○二階堂
委員 そういう数字は、私はよく承わって了承をいたしますが、問題は、こういう場合ですから、町村長の証明ぐらいで金を出してやらなければいかぬのですよ。それは、法律の建前は、保証人がどうとかなっておりますが、私は、少くとも
長野県あたりは、非常に町村長がよく債務保証をしておる。ところが銀行の窓口に行くと、あなたはどうも担保能力がないから、もう一人保証人を持ってこい、こういうのです。そこで行き詰まっておる。これは、金融公庫の総裁もおりますが、国民金融公庫の方では、
長野県あたりではよく相談に乗ってもらっておる。しかし問題は、今申しますように資材が届かない、金が届かないということで、
住宅の
復旧がおくれてきておる。もう十六
号台風で雨です。私たちのところは雨なんです。雨の中でしょんぼり住む家もないという人がおるのです。そういう人に対して、一体政府はどういう
措置を考えておるか。金のワクが少ければワクをふやしてもらえばいい。あるいは町村長なり知事が保証をするならば、あとの問題については、われわれ国会において議論をして、法律の改正をすればいいことであります。こういうときに保証人がないとか金がないとかいうことを言っておったのでは、これは
災害に対する政治にはなりません。私どもは、少くとも国会において議論をする以上、そういう法律の不備があるならば、その不備は、
災害の臨時国会も開かれるのでありますから、国会を通じて法律の改正をするなり、あるいは政府が財政負担すべきものはさせる、そういう
措置をとらなければいかぬ。問題は、早く金とか物とかが罹災者に届く、その協力態勢を早く作ってもらいたい、それは政府の責任においておやりなされなければならぬことだと思っております。私は、ここでいろいろこまかいことで聞きたいことはございますけれども、私は罹災民の立場に立って、ほんとうのことを申し上げておるのですから、どうか一つその
措置を早くとっていただきたい。繰り返し繰り返し私はわが党の
委員会においても申し上げております。よくいろいろなことをやっておられますが、なかなかそこまでいっておらぬ。先ほどの数字は、おそらく第七
号台風の処置のことであると思う。十五
号台風はこれからどんどん出ますよ。これが一ヵ月も二ヵ月も、また六ヵ月も一年もの長い間がたって、ようやく金が貸し出せるということでは間に合わないのであります。ですから、
災害のときでありますから、どうか一つそういうことをお考えになって処置をしていただきたい、これは、私が特に申し上げておきたいことであります。
なおもう一、二点お尋ねして、まだあとにおられますから終りたいと思いますが、問題は、その
工事の進め方です。たとえば
河川の改修の
工事、あるいは緊急に必要なところの
工事の進め方、これは、
個所にしましても大へん莫大な数に上っておる。人命に
関係のあるような
個所で、早急に
復旧しなければならぬところもあります。これは、現在の
査定官の能力とか、あるいは現在の
建設工事の能力とか、あるいは金の能力とか、
工事の限度にもこれは限りがあるわけです。こういうような四十県にも上るところの罹災地から、ここもやってくれ、あそこもやってくれ、東海
地区の水没地帯の
工事は、もちろんのことであります。急がなければならぬところもある。そういうような
個所を一体どういうふうにして、二・三・五なり五・三・二なりの割合で
復旧工事におかかりになる方針か、私は非常にむずかしいと思う。一々罹災地からの陳情を聞いて、それをどこもかしこもといってはこれはできません。もちろん年数はかかるでしょうが、特に人命が危険にさらされているような
個所、あるいは部落、町等の、また来るかもしれない水のために危険にさらされるような
個所、これは、今
災害によって決壊した
個所はもちろんでありますが、そういうことが事前に予測されているような
個所も、当然仕事にかからなければならぬ。こういうようなことをお考えになりますと、どこから手をつけていいのか、どういうふうにしてこの仕事を
促進すべきかということにつきましては、きわめて計画的な深い配慮がなされなければいかぬ。もとよりそれには金の裏づけが必要でありましょう。私は、こういうことはここでお尋ねをして、お答えをいただきたいとは思いませんが、そういうことについても、一つ十分お考えになって対処していただきたい。特に急がなければならない、しかもここは部落が、人命が危険にまたさらされるというような
個所があるならば、そういうところは、今東海
地区に活動して感謝されております自衛隊の力をフルに一つ使っていただきたい、しかも長期にわたって
建設工事には協力をさせるべきだ。そしてまた地元の
建設業者なりにいろいろと協力してもらって、予算
措置を講じて
工事にかかっていただかなければならぬと思っております。こういうようなお考えも具体的に早急に一つおきめになって、進めていただかなければ大へんなことになる。
災害が進むというと、もう
建設省にはたくさんの陳情がくるでしょう。あそこもやってくれ、ここもやってくれ、そういうような
個所を、一々陳情を聞いて、あすこもここもといってもそれは限度がある。ですから、そういうような
措置については十分一つ深い配慮を払って、そうしてあらゆるものを、たとえば
施設部隊等の力をも長期にわたって、これは金の裏づけも必要でありましょうが、おやりにならぬというと、また来年の六月ごろには、大へんな
災害がきた、陳情を受けたがそれはできていなかったということでは、大へんな政治問題になる。今ですら、
地方を回ってみても、政治に対する不信の声がちらほら出ておる。私はこういうことを毎年憂えておりますが、今回の
災害について特に憂えておりますから、この点について、一つ
建設大臣も十分御検討の上計画を進めるように、一つ御配慮を願いたい、かように私はお願いだけを申し上げまして、別に
大臣、当局の答弁は私は要りません。
