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1959-07-04 第32回国会 衆議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年七月四日(土曜日)     午前十時二十八分開議  出席委員    委員長 羽田 武嗣郎君    理事 井原 岸高君 理事 木村 守江君    理事 二階堂 進君 理事 堀川 恭平君    理事 上林與市郎君 理事 三鍋 義三君       川崎末五郎君    久野 忠治君       島村 一郎君    砂原  格君       徳安 實藏君    橋本 正之君       服部 安司君    林  唯義君       石川 次夫君    兒玉 末男君       東海林 稔君    塚本 三郎君       武藤 武雄君    山中 吾郎君       山中日露史君  出席国務大臣         建 設 大 臣 村上  勇君  委員外出席者         建設政務次官  大沢 雄一君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君         建 設 技 官         (道路局長)  佐藤 寛政君         建 設 技 官         (住宅局長)  稗田  治君         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 七月四日  委員松澤雄藏辞任につき、その補欠として久  野忠治君が議長指名委員に選任された。 同日  委員久野忠治辞任につき、その補欠として松  澤雄藏君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 七月三日  一、国土計画に関する件  二、都市計画に関する件  三、災害対策に関する件  四、道路河川及び住宅に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  道路に関する件  河川に関する件  住宅に関する件      ————◇—————
  2. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 これより会議を開きます。  道路河川及び住宅に関する件につきまして調査を進めます。  この際河川局長より発言を求められておりますから、これを許します。山本河川局長
  3. 山本三郎

    山本説明員 お手元に差し上げている資料がございますが、七月一日から三日の梅雨前線による水害被害状況について、ただいままでに集まりました情報を御報告申し上げます。この資料の順序に従いまして、簡単に御説明申し上げたいと思います。  第一番目は気象の概要でございます。御承知のように、七月一日の夜半から二日にわたりまして、日本海に生じました低気圧から東にずっと伸びました梅雨前線は、北陸地方から奥羽の南部を通りまして、三陸沖に達し、この影響を受けまして、新潟石川富山長野福島山形の各県に豪雨がございまして、各地に相当の被害の発生を見るに至りました。しかしながらこの雨は、三日の夕刻におきましては、梅雨前線が徐々に南下いたしまして、そのために上昇気流も減小しつつありますので、今後は小雨程度になる、こういう見込みでございます。  次に、七月一日から三日までの梅雨前線による水害被害状況を御説明申し上げます。  まず被害報告がありましたのは、山形県、福島県、宮城県、新潟県、富山県、石川県、長野県の各県でございまして、被害中心地は、山形県におきましては長井、庄内、新庄の地方でございます。福島県は、おもに会津地方でございます。宮城県では、丸森町といいまして、福島県の境の地方でございます。新潟県が一番ひどうございまして、県の東部と北部に被害がございました。それから富山県は、県の東部地区でございます。石川県は金沢市の周辺、長野県はやはり新潟県寄りの姫川、松川の流域に相なっております。各河川出水状況等おもなる被害河川道路等は詳しくは御説明申し上げません。ここに書いてある通りでございます。雨量等は、一番右の欄に書いてございますが、一番多いのは、新潟県の三面川上流猿田ダムというのを作っておりますが、そこにおきまして、一日の二十一時から三日の九時までに二百四十ミリの記録がございます。あとの地区におきましては、富山県の小屋平というところで、二百八十五ミリというふうに記録されておりまして、こういうふうな雨が発生したわけでございます。以上申し上げました地方、主として最上川の水系、それから福島県では阿賀野川の上流地方新潟県ではやはり三面川であるとか、あるいは信濃川、魚野川等流域被害が発生しております。また富山では常願寺川、黒部川の河川でございます。  以上の通りでございまして、ただいままでに報告がありました東北被害額は、山形県が九千九百七十万円、福島県が五千三百二十万円、宮城県が五百五十万円、新潟県が一億六千九百五十六万円、官山県が九千九百九十五万五千円、石川県が五千百七十八万円、長野県が六百七十万円でございまして、以上合計いたしますると、直轄分が九千二百七十万円、補助分が三億九千三百六十九万五千円、以上合計いたしまして、個所数にいたしまして五百三十二カ所、被害額が四億八千六百三十九万五千円と相なっております。これは今後の調査によりまして、なお現在より被害状況は増加するのではないかと考えております。  最後に、一般被害の警察庁の情報の分がございまして、宮城県、山形県、福島県、新潟県、長野県等におきまして、死者、行方不明、あるいは床上浸水床下浸水、田畑の流失埋没、あるいは冠水等資料がございまして、やはり一番大きいのは福島県と新潟県と相なっております。  以上簡単でございますが、御報告を申し上げる次第でございます。
  4. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 次に質疑の通告がありますからこれを許します。  山中吾郎君。
  5. 山中吾郎

    山中(吾)委員 大臣に主としてお尋ねいたしたいと思います。それに関連をして、関係局長から補足説明を、必要な場合にはしていただきたいと思います。  私御質問を申し上げたいのは、大臣更迭建設行政断続性の問題に関連をしながら、二、三の施策方針をお聞きいたしたいと思います。それから国土開発縦貫自動車道建設法関連して、東北自動車道についての御意見を伺う、この二つであります。  第一点の大臣更迭については、きのう三鍋委員からもお話がありましたが、一年足らず大臣更迭ということと、それから建設行政性格から、常に年次計画の上に建設行政が立っておるものでありますから、他の省よりもさらに行政継続性というものが必要であると思うのです。そこで、私どういうふうな慣例になっておるか知りませんので、大臣更迭をされるたびに、前大臣と新大臣の間に引き継ぎをされる場合には、どの程度どういう事項について申し送りをされるのか、現実に遠藤大臣村上大臣の間に事務引き継ぎされたときの事項を御報告願いたいと思います。
  6. 村上勇

    村上国務大臣 担当大臣がかわりましても、建設省としての取り来たった計画性というものは、これは何ら変更するべきものではないと思っております。従いまして、前大臣との事務引き継ぎにつきましては、建設省万般にわたって引き継ぎをいたしておりますので、これは非常に詳細にわたって引き継がれておりますから、ここで一つ一つ申し上げることはどうかと思いますが、もし御参考までに御必要でありますならば、項目だけでも申し上げたいと思います。
  7. 山中吾郎

    山中(吾)委員 私のお尋ねをいたしておりますのは、そういう書類での万般にわたる事務引き継ぎではなくて、その点については、局長を呼び出してお聞きになるので、直接大臣大臣重要事項について、何時間か私は知りませんけれども、こういう事項とこういう事項はぜひ引き継いでやってもらいたいというふうな政治家責任として引き継ぎがあったはずだと思うので、その事項だけをお聞きいたしたいと思います。それは、形式的なものではなく、直接なまの大臣大臣言葉で引き継いだ事項をお聞きしたいのです。
  8. 村上勇

