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藤山国務大臣 先般の閣僚と覚との間の懇談会におきまして、
安保条約を通常
国会にかけるとか、
臨時国会にかけないとかいうような
決定があったわけではございません。むろんこの問題は調印の時期等とにらみ合せて党が
決定すべき問題だと思うのでございまして、先般の
会議ではまだその
段階に至ってはおりませんことむろんであります。私はかねて申しておりますように、
安保条約を取り上げました私の立場から申して、現在の
安保条約がそのままでいいとは考えておりません。何らかの形でもって改善を加えることができる、またしなければならぬと存じております。しかしながらその改善を加えるということにつきましては、十分な用意と慎重な
態度でなければならぬことむろんであります。従つって私自身そういう気持を持ちまして十分慎重にこの問題を取り扱っていきたい、こう考えております。ただわれわれこの
交渉に当っておりますものから見ますれば、この春以来の
状況において、
交渉を開始するまではやはり一定のめどをつけまして、その辺のところでは
一つ調印に持っていくようにみんな
努力していかなければならぬ。それに合せて各省も
協力してもらいたい。特に
行政協定等の
意見の取りまとめということにつきましては、各省もそれぞれ忙しい立場にもありましょうが、これがじんぜんとして延ばされますことは、そうした
意見を総括して
交渉に当ります
外務省としてははなはだ迷惑なんでありますから、やはり一定の
期間内にできるだけ歩調をそろえてやってもらいたいということを申さざるを得ないのであります。従ってそういう目標をつけてお願いをし、またこれらの問題について党内にも、むろん改定
交渉でありますし、御指摘のように重要な問題でありますから、
条約地域の問題その他につきましてもいろいろ御
意見があることむろんであります。しかしこれもやはりある方針を一定の
期間にはきめていただかなければ、
交渉をやるという私自身の立場から申しますれば、じんぜんとしてそうしたことがきまりませんことは適当でないのでありまして、従ってこういう時期までにはなるべく党も一定の方針をきめてもらいたい、われわれとしてそういう限度においてやっていきたいということは当然申さなければならぬことだと思っております。しかしそれらのものが党の考え方もきまり、あるいは各省もそれぞれお出しになって、そしてわれわれ
交渉に入って参りますと、今度は最終的な調印の時期というものは、実はいついつ調印できるということははなはだ言いにくいものでありまして、
穗積委員も御
承知の
通り、この種
条約を作りまして、比較的
合意しやすい問題はどんどん片づいて参りますけれ
ども、数少くはあっても
合意しにくい問題が残って参りますれば、それらについては
合意しやすい問題の何倍かはやはり
交渉にはかけなければなりません。そういう
意味からいいまして、数が少くなったからといって最終的に時間が早くなるとはなかなか申しかねるところだと思います。でありますから、五月
交渉に入りまして以来、私は特に時期等を申したことはないのであります。ただもちろん
総理が外遊するという事実もすでに既定の事実でありますから、まとまるものならばできるだけ早くまとめていきたいというのは当然のことでありまして、われわれとしてはできるだけスムーズにこの
交渉が参りますように
努力をして参りたい。しかし先般来申し上げておりますように、まだ草案を作る前段の
合意にある
程度話し合いがついたという
段階でございますから、また
行政協定につきましてもまだ残っておる点が相当ございます。これらのものをやって参りますと、いついつまでに必ずできるということは申しかねるのであります。従って今日
臨時国会に出すように間に合せろといわれても間に合わない場合もあります。通常
国会に出すように延ばせといっても必ずしも延びない場合もあるわけでございまして、そこらの点は今後のわれわれの
交渉をできるだけ円滑にやっていく。また私
ども交渉を持っております者としては、できるだけまずこういう
交渉が早く妥結しまして、夏ならば夏休みをとることが好ましいことなんでありますから、そういう
意味においては個人的な
意味で急ぐということは申し上げられると思いますが、実情は今申したような
段階であります。従って今日私としては普通のテンポで今後この
交渉をやって参るつもりであります。特にこの
交渉を中止するという考え方は持っておりませんし、党においてもまたそういう考え方は持っていないと私は信じております。