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1959-07-02 第32回国会 衆議院 大蔵委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和三十四年六月二十二日)(月 曜日)(午前零時現在)における本委員は、次の 通りである。    委員長 早川  崇君    理事 足立 篤郎君 理事 押谷 富三君    理事 小山 長規君 理事 坊  秀男君    理事 山下 春江君 理事 石野 久男君    理事 佐藤觀次郎君 理事 平岡忠次郎君       荒木萬壽夫君    内田 常雄君       奧村又十郎君    加藤 高藏君       鴨田 宗一君    小西 寅松君       進藤 一馬君    竹下  登君       夏堀源三郎君    中村 梅吉君       西村 英一君    濱田 幸雄君       福井 順一君    福田  一君       福永 一臣君    藤枝 泉介君       古川 丈吉君    細田 義安君       毛利 松平君    山本 勝市君       春日 一幸君    久保田鶴松君       田万 廣文君    竹谷源太郎君       廣瀬 勝邦君    松尾トシ子君       山下 榮二君    山花 秀雄君       山本 幸一君    横路 節雄君       横山 利秋君     ――――――――――――― 六月三十日  早川崇委員長辞任につき、その補欠として植  木庚子郎君が議院において委員長に選任された。 ――――――――――――――――――――― 昭和三十四年七月二日(木曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長 植木庚子郎君    理事 足立 篤郎君 理事 押谷 富三君    理事 小山 長規君 理事 坊  秀男君    理事 山下 春江君 理事 石野 久男君    理事 佐藤觀次郎君 理事 平岡忠次郎君       荒木萬壽夫君    鴨田 宗一君       北村徳太郎君    黒金 泰美君       進藤 一馬君    竹下  登君       西村 英一君    福永 一臣君       古川 丈吉君    山本 勝市君       春日 一幸君    久保田鶴松君       田万 廣文君    竹谷源太郎君       廣瀬 勝邦君    山下 榮二君       山花 秀雄君    山本 幸一君       横路 節雄君    横山 利秋君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君  出席政府委員         大蔵政務次官  奧村又十郎君  委員外出席者         議     員 芳賀  貢君         大蔵事務官         (大臣官房日本         専売公社監理         官)      佐々木庸一君         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    村上孝太郎君         大蔵事務官         (主計局長)  石原 周夫君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君         大蔵事務官         (理財局長)  西原 直廉君         大蔵事務官         (管財局長)  賀屋 正雄君         大蔵事務官         (銀行局長)  石野 信一君         大蔵事務官         (為替局長)  酒井 俊彦君         専  門  員 抜井 光三君     ――――――――――――― 六月二十二日  委員加藤高藏辞任につき、その補欠として久  野忠治君が議長指名委員に選任された。 同日  委員久野忠治辞任につき、その補欠として加  藤高藏君が議長指名委員に選任された。 同月三十日  委員内田常雄君、奧村又十郎君、早川崇君及び  福田一辞任につき、その補欠として植木庚子  郎君、北村徳太郎君、黒金泰美君及び山中貞則  君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 六月二十二日  所得税法の一部を改正する法律案佐藤觀次郎  君外十二名提出、第三十一回国会衆法第六号)  所得税法の一部を改正する法律案平岡忠次郎  君外六名提出、第三十一回国会衆法第五九号)  厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案  (内閣提出、第三十一回国会閣法第一六七号) 同月二十五日  昭和三十四年産米穀についての所得税臨時特  例に関する法律案芳賀貢君外二十七名提出、  衆法第一号) 七月一日  退職金課税免除に関する請願山下榮二君紹  介)(第五一号)  鹿屋市に国民金融公庫支所設置に関する請願(  二階堂進紹介)(第六六号)  製塩に関する請願岡部得三紹介)(第六七  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月一日  外地引揚に際する預入れ限度超過金返還に関す  る陳情書  (第二九号)  関税制度改正に関する陳情書  (第三〇号)  市町村揮発油税の一部還元に関する陳情書  (第三一号)  為替貿易管理法等改正に関する陳情書  (第五四号)  質屋等金利引下げに関する陳情書  (第八七号)  会計年度暦年制実施に関する陳情書  (第八八号)  積雪寒冷地帯における所得税及び固定資産税の  課税是正に関する陳情書  (第八九号)  予約減税制度存続に関する陳情書  (第九〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  昭和三十四年産米穀についての所得税臨時特  例に関する法律案芳賀貢君外二十七名提出、  衆法第一号)  税制に関する件  金融に関する件  外国為替に関する件  専売事業に関する件  閉会中審査に関する件   請 願  一 退職金課税免除に関する請願山下榮二    君紹介)(第五一号)  二 鹿屋市に国民金融公庫支所設置に関する請    願(二階堂進紹介)(第六六号)  三 製塩に関する請願岡部得三紹介)(第    六七号)     ―――――――――――――
  2. 植木庚子郎

    植木委員長 これより会議を開きます。  この際、一言あいさつ申し上げます。  私、このたび、当大蔵委員会委員長に、不敏の身をもって、去る三十日選任いたされました。つきましては、皆様の御協力によりまして、何とかして職責を全うして参りたい、かように念願いたしておる次第でございます。  つきましては、皆様の特別なる御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げまして、私のごあいさつとさせていただきます。(拍手)  この際、奧村政務次官より発言を求められております。これを許可いたします。大蔵政務次官
  3. 奧村又十郎

    奧村政委員 一言あいさつを申し上げます。  このたび、私、はからずも大蔵政務次官を拝命いたしました。まことに未熟な者でありますが、一生懸命努力いたしたいと思います。とりわけ、私は、前国会までずっと当委員会に所属しておりましたので、皆様方の御意見やお気持はかなりよく知っておるつもりでございます。いわば皆様方身がわり大蔵省へ出向したようなものでありますので、どうぞ、今後とも十分の御同情をいただきまして、お引き回し賜わりますように、お願い申し上げる次第でございます。(拍手)     —————————————
  4. 植木庚子郎

    植木委員長 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。本委員会におきましては、毎会期議長承認を得まして国政に関する調査をいたして参ったのでありますが、今会期におきましても、税制に関する事項金融に関する事項外国為替に関する事項国有財産に関する事項専売事業に関する事項印刷事業に関する事項造幣事業に関する事項補助金等に係る予算の執行の適正化に関する事項の各事項について、国政に関する調査をするため議長に対し承認方を要求いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 植木庚子郎

    植木委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、本要求書作成並びに提出等手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。     —————————————  なお、本要求書作成並びに提出等手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。
  6. 植木庚子郎