    村上国務大臣 言葉で引き継いだ問題は別にございません。
  9. 山中吾郎

    山中(吾)委員 私、そういう点に何か欠陥があると思うのですが、大臣というのは、一つ識見政治を行う責任でありますから、事務当局事務的に引き継ぎすることは、これは当然であります。しかし一年足らず、あるいは半年ぐらいで建設大臣更迭する、そうして遠藤大臣村上大臣が、直接この事項国会において答弁をしておる、こういうふうに言明をしておる、これについてはこういう考えがある、そうして新大臣は、それについてはその識見責任を持って発展せしめるというふうなことがあったはずだと思うので、もしそれでなければ、ほんとう人事派閥政治になって、何ら将来に対する日本民族責任を持っておる大臣引き継ぎにならないと思うので、お聞きをいたしておるのですが、そういう意味引き継ぎはないのでありますか。
  10. 村上勇

    村上国務大臣 この所管事項の全般にわたっての書類上の引き継ぎはありますが、特に遠藤大臣から、こういうことだけはこうしてほしいというような言葉の上の取引はございません。
  11. 山中吾郎

    山中(吾)委員 私まことに遺憾に思うのです。少くとも大臣更迭には、そういうことが一時間、二時間でもあると私は信じておったのでありまして、今度村上大臣更迭をされるときには、新大臣とひざ詰めで、これはやはり次の大臣にやってもらわなければ困る。私は、政治家責任は、日本未来に対する責任であって、現在に対する責任ではないと思っております。次の大臣に引き継ぐ場合には、そういういい習慣をお作りになるお考えはないでしょうか。
  12. 村上勇

    村上国務大臣 そういうような特にポイントを抑えて、これだけは自分信念としてでもやるべきだということがありますならば、次の大臣に、私は必ずこれだけは一つ頼むということを言って、引き継ぐことも考えておりますが、遠藤大臣の場合には、ほとんど所管事項遠藤大臣一つポイントであった、かように私は思っておりますので、別にそういう言葉の上の引き継ぎはございません。ただ昨日申しました国際会議場場所の指定については、これは非常に重要な問題であるから、営繕局長を海外に派遣してよく研究さしておるので、営繕局長が帰った上で一つ慎重に御検討願いたい、これが言葉の上の私に対する引ぎであったのじゃないかと思いますが、そういうことは承わりましたが、他に別に、今御指摘されておるような御意見のようなことはございません。
  13. 山中吾郎

    山中(吾)委員 遠藤大臣の無責任引き継ぎには、私は遺憾の意を表明いたしたいと思います。それから国際会議場の敷地など、こういうものは、日本の将来に大して影響がないので、もっと引き継ぐべきものがあるのに、そういう直接引き継ぐ必要のないことたけを引き継ぎになっておるのは、政治感覚として私は非常に遺憾に思います。意見だけ申し上げます。ぜひ次の大臣更迭されるときには、重要なほんとう日本国土に直接関連する施策については引き継いでいただきたい、直接責任を持って話をしていただきたい。  それに関連をして、きのうも話が出たのでありますけれども、治山治水五カ年計画でありますが、前の大臣はここで言明をして、何とかこれを特別会計制度に持っていきたい、治山治水促進法を実施をしたいということを念願しながら、意見を発表しておったわけであります。こういう事項こそ、私は新大臣に引き継いで、そうして完を期するということが民主政治家責任だと思っておったので、そういうことがあったかと思ってお聞きしたのですが、一つもない。その書類のことは、それは事務担当から説明を受けるのですから、当然なことだと思うのです。それで、そのことについてもきのうから話がありましたが、前の大臣識見を、新大臣も、私も同じ意見だというふうにきのうお話しになった。その内容を実現する方法は、ただ一つ特別会計制度をとるかとらないかということに私はあると思う。災害が起ったときに応急措置をとるというならば、従前の慣例にすぎないのであって、ことに大臣就任前後に、新聞記事は、新大臣は大分県出身であるし、九州地方災害重点考えて、特に特別会計制度まで考えるということは考えていないようだということを書いております。地域的に重点を指向する。そういう記事は、もちろん私は信じてはいないのですが、きのうのお話では、特別会計制度もとっていきたいというお話であったので、それが私は、前の大臣からの識見を次の大臣が引き受けて、これを発展せしめる非常に大事な新大臣意見だと思ったのでありますが、その意味において、ほんとう立法指置をとって、治山治水についての特別会計制度を在任中に最重点的に施行するという決意のほどを、私はお聞きいたしたいと思います。どの程度の御決意であるか。
  14. 村上勇

    村上国務大臣 私は、山中さんと全く同じ考え方を持っておりまして、少くとも抜本的に災害防止をしなければならぬ、ただ単に、被害があったからそれを復旧するというようなやり方では、何年たっても日本災害というものは防止することはできないという立場に立って、決して九州出身——また従来は九州災害常道地帯でありましたが、しかし今は、もうほとんど日本全体が災害常道地帯だといっていいのでありまして、そういうような年々歳々襲来する台風に備えるためには、ほんとうに抜本的に治水対策はやらなくちゃならないということは、私の従来からの信念でありましたので、この機会にできる限り考えたい。それにはどうしても相当な予算が必要であるが、一般会計では、限りある金でもありますし、必要なところへ必要なだけ資金を入れることはとうていできない。それには前大臣、また特に建設常任委員の方々の御熱意によって特別会計の問題も相当進んで参っておりますので、この際ぜひとも何らかの方法で、絶対必要ないわゆる治水対策は、特別会計によってどうしてもまかないたい、かように思っております。
  15. 山中吾郎

    山中(吾)委員 ぜひその実現をお願いしたいと思います。のど元過ぐれば熱さ忘るるということわざが一番適用されるのは災害ですから、おそらく災害が起ったときに、非常に緊張した雰囲気で遠藤大臣がそういう決意を表明したのですが、災害がなくなれば、大蔵省にしてもどこにしても、また弛緩状態に入ると思いますから、よろしくお願いいたしたいと思います。  次に、これも引き継ぎ事項であるはずでありますけれども、前の大臣は、自分の今後の建設政治方針の中に、農村住宅政策というものを取り上げていきたいということを、みずから進んで国会において表明をされた。これも、当然政治家責任として、新大臣に話をされるべきだと私は思っておったのですが、何もないそうでありますけれども、この点について、事務当局からはお話があったと思いますので、御意見をお伺いいたしたい。
  16. 村上勇

