやるということは、間違いを起しやすいので、上級幹部において捜査を総合判断するということを今日私ども数年間指導いたしておるのであります。と申しますのは、巡査とか下級の職員の行為を蔑視するわけではございません。それはまた大いに意味がございますし、そのデータを収集しまして、本件については公職選挙法に違反するかどうか、その疑いがあるかどうか判断するについては、上司の方がやる方がいいと思います。そうすると警視庁の場合は警視総監でありますから、すべて警視総監にいくかと申しますと、全部警視総監にいくということにはなりません。事の大小によりましては刑事部長のところで判断する。事によっては署長でございます。こういうことは事実でございます。ただいま御発言の上司と申しましたのは、必ずしも警視総監というのではございませんで、事の判断については、たとえば捜査二課長といったような捜査幹部がより詳しいので、その方が説得力があるので、その方にお話を伺えたらば、こういうことであろうと思います。
  50. 北條秀一

    北條委員 もう一つ私が考えますのは、それならば電話で話したときに約束しなければいい。こっちへ来てもよろしいと言わなければいい。そう言っておいて、私が行ったら、そういうことを言うのは、人をぺてんにかけるもはなはだしいと思う。これはあなたの方の指導方針がそうなっているからだと思うのですが、その指導方針を面してもらいたい、こういうことであります。
  51. 中川薫治

    ○中川説明員 お言葉を返すようでありますけれども、ただいまのことは質問要項に出ておりませんでしたので考えませんでしたが、横山君から申しますと、おいでになるというので、いらっしゃい、ことに国会議員の方々が面会においでになるのだからどうぞいらっしゃいと考えたのは適当だと思います。ところが、だんだん承わっておりますと、自分の判断では答えにくいので、それでは上司、こういうことで言ったのではなかろうかと思います。
  52. 北條秀一

    北條委員 この町田の問題は、先ほど申しましたように、権力乱用の典型的な問題だと私どもは解釈しておるわけであります。従ってわれわれ社会党としても、選挙の問題に関連して政府に今まで強く申し入れてきましたし、あらためてこの問題については党の立場から政府に申し入れるということでありますから、この問題はこの辺でやめまして、時間がありませんので次に進みます。  第三の日野署の問題、これも簡潔に言いますが、日野署の場合はこういうことなのです。事実を言いますと、六月二日が投票日でございますから、投票日の前の日の午後五時です。あと四時間しか選挙運動の時間がございませんから、私は大急ぎで選挙区内を回っておったわけです。何のために回ったかというと、選挙用のポスターが三十枚くらい残っておりましたので、そのポスターをそれぞれの個所に張って歩いたわけです。私のほかにもう一人乗っておりました。ところが、その自動車の中に「全労」という新聞の号外があったわけです。朝自動車で迎えに来たときに、その号外を約七百枚くらい乗せてあった。それはこの候補者を推薦したというのは間違っておった、この候補者がほんとうなんだということが書いてあるのです。その号外を私の自動車に乗せて、北條さん配ってくれという意味の話があった。こんなものは配れるかというので、それを縛って自動車のうしろの方に乗せておいた。また私は事実こんなものは配りません。配れば違反になることはきまってます。また国会議員だからというわけで大物ぶるわけじゃございませんけれども、そんな子供だましみたいなものを七百枚くらい配ったって、かえって私に非常にマイナスになりますからね。私はそんなものは配るつもりはないので置いておった。それを日野署のある巡査がのぞいたのです。私の自動車がとまったときにのぞいて、車がとまってますからあけて、この文言は違反でありませんかと言うんだな。違反ではない。これを頒布すれば違反になるけれども、登録された新聞の号外なんだから違反じゃない。そういう問答をいたしまして、おれはこういう人間だというのでちゃんと名刺を出したんだな。ところが彼は引っ込まずに、それでは日野署まで来てくれと言うんだ。だって選挙運動の時間があと四時間しかないんだ、行けるかと言ったら、彼は彼は助手台に乗せて下さいといって強引にやってきましたから、あまり巡査をいじめるのもどうかと思ったし、またやっさもっさやると時間がたちますから署へ行ったわけです。その巡査が報告して、あとから入っていって署長、次長に私はその話をしたわけですが、私はその巡査をかばってやって、この巡査は非常に職務忠実である。皆さんの方へ報告したと思うけれども、これは別にまくつもりはないし、まけば違反だということはわかっているからまかないということを話して出てきた。そうしたところが次長があとを追っかけてきて、それを参考に下さいと言うんです。参考にしたところがしょがないじゃないかと言ったのですが、参考にくれ、くれと言うから、私は三枚やったんです。これはあなたの方でお調べになればわかると思う。どうもこの態度を見ておって私が第一に考えるのは、実際上ここで四十分くらいの時間をとりましたから非常な選挙妨害です。こういうふうなことをやられちゃ困ると思う。それからこれを見ていて、おそらく警察庁も警視庁もこめて、警職法が改正になったという考えで、私はそういう指導をしておるのではないかと思う。そういうふうに疑わざるを得ない、今の巡査の話で見ても。 あなたの方は警職法が改正になったものと思って巡査を指導しておるのじゃないかと聞いたら、そんなことはしていないとおっしゃるに違いないけれども、いろいろなものを集めて参りますと、あなたの方がどんなに強弁されても、まさにその通りやっておるのではないかと私は考えるのです。非常に長くなりましたが、この辺でちょん切りますが、日野署の問題については、調べられてどのように考えておるか、その辺について伺いたいと思います。
  53. 中川薫治