    植木委員長 次に、去る六月二十五一日付託せられました昭和三十四年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案議題といたします。  提出者から提案理由説明を聴取いたしたいと存じます。芳賀貢君。     —————————————
  7. 芳賀貢

    芳賀貢君 ただいま議題となりました昭和三十四年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案につきましてその提案理由を御説明申し上げます。  米穀についての所得課税特例措置は、米穀供出を促進し、食糧確保をはかることを目的として、昭和二十六年産米につき議員提出によって立法化されたことに始まり、自来二十九年産米まで毎年ほぼ同一内容法案提出され、米穀超過供出奨励金早期供出奨励金供出完遂奨励金等各種供出奨励金非課税とする臨時措置が講ぜられ、昭和三十年産米からは、奨励金制度廃止されていわゆる米価の一本化をはかるとともに、米穀供出制度にも画期的な改正を加え、いわゆる予約供出制度が採用されるに及んで、売り渡された米穀の代金の一部を非課税とする特例措置に切りかえられ、同時に法律案提出内閣から行われ、今日に至っておりますことは各位のすでに十分に御承知のところであります。しかして、その間、本制度農家経済の安定と国民食糧確保の上に果しました効果には見るべきものがあったのであります。予約供出制度実施以来今日までの間、政府が、米穀の集荷に当り、農民協力を得て、ほぼ所期の目的を達成しましたのも、実は、予約米に対する減税措置が陰の力となって強くこれを推進したからであると断定しても過言でないのであります。しかるに、政府は、三十四年産米穀からこのような予約減税措置廃止して従来の減税相当分に当る金額予約加算金にさらに加算することとし、三十四年度食管特別会計予算に、予約加算減税分とを合せて石当り百七十五円を計上しているのであります。しかして政府が本制度廃止するに当り掲げているおもな理由は、現在の制度が創設された昭和三十年産米当時には、その恩恵を受けておった農家数はおよそ九十万戸もあったが、その後税制改正に伴いその数は漸減し、さらに本年の所得税法改正の結果、所得税納付農家、すなわち予約減税対象農家数はいよいよ大幅に減少して四十四万戸程度予約売り渡し農家総数の一三%程度と推定されるに至り、この制度恩典を受けるものは、もっぱら一部の上層農家のみに局限されることとなるため、この際、むしろこれを廃止して予約減税相当額を全予約農家に均霑するように米価に加算する方が、税制上、米価政策上好ましいというのであります。このような政府説明は一見もっともらしく聞えるのでありますが、果してその通りでありましょうか。本制度発足当時の経緯を冷静に顧み、また、制度廃止理由づけるため政府提出した資料をしさいに検討し、あるいは農村における課税農家実態調査の結果を徴しまするに、遺憾ながら政府側説明には多くのごまかしと背理を含み、この措置真意については全く疑念なきを得ないのであります。  そもそも、昭和三十年産米から実施してきた石当り平均千四百円という非課税措置算定基礎は、予約格差石当り二百円とし、うち百円は米価に織り込み、残りの百円は減税により実質的に百円の手取りとすることとし、それに相当する非課税分を五百円とし、また、二十九年産米奨励金減税に相当する実質手取額確保するため非課税分を八百円、さらに、米価織り込み格差金百円、合計千四百円として了承されておったことは明らかであります。従いまして、予約格差二百円と各種奨励金にかわる減税措置とは、実質的に別建で農家手取りとさるべきものと解されるわけであります。それにもかかわらず、これらの事実を伏せておいて、富農政策是正の美名のもとに本制度廃止を企てる政府のやり方は、政策歴史的背景をことさらに無視した暴挙というべきでありまして、われわれはにわかに賛同しがたいのであります。  また、政府説明のごとく、税制改正に伴って所得税を課せられる予約減税適用農家数が減少することは事実でありましょうが、しかし、予約減税廃止いたしましたならば、税制改正によってせつかく所得税がかからないことになる農家も再び課税農家として浮び上りますので、果して政府が主張するごとく予約減税対象農家数が四十四万戸程度に減少するかどうかには多分に疑問があるのであります。しかも、所得税農家数は若干減るといたしましても、売渡数量の点から見ますと、これら農家売渡数量はなお相当な比重を占めておる実情であって、かりに政府のいうようにそれが全体の三〇%と見込みましても、約一千万石に上るのであります。しかも、これら農家はほとんど米作専業農家の階層の主体をなしておりますので、もしもこれら農家税制上の恩恵が受けられなくなりますならば、予約減税があってさえ農民は税に対しては一種の恐怖心を抱いていることは事実でありますから、課税の重圧からのがれるため自衛的手段として勢いやみ売りに走る危険性多分に予想され、せっかく軌道に乗っております予約制度を大きく後退せしめ、ひいては米穀統制制度上にも重大な影響をもたらすおそれが多分に存在するのであります。この場合、農家経済はもとより国民経済全体に及ぼす影響には容易ならざるものがあることは、今さら多言を要しないところであります。  また、政府予約減税額として推定する金額は、国税で十五億円、地方税で八億円、合計二十三億円でありますが、その算定方法基礎内容につきましては、作為的な点、疑問とすべき点が多々指摘されるのであります。地方税に対する影響について見ましても、住民税所得割課税方式では、所得税額課税標準とする第一課税方式を採用している市町村はきわめて小範囲であって、大多数の市町村所得額課税標準基礎とする第二課税方式または第三課税方式を採用しているのが現状であるので、予約減税廃止する場合、地方税の増税は予想をはるかに越えて重くなり、すなわち、所得税を納付しないような比較的零細な農家の中にも、予約減税廃止によってかえって不利となるものが数多く現われるに至るのであります。この点に関する政府の事前の配慮は全く不十分であったといわざるを得ないのであります。  かくいたしまして、予約売渡農家の中には、税制改正によって、他の国民がひとしく減税恩典に浴するにもかかわらず、その恩典がゼロになるばかりでなく、なおその上に多額の持ち出しをしなければならないものさえ多数生ずるという重大なる結果を招くこととなるのであります。すでに三十四年産米についての農家予備予約は着々と進行中であります。農民政府のいうごとく大多数のものに有利であるというような無責任な抽象論を信用して予約したとしましても、その欺瞞性は今年分の所得税及び住民税の上にやがて事実となって現われてくるのは必定であります。その場合において、農民政府に対して果してどのような感じを持つでありましょうか。そこには重大なる紛争が生じないとも保証しがたいのであります。  政府予約減税制度廃止しようとする動きないしはその企ては今に始まったことではなく、この制度発足の当時から、財政当局及び自治庁側が、課税公平化をたてにとって、本制度廃止を強く主張していたことは隠れもない事実でありまして、その真意米作農家に対する税の増徴にあったことは否定できないことであります。  政府は、一方では、一部大企業者に対し、国税だけでも約八百億円以上に上る各種税法上の特典を残してその利益を擁護しているにもかかわらず、農民に対しては、既得権ともいうべきささやかなる特例措置をも剥奪して省みないのであります。税の公平化の見地からいいますならば、このような租税上の特例全面的整理とか、法人と個人間の課税上のアンバランスの是正とか、その他国税地方税、直接税と間接税を通ずる税制並びに税務行政根本的改革こそまず実行いたさるべきであります。それ以前における一方的な予約税制度廃止に対し農民の大部分が強い不満を抱くのもまことに当然と思われるのでありまして、それがひいては、農民の政治に対する不信となり、予約売渡制度に対する非協力を結果することとも相なれば、それははなはだ悲しむべき事態と申さねばならぬのであります。  以上の観点に立ちまして、われわれは、昭和三十四年産米穀に対しても従前通り税法上の特例措置を継続すべきものと認め、ここに本案提出した次第であります。  以下、簡単に本案内容について御説明申し上げます。  昭和三十四年産米について、その生産者が、政令で定める日までに政府に対し売り渡し申し込みを行い、その申し込みにより締結した契約に基き、昭和三十五年二月二十九日までにこれを売り渡した場合は、昭和三十四年分の所得税については、次の区分に従って、そのもの売渡米穀にかかる農業所得非課税にすることとしているのであります。すなわち、昭和三十四年九月三十日までに売り渡し米穀については、玄米換算正味六十キログラムにつき八百円、十月十日までに売り渡した分については七百二十円、十月二十日までに売り渡した分については六百四十円、十月三十一日までに売り渡した分については五百六十円、及び十一月一日から翌三十五年二月二十九日までに売り渡した分については四百八十円につき、おおむね前年並みの非課税措置を講ずることといたしたのであります。  本法律案提案理由及び概要は以上の通りであります。何とぞ、御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望いたす次第であります。
  8. 植木庚子郎