    村上国務大臣 これは、所管事項の中に遠藤大臣考え方も入っておりますので、決して遠藤大臣が何も引き継がなかったということではございませんので、その点御了解願います。  農漁村住宅に対しましては、従来から住宅金融公庫一般住宅建設融資を初め、災害復興住宅というようなことで、または補改修のための融資を行なって参っております。また都道府県指導による農村モデル住宅建設をはかるなど、住宅建設を促進して参りましたが、今後も農漁村住宅合理的改善を促進することが必要だと思っておりますので、さらに戸数の増加をはかりまして、農漁村希望に沿うようにいたしたいと思っております。しかし、農漁村の場合には、一般融資と同列にいくことは、農漁村性格からしてどうかと思いますので、これには金融公庫の貸し出しの期日農漁村向きにするということが大事じゃないかと思います。すなわち返還期日を、毎月払いというのから年二回に改めるとか、あるいはまた農家の自己労力とでも申しますか、そういうようなことも導入して、少しでも坪当りの単価を減していくというようなことも考えて、農漁村向き方法をとって参ることが適切でないかと思いまして、研究いたしております。
  17. 山中吾郎

    山中(吾)委員 私は、現在の建設行政というのは、大体都市中心建設行政の体質があるのじゃないかと思う。これを農村方向建設行政を指向するというのが、いわゆる国土開発的な性格を持つ建設政治になると思うので、その一つきっかけといいますか、そういうために、住宅政策でも、都市中心住宅難緩和住宅政策から農村住宅政策に少しでも進むということが、非常に大きい意味がある。こういうところに大臣識見を出していただくということが、非常に大事だと思うので申し上げるわけであります。今は社会教育の面で、生活改善の一環として、教育として農村住宅改善も行われておるわけです。建設政治としては空白地帯だったと私は思う。ところが農村に入りますと、新しい憲法と民法によって家族制度というものが取り除かれて、いわゆる個人の尊重に立った近代的な家庭生活を強調する、そういうような基本的な日本政治態勢があるのに、建築構造そのものが封建的な家族制度の上に立った建築構造で、主人の部屋だけがあり、嫁夫婦はないも同然、東北に行きますと、馬と人間が一緒に住んでおります。非常に封建的な非文化的な建築であり、そしてまた非常に不合理ですから、一人当り平均四坪くらいの家を持って、しかも不便である。この付近に来ると、一坪半くらいで十分便利な建築が行われている、そういう関係から、農村生活を近代化するのには、住宅を改造するということが非常に大きい問題だと私は考えておるのです。そこで、火災になったとか、あるいは古びた建物を建て直す場合には、建設省において設計指導をして、そういう指導に乗ってくる場合には融資をしてやって、建築構造を改めてやるというようなことを含んで、建設省一つ農村住宅政策として新しい部面として取り上げることが、やはり都市偏重建設行政が、日本全土に及ぶ建設行政に発展していく一つきっかけでもある、こういうことを私は考えておるわけであります。以上私の申し上げた意見についての大臣の御意見をお聞きいたしたい。
  18. 村上勇

    村上国務大臣 農村家屋が今日の文化的水準になっていないということは、お説の通りでありまして、これを少くとも農村文化を向上させるということは、われわれ政治の要諦であろうと思います。従いまして、お説のような点につきましては、就任早々の間でありますので、事務当局から一応御意見にお答えいたしたいと思います。
  19. 稗田治

    稗田説明員 農村住宅が封建的な非常に非能率的な住宅でございまして、これを何とか改善していかなければならぬというお説につきましては、私も全く同感でございます。それで、従来住宅金融公庫分譲住宅というのがございまして、各府県市町村が先にこれを建てて分譲していくわけでありますが、その分譲住宅戸数の一部を割きまして、農村モデル住宅というので、三十四年度におきましても二百七十戸ほど、これは地方希望をとりまして実施しておるわけであります。今日まで実施しました戸数は千二百二十二戸であります。このモデル住宅規格等も、今後は農漁村向きにそれぞれ——同じ農村漁村と申しましても、いろいろの営農状態がございますので、それぞれの営農状態に合うような、そういった標準設計というものを作りまして、今後積極的に指導して参りたいというように考えておるわけであります。なお今後農村モデル住宅戸数そのものもふやしていきたい、そのように努力したいと思っております。
  20. 山中吾郎

    山中(吾)委員 大臣は、今勘でお答え願ったのですが、これは建設行政の新しい領域だと思いますから、一つ御検討願って、結論をお持ちになるように願いたいと思います。  住宅局長にお聞きしたいのですが、希望も含めてですけれども、農村にいきますと、大体農民はだんだんと民主化をされて、住宅についてももっと便利な、衛生的なものを作ろうという意思はほとんど持っておるようになっておる。ところが農村に住んでおる大工というものは、昔の設計しか知らないわけです。大工に頼むと、いつの間にか昔の通りに建たせられる。一たん建てると、もう五十年、古い建て方の家で、不便な生活と非衛生的な生活をしていかなければならない、大工にたのむとそうなる。それで、実際に農村住宅をもっと近代的な、いわゆる建築基準法の第一条にあるような最低の文化生活を営むに適する住宅という概念に持っていくためには、建設省において農村に住む大工指導というものを取り上げないとできないし、これを取り上げればできる。その若干の融資農村に住む大工指導、これをすれば、ずいぶんと日本農村の人々の生活は明るくなるのではないかと思うので、この点について御意見をお聞きいたしたい。
  21. 稗田治

    稗田説明員 行政指導といたしまして、農村大工職につきまして、いろいろ新しい住宅構造教育を施していくことは、今後ますます必要であると思っております。各都道府県建築士会という建物設計、工事監理する建築士制度による建築士の会ができておるわけでありますが、農村におきましても、家を一戸引き受けて建設されるような大工職の方は、二級建築士に大がい該当しておるわけであります。今後建築士会の育成に伴いまして、お説のような農村住宅改善につきまして、大工職教育もあわせて徹底するようにやっていきたいと思っております。
  22. 山中吾郎

    山中(吾)委員 お答えのように、ただ建築士会指導していくだけでは、おそらくそういう農村に住む大工指導まではいかないのではないかと思うのです。直接農村に住んでおる大工さんを指導する指導費などを計上して、何ですか、免許を持っていない者も含んでの指導をされる必要があるのではないか。これも、今の私の話を受け取っていただいて、局長並びに大臣の方でも検討していただいて、予算化できれば、若干の費用でいいと思うので、ぜひ指導費を計上するような方向に御検討願いたいと思います。
  23. 村上勇

    村上国務大臣 山中さんのお考えは私も全く同感でありますが、ただ単に農村に住む大工考え方だけで文化的な施設に農村家屋がなるとは思えません。それはやはり農村向きの幾つかの設計をして、そういうサンプルを作ってやるということが、一番今のあなたの御意見に沿っていくことじゃないかと思います。まあ家屋建築は、注文者ふところ工合、それから設計のよしあしであります。従いまして、安くて非常にいい設計一つ模範図というものを与えて、どれを選ぶべきかということにして農村住宅改善をはかっていくということは必要だろうと思います。それにつきましては、十分私どももこれから研究いたしまして、どこでそういうものを作るか、こういうこともよく研究した上で、私はそういうような方法農村住宅をよりよい住みいいものにし、また文化的な住宅としてりっぱなものにしていきたい、こう思っております。
  24. 山中吾郎