    ○中川説明員 まず警職法と本件事件とは全然関係ございません点をあらかじめ申し上げます。  それから日野署の場合によりませんが、これは皆さんいろいろ御心配をいただいておるのですが、北條さんがやったとは申しませんが、投票日の前日、いろいろな文書がばっと出るというのが、最近の選挙の一つの悪い傾向に一般的になっておるのです。投票日の前日にいろいろの違反文書がぱっと出て、あしたが選挙ですから、それに対する対策も講じにくいというので、投票日の前日の文書の捜査というものは、警視庁に限らず、日野署に限らず、各地とも大へん苦心してやっておるということを御了承願いたいと思います。  そこでその趣旨に基きまして、日野署におきましても、投票日前日に違反文書が配られておるかどうかという疑いを持ちながら、いろいろな各種の査察をやったことは事実でございます。そこで北條さんがやりましたという意味では決してなかったのですけれども北條さんがお乗りになっておる車の中に、違反文書と思われるような文書が積んであったことは事実でありましたので、当該巡査がこの文書は何でございますかとお聞きしたら、お話しのように、最後には任意御提出願いましてわかったわけであります。その文書が確かに頒布にならなければ違反にならないことも事実でございます。従いまして、当該警察官としては、この文書が頒布されれば公職選挙法の違反になる旨をよく申し上げておく、こういう必要を認めましたので、いろいろ北條さんの御協力を得て、これを頒布していただくことは違反になりますよという旨を詳しく申し土げた。こういうことでございますが、最初に見つけた当該巡査がそう申したのですけれども、事柄が重要でありますので、ことに北條さんというようなりっぱな方でありますので、本署まで来ていただいて、本署の方で御判断願った方がいいと思って、北條さんの同意を得て本署までおいで願って、この文書をおまきになると違反になりますという旨を申し上げたわけでありまして、これをおとがめになると、本件事件がどうこうということでなくて、一般的に投票日の前日の選挙違反文書の取締りということ、これをもおとがめになりますと——全国的に申しましてですけれども、選挙違反文書の取締りの規制がしにくくなる。こういう情勢でございますので、お持ちになった文書は頒布する意思はなかっただろうと思いますが、積んであると、頒布するのではないかということで疑うということも、そうむげに非常識な判断とは考えませんので、これを頒布なさらないようにということを申し上げたことは、そう間違っていないように思います。つけ加えて申し上げますが、今北條さんのお述べになりました——北條さん御自身は非常に御見識の高い方でありますから、巡査をおほめ願ったような状況で、まことに御見識の深い方と私は思っております。
  54. 北條秀一

    北條委員 今、刑事局長の日野署の報告のことは逆なんです。巡査がこれをまきますと違反だということは言わない。私が、まけば違反になることはわかっておるが、これはまかないよということを言ったのです。ただ私が聞きたいのは、自動車の中に積んでおった、しかもひもをかけて積んであった。これを彼は瞥見した、盗み見したわけだ。これは警職法改正の第一点の人のいやがる身体検査をやるいうことなんだな。僕がもしふところの中に刃渡り何寸かのドスを持っておるような格好をしていたとしたら、持っておるのではないかといって、ああいう巡査なら調べたと思う。それをよその家をのぞいたとか、中にいろいろな文書があった。違反のような文書があった。すぐに入っていって、これを出して下さいと言われたら、一般の善直な市民は、おまわりさんが入ってきたら出しますよ。出さざるを得ないのです。だから、あなたは警職法を改正されたと考えて錯覚を起して——そういう指導はしていないとおっしゃるけれども、事実はそうだということを言っておるのです。だから僕は、それはあくまでも厳重に指導方針をはっきりしてやっていただかなければ、結局、今の警察のやり方は切り捨てごめんだ。次にも出てきますけれども、あとの川端署のことは時間がありませんからこの次の機会にしようと思いますが、人を呼び出すにしても、都合のいいときに来て下さいと言うならわかるが、それはちょっと言って、実際には、きょうすぐ来なければならないようなおどしをかける。だからあなたの方は、国会に来るとかみしもを着たような話になりますから、四角四面の話をしますけれども、事実はそうでないのだ。事実がそうでないことをどうして民主化していくか、調整していくかということが非常に問題である。要するところは、先ほど言いましたように、あなたがどんなに努力されておっても、結果は、ほんとうに重箱のすみを針で突っつくようなことになって、小さなものだけあなたは結果としては拾い上げている。大きなやつはみなそれこそフリー・パスだ。こういうことになっております、ということなんですね。ここで私は一応きょうは打ち切らざるを得ませんし、次の機会に譲りますが、どうか今も申し上げましたことをあらためて一つ考えていただきたい。この次の機会にもう一度質問をし、またあなたの方の見解を承わることにいたしたいと思います。
  55. 纐纈彌三