    植木委員長 以上をもちまして提案理由説明は終りました。  本案に対する質疑は次回にこれを譲ります。     —————————————
  9. 植木庚子郎

    植木委員長 先刻議決いたしました国政調査に関する各事項に対しまして、ただいま議長より承認がありましたので、御報告いたします。  税制に関する件、金融に関する件、外国為替に関する件及び専売事業に関する件につきまして調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。佐藤觀次郎
  10. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 内閣は変りましたけれども、大蔵大臣が留任されまして、われわれも今まで通りのいろいろな意見を持っております。  そこで、ただいま問題になっております米価の問題について、非常に影響が大きいし、現在米価審議会などでも非常に問題になっておりますが、それについて大蔵大臣はどんな見解を持っておられるのか。まず米価のことにつきまして大臣所見を伺いたいと思います。
  11. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 内閣改造がございましたが、また留任することになりまして、大へん御迷惑をおかけすると思いますが、何とぞよろしくお願いいたします。  ただいま米価についての基本的な考え方はどうだというお尋ねでございますが、申すまでもなく、米価は、米価審議会において答申し、その答申に基いて政府決定するということでございます。しかし、今日まで新聞その他に伝えられておりますものがいろいろございますから、それらについて大蔵当局はどういうように考えておるかというお尋ねだと思います。そこで、私も率直に申し上げますが、ただいま政府部内、農林省、大蔵省いろいろ折衝中でもありますし、また党ともいろいろ話し合っておるのでございます。しかし、経過的に申しますならば、三十四年の予算編成の際に予算米価を作定いたしました。その際に、予算米価、これが基幹をなすものであることだけは御了承をいただいておるのではないかと思います。この金額通り予算米価そのものが直ちに実行米価になる、かように申すわけではございません。従って、この予算米価をきめます際には、政府といたしましていろいろ工夫し、勘案し、この予算米価を作っておるのでございます。これを基幹といたしまして、今回米価審議会においてさらに御審議、御答申を賜わる、かように考えております。しかる上で米価決定を見る、こういう段取りでございます。
  12. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 今、同僚議員芳賀君からも、従来通り米価についての非課税問題について法案が出されましたが、御承知のように、これは、供山問題と関係し、予約制度と関係いたしまして、非常に重要なものでもあるし、ただいまわれわれのところへも農業団体の方からたくさんの陳情があり、また今までせっかく続いたこの所得税臨時措置が、今年度に限って廃止されるということになっておりますが、何がゆえにこういうような処置を今まで通りとられないのか。これは、大蔵大臣から、直接な問題でありますので、御説明願いたいと思います。
  13. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 米価につきましては、総体の金額農民の、生産者の方々に満足がいくかいかぬかという、総合的価格決定そのものにも議論がもちろんあるだろうと思います。ところで、今までの米価のきめ方は、基本米価であるとか、あるいは時期的格差であるとか、等級格差であるとか、歩どまり加算とか、あるいは予約奨励だとかいうような、いろいろな方法で総額が決定されておるということでございます。ただいま御指摘の通りでございます。  そこで、問題をしぼって予約減税についての大蔵省所見というものを申し上げてみますと、御承知のように、前通常国会でも問題になったと思いますが、税法上の臨時措置については、できるだけこれを整理していくという基本的な考え方を持ち、幸いにして皆様方の御賛同も得たと思います。そこで、たとえば預金利子課税を免除しているものについてこれを課税にするとか、あるいはまた利子所得控除問題等についてもいろいろ工夫をいたしまして、臨時措置はできるだけ整理していく、これが基本的考えであるということを、実は私お答えしたように思うのであります。そういう意味で、予約奨励という意味減税措置、これは臨時措置である、かように考えますと、臨時措置はそのときの情勢において十分問題の本質を見きわめ、そしてこれがいかように取り扱われるか、これを研究すべきだ。そこで、先ほど御披露いたしました予算米価決定の際におきましては、一応予約減税廃止する、そのかわり、歳入の増加を考え制度ではないのであるから、これは農民に、国が歳入として増加するであろうと想定される金額を、予約売り渡し農家全体に還元する、こういう基本方針をとって今日まで参っておるという状態でございます。
  14. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 御承知のように、米価の問題は非常に重要な問題であると同時に、これは超過供出の問題について非常にむずかしい問題が起きると思うのです。もしこの予約減税廃止されれば、農家はそれがために非常に地方税の過重な負担を受ける。これは、政府説明では、超過供出をやった場合予約減税をすると、税の不公平になる、大きな農家だけが利益を得て、部分的には不公平な処置になるというような説明ですし、そういう意見も一面あるわけです。しかし、米作地帯では—私どもの郷里もそうでありますが、米だけに依存をしている農家が相当あるわけです。そういう関係で、現在全体の農家の約一割くらいが税を納めているのですが、もしこれがなくなると、非常に地方税がかさまって、莫大な税金がかかるようになるわけでそれがために、今度超過供出というようなものは、ほとんど皆無にひとしくなるのじゃないかという心配が出ておるのでありますが、こういう点について大蔵大臣はどういう考えを持っておられるのか。少くとも政府の重要な地位を持っておられる大蔵大臣として、そういう問題についてお考えになったかどうかということも、この際伺っておきたいと思います。
  15. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 予約売渡農家に還元すると申しました場合の国の歳入、これは実はひとり国歳入ばかりではございません。地方財政の面からも増収になるだろうというものをやはり還元していくという考え方でございますから、国税地方税合計したものを骨子として全農家に均霑する、こういう考え方でございます。また、今超過供出云々のお話がございましたが、超過供出という問題とはこれは別個の問題でございますし、今は超過供出というような制度ではなくて、予約申し込み制度ですから、幾らでも政府に持ち込まれてけっこうなんであります。
  16. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 だいぶ考え違をして恐縮でありますが、これは法案も出ておりますから、いずれまたあとで質問することといたします。  その次は、証券の問題について概括的にいろいろなことを聞きますけれども、これは、先回の委員会でも、同僚委員からも質問がありましたが、証券界の問題がいろいろと大きな問題になっているわけです。それがために、大蔵省はいろいろな警告を発したり、いろいろな処置をされておるようでありますけれども、遺憾ながら誇大広告その他の面で大衆の投機心をあおるような事態が起きておるわけです。こういう点について大蔵大臣はどういう見解を持っておられるのか。現在の証券界のあり方でやっていけるものであるかどうかということについての所見を承わっておきたいと思います。
  17. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 証券業界が活発な動きを示しておる、そういう意味で株価が不当に高くなっているのじゃないか、これが経済を時に刺激し、また撹乱するような危険があるのではないかという御心配のようでございますが、私どもも、証券業界のあり方、はっきり申しますならば株価のあり方というものについて、実は絶えず不測の損害を善良な投資家に与えないように注意したり、あるいはまた、経済の仕組みの面から見ましても、いわゆる投機的に資金が流用されない工夫をいろいろいたしておるのでございます。ことに本来証券界そのものは資本市場として育成さるべきものであるし、そういう意味においてはどこまでも資力信用というものが大事でございますから、ただいま御指摘になりましたような過当な、また不当な広告等によって投機をあおるような事柄は厳に戒めなければならない。株価の動向そのものについても、ただいま申すような意味で留意をし、同時に証券業界が真の資本拡大の方向において協力できるように努めるとともに、証券業者そのもの内容におきましても、業績と申しますか営業内容等もよく気をつけて見ましてこれが証券業者そのものとして不信用にならないようにいろいろ留意し、また指導している、こういう状況でございます。
  18. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 先日大蔵大臣にも西原理財局長さんにも伺ったのですが、投資信託法というような構想は全然お持ち合せがないのか、この際大蔵大臣に伺っておきます。
  19. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 証券業界の専門的分野といいますか、それぞれを拡大していく。そこで問題になりますのが、投資信託の分離という問題であります。御指摘のように、大蔵省としては投資信託を分離するという考え方でいろいろ指導いたしております。すでに大証券会社のうちにはそういう方向で具体的に工夫をしておるものもございますし、また一般の大証券の考え方も、今までのような非常に広範な事業経営からやはり投資信託分離という基本線の方向で工夫してみようということを、いろいろ考えているようであります。そういう場合に、信託銀行との関連において、今後の資本市場の育成強化ということに役立つように工夫してみたいものだ、かように思っております。
