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服部委員 運用上かなりの幅を持っているというお言葉でありますが、大体従来の行き方、また現在の末端の行き方は、決してそんな幅のあるものではない。もちろんなぜ幅がないかということは、私の
質問の最初に出てくる問題だと思うのでありますが、こういった席上ではそういう
回答があっても、なかなかそういった妙味ある
運用をやっておらない、これは断言してはばからないと思うのであります。しかし私は、そこまで幅のある
運用をするならば、いま少し的確にこういうものを——今度のいわゆる
伊勢湾台風にからんで、各
罹災地の
市町村に確かにそれは回っておりますか。そういった幅を持てというようなことは断じていっておらないという点について、一考をしてもらいたいと思うわけであります。
次に、一番下の方に、この
災害復興住宅の申し込み手続といったものは、都道府県又はその
出先機関で交付しておる用紙に「必要事項を記入して都道府県又はその
出先機関に提出し、
家屋の
被害率等の認定を受けて下さい。」「認定を受けた方は、次の機関に申し込んで下さい。」「市区
町村が申込を受付ける場合で、市区
町村から債務を保証された方は、市区
町村。」「その他の方は、最寄りの公庫の業務受託金融機関。」こういったことがあげてあります。そこで問題になるのは、もちろん相当腰がある市区
町村長であれば、これはどんどん書くだろうと思う。私であれば、どんどんめくら判を押すだけの裁量はあるけれ
ども、なかなか今日の市区
町村長は、こういうことをやらない。また現在のいわゆる自治体の機構上からいって、相当無理なことである。そこで、こういった市区
町村長がいわゆる債務を保証するということは、裏を返せば、その被災者に保証する人がない人のみが対象だと私は心得ておるわけであります。かりに被災者に親族、友人、かなり力のあるものがあれば、市区
町村長までいかなくても、安易な
方法で保証を受けてこの手続がとれると私は考えます。こうなりますと、全く自分の力で保証を受ける態勢ができないために
町村にいく。ところがなかなかそういった腹のある市区
町村長が少い。勢い事務的になって、またあとのことを考えてなかなかそれをやらない、こういった場合に、この立場に置かれた方がいよいよ行き詰まって、せっかくのこの
復興資金を借りることができないということに相なるわけでありますが、こういった方々に対しておそらく
住宅局長は、よって仮設
住宅、
公営住宅を考えているのだと仰せになるだろうと思うのであります。もちろん私も、こういった法規に縛られた以外に、また被災者を救済する道があることも万々心得ておりますが、ここで申し上げたいことは、私は現実にこの被災地を見て回って一番切実に感じた問題は、
住宅の問題だと思うのであります。昨日
二階堂先生からの
質問に対して、六十数ヵ所の被災
町村に出向いていろいろと手厚い援助を与えている。まことにこれは喜ばしいことでありまするが、私はまずここで申し上げたいことは、こういった恩恵に浴されない方が、仮設
住宅または
公営住宅——仮設
住宅というものは、これは正直に申し上げて、被災者となればこそ住み得られるけれ
ども、あれは人間の住むような家ではない。そこで、まず私は
公営住宅にしぼってみたいと思うのであります。この
公営住宅は、法律で
被害戸数の三割以内となっておりまするが、しかし三割までは被災地がこの割当を受ける権利があると言っても過言でないと思うのであります。この問題について、私はちょうどこの
災害があってから六日目に
現地に行ったのであります。先ほど陳情があったわけでありますが、この
罹災者は、自分の残っている家はただ柱だけだ、屋根のかわらは飛んでしまっております。ところがそこに
土砂の流入があって、
土砂が堆積して、ほんとうに自分の力でこの泥を出さなければ何ともならないという
状態に置かれている。しかるに、私
どもの冷静な判断で見るならば、この堆積
土砂を搬出しても、とうてい住み得られるような
状態ではない。ところがその方々は、柱だけが残っているその家が一縷の望みで、懸命に
土砂の搬出をやっておられる。しかもこのときに、
現地のこの
