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1959-10-13 第32回国会 衆議院 大蔵委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十月十三日(火曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 植木庚子郎君    理事 足立 篤郎君 理事 小山 長規君    理事 坊  秀男君 理事 山下 春江君    理事 石野 久男君 理事 佐藤觀次郎君    理事 平岡忠次郎君       押谷 富三君    鴨田 宗一君       進藤 一馬君    竹下  登君       中村 梅吉君    西村 英一君       細田 義安君    毛利 松平君       山本 勝市君    春日 一幸君       久保田鶴松君    小松  幹君       竹谷源太郎君    廣瀬 勝邦君       松尾トシ子君    山花 秀雄君       横路 節雄君    横山 利秋君  出席国務大臣   大蔵大臣臨時代理         国 務 大 臣 池田 勇人君  委員外出席者         大蔵政務次官  奧村又十郎君         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    大月  高君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      船後 正道君         大蔵事務官         (管財局長)  賀屋 正雄君         大蔵事務官         (銀行局長)  石野 信一君         国税庁長官   北島 武雄君         農林政務次官  大野 市郎君         食糧庁長官   須賀 賢二君         農林事務官         (食糧庁総務部         企画課長)   亀長 友義君         農林事務官         (食糧庁経理部         長)      家治 清一君         気象庁長官   和達 清夫君         運 輸 技 官         (気象庁予報部         長)      肥沼 寛一君         建設政務次官  大沢 雄一君         建設事務官         (住宅局住宅総         務課長)    大津留 温君         日本専売公社塩         脳部長     小林  章君         国民金融公庫副         総裁      石渡忠四郎君         国民金融公庫理         事       松田 文蔵君         住宅金融公庫貸         付部長     江ケ崎太郎君         農林漁業金融公         庫理事     中沢 忠作君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 十月六日  委員加藤高藏辞任につき、その補欠として南  條徳男君が議長指名委員に選任された。 同日  委員南條徳男辞任にっき、その補欠として加  藤高藏君が議長指名委員に選任された。 十月十三日  委員田廣文辞任につき、その補欠として小  松幹君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小松幹辞任につき、その補欠として田万  廣文君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  税制に関する件  金融に関する件  国有財産に関する件  専売事業に関する件      ————◇—————
  2. 植木庚子郎

    ○植木委員長 これより会議を開きます。  税制に関する件、金融に関する件、国有財産に関する件及び専売事業に関する件について調査を進めます。  質疑の通告があります。これを許します。横山利秋君。
  3. 横山利秋

    横山委員 私は主計局長ないしは次長に御出席を願うように御通告をしておいたのですが、聞くところによりますと、予算関係で今すぐには工合が悪いというお話でございます。きょうの問題は共済組合掛金の問題であります。きょうは、中心が微細なような問題ですけれども、時間の関係で、緊急にはさんでいただいたのです。この問題はきわめて大きな問題ですが、政務次官は十分に問題の内容は御存じでございましょうか。また給与課長は本件について十分の責任ある答弁ができる立揚で御出席でございましょうか。それができなければ、失礼な話でありますが、これは意味がないのであります。いかがでありますか。
  4. 奧村又十郎

    奧村説明員 お答えいたします。去る十月一日から実施すべき共済組合の問題につきましては、佐藤大蔵大臣の留守中でもありますし、主として私が関係者といろいろ協議をして参りました。この点につきましては、私責任を持って御答弁できるつもりであります。
  5. 横山利秋

    横山委員 それならばけっこうでございます。  それではお伺いをいたしますが、十月六日付で、池田勇人大蔵大臣臨時代理は、新共済組合法全面実施に伴う定款変更を、共済組合法第十条の、定款変更はそれぞれの共済組合運営審議会に必ずかけなければならぬという絶対条件を無視して、同法第百十六条四項の大臣権限を乱用して、もう審議会の議を経る必要はない、直ちに千分の四十四の掛金をもって徴収せよという命令を出しました。これは、きわめて、新しく発足をいたしました共済組合法の民主的な運営を阻害するばかりでなく、法律を乱用するという言語道断の扱いだと私は思うのであります。逐次その問題の争点に入っていきますが、なぜこの法律を乱用いたしたのか。百十六条の大臣権限というものは、共済組合法第十条の運営審議会の議を経なければ定款変更できないという絶対条件を犯し得るものではないのです。その点はいかがに思いますか。
  6. 奧村又十郎

    奧村説明員 このことにつきましては、実は、今まで、私どもといたしましても、ずいぶん苦心をして参りましたことでありますので、ちょっと時間がかかりますが、お聞きとりをいただきたいと思います。
  7. 横山利秋

    横山委員 まず法律論を……。
  8. 奧村又十郎

    奧村説明員 特に横山委員共済組合については日ごろ御熱心でよく御承知のことと思いますが、この実施に際しまして、定款変更につきましては、お尋ね通り運営審議会において定款変更をする。これが法律にきめられたことであります。そこで、大蔵省といたしましても、また各省におきましても、九月中に運営審議会を開きまして、そして定款変更をしたいということで、非常に努力をして参ったのです。ところが、労働組合代表運営委員がどうしても出席しないために、各省において運営審議会が開けない。従って定款変更ができない。この事情において、一体政府はどうするか。御承知通り十月一日の実施でありますから、そこでただいまのお尋ね大蔵大臣が百十六条第四項の規定命令を出したとおっしゃいますが、そうではありません。単に閣議において申し合せをしたのであります。お尋ねの百十六条第四項の規定によりましても、法律に沿わないことを命令することはおそらくできぬはずであります。従いまして、閣議において大蔵大臣から今までの折衝の事情を話し、また定款変更が現実にできないという事情を話をし、また監督命令の話もいたしたのでありますけれども、結果、大蔵大臣から各省に出した通牒は百十六条第四項の規定に基くものではありません。各省大臣各省共済組合組合長資格で暫定的に実施する。しかも、それはなるべくすみやに運営審議会を開いて、そして定款変更する。しかし、それまでの間やむを得ず千分の四十四を実施する。こういう趣旨の閣議申し合せがあったという通知を出したということでありますから、御了承願いたいと思います。
  9. 横山利秋

    横山委員 それならば、かえってよけいにけしからぬじゃありませんか。法律の定めるところにより、審議会の議を経ずし掛金の率を定める定款変更することはできぬと明示されておるのに、関議の申し合せによって変えるという権限閣議に与えられておりません。あなたのおっしゃるように、法律百十六条の四項の大臣権限で明記されておることをもってすら定款変更はできないと、あなたはおっしゃっておるにかかわらず、閣議の申し合せをして、共済組合責任者たる資格を持って大臣が勝手に掛金を変えてよろしい、しかも高く変えてよろしい夫——高く変える金額はまさに新しい法律によって政府が適当にきめようとした額であります。そういう権限閣議に許されておるはずはありません。あなたは、先ほど、組合の人がこの運営審議会出席しないから掛金変更できないという事情があるから、そういうやむを得ない措置をとるのだと説明をされました。今度は、なぜ出席しないだろうか、組合側諸君言い分職員代表諸君言い分は何であるかというところへ入りたいと思うのですけれども、その前に、閣議だったらそういうことをしていいという根拠を、あなたは示していただきたいと思います。法律百十六条第四項をもってしてなおかつやれないことを、閣議の申し合せならばそういうことをしてよいという法律的根拠を示していただきたい。
  10. 奧村又十郎

    奧村説明員 これは、結論から申しますと、共済組合法の第八条に、各省大臣共済組合組合長として組合代表し、業務を執行するという全般的な責任権限を持っておるということがありますし、また、定款変更と申しますか、九月三十日までに、従来の千分の三十五ですか、その率はもう無効になっておるわけです。従って、その空白を埋めるということについては、今回の措置は決して法律に違反しておるものではないと思っております。特に政府としてもずいぶんそれは努力をしたのです。私として特にその衝に当ったから申し上げますが、問題は、炭労あたりの問題とは違いまして、国家公務員との関係です。使用者である政府と被使用者である労組との関係ですから、こういうことにいざこざを起しては国政に非常な影響を与えるから、何とか話し合いをしょう、また、国家公務員はまずもって法律を順守しければならぬのだから、法律に基いてよく話をしようというこで努力をしたのです。たびたび会ったのです。ところが、私からあまり言いにくいのですが、どうも話し合いを進める努力が足りない。私どもとしてはずいぶん努力をしたつもりでありますが、第一に今の運営審議会が開かれない。それには委員を出さぬ。(横山委員法律論を聞きます」と呼ぶ)法律論とおっしゃるけれども法律をなるべく法律通りに順守したいという政府努力からして、それには運営審議会を開きたい。ところが委員が出ない。これにはもうほとほと私ども困った。共闘会議と申しますか、官公労の統一した代表者方々がたびたび来られた。お話はする、しかし、法律に基いてお話しするには審議会であるから、どうぞ各省において運営審議会が開かれるように、それぞれの委員が出るようにあなた方も考えてほしい、こう申し上げた。ところがどうしてもそれに応じようとせられない。この場合、横山君ならそれじゃどうなさいますか。それでどうにも仕方がないのです。そこでいろいろの努力をして、引き続いて運営審議会を開くということでやっておりますので、現にもう運営審議会を開いて、定款変更ができたのは外務省と法務省関係、それから、もうこれもきまって、後日すぐ報告が来るのは厚生省、それからただいま運営審議会を開いて定款変更手続中のものがすでに文部省、裁判所、会計検査院、刑務所、防衛庁、アルコール専売と進んでおるので、もうあと残ったのが十の役所の組合、こういうことでありますから、どうぞ政府努力のほども御了察願いたいと存ずる次第であります。
  11. 横山利秋

    横山委員 私だったらどうしますか。教えてあげましょう。私だったら、たとい職員代表の言うことが間違っておると、千歩も万歩も譲ってそうだとしても、だからといって勝手なことをやっていいということは絶対にありませんよ。あなたがこういうことをやった法律的根拠は、最後には百十六条四項かといったら、そうではない。じゃ大臣権限は何だ、閣議の申し合せは何だといったら、そんなものは法律的根拠はない。何だといったら共済組合法の八条でやっていると言う。八条とは何かといったら、共済組合責任者業務代表しているから何やってもいい。まさに何やってもいいという言い方じゃありませんか。法律によって、定款変更審議会の議を経なければならぬというのにかかわらず、審議会が動かないなら、代表者は何やってもいいということをお考えだとしたならば、それが法律的根拠だとしたら言語道断です。そのときになすべきことは、私だったらさしあたり従来通り掛金をとる。当然じゃありませんか。それを従来通りでなくして四・四%をとる。そういうやり方というのは、円満な常識を持つ共済組合理事者のやることでは断じてありません。意趣遺恨にかられたか、感情的になったか、法律の乱用をしたか、どっちかです。この法律論をもっては、あなたも今回は全く間違った措置をとった。なぜそういうことをやったかということについては、これから議論をいたしましょう。けれども法律的根拠というものは、今回政府がとったやり方というのは言語道断ですよ。断じてこれは許しません。  今度は、どうしてそういうことになったか、職員代表がなぜ四・四%に反対をし、あなた方は四・四%を主張しておられるか、その問題の焦点一つ解明しょうではありませんか。職員代表言い分はこういうことです。つまり、私は前に旧法恩給を受け取った。その当時までは私は恩給法掛金を払っておった。政府もそれに対して納金をくれておった。つまり嫁入り前は私はちゃんと積み立てて持参金を持っておった。ところが、新共済組合法のところに嫁入りをしたときには、おやじはその持参金を私に持たしてくれぬのです。お前が積み立てた掛金政府がくれた掛金はうちへ置いていけといって、政府持参金を取り上げてしまう。お嫁さん素っ裸嫁入りをしたわけです。素っ裸嫁入りをしたら、お前は持参金を持ってこぬから、お前の掛金は高い、四・四%だ、こういうふうに嫁入り先は言う。そんなばかげたことはない、私の持参金はちゃんと親元にあるから、親元、つまり政府にその持参金をよこせと職員代表は言う。そうすると、政府は今渡すわけにはいかぬ——大体千億くらいありはせぬかという話があるそうですが、その持参金政府嫁入り先にやるわけにはいかぬ、おれが借りているというわけだ。借りていれば利子をよこせということです。共済組合法においてはその利子は払わなければならぬことになっておる。払わなければならぬことになっておるのだけれども施行法五十五条の第一項で、あなた方はどうも施行令を曲解して、利子を少しちびってもいい、かすめても、ピンはねしてもいいというふうに解釈しているらしい。しかし、ピンはねをするせぬは別としても、持参金利子は払うからと、あなた方は法律によって明示されているのだ。この利子をどれだけ払うか、まだ払う計算もきまっていないらしい。だから、お嫁さんは裸で新共済組合法のところに嫁入りして、持参金利子をくれれば掛金はもう少し安くなるはずだという確信がお嫁さんにはあるわけだ。その心理はわかるでしょう。あなた方も、元利合計を少しも考えてやらずに、掛金だけお前は裸で来たから四・四%だという、こういう言い方職員をして納得せしめないのは当然なことだと思いませんか。わかりますね。持参金論について花嫁さん立場一つ考慮してほしい。
  12. 奧村又十郎

    奧村説明員 私は、横山委員議論申し上げるつもりはさらさらないのでありますが、問題を解決いたしますには、できるだけ率直に政府の意のあるところも聞いていただきたいから申し上げます。私は、今、横山委員に、事実上運営審議会が開けない、従って定款変更ができない、つまり法律の一部が執行できないという場合に、横山委員ならどうなさいますかとお尋ねしたら、横山君は、これは旧法掛金率でやればいいとおっしゃいましたが、旧法は九月三十日で失効しておる。それを十月以後に旧法のままで実行したら、これは法律にないことをやっておるので……(横山委員「四・四%なら法律にありますか」と呼ぶ)いや四・四%というのは新法ですよ。(「そんな勝手なことがあるか」と呼ぶ者あり)新法に基いてこれからきめようということ。だから、横山委員もどうか政府の苦衷もお考えいただいて、お互いに少しでも問題を解決できるように御相談が願いたい、こういうことです。  そとで、その次の第二点の御質問について申し上げますと、恩給法時代掛金残、いわゆる整理資源と申しますか、それを共済組合に引き継ぐことについてのお尋ねがございましたが、これは確かに法律規定してあるのでありますから、政府はそれを実行する所存でございます。しかし、これの計算はなかなか膨大なことであって、それは必要に応じ、時々計算して組合会計へ振り込むということであって、すでにこれは国会で十分御論議があって、法律で今まで通り政府は実行する、こういうことであります。
  13. 横山利秋

    横山委員 いいですか。もう一ぺん言いますけれども、花嫁さん持参金を持っていく。それはあなた方持参金は持っていかせると約束しておる。ところが持参金幾らくらいであるかあなたはまだ計算はできませんとおっしゃる。持参金はしばらく預かっていこうという。そのかわり利子を出そうという。利子もまだ幾らだかわからぬとおっしゃる。だから、持参金ないしはその利子はまだわからぬから、それはなきものとして四・四%さしあたりとろうとおっしゃるのでしょう。そういうわけですね。間違いありませんね。
  14. 奧村又十郎

    奧村説明員 何ですか。
  15. 横山利秋

    横山委員 ちゃんと聞いておってもらわなければ困る。花嫁さん持参金はお嫁入り先へあげまするとおっしゃる。しかし、それはさしあたり実家で借りていくから利子を出すとおっしゃる。つまり元利はともにお嫁入り先新法の方へ出そうとおっしゃっている。けれども、その金がわからぬから、まずはそれはなきものとして四・四%の掛金をとろう、こういうわけですか。
  16. 奧村又十郎

    奧村説明員 あと給与課長から詳しく御説明を申し上げますが、御承知通り恩給制度共済組合制度とは根本から違っておりまして、納金一般会計へ繰り入れられる。それから恩給給付金はこれまた一般会計で出される。その間納金給付関係がないというふうなことになっておりますから、従って、実際に今個々の方々掛金恩給の方に幾ら残っておって、それを持参金としてお嫁さんにつけてやるというようなことにはなかなかなりにくい。しかし、九月三十日現在で新しい共済組合に入られる方の旧恩給時代の、つまり掛金に対する政府責任というものは、政府は実行いたします。その意味において、いわゆる整理資源組合に引き継ぎます。しかし、その計算は非常に複雑でありますから、すぐには一括して入れるというような方法はなかなかとりにくい、こういうことで御答弁申し上げたのですが、なお詳しいことを給与課長から申し上げます。
  17. 横山利秋

    横山委員 私の質問焦点ははっきりしておるわけです。私はそういう花嫁さんが持っていく持参金元利合計は勘定がなかなかわかりません、今計算をいたしましょうとおっしゃるが、それじゃ、四・四%の算出根拠は、持参金元利合計はわからぬから、今それをたな上げにして、なきものとして、四・四%をきめたのですか、こう言って聞いておるわけです。
  18. 船後正道

    ○船後説明員 ただいまの横山先生の御質問は二点あると思います。一つ整理資源、今のたとえ話では持参金でございますが、それの整理資源をどういう形で今後予算計上していくのかという問題と、いま一つは、その整理資源計上方法いかんによっては、十月一日以降の新制度下掛金率の千分の四十四というものに影響があるのではないか、この二点に分けてお答え申し上げます。  まず、あとの方の新制度下における四・四%といち掛金が、整理資源計上仕方いかんによって影響があるのではないかという点でございますが、この点につきましては、四・四彩は十月一日以降の新法規定による新しい給付をまかなうための費用でありまして、九月三十日以前の旧恩給期間、あるいは旧法規定による旧長期期間にかかわる費用とは、何の関係もないわけでございます。こいう計算方法は、すでに実施を見ておりますところの三公社及び四現業長期給付掛金率計算の仕方と同様でございます。  それから、次に、政府はそういった旧恩給期間にかかわる追加費用負担すると言っておるが、これは一体どういう方法でやるのかという問題でございます。ただいま持参金の例を申されたのでございますが、これは、政府といたしましては、持参金として一時に渡そう、嫁入りの際に持たしてやろうということを法律で約束したわけではないのでありまして、施行法の五十五条には、要するに旧恩給期間にかかわる費用は、政令で定めるところによって国が負担する、かように相なっておりまして、この五十五条を受けまして、政令の第七条の二では、その毎年度において負担する金額は、当分の間それぞれ当該年度予算をもって定めるのだ、かような仕組みになっております。そこで、どういう方法当該年度予算できめていくのかという問題でございますが、先ほど奧村政務次官説明に毛ございましたように、この整理資源が総額で幾らになるかは非常に計算がむずかしい問題でございまして、現在各組合員別前歴調査をいたしておりまして、その集計を待ちまして計算いたさねばならない次第でございます。この点は、すでに非現業の公務員と同じ制度実施中の三公社四現業につきましても、目下そのような計算をやっておる最中でございます。そこで、このような整理資源は何億になりますか、全く見当もつかない次第でございますが、この整理資源計算できたといたしましても、それを直ちに国が新共済へ引き渡すということにはならないのでありまして、やはり各年度の旧恩給期間にかかわる給付の支払いの実績、あるいは新共済組合の収支の状況、さらには国の負担状況その他を勘案いたしまして、予算計上していきたい。ただ、はっきり申せますことは、旧恩給時代にかかわる費用は、すべて国の負担でございますので、これがために新共済の資金に穴をあけるというようなことのないように運営していきたい、かように考えております。
  19. 横山利秋

    横山委員 こまかい話をすれば、私もこまかい話をしてあなたに議論をいたしますけれども、大まかに言って、大体委員の各位も御了解願えるように、政府は今計算をしておる最中です。計算をした金額が、将来新法、つまりお嫁入りをした新しい共済組合財源になることは事実なんであります。この財源になったような場合に、掛金影響をもたらすであろうということも容易に想像ができることなんです。ところが、この財源がわからないからといって、将来影響をもたらす影響の度合いがわからないからといって、今四・四%と、これまでと違った掛金を増徴することは、これは職員諸君説得力のない行動であることは当然です。しかも、法律論を先ほど冒頭に申し上げましたが、法律論によってはこの定款変更にも相なることですから。それを、六条、十条を無視し、百十六条の第四項の大臣権限でないと言い、最後には、第八条の共済組合代表権が、理事長代表権をもって、定款に書いてあるとの考え方を否定をして、オールマイティの立場において四・四%を実行する、こういうことはまさに私は言語道断だと思う。だから、私は、自分個人の見解ではありますが、きわめて良識的な解釈をするならば、なるほど、政務次官もおっしゃるように、九月三十日で旧法はなくなった。新法は十月一日からだ。掛金については宙に飛んじゃって何も根拠がない。それならば、暫定的に、あなたの言うように、運営審議会方々で早くやってもらいたいと言っているその間は、大臣がないしは理事長が暫定的な措置をとるならば、従来の掛金をもってさしあたりやってくれというのが当然のことではないか。それを、政府の意図の通りにいかぬからといって、政府が意図しておる四・四%を、何らの法律的根拠もなく、しかも数字的な根拠もまだ説得力のないこのやり方を押しつけるということは、言語道断じゃありませんか。私は、客観的に言って、今回の政府の態度についてはどうしても納得ができぬところなんです。むずかしい、給与課長の言うように、いろいろこまかいところを言うならば、私はこれは幾らもこまかく入って議論をしてもよいけれども、時間がないし、委員の諸公をやぶ知らずへ連れ込んではいかぬので、大まかに私は申し上げておる。この常識的な考え方や常識的な問題について、政府側は納得のある答弁ができないというのは、遺憾千万だと私は思う。  もう一つ最後に問題点として私は指摘をいたしたのですけれども、私の言う持参金、従来の恩給法通り掛金政府納付金、その持参金は、政府が今嫁入り先へはすぐには渡さぬ、おれが借りておくという立場をとって、そのかわり利子は払おう、当該年度予算のワク内で払うのだ、そのきめ方を当該年度予算のワク内できめる。予算できめるということは、利子をちびってもいいのだ、予算が足りなければどんなにやってもいいのだ、というような解釈をなさっておるらしいというのであります。もちろん適当だというわけではありますまいから、あなた方はあなた方でまた適当なそろばん、計算方式を持っていらっしゃると思うのだけれども、私はこの施行令当該年度予算できめるという言葉を、これを百の利子を五十であっても差しつかえないのだ、四十の利子であっても差しつかえないのだという解釈は、ごうもとってはならぬと思うのです。その点についはどうですか。
  20. 船後正道

    ○船後説明員 ただいまの予算計上の仕方でございますが、国が負担いたしますのは、要するに九月二十日以前の旧恩給期間にかかわる費用を全部負担しようと言っておるのでありまして、元金とか利子とかいう観念はその場合には入ってこないわけでございます。要するに九月二十日以前の分は全部国の負担である。新制度下における組合員の掛金なり国の負担とは何の関係もなく、国が負担しよと申しておるのでございまして、第七条の二でもって、国が当該年度予算をもって計上します金額は、もちろん計算の過程といたしましては利子相当分もございましょうし、また元金相当分という考え方もあろうと存じますが、問題の本質といたましては、要するに九月三十日以前の追加費用一切を負担しよう、こういうことでございます。
  21. 横山利秋

    横山委員 時間もありませんので、私は、今申しましたように、今回の措置共済組合法の諸条項に違反をした措置である。これが第一である。それから、第二番目には、四・四%という数字について、科学的な算出根拠がなく、職員を納得せしめていない。これは私が言うわかりやすい持参金論、まあ持参金論については、「てにをは」については多少言い方が違っておるかもしれませんが、大まかについてはそうだと思う。この持っていくべき持参金を、何も勘定ができないからといって、法律的な根拠のない四・四%を押しつけることはいかがなものか。なぜ従来通り当分の間はやって、その間に説得力のある方式をおとりにならぬのかという点について、運営についても誤まりがある。それから、第三番目に、今時間がありませんから、今の利子論については多くを申しませんけれども、この三点について、私は今回の政府措置については承服できません。きょう時間がありませんから、次回の大蔵委員会において、理事会で一つ委員長にお願いいたしたいのでありますが、政府の言う三点について責任のある答弁をされたいということが第一点。それから、第二番目には、現在政府は、そういう不合理なやり方を、各単位の共済組合運営審議会を圧迫をして、大蔵大臣池田勇人名義の通牒をかさにきて、早く開け、早く開けというようなやり方を一時中止をされたい。二点を要望して私の質問を終ることにいたします。
  22. 奧村又十郎

    奧村説明員 ただいまのことに関連してちょっと御了解をいただきたいのですが、政府としては、ただいま御指摘の百十六条の四項に基く監督命令とか、いろいろ法律に基いてでも強硬な手段をとればとり得ると思いますけれども、なるべく、国家公務員との間のことですから、円満に事を進めたい、こういうつもりでやってきておりますから、どうぞそこは一つ十分御了承をいただいて、円満に妥結になるようにお考えをいただきたい。  それから、もう一つの問題は、話し合いのつくまでは九月三十日以前の旧法掛金でいけとおっしゃいますけれども、これはまた議論にわたって恐縮ですが、すでに十月一日以後は、法律をもって国の負担部分は五十五、それから組合員の負担分は四十五と、基本的な率は法律でもうきまっておるのですから、それを無視して、旧法に基く三・五%を暫定的にやるということは、これはまた政府としてできない、こういうことでなかなか苦心をしておるところですから、御了承を願いたいと思う次第であります。
  23. 横山利秋

    横山委員 それならば、あなたが説得主義で、納得主義でやるというならば、なぜこの十月六日の池田臨時代理名義でやっちまえ、文句があったら四・四%でやっちまえというようなものまで出すのですか。こういうものを片方に出しておどかしておきながら、片一方では一つ納得してくれというやり方は、言語道断ではありませんか。それから、あなたの言う旧法をそのまま適用することはできぬというのだが、それは言葉のあげ足とりで、旧法掛金に相当する額を一応とっておいたらどうだというのが私の言い分です。あなたの五五対四五の話は私も承知しておるのですけれども、しかし、現実の掛金を四・四%にするということは、法律がきめておらぬ計算をして出てくる数字なんだ。その計算の基礎がまだあいまいで職員を納得させ得られないのに、なぜ強引にやろうとなさるのか、こういう点でありますから、今進んでおる政府やり方については、あらためて再検討をしてほしい。そうして、次会に、先ほども申し上げた三点について、理事会で納得のいく対策、改善手段を一つ説明してほしい。
  24. 植木庚子郎

    ○植木委員長 石野久男君。
  25. 石野久男

    石野委員 共済掛金の問題で今横山委員からいろ法律的な問題なんかで論議がありましたが、今奧村次官からの話によると、とにかく話はまとまろうがまとまるまいが、その建前でいくのだと、こういうお話です。これは納得しないので、実は審議会というものはなかなか開けないような実情があるのです。従って、ここでほんとうに円満に話を解決しようとするならば、その話し合いをできるような場を作らにゃいかぬと思うのです。私は、そういう話し合いの場を作るまでは、納得しない者から強引に政府掛金を取り上げてしまうということをしないように、政府として努力すべきだと思う。もうすでに掛金は、あるところでは取っているし、それからまたすぐ十七、八日ごろになればその掛金を取ってしまうというような事態が出てくる。そういう問題に対しても、なおかつ、大臣命令が通達かのような形で出したものを強引しようという腹を、依然として次官は政府として考えておるということをおっしゃるのですか。その点をはっきりして下さい。
  26. 奧村又十郎

    奧村説明員 この組合員の側の一部の方の御意見によりますと、従来の運営審議会のあり方について非常に不安を持っておられる、あるいはおびえておられると申しますか、御承知運営審議会でどういう意見が出ましても、最後決定は組合長である政府側がきめるものですから、それじゃ運営審議会を開いても十分の話し合いができぬじゃないか、こういう不安を持っておられる。また、従来の運営審議会は、間々非常に形式的で十分の論議が尽されなかったという憂いがあったようであります。これは政府としても非常に反省しなければならぬと思っております。しかし、それについては、私どもも、組合員の方々に、そういうまずい運営審議会やり方でなしに、十分話し合いをし、お話も聞きましょう、しかし、それには、運営委員を出して、まず運営審議会を開いて下さい、こうお願いしたのですが、それでもなお不安がある、こういうことで運営審議会がなかなか開かれなかった。しかしだんだん審議会が開かれております。先ほど横山委員からのお尋ねにお答え申し上げたように、もうすでに六組合は現在手続変更中でありますし、二組合は手続完了、一組合は手続中、まだ残っておるのは十組合です。これもなお努力をするつもりでありますから、御了承願います。
  27. 石野久男

    石野委員 努力をするつもりというが、私の聞いておるのは、そういうまだ話し合いがまとまらない、審議会を持たれないところのものを強行して、今度給与を度すときどきを全部差し引いて払おうと、政府ははっきり考えておるかどうか。
  28. 奧村又十郎

    奧村説明員 これは、閣議の申し合せに基いて、大蔵大臣から各省大臣にあてて出した通牒の通りに、一応千分の四十四で実施するようにという方針でおります。
  29. 石野久男

