○佐々木(盛)
委員 次に先ほど
松本君からもお話があったようでありますが、調印前に
条約の
内容を示せというようなお話でありましたが、私は
外交交渉の途中において
条約の全文を示すということはでき得ないことだと思います。ただこの間もある
新聞に世論調査が出ておりましたが、また私たちが各地を回って社会党の方とともに
安保条約の問題でいろいろ
意見を開陳いたしましても、知らないという人がほとんど大多数のようであります。
新聞社の世論調査によりますと四〇%以上がわからぬというようなことです。これでは困りますので、
一つこういう点につきましては、できるだけ
外交はやはり
国民とともに進むのだという観点に立ちまして、要点だけは、少くとも
条約に盛られるような点だけは適当な
機会に適当な
方法によってできるだけ知らして、そうして
国民に十分徹底させるという措置をとっていただきたいことを
一つお願いを申し上げておく次第であります。
次に、私は
中共問題に関連をして
一つ承わっておくわけでありまするが、これは先ほどの
総理の
マクミラン首相との
会談の経過を承わりまして、この
マクミランが
総理に意思表示をいたしたことをも大体私も想像いたしまして、わが
日本の
中共政策は決して間違ったものではないということを、私たちは考えるわけであります。つまり
中共承認の問題とか、国連参加の問題等につきましては、にわかにフルシチョフやアイゼンハワーの
訪問があったからといって、これは変えるべきものでない、かように考えるわけであります。そこで今までは
中共は政経不可分論というものを強く主張いたしました。また
日本の反対党である社会党も強くこれを主張されております。すなわち
日米関係を解消するとか、
安保条約を解消するとか、
日本と
国民政府との
関係を断交するとか、そうすることによって
中共の
承認をする。さようなことが前提となって
日本と
中共との
貿易再開や
経済関係を復活していこう。こういうふうなことを従来主張してきておったわけでありまするが、しかしながら私たちはさような必要がない。
日本は依然として従来の方針を続けていくのだという今の
総理の御説明であったと考えます。
かようなときにおきまして、近く石橋さんも
中国を
訪問されるそうであります。あるいは松村さんもそのうちに
中共に行かれるというようなうわさも聞いておるわけでありまするが、この御両氏とも社会党とは異なった観点に立っておられるわけでありまするから、両氏が
中共へ行って祖国
日本の
政府を、日中一緒になって打倒しよ)というふうな、そういう声明を出そうとされるような非常識な方ではありませんので、この点については安心しておりまするが、既存の
条約というものは十分
承認した上に立っての
日本と
中共との国交の再開をはかっていきたい。かようなお考えでありますから、私はけっこうであると思いまするが、きのうの
総理との
会談におきましては、
総理から別に大した意思表示もなさっていないようでありますが、しかしながら私は十分な見識を持たれた方でありまするから、安心をし、信頼をして石橋さんを送りたいと考えまするけれ
ども、しかしながら時も時でありまするし、私は社会党のように今一番絶好のチャンスであると私たちは考えておりません。いな
中共側はどういう意図でもって、しきりにわが保守
陣営に対して、保守
陣営の有力者に対して呼びかけをしてくるかということの
中共側の真意も考えなければならない、かように考えるわけでありますから、私は私
個人といたしましても行かれる方の十分なる御自重ということもお願いをしなければならぬ。かように考えておるようなわけであります。
申すまでもなく、今日
中共というものは
貿易政策においてもかなり見込み違いで行き詰まっております。また人民公社というものの行き過ぎから農業
政策も大失敗をいたしておることは、皆さんも御
承知の
通りであります。かようなときに当って、
中共側から進んで
日本に申し出をしてくるということにつきましては、私は
日本の考えているほど甘いものではない。向うとしては何らかの
考え方があるのだ、かように考えざるを得ないわけでありまして、向うから言ってきたということも、いわば岸さんの主張しておられました静観
政策、しばらく静観しようという静観
政策の成果、結果としてその
通りこれが現実に現われて、やがて
中共側から
日本にそういう
話し合いが持ってこられたものではなかろうかと考えるわけであります。しかしまんまと向う側の野望に乗せられるということは危険なことでありますし、
国民政府におきましてもすでにその危険性のあることも指摘をいたしておるようなわけであります。そこで社会党の諸君やあるいは
中共政府の従来とってきた方針というものは、
日本の
安保条約改定という方向と日中の国交回復と申しますか、日中間の
貿易の再開というようなこととは相反する二つのものである。従って社会党の御主張などは、
日米安保条約をやめてしまって、そうして日中間の国交回復をはかるという御主張でありますが、私はそうではなくして、
日米安全保障条約の
改定ということと、それから日中の国交回復というものは両立し得るのだ、また二つが両立しないならば、
日本がその一方を選ぶということはできないのだ。従って両立するという原則の上に立っての
中共政策があるのだという
考え方を堅持すべきであると思うのでありますが、
総理の御
見解はいかがでありますか。