  20. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 先日本会議の席で同僚の春日君からも質問がありましたが、景気論についても佐藤大蔵大臣と池田通産大臣との間にいろいろ意見の相違がある、こういう情報が一般に信用されておるわけです。その点で佐藤大蔵大臣は消極論だと岸首相に言われると、大蔵大臣は大体そういうのがほんとうだということを弁明されておりましたが、しかし、大体佐藤大蔵大臣は景気過熱論という意見で、健全財政でいくというような方針を立てておられるようであります。そこで最近一般的に景気が上昇したといわれておりますが、この点について大蔵大臣はどういう所見を持って景気論に対処されるのか、この点を一つ伺っておきたいと思います。
  21. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 経済界が成長いたします場合に、やはり健全な成長と申しますか、安定した成長の望ましいことは申すまでもないところであります。この考え方においては、池田通産相との間に基本的な相違はございません。過日の本会議の席上におきましても、安定なくして経済の成長は考えられないということを、はっきり池田君もお答えをいたしておりますし、この点では御心配をいただくような点はないと確信いたしております。ただ、顔が違いますように、表現の仕方はそれぞれ違いますから、その表現の相違を努めて本質的な相違だと御指摘になりますならば、これは言葉の上からやや違いが出て参っておるかと思います。しかし、私どもは、どこまでも経済を成長させていく。それを健全にまた安定の上に成長させていきたい。従って、経済の成長を非常に急いで、インフレを助長したり、あるいは国際収支を悪化させる、こういうようなことはどこまでも避けて参る。これについては閣内に別に変った意見はございません。この点だけを御披露いたしておきます。  また、昨年来の景気上昇ほ、ことしになりましても依然として堅実な歩みを続けて参っております。私どもが想定したより以上の成長の過程をたどっておるのではないか、かように考えております。経済の伸展上からは大へん好ましいことだ、かように考えております。しかし、同時に、ただいま申す健全成長という観点に立ちまして、絶えずそのときどきの経済情勢なり金融情勢等についても十分私どもは観察を怠らない。絶えず調査を進めて参りまして、一そう健全な上にも健全な方向をたどらすように、ただいま努力いたさせておるのでございます。
  22. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 大蔵大臣はなかなか表現をうまくして、池田さんと表現の仕方が違うだけだと言っておられますけれども、朝日新聞を見ますと、池田通産大臣とは意見がだいぶ違う。大蔵大臣はこういうところではなかなか如才のない答弁をされておりますけれども、池田さんの考え方佐藤大蔵大臣考え方の間には、ニュアンスだけではなしに、根本的に考え方が違うのじゃないかというふうに思われる。そういう点で私たちがはっきり申し上げておきたいのは、現に、通産大臣は、設備投資はどんどんやらせていいじゃないか、大蔵省はそんなにやかましいことを言わないでいいじゃないか、こういう積極的な意見を吐いておられますが、大体、佐藤大蔵大臣は、景気過熱論という立場から非常に消極的な意見を持っておられます。この点について、閣内が不統一だというところまでは至っていないかもしれませんが、実際に現われる面は相当そこに開きがあるように考えられますけれども、その点については大蔵大臣はどういう考えを持っておられるのか、伺っておきたいと思います。
  23. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 新聞が何と報道いたしましょうと、雑誌で何と書こうと、ラジオで何と説明いたしましょうと、ただいまは民主主義の時代でございますから、御自由でございます。ただ関係しております当の本人の私自身は本質的に変りはない、かように考えておりますので、この点をこの国会を通じましてはっきり申し上げる次第でございます。
  24. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 これは水かけ論になるからこれ以上言いませんが、もう一点大臣にお伺いしておきたいのは、中央銀行としての日本銀行のあり方についてですが、これはいろいろ議論のあるところでありまして、これはイギリスなどとは違って、日本の状態は過渡的な状態だと思いますが、こういう点について中央銀行の改革というような問題についての御所見はあるのかないのか、また今のままでいいのかどうかという点について、一点伺っておきたいと思います。
  25. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま、金融制度調査会におきまして、この中央銀行のあり方についていろいろ審議をいただいております。今日までの審議の過程で表面化いたしております議論の非常に大きな点は、この中央銀行の中立性、こういうことが強く一面要望されておる。これについてどういう態度を政府がとるかということであろうかと思いますが、基本的考え方で理論的に中立性ということが尊重されることは非常に望ましいことだとは思いますが、政府自身は、金融をも含めて国内政治全般についての責任を負う。これは当然のことだ、かように考えます。かように考えて参りますと、この日本銀行の中立性と申しましても、これにはおのずから限度があるのではないか、こういう意味で、ようやく中立性の議論についても審議会内の大体の議論が終息しつつあるのではないか、かように私は見受けております。いずれにいたしましても、日本銀行が持つ国内金融あるいは国際的な関係における機能等から見まして、非常な重要な機能を持つ機関でございますから、そういう意味において、十分日本銀行はこの金融代表としての国内金融や国際金融の面において非常にその機能を発揮するようにいたしたいものだと思いますが、政府が最終の責任者であるということ、これだけはごうも消すことのできない現実の問題ではないか、政治上の問題ではないか、かように考えますので、この中立論についてもただいま申すような意味において限度がある。これを承知いたし、また審議会もそういう方向で審議を進めておられる、かように私了承しておる次第でございます。
  26. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 こういうことはあまり質問したくないのですけれども、過日日銀の副総裁の問題でいろいろ意見があったことは御承知通りであります。いろいろ責任は大蔵省にあるのですが、しかし、人事の問題まで一体大蔵大臣が言うべきであるかどうかという問題については、世上いろいろ議論があります。こういう点について、これは新聞のことだから知らぬと言われるかもしれませんけれども、今度谷口副総裁になられるまでには、日銀の人事としてはかってないいろいろな紛争があったことは御承知通りであります。こういう点について、大蔵大臣はどういう見解を持ち、どういうふうにされたかということを、この際、初めてのケースでございますので、承わっておきたいと思います。
  27. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 日銀法十六条に「総裁及副総裁ハ内閣二於テ之ヲ命ズ」という規定がございます。この総裁、副総裁はこの法律に基いて政府が任命するというのが本来の建前でございます。しかし、政府が任命いたすといたしましても、銀行内部の事情を十分知悉し、特別なことがない限り、普通の状況のもとにおきましては、総裁の意向が尊重されてまず任命される。まことに穏やかな方法で任命の手続がとられるのでございます。なおこの点についてこういう制度のことを御披露するまでもなく御了承がいただけることだと思いますのは、先ほど御披露いたしました日本銀行あるいは金融の中立性という観点に立って参りますと、できるだけ銀行自身が臨機に自分で処置し得る範囲を拡大していくことが必要ではないか。政府はそのこまかい点にまで一々干渉しないというのが望ましいことではないか。いつも国会で問題になります公定歩合の引き下げの問題などは、政府自身がその問題に責任を持つということよりも、こういうことこそはあるいは日本銀行に全責任を持って処理していただくこともいいというような件も必ずあることだと思うのでございます。そういうように、別に私はそれに賛成だということで申すわけではございませんが、そういう点も議論がある。その他のこまかな点につきましてはできるだけ日銀の自由裁量といいますか、専決にするような事項があってよろしい、政府が最終的な責任を持ちますのは、やはり人的構成を通じて責任を持つということが、金融機関に対しましても望ましい方法ではないか、こういう意味から、ただいま銀行法の十六条というものは総裁、副総裁を任命する、こういう規定になっておるのであります。かように実は考えております。私どもが扱いましたことについて、いろいろ新聞等では議論や事実の報道が出ておると思います。全部が一致しておるわけでもございますまい。しかし、今回の副総裁任命について、これが一転二転したような事実のあったことは私は否定いたしませんが、ただいま申し上げるようなことで、政府自身が特に干渉がましい態度をとる考えはない。この点は責任を持ってこの席でも申し上げ得ることであります。
  28. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 まだいろいろお尋ねしたいことがありますが、予算委員会もあるし、同僚委員で質問したい者もありますので、あとの問題は次の委員会に譲りまして、私の質問はこれで終りたいと思います。
  29. 植木庚子郎