    石野委員 そういうところに強引な運営やり方があるわけですよ。横山委員はそういう点をついておると思う。とにかくこの審議会が持たれないというのは、その場ができていないから持たれないわけだ。組合の側から言わせると、そういう掛金をかけるについては、横山委員の言われる持参金——整理資源の問題ですが、その資源を政府の方で組合側に持たすということをすれば、掛金の率も変ってくるという確信を持っておるわけです。そういう場がないから、審議会に入るということについては今の懸念も生じ、また、審議会は、奧村次官が言われるように、決定をしてもそんなことは何の役にも立たないので、従来とも政府が一方的に施行してしまうということをするのだから、そういう権威を持っていない従来の運営の仕方に対して、不安を持ち懸念を持つのは当然のことです。今新しい共済組合法によって掛金がきまろうとするときに組合が要求しようとしているのは、従来のそういう不安を持たれ、また強引な形でやろうとしてきたことを改めて、自分たちのものとしての共済組合実施していこうということを考えているわけです。そういうことができないと、組合の側としては、そういう審議会に入っているということができなくなってくるのですよ。だから、そういう場を与えるために、政府の方なりあるいはそれぞれの当局側と組合の方が話し合いをする場を持てるような形にしてくれというのが、組合の要求だと思う。それは次官のところへたびたびそういうことを言っていると思う。そういう問題について政府は全然一顧だもしようとしていないわけです。その点をはっきりこの際組合の側の意向もいれて——別に組合の側も掛金をかけないとも何とも言っいてない。自分たちもかけるつもりでいる。しかしどうもこの計算の仕方やなんかについていろいろな疑義がある。そういう問題について、審議会に入る前にもっと研究しなければならぬ基礎的な問題があるから、その点の話し合いをしてくれと要求しているが、その点についての話し合いをする気持が全然政府にないのかどうか。その点をはっきり次官から聞きたい。
  30. 奧村又十郎

    奧村説明員 いわゆる国公共闘会議代表方々が、統一交渉と申しますか、そういう統一した話し合いをしたいということが来られたのであります。それでも、政府は、できるだけ話し合いをしたいということで、共闘会議とたびたび話をし、またこまかい点の話もしたのです。ただ、私どもの案ずるのは、そういう統一交渉、話し合いの場をきめてしまいまして、せっかく法律できまった各省ごとの運営審議会が宙に浮くということは、ほんとうに法律を順守する立場ではない、こういうことから、共闘会議話し合いをするが、運営審議会は並行し、あるいは優先して開いてほしいということで努力して参ったので、この共闘会議のときは、参議院の内閣委員長の永岡さんがおいでになっていろいろあっせんなさったのですが、今御質問なさっておられる皆さん方も、もしそういう直接の話し合いの場におられれば、政府としてそんなに一方的に強引に押しておるのじゃないということが御了解願えると思うのです。
  31. 石野久男

    石野委員 共闘会議であなた方に要求している統一の要求というのはたくさんあるけれども、これは非常にもっともなことを要求しているはずです。第一番には旧法による整理資源——これまでの掛金、国庫負担金、利潤を全部はき出せということを言っておるわけです。それには、先ほど給与課長が言われたようないろいろな意見があるけれども、少くとも最小限利子を繰り入れるくらいのことはせよということを言っているわけです。第二には、自衛官、刑務職員等、一般公務員以外の財源計算も明らかにせよと言っているわけです。その他たくさんありますが、とにかくこういうような問題は、審議会に入る場合の組合側の態度をなにするについては、非常に重要なことなんです。これがはっきりしないと、審議会に入って話をしても、十分な論議の展開もできないし、結局やはり当局側と組合側との対立とかなんとかいうことだけになってしまって、その会議運営というものは十分にいかないだろう。しかも、その会議に出た結論をどれだけ取り上げるかどうかということは、運審の結論を政府が取り上げるということになると、先ほど次官が言われたように、ほとんど無価値にひとしいわけです。そういう自分の立場も明確にできないような、材料も何もこしらえないで入るようになるという立場は、これは形式を満たすだけであって、実質的なほんとうの論議はできないのだから、そういう問題を明確にしてくれという要求をしておるわけです。これは決して無理な要求じゃないと思うのです。これは、奧村次官が、組合員の立場に立って、この四・四%の適用を受けるという立場に立てば、当然あなた自身が言うことだろうと思うのです。だから、そういうことをあなたが政府立場にだけ立って言うのではなくて、組合立場に立って考えると、この統一要求に無理があるのかどうかというあなたの見解を、この際はっきり聞かせていただきたい。
  32. 奧村又十郎

    奧村説明員 前段の御質問につきましては、これは、ただいま給与課長が御答弁申し上げましたように、法律に大体明確に規定してあります。従って、これは、そういう組合員との話し合いだけでどうするというわけのものではありません。また、第二段のお尋ねに対しまして、警察官の掛金率については千分の四十七、それから自衛隊の掛金率についても大体警察官と同様な程度を考えておりますが、これもいろんな機会に組合員の方々に知らしてあります。なおまた、運営審議会においてそういうことを十分御協議願うわけで、その説明にもし足らざるところがあれば、各省運営審議会に大蔵省から関係官が出張してでも御説明をするという説明をしておるのであります。
  33. 石野久男

    石野委員 恩給法から共済組合に形が変ったという意味は、いわゆるこういう社会保障制度の方向——きわめて民主的な方向に形を変えていこうという趣旨に基いていると思うのです。今度共済法の実施に当って、これを受ける側、あるいはまた掛金をかけてその給付を受ける側に立っておる労働者の側からしますと、これは当然自分たちの理解のいく、十分納得のいく線で話をまとめたいという気持を持っておるわけです。決して、これは、政府がやっているから反対するとかなんとかいう意味ではないのです。そういう建前から、やはりこの計算の基準というようなものについて、納得のいかないものがたくさんあるから、それを明確にしてもらった上で、そして政府の言うことがいいなら、それにしようということを考えたいということを言っておるわけです。しかし、それよりも、自分たちとしては、掛金率はもう少し安くても十分いけるという確信を持っている。その確信を持っている基礎というものは、やはり従来の恩給法によるところのそれぞれのなにがありますから、それらのものが横山君の言う持参金として持っていけるものになれば、掛金率計算する上での、自分たちに非常に有利な線になるという確信を持っている。そういう点について、運審の中であなた方が話をするとかなんとか言いますけれども、運審の審議経過なり従来の運営の経過を見ますと、これは、あなた自身も言っておるように、実を言うとあまり権威がなさ過ぎるのです。そういう権威のないところに何もわからないままで入っていって、あなた方にいいかげんなところにまとめられて、あなた方は組合の側が反対のために反対をしておるというPRを対外的にしておるが、そのあなた方のかまえておる中に落ち込むことがいやなんだ。だから、自分たちの立揚というものを明確にしておいた上で、その運審というものの中に入っていって、皆さんに協力しようという態度、これはちっとも無理なことはない。無理なことはないのに、なおかつあなた方は法の建前はどうだこうだと言うけれども、また定款変更も何もしてないものを、新法であなた方がはっきりきめているからというのでそれを強行するということは、きわめて非民主的なやり方なんです。そういうことをこの際やめてくれというわけです。私が先ほど尋ねたのは、いろいろなこまかい論議はともかくとして、当面するところの十月分の給与の中から、あなた方はそれだけ差し引いてしまうのでしょう。それをやられて、既成事実を作られていまう。そんなことをされたのでは、労働者の側の言い分としては非常に不利な立場になってくる。不利とか有利とかいう前に、自分たち自身のところに返ってくるのだから、自分たちもその恩恵を受けることはよくわかっておる。わかっておるけれども、今日の掛金率というものは実質的には自分たちの賃金の低下になってくる。今日の生活の問題も真剣に考えていく立場が労働者にあるわけです。そういう将来の問題と、今日の問題とのかね合いの中で、自分の社会保障的恩恵を受けるというかまえをしておるのが、今の国家公務員諸君言い分なのです。だから、そういうことを考えたら、あまりむちゃなことを言うべきじゃないと思うのです。だから、私は、理屈は抜きにして、この際としては、あなた方が今やろうとするところの問題、十月分なら十月分を差し引くというような問題については、これはもっと言い分のある人々との話し合いをした上でやってもおそくないと思う。これは遡及していろいろな取り上げ方もあるし、今日どうしても四・四%をとらなかったら運営ができないわけでも何でもないはずなんです。それどころか、むしろ計算が膨大だから云々と言われるところの、旧恩給法による積立金というものがたくさんあるわけです。それだけの利用でも、当分の間幾らでも運営ができるのであって、今ここで四・四%取らなければ運営ができないわけでも何でもない。むしろ問題を明朗に解決する上で掛金率実施ということをやるのがいい。それで、常識の建前からいえば、九月三十日現在で失効している旧法掛金率であるけれども、その掛金率をそれぞれ適用するという形で、問題が解決するまで暫定的にやっていくというのが、非常にわかりのいいやり方じゃないかということを言っておるわけです。それには非常な無理がありますか。これは一つ政府の明快な考え方を聞かしておいてもらいたい。
  34. 奧村又十郎

    奧村説明員 話し合いの途中で実はこういう話も出たのです。ここは大蔵委員会でありますから申し上げますが、どうも運営審議会運営に非常に不安を持っておるのです。本来は運営審議会で今お話しのような御意見、御議論を十分尽して掛金率をきめるということでありますから、そこで一つ運営審議会を開こうじゃないか。そのための不安はお互いの協力で取り除こうじゃないか。そこで、まず一つ手始めに大蔵省の国家公務員共済組合運営審議会を開こうじゃないか。そうすれば、私も大蔵大臣の代理として出席し、また給与課長その他関係者全部出て十分の御説明もし、また組合委員の御意見も十分聞いてやろうじゃないか。もし大蔵省の運営審議会において十分の議が尽されぬということであれば、これはほかの省もなかなかうまくいかぬだろうから、一つどうだ、お互いの話し合いでまず足元の大蔵省からうまくやろうじゃないか。ここまで実は呼びかけた。ところが、それでも委員は出ていただげない、こういうことでありますから、御了承願いたいと思います。
  35. 石野久男

    石野委員 御了承願いたいというようなことを、奧村次官は今当局側に立っておるから言われますが、あなたがこちらの方におって話をしておったときのことをよく考えながら一つ話をしてもらいたい。運審へ入る組合側代表というのは、無準備のままで運審へ入っていったのでは、審議が何もできない、だから、運審に入ろうとする場合には、あらかじめこの掛金率についても、相手方のいろいろな意見も——これは相手も何もない、労使の対立とかなんとかいうけれども、お互いのことなんだから、あなた方の持っておるところの計算の基礎をこちらに示してもらって、そして皆さんに協力できるような態勢を作っていきたいと言っておるわけです。だから計算の基礎になるべき諸般の資料は出してくれたらいいのです。それを出しさえすれば運審は幾らでもできるわけです。ところが、それを統一要求として出してくれと言っても、あなた方がその基礎も何も出さないから、とても、運審に入ったって、何を言っておるのだかちっともわからないことになる。そんなむちゃなやり方はありはしません。たとえば、統一要求の第二項に出している自衛官だとか刑務職員の、一般公務員以外の財源計算についての基礎をはっきりしてくれというような問題について、あなた方はそれを早く出してやったらどうですか。組合側でもそういうような準備ができれば運審が開けるだろう。その運審に入る前に当局と組合側話し合いをつけることがどうしても先決なんです。それができないのに、不満であるところの四・四%をここでやるということなんかは、ちょっと話が通らないと思う。それよりは、それをもしどうしてもやらなければならないなら、旧法による率で一応やっておいて、そして新たに運審を開いて定款変更が行われたときに遡及して取ったって、まだそんなに共済運営が行き詰まるとかなんとかいう問題じゃないと思う。むしろ共済組合員の諸君の今日と将来の問題を両方考えてくれなければいかぬと思う。あなた方は将来のことだけ言うけれども掛金をかければ、組合の側に立てば、今日の生活の問題に響いてくる問題なのです。実質的な賃金の引き下げに相当してくるのです。そういう問題も、あなた方もう少し親心を持ってやらなければいかぬと思う。そういう問題に対するあなた方の配慮が足りないから、こういう問題がごたついているのだと思う。これはやはり政府がその努力をしてくれるべきだと私は思います。その上でいろいろと論議をしてくれば幾らでもやれるわけなのです。それまではやはり旧法によるところの率でやっていったって、決して損にはならないと思うのです。その方が話がつきやすいのだから、そういうやり方をしてくれるのが今日の当面の問題の収拾策としては一番いいのじゃないか、こう思う。それについて、政府は、自分たちの立場にとらわれないで、一つこの問題をうまく解決するような方策として考えてもらいたい。これは賢明な次官に一つよく考えてもらわねばいかぬと思うのです。それはよろしいでしょうね。
  36. 奧村又十郎

    奧村説明員 運営審議会に入る前にいろいろな資料も要るし、事情も聞かなければいかぬ、こういう御意見でありますが、これは必要があれば給与課長から御答弁申し上げますが、十分説明をしております。また運営審議会も一回きりというわけのものでもありませんので、説明し、またわからぬところがあれば、運営審議会を何回も開いて十分議を経るということもあるわけであります。しかし、ただいまの全体の御趣旨としてはまことにごもっともでありますから、引き続いて政府はそのつもりで努力をいたす決心であります。
  37. 石野久男

    石野委員 私はほかの問題もたくさんありますけれども、当面の問題として、横山君からこの次の委員会で論議するという提案があります。私は、ここの段階では、やはり何といっても、そういう手だてをしてもらって、次官がそう言われたことは、それは同時的にその配慮をもってしていただけば、今月分の給料の中で差し引く分についても、そんな政府の一方的な、おれの方の考えは四・四%だから、何でもかでも四・四%を引くというようなことをしないで、その問題は従前のような率でまず引いておいて、そして新たにその論議がまとまって審議会定款変更が行われたときに、それによるところの率を徴収すればいいわけです。そのことをここではっきりしておいてもらえば、私はあとまだ災害の問題やら何かで緊急の問題がたくさんあることですから、ここでこの問題だけで時間をとるということは考えなければならぬと思っておりますので、その点だけ一つ明確な次官の答弁をお願いいたします。
  38. 奧村又十郎

    奧村説明員 これは先ほど申し上げた通りでありまして、四・四%で一応出していただいて、それからあとで、審議会の議によって掛金率が変れば、それは変ったように移行する……。
  39. 石野久男

    石野委員 奧村次官はそこに立って口を動かしてはいるけれども、ちょうど石の地蔵さんと話しているのと同じことだ。さっきはわかりましたと言ったけれども、結局意見を聞けば従前話をした通り、それでは何を言ったか、私の言ったことはわかりはしない。そんなむちゃなことはないのですよ。私の言ったことがわかって、ごもっともだったというのなら、私の言っておるのは、今月分の掛金は従前の率でやって、四・四%なんて言わないでやりなさい、こういうことを私は言ったのだ。それが、また元へ戻っちゃったならば、あなたが何か口を動かしたって、動かしたことになりはせぬ。そんなむちゃなことを言わないで、はっきり常識で解決したらいい。理屈じゃなしに、政府はあまり自分の言ったことにとらわれないで、これははっきりした方がいいので、そういうふうに次官は明確にここで言っておいてもらいたい。
  40. 奧村又十郎

    奧村説明員 御承知通り国家公務員共済組合法は、旧恩給法と比べればずっと給付率もいいし、非常に前進しておるわけであります。そこで、十月一日からの新発足に当っては、政府も万全を期してやって参りたいというわけです。そこで、掛金の率について組合員の方でいろいろ要望もありますが、しかし、御承知通り究極においては国が五五、組合員が四五という大原則は法律できまっておるんだから、従って、掛金の率を多少下げていけば、結局今度は給付の方と比べて掛金が足りない、赤字が出るということにも——そうすれば、今度は法律に基いて五年以内にまた掛金率を算定し直すということで、納めた金というのは結局ほかへ行かない。組合員の給付になるのです。従ってまた積み立てにもなるのだから、当初において多少出し過ぎになるかもしれぬが、また四、五年先にいけばなにする……。(発言する者あり)かりに出し過ぎになればというので、そんなに議論することもなかろうかと思います。
  41. 石野久男

    石野委員 今、次官が、多少出し過ぎになるかもしれぬが、こういうのだが、それがほんとうのところなんだ。あなたは、掛金率よりも、今度の新しいものは給付率がよくなるのだというけれども組合側計算によれば、掛金率が二・二倍になって、実際の給付はいろいろまちまちになってくるが、大体一・幾らくらいにしかならないというのだ。組合側からすればそういう計算が出ているのですよ。だから、そういうような問題は、決してあなたが言うように——それは、確かに一・三になれば前よりはよくなりますけれども掛金率が二・二倍になっていけば、その比率からいけば決してよくはならないのです。そういうような問題もあるのだから、むしろやはり基本的に理解のできるような基礎資料を出して、十分やるべきですよ。十月一日から実施するというのなら、なぜこういう案を九月の中旬になってから出してくるのです。もっと期間を置くべきです。解決する時間も何もなくて、すべておっかぶせていくというようなやり方は、決して民主的なやり方じゃない。そういうような意味から、奧村次官が先ほど何べんも言っているように、この問題を円満に解決したいと言っているんだから、円満に解決しようとするなら、何も政府の一方的な意見ばかり言わないで、組合との話し合をする場を作るように考えてもらいたい。そういうやり方でやってもらいたいと思う。だから、あなたが言われるように、それにもかかわらず四・四%でやるということじゃないのです。それは、組合政府との持ち分はこうだということになっても、組合員の掛金率の問題については、持参金だとかいろんな問題があるから、原資の取り方というものによってずいぶん違ってくるわけで、そういう問題をはっきりしたいというのがここの問題点なんです。その点をよく考慮して、少くとも、今月の給料からの差引としては、その四・四%の取り上げはしないようにしてもらいたい。従前のところでやってもらって、話は審議会定款変更の後にやってもらうということを、私は政府に特に強く要求しておきます。それに対する返事だけ……。
  42. 奧村又十郎

    奧村説明員 運営審議会運営につきましては、御趣旨の通り政府も今後とも善処するつもりであります。
  43. 植木庚子郎

    ○植木委員長 佐藤觀次郎君。
  44. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 実は、年末金融の問題について、かねて大蔵委員会で質問するはずでございましたが、御承知のように伊勢湾台風が突如起きまして、史上空前の大きな災害があったということは、これは、新聞をごらんになれば、大体わかるわけです。特に、今度の災害は、あとで同僚議員の春日君からも質問があると思いますが、非常にえらい災害でありまして、政府も、対策に非常に力を入れて、現在名古屋の方へ本部を置いてやっております。きょうは大臣が午後出席されることになっておりますから、その問題はそのときに譲りまして、とりあえず一番民衆と関係の深い国民金融公庫のことに関しまして、私から四、五点について質疑をしたいと思います。  そこで、きょうは総裁が来ておられないそうでありますが、災害は二十六日に起きましたから、大体十六、七日になっておりますけれども、災害の融資のことについてはどういうような処置がとられておるのか。これは、国民公庫の副総裁が来ておられますから、今までの十六日間におけるところの公庫の応急処置について、まず答弁をお願いします。
  45. 石渡忠四郎

    ○石渡説明員 伊勢湾台風の災害融資につきましては、従来の取引者に対しては元金支払いを猶予するということをまず第一にいたしました。それから、資金につきましては、大蔵省の方へいろいろ御相談申し上げておるのでありますが、とりあえず貸出相談の受付、それから借り入れ申し込みを受けて、貸し出しをいたすことに努力いたしまして、まだ日にちがあまりたっておりませんので、今までに貸しました金額は愛知県で七百七十八万円、それから三重県では二百十七万円程度でございます。今までのところは、申し込みの相談は愛知県で九億七千万円、それから借り入れの申し込みは四億五千万円でございます。それから、岐阜県では申し込みの相談が三億四千万円、借り入れの申し込みが一億円、それから、三重県では相談が四億円、借り入れの申し込みが一億六千万円、こういうことになっております。
  46. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 現にまだ愛知県の海部郡とか、あるいは三重県の方も水につかっておる。それから名古屋の一部が残っております。名古屋はだいぶ水が引いて、やっと復興の形が出ておりますが、非常にひどい災害で、現に私どもの方の五万人くらいがまだ水に浸っております。けれども、現実的には商売をやらなければなりませんが、実際、家はこわれ、災害地は非常に悲惨でありますから、ほとんど無一文だというような状態でありますので、どうしても今度は相当の資金を融通をしてもらわなければ、再起までの間の生活もできないくらい悲惨な状態であります。そこで、大体今までの国民公庫の利用率は、愛知県の場合は資金申し込みの大体五五%くらいまで要求に応じているようでありますけれども、それにしてもまだ郡部の方はなかなかそう思うようにいかない。そこで、今度の災害について莫大な資金量の申し込みがあると想像されますが、それに対して国民公庫側はどういうような考え方を持っておられるのか。大体災害地の情勢は、先ほど副総裁はまだ時日がたっていないからとおっしゃいますけれども、現在二週問以上経過しておりまして、中心地が名古屋であります関係上、情報なども非常にわかっておるはずだと思いますが、その点についてどんな処置をするように考えておられるのか、もう一度念を押したいと思います。
  47. 石渡忠四郎

    ○石渡説明員 お配りいたしてございます「第二・四半期中における普通貸付資金事情こというのをちょっとごらんいただきます。大体国民金融公庫といたしましては、年末の資金事情もかなり不足しておる。大体十一月の十九日に申し込んだ分は年内に処置できるけれども、その後の分は来年まで持ち越してもらうというのが、「一般資金不足額」の四十三億になっております。「災害による回収減少見込」の六億というのがその次になっております。それから、災害貸付のために年末資金の需要が幾らか減るのではないかという、その分が七億九千万円、結局、一般資金の不足額においては、これは全国的な問題でございますが、四十一億ほしい。それから、二の「災害貸付資金事情」というところにございますが、七号台風で七億の資金がほしい。十四号では五千九百万円ほしい。それから、お話の伊勢湾台風の問題では四十二億、この災害貸付資金事情は五十億ございますので、年末の一般の不足と合せますと、九十二億千八百万の資金がほしい。その伊勢湾台風の中でどういう内訳になっているかということは、このうしろの方に書いてございますが、こちらの「伊勢湾台風災害復旧融資状況」というのに載っております。この中でやはり一番おもなのは名古屋、熱田、豊橋の愛知県でございまして、私ども名古屋の支所で扱うのが十億、熱田の支所で扱うのが十六億、豊橋が二億五千万、それで二十八億七千万円を愛知県には使いたい、こういうふうに考えております。それでは、愛知県の中はどういうふうに考えているかということは、この「伊勢湾台風災害復旧融資見込額の明細」というのに書いてございますが、愛知県名古屋の支所管内が九万五千、熱田管内が五万二千、豊橋管内が三万四千、結局愛知県には中小企業の数が十八万ある。その中で六万六千が災害を受けた。それで私の方で取り扱うのは一万二千くらいではないだろうか、こういうふうなことになっているわけでございます。
  48. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 どうも東京のああいうビルディングにおられますと、そういうような簡単な計算がつくのでありますが、今度の災害はそんななまやさしいものではないので、おそらく、あなたが想像されているような、そんなわずかなものではないと思う。私たちの方も、これは現に選挙区になっておりますから、努めて今まで押えてきたのでございますが、もう押え切れないような状態にあるということは、いずれあとで春日君からも質問があると思いますが、何もない中小企業者がたくさんある。そこで、たよれるものは、おそらく国民公庫のような資金でないとなかなか簡単にいかない点がある。現に、今まで私たちも、自分の関係で、国民公庫の利用率がだんだんふえて、しかも調査率もよくなって、大体一カ月か一カ月半で自由に借りられるような状態になってきたことは、国民公庫の努力だと考えております。しかし、今度の場合は、あなた方が今机上で考えられるようなそんな簡単な災害でないので、相当資金量の需要があると考えます。努めて現地をごらんになって、今までの安易な計算でなくて、ほんとうにもっと真剣な立場で、零細業者、中小企業者のために一つはだを脱いでいただきたいと思うのです。それについて私一言申し上げたいと思いますのは、きょうも組合の方から話がありましたが、現に地方財源が非常に少い。資金量がふえても、従業員が非常に少いために、国民公庫の仕事が非常にはかどらないという事実もあります。こういう点についてどんなようにお考えになっておるのか。今まで資金量だけふえても、現にそれを扱う人間がふえないために、非常な過労になって苦労されておる。この夏も足立さんたちが北海道に行かれたときの調査のあれにも出ておりますが、非常に病人がふえたということも書いてありますように、私は国民公庫の諸君が非常な薄給で努力しておるということを認めますけれども、それについて、一体国民公庫はどういうような方法でこの資金の増加に比例して人員を増加しておるのか、その点を一つここで詳しく説明していただきたいと思います。
  49. 石渡忠四郎

    ○石渡説明員 お前たちはこっちにいて名古屋の事情を知らぬじゃないか。——まことにどうもおそれ入りますが、ここへ参っております私どもの松田理事は、先週一ぱい名古屋へ行って、名古屋のみならず、方々災害地を見て参りまして、国民金融公庫として分に合った限度は大体このくらいでないか。そして、二割や三割ふえることは、これは災害の実情がつかめない、まだこれから調べれば調べるほど損害が多くなるような事情でございますので、将来もっと資金が必要になるかもしれませんけれども、一応の見当というふうに御了承願いたい。  それから、私ども職員の人数でございまするが、まことに手不足で実は困っております。たとえて申しまするならば、昭和二十八年から三十三年の年度末、つまりことしの三月末日までをこの間調べてみたのでありますが、仕事の方は三割三分ふえている。人間の方は大体六割くらいしかふえておらぬ。一人当りの事務取扱量は非常にふえております。実はその点非常に困っておるわけでございます。現在の予算定員は二千五百九十一人で、現員は二千五百六十人、三十一人余裕がございまするが、その中で十六、七人は今採用中でございます。あとの十二、三人については年末から年度末にかけて採用の予定でございますが、それにいたしましても非常に手不足でございます。それで、年末融資と災害融資、大体百億の資金をこの際扱わしていただけまならば、百人くらい人をふやしていただくと大へん工合がいいと思っております。八十の支所がございますので、一つの支所に一人半とまではなかなか参りません。それから、来年度の分としては、いろいろ当局の方へ御要望申しております。五百人くらいふやしていただくと大へん工合がいいんじゃないか、こういうふうに考えております。
  50. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 大蔵省は一体どのように考えておられるか。石野さんにお伺いいたします。
  51. 石野信一

    石野説明員 ただいまの副総裁の御答弁は、全般についての国民金融公庫の人員の状況について、またそれについての御希望のお話だと思います。さしあたり問題はとにかく名古屋方面で、この方面への資金需要に対してどう対処するかという問題でございます。全般の問題は、予算の問題とも関連しまして私どもできるだけ努力はいたしますが、さしあたっての問題としては、やはり他の地域で苦しいながらもできるだけ応援するというようなことで、現地でできる限りそういう応急の仕事ができるように、すでにある程度国民金融公庫でも人を派遣して応援をしておられるようであります。そういうこともなおお願いするというふうにいたしたいと思います。
  52. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 国民金融公庫が発足しましてから十年近くなりますが、だんだん民衆の方に浸透しまして、三十万、四十万という零細な金が借りられるということで、中小企業者は非常に助かっておるわけです。私たちの意見では、あんな中小企業金融公庫のような大きなものはむしろ不要であって、やはり末端に組織を持っておる国民金融公庫がもっと利用さるべきだということを考えております関係上、こういう事件が起きると、一番たよりになって、一番簡単に借りられる国民金融公庫のあり方が、非常に民衆にありがたがられるということを痛切に感じておるわけです。  そういう点に関連しまして私たちがお願いしたいのは、今の資金量の増加に対しては、同時に人員がふえなければ仕事ができない。特に、名古屋市以外の郡部では、交通機関の関係上非常に手問をとる関係もありまして、市内よりは幾分か時期がおくれてくるような関係もあるわけです。特に今度のような災害がありますと、おそらくこれに対するいろんな調査その他のことについて非常に困難な事情が出てくると思うのです。そういう点に関連しまして、たまたまこういう大きな災害が出まして、先ほど次官からもいろいろお話がありましたけれども、現在の状態ではおそらく想像以上な資金量の要求があると想像されます。そういう点に関連して、大蔵省としても、国民金融公庫に対して、そういう人員の問題あるいは配置の問題などにつきましても、この際抜本的に考えていただきたい、こう考えるわけです。  副総裁にもう一つお願いしておきたいのは、現に現場を調査されたものもありますけれども、私たちの方は大部分が水についておるわけです。それでどういうふうになるかというと、食糧が今やっと配給されておる。そのほかには衣服とかその他娯楽機関のようなものが復旧されてくると思いますが、水が引けば商売をやらなければいかぬ。農業は農業の救済があるかもしれませんが、中小企業は資金面の救済がなければ仕事ができないわけであります。そういう点についてもう少し具体的に考えられる点はないのか。あるいは、現にこれから寒くなりますし、暮れにも近くなるということで、非常に中小企業者は不安を持っておるわけであります。そういう点についてもっと一歩踏み入れた考え方を持っておられるかどうか。今までのようなことで十分やっていけると思われるのかどうか。私は不安を持っておりますので、もう一歩突き進んだ考えをお伺いしたいと思う。
  53. 松田文蔵