災害復興の一番重要な立場にある市長が、あまりにも大きな
被害のために全く右往左往の形で、何ら適切な指示も与えられない。私はここで一例を具体的に申し上げると、私は大沢次官と一緒に行ったのでありますが、一番ひどい
被害地に案内させようと思ったところが、市長は私に、頼むからあそこに行ってくれるな、私は行ったら殺されるのだ、とても人心不安で殺気立って危険だから、一つあそこを視察しないで、このまま和歌山へ行ってくれという市長の言葉であった。私は、市長何を言うか、君はそういったことをやるから被災民はいよいよ激高するのだ。夜は市長の家に投石がある、市長の横っ腹に空気穴をあける、こう言っておる。もちろん私は、そういった野蕃な行為はいけないことだと一言に言えるかもしれないけれ
ども、その人の立場になったならば、おそらく無理からぬことであると思う。粒々辛苦の末に築き上げたものが瞬時の間に流れてしまう。しかもこわれている。自分の子供や妻が相当流されておる。その人の気持になったときに、私はこういった暴言も、この際理解してやらなければならないと思うのであります。ところがこの場合において、無能にひとしき市長の姿を見たときに、私は無理無体に連れていって、とにかく何でもいいから責任を持って
復興するからと断言しなさい、私も及ばぬながら、この非惨な情態を見て、君の力になる、国の責任において当然やらなければならぬことはわかっておりますから、
現地に行って被災者に合って言葉をかけなさいと言って連れていった。そのときに私は、この場ではちょっとあれですが、来たるべき臨時国会に提出する案が、わが自民党の
災害対策本部で七役会の相談を経てできた。こういう方々を救済するのは、社会党も反対はなさらないであろうと思う。そのパンフレットには、今にでもそういった被災者を国の責任において救済するようなことを書いている。私も一足先に
現地に行って、それを政調の
調査員の方にもらって見て、大へんけっこうだと思った。ところが、私が、四、五日おっても何ら手が打たれない。申し上げますと、ここでこの無能な市長——ほんとうに被災者の気持を
政府が理解でき得るならば、私は
政府が市区
町村長、知事のけつをたたいて、早く
罹災者の気持になって
復興をやるべきだというところに、この執行者が力を得てやられるのだと思う。もちろん彼らは、絶えず被災者の気持には十分になっておるけれ
ども、次にくるいわゆる
市町村財政のことを考えたならば、なかなか思い切ったことができない。私は端的に申し上げて、三割以内の
公営住宅が配分できるならば、被災と同時に、必ずありとあらゆる機関で、少くとも
住宅局長のところには、倒壊、
流失、半壊
家屋の数が、警察庁または各出先の地建または都道府県、
市町村等からきているはずだと思う。こういう場合に、もちろん金のないことは十二分にわかっておりますが、少くとも法律で三割以内の
公営住宅を認めるとなれば、必ず次の臨時国会で、好むと好まざるとにかかわらず
予算化しなければならない問題だ。そうすれば、そういった途方に暮れているところの被災者にも大いに
住宅を割り当てる。
市町村のけつをたたいて至大の援助も与える。新聞では、通産省が亜鉛板何百トン確保した、セメント何十万トン確保したとか、これで
復興は万全だという報道も出ておりますけれ
ども、現実に昨日も話があったのでありますが、一番安易にして使いやすいベニヤ板が、すでに四割、五割と暴騰を重ねておる。金はない、物は流された、市区
町村の債務保証を受けられない、従って友人にもそういった人がない、全く困り果てた極にある方々を、どういう手段をもって助けるのか。そこで事前に、指令前の着工でもいいから、君の村は何戸の
公営住宅、これはこういった国家機関の恩恵に浴されない方を優先的に入れる。なお加えて申し上げますれば、
建設省がけつをたたいて、少くともその
地元の業者に、片方では堆積
土砂の整理をさせ、片方ではどんどんと
住宅が建っていくならば、少くとも彼らも次にあの家に住めるのだという非常に安心した、安定した気持で跡始末ができると考えるわけであります。ところが遺憾ながら、今日現在においても、そういった指示が出ておらない。これは法的に出せないのかという点について、一つ局長の御
意見を承わりたいと思う次第であります。