  30. 横山利秋

    横山委員 ちょうど今から二年ばかり前でありましたか、一萬田大蔵大臣に神武以来の景気から不景気になったときの反省を聞きましたときに、政府としては二点をあげました。一つは景気観測機能を充実させるということであります。もう一つはそのことが起った場合における調整機能を充実するということであります。これがあのときの政府の総合的な反省であって、その二つについて今後十分戒心をするという話でありました。今日佐藤さんの質問に対して、あなたは、池田さんと自分とは意見の対立はないとおっしゃるけれども、どう考えても辛いはずの池田さんが甘い観測で、名前が甘い佐藤さんが辛い観測をしておると考えておるのが世間の常識であります。つまり景気観測について二つの違いがある。そこで今度は調整機能でありますが、調整機能についても、それでありますからどうも二人の言っていらっしゃる点が違うようであります。私は今池田さんのその調整機能について議論しようとは思いませんが、大臣考えていらっしゃる調整機能について一つ御意見を承わりたいと思うのであります。  それといいますのは、最近学者や新聞記者の皆さんがやっています総合政策研究会が金融正常化への提言を行いまして、これが機縁となって、各方面でこの金融正常化ということについて非常な議論がされておるわけでありますから、私はあなたにお伺いをしたいわけであります。  第一は、あなたは銀行大会で金融正常化を言っていらっしゃるのですが、一体正常化ということは何かということから話を始めないと、ベースが違いそうでありますから、簡潔でけっこうでありますから、大臣が今の金融が非常に非正常であると思っておられるその状態は何なのか、何を正常化させたいと思っておられるのか、それを明確にしていただきたいのであります。
  31. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 まず四点ばかりあげ得るかと思います。第一は、オーバー・ローンの解消であります。銀行の外部負債の縮減ということであります。第二点は、このオーバー・ローンとうらはらをなす問題でありますが、資産構成を健全化するという問題であります。今のオーバー・ローン解消の問題とはうらはらの問題でありますが、預貸率の改善等であります。第三は、金利の低下及び金利体系の是正、第四は、金融調整政策をときどきの情勢に応じて機動的に働かすための準備預金制度その他の金融調整操作、この四つに主たる重点を置いて金融正常化を進めておるわけであります。
  32. 横山利秋