    ○纐纈委員長代理 阪上委員。
  56. 阪上安太郎

    ○阪上委員 警察当局に質問したい。前回の委員会で、メトロ社それから主婦と生活、これの労働争議に対して、現実には暴力介入があった、それから警察の不当介入と目される問題があったということでもって質問が行われて、その善処方を関係当局に要望したのです。そこでわれわれとしましては、そのことに対して警察当局はまじめにこれを取り上げて善処されるものと、こういうふうに考えておった。ところが、この二つの問題につきましても、なお善処されたという形跡がはっきりとわれわれとしては認められない。そればかりでなく、最近になってから、その後この種の問題が各方面に広く行われておるということでもって、社会党といたしましても、大へんこの問題を重大視いたしまして、最近に至りまして、数回関係者と協議し、かつ現地をそれぞれ実地調査した、こういうような状態であります。  そこできょう私が伺いたいのは、そういった事例の中で、二つばかり例をあげてあなた方のこれに対する善処方の熱意を一つ伺ってみたい。  一つは、豊島区堀之内百九十九番地、成光電機株式会社、この工場で行われた労働争議は、労働組合側の要求としてはベース・アップ二千円、そのほか労働条件の改善、こういった内容のものでありまして、これについては、われわれがどう考えてみたって不当労働争議とは考えられぬのであります。こういった正当な労働争議が行われておるさなかに、当該工場においてはロック・アウトを実施した、こういうことなんです。そこで同時に他の第二会社を作りまして、それが新宿区の西落合二丁目五百三十一番地、光陽電機工業株式会社、こういうものを作りまして、成光重機工業株式会社の工場はロック・アウトした。こういうことなんです。そこで組合側としては、これに対していろいろとその不当な会社側のやり方に対して宣伝活動を行なった。そこで具体的にいうと、この第二会社に、光陽電機工業の方に参りまして、組合員がいろいろと宣伝活動、ビラ張り等をやっておる。これに対して会社側からは、社長が先頭に立ってこん棒を振り上げて、そうしてPRをやっておるところの労働組合員を殴打した。こういうことがあったわけなんです。これが五月十日。そこで組合側としては、直ちに当該の署であるところの池袋署に対して抗議を申し入れるとともに善処方を要望した。ところが、その公安課長は全くこれに対しては不問に付しておる、取り上げて捜査をしようとしない。こういうようなことがあり、なお七月二十一日には、やはり同様のことがこの光陽電機工業株式会社の方で行われておる。大体会社側の方では百名ほど従業員を動員して、今言ったようなビラ張り等をやっているところのわずかな成光電機の組合員に対して襲いかかって、これを殴打している。そのために負傷まで受けている、こういう事実があるのです。そこでこれに対しても、組合側から強硬に善処方を要望し、暴力者に対する逮捕方を要望したのですが、取り上げようとしない、こういうような事実があるわけです。  いま一つは、これはもう一つひどいんですが、川口市の栄町一丁目二百九十番地、富士文化工業株式会社、ここではこまかいことは省きますが、これも要求としましては、賃上げ要求、それから寮の施設等の労働施設の改善、ユニオン・ショップ、こういうものを要求している正当な労働争議なんです。これに対しまして会社側は、やはりロック・アウトをやっている。これは二月二十日ですが、暴力団が会社側に参加して、そうして組合員を追っかけ回すというような、まあ現在の常識では考えられないようなことが行われておる。こういうようなことなんです。同じ二十四日には、組合側が、こういった暴力団に対して市民に不当なる行為であるということを訴えるための宣伝車を出したところが、暴力団がこれに襲いかかって、石を投げたり、窓をこわしたり、あらゆる乱暴を働き回っておるそればかりでなく、同じ日に暴力団がこの工場へ通っている通勤者のおりるであろう駅、乗るであろう駅に待機しておって、不法にも郡司洋子、十六才ですが、外十二名の女工員を二月二十日から三月八日まで約二十日間にわたって会社の中で不法監禁をしておる。駅で待っておって、そうしてそれをとっつかまえて、会社の中に監禁しておる。こういうような事例があるわけです。これに対しまして、組合側から強硬に当該県警本部に対して強くこの取締り並びに調査、逮捕方を要求したにかかわらず、けんか両成敗だということを県警本部長は言って全く不問に付して、この問題を取り上げようとしない。このようなことがあると同時に、ロック・アウトに対する措置として組合がピケを張った場合に、警察官と会社側が一緒になってそのピケを突破しょうとした。しかもその場合に、会社側はその門に電流を通じている。そのために当時現場におった産経新聞の記者がその電流に感電している。にもかかわらず、そういったことについても何らこれを捜査しようとしない。こういうようなきわめて驚くべき事件があるわけなんです。これに対して、今申し上げましたように、何ら当該警察本部もあるいは警視庁も善処しようとしない。私は、こういった一連の最近の傾向はほかにもたくさん出ているのでありますが、ながめてみると、全くそらおそろしい感じがする。そういうことに対して労働組合等が正当なる団体行動等を行います場合には直ちに暴力行為等取締法の違反であるというようなことをひらめかして、一方にこれだけの明白な暴力行為が行われておるにかかわらず、また警察官の不当介入と目されるような事件があるにかかわらず、これに対して何らの手を打とうとしないというようなことは、全く警察あってなきがごときものであるというように考えざるを得ないのです。当該責任者である県警本部長がおりませんし、警視総監もおりませんし、中川さんは何でも答えられる立場にあるということですけれども、この問題について詳しく追及するわけにいかないだろうと思いますので、詳しいことについては、次の機会に警視総監並びに県警本部長に来てもらって、この問題についての当局者のとっておる態度についてはさらに追及したい、こう思っております。こういうものはメトロ事件にしましても同様でございますが、はっきりわかっておる不法行為に対して、全然これに対する積極的な解決をはかっていこうとしない警察の態度、ことにたとえば広島で行われた原水爆禁止の世界大会で、右翼団体の暴力団があのような暴威をふるっておるにもかかわらず、これを平気で見ておる。また平気で見ているだろうという想定のもとに彼らが動くような原因をあなた方は作っておるのではないかと思う。しかも国家公安委員長の閣議におけるお話等を新聞で拝見いたしますと、警察が手抜かっておったのではなくて——全学連もなかなか行き過ぎがあるかもしれませんが、そういったものが調査に協力しないかううまくいかないのだ、こういうようなことを言っておられる。私はそうじゃないと思うのです。川口などの事件につきましても、はっきりとそういった暴力行為をふるっておる。パチンコくずれみたいなもので、望月某という名前まではっきりわかっておる。そんなものをなぜあなた方はほったらかしにしておくんだろうか。そういう態度が結局いろいろなふうに今後そういった暴力団を助長して、治安は全く乱れてしまう。こういうふうに考えざるを得ないのです。そこできようは、こまかい点につきましては、先刻申し上げましたように関係責任者がおりませんので次の機会に譲りたいと思いますが、最近のこういった事例というものはまぼろしでも何でもない。現実にあるのだから、この際警察庁として一体どういう態度で臨まれておるかということを伺いたいのっと、それからえたいの知れない者が簡単に集合して特定の権力とくっついて、そうして臨時に暴力団体を編成して、あらゆる暴力行為を行なっておるということについて、国家公安委員会委員長としては、こういうものを、ただ単に警察が一生懸命やっておるのだけれども仕方がないのだ、こんなふうに簡単に考えられておるのかどうか。この三つにつきましてそれぞれお伺いしたいと思います。
  57. 中川薫治