    ○松田説明員 それでは、私から補足して現状について御説明させていただきます。私も、実は先週一ぱい、五日から十日まで現地に行って参りまして、仰せのような実情を身をもって見て参ったような次第であります。さしあたり、公庫としましては人員がほんとうに不足しておりますが、そういうことを言っておられませんので、本所の仕事を圧縮してでも現地に人を回す、こういう方針のもとに、名古屋に対して十五名、これは優秀な職員でございます。それから津に対しては五名、それから奈良が大へんなんでありますが、これについてはさしあたり大阪から一名、こういう応援隊を出すべく決定いたしまして、昨日身体検査も終了して、大体早いものは今週中、おそいものは来週には現地に到着するように手配いたしました。現地の受入態勢も、宿舎その他大体用意できておりますので、この十月の二十日前後からはそういう応援隊が現実に活動し得る態勢に移ると思います。  それから、現地の模様を申し上げますと、名古屋につきましては、市内についてはやはり市役所、区役所、それから商工会議所、公庫の代理所である金融機関、土地によりましては、その市街地の商店組合あるいは発展会とか、あるいは工業組合、そういう団体方面——特に私の方は零細なものでございますので、やはり区役所を中心にして、公庫の貸付の手続とか、あるいは資金事情その他を詳しく申し上げまして、そこで申し込みを受ける。また、私の方からも直接そこへ出かけて行って、申し込みの手続ばかりでなく、できればそこで同時に面接調査をやって極力早く手続を終えたい、かように考えております。それから、三重県につきましては、現に桑名の商工会議所、四日市の商工会議所にも先週の金曜日から係員をそれぞれ一名ずつ常駐させております。そして、商工会議所からも応援を求めまして、手続の説明と同時に、そこで面接調査も合せてやってしまう。こういうことで多数のお客さんを迅速に処理していく、かような考え方でおります。それから、大体申し込まれる見込人員、私の方は金額よりも人が問題だと思うのですが、なるべく多くの人にこの際利用していただきたい。そうすることが公庫の使命だと考えておるのでございます。ここの印刷で一応見込額を申し上げましたけれども、これは果してこういうことになるかどうか実際はわかりません。が、しかし、われわれの職場の経験から推して、これは最小限度この程度のものはぜひともわれわれのところでまかなわざるを得ないというのが、愛知県だけで一万二千人の数でございます。大体月にして、これからのスピードを考えてみますと、応援隊を合せて愛知県だけで調査員が三十五名くらいになると思うのでございます。一人の一カ月間の処理が、これはスピードを上げて大体百人、一カ月間で三千五百件くらいを処理する。こういうことになりますと、十一月と十二月だけでフルに働いて、大体七千件のものを処理できる。それから十月中には、二十日以降でございますので、大体千二、三百件、できれば愛知県だけで大体年内に一万人程度の人に貸付を行いたい。それであとの二千件程度は来年に持ち越ささるを得ない。また、来年になってくれば、今度はどういうふうにお客さんがふえてくるか、だんだん人ずてその他を通じてお客さんがふえてくると思うのでございますけれども、その辺の事情は、またそのときになって現状を大蔵当局に申し上げて、善処をお願いしたい。さしあたってはそういう見通しで今のところ発足したい、かように考えておるのでございます。  実は、愛知県ばかりではございませんで、岐阜県もございます。それから、ひどいところは奈良、京都、関東地方でも群馬県等はかなりの被害があるようでございますけれども、全般の資金事情から考えて、仰せのままをやるわけにいきませんので、結局圧縮に圧縮された最小限度の数字が、実はここに印刷でお願いしているような数字でございます。この金額を減らされると、公庫としてはとうてい責任を果せない、かようなことになるのではないかということを、実は非常に懸念いたしておるのでございます。くどいようでございますけれども、名古屋では、申込者について、大体罹災者に対しては二割程度しかお客さんは来ないであろう。これは非常に過小の見積りなんでございます。現実に申し上げますと、たとえば私が行っているときに出てきたのでございますけれども、比較的災害の小さい地区だったと思うのでございますが、西春日井郡という郡がございます。そこでは三百三十人くらいが罹災者、ところが申し込みは二百五十人現に申し込んでこられました。その割合は七割くらいになるのではないかと思います。しかし、全体でそういう数字を出して参りますれば、べらぼうな数字になって参りまして、財政当局からとうていそうした金額は出せないというふうに、私どもも一応はわかるものでございますので、最小限度二割、金額も名古屋では二十五万円平均、熱田では二十二万円——実際は、あすこの産業地帯を考えますと、三十万円くらいの平均で出したいのでございますけれども、そういう金額で割り振っていくと膨大な数字になります。あえて愛知県ばかりではございませんで、やはり全国的に考えなければいけない。しかし、また同時に、副総裁からも先ほどおっしゃっていただきましたが、第三・四半期の年末の非常なピークも控えておりますので、愛知県だけが問題でございませんので、最小限度に圧縮した数字がこういう数字でございます。また状況が変ってくれば、そこで一つ具体的な数字を持って大蔵省にお願いしたい、かように考えている次第でございます。
  54. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 松田理事からいろいろお話を聞きましたが、よそのところも問題でございますが、愛知県だけが特にひどいということは認めていただきたいと思うのです。そこで、石野銀行局長にお願いするのでございますが、金融公庫の方では最小限度の資金の需要だそうでございます。おそらくこれ以上になると思いますが、銀行局長はどういうような態度でやっていただけるか、一言お願いします。
  55. 石野信一

    石野説明員 今回の災害が、特に名古屋、愛知県の災害が非常にひどいことは私ども承知をいたしておりますし、重々御同情申し上げておるのでございますが、今の資金の問題でございます。これにつきましては、実は臨時国会がございまして、それに関連して補正予算の問題があります。そういうこととも関連いたしまして、財源の問題をどう割り振るかということもあり、まだ現在のところ金融公庫に幾ら割り振るか、そういう結論を出しておらないのですが、そういう意味でできる限り努力いたしたいと思っておりますけれども、数字につきましては今日のところまだ結論は出ておりません。御了承願いたいと思います。
  56. 植木庚子郎

    ○植木委員長 春日委員
  57. 春日一幸

    ○春日委員 ただいまの石野銀行局長の御答弁はまことに意外に存じておるわけであります。あなたは、この間災害地の視察に、わずかばかりではあるが片鱗を見せておられるが、罹災現地を実際見たなら、そんなとぼけたことを言っておる筋合いのものではないと思う。今も水の中につかり、屋根の裏に暮らしておる。衣類はことごとくぬれてしまって使いものにならない状態にある。こういうようなときに政府はいかなる手を打つべきか。これはいろいろと前例もあるのだが、この際、伊勢湾台風に匹敵するかと思われる大災害として、あの関東大震災をわれわれは想起しなければならぬと思う。当時、山本権兵衛内閣はどういうような手を打ったか。その当時、この災害を最もすみやかに救済をしなければならぬというので、実に戒厳令まで施行して、いろいろと記録をとってみれば、次々と緊急勅令を発布して緊急事態に対処したことは、あなた方も十分銘記されておる事柄であると思う。本日このような窮乏の中にあえいでおるところの大衆に対して、直接政府の政策と接触する国民金融公庫の資金源について、今なお何のめども立っていないということは何たることだ。そういうようなことは許されませんぞ。私は国民金融公庫についても申し述べたいのだが、なるほど松田理事が五日間にわたって現地を見られたということであるけれども、日ごろ尊敬する石渡副総裁にして、少くともこのような大災害が起きたときには、しかも資金の需要量が公庫の総取扱金額の実に五分の一、六分の一というような大量を占めるときには、総裁、副総裁は現地に行って陣頭指揮して、少くとも公庫の首脳部はこの際暫定的に名古屋に本部を移すくらいにしてこの事に当るにあらずんば、どうして適切な処理を行うことができますか。どうしてあなた方が国民から負託されておる大きな任務を果すことができますか。聞くところによると、本日まで総裁も副総裁も現地に行ったことがないという。何事ですか。  私はこの際奧村君にもお伺いしたいのだが、あなたの今までの言説を聞いておると、非常に人道主義的ななかなかいい男であるようだが、(笑声)本日までまだ行ったことがないようだ。少くとも大蔵大臣が外遊中であるならば、その責任を直接かわって副大臣であるあなたが負うべきである。かりに池田兼任大臣が行かれたとしても、これは通産大臣として別個の任務もあるのだから、少くとも佐藤大蔵大臣の不在中その責任をになうあなたとして行くならば、税制金融全般にわたる適切な方策をいかに講ずるか、これはあなたが当然いち早く現地に参って、つぶさに現地の被害状況をみずから把握することなくして、どうしてその迅速な処置ができるか。現に銀行局長の御答弁にあるがごとく、公庫の資金源そのものもなお考慮中ということである。被害の起きたのは先月の二十七日、もうかれこれすでに二週間、三週間になろうとしておるのだが、このようなときに何らまだ適切な手が打たれていない。人員の増強の問題だって、今十五人ふやしたとかなんとか言っておるけれども、私は、少くとも、関東大震災のときに、山本権兵衛内閣が、あのような戒厳令まてしいて、次々と緊急勅令を発布して、国の政治力の総力を結集してその復興のために当ったことを考えるならば、わずか十五人くらいなものを向うにやって、さてどうしたこうしたというような問題じゃないと思うのです。私は認識が足らぬと思う。本日からでもおそくはない。少くとも総裁、副総裁は現地に行って、そうして今なお水の中につかっておる諸君の実情をその目で見て、身をもってそれを感じて、それからもう少し施策を立ててもらいたいものと思う。なるほど、資金源としては、ここに二十何億というものが愛知県関係計上されておりますけれども、これも大体は推測的な数字の域を出てはいない。私がこの際申し上げたいことは、政府の余裕財源があるかないかといえば、これはあるといえばある、ないといえばない。やろうと思って財源の捻出に努力すれば、今政府関係の余裕財源で、資金運用部資金その他の関係で、これはかれこれ千数百億の余裕財源がある。税の増収も見込まれておる。ほんとうにやる気になっていただくならばやれると私は思う。政務次官として一体なぜ今まで現地へ行かなかったのか。それから、総裁、副総裁というものが東京におって、なるほど松田理事が行かれて、いろいろとその報告をされておるではあろうけれども、その職責の重きを十分考えるならば、そんなことであってはならぬと思う。やはりどぶの中を歩いて、みなに被害の状況を聞いて、それからわれらはいかになすべきであるかを考えなければならぬと思う。諸君の所見を問う。
  58. 奧村又十郎

    奧村説明員 今回の災害につきましては、まことに甚大なものがありまして、特に現地における被災者の方々の実情というものは、お話のごとく現地へ行かなければほんとうに身にしみてわからぬというふうに考えますので、ただいまのお説についてはまことにごもっともに存ずる次第であります。政府としても今後ともあらん限りの努力を尽さねばならぬと思いますので、この上とも御鞭撻を賜わりたいと存じます。ただ、しかし、また政府政府立場において極力やっておるということだけは、一つ御了承が願いたいと思うのであります。私、政務次官といたしまして、大蔵大臣のかわりになぜ即刻現地へおもむかぬのかということでありますが、通産大臣池田さんが通産、大蔵と兼ねておいでになりまして、御一緒に前田政務次官が参りました。私は、愛知県には伺えなかったのですが、ほかの被災地を回って参りましたが、しかし、何にしても事すべて財政金融予算にかかわることですので、大蔵省におってなすことの方がむしろ大切である、かように思って、また、大蔵省の中においても、主計局その他においてもうすでにかなり徹夜を続けてがんばっておる次第でありますが、なお足らざるところが多々おると思いますので、大いに御鞭撻を賜わることをお願い申し上げます。
  59. 春日一幸

    ○春日委員 公庫の御答弁がないけれども、私がこの際申し上げたいことは、今佐藤君の御質問の中にも述べられておりますけれども、わずか十五名くらいの者を増員することによって、少くとも最小限度に圧縮されて予想されておる一万二千件にわたるところの貸付は年度内にこれを消化することは、実際問題として当初計画からしてでき得ない。少くとも二千件以上のものが来年度にまたがる。西春日井の最も被害の少かった地区の申し込みの件数からそんたくするならば、一万二千件になるか四千件になるか知れたものではない。こういうときに、少くとも十五名くらいの増員をもって、これによってこれを解消しようと考えておること自体が、私は認識不足だと言っておる。そういう意味では、これは関東大震災のそれに匹敵する大災害という理解を持つならば、十五名や三十名の増員でそんなことができるものではない。この際政府自体も特別増員に対して応諾して、そうして必要にして十分なる態勢を整えてもらいたい。金融というものはタィミングが必要なことは申し上げるまでもないことです。今困っており、何とかして立ち上ろうとしておるときに、来年にならなければ金策にもかかれぬというようなことで、初め国民が期待しておる国民金融公庫の使命が果し得ると思うか。私はこの点について石野君と石渡君の十分な反省を求めたい。そういうことができるならばやってみなさい。水の中につかって、やがて迫りくる冬の寒気、その前に何とか対応策を講じてやらなければ使命果しがたいと思うならば、これは、百名でも百五十名でも、十分なる態勢をもってそのことに臨むことが、少くとも大蔵省、国民金融公庫、両者に課せられておる任務だと思う。責任だと思う。この点に対する理解はどうであるか。総裁、副総裁並びに石野銀行局長から所信をお伺いいたしたい。
  60. 石渡忠四郎

    ○石渡説明員 今のお話、十分肝に銘じまして最善の努力をいたします。一言弁解するようでございますが、われわれ金融機関の者としましては、何といってももとの金をきめていただかなければどうにもしようがない。実際幾らつけていただけるのか。大体今かりに伊勢湾台風災害貸し出しのために四十二億と申しますか、これはわれわれがただ考えただけで、認めていただいているわけでもございませんし、名古屋の方で二十八億といっても、金がないのです。いろいろ計画を立てていますが、おそくてこの点は申しわけないと思っております。
  61. 石野信一

    石野説明員 先ほど、金のめどがまだついておらぬじゃないか、非常にけしからぬというお話であります。その点につきまして補足的に御説明を申し上げた方がいいかと思うのでございますが、国民公庫につきましても第三・四半期のワクというものを一応きめておりまして、まだ第三・四半期も途中でございますので、さしあたりこの災害に金を回すというワクが全然ないというわけではありません。国民公庫の方で他のワクを先食いをしておいていただくということで、すでにある程度は災害用としての資金の送金も行われております。それでその全体の災害用のワクをどの程度つけるかという問題につきましては、先ほどそれの数字についてはまだきまっておらないということを申し上げたのでございますが、それじゃ全然考慮してないかというと、そういうことではもちろんございません。増額を考えておるわけでございます。そういう意味幾らという金額をまだきめておらないということでございます。
  62. 春日一幸

    ○春日委員 幾らという金額をきめなければ、あるいはこの程度までは出すからやれということを言わなければ、石渡君の方ではなかなか責任を持ってふん切りがつかない。これはもうお五いそのことはわかると思う。たしか昨年の法律改正であったか、財政投融資の総額は、予算によって決定された額の五割までは行政執行でふやすことができるように改正されておると思う。二十億や三十億のものは大蔵省の責任においてこれだけのワクをふやすことができるわけです。そんなもので補正予算だとかなんとかいって臨時国会の開会を待ったりする必要はない。実際にその被害というものがどの程度かという認識だけあれば、何とかせねばならぬというだけの理解さえあれば、二十億や二十億の金があなた方の方でできぬはずはない。大臣がいなければ池田さんもおるのだから、このときこそ金をやるからやるだけやれという号令がどうしてかけられないか。今審議中だから、いずれはやるが、とりあえず第三・四半期があるからやっておれ、あとはなくなったら補給するからということでは、国民金融公庫が現地において貸し出しをばっとダイナミックにやるわけにはいかぬ。これはすぐやりなさい。やる意思があるかどうか。責任ある答弁を政務次官からお伺いいたします。
  63. 奧村又十郎

    奧村説明員 御趣旨まことにごもっともです。しかし、決して議論申し上げるわけじゃありませんが、御承知通り、災害が見舞って、それから国民金融公庫の窓口へ現実に融資の申し込みがお越しになるというのは、よほど早くて災害後十日以上たってからが通例であります。そこで、今お話しのように国民金融公庫としても結局今計画を立てておる、そして大蔵省の方へ予算を要求してくる、こういうわけであります。また、大蔵省の方としても、なるほど財政投融資は相当予算のワクに縛られずに便宜の方法も講じられますけれども、しかし、その資金源というものはどこから出すか、また国民金融公庫だけでもありませんので、その他いろいろの総合調整からいたしまして、せっかく努力し、また相当大幅に増額するということはきまっておるが、額のところは申し上げられぬ、こう言っておるのでありますから、どうぞ御了承願いたい。
  64. 春日一幸

    ○春日委員 お互いに今そういう責任を回避するような答弁をしたり、また実際問題として私たちがあなた方をいやがらせるような質問をしたりする段階ではない。少くとも、災害地の諸君は、本日衆議院において大蔵委員会が開かれる、そこにおいて一歩前進の結論が得られるであろうと期待をしておる。私は、そういう意味において、一つ胸襟を開いて建設的に物事を取りまとめたいと思う。そういう意味において、今国民金融公庫が述べられておる通り、やりたいという気持はあるけれども、明確なる政府としての意思表示が行われていない。どういう工合にやったらいいのか。やらねばならぬと思っておるし、やり得るとは思うけれども、今具体的にふん切りがつかないというのが、国民金融公庫から述べておる実相なんです。少くとも、それにこたえて、政府は何らかの措置をとるべきですよ。ということは、われわれをもって言わしめれば、愛知県においてわずか二十何億、伊勢湾台風へ四十何億というものは過小に失するとは思うけれども、すでに国民金融公庫責任を持ってこれだけのものを臨時になにしたら、これを四十五億にふやすとかなんとかして、その要請に近いものを送り出してやるという態勢を作らなければ、国民金融公庫の方は十五人ふえて、ことし中に七千人ばかりやって、来年はやれるだけやるしかないということにならざるを得ない。これでは政治はあってなきがごとし。こういうときにこそ特にあなた方にお願いしたいことは、大臣がおられないならば、あげて奥村君や石野君がほんとうに真剣に立ち働いて、そうして必要にして最小限度のものを弁じていく、これだけのことをやってもらわなければ何にもならない、こう思う。諸君は職をむなしくするものである。この意味において、少くとも今明日中に、財政投融資の中に——法律も、必要があれば予算の限界を越えて、これこれのものは行政執行を越えて実施することができるという権限とワクを諸君に与えている。それを実施するのは今だ。やる意思があるかないか、あらためて御答弁を願います。
  65. 石野信一

    石野説明員 ただいま春日委員お話の御趣旨は非常によくわかっているのであります。できるだけ早くワクをきめるという考えでおるのでありますが、ただ補足的に説明させていただきたいのは、それがきまるまでは国民金融公庫が金を貸せないでふん切りがつかないということではないのでございまして、すでに第二・四半期のワクの範囲内でもある程度のものは考え得るわけであります。それと同時に増額についても政府が考慮するということでございますから、国民金融公庫として今さしあたって起っておる需要に対してこたえられないということではございませんので、その辺の事情につきましては、もし必要がございましたら、松田理事からお答えいたしたいと思います。
  66. 春日一幸

    ○春日委員 これは、だんだんと一つずつ処理して、やがて処理できるという問題ではない。同時にばっとそういう救済を必要としておる。だから、最も短期間にその救済の実の上るような態勢を、いかに政府国民金融公庫とが組むかということにある。そのために、今述べられたところの公庫の貸出構想は、十五人の増員をすることによって、かつは区役所やいろいろな協同組合の機関も活用することをも含めて、年内においての償還見込みというものはまずそのうちの何分の一でしかならない、こういうことでは適当ではないと思う。従って、政府国民金融公庫とが十分相談をされて、この際これをもっと短縮する。特に申し上げたいことは、十二月になればもう冬ですよ。十一月の終りからもう寒気が迫ってくる。そのためにはどうしてもその復旧の態勢を作って、商売も始めていかなければならぬ。そうだとすれば、この際百人でも二百人でも臨時に雇い入れて、あるいは他の金融機関からでも特別に徴用でもされて——あの関東大震災のときには、物資徴用令まで出して、そうして基本的人権の制限まで行なって、とにかく必要を弁じたことがある。従って、この際各金融機関から金融調査に関するベテランを、たとい十人でも二十人でも徴用して、名古屋、愛知県の災害地に持って行って、そうして金融公庫のアシスタントとしてこれを援用しつつこの効果を上げていく。その方法はいろいろあると思う。しゃくし定木に、大蔵省が予算がないからとか、どうとかこうとか、大蔵省が言わないから私たちはやるとかやれないとかいうことではいけない。平常は何とかやっていける。非常のときこそ、私は、少くとも石渡さんのような金融問題についてほんとうに生涯かけてのベテランの真価を発揮するときだと思う。私は、そういう意味において、何も予算措置を講じたり法律によらなくても、民間の金融機関、罹災地の金融機関からそういうものを求めるということも不可能ではないと思う。そういう方法をとって——政府には金がある。またそのルートにもいろいろある。たとえばインベントリー・ファイナンスの金を使って、それを一般会計に戻して放出する方法もあろう。あるいは簡保の伸びもある。郵便貯金の伸びもある。税収の伸びもある。だから、そういうことをやるという気になればすぐにやれることだから、これは一つやってもらいたい。今ここで御即答を得るのは困難であろうけれども、ぜひ一つ協議をしていただいて、有効適切な処理を即刻やっていただくことを強く要望いたします。  それから、この際私は特に政府にお願いしたいのだが、これは一つ、具体的なことになるのでありますが、この公庫の事業報告書によりますと、例の質屋さん、これは融資の対象にしてはならないというような建前になっておるようであります。しかるところ、この質屋の任務が非常に公共性を帯びておるし、その立場において先般も大蔵委員会において最高利子の制限等もして、その公共性はこの法律の裏づけと相待ってずいぶん高められてきておると思う。ところが、今回の伊勢湾台風によって、愛知県関係だけでも百二十軒ばかりの質屋が水浸しになった。これは御承知のように水害保険をかけておりませんから、これは全損になってくる。そうすると、これは零細な金融でありますから、品物を返さなければならぬ。しかし、返そうと思っても、品物が水浸しになっていて返せない。現金でも返せない。いろいろ困った情勢があると思う。私は、少くとも、災害救助法というような非常立法の前には、金融準則というようなものは二の次で処理されなければならぬと思う。そういう意味合いにおいて、少くとも国民金融公庫の融資の対象外に置かれておるこの災害救助法の適用地における質屋の罹災に対しては、この際国民金融公庫の融資が零細金融の資金源であるという理由にもかんがみて、これは当然特別措置をもって融資の対象の中に加えるべきであると思うが、この点について石野銀行局長の御見解はいかがでありますか。この点をお伺いいたします。
  67. 大月高

    ○大月説明員 ただいまの質屋に対する金融の点につきましては、従来国民金融公庫から貸し出すことについてはきわめて消極的でございます。この理由といたしましては、国民公庫の金が質屋さんへ出まして、それが高利に回るということは、国民公庫が低利の金を一般の方にお貸ししようという趣旨に合わない、こういうことでございます。しかし、今回の場合、質屋さん自体の災害がありまして、たとえば倉庫がこわれるとか、あるいはうちがこわれる、こういうようなものにつきましては、質屋さん自体の事情については今申し上げましたように違っておるわけでございますが、あるいはお貸ししてもいいんじゃないか。ただ運転資金に類するものになりますと、先はど申し上げましたような趣旨で適当でございませんので、設備資金に限って貸すというふうなことについて、今公庫と御相談中でございます。
  68. 春日一幸

    ○春日委員 大月君の答弁は、ずっとこれは歴史的にこういう工合で、何か要請に答えるかのごとくにしてそらしておる。沖縄の問題のときも、しばしば質疑応答を取りかわすたびに、色よい返事をしたけれども、中身はゼロだ。これが大月答弁の特色である。最もいけない点であるから、この点は将来大いに反省してもらわなければならぬ。私が特に申し上げたいのは、こういうことなんです。倉庫といったって、水が引いていけば、特に質屋は法律によって倉庫が鉄筋コンクリートであるために、被災がないから、それを融資対象にしてやるというけれども、実際実害がないから金を貸さぬでも済む。ところが、倉庫の中に入っているいろいろな衣類とか、いろいろなものがびたびたになってしまって、そうしてこれは貨幣価値を失ってしまう。これらは実際だれの責任であるかというと、これは結局保管者である質屋の損害になってくる。それだから、そういうものを融資してもらうというにあらざれば、あれを返してちょうだいといっても返せないから、金で返さざるを得ないが、その金がないということなんです。だから、あなたの方で、国民金融公庫から借りて、その金でもってその利ざやをという、こすいもうけをこの際しようという魂胆ではない。質屋の倉庫の中に入っておるところのそういう損害物件を何とかして補償しなければならぬのだが、補償する資金源がない。運転資金は自己資金によって便じ得るけれども、そういうものに使ってしまえば、あと商売ができない。全損のものに対して、この際一つ被災者という立場において一視同仁の取扱いを受けたいという、これが合理的であり妥当な主張であると思う。これはこたえてやるべき義務がある。法律の前には平等の原則を十分尊重してもらいたい。この被災者に対して、金融準則というようなものをあまり頭に置かないで、そうしてその実害を救済していくということに思いを置いて、問題の処理に当っていただきたい。この点について大月さんの心あたたかい御答弁をお願いしたい。
  69. 大月高

    ○大月説明員 どうも私の答弁が真実をついていないようでございましたので、注意いたします。ただいま申し上げました設備の点で、かりに被害がございませんでしたならば、これは国民金融公庫の対象にすべきでないと思います。それから、質ぐさの点でございますが、あるいはそれぞれの質屋さんによって違うと思いますけれども、保険がかけてあるのではないかと思うわけでありまして、動産保険によってその点はカバーされると思います。それから、もしカバーされておらない面がありますれば、それはやはり先ほど申し上げました運転資金でございますので、やはり一般金融機関によって調達していただいてやってやっていただく方が、金利の点からいって適当なのでございまして、やはり国民公庫の金というものは切実な人に低利で回るということの方がむしろ適当ではないか。不必要だというわけではございませんが、限られた財政資金のうちでどうするかということになりますと、やはり重点的に考える方がいいんじゃないかと考えるわけでございます。ただ、御要望でございますので、国民金融公庫とも御相談いたしたいと思います。
  70. 春日一幸

    ○春日委員 私が申し上げているのは、特に専門的な話になりますが、それが損害保険をかけて、損害保険の対象として実損が保険契約によってカバーされるものは、そういう方法によって運転資金に事欠くようなことはないと思う。ところが損害保険というものは大体火災保険です。ところが、今回の災害は純粋な水害でありますから、従って、損害保険の中に水災を含めていない契約の場合は、保険によってカバーできない。そうすると、結局その質ぐさの裏づけとなるものは金で返さなければならぬ。金で返せば自分の金がなくなってくる。そういうような運転資金をカバーするといったような意味合いではなく、損害を受けたその質ぐさ、それから被災者そのものの住居、あるいはいろいろなものがありますが、たとえばその質屋自体のたたみ、建具から衣類、そういうものがみんな損害を受けております。そういうようなものを含めて融資の対象となすべきものであると私は思う。あなた方は頑迷にその説を固執するというのではなくして、そのような質ぐさを含めて、このようなむざんな被害を受けたものに対しては、できるだけ法律は情をかけていくべきである、こういう立場において一つ御見解を述べていただきたいと思う。重ねてお願いいたします。
  71. 大月高

    ○大月説明員 重ねてのお話でございましたので、十分公庫とも相談いたしまして、検討していきたいと思います。
  72. 春日一幸

    ○春日委員 大月調査官から何とか小生の要請にこたえて善処するという御答弁がございました。ほんとうにこの罹災者の現地を見ると、私が申し上げたようなことに応諾せざるを得ない性質のものなんです。だから、私はその立場に立って言っているし、あなた方は新聞やラジオで見た程度で答弁しておるから、そこにずれがあってぴったりしない点があると思う。なおかつ業者関係も十分事情をしんしゃくされて、現地の被害の状態についてもさらに認識を深められて、こういう片手落ちになっておる不合理な面があるならば、これは一つ十分是正して、あまねくこの法律のフェーバーが現地の者に及ぶよう強く要請いたしまして、あと金融税制については午後大臣質問することにいたしまして、私の質問を終ります。
  73. 横山利秋