    山中(吾)委員 大臣のおっしゃる通りに、やはりいい設計をこちらで準備していただいて、それを普及するようにしていただくことが非常に大事だと思います。これには漁村型、純農村型、山村型、いろいろあろうと思いますので、よろしくお願いいたします。それが、私は前大臣農村住宅政策言明されたことについての識見を発展せしめる方法だと思うので、お尋ねをしたわけです。  次に、これに関連をしまして、私やはり建設行政都市中心全土に及ぼすという意味において、農村に持っていくために、都市計画法という法律に対して農村計画法というふうな構想というものが、日本建設行政に必要ではないか。都市計画法というのは、でき上った都市をつぶしてやり直しをするという跡始末行政のような気がするわけです。そうして土地の問題が起る、土地収用法のいろいろな紛争が起る、また土地の値上げについての悪徳も生れてくるというようなことなので、ほんとう建設省国土を利用することを責任としておる本省であるならば、現在町村制をしいておる町村を対象として、未来に向った都市建設するとか、あるいは農村なら農村のままの田園都市建設するとかいう構想のもとに、都市計画法に対する農村計画法というか、町村計画法というか、そういうものを作ってやってもらいたいと思うのですが、これも空白だと思います。そうして未来に対して人間の住む場所設計して、それに応じて町村が進める場合には、同じく建設省指導し、国は財政的援助をはかるというふうな新しい立法が必要じゃないか、こういうことをやることによって、日本建設省の体質が改造されていく。国土省にするしないという名目の問題でなしに、実質上そういう方向に持っていけるというふうに思うので、御意見をお聞きいたしたいと思います。
  25. 村上勇

    村上国務大臣 この点は非常に重大な問題でございまして、大体日本農村のあり方というものが、一片の法律だけでこれを指令し、これを左右することができるかどうかという点については、今後非常に研究する余地があろうかと思います。たとえば何百年来こういう所へどうして住んでいるかと私どもが考える場合でも、その土地の立地条件、たとえば水がそこにある、あるいは草刈り場が豊富にあるとかいうことで、そこを離れて、一つの指令のもとに動いては、どうしても農村の経営のできないような場合もあり得ます。しかし従来の考え方を、少しでもそういう農村計画都市計画と同じようなものにするということについては、これはまだわれわれ研究が足りておりませんので、十分検討した上で、私どもも、少しでも農村が、その個人といわず、その部落といわず、文化的に恵まれていくようにするということは同感でありますので、十分研究して参りたいと思っております。
  26. 山中吾郎

    山中(吾)委員 今大臣の言われた、現在人間の住む場所として最も不適当なところに住んでいるという事実、これは東北地域に行くとたくさんあるわけです。土地所有制度の関係から、山の中に入らなければ、開墾をしなければ食っていけないのですから、一番山の奥に入って、そうして一番不便な所へ住んでいる人もありますし、あるいは昔の政治犯で、時の政府から、一族が発見されると殺されるということで、山の奥に入って、命を守るために絶対的な僻地に入っている者もあると思います。これはいろいろな点からいっても、場所を変えるほか、確かに文化生活をすることは不可能な点があると思う。そういう極端な場合は別といたしまして、現在住んでいる町村の場合に、町村合併が行われたちょうどいい時期だと思うのであります。その町村合併促進法というものがありますけれども、これは町村合併をするためのつけ焼刃の一つの一応のペーパー・プランであって、それに対する財政的裏づけというようなものがほとんど部分的であって、学校統合くらいは文部省の方でやっておりますが、そういうふうなものを、ちょうど町村合併をした時期でありますので、町村合併促進法の構想を一歩進めて、建設省で取り上げて、町村建設法というものに持っていくいい機会である。町村合併は、一世紀に一回、半世紀に一回の大事業であって、その機会が現在だと思うのであります。そういうふうな姿の中に、現在の農村土地利用というものを基本とした、これは田にすべき地域である、畑にしておくべきところである、山林地帯として進むべきところである、住居地帯であるというふうにまで、土地の利用から作り上げた町村計画、こういうものを出してきた場合に、政府が責任をもって都市計画と同じように補助をする。そうして町村長は、どこの町村長でも、これについてみな熱意を持っておるのですが、法の裏づけがないという関係から、そのまま、また自然発生的に農村ができておって、あちらこちらに散在的な農家があり、公民館を作っても利用することは不可能である。たくさん小さな学校を作っても、二里も歩かなければ子供が学校に行けないということが行われているということから、日本農村生活というものは、そういう農村計画というふうな建設行政の方から入っていかないと、憲法の保障する最低の文化生活ができる条件が備わっていないと思うので、私は、そういう意味において、日本国土を利用するという立場、あるいは最低の文化生活を保障する理念からいっても、建設省が、こういうことこそ取り上げるべきことではないか。大臣が半年くらい一年くらいで更迭をして、識見の交換が、行われていないというところに、こういう欠陥が出るのではないかと思うので、申し上げておるのでありますが、これも一月、二月その他いろいろの面から時間をかけて御検討願いまして、在職中に、どなたかの大臣のときに、こういう識見を残していただかないと、建設行政は常に後退する。それで、請負業者を監督するくらいの現場省に建設省がなってしまうのではないかと私は思うので、大臣の御検討をお願いいたしたいと思うのであります。  それから次に、国土開発縦貫自動車道建設法に基いて、東北自動車道のことについてお伺いいたしたいと思うのです。中島委員は、いつも中央道について御質問をされておるわけでありますが、この法律は、南は九州の果てから北海道に至るまで縦貫自動車道を建設するという目的で設定をされておる法律でありますが、こういう法律は、絶えず刺激がないと、おそらくしり切れトンボになる。おそらくただながめておるならば、大阪—名古屋間あたりができるかできないか、できたならばそれで終りというふうな危険がある法律だと私は思うのです。この法律全部が完成するということは、日本列島を一貫して、中央に一つの背骨を作るという目的のもとにできております。そういう意味において、東北の自動車道というふうなものについても、この法律の完徹を期すべきかどうかという御信念をまずお聞きいたしたいと思います。
  27. 村上勇

    村上国務大臣 東北の高速自動車道路につきましては、現在小牧—東京間の高速自動車道路が、これからいよいよ調査の予定線をきめるというような法案が提出されて、それで調査に入るのでありますが、日本の国力とにらみ合せて、東北方面にもこの縦貫自動車道路を作るということについては、われわれも全く同感であります。従いまして、建設省といたしましては、これが調査に対して今後一つ十分検討してみたいと思っております。
  28. 山中吾郎