    横山委員 四点とおっしゃいますが、その四点を実施するということについては相当の決意が必要でもありましょうし、その実施をし得るような状態、条件は何かということが今度は問題になって参りますと、また今そういうことがなし得る状態なのかどうかについての意見の食い違いがあろうと思いますが、それではそれを今なすべきだ、またやれると大臣は思っていらっしゃるでありましょうか。そういう背景となる景気の観測をどういうふうに見ていらっしゃるのか。たとえば、ことし一ばいというか、ここしばらく金融は緩和を続けていく、だから今それをなすのに一番妥当な状態である、だからするのだ、断固としてこれはやるのだというふうな観点に立っておられるのか。実はそうではないけれども、そういうことが必要なんだから、時があればやりたいのだという理想図を掲げておられるのか、その辺を一つ明確にしていただきませんと、世間の考え方が違って参るわけであります。
  33. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 いろいろの見方がございましょう。もちろん幾ら理屈がよくても、やれないときにさようなことを言ってもいかぬだろう。ただいまはそういう方向にやり得る時期だということ、これは一応御了承がいただけるのではないかと思います。しかしながら、これをやるにいたしましても、短期間の間にそう簡単に参らない。非常な決意を要すること、これはもう御指摘の通りだと思います。しかし、私どもは、あらゆる機会に、ただいま申したような金融の正常化方向に指導いたしておりますし、わが党の基本的な考え方といたしましては、自由主義、資本主義形態で物事を進めて参りますので、どこまでも自主調整を第一にし、そういう意味の積極的協力を願っておる。また、そういう意味では、多数の審議会等を設け、その審議会等を通じても十分意見の交換をし、現実の問題と合せて御協力願っておる、かような状態であります。
  34. 横山利秋

    横山委員 それをやり得るような情勢であることは御承知いただけると思うとおっしゃったのですが、どういう意味でそういうことをおっしゃったか、私にはよくわからないのです。私がお伺いをしておるのは、そういうオーバー・ローンの解消とか、自己資本の是正あるいは金利の正常化等々の点が、今実行し得るような状態にある。その状態というのはどういう状態であるのか。それを一つあなたからお伺いしたいのです。今日の金融情勢、景気の情勢はどういうふうに大臣として見ておられるのか。実はそれが池田さんとどこが違うのかということが知りたいのですが、それを言わないでも、佐藤さんとして今の情勢をどう考えておられるのか、少し展望を聞きたいのです。
  35. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 財政通であられる横山君だから御承知だろうと思って申したのですが、私どもがあげますのは、第一は、財政資金の散超がことしも依然として続いております。また企業資金の需要も一段落ついておる。こういう状況でありますし、日銀の貸し出しも順調に縮減、減少の方向をたどっておる。こういう際にオーバー・ローンの解消をさらに進めたいという考え方でございます。
  36. 横山利秋

    横山委員 ここから議論が少し発展しそうでありますけれども、時間もございませんから、具体的な点で一つお話を聞きます。  そういうお考えのような状況であるならば、その提言の言っております第一の準備預金制度実施について、さらに具体的に入れるようなお考えではなかろうかと思われるわけであります。オーバー・ローンの解消ができそうだ、またそういう状況にあるというならば、今行われている状況からさらに一歩進んで、この際準備預金制度実施の段階に入れるのではないか、またそれが妥当ではないかと言っております提言について、大臣はどうお考えでございますか。
  37. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 もちろんただいまの点を私ども指導要領としておりますが、これらのことは、オーバー・ローンの解消について先ほどのような説明をしますと、非常に楽観的な考え方をしているのではないかというような御批判もあろうかと思いますが、第一は、今設備資金の需要は一段落ついておるというが、必ずふえるだろう、そういう場合に一体どうなるのだというような疑問が出てくる。また今の準備預金制度にいたしましても、そういう意味の看板は掲げておるが、果してそういうふうにやれるかどうか、こういう点が御指摘にもございますような景気観測という問題と非常にからんでくることなので、だから、私どもの方向としての問題はございますが、やはり金融の実情を十分把握し、これに相応して寛厳よろしきを得ないと、これはまた違ってくるだろうと思うわけでございます。
  38. 横山利秋

    横山委員 寛厳よろしきを得ないと、とおっしゃるが、そこであなたのお考えが足踏みをしてしまうような感じを持つのです。準備預金制度実施というものがどうして今実施の段階—法制化もされているのだし、また現在一・五%の日銀預け金を積み立てることも実行中でもあるし、またあなたのおっしゃるような観測をするならば、もう法律も通っているのだから、どうしてそれができないのであるか。そこまではやってはいかぬのだ、ここまでならよろしいというものさしは一体どこなんだ。そこをお伺いしたいと思います。
  39. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 そういう点についてはいろいろ議論が出てくることだと思います。御承知のようにコール・レートはまだ相当高いところにとまっております。このコール・レートが高いということも一つのポイントなんです。一体今の金融の正常化にいたしましても、公定歩合の操作であるとか、あるいは公開市場の操作であるとか、準備預金制度、こういうようなものの操作をやはり総合的に考えていかなければならない。そういう点でいずれ総体的の金融が動く。その実態をやはりつかまえていかなければならぬ。だから、そういう点で、何も心配はないのだ、金融正常化の方向だけでどんどん進めていく、実はこういう簡単なものではないということを申し上げたいのでございます。
  40. 横山利秋

    横山委員 それじゃ、大臣にお伺いしますが、あなたは準備預金制度を望んでいるのか望んでおらないのかということをお伺いした方が話が早い。事情が許せばすみやかにやりたいと言うのか、それは今検討に値しない問題であるとおっしゃるのか、それを一つ明確にしていただきたい。
  41. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 考え方としては望んでおります。ただいまは預け金等もだんだんふえてきている、こういうことでございますが、直ちにそれを準備預金制度として、そこまで持ち上げるについては、なおもう少し公定歩合の引き下げであるとか、あるいは市場操作であるとか、その他のものと関連して考えていく必要があると思います。
  42. 横山利秋