    横山委員 ちょっと今の質問に関連してお伺いをしたいのですが、先ほどのお話を聞きますと、十一、十二月で七千件くらいだというお話ですが、少し具体的に、今春日さんも言うように、皆さんの感覚と私どもの感覚とだいぶ違うようでございますから、一例をあげて御質問いたします。  私きのう、名古屋のまん中でございますが、南区の道徳学校というところに見舞に行きました。学校に約七百人くらい罹災者がおりました。そして学校の校庭はちょうど腰くらいまで水につかっている。もう水が腐ってしまいまして、もう悪臭ふんぷんとして鼻につきます。その学校へ行きますには、大体舟に乗って五町は行かなければなりません。学校の中へ行きましたら、うどん屋さんとビニール加工の人が、私に町内の代表だと言って会いに来ました。うどん屋さんの場合は借家であります。うどんの材料は全部流されてしまって、うちはまだ腰まで水浸しになっている。ビニール加工屋さんはハーモニカ長屋のようなところでございますが、やはり借家で、材料も全部流されてしまいましたが、水が完全に引くにはまだ一週間かかります。これは代表的な例でございますが、そこにいる人はみな小企業の人たちばかりでございます。そうして、こもごも言いますことは、これで一週間ぐらいたって水が引きますと、まず大家とかけ合いを始めにゃならぬ。そうしてかけ合いを始めて、うどんの茶わんから材料を集めて商売を始めにゃならぬ。大体どのくらい金がかかりますかと言いましたら、材料その他うどん屋開業だけでどうしても五十万はかかる、あなたの家は土地も家も借地借家ですね、そうです、こういうわけです。保証人はありますかと言いましたら、保証人は一人はあるけれども、これからうどん屋を開業していくについて、保証人が二人というのは、とてもじゃないが無理だ。これは一例でありまして、横山さんの話を聞いて、今晩一つ私われわれらいのクラスの人全部に話をしたいと思います。こういうことであります。これはおそらくきのうの晩教室におるたくさんの小規模の人たちに話をしておると思うのでありますけれども、全くもうどうしたらいいか、学校としても、水が引いたらば、できれば一つ、県が緊急応急住宅を建てるそうでありますから、そちらへかわってもらえぬだろうかという遠慮しいしいの希望があるようです。なぜかといえば、子供の授業をするのに差しつかえるからです。けれども、応急住宅へ行けばもううどん屋さんは廃業しなければなりません。ビニール加工もそこじゃできぬわけであります。ですから、新聞にはいろいろ手はあるように書いておるけれども、現実にそのうどん屋さんの立場に立つと、なかなか簡単にうどん屋の再開ということはできないわけであります。私は、とにかく国民金融公庫の熱田の支所に行きなさい、担保が何もないというのですから、市の信用保証協会にも行って相談をしてみなさいと言って、いろいろこまかく話をしましたけれども、さてそれじゃ自分がうどん屋さんの立場に立ったとすると、まずそこへ行くとする。私はあの熱田支所はよく知っておりますが、あそこに職員が何人いるかというと、罹災の一番中心地帯の熱田支所は開業したばかりでありますから、まだなかなか板についておりません。そこで、全部で十五人でありますから、まあ十五人ぐらいおいでになるでありましょうが、そこへ殺到していくわけであります。今理事お話のように、いやそういうところにも行って説明をいたしますよとおっしゃるが、あそこへ行くのは半日がかりである。朝舟に乗って行って、そこで説明をする。説明をしてさあいろいろ親切に話をしていたら、また半日はかかります。そういうことを毎日やるためには、まあ熱田支所の管内で行かなければならぬところは四十や五十はあるわけです。そういう計算をしていきますと、じゃうどん屋さんの番が回ってきて、そこで申込書類を書いて、初めてだからわからぬからいろいろ聞いて、それから信用保証協会の保証をかりに取っていって出して、現実に金がもらえるのは平均二十五万だというんですが、そのうどん屋さんに例をとったら、おそらく平均まで貸してあげられないのじゃないかと私は思うのです。二十万ぐらいしか貸してあげられないのじゃないか。そうして、二十万が実際にうどん屋さんの手に入るのは年末だと私は思う。年末に二十万入ったところで、うどん屋さんはうどん屋を開業できません。せいぜい大家とかけ合って、大家は直してくれぬから、自分のところで何とかベニヤ板を張りめぐらして、そして茶わんを注文したところで年を迎えなければならぬのではないか、こう思うわけです。あなたの話はえらく計算じみて、十五人がやってきて年内七千件とおっしゃるけれども、それじゃ、七千人目の人は、これから十二月の年を越して、それまで一体どうしたらいいのでありましょうか。具体的に春日さんのおっしゃるように順番にそろばんではじいてはだめなんです。できれば七千人なり一万人の人に全部今の申込書が渡って、あしたにでも一万人の話を聞いてあげるために、全国の支所から人を配置して、百人ぐらいが一せいかかっていかなければ、これはだめなんです。それをやって全国の人が困るか。十五日、一カ月罹災者のために貸してやってほしい、待ってやってほしいと言って、全国の人たちがそれはいかぬといってがんばるでありましょうか。私は、どうも、その辺について、やはりさっきからあなたと私たちとの間に感覚が違うような気がする。石野さんは、金は使いなさい、いいですよ、あとはめんどうは見ます、こうおっしゃる。これは、この間岸さんや大野さんがやってきて、金は幾らでも出す、金のことは心配するなと言いました。あれは非常に大きな影響を与えました。いい感じを与えた。けれども、これは政治の最高の責任者ですよ。石野さんは、お気の毒ですけれども、そういう立場の人ではないわけだ。あなたは、銭勘定して、きちんとこっちのものをあっちにする立場の人で、政治家ではありません。そのあなたのなすべき最初の役割は、よし、それじゃ石渡さん三十万は渡しますということを言わなければならぬ段階じゃありませんか。あなたも、岸さんと同じように、金はどんどん使え、幾らでも出すというふうにほんとうに言えたら、私はあなたの言うことを信用しますけれども、そうじゃないのです。ですから肝心かなめのあなたがそういう立場にちっともおらないで、まあまあ銭のことはあとで何とかなるでしょうからでは、先頭に立つ石渡さんや、一番前線に立つ職員諸君は、幾らくるかわかりませんから、二十五万平均ということではあとの人が困るかもしらぬから、二十万貸すところは十五万に落ちつける気持になるという心理があなたにはわからぬのですか。二十五万平均だけれども、気の毒だから三十万貸してもいい、あとは何とかなるから、三十万でいこうという腹はきまらぬじゃないですか。あるいは、今の質屋さんにしても米屋さんにしても、ここが解釈の相違で、ちょっと範囲を広げれば貸せるというふうな判断がつくときでも、金がないかもしらぬから、ここはまあ貸さずにおこうという気持が前線部隊に起るということをあなたは考えませんか。十五日も二十日もたった今日、あなたたちが幾ら出せるか判断がつかぬということでは困ると思う。私は、この間も何度もあなたにお電話をして、きょう十三日の大蔵委員会では政府のワクをはっきりしておいて下さいよとあれほど言っておいたのに、今もって同じ答弁というのでは、どういうつもりで仕事をなさっておるのか私にはわかりません。ほんとうにビニール加工やうどん屋さんの立場にすれば、それでは一刻も早く、二十万でも三十万でもという気持にはなりますけれども、「一刻も早く」も、今の御説明では年を越すかもしれぬというのが現実の問題ではありませんか。だからあなた方は現地の感覚と違うのです。私どもであってすら、あの罹災の直後に現地を回って、やあ大へんでございますね、と言って行こうものなら、ずらずら来ずに金を持って来い、そういう雰囲気ですよ。そういう雰囲気の中で、私たちも、泥まみれになって、名古屋から電話をかけたり、東京へちょっと来て、一つ金を頼みますと言ってすぐ名古屋に帰ったり、そういう雰囲気の中でやってきているのです。にもかかわらず、先ほどからの答弁は、ほんとうに私は勘定的と言わざるを得ない。なぜ今もってワクがきまらないか。あなたはさっきから説得力のある話をちっともしておりません。マイクを通じてうどん屋さんやビニール屋さんに語るような気持で、一つ銭はこういうふうになるのだからという話の仕方をなさったらどうですか。この辺の気持がちっともあなた方には出ていないような気がいたします。抽象的ではありますけれども、もう一度先ほどからの話の続きをお聞きしたい。
  74. 奧村又十郎

    奧村説明員 私からちょっと御答弁申し上げます。先ほどの佐藤、春日両委員とともに、横山委員のただいまの御意見は、現実に被災地を回られての体験からして、まことに適切な御意見として、国民金融公庫、また銀行局長も、関係者一同拝聴しておった次第であります。そこで、あの罹災後直接大蔵省にもお越しになって今のようなお話も承わりました。私どもももっとしっかりやらなければいかぬというふうに身にしみて感じます。国民金融公庫におかれても、どうも私が聞いておりましても、今の人員の配置転換ぐらいじゃ、これはとても急場に十分に合わぬのじゃないか。この際公庫としての使命を現実に果さなければいかぬのじゃないか。なお十分一つ案を練り直して、御趣旨に沿うようにするように、私からも公庫の方へ申し入れたい。また、額につきましても今ここではっきり申し上げられないことは遺憾でありますが、御趣旨に沿いまして、できるだけ早く当委員会にまた御報告を申し上げるようにいたしたいと思っております。
  75. 横山利秋

    横山委員 これ以上は言いませんが、あわせて銀行局長にこの際お伺いをいたしておきたいのです。今国民金融公庫の問題が中心になっておりますけれども、同時に、中小企業金融公庫の方面についても同じような問題がございます。もちろん商工中金も同様でありますが、中小企業金融公庫についてはどういうふうな現状でございますか。先般承わるところによりますと、中小企業金融公庫は約八十億くらいの要求をいたしておるそうでありまして、新聞に伝うるところによれば、六分五厘の特別利子のものが百五十万円まではいいの、さて現実に中小企業が名古屋支店なりその他の代理店のところに行きますと、全然まだ話が来ておりませんのでというふうに、新聞情報だけ先行して、実際の政府の手というものはそれから半月もおくれて今なおきまらないような状況でございます。中小企業金融公庫に関する報告を求めます。
  76. 石野信一

    石野説明員 中小企業金融公庫につきましては、最初出て参りました五十億の要求がだんだんに追加になってふえて参りまして、現在公庫から百二億という要求が出ております。それから、商工中金につきましても、災害関係五十九億の要求が出ております。これにつきましても、ただいまこれにどれだけの金額をつけるかということが即答できませんのは遺憾でございますが、政務次官から御答弁がごさいましたように、できるだけ早く決定いたしたいと存ずる次第であります。  六分五厘を適用します限度の問題でございますが、これは、従来の災害につきましても、三十万円までにつきまして一定の場合に六分五厘を適用するということでやっておるのでございますが、これにつきましてもさらにこれを増額しろという要望がございまして、それにつきましても、本日ここで結論を申し上げられないことは遺憾でございますが、さっきのワクと一緒にできるだけ早く結論を出したいと考えております。
  77. 横山利秋

    横山委員 それでは、どうも同じような問題に発展をいたしますが、根本的な問題でございますから、昼から大臣が出て参りましてから、また同僚諸君と一緒に質問をすることにいたしたいと思います。
  78. 植木庚子郎

    ○植木委員長 午後一時四十分再開の予定をもって、暫時休憩いたします。     午後一時四分休憩      ————◇—————     午後二時九分開議
  79. 植木庚子郎

    ○植木委員長 休憩前に引き続きまして会議を開きます。  質疑を続行いたします。佐藤觀次郎君。
  80. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 村上建設大臣がおられませんから、大沢政務次官に質疑をいたします。  大沢政務次官は、愛知県や名古屋においでになっておられますか。
  81. 大沢雄一

    ○大沢説明員 私は、災害直後二十八日から、滋賀県、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県の五県に参りました。建設大臣が愛知県、三重県、岐阜県、それから福井、石川に参る予定でございましたが、福井、石川には参れませんでした。そういう関係で私はまだ参っておりませんが、柴田事務次官も昨日帰りましたので、近日中に私も参りたい、かように考えております。
  82. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 大臣から何か報告を受けておられますか。
  83. 大沢雄一

    ○大沢説明員 いろいろ災害の激甚な状況、その他建設省としてのこれに対する応急対策、その他いろいろの点につきましてお話を承わっております。
  84. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 大沢さんは埼玉県知事もやっておられた方でありますから、そういう具体的なことをいろいろ御存じだろうと思いますが、実は村上建設大臣に名古屋市で会いまして、現地を二日間ごらんになっておりますが、私たちが非常に心配いたしておりますのは、今なお名古屋市、私どもの津島市、それから八カ町村その他長島等に、まだ水につかっておる人が二十万以上もおるのじゃないかと思うのです。最初は、二週間くらいで何とかなる、一番おそいのでも四十五日間くらいには仮堤ができて水が何とか出る、こういう発表がございましたので、罹災民もどうにかそういうようなことを信じて、まだ今なおおるわけでございますけれども、なかなか具体的には進捗しない関係上、非常に心配して、実は大蔵委員会へ行って建設大臣の話を聞いてまた報告するということで、私が出てきたわけですが、大沢次官のところの報告では、今どういうことになっているのですか、簡単でけっこうでございますが、大体の状況一つお知らせ願いたいと思います。
  85. 大沢雄一

    ○大沢説明員 今お話しの通り、災害発生後もう半月を過ぎました今日におきまして、今非常にたくさんの住民が悲惨な水中生活を余儀なくされておりますことは、何とも御同情にたえない次第でございます。建設省といたしまして鋭意応急の努力をいたしておるわけでございますが、庄内川筋及び東京寄りの海岸、名古屋市に最も関係の深い部分につきましては、締め切りが完了いたしまして、十三日を目標に排水を完了するということで努力をいたしておると承知をいたしております。その他の地区につきましては、何といたしましても交通の回復がまず第一でございますので、旧東海道の交通を回復いたしまして、これを第一の重点として、今お話のございました津島市地方が最も深く水中に没しておる悲惨な状態でございますので、その締め切り、排水という二つの点に最も重点を置きまして、努力をいたしておるようなわけでございます。いろいろと悪条件が重なっておりますので、何とか一刻も早くと努力をいたしておるのでございますが、私の承知しておりますところでは、最終的には十一月中になることを余儀なくされておることをまことに遺憾に存じて、何とかもっと早くできないものかということを、建設省といたしましては日夜検討いたしておる次第であります。
  86. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 十一月中という話はいろいろ聞いておりますが、それでもなお不安な点があるわけで、実は、私の方の津島市とあの付近の町村から、今二万五千人くらい避難をして、名古屋市を初め各地の高い方の避難所に行っておるわけであります。そこへ私は三日間にわたって参りますと、まあ慰問袋もけっこうだけれども、いつ家へ帰してもらえるのだ、これをどんな人でも聞くわけです。私たちも、いろいろ聞かれましても、その期日がわからない。そこで、中央では何か情報があるのではないかということで、きょう上京してきたのですが、私たちも水につかっておりました関係上、いろいろ困難な事情も知っております。しかし、これはいろいろ自衛隊の努力、あるいはまた消防団、あるいは現地のいろいろな努力で、幾分かはよくなっておりますけれども、果して今水中に没している家がいつ浮き上れるかということになりますと、私たちも必ずしも楽観できない情勢であります。しかしながら、だんだん御承知のように寒くもなるし、それから、ある地区では水が引いたけれども、隣の地区では水が引かぬということで、人心の不安が非常にあるわけです。こういう点について村上建設大臣に聞きたいのですけれども、あなたは県知事の経験もありますし、私たちが安心して選挙区へ帰って、建設次宮からこういう意見があったから安心しろと言えるような、何か根拠のあることを申していただかないと、私たちも帰れないわけです。そこで、あなたにお願いするのでございますが、一体、旧東海道の締め切りと申しましても、なかなか困難な事情がございまして、私たちが名古屋の郷里の蟹江へ行くまでには、すでに富田町、南陽町というふうな大きな地区に水があって、なかなか帰れないという現状でございます。それから、津島市というところは四万くらいの人口でありますけれども、ここは毛織物の盛んなところでありまして、かつて水が入ったことがない。大体海から十二キロくらいあるところでありますが、それへ二十八日から突如水が入りまして、現在ほんの一部を除いて全部の工場に入っているわけです。それだから、六千くらいの紡織機のうち、四千五百台は水につかって仕事ができないという状態になっているわけであります。もちろん農家や中小企業者の困難もさるごとながら、これも見るに忍びない。最初は入らなかったのが途中でどんどん水が入ってきたということで、油断もありましたけれども、非常に難航をきわめておって、現に今のところは冬物の一番大事な時期で、昨年は不景気でありましたけれども、ことしはどうにかやれるというので、九月ごろから企業整備も解けて、そうして仕事を始めたところへ、突如この水が入ってきたわけです。こういう点で人的にも物的にも莫大な損害がありまして、私らへも毎日のように電話がかかる。むずかしいことは申しませんけれども、建設省にお願いできるのは、こういう水の引き方をどういう方法でやってもらえるのか。私たちの蟹江町でございますけれども、そこは被害が少なかった。しかし町民の努力で、自前でどうにか仮堤を作りまして、きのうようやく水が引きました。しかし、あとの海部郡のところは、水が引かないので非常に困っておるわけでございます。おそらく、三重県の長島町も、あるいは木曽岬付近も、同様に水につかっておると思いますが、これはあとで同僚議員から質問がありますけれども、名古屋市でもまだ水につかっておるところがあるわけであります。どうしても水が引かなければ方伝の立ちようがありません。実際のところは、人間のやることでありますから、何月何日に締め切りが終ると言うことはできませんけれども、こういうめどがあるというようなことがございましたならば、あなた方は現地の名古屋の災害対策本部からもいろいろの情報があると思いますので、もう少し具体的に聞かせていただきたいと思うわけでございます。
  87. 大沢雄一

    ○大沢説明員 今私申し上げましたように、建設省といたしましては、鋭意一日も早く仮締め切りを完了して排水をしたいということに腐心をいたしておるところでございまして、具体的にどこの地区は幾日ということを申し上げるまでに至っておりませんことを、まことに遺憾に思う次第であります。
  88. 植木庚子郎

    ○植木委員長 それでは、ちょっと質疑予定者にお諮りいたしますが、池田大蔵大臣臨時代理は三時ごろから万やむを得ない所用がおありのようですから、なるべくその間にお繰り合せて御質問願います。  佐藤觀次郎君。
  89. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 池田大蔵大臣質問しますが、先日はわざわざ愛知県においで下さいまして、今度の災害のことについていろいろ見聞されたと思うのです。まあ大蔵大臣といっても、佐藤大蔵大臣は三日くらいたつと帰ってこられる。しかし、途中で飛行機が落ちれば、あなたが大蔵大臣だから、大蔵大臣になったつもりでいろいろえと御答弁願いたい。  非常に災害が大きいので、おそらくいろいろお考えになったと思いますが、一つこの際抜本的に、今度の災害に対しまして大臣からいろいろとお世話になると思いますけれども、特に私たちがお願いしたいのは、同僚の春日委員が言いましたように、今度は関東の大震災に匹敵するような非常に大きな水害でございますので、この際は、一つ大蔵省が、今までのような申しわけ的な予算じゃなくて、ほんとうに地方の救済のために努力していただきたいと考えます。池田さんは通産大臣も兼任されておりますので、いろいろと企業のことについても十分検討されておられるでしょうし、同時に、この間総理大臣と一緒に名古屋地方にも来られましたので、大体御承知だと思うのでございますが、一体今度の災害についてどういうような御感想であったか、まずそのことからお伺いしたいと思います。
  90. 池田勇人

    池田国務大臣 先般名古屋の災害地お見舞いかたがた視察に参りましたが、何分にもああいうふうな現状でございまして、実地についてつぶさに検討する余裕がございませんでした。従いまして、一応落ちつきましたら、通産大臣としていかなる措置をとるかについて、現地で実情を把握して、それから対策を立てたいと思います。しかし、現地を視察するまでもなく、復旧に関しましての応急の措置は、通産大臣として、また大蔵大臣臨時代理としてとっている次第でございます。他の今までの災害とは違いまして——今のお話に東京大震災というお話がございましたが、私はそれと今比較してどうこうということは考えておりません。ただ昭和九年の大阪並びに近畿地方におきまするあの風水害、これはやはり市街地に相当水がついたのでございますが、これは非常に早く引きましたから、復旧その他につきましても相当手が打てた。しかし、今度のそれは、よほどそれとは趣きを異にいたしまして、長期にわたっておりますし、またその他の被害も相当大きいのでありまして、私は、今お話しの抜本的という言葉が当てはまるかどうかわかりませんが、被害者の方々に対しまして、国としてできるだけの御援助、御協力を申し上げたいという覚悟でおります。
  91. 植木庚子郎

    ○植木委員長 春日一幸君。
  92. 春日一幸

    ○春日委員 ただいまの大臣の御答弁によりますと、関東大震災のそれと比較しては考えておらぬというお言葉であります。こうして、室戸台風のそれと比べるとやや大きいように思う、こういう御答弁でございますけれども、しかし、ただいま大臣の御答弁の中にもありました通り、現実には、とにかくすでに被災をいたしまして、かれこれ二十日間の長きにわたって水が引かない。何十万という諸君が屋根裏で生活をいたしておる。工場はつぶれてしまって一切の生産はストップしており、商業活動はできない。こういう状態はやはり関東大震災の災害のそれと同じような大災害という認識を政府は持って事に当ってもらいたい。私どもの要望はそれなんです。大臣がそれを客観的にごらんになれば、あるいはそういうように低目にものを判断するということもあるかもしれませんけれども、しかし、現地被害者の立場に立ってみますと、なかなかそんなものではございません。実は先般、われわれ一緒にトラックに乗りまして、同志諸君と現地を見舞ってみますと、君たちが見にきたってだめなんだ、現実に水はちっとも引きはしない、ばかやろうというような罵言を浴びせられてきている。ということは、被害者にしてみれば、とにかく国も県も市も何をやっているのだ、水はちっとも引かないし、復興資金に対することとか、復興に対する施策というものは、なかなか現実に効果を表わしてはこない、腹が立ってたまらないというのがその実情なんですね。そうして実際困り切っているのです。でありますから、私が大臣に申し上げたいことは、なるほど客観的に御判断を願って適切妥当な施策をお立て願うということに結局はなるでしょうけれども、しかし、その被害というものは、実に有史未曽有と新聞も報道いたしておりますけれども——われわれが見聞をいたした限りにおいては全くとんでもない、全く筆舌に尽しがたい被害なんです。だから、そういうような御理解の上に立って、問題の処理に当っていただきたいと思うのです。  そこで、時間の制約がございますから、まず具体的な問題に入りますが、一体、何というても、今回の被害は、公共建造物の被害も厖大でありましょうけれども、民間の被害というものが非常に厖大な額に上っております。従いまして、これに対しては、やはり立ち上りのためには復興資金の金融上の施策ということが適切に考慮せられなければならぬ。そこで、とりあえず、政策金融機関として国民金融公庫、商工中金、中小企業金融公庫、この三公庫に対する復興資金源の総ワクを一体大臣はどの程度予定されているのであるか、大臣の構想はどの見解においてまとまりつつあるのであるか、これをお答えいただきたい。
  93. 池田勇人

    池田国務大臣 災害復旧、ことに商工業者に対しての復興資金のワクというお話でございますが、私は、あの災害がありました直後、名古屋よりの報告によりまして、一応百億くらいは三金融機関を通じて用意しなければならぬだろうと答えておきました。名古屋に参りまして実情を聞きますと、大体われわれもそのくらいの考えでおったということを、一、二の民間の人から聞いたのでございます。しかし、その当時の状態と、調査が進みますにつれての状態はまた変って参ります。私が今ここで何ぼ何ぼと申し上げるよりも、こういう大災害のときは、できるだけ国が金をたくさん出して、一日も早くいい復興が見られるように考えている次第でございます。従って、百億をどれだげふやすかということにつきまして今お答え申し上げるよりも、大蔵大臣がもう二、三日うちに帰るのでございますから、それを待った方が適当ではないかと思います。
  94. 春日一幸

    ○春日委員 この問題は大蔵大臣、通産大臣共管の問題であろうと思いますので、もとより大蔵大臣のお帰りを待って政府のお考えが決定されることでありましょうけれども、しかし、大蔵委員会としては、本日の機会をおいてしばらくはございません。従いまして、通産大臣責任において一つ御善処を願いたいと思うのであります。と申しますのは、先般大臣が公式に発表された百億円というものが、いつしか何となく政府の総ワクの限界を示すような形で扱われておりまして、これは大へん現地の復興資金の供与に大きな障害を来たしていると思うのであります。御承知通り、中小企業金融公庫においては、すでに申し入れておりますのが百億をこえておりますし、本日午前中の大蔵委員会の審議において明らかになりましたことは、国民金融公庫だけで四十何億、商工中金は他に五十何億という要請があるようでございます。それらの金融機関が、自主的な判断で、できるだけ遠慮しつつ要請いたしております資金需要額は、三公庫だけをもってしても優に二百億を上回っておるのでございます。でありますから、通産大臣が先般述べられました百億の倍の額をそれぞれの責任者が要請をいたしておるのでございますから、どうか一つ必要にして十分なる額を用意していただくのでなければ、救済のために働くことはできません。下回って参りますと、末端においても下目々々という形になって、しょせんは中途半端な救済にしかなりません。どうか、あの地帯はわが国における代表的な中小企業生産地帯であることを考えまして、この際は民間が水増しで要求しているのではなくして、責任ある公庫のオーソリテイがそれだけの要求をいたしております限りにおいては、その必要額を満たすだけの考えにおいて御善処を願いたいと思うのでございますが、この点はいかがでございますか。
  95. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほどお答えした中にもありますごとく、百億円で必要にして十分とは考えておりません。従いまして、実情を調査いたしまして、できるだけりっぱな復興ができるよう努力いたしますが、金額は何ぼ何ぼと申し上げることはただいまのところできません。大蔵大臣がお帰りになりましたら、三公庫の事情を聞きますと同時に、自分の調査によって大蔵省とお話し合いをいたしたいと思います。
  96. 春日一幸

    ○春日委員 ぜひともそういう方向で御努力を願いたいものと存ずるのであります。  次いで、私はお願いやらお伺いをいたしたいのでありますが、われわれは、この災害が異常に深刻かつ広範にわたっておるという意味で、これは関東大震災に匹敵するような大惨害である、従って、政府の心がまえは、こいねがわくはそのような御認識の上に立って一つ善処していただきたいというのが、われわれの偽わらさる心境でございます。そこで、関東大震災の当時、政府は一体どのような施策を講じたかという問題になりますと、まず第一番にその当時は戒厳令を施行した。同時に臨時震災救護事務局官制なるものを施行して、必要なる施策をそこで集中的に行なった。それから、支払延期令というものを施行することによって、当該地帯における業者たちの商業活動、経済活動に対して当面の応急策を講じ、さらにまた日本銀行に対して手形割引損失補償令を施行することによって、災害手形という特例を設けることによって金融の道を開いた、また、各種金融機関に対して政府財政余裕金等を預託することによって、復興資金の供給を行なった。その他いろいろありましょうけれども金融上の復興対策としては、とにもかくにも必要なものは間髪を入れず行われておると思うのであります。従いまして、私どもは、もとより大小の差はありましょうけれども、冒頭申し上げましたように、現地におきますわれわれの理解、かつはまた罹災者たちの心情はそこにあるのでありますから、どうか、そういうような意味合いにおいて、その局面々々において必要とするところの施策をとっていただきたいと存ずるのでございます。  そこで、私が申し上げたいことは、中小企業の問題も、これは政策金融機関、その他商業銀行等に対するあなた方の指導によって相当の効果がおさめられては参るでありましょうが、しかし、民間災害があるいは二千億をこえるかもしれないといわれております段階において、これはやはり日本銀行の金融力をも動員せしめるにあらざれば、なかなか最終的な効果を確保することは困難ではないかと思われるのでございます。政府は、この際、まず災害手形の特例、日本銀行の損失を生じた場合においては政府がこれを補償する、こういう形で各金融機関が集中的に災害地の金融に当れるように資金を供給することができるように、そういう特例措置を講ずるの必要を認めないか。あるいは、そういう点について何らかの研究をしておるところがあるならば、一つこの際明らかにお示しを願いたいと思うのであります。
  97. 池田勇人

    池田国務大臣 私は関東大震災のときにとったような法律措置をただいまとらなくても、ここは乗り切れると考えております。御指摘の手形等につきましても、被害者の発行の手形等につきましては、取り立てをせずに期限を延ばす、償還期のものも延ばすという方法を、日本銀行と相談いたしまして手配いたしておるのであります。そういう過去の経験によりまして、必要な手段は法律を設けなくてもとり得まするので、それで今まかなっていっておるわけでございます。
  98. 春日一幸

    ○春日委員 行政指導の限界というものは、やはり金融金融べースで行われておりまする限り、借入手形発行人の信用度がキーポイントとなる問題でありまして、こういう災害でそれぞれの信用が崩壊をいたしておりまする段階には、やはりこれを政策的にカバーするという何らかの措置がとられなければならぬと思うのであります。現実に、名古屋地帯におきましては、ほとんど工場が浸水して、機械は塩水でさびてしまっておる。復旧するのはいっの日か、発行した手形は落す手段もないというようなときに、たとい金融機関でこの手形を延ばしてくれると言いましても、法律的な根拠がないことには、ケース・バイ・ケースという形になって、交渉は大臣がおっしゃるごとくには運びひねるのが実情でございます。さればこそ関東大震災においてはそういう特例もとられたことでありまするから、やはりそういう金融機関が、いわば金融べースの度合いを越えて、政策的に金融をする場合、そこで生ずることあるべき損失に対して何らかの補償措置が講ぜられるということでなければ、なかなか政策的な効果というものは上ってこないと思うのであります。これは、長く大蔵行政を所管されておりまする大臣においては、十分その実情はおわかりだと思うのでありまするが、ただその手形を延ばすように銀行が自主的に善意の努力を協力的に行うということだけで、問題の解決がはかり得るとお考えになっておるかどうか。私どもの認識と現地における実際の取扱いは、遺憾ながらそういう結果に至っておりません。新しく災害復興融資を受けることだけだって、なかなか困難でございます。いわんや、今までの運転資金的な流れておりまする金を、さらにこれを不渡りにすることなくして処理していくとか、あるいは二千億をこえるような大災害に、政策融資の資金源が、今政府で述べられておりまするのがわずか百億、これが加えられても何がしのものでございましょう。市中金融機関は金融べースでやるということになりまするとなかなかうまくいかぬ。こういうときには、やはり国が乗り出して、日本銀行の機動力を援用して、必要なる金を確保する必要があると私は思うが、大臣はこの点いかがにお考えでありますか。
  99. 池田勇人