    ○中川説明員 犯罪行為と申しますか、とりわけ暴力事犯につきましては、警察としては厳にこれを取り締っていきたいと考えております。それでいろいろおあげになりました警視庁の事例、それから埼玉県の事例等につきましては、私の方は警備局長の方で所管いたしておりますので、警備局長から詳しくお答えすることになると思いますが、全般的には、こういう行為その他につきましては、警察として厳重に取り締っていく、こういう立場であることは確かでございます。それから事例そのものは、すべてこれは暴力事件に限りませんが、犯罪事件は関係国民の御協力によって捜査がうまくいく場合が多うございますので、たとえば被害者が、私はそんな被害を受けませんでした、こういうことになりますと、事件捜査といいますか、取締りがはかばかしくいかないことも事実でございます。広島の事件等におきまして、関係者の方々が警察で、そんなことは言わない、こういう人がありますので、これらが隘路になっておることは事実でございますけれども、そういう関係の方々には大いに協力していただき、厳な取締りが行われていくことが望ましいものだと思っております。
  58. 阪上安太郎

    ○阪上委員 ただいまの刑事局長のお話ですが、協力しない向きがある、そのことは事実だろうと思う。しかし、それであなた方はできないんだという態度ではいけないと思う。十六才の女の子が二十六日間も不法監禁されておる事態というものは、協力もくそもあったものじゃない。これはやる意思があればできるはずです。そこでこの問題についてお伺いしたいのですが、警備局長ここに来ておられますか。
  59. 中川薫治

    ○中川説明員 ただいまの事件については、本日御質問がある旨私の方でわかっていませんでしたので、関係の局長が来ておりませんので、今の具体的な問題については、関係局長の方かう次の機会に一つ御納得の行くような御説明ができるもの考えております。
  60. 石原幹市郎