    山中(吾)委員 この法律は、中央自動車道、東北自動車道から九州自動車道まで別表にすでに表明をして、これを建設するということが規定されておるわけで、法律的に義務づけられておるわけなので、どちらが先かという軽重の順序には少しも法律にないわけです。当然行わなければならないという、いわゆる法律的義務を一つ大臣は深めていただいて、こういうものは、私は絶えず引き継ぎ事項として引き継いでいかないと、行方不明になるのだと思うので申し上げているわけです。ことにこの法律を見ますと、第一条に「国土の普遍的開発をはかり、画期的な産業の立地振興及び国民生活領域の拡大を期する」という総合的な目的があることと、それから終りの方に「新都市及び新農村建設等を促進することを目的とする。」というふうに書いてあります。従ってこの第一条からいいますと、単に道路を作るという目的でなしに、新都市、新農村建設国土開発、産業開発という総合行政を目的としておるもので、この東北でなくて、いわゆるこの法律の規定するところの自助車道路を作るということが、そのこと自体が日本建設省の質を変え、国土省的なものに発展する性格を、実はこの道路を遂行するうちに変革されてくるものなんです。この道路を作るということは、日本建設行政の変革を企図しておるものとさえ私は思うので、単なる道路とお考えになられては、小さな識見しか出ないと思うのです。そういう意味において、この第一条の基本的な目的を再確認していただいて、今までのような消極的な考え方でなしに、この中に含む重大な建設省全体のあり方を考えてやっていただきたい。それを、もう一度大臣のお考え道路局長のお考えをお聞きいたしたいと思うのです。
  29. 村上勇

    村上国務大臣 東北自動車道につきましても、東北開発等の見地からも、できる限り早く調査を進めて、そしてその調査の結果を待って、建設の問題については検討いたしたい、こう思っております。
  30. 佐藤寛政

    ○佐藤説明員 ただいま大臣のお答えで尽きておるかと存じますが、なお若干蛇足を加えますと、この自動車道路は、御指摘のように非常に大きな目的を持っておる。ただ道路交通というだけから見ましても、これは将来の東北の幹線として非常に大きな路線になる、こういうふうに私も思っておる次第であります。つきましては、御趣旨に従いまして、また法律もあることでございますから、できるだけ早く調査をいたしたいところでございますが、御存じのように、ただいま東京—小牧間等の調査に非常に追われておりますので、私どもとしては、できるだけ早く一つ調査にかかりまして、その結果を出すようにして参りたい、こういうように存じております。
  31. 山中吾郎

    山中(吾)委員 次に、東北自動車道についてちょっと各論的にお聞きしたいと思うのですが、これは、実は東北自動車道建設促進委員会というものが民間にできておりまして、各県あるいは町村か参加をして、そうして昨年から一年かかって、こういう膨大な東北自動車道の経済効果というものがすでに出ておる。これは建設省にも行っておるのではないか。この法律を前提として、東北民が非常に希望を持って東北の開発に乗り出して、そうして一年間お互いが自主的にこういう調査をしております。本来は、これは法律によって建設省調査費を出して乗り出すべき問題をおやりにならないから民間でやっておるので、肩がわりをしておるものだと私は解釈する。こういうふうな努力に対して、私は真偽は別に知りませんけれども、中島委員からは、建設当局は常に消極的であると、これについてはよく言われておる。そういうことであってはならないと思うので、少くとも調査費を計上して、全体として調査をすべきである。ことに東北自動車道については、こういう熱心な、そうして相当学問的、科学的に出ておると思うので、これはおそらく建設当局に行っておると思いますが、見ていただいておるのか、これについてお調べになったとすれば、この調査については、大体正当なものであるかどうか、それをお聞きいたしたいと思います。
  32. 佐藤寛政

    ○佐藤説明員 ただいま御指摘になりました調査資料は、私ちょうだいしております。ごく最近にそういう調書的なものと、図面等も添えて、かなり詳しくお調べになった結果をいただいております。ただこれは、最近いただいたものでございますから、まだ内容を見るとか検討するとかいう段階には至っておりません。しかしながら、先ほど申しましたように、できるだけ一つ東北自動車道の方の調査も進めたい、とこう考えておりますので、せっかくお調べ願った貴重な結果でございますから、よく拝見いたしまして、できるならば近い将来に一つ調査を進めるようにいたしたい、こういうふうに私ども思っております。
  33. 山中吾郎

    山中(吾)委員 大臣にお答え願いたいのですが、こういう調査ができておるものですから、来年度の予算に調査費を計上して、調査をしていただきたい。そうすることが、この法律の執行の責任者であるところの建設省責任だと私は思うので、この点についての御意見をお伺いいたしたいと思います。
  34. 村上勇

    村上国務大臣 来年度の予算に調査費を計上するとか要求するとかいうことについては、もう少し部内で検討した上で、はっきりしたことをお答えいたしたいと思います。今の段階では、まだ小牧—東京間の問題で一ぱいのところでございますので、東北につきましても、十分にわれわれ調査して参りたいと思っておりますが、すぐ来年度の予算に要求できるかということにつきましては、もう少し一つ時間をお願いいたします。
  35. 山中吾郎