    池田国務大臣 私は、常に実情を調査しつつ、被害者の復興に対してどういう手段をとったらいいかということを指示いたしておるのでございます。今、春日委員のおっしゃるように、関東大震災のようなモラトリアムをしいたり、あるいは手形の猶予を法律できめたりするほどの措置は講じなくても、良識によって乗り切れると思います。従いまして、今後の調査によってどういう措置をとるべきかということは、実情を見なければわからぬことです。今大体私の調査では、中小企業関係に貸し出しております全体の金額が三千二、三百億円と聞いております。そのうち普通銀行が千三、四百億円、それから三金融関係機関が三百億足らずと記憶します。その他のいわゆる半分余りというものは相互銀行、信用金庫、信用組合あるいは農業協同組合等に相なっておるのであります。これは被害者ばかりではありません。あの地方の全体の貸付がそうなっております。こういうところから考えまして、今あなたの言うような、関東大震災のときに日本の金融、生産がぴしゃっととまったという場合にとった措置を、今ここでとる必要ありとは私は認めておりません。従いまして、これはまた大企業の面につきましてもいろいろ問題がありまして、ここを切り抜けるためには万全の措置をとりますが、今お話しの関東大震災のような緊急勅令でやったようなことを今直ちにとることは、私は考えていないのであります。つけ加えて申し上げますが、被害が少いとかなんとかいう問題じゃないのであります。日本の経済の運営のあり方として、そういう法律的手段を今とるということにつきましては、私は考えておりません。しかし、調査の結果によりまして、いろいろな方法で善処することにやぶさかではございません。
  100. 春日一幸

    ○春日委員 大臣は、豊富な経験の中から、さらには官庁の集められた資料の中から判断を、されて、大体においてケース・バイ・ケースで、言うならば現行法令の限界の中において大体乗り切れるものと見込まれておるのでございます。ところが、大臣のその豊富な経験に匹敬するほどのわれわれは現地におけるなまなましい実感をもって、しかも毎日のごとくにいろいろと諸君が訴えられておることを、そのままお伝えをしておるのでございます。でありますから、こういう立場において私が申し上げることは、大臣が大体においてこれは今までのやり方で乗り切り得るであろうと見通しを立てられておって、さてやってみて、これはだめだ、とても追いつく処理ができるものではなかった。そこで、大きなゼネラル・パニックだとか、いろいろな連鎖反応が起きてきて、あの地域において一つの大きな恐慌事態が起きてから、ああなるほど春日君が指摘したようにこれは大へんなことになったから、それでは一つ日本銀行の資金力をも発動してということではいけない。やはり何といっても早期治療、早期診断ということが必要なんで、あなた方が見通しを立てられて一つだに心配な要素があるならば、われわれは、行き過ぎて悪いということはありません。それはやはり制度として設けても、やる必要がなかったらやらないで済むことでありますから、やり得る道をあまねく開くということなんです。私は、今度の大災害で、関東大震災そのものと同じ措置をもって取り扱えと言っておるのではありません。しかし、あのようなものに準じて取り扱っていただかなければ、解決ができないと思う。ことほどさように深刻かつ広範な大災害であると申し上げておる。大臣も、わずかと言っては語弊がありますが、一日か半日の御視察であったと思うのでありますが、われわれは、同志諸君と幾日もトラックに乗り、現地にも行って、諸君の言葉も聞き、作業の実態も見て、そうしてその立場に立って誇張することなく申し上げていますから、どうぞこの点は一つ率直すなおに聞いていただきたい。われわれの見解では、現行法令の範囲内においては、これらの資金需要を調達することは困難であろう。困難な結果においては、地域的なパニックも起きてくる。そのことを最もおそれておりますので、すなわち関東大震災においてそういうような特殊な立法によってその危機を克服することができたとするならば、そういう手段、方法についても、十分一つ手を尽してもらいたいというのがわれわれの真意であります。どうか、そういう点についても十分御検討の上、一つ手抜かりのないように、万全の措置をとっていただくことを強く要望いたしておきます。  最後にもう一点お願いいたしたいのでありますが、復興資金源を確保するための金融債の問題であります。これは、やはり商工中金も輸出入銀行も、小さくは最近の不動産銀行もあるでありましょうが、どうか一つこういうような金融債の発行限度額等についても、この際でありますから、できるだけ大幅に大蔵当局において措置をとっていただきたい。国が引き受けるものはできるだけ引き受けていただいて、市中において消化できるものはできるだけ消化していただいて、これらの金融機関がやはり自己資本をもって現地の復興に当り得るように、彼らにそのたまを持たしていただきたい。これら金融債に対する特別の措置を必要とすると思うが、この点に対しての大臣の御見解はいかがでございますか。
  101. 池田勇人

    池田国務大臣 お話の輸出入銀行は金融債を出しておりません。長期信用銀行につきましての限度はあまりないと思います。問題の商工中金でございますが、御承知通り資金運用部で引き受けます限度がきまっております。全体の五割、そして毎発行分の六割ということにきまっておりますので、その点をどうするかという問題があるのであります。ただ、金融債は御承知通りかなり発行者の利子が高うございますから、これをどんどん出しますと、貸付金利を上げなければならぬ。従いまして、ただいま通産省として大蔵省に申し出ておりますことは、商工中金への出資を相当してくれるか、あるいは利子補給をしてくれるかという二つのうちどっちかというので、今大蔵省と話し合いをしておるわけであります。今の資金運用部の引受額の制限につきましては、今後の状況を見まして検討いたしたいと思いますが、先ほど来のお話がありますごとく、できるだけ一つ三機関から金を出すように、そしてまた、市中の金を使う場合におきましても、信用保険の出資を多くいたしまして、できるだけたくさんの金が中小企業に回るように、今検討を重ねておるような次第でございます。
  102. 春日一幸

    ○春日委員 申し上げたいことはまだたくさんありますが、時間の制約もあるようでございますので、このくらいにしておきますが、結局最終的にお願いしておきたいことは、何といっても今回は民間の被災の額が非常に多いということであります。従いまして、この問題の解決は、立ち上る復興資金、それから彼らの税負担の軽減といろいろあるでありましょうが、いずれにしても、金融というものがこの災害復旧対策の大きな大宗をなすものと考えるのでございます。そういう意味で私どもは今具体的にいろいろと案を述べましたけれども、三行を中核体として、要請している市中銀行、それから金融債の引き受けを、できることならば日本銀行的な規模において現地の資金需要に応諾できるように、あまねく手段を尽されること、それから、三行の追加のワクを増大するならば、その決定をタイミングに最もすみやかに——申し上げるまでもなく十一月、十二月はもう冬でございますから、その冬の前にできるだけ問題の処理ができますように、政府においてタイミングに問題の処理をされんことを強く要望いたしまして、私の質問を終ります。
  103. 植木庚子郎

    ○植木委員長 横山利秋君。
  104. 横山利秋

    横山委員 今罹災地の人たちは、全般的に二つの矛盾した考えで政府の態度を聞きたいと言っております。その一つの話は、岸内閣総理大臣やあるいは益谷さんがやってきて、被害の重大なのに驚いて、そうして金のことについてはあとで何とかする、どんどんやれというふうに激励をされたことであります。私どもはこの総理の態度を非常に好感を持って迎えました。また被災地の諸君もそれでこそという気持に一応なったのであります。ところが、さて幕がどんどん開いていきますと、実際の窓口は非常に楽ではないのであります。それを理論的に言いますと、こういうものの考え方があるようであります。それは、罹災地に金は向けても、全般的な金融のワクは、トータルは一にしてふえもしない、減りもしないというものの考え方であります。つまり、これは景気全般の見方にも関連をしていくのでありますが、自主調整をやらせる、あるいは金融施策を徐々に締めていく、そして一つの過熱論に対抗していくというものの考え方があって、なるほど罹災地には少しは出さなければならぬが、リミットがある。リミットというものは今申し上げたような経済政策のものの考え方である。それがもう一つそのうしろにあるのであります。ですから、けさから金融問題についていろいろ論じられておるわけでありますが、政府の最高首脳部が言うところによると、現地で金を借りようと、中小企業公庫、国民金融公庫へ行く。県庁あるいは政府の出先の職員に話を聞きますと、だいぶ話が違うというのが今の罹災地の諸君のものの考え方であります。そこで、平素の池田さんの御意見は十分承知をいたしておるところでありますが、池田さんの大蔵大臣兼通産大臣という立場でこの際明らかにしていただきたい考え方は、政府のその金融施策とそれから罹災地に対する対策という問題について、一体矛盾があるのか、ないのか。総理大臣の罹災地で言った言葉はそのままなまで受け取ってよろしいものかどうか。その辺を一つ明確にされたいのであります。
  105. 池田勇人

    池田国務大臣 総理大臣が現地でどうおっしゃったか、言葉は聞きませんが、気持は私と同じことであろうと思います。それは、災害地に対しての復興、また災害によって被害を受けられた方々に対しまして、できるだけの金融措置をとる。従って、今国全体の経済が過熱になるとかならぬとかいうので、これはあわせて考えるべきじゃございません。復興資金は復興資金として別にやるべきだと私は考えております。
  106. 横山利秋

    横山委員 なぜそういうことを私があえて聞くかといいますと、先ほど言いましたように、実際の窓口は総理大臣が言うようにとんとなっていません。現に、けさほど国民金融公庫の貸出事情を聞きましても、要求が出ておるのに、銀行局長は、ワクについてはまだ何とも言えません、きまっておりません、中小企業公庫はどうだ、それもきまっておりませんというようなことです。これは政治家が言うのじゃないですよ。お役人が言うのですよ。そういうことで、一体総理大臣の言うものの考え方が実際に流れておるかどうかについて、大いに本委員会は疑念としたところであります。かてて加えて、最近、池田さんの考えと違うかもしれませんが、そこはかとなく出ておりますのが公定歩合の引き上げであります。金融が締まっていくのだ。だから、何とか逐次それをある程度締めていかなければならぬという声があって、公定歩合を引き上げるべきだ、それの時期が近いだろうという声がいわれておる。一方でそういち声が出ておるのでありますから、罹災地の諸君は直接にしろ間接にしろ影響を受げるのではないか。現に窓口はそうではないかという不安を持っておるのであります。そういう点では池田さんはどうお考えでありますか。もしそうでなかったら、先ほど春日さんもおっしゃるのでありますけれども、窓口をもっと広げてもらわなければ困る。あなたは日銀にやらせるというのでありますが、実際日銀で高率適用を免除なさるか。あるいはまた準備預金制度の発動についても手心を加えていらっしゃるのか。日銀なりあるいは政府がワクを出すというワクが、一向にまだ何もしていないのではないか。現に、窓口に殺倒しておる人に対して、大蔵省があるいは日銀が打っている手は何であるか、公定歩合の引き上げをまじめに真剣に考えているのではないか、こういう疑念があるのであります。いかがですか。
  107. 池田勇人

    池田国務大臣 こういうときにはうわさはうわさを呼ぶものでございますが、公定歩合の引き上げの問題と災害復旧資金の問題とをこんがらかして考えるということは、少し行き過ぎじゃないかと私は考えております。  それから、今の各三機関の出先の者がワクがあるとかないとか言っておりますが、それは、私が、とりあえず百億くらいの金は金融公庫で要るだろう、今調査が進んでくるとなかなかこれで行きそうでないということを言いますのは、初めからこれだけのワクといって今きめておるわけじゃないのでございまして、各機関とも災害地に人を派して、そして機構を拡大して、できるだけ支障を少くするように努力さしておるのでございます。しこうして、三機関とは別に、普通銀行につきまして、私は、指定預金とかあるいは準備預金の撤廃とかいうことを言っておりますが、これはその筋でないと思います。日本銀行が市中銀行に対しまして貸し出しに対しましての手心、そうして、要すれば高率適用ということの問題にもなってくるかもわかりませんが、高率適用の問題にまで今きておりますまい。ただ銀行の貸出手形の取り立てにつきまして、市中銀行と日本銀行とは相当突っ込んだ話し合いをしておると考えておるのであります。
  108. 横山利秋

    横山委員 先ほど大臣はどうも数字を間違えられたような気がするのでありますが、全金融機関の中小企業向け貸出額は三兆四千億円、その中で、国民金融公庫と中小企業金融公庫、両方合せて貸出残高は約二千億円だと僕は理解をしておるわけであります。そこで、今国民金融公庫、中小企業公庫へようやく殺倒しかけておるわけであります。けさほどの話によりますと、国民金融公庫としては、十五人ばかり応援を出すという程度の話でございまして、これでは今日の状況に適応した態勢ではない。私は、けさほど一つの例を引いて、いろいろと現地の事情お話をしたのでありますが、もう十五日、二十日にもなりますのに、どぶに——まさにどぶです。あれは水ではありません。どぶにつかって、家財はもう全部なくして、商売の道具も何もありません。その人たちが、まだ市内のまん中にも、産業の中心地帯にもたくさんおるわけであります。それがこれから国民金融公庫に、あるいは中小企業公庫に、市中金融機関に殺倒するわけでありますが、大臣一つお伺いをしたいのは、通産大臣としてでもそうでありますけれども、この日本の産業の一つの中心地帯であります中京経済圏に加えられた——この産業について非常に深刻なしかも長期に加えられた影響を、どういうふうに政府としては回復をしていこうとするのか。私の引例はただ中小企業でありますが、大企業もやはり同様なことが言えます。同時にまた、今日まで国民金融公庫の利用すらできなかったような階層があるわけであります。八百屋さんとか、げた屋さんとか、それを知らなかったという人も全部を含めて、この産業の復興という点について、あなたの今後の構想を一つ聞きたいのであります。
  109. 池田勇人

    池田国務大臣 言葉を返すようで恐縮でございますが、今の数字は私の方が正確と思います。それは全体の預貯金が普通銀行で六兆六千億でございますから、それ以上貸し出しはございまん。全体の貸し出しが六兆円くらい、大体名古屋地区の分は、生産あるいは消費その他からいって、全国の一割五分程度に相当するものであります。従いまして、私の数の方がほんとうで、あなたの方は十倍になっておる。十分の一でお考え願いたい。  それから、お話通り、実は閣議の話をしてもあれでございますが、罹災者の問題でも、一日五十円の食糧を七十五円にしておりましたが、これは普通の災害のときは三日か五日でございますからよろしゅうございますけれども、一月二月水の中で生活しておられるような方に、普通の災害と同じように一日七十五円ではいかにも気の毒ではないかというので、私発言いたしまして、増額することにいたしました。できるだけ気は使っております。しこうして、今中小企業の方々、あるいは今まで国民金融公庫からすら借りることを知らなかった方々に対しまして、これはもう、その法律施行の性質からいって、できるだけのことはいたさなければいけません。従いまして、そういうことを考えますと、私が通産大臣としまた大蔵大臣を兼ねておって、百億円がいいとか、百五十億円は要るだろうとか、二百億円ということを言うことは、私は少し潜越過ぎると思って、数字は言わないで、取りあえすああいうふうに言いましたが、これからどしどしそういう方々に対して私は考えなければならぬ。ことに今回の被害を見まして私考え直さねばならぬことは、中小企業ということについての認識でございます。中小企業の定義は、資本金一千万円、使用者三百人といっておりますが、これは六、七年前、私がずっと昔大蔵大臣をしておったときの定義なんです。こういうふうな定義で今の日本の経済における中小企業を考えたら、とんでもないことなんです。従いまして、私は、今後、中小企業金融公庫につきましても、商工中金につきましても、中小企業とは何ぞや、一千万円以上のものは中小企業に入らぬというのでは大へんなんです。私は、今度の災害で一番立ち直りがおくれるのは、中小企業にたよっておる企業、大企業が中小企業の立ち直りがおくれるために立ち直りがおくれる。しこうしてまた、中小企業の立ち直りがおそいということは、職員の住宅等が不完全で、職員の罹災が多いために復興が非常におくれておる。これはもうわれわれが今回の災害で教えられた最も大きいことなんです。私は、そういう点を考えまして、今お話しの通り、一応の目安をつけるために、視察ができるようになりましたら、直ちに行って調査をいたしまして、決断するつもりでございます。臨時国会に間に合うようにいたしたいと考えておるのであります。
  110. 横山利秋

    横山委員 時間がありませんから、次の問題ですが、もう一つのケースは、あなたのおっしゃるいわゆる企業以外の、働いておる人々ですけれども、今までの農山漁村の台風と違いまして、大都市の災害、しかも借家に住んでおって、そして工場へ行っておる、あるいはどこかへ勤めておるという人々が、その家にはなはだ打撃を受けております。家財をなくしております。私は、それらの人に対しまして、サラリーマン金融の道がないと言っておるわけでありますが、圧倒的にたくさんの人々が今度この道を求めておるわけであります。それには住宅金融公庫の方法もありましょう。けれども、今日まで住宅金融公庫は借家、借地の人には貸さなかったはずであります。それから、大企業あるいはお役所ならば、あるいはそこで何とかならないとも限りません。けれども、中小企業に働いておる人々は、そのもとをやられたわけでありますから、これまたどうしようもないのであります。少くとも私のきのう見て参りましたどぶにつかったところの人々が、大家さんの了解を得て家を直すにしたところで、ちょっと住めるように——押し込みの中に寝ると言っておりますが、そういうことをするにしたところで、少くとも十万や二十万の金は、着るものから食べるものから修理費で要るわけであります。それが実際問題として入るところがないわけであります。私どもはその点について、たとえば思い切って生活保護法を全部適用したらどうかという点、あるいは労働金庫に政府資金を預託をして、労働金庫の員外利用ができるようにしたらどうか、その他いろんなことを政府に申し上げたのでありますが、圧倒的に今度多い、特殊層をなしておるそういう人々に対してどうお考えでありますか。どういう対策が練られておりますか。
  111. 池田勇人

    池田国務大臣 住宅金融公庫を活用いたしまして、相当の金額政府が融資する、こういうことは話をしております。しかし、今のお話のような問題は、従来の災害に見られなかったのであります。こういう新しい態様ができてきたのでありますから、それに対しまして、住宅金融公庫でできでるか、あるいは国民金融公庫からそういうふうな資金を別ワクに取るか、いろいろな方法をこれから考えなきゃならぬと思います。今申し上げましたように、昭和九年の大阪地方の風水害と違っておりまして、長くなって参ります。前の場合は、家がこわれなくて、下の壁がちょっと落ちたくらいでございまして、今度は事情が違いますから、そういう点を十分検討いたしまして、先ほど来申し上げたごとく、できるだけ早く復興いたしますよう考えたいと思います。
  112. 横山利秋

    横山委員 大臣が、それについて、借家に住んでおる人にも住宅金融公庫の金が貸せるように、あるいはまた国民金融公庫は企業でなければいかぬけれども、それを、昔の庶民金庫のように貸し出せるように検討してみようとおっしゃったことは、まことにけっこうでありますが、ぜひそれは、今お話のように、早急に、今日まで漏れておるたくさんの人々でありますから、御検討願いたいと思うのであります。  その次は、今度の伊勢湾台風は地方自治体に財政上深刻な影響を与えていました。地方自治体は、今罹災地の人人から、まさに、われわれを含んで、火を吐くように追いまくられておる。全く、地方自治体に働いておる吏員諸君、あるいは地方公務員諸君の涙ぐましい活動につきましては、時間がありませんから申しませんが、ほんとうに大へんなものであります。しかもそれがフルに活動してなおかつ足りませんから、自衛隊の諸君もお願いをし、あるいはまた学生の諸君も連日数千名も出動し、さらに勤労奉仕隊が出て全力をあげてやっておるのでありますが、それに要する費用は莫大なものであります。たとえば、名古屋市を例に引きますと、名古屋市は黒字財政で、道路に、住宅に、あらゆる点に誇りを持っておったのでありますが、一瞬にして赤字財政であります。けれども、そういう赤字だ黒字だということは今何であろうかということで、できる限り全一力を尽すように言っておるわけでありますが、この点については、一つ臨時国会における災害諸立法の中で、国庫負担あるいはまた起債を認める点については、格段の措置がなくてはならぬと思うわけでありますが、そういう点は政府としてどういうふうに準備が進んでおるでありましょうか。たとえば、おとつい私船に乗っていきますと、四台の飛行機で徹底的にDDTをまいておりました。また、大掃除の百倍くらいのごみが市内に一ぱいありますから、これまたきのう自衛隊の諸君がその泥を片づけておりました。ネズミから鶏から豚から牛から、死骸まっでを含んで、まだ取り片づけが終っていないのであります。そういう衛生とか障害物の除去、土木等については、今まで政府予算も出ない。衛生などについては、災害救助法もその方面については適用されないという面がたくさんございます。それを、今全力をあげて、まさに空陸海でそれをやらなければ、今後疫病の発生が非常に多かろうといわれておりますので、この点について、現地は、それこそ総理大臣のお言葉をと信じて、金のことはあとのこととして、全力をあげてやっておるのであります。それらの国庫負担あるいは起債等について、政府は十分な措置をなさるであろうと思いますが、どのように進んでおりますか、承わりたいのであります。
  113. 池田勇人

    池田国務大臣 今さしむき私が耳にいたしておりますのは、自衛隊の出動に対しての予算でございます。これは別にとってはございませんが、あの災害の直後、防衛庁長官から相談を受けましたので、既定予算内で、流用を認めますからそれでやって下さい、こう申しておったのであります。  それから、災害救助法に対しましての先ほど申し上げました食費その他、これは実は大へん金がかかるものでございまして、一人五十円とか、一人七十五円と申しましても、これは想像以上の大へんな金なんでございます。これも金がないから握り飯一つというわけにいきませんので、何とか増額して、できごるだけの措置をとるようにいたしております。  それから、高等学校の生徒の出動に対しまする経費等々につきましてはこれは府県並びに自治庁、大蔵省ともに、今後の問題として協議いたしたいと思います。  起債等の問題は全般的の問題でございますが、予算におきまして相当の処置をいたす覚悟でございます。しかし、何と申しましても、皆さん御承知通り、災害の実際の調査というものは普通で三十日から四十日ぐらいかかるのでございます。それから予算を組むのが普通のやり方でございます。しかも、今回のように、まだ水もとまっていないときに予算を作るということはなかなか困難であります。しかし、それを待っておられませんので、十八日までに一応の調査をいたしまして、二十六日に提案するということでございます。従いまして、今までもいろいろ問題になっておりますし、今後もまたどんどん出てくると思いますが、政府は、先ほどお話しのごとく、総理大臣が言っておりますように災害復興につきましては全力をあげてこれに処する、この覚悟には間違いございません。
  114. 横山利秋

    横山委員 私どもも、この災害につきましては、けさほども申しましたように、まさに超党派で政府を鞭撻し、また与党の諸君とも協力いたして、一刻も早く産業の復興と民生の安定が期せられるように努力をいたしておるわけであります。今大臣お話のように、そうは言っても、そろばんをはじくには多少時間がかかるという話は、了承いたさないわけではございません。それはその通りでございましょうけれども、現地の雰囲気から考えますと、その言葉ではまだ満足し切れないのが、実際の泥水につかった現地の雰囲気であります。でありますから、もしそれ、総理の言うように、金のことはあとで考えるから全力をあげて一刻も早く建て直してほしいということが、その話の通りでありますならば、どうぞその精神を政府各級機関、出先機関、あるいは地方自治体の諸君に対しましても、後顧の憂いなく、前を向いて、災害復旧に全力が注ぎ得るように、お手配を一つ徹底をしておいていただきたいと思うのであります。私どもといたしましても、私どもの党において災害対策の諸般の準備を整えておるわけでありますが、すみやかに行政措置としてできることについては実施をしていただきまして、臨時国会におきまして災害諸立法がすみやかに通過できるように、格段の政府側の措置を要望いたしたいと思うのであります。  大臣がお帰りだそうでありますから、建設省関係その他について質問が残っておりますが、一応大臣に対する質問をこれで打ち切ることにいたします。
  115. 植木庚子郎

    ○植木委員長 佐藤觀次郎君。
  116. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 もう一つ大沢政務次官お尋ねいたしますが、現在災害のために毎年二千二百億くらいの復旧費が出ているそうでありますが、今度の災害は今までよりももっとひどいので、おそらくいろいろと新しい事実が今度出てくると思うのでございます。今まで、私たちも、海岸堤防の問題についてもたびたび陳情し、折衝しておりましたけれども、建設省はいつもそのときは大蔵省の予算がないからということで、こういうような大きな災害になったわけですが、今度の災害は、木曽川が切れたとかいう問題でなくて、やはり海岸堤防の大きな被害があって、こういうような被害があったわけでありまして、山梨県とかあるいは昨年の狩野川はんらんとは性質が本質的に違っておるわけです。それだから、水がさっと落ちてくるというような事情ではなくて、やはり水の満ち干によっていつも深くなったり浅くなったりするために、非常に困難をしておるわであります。こういうことについて、一体建設省はこういう考えを持っておられたかどうか。御承知のように、私の方は、オランダと同じように、海面よりも三メートル、四メートルくらいも低いのです。そうして、新田の地帯を引き継いで二百年くらいの間に膨大な農業地帯を作ったわけでございますが、特殊な事情にあることも御承知だろうと思うのです。それだから、水が入ると、こういうような結果になるわけでございます。私が先ほども申しましたように、現在水が入っておりますから、とりあえずこれを早く出していただくと同時に、今後の問題もあるので、いずれ仮堤防ができましてから、今度は本堤防を作る、こういう時期がくると思いますが、やはり抜本的な考え方をしていただかないと、再びこういうような犠牲が出ると思うのです。そういう点についての建設省のお考えはどんなものであるかということも、この際あらためてお伺いしたいと存じます。
  117. 大沢雄一

    ○大沢説明員 ごもっともなお尋ねと存じます。建設省といたしまして、海岸堤防につきましては今後の構築方法に関しまして、土木学界を通じまして海岸堤防の構造の権威者にただいま調査研究を依頼しております。その研究の結果を主にいたしまして、再びかかることのないように堅固な海岸堤防を築きたい。現在の状況につきましては建設省でいたしました海岸堤防はかなり強いものもございます。ただ河口の面がいろいろ問題がございまして、それらの点にかんがみまして、十分に一つ技術的にも刻処いたしたいと検討を進めておる次第でございます。
  118. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 もう一点お伺いしておきたいのは、今おっしゃったように農林省のやつは全部だめなんです。建設省の堤防の方で強固であったということもわれわれ実際わかりました。あとで農林大臣に文句を言うつもりです。その点はあなたのおっしゃる通りでありますが、今問題になっておりますのは、何といってもそういう将来の問題と、もう一つは現に水に入っておる人々のことを考えていただきまして、一つできるだけ早く水が引くように督促していただくように、この際お願いしておきます。
  119. 植木庚子郎

    ○植木委員長 横山利秋君。
  120. 横山利秋

    横山委員 建設省関係についてちょっとお伺いしますと、住宅の問題ですが、先ほどの大臣お話はお聞きになったと思います。それについてどういう準備が進んでおるかということが第一です。  それから、既設の公営住宅が打撃を受けました。名古屋市の例を引いてみましても、修理費に二億八千万円を必要とするのではないかといわれております。一種については四分の三国庫補助にする、その他は全額起債、二種については全額国庫補助にしろ、こういうような要望をいたしておるわけであります。この機会に災害の公営佳宅については今回の経験にかんがみて、なるべく耐火構造として、特に簡易耐火構造二階建並びに中層耐火構造を考慮すべきである。これはなぜかといいますと、これが一つの問題点でありましたが、海よりも低いところに平家の住宅がずっと数千戸あったわけです。それがもろにいって、今も水についておるわけです。こういう点について、既設の公営住宅の補修費について——応急仮設住宅が非常に焦点に上っておりますけれども、補修についてはどういうふうにお考えであるか、伺いたいのであります。  それから、災害公営住宅の建設の方につきましても、設置戸数の限度を一引き上げるとともに、三分の二の国庫補助率を十分の九とし、その他全額起債をもって充当できるように特別措置をしてもらいたい、全戸数を三十四年度において措置をしてもらいたいという要望が出ておるわけであります。もう水が引きかけ、ましたところは、全力をあげて、公営と私営のいなとにかかわらず、住宅の補修にかかっています。水の引くところはそれを待ち焦がれて、一番最初に寝るところから解決していかなければならない。私もきのう回りましたところが、学校に約七百世帯くらい住まっておるわけでありますが、学校としても実は早く出ていってほしい、生徒の授業もあるからという気持があるわけです。応急仮設住宅、災害公営住宅の建設補修等、住宅関係についての建設省の態度並びにこの予算措置等について説明を求めたいと思います。
  121. 大沢雄一