    石原国務大臣 私は、たびたび閣議の席等でも申しておるのでありますが、暴力に対しては、右であろうが左であろうが、これは厳重に取り締りたいということを数回発言をいたしまして、なお警察庁当局に対しましても、その旨をたびたび私は指示しておるつもりでございます。  それから先般の私の談話のことがちょっと話に出たのでございますが、これは全学連が会議をやっておったところへ暴力団が入ったという事件であったのでありますが、会議はちようど休憩中であったようでありますけれども、そのときに警察の方から、その当時のことにつきましていろいろ捜査をしたいかう協力を願いたい、当時の模様を供述願いたいという申し入れをしたところが、全学連の方で、一切警察の捜査に協力しないという答えがあったので、写真その他等でいろいろやっておるのでありますが、これは捜査が非常に困難になるのでありまして、その意味のことを私は申し上げたのであります。全般的の取締りとしては、右であろうが左であろうが厳重に取り締っていきたいというのが私の意向であります。
  61. 阪上安太郎

    ○阪上委員 こういう問題は、われわれの側から言いますと、警職法に反対した社会党がというような感じが一部にあるのじゃないかというふうに私は思うのです。事態は私はそういう問題でないと思う。メトロの問題にしましても、七台のトラックに分乗して暴力団、責任を持てないところの人々をかり集めて、そして作戦を練って払暁戦を展開する。こういったことが簡単に行われるという現在の治安状態というものに対して、一体どう考えておられるかということを聞いておるのです。この前もこの問題については申し上げたのですが、一つこの問題については、ただ単にその場限りでなく、慎重にこの問題を取り上げていただかないと、全く大へんなことになると思います。一つ善処方をお願いしたいと思います。なおこまかい問題につきましては次回に申し上げたいと思います。
  62. 纐纈彌三

    ○纐纈委員長代理 加賀田君。
  63. 加賀田進

    ○加賀田委員 阪上君と同じ質問になるのですが、刑事局長の知っている範囲で御答弁願いたいと思います。ことに二年来、暴力取締りに対して警察が相当力を入れて、現在でも各署では暴力取締本部というものを設定して、取締りを強力にしているのですが、一般的な印象としては、町のぐれん隊とかチンピラが、最近は都会から避暑地とか海や山に移動した。こういうことで、暴力に対する取締りの中心は、そういう一般の住民に直接影響をもたらしているぐれん隊に重点が置われておるように思うのです。現在もなおそういうような形で行われるのか。暴力取締りの重点的な目標というものはどこに置かれるのか、その点を明確にしていただきたいと思います。
  64. 中川薫治

    ○中川説明員 中心は、およそ暴力行為をやるものにつきましては、中心も何もなしに根こそぎ取締りの対象にいたします。ただし、警察は限度がありますから、そのうちしいて中心と申しますと、その組織的なもの——ただいまお話のありましたぐれん隊にしても何にしても、単に私が一人突然思い出して暴力をやった、それはもちろん悪いのですけれども、組織的に暴力をふるうということが特に悪い。こういう組織暴力を特に問題にいたします。しいて中心といえば、組織をもって暴力をやるものに中心を置いてやる、こういうように思います。
  65. 加賀田進

    ○加賀田委員 そういたしますと、新聞等で見ると、ぐれん隊には相当力を注いでいる。しかし、最近特に目立って参りましたのは、阪上君も指摘した通りに、中小企業の労働争議に対して暴力的な行為をする、一つの団体としてはないかもしれませんが、実際行なっている。現状としては、中小企業の経営者等が、人夫等を特殊な何々組の人に依頼して、そういう労働争議に介入するという態勢が特に最近顕著になってきたのではないかと思います。そのために、中小企業を中心とする労働争議に、いろいろ暴力行為が勃発する例も相当最近ある。これは一両年来の特殊な傾向だと私は思うのです。それに対しても暴力取締本部としては特段に力を注いで取り締まる傾向を持っているのかどうか。  それともう一つ、広島に起りましたように、右翼団体といわれている一部の団体が、そういう大衆運動の中に、自分の思想が反対だからといって、暴力をもってそれを阻止するというような傾向が最近起ってきた。これは今申し上げたいわゆる集団的な暴力に対する取締りの対象となると私は思うのですが、これに対して暴力取締本部はあるいはその傾向も同列に扱って重点的にこれを取り締る方法を講じているのかどうか、あるいは今後取り締られるという意思があるかどうか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  66. 中川薫治

    ○中川説明員 私がただいま申しました組織をもって暴力をやるというのは、これは俗語で申しますと、暴力団という言葉に当ると思います。何が暴力団なりやという問題になろうかと思いますが、抽象的に申しますと、暴力行為ということを主たる内容としておるような実体を持った団体は、名称のいかんにかかわらず暴力団であると私は考えておるのであります。そうすると、世間で右翼といっているものの中に暴力団があるかないか。それは内容によって暴力団的内容のものがある場合もございますし、ない場合もある、こういうことだと思います。結局、名称のいかんにかかわらず、組織によって暴力をやっておる、こういうものにつきましてはすべてその範疇に入って、警察として取締りの中心を置いている、こう御理解いただいてよろしいと思います。
  67. 加賀田進