    山中(吾)委員 名古屋と東京の間というのは、これは土地の問題、あるいは東海道の関係において、政治的に非常に困難な問題があるので、それに巻き添えを食うようなことではいかぬと思う。あそこだけがこの法律の道路じゃないのです。ことに未開発地域の東北地域というのは、むしろ優先的に考えるべき筋合いがたくさんあるわけですから、民間にこういうものができておるのですから、私はぜひ調査費を計上して、希望を持たしていただきたい。それから、他の地域と比べましても、東京を中心として東京から名古屋地域という点からいったら、東京から北海道に通ずる道路というのは、これは非常に重要なものだと思うのです。この調べを見ましても、減価償却その他の計算を見ても、十分に採算がとれて、経済効果からいって、十分の一くらいの建設費でいけるような結果が出ておりますし、それに基いて、日本全体の国土のあり方と都市のあり方を考えますと、東京都の人口集中も、ほとんど東北地域が多いのですね。九州がその次だと思いますけれども、たとえば昭和二十七年、八年に六十万くらいの人口がいなかから入っておるが、そのうち三十七万くらいな歩どまりで、うちへ帰らないでとどまっておる。上野の駅におりるのが一番多いわけです。それほど東北地域は産業が開発されていないので、自然に東京に入り込んでくる。首都圏建設の立場からいっても、この人口増大を阻止するという意味においても、東北地域に産業を開発し、その地域を開発するということが、日本全体の人口行政という点からいっても、非常に大きい意味があると思う。そういうふうな観点からいっても、私は、まじめに検討さるべき政治上の課題であると思います。そういうことも御認識を願いたい。それから、東北地方と北海道を結ぶというこの縦貫道路というのは、国土防衛の立場からも、重要な意味を持っているのじゃないか。私たちは再軍備は反対でありますけれども、日本全土を守るという立場からいいますと、産業開発道路というこの道路は、同時に防衛道路にも実はなる。不幸にして、これもわれわれは予想はしないのですが、ソ連とアメリカが戦争をした場合に、これは南は沖縄をアメリカがとり、それに戦略的には北海道をソ連がとる。そういう場合に、一体東北道路というようなものは、これはやはり……(発言する者あり)まじめに聞いて下さいよ。縦貫道路というふうなものは、そういうふうな意味もないとは言えない。そういうふうなことを考えて、東海道というふうなもの、政治的に争いをしておるそういう現在の中央道とは違って、東北道というのは、いろいろな意味を含んでおるのだから、そういうことを考えて、大臣はもっと深い認識をこの機会に持ってもらいたい。そういうことを考えて、防衛隊というふうなものを活用するということも、これは意味づけられてくると思うのです。その点について、私は大臣識見を聞きたいと思いますが、われわれは防衛隊を建設隊に全部切りかえるべきだという思想を持っておるのでございますけれども、自民党の方では、そういう思想をお持ちにならない。しかし現在の地上軍は、ほとんど意味をなさないということもよく承知をされておる。こういう防衛隊を、工兵隊的にこれを切りかえるということの一つ方向を含んで、縦貫道路に防衛隊を活用するというふうなことも、こういう縦貫道路建設する中に、私は政治を持っていくべきではないかと思うのでありますが、御所見をお聞きいたしたいと思います。
  36. 村上勇

    村上国務大臣 東海道の中央道路といい、あるいは東北自動車道といい、これは私は日本の国力と経済力というものと並行して、積極的にやるべき問題であると思います。そのように日本の国力とにらみ合せながら、またただいまお話しの北海道—青森間の海底トンネル等も、これも国土防衛というような立場でなく、産業開発あるいは未開発資源の開発のためにも、どうしてもこれはやるべきものだと、私はかように思っております。ただこの施行に当って、今の自衛隊を導入するということについては、これは試験的に工兵隊というものが一部に研究的に、あるいは訓練用に入ることはあえて差しつかえないと思いますが、しかしこれらの目的も、一方日本の交通の隘路を打開するということ、あるいは資源の開発、産業開発というようなこととあわせて、これに私はもう一つ失業対策というようなことも考え得られると思います。そういうようなことから、この道路の作業員のことを考えてみますと、ただ単に自衛隊全部あげてこれに従事せしめて、これのみでやってしまおうというようなことは、これは私としては、ただいまのところ考えておりませんし、またこれは、各省とも関係のあることでありまして、建設省だけの考えでできることでもないと思います。とにかく一応橋梁とか、あるいはトンネルの一部を試験的に、また訓練用としてまかしてやるということについては、これは大いに考慮の余地があろうかと思います。しかし全面的にということになれば、一方に失業者を作っておきながら、自衛隊がその方にのみ稼働するということは、私としては、ただいまのところ考えておらないところであります。
  37. 山中吾郎

    山中(吾)委員 私は、建設大臣が最も雄大なる識見を持つべきだと思うので、こういうことをわざわざ申し上げたのですが、ほんとうは、防衛隊というものを国土建設と防衛と兼ねるような態勢に持っていくのが、私は正しいと考えておるので、ああいう防衛隊に対する法律に、建設大臣国土開発に協力を求めるいわゆる権利を入れるというふうな立法というふうなところまで含んでの識見を将来建設大臣が持つ、私はそういうふうなことが望ましいと思う。法改正まで含んで、こういう道路開発、国土開発に結びつくところの大土木工事については、建設大臣は協力を要求する権利を私は法定すべきだと思うので、そういうことも御検討願いたいと思うのです。一方に建設省には、産業開発青年隊という一つのわずかな微々たるものがあるのでありますが、次三男対策を含んでそういうものがあります。こういう構想関連をして、私は御検討を願う余地が縦貫道路の場合についてはあると思うのです。未開発地域の道路設定でありますから、現在の交通緩和ということならば、今までの方式によって、建設が摩擦なしに、あるいは世論もそれにつきやすいのでありますけれども、中央道から東北道というふうなものになって参りますと、これは第一条にあるように、総合的な目的を持っておるのでありますから、やはり大臣の言われたような農村の次三男対策を含んで、そして防衛隊を利用する権利もそこから生まれてくると私は思いますし、そういうことも含んでの総合的な一つ方法を御検討願って、この法律で設定した目的をしり切れトンボにならないように、貫徹する方向大臣在職中に基礎づけをしていただきたいと思うので申し上げたのであります。  以上で私の質問は打ち切ります。
  38. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 次に東海林稔君。
  39. 東海林稔

    ○東海林委員 私は、三国国道の漏水のことにつきまして、道路局長に少しお伺いしたいと思います。  先般群馬と新潟を結ぶ三国国道が完成しまして、建設省主催で盛大な竣工式が行われ、関係民も非常に喜んでおったのであります。ところが開通間もなく、トンネル内における悪質な漏水のために、自動車の運行を差しとめなければならぬ事態が起きたのは御承知だと思うのであります。そこで、私どもの考え方からすれば、現在の技術水準からして、ボーリングによる地質調査によっても、こういうことは当然予見されるのではないかと思いますし、少くとも工事施行の過程においては、こういうことは十分察知できるのではないかと思いますが、このような事態が起ったことについて、これはあくまで不可抗力的なことであったのか、それとも設計上の欠陥なのか、あるいは工事施行上の不手ぎわから出ているのか、その点についての御見解を承わりたいと思います。  第二点として、これに対する対策はどのように進められておるか、この点をお伺いいたします。
  40. 佐藤寛政