    ○大沢説明員 ただいまの横山委員お尋ねでございますが、建設省といたしましては、仮設住宅の方は、これは罹災の救助の関係かと存じまするが、一般の住宅につきましては災害によりまして滅失あるいは流失をいたしましたものに対しましては、建築する場合には、三十万円を限度といたしまして、また二割以上被害を受けましたものに対しましては、補修の資金といたしまして十五万円を限度といたしまして、住宅金融公庫を通して貸し付けることになっておる次第でございます。  なお、公営の住宅につきましては、滅失あるいは流失をいたしました住宅の三割の範囲内で出しまして、関係の公共団体におきまして公営住宅を作りまして、罹災者に住まわせるという場合には、御案内の通り、現行法によりましては三分の二の補助ということになっておるわけでございますが、私どもとしては、少くとも二十八災と同等程度の補助に引き上げまして、従ってこれに住みまする罹災者の家賃が一そう軽減されるように、かような考え方で対処いたしておるわけでございます。  予算は、現在の補助費あるいは金融公庫の資金ワクではもとより不足をいたします。現在の被害報告額によりまして推算をいたしておるのでございまするが、公営住宅の楠助費におきまして、大体十三億程度の補正予算を必要とするのではないか、また住宅金融公庫の資金ワクにつきましては約八十五億見当資金ワクを増さなければならないのではないかというふうにただいま算出をして、それぞれ処置を進めておりまするような次第でございます。
  122. 横山利秋

    横山委員 あなたの説明は私も承知しておるのです。説明ではなくて、こうしてもらいたいということを私が言っているのに、現状の説明を聞いても何もならぬです。私の要望は、建設省だけではいかぬ、それは大蔵省だと言いたいところかもしれませんけれども、大蔵省に対してどういうふうにあなたの方としては現行法の改善を申し出て折衝をしておるのか、その点はいかがですか。
  123. 大沢雄一

    ○大沢説明員 現在被害の報告を取りまとめて数字を検計しておりまするので、まだ正式要求に至っておりませんが、それぞれ内部におきまして折衝をいたしておりまするような状況でございます。
  124. 横山利秋

    横山委員 その建設省の方のうしろにいらっしゃる方、職名は何という方ですか。
  125. 植木庚子郎

    ○植木委員長 住宅総務課長
  126. 横山利秋

    横山委員 じゃ該当の人がいないかもしれませんが、一つ注文しておきますから、あとで調べておいていただきたいと思います。都市計画関係で、こういうこまかい問題で恐縮なんだけれども、調べておいて善処してほしい。  都市計画法第十二条による土地区画整理組合は、土地区画整理法施行法第三条第二項の規定によって、昭和三十五年三月三十一日までに解散になることになるが、被災地の組合については解散の期限を二カ年延長してもらいたいというのです。これは、当該組合は名古屋市だけだそうでありますから、忘れておりはせぬかということです。被災地の組合については解散の期限を二カ年延長してほしいということであります。  それから、もう一つの問題は、罹災地のうちで今なお水にどんぶりとつかっております荒子川周辺及び南陽、富田両地区の復興土地区画整理事業を施行する必要がどうしてもあるわけでありまするが、この事業を行政庁施行とするとともに、高率国庫負担の特別措置を講ぜられたいというのであります。この経緯を申しますと長くなるのでやめますが、私も、この荒子川周辺の問題については、大蔵省、建設省といろいろ話をしたことがあります。しかし、今回罹災という特殊事情が発生をして、しかもこの辺は水が引くのがひょっとしたら十一月になりはせぬかということもありまして、徹底的な荒廃に帰したわけでありますから、この際一つ該事業を行政庁施行として、高率国庫負担の特別措置を講ぜられたいという点については、建設省としても大蔵省としても十分新しい角度で検討する必要があると思うのでありますが、御存じでございましたら、一つ御返事を承わりたいのであります。
  127. 大津留温

    ○大津留説明員 計画局の担当が参っておりませんので、担当の方に連絡いたしまして、後刻御返事いたします。
  128. 横山利秋

    横山委員 建設関係は私も終ります。
  129. 植木庚子郎

    ○植木委員長 佐藤觀次郎君。
  130. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 この際気象庁の和達さんにちょっとお尋ねをいたしますが、今度の台風の予報が非常にうまく当りまして、あまり当り過ぎて非常にみんなが心配したのです。ただ、ここで一、二点将来のためにお伺いしておきたいと思いますが、今まで台風の予報がときどきずれる点がありまして、私たちの方の者も、また今度も九州の方へ行くだろう、そういうようなことを言っておる間に、実は紀州沖から愛知県の方へ上ったわけです。ところが、この台風のスピードが早くなって、初めは二十五キロぐらいでございましたが、夜の九時ごろになりまして愛知県を襲ったときには、七十五キロぐらいの速度で急に来ました。ところが、海岸の方では、風が強くなったと思うときに、もうすでに堤防が決壊して水についたというような、まことに非常にスピードのあることになったわけであります。こういうようなことが、いろいろあとで考えてからしまったと思うわけですけれども、何かせっかく気象庁からああいうような情報をもらっても、それがずっと民衆の方に入らないために——途中から電気が切れまして、ラジオもテレビも切れました。そういう不便もあったわけですが、せっかく気象庁の方から情報をもらっても、現実には間に合わないということで、非常に大きな悲劇が起りました。御承知のように、愛知県を中心として大体五千人の人がなくなったし、また行方不明の人が七百人も現在あるわけであります。こういう点について、一般には、大体今までこういうような大きな風のときに、どうも民衆が信用しない。どうせ気象庁の意見は当るも八卦当らぬも八卦の気持で、なかなかみんなが信用しなかった。大体今までも台風といえば九州へ上るものだろうというような、そういう甘い考えでおったのが今度の災害になったということも、これは事実でございます。そうして、この間も十六号台風が来るということで、また夜地方庁が一つ待避命令を出そうかということがあったけれども、これは、水の中につかっておる人間もあるところで今からそれを出すと、かえって人心不安で大へんだということで、出さずにおったわけです。こういう点についていろいろ日本の気象というものはむずかしい。というのは、外国へ行きますと、あまりこういうような災害がないので、おそらく日本という四つの島にはいろいろな気象の関係上むずかしい点があるのじゃないか、こういう点で、科学的な材料の収集とか、あるいは日本の気候風土の関係もあり、また川とか山とかいうような特別事情から、非常にむずかしい点があるのじゃないかということも想像されるわけです。ところが、一番問題になるのはやはり科学性が乏しいということで、いろいろと議論があるわけです。こういう点について、気象庁の方では予算がないからやれぬということがあるのじゃないか。私ども、これは大蔵委員会でございますから、きょうは大臣が帰りましたけれども、そういうような欠陥があれば、こういう機会に、将来のために、ぜがひでもこういう点が悪い、こういう点は一体予算がないからできないということがあったならば、一つこの際私どもは犠牲になって水の中につかっておりますが、将来日本のどこかで再びこういうような災害が起らないように、こういうような点が悪いのだ、こういう点があるから、実際われわれの予報はむずかしいのだということがありましたら、この機会にお尋ねをしたいと思いますので、率直に一つ御報告を願いたいと思います。
  131. 和達清夫

    和達説明員 このたびの伊勢湾台風につきましては、気象に関する情報、すなわち暴風雨警報、高潮警報、洪水警報、その他、ただいまおっしゃっていただきましたように、おおむね正確に出したと信じております。もちろん、詳しい内容につきましては、今後なお一そう進歩させなければいけない部分があることも十分存じております。で、ただいまお話しの、今後気象庁がさらに防災業務を完全にするにはどうしたらいいかというお尋ねでありますが、率直に申し上げます。もちろん新しい設備その他いろいろ最近の技術に即応するやり方があるのでありますが、私どもが根本的に、気象庁が防災の仕事に邁進するには、現在の気象庁における人の不足ということが、私どもにとって最大の問題であります。このことは、今回の台風災害につきまして、気象庁としての対策の第一番に私も申し上げておるところでありまして、防災に関する人員というものを気象庁としては持ちたいということであります。御承知のように、気象庁は中央気象台から気象庁になりまして、中央気象台はもとは研究所のような感じもあったのであります。その業務は学問的であり、そうして天気予報、暴風雨警報も学問的にこれを発表する。これが世間にどういうふうに活用され、防災活動につながるかということに対しては仕事はだんだんそういうふうになってきましたけれども、定員の査定はそういうふうになっておりません。従って、予報者が出す予報を、これを防災活動に適応するように気象情報を作成し、それが効果的に活用され、よく伝達され浸透されるということ、しかも、その工合をあとで監査、すなわちモニターするという仕事は、ただいま予報の仕事をしておる者が同時に行なっておるわけでありまして、この点に私どもは非常なる役所としての困難さを感じており、この点で十分努めておるつもりでありますけれども、ただいま御指摘のように、伝達浸透あるいはその効果的活用という面において、まだ今後発展すべき分野があると信じておるのであります。もちろんそれに要するところの通信設備をもっとよくする。たとえば、電話を増設するとか、ジープその他の非常時に使うものを増強するとかいうようなものもありますけれども、その根本は結局現在の定員の査定が非常にきびしいということにあると私は存じます。  その次に、いかにこの台風というものを捕捉するかという技術でありますけれども、これは観測の方面からいろいろいわれております。非常に今役に立っておる飛行機の観測においては、御承知のように、目下は米軍がいたして、その資料は完全にわれわれに伝えられるのでありますから、現在に関する限りにおいてはこれで間に合っておりますが、米軍がいつ引くかもわかりませんから、これに備えて、わが国自体でこの飛行機観測をやるべきであるということがいえます。なお、最近レーダーというものが、海上にある台風の位置をきめ、その強さを判定するのに非常に有効でありますので、レーダー網を早く完成したい。現在のレーダーは一方は豪雨に使っております。豪雨のために使うレーダーはもちろん台風のときに非常に大切でありますが、一方は海上に向けて、台風の近寄ってくるのを観察するという、観察任務のためにレーダーを用いたいと考えておまりす。今回補正予算におきまして室戸岬、八丈島、仙台、函館にとりあえず要求いたしておるのも、その趣旨であります。  その次に問題なのは、高潮であります。今度の台風は、その進路、強さ、その他において、私どもの予測はおおむね適切でありまして、これによって高潮の襲来も予測し得ました。名古屋気象台は最大級の警戒の言葉をもってそのことをも十分事前に発表して、各所に連絡いたしておりました。しかし、その内容を見ますと、十分とは言いかねるものがあるのであります。その原因は、一つは、高潮というものは、高潮が来るということはわかっております。大体の強さもわかっておるのでありますけれども、量的に高潮の予報を出すというまでの技術的段階になっておらないので、それは、一つには、伊勢湾なら伊勢湾というところの高潮でも、風の吹き方、それから伊勢湾の地形によるところの場所ごとの高潮の強さの調査がまだ十分に行われておらないということが一つ。今回の高潮は非常に不幸な事件でありましたけれども、非常にいい資料にこれがなりますので、今後、伊勢湾の高潮については、今回の資料を使って、十分にその経験を利用して、量的にこの予報に近寄らせることができると信じておる次第であります。この点が、東京湾、大阪湾におきましては、かなり量的の準備もできておる次第であります。なお、そういうような調査は行き届いておりましても、刻々に高潮の高さを予報者が知るということが大切であります。この点は、海岸に検潮儀が置いてありまして、高潮の高さをはかっておりますけれども、それは後日見るだけでありまして、そのときに刻々にその高さを知るというためには、これを何らかの装置をもって、有線なり無線なりの装置をもって予報者のところまで刻々届くようにしなければならない。これが非常に大切でありますので、今回補正予算にも東京湾、大阪湾、伊勢湾、それから鹿児島湾というところに、そういう施設を置くことを要求いたしております。  最後は、この台風に関する研究でありまして、世界においても台風の研究は盛んに行われ、まだ研究すべき余地が十分残っておる次第でありまして、わが国においても、もう少しその台風の学問的の研究を盛んにいたしたいと存じ、気象庁付属の気象研究所に台風研究部を設けたいと存じておる次第であります。  あらかたこれでお答えになると思います。
  132. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 いろいろ科学的に伺いまして、私どもそういう点では安心しておりますが、せっかくこういうような予報をされましても、それを運用しなければ何の効果もありませんので、一つ今後とも、そういうような関係予算については、ここに大蔵次官もおられますけれども、ぜひとも気象庁の問題については十分に一つ検討して、予算をあまりけちけちしないようにしていただきたいと存じます。  それから、今度は三つばかり農林省にお尋ねしたいのでございます。どういう関係だか知りませんけれども、農林省のやった干拓は全部風が吹くたびに倒れてしまう。なくなってしまう。これは福田さんに私聞きたいのでございますけれども、今度私どもの愛知県の干拓は、鍋田干拓と衣浦干拓二つともつぶれました。この前も佐賀県にありましたし、こういうようなことは何か欠陥があるのではないか。現に、私どもの鍋田の干拓は、十年かかって三十余億円、やっとことしから米が四、五俵とれて、まあこれで一安心だということで、家庭を持って第一年を迎えて、ようやくいいところで反五俵、悪いところで三俵くらい米をとりまして一息ついたところで、実は災害にあったわけでありますが、三百三十名のうち百七十名が死んでおります。百六十名生きておりますが、こういうような災害を受けて、私どもの愛知県の中でも、おそらく狭い範囲ではこれほど大きな犠牲者はなかったのではないかといわれているほど、非常に深刻な犠牲がありまして、これは干拓事業としてよほど反省をしていただかなければならぬ問題です。実は、一昨日も、干拓の人が疎開をしておるところへ私行きまして、いろいろおそろしい話を聞きましたが、今なお彼らは、せっかく干拓に入った以上は、生命を賭してやっていきたいというようなことを私に訴えてきました。農林省は今までの干拓のこういう欠陥——建設省の堤防は強いけれども、農林省の堤防は弱いといわれております。弱いからこそ今度のような災害が起きるのでございますが、こういう点についてどういう見解を持っておられるのか。これは将来にわたって重要な問題でありますので、この際農林次官に一つお尋ねをしておきたいのでございます。
  133. 大野市郎

    ○大野説明員 今回の十五号台風によります干拓地の壊滅的な状況に対しましての御指摘でございますが、私も、あの当時即刻現地に飛びまして、単発に乗りまして空からつぶさに現地を見て参りました。なお、その後の農林省の部内といたしましてのこれが被害の確認その他についても、十分に検討をいたしました。御指摘にもございましたが、やはりてんばと裏込めの改良が足らなかった。それで、結局、高潮を全部かぶらぬように防ぐということは、技術上そこまでやるかどうかはまだ問題が残るが、とにかくてんばと裏込めがないということは、こういう高潮にあって初めてこういう惨状を呈したわけで、この点は施工法上の将来改めねばならぬことであるから、改良復旧という形で、農林省は、それらの問題を、将来のためにそういう設計をして復旧をはからねばならぬ。技術的な細目の問題はさらに詰めますが、ただいま基本の方向として部内でそういう話し合いでこの問題を解決したい、こういうことでございます。従いまして、原形復旧ではだめで、改良復旧でなければならぬという原則は、農林省部内は一致してこれを要求する決意でございます。
  134. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 いろいろ問題があって、請負業者の中でも、どうも建設省の方はいいけれども、農林省の請負業者が非常に粗悪だという意見も地元で聞いております。こういう問題も十分検討していただいて、今後かかることのないようにしていただきたいと思います。  実は今度の災害の中で一番大きな問題は、農業共済金の問題をどうしてくれるかという問題と、四分の一の予約金をもらっておりますが、現在大部分の農家はまだ水に浸っております。しかもこれは塩水でありますから、おそらく私たちの方の農業地帯は全滅だと思っておりますが、こういう点についてどういう処置をとられるのか。これは現在まだ水につかっておる人々はそれほどのことではありませんけれども、一応こういう問題も聞いておかないと、あとでわれわれも一々尋ねられる関係上心配しておりますが、農業共済の金はどういうふうにして支払われるのか。あるいは予約前渡金をどういうふうにしていただけるのか。この点を一つ農林省の責任者から聞いておきたいと思いますので、お願いします。
  135. 大野市郎

    ○大野説明員 最初の方の農業共済金の問題に対しましては、概算払いを指令いたしまして、これはそれぞれの機関に通達を出して促進をさしておるのでございます。従いまして、共済の問題は国がタッチしておりますから、これらの支払いにつきましては万全の措置を講ずる所存であります。  それから、ただいま御質問の予約概算金の返還延期その他の問題に対しましては、実は現地からもこれの延期あるいは打ち切りというふうないろいろな要請を受けておるのであります。従来もこの問題は災害が起きますたびに出たのでありますが、その場合も、現実には農業協同組合あるいは農業県連あるいは農業中央会というふうな業界団体の積み重ねがありますので、それらの諸団体の内部操作として、その利子の減免とか代納というような形で従来の災害では処置をして、その仲間の方たちの助け合いという形で実は処理が行われておったのが事実であります。今回はその点が非常に広範囲で深刻でありますので、これらの問題に対してその陳情の趣旨をいろいろ部内でも検討いたしておりますが、今日までの検討では、前例がありませんために、どういうふうにこれを処置したらいいか、まだ部内の意思がきまっておらない段階でございますが、この問題は、払えない者からとろうといっても、それはとれるわけはないのであります。もちろんこれは大きなお金の問題でありますから、部内だけではできないのでありますが、何かここで工夫をせねばならぬということで、前例がないからだめだというのでなくて、善処方を考慮中でございます。
  136. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 最後に、もう一点。  前例がないからといって、前例を作ればいいわけなんです。そうむずかしいことはないわけです。新しいものを作る。これからやる。今度は、今までないことでございますから、いい前例なら作っていただきたいと思います。  もう一つ問題になるのは塩水が入った関係上、来年もこれはとれないと思うのです。これはおそらく二、三年はだめじゃないかといわれておりますが、こういう点について農林省はどういうようにお考えになっておるのか。これは農民が非常に不安に陥っておりまして、名古屋に引っ越そう。——百姓が名古屋に引っ越しても商売にならない。二町歩、三町歩の土地を売って引っ越してもどうにもなりませんが、そういう問題について農林省はどういうような方法で対処していこうとしておるのか、この点もう一ぺんお尋ねしておきます。
  137. 大野市郎

    ○大野説明員 ただいまの除塩作業につきましては、今回非常に希有な例として出て参りまして、特に調査の報告事項として取り上げまして、かたがた現地の陳情もありましたので、今度の災害予算におきましては除塩の費用に対する国家の助成を項目として要求しておりまして、万全を期す所存であります。
  138. 植木庚子郎

    ○植木委員長 横山利秋君。
  139. 横山利秋

    横山委員 管財局長に口頭をもって要望しておいたことにつきまして、御返事を願いたいと思います。  要望の第一点は、罹災地における応急仮設住宅等の建設について国有土地を開放したらどうかということであります。名古屋市周辺にはまだ国有土地がだいぶ残っておるわけでありますが、応急仮設住宅その他住宅建設について、国有土地を開放して提供する気持はないかという点が第一。もちろん、それは、ほかの計画があってなおかつ提供する気持がないかということであります。第二点は、国有機械器具を、今日までの交換条件よりも有利な条件で特別に法律を修正して臨時国会に出す気持はないか。国有機械につきましてはもうすでに残り少いのでありますが、聞くところによりますと、評価が之をするというお話もございますから、この際重ねて申しておきたいのでありますけれども、評価については、罹災地の中小企業者に対しては罹災地の地方自治体が最高七割引でございますが、それに準じて、機械及び工具の交換払い制度について評価を改善して、そうして臨時国会に法律案として上程する気持はないか。また、今日以後アメリカ軍から返還される機械その他の物品につきましては、罹災地に対して優先的にこれを差し向けるという気持はないか。以上三点について先般口頭をもってお答えを要望しておいたのでありますが、その御返事を承わりたいのであります。
  140. 賀屋正雄

    賀屋説明員 お答え申し上げます。第一点につきましては、御承知でございましょうが、国有財産法の第二十二条一項の二の規定がございます。公共団体が生活困窮者の収容の用に供する場合には、普通財産を無償で貸し付げることができる、こういう規定がございます。この規定を今回の台風で災害を受けられた方々の収容の施設に利用する場合に適用されるかどうかという点でございますが、この点につきましては、災害救助法の適用があります地域につきましては、被災者を生活困窮者と見まして、その収容の用に供するための普通財産の貸付につきましては、具体的に御要望がございました場合に、できるだけ御要望に沿うように考慮して参りたいと考えております。  それから、第二点の交換機械の点でございますが、これは価格の問題と量の問題の二つがございます。価格につきまして従来の扱いと異なる有利な扱いをする考えはないかという点でございますが、御承知のように、昭和二十八年の災害のときには、被害を受けました限度において、五割を最高限度といたしまして、交換、貸付あるいは譲渡というような、これは議員立法でございますが、特別な措置が講ぜられたのでございます。これは、今日国有財産特別措置法の九条によりまして、三割五分引で交換をいたします措置ができる前の事柄でございますが、今日では、この現行法、つまり国有財産特別措置法九条の運用を、できるだけ被災者の状況を考慮いたしまして、実情に即した行政措置を行うことによりまして、おおむね目的を達するのではないかというふうに考えまして、ただいまのところでは特別立法をする考えは持っておりません。  それから、今後駐留軍等から返って参ります機械の割当でございますが、先般九月八日に割り当てました際も、東海地区以外にも割り当てましたものが相当あるわけでございまして、これを回せないかというお話がございましたので、さっそく割り当てましたものについて調べてみますと、おおむね地方財務部を通じまして各県に割当が済んでおりまして、各県が具体的な業者の申請書の受付を始めておるというような状態でございましたので、遺憾ながら、先般九月八日に割り当てましたものを他の地域から東海地区へ回すということは、ちょっと無理なような事情でございますが、この際、十台程度留保いたした機械もございますし、またこの九月八日以後に駐留軍から返還になりました機械も四十数台あるようでございます。そのほかまだ今後返ってくる分もございますが、こういったものはできるだけ優先的に東海地方に割当をいたしたいと考えております。そのほか、こういう特別な災害でございますので、従来普通の状態でございましたら交換の希望がなかったような機械でも、この際考え直してやはり交換したいという御希望もあるいは出てくるかとも思いますが、こういった従来の交換に当てました残っておる機械はまだ五千台、工具も相当分残っておりますので、この中から御希望の機械がありますれば、もちろんこれも東海地方にお回しするようにしたい、こう考えております。
  141. 横山利秋

    横山委員 時間がありませんから、お答えを聞くだげにとどめますが、その二番目の話ですが、私は、評価がえについては、現行法を修正して臨時立法を臨時国会に提案しろと言っておるのです。あなたは、その必要は認めない、そのかわり運用で私の言う趣旨は達せられるだろう、こういうふうな御説明のようでありましたが、そういうふうに理解してよろしいですか。たとえば、あなたは、二十八年は五割引。三割五分の前の状況としては五割引の方法があった。そのあったことを頭の中に入れながら、三割五分引の今のやり方を運用によって当時と匹敵するようにしたい、こういうふうにおっしゃったと理解してよろしいですか。
  142. 賀屋正雄

    賀屋説明員 もちろん現行法の三割五分引以上の割引をいたすことは法律上は困難でございますが、できるだけ、評価その他の点につきまして、被災者の窮状を考慮いたしまして御要望に沿うように努力をする、かような趣旨でございます。
  143. 植木庚子郎

    ○植木委員長 春日一幸君。
  144. 春日一幸

    ○春日委員 時間がありませんから、税法について簡単に二、三点について国税庁長官にお伺いをいたします。  今回の伊勢湾台風の被害者に対する国税の減免につきましては、先ほど当委員会の調査室においていろいろと資料を作成いたしてくれまして、それを精読いたしておるのでありますが、何といいましても、かねがね申し上げておりまする通り、わが国の諸税法ははなはだ難解でありまするし、ことにこれを読んでみましても、なかなかわれわれ長年徴税立法に当っておりまする者でも、そのものずばりで判断をすることができないというような、いわば複雑な仕組みに相なっておると思うのであります。調査室が提出をいたしておりますいろいろな資料によりますると、いわゆる災害減免法による減免の受け方と、それから所得税法上の雑損控除によって減免を受ける受け方、所得税関係で、特に事業所得者の場合でも、実際にどれの適用を受けた方が得であるかあるいは不利であるかは、なかなか研究を要するところであるといわれておるわけであります。いわんや、一般の納税者においては、一体どの法律のフェーバーを受けるべきかということは、とてもわかったものではないと思います。いわんや、現在被災直後でありますから、税の問題もさることながら、まず身辺のことということで忙殺をされておりまして、とてもこの研究がここまでは及びかねると思うのでございます。そこで、私が考えまするのに、この際、徴税当局は、何らかの特別の措置をもって、納税者諸君に対して、PR活動と申しましょうか、とにかく、あなたの場合はどの法律の適用を受けられた方が得であるか、少くとも既存の諸法令の間において納税者が受け得るフェーバーの限界について、これを説明、教授することが必要であろうと思いますが、この点について長官はいかにお考えになっておりまするか。国税庁において何らかの措置を構想されておるところがありといたしますれば、その点を一つお聞かせを願いたいと思います。
  145. 北島武雄

    ○北島説明員 今回の災害に対しましては、被害の甚大でありました名古屋国税局、大阪国税局におきまして、それぞれ災害対策本部を設けまして、罹災者に対する災害減免の措置、当面の罹災職員の援護等につきまして遺漏なきを期しておる次第でございますが、罹災者に対するところの災害減免の措置につきましては、国税庁といたしましてまず九月二十九日に国税庁の通達を発しまして、従来の取扱いに従って、罹災者の立場に立って親切にかつ迅速に処理すること、それから、従来とかく給与所得者に対する減免の措置は広報関係がやや徹底しなかったきらいもございますので、今回特に徴収義務者等を通じて給与所得者関係のPRを、さしあたり十月の俸給からすぐ差し引かれる問題でございますので、こういう方面についての広報に遺憾のないように期した次第でございます。特に、この災害の減免措置につきましては、目下だんだん所得税の最盛期になる時期ではございますが、この災害の減免の事務を他の事務に優先して取り扱うというふうに指示いたしております。そこで、名古屋国税局におきましては、この趣旨に基きまして直ちにPR活動を開始いたしましたが、何分にも当初は罹災者の方々は納税どころの騒ぎじゃないということで、税務署への相談にもお見えにならなかったのでございますが、最近どうやらぼつぼつお見えになるようでございますので、名古屋国税局では二、三日前に街頭に進出することにいたしまして、熱田区の内田橋におきまして、街頭の罹災者に対する納税相談所を開設いたしました。これが大へんな御好評のようでございますが、各税務署におきましても、この方針に従いまして、親切にわかりやすく敏速なPRをいたすということにいたしておる次第でございます。
  146. 春日一幸

    ○春日委員 当面のすべり出しといたしましては、そのようなところからお始めを願うべきであろうと思うのでありますが、ただ、私どもが心配をいたしますのは、それぞれ納税者が申告書の提出を行なって、そこでいろいろと減額してもらったり、査定をし直してもらったり、清算をしてもらったりすることについて、一体どの法律に準拠すべきか、自分の立場としてはどれが得であるか、提出する前に知らなければならないこと、これがまず多かろうと存ずるのでございます。ただいま長官からお聞かせをいただいたところによりますと、内田橋へ局みずからが出動して、大衆を相手にその相談に応じられる態勢が組まれたということは一歩前進でございますが、実は、午前中も、私どもは、国民金融公庫の貸し出しについて、その能率を高めるために一つの試案として申し上げましたことは、少くとも全国の八十の支所から一人ずつ応援を繰り出せば八十人、五人ずつ応援を繰り出せば四百人という人員が確保できるではないか、そういうような特別異常の措置を講ずることを必要とする段階であるということを強調いたしたところでもあります。なおかつ、そのことによって公庫そのものの運営に支障を来たすようなことがあるならば、民間金融機関の協力、同調を求めて、そのような人的資源の確保をはかってはどうかというような希望も述べたところであります。従いまして、税の問題は何といったところで徴税吏員でなければわかりませんし、あるいはまた税理士関係諸君の協力を求めれば、いろいろな協力態勢もそこで構成ができると思うのであります。でありますから、私がこの際申し上げたいことは、いずれの税務署も、その所定の定員だけで、余分というものはそんなに準備されていないでありましょうから、従ってしょせんは手不足になる。手不足になれば、要望されているところのPR活動というもの、知らしていただくということがなかなか充足いたしがたい。でありますから、私が長官に申し上げたいことは、政府が復興資金の供与であるとか災害復旧のためのそれぞれの措置をとってはいるが、同時に、彼らから取り上げなければならぬ金は法律によってそれぞれの減免が受けられる、徴収の猶予が受けらるれということであるならば、そのことをまず知らしめることによって、並行的な実際効果を確保していただきたいと思うのであります。従いまして、この際全国の徴税吏員の中から何らかの人員をはみ出して、そうしてこれを東海地帯の被災現地に特派していただいて、これらの要員をしてもっぱらその減免に関するPR活動に当らせる。それは一般の名簿がありますから、納税者に対して、あなたのところはこうやった方がよろしい、あなたのところはこうやった方がよろしいといって、進んで——一つ一つ手をとってということには参りかねるでしょうけれども、少くとも税務署単位において、相当の人員をもってその相談に当ることができるように、進んで彼らにその道を教えてやることのできるように、そんな態勢を作ってもらいたいものだと思うのでありますが、これに対して長官の御所見はいかがなものでしょうか。
  147. 北島武雄