    ○加賀田委員 それは通常暴力を目標として組織された団体を対象とするわけですね。私の言っているのは、もちろんそうした団体も当然警察としては対象にしてもらわなくちゃいけない。しかし、集団的な暴力を行うというおそれのある場合、通常は、組織的に何何組というような暴力を目標にした団体でなくて、ある程度の正業、あるいは半正業を持っているとしても、そういう中小企業の争議あるいは労働組合に対抗する一つの団体として考えて、二十名ないし三十名動員してもらいたいという要請があれば、あった瞬間からは、それはやはり事前に暴力的な要素というものが含まれてくると私は思う。ただ、通常でなくとも、労働争議等に対して起ってくる、あるいは国民の集会等に起ってくる暴力行為というものは、必然的に暴力団体的な性格を帯びるおそれがあると私は思う。それもやはり取締りの対象として、警備その他十分に注意してもらわなくちゃならない問題であると思う。最初から暴力を持つ団体であるという表看板を掲げてやっている団体はない。しかし、起ってくる事態については、そういう行為を行うおそれのあることはもちろんである。もちろんあなたの言われたこともやってもらわなければならないけれども、今申し上げたような労働争議等において集団的な暴力行為を行うおそれがある、そういうものに対しても警察は十分手をそめてもらわなければならぬ。そのことが、今申し上げたような労働争議に対していろいろな問題を起す原因になっていると私は思う。最近は経営者——中小企業の経営者が特にそうですが、労働争議に対する対抗手段として、そういう人夫等をいろいろな団体に要請して出動してもらって、そうして実力をもって労働争議を阻止しようとする。そのために起る傷害事件というものがいろいろ起ってきている。私の持っている資料で十数件ある。それについても、聞くところによりますと、警察は経営者の要請されたそういう団体に対しては、取調べその他非常に緩慢である。逆に労働組合の、それに対抗する側の人々に対しては、非常に厳格な法の適用をする傾向が相当ある。これはわれわれ非常に遺憾に思うのです。警察は、暴力に対して全般的な取締りをやると言われるなら、そうした要請に基いて集団的な暴力の起るおそれのある事態の起ったときに対しても、事前にそれを阻止するとか、あるいはそういうことが起った場合には、今申したように厳正中立の立場に立ってこの問題を処理してもらわなければならぬと思うのですが、その点に対してどうお考えでありますか。
  68. 中川薫治

    ○中川説明員 申すまでもないことですが、すべて国民は法のもとに平等でございますので、そういう点については、会社側とか組合側とかいうことで事を左右にする考えは全然持っておりません。ただし問題は、当該暴力行為につきましては、これはどんな団体がやってもそうですが、すべて法律に定める手続以外のことはできませんので、そういう法律で定める措置以外はできない場合において、事前に防止できた場合もあるし、できない場合も確かにあろうと思いますが、それじゃ国民が暴力行為をやりそうだということで、昔みたいに行政執行法で逮捕するわけにいきませんので、そういう点については問題があろうと思いますけれども、すべて法のもとにおいて国民は平等でございますから、現行法上やれる範囲のことはやるべきであろうと思います。
  69. 加賀田進

    ○加賀田委員 中川局長の言うことは法的な解釈です。法的解釈はわれわれよく了解している。しかし、実際に現実にそういう法的解釈に基いて、いわゆる厳正中立の立場に立って警察行政が行われていないところに問題がある。だから、私は法律解釈を要求しているわけじゃない。現実に警察官のそういう事件に対してとる態度、言動が一方に偏しているという批判が相当高い。逆に言えば、最近の警察には、どうも警察一家になったのじゃないかという批判もあるわけですから、そういう酷評があるということは、やはり、労働争議に対して一方に偏したような措置が講じられ、経営者その他に対して有利な処置をとるのじゃないか、こういう事実を私もここに持っておるわけです。一つの例を申し上げますと、高山精密の場合、これは東京の港区麻布の富士見町にあるのですが、経営者がいわゆる暴力団を使って労働組合の争議に対して弾圧を加えようとしている。六月四日に起きた事件なんかは、七、八名の暴力団が大田委員長に対してこん棒をもって一週間程度の相当の重傷を負わせておる。その傷を負わせたいわゆる一時的なそのときに起った暴力団と言いましょうか、それに対しましては非常に取締りが緩慢で、なお取調べが明確でない。大田委員長は傷をつけられた方なんですが、それに対しては逮捕して取り調べている。お前は傷を受けたのだから、いずれお前も暴力をふるったのだからお前も取り締るのだ、こう言っている。もちろん人間は防衛する権利を持っているのですから、暴力をふるわれたら、自分だってそれを防衛しようとして暴力をふるうでしょう。しかし、被害者は厳重な取調べを受けて、加害者は依然として、そういう事態が要求されても、なお取調べ中だということで、調査の結果は明確にならない。警察にそういう能力がないとは私は考えられないのです。そういう事犯が起って、たとい全部が取り調べられなくても、警察の現在の力をもって、誠意を持ってやってもらえば、七、八名のだれが負傷を負わせたかということは取り調べられると思う。中立の立場をとるとするならば、そういう事犯に対して、参加した全部を正当に取り調べるのが私は警察のやり方だと思う。ところが、一方では一道間以上の負傷をした大田委員長に対してはそういう厳重な取調べをする、一方では傷を負わせた加害者に対しては、依然として明確な態度をとっていないということは、警察庁の落度であり、悪く考えれば、やはりそういう経営者とぐるになった暴力団に対しては一応の手心を加えて、組合に対しては厳重な法の適用を受けさせる、こういう印象を与えるのは当然だと思う。言葉の上では、なるほど平等で厳正中立であるから、われわれは法に従って取り調べるのだと言うけれども、実質では、そういう形が全然各所に行われていないのです。そこに警察行政として大きな問題があるのではないか。だから警察一家といわれているのはそういうところに問題が起ってきているので、警察としても、その点に対しては十分注意していただきたい。なお具体的なこまかい点は、担当者がいませんから次回に質問いたしますけれども、そういう傾向が全部の労働組合はもちろんのこと、民事団体その他一般の住民にも、警察というのはだんだんと昔の姿に戻るのではないか、警告職法は改正されなかったけれども、それのしっぺい返しか知らぬけれども、どうも最近はそういう傾向がある。こういうようなことがずっと風潮として出てきているということはおそろしい。中川さんが何ぼ当委員会で弁明されても、実態がずっと右に寄りつつあるという現状は、再検討していただかなければならない問題だと思うのです。幸い新たに石原公安委員長も任命されたのですから、こういうおそろしい額面に対しては十分委員長としても検討を願いたいし、警察庁も、あるいはきょうは警視総監おいでになりませんけれども、警視庁においても、その点は十分考慮していただかなければならぬ。自後われわれとしては、そういう問題が具体的に行われたとするならば、これはもう徹底的に警察の現状ということに対してやらなければならぬと思います。現に行われつつある労働争議に対しても、そういうことのないように、警察庁として十分指導していただかなければならぬと私は思う。その点指導する意思があるかどうか。あるいは今後の対策に対して付か考慮する点があるかどうか、この点に対して御答弁願います。
  70. 石原幹市郎