    ○佐藤説明員 先般開通式を行いました三国トンネルに漏水がございまして、ただいまその対策、修繕をやっておるわけでございます。この漏水でございますが、トンネルの中ですから、いろいろ湧水があるわけですが、その湧水をずっと排水管で集めまして、トンネルの出口で集まってきた水が出てくる量を測定してみますと、計画設計当時には毎秒二十六リッター程度であろう、こういうふうに推察して計画を立て設計をいたしておったわけです。なおまた施行に当っておったわけです。これらの施行中におきましても、そうこの数字と違わない程度の水であったわけでございます。それが最近測定いたしますと、この水が予想よりも、約三十リッターくらいに若干ふえております。事実トンネルの中に、漏水と申しますか、若干水がたれてくるところがある、こういうわけで、修繕をいたしておるわけでありますが、私どもは、この程度の湧水の増量でございますので、これは別に設計における間違いというものではなく、当時予想したものよりは若干多かったということで、ただいま対策に当っておるわけでございます。なおまたこの施行につきましても、あの工事は、御承知のように延長千百メーター弱、道路のトンネルとしては非常に長いトンネルでございまして、工事としても重大工事でございますので、十分な監督に当っております。従いまして、施行に関しましても、従来の経過を見てみますと、特に手落ちがあったというようなことは、ただいまのところでは見当らないのでございます。いずれにいたしましても、そういう道路トンネルで、水がたれてきては交通上非常に支障がございますので、ただいま一部コンクリートをこわしまして、排水菅をいけて、水の集まってくるところは、その水をトンネルの下の方にある導水管の方に導いてやる、こういうような修繕工事をやっているわけでございます。  それからまた交通をとめておるという点でございますが、これは、実はまだそういう工事その他の雑工事がいろいろあるのでございますが、とにかくこの三国国道の開通によりまして、新潟—群馬間の交通がとりあえずやれば可能という状態になったわけでございます。そこで、先般は開通式を実施いたしたのでございますが、実はその取りつけ道路その他に非常に危険なところがございまして、あの道路は、相当の手入れをするのでなければ、十分安全な道路として交通に開放するには適当ではないのでございます。それからの諸点の工事をやります際に、必要である場合には、ある期間交通をとめることは、これはお許し願わなければなるまいかと存じておるわけでございます。できるだけ早い期間に十分な対策を講じまして、その交通をとめておる期間を短かくいたしたい、こういうふうに心得ております。なおまた交通をとめておるとは申しながら、これは正式に交通を開始したのではございません。まだ工事が終っていないので、正式に開通したのではなく、とりあえず通れるので、通れる限りはお通ししよう、こういう意味で交通に開放しておったわけでございます。
  41. 東海林稔

    ○東海林委員 今の局長お話ですと、水の量が当初の予想よりも若干多いというふうにちょっと聞き取れたのですが、新聞の報道によりますと、漏水の質の問題が出ておったようでございますが、その点はどういうことになっておりますか。また今のところ、大体いつころまでに安全な普通の交通が許されるようになるのか、この二点をお伺いしたいと思います。
  42. 佐藤寛政

    ○佐藤説明員 水の質の問題を申し落しまして、大へん恐縮でございます。水の質につきましては、もちろんこれは、当初調査計画の時代に十分調査したのでございます。そのときには、水の質は中性——これは専門的に申しますと、PH七程度で、いわゆる中性の水である。従ってコンクリートその他構造物には、全然害はない、こういう見解で始めておりましたが、最近の調査によりますと、そのPHがちょっと多い、酸性を帯びておるということは事実のようでございます。なおこれは、もう少し調査を要しますが、一部調査しましたところでは、そういうことでございます。なお詳細な調査を要しますが、このPHの程度では、たとえばコンクリートが腐食するとかいうような大きな影響はなかろうかと私どもは考えております。もしそういう影響がある程度の悪質の水でありますならば、たとえばその水が出る部分にはアスフアルトを流すとか、そういう適切な方法を講ずる必要があろうかと存じますが、その辺は、もう少し調査を進めたいというふうに考えます。
  43. 東海林稔

    ○東海林委員 局長お話を聞いておると、こういう事態の発生について非常に軽く考えておられるように思えるのは残念なんですが、私はここで思い出すのですが、三年ばかり前に、やはり三国国道のすぐ近くに赤谷川の漏水の問題があったのです。これは当初発電を主目的として県の工事で始まったわけですが、もちろんこれは補助金の関係もあるし、建設当局も十分な審査をやられたことだと思うのですが、結果においては、ダムに水をためたら、非常な漏水で役に立たぬ。県の手に負えないということで、建設省が肩がわりして跡始末をした。悪く言えば、莫大な国費を浪費したという結果になると思います。ところがあの工事については、当初われわれもしばしば各方面から、あの地質では非常に漏水の危険があるということを言われておった。中にはそういう意味で反対までした人があった。にもかかわらず、ああいう工事をやって失敗を招いたという結果があるわけです。ああいうことについても、私は技術的な立場からも十分な反省がなされなければならないと思うのですが、すぐまた近くで今その問題が起きた。局長のお考えでは、当初の計算より若干水の量も多かった、それから水質についても、PHが若干違っておった、そういうことを軽い意味で御答弁されると、私は建設省の技術的良心がどういうものかということを疑わざるを得ないのです。そういう点について、どのように考えておられるのか、ちょっとお尋ねしたい。
  44. 佐藤寛政

    ○佐藤説明員 ああしたトンネルでございますから、当初調査等も十分いたしまして、設計を立てるのでございますが、それにいたしましても、結局は導孔を堀ってみませんと、地質の詳しいことはわからないというのがほんとうでございます。従いまして、当初調査いたしまして、そしてそれに基いて設計をいたしますが、それが根本的に条件が違うようですと、これは言うまでもなく大問題でございますが、実際の工事目的に支障のない程度の数字の変化ということは、私はよくあり得るのじゃないかと思うのでございます。今回の場合など、顧みますと、いずれも、水質にいたしましても、水量にいたしましても、調査いたした時代よりは多くなっているといいますか、過酷な状態に実際はなっておるわけでございます。これは、できますならばもう一歩詳しい調査を進めて、それらをはっきりすることができればよかったと思うのでございますが、普通は、その程度でやっているのでございます。しかし、それでいいとはもちろん申されませんので、ああしたトンネル等をやる場合には、やはり十分にも十分の念を入れた調査をすべきじゃないかと考えております。今回の場合には、調査といたしましても、ずいぶん経費もかけ、日も使って調査いたしまして、その結果は、それぞれデータとして残っておりますので、そうした調査に基いて実施した結果、たとえばいろいろな水脈の関係等も複雑なものがございまして、実際の湧水は、調査当時より二十六リットル毎秒というものが三十リットル毎秒程度にふえておる。従って、そうしたことが原因になって、漏水もあろうかと存じますので、やはり必要な手当はしなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。そうした調査につきましては、これがやはり一つの教えでございますから、十分と思いましても、なおそういうことには念を入れた調査をやらなければならないと考えております。  それからさっき申し落しましたが、ただいま交通どめいたしておりますが、この交通を開放する時期は、おおむね秋の観光時期には一つ通していただけるようにやりたい、そういうつもりで修繕を急いでおります。
  45. 東海林稔

    ○東海林委員 これは、当初の調査で、隧道のことだから万全の調査は困難だという点は了解できます。もう一つ、工事途中において十分な監督をやった、こうおっしゃったのですが、そこで私が伺いたいのは、当初の調査に基いて設計されるわけですが、工事を監督される場合には、単に当初の設計そのものをその通りに厳格に施行するという意味での監督をされるのか、当初の調査によっては万全を期し得ない点があるということで、工事の施行過程において、そういう点をもあわせて調査しつつ監督をしていくのか、その点をちょっとはっきりしてもらいたい。
  46. 佐藤寛政