なお、もう一つ最後に申し上げたいことは、
査定の問題でありますが、これも私は、現場の写真等によって一応の応急の
査定を終えていただきたい。もちろん、緊急に
査定官を派遣して、ある
程度のいろいろな
査定の方法はお考えになって
措置をしておられるのでございますが、たとえば学校等の
災害の
個所を見てみましたが、やや傾いた校舎を
査定官が来て、これは
全壊と認めがたいと言っておる。なるほど
全壊でありません。実際見て
全壊でないのだから、
全壊でないという主張は私は正しいと思う。しかしながら、そういう学校の校舎に、しからば生徒を入れて授業ができるかというと、できない。そういうような場合に、先ほど申し上げましたような
住宅の場合も、
全壊とみなさなければ
復旧ができない、建て直すことができないというような
個所も
相当ある。あるいは人命に危険のあるような破壊した
個所も
相当あるが、そういう
個所も、一々大蔵省も
建設省も自治庁も立ち会って
査定して、そうして本
工事にかかるということは、時間がかかる。六カ月、一年かかる。そういうことも至るところに見られます。これは非常にひどい
災害で、手不足のところもあります、また法規がそうなっておればやむを得ないと申されますが、それも一つの理屈でありましょう。理屈は通さなければなりませんが、理屈の命ずるままにすべてが行動しておったのでは、人命に再び大へんな
災害を受けることになる。こういうようなことについても、十分一つ思い切った
措置をとっていただいて、そうしてそれの跡始末は、国会においてわれわれが政府と一体になってやらなければならぬ。そういうようなことを一つ講じていただきたい。
なおまた、最後に
大臣に申し上げますが、私は二十八年の
災害のときにも
現地に参りまして、いろいろ心配されておる実情を見て、いろいろな特別立法をしていただいた。今回の
災害にかんがみても、どうしても私は治水治山の抜本的な
対策、あるいは
住宅の
対策、ありとあらゆる農業、土木、その他公共
施設、すべてに
関係のある
災害復旧については、非常な決意をもって、繰り返して申し上げますが、お
当りにならなければなりませんが、問題はやはり財政の問題になってくる。金がないとかいろいろなことで、大蔵省当局と大へんな議論になることは、火を見るよりも明らかであります。たとえば、治水費三千五百億にしましても、大蔵省は、ここに
主計官も見えておりますが、三千五百億では問題にならぬという見解です。大蔵省は、国の財政を守るのも国を守るという考え方でありましょう。私は理屈はわかるのです。ただしかし、理屈を繰り返しておったのでは、こういう
災害の
対策になりません。また年々国土の二千数百億、三千億という大へんなものを失っていく。しかも現実に取り返しのつかない人命を四千名も五千名も、あるいは一万名も失うこともあるかもしれません。失われた人命は永久に帰って参りません。こういうようなことを思うならば、私は何としてでもこの治水
対策、
災害復旧の
対策というものは、ほんとうにいろいろな理屈を超越して、政府は腹をきめて当るということが第一であります。もし財源がないならば、自衛隊の漸増計画もできておりますが、私はやはりそういうような
計画等も一時アメリカの了解を受け、国際
関係にも重大な問題がありますが、しかしこういうときには国土を守ることも、自分の国を守ることも同じでありますから、少くとも五百億なり一千億なりというものをさいて、こういうような
復旧を急いで、そうして国民に安心を与えて、
災害の復興、国土の保全に当らせるということが私は大事なことではなかろうかと考えております。これは、私はできないことを八百長的に
大臣に質問しておるのではございません。私は真剣にそういうことを考えておる。昨年も同僚の瀬戸山君がそういうことを述べられて、大事なことだという答弁であったけれども、そういうような決意に踏み切らない。私は何もわれわれが主張しておるところの、国際
関係に対処するところのいろいろな問題、あるいは防衛力の問題、これは私は当然であろうと思っておりますが、二口目には金がない、財政に限度があるという抵抗を予算のときにも大蔵省当局から受ける。財源の点についてはいろいろな点について、たとえば仮設
住宅についても、あるいは
工事の進め方についても、むだのあるところもありましょう。しかしそういうむだのところはなるべく節約していただいて、そうして今申し上げましたようなところに重点的に金を回していただくということも当然であります。
相当な無理もある、むだもあると思っております。そういうことも深く反省されまして、なるたけの金を集めて、こういう場合に使うという態勢をやはり検討していただきたいが、二口目には何百億という金がない、財源がないといわれるならば、私はやはり防衛
関係に使っておる費用を一時繰り延べてでも、国土の
復旧のために、人命を守るために使うというような決意があるべきが当然だと考えております。私は、決してこのことは八百長内に申し上げておるのではない。二口目には財源がないという抵抗を受ける。それに対して私どもは、むだを省いてこういう金を使うということも当然でありますが、そういうことまでもお考えになって対処せられるという決意があってしかるべきだ。これが、私はこの
災害を通じて日本の
全国民が感じておる考え方ではないかと思っております。私は、何も防衛力を否定するものではありません。自衛隊の増強を否定する考えもありません。私は、この点は社会党の左派の方々と考えを異にします。(笑声)笑い事ではない。私はそういうようないいかげんな気持で、いろいろなことをひやかし半分で言っておられる方もありますけれども、そうではない。私は真剣にこういう意見を申し上げておる。どうか一つ
大臣の決意を促して、いろいろこまかいことについて申し上げたいこともありますが、本日はこれにて私の質問を終えたいと思います。