    石原国務大臣 先ほど来からいろいろお話がありました最近の中小企業関係の労働争議の問題でございますが、この問題につきましては、第一線の警察官諸君も非常にいろいろ苦労をしておると思うのであります。法規の範囲内で、でき得るだけの取締りをやっておることと私は確信をしておるものでございます。なお先ほどお答えいたしましたように、私は、暴力というものに対しては、右であろうが左であろうが、ことに先ほどからお話の出ております組織暴力、集団暴力、そういうものに対しては徹底的に対処していかなければならないというかたい信念を持っておるものでございます。その意味で、閣議におきまして、あるいは公安委員会等においても、しばしば発言をしておるものでございまして、なお警察庁当局に対しましても、本日承わりましたような御趣旨につきましては十分指導といいますか、話し合いをいたしまして、適切なる取締りが行われますように今後とも細心の注意を払って参りたいと思います。
  71. 加賀田進

    ○加賀田委員 これは言葉だけではなくりして、やはり警察としては十分国民の信頼を得なくては、民主的な警察の本質というものは成り立たないと思う。そういう印象を与えるような言動、特に警察官の行動というものは、警察庁としては十分に注意をしていただかなければならぬと思いますので、特にその点は注意願いたいと思います。  なお、先般の委員会で、メトロに対してのいろいろな現状、われわれの見解並びに警察としての取調べの現状等の報告を願ったのですが、その後の取調べの結果の処置に対して報告がないわけですが、本日資料がなかったら、次の委員会にその後のいろいろな経過等に対して詳細なる御報告をぜひ願いたいと思います。
  72. 安井吉典

    ○安井委員 ちょっと関連して。中小企業の労働争議に対する暴力団の介入とでも言いますか、その問題につきまして、いろいろ実情を聞いたりあるいは見たりするにつけまして思うことでありますが、暴力団なるものの組織というようなものは、警察庁ではつかんでいないということの先ほどの加賀田委員に対するお答えでありました。しかし、たとえば会社側が暴力団を連れてくるにしても、職業安定所へ頼みにいって集めてくるというわけでもないと思いますし、あるいはまた町の中を歩いて行って一人ずつ探してくるということでもないんじゃないかと思います。そういうことから言いますと、何か暴力供給業者とでもいいますか、言葉はおかしいのですけれども、そういったようなものが何かあるんじゃないかという気がするわけです。そういう点につきまして、警察庁で何かお調べができておりますかどうか。
  73. 中川薫治

    ○中川説明員 暴力追放ということは重要なことでありますので、暴力行為が行われれば適切な警察措置をとることは当然であります。ただし、世の中で暴力をしそうな団体が何であるかということは、本人たちはそう言いませんから、そうすると警察で、従来の実績その他から見て暴力的行為を犯しそうな人間その他をこっそり人権の侵犯にならないようにわれわれがデータを調べておることは事実でありますが、その中で、われわれが人権の侵犯にならないように調べて暴力的だと考えておるものが暴力行為をやる場合もありますが、そうでないと思っていたものが突然やるということもあります。事犯の措置といたしましては、そういう暴力行為をやる危険性のあるものについては、警察の方において考慮する、そういう措置を十分に講じておるつもりでありますが、こういう点については今後の努力によって大いに整備して参りたいと思います。
  74. 安井吉典