    横山委員 いろいろお伺いしたいのですが、あとがあるそうですから、もう一点だけにいたします。  大臣が言ってないことで研究会が高く掲げております旗の一つに、預金基準の引き下げの問題があります。公定歩合が三回にわたって引き下げられ、貸出金利もそれに追随して引き下げられたのに、なぜ預金金利が引き下げられないのか、引き下げられないはずはないのではないか、こういうことを提案いたしまする研究会の真意というものは、私は私なりにまた別の角度を感じておるわけですが、この預金金利の引き下げということが、公定歩合の引き下げに追随して、弾力性ある動き方をすることが望ましいことだという点については、私も理論上はもっともなことだと思われるわけであります。それで、今、この預金金利を引き下げるべきだという提案に対しまして、政府としてはどういうふうにお考えでありましようか。
  43. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 預金金利が高くて領金者の利益確保される、また融資の貸出金利が下って借りる方は安い金利、こういうことになれば非常にけっこうだろうと思いますが、なかなかそうはいかない。銀行自身も採算を割ってまでというわけには参りませんし、そこで領金金利と貸出金利との間に一つの限界のあること、これは私どもも承知いたしておるわけであります。そこで、公定歩合を引き下げ、同時に市中金利もこれに追随していく。もうすでに三回の公定歩合の引き下げによって、この前の引き締め前のあの金利よりも大体融資金利が安くなっている。そういたしますと、預金金利もやはりそろそろ下げなければいかぬのではないか、こういう議論は当然出てくると思います。ただ、この預金金利自身が、領金者の利益というだけでなしに、預金金利が高いと、何事によらず経済の金融といいますか、金融の面において無理がかかるだろう、こういう気持があって、ただいま申すように、貸出金利は下げ、さらに預金金利も下げるのが当然ではないかという議論が実はあるだろうと思います。しかし、この預金金利そのものは、それぞれの国によって特殊な感覚を持つものでありますから、一がいに預金金利は当然低いものだというわけにはいかない、私はただいまのところさように考えております。そこで、できるだけ金融機関そのものが経営の合理化をはかってくれて、そして預金者の利益確保し、同時に融資を受ける面でも金利を下げていく、そういう工夫を一つしてもらうという、いわゆる純金融理論から申しますと、やや異例というか、異例な政治的な考え方で、ただいまの預金金利はなるべく下げたくないということで、金融面においても御努力を願っておるというのが実情でございます。
  44. 横山利秋

    横山委員 大臣は何を言っておられるのか、よくわからないのです。最初のことと最後のことと、まるきり百八十度違ったことを言っていらっしゃるので、これでは納得できません。これは記録にも残るのですし、大臣の答弁のように前とあととまるきり違って、下げるのがほんとうだと言っておいて、最後には下げたくないというのでは、どういう意味だかよくわかりませんから、この提言を一つよく聞いて答えて下さい。「このように預金金利が硬直していることは、金利全般の弾力化を妨げているばかりではない。ひいてこれが銀行の行き過ぎた預金競争や業態拡張競争を一そう助長し、また準備預金制度など金融政策態勢の整備をもむずかしくしていることを軽視すべきではない。従ってわれわれは当面預金金利を引き下げることが金融正常化推進のための先決条件と考える。去る二月の公定歩合の引き下げ以来すでに三ヵ月以上過ぎているため、預金金利引き下げの機を失ったとの見方もあるが、われわれは各種金融調節手段の整備と並行してこれが行われるならば決して不自然ではないと思う。」と言っています。そこで、この先決条件だというものの見方であります。あなたの話を聞くと、わしは金融正常化をしたいとは考えて推進をしておるけれども、預金金利は当面引き下げぬという非常な食い違いがあるわけですね。一つこの提言の預金金利の引き下げの論拠に対して、もう少し明確に整然と御説明が願いたいのです。
  45. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほどお答えしたので、おそらく聞かれたらわかりにくかったが、速記をごらんになればわかると思います。また御理解なさっていらっしゃるように、理論的な問題では筋の立った預金金利を下げろというその議論はわかるが、今国内の実情におきましては、もう少し貯蓄も奨励したいという気持が多分にございます。そういう意味で預金金利はなるべく下げたくない、率直に申してそういう考え方であります。
  46. 横山利秋

    横山委員 いろいろ意見がございます。まだお伺いしたい点がございますか、きょうは時間がございません。他に質問もあるそうですから、一応保留をいたしておきます。
  47. 植木庚子郎

  48. 石野久男

    石野委員 横山委員との間の経済に対する大臣のいろいろな見解の相違などについて、まだ私も関連して質問はしたいのですが、しかし、きょうは時間がありませんので、私はきわめて局所的な問題として起きておりますひよう害の問題について、一応大臣の御意見を承わりたいのです。  わが党の代表も、本会議の席上でこの問題に触れて、政府の善処方を要望しておるのでございますが、ちょうど五月の末から六月にかけまして関東数県にわたりまして非常に大きなひょう害がございました。このひょう害に対する措置につきましては、農林省、大蔵省ともに、それぞれの関係部署において努力はして下さっていることはよくわかりますけれども、しかし、この際特にお願いしたいことは、この天災による被害農林漁業者等に対する融資に関する暫定措置、天災融資の適用方を被害農家の方は積極的に要望しておるわけでございます。私どももまたそういうことをぜひ政府当局においても考えてもらいたいと思いますが、大蔵省はこの法の適用につきましてどういうふうに考えておられるか、大臣の天災融資法の適用についての腹づもりといいますか、基本的な構想を一つこの際聞かせていただきたいと思います。
  49. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 本会議で質問を受け、また与党の内部からも非常に強い要望がございます。私どもも、十分調査の結果を待ってこれに対する対策をとるということを御返事申し上げました。順次この調査がまとまるに従いまして、最初想定されたより以上の甚大なる被害であるということが私どもにもはっきりいたして参りました。この際天災融資法はもちろん発動するということで、近く閣議におきまして決定を見まして、罹災農家に対する援護方法をきめて参るつもりでございます。その詳細等につきましては、明日あたり閣議決定をすることでございましょうし、これは与野党ともに強い御要望でございますし、また実情も御要望を実現するのが当然というほどの甚大な被害であるということを私どもも認めて、対策を立てております。
  50. 石野久男