    ○佐藤説明員 それは申すまでもございません。設計におきましては、たとえばトンネルの巻厚等にいたしましても、一応調査の結果巻厚を仮定して設計いたしますが、実際掘ってみると、その厚さではとてもだめだというようなところがよくございます。工事の施行の途中におきまして、トンネル等の場合には、いろいろな点で設計変更ということをいたしますのは、これはもう通例でございます。こまかい点においては、必ずと言っていいくらい設計変更が起るのです。これは実際掘ってみて、その実情に応じて適当な設計に直しておる、こういうことでございます。今回のこの湧水問題に対しましても、施工中におきましては、設計当時とほとんど状況は変っておらないで、最近においてそういう傾向が見えておる、こういう結果になっております。
  47. 東海林稔

    ○東海林委員 これはもう押し問答ですからやめますが、今のお話のように、工事施行途中においても十分そういう留意をして、必要な設計の変更をやってきておるとすれば、今のような結果にならぬというふうに私は考えます。しかし、これ以上言っても押し問答ですからやめますが、今後十分その点を留意していただきたいということを、希望として申し上げておきます。
  48. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 三鍋義三君。二、三分で願います。
  49. 三鍋義三

    ○三鍋委員 駐留軍の離職問題に関しまして、道路局長に御質問申し上げたいのでありますが、この駐留軍に勤めておった者の離職対策は、与野党を問わず非常に心配しておる点であります。戦争中の爪跡というものは、あらゆる面になお残っておるのでありまして、こういった問題を一々取り上げるのもどうかと私も考えたのでありますが、やはり切実な問題として質問しておくのであります。実はこの離職者対策といたしましては、松野前長官にも非常に配慮願いまして、道路の高架下の利用の問題について、駐車場も設置することができる、こういう政令の改正までしていただいたことは、皆さん御承知の通りでございます。そこで、離職者の方々が道路の高架の下の占用許可願を出しておるのであります。これは、保土ヶ谷タクシー企業組合が横浜のバイパス路線の高架下の利用の区域指定を申請しておるのでありますが、この指定がないと、陸運局において許可しないのでありまして、その問題について、局長さんにお尋ねしておきたい。私たちは、この高架下の利用という問題につきましては、道路公団法を審議いたしましたその過程におきましても、いろいろ問題の起りやすい案件でありますので、非常に慎重な審議をさせていただいたのでありますが、そういう観点から、当局はこれに対して非常に慎重であるということは、私は当然そうでなければならぬと思いますし、そうお願いをしたいのでありますが、これをただ野放しにしておくということは許されません。それにつきまして、どういう内規をもってこれを許可されようとしておるのか、その作業はどのように進んでおるのか、この問題につきまして、道路局長さんにお尋ねしたいのであります。
  50. 佐藤寛政

    ○佐藤説明員 ただいまの御質問は、公団でただいま施工いたしております横浜バイパスのちょうど保土ヶ谷付近の高架橋の下を利用されることだと存じますが、これについては、公団の方からもお話を伺っておりますし、直接御陳情も伺っております。できるだけ早い機会に御陳情、御要望の趣旨に沿うようにいたしたいと思っておりますが、ただいまのところでは、二つの問題がございますかと存じます。  一つはまだ工事中でございまして、道路としての手続ができておらない、道路の区域を指定いたしまして、そうしてその高架橋なら高架橋の下を利用できる法律的な措置をする手続がまだできておらないということでございます。これは、工事が竣工いたしますと同時にこの手続をいたしまして、この手続をいたしますと、道路の管理者である——あの部分ですと、横浜の市長がこの占用を許すかどうかという権限を持つことになります。この手続は、工事の竣工とともにできるだけ早く進めるようにいたしたいと考えております。  それからもう一つの点でございますが、まあそういうふうな法律的手続ができたときに、横浜の市長が許可の権限を持った場合に、これを市長の自由に取り扱われては困るという問題がございます。これは、今後こうした高架橋というものがあちこちにできると思います。そうしてその場合に、高架橋の下を利用するということがいろいろ起るかと存じますが、そうしたときに、それぞれ異なる道路管理者が異なる見解でこれを扱いますと、非常に複雑な問題が起ることを心配するわけでございます。申すまでもございませんが、法律、政令の上に、こうした占用に対しては一つの規制がございます。規制がございますが、これだけではなお不十分でございまして、さらにもう少し詳細な内容をきめておきませんと、適当な措置が講ぜられないおそれがある。現にこの点につきましては、本委員会に対しましても、前国会におきまして、銀座高速道路建設で大へん御心配をわずらわした次第でございますが、ああした問題が起らないように私どもは注意いたしたい、こう思っておるわけでございます。従いまして、こういう高架下の占用を扱う何か一つ方針を持つようにいたしたい。その方針——内規となりますか、どういう形になりますか別といたしまして、一つ方針を定めることにつきまして、ただいま検討いたしておるのでございますが、この内容は、ただいま研究中でございまして、御推察のように、非常に扱い方がむずかしゅうございますから、ちょっとまだここで御披露申し上げる段階になっておりませんのですが、ただいま研究中でございますから、いずれこれがまとまりましたら、また省内でよく研究いたしまして、少くともこうした取扱いは、さきに申しました事務取扱いができるまでには間に合わすようにいたしたい、こういうふうに考えております。
  51. 三鍋義三

    ○三鍋委員 この離職者の生活困窮の様相というものは、私たちの想像にあまりあるのでありますが、御承知の通り、退職金を全部吐き出して出資して、何とか早く業務を開始して生活を営みたい、こういうケースであります。一方は非常に急ぐ、この気持はみんなわかるのでありますが、しかしこれを許可するときには、いろいろの問題が起りやすい案件であるから、十分に内規等を作っていかなければならない、そうして道路が完成してから許可するかいなかをきめる。これは公式で、寸分のすきもない誤まりなき行政だと私は考えるのであります。しかし、この問題は非常に切実な問題であります。切実な問題はたくさんあるのでありますが、聞くところによると、区域指定を願っているその道路は、完備してしまっている、でき上ってしまっている、もうこの竣工式も間もなく行われる、ほんのわずかしか残っていない。こういう状態におきまして、またその道路が変更されるとか、あるいは設計変更があるとか、そういう問題とは違うのであるから、何かこれは法の精神を生かして、すみやかに彼らの期待に沿うように御配慮願って、すみやかに内規とかいうものに対する作業をお進め願いまして、彼らの期待に沿うべく一そうの御努力をお願いしたいと思います。これで終ります。
  52. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午前十一時五十五分散会