    ○安井委員 私の申し上げておりますのは、これは暴力をやりそうだとか、この人はそうじゃないとかいうことで一人ずつ区別していくというようなことまではなかなかしかねると思います。ただ、いわゆるボスというような人たちがあって、そこにつながっていけば人は何人でも集められる、あす十人よこしてくれ、あさっては五十人よこしてくれというような仕組みがあるのじゃないかというような気がするからです。たとえば株式会社の総会屋というか、何かそれに以たような、近ごろのように中小企業の争議が頻発する際には、争議屋というようなものが、どこか警察も知らないところで作られているのじゃないか、そういうようなことをおそれるわけであります。きょうは十分にその中に入っての審議をする時間がないということでありますが、次にこの問題が取り上げられます際におきまして、現在日本においてそういうふうな暴力のおそれのあるというふうに見られております団体や、そういう動きについての資料一つ整えていただきたいと思います。
  75. 中川薫治

    ○中川説明員 これは警察庁の必要上、この団体は暴力をやりそうだということを調べておることは事実でありますが、それを公表することはいつも私はお断わり申し上げております。と申しますのは、われわれの調べておる団体は、われわれ警察の眼から見て暴力をやりそうだと思っておることは事実ですが、具体的に暴力をやらぬものに、あなたは暴力団だと言うということは大へんな名誉毀損になりますので、しばしば当委員会でも御要望があったのでありますが、それを今ここでやりますと、まず人権侵犯になることが一つ。それから人権侵犯になるほかに、いろいろ警察といたしまして犯罪捜査をやたらに秘密にする考えはございませんが、証拠隠滅ということになってもいけませんので、その暴力の一覧表を出せという点はごかんべんを願いたいと思います。
  76. 安井吉典

    ○安井委員 総体的に日本における最近の暴力の傾向というようなものはつかめませんか。それからまた、各地において警察が実際上暴力団体として措置されたというのもずいぶんあろうと思います。何々組というのもあったと思います。そういうものでもけっこうですから、それで一つの傾向というものがわかると思いますから……。
  77. 中川薫治

    ○中川説明員 関係者の名誉の保持と、それから捜査のことを考えながら研究してみたいと思います。
  78. 門司亮

    門司委員 そういう答弁では困るよ。むろん関係者の名誉ということはあるが、一つの団体ですよ。われわれの要求しているものは個人の名誉ではないのです。そういう団体があるということについて、その団体の主事者がどうこうということではなくて、そういう団体があるということだけは、この前も私は知らせてもらったと思います。その程度のことは知らせられると思います。だからそれは一つぜひ出して下さい。これは個人を傷つけるということはない。その社長とか部長がどうだとかいうことを書けば、それはどうか知らぬが……。  それからもう一つこの機会に資料を頼んでおきたいのは、メトロの問題ですが、この前かなり要求したのですが、一向はっきりしておらない。それであらためて資料を要求したいと思いますが、ナンバープレートをはずしておりますね。これは明らかに犯罪です、刑事犯です。あれは法律によると、何人といえどもこれをはずしてはいかぬと書いてあるのだから、たとい自分ものであってもはずしてはいけないのです。従ってこれは明らかに犯罪です。それに対してどういう処置をとったかということ。  それからもう一つは、あの会社側の態度は計画的なんです。警視庁の手にも入っているでしょうけれども、会社側から出した報告書を読んでみると、ちょうど義士の討ち入りの前と同じことが書いてある。どこで、だれとだれが協議をして、使った武器は、かけやが何丁、二寸五分のくぎが何貫目、バーナーが幾つ、金づちが幾つとちゃんと書いてある。そういうふうな計画的な犯行なんです。そしてその結果が報告してある。その会社側から出ているパンフレットを警察も持っているはずなんです。そうすると計画的なものだったということは間違いないのです。さらに仮眠所にくぎづけしたということもその報告書の中にちゃんと書いてある。     〔纐纈委員長代理退席、委員長着席〕  そうすると、監禁の事実は計画的に行われている。それについての取調べがどういうことになっておるのか、どういう処置をとられておるのか、その点を、きょうはもう非常におそいし、答弁もできないでしょうが、この次の委員会までに明細に報告してくれませんか。そうしないと切りがつかない。いつまでたっても議論しなければならぬ。こういう措置をとったということ。  それからもう一つは、あの場合にかなり多くの人がつかまりました。これは自動車を間違えて乗ったというのだから、警察の手柄でつかまえたわけじゃないでしょう。動かない自動車に乗ったのだから。自分たちの乗ってきた自動車と間違えて違う自動車に乗って、運転手がいないから動かない、まごまごしているうちにつかまった。ところがまだつかまらない者がいる。それの捜査についてどういう措置をとられたかということ。その点について、この次の委員会までに警視庁と打ち合せをして明確な御報告を願いたい。これだけ一つお願いしておきます。
  79. 濱地文平

    濱地委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後一時二十二分散会