    石野委員 今回のひょう害が非常に甚大であって、政府も天災融資法の適用をする腹をきめたということをきょう承わりまして、私ども被害農家に対して非常にいいことだと思っております。さっそく一つそういうことを実施していただきたいと思います。  この際、そういう天災融資法の適用を受けてとにかく立ち上り、農家に再生産のための腹づもりを気持よくさせるというような状態が出ることが非常にうれしいことですが、それと同時に、関連するいろいろな問題があるわけであります。特に私は、今回のひょう害で関東近県における被害の中に、いわゆる政府専売事業にかかわるタバコの面の被害が非常に大きいということも、この際一つ考えていただかなければならないと思っております。タバコにつきましては、先般来、私ども、再三にわたりまして、公社に対する陳情もいたしておりますし、またいろいろとそれに対する処置もしてもらっております。タバコに関する処置の問題につきまして二つほど特に注意していただきたい点があるわけでございまして、この点について一応所見を承わりたい、こう思っておるわけです。  その一つの点は、被害を受けたタバコが継続耕作できるかどうかという問題についてでございます。公社当局では、被害を受けて継続耕作のできないものは、なるべく廃耕させようという意味のことをしばしば言っておりますけれども、しかし、現地におきましては、指導員の方々がやはりなるべく継続耕作させようという努力をしておるわけでございます。そういう点について公社当局と現地との間に、なるべく食い違いのないようにさせるような配慮をしていただきたいことを一つお願いしたい。それから、もう一つは、タバコの災害補償金の問題につきまして、これをなるべく一筆単位で、早期交付と増額の処置をしていただきたいということ、これは耕作者の方が要求していることでございます。これは従来のように地域で一つにかためてということでなしに、やはり—ひょう害というのは、もう大臣も御承知と思いますけれども、ひょうの通る一つの道がございます。ですから、とにかくその通った道だけが被害があってすぐ隣はそのまま残るという、実に差の激しいものでございます。こういう問題につきましてやはり被害に対しては一筆単位で被害査定をするということでやりませんと、これはとても被害者のめんどうを見てやるということはできないのじゃないかということから、この一筆単位の交付ということと増額ということについての考え方をぜひ一つとっていただきたいという要望でございます。そういう点についての御所見を一つ承わりたいと思います。
  51. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 継続耕作の問題につきましては、過去においてもいろいろ問題が起きたことがございます。今回のひょう害のように天災融資法を発動するといたしますならば、十分それらの点も勘案いたしまして、現地の耕作者と現地におります駐在員との間で、そこは十分話のつくようにいたしたいものだ。また、一筆単位云々の問題につきましては、非常に事務的な扱いのものでございますから、御意見をよく伺っておきまして、専売当局に対しましては御意見のあるところを伝えることにさせていただきたいと思います。
  52. 石野久男

    石野委員 もう一点。これは特に監理官にお尋ねしておきたいのですが、被害農家の作付転換とか、樹勢回復その他いろいろ肥料、農薬等に対しまして、農業再生産促進に必要な経費に対する助成の措置、こういう問題がございます。これは他の耕作物は農林省とかその他にあれしますけれども、専売に関しましては、特にこれは大蔵監理官がどうも上に乗っかっておって、なかなかにらみを強くきかしているようでございます。これではちょっと困る—困るのではないけれども、一つもう少し同情的な立場で公社と話し合いをしてもらいたい。公社の方の言い分を聞くと、どうも監理官がうんと言わないから、やりたいこともやれないのだということを盛んに言われるわけです。これは一つ監理官の方で実情をよく把握されてとにかく耕作者というのはタバコで税の収納に対してはお役に立つ働きをしているところですから、こういう人々に対しては、なるべく転換の措置を講ずるため処置をしてやっていただきたい。ことにタバコの場合は、継続耕作にしても廃耕にしても、今までの耕作の性質が性質でございますから、ほかに転換することが非常に困難でございます。従ってやはり監理官がそういう高い立場からにらみをきかして、何もかも全部大蔵省の見解によって査定を締めていくということでは困りますから、ぜひ一つあたたかい処置をしていただきたいと思うのだが、監理官は今度のひょう害に対してどういうような考え方でこれを見ておられるか、一つ御所見を承わっておきたいと思います。
  53. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 監理官になりましてまだニヵ月でございますので、不勉強の点は、石野先生のお話の趣旨をよく体しまして、今後勉強を続けていきたいと思います。     —————————————
  54. 植木庚子郎

    植木委員長 続いて、日程に追加して請願議題といたします。  本会期中付託になりました請願は、一、退職金課税免除に関する請願、一、鹿屋市に国民金融公庫支所設置に関する請願及び一、製塩に関する請願の三件でありますが、この際、紹介議員の説明並びに政府当局の意見聴取を省略しまして、直ちにその採否を決したいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 植木庚子郎

    植木委員長 御異議なしと認めます。  お諮りいたします。鹿屋市に国民金融公庫支所設置に関する請願につきましては、その趣旨がおおむね妥当と思われますので、採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 植木庚子郎

    植木委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、本請願に関する委員会報告書の作成並びに提出等手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 植木庚子郎

    植木委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。     —————————————
  58. 植木庚子郎

    植木委員長 閉会中審査事件申し出の件についてお諮りいたします。  本委員会において審査中の所得税法の一部を改正する法律案(第三十一回国会衆法第六号)、所得税法の一部を改正する法律案(第三十一回国会衆法第五九号)、厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案並びに税制に関する件、金融に関する件、外国為替に関する件、国有財産に関する件、専売事業に関する件、印刷事業に関する件、造幣事業に関する件、補助金等に係る予算の執行の適正に関する件の十一案件につきましては、閉会中もなお審査並びに調査をいたしたいと存じますので、議長に対しその旨を申し出たいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 植木庚子郎

    植木委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  なお、申し出書の作成並びに提出等手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。     —————————————
  60. 植木庚子郎

    植木委員長 また、ただいま議決いたしました閉会中審査案件が付託になりました場合、各地に委員を派遣して実情を調査いたしたいと存じますので、議長に対し委員派遣承認方を申請いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 植木庚子郎

    植木委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、承認申請書の作成並びに提出等手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。     —————————————
  62. 植木庚子郎

    植木委員長 次に、小委員会設置の件についてお諮りいたします。  閉会中審査のため、小委員十八名よりなる税制並びに税の執行に関する小委員会、小委員二十名よりなる金融及び証券に関する小委員会、小委員十三名よりなる国有財産に関する小委員会、及び小委員十二名よりなる専売事業に関する小委員会の四小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 植木庚子郎

    植木委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 植木庚子郎

    植木委員長 御異議なしと認めます。それでは、後刻委員長において指名し、公報をもってお知らせいたします。  なお、小委員及び小委員長辞任並びに補欠選任等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 植木庚子郎

    植木委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。暫時休憩いたします。     午後零時二十一分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