    ○北島説明員 PR活動につきましては、お説の通りに、できるだけ早期に、かつ納税者のすみずみにまで渡るようにすべきであると思います。そこで、名古屋国税局におきましては、当初からその方針で、まず全般的なPRをいたしまして、それから相次いで被害の甚大でありました税務署に対しまして、比較的軽微だった署から応援隊を出しております。それとともに、各税務署におきましても、当面災害滅免の事務を優先的に処理する、こういう方針でただいま進行いたしておりまして、現在のところそれによって大体まかない得るのじゃないかと私は思います。もちろん、状況によりましては、必要に応じて、お話のような措置もあるいは考えなければならぬかとも存じますけれども、ただいまのところでは、よそから知らない土地へ行きまして応援いたしましても、必ずしも十分に成果が上るものでございませんから、名古屋地方あるいは三重県県下におきまして、それぞれ税務署が相互いに罹災被害の甚大であった税務署を救援する、援護する、こういう建前で進んでおります。
  148. 春日一幸

    ○春日委員 大体において大まかな筋では御理解をいただいたと思うのでありますが、いずれにいたしましても、応援態勢はしいているといったところで、それは度合いの問題でございましょう。国民金融公庫が名古屋支所に十五名の応援を本部から出したというのでありますが、われわれの見解をもってすれば、十五名や三十名では問題の処理ができるものではない、こういうことで、さらに飛躍的な増員を要望したところでございましたが、税務署についてもこのことは言えると思うのであります。少くとも、被災地の税務署においては、減免が受けられる納税者に対して、あなたの場合はこの申請書で出した方がいい、あなたの場合はこの法律に基いてやった方がいいという教え方をしてやるということが、実際の災害復旧の中において役立つことであろうと思うし、法律の愛情はそこまで及んでいいと思うのであります。そういう意味で、私は、今後とも形式的な動員ということでなしに、実質的なそういう援助態勢をさらに高度に組まれることを強く要望いたしておきたいのであります。私どもは、長い間りこの徴税立法をいろいろとやっておりまして、調査室が作成してくれました相当くだけた諸資料でありますけれども、なおかつなかなか判断しかねるところがあります。いわんや、納税者においては、とてもとてもどうしていいのかわからぬというのが実情ではないかと思いますので、この点を十分ごしんしゃくの上、適切妥当な方途を講ぜられんことを強く要望いたします。  次いでお伺いいたしたいことは、徴税吏員の被災者に対する国税庁としての救済がどの程度に行われているかという点についてでございます。われわれの承知いたしておるところによりますと、このほど被災者に対しては若干の見舞も出されたかのごとくではありますし、なおその住宅施設の被害部分については、それぞれ局において資材を購入し、住宅の復旧手当等もなされておるようでありますが、しかし、公舎に住んでいないところの多くの徴税吏員に対してどういうような手段が尽されておるか。問題はここにあろうかと存ずるのでございます。申し上げるまでもなく、徴税吏員は特殊な任務を持っておりますし、従いまして、少くともその衣食住というものは安定した形でないと、とかくあってはならない間違いが生じがちでございます。従いまして、この際公舎に住んでいるところの徴税吏員に対しては、公舎自体が国の建造物であります限り、国の措置によってその復旧がすみやかに講じられたが、しかし、自分の家から通っている徴税吏員に対してもし何らかの救済が行われないといたしますと、やはりそこにアンバランスを生じてくるのみならず、徴税吏員たる特殊の職務からいたしまして、これはときに危険な要素になり得ないものとも断じがたいのでございます。私どもは、このことをおもんぱかると、やはり徴税吏員たる被災者に対しては、国税庁は当然必要にして十分なる救済措置を講じなければならぬと思うのでありますが、これに対して国税庁はどういう措置をとっておるか、お伺いをいたしておきます。
  149. 北島武雄

    ○北島説明員 名古屋国税庁の罹災職員に対する救援状況をざっと申し上げますと、まず罹災職員、家族に対するたき出しから救助の物資の送付、それから共済組合法によるところの災害見舞金、災害救助費の給与、災害貸付金の貸付、それから必要な物資、ふとん等の貸与あるいは衣料品の送付等をいたしておりますが、特にお話のございました罹災職員の住居の問題であります。この点につきましては、とりあえず四つの場所——従来国税局で所管しておりました三つの場所と、それから新たに財務局から借り受けましたキャッスル・ハイツにとりあえず罹災した職員及び家族を収容しております。ただし、これがあとの始末につきましては、国家公務員宿舎に入られている方には、直ちに予算を要求いたしまして、暫定的に手持ちの予算でもって修理して、入居を可能ならしめるとか、従来国家公務員宿舎に入っておらなかった方、すなわち自宅に入っておられた方に対しましては、何とかやはり新しく管財局にお願いいたしまして、国家公務員の宿舎の設置をお願いしなければ工合が悪いのではないかというようなことを考えております。管財局にも現在事務的に折衝いたしておる次第であります。
  150. 春日一幸

    ○春日委員 私どもがしばしば国政調査で現地へ参りまして、それぞれ国税局から要望されますことは、国の財源乏しくして、何といっても徴税吏員の住宅の問題が隘路になっておることをしばしば訴えられておりました。平時においてしかりであります。いわんや、今回のようなこのような大災害が起きますと、その住宅問題は相当のウエートを持ってやはり考えていただかなければ、問題の解決にはなり得ないと存ずるのでございます。応急の手当として、いずれかの場所をきめて、そこへ一応応急の収容をされておるということでございますが、これは彼らといたしましてもしょせんはそのようなところに永住できるわけでもありませんし、できることならば何とかし、て自宅を復興したいということであろうと思うのであります。でありますから、私この際申し上げたいことは、おのずから財源もあり、困難も伴いましょうけれども、官舎に住んでおる者と自宅通勤の徴税吏員との間において、その措置がアンバランスにならないように、できるだけ自宅から通勤しておる罹災者についても、その住居を確保することのために必要なる救済をやっていただけるように、特別な考慮を願わなければならぬと存ずるのでありますが、長官はいかようにお考えになっておりますか。今ここでやるという即決の御答弁を得ることは困難でありましょうけれども、しかしながら、どういう方向に向ってあなたは御努力されておるのか。これは非常に重大な問題であると考えますので、この際御見解を承わっておきたいと思うのであります。
  151. 北島武雄

    ○北島説明員 御趣旨はよくわかります。国家公務員宿舎に住んでおる者は、一応とにかく国家公務員宿舎の関係の国費でもって修理してもらえるが、そうでない自宅に入っておる者はできないわけでございます。これに対しましては、必要な物資のあっせん等を積極的に名古屋国税局で現在行う計画を立てております。もちろん、国家公務員共済組合法に基くところの共済見舞金、貸付金はフルに活用いたします。そのほか、国税局においても、必要な物資をできるだけそういう方々にも有利にあっせんする、こういう方法を考えております。その他具体的な処置につきましては、ただいままだ申し上げるわけには参りませんけれども、できるだけ御趣旨のような方向に沿っていきたいと思っております。
  152. 春日一幸

    ○春日委員 いろいろありますけれども、なお小松君の時間がありますので結びますが、申し上げました通り、あちらでは税金の問題がまだ頭に浮んでこないほど、ことほどさように身辺が非常に混乱をいたしておるのであります。しかし、法律の適用を受ける機会を失する形にもなりますので、できるだけ一つPR活動に万全を尽してもらいたい。そのためにPRの要員を確保してもらいたいという一点と、今申し上げましたように、単なる物資のあっせんというような限界にとどまらず、共済組合その他の融資だけでは足らないような面もいろいろあるでありましょうから、少くとも国税庁の職員として、その職務を遂行するために後顧の憂いのない態勢で立ち働けるように、万全の措置を講ぜられんことを強く要望いたしまして、私の質問を終ります。
  153. 植木庚子郎

    ○植木委員長 横路節雄君。
  154. 横路節雄

    ○横路委員 住宅金融公庫の貸付部長の方にお尋ねをいたしますが、今度の災害で、農漁民、とりわけ漁民の方で、この十四号、十五号台風でうちが流されてしまった、あるいはうちがこわされてしまった、完全に崩壊してしまった、こういう場合に、その土地の住宅金融公庫の資金をぜひ貸してもらいたいと、災害を受けた、漁業を営む人々が言っていきますと、月収一万六千円以上でないと貸さない。こういうことになりますと、実際には、災害を受けた漁民の人々の中には、年間十二万円ないし年間十八万円、こういうのが今日の凶漁地帯の沿岸の人々の生活の実態なわけです。月収一万六千円以上でなければだめだということになりますと、年収約二十万くらいになる。ところが、年収十二万から最高十八万くらいまでの零細な沿岸漁民は結局は借りられない。そこで、どこから借りておるかというと、家が流されてしまった、家が崩壊してしまった。しかしこの冬を迎えて建てなければならぬというので、結局は個人から相当高い金利で金を借りておるわけです。私たち、実際にその災害地の役場に行ってみますと、何とか住宅金融公庫の方から貸してもらえないものだろうか。どうしても一万六千円以上でなければだめだというならば、村役場の方で議決をして、損失補償をしてもよろしい、こういうような意見も相当あるわけです。前の各委員の方からそれぞれ住宅の問題については質問もあったと思いますけれども、私は、住宅金融公庫から貸付を希望されているそういう零細な沿岸の漁民の人々に対して、住宅金融公庫としてはどういう措置を今回とられようとしているのか。その点についてお尋ねをしたいと思うわけです。
  155. 江ケ崎太郎

    ○江ケ崎説明員 お答え申し上げます。全壊流失されました住宅に対しましては、災害復興住宅の建設資金というものをお貸しする、こういうことになっております。ただいま月収一万六千円以上でなければお貸ししない、こういうように言われましたけれども、私どもとしてはそういうような考え方ではございませんで、申込者の資産の状況、収入の状況、生活程度、こういうものを勘案いたしまして、償還能力を客観的に判断し得る、こういうような具体的な根拠を市町村長に証明していただきまして、これで検討してお貸しする、こういうことになっておりまして、私どもといたしましては、修繕並びに建設につきまして、元利合せて三年間あるいは一年間の据置期間があるのでありまして、その終った後におきまして、最低元利合せて千円程度の支払い能力がある、こういうことを考えております。それは、今申し上げましたように、申込者の資産とか収入とかいいまして、それから生活費を引きますとどの程度払えるか、こういうことを考えまして償還能力を判断するというように指導いたしておりますので、一万六千円以上でなければ必ず貸さないといったようなことはないのじゃなかろうかと思っておるのでございます。
  156. 横路節雄

    ○横路委員 今貸付部長の方からは月収一万六千円以上でなければ貸さないということはないというお話ですが、この間現に私は災害を受けた村に行きまして、役場の理事者、罹災者に集まってもらって話を聞くと、住宅金融公庫を代行している金融機関では、月収一万六千円以上でなければだめだというわけです。これは事実なわけです。それから、今あなたから元利合せて月に千円返済する能力、しかもこれは三年間の据え置きあるいは一年間の据え置きというが、そうすると、元利合せて毎月千円というのは、一体どの程度貸すというわけですか。その点と、それから、あなたの方で月収一万六千円以上ということはない、元利合せて月千円で三年据え置きでよろしいのだということになると、だいぶ現地の代行の金融機関とは話が違うわけです。そこで、まず元利千円ということになると、何年間の償還でどれだけ元金を貸すことができるのか。その点一つお聞かせいただきたい。
  157. 江ケ崎太郎

    ○江ケ崎説明員 どうも、こまい計算でございますので、ちょっと計算しにくいのですが、建設について十八万円程度借りますと、最初の月は千八百円くらいになるわけです。従いまして十五万円程度じゃなかろうかと思うのです。
  158. 横路節雄

    ○横路委員 十五万円を貸して元利償還が月千円程度になる。そうすると、元利千円程度返済することができる能力というのは何で判断されますか。たとえば資産といっても大体家を流されてしまったわけだ。それから、あと農林漁業金融公庫の方にお尋ねしますが、漁船漁具も全部流れているわけだ。そうすると、あとは資産というても土地ですが、零細な沿岸漁民ですから、土地は大したことはないわけです。そうすれば、何で判断をなさるのか。今あなたとしては月収一万六千円以上ということには決してなってないということですが、そうすれば、一体どの程度の月収であればいいのか。その点を一つ明らかにしていただきたい。
  159. 江ケ崎太郎

    ○江ケ崎説明員 今申し上げましたように、十八万円借りますと、大体千八百円程度になりますので、それに六倍ということになりますから、一万八百円ということになるわけですが、ただ、農村、漁村等におきましては、自家用の野菜とか、あるいは食糧というようなものを作っております。従いまして、都市における俸給生活者とは違う、こういうように私ども考えております。そこで、収入から生活費を引きまして、その残りで償還いたす能力があればよろしい、こういう考え方で災害復興住宅の貸付はしておるのでございます。
  160. 横路節雄

    ○横路委員 その場合に、代行の金融機関で、これはなかなか返済は容易でない、こういうように考えて渋っているのが現状なんです。そこで、町村役場としては、町村自体が損失補償といいますか、債務保証をしまして、そうして町村において責任を持って借り、返済ができるようにいたしたい、そういうような措置をしてもらいたいというのが、災害を受けた町村の——地方自治体としては、個々の農民や漁民が折衝したのではなかなか容易でないので、ぜひそういうように、町村としての、自治体としての損失補償という形で受けたいのだ、こういう要求が非常に強いわけですが、こういうようなやり方についてはいかがですか。
  161. 江ケ崎太郎

    ○江ケ崎説明員 元利の償還に関しましては確実な保証人をつける、こういうことに業務方法書できめられております。従いまして、連帯保証人を必要といたすのでありますが、地方公共団体が保証いたします場合におきましては、地方分共団体とも協議いたしまして、連帯保証人を必要としない、こういうようにおっしゃいますれば、連帯保証人を必要としない、こういうことで指導しておるのでございます。そこで、ただいまの御質問は、償還能力が若干薄い、しかし地方公共団体が保証したら、それで貸したらどうだろう、こういうお話のように伺いましたが、その点は私どもとしてそういうような措置を講ずるということにいたしております。
  162. 横路節雄

    ○横路委員 それでは、今お話しの通りども了解いたしました。そこで、これからそれぞれ災害を受けた農村、漁村におきまして、今お話しのように、住宅金融公庫、その代行の金融機関に個々の農民や漁民においていろいろ問題のある場合においては、地方公共団体が協議をして、地方公共団体がいわゆる損失補償をする、その場合には連帯保証人は要らない、こういうように御指導なさっているというのですから、それでは、私たちの方も、災害を受けた市町村に対してそういうように連絡をしまして、これは都市の住民もさることですが、とりわけ農民や漁民において災害を受けた人々は、一番これらの問題について困っているのですから、なお月収一万六千円というのが、あなたのお話では、十八万円借りる場合には一万八百円程度、収入からまず生活費を差っ引いて、千八十百円程度償還できればいいのだ、こういうことでございますから、それでは、私どもその話で了解をいたしまして、住宅金融公庫関係はこれで終ります。  次に、農林漁業金融公庫の中沢理事お尋ねいたします。十四号、十五号台風で同じく沿岸の漁村において漁船がすっかりこわされた、あるいは全く流れてしまった、あるいは漁具も完全に破壊された、漁網も全く使えなくなってしまった、いわゆる生活のかてになるべき生産手段を全く奪われてしまった、こういう状態にあるわけです。ところが、そういう漁村に限って、今度は漁業協同組合から、あなたの方の農林漁業金融公庫を通して長期の低利資金を借りようとすると、あいにくそういうところでは今まで何べんか災害を受けておる。そこで前の災害資金についてもなかなか償還が容易でない。たとえば二十九年のときも十五号台風で相当痛めつけられた。今度もまた十四号、十五号台風を受けた。そうすると、二十九年から数えてわずか五年間ですから、凶漁地帯ではなかなか返還も容易でない。そうすると、生産手段も全く奪われたのに借りようとすると、お前のところの漁業協同組合はまだ前の災害のときの資金も返還されていない、だからそれを返せ、返せば貸しますよということになる。それが私は実情だと思う。  そこで、まず第一にお尋ねしたいことは、今度の災害を受け、生産手段を奪われて漁民は困っておる。そういう場合の漁船だとか漁具、漁網を取得する場合に、前の災害資金が返済できなくてたまっておる。あなたにお尋ねしたいのは、今回の災害は特別な災害ですから、前の災害資金が返還できなくても、今度の災害については別途貸付をするというようにあるべきが私は至当だと思うが、その点あなたの方ではどういうような方針で臨まれるのか、その点を一つお聞かせをいただきたい。
  163. 中沢忠作

    ○中沢説明員 お答えいたします。私どもといたしましては、生産手段を奪われた人に対しては、できるだけその人たちが生産手段を手に入れるような資金をお貸しいたしまして、長くかかってその金を返していただくという見通しを立てられれば、私どもとしてはできるだけ御融通申し上げたいと思っております。
  164. 横路節雄

    ○横路委員 それではあまりに抽象的なんです。私の聞いているのは、前の二十九年に、たとえば北海道を初め全国的に吹いたスピード十五号台風がありました。その後も毎年台風がある。そこで、同じように生産手段を奪われた人々に対して、農林漁業金融公庫を通して長期の低利資金を貸した。貸したけれども、また台風が来てまた奪われてしまった。前の資金についてはまだ償還していない。あるいは一部償還の期限がきたのに返せなくて、延滞利子もかかっておる。そういう場合に、あなたの方で、前のを返さないから今度は貸さないというのか。前のは前のでそういうように償還期限のきているものと、あるいは一部支払いが延滞しておるものについても、今度の災害については、そういう生産手段を奪われた者に対しては貸すというのか。その点をまず第一番目にお尋ねしておる。
  165. 中沢忠作

    ○中沢説明員 どうも相済みませんでした。お貸しするという原則で私ども処理したいと思います。ただ、その場合に前提とするのは、この前の延滞になったものと、今度のものと合せて、あくまで再建計画と申しますか、償還という計画を御当人がお認め下さって、そして努力していただくという計画の前提が、私どもの貸し付けるということの前提になろうかと思います。それさえ御当人のお心がけ並びに組合全体の意欲といいますか、そういうものとのかね合いにおいて、私どもとしては、必ずしも、前のものが延滞になっているからということだけで、お断わりすることはないようにいたしております。
  166. 横路節雄

    ○横路委員 その場合に、当然これは漁業協同組合を通して貸すわけですね。これは町村に漁業協同組合がございますけれども、それを通して農林漁業金融公庫からずっと系統を通していくものだと思うのです。ところが、実際には、漁業協同組合の経営がうまくなくて、非常に赤字が累積をして、実際は半身不随だというところもある。そういうところにまた災害が起きてくるわけです。漁業協同組合は赤字で全く半身不随だ。しかし漁民は生産手段を言われて生活ができないので、何とか、そういう場合において、地方自治体がこれまた債務保証を責任を持ってするから、別途そういうような系統金融から金が借りられるようにしてもらいたいというのが——また実際には、その赤字の漁業協同組合をかかえた町村役場の、自分の漁民に対して非常に困っている点なんです。この点はどうなんですか。
  167. 中沢忠作

    ○中沢説明員 お話の点、私どもの方の取扱いといたしましては、組合のものと、それから個人みずからが漁船の取得資金あるいは漁具の取得資金を借りる場合と両様ございます。先生の今のお話は、組合転貸の場合について組合自体が非常に経営がよろしくないのだ、こういうケースでございますが、そういうケースにつきまして町村の保証ならば貸すかというテーマにつきましては、私今ここで必ずしも百パーセントよろしいことになるのではなかろうかというような即答は申し上げかねるわけでございます。大へん恐縮な話ですが、私その方の直接の担当者でございませんので、よく研究をさしていただいて、お役所の方とも御相談させていただく余裕をいただきたいと思うのでございます。
  168. 横路節雄

    ○横路委員 そうすると、個人個々について、先ほど住宅金融公庫では、都市においては月収一万六千円以上でなければ貸さない。しかし今別途こういう災害を受けたので、十八万円の場合は一万八百円でもいい。これは住宅に対する一部補修でございますけれども、しかし漁船、漁具、漁網ということとなると相当の金額です。個人の場合、当然地方自治体としてはその点について損失補償をする。こういう場合にはどういうことになりましまうか。
  169. 中沢忠作

    ○中沢説明員 個人に対して公共団体が保証するというケースは、私の記憶では今まであまりなかったことでございます。町村の保証というケースが前例としてないだけに、私の方としましても、今ここで先ほどの答弁を繰り返すようで恐縮でございますが、にわかにそれがよろしい方法だとか、あるいはむしろいけない方法だとかいうことを即答申し上げるわけにいかないので、よく研究さしていただきたいのでございます。
  170. 横路節雄

    ○横路委員 それでは、住宅金融公庫の方では、地方自治体が債務保証をした場合には、いわゆる個人についての連帯保証人は必要としない、地方自治体で債務保証をしておる場合、住宅金融公庫では今度の災害については貸付をする、こういうように言うておるわけでありますから、ぜひこの点は、農林漁業金融公庫においても、一つ別途に考慮してもらいたいと思う。これは、いずれまた二十六日から国会が始まりますから、一つ出席していただいて、これについて答えていただきた  もう一つ、この問題と直接関係はないのですけれども、去年一年間でソ連に拿捕された漁船は百三十隻だ、こう言っておる。ことしになって拿捕されたのは七十隻だ。これは現にソ連の十二海里であるという領海に入って拿捕されたわけです。これは、漁業経営者にして見ると、この場合何とか別に農林漁業金融公庫から——もちろん漁船保険はかけておりますよ。かけていますが、残りの支払いに充てるわけです。こういう場合は、別途ぜひ一つ、特別措置としてあなたの方から長期の低利資金を貸してもらいたい。こういう特別の問題、これは国と国とのいわゆる外交問題、平和条約が結ばれていれば、この問題は根本的に解決できるのに、これができていないために、こういう問題が起きるのだ。いわゆる国の政治上の欠陥によってこれは起きるのだから、払わないというのではないのだから、農林漁業金融公庫で長期の低利資金をぜひこれは貸されるのが至当ではないか、ぜひそういうふうにしてもらいたいという希望が強いのですが、この点どうですか。この点も合せて、この次の委員会までにあなたの方の中で検討されるならば、ぜひ一つ検討してもらいたいと思いますが、どうですか。
  171. 中沢忠作

    ○中沢説明員 お答えいたします。先生御記憶かと思いますが、昭和三十二年であったかと思うのですが、李ラインで拿捕された漁船について特別法が制定されまして、うちの公庫資金がそれに出たことがございます。今のお話はそれに非常に類似したことでございまして、私単に公庫のものといたしましてこのことをお話し申し上げることよりも、むしろ農林省なり大蔵省なり大きな政府の問題として処理していただいた方がいいのじゃないか。大へんどうも口幅ったいことを申し上げますが、ちょうど三年前に李ラインで期限付のそういう取扱法が出た前例がございます。もちろん御趣旨の点はさっそく主務官庁の方とは御相談いたすつもりでございますが、公庫の役人といたしましてはちょっと問題が大きいのでございます。私どもの気持といたしましては、この前と同様に扱っていきたいと思っておりますが、ちょっとテーマが大き過ぎるのでございます。
  172. 横路節雄

    ○横路委員 実際は船の建造資金ですから、あなたの方で長期の低利資金を貸してもらわなければならない。ですから、農林省、水産庁との間に協議も必要とするでしょうが、なお次の二十六日以降の大蔵委員会で重ねて御出席いただいて、先ほど申しましたように、去年百三十隻、ことしだけですでに七十隻といわれて、沿岸の漁業経営の諸君は非常に困っている現状ですから、その点ぜひお調べをいただいてお答えをいただきたい。  それでは、農林漁業金融公庫はそれだけにして、次に食糧庁長官お尋ねをしますが、米穀配給制度改善協議会というものが設けられて、第一回を八月の十九日に開催をして、その後何回かお開きになられたようです。そこで、いよいよ十一月の一日から新米穀年度が始まるわけですが、十一月一日から米の配給について、皆さんの方で外部に出された米配給制度改善協議会の意見の中に、計算上の便宜を考えて、一人一日当り三百六十五グラムの配給量を月何キロにするのだというふうに、いろいろそこに書いてございますが、大体新米穀年度あとわずかになったわけで、この十一月一日からあなたたちの方で考えられている配給の改善というのは、どういうような方向を進まれるのか、その点についてお尋ねをしたいと思います。
  173. 須賀賢二

    ○須賀説明員 ただいまお尋ねの新年度からの米の配給改善の考え方でございますが、これは、過般来、農林省内に外部のそれぞれの関係者をもって構成をいたしました米の配給制度改善協議会におきまして、数回にわたりまして御検討をいただいたのでございます。その検討の結果も取り入れまして、ただいま新年度から実施を予定いたしておりまする事柄について、目下その具体的な実施方法等について検討を進めております。従いまして、それらがそれぞれ整いました段階におきまして、正式に新年度からの配給改善の事項等を外部にも発表いたすのでございますか、一応われわれが新年度から予定をいたしておりますものの主要なるものにつきまして簡単に申し上げますと、その一つは、新年度から一般配給につきまして約一日半分程度の内地米の増配をいたしたいと考えておるわけでございます。現在の内地米は一カ月当り十五日の配給になっておるのでございます。これを十六・四日分の配給といたしたいと考えております。それに伴いまして、従来一日当り三百六十五グラムという計算になっておったのでございますが、これをキロ建に変更いたしまして、一人一カ月六キロの配給にいたしたいと考えておるわけでございます。  次に考えておりますのは、現在なお外食券制度制度としては残っておるのでございます。これは特に東京都においてなお実際に使われておるのでございます。その使われておりまするおもなる場所は、入院患者の給食用に使われておりまするものが約七割ございますので、新年度からは、入院患者に対しましては入院患者用の米を病院に特配することにいたしまして、特に長期に入院をいたします方を除いては、病院で給食を受ける場合、外食券は必要としないようにいたそうと考えております。それによりまして、現在使われておりまする七割程度の外食券は事実上要らなくなるわけでございます。残りは、現在東京都において、あるいは民生食堂でありますとか、あるいは学生の食堂でありますとか、そういうようなところになお利用されておるのでございます。これは、東京都の意見を聞いてみましても、なお現在の段階においては残しておいてもらった方がよろしい、残しておいてもらいたいというような希望もありますので、東京都におきましては、外食券制度は、そういう部面においてなお使われております限り、これを制度として残しておくつもりでございます。その他の部面につきましてはほとんど使われておらないのが実情でありまするので、特に当該府県の知事から要請のある場合を除きましては、外食券制度制度としては廃止をして参りたい、かように考えておるわけでございます、  それから、三番目に申し上げておきたい点は、現在一般の外米は一応十五日の割当配給になっておるのでございますが、最近食糧事情が好転して参りましたような関係もございまして、十五日分の割当の外米は地方によりましてはきわめて受配率が低いわけで、そのような状況にありまするので、一般の外米、普通外米につきましては、新年度からは購入通帳によらないで、消費者が必要と考えまする量を適時米の小売店から購入できるようにいたしたいと考えております。  その他、現在の流通組織の問題に関連をいたしまして、消費者の側から米の小売店の配給店舗の登録がえを希望されておる声があるわけでございます。御承知のように、現在米の配給は登録をいたしておりまする配給店から受けることになっておるわけでございますが、この登録は一定期間は固定をいたしておるわけでございます。現行の制度では、年に二回登録がえをいたすことができる制度になっておるのでありまするけれども、実際の運営では必ずしも消費者に便利にできておりませんので、現在の制度よりもさらに簡易なる方法によって、消費者が登録配給店を変更いたしたいというような場合には、変更ができるようにいたしたいと考えておるわけでございます。  おもなる事項は以上のような数点でございまして、いずれも準備が整いますれば新年度から実施をいたしたい、さように考えておる次第であります。
  174. 横路節雄

    ○横路委員 今のお話で大体わかりましたが、この点はどうなっているのですか。集荷及び配給の円滑化をはかるため、県内の事情により、県単位でいわゆる傾斜配給を認める。いわゆる生産県には配給日数——今のお話ですと、一・四日分は全部ふえたようですが、しかし、県内の事情によっては傾斜配給を認めてはどうか、という意見も皆さんの中にはあったようですが、その点消えてしまったというのか、さらに検討しておるのか、その点はどうです。
  175. 須賀賢二

    ○須賀説明員 傾斜配給の点は、配給改善協議会におきましても相当議論のあった点でございまして、協議会の議論といたしましては、むしろ、県内において傾斜配給ということを考えるよりは、生産県と大消費地というような関係において、こういう考え方はできないかというような意見も強く出されたのでございます。しかしながら、現在のわれわれの操作からいきますと、そういう傾斜配給は現実の操作として非常に困難な状況にありますので、現在の段階におきましては、先ほど申し上げましたように、一般的に今回一日半分の増配をいたすことと並行いたしまして、特殊の生産県で県内操作上若干米にゆとりがあるというような県につきましては、個々に農林省と当該都道府県とで協議をいたしまして、そういう地区につきましては、県内傾斜配給も認るような考え方で進めたいと考えております。
  176. 横路節雄

    ○横路委員 次に、価格の問題について長官にお尋ねをしたい。なお、御一緒におられる経理部長からあとで特に伺いたいと思います。  新米穀年度が間近になっておりますから、それで特に私はお尋ねをするのですが、実際には、生産県であるとして指定をされて、県外に米を相当多く移出している。だからその県は明らかに生産県である。ところが、生産県であるということになると、十キロ当りの消費者価格が八百三十円であるべきものが、生産県なのに、依然として、いわゆる消費県といいますか、そのうちの中間県として十キロ当り八百五十円で、今までいわゆる一般の消費者はその配給価格で受けていた。それが一年くらい生産が高まったというだけであれば、それは安定していないとか、固定していないとかいうことになるかもしれませんけれども、ことしの豊作も、すでに豊作ではなしに、これは平年作なんだ。だからすでに米の生産はそれぞれ安定をしてきた。だから今日生産県も三年も四年も続いて県外に移出しておる。それであるにかかわらず、消費者の価格は、生産県としての十キロ当り八百三十円の消費者価格ではなしに、中間県としての八百五十円で受けているところが相当あるわけです。この点については、この新米穀年度から、その生産県としての実態に合せて、消費者価格も十キロ当り八百三十円にすべきだと私は思う。これは一月前の九月十一日の当委員会で経理部長にお話をして、この次の大蔵委員会までに一つ食糧庁としての態度をおきめいただいて、ここで御答弁を伺いますからということになっておりましたので、これは長官よりも経理部長の方に御答弁していただいた方が妥当かもしれませんので、長官からでもいいけれども、部長からその後部内でどういうふうに検討されたか、それを明らかにしていただきたい。
  177. 須賀賢二

    ○須賀説明員 前回私が農林委員会の方に出ておりました関係上、経理部長からかわってお答えを申し上げたのでございますが、この消費者価格の地域別区分につきましては、これをどういう基準で設けたかというその基準等につきましては、前回経理部長から御説明を申し上げておると思いますので、この際それを繰り返すことを省略をいたしたいと思いますが、要は、三十二年の十月に消費者価格の改定をいたします際に、いろいろ各県におきまする配給外の米の価格の状況等も、それぞれの県の事情によりまして、相当変って参ったのでございます。それらの状況を一定の基準で織り込みまして、この四段階の地域別格差が配給価格につけられた。その際、総体といたしましては、当時の平均で消費者価格は八百五十円という平均価格に計算をされておるわけでございます。現在、三十二年十月に設定をいたしましたこの消費者価格の基準は、三十四米穀年度、この十一月から始まりまする米穀年度につきましても、これを踏襲することにいたしまして、八百五十円の平均で算出されまする価格に基いて、各地域別の配給をするという建前を維持しておるわけでございます。しかしながら、三十二年十月にきめました当時、その県が自給県であるか、県外から米を受け入れる県であるか、また当時の配給米の受配率がどういうふうになっておったかというような各要素につきましては、県によりまして、当時の状況と相当変っておるわけでございます。できれば、適当な機会にその後の状況の変化を織り込みまして、全面的に再検討をいたすのが筋合いであるかと考えます。しかしながら、そういたしますと、現実の問題といたしまして、一部の府県につきましては、消費者価格が現行水準よりも若干の引き上げを伴うというような事態も予想をされるわけでございます。そういうことは、さしあたり消費者価格を引き上げないという基本の考え方に立っておりまする以上、極力これを避けなければならないわけでございます。さような角度からいたしますと、将来消費者価格の改定等がありまする機会がありますれば、その機会に全面的に検討をいたすことといたしまして、現段階におきましては、大幅な地域区分の手直しということは、実際問題として避けなければならないと考えておるわけでございます。しかしながら、特定の府県につきましてはその後の状況の変化が非常に大きいというような関係もありまして、若干の府県より、この地域区分の変更につきまして、かねてからいろいろ御要請もあるわけでございます。われわれといたしましては、全体に影響を与える度合い等を十分検討いたしまして、必要な最小限度の手直しは、場合によれば、やむを得ないかと考えておるのでありますが、それらにつきましては、目下、部内におきましても、どの辺のところに基準を設け、どういう範囲で具体的にどういうふうに考えるかということにつきまして、鋭意検討をいたしておる段階でございます。
  178. 横路節雄

    ○横路委員 今の長官の御説明なんですが、その説明の中で納得のできない点があるのです。それは、この前も経理部長にお尋ねをしたのですが、これはいわゆる消費物価の平均指数を出して、それからたしかやみ米の価格というものもその中に入っておる。そこで、今長官からは、手直をしたいが、そうすると若干の県では逆に消費者価格を引き上げなければならぬ、消費者価格については引き上げはしなという方針だから、それは手直しできないのだ。最後には、特定の県については、というお話がございましたが、基本的な考え方としては、逆に言えば、若干の県については引き上げをしなければならない。しかし、下げなければならない県もあるが、それについてはこの際据え置くということになるならば、これは私は説明しては妥当ではないと思います。やはり、私は、それぞれの当該県において、農民が一生懸命精を出して増産をして、そうしてそれぞれの県が今まで他の県から移入をしておったが、農民の努力でその県は生産県になった。そこで、その農民の努力によって県は生産県になって、従って県外にも移出できる。従ってやみ米の価格も下ってきた。だから、一般の消費者についても、今度は十キロ八百五十円を八百三十円にします、十キロ当り二十円下りますということになると、農民の増産に対しての苦労、その努力というものが、一般の消費者によき影響を与えるという意味で、私も、これはやはり農政全般からいっても、そうあるべきではないかと思うのです。ただ、今長官から特定の府県について最小の限度においてという言葉がございましたが、これは、具体的のことは、県の名前を出して私はお尋ねをしてもいいのですけれども、これはどういうような限界でおやりになるのか。特定の府県について最小の限度で手直しをしたいというのは、十キロ八百五十円を、生産がどんどん増産されて県外に移出する県については、それを八百三十円、二十円下げるということなんですが、この点は長官でも部長でもけっこうですが、大体どれくらいの範囲で考えているのか、一つお答えをいただきたいと思います。
  179. 須賀賢二

    ○須賀説明員 先ほど来申し上げておりますように、この消費者価格の地域別区分は、各地域を通じまして全体的に手直しができるような段階でありますれば、これは、それぞれの県につきまして、個々に、三十二年十月にきめました当時の要素と変っておりまする点を洗いまして、大幅な手直しをいたすべき筋合いでございます。しかしながら、先ほども申し上げましたように、そういたしますと、食管会計の全体の操作といたしましては、一部の地区に現行水準よりも値上りをするというような事態も予想されますので、そういうことはいたさないという方針をとっております。従いまして、現段階におきましては、ごく限定された範囲におきまして、どうしてもやむを得ない、手直し程度の手直しをすることを検討するという考え方で、目下個々につきまして検討をいたしておる段階でございます。私どもの方で、どの県をどうするということにつきまして、これは食管会計の全体の収支にも若干の影響がありますので、政府部内のそれぞれのところとも協議を要しまするし、まだ具体的な県名等をあげまして御説明をいたしますまでの段階に立ち至っておりませんので、具体的な名前をあげて申し上げることを、ごかんべんいただきたいのであります。ただ単に生産県になったから一階級下げるというようなことではございません。近年生産県になりました県でも、なお必ずしも生産事情が安定をしておるということになっていない県もございます。それから、その県の産米の事情等で、一部自給度は大体自給の段階に立ち至っておるのでありますけれども、産米の品質等の関係で、一部外から米を入れておるというような事情にある県もございます。いろいろ個々の事情がありまして、それらを十分精査をいたしまして、ある一定の基準を引きまして、ごく少数の府県について検討を進めておるわけでございます。
  180. 横路節雄

    ○横路委員 今具体的に調査をしている段階だと言いますから、私も次の機会にこれは譲りたいと思いますが、しかし、新米穀年度は来月の一日から始まるわけで、あと二十日足らずなんです。今も長官から、生産がだんだん増してきても、必ずしも、何といいますか、何年か続いて安定していなければそういうことにならないではないかという言外の意味だと思うのです。これはいろいろ各県によって具体的な数字は違うと思いますが、ただ私、この間、北海道の食糧事務所ですな、あなたの方の出先の食糧事務所に行ってこれは調べて持ってきた数字なんですが、北海道の場合には、三十二年産米は三万二千トン道外に出した。三十三年度の産米は十一万二千トン、三十四年産米については、これはあれでしょうが、大体八万から九万であろう。よく、ことしは増産されたが、来年は減る、その次に増産されてまた減る、こういうように非常に不安定だからというお話を食糧庁でなさいますが、ことしのいわゆる豊作というのは、もうみんな豊作ではなしに平年作だ、すでにこれは安定しているのだ、これは固定しているのだ、こういう考え方が一般的な見方だと私は思うわけです。ですから、そういう点につきましては、きょう長官からこれ以上私はお答えをしていただきたいと思っても、今検討中でございましょうから、二十六日から始まる臨時国会の、しかも月末までの大蔵委員会の中で、もう一ぺん一つぜひ長官においでをいただいて、お答えをいただきたいと思います。なお、実は食管特別会計については、もっとお尋ねをしたいと思いましたが、今小松委員からなお他の御意見もあるようでして、実はこの次にぜひ私がお尋ねをいたしたいと思いますのは、このごろ大豆につきまして、新聞を見ますと、瞬間タッチ方式——なかなか私は新しい言葉だと思うのですが、そういうやり方をとる。一ぺん輸入しておいて業者から買い上げて、その瞬間に払い戻しをしてやる。そのときに価格の一〇%を取っていく。それをどういう特別会計の積み立てをするのか。それで大豆の価格の安定をするというような記事のように私たち見受けたわけでございまして、ほんとうからいえばこれもあわせてきょう実はお尋ねをしたいと思っておるのですが、今小松委員の方からいろいろ他の案件についても相当質問もあるようでございますから、この点については、重ねて、二十六日から始まる国会のときに、大蔵委員会でぜひ食管の特別会計について全体的な赤字の見通しはどうなのか、今の大豆についてあなたの方で一部新聞等に発表なされているそういうやり方等についてもいろいろお尋ねしたい、こう思っているわけです。大へんどうもこの間も最後になり、きょうも最後になって、食糧庁関係の人には恐縮ですけれども、私のほかにまだ他の委員の方の質問もあるようでありますから、きょうはこれで終りたいと思いますが、一つ二十六日から月末までの委員会の中では、一日からの新米穀年度からの今の消費者価格その他についてはぜひ的確なお答えをいただきたいと思います。以上で私の質問を終ります。
  181. 植木庚子郎

    ○植木委員長 小松幹君。
  182. 小松幹

    小松(幹)委員 大へん時間も長くなっていますから、要点だけ……。塩業整備のことについて二、三塩脳部長お尋ねしたいと思います。  その前に、塩業整備はすでに既定の方針として進められておりますが、私がここで事新しく言うまでもなく、今日のこの大整理を行なっているのは、責任をとれば、業者の責任というよりも、専売公社のいわゆる今日まで塩の生産量の見通しあるいはその推進の仕方にそごがあった。なおまた、合理化計区画の中に、いわゆるコマーシャルべースというか、あるいは合理化計画の経済べースというか、そうしたものに食い違いもあって、今日こういう羽目になったのであります。塩業者の長い二百年あるいは三百年の歴史の中から、一応ここで塩業というもの、入浜式あるいは流下式、そういう塩田というものを整理するということは、相当長い歴史を閉じるという意味においても、私は相当業者としても問題が多くあると考えております。通り一ぺんに公社の方でここ二、三年来の、あるいはその帳じりの不始末、あるいは期限の取り方等で簡単に処理されても、なかなか納得がいかない、こういうことを考えて、まあいろいろ理屈やあるいは計算、ものさしはあろうけれども、ここに納得のいくいわゆる整理をしてもらいたい。特に合理化過程において問題のあったのは、いわゆる流下式の、真空式の工場設計等においても、やはりその大きさ、規模など、これは専売公社が直接手を下して指導してきたのですが、その規模等においても誤まりがあり、またいわゆる外国輸入塩の安い六千円程度の輸入塩で一応埋め合せして経営を合理化していくという過程を立てながら、その輸入塩が制限が撤廃になったというようなことから一つ一つそごを来たして、今日赤字欠損を積み重ねておる工場あるいは塩田業者もたくさんある。そうした中に思い切った今度の合理化、いわゆる整備というものが、合理化でない別途の意味の生産制限に基く整備というものがきたということは、私は業者にとっては多分に言い分があると思う。そういう意味において、ぜひ一つ納得のいく整理あるいは補償等を講じてもらいたい。これは前置きですが、お尋ねしたいのは、十月現在の今日この段階の塩業整備の実態は一体どうなっておるか。数いわゆる量の問題と、それから廃業届を提出した者の補償等に関する問題について、万般一つ現段階においてお話を願いたい。
  183. 小林章

    ○小林説明員 この十月十日現在、私の方で受理いたしました件数について申し上げますが、申請件数は、これは平がま等がありますから非常に数が多いのですが、五百二十二件、それから塩田の面積といたしまして、これは入浜式、流下式その他ひっくるめてでありますが、八百十八町歩、工場数、これも、先ほど申しましたように、平がま等がございますので非常に多いのでありますが、百八十九カ所、生産能力といたしまして約十万トン、これが十月十日現在の調べでございます。
  184. 小松幹

    小松(幹)委員 そうすると、三十万トン減産という過程の中において、今十万トン減産の届が出ておる、こういうわけですね。それは間違いない。それから、当初計画された中で——塩業者が三千、従業員が八千、塩田ヘクタールが五千ヘクタール、これが現在であったのを、いわゆる臨時塩業整備で減すのが、三千の塩業者の中から千五十、あるいは従業員を三千、塩田ヘクタールで千四百ヘクタールを減す、こういう目算の中に、現在塩田ヘクタール八百十八ヘクタールを減し、あるいは塩田業五百二十二を減す。まだこれから先も今年度内には相当整理する見込みがあるわけですか。まだその段階に至っていないというわけなんですか。
  185. 小林章

    ○小林説明員 御承知だろうと思いますが、今回の塩業整備につきましての交付金の算定方法といたしまして、製塩業者に対しましては推定補償という項目の金額を交付金として出すことになっておりますが、これにつきましては、廃止申請の日に施行されておる収納価格が基準になりますので、それが本年度は十一月一日から塩価が下るということを先般決定いたしまして、公示したのであります。従いまして、塩田整理につきましては、来月以降になりますと、それだけ交付金が低くなりますので、今月一ぱいが山だということに考えられますので、おそらく今月一ぱいで塩田整理につきましてはなお相当数が出てくるのではなかろうかと考えております。なお、整理の期間は今年度一ぱいでありますので、それ以後も出てくることは当然考えられます。従って、むしろ大きな企業につきましてはこれから出てくるのではなかろうかと、かように考えております。
  186. 小松幹

    小松(幹)委員 大体小さなところは出たが、大きいところはまだ残って、早急に出るだろう。——それにしても、私の今の見通しでは、まあ予定よりもあまりたくさん廃止届は出てこないように思うのでありますが、見通しはどうなんでしょうか。
  187. 小林章

    ○小林説明員 ただいま申しましたように、塩田整理につきましては今月一ぱいが山でありますので、塩田整理につきましてはこれから今月一ぱいに相当数出てくるのではなかろうか。なお、その他のものにつきましては、目下慎重に各企業の中で審議いたしております。申すまでもなく、先ほど小松委員もおっしゃったように、特に塩田整理につきましては、何百年来の生業でありますので、企業の方々はほんとうに真剣にどうするかということを現在考えられておりますし、またその他の企業につきましても当然のことでありますので、なお今月一ぱいを一応の山としまして、これから出てくるんではなかろうか、かように考えております。
  188. 小松幹

    小松(幹)委員 小林塩脳部長、先般八月の委員会で、整理は非常にケースがいろいろあるので、ケース・バイ・ケースでいきたい、こういうふうに言っておったから、多分私はそういうことになると思います。これは一律にいくわけにいかぬ。それぞれの企業、それぞれの塩田で、歴史とその合理化の過程で問題が個々に違ってくるから、私は整理そのものもケース・バイ・ケースでいかねばならぬと思いますが、同時に企業整備に伴う補償も相当ゆとりのあるケース・バイ・ケースをとらなければならない、こういうように考えるのです。特に問題点は、設備資金の回収というのは特に大きな回収率を持っておるのだと思いますが、企業経営によっては赤字経営であり、欠損金も相当見込まねばならぬのじゃないか。特に最近真空式あるいは流下式の合理化過程で、相当先を見て、将来は何とか赤字が克服できるであろう、今は少々赤字でも、企業をこれだけ広げ、これだけの反別をという一つの希望を持ちながら、三年先、四年先を見て一つの企業を無理に進めてきた。その過程には専売公社とも話しながら進めてきた。ところが、突如としてこの整理の問題にかかってくると、その瞬間においては相当赤字を持っておる企業も当然私はあり得ることだと思うのです。それが、もう三年先がどうなる、五年先がどうなるというような見通しでやったのではなくして、むしろ専売公社の方はどんどん合理化過程のしりをたたいて、むちを入れて、相談に乗って、しかも農林中金あたりから金を貸す一つの手はずまでして拡大してきた過程においては、私は当然赤字というものが想定できると思う。その赤字穴埋めというものは、私は欠損金として当然政府も考えねばならぬ、こういうふうに考えておるのですが、その赤字の埋め合せというのをどんなふうに考えておるのか。私の伝え聞くところでは、政令によって三十三年の三月三十一日までを一応のめどとして赤字の整理を見てやる、以後、四月一日からの赤字は見てやらぬ、こういうようなつれないことを言っておるように聞いておるのです。それでは身もふたもない話だと思うのですが、その辺はどうなんですか。
  189. 小林章

    ○小林説明員 今回の塩田整理につきましては、この法律制定の段階におきまして、前回の本委員会で相当慎重審議をお願いいたしました。十分おわかりのことと思いますが、整理のやり方と申しますか、基本方針といたしまして、従来の一般の企業の整備と違いまして、業者の自主的な判断でやっていただく。そのためには、肝心の柱を与えて、それで御判断願う。一つの柱は価格政策、今後は塩業政策というものは価格政策を基礎にしてやるということに塩業審議会の答申もなっておりまして、三十七年度は一万円という塩価を一応一方の目標として与える。一方それではやっていけない方は今回その企業をやめる。やめる方にはこれだけの交付金、補償金をあげます。これがまた一つの柱。そういうことで御判断を願う。しかもこの二つの柱がぐらぐらしたのでは、こういう非常に困難な整理というような事業はできないぞ、これははっきりした二本の柱でなければならぬぞということを、重々この前の本委員会でも御注意をいただきまして、そういう御注意のもとに、公社といたしましても、また政府当局といたしましても、その二つの重要な柱はぐらぐらすることはない、はっきりした基本的な方針としてやりますということで、法案の御審議、御制定をお願いいたしましたので、この二つの柱は基本的なものであるということを、まず前提にお考え願いたいと思うのであります。  それから、ただいまの赤字云々の問題でございますが、これまた、普通の整理というような場合の補償の場合には、その事業の欠損金ということはわれわれといたしましては、あまり考えないと申しますか、ほとんど例のないことなんでありますが、今回の塩業整備というものは、従来の政策の転換とかいろいろの一面もあるので、それまでも見るということに政府として踏み切られたのでありまして、一方設備の補償がこれは法令で御承知通り帳簿主義になりまして、帳簿主義で欠損まで見るということになっておりますので、その二つの要請からくる当然の帰結として、こういう法案を立案している過程においては、もちろんその経過の段階において決算期があるようなものは困る。そういう欠損まで帳簿主義で見るという手厚い補償金の考え方からくる当然の帰結として、必ず一時点を押えなければならぬということは当然のことであります。しかし、一方、過去と申しましても、あまり古い過去ではかえって意味をなしませんので、最も近い時期において押えるということで、三十三年中における最終の事業年度ということに政令規定されておるわけであります。これが、この前の国会でも御審議願いましたように、やむを得ない事由によって生じた欠損は見るという趣旨に沿っておるものとわれわれは考えておるのであります。
  190. 小松幹

    小松(幹)委員 やむを得ない欠損は見る。それは、当然、専売事業がこうした全く予期しない集団になったときは、企業というものはいかなる場合でも最初から利潤が上っていくものでもない。それは、鉄道を敷こうが、あるいは船を作ろうが、最初はやはり企業というものは借入金があり、そして徐徐に何年か先に減価償却をして利潤が上ってくるものなので、当初から一ぺんに欠損なしにいくことはないとすれば、合理化過程において専売公社が進めておるから、それは当然のことである。この点についてはある程度見ようというのですが、画龍点睛を欠くといいますか、法律、案がここまできたから、三月三十一日で、そこで見るのだ。これは機械的にやることも私はいいと思うのです。ところが、長い歴史と、塩業者がその生活のかてを失うか、自分の一つの仕事をどういうように判断していくのか、あるいは残りたい、こういうあせりもあるだろうし、また先を見て価格等の問題からいかぬ、こういういわゆる悩みというか、苦労するというか、経営のバランスを見る、あるいは過去の実績を見て、一度はよしおれのところでは存続してやろうという決意もしたでありましょう。しかし、それがいわゆる大きい整理の波にかかれば、ついに中途にしてこれはもはや整理しなければならぬ、こういう半年なり一年間というものは、木で鼻をくくったような格好に三月三十一日で整理を帳簿上でやるのだ、こういう考えだけではやはりどうも納得ができない。四月以降事業をやってさらに赤字が出た分は、そんなものは知らぬぞ、こういわれればそれまでなんですけれども、やはり半年なりあるいは十カ月の悩み、この過程というものは継続してしかるべき欠損金ではないか。こういうことから考えてみたら、三月三十一日で一応のめどととしてはいいでしょうけれども、そのめどを中途にして本物にしてしまったのでは、どうも処置がない。やはり三月三十一日から四月、五月、六月、七月、このいわゆる整理の段階の悩みを経て、九月なり十月なりに終った、その段階において私は一応欠損金を見てやるのがほんとうじゃないかと思うのです。そうでないと、三月三十一日のいわゆる基準日というものがきわめてあやふやな基準日になり、何ら根拠のない基準日になってしまう。ただ切りがいいから、年度の切りだから三月三十一日が切りだというだけにしかすぎない。ほんとうの事業をやめるかやめないかという区切りは、あなた自身が言われたように、個々のケース、ケースによって、最後に三百年の塩業の幕を閉じるその瞬間までやはり見てやってこそ、私はほんとうに大英断の整理ができる、かように考えるのですが、この点について、あなたとしては——三月三十一日が一応の区切り、それはいいと思いますけれども、そういういわゆる慣習による区切りだけで始末をつけられたのでは困る、こういうように思うのですが、あなたのお考え、またそれも絶対それでなければならぬというような絶対の理由があるのかどうか。先ほどの数字を見ましても、設備資金の回収あるいは欠損金の穴埋め等で、大体八十七億のうちの六十億を充てると予定されておるのですが、今の段階では、予定より十万トンですか整理の数が少いように思われますし、この辺のところは一つ大目に見て、欠損金の穴埋めというものも、三月二十一日の切りやすいめどの日でなくして、廃止届を出したその日まで勘案する御考慮をいただけないか。この辺のところを一つ……。
  191. 小林章

    ○小林説明員 政令では三十三年の三月三十一日ということにはなっておりませんので、先ほど私申し上げましたように、三十三年中に終了する最終事業年度の末日、こういうことになっおるわけでございます。この点は、だから事業によりましては三月三十一日に決算をするところがありましょうし、また事業によりましては十一月末、十二月末、いろいろあります。そういうことでありますので、帳簿主義をとる。帳簿と申しますのは、各事業がだれの制約も受けずに自分で帳簿をつけるわけであります。そういう帳簿主義をとって、業者が書いておる帳簿をそのまま認めてあげよう、しかも欠損まで認めてあげようということになりますと、どうしても過去の一時点を押えなければならない。これはそういう普通には考えられないような手厚い補償ということを考えることからくる一方、またこの補償金というものは御承知のように当然公けのお金を使うわけでありますので、そういう点の配慮からいたしまして、過去の一時点を押えるのは、先ほども私が申し上げた通り、これは当然のことと思うのであります。しかしながら、過去の一時点を押えるにしましても、最もそれぞれの事業に有利なようにということで、三十三年中——この法案の立案にかかりましたのがことしの一月からでありますので、一番最近の年のうちなら、それぞれの企業の最終の決算日ならいつでもいいということで、一番近い年の決算日を基準日としてとった、こういうことになっておるのであります。もっとも、これはそういう業者の調製される帳簿主義をとり、しかも、欠損まで見てあげる、しかも一方その金は公けの金を使うのだという、一方には手厚く、一方にはその辺の配慮ということからしまして、当然の帰結であるというように考えておるわけであります。
  192. 小松幹

    小松(幹)委員 小林部長のお考えも大体わかりました。もはや別に繰り返して御質問申し上げるようなことはいたしません。一応三月三十一日というのは、いわゆる期限の日ではなくて、三十三年度のいわゆる経営の区切り、こういうふうにお考えになっておる。できるだけ私は三月三十一日というようなこだわれる日でなくして、いわゆる工場の経営の最終着駅というものをめどにしての御勘案を一つお願いしたい、こう思うわけであります。特に私は具体的な例を出して恐縮でございますが、大分県の高田市の塩業は、これはごく歴史もいわゆる入浜塩田としては古い。三百年来の土地柄なんですけれども、真空式工場設計等のいわゆる最近合理化の過程においては割に新しいのでございます。実は、これが、工場としてはしばしばこの委員会でも問題になりまして、一方では企業を整備しようというのに、現在なおかつ工場を広げておるじゃないかというような意見もたびたびこの委員会で出ておりましたが、事ほどさように、この工場のいわゆる流下式転換工事は、中金の協調融資の出方がおそかった、公社採択の時期もまたおそかった、こういうことから、二十一年の第一期改良工事から第二期の三十二年の改良工事にわたって、いうならばかけ込み増設みたような格好になってしまった。これは何も業者がそれを目当てにしてかけ込み増設をしたわけではない。いわゆる当然合理化過程から考えて、その計画をやっておる過程で、融資規制などでおそくなって、ついに昨年の暮れからということになってしまった。一方では整理をやろうかというのに、一方では金を借りてやっておるというようなそごもあったのです。そういうことから、結局もたもたする過程で経営というものもスムーズにいかなかった。塩田のいわゆる使用ができなかった関係から、相当工場の穴も出たのじゃないか。同時に、この工場は相当規模は大きい計画であったのですが、それだけに、地方の塩田では足りないで、よそから持ってくる。なお足りないで専売公社が輸入塩を当てにして埋め合せをしていったから、当座の赤字は仕方がないということで納得の上でやったのですが、先ほど言いましたように、輸入塩も閉ざされてしまって、こういう整理の波が来たので、当然赤字というものはたくさん出てきた。同時に、ごく最近まで私もこの工場へ行って参りましたが、八月にやめようかというような問題もありました。しかし、従業員等が路頭に迷うことを考えれば、しいてもう一カ月がんばって、そうしてというような気持もあって、十月の初めにいわゆる最後の幕を閉じるということになったので、結果論的に相当な欠損金というものを見なければならぬのではないか、このように私は考えておるのですが、これはあながち私はこの欠損金を従業員あるいは業者のみが心配すべきものでもないと思う、こういうように考えますので、何とかその辺のところを御勘案願って、最終日までの赤字というものを見るだけの御考慮をしていただきたい、こういうように最後はお願いになるわけなんですが、その辺のところを一つぜひとも部長の方で御勘案を願って、整理をさしていただきたい。このことをお願いし、御所見を承わって終ります。
  193. 小林章

    ○小林説明員 高田の塩業組合の件に関しましては、実は昨日も理事長以下組合の方が大ぜいおいでになりまして、話をお聞きいたしました。話を聞くまでもなく、私たちといたしましては、ある程度は実情を承わっておるわけであります。何分今回のこの整理によりましてやめていかれる方々に対しましては、私たちとしても、ほんとうにお気の毒と申しますか、御同情申し上げる次第であります。また、今回の法律が、先回の国会で、本委員会で採決されました際に、附帯決議といたしまして、廃止業者につきましては細心の注意を払ってやるようにというような附帯決議もつけられておりまして、私たちといたしましては、その御趣旨に沿ってやらしてもらっておるつもりであります。今後もそういう気持でこの法律実施に当りたいと思っております。何分法令と違反してということはわれわれとしてはできませんので、法令の範囲内でできるだけそういう気持でやらしていただきたいということを、私の気持として申し上げておきます。
  194. 植木庚子郎

    ○植木委員長 本日は、この程度にとどめまして、次会は追って公報にて御通知することにいたします。  これにて散会いたします。     午後五時五十二分散会